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明細書 :軸継手

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-070304 (P2016-070304A)
公開日 平成28年5月9日(2016.5.9)
発明の名称または考案の名称 軸継手
国際特許分類 F16D   3/58        (2006.01)
F16D   3/62        (2006.01)
FI F16D 3/58 Z
F16D 3/62 B
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-197584 (P2014-197584)
出願日 平成26年9月26日(2014.9.26)
発明者または考案者 【氏名】今戸 啓二
出願人 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100102819、【弁理士】、【氏名又は名称】島田 哲郎
【識別番号】100123582、【弁理士】、【氏名又は名称】三橋 真二
【識別番号】100130133、【弁理士】、【氏名又は名称】曽根 太樹
【識別番号】100147555、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 公一
【識別番号】100171251、【弁理士】、【氏名又は名称】篠田 拓也
審査請求 未請求
要約 【課題】回転シャフトの軸心同士のずれが大きい状態でも容易に回転シャフト同士を連結可能な軸継手を提供する。
【解決手段】駆動シャフト2の端部に接続され、駆動シャフト2と共に回転するホイール部4と、ホイール部4に支持された滑車5,6と、ベルト10とを備える。ベルト10は、滑車5および滑車6を囲む環状部10fと、環状部10fから延びる延長部10gとを含み、延長部10gが従動シャフト3に巻き付けられている。駆動シャフト2が矢印51の方向に回転すると、ベルト10を介して従動シャフト3に回転力が伝達される。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1軸部と第2軸部との間で回転力を伝達する軸継手であって、
第1軸部の端部に接続され、第1軸部と共に回転する回転体と、
前記回転体の回転方向に沿って配置され、回転可能に支持された第1係合部材および第2係合部材と、
第1係合部材、第2係合部材および第2軸部に係合するベルトとを備え、
前記ベルトは、第1係合部材および第2係合部材を囲んで第1係合部材および第2係合部材に係合する環状部と、環状部から延び第2軸部に巻き付ける延長部とからなり、
前記ベルトを前記延長部から第2軸部に巻き付けて緊張状態にした後に、第1軸部および第2軸部のうち一方の軸部が第2軸部に巻かれている前記ベルトの巻き締め方向に回転すると、他方の軸部に回転力が伝達されることを特徴とする、軸継手。
【請求項2】
前記回転体に回転可能に支持された第3係合部材を備え、
第1係合部材、第2係合部材および第3係合部材は、前記回転体の周方向に沿って第1係合部材、第3係合部材および第2係合部材の順に配置され、
前記ベルトの環状部は、第1係合部材、第2係合部材および第3係合部材を囲み、
第3係合部材は、前記ベルトの前記環状部と第2軸部との干渉を回避する位置に配置されている、請求項1に記載の軸継手。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、回転力を伝達する軸継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から回転機等により出力される回転力を他の装置に伝達するために軸継手を用いることが知られている。軸継手は、一方の回転シャフトから他方の回転シャフトに回転力を伝達する。たとえば、軸継手は、端面同士が互いに対向するように配置された2つの回転シャフトの間に配置され、回転シャフト同士を連結する。回転シャフトを連結する場合に、2つの回転シャフトの軸心がずれていると振動が発生する等の問題が生じる。このために、一方の回転シャフトの軸心の位置と他方の回転シャフトの軸心の位置とが一致するように位置を調整した後に連結することが好ましい。
【0003】
ところが、回転シャフトの軸心同士を厳密に一致させるためには、高精度な軸心合わせを行う必要がある。装置の組み立てには軸心を合わせるための治具や測定器が必要である。更に、軸心合わせの技術が要求されたり、軸心の位置の調整に時間がかかったりするという問題がある。
【0004】
従来の技術においては、一方の回転シャフトの軸心の位置と他方の回転シャフトの軸心の位置とがずれている状態でも、互いに対向する回転シャフトを連結可能な軸継手が知られている。
【0005】
特開2014-92168号公報においては、第1軸部材の端部に固定される第1軸継手部材と第2軸部材の端部に固定される第2軸継手部材とがゴム状弾性部材によって接続された撓み軸継手が開示されている。この軸継手では、第1軸部材の軸心と第2軸部材の軸心とがずれていても、ゴム状弾性部材が変形することにより軸心のずれを吸収して回転力を伝達することが開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2014-92168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の撓み軸継手等の多くの軸継手では、互いに対向する回転シャフトの軸心の位置のずれが小さい場合に適用可能であるが、回転シャフトの軸心の位置のずれが大きい場合には使用することが不可能になる。
【0008】
回転シャフトの軸心の位置のずれが大きい場合にも回転シャフト同士を連結可能な軸継手としては、回転とともに移動する中間部材を介在したオルダム継手やリンク機構を用いたシュミット継手が知られている。しかしながら、オルダム継手やシュミット継手は、焼き付きを防止するための潤滑条件が厳しいという問題がある。また、一方の回転シャフトと他方の回転シャフトが交差している場合、すなわち、一方の回転シャフトと他方の回転シャフトとが平行でない場合には使用することができないという問題が残存する。
【0009】
本発明は、回転シャフトの軸心同士のずれが大きい状態でも容易に回転シャフト同士を連結可能な軸継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の軸継手は、第1軸部と第2軸部との間で回転力を伝達する軸継手であって、第1軸部の端部に接続され、第1軸部と共に回転する回転体と、回転体の回転方向に沿って配置され、回転可能に支持された第1係合部材および第2係合部材と、第1係合部材、第2係合部材および第2軸部に係合するベルトとを備える。ベルトは、第1係合部材および第2係合部材を囲んで第1係合部材および第2係合部材に係合する環状部と、環状部から延び第2軸部に巻き付ける延長部とからなり、ベルトを延長部から第2軸部に巻き付けて緊張状態にした後に、第1軸部および第2軸部のうち一方の軸部が第2軸部に巻かれているベルトの巻き締め方向に回転すると、他方の軸部に回転力が伝達される。ここで、本発明において、ベルトの巻き締め方向とは、第2軸部を回転させて第1軸部に回転伝達する場合は、第2軸部をベルトの巻き付き方向に回転させる方向を言い、第1軸部を回転させて第2軸部に回転伝達する場合は、第1軸部をベルトの反巻き付き方向に回転させる方向を言う。
【0011】
上記発明においては、回転体に回転可能に支持された第3係合部材を備え、第1係合部材、第2係合部材および第3係合部材は、回転体の周方向に沿って第1係合部材、第3係合部材および第2係合部材の順に配置され、ベルトの環状部は、第1係合部材、第2係合部材および第3係合部材を囲み、第3係合部材は、ベルトの環状部と第2軸部との干渉を回避する位置に配置されることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、回転シャフトの軸心同士のずれが大きい状態でも容易に回転シャフト同士を連結可能な軸継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施の形態における第1の軸継手の概略斜視図である。
【図2】実施の形態における第1の軸継手の概略正面図である。
【図3】実施の形態における第1の軸継手の概略断面図である。
【図4】実施の形態における第1の軸継手を組み立てるときの概略正面図である。
【図5】実施の形態における第1の軸継手の動作を説明する概略正面図である。
【図6】実施の形態における第2の軸継手の概略斜視図である。
【図7】実施の形態における第3の軸継手の概略斜視図である。
【図8】実施の形態における第4の軸継手の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図8を参照して、実施の形態における軸継手について説明する。図1に、本実施の形態における第1の軸継手の概略斜視図を示す。第1の軸継手1は、第1軸部としての駆動シャフト2と、第2軸部としての従動シャフト3とを備える。駆動シャフト2は、回転力が入力されるシャフトである。従動シャフト3は、駆動シャフト2の回転力が伝達され、他の装置に回転力を出力するシャフトである。駆動シャフト2は、例えばモータなどの回転機に連結される。従動シャフト3は、例えば変速機等の被駆動装置に連結される。

【0015】
軸継手1は、駆動シャフト2の端部に接続され、駆動シャフト2と共に回転する回転体としてのホイール部4を備える。ホイール部4は、駆動シャフト2に固定されている。本実施の形態におけるホイール部4は、円板状に形成されている。本実施の形態では、駆動シャフト2とホイール部4とが一体的に形成されているが、この形態に限られず、駆動シャフト2とホイール部4とが別の部材にて形成されていても構わない。また、回転体としては円板状に限られず、第1軸部に接続され、ベルトに係合する係合部材を支持可能に形成されていれば構わない。

【0016】
軸継手1は、第1係合部材としての滑車5と、第2係合部材としての滑車6と、第3係合部材としての滑車7とを備える。それぞれの滑車5~7は、ホイール部4に回転可能に支持されている。第1係合部材、第2係合部材および第3係合部材としては、回転可能であり、ベルト10に係合する任意の部材を採用することができる。滑車5~7は、ホイール部4の周方向に沿って滑車5、滑車7および滑車6の順に配置されている。

【0017】
軸継手1は、滑車5~7に掛けられたベルト10を備える。本実施の形態においては、伸縮性を有しないベルト10が用いられている。ベルト10は、端部が従動シャフト3に巻き付けられている。ベルト10は、環状に形成された環状部10fと環状部10fから延びる延長部10gとを含む。環状部10fは、複数の滑車5~7を取り囲むように配置されている。延長部10gは、従動シャフト3に巻き付けられている。

【0018】
図2に、本実施の形態の第1の軸継手の概略正面図を示す。図1および図2を参照して、駆動シャフト2は、回転軸Opを軸心として回転する。滑車5~7の回転軸Ca,Cb,Ccは、回転軸Opを中心とする円形の移動経路41上に配置されている。また、滑車6の回転軸Cbは、滑車5の回転軸Caと180°反対側に配置されている。すなわち、回転軸Caおよび回転軸Cbは、回転軸Opを通る直径上に配置され、回転軸Opに関して点対称の位置に配置されている。

【0019】
図3に、本実施の形態の第1の軸継手の概略断面図を示す。図3は、図2におけるA-A線に関する矢視断面図である。図1から図3を参照して、従動シャフト3の回転軸Oqは、駆動シャフト2の回転軸Opと平行である。ところが、回転軸Oqの位置は、回転軸Opの位置からずれている。従動シャフト3の回転軸Oqは、駆動シャフト2の回転軸Opから距離δだけ離れている。それぞれの滑車5~7は、回転軸Ca,Cb,Ccが駆動シャフト2の回転軸Opと平行になるように配置されている。従動シャフト3の端面とホイール部4の表面との間には隙間が形成されている。すなわち、従動シャフト3とホイール部4とは非接触の状態が維持される。

【0020】
図4に、本実施の形態における第1の軸継手を組み立てるときの概略正面図を示す。ベルト10の環状部10fは、接続点10dにて延長部10gに接続されている。接続点10dからは延長部10gが延びている。軸継手1を組み立てるときには、始めに複数の滑車5~7が環状部10fの内部に配置されるようにベルト10を配置する。次に、ベルト10の先端部10cを従動シャフト3の周方向の表面に接触させる。なお、先端部10cを接着剤等にて従動シャフト3の表面に固定しても構わない。

【0021】
先端部10cを従動シャフト3に接触させた状態を維持しながら、ホイール部4を矢印51に示す向きに回転させる。すなわち、先端部10cからベルト10が延びる方向にホイール部4を回転させる。環状部10fは、滑車5~7に接触して引っ張られる。ベルト10の延長部10gは、従動シャフト3に圧接して従動シャフトを3に巻き付く。本実施の形態では、延長部10gに加えて環状部10fの一部も従動シャフト3に巻かれている。

【0022】
ベルト10は、従動シャフト3に1周以上巻かれる長さを有する。このために、ベルト10の2周目に配置された部分が1周目に配置された部分を押圧し、ベルト10が従動シャフト3に固定される。本実施の形態では、ベルト10が重なる領域が存在し、ベルト10が重ねて巻かれることにより従動シャフト3に固定される。すなわち、ベルト10に作用する張力にて従動シャフト3に巻かれている部分が押えられ、ベルト10は、ベルト10と従動シャフト3との間の摩擦にて従動シャフト3に固定されている。このように、本実施の形態の軸継手では、ベルトの自己締結作用にてベルト10を従動シャフト3に摩擦固定することができる。ベルト10は、軸継手1が回転している期間中に、接続点10dが従動シャフト3に接触した状態が維持されるように、十分に長く従動シャフト3に巻かれていることが好ましい。なお、ベルトの自己締結作用は、既に従動シャフト3に巻かれているベルト10の一部分の上にベルト10を重ね巻きする際に、ベルト同士の摩擦係数μbが、ベルト10と従動シャフト3との摩擦係数μと比べて小さい場合、即ちμb<μである場合に発生する。このような条件は容易に実現可能である。矢印56に示す方向は、ベルト10の巻き付き方向に相当する。

【0023】
更に、ホイール部4を矢印51に示す方向に回転することにより、滑車同士の間に配置されたベルトの部分および滑車と従動シャフトの間に配置されたベルトの部分には、張力が付与される。本実施の形態では、ベルトが撓むことなく張力が付与される状態を緊張状態と称する。

【0024】
本実施の形態のベルト10は従動シャフト3に巻かれるために、作業者がベルト10を巻きやすいように形成されていることが好ましい。たとえば、ベルト10が従動シャフト3に接触する領域には、樹脂を含浸させたり、細いピアノ線や金属板を取り付けたりすることにより、ベルトの弾性を僅かに強くする補強加工を行うことができる。補強加工は、たとえば、ベルト10の先端部10cから従動シャフト3の半周以上1周以下の長さの領域に行うことができる。

【0025】
図5に、本実施の形態における第1の軸継手を駆動したときの概略正面図を示す。図5は、図2に示す状態から所定の角度にて駆動シャフト2を回転させた状態を示している。本実施の形態における軸継手では、ベルト10が増し締めされる方向に駆動シャフトを回転させる。図1、図2および図5を参照して、第1の軸継手1では、駆動シャフト2を矢印51に示す方向に回転させる。本発明では、ベルトが増し締めされ、ベルトがシャフトに更に巻かれる駆動シャフトの回転方向を巻き締め方向と称する。第1の軸継手1では、矢印51に示す方向が巻き締め方向に相当する。第1の軸継手1では、巻き締め方向は、矢印56に示すベルト10の巻き付き方向と逆向きである。すなわち、巻き締め方向は、反巻き付き方向である。駆動シャフト2を矢印51に示す方向に回転すると、従動シャフト3は矢印52に示すように駆動シャフト2と同一の方向に回転する。ここでは、従動シャフト3に加わるトルクが一定で、更に、駆動シャフト2を一定の回転速度にて回転させる場合を例示して説明する。

【0026】
駆動シャフト2に回転力が入力され、駆動シャフト2が矢印51に示す向きに回転するすると、ホイール部4および滑車5~7が回転軸Opを回転中心にして回転する。ホイール部4は、矢印51に示すように周方向に回転する。滑車5~7は、矢印53に示すように周方向に回転する。

【0027】
ここで、ベルト10のうち滑車5と従動シャフト3との間の第1の部分10aと、滑車6と従動シャフト3との間の第2の部分10bに着目する。滑車5,6が移動することにより、ベルト10の第1の部分10aおよび第2の部分10bの張力は大きくなる。ベルト10の従動シャフト3に巻かれている部分は引っ張られる。従動シャフト3は、矢印52に示す向きに回転する回転力が付与され、回転軸Oqを回転中心にして回転する。

【0028】
駆動シャフト2の回転軸Opと従動シャフト3の回転軸Oqとは、互いに位置がずれているために、ベルト10の第1の部分10aの長さと、ベルト10の第2の部分10bの長さとは互いに異なっている。すなわち、回転軸Oqが回転軸Opから偏心しているために、第1の部分10aと第2の部分10bとは長さが互いに異なっている。図2に示す例の滑車の位置では、第1の部分10aのベルト長は、第2の部分10bのベルト長よりも長くなっている。

【0029】
図5に示すように、滑車5が矢印53の方向に回転することにより、一点鎖線で描いている位置から実線で描いている位置に移動する場合を考えると、回転軸Opと回転軸Oqの位置が一致していないため、滑車5の周面から従動シャフト3の周面に引いた接線であるベルトの第1の部分10aの長さは変化する。第1の部分10aの長さが短くなる場合には、ベルトが弛むために第1の部分10aに作用する張力は小さくなる。逆に、第1の部分10aの長さが長くなる場合、従動シャフト3に巻き付いている部分を巻き戻すことで不足した長さを補おうとするため、第1の部分10aに作用する張力は増大する。

【0030】
滑車6と従動シャフト3との間にある第2の部分10bについても第1の部分10aと同様に、長さの変化に伴い張力が変化する。ところが、滑車5と滑車6とは回転軸Opに対して互いに反対側に配置されているため、第1の部分10aと第2の部分10bとの距離の変化速度は逆向きとなる。即ち、一方が長くなる場合には、他方は短くなる。また第1の部分10aと第2の部分10bとは、一つのベルト10の一部であるため、それぞれの張力は必ず等しくなる。

【0031】
このように、ホイール部4が回転することにより、第1の部分10aと第2の部分10bとでは長さを互いに補完するように長さが変化する。また、第1の部分10aではベルト張力が減少する方向に作用する場合には、第2の部分10bではベルト張力が増加する方向に作用する。ところが、第1の部分10aと第2の部分10bとは、同一のベルト10の一部分であるために、互いの作用が打ち消し合って、ベルト張力は一定に保たれる。すなわち、本実施の形態の軸継手は、張力が一定に保たれる張力バランス機能を備えている。ベルト10の張力が一定に保たれるために、従動シャフト3の回転速度が一定に維持される。または、従動シャフト3の回転速度は、精度よく駆動シャフト2の回転速度に対応する。

【0032】
本実施の形態の軸継手は、ベルトにて滑車から従動シャフトに回転力を伝達しているために、駆動シャフトの回転軸と従動シャフトの回転軸とが大きくずれている場合でも、駆動シャフトから従動シャフトに回転力を伝達することができる。この際に、安定した回転力の伝達を行うことができる。例えば、駆動シャフトの回転速度が一定の場合には、従動シャフトの回転速度の振れを抑制し、一定の回転速度にて従動シャフトを回転させることができる。特に、第1軸部と第2軸部とが偏心しているために、回転に伴って第2軸部と第1係合部材との間のベルト長さ、および第2軸部と第2係合部材との間のベルト長さが変化する。本実施の形態の軸継手は、ベルトの延長部および環状部の一部が第2軸部に巻き付けられている。このために、第2軸部と第1係合部材との間のベルト長さと、第2軸部と第2係合部材との間のベルト長さの相対関係を追従変化させることができる。

【0033】
また、本実施の形態の軸継手は、互いに対向するシャフトを連結する場合に、シャフト同士の厳密な軸心の位置合わせを行う必要がない。シャフトの軸心合わせを行うための測定器や治具は不要である。そして、ベルトにて複数の滑車を取り囲んだ後にベルトを一方のシャフトに巻けばよく、容易に組み立てることができる。このために、短時間に確実にシャフト同士を連結することができる。

【0034】
本実施の形態の軸継手は、恒常的に設置している装置に使用する他に、試作機などで暫定的に動力を伝達する場合、災害等で機械が故障した時に暫定的でも早く復旧したい場合に好適である。更に、本実施の形態の軸継手は、回転原動機の基礎の剛性が低く、運転中の振動や外力によりシャフト同士の軸心の相対位置が不安定になる虞がある場合等に好適である。

【0035】
本実施の形態の軸継手1は、ベルト10の第1の部分10aおよび第2の部分10bに関連する滑車5,6の作用により回転力を伝達する。第1の軸継手1は、滑車5,6の他に第3係合部材としての滑車7を備える。ベルト10の環状部10fは、全ての滑車5~7を取り囲んでいる。滑車7を配置することにより、ベルト10の環状部10fの外側に配置される部分が、従動シャフト3に接触することを回避できる。

【0036】
このような第3係合部材としての滑車7は、環状部10fの従動シャフト3との干渉を回避できる任意の位置に配置することができる。たとえば、本実施の形態の第1の軸継手1では、滑車7が滑車5,6の移動経路41上に配置されているが、この形態に限られず、移動経路41からずれた位置に配置されていても構わない。

【0037】
本実施の形態の第1の軸継手1において、動力の伝達に作用する滑車5および滑車6は、ホイール部4の回転軸Opを通る直径上に配置されている。また、本実施の形態では、回転軸Opと滑車5の回転軸Caとの距離は、回転軸Opと滑車6の回転軸Cbとの距離と同一である。この構成を採用することにより、ホイール部4が回転するときの滑車5,6の遠心力を互いに打ち消すことができて、駆動シャフト2およびホイール部4を安定して回転させることができる。なお、滑車7の遠心力を打ち消すために、回転軸Opに関して滑車7の位置と反対側にカウンターウェイトを配置しても構わない。たとえば、回転軸Opに対して点対称の位置に滑車7と同一の重量の錘部をホイール部4に取り付けることができる。

【0038】
図6に、本実施の形態における第2の軸継手の概略斜視図を示す。第2の軸継手8においては、滑車5,6の位置が第1の軸継手1と異なる。第1係合部材としての滑車5と第2係合部材としての滑車6とが、駆動シャフト2の回転軸Opに関して点対称の位置からずれた位置に配置されている。なお、本実施の形態では、駆動シャフト2の回転軸Opと滑車5の回転軸Caとの距離は、回転軸Opと滑車6の回転軸Cbとの距離と同じである。第2の軸継手8では、ホイール部4が回転したときの滑車5~7の遠心力に対してバランスをとる様に、一つの錘部がホイール部4に配置されていても構わない。

【0039】
図7に、本実施の形態における第3の軸継手の概略斜視図を示す。第3の軸継手9においては、第3係合部材としての滑車7が配置されておらずに、滑車5から滑車6に向かってベルト10が掛けられている。滑車5および滑車6は、駆動シャフト2の回転軸Opに関する点対称の位置からずれている。滑車5および滑車6は、ホイール部4の表面を直径で2つの領域に分割したときの一方の領域に配置されている。ベルト10の環状部10fの外側に配置される部分は、従動シャフト3から離れて配置される。このように、ベルト10が従動シャフト3と干渉しない場合には、第3係合部材としての滑車7を配置しなくても構わない。

【0040】
図8に、本実施の形態における第4の軸継手の概略斜視図を示す。図1および図8を参照して、本実施の形態の第4の軸継手15は、第1の軸継手1の駆動シャフト2と従動シャフト3とが逆転した構造を有する。第4の軸継手15は、第1軸部としての従動シャフト17と、第2軸部としての駆動シャフト16とを備える。ホイール部4は、従動シャフト17に固定されている。そして、駆動シャフト16の端面とホイール部4との間には隙間が形成されている。ベルト10は、駆動シャフト16に重ね巻きされている。第4の軸継手15では、矢印54に示す方向が巻き締め方向に相当する。第4の軸継手15では、巻き締め方向は、矢印56に示すベルト10の巻き付き方向と同じ向きになる。

【0041】
第4の軸継手15では、駆動シャフト16を矢印54に示す巻き締め方向に回転させる。ベルト10の張力により、滑車5,6に回転力が生じてホイール部4が矢印55に示す向きに回転する。そして、ホイール部4と共に従動シャフト17が矢印55に示す向きに回転する。その他の構成、作用および効果は、本実施の形態の第1の軸継手1と同様である。

【0042】
このように、本実施の形態の軸継手は、駆動シャフトと従動シャフトとを入れ替えて用いることができる。すなわち、第1軸部および第2軸部のうち一方の軸部が、第2軸部に巻かれているベルトの巻き締め方向に回転すると、他方の軸部に回転力を伝達することができる。ベルトが第2軸部に巻き付けられていることで、第2軸部と第1軸部とが互いに偏心していても、第2軸部と第1係合部材との間のベルト長さおよび第2軸部と第2係合部材との間のベルト長さの相対関係を回転と共に変化させることができる。なお、第4の軸継手15のシャフトの回転方向は、第1の軸継手1のシャフトの回転方向とは逆向きになる。

【0043】
本実施の形態の従動シャフトの回転軸は、駆動シャフトの回転軸と平行であるが、この形態に限られず、従動シャフトの回転軸が駆動シャフトの回転軸に対して僅かに傾斜していても構わない。従動シャフトの回転軸が駆動シャフトの回転軸と非平行でもベルトの柔軟性により安定して回転力を伝達することができる。

【0044】
また、本実施の形態におけるベルトは、伸縮性を有しないが、この形態に限られず、僅かに伸縮性を有していても構わない。また、ベルトは、引っ張り強度が強く、柔軟性の高い材質にて形成されていることが好ましい。例えば、引っ張り強度が鉄よりも強く、柔軟性の高いカーボンファイバーにて形成されたベルトを用いることができる。

【0045】
本実施の形態における駆動シャフトおよび従動シャフトは、断面形状が円形であるが、この形態に限られず、ベルトを巻きつけることができる任意の形状を採用することができる。但し、シャフトの断面形状に角部が存在すると、ベルトを損傷する虞があるために、断面形状が曲線にて構成されているシャフトを採用することが好ましい。

【0046】
本実施の形態においては、軸継手の主要部について説明したが、軸継手がケーシングを備え、これらの主要部がケーシングの内部に配置されていても構わない。また、第1軸部および第2軸部は、他の装置の出力シャフトや入力シャフトであっても構わない。たとえば、駆動シャフトがモータの出力シャフトであっても構わない。

【0047】
上記の実施の形態は、適宜組み合わせることができる。上述のそれぞれの図において、同一または相等する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、特許請求の範囲に示される実施の形態の変更が含まれている。
【符号の説明】
【0048】
1,8,9,15 軸継手
2,16 駆動シャフト
3,17 従動シャフト
4 ホイール部
5~7 滑車
10 ベルト
10f 環状部
10g 延長部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7