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明細書 :金属有機構造体を用いるパラキシレンの分離方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-014146 (P2017-014146A)
公開日 平成29年1月19日(2017.1.19)
発明の名称または考案の名称 金属有機構造体を用いるパラキシレンの分離方法
国際特許分類 C07C   7/12        (2006.01)
C07C  15/08        (2006.01)
C07C  57/15        (2006.01)
B01J  20/22        (2006.01)
B01D  15/08        (2006.01)
B01D  15/00        (2006.01)
C07F   7/00        (2006.01)
FI C07C 7/12 CSP
C07C 15/08
C07C 57/15
B01J 20/22 C
B01D 15/08
B01D 15/00 101A
C07F 7/00 A
請求項の数または発明の数 18
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2015-132130 (P2015-132130)
出願日 平成27年6月30日(2015.6.30)
公序良俗違反の表示 1.テフロン
発明者または考案者 【氏名】三宅 孝典
【氏名】佐野 誠
【氏名】米澤 彰広
出願人 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4D017
4G066
4H006
4H049
Fターム 4D017AA04
4D017BA05
4D017CA11
4D017CB01
4D017DA02
4D017DA03
4D017EA01
4D017EA05
4G066AB07B
4G066AB24B
4G066BA23
4G066BA26
4G066CA18
4G066CA51
4G066DA09
4G066EA01
4H006AA01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB90
4H006AD17
4H006BS10
4H006BS70
4H049VN06
4H049VP10
4H049VQ25
4H049VR44
4H049VU25
4H049VW02
要約 【課題】本発明は、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離するための金属有機構造体を提供することを目的とする。また、本発明は、該金属有機構造体を用いて、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法を提供することも目的とする。さらに、本発明は、該金属有機構造体を用いて、高純度のパラキシレンを製造する方法を提供することも目的とする。
【解決手段】第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む、パラキシレン分離用金属有機構造体。
【選択図】図9
特許請求の範囲 【請求項1】
パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法であって、
第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体を用いる、方法。
【請求項2】
前記パラキシレンを含む有機混合物が、炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項1~3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
高純度のパラキシレンを製造する方法であって、
パラキシレンを含む有機混合物と第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体とを用いて、パラキシレンを分離する工程を含む、製造方法。
【請求項8】
前記パラキシレンを含む有機混合物が、炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項7~9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項7~10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、請求項7~11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
第4族の金属、及び脂肪族カルボン酸配位子を含む、パラキシレン分離用金属有機構造体。
【請求項14】
炭素数8の芳香族炭化水素を含む混合物からパラキシレンを分離するための、請求項13に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
【請求項15】
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、請求項13又は14に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
【請求項16】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項13~15の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
【請求項17】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、請求項13~16の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
【請求項18】
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、請求項13~17の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属有機構造体を用いるパラキシレンの分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学において、エチレン、プロピレン等を製造するために、ナフサのクラッキングが行なわれている。この時にナフサから芳香族化合物も同時に製造され、中でも、回収される炭素数8の芳香族化合物の留分としては、エチルベンゼン、オルトキシレン、メタキシレン及びパラキシレンの4成分が含まれている。これらのうちパラキシレンは、ポリエチレンテレフタレート(PET)の原料として、極めて有用な化合物であることはよく知られていることである。 これまでに、上記の4成分は、蒸留法、複雑なカラム分離法で分離することが試みられている(特許文献1及び2)。しかしながら、これら4成分は互いに沸点が近く、また、分子サイズも差が小さいため、4成分の中から、パラキシレンのみを分離することは、エネルギー消費量、設備費等が高くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2013-531676号公報
【特許文献2】特開2008-518781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離するための金属有機構造体を提供することを目的とする。また、本発明は、該金属有機構造体を用いて、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法を提供することも目的とする。さらに、本発明は、該金属有機構造体を用いて、高純度のパラキシレンを製造する方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体が、上記目的を達成できることを見出した。これらの知見に基づいてさらに研究した結果、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記の第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む、パラキシレン分離用金属有機構造体、該パラキシレン分離用金属有機構造体を製造する方法、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法、及び高純度のパラキシレンを製造する方法を提供することにある。
項1.
パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法であって、
第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体を用いる、方法。
項2.
前記パラキシレンを含む有機混合物が、炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物である、項1に記載の方法。
項3.
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、項1又は2に記載の方法。
項4.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項1~3の何れか一項に記載の方法。
項5.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項1~4の何れか一項に記載の方法。
項6.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、項1~5の何れか一項に記載の方法。
項7.
高純度のパラキシレンを製造する方法であって、
パラキシレンを含む有機混合物と第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体とを用いて、パラキシレンを分離する工程を含む、製造方法。
項8.
前記パラキシレンを含む有機混合物が、炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物である、項7に記載の方法。
項9.
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、項7又は8に記載の方法。
項10.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項7~9の何れか一項に記載の方法。
項11.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項7~10の何れか一項に記載の方法。
項12.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、項7~11の何れか一項に記載の方法。
項13.
第4族の金属、及び脂肪族カルボン酸配位子を含む、パラキシレン分離用金属有機構造体。
項14.
炭素数8の芳香族炭化水素を含む混合物からパラキシレンを分離するための、項13に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
項15.
前記第4族の金属が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、項13又は14に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
項16.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子又は脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項13~15の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
項17.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸配位子、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸配位子、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸配位子である、項13~16の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
項18.
前記脂肪族カルボン酸配位子が、フマル酸配位子、又はマレイン酸配位子である、項13~17の何れか一項に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体。
項19.
項13に記載のパラキシレン分離用金属有機構造体を製造する方法であって、
第4族の金属塩及び脂肪族カルボン酸を反応させる工程を含む、製造方法。
項20.
前記第4族の金属塩が、Ti、Zr、及びHfからなる金属の群から選ばれる少なくとも1種である、項19に記載の製造方法。
項21.
前記脂肪族カルボン酸が、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸又は脂肪族テトラカルボン酸である、項19又は20に記載の製造方法。
項22.
前記脂肪族カルボン酸が、
炭素数2~7の飽和若しくは不飽和脂肪族ジカルボン酸、
炭素数3~8の飽和若しくは不飽和脂肪族トリカルボン酸、又は
炭素数5~8の飽和若しくは不飽和脂肪族テトラカルボン酸である、項19~21の何れか一項に記載の製造方法。
項23.
前記脂肪族カルボン酸が、フマル酸、又はマレイン酸である、項19~22の何れか一項に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを選択的に分離できる金属有機構造体を提供できる。また、本発明によれば、該金属有機構造体を用いて、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法も提供できる。さらに、本発明は、該金属有機構造体を用いて、高純度のパラキシレンを製造する方法も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図2】図2は、比較例1の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図3】図3は、比較例2の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図4】図4は、比較例3の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図5】図5は、比較例4の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図6】図6は、比較例5の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図7】図7は、比較例6の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図8】図8は、比較例7の金属有機構造体を用いて、試験例1の結果を示した図である。
【図9】図9は、実施例1の金属有機構造体を用いて、試験例1のキシレン混合物の分離結果を示した図である。
【図10】図10は、比較例1の金属有機構造体を用いて、試験例1のキシレン混合物の分離結果を示した図である。
【図11】図11は、実施例1の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図12】図12は、比較例1の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図13】図13は、比較例2の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図14】図14は、比較例3の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図15】図15は、比較例4の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図16】図16は、比較例5の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図17】図17は、比較例6の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図18】図18は、比較例7の金属有機構造体を用いて、粉末X線回折、BET比表面積及び細孔径分布の測定結果を示した図である。
【図19】図19は、実施例1の金属有機構造体を用いて、熱重量分析(TG)の測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.金属有機構造体(MOF)
本発明の金属有機構造体(Metal-Organic Framework、以下、「MOF」いうこともある。)は、第4族の金属イオンと脂肪族カルボン酸配位子とが配位結合を形成し、この基本構造が連続して粒子まで成長したものである。このように得られた金属有機構造体は、第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含み、該金属有機構造体は、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを選択的に分離できる。

【0010】
なお、本発明の金属有機構造体は、多孔性配位高分子(Porous Coordination Polymer、以下「PCP」ということもある)と称されることもあり、本明細書においては、金属有機構造体と多孔性配位高分子(PCP)とを総称して「MOF」と記載する場合がある。

【0011】
第4族の金属
第4族の金属としては、配位子が配位可能な部位を2つ以上有する金属であればよく、例えば、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)等が挙げられる。好ましい第4族の金属としては、ジルコニウムである。

【0012】
第4族の金属は、1種単独で、又は2種以上含まれていてもよい。第4族の金属は、金属有機構造体中では金属イオンとして存在する。

【0013】
本発明の金属有機構造体は、上記第4族の金属以外の金属原子を含むことができる。

【0014】
脂肪族カルボン酸配位子
脂肪族カルボン酸配位子としては、特に制限はなく、例えば、脂肪族ジカルボン酸配位子、脂肪族トリカルボン酸配位子、脂肪族テトラカルボン酸配位子等が挙げられる。

【0015】
ここで、脂肪族カルボン酸配位子とは、脂肪族カルボン酸におけるカルボン酸(COOH)部位から、水素原子を取り除いたカルボン酸イオン(COO)を有する化合物を意味している。また、脂肪族カルボン酸配位子は、最も炭素鎖長の長い主鎖に加えて、側鎖を有していてもよい。好ましい主鎖の鎖長は、2~8である。また、主鎖には、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。さらに側鎖は、炭素原子及び炭素原子以外の元素で主鎖に結合していてもよい。

【0016】
脂肪族ジカルボン酸配位子としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ヘプチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、イミノジ酢酸、チオジプロピオン酸、チオマレイン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の飽和脂肪族ジカルボン酸配位子;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサジエン二酸(ムコン酸)等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の不飽和ジカルボン酸配位子等が挙げられる。

【0017】
主鎖に結合する置換基としては、水酸基、アミノ基、スルホキシド基、スルホン基、アルキル基(例えば、炭素数1~6のアルキル基)等が挙げられる。

【0018】
脂肪族ジカルボン酸配位子において、主鎖中に介されていてもよいヘテロ元素としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。

【0019】
脂肪族トリカルボン酸配位子としては、例えば、トリカルバリル酸、アコニチン酸、クエン酸、1,2,3-ブタントリカルボン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の脂肪族トリカルボン酸配位子等が挙げられる。

【0020】
脂肪族テトラカルボン酸配位子としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,5,6-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の脂肪族テトラカルボン酸配位子等が挙げられる。

【0021】
好ましい脂肪族カルボン酸配位子としては、脂肪族ジカルボン酸配位子であり、より好ましくは主鎖の炭素数が2~6の脂肪族ジカルボン酸配位子であり、さらに好ましくはフマル酸配位子及びマレイン酸配位子であり、最も好ましくはフマル酸配位子である。

【0022】
本発明の金属有機構造体は、多孔性材料でもあるが、その平均細孔径は、通常0.3~2nmであり、好ましくは0.3~1.5nmであり、より好ましくは0.4~1nmである。

【0023】
なお、細孔径については、窒素吸脱着の等温線分析、又は既知の分子サイズのプローブ分子の吸着で推定できる。

【0024】
細孔径が上記の範囲であることによって、キシレン混合物のうち、パラキシレンのみが選択的に金属有機構造体中の細孔を通り、それ以外のメタキシレン、及びオルトキシレンが細孔を通らず、金属有機構造体を素通りすると推測される。

【0025】
金属有機構造体の平均粒径は、10nm~20μm程度、好ましくは50nm~10μm程度である。

【0026】
金属有機構造体のBET比表面積としては、約500~約2000m/gであり、好ましくは約800~約1200m/gであり、より好ましくは約1000m/gである。

【0027】
金属有機構造体は、粉末状で製造される。このため、粉末をそのまま用いてもよく、該粉末を成形して用いてもよい。成形にあたり、その形状に特に制限はなく、球状、円筒状などの任意の形状に成形できる。また、成形にあたり、公知の成形助剤を加えてもよい。

【0028】
2価以上の脂肪族カルボン酸配位子は、別個の2つの金属イオンに配位することで、1次元、2次元又は3次元に広がった錯体となる。本発明の製造方法で使用する金属有機構造体は、金属有機構造体の単位格子が少なくとも1次元に重合した、換言すれば1つの脂肪族カルボン酸配位子に2以上の金属イオンが配位することが必要である。このような金属有機構造体には、MOF、PCP等が含まれるが単核錯体は含まれない。

【0029】
なお、本明細書中において、「含有する」又は「含む」なる表現については、「含有する」、「含む」、「実質的にのみからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。

【0030】
2.金属有機構造体の製造方法
本発明の金属有機構造体の製造方法は、第4属の金属塩と、脂肪族カルボン酸とを反応させる工程を含む。さらに、該工程における反応は、必要に応じて、水及び/又は有機溶媒中、モジュレーターの存在下で行うことができる。

【0031】
第4の金属塩からの金属イオンが金属有機構造体を形成するが、このような金属イオンとしては、周期表の第4族に属する金属の金属イオン、具体的には、チタニウムイオン、ジルコニウムイオン、ハフニウムイオン等の金属のイオンが挙げられ、好ましくは、ジルコニウムイオンである。

【0032】
該金属イオンは、第4族の金属元素を含む金属塩より得られ、該第4族の金属元素を含む金属塩としては、特に制限はなく、例えば、金属塩化物、金属臭化物、金属ヨウ化物、金属フッ化物等の金属ハロゲン化物;金属硝酸塩;金属硫酸塩;金属炭酸塩;金属蟻酸塩;金属リン酸塩;金属硫化物;金属水酸化物等が挙げられる。第4族の金属元素を含む金属塩として好ましくは、金属硝酸塩及び金属塩化物である。

【0033】
具体的な第4族の金属塩としては、例えば、塩化ジルコニウム、塩化チタニウム、酸化塩化ジルコニウム、酸化塩化チタニウム等の第4族に属する金属ハロゲン化物;硝酸ジルコニウム、硝酸チタニウム、酸化硝酸ジルコニウム、酸化硝酸チタニウム等の硝酸塩等が挙げられる。好ましい第4族の金属元素を含む金属塩としては、塩化ジルコニウムである。

【0034】
金属イオンは、単一の金属イオンを使用でき、又は2種以上の金属イオンを併用することもできる。

【0035】
脂肪族カルボン酸としては、特に制限はなく、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸等が挙げられる。

【0036】
脂肪族カルボン酸は、最も炭素鎖長の長い主鎖に加えて、側鎖を有していてもよい。好ましい主鎖の鎖長は、2~8である。また、主鎖には、炭素原子以外の元素が含まれていてもよい。さらに側鎖は、炭素原子及び炭素原子以外の元素で主鎖に結合していてもよい。

【0037】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ヘプチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、イミノジ酢酸、チオジプロピオン酸、チオマレイン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の飽和脂肪族ジカルボン酸;
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサジエン二酸(ムコン酸)等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の不飽和ジカルボン酸等が挙げられる。

【0038】
主鎖に結合する置換基としては、水酸基、アミノ基、スルホキシド基、スルホン基、アルキル基(例えば、炭素数1~6のアルキル基)等が挙げられる。

【0039】
脂肪族ジカルボン酸において、主鎖中に介されていてもよいヘテロ元素としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。

【0040】
脂肪族トリカルボン酸としては、例えば、トリカルバリル酸、アコニチン酸、クエン酸、1,2,3-ブタントリカルボン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の脂肪族トリカルボン酸等が挙げられる。

【0041】
脂肪族テトラカルボン酸としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,5,6-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸等の、ヘテロ元素を介してもよくかつ置換基を有していてもよい直鎖状又は分鎖状の脂肪族テトラカルボン酸等が挙げられる。

【0042】
好ましい脂肪族カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸であり、より好ましくは主鎖の炭素数が2~6の脂肪族ジカルボン酸であり、さらに好ましくはフマル酸及びマレイン酸であり、最も好ましくはフマル酸である。

【0043】
脂肪族カルボン酸の使用量としては、広い範囲から適宜選択することができ、例えば、第4族の金属塩1モルに対して、通常0.1~100モル、好ましくは0.5~50モルである。

【0044】
本発明の製造方法において、有機溶媒を用いる場合、その有機溶媒としては、金属有機構造体が形成される時に金属塩及び/又は脂肪族カルボン酸が懸濁あるいは少なくとも一部が溶解していれば特に制限されない。このような有機溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,1-トリクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジノン等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;アセトニトリル、プロパンニトリル等のニトリル;又はこれらの混合溶媒等が挙げられる。好ましい有機溶媒としては、DMFである。

【0045】
溶媒を用いる場合、その使用量としては、広い範囲から適宜選択することができ、例えば、脂肪族カルボン酸1モルに対して、通常0.01~500リットル、好ましくは0.1~30リットルである。

【0046】
モジュレーターとして酸を用いる場合、その酸としては、ギ酸、酢酸等の有機酸等が挙げられる。好ましい有機酸としては、ギ酸である。

【0047】
本発明の製造方法において、酸を用いる場合、その使用量としては、広い範囲から適宜選択することができ、例えば、脂肪族カルボン酸1モルに対して、通常0.1~100モル、好ましくは1~30モルである。

【0048】
本発明の製造方法における反応温度は、30~500℃程度、好ましくは50~400℃程度、より好ましくは70~300℃程度、さらに好ましくは100~200℃程度である。

【0049】
溶媒として水及び/又は有機溶媒を用いる場合、本発明の製造方法における反応温度によっては圧力が常圧を超えることがある。この場合は、圧力容器(オートクレーブ等)を用いて、本発明の金属有機構造体を製造することができる。その容器としては、特に制限はなく、ステンレス製密閉容器、耐圧仕様のガラス製密閉容器等が挙げられる。

【0050】
本発明の製造方法は、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、又は酸素が含まれる雰囲気下で行なうことができる。

【0051】
本発明の製造方法によって、水が生成する場合、水を除去しながら金属有機構造体を製造することもできる。

【0052】
本発明の製造方法における反応圧力としては、10MPa程度以下、好ましくは5MPa程度以下、特に好ましくは3MPa程度である。

【0053】
本発明の製造方法における反応時間は、特に制限はなく、通常1分~30日間程度、好ましくは1時間~72時間程度である。

【0054】
本発明の製造方法における反応終了後は、得られる反応混合物から、未反応の原料化合物、副生成物等を、洗浄(水、アセトン等)、ろ過、遠心分離等の通常の精製方法により除去し、目的とする金属有機構造体を取り出すことができる。

【0055】
3.パラキシレンの分離方法及び高純度パラキシレンの製造方法
本発明のパラキシレンの分離方法は、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを分離する方法であって、第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体を用いる方法である。

【0056】
本発明の高純度のパラキシレンを製造する方法は、パラキシレンを含む有機混合物と第4族の金属及び脂肪族カルボン酸配位子を含む金属有機構造体とを用いて、パラキシレンを分離する工程を含む製造方法である。

【0057】
パラキシレンを含む有機混合物(以下、「原料混合物」ということもある。)としては、特に制限はなく、例えば、石油化学工業におけるナフサのクラッキングから得られる有機混合物、石油精製における混合キシレン等が挙げられる。中でも、好ましい原料混合物としては、炭素数8の芳香族炭化水素を含む混合物であり、より好ましくはパラキシレン(p-キシレン)、メタキシレン(m-キシレン)、オルトキシレン(o-キシレン)、及びエチルベンゼンを含む混合物である。

【0058】
この原料混合物において、
パラキシレンの含有率は、通常、15~20重量%であり;
メタキシレンの含有率は、通常、40重量%であり;
オルトキシレンの含有率は、通常、15~25重量%であり;
エチルベンゼンの含有率は、通常、15~30重量%である。

【0059】
原料混合物には、炭素数8以外の芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、キュメン等が含まれていてもよい。

【0060】
本発明では、上述した金属有機構造体を用いることにより、パラキシレンを含む有機混合物から、パラキシレンを選択的に分離することができる。つまり、上記パラキシレン、メタキシレン、オルトキシレン、エチルベンゼン等の主に炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物から、パラキシレンの量を向上させ、高純度のパラキシレンを製造することができる。なお、エチルベンゼンは、パラキシレンから蒸留によって、比較的容易に分離できるため、パラキシレンにエチルベンゼンが含まれていても本質的に問題は生じない。

【0061】
したがって、本発明では、上記金属有機構造体によって、装置効率の高いパラキシレンの分離プロセスを提供できる。

【0062】
本発明の分離方法としては、特に制限はなく、種々の方法が挙げられる。代表的な分離方法としては、パラキシレンとその他の成分との吸着性の差を利用する分離方法;パラキシレンを金属有機構造体中の細孔を通過させて、残りの成分を分離する方法等が挙げられる。

【0063】
吸着性の差を利用する分離方法としては、気相法又は液相法が挙げられる。液相法を実施する場合、吸着工程及び脱着工程を含む分離方法が挙げられる。該吸着工程及び脱着工程における温度は、通常室温~200℃であり、好ましくは室温~180℃である。吸着工程及び脱着工程における圧力は系内が液相状態に保持されるに十分な圧力であればよい。本発明の吸着分離方法は、クロマトグラフィー法により実施され、固定床、流動床、移動床等、どのような方式でも実施可能であり、中でも工業的には擬似移動床方式で実施するのが好ましい。擬似移動床方式による吸着分離は、既に確立された技術である。気相法を実施する場合においても、液相法と同様の方法で実施できる。

【0064】
パラキシレンを金属有機構造体中の細孔を通過させて分離する方法としては、膜分離法が挙げられる。この場合、自立膜又は金属有機構造体を支持体上に膜形成させたものを用いることができる。

【0065】
4.金属有機構造体の用途
本発明の金属有機構造体は、パラキシレンを含む有機混合物からパラキシレンを選択的に分離する用途に使用できる。特に、本発明の金属有機構造体は、炭素数8の芳香族炭化水素を含む有機混合物からパラキシレンを選択的に分離する用途に使用できる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0067】
<粉末X線回折>
粉末X線回折装置(理学電機製RINT2000、光源CuKα、管電圧40kV、管電流20mA)を用い、2θ=3~50°の範囲を走査間隔0.01°、走査速度4°/min、発散縦制限スリット10mm、発散スリット1/3°、受光スリット0.3mm、散乱スリット1/3°の条件で室温にて測定した。
【実施例】
【0068】
<BET比表面積、細孔径分布>
窒素吸脱着測定装置(MicrotracBEL製、BELSORP-mini)を用いて、試料0.02gとし、吸着ガスには窒素ガスを用いて、定容積型ガス吸着法によって、窒素吸脱着等温線を測定した。比表面積をBET法で、ミクロ孔細孔分布をMP法で解析した。測定前の前処理は窒素雰囲気下で、200℃、1時間とした。
【実施例】
【0069】
<熱重量測定 TG>
示差熱重量分析装置(Rigaku製、Thermo plus EV02)を用いて、空気流通下(300mL/分)、約15mgの金属有機構造体の粉末を5℃/分の昇温速度で、室温から800℃までの温度域で測定した。
【実施例】
【0070】
実施例1:MOF-801(金属:Zr、脂肪族カルボン酸配位子:フマル酸)の調製
四塩化ジルコニウム(ZrCl4)2.60mmol、フマル酸8.35mmol、ギ酸(HCOOH)3mL、及びジメチルホルムアミド(DMF)20mLを順に50mLのビーカーに計り入れ、10分間攪拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から120℃まで1時間で昇温し、120℃で24時間保った後、室温まで放冷した。5000rpm、10分間の条件で固体を遠心分離し、アセトン50mL、メタノール50mL、次いで純水50mLでそれぞれ28kHz、10分間の条件で超音波洗浄及び遠心分離を行い、生成物を得た。その後、80℃で一晩乾燥し、さらに、200℃で2時間、20hPaの減圧下で乾燥して目的物0.54gを得た(Zr基準の収率91%)。
比表面積:930m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0071】
比較例1:UiO-66 (金属: Zr、脂肪族カルボン酸配位子:テレフタル酸) の調製
四塩化ジルコニウム(ZrCl4 8.35 mmol、テレフタル酸(TPA) 8.35 mmol、DMF 30 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から180 ℃まで1時間で昇温し、180 ℃に12時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで液を200 rpmで攪拌した。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、アセトン、メタノール、純水でそれぞれ超音波洗浄(28 kHz, 10分)と遠心分離を行い、生成物を回収した。その後、80 ℃で一晩乾燥し、さらに、200 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:740m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0072】
比較例2:UiO-67 (金属: Zr、脂肪族カルボン酸配位子: 4,4'-ビフェニルジカルボン酸) の調製
四塩化ジルコニウム(ZrCl4)1.40 mmol、4,4'-ビフェニルジカルボン酸 1.40 mmol、DMF 20 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から120 ℃まで1時間で昇温し、120 ℃に24時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで液を200 rpmで攪拌した。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、アセトン、メタノール、純水でそれぞれ超音波洗浄(28 kHz, 10分)と遠心分離を行い、生成物を回収した。その後、80 ℃で一晩乾燥し、さらに、200 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:1530m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0073】
比較例3:MOF-808 (金属: Zr、脂肪族カルボン酸配位子:トリメシン酸) の調製
オキシ塩化ジルコニウム(ZrCl2O・8H2O) 2.60 mmol、トリメシン酸 2.60 mmol、DMF 20 mL、ギ酸Formic acid 10 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から120 ℃まで1時間で昇温し、120 ℃に24時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、攪拌を行わなかった。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、アセトン、メタノール、純水でそれぞれ超音波洗浄(28 kHz, 10分)と遠心分離を行い、生成物を回収した。その後、80 ℃で一晩乾燥し、さらに、200 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:1430m/g
平均細孔径:0.7nm
<別法>
また、ZrCl2O・8H2OをZrCl4に代えた以外は、比較例3と同じ方法を同モル用いて調製してもXRDパターン、吸脱着等温線ともにほぼ同じパターンの生成物を得ることができた。
【実施例】
【0074】
比較例4:MOF-Al-F (金属: Al、脂肪族カルボン酸配位子: Fumaric acid)の調製
硝酸アルミニウムAl(NO3)3・9H2O 7.42 mmol、TPA 12.6 mmol、DMF 17.2 mL、酢酸Acetic acid 12.8 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から130 ℃まで1時間で昇温し、130 ℃に17時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで液を200 rpmで攪拌した。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、アセトン、メタノール、純水でそれぞれ超音波洗浄(28 kHz, 10分)と遠心分離を行い、生成物を回収した。その後、80 ℃で一晩乾燥し、さらに、200 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:1440m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0075】
比較例5:MIL-88A (金属:Fe、脂肪族カルボン酸配位子:フマル酸)の調製
塩化鉄(III)FeCl3・6H2O 10.0 mmol、フマル酸Fumaric acid 10.0 mmol、DMF 50 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物の半分を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から100 ℃まで30分で昇温し、100 ℃に12時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで200 rpmで攪拌した。固形物を吸引濾過した。次いで、純水、アセトンで洗浄して生成物を回収した。その後、80 ℃で一晩乾燥し、さらに、120 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:170m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0076】
比較例6:MIL-101 (金属:Cr、脂肪族カルボン酸配位子:テレフタル酸)の調製
硝酸クロムCr(NO3)3・9H2O 8.35 mmol、テレフタル酸Terephthalic acid (以下、TPA) 12.6 mmol、純水30 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌後した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から180 ℃まで1時間で昇温し、180 ℃に12時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで液を200 rpmで攪拌した。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、DMFで超音波洗浄(28 kHz, 10分)を行った後、遠心分離した。さらに、DMFを取り除くためにアセトンで超音波洗浄、遠心分離(5000 rpm, 5分)を行い、80 ℃で一晩乾燥し、その後200 ℃で2時間減圧乾燥して目的物を得た。
比表面積:2730m/g
平均細孔径:0.9nm
【実施例】
【0077】
比較例7:MOF-Al-T (金属:Al、脂肪族カルボン酸配位子:テレフタル酸)の調製の調製
硝酸アルミニウムAl(NO3)3・9H2O 8.75 mmol、TPA 8.75 mmol、純水30 mLを順にビーカーに測り入れ、10分撹拌した。得られた混合物を、内面をテフロン加工した50 mLのステンレス製オートクレーブに入れた後、窒素で4回置換して内部を大気圧の窒素雰囲気にした。その後、室温から180 ℃まで1時間で昇温し、180 ℃に12時間保った後、室温まで放冷した。合成中は、スターラーで液を200 rpmで攪拌した。5000 rpm, 10分の条件で固体を遠心分離した。次いで、DMFで超音波洗浄(28 kHz, 10分)を行った後、遠心分離した。さらに、DMFを取り除くためにアセトンで超音波洗浄、遠心分離(5000 rpm, 5分)を行い、80 ℃で一晩乾燥した。最後に、窒素雰囲気下、330 ℃で72時間熱処理して目的物を得た。
比表面積:1280m/g
平均細孔径:0.6nm
【実施例】
【0078】
試験例1
実施例1及び比較例1~7で得られた金属有機構造体0.025 g又は0.050 gを、それぞれカラム(内径3 mm×長さ10 cm)に入れ、両端をグラスウールで止めた。金属有機構造体の充填長は、上記金属有機構造体の嵩密度がそれぞれ異なるため、約12 mmから約20 mmとなった。これをガスクロマトグラフィー(島津製作所GC-8A)のカラム槽にセットした。キャリアガスを流量15 mL/分で供給した。カラム槽温度を170℃とし、p-キシレン、m-キシレン、及びo-キシレンを各々0.2 μL又は1.0 μLを220 ℃に保ったガスクロマトグラフィーの注入口からカラムに注入した。カラム出口のレスポンスを、熱伝導度検出器(220 ℃)で検出した。分離性の指標となる各ピークの頂点の時間を表1に示した。
【実施例】
【0079】
実施例1及び比較例1の金属有機構造体については、p-キシレン(33.3 モル%)、m-キシレン(33.3 モル%)、及びo-キシレン(33.4 モル%)のキシレン混合物0.4 μLをカラム温度170 ℃で注入した結果をそれぞれ図9及び図10に示した。
【実施例】
【0080】
【表1】
JP2017014146A_000003t.gif
【実施例】
【0081】
<結果>
実施例1の金属有機構造体では、m-キシレン(0.23分)とo-キシレン(0.20分)との混合ピークとp-キシレン(1.94分)のピークに分離していることが分かった。
【実施例】
【0082】
この実施例1の金属有機構造体を用いて、試験例1のキシレン混合物を1.0 μL注入した場合のp-キシレン部分のピークに相当する排ガスを捕集し、水素検出器を有するガスクロマトグラフィー(島津製作所GC-2014)で分析した結果、p-キシレンを100として換算した場合、m-キシレン12.4、及びo-キシレン1.3の割合となっており、高純度のp-キシレンが製造できていることがわかった。
【実施例】
【0083】
以上のとおり、実施例1で得られた金属有機構造体は、パラキシレンを選択的に分離することができた。
【実施例】
【0084】
一方、比較例1~7で得られた金属有機構造体は、パラキシレンを選択的に分離することはできなかった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
18