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明細書 :船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-208665 (P2016-208665A)
公開日 平成28年12月8日(2016.12.8)
発明の名称または考案の名称 船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラム
国際特許分類 H02P  29/00        (2016.01)
FI H02P 5/00 Q
H02P 5/00 X
請求項の数または発明の数 26
出願形態 OL
全頁数 26
出願番号 特願2015-087669 (P2015-087669)
出願日 平成27年4月22日(2015.4.22)
発明者または考案者 【氏名】清 水 悦 郎
【氏名】大 出 剛
【氏名】東 畑 匡 哉
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
【識別番号】000109945
【氏名又は名称】トーハツ株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100117787、【弁理士】、【氏名又は名称】勝沼 宏仁
【識別番号】100082991、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 泰和
【識別番号】100103263、【弁理士】、【氏名又は名称】川崎 康
【識別番号】100107582、【弁理士】、【氏名又は名称】関根 毅
【識別番号】100152205、【弁理士】、【氏名又は名称】吉田 昌司
審査請求 未請求
テーマコード 5H501
Fターム 5H501AA30
5H501BB11
5H501CC04
5H501DD01
5H501HB07
5H501JJ03
5H501JJ04
5H501JJ17
5H501JJ25
5H501KK06
5H501KK07
5H501KK08
5H501LL01
要約 【課題】船艇ユーザの要求に応じて加速特性を適切に制御することが可能な、船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】一実施形態に係る船艇用モータの制御装置は、操作指示量に関する情報を示す指示量データ、及び船艇の走行状態に関する情報を示す走行データを取得するデータ取得部と、船体及びプロペラに関する属性情報を含む設定データ及び前記走行データに基づいて、船体及びプロペラの特性情報を含む特性データを生成する特性データ生成部と、船艇の運動曲線に関する情報を示す運動曲線データから特定される目標加速度と前記走行データから特定される実加速度との差分である差分加速度、及び前記特性データに基づいて、前記指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、前記船艇のモータに対する出力トルク指令を生成するトルク制御部と、を備える。
【選択図】図6
特許請求の範囲 【請求項1】
操作指示量に関する情報を示す指示量データ、及び船艇の走行状態に関する情報を示す走行データを取得するデータ取得部と、
船体及びプロペラに関する属性情報を含む設定データ及び前記走行データに基づいて、船体及びプロペラの特性情報を含む特性データを生成する特性データ生成部と、
船艇の運動曲線に関する情報を示す運動曲線データから特定される目標加速度と前記走行データから特定される実加速度との差分である差分加速度、及び前記特性データに基づいて、前記指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、前記船艇のモータに対する出力トルク指令を生成するトルク制御部と、
を備えることを特徴とする船艇用モータの制御装置。
【請求項2】
前記トルク制御部は、
前記入力トルク指令を取得する入力トルク指令取得部と、
前記走行データに基づいて実加速度を算出する実加速度算出部と、
前記運動曲線データに基づいて、前記目標加速度を特定する目標加速度曲線を生成する目標加速度曲線生成部と、
前記差分加速度及び前記特性データに基づいて補正トルクを算出し、前記補正トルク及び前記入力トルク指令に基づいて前記出力トルク指令の値を決定する出力トルク指令生成部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項3】
前記運動曲線データは、加速度の時間変化を無次元化したモデル加速度曲線を含み、
前記目標加速度曲線生成部は、前記入力トルク指令に対応する加速度及び前記入力トルク指令を補正する補正実行時間に基づいて、前記モデル加速度曲線を有次元化することにより前記目標加速度曲線を生成することを特徴とする請求項2に記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項4】
前記運動曲線データは、加速度曲線を示すデータであることを特徴とする請求項1から3いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項5】
前記設定データは、異なる走行モードに対応した複数の加速特性から選択された加速特性を特定するデータを含むことを特徴とする請求項1から4いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項6】
前記運動曲線データは、前記入力トルク指令をステップ入力した場合の過渡特性を一次遅れ系で近似し、前記設定データ及び前記特性データを用いて生成した伝達関数に基づいて船速の時間変化を表した理論運動モデルにより生成されたものであることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項7】
前記特性データは、前記モータの特性情報を示すモータ特性データを含み、
前記入力トルク指令は、前記モータ特性データに基づいて決定されることを特徴とする請求項6に記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項8】
前記特性データは、前記プロペラの特性情報として、前記プロペラの回転によって発生するプロペラ推力を算出するためのプロペラ係数を含み、
前記トルク制御部は、前記プロペラ係数を用いて前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項9】
前記特性データは、前記船体の特性情報として、船速と船体抵抗との関係を表す抵抗カーブを含み、
前記トルク制御部は、前記船体抵抗を用いて前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項1から7いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項10】
前記トルク制御部は、前記入力トルク指令に基づいて加速操作が行われたか否かを判定し、加速操作が行われていると判定した場合には前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項1から9いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項11】
前記トルク制御部は、前記走行データに基づいて滑走状態か否か及び船速が定常値に達しているか否かを判定し、滑走状態と判定した場合及び船速が定常値に達したと判定した場合には、前記入力トルク指令に対する補正を終了し、前記入力トルク指令を前記出力トルク指令とすることを特徴とする請求項10に記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項12】
前記特性データは、前記特性情報として、前記船艇の質量、前記プロペラの直径、前記船艇の抵抗、前記プロペラのプロペラ係数、及び前記船艇の速度を含み、
前記トルク制御部は、式(1)により前記入力トルク指令に対する補正量を算出することを特徴とする請求項1から11いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【数1】
JP2016208665A_000015t.gif
ここで、ΔQ:前記入力トルク指令に対する補正量、D:前記プロペラの直径、M:前記船艇の質量、Δa:前記差分加速度、R:前記船艇の抵抗、v:前記船艇の速度、Kp:前記プロペラのプロペラ係数である。
【請求項13】
直流電力を供給する動力源ユニットをさらに備え、
前記動力源ユニットは、前記モータが要求する大電力の出力を瞬時に供給可能な蓄電ユニットを含むことを特徴とする請求項1から12いずれかに記載の船艇用モータの制御装置。
【請求項14】
操作指示量に関する情報を示す指示量データ、及び船艇の走行状態に関する情報を示す走行データを取得するデータ取得ステップと、
船体及びプロペラに関する属性情報を含む設定データ及び前記走行データに基づいて船体及びプロペラの特性情報を含む特性データを生成する特性データ生成ステップと、
船艇の運動曲線に関する情報を示す運動曲線データから特定される目標加速度と前記走行データから特定される実加速度との差分である差分加速度、及び前記特性データに基づいて、前記指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、前記船艇のモータに対する出力トルク指令を生成するトルク制御ステップと、
を備えることを特徴とする船艇用モータの制御方法。
【請求項15】
前記トルク制御ステップは、
前記入力トルク指令を取得する入力トルク指令取得ステップと、
前記走行データに基づいて実加速度を算出する実加速度算出ステップと、
前記運動曲線データに基づいて、前記目標加速度を特定する目標加速度曲線を生成する目標加速度曲線生成ステップと、
前記差分加速度及び前記特性データに基づいて補正トルクを算出し、前記補正トルク及び前記入力トルク指令に基づいて前記出力トルク指令の値を決定する出力トルク指令生成ステップと、
を備えることを特徴とする請求項14に記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項16】
前記運動曲線データは、加速度の時間変化を無次元化したモデル加速度曲線を含み、
前記目標加速度曲線生成ステップでは、前記入力トルク指令に対応する加速度及び前記入力トルク指令を補正する補正実行時間に基づいて、前記モデル加速度曲線を有次元化することにより前記目標加速度曲線を生成することを特徴とする請求項15に記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項17】
前記運動曲線データは、加速度曲線を示すデータであることを特徴とする請求項14から16いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項18】
前記設定データは、異なる走行モードに対応した複数の加速特性から選択された加速特性を特定するデータを含むことを特徴とする請求項14から17いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項19】
前記運動曲線データは、前記入力トルク指令をステップ入力した場合の過渡特性を一次遅れ系で近似し、前記設定データ及び前記特性データを用いて生成した伝達関数に基づいて船速の時間変化を表した理論運動モデルにより生成されることを特徴とする請求項12から16いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項20】
前記特性データは、前記モータの特性情報を示すモータ特性データを含み、
前記入力トルク指令は、前記モータ特性データに基づいて決定されることを特徴とする請求項19に記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項21】
前記特性データは、前記プロペラの特性情報として、前記プロペラの回転によって発生するプロペラ推力を算出するためのプロペラ係数を含み、
前記トルク制御ステップでは、前記プロペラ係数を用いて前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項14から20いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項22】
前記特性データは、前記船体の特性情報として、船速と船体抵抗との関係を表す抵抗カーブを含み、
前記トルク制御ステップでは、前記船体抵抗を用いて前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項14から20いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項23】
前記トルク制御ステップでは、前記入力トルク指令に基づいて加速操作が行われたか否かを判定し、加速操作が行われていると判定した場合には前記入力トルク指令を補正することを特徴とする請求項14から22いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項24】
前記トルク制御ステップでは、前記走行データに基づいて滑走状態か否か及び船速が定常値に達しているか否かを判定し、滑走状態と判定した場合及び船速が定常値に達したと判定した場合には、前記入力トルク指令に対する補正を終了し、前記入力トルク指令を前記出力トルク指令とすることを特徴とする請求項23に記載の船艇用モータの制御方法。
【請求項25】
前記特性データは、前記特性情報として、前記船艇の質量、前記プロペラの直径、前記船艇の抵抗、前記プロペラのプロペラ係数、及び前記船艇の速度を含み、
前記トルク制御ステップでは、式(2)により前記入力トルク指令に対する補正量を算出することを特徴とする請求項14から24いずれかに記載の船艇用モータの制御方法。
【数2】
JP2016208665A_000016t.gif
ここで、ΔQ:前記入力トルク指令に対する補正量、D:前記プロペラの直径、M:前記船艇の質量、Δa:前記差分加速度、R:前記船艇の抵抗、v:前記船艇の速度、Kp:前記プロペラのプロペラ係数である。
【請求項26】
請求項14から25いずれかに記載の船艇用モータの制御方法における各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とする船艇用モータの制御プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関推進式の船舶においては、特に大型船では内燃機関の性質上一定のトルクまたは一定の回転数で運転するのが好ましい。このため、外洋を巡航する際などに、内燃機関を一定の回転数(または一定のトルク)で回転するように制御することが広く行われている。
【0003】
一定の回転数で内燃機関を回転させると、船舶においては潮流・風・波等の影響により一定の速度とはならないため、一定の速度を保つように内燃機関の回転を制御する技術も開発されている。
【0004】
また、モータボートに代表されるような小型船艇の内燃機関推進の船舶においては、内燃機関の回転数を変化させることが比較的容易ではあるものの、加減速等の短い時間内で内燃機関のトルクを制御することは行われておらず、スロットルの開度を調整して加減速を行っているのに過ぎない。
【0005】
ところで、技術の進歩により、船体に搭載した電池によって電動機(モータ)を駆動し、プロペラを回転させて推進する電気推進船が出現している。この電気推進船の分野では、プロペラにおける流体動的特性やキャビテーションの発生を考慮して、加速の際にプロペラ回転速度を制御する技術が提案されている。例えば特許文献1及び特許文献2に記載されているように、船艇における推進用モータの制御として、速度指令に基づく回転数制御が一般的に行われている。
【0006】
なお、電気自動車の分野では、運動特性に応じたモータのトルク制御が一般的に行われている。特許文献3及び特許文献4では、アクセル開度に対してトルク指令値をリニアに設定せず、所定の変化率を適用することによって加速感を向上させる技術や、省エネルギー性を高める技術が提案されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2003-519592号公報
【特許文献2】特開2007-062676号公報
【特許文献3】特開平6-054415号公報
【特許文献4】特開2013-355342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電気推進船において、加速特性は重要な要素である。例えば、ボートレースのような競技では、より短時間でトップスピードまで加速したいという要求がある。その一方で、レジャー用途であれば、より滑らかで乗り心地のよい加速が求められる。このように、船艇ユーザ(操船者、乗船者等)の属性や船艇の用途の違いによって、船艇の加速特性に対する要求も様々である。
【0009】
しかしながら、モータの回転から得られるプロペラの推力によって発生する実際の加速は、モータとプロペラのマッチングや、船体の形状、潮流・風・波等の外乱等、様々な要因によって、必ずしも一様ではない。従来の電気推進船のモータ駆動制御は、加速特性を考慮していない。
【0010】
なお、前述のように電気自動車では加速特性に応じたモータのトルク制御が行われているものの、電気自動車のモータ駆動制御は、水上での運動特性を考慮しておらず、電気推進船に適用できない。
【0011】
上記のように、従来、電気推進船の加速特性に対して船艇ユーザの属性や用途ごとに異なる要求を満たすモータ制御を実現することが困難であった。
【0012】
そこで、本発明は、船艇ユーザの要求に応じて、電気推進船の加速特性を適切に制御することが可能な船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明に係る船艇用モータの制御装置は、操作指示量に関する情報を示す指示量データ、及び船艇の走行状態に関する情報を示す走行データを取得するデータ取得部と、船体及びプロペラに関する属性情報を含む設定データ及び前記走行データに基づいて、船体及びプロペラの特性情報を含む特性データを生成する特性データ生成部と、船艇の運動曲線に関する情報を示す運動曲線データから特定される目標加速度と前記走行データから特定される実加速度との差分である差分加速度、及び前記特性データに基づいて、前記指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、前記船艇のモータに対する出力トルク指令を生成するトルク制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る船艇用モータの制御方法は、操作指示量に関する情報を示す指示量データ、及び船艇の走行状態に関する情報を示す走行データを取得するデータ取得ステップと、船体及びプロペラに関する属性情報を含む設定データ及び前記走行データに基づいて船体及びプロペラの特性情報を含む特性データを生成する特性データ生成ステップと、船艇の運動曲線に関する情報を示す運動曲線データから特定される目標加速度と前記走行データから特定される実加速度との差分である差分加速度、及び前記特性データに基づいて、前記指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、前記船艇のモータに対する出力トルク指令を生成するトルク制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラムによれば、船艇ユーザの要求に応じて、電気推進船の加速特性を適切に制御することが可能な船艇用モータの制御装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。その結果、船艇ユーザの利用満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】船艇の運動特性を説明するための図である。
【図1B】(a)は船体特性を示す図であり、(b)はモータ特性を示す図であり、(c)は応答特性を示す図である。
【図2】(a)は運動曲線(速度曲線)を示す図であり、(b)は運動曲線(加速度曲線)を示す図であり、(c)は運動曲線(躍動曲線)を示す図である。
【図3】実施形態に係るコントロールユニット100有する船外機1を備える船艇の概略的な構成を示す図である。
【図4】実施形態に係る船外機1の概略的な構成を示す図である。
【図5】実施形態に係るコントロールユニット100のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図6】実施形態に係る制御プログラムにより実現される機能のブロック図である。
【図7】モバイル端末3に表示された設定データ入力画面の一例を示す図である。
【図8】モバイル端末3に表示された特性データ表示画面の一例を示す図である。
【図9】運動モデル生成処理を示すフローチャートである。
【図10】モバイル端末3に表示されたモード選択入力画面の一例を示す図である。
【図11】選択可能な走行モードに対応した運動曲線の例を示す図である。
【図12】実施の形態に係る制御方法を示すブロック線図である。
【図13】目標加速度曲線の生成方法を説明するための図である。
【図14】出力トルク指令値の決定処理を示すフローチャートである。
【図15】補正トルク算出処理を示すフローチャートである。
【図16】補正トルク算出方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について説明する。

【0018】
(船艇の運動特性)
まず、図1A、図1B及び図2を参照しながら、本発明の前提となる、船艇(電気推進船)の運動特性とモータの特性との関係を説明し、続いて、船艇の運動特性と運動曲線との関係について説明する。

【0019】
図1A及び図1Bは、船艇の運動特性を説明するための図である。モータボート等の船艇は、一般的に、モータ軸に接続され推進動力となるプロペラを回転させることによって推力を得る。船速は、プロペラの回転によって発生するプロペラ推力と船体抵抗(以下、単に「抵抗」ともいう。)との関係によって変化する。長年の研究や造船実務によって、船型と船体抵抗との関係性を示すデータが多数蓄積されてきた。それらのデータの多くは、船速(V)を水線長(L)の平方根で除算した速度長比(V/√L)と、船体抵抗(R)を排水量(W)で除算した抵抗排水量比(R/W)とをチャート上にプロットすることによって船体特性として表現される。

【0020】
図1B(a)は、船艇の船体特性を示す代表的なチャートである。図1B(a)に示すように、船型が排水量型であれば、大型の船艇と同様に、速度の二乗に比例して船体抵抗も増加する。これに対し、船型が滑走型の場合は、滑走状態に移行した後は速度の上昇に応じて船体抵抗は増加しないという傾向がある。

【0021】
プロペラ推力は、モータ出力によって与えられ、モータ出力は、トルクと回転数との積に比例することが知られている。図1B(b)は、モータの特性の例を示すチャートである。このチャートは、一般的にT-N特性あるいは効率マップと呼ばれ、縦軸をトルクとし、横軸を回転数として、動作可能な範囲と効率とをプロットしている。モータの特性としては、例えば30秒間といった短時間の出力を許容された瞬間最大トルク、及び、連続動作を許容された連続定格トルクが規定されている場合が多い。このため、連続定格トルクにおいて得られる船速を考慮してモータ出力を制御することが望ましい。

【0022】
ところで、停止状態からある一定のトルクでモータを回転させた場合、図1B(c)に示すように、モータの回転数は、モータ軸に接続されたプロペラが水から受ける抵抗等によってトルク出力に対して遅れることとなる。また、船速は、船艇の質量及び水から受ける抵抗によってトルク出力に対して遅れることとなる。そして、一定のトルク出力に対して船速が定常値に到達するまでの過渡特性は、一次遅れ系で近似できることが知られている。

【0023】
次に、船艇の運動特性と運動曲線との関係について説明する。図2は、運動曲線について説明するための図である。図2(a)において、時間軸上での船速の変化が曲線として示されている。この速度曲線を時間微分することによって、図2(b)に示すように、加速度の時間変化を示す加速度曲線が得られる。さらに、この加速度曲線を時間微分することによって、図2(c)に示すように、躍動曲線が得られる。これらの曲線は運動曲線と総称される。

【0024】
本実施形態では、所定の計測手段により計測された船速の値から加速度(実加速度)を算出し、船艇の実加速度に応じたモータのトルク制御を行う。船艇は、位置や船速を把握するためにGPS(Global Positioning System)を備えることが多い。船艇等の移動体用のモータを制御するために用いられるトルクは、加速度と同様に力の次元を有するので、速度の変化から加速度に算出して用いる。また、躍動は、加速度の微小時間における変化を示す。よって、躍動曲線が滑らかであれば乗り心地がよく、急激に変化している箇所においては強い加速感を得られる。

【0025】
図1B(c)を参照しながら説明したように、加速時においては、操船者が所望する速度まで加速する出力指示操作を行ったとき、モータの回転数や船速はトルク出力に対して遅れる。このため、実際に船速が上昇するまでの過渡特性は、必ずしも操船者が所望するものに合致するとは限らない。より速い加速を所望する操船者は、船速の立ち上がりを遅く感じるであろうし、逆に、乗り心地を重視する操船者は、急激な速度変化を不快に感じるかもしれない。別の観点では、高トルク・高回転数で出力していながら船速が上昇していない時間帯においては、無駄にエネルギーを消費しているといえ、より無駄の少ない操船が希望される場合もある。

【0026】
そこで、本実施形態では、複数の目標加速度曲線のパターンを設定し、操船者の要求により近い運動特性を実現するための船艇用モータの制御装置、制御方法および制御プログラムを提供する。

【0027】
(船艇用モータの制御装置)
図3ないし図5を参照しながら、本実施形態に係る制御装置について説明する。

【0028】
実施形態に係るコントロールユニット100は、後に詳しく説明する船外機1に実装されている。船外機1は、図3に示すように、電力線、電源線及び通信線によって動力源ユニット2に接続されている。ここで、電力線はモータ11を駆動するための電力を伝送し、電源線はコントロールユニット100等の制御機器の動作電力を伝送する。この船外機1は、動力源ユニット2から、モータ駆動に必要な電力及び制御機器の電源供給を受ける。また、船外機1は、動力源ユニット2との間で制御信号の送受信を行う。

【0029】
動力源ユニット2は、図3に示すように、蓄電ユニット201、発電ユニット202、充電ユニット203、配電盤204、及び電力制御ユニット205を備える。

【0030】
蓄電ユニット201は、例えば、リチウムイオン二次電池やキャパシタ等の充放電可能な蓄電デバイスを備える。この蓄電デバイスとしては、急激な負荷変動時において出力の変動が抑制されるとともに、負荷の要求に応じて大電力を瞬時に供給できるものが適している。

【0031】
発電ユニット202は、例えば、ディーゼル発電機、水素等を燃料とする燃料電池、太陽光パネル等を備え、発電した電力を出力する。これらの発電デバイスには、負荷変動時に安定した電力をモータに供給できないという特性上の制約がある。このため、発電ユニット202が供給する電力のみを利用してモータを駆動することは望ましくない。

【0032】
充電ユニット203は、蓄電ユニット201の蓄電デバイスの充電を行うものであり、充電方式に応じた電力変換装置を備える。例えば、交流の系統電源を用いて蓄電デバイスを充電する場合には、オンボードチャージャと呼ばれるAC/DC変換装置を用いることが一般的である。また、系統電源を陸上機器で直流に変換して蓄電デバイスを急速充電する方式の場合には、保護回路や制御回路等を備える電力変換装置が用いられることもある。

【0033】
配電盤204は、船外機1への電力・電源供給時や蓄電デバイスの充電時において電力経路を制御し、系統全体を保護する機能を有している。

【0034】
電力制御ユニット205は、蓄電ユニット201、発電ユニット202、充電ユニット203、及び配電盤204と通信線で接続されている。また、電力制御ユニット205は、船外機1とも通信線で接続されており、船外機1に設けられた制御手段と協働して、蓄電ユニット201、発電ユニット202、充電ユニット203、及び配電盤204の動作を制御する。

【0035】
ところで、図3に示すように、船外機1は、モバイル端末3と無線通信が可能であり、さらにGPS4と通信線によって接続されている。モバイル端末3は、通信機能とユーザインターフェイス機能を備える情報機器であり、例えば、タブレット端末、スマートフォン等である。なお、モバイル端末3に限らず、船艇に設置されたパソコン等の情報処理装置を用いてもよい。

【0036】
本実施形態では、モバイル端末3は、船外機1との間で無線通信を確立することによって、船外機1に対し、各種のデータの入出力を行う。GPS4は、船外機1と通信線で接続されており、測位衛星から送出される電波に基づいて取得した位置情報や船速等のデータを船外機1に提供する。

【0037】
次に、図4を参照して、船外機1の構成について説明する。船外機1は、船艇の主機であるドライブユニット10と、ドライブユニット10から延びた軸系に接続されたプロペラ20と、操船者がドライブユニット10の出力量を指示するスロットル30と、コントロールユニット100とを備える。

【0038】
ドライブユニット10は、図4に示すように、モータ11及びインバータ12を有し、動力源ユニット2と電力線で接続されている。このドライブユニット10には、モータ11を駆動するための高圧直流電力が供給されている。インバータ12は、動力源ユニット2から供給された直流電力を任意の周波数の交流電力に変換し、モータ11に供給する。すなわち、船外機1では、インバータ12を制御することによって、モータ11において発生させる軸回転及びトルクを制御することが可能となっている。

【0039】
コントロールユニット100は、電源線によって動力源ユニット2から電源電力の供給を受けるともに、通信線によって動力源ユニット2との間で制御信号を送受信する。コントロールユニット100の詳細な構成及び動作については、後に詳しく説明する。

【0040】
また、コントロールユニット100は、スロットル30とも通信線(不図示)で接続されており、操船者による操作指示量を示すデータをスロットル30から受信する。後に詳しく説明するように、コントロールユニット100は、GPS4から通信線を介して受信する船速と、スロットル30から取得する操作指示量に基づいて、モータ11のトルク制御を行う。

【0041】
次に、図5を参照して、コントロールユニット100のハードウエア構成について説明する。図5は、実施形態に係るコントロールユニット100のハードウエア構成を示すブロック図である。

【0042】
コントロールユニット100は、プロセッサ101、メモリ102、記憶媒体103、無線通信インターフェイス(I/F)104、CAN通信インターフェイス(I/F)105、及びシリアルポート106が、バス107を介して相互に通信可能に接続されている。コントロールユニット100は、例えば基盤上に配置されている。

【0043】
また、バス107には、インバータ12が接続されている。このため、コントロールユニット100は、通信インターフェイスを介さずにドライブユニット10に対する高速な制御を行うことが可能である。なお、ドライブユニット10をバス107によりインバータ12に直接接続する構成に限らず、CAN通信インターフェイス105等の通信インターフェイスを介してインバータ12の制御を行う構成でもあってもよい。

【0044】
プロセッサ101は、記憶媒体103に記憶された制御プログラムをメモリ102に読出して実行する。メモリ102は、揮発性の高速メモリデバイスであり、記憶媒体103は、不揮発性の大容量記憶デバイスである。本実施形態に係るモータの制御方法を実現するための制御プログラムの詳細については後述する。

【0045】
無線通信インターフェイス(I/F)104は、例えば、IEEE802.11a等の無線LAN規格や、IEEE802.15.1等の近距離無線通信規格等に対応したインターフェイスであり、モバイル端末3との間の通信を制御する。CAN通信インターフェイス(I/F)105は、CAN(Controller Area Network)に対応したインターフェイスであり、電力制御ユニット205及びスロットル30との間のCAN通信を制御する。シリアルポート106は、例えばRS-232C等のシリアル通信規格に対応したインターフェイスであり、GPS4から出力されるシリアルデータを受信する。

【0046】
(船艇用モータの制御方法および制御プログラム)
次に、図6ないし図16を参照しながら、本実施形態に係る制御方法及び制御プログラムについて説明する。

【0047】
図6は、本実施形態に係る制御プログラムにより実現される機能のブロック図である。本実施形態に係る制御プログラムは、機能として、データ書込部110、データ取得部120、特性データ生成部130、トルク制御部140、表示データ作成部150、及び動力源制御部160を備える。

【0048】
データ書込部110は、制御プログラムや各種データをメモリ102や記憶媒体103等に書き込む。より詳しくは、データ書込部110は、実施形態に係る制御プログラムを記憶媒体103からメモリ102に展開するプログラム書込部111、各種の設定データを書き込む設定データ書込部112、船艇の特性を示す特性データを書き込む特性データ書込部113、上述した運動曲線に関するデータを書き込む曲線データ書込部114、及び船艇の走行時に取得した各種の走行データを書き込む走行データ書込部115を備える。なお、これらの各種データは、船艇ユーザによって入力されたデータの場合もあれば、制御プログラムの実行によって生成されたデータの場合もある。

【0049】
データ取得部120は、指示量データを取得する指示量データ取得部121、モータ11の回転数を取得する回転数データ取得部122、同様にモータ11のトルクを取得するトルクデータ取得部123、及び船艇の走行データを取得する走行データ取得部124を備える。ここで、指示量データは、操作者による操作指示量に関する情報(例えばスロットル30の開度)を示すデータである。走行データは、船艇の走行状態に関する情報を示すデータであり、例えば、モータ11の回転数、船艇の速度、実加速度などのデータである。

【0050】
指示量データ取得部121は、CAN通信インターフェイス105を介してスロットル30から入力される指示量データを取得する。回転数データ取得部122は、バス107を介してインバータ12から入力されるデータに基づいて、モータ11の回転数を取得する。なお、回転数データ取得部122は、CAN通信インターフェイス105を介してモータ11の回転数を把握してもよい。走行データ取得部124は、シリアルポート106を介してGPS4から入力されるデータに基づいて船艇の速度を取得する。

【0051】
特性データ生成部130は、船体特性生成部131、プロペラ特性生成部132、運動モデル生成部133、及びモータ特性生成部134を備える。各生成部により生成される特性データについては、後に詳しく説明する。

【0052】
トルク制御部140は、インバータ12に対して出力するトルク指令値を示すデータを生成する。このトルク制御部140は、入力トルク指令を取得する入力トルク指令取得部141、前記走行データに基づいて実加速度を算出する実加速度算出部142、目標加速度曲線を生成する目標加速度曲線生成部143、及び、出力トルク指令を生成する出力トルク指令生成部144を備える。実加速度算出部142による実加速度算出処理、目標加速度曲線生成部143による目標加速度曲線生成処理、出力トルク指令生成部144による出力トルク指令決定処理の具体的な内容については、後に詳しく説明する。

【0053】
表示データ作成部150は、無線通信インターフェイス104を介して通信可能に接続されるモバイル端末3における表示形式に適合した表示データを作成し、モバイル端末3に対して出力する。

【0054】
動力源制御部160は、CAN通信インターフェイス105を介して接続される電力制御ユニット205から、動力源ユニット2内の各ユニットの状態を示すデータを受信し、当該データと、データ取得部120により取得される各種のデータとに基づいて、動力源ユニット2における開閉器のオン/オフ等を制御する。これにより、動力源制御部160は、例えば異常事態の発生時にドライブユニット10への電力供給を遮断する。

【0055】
(データ取得部120により取得される各種データ)
次に、図7から図10を参照しながら、本実施形態において使用する各種データの内容について詳しく説明する。図7は、設定データ入力画面の一例を示す図である。設定データは、直接の制御対象となるモータ11の仕様と、モータ11によって回転力を与えられるプロペラ20の仕様と、プロペラ20の回転によって得られる推力によって速力を与えられる船体の仕様等に関する属性情報を含むデータである。一般的に、プロペラの属性情報としては、翼数、直径、ピッチ、及び材質等が仕様として提供されており、船体の属性情報としては、総トン数、排水量、水線長、及び船型等が、仕様として提供されている。これらは、船艇の推進性能を左右する重要な属性であるので、設定データとして利用する。ここでは、理解を容易にするために入力画面例を用いて各種の設定データについて説明するが、必ずしも入力画面から入力される必要はない。例えば、記憶媒体103に記憶された設定データを用いてもよい。設定データは、異なる走行モードに対応した複数の加速特性から選択された加速特性を特定するデータを含む。

【0056】
図7に示す入力画面例では、船体に関する設定データとして、船艇の質量に相当する総トン数、排水量、水線長、及び船型を入力可能である。本例では、船型については、プルダウンメニューから「滑走型」または「排水量型」を選択する。

【0057】
図1を参照しながら説明したように、船速(V)と船体抵抗(R)との間には船型に応じて一定の関係が認められている。よって、水線長(L)と排水量(W)が特定されることによって、ある速度における船体抵抗を算出することが可能となる。そこで、本実施形態では、図1B(a)に例示したような、速度長比(V/√L)と抵抗排水量比(R/W)とを用いて船速と船体抵抗との関係を表す抵抗カーブを、滑走型及び排水量型それぞれの船型について所定の関数あるいはテーブルの形式で予め記憶媒体103に記憶させておく。

【0058】
そして、設定データとして設定データ書込部112によりメモリ102または記憶媒体103に記憶された排水量(W)及び水線長(L)の値を示すデータ、並びにGPS4から取得する船速(V)を示すデータに基づいて、当該船速における船体抵抗(R)を算出するものとする。なお、抵抗カーブを示す関数あるいはテーブルは、プログラムの一部としてプログラム書込部111によりメモリ102または記憶媒体103に記憶されてもよいし、設定データとして設定データ書込部112、あるいは特性データとして特性データ書込部113によりメモリ102または記憶媒体103に記憶されてもよい。

【0059】
プロペラに関する設定データとしては、図7に示すように、直径、ピッチ、及び翼数を入力可能であり、これらの設定データは、プロペラ推力を算出するために用いられる。モータに関する設定データとしては、図1B(b)を用いて説明した瞬間最大出力、連続定格出力、瞬間最大トルク、連続定格トルク、及び最高回転数を入力可能である。

【0060】
上記の特性データは、図7に例示する入力画面から操船者が入力してもよいし、ネットワークを介してリモート接続されたメンテナンス端末等を利用して、管理者が入力するようにしてもよい。

【0061】
(特性データ)
図8は、特性データ表示画面の一例を示す図である。図8に示す表示画面例では、船体特性データとして、船速を横軸に示し、船速を得るために必要となるモータ出力を縦軸に示した船速-出力カーブを表示している。この船速-出力カーブは、上述した抵抗カーブに基づいて船体特性生成部131により生成されるデータであり、一般的に知られているように、船速と船体抵抗との積によってモータ出力を算出することができる。

【0062】
プロペラ特性データとしては、図8に示す表示画面例では、設定データとして入力された翼数に対応したプロペラの模式図及びプロペラ係数が表示されている。ここで、プロペラ係数とは、後に詳しく説明するように、プロペラ20の回転によって発生するプロペラ推力を算出する際に用いる係数であり、プロペラの形状に応じて異なる値をとる。本実施形態では、プロペラ特性生成部132がプロペラ係数を算出する機能を備えるが、プロペラメーカーから提供される値に基づいてプロペラ係数が設定されてもよい。

【0063】
モータ11の特性情報を示すモータ特性データとしては、図8に示す表示画面例では、設定データとして入力された瞬間最大出力、連続定格出力、瞬間最大トルク、連続定格トルク、及び最高回転数に基づいてモータ特性生成部134により生成されたトルク(T)-回転数(N)特性が表示されている。

【0064】
さらに、運動モデルデータとして、図8に示す表示画面例では、トルク指令をステップ入力した場合の応答特性を理論船速の時間変化で示す応答特性カーブ、及び理論定常船速を示す直線が表示される。さらに、図8の画面例では、算出された理論定常船速、理論入力トルク、理論到達時間、及び、加速度の時間変化を無次元化した特性加速度曲線が表示されている。

【0065】
ここで、理論船速とは、設定データに基づいて算出される理論上の船速をいい、図8の例では算出した理論定常船速を表示している。理論定常船速とは、モータ11に対し所定のトルク指令値をステップ入力した場合の船速の定常値を、当該船艇の質量及び抵抗から算出したものである。本実施形態では、質量に該当する値として、入手が容易な総トン数を用いるが、これに限らず、乗船者数等の変動要素も加味して船艇の質量を与えるようにしてもよい。理論入力トルクは、理論定常船速を求める際にステップ入力されるトルク指令値として想定される値である。理論到達時間は、ステップ入力を開始してから理論定常船速に到達するまでの時間である。これらの運動モデルに関するデータは、運動モデル生成部133によって生成される。

【0066】
このように各部において生成されるデータ及び、上記の設定データ、設定データを走行データ等で補正したデータは、いずれも特性データに含まれる。

【0067】
(運動モデルデータ)
次に、本実施形態において運動モデル生成部133によって生成される各種の運動モデルデータについて、より詳しく説明する。図9は、運動モデル生成処理を示すフローチャートである。

【0068】
まず、運動モデル生成部133は、モータ11の連続定格出力から理論定常船速を算出する(ステップS1)。より詳しくは、運動モデル生成部133は、船体特性生成部131が生成した船速-出力カーブに基づいて、モータ11の連続定格出力時における船速を理論定常船速Vsとして算出する。

【0069】
次に、運動モデル生成部133は、船艇の質量及び抵抗から応答特性カーブを生成する(ステップS2)。より詳しくは、運動モデル生成部133は、船艇の質量M及び抵抗Rに基づいて、一次遅れ系の伝達関数G(s)を求めることによって応答特性カーブを生成する。次に、運動モデル生成部133は、理論定常船速Vsに到達するまでの理論到達時間tsを算出する(ステップS3)。

【0070】
一般に、船艇等の移動体における推力f(t)と速度v(t)との関係は、Mを移動体の質量とし、Rを抵抗係数とした場合に、以下の運動方程式で表される。
【数1】
JP2016208665A_000003t.gif

【0071】
船速が定常値に到達するまでの過渡特性は一次遅れ系で近似できることが知られているので、式(1)を速度v(t)の初期条件をゼロとして(即ち、v(0)=0)ラプラス変換することによって、式(2)のように入力f(t)から出力v(t)までの伝達関数G(s)を求めることができる。
【数2】
JP2016208665A_000004t.gif

【0072】
これにより、出力y(t)(=v(t))と入力u(t)(=f(t))との関係は、u(t)=u(定数)であるとすると、式(3)のように表すことができる。
【数3】
JP2016208665A_000005t.gif

【0073】
ここで、理論定常船速Vsを定常値とした場合、式(2)で求めた伝達関数G(s)とから、入力uは以下の式(4)で求められる。
【数4】
JP2016208665A_000006t.gif

【0074】
したがって、当該船艇の船速の応答特性カーブは、式(5)の時間関数y(t)として求めることができる。ここでは、理論定常船速Vsを入力値として用いているので、応答特性カーブは船艇の理論運動モデルとなる。
【数5】
JP2016208665A_000007t.gif

【0075】
運動モデル生成部133は、式(2)の伝達関数G(s)により求められる時定数M/Rを所定倍(例えば5倍)した値を理論到達時間tsとして算出する。

【0076】
次に、運動モデル生成部133は、特性データ書込部113により書き込まれたモータ11のT-N特性データから、連続定格トルクにおける連続最高回転数Nmaxを把握する(ステップS4)。前述のように、モータ出力は、トルクと回転数との積に比例する。しかし、モータ出力は、連続最大出力との関係において、特に高トルクにおいては、必ずしも最高回転数とはならないからである。

【0077】
そして、運動モデル生成部133は、設定データ書込部112によりメモリ102または記憶媒体103に記憶されたプロペラ20のピッチpに基づいて、ステップS4で把握したモータ11の連続最高回転数Nmaxにおける理論プロペラ前進速度Vpを算出する(ステップS5)。プロペラピッチは、プロペラ1回転当たりに前進する理論上の速度を示す値であるので、理論プロペラ前進速度Vpは、式(6)により算出することができる。
【数6】
JP2016208665A_000008t.gif

【0078】
次に、運動モデル生成部133は、理論プロペラ前進速度Vpと理論定常船速Vsとを比較する(ステップS6)。そして、理論プロペラ前進速度Vpが理論定常船速Vs以下である場合は(ステップS6;Yes)、運動モデル生成部133は、連続定格トルクを理論入力トルクQsとする(ステップS7)。そして、運動モデル生成部133は、理論入力トルクQsをステップ入力した場合の加速度の時間変化を無次元化した特性加速度曲線を生成し、曲線データ書込部114によりメモリ102または記憶媒体103に記憶させ(ステップS8)、運動モデル生成処理を終了する。先に説明したように、加速度は速度の時間微分で求めることができ、理論到達時間tsを1として係数化することによって、船艇の特性加速曲線を生成することができる。

【0079】
一方、運動モデル生成部133は、ステップS6の判定において、理論プロペラ前進速度Vpが理論定常船速Vs未満である場合は(ステップS6;No)、船速-出力カーブに基づいて、理論プロペラ前進速度Vpにおける理論モータ出力Psを算出する(ステップS9)。

【0080】
次に、理論モータ出力Ps時における連続最高回転数Nmaxに対する理論入力トルクQsを式(7)により算出する(ステップS10)。
【数7】
JP2016208665A_000009t.gif

【0081】
そして、理論プロペラ前進速度Vpの値を理論定常船速Vsにセットして(ステップS11)、ステップS8に進み、特性加速度曲線を生成する。

【0082】
なお、各ステップで算出された値は、運動曲線データを構成する数値として、曲線データ書込部114によりメモリ102または記憶媒体103に記憶される。

【0083】
このように、運動モデル生成部133によって生成される特運動曲線データは、入力トルク指令をステップ入力した場合の過渡特性を一次遅れ系で近似し、設定データ及び特性データを用いて生成した伝達関数に基づいて船速の時間変化を表した理論運動モデルにより生成されたものである。

【0084】
(モデル加速度曲線)
次に、本実施形態において生成されるモデル加速度曲線について説明する。モデル加速度曲線とは、走行モードに対応した加速特性を表す加速度曲線のことである。本実施形態では、図10に示すモード選択入力画面によりプルダウンメニューから走行モードを選択する。より詳しくは、加速感と乗り心地とのバランスを重視した「ノーマル」モード、なめらかな加速による乗り心地を重視した「ラグジュアリー」モード、加速感を重視した「スポーツ」モード、または、モータ11に対する加速制御を行わずに特性データを取得するための走行を行う「特性テスト」モードを選択することが可能である。操船者は、走行前にモバイル端末3を用いて走行モードを選択することが可能であり、選択された走行モードに対応した設定データが設定データ書込部112によりメモリ102または記憶媒体103に記憶される。

【0085】
運動モデル生成部133は、選択された走行モードに対応した加速特性を表すモデル加速度曲線を生成する。図11は、選択可能な走行モードに対応した運動曲線の例を示す図である。図11(a)は、バランスを重視した「ノーマル」モードに対応した運動曲線を示している。この場合、モデル加速度曲線としては、例えばサイクロイド曲線が適している。サイクロイド曲線は、円が直線上を転がるとき,円周上の点が動く軌跡を示す曲線であり、連続的なカム曲線として古くから知られている。

【0086】
図11(b)は、なめらかさを重視した「ラグジュアリー」モードに対応した運動曲線を示している。この場合、モデル加速度曲線としては、例えば単弦曲線が適している。単弦曲線は、加速度のパターンが等速円運動の一軸成分であるような運動曲線であり、全般になめらかな特性を持つカム曲線として知られている。サイクロイド曲線や単弦曲線は、例えば、従来から用いられているカム曲線作成プログラムにより作成される。

【0087】
図11(c)は、加速性を重視した「スポーツ」モードに対応した運動曲線を示している。本実施形態では、目標加速度曲線として、前述の特性加速度曲線を用いる。なお、上記の曲線はあくまでも一例であり、モデル加速度曲線は、任意に設定可能である。

【0088】
(モータの制御方法)
次に、船外機1のコントロールユニット100によるモータ11の制御方法について、図12に示すブロック線図を参照しながら説明する。

【0089】
まず、コントロールユニット100は、スロットル30の開度(以下、単に「スロットル開度」ともいう。)を示す指示量データをスロットル30から取得する(B101)。コントロールユニット100は、取得したスロットル開度に対応したトルク(以下、単に「割当トルク」ともいう。)を、入力トルク指令として取得する(B102)。具体的には、メモリ102または記憶媒体103に記憶されたモータ特性データを参照し、スロットル開度に対応するトルク指令値を割り当てられた割当トルク設定データを読み出す。割当トルクデータは、図12のB102に示すように、スロットル開度とトルク指令値をとの対応関係を示す。読み出した割当トルクに基づいて、ドライブユニット10に対する出力トルク指令値を決定する(B103)。

【0090】
出力トルク指令に基づいて制御されるドライブユニット10内のモータ11が回転することによって、プロペラ20が船艇に推力を与えるが、波や風等の外乱の影響を受けて船速は変動する。コントロールユニット100は、GPS4から船速データを取得し、実加速度算出部142において船速を時間微分することにより実加速度を算出する(B104)。

【0091】
一方、目標加速度曲線生成部143は、上述のモデル加速度曲線を有次元化した目標加速度曲線を生成する(B105)。目標加速度曲線生成部143は、運動曲線データに基づいて、目標加速度を特定する目標加速度曲線を生成する。

【0092】
ここで、図13を参照して、目標加速度曲線の生成方法について詳しく説明する。図13(a)に例示するように、前述の割当トルク設定データを参照することによって、スロットル開度に対応した割当トルクを特定できるようになっている。より詳しくは、目標加速度曲線生成部143は、図13(a)の右側のグラフに示すように、モデル加速度曲線の縦横比を維持しつつ、割当トルクに対応した加速度(縦軸)が最大値となり、且つ補正実行時間(横軸)の長さまでモデル加速度曲線を拡大もしくは縮小することにより、目標加速度曲線を生成する。ここで、補正実行時間は、入力トルク指令に対する補正を実行する時間であり、本実施形態では、上述した理論到達時間が補正実行時間として設定される。ただし、補正実行時間は、これに限らず、予め設定された所定の時間を用いてもよいし、走行データ書込部115によりメモリ102または記憶媒体103に書き込まれた走行データに基づいて算出される統計値を用いるようにしてもよい。

【0093】
一方、図13(b)に示す目標加速度曲線の生成方法では、モデル加速度曲線の有次元化にあたって、割当トルクよりも大きな瞬間最大トルクを用いる。例えば、補正実行時間(横軸)として、図13(a)と同様に割当トルクをトルク指令の最大値とした場合の理論到達時間を用い、トルク指令(縦軸)方向についてのみ、瞬間最大トルクに対応した加速度まで拡大する。この方法によれば、トルク指令がより大きいほど素早く船速を上昇させることができる。なお、割当トルクを指令値としてステップ入力した場合の定常値に船速が上昇するまでの短時間であれば、瞬間最大トルクを使用しても、ドライブユニット10にとって過負荷とならない。

【0094】
次に、トルクに対応した加速度の算出処理について、より詳細に説明する。上述したように、船艇の加速度は、プロペラ20の回転により生成されるプロペラ推力によって発生する。一般的に、プロペラ推力Tpは、スラスト係数Kt、水の密度ρ、プロペラ20の回転数N、及びプロペラ20の直径Dを用いて、以下の式(8)で与えられる。
【数8】
JP2016208665A_000010t.gif

【0095】
また、プロペラ20を回転させるトルクQは、トルク係数Kqを用いて、以下の式(9)で与えられる。
【数9】
JP2016208665A_000011t.gif

【0096】
式(8)及び式(9)を用い、プロペラ係数Kp=Kt/Kqと置き換えることにより、プロペラ推力Tpは、以下の式(10)で表すことができる。
【数10】
JP2016208665A_000012t.gif

【0097】
また、推力Tpは、船艇の加速度a、質量M、速度v、抵抗Rから算出できるので、式(10)から、トルクQと加速度aとの関係は、以下のように表すことができる。
【数11】
JP2016208665A_000013t.gif

【0098】
なお、スラスト係数Kt及びトルク係数Kqは、上述した「特性テスト」モード下で船艇を走行させて収集した走行データに基づいて算出してもよいし、あるいは、毎回の走行データの履歴を走行データ書込部115によりメモリ102または記憶媒体103に記憶させておき、定期的に算出した値を特性データ書込部113によりメモリ102または記憶媒体103に記憶させるようにしてもよい。

【0099】
目標加速度曲線生成部143は、上記のようにして算出した加速度aを最大値とした目標加速度曲線を生成する。生成された目標加速度曲線のデータは、曲線データ書込部114によりメモリ102または記憶媒体103に記憶される。

【0100】
ふたたび図12を参照し、ブロック線図の説明に戻る。出力トルク指令生成部144は、目標加速度曲線と船艇の実加速度との差分に基づいて補正トルクを算出する(B106)。なお、実加速度としては、実加速度算出部142により算出された値に限らず、加速度計(不図示)により計測された船艇の加速度を用いてもよい。

【0101】
ところで、図12に示すように、B102において読み出した割当トルクに対して補正トルクを適用するか否かを示す加速中フラグ(B107)が設定されており、状態に応じてオン/オフ制御される。

【0102】
次に、図14を参照しながら、トルク指令値の決定処理について説明する。

【0103】
まず、出力トルク指令生成部144は、スロットル開度を取得し(S201)、その変化を監視し、操船者がスロットル30に対して加速操作を行ったか否かを判定する(ステップS202,B110)。ここでは、スロットル開度の上昇率が閾値未満のときは加速操作が行われていないと判定し(S202;No)、次に、出力トルク指令生成部144は、加速中フラグがオン状態となっているか否かを判定する(ステップS203)。加速中フラグがオフ状態となっている場合は(S203;No)、補正トルク算出処理は不要であるので、出力トルク指令生成部144は、割当トルクの値をトルク指令値に決定する(ステップS204)。なお、補正トルク算出処理は、入力トルク指令の補正に用いる補正トルクを算出する処理であるが、後で詳しく説明する。

【0104】
一方、ステップS202の判定において、加速操作が行われたと判定した場合は(S202;Yes)、出力トルク指令生成部144は、加速中フラグをオンに設定し(ステップS205)、補正トルク算出処理で算出した補正トルクを用いて割当トルクを補正した値をトルク指令値に決定する(ステップS206)。例えば、割当トルクから補正トルクを引いた値をトルク指令値とする。

【0105】
また、ステップS203の判定において、加速中フラグがオン状態であると判定した場合も(S203;Yes)、ステップS206に進む。ステップS204,S206の後、処理はステップS201に戻る。

【0106】
次に、図15を参照しながら、補正トルク算出処理について詳しく説明する。出力トルク指令生成部144は、ドライブユニット10から回転数を取得し(S301)、滑走状態か否かを判定する(ステップS302,B108)。具体的には、出力トルク指令生成部144は、ドライブユニット10から取得した回転数を監視し、所定の期間において回転数の上昇率が閾値以上となった場合は、滑走状態となったと判断する。図1B(a)に示すように、滑走状態においては、船速が上昇しても抵抗はほぼ一定なので、モータ11に対する負荷が急激に減少し、回転数の上昇率が大きくなるからである。なお、滑走状態の判定は、回転数のみではなく、船速やトルク等、他の計測値を用いて行うことも可能である。

【0107】
ステップS302の判定において、滑走状態ではないと判定した場合は(ステップS302;No)、出力トルク指令生成部144は、実加速度算出部142が算出した実加速度を取得し(ステップS303)、船速が定常値に達しているか否かを判定する(S304,B109)。具体的には、出力トルク指令生成部144は、実加速度算出部142が算出した加速度の変化を監視し、所定の期間において加速度の変化が閾値未満であるか否かを判定する。加速度の変化が閾値未満となった場合、出力トルク指令生成部144は、船速が定常値に達したと判断する。

【0108】
ステップS304の判定において船速が定常値に達していないと判定した場合は(ステップS304;No)、出力トルク指令生成部144は、目標加速度および実加速度を取得する(ステップS305)。

【0109】
そして、出力トルク指令生成部144は、補正トルクを算出する(ステップS306)。ここで、図16を参照して、補正トルクの算出方法を説明する。図16において、実線で示す曲線は上述した目標加速度曲線の例であり、点線で示す曲線は実加速度の時間変化をプロットしたものである。

【0110】
出力トルク指令生成部144は、ステップS305で取得した目標加速度と実加速度との差をとって差分加速度Δaを求め、この差分加速度Δaに基づいて、補正トルクΔQを算出する。より詳しくは、式(11)が導かれる式(12)を用いて、補正トルクΔQを算出する。
【数12】
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【0111】
出力トルク指令生成部144は、ステップS306を実行した後、補正実行時間に達したか否かを判定し(ステップS307)、補正実行時間に達していないと判定した場合は(ステップS307;No)、加速時間の補正を継続するため、ステップS301に処理を戻す。

【0112】
一方、ステップS302の判定において滑走状態になったと判定した場合(ステップS302;Yes)、ステップS304の判定において船速が定常値に達したと判定した場合(ステップS304;Yes)、又はステップS307の判定において補正実行時間に達したと判定した場合は(ステップSS307;Yes)、これ以降は加速時間を補正する必要がないので、出力トルク指令生成部144は、加速中フラグをオフに設定し(ステップS308)、補正トルク算出処理を終了する。

【0113】
上記のようにして、出力トルク指令生成部144は、補正トルク及び入力トルク指令に基づいて出力トルク指令の値を決定する。そして、出力トルク指令生成部144によって生成されたトルク指令値をドライブユニット10に出力することによって(B103)、モータ11及びプロペラ20の回転が制御される。図3を参照して説明した蓄電ユニット220は、上述した制御プログラムの処理に基づく制御に即応して、インバータ12から要求される電力を瞬時に供給できるので、操船者が意図した態様でのモータ制御が可能となる。

【0114】
以上説明したように、本実施形態では、目標加速度曲線のデータから特定される目標加速度と走行データから特定される実加速度との差である差分加速度と、設定データ及び走行データに基づいて生成された特性データとを用いて、指示量データに対応する入力トルク指令を補正し、モータに対する出力トルク指令を生成する。これにより、船艇ユーザの要求を満たすように、モータのフィードバック制御を行い、加速時におけるモータ駆動の過渡特性を改善することができる。よって、本実施形態によれば、船艇ユーザの要求に応じて、電気推進船の加速特性を適切に制御することができる。

【0115】
(変形例)
上記の実施形態では、モータ11のコントロールユニット100は、船外機1に実装するものとして説明したが、これに限らず、船内機もしくは船内外機に実装したり、あるいは、外付けのシステムとして構成してもよい。

【0116】
また、上記の実施形態では、割当トルク設定データを参照して入力トルク指令を取得したが、操船者による操作指示量に対応した入力トルク指令を取得できれば他の方法でもよい。

【0117】
また、上記の実施形態では、GPS4により計測された船速を時間微分することによって加速度を算出したが、加速度計により加速度を計測するようにしてもよい。

【0118】
また、上記実施形態では、操船者による加速操作の入力手段としてスロットルを用いているが、これに限らず、ジョイスティックやパネル操作等、操作指示量をデータとして取得できるものであれば、どのような入力手段であっても構わない。

【0119】
また、動力源制御部160を介して電力制御ユニット205から取得された電力消費データと、回転数データ取得部122及びトルクデータ取得部123により取得された値から算出したモータ11の出力パワーとに基づいて効率データを生成してもよい。この効率データは、例えば、電力消費データが示す消費電力を、モータ11の出力パワーで割った値のデータである。そして、生成された効率データを走行データ書込部115によりメモリ102または記憶媒体103に記憶し、設定したモデル加速度曲線とモータの効率との関係を検証できるようにしてもよい。さらに、取得したデータとモータ11の効率マップとを比較することによって、より効率的なトルク指令値を決定できるようにしてもよい。これにより、高効率な走行モードを設定することが可能となる。

【0120】
本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせて実施することも可能なことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0121】
1 船外機
2 動力源ユニット
3 モバイル端末
4 GPS
10 ドライブユニット
11 モータ
12 インバータ
20 プロペラ
30 スロットル
100 コントロールユニット
107 バス
110 データ書込部
120 データ取得部
130 特性データ取得部
140 トルク制御部
150 表示データ作成部
160 動力源制御部
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
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【図13】
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【図14】
14
【図15】
15
【図16】
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