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明細書 :測定装置、測定システム及び測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-214275 (P2016-214275A)
公開日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発明の名称または考案の名称 測定装置、測定システム及び測定方法
国際特許分類 A63B  71/06        (2006.01)
FI A63B 71/06 S
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2015-098814 (P2015-098814)
出願日 平成27年5月14日(2015.5.14)
発明者または考案者 【氏名】熊澤 典良
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
審査請求 未請求
要約 【課題】大がかりな設備を必要とすることなく、一人で測定を行うことができる測定装置、測定システム及び測定方法を提供する。
【解決手段】加速度センサ11は、加速度を検出する。スピーカ2は、音声を出力する。マイクロコンピュータ15は、測定開始の操作がなされると、スピーカ2にスタート準備を促す音を出力させた後、スタートを促す号砲音を出力させるとともに加速度センサ11での加速度の検出を開始し、スピーカ2が号砲音を出力してから加速度センサ11で検出される加速度が閾値を超えるまでの時間を、スタート反応時間としてタイマで測定する。表示部3は、測定されたスタート反応時間を表示する。測定装置100は、被検者に装着されて用いられる。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
被検者によって操作可能な操作部と、
加速度を検出する加速度センサと、
音声を出力するスピーカと、
前記操作部において測定開始の操作がなされると、前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させた後、スタートを促す号砲音を出力させるとともに前記加速度センサでの加速度の検出を開始させ、前記スピーカが号砲音を出力してから前記加速度センサで検出される加速度が閾値を超えるまでの時間を、スタート反応時間として測定する制御部と、
前記制御部で測定されたスタート反応時間を表示する表示部と、
を備え、
被検者に装着されて用いられる測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させてから号砲音を出力するまでのスタート時間を、乱数に基づいて決定し、
前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させてから、決定された時間を経過したときに号砲音を前記スピーカに出力させる、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記制御部は、
測定されたスタート反応時間が、規定時間を下回る場合には、不正スタートである旨を前記表示部又は前記スピーカにアラーム出力させる、
請求項1又は2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記スピーカに号砲音を出力させてから、測定終了条件を満たすまで、前記加速度センサで検出された加速度を周期的に算出して、記憶する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項5】
外部から送信させる赤外線を受光する受光部を備え、
前記制御部は、
前記スピーカに号砲音を出力させてから、前記受光部で赤外線が受光されるまでの時間を記憶する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置と、
被検者の通路に直交する方向に赤外線を送信する赤外線送信機と、
を備える測定システム。
【請求項7】
前記赤外線送信機には、
赤外線の出射口の前記通路のスタート地点側の縁部に赤外線の拡散を制限する金属板が設けられている、
請求項6に記載の測定システム。
【請求項8】
被検者に装着された測定装置に内蔵されたスピーカが、スタートを促す号砲音を出力するステップと、
前記測定装置に内蔵された加速度センサが、加速度を検出するステップと、
前記測定装置に内蔵されたマイクロコンピュータが、号砲音が出力されてから前記加速度が閾値を超えるまでの時間をスタート反応時間として測定するステップと、
前記測定装置に内蔵された表示部が、スタート反応時間を表示するステップと、
を含む測定方法。
【請求項9】
被検者に装着された測定装置に内蔵されたスピーカが、スタートを促す号砲音を出力するステップと、
号砲音が出力されてから測定終了条件を満たすまでの間、前記測定装置に内蔵された加速度センサで検出された加速度の時系列データを記憶装置に記憶するステップと、
前記スピーカがスタートを促す号砲音を出力してから、前記測定装置に内蔵された受光部で赤外線を受光するまでの時間を記憶装置に記憶するステップと、
を含む測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、測定装置、測定システム及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、陸上競技において、選手の練習等をサポートする測定システムが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2011-172895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の測定システムは、トラックの周辺に複雑で大がかりな設備が必要となる。また、一人で測定を行うのが困難である。
【0005】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、大がかりな設備を必要とすることなく、一人で測定を行うことができる測定装置、測定システム及び測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、この発明の第1の観点に係る測定装置は、
被検者によって操作可能な操作部と、
加速度を検出する加速度センサと、
音声を出力するスピーカと、
前記操作部において測定開始の操作がなされると、前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させた後、スタートを促す号砲音を出力させるとともに前記加速度センサでの加速度の検出を開始させ、前記スピーカが号砲音を出力してから前記加速度センサで検出される加速度が閾値を超えるまでの時間を、スタート反応時間として測定する制御部と、
前記制御部で測定されたスタート反応時間を表示する表示部と、
を備え、
被検者に装着されて用いられる。
【0007】
前記制御部は、
前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させてから号砲音を出力するまでのスタート時間を、乱数に基づいて決定し、
前記スピーカにスタート準備を促す音を出力させてから、決定された時間を経過したときに号砲音を前記スピーカに出力させる、
こととしてもよい。
【0008】
前記制御部は、
測定されたスタート反応時間が、規定時間を下回る場合には、不正スタートである旨を前記表示部又は前記スピーカにアラーム出力させる、
こととしてもよい。
【0009】
前記制御部は、
前記スピーカに号砲音を出力させてから、測定終了条件を満たすまで、前記加速度センサで検出された加速度を周期的に算出して、記憶する、
こととしてもよい。
【0010】
外部から送信させる赤外線を受光する受光部を備え、
前記制御部は、
前記スピーカに号砲音を出力させてから、前記受光部で赤外線が受光されるまでの時間を記憶する、
こととしてもよい。
【0011】
本発明の第2の観点に係る測定システムは、
本発明の第1の観点に係る測定装置と、
被検者の通路に直交する方向に赤外線を送信する赤外線送信機と、
を備える。
【0012】
前記赤外線送信機には、
赤外線の出射口の前記通路のスタート地点側の縁部に赤外線の拡散を制限する金属板が設けられている、
こととしてもよい。
【0013】
本発明の第3の観点に係る測定方法は、
被検者に装着された測定装置に内蔵されたスピーカが、スタートを促す号砲音を出力するステップと、
前記測定装置に内蔵された加速度センサが、加速度を検出するステップと、
前記測定装置に内蔵されたマイクロコンピュータが、号砲音が出力されてから前記加速度が閾値を超えるまでの時間をスタート反応時間として測定するステップと、
前記測定装置に内蔵された表示部が、スタート反応時間を表示するステップと、
を含む。
【0014】
本発明の第4の観点に係る測定方法は、
被検者に装着された測定装置に内蔵されたスピーカが、スタートを促す号砲音を出力するステップと、
号砲音が出力されてから測定終了条件を満たすまでの間、前記測定装置に内蔵された加速度センサで検出された加速度の時系列データを記憶装置に記憶するステップと、
前記スピーカがスタートを促す号砲音を出力してから、前記測定装置に内蔵された受光部で赤外線を受光するまでの時間を記憶装置に記憶するステップと、
を含む。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、被検者が測定装置を装着し操作するだけで、スタートの練習を行うことができる。そのため、大がかりな設備を必要とすることなく、一人で測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施の形態に係る測定装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、図1の測定装置の被検者への装着形態の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る測定装置の構成を示すブロック図である。
【図4】マイクロコンピュータのハードウエア構成を示すブロック図である。
【図5】マイクロコンピュータによって実行されるプログラムによって実現される機能構成を示すブロック図である。
【図6】スタート反応時間の一例を示すグラフである。
【図7】フライングと判定される場合を示すグラフである。
【図8】赤外線送信機の外観を示す斜視図である。
【図9】図9(A)は、赤外線送信機から送信される赤外線信号の信号パターンを示すグラフである。図9(B)は、周期的に送信される赤外線信号の信号パターンを示すグラフである。
【図10】赤外線送信機の配置例を示す図である。
【図11】図11(A)は、加速度検出部で検出される加速度の時間変化の一例を示すグラフである。図11(B)は、赤外線の受光結果の一例を示すグラフである。
【図12】本発明の一実施の形態に係る測定装置を構成するマイクロコンピュータで実行されるプログラムのフローチャート(その1)である。
【図13】本発明の一実施の形態に係る測定装置を構成するマイクロコンピュータで実行されるプログラムのフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、陸上短距離走の練習に用いられる測定装置について説明する。

【0018】
図1には、本発明の実施の形態に係る測定装置100の外観が示されている。図1に示すように、測定装置100は、例えば樹脂等で形成された略直方体状の筐体1を有する。筐体1は、被検者としての陸上短距離の選手に装着し易いように平板状となっている。

【0019】
筐体1上には、スピーカ2と、表示部3と、赤外線受光部4と、スイッチ5、6とが設けられている。スピーカ2は音声を出力する。表示部3は、各種情報を表示出力する。赤外線受光部4は、外部から入射する赤外線を受光する。スイッチ5、6は、測定装置100を操作するためのスイッチである。測定装置100の小型化のため、スピーカ2、表示部3、赤外線受光部4には、小型で薄いものが用いられる。

【0020】
図2(A)及び図2(B)には、被検者への測定装置100の装着形態が示されている。図2(A)に示すように、測定装置100は、ヘアバンド7で被検者Mの頭部に装着して用いることができる。また、図2(B)に示すように、測定装置100は、アームバンド8で被検者Mの上腕部に装着して用いることもできる。この他、被検者Mの帽子やサングラス等に測定装置100を取り付けるようにしてもよいし、また、背中の肩甲骨の裏に測定装置100を装着するようにしてもよい。このように、測定装置100は、被検者Mの運動の邪魔にならない位置に装着するのが望ましい。

【0021】
図3には、本実施の形態1に係る測定装置100の構成が示されている。図3に示すように、測定装置100は、スピーカ2、表示部3、赤外線受光部4に加え、操作部10と、加速度センサ11と、バッテリ12と、マイクロコンピュータ15と、を備える。

【0022】
スピーカ2は、マイクロコンピュータ15から出力された音声信号に基づく音声を出力する。音声には、例えば、スタートの準備を促す「位置に付いて(On Your Marks)」及び「用意(Set)」という音声や、スタートを促す号砲音(Bang!)などがある。スピーカ2の音量は、装着した被検者Mが認識できる程度の音量でよい。

【0023】
表示部3は、マイクロコンピュータ15から出力された画像信号に基づいて画像を表示出力する。表示部3としては、例えば液晶表示素子や有機EL素子を用いることができる。

【0024】
赤外線受光部4は、受光した赤外線信号に対応する信号をマイクロコンピュータ15に出力する。赤外線受光部4としては、一般的に電気機器のリモートコントローラに採用されているものを適用することができる。

【0025】
操作部10は、図1のスイッチ5、6をまとめたものである。操作部10は、スイッチ5、6が操作されると、操作が行われたことを示す信号をマイクロコンピュータ15に入力する。スイッチ5、6により、測定開始、一旦停止、再開、リセットなどの操作が可能となる。

【0026】
加速度センサ11は、被検者Mに生じる加速度を検出し、その加速度を示す信号をマイクロコンピュータ15に出力する。加速度センサ11としては、水平2軸及び垂直方向の3軸方向の加速度をそれぞれ検出可能なものを用いることができる。このとき、トラックの方向に合わせて、陸上短距離走のスタート地点からゴール地点に向かう方向や上下方向の感度が大きくなるように、加速度センサ11を調整するようにしてもよい。

【0027】
バッテリ12は、測定装置100を構成する各部に電力を供給する。バッテリ12は、単三電池等であってもよい。

【0028】
マイクロコンピュータ15は、情報処理装置、すなわちコンピュータである。マイクロコンピュータ15は、操作部10、加速度センサ11、赤外線受光部4からの信号を入力し、入力された信号に基づいて、ソフトウエアプログラムを実行し、ソフトウエアプログラムの実行結果に従って、スピーカ2に音声信号を出力し、表示部3に画像信号を出力する。

【0029】
図4には、マイクロコンピュータ15のハードウエア構成が示されている。図4に示すように、マイクロコンピュータ15は、CPU(Central Processing Unit)20と、メモリ21と、記憶部22と、タイマ23と、操作部I/F(インターフェイス)24と、加速度センサI/F25と、赤外線I/F26と、スピーカI/F27と、表示部I/F28と、を備える。マイクロコンピュータ15の各構成要素は、内部バス30を介して接続されている。

【0030】
CPU20は、ソフトウエアプログラム(以下、単に「プログラム」とする)を実行するプロセッサである。メモリ21には、記憶部22からプログラムが読み込まれ、CPU20は、メモリ21に格納されたプログラムを実行することにより、情報処理を行う。

【0031】
メモリ21は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メモリ21には、CPU20によって実行されるプログラムが記憶される他、CPU20によりプログラムの実行で必要なデータ、プログラムの実行の結果生成されるデータが記憶される。

【0032】
記憶部22は、例えばハードディスク等である。記憶部22は、CPU20により実行されるプログラムが記憶される。記憶部22に格納されたプログラムは、メモリ21に読み込まれ、CPU20は、メモリ21に読み込まれたプログラムを実行する。また、記憶部22には、プログラムの実行に用いられるデータが記憶されており、プログラムの実行により得られたデータ等が記憶される。

【0033】
タイマ23は計時を行う。タイマ23による計時は、陸上短距離走、例えば100m走のタイム測定に求められる精度で行われる。測定精度が1/100秒まで求められている場合には、タイマ23は、0.01秒単位での測定が可能となる分解能を有する必要がある。

【0034】
操作部I/F24は、操作部10(スイッチ5、6)と接続されたインターフェイスである。操作部I/F24は、スイッチ5、6の操作による電気信号をCPU20に出力する。

【0035】
加速度センサI/F25は、加速度センサ11と接続されたインターフェイスである。加速度センサI/F25は、加速度センサ11から入力された加速度を示す信号をCPU20に出力する。

【0036】
赤外線I/F26は、赤外線受光部4と接続されたインターフェイスである。赤外線I/F26は、赤外線受光部4で受光された赤外線の信号に対応する電気信号をCPU20に出力する。

【0037】
スピーカI/F27は、スピーカ2と接続されたインターフェイスである。スピーカI/F27は、CPU20から出力された音声データ信号を、スピーカ2へ出力する。これにより、スピーカ2から、音声データ信号に基づく音声が出力される。

【0038】
表示部I/F28は、表示部3と接続されたインターフェイスである。表示部I/F28は、CPU20から出力された画像信号を、表示部3に出力する。これにより、表示部3には、その画像信号に基づく画像が表示される。

【0039】
図5は、マイクロコンピュータ15によって実行されるプログラムによって実現される機能構成が示されている。図5に示すように、実現されるソフトウエア構成は、スタート出力部40と、スタート反応時間測定部41と、フライング判定部42と、加速度検出部43と、到達時間測定部44と、に大別される。

【0040】
スタート出力部40は、操作部10により測定開始の操作がなされると、動作を開始する。スタート出力部40は、スピーカ2にスタート準備を促す音を出力させた後、スタートを促す号砲音を出力させるとともに加速度センサ11での加速度の検出を開始させる。スタート準備を促す音及び号砲音の音声データは、記憶部22に記憶されている。スタート出力部40においては、CPU20は、これらの音声データを記憶部22からメモリ21に読み込んで、音声データに対応する音声信号を、スピーカI/F27を介してスピーカ2に出力する。スタート出力部40の動作は、図4に示すCPU20、メモリ21、記憶部22、タイマ23、操作部I/F24、加速度センサI/F25及びスピーカI/F27の連携動作によって実現される。

【0041】
スタート出力部40は、スピーカ2がスタート準備を促す音を出力してから号砲を発するまでのスタート時間を、乱数に基づいて決定する。スタート出力部40は、スピーカ2にスタート準備を促す音を出力させてから、タイマ23が決定された時間を計時したときに、号砲音をスピーカ2に出力させる。

【0042】
具体的には、スピーカ2がスタート準備を促す音を出力してから号砲を発するまでのスタート時間を、1.4秒+α秒とし、今回のα秒を、乱数を用いて求めればよい。これにより、スタート準備から号砲音が出力されるまでの時間は、1.4秒~1.7秒の間でランダムにばらつくことになる。号砲音の出力時点にばらつき(ゆらぎ)を持たせることで、実際の競技のスタート時の状況と同じ状況を再現することができるので、スタートの練習効果を高めることができる。

【0043】
スタート反応時間測定部41は、スピーカ2が号砲音を出力してから加速度センサ11で検出される加速度が閾値を超えるまでの時間を、スタート反応時間としてタイマ23を用いて測定する。例えば、図6に示すように、号砲音が鳴ってから加速度が閾値Thを超えるまでの時間TRが、スタート反応時間となる。スタート反応時間測定部41の動作は、図4に示すCPU20、メモリ21、記憶部22、タイマ23、加速度センサI/F25及び表示部I/F28の連携動作によって実現される。

【0044】
フライング判定部42は、測定されたスタート反応時間が規定時間を下回る場合には、不正スタートである旨を表示部3に出力させる。規定時間としては、例えば、0.1秒とすることができる。この0.1秒は、号砲音に対して人間が反応できる最小時間であると考えられている。例えば、図7に示すように、スタート反応時間TRが0.1秒を下回る場合には、その反応は、号砲音を聞いて被検者Mが反応したものではないため、フライングとなる。フライング判定部42は、図4に示すCPU20、メモリ21、記憶部22及び表示部I/F28の連携動作によって実現される。

【0045】
加速度検出部43は、スピーカ2によって号砲音が出力されてからタイム測定が終了するまで、加速度センサ11で検出された加速度を記憶する。このようにして、記憶部22に加速度の時系列データが記憶される。加速度検出部43は、図4に示すCPU20、メモリ21、記憶部22、タイマ23、加速度センサI/F25の連携動作によって実現される。

【0046】
到達時間測定部44は、赤外線受光部4で赤外線が受光されたときにタイマ23が計時した時間を記憶する。到達時間測定部44は、図4に示すCPU20、メモリ21、記憶部22、タイマ23、赤外線I/F26の連携動作によって実現される。

【0047】
到達時間測定部44が機能するためには、外部から赤外線を測定装置100に送信する送信機が必要となる。図8には、本発明の一実施の形態に係る通信システムに用いられる赤外線送信機200の外観が示されている。通信システムは、被検者Mに装着される測定装置100と、赤外線送信機200とを含んで構成される。図8に示すように、赤外線送信機200は、出射口50から一方向に赤外線を照射する。

【0048】
赤外線は、一般的には、出射後、約±8度で広がっていくことが知られている。この広がりは、トラックの幅方向における測定誤差を生じさせる。このため、出射口50の片側には金属板51が設けられている。金属板51は、出射口50から出射される赤外線の広がりを制限する。この制限により、トラックの幅方向における測定誤差を低減することができる。

【0049】
赤外線送信機200は、符号化された赤外線信号を送信する。図9(A)には、その符号化された赤外線信号の信号パターンが示されている。図9(A)に示すように、赤外線信号は、ハイレベル(H)とローレベル(L)とを繰り返すデジタル信号となっている。このデジタル信号の1ビット分の時間間隔はT1となっている。T1は例えば600μ秒である。

【0050】
赤外線信号は、リーダ部と、データ部と、ストップビットとから構成される。

【0051】
リーダ部は、赤外線信号の先頭を示すデータである。図9(A)に示す例では、リーダ部は、ハイレベルのビット信号が3つ連続し、ローレベルのビット信号が1つの信号パターンを有するが、リーダ部の信号パターンは、図9(A)とは異なるものであってもよい。

【0052】
データ部は、赤外線信号の内容を示すデータである。このデータ部には、様々な情報を含めることができる。例えば、スタート地点から何番目の赤外線送信機200であるかなどの情報を格納することができる。

【0053】
ストップビットは、赤外線信号の最後尾を示すデータであり、ハイレベルの1ビットの信号とローレベルの信号とから構成される。

【0054】
一度に送信される赤外線信号の送信時間は、T2である。図9(B)に示すように、赤外線送信機200は、この赤外線信号B1、B2、B3、…を一定の周期T3で連続的に送信する。周期T3は、T2に比べ、十分な大きさとなっており、例えば8.4m秒である。この周期T3は、測定に求められる時間の分解能に基づいて定められる。例えば、1/100秒が求められる時間の分解能であれば、赤外線信号の周期T3は、1/100秒よりも小さくなる。

【0055】
図10は、赤外線送信機200の配置の一例が示されている。ここでは、赤外線送信機200は、送信される赤外線の進行方向が、トラックにおける被検者Mの進行方向と直交するように配置される。図10に示す例では、赤外線送信機200が2台置かれ、1台はスタートとゴールの間の50m地点に置かれ、もう1台はゴール地点(100m)に置かれている。赤外線が送信される地点を被検者Mが通ると、測定装置100で赤外線が受光され、被検者Mがその地点に到達した時間を測定装置100で検出可能となる。ここでは、被検者Mがスタート地点から50mの地点に到達したときに、測定装置100により、1回目の赤外線が受光され、被検者Mがゴール地点に到達したときに、測定装置100により、2回目の赤外線が受光されるようになる。この場合、測定終了条件となる予定回数は、2となる。この予定回数は、操作部10により設定して、記憶部22に記憶しておくことが可能である。

【0056】
各赤外線送信機200では、金属板51は、出射口50の縁部のトラックのスタート地点側に設置される。このようにすれば、スタート地点側の赤外線の広がりを制限して、トラックの幅方向に関する赤外線の検出の時間差をなくし、赤外線によるその地点への到達時間の検出精度を高めることができるようになる。

【0057】
図11(A)には、加速度検出部43によって競技中に検出される加速度の時間変化の一例が示されている。図11(B)には、赤外線送信機200から送信される赤外線の受光結果の一例が示されている。図11(A)及び図11(B)に示すように、両者のデータを組み合わせることにより、特定の区間における加速度の時系列データを用いた評価を行うことができる。

【0058】
次に、本発明の実施の形態1に係る測定装置100の動作について説明する。図12、図13には、測定装置100のマイクロコンピュータ15で実行されるプログラムの処理が示されている。

【0059】
まず、マイクロコンピュータ15は、測定が開始されるまで待つ(ステップS1;No)。スイッチ5が押され、測定開始の操作がなされると(ステップS1;Yes)、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、乱数を用いて、スタート準備から号砲音が出力されるまでのスタート時間を決定する(ステップS2)。

【0060】
続いて、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、所定の時間が経過するまで待つ(ステップS3;No)。所定の時間として、被検者Mがスイッチ5を押してから、スタートの準備を整えるまでに十分な時間が規定されている。所定の時間が経過すると(ステップS3;Yes)、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、スピーカ2に「On Your Marks」、「Set」というスタート準備音を出力させる(ステップS4)。

【0061】
続いて、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、決定されたスタート時間が経過するまで待つ(ステップS5;No)。スタート時間が経過すると(ステップS5;Yes)、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、スピーカ2に号砲音を出力させる(ステップS6)。さらに、マイクロコンピュータ15(スタート出力部40)は、加速度センサ11で検出される加速度のモニタを開始する(ステップS7)。これ以降、マイクロコンピュータ15(加速度検出部43)は、加速度センサ11で検出された加速度を、一定のサンプリング周期で周期的に取得して、記憶部22に格納する。

【0062】
続いて、マイクロコンピュータ15(スタート反応時間測定部41)は、加速度センサ11で検出される加速度が閾値Thを超え、スタートを検出するまで待つ(ステップS8;No)。加速度が閾値Thを超え、スタートが検出されると(ステップS8;Yes)、マイクロコンピュータ15(スタート反応時間測定部41)は、号砲音が出力されてから、スタートが検出されるまでの時間をスタート反応時間TRとして記憶部22に記憶する(ステップS9)。

【0063】
続いて、マイクロコンピュータ15(フライング判定部42)は、スタート反応時間TRが、規定時間(0.1秒)を下回り、フライングであるか否かを判定する(ステップS10)。フライングと判定された場合(ステップS10;Yes)、マイクロコンピュータ15(フライング判定部42)は、スピーカ2又は表示部3にフライングであったというアラーム出力を行って(ステップS11)、処理を終了する。

【0064】
フライングと判定されなかった場合(ステップS10;No)、図13に進み、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、赤外線受光部4での受光の結果得られる信号パターンが、図9(A)に示すビットパターンとなり、赤外線が受光されるまで待つ(ステップS20;No)。赤外線が受光されると(ステップS20;Yes)、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、受光時間を記憶する(ステップS21)。

【0065】
続いて、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、予定回数が終了したか否かを判定する(ステップS22)。予定回数が終了していなければ(ステップS22;No)、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、赤外線が受光されるまで待つ(ステップS20;No)。赤外線が受光されると(ステップS20;Yes)、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、受光時間を記憶する(ステップS21)。このようにして、予定回数が終了しなければ(ステップS22;No)、マイクロコンピュータ15は、赤外線受光判定(ステップS20)と、受光時間の記憶(ステップS21)を繰り返す。予定回数が終了すると(ステップS22;Yes)、マイクロコンピュータ15(加速度検出部43)は、加速度検出を終了する(ステップS23)。続いて、マイクロコンピュータ15(到達時間測定部44)は、各種データを記憶部22に記憶し(ステップS24)、処理を終了する。

【0066】
本実施の形態では、測定終了条件は、赤外線の受光回数が予定回数に達することであった。しかしながら、本発明はこれには限られず、操作部10で測定終了操作が行われたことを測定終了条件としてもよいし、ゴール地点に設置された赤外線送信機200から送信ンされた赤外線を受光することを測定終了条件としてもよい。

【0067】
以上の処理により、スタート地点から赤外線送信機200による赤外線が送信される地点まで到達した時間と、スタート地点からゴール地点まで到達する間に加速度センサ11で検出された加速度の時系列データとが記憶部22に記憶される。図11(A)及び図11(B)に示すように、これらのデータを照らし合わせることにより、加速度センサ11で検出された加速度の推移を距離換算で求めることができ、被検者の運動状態の解析に役立てることができる。例えば、図11(A)に示す例では、50m地点から100m地点での加速度が負となっている。この場合、この被検者Mの走力の課題が、50m地点から100m地点でスピードを持続することにあることを容易に求めることができる。

【0068】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、被検者Mが測定装置100を装着し操作するだけで、スタートの練習をすることができる。そのため、大がかりな設備を必要とすることなく、一人で測定を行うことができる。

【0069】
また、本実施の形態によれば、号砲音が出力されるタイミングをばらつかせることができるので、実際の競技におけるスタートの状況を再現した練習が可能となる。

【0070】
この測定装置100は被検者Mがスイッチを押すだけで動作可能であり、操作が簡単である。また、測定装置100は、構成が単純で、極めて安価に製造することができる。赤外線送信機200は、リモートコントローラとして用いられていることから極めて安価に製造することができるうえ、小型であるので、トラック周辺に設置しても邪魔にはならない。赤外線は符号化されているので、太陽光や他のリモートコントローラの影響を受けにくくなっている。

【0071】
この測定装置100を用いれば、練習中に、他の人にストップウォッチで測定してもらう必要はない。また、到着地点をレーザ等の高価で大がかりな装置で測定する必要もない。また、被検者Mの加速度を直接測定するので、移動距離と時間の関係から加速度を算出するよりも、被検者Mの走力を正確に解析することが可能となる。

【0072】
上記実施の形態では、赤外線送信機200の数を2台としたが、これには限られない。30m、40m、50m、…、100mと赤外線送信機200を配置して、それぞれの到達時間をきめ細かく測定するようにしてもよい。このようにすれば、被検者Mの弱点等をより詳細に解析することができる。

【0073】
従来は、レーザ光線を用いた遮蔽式や光電管方式の装置で被検者Mのスタート時間から各地点への到達時間を測定していた。本実施の形態に係る測定システムを用いれば、遮蔽式の装置に比べ設置が簡単となり、光電管式の装置に比べ、コストを数十分の1以下に抑えることができる。被検者Mの運動中の動画像やGPS(Grobal Positioning System)追跡により、被検者Mの移動を解析する技術も開発されているが、そのような大がかりなシステムを用いることなく、被検者Mの走力を詳細に分析評価することができる。

【0074】
なお、上記実施の形態では、陸上短距離に用いられる測定装置100について説明したが、測定装置100が用いられるのは陸上短距離に限られない。マラソンや10,000m等の長距離の競技の測定に用いられるようにしてもよい。また、競馬、モータスポーツ、水泳、アメリカンフットボール等の各種競技の練習に用いることも可能である。また、スポーツ以外の分野に限らず、移動体の動きの測定に本発明を用いることも可能である。移動体は人間に限られず、動物や乗り物であってもよい。

【0075】
また、この測定装置100と赤外線送信機200とを用いれば、トラックを何周したのかを自動的に算出することも可能である。

【0076】
その他、マイクロコンピュータ15のハードウエア構成やソフトウエア構成は一例であり、任意に変更および修正が可能である。

【0077】
例えば、測定装置100は、加速度センサ、スピーカ、タイマ及び赤外線受光部を内蔵するスマートフォン等の携帯端末であってもよい。

【0078】
マイクロコンピュータ15の処理を行う中心となる部分は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、前記の動作を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD-ROM、DVD-ROM等)に格納して配布し、当該コンピュータプログラムをコンピュータにインストールすることにより、前記の処理を実行するマイクロコンピュータ15を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置に当該コンピュータプログラムを格納しておき、通常のコンピュータシステムがダウンロード等することでマイクロコンピュータ15を構成してもよい。

【0079】
マイクロコンピュータ15の機能を、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションプログラムの分担、またはOSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。

【0080】
搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。たとえば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS, Bulletin Board System)にコンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、前記の処理を実行できるように構成してもよい。

【0081】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【符号の説明】
【0082】
1 筐体、2 スピーカ、3 表示部、4 赤外線受光部、5、6 スイッチ、7 ヘアバンド、8 アームバンド、10 操作部、11 加速度センサ、12 バッテリ、15 マイクロコンピュータ、20 CPU、21 メモリ、22 記憶部、23 タイマ、24 操作部I/F、25 加速度センサI/F、26 赤外線I/F、27 スピーカI/F、28 表示部I/F、30 内部バス、40 スタート出力部、41 スタート反応時間測定部、42 フライング判定部、43 加速度検出部、44 到達時間測定部、50 出射口、51 金属板、100 測定装置、200 赤外線送信機、M 被検者。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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