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明細書 :遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-211614 (P2016-211614A)
公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
発明の名称または考案の名称 遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置
国際特許分類 F16H   1/32        (2006.01)
FI F16H 1/32 A
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2015-093212 (P2015-093212)
出願日 平成27年4月30日(2015.4.30)
発明者または考案者 【氏名】長谷川 晶一
【氏名】佐藤 大貴
【氏名】北條 春夫
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100078776、【弁理士】、【氏名又は名称】安形 雄三
【識別番号】100121887、【弁理士】、【氏名又は名称】菅野 好章
【識別番号】100200333、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 真二
審査請求 未請求
テーマコード 3J027
Fターム 3J027FA11
3J027FA36
3J027FB32
3J027FB34
3J027FB38
3J027FC01
3J027FC04
3J027FC12
3J027GB03
3J027GC03
3J027GC23
3J027GC26
3J027GD03
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE01
3J027GE30
要約 【課題】従来よりも、低振動かつ低騒音で小型軽量かつ低コストの内接式遊星歯車減速装置を提供する。
【解決手段】内接式遊星歯車減速装置を入力軸Cの外周面と接して回動する遊星ローラ300と上記遊星ローラ300の外周が内接して回動する外輪430を有する遊星歯車400と外輪430の外側面に形成された内歯車433と噛合して上記遊星歯車400が内周に沿って遊星運動をすることが可能な固定外歯車533を有する枠部材500と、上記遊星歯車400の運動から自転成分のみを取り出して出力が可能な出力軸600とから構成した。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
駆動源に接続され、軸心を中心に回転する入力軸と、
前記入力軸の外周面と回転面の一部が相互に接するように設けた、前記入力軸の軸心と平行で同一の方向を向いた回転軸を有する遊星ローラと、
前記入力軸に対して垂直に形成された円板状の伝動板と前記伝動板の外縁から前記駆動源側に前記入力軸に対して平行に形成された外輪とからなり、前記伝動板には、前記伝動板の中心を取り囲むように等間隔に形成された複数の貫通孔を有し、前記外輪の内側面に前記遊星ローラの回転面の一部が内接し、前記外輪の外側面に内歯車が形成された遊星歯車と、
前記遊星歯車の前記外輪の外側面に形成された内歯車と噛合する外歯車を有する枠部材と、
前記遊星歯車の前記伝動板に形成された複数の貫通孔のそれぞれに一部で内接する複数のピンが立設された伝達板と前記伝達板の前記ピンが立設された側とは反対側に立設された伝達軸とからなる出力軸と、
により構成されることを特徴とする遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置。
【請求項2】
前記遊星ローラの回転面は弾性体により構成される請求項1に記載の遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置。
【請求項3】
前記枠部材の外歯車の前記内歯車に面した側の一部は、前記駆動源の軸心と平行な回転軸を有する回転可能なピンにより形成される請求項1又は2に記載の遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置。
【請求項4】
前記遊星歯車の外側面に形成される内歯車の歯形はインボリュート歯形又はサイクロイド歯形のいずれかにより形成される請求項1乃至3のいずれか1項に記載の遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内接式遊星歯車減速装置の入力軸に接続される偏心体から遊星歯車への動力の伝達を、前記偏心体に代えて遊星ローラを用いると共に、前記遊星歯車の形態を、前記遊星ローラからの動力伝達を容易にすると同時に前記遊星歯車を前記遊星ローラへの与圧機構として利用できるようにして、前記内接式遊星歯車減速装置と前記遊星ローラとを一体化した、小型かつ静粛な、遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータ等の駆動源の主軸の回転を通して駆動力が伝達される機械装置では、上記駆動源からの動力に対して、減速機や変速機などを接続し、上記機械装置の特性に適合するように、上記駆動源からの主軸の回転数やトルクの調整等を行うことが一般的である。
【0003】
そして、そうした機械装置のうち、例えば、音声収録や画像認識等を目的として対象に追従するために動作する比較的小型の雲台や、手持ち可能な程度の大きさのぬいぐるみなどを用いたコミュニケーションロボット、或いは、ラジオコントロールの模型等では、静粛で低振動であり、更に小型軽量なアクチュエータが求められており、これらに使用される減速機も、低振動かつ低騒音で小型軽量なものが必要とされている。
【0004】
しかし、このような比較的小型なアクチュエータ用の小型モータ用減速機に用いられている平歯車や遊星歯車等は、騒音が大きいという欠点があり、これらに代えてウォームホイールを用いた場合には、騒音は小さくなるが、サイズが大きくなるという欠点があった。
【0005】
また、上記の様な小型モータ等に用いられる減速機として遊星歯車機構を備えた遊星歯車減速機が用いられる場合が有る。上記遊星歯車減速機としては、例えば、図14(A)に示したような、内噛歯車Sと遊星歯車Pと駆動軸Cとからなり、出力軸Oから出力を取り出す、S-P-C式の減速機構などが知られており、こうした遊星歯車機構を備えた減速機の一つとして、例えば、サイクロイド減速機(商品名として「サイクロ減速機(登録商標)」等)などがある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許第2739071号公報
【特許文献2】特開平6-341501号公報
【特許文献3】特開2007-24072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記サイクロイド減速機は、図14(B)に示したように、例えば、駆動源(図示しない)となるモータからの駆動軸Cに接続される偏心体Eと、上記偏心体Eにより駆動し周縁に外噛歯車を有する曲線板Pと、上記曲線板Pが外接する固定内噛歯車として機能する外ピンSpを有する枠部材S’と、前記曲線板Pに挿通される内ピンOpが備えられた出力軸Oとを主要構成要素としている。
【0008】
そして、上記偏心体Eは、上記駆動軸Cに偏心して設けられたカムであり、上記カムの一部が上記曲線板Pの中心部に設けられた偏心体内接部PHに外接して、上記駆動軸Cによって上記偏心体内接部PHの内側で上記駆動軸Cの軸心を中心に回動することにより上記曲線板Pを上記外ピンSpにより構成される固定内噛歯車の枠内で公転と自転とを行わせ、上記曲線板Pの中心から等間隔に配列された内ピン内接部Phを介して、上記出力軸Oに設けられた内ピンOpにより上記曲線板Pの自転成分のみを伝達軸Osに取り出すことにより、駆動軸からの回転数の減速とトルクとの調整を行っている。そして、こうした減速機の一例として、特許第2739071号(特許文献1)などが開示されている。
【0009】
このようにして用いられるサイクロイド減速機では、上記のように、小型モータなどの駆動力により、カムなどの偏心体を直接モータで駆動し、これにより曲線板を駆動している。
【0010】
しかし、上記のような従来のサイクロイド減速機では、上記偏心体により上記曲線板を直接駆動するために、上記小型モータなどの駆動力が小さい場合には、上記曲線板が始動しにくく、また、こうした偏心体の回転数が高くなると振動と騒音とが大きくなるという課題があった。
【0011】
そのため、こうした課題を解決するために、例えば、特開平6-341501号(特許文献2)に示された遊星ローラ減速装置などが開示されている。
【0012】
上記特許文献2に開示された技術では、上記偏心体の代わりに、入力軸と軸心を共通とする太陽ローラを用いている。そのため、上記太陽ローラの周囲に複数の遊星ローラを配する機構とすることで、始動の問題を解決できる可能性があり、また、上記遊星ローラを用いることにより、上記太陽ローラ周りに遊星歯車機構を配設する場合よりも、騒音の問題を解決できる可能性がある。
【0013】
しかし、一般的に、上記特許文献2に開示されているような、従来の遊星ローラ機構は、与圧機構が必要となり、上記与圧機構は複雑化しているため、小型モータ等を駆動源とする減速機に適用することが難しくなっている。
【0014】
すなわち、上記遊星ローラ機構では、上記遊星ローラを太陽ローラ等に予め接触させて、摩擦により接線力を伝達させることにより、上記ローラを相互に回動させる機構となっているため、上記与圧機構が必須の構成要素となっている。
【0015】
そして、例えば、上記特許文献2に記載された発明では、2個の溝形断面をなす内ローラ28の弾性変形によって摩擦駆動伝達のための圧接力が発生するように構成されている。
【0016】
更に具体的には、上記特許文献2の上記内ローラ28は、上記特許文献2の図1及び第14段落乃至第15段落の記載を参照すると、ケーシング11とカバー25との間に軸受26を支える軸受台27と共に挟圧されるように端面を接して設けられている。そして、上記ローラ28は、締付ボルト24によってカバー25がケーシング11に取り付けられることで装着され、このカバー25とケーシング11との間に挟持された内ローラ28は軸方向に押され、この内ローラ28の幅は弾性的に押し締められてその内周面はクラウニング変形を形成しながら半径を縮小する。これによって、遊星ローラ21との接触点ではクラウニング変形に対応したローラ圧接力が発生し、摩擦による駆動力の伝達を行うことが可能となって、入力軸12側から出力軸13側へ動力が伝達されるようになっている。
【0017】
そのため、上記特許文献2に開示された技術では、上記のように圧接力を発生させ調整するための機構が複雑化しており、それに応じて部品点数も多くなり高コスト化している他、点検と調整も必要とされる。
【0018】
したがって、上記特許文献2に記載されたような構成を比較的小型のモータを駆動源とする減速機に対して用いることは困難であり、特に小型軽量のアクチュエータに使用されるような、例えば、直径10~20mm程度の小型モータ用減速機で利用可能で、減速比50~200程度の静粛、小型、低コストである減速機を実現することには課題があった。
【0019】
そこで、本発明は上記のような課題の解決を目的としたものであり、上記内接式遊星歯車を用いる減速機(減速装置)に関し、従来よりも、低振動かつ低騒音で小型軽量かつ低コストの内接式遊星歯車減速装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するために、本発明は、駆動源に接続され、軸心を中心に回転する入力軸と、前記入力軸の外周面と回転面の一部が相互に接するように設けた、前記入力軸の軸心と平行で同一の方向を向いた回転軸を有する遊星ローラと、前記入力軸に対して垂直に形成された円板状の伝動板と前記伝動板の外縁から前記駆動源側に前記入力軸に対して平行に形成された外輪とからなり、前記伝動板には、前記伝動板の中心を取り囲むように等間隔に形成された複数の貫通孔を有し、前記外輪の内側面に前記遊星ローラの回転面の一部が内接し、前記外輪の外側面に内歯車が形成された遊星歯車と、前記遊星歯車の前記外輪の外側面に形成された内歯車と噛合する外歯車を有する枠部材と、前記遊星歯車の前記伝動板に形成された複数の貫通孔のそれぞれに一部で内接する複数のピンが立設された伝達板と前記伝達板の前記ピンが立設された側とは反対側に立設された伝達軸とからなる出力軸と、により構成されることを特徴とする遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置を提供する。
【0021】
また、上記課題の解決は、前記遊星ローラの回転面は弾性体により構成されることにより、或いは、前記枠部材の外歯車の前記内歯車に面した側の一部は、前記駆動源の軸心と平行な回転軸を有する回転可能なピンにより形成されることにより、或いは、前記遊星歯車の外側面に形成される内歯車の歯形はインボリュート歯形又はサイクロイド歯形のいずれかにより形成されることにより、更に効果的に達成される。
【発明の効果】
【0022】
上記の様な構成からなる本発明では、従来の内接式遊星歯車減速装置に必要とされていた偏心体を遊星ローラとして構成したため、静粛化と小型化とを両立し、更に、部品点数を減少することも可能となっている。
【0023】
また、上記遊星ローラへの与圧機構が小型化を阻んでいたところ、上記のように構成した遊星歯車が発生する半径方向の力が与圧機構として働くことを発見したため、与圧機構を省略することが可能となり、更に一層の小型化を実現することが可能となっている。
【0024】
すなわち、遊星ローラ機構には、出力トルクに応じた予圧が必要だが、本機構では出力トルクに応じた予圧が遊星ローラに働くため、入出力トルクが小さい場合には、予圧が小さくなり、大きい場合には、予圧も大きくなる。このため、入出力トルクが小さい場合には予圧による上記遊星ローラの変形により生じる損失が小さく、入出力トルクが大きい場合には予圧も大きくなり大トルクの伝達が可能になる。そして、出力トルクあたりの予圧の大きさは、遊星歯車の設計により調節することが可能である。
【0025】
そのため、本発明によれば、従来よりも、低振動かつ低騒音で小型軽量かつ低コストの内接式遊星歯車減速装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る主要な構成要素を示した斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る主要な構成要素を組み合わせた状態の側断面図である。
【図3】(A)は遊星ローラユニットの上面図であり、(B)は遊星ローラの一部片側断面を含む側面図であり、(C)は遊星ローラの他の構成例について上記図(B)の左半分側に相当する部分について、入力軸Cを挿入した場合の断面図であり、(D)は、遊星ローラの他の別の構成例について、上記図(C)と同様に示した断面図であり、(E)はカウンターウェイトの他の構成例を示す上面図であり、(F)は遊星ローラユニットの別の構成例を示す上面図である。
【図4】(A)は遊星歯車の上面図であり、(B)は(A)のA-A線におけるその側断面図である。
【図5】(A)は枠部材の上面図であり、(B)はその側面図であり、(C)は枠部材の外歯車の別の構成例を示す上面図である。
【図6】(A)は出力軸の上面図であり、(B)はその側面図であり、(C)はその底面図であり、(D)はその斜視図である。
【図7】(A)は図2に示したA—A線の断面を上面側から見た断面図であり、(B)は図2に示したB—B線の断面を上面側から見た断面図である。
【図8】遊星歯車の伝導板の直径と内歯車の歯形とを変更した場合の例を上記図7と同様に示した図である。
【図9】本発明の遊星歯車と出力軸及び枠部材の更に異なる構成例の概略を示す斜視図である。
【図10】上記図9に示した構成要素を組み合わせた状態を示す側断面図である。
【図11】上記図9に示した構成例における遊星歯車を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は側面図、(D)は図(B)のA-A線における断面図である。
【図12】上記図9に示した構成例における枠部材を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は側面図である。
【図13】上記図9に示した構成例における出力軸を示す図であり、(A)は斜視図、(B)は上面図、(C)は側面図、(D)は図(B)のA-A線における断面図である。
【図14】(A)は従来の遊星歯車機構の機構図であり、(B)は従来のサイクロイド減速機構の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、上記図面においては、同一又は類似する構造又は機能を有する部材については、同一又は類似する番号を付している場合が有り、共通の部材や要素については一部の表示や説明を省略する場合が有る。また、各構成要素や各構成要素間の大きさの比率などについても、実際のものと表示が異なる場合が有る。

【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る主要な構成要素を示した斜視図である。本発明の上記実施形態では、これらの構成要素が、図2に側断面で示したように組み合わされて、減速装置として機能する。

【0029】
上記図1及び図2で示したように、本発明の上記実施形態では、駆動源PUに接続され軸心を中心に回転する入力軸Cと、上記入力軸Cに対して側面を接触して回動する遊星ローラ300と、上記遊星ローラ300が外輪430の内側面で回動することにより駆動し、上記外輪430の外側面に内歯車433が形成された遊星歯車400と、上記遊星歯車400の内歯車433が内側で内接するように形成された外歯車533を有する枠部材500と、上記枠部材500の内側で行われる遊星歯車400の自転と公転による回動から自転成分のみを取り出して出力する出力軸600とを主要な構成要素としている。

【0030】
上記構成要素のうち、遊星ローラ300は、本実施形態では、遊星ローラユニット350の一部に構成されており、上記遊星ローラユニット350は、全体的には、図3(A)に上面図と図3(B)に側面図とを示したような略円板を基本とした形態を有している。なお、図3(B)においては遊星ローラ300の一部について、図3(A)のA—A方向から見た部分の側断面(ハッチングを表示した部分)も示している。

【0031】
そして、上記遊星ローラユニット350は、円板形状のエンジニアリングプラスチック等からなる基材351と、上記基材351の板面上に配置された遊星ローラ300及びカウンターウェイト353とから構成されており、上記基材351の中心部には、上記駆動源PUからの入力軸Cが上記基材351の板面を垂直に挿通する貫通孔355が設けられていて、上記遊星ローラ300とカウンターウェイト353とは、上記貫通孔355に対して、上面から見た場合に、その重心が概ね対照の位置になるように配置されている。なお、ここで、上記円板形状の基材351の直径は、後述する遊星歯車400の外輪430の内側面が形成する円の直径よりも小さく形成されている。

【0032】
また、上記遊星ローラ300は、上記基材351の板面上に立設された中心軸310を主軸とした、全体的には円筒形状を有しており、上記中心軸310を中心に回転可能に設けられたジュラルミン等の金属材料からなる環体330と、更に上記環体330の周囲に設けられたウレタンゴム等のエラストマーなどの弾性体からなる接触帯340とから形成されている。そして、上記中心軸310は、上記基材351の板面の中心から離間した位置にあって、上記基材351の中心の貫通孔355に、上記基材351の板面に垂直な方向に入力軸Cを挿通した場合に、上記入力軸Cの軸線の方向と平行で同一の方向を向くように形成されていて、上記接触帯340の外縁である上記遊星ローラ300の回転面が、その側面の一部で上記入力軸Cの外周面と相互に接触して、上記入力軸Cの回転が伝達できるように形成されている。さらに、本発明では、後述するように、上記遊星ローラ300に遊びを持たせることが望ましいため、上記中心軸310の主軸が、基材351からの立設部分を支点として、上記中心軸310の上端方向にかけて、上記主軸から垂直方向に、ある程度の弾性を有していることが望ましい。

【0033】
また、上記カウンターウェイト353は、上記基材351の上記遊星ローラ300と同じ側の板面上に立設され、上記貫通孔355を中心として弦の部分で上記入力軸Cの半側面を取り囲むような半円形状に、後述する遊星歯車400と接触などの干渉が生じないように形成されており、基本的には上記基材351と同様の素材により構成されている。

【0034】
上記のように構成される遊星ローラユニット350は、貫通孔355に入力軸Cを挿通し、挿通した上記入力軸Cの外側面の一部と上記遊星ローラ300の回転面を構成する接触帯340の一部が相互に接触するように構成している。そのため、上記入力軸Cが軸心を中心に回転した場合に、上記遊星ローラ300が上記接触帯340を介して上記遊星ローラ300の中心軸の中心が上記入力軸Cの周囲を公転しつつ自転することになる。したがって、上記遊星ローラ300の回転面を構成する接触帯340の上記入力軸Cとは反対側の側面を、後述する遊星歯車400の外輪430の内側面側に接触させて上記遊星歯車400に動力を伝達することが可能である。

【0035】
なお、上記遊星ローラユニット350は、上記実施形態では、円板形状の基材351の板面とその板面上に配設された、遊星ローラ300とカウンターウェイト353とから構成されている。しかし、上記遊星ローラユニット350は、上記のような形態に限らず、上記遊星ローラ300を上記入力軸Cの外側面と接触させて回動させることが可能なものであれば、どのような形態のものでも良く、上記のように円板形状をベースとするものに限らない。

【0036】
また、上記遊星ローラ300は、基本的には、上記のように中心軸310と環体330と接触帯340とから構成している。しかし、上記遊星ローラ300の形態は、これに限らず、上記入力軸Cからの動力伝達が可能であり、上記中心軸310の軸心が基材351との接触部分を支点としてある程度の弾性を有していれば、特に限定を設けるものではない。そのため、例えば、図3(C)に示すように、上記環体330と接触帯340とを一体として、ゴム等を素材としたエラストマーなどの弾性部品370から形成したり、上記中心軸310と環体330とに代えて、図3(D)に示すような接触帯支持環390を設けたりするなど、上記遊星ローラの摩擦力や力の伝達効率を考慮しつつ、他の構成を採用することも可能である。

【0037】
また、上記カウンターウェイト353は、上記遊星ローラ300を上記入力軸Cの外側面と接触させて回動させた場合の前記入力軸C廻りの質量バランスを調整して振動を抑えることを目的とするものである。そのため、上記の目的が達せられれば、上記のような形態に限られず、例えば、図3(E)に上面図を示したように、上記カウンターウェイト353を、上面視で、上記遊星ローラ300が形成された部分を除いて貫通孔355の周囲を取り巻く円環のように構成して、上記カウンターウェイト353と上記遊星ロータ300との共通の重心が上面視で上記貫通孔355の中心近傍になるように構成しても良い。

【0038】
ただし、本発明は、もっぱら小型の駆動源を用いた減速機として使用されることを想定しているため、駆動源として小型電気モータなどを用い、上記遊星ローラ300を軽量化できる場合には、必ずしも上記カウンターウェイト353を設けなくて良い場合もある。

【0039】
そのため、例えば、図3(F)に上面図を示したように、上記カウンターウェイト353を設けずに、上記遊星ローラユニット350の基材351を略扇形の形状にするなどして、上記入力軸Cの廻りに上記遊星ローラ300を保持するような構成としても良い。

【0040】
なお、上記遊星ローラ300に側面を接触させる入力軸Cは、一般的には金属から構成されている。そこで、上記遊星ローラ300との接触部分の動力伝達効率を向上させるために、上記入力軸Cが上記遊星ローラ300に接触する部分について、コーティングなどの表面処理を行なったり、上記入力軸Cの部分の軸の周りに弾性体からなる薄膜を貼着させたりなどする事で、上記入力軸Cからの上記遊星ローラ300への摩擦力を高める構成とすることも可能である。

【0041】
次に、本発明の上記構成要素のうち遊星歯車400は、図4(A)に上面図と、図4(B)に上記図(A)中のA-A方向から見た側断面図とを示したように、全体としては片側を円形状の平板である伝動板410で封止し、その周囲を取り囲むように外側面に内歯車433を備えた外輪430が立設された、片面を上記平板で封止した円環状に構成されており、その材質には、ジュラルミン等の金属材料が用いられている。なお、上記の円環状の構成部分のうち伝動板410で封止されていない側は、他の構成要素と組み合わされた場合には、入力軸C側(駆動源PU側)に来るように配設される。

【0042】
そして、上記伝動板410を構成する円形状の平板の円の外径は、後述する枠部材500に形成された外歯車533の形成する円周の大きさを考慮して形成される。これは上記遊星歯車400の上記伝動板410の直径をあまり大きくして、上記枠部材500に形成された外歯車533の形成する円周の中心に対する偏心を少なくした場合には、上記遊星歯車400の遊星運動が出来なくなるためである。そのため、上記伝動板410を構成する円形状の平板の円の直径は、上記遊星歯車400が上記遊星ローラ300の動きにより、上記枠部材500に形成された外歯車533に噛合しつつ順次遊星運動が可能な範囲に調整して構成されている。

【0043】
また、上記伝動板410の中心部には、上記伝動板410の板面を垂直に貫通する上面から見て円形の中央貫通孔415(必須では無い)が設けられており、更にその周囲を取り巻く円周上に等間隔に、上面から見て円形の複数の内ピン内接部413が同様に伝動板410の板面を垂直に貫通して設けられている。

【0044】
ここで上記内ピン内接部413は、上記遊星歯車400が、後述する枠体500の外歯車533の枠内で遊星運動(回動)する際に、後述する出力軸600に設けられた内ピン610の一部を接触させながら上記円形の貫通孔である内ピン内接部413の内周面を周回させることを目的とするものである。そのため、上記内ピン内接部413を構成する円の大きさは、上記枠体500内での上記遊星歯車400の回動領域と上記内ピン610の大きさ等を考慮して決定される。

【0045】
また、上記外輪430の内側面は、上記遊星ローラ300の外周面を接触して回動させて動力の伝達が可能なように、適当な摩擦係数を有する平滑面に形成されている。そして、上記外輪430の内側面が形成する円の直径は、伝動板410の外径を考慮しつつ、上記遊星ローラ300を上記内側面に沿って回動できるように、上記入力軸Cの半径Rcと、上記遊星ローラ300の直径とを合わせた大きさRrよりもわずかに大きく形成される。

【0046】
その一方、上記外輪430の外側面には上記外輪430の円周方向に沿って内歯車433が構成されている。そして、その歯形は、後述する枠体500の外歯車533と噛合可能なものであれば、特に限定を設けるものではない。そのため、インボリュート歯形又はサイクロイド歯形、若しくは、これらの系統に属するが転位係数を調整した歯形乃至その他の何れの歯形またはこれらの組み合わせであっても構わない。

【0047】
すなわち、本発明においては、上記のように構成される遊星歯車400は、上述した遊星ローラ300の回転面の側面が上記遊星歯車400を構成する外輪430の内側面に内接し、更に、上記外輪430が上記遊星ローラ300と内接する部分の外側面側で、上記外輪430の外側面に形成された内歯車433と後述する枠体500の外歯車533とが噛み合うように構成されている。そのため、このように遊星ローラ300から遊星歯車400への動力伝達が行われるものであれば、上記遊星歯車400に形成される内歯車433と枠体500の外歯車533の形態には特に限定を設けるものではない。

【0048】
したがって、例えば、上記内歯車433にインボリュート歯形を用いて、上記遊星歯車400の内側面が遊星ローラ300に押圧されることにより、上記遊星歯車400の内歯車433が上記枠体500の外歯車533の一部とのみ噛合いつつその他では接触せず、上記噛合い箇所が上記遊星ローラ300の回動と共に順次上記外歯車533内を移動していくようにした場合には、広義の内接式遊星歯車機構を構成する事が可能である。そして、このようにインボリュート歯形を用いた場合であっても、例えば、特開2007-24072号(特許文献3)に開示されたように適宜転位係数等を調整して、上記内歯車433と外歯車533との歯数差を1として、大きな減速比を得ることも可能である。

【0049】
また、例えば、上記内歯車433にサイクロイド歯形を用いて、上記遊星歯車400の内側面が遊星ローラ300に押圧されて、上記遊星歯車400の内歯車433が上記枠体500の外歯車533の一部とのみ噛合いつつもその他の部分でも接触を生じており、上記遊星ローラ300の回動により、上記遊星歯車400が順次上記外歯車533内を遊星運動していくようにした場合には、サイクロイド減速機構を構成する事が可能である。

【0050】
また、例えば、上記内歯車433にエピトロコイド平行曲線による歯先の凸部分を幾分削った歯形として、エピトロコイド平行曲線の半径rを角度θに応じてr’=r-k(1-cos(nθ))、(但し、kは削る量を調節する係数、nは歯数、θは角度)とした曲線を用いても良い。そして、この場合には、外歯車533の歯型を上記曲線と噛合する同様の曲線から構成すると共に、上記外歯車533の歯数をn+1として、歯先の干渉を抑制しつつ大きな減速比を得ることも可能である。

【0051】
但し、本発明が用いられるような小型の減速機では、上記枠体500や遊星歯車400も比較的小型に形成され、これらの材料とされるプラスチック等のエラストマーのすべり性も良い場合が多いため、上記歯形は、使用される機器や材質の特性を考慮して決定される。

【0052】
次に、本発明の上記構成要素のうち枠部材500は、図5(A)に上面図と、図5(B)に側面図とを示したように、全体としては中央部に大きな貫通孔530とそれに隣接する小さな貫通孔550のある平板状に形成されており、その材質は、上記遊星ローラユニット350を構成する基材351と同様にエンジニアリングプラスチック等で形成されている。

【0053】
そして、上記中央部の大きな貫通孔530の内周面には外歯車533が形成されており、上記外歯車533の構成する略円周内を上記遊星歯車400が回動しながら移動する構成となっている。なお、上記大きな貫通孔530に隣接して設けられた2つの小さな貫通孔550は、上記枠部材500を駆動源PUに固定するための(図示しない)ネジを嵌挿するためのものである。そのため、本実施形態では、上記図1に示したように、後述する固定板700と上記駆動源PUとの間に本実施形態の各構成要素を収容し、上記固定板700に上記貫通孔550と同様に設けられた貫通孔750の上面から上記ネジを上記駆動源PU方向に嵌挿して、上記駆動源PUにネジ止めすることにより、本発明の各構成要素を機能的に収容することが可能である。

【0054】
また、上記大きな貫通孔530の内周面に形成された外歯車533は、上記遊星歯車400の外輪430に形成された内歯車433と噛合するように形成されている。そして、上記外歯車533の歯形は、上記内歯車433について上述したと同様の理由により、特に限定を設けるものではないため、インボリュート歯形又はサイクロイド歯形若しくはその他の歯形であっても構わない。また、上記外歯車533の歯数は、上記遊星歯車400の外輪430に形成された内歯車433と少なくとも1以上多く形成されており、後述するように、上記遊星ローラ300と入力軸Cとの口径比などを合わせて考慮することにより、その差異に応じた減速比を得ることが可能である。

【0055】
なお、上記外歯車533については、上記のように貫通孔530の内周面を上記インボリュート歯形又はサイクロイド歯形若しくはその他の歯形として形成する形態に限らず、図5(C)に該当部分の上面図を示したように、上記外歯車533の内面の上記遊星歯車400との接触部分に関して、上記入力軸Cの軸心と平行で同一の方向を向いた回転軸を有する複数のローラ(ピン)533Rにより構成しても良い。そして、特にこのような形態とした場合には、本発明をサイクロイド減速機構に利用する場合に、上記遊星歯車400に形成された内歯車433と枠部材500に形成された外歯車533とが噛合する際の抵抗や歯先の干渉による抵抗を減少させることが可能である。

【0056】
本発明では、上記枠部材500を上記のように構成することにより、上記外歯車533によって略円周状に構成される上記外歯車533の内側に沿って、上記遊星歯車400を噛合させながら順次自転させつつ公転させることが可能であり、これにより、後述する出力軸600からの出力の取り出しを容易化している。

【0057】
次に、本発明の上記構成要素のうち出力軸600は、図6(A)に上面図、図6(B)に側面図、図6(C)に底面図及び、図6(D)にその斜視図を示したように、円板形状の伝達板610と、上記伝達板610から立設した円筒形状からなる複数の内ピン630と、上記伝達板610の上記内ピン630が立設された側とは反対側の板面中央から立設した伝達軸とから形成されており、その材質は、上記遊星ローラユニット350を構成する基材351や枠部材500と同様にエンジニアリングプラスチック等で形成されている。

【0058】
そして、上記複数の内ピン630は、上記遊星歯車400に設けられた複数の内ピン内接部413と同一の個数が設けられており、上記内ピン630は上記伝達板610の中心を中心とする円周上に等間隔に設けられている。また、上記内ピン630は基本的には円筒形状を有しており、これを構成する上記円筒形状の円筒部分の長さは、上記出力軸600を上記図1に示したように、上記遊星歯車400上から組み合わせた場合に、上記遊星歯車400上に形成された内ピン内接部413に内接できるような長さに形成し、その直径は上記遊星歯車400に設けられた内ピン内接部413の内周に沿って周回できる程度に形成される。

【0059】
また、上記出力軸600の伝達軸650は、上記伝達板610を形成する円板の形状の中心から上記内ピン630の設けられた側とは反対側の板面上に立設されており、上記伝達軸650の軸心は、上記図1に示したように、本発明の各構成要素を組み合わせた場合には、上記入力軸Cの軸心と同心の延長線上に配置される。

【0060】
そのため、本発明では上記出力軸600を上記のように構成する事により、上記遊星歯車400の行う自転と公転運動から、上記遊星歯車400に設けられた内ピン内接部413の内周に沿って周回する上記内ピン630によって、自転成分のみを取り出すことが可能であり、その結果として、上記伝達軸650により、入力軸Cと同軸上において、調整された回転数とトルクの出力を取り出すことが可能である。なお、本発明では、上記出力軸600は、上記遊星歯車400の遊星運動のうちから自転運動のみを取り出す目的のものであるため、同様の機能を有する物であれば、上記に限らない形態によることも可能である。

【0061】
なお、本発明の上記実施形態では、上記図1に記載したように、固定板700とスペーサ790とを備えている。

【0062】
このうち上記固定板700は上述したように、本発明の各構成要素を機能的に収容するものであり、中央に貫通孔730と上記貫通孔730の外周側に別の貫通孔750を設けた全体として平板形状の形態を有している。そして、その材質は、上記枠部材500などと同様にエンジニアリングプラスチック等から構成されている。また、上記貫通孔750は、上述したように、他の構成要素を上記枠部材500との間に収容するためのネジを挿通するものであるが、その一方、上記貫通孔730は、上記出力軸600の伝達軸650を挿通できるように構成されているが、上記出力軸600の伝達板610は挿通できないように構成されている。

【0063】
また、上記スペーサ790は図1及び図2に示したように、上記遊星ローラ300を有する遊星ローラユニット350の上面側と上記遊星歯車400との間に配設され、上記2つの構成要素の円滑な運動を補助するための、中央に貫通孔を設けた円形の平板形状に形成されたものである。但し、上記実施例では、上記スペーサ790は上述のように上記遊星ローラユニット350の上面側と上記遊星歯車400との間に配設されているが、これに限らず、上記遊星ローラユニット350の下側と駆動源PUとの間に加えて配設しても良い。但し、上記スペーサ790は必ずしも本発明の必須の構成要素ではないため、上記駆動源PUの出力の程度や大きさ或いは、素材とするエンジニアリングプラスチックなどのすべり性(潤滑性)を考慮して省略することも可能である。

【0064】
また、本実施形態では、駆動源PUとして比較的小型の電気モータを使用しているが、上記駆動源PUはこれに限られず、本減速装置を使用するアクチュエータなどの機械装置の種類に応じて任意に選択が可能である。

【0065】
次に、本発明の上記実施形態による作用について説明する。

【0066】
本発明は、従来の遊星ローラ機構に必要であった予圧機構を省略できるため、小型化を実現することが可能となった、遊星ローラ駆動型遊星歯車減速装置を提供している。

【0067】
すなわち、遊星ローラ機構には、出力トルクに応じた予圧が必要であるところ、本減速装置に用いている機構では出力トルクに応じた予圧が遊星ローラに働くため、入出力トルクが小さい場合には、予圧が小さくなり、大きい場合には、予圧も大きくなる。このため、入出力トルクが小さい場合には予圧による遊星ローラの変形により生じる損失が小さく、入出力トルクが大きい場合には予圧も大きくなり大トルクの伝達が可能になっている。そして、出力トルクあたりの予圧の大きさは、遊星歯車の設計により調節することが可能である。

【0068】
これを更に具体的にみると、本発明は、上述の図1、図2等で示したように、入力軸Cの外周面と接して回動する遊星ローラ300と、上記遊星ローラ300の外周面の一部が内接して回動する外輪430を有する遊星歯車400と、上記遊星歯車400の外輪430の外側面に形成された内歯車433と噛合して上記遊星歯車400が内周に沿って遊星運動をすることが可能な外歯車533を有する枠部材500と、上記遊星歯車400の遊星運動から自転成分のみを取り出して出力が可能な出力軸600とから構成されている。そのため、本発明では、駆動源PUから入力軸Cの回転として伝達された動力は、上記遊星ローラ300から、上記遊星歯車400の外輪430の内側面を介して、上記枠部材500の内側に設けられた外歯車533の枠内における上記遊星歯車400の遊星運動に変換され、上記遊星歯車400に設けられた内ピン内接部413の内周に上記出力軸600に設けられた内ピン630が内接して上記出力軸600の伝達軸650軸心を中心に回転することにより上記遊星歯車400の遊星運動から自転成分のみを取り出して、上記出力軸600の伝達軸650を回転させることを通じて、上記出力軸600から減速した回転動力として取り出すことが可能である。

【0069】
そして、上記のような本発明の構成において、上記遊星ローラ300と遊星歯車400と枠部材500との接触状態は図7で示したように、遊星ローラ300の回転面の側面が遊星歯車400を構成する外輪430の内側面に押圧されるように接触し、更に、上記外輪430が上記遊星ローラ300押圧して接触している部分の外側面側で、上記外輪430の外側面に形成された内歯車433と枠体500の内側に形成された外歯車533とが噛合するようになっている。なお、ここで図7(A)は、上記図2に示した側断面図の内、A-A線の部分を上面側から見た場合の断面図であり、図7(B)は、同じく上記図2に示した側断面図の内、B-B線の部分を上面側から見た場合の断面図である。なお、同図7(B)では、本発明の理解を容易にするために、上記遊星歯車400と入力軸Cの部分のみにハッチングを表示している。

【0070】
上記図7(A)に示したように、本発明の遊星ローラ駆動型内接式遊星歯車減速装置では、遊星歯車400に発生する半径方向力(図中矢印A)を予圧として利用するため、遊星歯車400の外輪430の内側面を遊星ローラ機構の外ローラとしている。そして、このように構成する事により、図7(B)に示すように遊星ローラ300が遊星歯車400を枠部材500の内側に形成した外歯車533に押し付けるため、遊星歯車400には出力トルクに応じて半径方向力(図7(A)図中の矢印A)が生じ、この力が遊星ローラ300に、上記図7Bの矢印Bのように加わることになる。そして、遊星ローラ300の中心軸310に遊びを持たせることで、この力(図中矢印B)は太陽ローラとして機能する入力軸Cにも加わり、本発明を構成する遊星ローラ機構に必要な予圧として働くようになっている。

【0071】
また、本発明による減速比のうち、遊星ローラによる減速比は、上記図7(B)で示したように、入力軸Cの半径をRc、前記入力軸Cの軸心から遊星ローラ300の回転面の側面が上記遊星歯車400の外輪430の内側面側に接触する部分(ここで上記接触部分は滑らない)までの距離をRp(=上述のRr)とすると、一般的な遊星歯車の式に基づいて、[(Rp/Rc)+1]となる。

【0072】
また、遊星歯車400と枠部材500による減速比は、図7(A)に示すように、遊星歯車400の外輪430に形成された内歯車433の歯数をZcとし、枠部材500の外歯車533の歯数をZdとすると、次のようになる。

【0073】
すなわち、遊星歯車400の上記内歯車433が上記枠部材500の外歯車533と噛合った状態で上記外歯車533内を一周公転させると上記外歯車533の歯数Zdだけ歯が噛んで元の状態に戻ことから、元の位置では、Zd-Zcだけずれた歯が噛みあうことになるため、1回の公転に対し自転は[(Zd-Zc)/Zc]となる。そのため、遊星歯車400と枠部材500による減速比は、[1:[(Zd-Zc)/Zc]]から、[Zc/(Zd-Zc)]となる。

【0074】
以上の事から、本発明による減速比nとしては、(上記遊星ローラによる減速比)*(遊星歯車400と枠部材500による減速比)により、n=[(Rp/Rc)+1]*[Zc/(Zd-Zc)]が得られる。

【0075】
なお、本発明の実施例では、小型の電動モータを使用して、例えば、上記各数値が、Rc=0.75mm、Rp=3.95mm、Zc=19、Zd=20の各数値のものを使用して、減速比nがおよそ119のものを得ている。

【0076】
以上のように、本発明によれば、従来よりも、低振動かつ低騒音で小型軽量かつ低コストの内接式遊星歯車減速装置を提供することが可能である。

【0077】
なお、本発明の上記実施形態は本発明の構成例の一例を示したものであり、本発明は上記の例に限定されるものではなく、本発明の基本的構成要素と均等の範囲で当業者が実施可能な変形例も当然に本発明に含まれる。

【0078】
そのため、例えば、上述の図7で示したような、遊星歯車400に形成された内歯車433と枠体500に形成された外歯車533とが一部で噛合しながらも他の部分では接触せずに上記遊星歯車400が上記枠体500内で順次遊星運動を行うようなものとは異なり、図8(A)、(B)で示したような、遊星歯車800にエピトロコイド曲線等で形成された内歯車833と枠体500に形成された外歯車533とが一部で噛合しかつ他の部分でも接触しながら上記遊星歯車800が上記枠体500内で遊星運動を行う、サイクロイド型の減速装置を構成するものであっても良い。

【0079】
また、例えば、図9~図13に示したような、変形例を用いることも可能である。なお、ここで上記図9は、上記のように、本発明を構成する遊星歯車、出力軸及び枠部材の異なる構成例の概略を示す斜視図であり、図10はこれらを組み合わせた状態を示す側断面図である。また、上記図9では理解を容易にするために、一部の構成要素を外した状態を示している。

【0080】
上記図9に示した例は、図11(A)に斜視図、同(B)に上面図、同(C)に側面図、同(D)に同図(B)のA-A線における断面図を示した遊星歯車940と、図12(A)に斜視図、同(B)に上面図、同(C)に側面図したような枠部材950と、図13(A)に斜視図、同(B)に上面図、同(C)に側面図、同(D)に同図(B)のA-A線における断面図を示したように出力軸960とが用いられたものである。

【0081】
そして、上記図9に示した例では、本発明の構成要素である図11に示す遊星歯車940の外側面に、上段943Uと下段943Dからなる上下2段の異なる歯数の歯車を有する外輪943を構成し、これに合わせて、図12に示す枠部材950の外歯車953と図13における出力軸960とを形成したものである。なお、ここで示した異なる構成例900においても、上記本発明の遊星ローラ300の基本形態と上記遊星歯車940の内側面とは、上述した実施形態と同様の構成を有している。

【0082】
上記図9に示した構成例900では、上記遊星ローラ300が遊星歯車940の内側面で回動すると、それに応じて、上記遊星歯車940の外輪943のうち下段943Dの部分が、上記枠部材950内に形成された外歯車953の内側と噛合って上記外歯車953が形成する円周内を回動する。そうすると、上記遊星歯車940の外輪943のうち上段943Uの部分も回動することになるが、上記上段943Uの側面は、上記出力軸960を構成する伝達板961の内側に別途形成された出力軸歯車963と噛合い、それによって、上記出力軸960が上記遊星歯車940の運動のうち自転成分を取り出して、伝達軸965から出力を得ることが可能である。

【0083】
そのため、本発明では、例えば、上記のような構成によっても、低振動かつ低騒音で小型軽量かつ低コストの内接式遊星歯車減速装置を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
300 遊星ローラ
310 中心軸
330 環体
340 接触帯
350 遊星ローラユニット
351 基材
355 貫通孔
353 カウンターウェイト
370 弾性部品
390 接触帯支持環
400 800 940 遊星歯車
410 伝動板
413 内ピン内接部
415 中央貫通孔
430 943 外輪
433 833 内歯車
500 950枠部材
530 550 貫通孔
533 953 外歯車
600 960 出力軸
610 伝達板
630 内ピン
650 965 伝達軸
700 固定板
730 750 貫通孔
790 スペーサ
900 異なる構成例
943U 上段歯車
943D 下段歯車

S 内噛歯車
P 遊星歯車
C 駆動軸(入力軸)
O 出力軸
E 偏心体
S’ 枠部材
Sp 外ピン
P 曲線板
PH 偏心体内接部
Ph 内ピン内接部
Os 伝達軸
Op 内ピン
PU 駆動源
Rc 入力軸Cの半径
Rp 入力軸Cの軸心から遊星ローラと枠部材との接触面までの半径
Zc 遊星歯車の内歯車数
Zd 枠部材の外歯車数
図面
【図1】
0
【図4】
1
【図5】
2
【図6】
3
【図9】
4
【図11】
5
【図12】
6
【図13】
7
【図14】
8
【図2】
9
【図3】
10
【図7】
11
【図8】
12
【図10】
13