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明細書 :結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-221425 (P2016-221425A)
公開日 平成28年12月28日(2016.12.28)
発明の名称または考案の名称 結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末及びその製造方法
国際特許分類 B02C  23/06        (2006.01)
C08B   1/00        (2006.01)
FI B02C 23/06
C08B 1/00
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2015-107801 (P2015-107801)
出願日 平成27年5月27日(2015.5.27)
発明者または考案者 【氏名】荒木 潤
【氏名】有田 稔彦
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001047、【氏名又は名称】特許業務法人セントクレスト国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C090
4D067
Fターム 4C090AA04
4C090BA24
4C090BC08
4C090BD02
4C090BD23
4C090BD24
4C090CA01
4C090DA11
4C090DA32
4D067EE42
4D067GA11
4D067GA20
4D067GB05
要約 【課題】 角質化や凝集体の形成が十分に抑制され、水への再分散性に優れた粉末状のバイオナノウイスカーを容易に効率よく得ることができる結晶性バイオファイバーの粉砕方法を提供すること。
【解決手段】 低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する工程を含むことを特徴とする結晶性バイオファイバーの粉砕方法。
【選択図】 なし
特許請求の範囲 【請求項1】
低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程を含むことを特徴とする結晶性バイオファイバーの粉砕方法。
【請求項2】
前記結晶性バイオファイバーが微結晶セルロースであることを特徴とする請求項1に記載の結晶性バイオファイバーの粉砕方法。
【請求項3】
前記低誘電率有機溶媒がトルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶性バイオファイバーの粉砕方法。
【請求項4】
低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程の後に前記低誘電率有機溶媒を乾燥除去してバイオナノウイスカー含有粉末を得る乾燥工程と、
を含むことを特徴とするバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法。
【請求項5】
前記結晶性バイオファイバーが微結晶セルロースであることを特徴とする請求項4に記載のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法。
【請求項6】
前記低誘電率有機溶媒がトルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項4又は5に記載のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法。
【請求項7】
バイオナノウイスカーの含有量が20%以上であることを特徴とするバイオナノウイスカー含有粉末。
【請求項8】
請求項4~6のうちのいずれか一項に記載の製造方法により得られたものであることを特徴とするバイオナノウイスカー含有粉末。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース等の多糖類からなるバイオファイバーは、硬い、軽い、アスペクト比が大きい、原料資源が豊富であるという観点から、樹脂材料の充填材(フィラー)や増粘剤として用いられている。しかしながら、バイオファイバーは凝集しやすいという問題や、親水性であるために有機溶媒中や疎水性樹脂中において分散性が低いという問題を有していた。そのため、バイオファイバーの分散性をより高度に制御することを目的として、バイオファイバーを微細化する方法が提案されている。
【0003】
一般に、バイオファイバーは加熱による溶解が困難であること、乾式粉砕では凝集してしまうこと、凍結粉砕では高濃度での粉砕が困難であること、セルロースをはじめとするバイオファイバーは親水性であること等から、従来より、バイオファイバーの粉砕は水を分散媒とする分散液中で行われている。例えば、特開2005-270891号公報(特許文献1)には、水中でセルロースを粉砕する湿式粉砕方法が記載されている。しかしながら、このように水中でバイオファイバーを粉砕させ、水を除去するために単に乾燥させると、乾燥過程においてファイバー間に強固な水素結合が形成されるため、得られたファイバーどうしが結合して硬い粒子や膜が形成される現象(角質化:hornification)が起きるという問題を有していた。また、このように一度角質化したバイオファイバーは、親水性のバイオファイバーを原料としているにもかかわらず、バイオファイバーの特性のひとつである、水への優れた分散性が損なわれてしまう。そのため、従来からセルロースナノファイバーやナノウイスカー等の微細化されたバイオファイバーは水分散液の形態で流通しており、輸送コストがかかるといった問題も有していた。さらに、水中で粉砕させたバイオファイバーを樹脂材料の充填材等に用いる際には、水を有機溶媒に置換する工程が必要となるため、プロセスが煩雑になるという問題を有していた。
【0004】
水以外の分散媒を用いた粉砕方法としては、例えば、特開2009-261993号公報(特許文献2)において、有機溶媒中で多糖類を微細化する方法が記載されており、前記有機溶媒として氷酢酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミドを用いた例が記載されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2005-270891号公報
【特許文献2】特開2009-261993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本発明者らは、結晶性バイオファイバーを原料としてより微細なバイオナノウイスカーを得る際に、特許文献2の実施例で実際に用いられているような氷酢酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルアセトアミド等の分散媒を用いて粉砕した場合には、水を用いて粉砕した場合と同様に、乾燥時に角質化が起きてしまい、分散媒を単に乾燥除去させただけでは微細な粉末状のバイオナノウイスカーを得ることが困難であることを見い出した。また、特許文献1~2に記載されている方法では、結晶性バイオファイバーを高濃度で粉砕することが未だ困難であるために粉砕効率が劣ることや、高分子などによる表面修飾を施さないと得られた粉砕物が凝集しやすいことを本発明者らは見い出した。
【0007】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、角質化や凝集体の形成が十分に抑制され、水への再分散性に優れた粉末状のバイオナノウイスカーを容易に効率よく得ることができる結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末の製造方法及びそれによって得られるバイオナノウイスカー含有粉末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、低誘電率有機溶媒を分散媒として、前記低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕することで、高濃度で結晶性バイオファイバーを粉砕することができ、かつ、前記低誘電率有機溶媒を単に乾燥除去せしめるだけで、角質化や凝集体の形成が十分に抑制された微細な粉末状のバイオナノウイスカーを得ることができることを見い出した。さらに、このようにして得られるバイオナノウイスカーの粉末は、特別な処理を施さなくとも水への分散性に優れるという結晶性バイオファイバーの特性を維持できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の結晶性バイオファイバーの粉砕方法は、
低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程を含むことを特徴とするものである。また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法は、
低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕工程の後に前記低誘電率有機溶媒を乾燥除去してバイオナノウイスカー含有粉末を得る乾燥工程と、
を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本発明の結晶性バイオファイバーの粉砕方法及びバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法においては、前記結晶性バイオファイバーが微結晶セルロースであることが好ましく、また、前記低誘電率有機溶媒がトルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末は、バイオナノウイスカーの含有量が20%以上であり、また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法により得られたものであることを特徴とするものである。
【0012】
なお、本発明において、前記バイオナノウイスカーの含有量(単位:%)は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定されるものであり、任意の100個のバイオファイバー(バイオナノウイスカー及び必要に応じて結晶性バイオファイバー)について最長径及び最短径を測定し、断面が正方形の角柱と仮定して各バイオファイバーの体積を算出し、かかる体積に、結晶性バイオファイバー(結晶性多糖類)の結晶の比重を乗じることによって各バイオファイバーの質量を求め、バイオファイバーの合計質量に対するバイオナノウイスカーの合計質量の割合として得られるものである。また、本発明において、「重量%」の単位で示される含有量は、実際の重量を測定して求められるものである。
【0013】
本発明によって上記目的が達成されるようになる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明においては、セルロース等の多糖類から非晶部分を取り除いた結晶性バイオファイバーを低誘電率有機溶媒中で粉砕することにより、摩擦電気(静電力)によって前記結晶性バイオファイバーが前記低誘電率有機溶媒(分散媒)中に高度に分散され、かつ、分散媒中での膨潤が抑制された状態で粉砕されるため、濃度が比較的高くても前記結晶性バイオファイバーを十分に粉砕することができ、微細化されたバイオナノウイスカーを得ることが可能であると本発明者らは推察する。さらに、本発明においては、分散媒として前記低誘電率有機溶媒を用いることにより、乾燥時の水素結合による角質化が抑制され、かつ、毛細管現象によるファイバー間の凝集が抑制されるため、単に分散媒を乾燥させるだけで水への再分散性に優れたバイオナノウイスカー含有粉末を得ることが可能であると本発明者らは推察する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、角質化や凝集体の形成が十分に抑制され、水への再分散性に優れた粉末状のバイオナノウイスカーを容易に効率よく得ることができる結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末の製造方法及びそれによって得られるバイオナノウイスカー含有粉末を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図2A】実施例1で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2B】実施例1で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2C】実施例1で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1における粉砕前微結晶セルロースの走査型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例3で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】実施例6で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図6】実施例8で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図7A】実施例5で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図7B】実施例5で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図8】実施例5で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図9A】比較例2で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図9B】比較例2で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図10A】比較例3で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図10B】比較例3で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図11A】比較例5で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図11B】比較例5で得られた乾燥後の粉砕物の外観を撮影した写真である。
【図12】比較例3で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】比較例5で得られた乾燥後の粉砕物の走査型電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。本発明の結晶性バイオファイバーの粉砕方法は、低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程を含むことを特徴とする。また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法は、低誘電率有機溶媒中で結晶性バイオファイバーを粉砕する粉砕工程と、前記粉砕工程の後に前記低誘電率有機溶媒を乾燥除去してバイオナノウイスカー含有粉末を得る乾燥工程と、を含むことを特徴とする。

【0017】
<結晶性バイオファイバー>
本発明に係る結晶性バイオファイバーとは、結晶構造を含む多糖類から非晶部分を取り除いた繊維状の一次粒子或いはそれらの会合体を指す。前記多糖類としては、セルロース及びキチンが挙げられ、植物由来であっても微生物由来であっても人工的に合成されたものであってもよい。前記多糖類から非晶部分を取り除く方法としては、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、酸加水分解や、セルラーゼ等の酵素による分解が挙げられる。このような結晶性バイオファイバーとしては、微結晶セルロース及び微結晶キチンが挙げられ、非晶部分を取り除くことが容易であるという観点から、特に微結晶セルロースが好ましい。これらの結晶性バイオファイバーとしては、市販されているものを用いてもよいが、本発明においては、表面処理が施されていなくとも粉砕をすることが容易であり、また、液体を実質的に含有しないバイオナノウイスカー含有粉末を得ることが容易であるという観点から、表面処理が施されていないものを用いることが好ましい。

【0018】
なお、本発明において、繊維状とは、一次粒子の最長径と最短径との比で表されるアスペクト比(最長径/最短径)が3を超える(好ましくは5以上である)ことをいい、前記繊維状には針状、板状、円柱状等の形状を含むものとする。本発明に係る結晶性バイオファイバーは、前記一次粒子の最長径が3~500μmであり、最短径が250~2,000nmである。なお、本発明において、前記結晶性バイオファイバーの最長径及び最短径は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定することができる。また、本発明において、一次粒子の最長径とは、SEMにより観察される一次粒子の長軸方向の長さのことをいい、前記最短径とは、同一次粒子の短軸方向の長さのことをいう。

【0019】
また、本発明に用いる結晶性バイオファイバーとして、粉砕前のサイズとしては、より短時間及び/又は低エネルギーで効率的に粉砕をすることができる傾向にあるという観点から、平均最長径が5~500μmであることが好ましく、10~50μmであることがより好ましい。また、平均最短径が5~1,500nmであることが好ましく、8~1,000nmであることがより好ましい。なお、本発明において、前記結晶性バイオファイバーの平均最長径及び平均最短径とは、前記走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で測定される結晶性バイオファイバーの最長径及び最短径のそれぞれ平均値であって、任意の100個の結晶性バイオファイバーの最長径及び最短径をそれぞれ計測してその平均値を算出することで求めることができる。

【0020】
さらに、本発明に用いる結晶性バイオファイバーとしては、前記非晶部分の含有量が50重量%以下であるものが好ましい。

【0021】
<低誘電率有機溶媒>
本発明に係る低誘電率有機溶媒とは、比較的低い比誘電率を有する有機溶媒を指し、具体的には、常温(20℃)、常圧(1気圧)における比誘電率の値が36以下のものを指す。このような低誘電率有機溶媒としては、メチルエチルケトン、アセトン、トルエン、シクロヘキサン、ベンジン、ベンゼン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、シアン化ベンジル、n-ブチロニトリル、リン酸トリメチル、リン酸トリブチル、ピリジン、エタノール、メタノール等が挙げられ、これらのうちの一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明においては、このような低誘電率有機溶媒を用いることにより、角質化や凝集体の形成が十分に抑制され、水への再分散性に優れた粉末状のバイオナノウイスカーを容易に効率よく得ることができる。中でも、乾燥除去することが容易であるという観点から、トルエン、シクロヘキサン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、トルエン、シクロヘキサンをそれぞれ単独で用いることがより好ましい。

【0022】
<粉砕工程>
本発明の結晶性バイオファイバーの粉砕方法及びバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法においては、前記低誘電率有機溶媒中で前記結晶性バイオファイバーを粉砕する(粉砕工程)。

【0023】
前記粉砕時の前記結晶性バイオファイバーの濃度としては、低誘電率有機溶媒の体積(v)100mLに対する結晶性バイオファイバーの重量(w、単位:g)の割合(結晶性バイオファイバーの重量×100/100mL、単位:w/v%)で、0.1~50w/v%であることが好ましく、0.2~20w/v%であることがより好ましい。前記結晶性バイオファイバーの濃度が前記下限未満である場合及び前記上限を超える場合には、目的のサイズに前記結晶性バイオファイバーを粉砕することが困難となる傾向にある。本発明においては、前記結晶性バイオファイバーの濃度が比較的高濃度(例えば10~20w/v%)であっても効率よく前記結晶性バイオファイバーを粉砕することができる。

【0024】
前記粉砕方法としては、特に制限されず、例えば、回転二枚刃ホモジナイザ、Waring型ブレンダー、臼(石臼、セラミック臼など)、ロールミル、高圧水流衝突型ホモジナイザ、湿式微粒化装置、自動乳鉢等を用いた方法が挙げられる。

【0025】
前記粉砕の条件としては、粉砕方法、前記低誘電率有機溶媒の種類、或いは、目的とするバイオナノウイスカーの大きさによっても異なるため一概にはいえないが、例えば、前記回転二枚刃ホモジナイザを用いる場合には、常圧下、温度0~100℃において100~20,000rpmで5分間~2時間の条件が挙げられる。

【0026】
本発明の結晶性バイオファイバーの粉砕方法及びバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法においては、このような粉砕工程によって前記結晶性バイオファイバーを粉砕し、より微細なバイオナノウイスカーを得ることができる。本発明において、前記バイオナノウイスカーとは、前記多糖類の単結晶からなる一次粒子であり、該一次粒子の最長径と最短径との比で表されるアスペクト比(最長径/最短径)が3を超える(好ましくは5以上である)繊維状であり、かつ、最長径が100~2,800nm、最短径が5~50nmである。本発明において、前記バイオナノウイスカーの最長径及び最短径は、前記結晶性バイオファイバーの最長径及び最短径と同様に、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定することができる。

【0027】
このような粉砕後の分散液中には、分散質として、前記バイオナノウイスカーと、通常、前記結晶性バイオファイバーが含まれるが、これらの分散質としては、平均最長径が粉砕前の結晶性バイオファイバーの平均最長径の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。また、平均最短径が粉砕前の結晶性バイオファイバーの平均最短径の50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。なお、本発明において、前記分散質の平均最長径及び平均最短径とは、前記走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で確認されるファイバー(バイオナノウイスカー及び必要に応じて結晶性バイオファイバー;以下、場合により「バイオファイバー」と総称する)について、一次粒子の最長径及び最短径をそれぞれ測定した平均値であって、任意の100個のバイオファイバーの最長径及び最短径をそれぞれ計測してその平均値を算出することで求めることができる。

【0028】
本発明に係る粉砕工程において得られた前記バイオナノウイスカーを含有する分散液は、前記低誘電率有機溶媒を分散媒としているため、分散媒を置換しなくともそのまま樹脂材料の充填材等として用いることができる。また、前記低誘電率有機溶媒を他の有機溶媒や樹脂に置換して用いても、前記バイオナノウイスカーの含有量を濾過、遠心分離等の方法によって調整して用いてもよい。

【0029】
<乾燥工程>
本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法においては、前記粉砕工程の後に前記低誘電率有機溶媒を乾燥除去してバイオナノウイスカー含有粉末を得る乾燥工程を含む。

【0030】
前記乾燥方法としては、前記低誘電率有機溶媒の種類に応じて選択することができ、例えば、熱風受熱乾燥法、伝導受熱乾燥法、除湿空気乾燥法、冷風乾燥法、マイクロ波乾燥法、赤外線乾燥法、天日乾燥法、真空乾燥法、凍結乾燥法、及び、常温・常圧で乾燥させる風乾が挙げられ、これらのうちの一種を単独で用いても二種以上を組み合わせて用いてもよいが、プロセスが容易であるという観点から、風乾が好ましい。本発明においては単に風乾せしめるだけで前記バイオナノウイスカーを含有する粉末状の組成物(バイオナノウイスカー含有粉末)を得ることができる。

【0031】
本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法によれば、上記のようにバイオナノウイスカー含有粉末を容易に得ることができる。また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法によれば、乾燥時の角質化が十分に抑制され、ファイバーどうしが結合した粒子や膜の形成が十分に抑制される。好ましくは、得られたバイオナノウイスカー含有粉末について、JIS Z 8801に準拠して150μmふるいにかけた通過画分の割合((通過画分の重量×100)/ふるいにかけた全重量、単位:重量%)を90重量%以上とすることができ、より好ましくは92~100重量%とすることができる。

【0032】
さらに、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法によれば、バイオファイバーどうしの凝集が十分に抑制される。好ましくは、得られたバイオナノウイスカー含有粉末における、バイオファイバーどうしが凝集して形成された、アスペクト比(最長径/最短径)が3以下、かつ、直径10μm以上の凝集体の含有量を50%以下とすることができ、より好ましくは30%以下とすることができる。なお、本発明において、前記凝集体の最長径、最短径、直径及び含有量は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定することができ、前記凝集体の直径とは、該凝集体が球状である場合にはその最長径(長軸方向の長さ)のことをいい、該凝集体が球状でない場合にはその投影面の外接円の直径のことをいう。また、前記凝集体の含有量は、任意の100箇所の互いに重ならない10μm角の微小測定範囲における前記凝集体の個数を計測し、その平均値を算出することで求めることができる。

【0033】
他方、例えば、前記低誘電率有機溶媒に代えて、水や高誘電率有機溶媒、すなわち、常温(20℃)、常圧(1気圧)における比誘電率の値が36を超える分散媒、具体的には、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、氷酢酸等を用いた場合には、前記非水系有機溶媒を乾燥させて除去すると、角質化が起きてバイオファイバーどうしが結合した硬い粒子や膜が形成され、前記バイオナノウイスカー含有粉末を容易に得ることは困難である。

【0034】
<バイオナノウイスカー含有粉末>
本発明のバイオナノウイスカー含有粉末は、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末の製造方法により得られる粉末であり、前記バイオナノウイスカーを含有する粉末組成物である。

【0035】
本発明に係るバイオナノウイスカー含有粉末としては、前記バイオナノウイスカーの他に、前記結晶性バイオファイバーを含有していてもよい。本発明のバイオナノウイスカー含有粉末としては、前記バイオナノウイスカーの含有量が10%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましく、40~100%であることが更に好ましい。本発明のバイオナノウイスカー含有粉末は、目的に応じて、ふるいわけ、濾過、遠心分離等の方法によって前記バイオナノウイスカーの含有量を調整することができる。

【0036】
なお、本発明において、前記バイオナノウイスカーの含有量は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察によって測定されるものであり、任意の100個のバイオファイバー(バイオナノウイスカー及び必要に応じて結晶性バイオファイバー)について最長径及び最短径を測定し、断面が正方形(一辺の長さ:最短径)の角柱(高さ:最長径)と仮定して各バイオファイバーの体積を算出し、かかる体積に、バイオナノウイスカーに対応する結晶性バイオファイバー(結晶性多糖類)の結晶の比重(すなわち、バイオナノウイスカー含有粉末の製造方法に用いた結晶性バイオファイバーの結晶の比重)、例えば、バイオナノウイスカーがセルロースの単結晶である場合にはセルロースI結晶の比重(1.59)を乗じることによって各バイオファイバーの質量を求め、バイオファイバーの合計質量に対するバイオナノウイスカーの合計質量の割合((バイオナノウイスカーの合計質量×100)/バイオファイバーの合計質量、単位:%)として得られるものである。

【0037】
また、本発明に係るバイオナノウイスカー含有粉末としては、含まれるバイオナノウイスカーの平均最長径が100~2,000nmであることが好ましく、100~300nmであることがより好ましい。また、平均最短径が2~50nmであることが好ましく、5~20nmであることがより好ましい。なお、本発明において、バイオナノウイスカー含有粉末に含まれるバイオナノウイスカーの平均最長径及び平均最短径とは、前記走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で確認されるバイオナノウイスカーについて、一次粒子の最長径及び最短径をそれぞれ測定した平均値であって、任意の100個のバイオナノウイスカーの最長径及び最短径をそれぞれ計測してその平均値を算出することで求めることができる。

【0038】
さらに、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末としては、JIS Z 8801に準拠して150μmふるいにかけた通過画分の割合((通過画分の重量×100)/ふるいにかけた全重量、単位:重量%)が90重量%以上であることが好ましく、92~100重量%であることがより好ましい。

【0039】
また、本発明のバイオナノウイスカー含有粉末は、液体、具体的には、水、前記高誘電率有機溶媒、前記低誘電率有機溶媒、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一種を実質的に含有しない。本発明において、液体を実質的に含有しないとは、25℃、常圧(1気圧)において固形分質量が90重量%以上であることをいい、105℃以上で十分加熱した後の重量減少測定により確認することができる。

【0040】
本発明のバイオナノウイスカー含有粉末は、このように乾燥された状態であるにもかかわらず水への分散性に優れる。例えば、容量30mLのねじ口バイアル瓶に、バイオナノウイスカー含有粉末0.2g、水20mLを添加してよく振とうした後、10分間静置後に観察しても白濁した上清が目視で明らかに確認される。また、振とう後10分間静置後に上清5mLを採取した際に、前記上清中における水100mL(v)に対する前記バイオファイバー(バイオナノウイスカー及び必要に応じて結晶性バイオファイバー)の重量(w、単位:g)の割合(バイオファイバーの重量×100/100mL、単位:w/v%)を0.2w/v%以上、好ましくは0.3w/v%以上、より好ましくは0.5w/v%以上とすることができる。
【実施例】
【0041】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例において用いた粉砕前の微結晶セルロース及び得られた粉砕物の観察・測定、並びに、得られた粉砕物の再分散性評価は、それぞれ以下の方法により行った。
【実施例】
【0042】
<試料の観察・測定>
・粉砕前後の平均最長径、平均最短径
粉砕前微結晶セルロース及び得られた粉砕物について、それぞれ走査型電子顕微鏡(SEM、日立ハイテクノロジー社製、型番:S-4800)を用いて電子顕微鏡観察を行ない、写真(SEM写真)を撮影した。SEM写真において、粉砕前微結晶セルロースについては、無作為に100個の微結晶セルロース(一次粒子)を抽出し、各微結晶セルロースの長軸方向の長さを最長径、短軸方向の長さを最短径とし、それらの平均を平均最長径、平均最短径として求めた。また、得られた粉砕物については、100個のバイオナノウイスカーを抽出し、各バイオナノウイスカーの長軸方向の長さを最長径、短軸方向の長さを最短径とし、それらの平均を平均最長径、平均最短径として求めた。
【実施例】
【0043】
・角質化評価
得られた粉砕物について、乾燥させた後に角質化が起きているか否かにつき評価した。すなわち、粉砕後の懸濁液10mLをシャーレ(直径75mm)又は100mLナスフラスコ内で乾燥させた後の粉砕物の外観を観察し、以下の基準:
A:粉末状であり、膜は観察されない
B:膜が確認できるがピンセットでつまむと崩れる
C:ピンセットでつまんでも崩れない硬い膜が観察される
にしたがって角質化の評価をした。
【実施例】
【0044】
また、得られた粉砕物について、それぞれ0.2gをJIS Z 8801に準拠して150μmふるいにかけ、通過画分の重量を測定し、通過画分の割合((通過画分の重量×100)/0.2g[重量%])を求めた。
【実施例】
【0045】
<再分散性評価>
得られた粉砕物について水への再分散性評価を行った。先ず、容量30mLのねじ口バイアル瓶に粉砕物0.2g、水20mL(室温)を添加して攪拌した後に静置し、以下の基準:
A:60分間静置後に上清中に浮遊物が確認される
B:10分間静置後に上清中に浮遊物が確認されるが、60分間静置後には確認されず上清は透明である
C:10分間静置後に上清中に浮遊物は確認されず上清が透明である
にしたがって再分散性の評価をした。
【実施例】
【0046】
また、10分間静置後の上清5mLを採取し、105℃において一昼夜以上十分に乾燥させることによって水を除去し、残存した固形分の重量を測定して前記上清中における固形分の割合(水100mL(v)に対する固形分の重量(w、単位:g)の割合(w/v%)を求めた。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
<微結晶セルロースの調製>
先ず、脱脂綿(セルロース、オオサキメディカル株式会社製)50gに、煮沸した2.5mol/L塩酸(和光純薬社製、試薬一級)500mLを加え、還流下、脱脂綿全体が十分塩酸に浸漬するように時々ガラス棒で撹拌しながら、マントルヒーターを用いて煮沸が継続されるように40分間加熱して脱脂綿を塩酸加水分解させた。次いで、500mLのイオン交換水を加えて室温まで冷却し、ブフナーロートと定量濾紙(JIS P 3801:5種B)を用いて、イオン交換水を流しながら濾液が中性になるまで濾過による洗浄を行い、セルロース加水分解残渣として微結晶セルロース(結晶性バイオファイバー)を得た。
【実施例】
【0048】
<粉砕・乾燥>
上記で得られた微結晶セルロース10gにアセトン(VETEC社製、LRグレード)100mLを添加し、振とうして分散させた後に遠心分離(5,000rpm、10分間)で固体を回収する操作を2回繰り返すことにより分散媒をアセトンに置換し、微結晶セルロースのアセトン懸濁液を得た。次いで、得られたアセトン懸濁液から遠心分離(5,000rpm、10分間)で固体を回収し、トルエン(VETEC社製、LRグレード)100mLを添加し、振とうして分散させた後に遠心分離(5,000rpm、10分間)で固体を回収する操作を2回繰り返すことにより分散媒をトルエンに置換し、微結晶セルロースの10w/v%トルエン懸濁液(粉砕前微結晶セルロース懸濁液)を得た。
【実施例】
【0049】
得られた微結晶セルロース懸濁液について、回転二重刃型ホモジナイザ(ポリトロンPT2500E:Kinematica社製)及びジェネレータシャフトPT-DA20/2EC-E192を用いて、回転数12,000rpmにおいて2時間粉砕を実施し、乳白色の懸濁液を得た。得られた懸濁液をガラスシャーレに流し込み、温度室温の室内に静置して風乾によりトルエンを除去し、白色で粉末状の粉砕物を得た。
【実施例】
【0050】
得られた粉砕物について、試料の観察・測定及び再分散性評価を実施した。得られた粉砕物の乾燥後の外観(TL10-2H)を図1に、SEM写真を図2A~2Cに、それぞれ示す。また、粉砕物中バイオナノウイスカーの平均最長径・平均最短径、角質化評価、及び再分散性評価の結果を表1に示す。また、粉砕前微結晶セルロース懸濁液をそのまま風乾させ、トルエンを除去して得られた白色の粉末(粉砕前微結晶セルロース)についても試料の観察・測定を実施した。得られたSEM写真を図3に、平均最長径及び平均最短径を表1に、それぞれ示す。
【実施例】
【0051】
(実施例2~4、6~9)
トルエンに代えて表1に示す有機溶媒(和光純薬社製、試薬特級)を用い、粉砕前微結晶セルロース懸濁液における微結晶セルロースの濃度、粉砕時間をそれぞれ表1に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にして白色で粉末状の粉砕物を得た。
【実施例】
【0052】
得られた粉砕物について、それぞれ試料の観察・測定及び再分散性評価を実施した。実施例3、6及び8で得られた乾燥後の粉砕物のSEM写真を順に図4、5及び6にそれぞれ示す。さらに、粉砕物中バイオナノウイスカーの平均最長径・平均最短径、角質化評価、及び再分散性評価の結果を表1に示す。また、粉砕前微結晶セルロース懸濁液をそのまま風乾させ、有機溶媒を除去して得られた白色の粉末(粉砕前微結晶セルロース)についても試料の観察・測定を実施した。平均最長径及び平均最短径を表1に示す。
【実施例】
【0053】
(実施例5)
先ず、実施例1と同様にして得られた微結晶セルロースのアセトン懸濁液から遠心分離(5,000rpm、10分間)で固体を回収し、シクロヘキサン(和光純薬社製、試薬特級)100mLを添加し、振とうして分散させた後に濾過で固体を回収する操作を2回繰り返すことにより分散媒をシクロヘキサンに置換し、微結晶セルロースの10w/v%シクロヘキサン懸濁液(粉砕前微結晶セルロース懸濁液)を得た。この微結晶セルロース懸濁液を用い、粉砕時間を2時間としたこと以外は実施例1と同様にして白色で粉末状の粉砕物を得た。
【実施例】
【0054】
得られた粉砕物について、試料の観察・測定及び再分散性評価を実施した。得られた粉砕物の乾燥後の外観(CY10-2H)を図7A~7Bに、SEM写真を図8に、それぞれ示す。さらに、粉砕物中バイオナノウイスカーの平均最長径・平均最短径、角質化評価、及び再分散性評価の結果を表1に示す。また、粉砕前微結晶セルロース懸濁液をそのまま風乾させ、シクロヘキサンを除去して得られた白色の粉末(粉砕前微結晶セルロース)についても試料の観察・測定を実施した。平均最長径及び平均最短径を表1に示す。
【実施例】
【0055】
(比較例1)
トルエンに代えて水(イオン交換水)を用いたこと以外は実施例1と同様にして白色の粉砕物を得た。得られた粉砕物について角質化評価を実施したところ、結果はCであった。
【実施例】
【0056】
(比較例2~6)
トルエンに代えて表1に示す有機溶媒(和光純薬社製、試薬特級)を用い、粉砕前微結晶セルロース懸濁液における微結晶セルロースの濃度、粉砕時間をそれぞれ表1に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にして白色の粉砕物を得た。なお、比較例3及び比較例5に関しては、風乾に代えて、それぞれ、-45℃及び-100℃で凍結した後に真空ポンプを用いて減圧することにより凍結乾燥させた。
【実施例】
【0057】
得られた粉砕物について、それぞれ試料の観察・測定及び再分散性評価を実施した。比較例2、3及び5で得られた粉砕物の乾燥後の外観を図9A~9B(AN10-2H)、図10A~10B(AN02-2H)及び図11A~11B(DM02-2H)に、比較例3及び5で得られた乾燥後の粉砕物のSEM写真を図12及び13に、それぞれ示す。また、粉砕物中バイオナノウイスカーの平均最長径・平均最短径、角質化評価、及び再分散性評価の結果を、粉砕前微結晶セルロースの平均最長径及び平均最短径と併せて表1に示す。なお、表1中、ジメチルアセトアミドは、N,N-ジメチルアセトアミドである。
【実施例】
【0058】
【表1】
JP2016221425A_000002t.gif
【実施例】
【0059】
試料の観察・測定の結果、実施例1~9で得られた粉砕物においてはいずれもバイオナノウイスカーが20%以上含有されていることが確認された。また、実施例1~9で得られた粉砕物について粉砕後のふるい通過画分の割合を求めたところ、いずれも90重量%以上であった。これらの結果、並びに、図1~13及び表1に示した結果から明らかなように、実施例1~9で得られた粉砕物はいずれも角質化していない微細な粉末状で、かつ、バイオナノウイスカーを含んでおり、本発明によってバイオナノウイスカー含有粉末が容易に得られることが確認された。また、微結晶セルロースの濃度が溶媒中に10w/v%と高濃度であっても十分に粉砕が可能であり、バイオファイバーの平均最長径を粉砕前微結晶セルロースの20%以下、平均最短径を粉砕前微結晶セルロースの10%以下とできることが確認された。さらに、本発明によって得られたバイオナノウイスカー含有粉末は水に対する再分散性にも優れることが確認された。また、実施例1~9で得られた粉砕物においては、バイオナノウイスカーが凝集した直径10μm以上の凝集体の形成は観察されなかった。
【実施例】
【0060】
他方、本発明に係る低誘電率有機溶媒に代えて、水や前記高誘電率有機溶媒であるアセトニトリルやジメチルアセトアミドを用いた場合(比較例1~6)にはいずれも、乾燥後の粉砕物は角質化しており、水に対する再分散性も劣ることが確認された。また、アセトニトリルやジメチルアセトアミドを用いた場合には、結晶性バイオファイバーの濃度を高濃度(例えば10w/v%)にすると粉砕が困難であり、十分な量のバイオナノウイスカーを得ることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明によれば、角質化や凝集体の形成が十分に抑制され、水への再分散性に優れた粉末状のバイオナノウイスカーを容易に効率よく得ることができる結晶性バイオファイバーの粉砕方法、並びに、バイオナノウイスカー含有粉末の製造方法及びそれにより得られるバイオナノウイスカー含有粉末を提供することが可能となる。このように、本発明によれば、高濃度で結晶性バイオファイバーの粉砕ができ、かつ、分散媒を単に乾燥除去するだけで容易に流通に好適な粉末状のバイオナノウイスカーを得ることができる。さらに、本発明によって得られるバイオナノウイスカー含有粉末は、水への分散性が十分に維持されており、また、特別な処理を施さなくとも表面修飾等の加工性に優れるため、樹脂材料の充填材等の材料として非常に有用である。
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図2C】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7A】
8
【図7B】
9
【図8】
10
【図9A】
11
【図9B】
12
【図10A】
13
【図10B】
14
【図11A】
15
【図11B】
16
【図12】
17
【図13】
18