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明細書 :マグネット鉗子および内視鏡装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-198405 (P2016-198405A)
公開日 平成28年12月1日(2016.12.1)
発明の名称または考案の名称 マグネット鉗子および内視鏡装置
国際特許分類 A61B  17/52        (2006.01)
A61B   1/00        (2006.01)
FI A61B 17/52
A61B 1/00 334D
A61B 1/00 334A
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-082169 (P2015-082169)
出願日 平成27年4月14日(2015.4.14)
発明者または考案者 【氏名】三代 剛
【氏名】木下 芳一
【氏名】中村 守彦
【氏名】岸 征男
出願人 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
【識別番号】396023085
【氏名又は名称】キシ・エンジニアリング株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
審査請求 未請求
テーマコード 4C160
4C161
Fターム 4C160GG24
4C160NN23
4C161AA01
4C161AA04
4C161FF43
4C161GG15
4C161JJ06
要約 【課題】消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子を提供すること。
【解決手段】 内視鏡装置1の鉗子チャンネル211に挿通して使用するマグネット鉗子40であって、先端にて分岐した複数本のアーム43を有し、それぞれのアーム43は帯磁により互いに反発して末端に向けて末広がりに離間しつつ基端側への引込みにより前記末広がりの形状を窄めることも可能であって、消化管内の金属異物を磁力によりアーム43に付着させ、引き込みにより当該異物をアーム43に包持させることを特徴とするマグネット鉗子40。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
内視鏡装置のチャンネルに挿通して使用するマグネット鉗子であって、
先端にて分岐した複数本の把持枝体を有し、
それぞれの把持枝体は帯磁により互いに反発して末端に向けて末広がりに離間しつつ基端側への引込みにより前記末広がりの形状を窄めることも可能であって、
消化管内の金属異物を磁力により把持枝体に付着させ、引き込みにより当該異物を把持枝体に把持ないし包持させることを特徴とするマグネット鉗子。
【請求項2】
帯磁は、それぞれの把持枝体に永久磁石を配置する、それぞれの把持枝体自体を永久磁石とする、または、基端に永久磁石のN極またはS極を当てることにより先端をS極またはN極に磁化する、ことによるものである請求項1に記載のマグネット鉗子。
【請求項3】
把持枝体の分岐位置近傍にソレノイドを設け、電磁力により帯磁させることを特徴とする請求項1に記載のマグネット鉗子。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載のマグネット鉗子を含み、把持枝体が内視鏡装置先端から所定の飛び出し位置および/または所定の引き込み位置に至るときに、押し出し抵抗または引き戻し抵抗が大きくなる抵抗手段を設けたことを特徴とする内視鏡装置。
【請求項5】
請求項1、2または3に記載のマグネット鉗子を含み、チャンネルに対して把持枝体を任意の位置にて固定するストッパを設けたことを特徴とする内視鏡装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡装置用のマグネット鉗子に関し、特に、ボタン電池等の消化管内金属異物を効率よく回収するためマグネット鉗子およびこれを具備した内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消化管異物は、ボタン電池、義歯、PTP包装片(PTP:錠剤をプラスチックと金属フィルムシートとで分包したもの)、硬貨など多彩であり、特にボタン電池は消化管内に停留すると穿孔をきたす場合がある。ボタン電池でなくとも、金属であれば電解質との接触により電池が形成され、長時間停留すると穿孔の危険性が高まる。また、義歯の金属芯が消化管を傷つける場合もある。いずれにしても、特に金属を含む消化管異物は早急な回収が必要とされる。
【0003】
従来は、先端に磁石がついたチューブが知られており、これを例えば口から挿管し、X線造影しながら位置確認をしてボタン電池等を付着し除去するなどしていた。また、先端を丸めた針金細線からなる3脚鉗子、5脚鉗子も存在し、バネ力によって開いていた針金を筒内に引き込むことにより、(非金属)異物を掴み回収するなどしていた。
【0004】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
磁石付きチューブの場合、例えば、胃に何もない状態であれば、比較的速やかにボタン電池を回収できるものの、食後など胃に食べ物がある状態では、X線造影しながら正確な位置が分かっても食べ物が邪魔をして磁石につきにくく、また、磁石についた後でも、引き抜き時に食べ物にあたり、磁石から離れてしまう場合がある、という問題点があった。
【0005】
また、3脚鉗子や5脚鉗子は、切除したポリープなどを回収する際にも用いられ、必ずしも金属異物回収に特化したものでなく、平滑な表面を有し固いボタン電池のような異物は、強く掴むとすり抜けてしまい、弱く掴むと引き抜き時になどに脱離してしまう、という問題点があった。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平11-192239
【特許文献2】再表2013/035870
【特許文献3】特開2008-11898
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子および内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載のマグネット鉗子は、内視鏡装置のチャンネルに挿通して使用するマグネット鉗子であって、先端にて分岐した複数本の把持枝体を有し、それぞれの把持枝体は帯磁により互いに反発して末端に向けて末広がりに離間しつつ基端側への引込みにより前記末広がりの形状を窄めることも可能であって、消化管内の金属異物を磁力により把持枝体に付着させ、引き込みにより当該異物を把持枝体に把持ないし包持させることを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる発明は、広がった把持枝体で実質的な捜索面積を従来品より拡大し、異物が食べ物に隠れていても磁力により吸着でき、吸着後は簡便に把持ないし包持可能であってその把持状体(包持状体)も視認でき、効率的な回収を実現する。このとき、把持状態(包持状体)が悪ければ、マグネット鉗子を内視鏡内に一旦引き入れ元に戻すことにより、異物を一旦脱離させつつ磁力により付近に停留させ、再度簡便に吸着把持(吸着包持)することも可能となる。また、磁力により、掴む力に幅を持たせることができる(すり抜けにくく、脱離しにくくなる)。
【0010】
把持枝体は、2本として把持態様を形成するようにしてもよいが、3本以上として包持する態様が好ましい。いずれの場合も、回転対称に設けるのが好ましい。また、把持枝体は、直線状の棒体や板体に限らず、先端部分を内側に向かせカギ状にするなど、把持性能を高めるようにしてもよい。内面を鋸状にするなど滑り止め機能を持たせ把持性能を高めてもよい。なお、磁力によりねじれてNSがひっつき合うようなことが生じない構造または強度とする。
【0011】
帯磁により反発する、とは同極が向かい合うまたは牽制し合うように配置されることを意味する。またその磁力は、請求項2または3に記載するように、永久磁石によるものでも、電磁石によるものでもよく、強度が強いものが好ましい。
【0012】
請求項2に記載のマグネット鉗子は、請求項1に記載のマグネット鉗子において、帯磁は、それぞれの把持枝体に永久磁石を配置する、それぞれの把持枝体自体を永久磁石とする、または、基端に永久磁石のN極またはS極を当てることにより先端をS極またはN極に磁化する、ことによるものである。
【0013】
すなわち、請求項2にかかる発明は、消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子を提供できる。
【0014】
把持枝体に永久磁石を配置する、とは、永久磁石を把持枝体に接合する態様であっても埋入する態様であってもよい。配置の態様としては、把持枝体に沿って内側面側をN(S)極、外側面側をS(N)極、とする他、把持枝体の末端側をN(S)極、基端側をS(N)極とする例を挙げることができる。また、把持枝体1本中に一つの磁石でなく、複数配置して全体として反発するようにしてもよい。例えば、把持枝体の中間部分に把持枝体長手に沿って、内側面側N極、内側面側S極、内側面側N極、内側面側S極、と交互に複数配置するようにすることもできる。永久磁石は、大きな磁力としてはネオジウム磁石を挙げることができる。
【0015】
把持枝体自体を永久磁石とする例としては、把持枝体の内側面側をN(S)極、外側面側をS(N)極、とする場合と、把持枝体長手に沿って末端側をN(S)極、基端側をS(N)極とする場合がある。
【0016】
基端に当てた永久磁石により先端の把持枝体が磁化するためには、マグネット鉗子の基端から分岐点までのケーブルを金属製とするのが好ましいが、内視鏡内の磁性体により把持枝体が磁化するのであれば、必ずしも金属製としなくてもよい。
【0017】
請求項3に記載のマグネット鉗子は、請求項1に記載のマグネット鉗子において、把持枝体の分岐位置近傍にソレノイドを設け、電磁力により帯磁させることを特徴とする。
【0018】
すなわち、請求項3にかかる発明は、消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子を提供できる。自由に磁力の発生消失を制御できるので、操作性が高まる。
【0019】
電力は、内視鏡装置に利用する電力を用いることができる。また、磁化していない場合は、把持枝体はバネ力により末広がり形状または閉じた形状等とするようにする。
【0020】
請求項4に記載の内視鏡装置は、請求項1、2または3に記載のマグネット鉗子を含み、把持枝体が内視鏡装置先端から所定の飛び出し位置および/または所定の引き込み位置に至るときに、押し出し抵抗または引き戻し抵抗が大きくなる抵抗手段を設けたことを特徴とする。
【0021】
すなわち、請求項4にかかる発明は、いわゆるアタリにより、どの程度把持枝体が内視鏡装置先端から出ているかまたは引っ込んでいるかを容易に把握でき、操作性または使用感が高まる。
【0022】
なお、抵抗手段は、マグネット鉗子の管体ないし軸体の中途に沈降可能な凸部を、チャンネル内壁に凹部を、それぞれ形成する態様を挙げることができる。マグネット鉗子自体で完結する抵抗手段としてもよい。また、抵抗手段は、例えば、分岐点が内視鏡装置先端に至ったときに抵抗変化を感じる位置に設けることができる。またこの基準位置ともいえる1箇所に限らず、分岐点が1cm飛び出したとき、5mm引っ込んだときに抵抗変化を感じる位置にも設けるなどしてよい。引っ込んだ位置とするときは、把持枝体がどの程度窄んだ形状となっているかを操作者がイメージすることができることとなる。
【0023】
請求項5に記載の内視鏡装置は、請求項1、2または3に記載のマグネット鉗子を含み、チャンネルに対して把持枝体を任意の位置にて固定するストッパを設けたことを特徴とする。
【0024】
すなわち、請求項5にかかる発明は、適正な把持力(包持力)を維持して、安定な回収作業を実現する。
【0025】
ストッパは、マグネット鉗子単体で完結する態様の他、マグネット鉗子と内視鏡装置とが協働する態様であってもよい。固定態様は特に限定されない。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子および内視鏡装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の内視鏡装置の外観図である。
【図2】本発明のマグネット鉗子の基端部分の概要図である。
【図3】本発明のマグネット鉗子の先端部分の拡大図である。
【図4】マグネット鉗子のチューブに対するアームの前進、後退の例を示した説明図である。
【図5】アーム部分の永久磁石の配置例である。このうち図4bは図4aのA-A断面(アーム3本分)である。
【図6】ソレノイドによる帯磁を実現するマグネット鉗子の断面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは本発明のマグネット鉗子が挿通された内視鏡装置について説明する。図1は、内視鏡装置の外観図である。図2は、マグネット鉗子の基端部分の概要図である。図3は、本発明のマグネット鉗子の先端部分の拡大図である。なお、各図は、説明の便宜上構成を適宜省略し、また、縮尺を必ずしも同一としていない。

【0029】
内視鏡装置1は、大きく、操作部10と、挿入部20と、を有し、これらを基本構成とする。操作部10は、操作者が本体部(図示せず)のモニタを見ながら挿入部20を操る操作部分である。挿入部20は操作部10から延伸したチューブであり、消化管内を撮影しつつ金属異物を取り除く部位である。

【0030】
次に各部をより詳細に述べる。
操作部10は、把持部11を基体とし、これに、アングルノブ12、操作ボタン群13、鉗子チャンネル口14、ユニバーサルコード15など、を備える。

【0031】
把持部11は握り手であり、操作者がこれを片手に握りながら、他方の手でアングルノブ12や操作ボタン群13を操作し、またマグネット鉗子40の操作もおこなう。

【0032】
アングルノブ12は、挿入部20の先端と図示しないワイヤにより繋がっており、アングルノブ12を回すことにより、その先端が上下左右に曲がり、体内への挿入部20の挿入を容易にし、また、消化管内の360度撮影、および、異物捜索、回収を可能にする。

【0033】
操作ボタン群13は、送気・送水ボタンや吸引ボタンを備え、ボタン操作により、空気や水を本体部から送出したり吸引したりする。

【0034】
マグネット鉗子40は、図示したように、鉗子チャンネル口14から挿入され、挿入部20に挿通され、先端にて異物回収をおこなう。マグネット鉗子40については後に詳述する。

【0035】
ユニバーサルコード15は、挿入部20からの光学系配線、通気通水管を本体につなげる。

【0036】
次に、挿入部20について説明する。
挿入部20は、挿入チューブ21と、先端部22と、を有する。

【0037】
挿入チューブ21は管体であって、内部に光学系配線(図示せず)、通気通水管(図示せず)、ワイヤ(図示せず)、鉗子チャンネル211を有する。鉗子チャンネル211は、マグネット鉗子40を挿通している。本実施の形態では、鉗子チャンネル211の口径は約3.7mmである。

【0038】
先端部22は、撮像光学系221と、照明222と、通気通水ノズル223と、鉗子口224と、を有し、挿入チューブ21のワイヤを介し、アングルノブ12の操作に従い自在に向きをかえる。

【0039】
撮像光学系221は、先端面225に対物レンズを、基端側にCCD撮像装置を備え、挿入チューブ21の光学系配線と繋がっており、消化管内の状況を動的に撮影し、これを本体のモニタに出力する。また、照明222は先端面225に照明レンズを、基端側に光源を備え、先端部22周囲を照らし、撮像光学系221の撮影を補助する。

【0040】
通気通水ノズル223は、挿入チューブ21の通気通水管に繋がっており、操作ボタン群13の操作にしたがって、本体とユニバーサルコード15を介して空気や水の送出吸引をおこなう。

【0041】
鉗子口224は、その先端からマグネット鉗子40の先端を露出させ、金属異物の包持回収をおこなう。

【0042】
なお、本体については、その図示を省略するものの、モニタ、光源制御部、画像記録部、送水吸水制御部、送気吸気制御部等を有する。

【0043】
次にマグネット鉗子40を説明する。
マグネット鉗子40は、図1~3に示したようにレリーズ様であって、外装であるチューブ41と、チューブ41に挿通されるケーブル42と、ケーブル42の先端に取り付けられた3本のアーム43と、ケーブル42の基端近くに挿通し、その送り出し量、引き込み量を操作する巻出ダイヤル44と、チューブ41を内視鏡装置1の鉗子チャンネル口14に所定位置で固定する固定具45と、を主要な構成としている。

【0044】
チューブ41は、柔軟素材でできており、その外径は鉗子チャンネル211の口径3.7mmを考慮した3.5mmとしている。先端付近には、内側に、わずかな間隔をあけた2本一組のリング411が3組配され(図4)、ケーブル42との間でアタリを形成している。これにより、アーム43の位置を操作感覚として認識でき使用感を高めている。

【0045】
また、チューブ41の基端側には固定具45が外挿されており、鉗子チャンネル口14に嵌めることにより、その位置でチューブ41を鉗子チャンネル211に対して固定できるようにしている。固定具45は、チューブ41を任意の位置で固定可能であるが、概ね、チューブ41の先端が先端面225に揃う位置で固定するのが好ましく(図3,図4)、この位置調整はマグネット鉗子40を内視鏡装置1に組み付ける際におこなう。

【0046】
ケーブル42は、ワイヤでできており、先端の分岐要(かなめ)421にて枝分かれして3本のアーム43が取り付けられている。中途はチューブ41に挿通されており、基端側は巻出ダイヤル44に挿通される。

【0047】
巻出ダイヤル44は、ちょうどラックとピニオンのように、ケーブル42に押し当たるローラ441が内蔵されており、巻出ダイヤル44を回すことにより、その分チューブ42に対してケーブル42が押し出されまた引き込まれる。回さないときには、その位置でチューブが停止(固定する)。これにより、次に説明するアーム43を窄め、適切な強度(窄み位置)で金属異物を簡便に包持できるようになる(図4)。また、異物をうまく包持できないときは、一旦アーム43を先端面225から引っ込め(これにより金属異物がアーム43から離れ)、再度アーム43を伸ばし、簡便に包持操作を繰り返すことが可能となる。

【0048】
アーム43は、図3に示したように、分岐要421から120°回転対称に配された棒体であって、分岐要421ないしケーブル42を軸として、回転対称形を維持したまま磁力により広がりまたケーブル42の引き込みにより窄む。この、いわば開閉動作によって金属異物を包持する。アーム43の先端は内側に若干折れ曲がり、包持性を高めている。なお、長さは約6.5mm、太さは約1.6mmである。

【0049】
図5a(アーム43の1本の断面)、図5b(3本のアーム43のA-A断面、すなわち、軸に垂直な断面)に示したように、アーム43は、内側面431がN極となるように永久磁石432がアーム43に埋め込まれている。これにより、3本のアーム43は、互いに同様に反発し合い、先端に向かって末広がりの形状を形成する。また、この磁力により、食べ物に邪魔されて直接金属異物が見えない場合であっても、先端部22を動かし、また、先端面225に対してアーム43を出し入れすることにより、いずれかのアーム43に異物が接触すれば、そのまま付着するので捜索効率が高まる。

【0050】
すなわち、3本のアーム43が磁力により末広がり形状を形成するので、実質的な専有面積ないし占有体積が大きくなるとともに、いずれかのアーム43に金属異物が接触しさえすれば磁力によりそのまま異物を離さないので、例え視界が悪くとも捜索効率が重畳的に高まる。

【0051】
ケーブル42には、また、分岐要421近くに他から若干拡径した円環422が形成されている(図4)。この円環422がリング411の間に嵌まるときまた外れるときの抵抗変化により、ケーブル42の送り出し/引き込みのアタリがつく。図示したように、リング411は3組設けており、中央の組に円環422が至ったとき、分岐要421がちょうど先端面225から露出した位置(以降において基準位置(図4a)と適宜称する。)となるようにしており、前方の組に至ったときは基準位置+8mm(図4b)、後方の組に至ったときは基準位置-5mm(図4c)、すなわちアーム43が半窄みとなるようにもうけてある。このように、アーム43の位置を操作者が実感出来るので、操作性が高まる。

【0052】
内視鏡装置1は、以上の構成であるので、汎用の内視鏡装置を用いることもでき、その鉗子チャンネルを利用して、視認しながら異物の捜索を可能とし、食べ物で異物の正確な位置が分からない場合でも磁力とアームの形状による効率的な捜索および吸着を実現し、包持損ねても、アームの出し入れにより再度速やかに異物を包持でき、包持強さまたは包持形状(窄み形状)も簡便に維持できる。なお、アームがどの程度出しているかまたは引っ込めているか(すぼめているか)も、簡便に感知でき、操作感・使用感に優れる。

【0053】
本発明は上記の態様に限定されない。
まず、アーム43の本数は、2本でもよく(図6)、4本以上でもよい。2本の場合は異物の回収態様としては把持と表現できる。いずれの場合も、磁力によりねじれて互いにくっつき合うことがないような構成ないし強度とする。アーム43の内側には、山谷いわゆるギザギザを設け、異物の滑り抜けを発生しにくくしてもよい(図6)。

【0054】
また、図5cに示したように、アーム43に沿って、基端側をN極、先端側をS極に配した棒磁石をアーム43内に埋入してもよい。この配置態様によっても、アーム43はそれぞれ反発して末広がり形状を形成する。

【0055】
また、1本のアーム43に備える磁石は一個に限定されない。図5dに示したように、4枚の磁石を用い、内側面431に交互に極を変えて配置する態様であっても良い。アーム43が全体として互いに反発するのであれば、永久磁石432の配置は特に限定されない。

【0056】
また、ケーブル42およびアーム43を金属で形成し、ケーブル42基端に、ネオジウム磁石を接触し、アーム43先端を磁化して開くようにしてもよい。
この他、アーム43自体を磁石として構成してもよい。

【0057】
更に、図6に示したように、分岐要421の基端側にソレノイド423を設け、必要時に通電して磁力を発生するようにしてもよい。すなわち、電磁石によりアーム43を帯磁させ開き、異物を磁着し、ケーブル42の引き戻しによりアーム43を窄めて把持するようにしてもよい。特に、うまく把持できなかった場合は、電力供給を一旦止めて異物を離脱できるので、簡便に再把持(適正把持)が可能となる。この電力供給部は、マグネット鉗子40に設けてもよいが、電力は内視鏡装置1または本体から供給されるようにしてもよい。なお、使用の態様により、バネ力により非通電時には、アーム43が閉じており、通電時にはバネ力に打ち勝って開くようにしてもよい。

【0058】
また、上記の例では、鉗子チャンネル211に対してチューブ41が固定され、チューブ41に対してケーブル42が前進/後退する態様であったが、チューブ41をなくし、ケーブル42を直に鉗子チャンネル211に挿通し、鉗子チャンネル211に対してケーブルを前進/後退させるようにしてもよい。なお、この場合は、リング411を鉗子チャンネル211内に設けるようにする。場合により、リングでなく、凹環を鉗子チャンネル211内に3箇所形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によれば、消化管内の金属異物を効率よく回収できるマグネット鉗子および内視鏡装置を提供可能となる。
【符号の説明】
【0060】
1 内視鏡装置
10 操作部
11 把持部
12 アングルノブ
13 操作ボタン群
14 鉗子チャンネル口
15 ユニバーサルコード
20 挿入部
21 挿入チューブ
211 鉗子チャンネル
22 先端部
221 撮像光学系
222 照明
223 通気通水ノズル
224 鉗子口
225 先端面
40 マグネット鉗子
41 チューブ
411 リング
42 ケーブル
421 分岐要
422 円環
423 ソレノイド
43 アーム
431 内側面
432 永久磁石
44 巻出ダイヤル
45 固定具
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5