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明細書 :アモルファスカーボンナノ粒子の製造方法及びアモルファスカーボンナノ粒子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-166102 (P2016-166102A)
公開日 平成28年9月15日(2016.9.15)
発明の名称または考案の名称 アモルファスカーボンナノ粒子の製造方法及びアモルファスカーボンナノ粒子
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI C01B 31/02 101B
B82Y 30/00
B82Y 40/00
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-045860 (P2015-045860)
出願日 平成27年3月9日(2015.3.9)
発明者または考案者 【氏名】本多 謙介
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100188352、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 一弘
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
【識別番号】100150902、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 正子
【識別番号】100177714、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昌平
【識別番号】100141391、【弁理士】、【氏名又は名称】園元 修一
【識別番号】100198074、【弁理士】、【氏名又は名称】山村 昭裕
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
Fターム 4G146AA01
4G146AA15
4G146AA17
4G146AB04
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC19B
4G146AD02
4G146AD24
4G146AD28
4G146AD30
4G146AD35
4G146BA11
4G146BA38
4G146BA40
4G146BA48
4G146BC09
4G146BC16
4G146BC18
4G146BC27
4G146BC38B
4G146DA03
4G146DA16
4G146DA23
4G146DA33
4G146DA46
要約 【課題】本発明の課題は、アモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる製造方法及びアモルファスカーボンナノ粒子を提供することにある。また、本発明の課題は、半導体性及び/又は増大された光学バンドギャップを有するアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる製造方法及びこれらの特性を有するアモルファスカーボンナノ粒子を提供することにある。
【解決手段】高周波電力を供給するための第1の電極と、接地された第2の電極が対向するように配置され、前記両電極の間に、貫通孔を有する有孔板が、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置された容器内に、炭素を含む気体原料を導入し、前記両電極間にプラズマを形成して、前記気体原料を分解することによりアモルファスカーボンナノ粒子を得ることを特徴とするアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
高周波電力を供給するための第1の電極と、接地された第2の電極が対向するように配置され、前記両電極の間に、貫通孔を有する有孔板が、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置された容器内に、炭素を含む気体原料を導入し、前記両電極間にプラズマを形成して、前記気体原料を分解することによりアモルファスカーボンナノ粒子を得ることを特徴とするアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
気体原料が、窒素又はホウ素を含むことを特徴とする請求項1記載のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
気体原料が、珪素を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
真空容器、
前記真空容器内を減圧下に保持するための排気設備、
第1の電極、
前記第1の電極に高周波電力を供給するための高周波電源、
接地された第2の電極、
貫通孔を有する有孔板、及び
気体原料を前記真空容器内に供給するための原料供給設備
を備え、
前記有孔板が、前記第1の電極と第2の電極の間に、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置されたことを特徴とするプラズマCVD装置。
【請求項5】
平均粒子径が1~100nmであるアモルファスカーボンナノ粒子。
【請求項6】
窒素又はホウ素を含むことを特徴とする請求項5記載のアモルファスカーボンナノ粒子。
【請求項7】
珪素を含むことを特徴とする請求項5又は6記載のアモルファスカーボンナノ粒子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファスカーボンナノ粒子の製造方法、アモルファスカーボンナノ粒子の製造に適したプラズマCVD装置及びアモルファスカーボンナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
アモルファスカーボンは、ダイヤモンド結合(SP)とグラファイト結合(SP)の両方が混在したアモルファス構造を有し、高硬度、低摩擦係数、耐摩耗性、電気絶縁性、耐薬品性等の特性に優れる。また、アモルファスカーボンは、窒素、ホウ素等の原子をドーパントとして添加すると半導体性を付与することができ(特許文献1及び2)、炭素と同族の原子である珪素を添加すると光学ギャップを向上させることができる(特許文献3)。アモルファスカーボンは、このような各種の特性を有するため、最近、その特性を利用した用途開発や、アモルファスカーボン自体の改良が行われている。一方で、近年、ナノ粒子が注目されている。ナノ粒子とは、一般に100nm以下の粒子径を有するナノサイズの粒子のことをいい、粒子をこのようなナノサイズにすると、通常の粒子とは異なる特性が出現する。そのため、ナノ粒子を作製する技術の開発が、様々な材料において行われている。しかしながら、アモルファスカーボンにおいては、粒径を制御して、ナノサイズのアモルファスカーボン粒子を得ることは難しかった。例えば、特許文献1では、プラズマCVD法で基板上に窒素原子を含むアモルファスカーボン薄膜を形成したことが記載され、特許文献2では、同じくプラズマCVD法で基板上にホウ素原子を含むアモルファスカーボン薄膜を形成したことが記載されているが、いずれもアモルファスカーボンナノ粒子を得るものではない。また、特許文献3では、プラズマCVD法で基板上に珪素原子と窒素原子を含むアモルファスカーボン薄膜を形成したことが記載されているが、これもまたアモルファスカーボンナノ粒子を得るものではなかった。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-189997号公報
【特許文献2】特開2012-188688号公報
【特許文献3】特開2014-175328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、アモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる製造方法及びアモルファスカーボンナノ粒子を提供することにある。また、本発明の課題は、半導体性及び/又は増大された光学バンドギャップを有するアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる製造方法及びこれらの特性を有するアモルファスカーボンナノ粒子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、これまで、アモルファスカーボンの開発を行ってきた。その中で、窒素又はホウ素をドープしたアモルファスカーボンのプラズマCVD法による製造方法を開発し、導電性が付与されたアモルファスカーボンを提案した(特許文献1及び2)。また、アモルファスカーボンに珪素原子を添加することにより、アモルファスカーボンの光学バンドギャップを大きくできることを見いだし、導電性と共に増大された光学バンドギャップを有するアモルファスカーボン及びその製造方法を提案してきた(特許文献3)。本発明者は、さらに、アモルファスカーボンをナノサイズの粒子にできれば、光触媒材料、高精細・フルカラー人工網膜、ナノ太陽電池アレイ等への応用が可能であることに着目し、アモルファスカーボンナノ粒子の開発に着手した。そして、検討を重ねたところ、プラズマCVD法における二つの電極間に、貫通した孔を有する有孔板を配置すると、ナノサイズのアモルファスカーボン粒子を得ることができ、得られるアモルファスカーボン粒子の粒子径をナノサイズで制御できることを見いだした。また、原料に窒素又はホウ素を添加することにより、半導体性を有するアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができ、更にケイ素を添加することにより、光学バンドギャップを調整したアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができることを見いだした。
【0006】
すなわち、本発明は以下に示す事項により特定されるものである。
(1)高周波電力を供給するための第1の電極と、接地された第2の電極が対向するように配置され、前記両電極の間に、貫通孔を有する有孔板が、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置された容器内に、炭素を含む気体原料を導入し、前記両電極間にプラズマを形成して、前記気体原料を分解することによりアモルファスカーボンナノ粒子を得ることを特徴とするアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
(2)気体原料が、窒素又はホウ素を含むことを特徴とする上記(1)記載のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
(3)気体原料が、珪素を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法。
(4)真空容器、前記真空容器内を減圧下に保持するための排気設備、第1の電極、前記第1の電極に高周波電力を供給するための高周波電源、接地された第2の電極、貫通孔を有する有孔板、及び気体原料を前記真空容器内に供給するための原料供給設備を備え、前記有孔板が、前記第1の電極と第2の電極の間に、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置されたことを特徴とするプラズマCVD装置。
(5)平均粒子径が1~100nmであるアモルファスカーボンナノ粒子。
(6)窒素又はホウ素を含むことを特徴とする上記(5)記載のアモルファスカーボンナノ粒子。
(7)珪素を含むことを特徴とする上記(5)又は(6)記載のアモルファスカーボンナノ粒子。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、アモルファスカーボン粒子の粒子径をナノサイズで制御できるので、アモルファスカーボンナノ粒子を製造でき、また、半導体性を付与するための窒素又はホウ素や、光学バンドギャップを増大させるための珪素原子を原料中に添加して、これらが添加されたアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができるので、半導体性が付与されたアモルファスカーボンナノ粒子や、光学バンドギャップを任意に調整したアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができる。また、本発明によると、アモルファスカーボンナノ粒子を提供でき、また、半導体性及び/又は増大された光学バンドギャップを有するアモルファスカーボンナノ粒子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法及びプラズマCVD装置の概要を示す図である。
【図2】図2は、実施例4で得られたアモルファスカーボンナノ粒子のAFM像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法は、高周波電力を供給するための第1の電極と、接地された第2の電極が対向するように配置され、前記両電極の間に、貫通孔を有する有孔板が、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置された容器内に、炭素を含む気体原料を導入し、前記両電極間にプラズマを形成して、前記気体原料を分解することによりアモルファスカーボンナノ粒子を得ることを特徴とする。本発明における容器は、減圧状態を維持できるものであれば特に限定されず、プラズマCVD法において通常使用されるものを用いることができる。また、本発明における電極の材質及び形状は、特に限定されず、プラズマCVD法において通常使用されるものを用いることができる。電極の形状としては、円盤状等の平板状を好適に例示できる。本発明の製造方法においては、前記容器内に第1の電極と第2の電極が対向するように配置される。前記二つの電極は、互いにほぼ平行に、すなわち平行又は平行に近い状態で配置されることが好ましい。前記第2の電極は接地され、前記第1の電極に高周波電力を供給することにより、両電極間に高周波電圧が印加される。

【0010】
本発明における有孔板は、貫通孔を有し、前記第1の電極と第2の電極の間に、貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置される。ここで、第1の電極と第2の電極の間に配置されるとは、貫通孔の開口部が形成された有孔板の面が、二つの電極のどちらとも接していない状態で設置されることをいう。また、有孔板は、二つの電極のどちらとも電気的に接続していない状態で設置される。有孔板の形状は、特に限定されないが、例えば、開口部が形成される面が円状、楕円状、三角形状、四角形状等である平板状を挙げることができる。放電をおこさずにプラズマを安定させる観点から、円状や楕円状が好ましく、プラズマ中の電子を無駄なく捕える観点から第1の電極及び第2の電極と同じ形状であることが好ましい。また、有孔板は、第1の電極及び第2の電極とほぼ平行に、すなわち平行又は平行に近い状態で配置されることが好ましい。本発明の製造方法においては、電極と有孔板が上記のとおり配置された容器内を減圧にして、第1の電極に高周波電力を供給し、炭素を含む気体原料を容器内に導入しながら、両電極間にプラズマを形成する。これにより、気体原料が分解されるが、有孔板の貫通孔内部にプラズマのパワー密度が高い領域が形成され、気体原料がこの領域を通過する際に、粒子の核が生成されるため、アモルファスカーボンナノ粒子の合成が可能となる。合成されたアモルファスカーボンナノ粒子は、例えば、両電極間に基板を配置し、基板上に堆積させることにより回収することができる。アモルファスカーボンナノ粒子を堆積させる基板は、両電極を上下に配置した場合、例えば、下部電極上に設置することができ、上部電極を第1の電極(カソード電極)、下部電極を第2の電極(アノード電極)とし、下部電極上に基板を置いて、上部電極と有孔板との間に気体原料を導入すると、上部電極と有孔板の間で分解した気体原料が有孔板の貫通孔を通過するため、有孔板の貫通孔内で粒子核が効率的に形成され、下部電極上に置いた基板上にアモルファスカーボンナノ粒子を堆積させることができる。また、基板側から排気することにより堆積効率を上げることができる。有孔板の材質は、導電性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、ニッケル、白金、タングステン等を挙げることができる。有孔板の厚みは、特に限定されず、薄い方が貫通孔内での粒子の成長が抑えられることから、得ようとするアモルファスカーボンナノ粒子の粒径に応じて調整することができる。プラズマの安定性及びナノサイズの粒子を得る観点から、有孔板の厚みとしては、0.3~10mmを好適に例示でき、0.5~5mmをより好適に例示できる。有孔板の大きさは、特に限定されないが、開口部が形成される面の面積が電極と同等程度、又はプラズマ領域と同等程度である方が、形成されるプラズマを有効に利用できる。有孔板の貫通孔の形状、大きさ及び配列の仕方は、特に限定されないが、貫通孔内のプラズマのパワー密度を高め、均一化させる観点から、貫通孔の開口部は円状又は楕円状であることが好ましく、貫通孔としては、円筒状又は円錐状が好ましい。また、貫通孔の大きさは、プラズマの出力や反応容器内の圧力等に応じて調整することができるが、プラズマの安定性及び貫通孔内のプラズマのパワー密度を高める観点から、開口部の大きさは、開口部の面積と等しい円としたときの直径が、1~20mmが好ましく、3~10mmがより好ましい。開口部の間隔は、特に限定されないが、プラズマの安定性及びサイズの小さいナノ粒子を効率的に得る観点から、開口部の中心間の距離で、1~20mmが好ましく、8~15mmがより好ましい。有孔板における開口部全体の面積は、特に限定されないが、プラズマの安定性及びサイズの小さいナノ粒子を効率的に得る観点から、電極の面積に対して5~54%が好ましく、9~31%がより好ましい。

【0011】
本発明の製造方法における気体原料は、炭素を含み常温、加熱又は減圧下で気体である原料であれば特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素を挙げることができ、炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の飽和鎖状炭化水素、エチレン、プロピレン、アセチレン等の不飽和鎖状炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の環状飽和炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。炭化水素は、炭素以外に水素しか含まないため、不純物の混入のないアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる。また、本発明の製造方法における気体原料は、炭素に加えて、アモルファスカーボンナノ粒子に半導体性を付与するために、ドーパントとなる窒素又はホウ素を含むことができ、これらの原子を含む化合物の1種又は2種以上を気体原料として用いることができる。窒素を添加したアモルファスカーボンナノ粒子はn型半導体となり、ホウ素を添加したアモルファスカーボンナノ粒子はp型半導体となる。本発明の製造方法において炭素に加えて、窒素又はホウ素を含む気体原料を調製するには、炭素源となる化合物と窒素又はホウ素源となる化合物を混合して調整してもよく、炭素と窒素又はホウ素の両方を含む化合物を用いて調製してもよい。本発明の製造方法における気体原料に用いられる窒素を含む化合物としては、アセトニトリル等のニトリル、ホルムアミド、アセトアミド等のアミド、メチルアミン、エチルアミン等のアミンなどを挙げることができる。また、ホウ素を含む化合物としては、例えば、有機ホウ素化合物を挙げることができ、有機ホウ素化合物としては、ジボラン(本願においては、有機ボランに含めるものとする)、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリプロポキシボラン、トリ(1,1-ジメチルエトキシ)ボラン等を挙げることができる。上記化合物は、窒素又はホウ素以外には、炭素、水素及び酸素しか含まないため、窒素又はホウ素以外の不純物を含まないアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる。本発明の製造方法では、例えば、アセトニトリルを加熱して気体としたものを気体原料として用いて、窒素を含むアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができ、n-ヘキサンとトリメトキシホウ酸の混合液を気化させたものを気体原料として用いて、ホウ素を含むアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる。

【0012】
本発明の製造方法における気体原料は、炭素に加えて、珪素を含むことができ、珪素を含む化合物の1種又は2種以上を気体原料として用いることができる。珪素を含む化合物としては、例えば、シラン化合物を挙げることができる。なかでも、プラズマ中に導入しやすく、不純物の混入を防ぐ観点から、アルキルシラン化合物、アルコキシシラン化合物又はこれらの混合物が好ましい。アルキルシラン化合物は、炭素と珪素以外に水素しか含まず、アルコキシシラン化合物は炭素と珪素以外に水素と酸素しか含まないため、炭素及び珪素以外の不純物を含まないアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる。アルキルシラン化合物としては、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン、テトラプロピルシラン、テトラブチルシラン等を挙げることができ、アルコキシシラン化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等を挙げることができる。これらの化合物と炭化水素を混合して用いてもよく、これらの化合物を炭素源及び珪素源として用いてもよい。アモルファスカーボンナノ粒子に珪素原子を添加すると、アモルファスカーボンナノ粒子の光学バンドギャップを増大させることができる。珪素原子の添加量を調整することにより、光学バンドギャップを0.5~2.7eVの範囲で任意に調整することができる。また、この場合、i型半導体ナノ粒子を得ることができる。さらに、本発明の製造方法における気体原料は、炭素に加えて、窒素又はホウ素と珪素とを含むことができる。この場合、気体原料の調製は、上述した炭素源の化合物、窒素又はホウ素源の化合物及び珪素源の化合物を組み合わせて調製することができ、また、これらと珪素、窒素及び炭素を含む化合物であるシラザン化合物を組み合わせて調製することができる。シラザン化合物としては、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン、1,1,1,3,3,3-ヘキサエチルジシラザン、トリス(トリメチルシリル)アミン、ビストリメチルシリルメチルアミン等が挙げることができ、これらの1種又は2種以上を気体原料として用いることができる。本発明の製造方法では、例えば、テトラメチルシランと1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンの混合液を加熱して気化させたものを気体原料として用いて、珪素及び窒素を含むアモルファスカーボンナノ粒子を得ることができる。また、本発明の製造方法においては、気体原料をアルゴンガス等の不活性ガスと共に容器内に導入してもよい。容器内の圧力や電極に供給する高周波出力は、特に限定されず、得ようとするアモルファスカーボンナノ粒子の粒子径に応じて調整することができるが、圧力を低くすると得られる粒子の粒子径が小さくなる傾向にあり、出力を小さくすると得られる粒子の粒子径が小さくなる傾向にある。プラズマの安定性及び得られる粒子の均一性を向上させる観点から、容器内の圧力は、40~200Paが好ましく、50~150Paが更に好ましく、50~100Paがより好ましく、高周波出力は、20~120Wが好ましく、30~100Wが更に好ましく、40~80Wがより好ましい。また、有孔板と高周波電力を供給する第1の電極との距離が遠くなるほど、有孔板における実効出力が弱くなるため、有孔板は、第1の電極と第2の電極との間を、2.5:1.5~3.8:0.2に分割する位置に配置することが好ましく、3:1~3.8:0.2に分割する位置に配置することがより好ましい。

【0013】
本発明の製造方法によれば、平均粒子径が100nm以下のアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができ、条件を調整することにより平均粒子径が70nm以下、50nm以下、30nm以下、20nm以下又は15nm以下のアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができ、下限としては、平均粒子径が1nm以上、5nm以上又は10nm以上のアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができる。本発明の製造方法において、窒素又はホウ素を添加する場合の添加量は、特に限定されないが、アモルファスカーボンナノ粒子のn型又はp型の半導体特性をより良好にする観点から、得られるアモルファスカーボンナノ粒子中において、窒素又はホウ素原子が、炭素原子に対して0.5~8%の原子数比率となるように添加することが好ましく、1~4%の原子数比率となるように添加することがより好ましい。珪素を添加する場合の添加量は、特に限定されないが、アモルファスカーボンナノ粒子の光学バンドギャップをより増大させる観点から、得られるアモルファスカーボンナノ粒子中において、炭素原子と珪素原子の比率(炭素原子:珪素原子)が、1:0.2~1:1となるように添加することが好ましく、1:0.7~1:0.9となるように添加することがより好ましい。上記比率とすることにより、光学バンドギャップを、1.7~2.7eV又は2.0~2.7eVの範囲とすることができる。珪素に加えて、さらに窒素又はホウ素を添加する場合の添加量は、特に限定されないが、窒素又はホウ素原子が、炭素原子と珪素原子の合計数に対して0.5~8%の原子数比率となるように添加することが好ましく、1~4%の原子数比率となるように添加することがより好ましい。このような光学バンドギャップを有するアモルファスカーボンナノ粒子は光触媒活性を有し、さらにアモルファスカーボンは、高い物理・化学安定性と高い硬度を有し自己溶解反応を起こさないことから、本発明のアモルファスカーボンナノ粒子は、光触媒に適する。また、本発明のn型半導体ナノ粒子及びp型半導体ナノ粒子を、真性半導体(i型)ナノ粒子と組み合わせて、孔径が数十nmのポーラスアルミナの孔内にp型-i型-n型に積層させると、各孔内のp型-i型-n型の積層体がそれぞれ微細な受光素子となり、微細な受光素子が配列した受光素子を得ることができる。この受光素子は、例えば、人工網膜として使用することができる。

【0014】
本発明のプラズマCVD装置は、真空容器、前記真空容器内を減圧下に保持するための排気設備、第1の電極、前記第1の電極に高周波電力を供給するための高周波電源、接地された第2の電極、貫通孔を有する有孔板、及び気体原料を前記真空容器内に供給するための原料供給設備を備え、前記有孔板が、前記第1の電極と第2の電極の間に、前記貫通孔の開口部が形成された一方の面が第1の電極側を他方の面が第2の電極側を向くように配置されたことを特徴とする。本発明のプラズマCVD装置における真空容器、第1の電極、第2の電極及び有孔板は、本発明のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法について上記で述べたものと同様のものを用いることができ、排気設備、高周波電源及び原料供給設備は、プラズマCVD法において通常使用されるものを用いることができる。本発明のプラズマCVD装置では、有孔板は、本発明のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法について上記で述べたのと同様に配置される。気体原料は、真空容器中に導入されると容器内にひろがり、有孔板の貫通孔を通過するので、原料供給設備は、気体原料を真空容器中に導入できるものであれば特に限定されないが、有孔板の貫通孔を気体原料が通過しやすくする観点から、アモルファスカーボンナノ粒子を堆積させる側と反対側の電極と、有孔板との間に、気体原料を導入できるように構成されていることが好ましい。また、得られたアモルファスカーボンナノ粒子を回収用の基板に堆積させるために、基板を設置した側から排気することが好ましい。本発明のプラズマCVD装置は、本発明のアモルファスカーボンナノ粒子の製造方法に適しており、アモルファスカーボンナノ粒子の製造装置として使用できる。
【実施例】
【0015】
真空容器内に、上部電極と接地電極(下部電極)とを配置し、下部電極をアノードとして、真空容器の上部に気体原料を導入し、下部から排気した。また、シリコン基板を下部電極上に設置した。そして、貫通孔を有するアルミニウム板(直径7cmの円盤状、貫通孔数21個)を、上部電極と下部電極の間、アルミニウム板の下面と基板の間隔が0.5cmの位置に、下部電極上に置いた石英支柱で支えて配置した。貫通孔は、開口部が円形で直径が5mm、各貫通孔の間隔(開口部の中心間の距離)が10mmとした。また、上部電極と下部電極との間隔は4cmであった。また、気体原料は、テトラメチルシラン(TMS)と1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDSN)の混合液(混合モル比は、TMS:HMDSN=100:1)の蒸気を導入し、高周波電力を印加して、プラズマCVD法によりアモルファスカーボンナノ粒子を基板上に堆積させた。高周波電力の出力、容器内圧力及びアルミニウム板の厚みは表1のとおりとした(実施例1~5)。
【実施例】
【0016】
実施例1~5で得られたアモルファスカーボンナノ粒子の平均粒子径、光学バンドギャップ、半導体特性及び光電流の測定を以下の方法で行った。
[粒子径]
得られたアモルファスカーボンナノ粒子を原子間力顕微鏡(AFM)で観察し(測定装置:セイコーインスツルメンツ製 走査型プローブ顕微鏡 SPI3800N)、250nm×250nmの画像中のすべての粒子の直径を求め、平均化して平均粒子径を求め、画像中の最大粒子径と最小粒子径を求めた。また、粒子径が50nmを超える場合は、2000nm×2000nmの画像を使用して同様に各粒子径を求めた。
[光学バンドギャップ]
ガラス基板上に堆積させた実施例1~5で得られたアモルファスカーボンナノ粒子の透過光スペクトルを測定し(測定装置:日本分光製 紫外可視分光高度計 VF-750)、得られた透過光スペクトルから以下の式により光吸収係数αを求めた。
α=-ln{(T/100)/d×10}
(Tはアモルファスカーボンナノ粒子の透過率(%)、dは堆積厚(単位:Å))
さらに、光吸収係数αを用いてTaucプロットを作成して、光学ギャップ(E0g)を算出した。
(αhν)1/2=B(E0g-hν)
(hνは入射光エネルギー、Bは定数、E0gは光学バンドギャップの値)
[半導体特性]
Hall効果測定装置(Ecopia., HMS-3000)を使用し、van der Pauw法によりキャリア密度、キャリア移動度、体積抵抗率、及び伝導型を測定した。測定には、絶縁体のガラス基板上にアモルファスカーボンナノ粒子を堆積させた試料を用いた。堆積膜上には、1mmのニッケルを1cm間隔で4隅に抵抗加熱方式で蒸着してオーミック接触を形成し、このオーミックコンタクトをHall測定に必要な4つの電極として使用した。蒸着した電極に測定装置の端子を接触させ、0.35Tの永久磁石の磁場方向と薄膜表面が垂直になるように試料を設置して、室温でHall効果測定を行った。
[光電流]
紫外光源である水銀キセノンランプ(USHIO Co., SP9-250DV,ランプ出力 250W)を、堆積膜表面に垂直な方向に9cm離れた位置に配置して紫外光を照射した。紫外光の強度は紫外線照度計(USHIO Co., UIT-201)とプローブ(USHIO., UVD-365PD)を使用して測定し、北斗電工製ポテンシオ・ガルバノスタット HZ-3000により光電流を測定した。
【実施例】
【0017】
【表1】
JP2016166102A_000003t.gif
【実施例】
【0018】
表1からわかるように、本発明の製造方法を用いると、平均粒子径が100nm以下のアモルファスカーボンナノ粒子が得られた。また、実施例4で得られたアモルファスカーボンナノ粒子は、光学バンドギャップが2.24eVであり、キャリア密度4.448×1014cm-3、移動度3.37cm-1-1のn型半導体性を示し、2.0V/AgAgClの電位において5.33μAcm-2の光電流が得られた。なお、実施例4における、炭素原子、珪素原子及び窒素原子の比率は、炭素原子:珪素原子が46:44であり、窒素原子が、炭素原子と珪素原子の合計数に対して2.6%であった。したがって、本発明の製造方法によると、光学バンドギャップが大きく良好な半導体性を有するアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができる。また、得られたアモルファスカーボンナノ粒子は、光電気化学反応による水電解(水素発生)を引き起こすことができ、光触媒として使用できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の製造方法は、アモルファスカーボンナノ粒子を製造することができ、また半導体性を有するアモルファスカーボンナノ粒子や、光学バンドギャップの大きなアモルファスカーボンナノ粒子を製造することができるので、光触媒、受光素子、各種太陽電池、コンデンサー等に好適な材料を提供できる。
図面
【図1】
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【図2】
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