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明細書 :レーザカラーマーキング方法およびその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3851126号 (P3851126)
公開番号 特開2003-094181 (P2003-094181A)
登録日 平成18年9月8日(2006.9.8)
発行日 平成18年11月29日(2006.11.29)
公開日 平成15年4月2日(2003.4.2)
発明の名称または考案の名称 レーザカラーマーキング方法およびその装置
国際特許分類 B23K  26/00        (2006.01)
B23K  26/18        (2006.01)
B41J   2/44        (2006.01)
C03C  17/06        (2006.01)
B23K 101/42        (2006.01)
FI B23K 26/00 B
B23K 26/18
B41J 3/00 Q
C03C 17/06 Z
B23K 101:42
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2001-286403 (P2001-286403)
出願日 平成13年9月20日(2001.9.20)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成13年9月10日 社団法人精密工学会発行の「2001年度精密工学会秋季大会 学術講演会講演論文集」に発表
審査請求日 平成15年11月28日(2003.11.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】池野 順一
個別代理人の代理人 【識別番号】100099265、【弁理士】、【氏名又は名称】長瀬 成城
審査官 【審査官】松本 公一
参考文献・文献 特開平11-217237(JP,A)
特開平05-136471(JP,A)
手島浩平ら5名,レーザカラーマーキングに関する研究~金色マーキングの実現~,2001年度精密工学会秋季大会 学術講演会講演論文集,日本,社団法人精密工学会,2001年 9月10日,第612ページ
調査した分野 B23K 26/00-26/42
B41J 3/00
B41J 2/44
C03C 17/00-17/06
特許請求の範囲 【請求項1】
金属コロイドを混入した塗料、染料、あるいはガラス体のいずれか一つの液体を被加工材料に塗布し、塗布液体あるいは塗布後の乾燥液体にレーザ光線を被加工材料上で照射して金属コロイドを凝集させ、所定の模様からなるカラーマーキングを行うことを特徴とするレーザカラーマーキング方法。
【請求項2】
レーザ光線に対して透明な被加工材料中に金属コロイドを混入し、この材料にレーザ光線を照射し、金属コロイドを凝集させることによりカラーマーキングを行うことを特徴とするレーザカラーマーキング方法。
【請求項3】
前記レーザ光線を被加工材料上で走査して所定の模様を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザカラーマーキング方法。
【請求項4】
前記所定の模様が被加工材料に形成する配線であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のレーザカラーマーキング方法。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノレベルのサイズを有する金属コロイドを含有する塗料(液体)を被加工物上に塗布しその上にレーザ光線を照射して、あるいは乾燥させた塗料の上からレーザ光線を照射して該金属コロイドを凝集させ、金色を始め様々な発色をさせてマーキングあるいは配線として活用するレーザカラーマーキング方法およびその装置に関するものである。また、レーザ光線に対して透明な材料中に金属コロイドを混入し、この材料にレーザ光線を照射することで金属コロイドを凝集させマーキングを行うレーザカラーマーキング方法に関するものである。特に利用分野としては、従来からレーザカラーマーキングを用いている自動車産業、IT産業、電子部品産業などの広い分野での利用が可能である。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ナノレベルのサイズを有する金属コロイドは、凝集体を形成することで様々な色を発することが知られている。たとえば金コロイドは凝集することで530nmの波長を吸収し、赤色を発する。また、銀コロイドでも黄色の発色が知られている。しかも凝集体の大きさにより変色することも知られており興味深い。
【0003】
ところで、金属コロイドを混入させた塗料をガラスに塗り、炉内で加熱しカラーグラスを作ることが現在の技術で可能である。しかし数工程を経て炉内で高温加熱するなど多くの手間と時間を要するのが現状であり、ガラス以外の低軟化点を有する材料や製品の一部に着色するには不向きであった。
【0004】
また、レーザ光線で材料表面を除去もしくは変形、変質させることでマーキングを行う技術も知られており、現在このレーザマーキングは二次元の文字情報、バーコードなどの刻印に使用されている。
一方、近年ではガラス内部に微小クラックなどを発生させて三次元にマーキングする手法も開発されている。これによりレーザマーキングにおける情報量が増加し、マーキングの新たな用途が模索され始めている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の背景の中で、本発明は金属コロイド粒子を含有する塗料(液体)を被加工物に塗布した状態(あるいは塗布した後乾燥させた状態)でレーザ光線を該塗料(液体)に照射すると、金属コロイド粒子が凝集し、金色を始めとする様々な発色が起こるという新しい知見に基づいてなされたものである。
この知見に基づいて本発明者らは、現在までに、レーザ光線照射条件によってコロイド凝集サイズがコントロールできることやコロイドの種類をブレンドして変色させることに成功した。さらに金属コロイドの場合、レーザ光線照射条件によっては凝集現象が強く生じて金属色になることも見いだしている。金コロイドを使用した場合、ガラスなどの基板上に金色レーザマーキングが可能である。
【0006】
本発明に係るレーザカラーマーキング法は従来技術としては皆無であり、また,従来より存在しているレーザマーキング法のように、材料に刻印したり、あるいは材料の変質で変色させてマーキングを行う方法とはマーキング方法が明らかに相違している。
【0007】
また、このカラーマーキングは配線としても利用することができる。またカラーマーキングによってバーコードなどの情報記憶への利用に関して情報量が飛躍的に増大するためその分有効である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明が採用した技術解決手段は、
金属コロイドを混入した塗料、染料、あるいはガラス体のいずれか一つの液体を被加工材料に塗布し、塗布液体あるいは塗布後の乾燥液体にレーザ光線を被加工材料上で照射して金属コロイドを凝集させ、所定の模様からなるカラーマーキングを行うことを特徴とするレーザカラーマーキング方法である。
また、レーザ光線に対して透明な被加工材料中に金属コロイドを混入し、この材料にレーザ光線を照射し、金属コロイドを凝集させることによりカラーマーキングを行うことを特徴とするレーザカラーマーキング方法である。
また、前記レーザ光線を被加工材料上で走査して所定の模様を形成することを特徴とするレーザカラーマーキング方法である。
また、前記所定の模様が被加工材料に形成する配線であることを特徴とするレーザカラーマーキング方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明すると、図1は本発明に使用するレーザカラーマーキング装置の概念図、図2は金属コロイドが凝集する様子を説明する図、図3は同装置によって作成したマーキング例である。
【0010】
図において、1はレーザ装置、2はビーム走査装置、3は基板(被加工物)、4は基板上に塗布された塗料であり、本装置は図に示すような配置構成となっている。
【0011】
基板上には金属コロイドの混入した塗料が塗られている。なお金属コロイドを混入する塗料の代わりに液体(例えば染料など、あるいはガラス体)を使用することもできる。レーザ光線はビーム走査装置〔X方向にビームを振らすミラー(ガルバノミラー)、Y方向にビームを振らすミラー(ガルバノミラー)〕で反射され必要に応じて集光レンズを介してマーキングを行う被加工物表面に照射される。
【0012】
この時前記ミラーの振り角を高速で制御することでレーザ光線を光学ガラス上で所定形状にスキャンする。レーザ光線を照射すると、図2に示すようにそれにより塗料と基板が瞬時に熱せられ、金属コロイドの凝集現象が生じて発色する。こうして基板上に塗布した塗料上をレーザ光線でスキャンするだけで簡単に所望の形状からなるマーキングを実現することができる。なお、スキャンによる方法に変えて、被加工物を載置したステージを公知の手段で高速で動かすか、あるいはレーザ光線を液晶パネルを用いて走査させてもスキャンと同様のマーキングを行うことができる。
【0013】
図3に本レーザカラーマーキング法によって加工したマーキングの例を示す。この例では、基板にはソーダガラスを使用し、レーザにはYAGレーザ(波長1.06μm、出力50WMAX)を使用した。
【0014】
つづいて本発明の実験例を説明する。
実験方法
塗料をソーダガラス上に塗布し、その後150°Cで5分間乾燥させてから図1に示すようにレーザ光線を照射した。使用したレーザ光線はQ-SW 、YAGレーザ(λ=1.06μm)である。レーザ出力:0.6W~5.4W、Q-SW周波数:10kHz~50kHz、ビーム走査速度:10mm/s~100mm/s、照射回数:1回の条件の範囲内で実験を行った。
【0015】
塗料としてコロイド分散膜ハイカラーT(三ツ星ベルト社製、登録商標)を使用し、塗料の成分および含有量は、金コロイド1wt%、有機金属コロイド29wt%、セルロース樹脂5wt%、テレピネオール23wt%、1-ドデセン42wt%である。液体では分散した金コロイドがλ=530nmの波長を吸収するため、赤紫色をしているが、700°Cで3分間熱処理を行うと、金コロイドのほかにTi、Agコロイドが凝集して緑に発色する特性を有している。
【0016】
実験結果
照射実験
0.6W出力で照射した場合,Q-SW周波数、ビーム走査速度に関係なく塗料が蒸発してしまいマーキングができなかった。そこで3.2Wの出力で照射するとガラス表面に金の発色が確認され金色でマーキングができることを見いだした。光学顕微鏡を用いて観察した結果、発色部ではガラスが溶融しておりその中に金コロイドが含まれていることが分かった。
【0017】
発色の条件
発色条件を調査した結果を図4にしめす。これにより出力3.2W以上,Q-SW周波数20kHz以上、ビーム走査速度40mm/s~60mm/sにおいて、金の発色が確認された。また出力を大きくし、5.4Wでレーザ照射を行うと、金コロイドがガラス表面から内部に浸透する量が多くなりしっかりと固着することが分かった。
【0018】
品質の検討
本マーキングはガラス表面の局部的な溶融を伴うため条件によってはクラックが発生してしまった。そこでクラックの発生状況を調査した。図4よりクラックが発生しない条件は出力5.4W、Q-SW周波数40kHz、ビーム走査速度40mm/s以上の時であることが分かった。
【0019】
以上の結果より、出力5.4W、Q-SW周波数40kHz、ビーム走査速度40mm/s~60mm/sの条件でレーザ照射を行うことにより、金が鮮やかに発色し、クラックの発生しない高品質なマーキングが可能であった。
【0020】
以上のように、本発明ではレーザ光線を用いることで局部に瞬時に金属コロイドを凝集させ発色させることが可能である。しかもレーザ光線は自在に走査できるため、着色度の自由度も広がり、さらに、いままで不可能であったコロイド金属色の発色もレーザ光線を用いれば容易に実現することができる。また、被加工材料の表面に金属コロイドを混入した液体を塗布し、塗布した液体にレーザ光線を配線形状に合わせて照射して金属コロイドを配線に合わせて凝集することで簡単に被加工材料上に配線を形成することができる。
【0021】
なお本発明の実施形態において、金属コロイドを混入する液体は塗料に限定することなく例えば染料、あるいはレーザ光線に対して透明なガラス体等広い概念を含む液体を使用することができる。また、ガラス体あるいはレーザ光線に対して透明な材料の中に金属コロイドを混入し(材料製造時において金属コロイドを分散させておくことも可能)、液体のままあるいは固化させた状態でレーザ光線を照射することにより、ガラス体内あるいはレーザ光線に対して透明な材料内、さらにはそれぞれの表面において金属コロイドを凝集し、3次元のカラーマーキングを行うこともできる。さらにレーザの照射方法により深さ方向での金属コロイドの凝集状態を変えることが可能であり、立体的なカラーマーキングあるいは配線を実現できる。また金属コロイドとしては、上記した例に限らず種々の金属コロイドを使用することができる。また塗料中には種々の金属コロイドを同時に混入し、発色する色を変えることができる。
またレーザ光線はパルスレーザあるいは連続発振レーザを使用することもできる。
【0022】
さらに、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいかなる形でも実施できる。そのため、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず限定的に解釈してはならない。
【0023】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、
様々な製品にカラーマーキングが容易に高速に自在にできる。
金属色を発色させてマーキングができる。
金属色マーキングを配線に利用することができる。
ガラス体やレーザ光線にたいして透明な材料を使用した場合には容易に3次元マーキングを行うことができる。
等の優れた効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用するレーザカラーマーキング装置の構成図である。
【図2】金属コロイドが凝集する様子を説明する図である。
【図3】同装置によって作成したマーキング例を示す図である。
【図4】レーザ照射条件が発色、品質に及ぼす影響を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザ装置
2 ビーム走査装置
3 基板(被加工物)
4 基板上に塗布された塗料
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3