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明細書 :高耐熱ハンダ接合半導体装置及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-225552 (P2016-225552A)
公開日 平成28年12月28日(2016.12.28)
発明の名称または考案の名称 高耐熱ハンダ接合半導体装置及びその製造方法
国際特許分類 H01L  21/52        (2006.01)
B23K  35/28        (2006.01)
C22C  21/00        (2006.01)
C22C  18/04        (2006.01)
FI H01L 21/52 A
H01L 21/52 C
B23K 35/28 310A
B23K 35/28 310D
C22C 21/00 D
C22C 18/04
H01L 21/52 E
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2015-112726 (P2015-112726)
出願日 平成27年6月3日(2015.6.3)
発明者または考案者 【氏名】菅原 良孝
【氏名】大貫 仁
【氏名】玉橋 邦裕
【氏名】千葉 秋雄
出願人 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001922、【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5F047
Fターム 5F047AA17
5F047BA16
5F047BB05
5F047BB16
5F047CA02
5F047CB08
要約 【課題】高耐熱で信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】高耐熱ハンダ接合半導体装置は、半導体素子と基板とを超塑性を発現するハンダで接合した高耐熱ハンダ接合半導体装置であって、前記ハンダが流れ出ないように半溶融状態にして、前記ハンダを前記半導体素子の端部より外側にはみ出させ、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に盛り上がらせた後、前記ハンダに超塑性を発現させ、前記ハンダと前記半導体素子との界面、及び前記ハンダと前記基板との界面の応力歪を抑制する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体素子と基板とを超塑性を発現するハンダで接合した高耐熱ハンダ接合半導体装置であって、
前記ハンダが流れ出ないように半溶融状態にして、前記ハンダを前記半導体素子の端部より外側にはみ出させ、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に盛り上がらせた後、
前記ハンダに超塑性を発現させ、前記ハンダと前記半導体素子との界面、及び前記ハンダと前記基板との界面の応力歪を抑制する、
ことを特徴とする高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項2】
接合した前記半導体素子の端部のうち少なくとも何れか一の端部において、
前記ハンダが前記半導体素子の端部より外側にはみ出しており、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に盛り上がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載の高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項3】
前記ハンダは、超塑性を発現する組成、すなわちAlが22~68質量%で、Znが78~32質量%の割合である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項4】
前記ハンダは、Alが22~68質量%、不純物が2質量%以下、残りがZnの割合である、
ことを特徴とする請求項3に記載の高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項5】
前記ハンダは、Znが78~32質量%、不純物が2質量%以下、残りがAlの割合である、
ことを特徴とする請求項3に記載の高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項6】
前記ハンダと、前記半導体素子のpn接合との最短距離が、前記pn接合の空乏層の幅よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の高耐熱ハンダ接合半導体装置。
【請求項7】
超塑性を発現するAlとZnで組成されたハンダを準備するハンダ準備工程と、
前記ハンダを介して、半導体素子を基板に設置する半導体素子設置工程と、
前記ハンダを加熱し、前記ハンダが流れ出ない半溶融にする加熱工程と、
前記ハンダを加圧し、前記ハンダの周縁部をZnリッチ、中心部をAlリッチにすることで、前記半導体素子の端部より外側に前記周縁部をはみ出させ、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に前記周縁部を盛り上がらせる加圧工程と、
前記ハンダを冷却し、前記ハンダに超塑性を発現させ、前記ハンダと前記半導体素子との界面、及び前記ハンダと前記基板との界面の応力歪を抑制しつつ前記半導体素子と前記基板とをハンダ接合する降温・接合工程と、を有する、
ことを特徴とする高耐熱ハンダ接合半導体装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と半導体素子とを高耐熱ハンダで接合した半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パワーデバイスは、ハイブリッド自動車や太陽光発電用のインバータなどに使用される電力制御用の半導体素子であり、パワーエレクトロニクスの中心となる電子部品である。パワーデバイスには、整流ダイオード、パワーMOSFET(金属酸化膜・電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)、サイリスタなどがあり、パワーデバイスの基板への接合には、ハンダが使用される。ハンダは、Pb(鉛)とSn(錫)の合金のものが使用されてきたが、人体に有害であり、自然環境にも悪影響を及ぼすため、鉛フリーハンダも開発されている。
【0003】
特許文献1には、鉛フリーで高い融点を持ち、かつ固相状態で接合が可能なZn(亜鉛)-Al(アルミニウム)共析系合金接合材を用いた半導体装置が開示されている。鉛フリーハンダは、ボイドと呼ばれる微細な空隙を作りやすいが、特許文献1に記載の発明では、超塑性現象を利用して対象物を固相状態で接合することにより、ボイドフリーにすることができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2009-113050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明の場合、基板が熱などによって反ったりした際に、半導体素子の端部に応力が掛かり、半導体素子と基板との間のハンダ接合部に亀裂が発生し、極端な場合、半導体素子が基板から剥離してしまうこともある。ハンダ接合部に亀裂が生じると、電気伝導や熱伝導が悪くなるので、高い耐熱性のある信頼性の高い半導体装置が求められる。
【0006】
そこで、本発明は、高耐熱で信頼性の高い半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第一の発明である高耐熱ハンダ接合半導体装置は、半導体素子と基板とを超塑性を発現するハンダで接合した高耐熱ハンダ接合半導体装置であって、前記ハンダが流れ出ないように半溶融状態にして、前記ハンダを前記半導体素子の端部より外側にはみ出させ、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に盛り上がらせた後、前記ハンダに超塑性を発現させ、前記ハンダと前記半導体素子との界面、及び前記ハンダと前記基板との界面の応力歪を抑制する、ことを特徴とする。
【0008】
また、第一の発明は、接合した前記半導体素子の端部のうち少なくとも何れか一の端部において、前記ハンダが前記半導体素子の端部より外側にはみ出しており、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に盛り上がっている、ことを特徴とする。
【0009】
また、第一の発明において、前記ハンダは、超塑性を発現する組成、すなわちAlが22~68質量%で、Znが78~32質量%の割合である、ことを特徴とする。
【0010】
また、第一の発明において、前記ハンダは、Alが22~68質量%、不純物が2質量%以下、残りがZnの割合である、ことを特徴とする。
【0011】
また、第一の発明において、前記ハンダは、Znが78~32質量%、不純物が2質量%以下、残りがAlの割合である、ことを特徴とする。
【0012】
また、第一の発明は、前記ハンダと、前記半導体素子のpn接合との最短距離が、前記pn接合の空乏層の幅よりも大きい、ことを特徴とする。
【0013】
さらに、第二の発明である高耐熱ハンダ接合半導体装置の製造方法は、超塑性を発現するAlとZnで組成されたハンダを準備するハンダ準備工程と、前記ハンダを介して、半導体素子を基板に設置する半導体素子設置工程と、前記ハンダを加熱し、前記ハンダが流れ出ない半溶融にする加熱工程と、前記ハンダを加圧し、前記ハンダの周縁部をZnリッチ、中心部をAlリッチにすることで、前記半導体素子の端部より外側に前記周縁部をはみ出させ、かつ前記半導体素子の下面よりも上方に前記周縁部を盛り上がらせる加圧工程と、前記ハンダを冷却し、前記ハンダに超塑性を発現させ、前記ハンダと前記半導体素子との界面、及び前記ハンダと前記基板との界面の応力歪を抑制しつつ前記半導体素子と前記基板とをハンダ接合する降温・接合工程と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、高耐熱で信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1に係る半導体装置の断面図である。
【図2】本発明の実施例1に係る半導体装置の断面を撮影した画像である。
【図3】本発明の実施例1に係る半導体装置のハンダ接合部に掛かる応力を示す図であり、(a)は本発明のハンダ接合部であり、(b)は従来のハンダ接合部である。
【図4】本発明の実施例2に係る半導体の接合方法の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例2に係る半導体の接合方法の各工程を示す図であり、(a)は加熱の工程であり、(b)は加圧の工程である。
【図6】本発明の実施例2に係る半導体の接合方法の降温・接合の工程を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る半導体の接合方法の各工程におけるハンダの状態を示すグラフである。
【図8】本発明の実施例3に係る半導体の接合方法の各工程におけるハンダの状態を示すグラフである。
【図9】本発明の実施例4に係る半導体装置の高耐圧化するためのハンダの条件を示す図である。
【図10】本発明の実施例4に係る半導体装置の高耐圧化を示す図であり、(a)は半導体素子を絶縁樹脂で覆った場合であり、(b)はハンダの表面に酸化膜を形成させた場合である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【実施例1】
【0017】
まず、本発明である高耐熱ハンダ接合半導体装置について説明する。図1は、半導体装置100の断面図であり、図2は、半導体装置100の断面を撮影した画像である。また、図3(a)は、半導体装置100のハンダ接合部に掛かる応力を示す図であり、図3(b)は、従来の半導体装置110のハンダ接合部に掛かる応力を示す図であって、本発明と従来技術を比較するための図である。
【実施例1】
【0018】
図1に示すように、半導体装置100は、半導体素子200と基板300とを高耐熱のハンダ400で接合したものである。なお、半導体装置100は、その製造工程における前工程及び後工程を経て製造されるが、ここでは後工程において、半導体素子200を実装する段階のものであり、半導体素子200と基板300とをハンダ400を使用してハンダ接合する。
【実施例1】
【0019】
半導体素子200は、前工程において、半導体に電極を設ける等して製造した電子部品であり、前工程で製造されたウエハを各チップに切り離した状態のものである。半導体の材料としては、従来のSi(シリコン、ケイ素)に代わり、それより高性能なSiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)などが使用される。なお、SiCの他にGaN(窒化ガリウム)やダイヤモンド等の高性能な化合物半導体材料を使用しても良い。
【実施例1】
【0020】
半導体素子200には、各種デバイスを使用することができる。半導体素子200の例として、BJT(バイポーラ・トランジスタ)を図1に示す。BJTは、n型半導体201とp型半導体202とn型半導体203を交互にpn接合し、n型半導体201にエミッタ電極204、p型半導体202にベース電極205、n型半導体203にコレクタ電極206を設けたものであり、電流増幅やスイッチング機能などを有する。
【実施例1】
【0021】
基板300は、銅板302と配線となる銅板301との間に、SiN(シリコンナイトライド、窒化ケイ素)などを絶縁膜303として積層し、銅板301の表面にNi(ニッケル)メッキなどの被膜304を施したものである。配線に厚みを持たせることにより許容電流が大きくなるので、パワーデバイスを搭載するのに適している。なお、基板300は、その他の構成のものを使用しても良い。
【実施例1】
【0022】
ハンダ400は、鉛が含まれていないAl-Znハンダを使用する。Al-Znハンダは、AlとZnが所定の割合で配合された合金であり、ある範囲の温度まで加熱すると超塑性を発現する。超塑性は、高温域にある固体に力を加えたときに、通常よりも飛躍的に伸びるようになる現象である。ハンダ400が超塑性状態になることで、接合対象物表面の微小な凹凸部に入り込みやすくなり、ハンダ400に掛かる応力も緩和される。ハンダ400は、さらに加熱すると半溶融状態となる。すなわち、低融点のZnのみが溶融し、より高融点のAlは溶融していない状態になる。そして、さらにAlの融点まで加熱すると液体となる。なお、ハンダ400は、所定の温度域で超塑性現象が発現するものであれば、他の材質のものでも良い。
【実施例1】
【0023】
ハンダ400は、使用前においては、所定の厚さ、例えば約100μm程度の厚さの薄板状のハンダ板を、平面形状が半導体素子200とほぼ同じ形状にしておく。なお、若干小さくても良いし、若干はみ出す大きさでも良い。基板300の上に半導体素子200を載せてハンダ400で接合した際に、半導体素子200と基板300の間に介したハンダ400の周縁部402は、図1に示すように、半導体素子200とハンダ400の接触面よりも盛り上がった状態となる。
【実施例1】
【0024】
ハンダ400を加熱したとき、溶融して液体となったものが基板300上に流れ出す訳ではなく、液体となる前の半溶融の状態で半導体素子200の外側に盛り上がる。半溶融とは、合金の場合に、融点の高い金属(Al)が固体のままで、融点が低い金属(Zn)が溶けて液体状に分散して存在している状態のことである。なお、半導体素子200が矩形状である場合、ハンダ400も半導体素子200の四方の端部から外周側へ少し出る程度のサイズの矩形状とするが、ハンダ400の四辺の少なくとも一辺は盛り上がる必要がある。なお、ハンダ400の全ての辺において盛り上がっていることが好ましい。
【実施例1】
【0025】
図2に示すように、半導体素子200と基板300の間にハンダ400の中心部401が挟まれており、半導体素子200の端部からハンダ400の周縁部402がはみ出し、さらに上方に盛り上がっている。なお、黒い点線が基板300とハンダ400の境界を示し、白い点線が半導体素子200の端部を示す。
【実施例1】
【0026】
周縁部402が盛り上がっているハンダ400のメリットについて、従来のハンダ410と比較することにより説明する。基板300を湾曲状にしならせる、又は基板300に振動を与える等することによって、半導体素子200の端部に応力900、910を加えたときに、ハンダ400、410への亀裂の生じやすさを比較する。
【実施例1】
【0027】
図3(a)に示すように、本発明においては、半導体素子200と基板300とを接合した後に、半導体素子200の各端部からはみ出たハンダ400に関して注目すると、ハンダ400の表面が半導体素子200の下面よりも上に盛り上がっている。すなわち、ハンダ400と半導体素子200とが接触している面よりも上方向に山のように盛り上がっても良いし、ハンダ400と半導体素子200とが接触している面より外側に向かって斜め上方向に盛り上がっても良い。
【実施例1】
【0028】
半導体素子200とハンダ400とが接触している端部に掛かる応力900は、端部から半導体素子200の側面に沿った垂直成分901と、端部からハンダ400の盛り上がった表面に沿った接線成分902とから導出される。図3(a)に示すように、応力900は、垂直に近い角度寄りになる。すなわち、応力900は、ハンダ400を縦断する向きに近くなり、ハンダ400の周縁部402に近いところまで侵入するだけであり、ハンダ400の中心部401の奥にまでは侵入しにくい。
【実施例1】
【0029】
図3(b)に示すように、従来においては、半導体素子200と基板300とを接合した後に、半導体素子200の各端部からはみ出たハンダ410に関して注目すると、ハンダ410の表面が半導体素子200の下面よりも上に盛り上がらない。すなわち、ハンダ410の表面がほぼ水平になっている場合もあれば、溶融して流れている場合もある。なお、ハンダ400については、半導体素子200側を表面とし、基板300側を裏面とする。
【実施例1】
【0030】
半導体素子200とハンダ410とが接触している端部に掛かる応力910は、端部から半導体素子200の側面に沿った垂直成分911と、端部からハンダ410のほぼ水平な表面に沿った接線成分912とから導出される。図3(b)に示すように、応力910は、応力900よりも水平に近い角度寄りになる。すなわち、応力910は、ハンダ410を水平に切る向きに近くなり、ハンダ410の周縁部402からハンダ410の中心部401の奥まで進入しやすくなる。
【実施例1】
【0031】
図3(b)に示す従来においては、半導体素子200の端部に応力910が掛かったとき、ハンダ410の中心部401に向かって深く進入するので、半導体装置100の稼働による熱応力の繰り返しにより、ハンダ410を水平方向に切断しやすくなる。それに対して、図3(a)に示す本発明においては、半導体素子200の端部に応力900が掛かったとき、ハンダ400の周縁部402の付近から浅くしか進入しないので、半導体装置100の稼働による熱応力の繰り返しによってもハンダ400は水平方向に切断されにくくなる。すなわち、本発明によれば、高耐熱で信頼性の高い半導体装置100を提供することができる。
【実施例2】
【0032】
上記のSiC半導体装置を製造するために、ハンダによる半導体素子の接合方法について説明する。図4は、半導体の接合方法の流れを示すフローチャートである。さらに、図5(a)は、加熱の工程を示す図であり、図5(b)は、加圧の工程を示す図であり、図6は、降温・接合の工程を示す図である。また、図7は、半導体の接合方法の各工程におけるハンダの状態を示すグラフである。
【実施例2】
【0033】
図4に示すように、半導体素子の接合方法500は、ハンダ準備510、半導体素子設置520、加熱530、加圧540、降温・接合550等の工程を有する。なお、半導体素子の接合方法500において、複数の工程を一つにまとめても良いし、他の工程を追加しても良い。また、二つの工程の順番が入れ替え可能であれば、入れ替えても良い。さらに、一部の工程を省略しても支障のない場合は省略しても良い。
【実施例2】
【0034】
本実施例においても、半導体素子210には、各種デバイスを使用可能であるが、例として、DMOS(二重拡散金属酸化膜)構造のパワーMOSFETを図5及び図6に示す。パワーMOSFETは、まずn型不純物濃度の高いn型半導体214を基板とし、その上にn型不純物濃度の低いn型半導体213をエピタキシャル成長により形成し、さらに、その表面側に低濃度のp型半導体212と高濃度のn型半導体211をイオン打ち込みにより形成したものである。
【実施例2】
【0035】
半導体素子210の上面のソース電極216を設け、さらにSiO(二酸化ケイ素)などでゲート酸化膜218を形成した上でゲート電極215を設ける。また、n型半導体214の下面にドレイン電極217を設ける。ドレイン電極217とソース電極216の間を順バイアスした状態でゲート電極215に正の電圧を印加すると、ゲート酸化膜218の下にチャネル219(電子の層)が誘起され、電流が流れるようになる。
【実施例2】
【0036】
ハンダ準備510の工程では、半導体装置のベースとなる基板300、基板300に設置する半導体素子210、半導体素子210を基板300に接合するためのハンダ420、その他半導体素子の設置における位置精度を上げるための治具類等を必要に応じて準備する。基板300は、パワーデバイスに適した厚銅基板などを用いる。半導体素子210は、耐熱性などに優れたSiCを材料としたもの等を用いる。ハンダ420には、所定の温度域で超塑性を発現するものを用いる。例えば、Alが約22質量%で、Znが約78質量%の合金を用いる。
【実施例2】
【0037】
なお、図7に示すように、Alの融点は約660度であり、Znの融点は約420度である。ハンダ420中のAlとZnの割合が変わると融点も曲線に示すように変動する。また、AlとZnの融点が異なることから、融点の高いAlは固体のままで、融点の低いZnが先に液体化している半溶融の状態となる領域も存在する。半溶融状態から、Alの結晶が多いアルファ(Al)の領域を経て、結晶が成長した後に固体となる。
【実施例2】
【0038】
半導体素子設置520の工程では、基板300に対して所定の位置に半導体素子210を設置する。なお、基板300と半導体素子210の間には板状のハンダ420を挟む。ハンダ420は、所定の厚さで、半導体素子210と同程度の大きさにする。ハンダ420の上面は、半導体素子210の下面と単に接触しているだけであり、ハンダ420の下面は、基板300の上面と単に接触しているだけの状態である。
【実施例2】
【0039】
加熱530の工程では、図5(a)に示すように、半導体装置を加熱し、ハンダ420を半溶融状態にする。図7に示すように、Alが約22%でZnが約78%のハンダ420の場合、半溶融温度は、約430~480度である。すなわち、約430度より低いと固体であり、約430~480度では、Alは固体のままだが、Znは液体となって分散している状態であり、約480度を超えると完全に溶けて液体となる。なお、本実施例においては、約450度まで加熱したとする。
【実施例2】
【0040】
加圧540の工程では、図5(b)に示すように、半導体装置を加圧することで、ハンダ420の周縁部422を半導体素子210に端部よりも外側に押し出し、さらに周縁部422を半導体素子210の下面よりも上方に盛り上がらせる。なお、本実施例においては、約10~20MPaの圧力を加えたとする。
【実施例2】
【0041】
半溶融状態のハンダ420においては、先に溶解したZnが圧力によって中心部421よりも周縁部422に移動しやすくなる。その結果、ハンダ420の周縁部422はZnが多く含まれるようになったZnリッチ状態となり、中心部421はZnが少なくなったAlリッチ状態となる。図7に示すように、中心部421におけるAlとZnの割合が変わっていき、Alが約38%でZnが約62%となったときに、半溶融状態からZnが固体に戻り始める。
【実施例2】
【0042】
降温・接合550の工程では、図6に示すように、Znリッチとなった周縁部422が外側にはみ出して盛り上がり、中心部421がAlリッチとなったところで、半導体装置を冷却して温度を下げていく。図7に示すように、中心部421において、Alが約38%でZnが約62%の場合、約340~275度の範囲内で圧力が加わると、ハンダ420に超塑性現象が発現する。この現象により、ハンダ420とその上側の半導体素子200との界面、及びハンダ420とその下側の基板300との界面における応力歪が緩和される。
【実施例2】
【0043】
半導体素子210と基板300とをハンダ接合する際に、AlとZnを所定の割合にすることで超塑性を発現するハンダ420を使用することでハンダ接合部の応力歪を抑制し、電気及び熱の伝導性を良くすることができる。また、半溶融状態にしたハンダ420の周縁部422を盛り上がらせることにより、応力が垂直に近い角度で掛かるようになり、水平方向に亀裂が発生するのを抑制することができる。
【実施例2】
【0044】
ハンダ420の中心部421はAlの組成分が周縁部422より多くなり、ハンダ420の周縁部422はZnの組成分が中心部421よりも多くなる。半導体素子210の直下のハンダ接合部においては、Alの組成分が多いので、熱伝導度が良く、高耐熱を達成することができる。すなわち、半導体素子210に大きな電流を流すことができ、高出力かつ高信頼性を達成することができる。
【実施例3】
【0045】
次に、AlとZnの割合が異なるハンダ420を使用した場合で説明する。図8は、半導体の接合方法の各工程におけるハンダの状態を示すグラフである。図8に示すように、本実施例では、ハンダ準備510の工程において、Alが約38質量%で、Znが約62質量%のハンダ420を用いる。半導体素子設置520の工程において、間にハンダ420を介して半導体素子210を基板300に設置する。
【実施例3】
【0046】
加熱530の工程において、半導体装置を約528度に加熱し、ハンダ420を半溶融の状態にする。加圧540の工程において、半導体装置を約10~20MPaの圧力下に置く。ハンダ420の周縁部422がZnリッチ状態となって外側にはみ出して盛り上がり、中心部421はAlリッチ状態となる。中心部421におけるAlとZnの割合が変わっていき、Alが約68%でZnが約32%となったときに、ハンダ420が半溶融状態から固体に戻り始める。
【実施例3】
【0047】
Znリッチとなった周縁部422が外側にはみ出したとき、周縁部422の先端は上方に盛り上がるが、加圧540の工程において半溶融の状態である時間が長いと、図6に示すように、湾曲状に盛り上がった状態になる場合もある。なお、半導体素子210を平面で見たとき、少なくとも何れか一方にはみ出しており、半導体素子210を正面又は側面から見たとき、ハンダ420は少なくとも半導体素子210の下面よりも上側に盛り上がる。
【実施例3】
【0048】
降温・接合550の工程において、温度を約275度に下げたところで、半導体装置に掛かる圧力によって、ハンダ420に超塑性現象が発現する。AlとZnからなるハンダ420を用いる場合は、超塑性現象を発現させる必要があることから、図7及び図8に示すように、Alが22~68質量%で、Znが78~32質量%の割合にする。
【実施例3】
【0049】
なお、Cu(銅)やMg(マグネシウム)等の不純物が混入した場合や、半導体素子210の性能を向上させるために不純物を添加した場合などを考慮すると、Alが22~68質量%、不純物が2質量%以下、残りがZnの割合や、Znが78~32質量%、不純物が2質量%以下、残りがAlの割合にすることが好ましい。Alの結晶が多い領域から完全に固体に変わる過程において、ハンダ420が固体の状態でも通常以上に伸びるようになる。これにより、ハンダ接合部の応力歪を抑制しながら、半導体素子210と基板300とをハンダ接合することができる。
【実施例4】
【0050】
上記の半導体素子の接合方法によってハンダの周縁部を盛り上がらせた状態で製造した半導体装置の耐圧について説明する。図9は、半導体装置の高耐圧化するためのハンダの条件を示す図である。また、図10(a)は、半導体素子を絶縁樹脂で覆って高耐圧化した場合であり、図10(b)は、ハンダの表面に酸化膜を形成させて高耐圧化した場合である。
【実施例4】
【0051】
本実施例の半導体装置101は、半導体素子の接合方法500に基づき、半導体素子220と基板300とを、超塑性を発現するハンダ430を用いてハンダ接合することにより、製造したものである。本実施例においても、半導体素子220には、各種デバイスを使用可能である。
【実施例4】
【0052】
例として、BJTとMOSFETを複合化したIGBTを図9及び図10に示す。IGBTは、まずp型不純物濃度の高いp型半導体224を基板とし、その上にn型不純物濃度の低いn型半導体223をエピタキシャル成長により形成し、さらに、その表面側に低濃度のp型半導体222と高濃度のn型半導体221をイオン打ち込みで形成したものである。半導体素子220の上面にエミッタ電極226を設け、さらにゲート酸化膜228を形成した上でゲート電極225を設ける。また、p型半導体224の下面にコレクタ電極227を設ける。
【実施例4】
【0053】
オン状態では、チャネルを介してn型半導体221がn型半導体223に繋がり、n型半導体223には、n型半導体221から電子が供給され、p型半導体224から正孔が供給される。オフ状態では、電子はコレクタ電極227側に抜け、正孔はエミッタ電極226側に抜け、空乏層230が、エミッタ電極226側のpn接合から、コレクタ電極227側のpn接合に向かって延伸する。
【実施例4】
【0054】
ハンダ430は、半導体素子220の下面よりも上方に盛り上がっているので、半導体素子220の端部に近接した場合、空乏層230と短絡して絶縁が破壊される可能性がある。そこで、半導体220のpn接合と、ハンダ430との距離とが、一定以上離れるようにすることで、絶縁破壊を防止する。具体的には、半導体220の全てのpn接合において、ハンダ430の先端と最も近接する位置との最短距離が、各pn接合における空乏層230の幅よりも大きくする。
【実施例4】
【0055】
さらに、ハンダ430と半導体220との間の絶縁耐圧を維持するために効果的な方法を示す。図10(a)に示すように、半導体装置102は、絶縁樹脂431でポッティング(樹脂盛り)する等して、半導体素子220の全体をコーティングしたものである。絶縁樹脂431としては、高耐熱のシリコン樹脂などを使用可能である。また、図10(b)に示すように、半導体装置103は、ハンダ430の表面にSiOなどの酸化膜432を形成させる。なお、当該二つの応用例以外の絶縁手段を施しても良い。
【実施例4】
【0056】
このように、ハンダ430の盛り上がった部分と、半導体素子220との間に一定距離の絶縁空間を確保することにより、又は、絶縁樹脂431や酸化膜432などの絶縁体を介すことにより、ハンダ430と半導体素子220との間の絶縁耐圧を、半導体素子220の絶縁耐圧以上に高くすることができ、半導体装置101、102、103として高耐圧を維持することができる。
【実施例4】
【0057】
以上、本発明の実施例を述べたが、これらに限定されるものではない。例えば、半導体素子の素材としてSiCを用いたが、それ以外の半導体素材を用いても良い。また、鉛フリーのハンダとしてAl-Znハンダを用いたが、超塑性現象を発現するものであれば、AlとZnの割合を変えても良いし、Al及びZn以外の合金を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、鉛フリーかつボイドフリーのハンダを用いて製造したパワーデバイスを提供するものであり、ハイブリッド自動車、電機自動車、ロボット、太陽光発電用のインバータなどの大きい電流を制御する回路や電気的負荷の大きい装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0059】
100:半導体装置
101:半導体装置
102:半導体装置
103:半導体装置
110:半導体装置
200:半導体素子
201:n型半導体
202:p型半導体
203:n型半導体
204:エミッタ電極
205:ベース電極
206:コレクタ電極
210:半導体素子
211:n型半導体
212:p型半導体
213:n型半導体
214:n型半導体
215:ゲート電極
216:ソース電極
217:ドレイン電極
218:ゲート酸化膜
219:チャネル
220:半導体素子
221:n型半導体
222:p型半導体
223:n型半導体
224:p型半導体
225:ゲート電極
226:エミッタ電極
227:コネクタ電極
228:ゲート酸化膜
230:空乏層
300:基板
301:銅板
302:銅板
303:絶縁膜
304:被膜
400:ハンダ
401:中心部
402:周縁部
410:ハンダ
420:ハンダ
421:中心部
422:周縁部
423:接合部
430:ハンダ
431:絶縁樹脂
432:酸化膜
500:半導体素子の接合方法
510:ハンダ準備
520:半導体素子設置
530:加熱
540:加圧
550:降温・接合
900:応力
901:垂直成分
902:接線成分
910:応力
911:垂直成分
912:接線成分
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
8
【図10】
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