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明細書 :チップボート

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5817030号 (P5817030)
登録日 平成27年10月9日(2015.10.9)
発行日 平成27年11月18日(2015.11.18)
発明の名称または考案の名称 チップボート
国際特許分類 B01L   9/00        (2006.01)
FI B01L 9/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2014-173289 (P2014-173289)
出願日 平成26年8月27日(2014.8.27)
審査請求日 平成27年4月27日(2015.4.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
発明者または考案者 【氏名】小原 政信
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100121795、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴亀 國康
審査官 【審査官】松本 瞳
参考文献・文献 特表2001-505820(JP,A)
実開昭63-193360(JP,U)
特開2000-126620(JP,A)
調査した分野 B01L 1/00-99/00
G01N 1/00- 1/34
C12M 1/00- 3/10
B65D 85/00-85/28
85/575
JSTPlus(JDreamIII)
要約 【課題】非常に安価であってかつピペットチップを人手で収納する労力を数分の一程度に軽減することができ、ピペットチップをチップラックに収納する作業に好適に使用されるチップボートを提供する。
【解決手段】本発明に係るチップボート10は、複数のピペットチップ20の方向をそろえてピンセット40でつまみやすいように集合させるチップボートであって、2つの円錐Ca11とCb12が対向し、円錐Ca11と円錐Cb12とが滑らかな曲面13で結合され、上方に開口部15を有する形態をしており、ピペットチップ20の高さをhとするとき、円錐Ca11の頂点Aと円錐Cb12の頂点Bの距離lは、l=3h~6h である。そして、円錐Ca11の頂角θa、円錐Cb12の頂角θbとするとき、θa=93°~180°、θb=93°~180°である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のピペットチップの方向をそろえてつまみやすいように集合させるチップボートであって、
ピペットチップの高さをhとするとき、大きさが3h~6hの長辺、3h~5hの短辺を有する長方形の樹脂シートのそれぞれの短辺の両隅部を中心方向対称に巻き込んで形成され、それぞれの短辺の中心点を頂点とする2つの円錐が底面を向き合わすように対向して上方に開口部を有する形態のチップボート。
【請求項2】
2つの円錐Ca、Cbがともに一の線分に重なる母線を有して底面を向き合わすように対向するとともに滑らかな曲面で結合され上方に開口部を有し、複数のピペットチップの方向をそろえてつまみやすいように集合させるチップボートであって、
前記円錐Ca、Cbは、両者の頂点間の距離が前記ピペットチップの高さをhとするときに
3h~6h、頂角がそれぞれ93°~180°であるチップボート。
【請求項3】
円錐Ca又は円錐Cbの円錐面で被われる部分は、その頂点から1.5h~2.5hの長さを有することを特徴とする請求項2に記載のチップボート。
【請求項4】
円錐Ca、Cbの頂角は等しいことを特徴とする請求項2又は3に記載のチップボート。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ピペットチップをチップラックに収納する作業に好適に使用されるチップボートに関する。
【背景技術】
【0002】
生化学分野、医療分野などにおいて試験、実験又は検査を行うとき、マイクロリッターレベルの各種の溶液を調製して、混合し、目的とする溶液内反応を行わせることが日常的に行われる。この際に、大量のピペットチップが使用されるが、試験等を効率的かつ安全に行うために、ピペットチップを予めチップラックに収納するとともに、これを滅菌した状態で準備しておくことが必要になる。例えば、96本のピペットチップを収納することができるチップラックに、散売りのピペットチップを人手で収納するには約10分を要し、このようなチップラックは数箱準備するだけでも大変な労力を要する。このため、予めピペットチップが滅菌されて収納されたチップラックが市販されている。
【0003】
しかしながら、ピペットチップが収納されたチップラックは、高価であること、また、使用済みピペットチップは廃棄されるのに対し、チップラックは再使用可能であることから、市販されている安価な散売りピペットチップをチップラックに収納するピペットチップセット機が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1に、ストッカーに投入された散売りのピペットチップをバケットコンベアにより振動するホッパー内に投入し、その底部から搬送レールに一列に並べて吊り下げた状態でピペットチップを取り出し、ガイドパイプを介して所定の姿勢に制御したピペットチップをチップラックのチップホールに落とし込んで収納するピペットチップセット機が提案されている。そして、このピペットチップセット機は、従来のピペットチップセット機よりも小型、軽量で振動が少ないと記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2000-126620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ピペットチップセット機は、小型、軽量であるといえ、散在するピペットチップの一本一本を一定方向、一列に配列させ、チップラックの所定のチップホールに収納させる構造・手段を要するものであるから、安価なものではない。このため、ピペットチップセット機の設置コストに見合うピペットチップ収納作業を要する企業、研究所などでなければ一般にピペットチップセット機の購入が困難であるという問題がある。また、研究機関などで大量にピペットチップを使用するためにコスト的には見合うとしても、必ずしもピペットチップセット機の購入が容易でないという問題がある。一方、ピペットチップの収納作業に人手を要してもよいから、この労力の軽減ができないかという要請がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点及び要請に鑑み、非常に安価であってかつピペットチップを人手で収納する労力を数分の一程度に軽減することができ、ピペットチップをチップラックに収納する作業に好適に使用されるチップボートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るチップボートは、複数のピペットチップの方向をそろえてつまみやすいように集合させるチップボートであって、ピペットチップの高さをhとするとき、大きさが3h~6hの長辺、3h~5hの短辺を有する長方形の樹脂シートのそれぞれの短辺の両隅部を中心方向対称に巻き込んで形成され、それぞれの短辺の中心点を頂点とする2つの円錐が対向して上方に開口部を有する形態を有してなる。
【0009】
また、本発明に係るチップボートは、2つの円錐Ca、Cbがともに一の線分に重なる母線を有して対向するとともに滑らかな曲面で結合され、上方に開口部を有するチップボートであって、前記円錐Ca、Cbは、両者の頂点間の距離が高さhのピペットチップの3h~6h、頂角がそれぞれ93°~180°を有してなる。
【0010】
上記発明において、円錐Ca又は円錐Cbの円錐面で被われる部分は、その頂点から1.5h~2.5hの長さを有するものであるのがよい。また、円錐Ca、Cbの頂角は等しいものであるのがよい。
【0011】
また、本発明に係るチップボートは、複数の細長い細片の方向をそろえてつまみやすいように集合させるチップボートであって、2つの円錐Ca、Cbがともに一の線分に重なる母線を有して対向するとともに滑らかな曲面で結合されて上方に開口部を有し、前記円錐Ca、Cbは、両者の頂点間の距離が前記細片の長さlの3l~6l、頂角がそれぞれ93°~180°を有してなる。そして、ここで、細片は、中空又は中実の円柱形状、または、中空又は中実の円錐形状のものであって、アスペクト比が3~10である。アスペクト比とは、細片の長さをl、細片の端面又は底面の直径をdとするとき、l/dをいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るチップボートは、非常に安価に製作することができ、ピペットチップを人手で収納する労力を数分の一に軽減することができる。このため、ピペットチップをチップラックに収納する作業に好適に使用される。また、本発明に係るチップボートは、ピペットチップのみならず、中空又は中実の円柱形状、または、中空又は中実の円錐形状のものであって、アスペクト比が3~10の細片を所定位置に効率的、かつ安価に配設・収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るチップボートの概要を説明する説明図である。
【図2】本発明に係るチップボートの詳細を説明する説明図である。
【図3】ピペットチップの方向を揃えた状態を示す説明図である。
【図4】チップボートを構成する円錐の頂角が大きい場合のピペットチップの集合状態を示す説明図である。
【図5】頂角が異なる円錐を有するチップボートの模式図である。
【図6】樹脂シートからチップボートを製作する説明図である。
【図7】チップボートに細片を配列させたときの様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について図面を基に説明する。図1は、本発明に係るチップボートの概要を説明する説明図である。図2は、本発明に係るチップボートの詳細を説明する説明図である。本チップボート10は、図1及び図2に示すように、対向する2つの円錐Ca11、円錐Cb12を有している。チップボート10は、図1に示すように、その端部の円錐Ca11又は円錐Cb12の何れかに方向を揃えて集合させたピペットチップ20を、開口部15からピンセット40でつまんでチップラック30のチップホール35に配列させて収納するのに使用される。

【0015】
本チップボート10を、その円錐Ca11の頂点が他方の円錐Cb11の頂点よりも低くなるように傾けながら揺動すると、ピペットチップ20は、円錐Ca11の形状にならって円錐Ca11の頂点の方向を向いたピペットチップ20Aと、これと方向が異なるピペットチップ20Bのように、円錐Ca11に集合する。一般的には、ピペットチップ20は、チップボート10の円錐形状にならうように円錐Ca11又は円錐Cb12に集合するものが多い。集合させたとき、ピペットチップ20Aは、ピンセット40でつまみやすい方向を向いているので、先ず、ピペットチップ20Aをチップラック30に収納する。次に、円錐Cb12にピペットチップ20Bが集合するようにチップボート10を、上記とは反対にその円錐Cb11の頂点が他方の円錐Ca11の頂点より低くなるように傾けながら揺動すると、ピペットチップ20Bは円錐Cb12の頂点の方向を向いてそろうので、これをピンセット20でつまんでチップラック30に収納する。ピペットチップ20は、ピンセット40でつまみやすい方向にそろっているので、ピペットチップ20のチップラック30への収納作業を効率的、迅速に行うことができる。

【0016】
本チップボート10は、上述のように2つの円錐が対向している形状を有しているのが特徴である。すなわち、図2に示すように、チップボート10は、線分ABに重なる線分laを母線とし頂点をAとする円錐Ca11と、線分ABに重なる線分lbを母線とし頂点をBとする円錐Cb12とを有し、円錐Ca11と円錐Cb12とが滑らかな曲面13で結合され、上方に開口部15を有している。そして、円錐Ca11の頂点Aと円錐Cb12の頂点Bの距離lは、ピペットチップ20の高さをhとするとき、l=3h~6h である。また、円錐Ca11の頂角θa、円錐Cb12の頂角θbとするとき、θa=93°~180°、θb=93°~180°である。この頂角θa、θbの大きさは、円錐Ca11及び円錐Cb12の回転の軸をそれぞれAC、BCとし、回転角をそれぞれφa、φbとするとき、φa=15°~30°、φb=15°~30°に相当する。

【0017】
円錐Ca11及び円錐Cb12の頂点間の距離lは、高さhのピペットチップが一定方向にそろうのに必要充分な長さである。チップボート10がこの程度の頂点間の距離lを有する場合は、図3に示すように、ピペットチップ20は、頂点A-頂点Bの方向によくそろうようになる。すなわち、ピペットチップ20の方向をそろえるには、円錐の頂点間の距離がピペットチップの高さの3倍から6倍であるチップボートがよい。そして、この距離lは、ピペットチップの高さの4倍から5倍(4h~5h)であるのが好ましい。

【0018】
円錐の頂角は、円錐に集合するピペットチップの方向を円錐形状にならうように集合させるための適度の角度が必要である。円錐の頂角が180°を超える(回転角φが30°を超える)ときは、図4に示すように、ピペットチップの方向が20A、20B又は20Cのように様々になるばかりでなく、横向きのピペットチップ20Cが現れやすくなるので好ましくない。また、円錐の頂角が小さいと、チップボートに投入することができるピペットチップの数が少なくなるので、作業効率が悪くなり好ましくない。円錐Ca11又は円錐Cb12の頂角は、122°(回転角φが20°)程度が好ましい。また、円錐Ca11と円錐Cb1とは同形状であるのが好ましい。しかしながら、図5に示すように、円錐Ca11と円錐Cb1とは必ずしも同一形状でなくてもよい。図5において、チップボート10における円錐Ca11の頂角は約93°、円錐Cb12の頂角は約180°である。

【0019】
チップボートの円錐面で被われる部分、すなわち図2において、チップボート10の円錐面la、円錐面lbの部分は、頂点A又は頂点Bから1.5h~2.5hの範囲になるようにするのがよい。この円錐面で被われる部分が小さすぎるとチップボートを揺動したときにピペットチップがチップボートからこぼれ落ちることがあり、大きすぎるとピペットチップをピンセットでつまむのが面倒になるからである。このため、チップボート10が、例えば、図5に示す形状をしている場合は、チップボート10の円錐面で被われる部分を適当にするために、母線に重なる線分にほぼ平行に開口する開口部15ではなく、一点鎖線で示すような開口部を設けるのがよい。

【0020】
本発明に係るチップボートは、ポリプロピレン、ポリエチレン等の樹脂を使用して型成形により製作することができる。しかしながら、樹脂シートを加工することによっても製作することができる。例えば、図6(a)に示す長辺l、短辺2laの長方形の樹脂シートにおいて、それぞれの短辺の両隅部A、D又はB、C中心方向対称(矢印方向)に巻き込んで、短辺AD及び短辺BCのそれぞれの中点がそれぞれの円錐形の頂点になるように2つの円錐を形成すると、図6(b)に示すように、円錐Ca11と円錐Cb12が対向し、開口部15を有するチップボート10を製作することができる。なお、巻き込んだ短辺AD又はBCの重なる部分115、125は、接着、融着又は機械的な接合がなされる。また、本発明に係るチップボートの材質は、樹脂に限定されず、耐久性、安全性、取扱性を考慮し、紙など種々のものを使用することができる。チップボート10が透明である場合は、ピペットチップ20の配列状態を観察することができ、ピペットチップ20のチップラック30への収納作業を効率よく行うことができる。

【0021】
以上、本発明に係るチップボートにつて説明した。本発明に係るチップボートは、非常に安価に製作することができ、ピペットチップのチップラックへの収納を短時間で行うことができる。このため、本発明に係るチップボートは、チップラックへのピペットチップの収納作業の効率を従来の3~5倍に高めることができる。本発明に係るチップボートは、上述の様に、ピペットチップのチップラックへの収納作業に好適に使用されるが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、円柱状の細片25の方向を揃える手段としても有効に使用することができ、対象とする細片25は人参などの野菜であってもよい。すなわち、本発明に係るチップボートは、中空又は中実の円柱形状、または、中空又は中実の円錐形状のものであってよく、細長く、アスペクト比が3~10であるものを好適に取り扱うことができる。ここで、アスペクト比とは、細片の長さをl、細片の端面又は底面の直径をdとするとき、l/dをいう。
【符号の説明】
【0022】
10 チップボート
11 円錐Ca
12 円錐Cb
13 曲面
15 開口部
20、20A~20C ピペットチップ
25 細片
30 チップラック
35 チップホール
40 ピンセット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6