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明細書 :点滴用サポータ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-018575 (P2017-018575A)
公開日 平成29年1月26日(2017.1.26)
発明の名称または考案の名称 点滴用サポータ
国際特許分類 A61M   5/158       (2006.01)
FI A61M 5/158 500R
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2016-094209 (P2016-094209)
出願日 平成28年5月10日(2016.5.10)
優先権出願番号 2015137935
優先日 平成27年7月9日(2015.7.9)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】中村 守彦
【氏名】矢野 牧江
出願人 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
審査請求 未請求
テーマコード 4C066
Fターム 4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066FF04
4C066HH07
4C066LL18
要約 【課題】抜去事象の低減を実現するとともに被使用者のストレスも低減する点滴用サポータを提供すること。
【解決手段】 肘裏穿刺の点滴の際に用いる、チューブT付の留置針Nを保持する点滴用サポータ1であって、腕まわりの一部を覆う当て布部10と、当て布部10の端部に備わる所定幅の面ファスナ21の帯であって、腕まわりを捲回して当て布部10の被覆性を高めるとともにチューブTを固定するバンド部20と、を有し、当て布部10とバンド部20との少なくとも一方に、点滴の種類および/または点滴の時間および/または被使用者の嗜好に基づいて、模様若しくは色彩又はこれらの結合が表出していることを特徴とする点滴用サポータ1。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
上肢所定箇所への点滴の際に用いる、チューブ付の針を保持する点滴用サポータであって、
上肢まわりの全部または一部を覆う当て布部と、
当て布部の端部または中途に備わり、上肢まわりを捲回または締めつけて当て布部の被覆性を高めるとともにチューブを固定する固定部と、
を有し、
当て布部と固定部との少なくとも一方に、点滴の種類および/または点滴の時間および/または被使用者の嗜好に基づいて、模様若しくは色彩又はこれらの結合が表出していることを特徴とする点滴用サポータ。
【請求項2】
上肢所定箇所は腕の所定箇所であって、
当て布部は、腕まわりの一部を覆う幅の略四角形の形状であり、
固定部は、所定幅の面ファスナの帯であるバンド部として構成され、
バンド部を略平行に二つ備え、
バンド部の間に当て布部を配したことを特徴とする請求項1に記載の点滴用サポータ。
【請求項3】
凹条が形成され腕の保持安定性を高める台座体を備えたことを特徴とする請求項2に記載の点滴用サポータ。
【請求項4】
上肢所定箇所は手首から先の所定箇所であって、
当て布部は手袋であることを特徴とする請求項1に記載の点滴用サポータ。
【請求項5】
チューブ付きの針と共に貼着テープにより皮膚に貼着された磁石、その他貼着テープにより皮膚に貼着された磁石、に関し、
サポータを取り付けた際に、当該磁石近傍に位置する当て布部部分または固定部部分に磁束密度の変化を検出する磁気センサが縫着ないし取り付けられており、サポータのずれを検出可能としたことを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の点滴用サポータ。
【請求項6】
固定部の上肢まわりの捲回を剥がすとまたは締め付けを緩めると電気信号を発する発信器が埋入または縫着されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一つに記載の点滴用サポータ。
【請求項7】
チューブを固定部または当て布部の外表面にて固定する面ファスナが形成された第二バンドを設けたことを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の点滴用サポータ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、点滴用サポータに関し、特に、点滴がおこなわれる者すなわち被使用者に安心感を与え、自己抜去や過誤的な抜去が抑制される点滴用サポータに関する。
【背景技術】
【0002】
大学病院などの大型の医療施設では24時間の持続点滴を必要とする患者も多く、静脈留置針の自己抜去の例が増加している。これは、認知症等疾患が原因であったり拘束感等のストレスが原因であったりする。
【0003】
また、救急車で運ばれるなどの急性期における混乱の中、意図せずチューブが引っぱられてしまうなどしてライン抜去が生じる場合もある。
【0004】
そして従来は、固定テープによって留置針やそれに連なるチューブを皮膚表面にそのまま張り付けて固定性や保持性を確保していた。
【0005】
しかしながら、固定テープは、剥がし易さや皮膚への影響も考慮したものであるため粘着力は大きくなく、固定性や保持性は必ずしも高くない。
【0006】
そして当然ながら、自己抜去にせよライン抜去にせよ、抜去が生じた場合には看護師等が速やかにこれを知得したいという潜在的な要請がある。
【0007】
一方、患者側では点滴がいつ終わるか通常分からず、点滴はストレスを伴うものであった。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2013-192607
【特許文献2】特開平9-192166
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、抜去事象の低減を実現するとともに被使用者のストレスも低減する点滴用サポータを提供することを目的とする。
【0010】
また、抜去が生じる際にこれを看護師が把握しやすい点滴用サポータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の点滴用サポータは、上肢所定箇所への点滴の際に用いる、チューブ付の針を保持する点滴用サポータであって、上肢まわりの全部または一部を覆う当て布部と、当て布部の端部または中途に備わり、上肢まわりを捲回または締めつけて当て布部の被覆性を高めるとともにチューブを固定する固定部と、を有し、当て布部と固定部との少なくとも一方に、点滴の種類および/または点滴の時間および/または被使用者の嗜好に基づいて、模様若しくは色彩又はこれらの結合が表出していることを特徴とする。
【0012】
すなわち、請求項1にかかる発明は、被使用者も色により大まかな点滴所要時間や点滴種類を把握でき、着用ストレスを低減可能となる。被使用者の趣味感に合わせた配色ないし模様、柄とすることによっても着用ストレスを低減可能となる。また、固定部として幅広の面ファスナを採用して剥離抵抗(耐抜去性)を高めることもできる。これらにより、被使用者のストレスを低減するとともに抜去事象の低減も実現可能となる。なお、従来の固定テープが併用されることを妨げない。
【0013】
上肢所定箇所は、代表的には腕の場合には肘内側、手首、手の甲を挙げることができる。
針は留置針であっても翼状針であってもよい。
【0014】
上肢回りの全部を覆うとは筒状態様を意味し、上肢回りの一部を覆うとはあてがう態様を意味する。
固定部としては、面ファスナ、スライドアジャスタ、ワンタッチバックル、スナップボタンの例を挙げることができる。
【0015】
面ファスナやスライドアジャスタ、ワンタッチバックルを用いる場合は、固定部全周にわたって形成される必要はなく、被使用者の腕まわりや手首まわりに応じて面接着位置や固定位置、バックル長さを調整可能に配されていればよい。ただし、面ファスナは、認知症患者(たいていの場合老人)や子供にとっては片手作業では剥離抵抗が大きな幅とし、接着長さもある程度長くしてチューブの保持安定性を高めるようにする(抜去を抑制するようにする)。例えば幅は7cm以上、長さは10cm以上とすることができる。なお、面ファスナの係合力評価は、剪断力(シアー強度)、剥離強さ(ピール強度)、引っ張り強さ(ラッチ強度)によって評価されるが、特にピール強度が重要であり、これが4.0N/cm以上あるのが好ましい。
スライドアジャスタやワンタッチバックルでは、押し込み部分の強度が大きいものを採用するようにする。
【0016】
なお、面ファスナ(フック/ループ)に相応する捲回位置に面ファスナ(ループ/フック)が備わるのはいうまでもない。当て布部に備わる態様もあれば、バンド部を長くして片面をフック、他面をループとする態様とすることもできる。スライドアジャスタ等も同様である。
【0017】
当て布部と固定部とは、別体のものを逢着するなどして一体化する例を挙げることができるが、必ずしも明瞭な境目を要求するものでなく、一体ものを概念的ないし機能的に分けて把握可能であればよいものとする。素材は、少なくとも上肢に触れる部分は布地とするまたは布地を介在させるなどして蒸れの生じにくくすることが好ましい。
【0018】
チューブ固定は、チューブの上から固定部で保持する態様、すなわち、チューブを上肢につけて固定部でまとめて固定する態様のほか、面ファスナを採用する場合は長めにして上肢を一周以上まわって面ファスナ間に挟み込んで固定してもよい。更には、別途面ファスナで固定する態様(請求項7)であってもよい。固定部の上肢側で1箇所、固定部または当て布部の表面側で1箇所というように、複数箇所で保持する態様であってもよい。
【0019】
模様若しくは色彩又はこれらの結合は、単純には色分けを挙げることができ、単色のみでなく(単色の色違いシリーズとするだけでなく)、複数色の組合せ、模様、図柄であってもよい。複合的に、当て布部を被使用者の趣味感に合わせた色とし、バンド部で点滴時間や点滴種類を表すようにしてもよい。業界で規格化してもよい。
【0020】
請求項2に記載の点滴用サポータは、請求項1に記載の点滴用サポータにおいて、上肢所定箇所は腕の所定箇所であって、当て布部は、腕まわりの一部を覆う幅の略四角形の形状であり、固定部は、所定幅の面ファスナの帯であるバンド部として構成され、バンド部を略平行に二つ備え、バンド部の間に当て布部を配したことを特徴とする。
【0021】
すなわち、請求項2にかかる発明は、穿刺状況を視認できるいわゆる窓を形成して、被利用者にその気になればいつでも外せるという安心感をもたせてストレスを少なくし、結果として抜去に至らせなくすることができる。合わせて、二つのバンドにより剥離抵抗をより高めて、実際には剥離困難とし、この点からも抜去事象の抑制が実現される。
【0022】
腕の所定箇所とは、肘内側を基本とするが手の甲側の手首である場合もある。ただし、この2箇所に限定されるものではない。
一部を覆うとは、当て布部が腕まわりを一周しないことを意味する。
バンド部の間に当て布部を配するとは、当て布部がはみ出さない態様も、当て布部端部がはみ出す態様も、いずれも含まれるものとする。また、バンド部は、「工」字状のように、当て布部から両側に延伸していても、「コ」字状のように、片側に延伸していてもよいものとする(これらのパタンが混在していてもよい)。また、二つのバンド部は長さが異なっていてもよい。
【0023】
請求項3に記載の点滴用サポータは、請求項2に記載の点滴用サポータにおいて、凹条が形成され腕の保持安定性を高める台座体を備えたことを特徴とする。
【0024】
すなわち、請求項3にかかる発明は、腕の保持安定性を高めることによりサポータの保持安定性を高め、これにより、抜去を抑制する。
【0025】
なお、台座体は、当て布部に固定されていてもよく、別体であってもよい。少なくとも腕が当たる部分は蒸れの生じないまたは生じにくい素材を採用することが好ましい。
【0026】
請求項4に記載の点滴用サポータは、請求項1に記載の点滴用サポータにおいて、上肢所定箇所は手首から先の所定箇所であって、当て布部は手袋であることを特徴とする。
【0027】
すなわち、請求項4にかかる発明は、幼児や小児の抜去事象を予防可能となる。
【0028】
手首から先の所定箇所とは、手の甲を基本とするが、ここのみに限定されるものではない。
手袋は、五本の指をそれぞれ覆うものであっても、ミトンタイプであってもよく、また、指の先端が開放されたタイプであってもよい。仕様の態様により、手甲タイプとすることもできる。
【0029】
請求項5に記載の点滴用サポータは、請求項1~4のいずれか一つに記載の点滴用サポータにおいて、チューブ付きの針と共に貼着テープにより皮膚に貼着された磁石、その他貼着テープにより皮膚に貼着された磁石、に関し、サポータを取り付けた際に、当該磁石近傍に位置する当て布部部分または固定部部分に磁束密度の変化を検出する磁気センサが縫着ないし取り付けられており、サポータのずれを検出可能としたことを特徴とする。
【0030】
すなわち、請求項5にかかる発明は、抜去しようとする際に生じる、腕に沿ってずらそうとする動きや、回転させたりする動き、すなわち、抜去の初期動作を検知可能となる。また、使用する磁石は、被使用者に痛み緩和用であることを伝えるなどして、間接的に着用ストレスの低減をはかることもできる。
【0031】
貼着テープは針を固定するテープと兼用であってもよく、別のテープであってもよい。
磁石は、例えば、厚みが2mm、直径が6mmの扁平な円筒磁石とすることができる。磁力は、磁気センサにより検出できれば限定されないが、例えば、800ガウスとすることができる。磁石は、貼着テープ自体に埋入し外部から見えないようにしていてもよい。このほか、磁石はマグネットシートであってもよく、更には、マグネットシートの片面が粘着テープとして構成されていてもよい。
磁気センサも特に限定されないが、例えば、ホール素子による検出を挙げることができる。
検出に基づき、適宜発信器を作動させるようにする。
【0032】
請求項6に記載の点滴用サポータは、請求項1~4のいずれか一つに記載の点滴用サポータにおいて、固定部の上肢まわりの捲回を剥がすとまたは締め付けを緩めると電気信号を発する発信器が埋入または縫着されていることを特徴とする。
【0033】
すなわち、請求項6にかかる発明は、抜去が生じた場合にこれを看護師が把握しやすい点滴用サポータを提供することができる。
【0034】
発信器は特に限定されないが、低消費電力で医療機器への影響がないBluetooth(登録商標)技術を採用することができる。920MHz帯を使用してもよい。形状としては小型かつ薄型であることが好ましい。埋入または縫着位置は限定されないが、被使用者に知得されにくい態様とすることが好ましい。監視されているというストレスを生じさせないためである。なお、看護師の詰所への信号送信でなく、病室内にてチャイムが鳴るようにしてもよい。また、病室外の通路側にランプを設け、このランプが点灯・点滅するようにしてもよい。仕様の態様により、電気信号は無線信号でなく発信器自体がチャイム音発生装置として機能するようにしてもよい。
【0035】
請求項7に記載の点滴用サポータは、請求項1~6のいずれか一つに記載の点滴用サポータにおいて、チューブを固定部または当て布部の外表面にて固定する面ファスナが形成された第二バンドを設けたことを特徴とする。
【0036】
すなわち、請求項7にかかる発明は、耐抜去性をより向上させることができる。
【0037】
なお、第二バンドの面ファスナ(フック/ループ)に相応するバンド部の外表面にも面ファスナ(ループ/フック)が備わるのはいうまでもない。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、抜去事象の低減を実現するとともに被使用者のストレスも低減する点滴用サポータを提供することができる。また、抜去が生じる際にこれを看護師が把握しやすい点滴用サポータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の点滴用サポータの一例を示した平面図(a)、正面図(b)、背面図(c)である。
【図2】本発明の点滴用サポータの装着例を示した説明図である。
【図3】本発明の点滴用サポータの色分け例を示した説明図である。
【図4】ミトンタイプの点滴用サポータの概要図である。
【図5】本発明の点滴用サポータの他の例を示した平面図(a)とA-A断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施例1>
ここでは、まず、コ字状の点滴用サポータについて説明する。図1は、本発明の点滴用サポータの一例を示した平面図、正面図、背面図である。図2は、本発明の点滴用サポータの装着例を示した説明図である。なお、各図においては説明の便宜上縮尺や縦横比を必ずしも統一しておらず、構成も適宜省略している。

【0041】
点滴用サポータ1は、当て布部10とバンド部20とを基本構成とし、腕の肘裏へ刺した点滴用の留置針Nに接続するチューブTを保持するものである。当て布部10は、厚みが約7mm、縦横が30cm×12cmの長方形の布地である。バンド部20は当て布部10の上端辺および下端辺に連続するように同方向に延設されており、厚みが約7mm、幅6cm長さ20cmの帯状の布地である。

【0042】
当て布部10には、台座11が着脱可能に取り付けられおり、この台座11には曲率のついた凹条111が形成されている。台座11は、凹条111中央部に肘をあてて使用し、肘の包持性を高めるものである。なお、台座11は、凹条111の幅や曲率をかえて複数用意され、被使用者の腕に最もフィットするものを用いる。

【0043】
当て布部10の内側(腕に当たる側)と、台座11の凹条111部分には通気性のよい繊維素材を用いており、長時間使用しても腕が蒸れないようにしている。

【0044】
バンド部20には面ファスナ21が備わる。面ファスナは一般に、多数の微小フックと微小ループとにより係合しあって、剥離抵抗を発揮するが、点滴用サポータ1では、肌に当たることもあるため、フックに比べて柔軟であるループ側を面ファスナ21(ループ側・面ファスナ211)として採用している。また、対になるフック側は、当て布部10の表面側(外側)からバンド部20の表面側にかけて縫着されている(フック側・面ファスナ212)。

【0045】
図2に示したように、バンド部20を捲回して腕に取り付けると、当て布部10は腕を一周せず、窓Wが形成される。窓Wにより状態が視認できるため、被使用者には、簡素に取り付けてあるだけであるから外そうと思えばいつでも外せる、という安心感をもたらし、被使用者の拘束感を和らげることができる。結果として抜去が抑制されることとなる。

【0046】
ここで、実際の自己抜去は、認知症患者の例がそうであるように、単に留置針Nを抜くだけでなく、違和感を取り除くため固定テープなど点滴関連の装着物を総て外そうとする。したがって、まずは、点滴用サポータ1をいじり、簡単に外れなさそうであると、バンド部20を剥がそうとする。また、先に留置針Nを抜いたとしても、その直後にバンド部20を剥がそうとする。

【0047】
そこで、点滴用サポータ1では、面ファスナ21として、子供や老人の片手では剥離が困難な、単位面積あたりのピール抵抗の大きなものを採用している。また、バンド部20の幅を広くして、絶対的なピール抵抗値を大きくしている。目安としては20N以上の力を要する面ファスナであることが好ましい。

【0048】
このように、点滴用サポータ1は、第一に窓Wの形成によりストレスを低減して抜去を抑制しつつ、第二にピール抵抗を大きくして抜去を抑制する、という二段構えの抜去防止を実現している。

【0049】
更に、点滴用サポータ1では、実際にバンド部20が剥がされた場合に、看護師の詰所で剥離を認識できるようにしている。具体的には、当て布部10に薄型かつ小型の発信器12を挿入しており、バンド部20先端にも薄型で小型のセンサ22を埋入している。また、バンド部20表裏にバンド部の長手に沿って導電テープ23を逢着している。バンド部20が剥がされると、センサ22は、自身の導電テープ23の接触状態から非接触状体への状態変化を検知し、これに基づき発信器12が作動する。

【0050】
発信器12はBluetoothにより、看護師の詰所へID情報と剥離検知信号とを含む無線電波信号を送信し、詰所では、ランプおよび音により、どの被使用者において剥離ないし抜去が生じたかを認識可能としている。

【0051】
なお、バンド部20の内側の素材も、当て布部10と同様に通気性の良好な繊維素材を用い、蒸れの発生防止を実現している。

【0052】
点滴用サポータ1(当て布部10およびバンド部20)は、衛生性の確保のため、洗濯可能としている。ただし、発信器12とセンサ22、場合により導電テープ23は、それぞれ当て布部10とバンド部20から取り外し可能としている。

【0053】
また、点滴用サポータ1は、点滴時間に応じて色分けされている。例えば、30分以内の点滴であれば橙、2時間以内の点滴であれば黄色、6時間以内であれば緑、12時間以内であれば青、24時間以内であれば紫、それ以上であれば肌色、とする。これらの色分け情報については予め被使用者に通知しておくことにより、被使用者は、点滴開始時におおよその時間目安を知ることができ、いつ点滴が終わるか分からないという不安感から解放される。すなわち、色分けによっても抜去抑制が実現される。仕様の態様によっては、バンド部分に数字で「30分」、「4時間」などと表記されていてもよい。

【0054】
図3は、色分けの例を示した説明図である。点滴用サポータ1の背面(装着時に外側となる面)について、30分以内用(図3a)、2時間以内用(図3b)、6時間以内用(図3b)の例を示している。なお、ここでは説明の便宜上、色分けを模様として表した。図では、表面にあらわれる当て布部10部分およびバンド部20部分を色分けしているが、より小さなエリアを色分けしてもよく、全体を塗りつぶす等してもよい。

【0055】
また、点滴用サポータ1では、バンド部20の表面に、第二バンド24を別途設けている。これは面ファスナであって、チューブTをバンド部20との間で保持する。すなわち、チューブTは、バンド部20の下で腕に密着して保持され、また、もう1箇所第二バンド24によっても保持される。図示したように、チューブの向きが逆となるので、単に引っぱっても留置針Nが抜けず、保持安定性を高めている。

【0056】
このとき、第二バンド24のバンド部20からの剥離を検知するセンサを用いて発信器12が作動することもできる。

【0057】
使用に際しては、看護師は、まず、被使用者の腕の大きさに応じて台座11を選び、当て布部10に取り付けて点滴用サポータ1を準備しておく。
次に、看護師は、留置針Nを肘裏の静脈へ挿し、固定テープFを貼る。続いて、台座11を肘にあてがって、留置針Nの見える窓Wが形成されるように、バンド部20をそれぞれ腕まわりに捲回する。このときセンサ22が導電テープ23に当接するように面ファスナ21を面接着させる。また、腕の手首側のバンド部20の内側にチューブTがくるようにして捲回する(チューブTを腕とバンド部20との間で保持、固定する)。最後に、チューブTをキンクが生じないようにして再びバンド部20の表面で第二バンド24により固定する。
仕様の態様により、チューブTのバンド部20の内側での保持をせず、第二バンド24による固定のみとしても良い。

【0058】
以上説明したように、点滴用サポータ1は、被使用者のストレスを低減し、自己抜去であってもライン抜去であっても、抜去事象の低減も実現できる。加えて、抜去が生じてもこれを看護師が把握できる。

【0059】
なお、以上は一例であって、例えば、面ファスナ21にかえて、帽子や礼服のウエストに採用されるスライドアジャスタを用いてもよく、差込取付・プッシュ解除となるワンタッチバックルを採用してもよい。スナップボタンによりバンド部20の周回長さを調整するようにしても良い。更には、センサ22自体をスナップボタン型に構成してもよい。
また、台座11は、必ずしも必要でなく、適宜使用するようにしても良い。
また、当て布部10自体が部分被覆でなく、全周被覆すなわち筒形としてもよい。被使用者によっては、針部分が見えない方がストレスを感じない場合もあるためである。この場合、当て布部は伸縮性のある素材とするのが好ましい。

【0060】
<実施例2>
次に、ミトンタイプの点滴用サポータについて説明する。これは、上肢まわりのうち当て布部が手の全部を覆う態様である。被使用者は幼児ないし児童を主たる対象としている。図3は、ミトンタイプの点滴用サポータの概要図である。なお、ここでは、点滴用サポータ1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。

【0061】
点滴用サポータ2は、手袋部50とバンド部60とを基本構成とし、手首先を覆いながら、手の甲へ刺した点滴用の留置針Nに接続するチューブTを保持する。手袋部50は指空きとしており拘束感ないし閉塞感を減少させるようにしている。

【0062】
手袋部50もバンド部60も通気性のよい繊維素材を用いており、長時間使用しても腕が蒸れないようにしている。

【0063】
バンド部60は、リストバンド様であって、所定位置から先に面ファスナ61が備わっている。肌に当たることもあるため、内側はループ側・面ファスナ611としている。また、対になるフック側はバンド部20の反対側に縫着されている(フック側・面ファスナ612)。チューブTは、手首とまとめてバンド部60により捲回固定される。

【0064】
発信器12(図示せず)は、バンド部60に備わり、その剥離を検知して看護師の詰所で知得できるようにしている。

【0065】
なお、手袋部50には、色分けのほか、柄、模様により点滴の種類や時間を区別・識別可能とするほか、被使用者の着用ストレスを低減すべく、キャラクタの図案をプリントしてもよい。また、面ファスナ51を利用して、人気キャラクタのワッペンを着脱可能に取り付けてもよい。

【0066】
このような、ミトンタイプの点滴用サポータ2は、腕の細い幼児ないし児童に好適であり、被使用者のストレスを低減し、抜去事象の低減も実現できる。加えて、抜去が生じてもこれを看護師が把握できる。特に、握力が大きくないため、また、複雑な機構が理解し難いため、面ファスナにかえて、ワンタッチバックルやスライドアジャスタを採用してもよい。

【0067】
<実施例3>
実施例1および実施例2では、抜去動作が進行してしまっているときに(場合によっては抜去直後に)これを検知するものである。ここでは、抜去動作の初期、抜去動作に移行する前にこれを検知する、より効果的な態様について説明する。図5は、当該サポータの例を示した説明図である。図5aは、装着時の平面図を、図bは、図5aのA-A断面を示した模式図である。大まかな構成は、実施例1と同様である。

【0068】
点滴用サポータ3は、当て布部70とバンド部80とを基本構成とし、腕の内側へ刺した留置針Nに接続するチューブTを保持するものである。留置針NとチューブTとはまとめて、広めの固定テープFで皮膚に貼着固定されており、点滴用サポータ3はその上から捲回して更にチューブTを保持するものである。

【0069】
当て布部70は、長方形の布地であり、内側(腕に当たる側)には通気性のよい繊維素材を用いており、長時間使用しても腕が蒸れないようにしている。バンド部80は当て布部70の上端辺および下端辺に連続するように同方向に延設されている。点滴用サポータ3の取り付けによって視認性を確保するための窓Wが形成される。

【0070】
点滴用サポータ3は、面ファスナを備え(図示せず)、肌に当たることも考慮して、柔軟であるループ側をバンド部80内側に配し、対になるフック側は、当て布部70の外側に配している。

【0071】
ここで、実際の自己抜去は、先に説明したように、被使用者は、まず点滴用サポータ3をいじり始め、大抵は点滴用サポータ3を腕にそってずらしたり、回転させたりする。

【0072】
そこで、点滴用サポータ3では、この動きを検知して、看護師の詰所で剥離を認識できるようにしている。具体的には、図示したように、扁平円柱形状の小型磁石Mが固定テープFの貼着の際にあわせて貼着されており、この真上に来るように薄型の磁気センサ81がバンド部内に逢着されている。そして、磁気センサ81は、点滴用サポータ1と同様の小型の発信器(図示せず)に接続している。点滴用サポータ3が当初位置からずれると、磁気センサ81は磁力変化を検知し、これに基づき発信器が作動する。

【0073】
発信器は、Bluetoothにより、看護師の詰所へID情報と剥離検知信号とを含む無線電波信号を送信し、詰所では、ランプおよび音により、どの被使用者が抜去しようとしているかを認識可能としている。

【0074】
使用に際しては、看護師は、まず、留置針Nを腕の内側の静脈へ挿し、固定テープFで留置針Nとチューブとを皮膚に張り付け固定する。このとき、磁気センサ81の位置も予想しながら磁石Mを皮膚に貼る。看護師は、被使用者に、これは磁石であり、痛み緩和効果があると伝えるなどし不安感を生じさせないようにする。続いて、当て布部70を腕の裏側にあてがって、留置針Nの見える窓Wが形成されるように、かつ、磁気センサ81が磁石Mの真上に来るように気をつけながら、バンド部80を腕まわりに捲回する。

【0075】
以上説明したように、点滴用サポータ3は、抜去の初期動作を看護師が把握でき、抜去を未然に防ぐことも可能となる。なお、磁石Mは、留置針Nを張り付けるテープとは別に、別途貼り付けるようにしても良い。また、点滴用サポータ1の構成も組み合わせて、初期動作とバンド部の剥がし動作とを両方検知し、抜去動作の推移を把握するようにしてもよい。

【0076】
本発明は、上記の態様に限定されるものでない。例えば、点滴時間でなく、点滴種類によって色分けされていてもよい。点滴バッグが遠くにあったり、視力が弱かったりと、文字が読みにくい場合であっても、色分けにより、いま自分におこなわれている点滴が何であるかを把握できればストレスの低減につながり、反射的に抜去も抑制される。
このほか、余った面ファスナ部分に、点滴時間や点滴種類のワッペン様のものを張り付けるようにして、被使用者の不安感を低減させるようにしてもよい。

【0077】
なお、チューブTに係止体を設け、バンド部に引っかけてチューブTの抜去抵抗を高めるようにしてもよい。係止体にかえ、チューブTに面ファスナのフックかループを取り付け、これをバンド部の面ファスナに直接張り付けて抜去抵抗を直接高めるようにすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、抜去事象の低減を実現するとともに被使用者のストレスを低減する点滴用サポータを提供することができる。また、抜去をその初期動作も含めて看護師が把握しやすい点滴用サポータを提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 点滴用サポータ
10 当て布部
11 台座
111 凹条
12 発信器
20 バンド部
21 面ファスナ
211 ループ側・面ファスナ
212 フック側・面ファスナ
22 センサ
23 導電テープ
24 第二バンド
2 点滴用サポータ
50 手袋部
60 バンド部
61 面ファスナ
611 ループ側・面ファスナ
612 フック側・面ファスナ
70 当て布部
80 バンド部
81 磁気センサ
N 留置針
F 固定テープ
T チューブ
W 窓
M 磁石
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4