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明細書 :がんの治療に有効な化合物を含む医薬組成物及びがんを治療するための方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-199474 (P2016-199474A)
公開日 平成28年12月1日(2016.12.1)
発明の名称または考案の名称 がんの治療に有効な化合物を含む医薬組成物及びがんを治療するための方法
国際特許分類 A61K  31/5513      (2006.01)
A61K  31/554       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P   1/00        (2006.01)
A61P   1/16        (2006.01)
FI A61K 31/5513
A61K 31/554
A61P 35/00
A61P 1/00
A61P 1/16
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-078506 (P2015-078506)
出願日 平成27年4月7日(2015.4.7)
発明者または考案者 【氏名】汐田 剛史
【氏名】神吉 けい太
【氏名】影近 弘之
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001139、【氏名又は名称】SK特許業務法人
【識別番号】100130328、【弁理士】、【氏名又は名称】奥野 彰彦
【識別番号】100130672、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 寛之
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086BC56
4C086BC92
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZA75
4C086ZB26
要約 【課題】副作用がない、がんの治療用医薬組成物の提供。
【解決手段】下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択されるものを少なくとも1以上含有する、がんの治療用医薬組成物。
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[AはN、S又は炭素数1~3のアルキル基を有するN;R1はH又は-NO2;R2及びR3はH又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成;R4及びR5は、H又は4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成;前記シクロアルキル環は、少なくとも4つの炭素数1~3のアルキル基]
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択されるものを少なくとも1以上含有する、がんの治療用医薬組成物。
【化10】
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(式(I)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R2及びR3は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
R4及びR5は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
前記シクロアルキル環は、少なくとも4つの炭素数1~3のアルキル基を有する。)
【請求項2】
前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)又は(III)で表される化合物である、請求項1に記載のがんの治療用医薬組成物。
【化11】
JP2016199474A_000013t.gif
【化12】
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(式(II)又は(III)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R6、R7、R8及びR9は、炭素数1~3のアルキル基である。)
【請求項3】
前記式(II)で表される化合物は、以下の式(V)又は(VII)で表される化合物であり、前記式(III)で表される化合物は、以下の式(IV)又は(VI)で表される化合物である、請求項2に記載のがんの治療用医薬組成物。
【化13】
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【化14】
JP2016199474A_000016t.gif
【化15】
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【化16】
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【請求項4】
前記がんは、消化器系のがんである、請求項1から3のいずれかに記載のがんの治療用医薬組成物。
【請求項5】
前記がんは、肝臓がんである、請求項1から4のいずれかに記載のがんの治療用医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、がんの治療に有効な化合物を含む医薬組成物及びがんを治療するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全世界において、がんは主要な死因の1つであり、成人の三大死因の1つとされている。がんは、体内のあらゆる臓器及び器官で生じ、半数のヒトが一生の内、何らかのがんに罹患するといわれている。がんに対する治療薬(抗がん剤)の開発が世界中で行われている。
【0003】
今日まで、様々な抗がん剤が開発され、がん治療で用いられている。しかしながら、抗がん剤の多くは、副作用を有しており、副作用がない抗がん剤が望まれている。
【0004】
近年、抗がん物質として、ビタミンAとその誘導体であるレチノイドに対して研究が進んでいる。非環式レチノイド(acyclic retinoid, ACR)は、レチノイドが有する6員環が開環した構造であり、肝がん治療後の再発を有意に抑制することが知られている。非環式レチノイドである「ペレチノイン」(NIK333)は、肝細胞がん根治治療後、一年間の長期投与により肝細胞がんの再発を有意に抑制することが確認されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】N.Eng.J.Med.334(24),1561-1567(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。第一に、ペレチノインは、肝細胞がんの再発を有意に抑制するものであり、肝細胞がん(肝がん)の治療には効果が無い。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、がんの治療に有効な化合物を含む医薬組成物及びがんを治療するための方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明者は、様々なレチノイド関連化合物をがん細胞に処理して抗がん作用を検討した。その結果、ジベンゾジアゼピン骨格、ジベンゾオキサゼピン骨格、ジベンゾチアゼピン骨格を持つレチノイド関連化合物が抗がん作用を発揮することを明らかにした。以上の知見に基づいて、がんの治療に有効な化合物を含む医薬組成物を開発した。
【0009】
本発明によれば、
下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択されるものを少なくとも1以上含有する、がんの治療用医薬組成物が提供される。
【化1】
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(式(I)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R2及びR3は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
R4及びR5は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
上記シクロアルキル環は、少なくとも4つの炭素数1~3のアルキル基を有する。)
後述する実施例の通り、かかる化合物に関係する化合物は、がん細胞に対して抗がん作用を示すことが実証された。従って、かかる化合物を含む医薬組成物は、がん治療に用いることができる。
【0010】
また、本発明によれば、
下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択される少なくとも1以上の有効成分を所定量含む医薬組成物を、がんを患っている患者に投与するステップを有する、がんを治療するための方法が提供される。
【化2】
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(式(I)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R2及びR3は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
R4及びR5は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
上記シクロアルキル環は、少なくとも4つの炭素数1~3のアルキル基を有する。)
後述する実施例の通り、かかる化合物に関係する化合物は、がん細胞に対して抗がん作用を示すことが実証された。従って、かかる化合物を有効成分として所定量含む医薬組成物をがん患者に投与する方法は、がん治療に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、一次スクリーニングの概要を示す。
【図2】図2は、一次スクリーニングの結果を示す。一次スクリーニングでは、29種類の化合物を使用した。ジメチルスルホキシド(DMSO)をコントロールとして用いた。1μM及び5μMで濃度依存的に抗腫瘍効果が認められた化合物の番号には、下線を引いている。
【図3】図3は、二次スクリーニングの結果を示す。二次スクリーニングでは、一次スクリーニングの結果に基づいて選択した化合物を用いた。HepG2細胞でより抗腫瘍効果の高かった化合物の番号には、下線を引いている。
【図4】図4は、二次スクリーニングで選択した化合物を用いた、HepG2細胞とHC細胞とのWSTアッセイの比較結果を示す。左側のバーがHepG2細胞に関するデータであり、右側のバーがHC細胞に関するデータである。HC細胞よりHepG2細胞で抗腫瘍効果の高かった化合物の番号には、下線を引いている。
【図5】図5は、HepG2細胞とHC細胞とのWSTアッセイの比較結果に基づいて選択した化合物を用いた、HC細胞、HepG2細胞、HLE細胞及びHuH6細胞に対するアポトーシス解析の結果を示す。
【図6】図6は、HepG2細胞とHC細胞とのWSTアッセイの比較結果に基づいて選択した化合物を用いた、フローサイトメトリーによるアポトーシス解析の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<用語の説明>
本明細書における、各種用語の意味を以下の通り説明する。

【0013】
(1)レチノイド
レチノイド(retinoid)は、ビタミンA及びその誘導体の総称であり、リガンド誘導性転写因子である核内受容体を介して機能することが明らかにされている。

【0014】
概要
以下、本発明の実施の形態について、詳しく説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑をさけるために、適宜説明を省略する。

【0015】
がんの治療用医薬組成物
本発明の実施形態は、下記式(I)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択されるものを少なくとも1以上含有する、がんの治療用医薬組成物である。
【化3】
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(式(I)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R2及びR3は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
R4及びR5は、水素又は、4~6員環のシクロアルキル環を共同して形成し、
上記シクロアルキル環は、少なくとも4つの炭素数1~3のアルキル基を有する。)
この医薬組成物を用いることで、がんの治療が可能になる。

【0016】
R2及びR3のペアとR4及びR5のペアは、同時に上記シクロアルキル環を共同して形成しなくてもよい。即ち、R2及びR3のペアが上記シクロアルキル環を共同して形成する場合は、R4及びR5は、それぞれ水素であり、R4及びR5のペアが上記シクロアルキル環を共同して形成する場合は、R2及びR3は、それぞれ水素である。

【0017】
また、上記式(I)で表される化合物としては、例えば、下記式(II)又は(III)で表される化合物である。
【化4】
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【化5】
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(式(II)又は(III)中、
Aは、窒素、硫黄又は炭素数1~3のアルキル基を有する窒素であり、
R1は、水素又は-NO2であり、
R6、R7、R8及びR9は、炭素数1~3のアルキル基である。)

【0018】
また、上記式(II)で表される化合物としては、例えば、下記式(IV)又は(V)で表される化合物であり、上記式(III)で表される化合物としては、例えば、下記式(VI)又は(VII)で表される化合物である。
【化6】
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【化7】
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【化8】
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【化9】
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【0019】
上記化合物は、環式レチノイド誘導体であり、特に上記式(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物は、それぞれ、LE135、HX603、HX630、HX531とも称される。

【0020】
上記式(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される化合物は、公知の方法又はそれに準ずる方法によって製造し、入手してもよく、市販品を購入して使用してもよい。

【0021】
本実施形態におけるがんは、消化器系のがんであってもよい。消化器は、食物の消化及び吸収に関与する臓器を指し、例えば、食道、胃、大腸、小腸、肝臓、胆嚢、膵臓が挙げられる。また、本実施形態におけるがんは、肝臓がんであってもよい。

【0022】
これらの生理学的に許容される塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アン
モニウム塩等を挙げることができる。水和物としては、例えば、一水和物、二水和物等を
挙げることができる。

【0023】
がんを治療するための方法
また、本発明の他の実施形態は、上記式(I)から(VII)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩及び生理学的に許容されるその水和物からなる群より選択される少なくとも1以上の有効成分を所定量含む医薬組成物を、がんを患っている患者に投与するステップを有する、がんを治療するための方法である。この方法を用いることで、がんを治療することが可能である。

【0024】
上記式(I)から(VII)で表される化合物、生理学的に許容されるその塩、生理学的に許容されるその水和物を含む医薬組成物は、以下のようにして医薬製剤とすることができる。上記式(I)から(VII)で表される化合物で医薬製剤とする場合には、その結晶を作製し、常法に従って処理し、後述する賦形剤等と混合させてもよい。上記医薬組成物を有効成分とする医薬製剤としては、注射剤、坐剤、エアゾール剤、経皮吸収剤、軟膏剤、硬膏剤、スプレー剤、非経口剤、錠剤、散剤、顆粒剤、粉剤、カプセル剤、丸剤、トローチ剤、液剤、経口剤を挙げることができる。

【0025】
上記医薬組成物を用いて、注射剤を調製する場合は、必要に応じて、pH調整剤、緩衝材、安定化剤、可溶化剤などを添加することもできる。

【0026】
上記錠剤には、糖衣錠、コーティング錠、バッカル剤が含まれる。上記カプセル剤には、硬カプセル剤、軟カプセル剤の双方が含まれる。上記顆粒剤には、コーティングされた顆粒剤が含まれる。上記液剤には、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤が含まれる。上記シロップ剤には、ドライシロップが含まれる。各製剤は、徐放性であってもよい。錠剤又は顆粒剤とする場合には、必要に応じて、白糖、ゼラチン、精製セラック、グリセリン、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、フタル酸セルロースアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メチルメタクリレート、メタアクリル酸重合体等を用いて1又は複数の層としてコーティングしても良い。顆粒剤又は粉剤をエチルセルロースやゼラチンのようなカプセルに詰めてカプセル剤とすることもできる。

【0027】
これらの製剤は、公知の製剤学的製法、例えば、日本薬局方に記載の基剤、担体、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤等を用いて製造することができる。上記担体及び賦形剤には、例えば、乳糖、ブドウ糖、白糖、マンニトール、馬鈴薯デンプン、トウモロコシデンプン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、結晶セルロース、カンゾウ末、ゲンチアナ末を挙げることができる。

【0028】
上記結合剤には、例えば、デンプン、トラガントゴム、ゼラチン、シロップ、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を挙げることができる。上記崩壊剤としては、例えば、デンプン、寒天、ゼラチン末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、結晶セルロース、炭酸カルシウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース等を挙げることができる。上記滑沢剤には、例えば、タルク、ステアリン酸マグネシウム等を挙げることができる。上記着色剤としては、医薬品として添加可能であれば特に限定されない。また、矯味剤及び矯臭剤も、必要に応じて適宜使用してもよい。

【0029】
上記医薬組成物を患者に投与する場合には、投与量は、患者の症状の重篤さ、年齢、体重、血糖値、血圧及び健康状態等の諸条件によって異なる。一般的には、上述した用量及び用法で、1日1回若しくはそれ以上の回数にわたって投与すればよく、以上のような諸条件に応じて、投与の回数及び量を適宜増減すればよい。

【0030】
ここで、医薬組成物中の上記有効成分の含量は、1用量当たり100~1000mgであることが好ましく、150~800mgであることがより好ましく、200~600mgであることが特に好ましい。このような用量において、毎日投与してもよい。1日の投与回数は、1回でもよく、複数回であってもよい。

【0031】
上記医薬組成物の投与経路は、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋中であってもよい。また、上記医薬組成物は、がん部位に直接投与してもよい。好ましくは、上記医薬組成物の投与経路は、経口投与である。従って、上記医薬組成物は、経口投与可能な剤形であることが好ましく、錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、丸剤、トローチ剤、及び液剤からなる群から選ばれるものであることが好ましい。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例及び図面によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。機器の操作及びキットの使用は、各メーカーの製造元プロトコールに従った。統計解析は、独立した3例以上のサンプルを用いて行い、t検定により統計学的有意差を検討した。片側検定でp<0.05(図中では、*と表示)となればよく、より好ましくは片側検定でp<0.01(図中では、**と表示)となればよい。【0033】
<実施例1>
一次スクリーニング
ヒト肝芽種由来細胞(HepG2)を用いて一次スクリーニングを行った。一次スクリーニングの概要を図1に示す。コントロールとして、正常細胞であるヒト胎児肝由来細胞(HC)を用いた。一次スクリーニングに用いた化合物を表1に示す。
【実施例】
【0034】
【表1】
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【実施例】
【0035】
96 well plateにHepG2細胞を5000 cells/ wellで播種し一晩接着させた。翌日、培地を1%ウシ血清(FBS)含有培地に置き換え、24時間培養後に上記化合物での処理を開始した(0時間)。上記化合物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解し、最終濃度が1μM, 5μMになるように培地にて希釈し、使用した。化合物処理の72時間後に、テトラゾリウム塩を用いたWSTアッセイ(Cell Counting Kit-8 (同仁化学研究所))により細胞生存率を測定した。コントロールは、0.1%DMSO含有培地処理群とした。
【実施例】
【0036】
一次スクリーニングでのWSTアッセイの結果を図2に示す。♯6、9、10、24、25、26、27、28及び29は、1μM及び5μMの濃度で抗腫瘍効果が認められた。
【実施例】
【0037】
<実施例2>
二次スクリーニング
実施例1で選択した化合物を更にスクリーニングした。ネガティブコントロールとして♯1及び11を使用した。また、NIK333も実験を行なった。96 well plateにHepG2細胞を5000 cells/ wellで播種し一晩接着させた。翌日、培地を1%FBS含有培地に置き換え、24時間培養後に化合物での処理を開始した(0時間)。各化合物を最終濃度が1, 2, 3, 4, 5μMになるように培地に希釈し使用した。化合物処理の72時間後に、WSTアッセイにより細胞生存率を測定した。コントロールは、0.1%DMSO含有培地処理群とした。
【実施例】
【0038】
二次スクリーニングでのWSTアッセイの結果を図3に示す。♯6、24、25、26、27及び28は、より高い抗腫瘍効果が認められた。一方、NIK333は、抗腫瘍効果が認められなたっか。
【実施例】
【0039】
<実施例3>
HepG2細胞及びHC細胞を用いた抗腫瘍効果の比較
実施例2で選択した化合物によるHC細胞の影響を調べた。HepG2細胞及びHC細胞の2種類の細胞を96 well plateに5000 cells/ wellで播種し一晩接着させた。翌日、培地を1%FBS含有培地に置き換え、24時間培養後に化合物での処理を開始した。各化合物を最終濃度が1, 2, 3, 4, 5μMになるように培地に希釈し使用した。化合物処理の72時間後に、WSTアッセイにより細胞生存率を測定した。コントロールは、0.1%DMSO含有培地処理群とし、各細胞のコントロールを100%とした値でグラフ化した。
【実施例】
【0040】
WSTアッセイでのHepG2細胞とHC細胞との比較結果を図4に示す。♯24、25、26及び28は、HepG2細胞に対して抗腫瘍効果を示す一方で、HC細胞に対する影響はより低いことを示した。
【実施例】
【0041】
<実施例4>
ヘキスト核染色によるアポトーシス検出
HC細胞、HepG2細胞、HLE細胞(ヒト肝がん細胞)及びHuh6細胞(ヒト肝がん細胞)の4種類の細胞を6 well plateに3×105 cells/ wellで播種し一晩接着させた。翌日、培地を1%FBS含有培地に置き換え、24時間培養後に化合物(♯24、25、26及び28)での処理を開始した。各化合物は3μMの濃度で使用し48時間後においてヘキスト染色を行った。10視野を画像撮影し、アポトーシス細胞/全細胞数の割合を算出した。図5は、各細胞に対する上記化合物の、ヘキスト核染色によるアポトーシス検出の結果を示す。HepG2細胞は、♯24、25及び26においてコントロールと有意な差(p<0.01)を示した一方で、HLE細胞及びHuh6細胞の両方とも♯25においてコントロールと有意な差(p<0.05)を示した。【0042】
<実施例5>
フローサイト解析によるアポトーシス検出
HepG2細胞及びHC細胞の2種類の細胞を6 cm dishに5×105 cells/ wellで播種し一晩接着させた。翌日、培地を1%FBS含有培地に置き換え、24時間培養後に化合物((ATRA(♯1)、♯24、25、26及び28)での処理を開始した。ATRAは、ネガティブコントロールとして使用した。各化合物は、3μMの濃度で使用した。48時間後においてアポトーシス検出用にアネキシンV-FITC染色を行い、死細胞選別のためにPI染色を行った。染色後の細胞をフローサイトメーター(BD bioscience FACS Aria セルソーター)により解析した。閾値は、未染色サンプル(陰性対照)に対し、染色サンプルで染色される細胞集団とした。その結果を図6に示す。♯26の化合物は、HC細胞に対してアポトーシスを誘導しない一方で、HepG2細胞においてはアポトーシスを最も誘導することがあきらかとなった。
【実施例】
【0043】
<考察>
本実施例の結果から、LE135(♯26)が肝がん細胞に対してアポトーシスを最も誘導する一方で正常細胞にはアポトーシスを誘導しないことが明らかとなった。また、肝細胞がんの再発を有意に抑制するNIK333では、肝がん細胞に対して抗腫瘍効果を示さない一方で、LE135(♯26)は、肝がん細胞に対して抗腫瘍効果を示した。更に、この結果、LE135を用いることで、がんの治療、特に肝がんの治療に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5