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明細書 :機能性網状構造体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6211247号 (P6211247)
公開番号 特開2013-189351 (P2013-189351A)
登録日 平成29年9月22日(2017.9.22)
発行日 平成29年10月11日(2017.10.11)
公開日 平成25年9月26日(2013.9.26)
発明の名称または考案の名称 機能性網状構造体
国際特許分類 C03C  15/00        (2006.01)
B32B  17/00        (2006.01)
C03C  17/30        (2006.01)
C03C  17/32        (2006.01)
C03C  17/06        (2006.01)
FI C03C 15/00 Z
B32B 17/00
C03C 17/30 A
C03C 17/32 A
C03C 17/06 Z
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2012-057911 (P2012-057911)
出願日 平成24年3月14日(2012.3.14)
審査請求日 平成27年3月13日(2015.3.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】592254526
【氏名又は名称】学校法人五島育英会
発明者または考案者 【氏名】藤間 卓也
【氏名】冨田 知宏
【氏名】高木 研一
【氏名】二口 栄太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100081282、【弁理士】、【氏名又は名称】中尾 俊輔
【識別番号】100085084、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 高英
【識別番号】100095326、【弁理士】、【氏名又は名称】畑中 芳実
【識別番号】100115314、【弁理士】、【氏名又は名称】大倉 奈緒子
【識別番号】100117190、【弁理士】、【氏名又は名称】前野 房枝
【識別番号】100120385、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 健之
審査官 【審査官】吉川 潤
参考文献・文献 特開2008-137867(JP,A)
国際公開第2008/156177(WO,A1)
特開2002-056520(JP,A)
特開平01-154039(JP,A)
特開2006-124221(JP,A)
特開平05-097478(JP,A)
特開平04-124046(JP,A)
実開昭58-056829(JP,U)
実開昭58-065330(JP,U)
特開昭56-092138(JP,A)
特開2012-131694(JP,A)
特開2012-131695(JP,A)
特開2013-033188(JP,A)
調査した分野 C03C 15/00
B32B 17/00
C03C 17/00 - 17/44
B60J 1/00 - 1/20
C04B 41/00 - 41/91
特許請求の範囲 【請求項1】
ケイ酸塩ガラスからなる基材の表面において立体的な網状構造を形成する網状構造層を備え、
前記網状構造層は、表面の網目の大きさが数十~1000nmであって表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされていることを特徴とする機能性網状構造体。
【請求項2】
前記網状構造層が、親水性を有することを特徴とする請求項1に記載の機能性網状構造体。
【請求項3】
前記網状構造層には、機能性材料がコーティングまたは充填されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能性網状構造体。
【請求項4】
前記網状構造層に対して、親水性有機材料または疎水性有機分子からなる前記機能性材料がコーティングされていることを特徴とする請求項3に記載の機能性網状構造体。
【請求項5】
前記網状構造層に対して、疎水材料、導電性材料または着色材料のうち少なくとも1つが充填されていることを特徴とする請求項3に記載の機能性網状構造体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、長寿命な防汚性・防曇性を有するとともに、機能性材料をコーティングまたは充填することによって所望の機能性を発現する機能性網状構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の表面には、元来、高い親水性や疎水性などの表面特性を有しているものがある。このように、活性の高い表面状態を維持することは難しく、大気中の塵やホコリの付着や、ガス状の油脂などさまざまな汚れが付着して汚染されることにより、その表面特性が低下している。
【0003】
例えば、窓ガラスや鏡のような、ガラス材の表面は、元来、優れた親水性を有しており、極めて清浄なガラス表面においては、親水性よりもさらに濡れ性が高く、水滴接触角が10°以下の超親水性を有している。しかし、通常は、上記したような汚れが付着することによって親水性および疎水性が混在する表面状態とされており、実効的な親水性が低下して、表面に付着した水分が、当該表面において複数の微細な水滴を形成することで、当該表面に曇りが発生する。
【0004】
昨今、上述のガラス材ように、汚れの付着により元来の表面特性が失われることにより、曇りなどが生じてガラス材の特徴である透過性をも損なわれ、ガラス材としての機能が低下する課題を解消するべく、当該材料に表面改質を施して、例えば、超親水性を付与して、防汚性・防曇性を有する材料とすることが知られている。
【0005】
このような表面改質を施すことによって、例えば、材料の表面を親水性として表面に塵やホコリなどの汚れが付着しても、水との接触によって、材料の表面と汚れとの間に水が入り込んで汚れを簡単に浮かせて除去するセルフクリーニング効果を発して、表面に汚れが定着することを防止することができる。さらに、親水性の高い表面に付着した水分は、表面に広く濡れ広がるため、水滴が形成されず、材料の曇りを防ぐことができる。
【0006】
超親水性を付与する方法としては、特許文献1において、基材の表面に酸化チタンなどの光触媒作用を有する金属酸化物からなる多孔質体の親水層を形成することが開示されている。
【0007】
また、親水化に限らず、材料の表面に所望の機能性を付与するべく、特許文献2に記載されているように、多孔質体などを形成する複数の空孔や凹部の内面に表面修飾を施したり、空孔や凹部の内部に充填を行うことによって、さらに機能を追加することが広く行われている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2011-136284号公報
【特許文献2】特開2003-149402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、多孔質体を形成する空孔の孔径は、均一な孔径を有するもしくは、一様に平均的な孔径となるように形成されるのが一般的であり、孔径が大きすぎる場合には、多孔質体の深部に塵やホコリなどの汚れが侵入して固着し、材料本来の表面特性を低下させるという問題を有している。
【0010】
これに対して、孔径が小さすぎる場合には、空孔の内部を機能性材料でコーティングもしくは充填して、さらなる機能性を付与することが困難となり、応用範囲を狭めるという課題を有している。
【0011】
そこで、本発明においては、長寿命の防汚性・防曇性を有するとともに、機能性材料のコーティングまたは充填によって、所望の機能性を発現することを可能とする機能性網状構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するべく、本発明の第1の機能性網状構造体は、ケイ酸塩ガラスからなる基材の表面において立体的な網状構造を形成する網状構造層を備え、前記網状構造層は、表面の網目の大きさが数十~1000nmであって表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされていることを特徴とする。
【0016】
本発明の第の機能性網状構造体は、前記網状構造層が、親水性を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の第の機能性網状構造体は、前記網状構造層に対して、機能性材料がコーティングまたは充填されていることを特徴とする。
【0018】
本発明の第の機能性網状構造体は、前記網状構造層に対して、親水性有機材料または疎水性有機分子からなる前記機能性材料がコーティングされていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第の機能性網状構造体は、前記網状構造層に対して、疎水材料、導電性材料または着色材料のうち少なくとも1つが充填されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の機能性網状構造体によれば、網状構造層の網目が表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされていることにより、網状構造層の深部に塵やホコリなどの汚れが侵入することを防ぐとともに、網状構造層を構成する材料の元来の表面特性を効果的に発揮することができるので、例えば、網状構造層が親水性を有する材料で構成されている場合には、水と接触することによって、水が網状構造層と汚れとの間に割り込み、汚れを浮かせて落とすセルフクリーニング効果を発揮して長寿命な防汚性を得ることができる。さらに、セルフクリーニング効果によって、網状構造層の目詰まりを防ぐことができるので、本発明の機能性網状構造体の表面に水分が付着しても、立体的な網状構造内に水を吸い込んで、付着した水分を平面方向に広く濡れ広がらせるので優れた防曇性を発揮することを可能とする。
【0021】
また、本発明の機能性網状構造体によれば、立体的な網状構造を形成する網状構造層に対して、機能性材料をコーティングまたは充填するようにされているので、機能性材料を適宜選択することによって、所望の機能を有する表面特性を備えた機能性網状構造体を得ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルの走査型電子顕微鏡(以降、SEMと称する。)を用いた観察画像であり、(a)は、サンプルの表面のSEM像を示し、(b)は、サンプルの断面のSEM像を示す。
【図2】本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルの分光透過スペクトルの測定結果を示すグラフであり、未処理のケイ酸塩ガラス板と本発明の機能性網状構造体との測定結果を示す。
【図3】本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルの超親水性の寿命の検証結果を示すグラフ。
【図4】本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルと未処理のケイ酸塩ガラス板との防汚性を検証した写真を示し、(a)は、本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板にラー油を塗布した様子を示し、(b)は、(a)を水洗浄した後の様子を示す。
【図5】本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルと未処理のケイ酸塩ガラス板との防曇性を検証した写真を示し、(a)は、本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルを結露環境に暴露した状態の様子を示し、(b)は、未処理のケイ酸塩ガラス板を結露環境に暴露した状態の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の機能性網状構造体の実施形態を以下に説明する。

【0024】
本発明の機能性網状構造体は、立体的な網状構造を形成する網状構造層を備え、当該網状構造層の網目が、表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされている。

【0025】
このような、本発明の機能性網状構造体とすることにより、塵やホコリなどの汚れが、表面に固着することを防いで、常に、清浄な表面を維持することができ、網状構造層を構成する材料の元来の表面特性を効果的に発揮することを可能とする。

【0026】
網状構造層の表面の網目の大きさは、一般的なホコリなどのサイズよりも小さい1000nm以下とされていることが好ましく、一般的に10μm以上と言われているハウスダストの網状構造層の深部への侵入を防止することができる。

【0027】
また、網状構造層の表面の網目の大きさを、500nm以下とすることにより、一般的に1~10μmと言われてる室内浮遊塵の網状構造層の深部への侵入を防止することができる。さらに、100nm以下とすることにより、一般的に100nm以上と言われている小型バクテリアの網状構造層の深部への侵入を防止することができる。

【0028】
また、網状構造層の厚さは、10nm以上とされており、例えば、機能性網状構造体がケイ酸塩ガラスのような透過性のある材料から形成される場合においては、10nm~2000nmとすることが好ましく、この範囲内の厚さとすることによって透明性を保持することができる。

【0029】
本発明の機能性網状構造体は、網状構造層が基材の表面に形成され、当該基材が、ケイ酸塩ガラス、金属固溶体またはセラミックスとされている。

【0030】
また、網状構造層の各網目の表面が、親水性を有することにより、本発明の機能性網状構造層の表面において、極めて優れた超親水性を発揮することができる。

【0031】
網状構造層に対して、機能性材料をコーティングまたは充填するようにされており、所望の機能を有する表面特性を付与することができる。

【0032】
具体的には、メトキシシランやクロロシラン基によって網状構造層の各網目の表面に結合可能なポリエチレングリコールなどの親水性有機材料が、網状構造層に対してコーティングされており、優れた超親水性を発揮することができる。

【0033】
メトキシシランやクロロシラン基によって網状構造層の各網目の表面に結合可能なアルキル鎖やフッ化アルキル鎖などの疎水性有機分子が、網状構造層に対してコーティングされており、優れた超撥水性を発揮することができる。

【0034】
また、油脂成分やパラフィンなどの疎水性が強い材料が、網状構造層に対して充填されており、優れた撥水性を発揮することができる。

【0035】
金属および金属微粒子や導電性高分子などの導電性材料が、網状構造層に対して充填されており、絶縁性または誘電性の材料からなる網状構造層に導電性を付与することができる。

【0036】
顔料の微粒子や色素分子などの着色材料が、網状構造層に対して充填されており、網状構造層に所望の着色をすることができる。

【0037】
<実施例>
以下に、図1乃至図5を用いて、本発明の機能性網状構造体の製造方法および具体的な実施例について説明する。

【0038】
基材としては、厚さ1mmのケイ酸塩ガラスの板材を用いた。前処理ととして、基材の表面に対して、超音波洗浄を用いて、メチルアルコール(またはエチルアルコール)により当該表面の洗浄を行った。

【0039】
0.5mol/lの炭酸水素カリウム水溶液中に前記基材を浸漬し、約70℃の温度で7日間加熱することによってエッチングを施してサンプルを製造した。

【0040】
得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(S-5500、株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて表面および断面の観察を行った。分光光度計(U-4100、株式会社日立ハイテクノロジーズ)を用いて、サンプルの分光透過率の測定を行った。また、約1年に亘って大気中において暴露試験を行い、定期的にサンプルの水滴接触角を測定して本発明の機能性網状構造体の超親水性の寿命を検証した。

【0041】
サンプルのSEM像を図1に示す。なお、同図(a)は、サンプルの表面を観察したSEM像を示し、同図(b)は、サンプルの断面を観察したSEM像を示す。

【0042】
同図(a)については、サンプルの表面において、1つの網目の大きさが約数十nmの網目構造を有していることが確認できる。同図(b)については、サンプルの断面において、基材Wと網状構造層Aとがそれぞれはっきりと確認できる。

【0043】
また、網状構造層Aにおいては、厚さが約300nmの立体的な網状構造を形成しているとともに、網目が、図示左側の表面から、図示右側の内側に入る方向に次第に小さい網目となっている様子が確認できる。

【0044】
未処理のサンプルと本発明の機能性網状構造体の実施例におけるサンプルの分光透過率スペクトルの測定結果を図2に示す。なお、人間の可視光の波長は、一般的に、符号aで示した約400~約800nmの範囲内とされている。

【0045】
図2に示すように、本発明の機能性網状構造体は、符号aで示した波長400nm~800nmの範囲内において、約80%以上の透過率を維持しており、優れた透明性を保持していることがわかる。

【0046】
また、サンプルの超親水性の寿命の検証結果を図3に示す。全般に亘って、水滴接触角が10°以下の超親水性を保持していることが確認できる。これは、網状構造層Aの網目が、表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされていることにより、塵やホコリなどの汚れが、表面付近の網目に引っ掛かって深部に侵入することがなく、網状構造層Aの深部の網目は常に清浄な状態を保持しており、網状構造層Aが元来の表面特性である親水性を効率よく発揮していることによって、付着した水が、毛細管現象によって網状構造層Aの内部に瞬時に濡れ広がったために優れた超親水性を保持していると考えられる。

【0047】
さらに、網状構造層の保水量を超える量の水と接触することによって、水が網状構造層Aと付着した汚れとの間に割り込み、汚れを浮かせて落とすセルフクリーニング効果を発揮して長寿命な防汚性を得ることができたと考えられる。

【0048】
上記の実施例の製造方法によって作製した本発明の機能性網状構造体と、未処理のケイ酸塩ガラス板とを用いて、防汚性・防曇性の比較を行った。

【0049】
まず、防汚性の検証においては、本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板の表面に対してラー油を塗布し、その後流水にて洗浄を行って、本発明の機能性網状構造体と未処理のケイ酸塩ガラス板との表面の汚染の有無を調べた。

【0050】
ラー油を塗布した本発明の機能性網状構造体と未処理のケイ酸塩ガラス板の水による洗浄前後の写真を図4に示す。なお、同図(a)は、洗浄前の本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板の様子を撮影した写真を示し、同図(b)は、洗浄後の本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板の様子を撮影した写真を示す。また、同図(a)および(b)において、正面視左側が本発明の機能性網状構造体、右側が未処理のケイ酸塩ガラス板である。

【0051】
同図(a)に示すように、本発明の機能性網状構造体の表面および未処理のケイ酸塩ガラス板の表面にラー油が塗布されているのがわかる。このような、本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板を流水で洗浄すると、同図(b)に示すように、本発明の機能性網状構造体の表面には、ほとんどラー油が付着していないことがわかる。これに対して、未処理のケイ酸塩ガラス板には、破線で囲う部分にラー油が洗浄されずに残っているのが確認できる。

【0052】
この結果から、本発明の機能性網状構造体は、表面にラー油などの油性汚れが付着した場合においても、水と接触することによって容易に洗浄可能であることが確認された。これは、本発明の機能性網状構造体の表面に網状構造層Aが形成されていることで、水が網状構造層Aの内部から濡れ広がり、深部から表面へ上昇することによって、網状構造層Aの表面とラー油との間に水が割り込んで、汚れを浮かせて落としたためであると考えられる。

【0053】
次に、防曇性の検証においては、アクリルボックス内において水を沸騰させてアクリルボックス内の湿度を100%とし、アクリルボックスの側面に開孔を設けて、当該開孔から本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板とをアクリルボックスの内側に向かせた状態で保持し、結露が発生する環境に暴露して曇りの発生の有無を調べた。

【0054】
結露環境に暴露した際の、本発明の機能性網状構造体および未処理のケイ酸塩ガラス板の様子を図5に示す。なお、同図(a)は、本発明の機能性網状構造体の結露環境への暴露後の様子を示し、同図(b)は、未処理のケイ酸塩ガラス板の結露環境への暴露後の様子を示す。

【0055】
同図(a)に示す本発明の機能性網状構造体は、検証用に下面に配置した文書の文字が明確に読み取れることから、曇りが生じていないことがわかる。これに対して、同図(b)に示す未処理のケイ酸塩ガラス板は、下面に配置した文書の文字を確認することができなかった。

【0056】
この結果から、本発明の機能性網状構造体が、優れた防曇性を有することが確認された。

【0057】
このような、本発明の機能性網状構造体によれば、網状構造層Aの網目が表面から内側に入る方向に次第に小さい網目とされていることにより、網状構造層Aの表面付近の網目に塵やホコリが引っ掛かるようにして、網状構造層Aの深部の網目の目詰まりを防いで、網状構造層Aの内面を清浄に保持し、網状構造層Aを構成する材料が有する元来の表面特性を効率よく発揮させることができるので、例えば、当該材料が親水性を有する場合には、水との接触によって、水が網状構造層Aと汚れとの間に割り込み、汚れを浮かせて落とすセルフクリーニング効果を発揮して長寿命な防汚性を得ることができる。

【0058】
さらに、本発明の機能性網状構造体の表面に水分が付着しても、立体的な網状構造内に瞬時に水を吸い込んで、付着した水分を平面方向に広く濡れ広がらせることにより、優れた防曇性を発揮することを可能とする。

【0059】
また、本発明の機能性網状構造体によれば、立体的な網状構造を形成する網状構造層Aに対して、機能性材料をコーティングまたは充填するようにされているので、例えば、親水性の機能性材料をコーティングすることによって、より優れた超親水性を発現し、疎水性の機能性材料をコーティングするとによって、より優れた超撥水性を発現することを可能とする。

【0060】
具体的な用途例としては、基材としてケイ酸塩ガラスを用い、その表面に形成された網状構造層Aに対して、導電性高分子を充填することにより、基材表面に導電性を付与するなどの所望の機能性を発現することを可能とする。

【0061】
また、本発明の機能性網状構造体によれば、例えば、網状構造層を表面に形成する基材をケイ酸塩ガラスなどの光透過性を有する材料から製造した場合においても、優れた透明性を保持することができる。

【0062】
なお、本発明の機能性網状構造体は、上記実施例に限定されるものではなく、本実施例においては、基材としてケイ酸塩ガラスを用い、元来、材料の表面特性が親水性を有する材料に関して、本発明の機能性網状構造体の作用効果を明らかとした実施例としているが、元来、疎水性の表面特性を有する材料からなる本発明の機能性網状構造体であってもよく、疎水性の表面特性を有する材料で本発明の機能性網状構造体を構成することによって、優れた超撥水性を発揮するなど、発明の特徴を損なわない範囲において、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
W 基材
A 網状構造層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4