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明細書 :新規化合物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-036239 (P2017-036239A)
公開日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 新規化合物
国際特許分類 C07D 417/14        (2006.01)
FI C07D 417/14 CSP
請求項の数または発明の数 1
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2015-158365 (P2015-158365)
出願日 平成27年8月10日(2015.8.10)
発明者または考案者 【氏名】上村 大輔
【氏名】川添 嘉徳
【氏名】小林 里美
【氏名】大村 幸和
【氏名】犬塚 俊康
出願人 【識別番号】592218300
【氏名又は名称】学校法人神奈川大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106002、【弁理士】、【氏名又は名称】正林 真之
【識別番号】100120891、【弁理士】、【氏名又は名称】林 一好
審査請求 未請求
テーマコード 4C063
Fターム 4C063AA03
4C063BB01
4C063CC62
4C063DD51
4C063EE01
要約 【課題】細胞毒性を示す新規化合物を提供すること。
【解決手段】沖縄県石垣島吉原にて採取された藍藻から単離した次の化学式(1)で表される新規化合物。
【化1】
JP2017036239A_000005t.gif
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
次の化学式(1)で表される化合物。
【化1】
JP2017036239A_000004t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
新規生物活性物質の発見は、生命科学や医学の分野におけるブレークスルーにつながることがある。例えば、腔腸動物イワスナギンチャク毒パリトキシンはナトリウムポンプに作用し、クロイソカイメンなど由来のオカダ酸はタンパク質脱リン酸化酵素に作用することから、生理機能解明のツールとして利用されている。クロイソカイメン由来の抗癌活性を示すハリコンドリンBの発見は、抗癌剤エリブリンの創製へとつながった。
このように、生物活性物質の探索研究は基礎生命科学研究のみならず、臨床応用へも発展する可能性がある。中でも、海洋生物は、酸素濃度や塩濃度、温度や圧力、日照などの生息条件が陸上と全く異なることから、陸上生物には見られない特異な構造や機能を持つ二次代謝産物を生産しており、有用生物活性物質の探索源として今なお注目されている。本発明者らも、近年、渦鞭毛藻Amphidinium sp.由来のカルシウムイオンチャネル阻害活性物質Amdigenol類(非特許文献1,2)やシアノバクテリアLeptolyngbya sp.由来の脂肪細胞分化阻害活性物質Yoshinone A(非特許文献3)などの新規生物活性物質の単離・構造解析・生物活性評価について報告している。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Inuzuka,T.,Yamamoto,Y.,Yamada,K.,Uemura, D. Tetrahedron Letters 2012,53,239-242
【非特許文献2】Inuzuka,T.,Yamada,K.,Uemura,D. Tetrahedron Letters 2014,55,6319-6323
【非特許文献3】Inuzuka,T.,Yamamoto,K.,Iwasaki,A.,Ohno, O.,Suenaga,K.,Kawazoe,Y.,Uemura,D. Tetrahedron Letters 2014,55,6711-6714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は細胞毒性を示し、抗癌剤としての利用が期待される新規化合物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、沖縄県石垣島で採集した藍藻から分離した下記化学式(1)で表される化合物が、HeLa細胞に対して細胞毒性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は下記化学式(1)
【化1】
JP2017036239A_000002t.gif
で表される化合物に関するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、細胞毒性を示す化学式(1)で表される化合物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る化学式(1)で表される化合物の分画・精製過程を示す図である。
【図2】本発明に係る化学式(1)で表される化合物の分画・精製過程を示す図である。
【図3】本発明に係る化学式(1)で表されるH-NMRのチャートを示す図である。
【図4】本発明に係る化学式(1)で表される13C-NMRのチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本発明に係る化学式(1)で表される化合物は、藍藻から抽出し、精製することにより得ることができる。より詳細には、本発明に係る化学式(1)で表される化合物は沖縄県石垣島吉原にて採取した藍藻から抽出し、精製することにより得た。

【0010】
藍藻は光合成を行う原核生物であり、淡水湖沼、汽水域、海洋、土壌など様々な環境下で広く生育しているものであるが、本発明で使用する藍藻としては、沖縄県石垣島吉原近辺に生息する藍藻を用いるのが好ましい。本発明に係る化学式(1)で表される化合物を含有する藍藻またはその部位としては、それ自身を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、それら自身を圧搾抽出することにより得られる搾汁、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出画分など、すべてを利用することができる。これらは単独で用いてもよく、また2種以上混合してもよい。

【0011】
例えば、藍藻を採取した後に冷凍保存し、含水メタノールにて粉砕・抽出し、粗抽出物を得、粗抽出物を酢酸エチル層と水層とに分配し、さらに、有機層としての酢酸エチル層をODSシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより画分することができる。

【0012】
本発明に係る化学式(1)で表される化合物は新規な化合物であり、本発明者により細胞毒性を示すことを見出されたものである。

【0013】
本発明に係る化学式(1)で表される化合物は、特にHeLa細胞に対して細胞毒性を示すことから、抗癌剤として使用が期待されるものである。

【0014】
以下、実施例を挙げて、本発明の具体的態様を示すものであるが、本発明の技術的範囲は実施例の記載により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
本発明に係る化学式(1)で表される化合物の単離・精製・構造決定
沖縄県石垣島吉原で採取した藍藻50g(湿重量)を冷凍保存し、小石を取り除いてから含水メタノール中にてブレンダーで粉砕した。抽出液を吸引濾過し、エバポレーターを用いて濾液を濃縮した。粗抽出物を酢酸エチル(100ml×3)と水(100ml)とで分配した。得られた酢酸エチル層を減圧濃縮し、濃縮物を90%メタノール-水(50ml)に溶解し、ヘキサン(50ml×3)で脱脂した。得られた90%メタノール層を減圧濃縮し、濃縮物をODSカラムクロマトグラフィー[Cosmosil(登録商標) 75C18-OPN(φ20×120mm)、メタノール/水(20/80→40/60→60/40→80/20→メタノール)]により5画分(Fr.1~5)に分離した。
(図1参照)
【実施例】
【0016】
得られた各溶出画分の内、メタノール溶出画分(Fr.5)55.4mgを逆相高速液体クロマトグラフィー[Develosil(登録商標)ODS HG-5(φ10×250mm)、アセトニトリル/水(70/30)→(グラジェント30分)→(100/0)、検出UV215nm、流速2.0mL/分]により4画分(Fr.5-1~4)に分離した。この内の第3画分(Fr.5-3)にHeLa細胞増殖阻害活性が認められた。得られたFr.5-3を逆相高速液体クロマトグラフィー[Develosil ODS HG-5(φ10×250mm)、アセトニトリル/水(85/15)→(グラジェント10分)→(90/10)→(10分)→(90/10)→(グラジェント5分)→(100/0)、検出UV215nm、流速1.5mL/分)]により6画分(Fr.5-3-1~5-3-6)に分離した。この内の第5画分(Fr.5-3-5)にHeLa細胞増殖阻害活性が認められた。得られたFr.5-3-5を減圧濃縮・乾固して化学式(1)で表される化合物(1.5mg)を不定形白色粉末として得た。
(図2参照)
【実施例】
【0017】
図1および図2に示した操作により得られた不定形白色粉末である本発明に係る化学式(1)で表される化合物について、高分解能ESI-MSにより分子イオンピーク[m/z926.4544(M+H)]が観測され、分子式がC457513Sであることが判明した。
さらに、H-NMR、13C-NMRおよびHMBCを測定し、得られたスペクトルを解析することにより、不定形白色粉末であって、C457513Sの分子式を有する化合物の構造を以下のとおり決定した。
【化2】
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【実施例】
【0018】
図1および図2に示した操作により得られた不定形白色粉末である本発明の化学式(1)で表される化合物についてのH-NMR、および13C-NMRのスペクトルデータを以下に示す。

H-NMR(600MHz,CDOD)δ:7.98(1H),7.95(1H,NH),7.39(1H,NH),5.30(1H),4.97(1H),4.88(1H),4.44(1H),3.93(1H),3.84(1H),3.82(1H),3.69(1H),3.64(1H),3.40(1H),3.35(1H),3.28(1H),3.26(3H),3.10(1H),2.99(1H),2.49(1H),2.32(1H),2.21(1H),1.90(1H),1.73(3H),1.61(1H),1.60(3H),1.60(1H),1.51(1H),1.40-1.20(2H),1.35(1H),1.29,(2H),1.29(2H),1.25(3H),1.22(1H),1.13(1H),1.08(3H),1.01(3H),0.97(3H),0.97(3H),0.95(3H),0.92(3H),0.92(3H),0.89(3H),0.89(3H),0.82(3H)
13C-NMR(150MHz,CDOD)δ:178.6,177.0,175.5,173.3,172.8,171.3,166.2,149.9,124.8,86.5,85.5,82.2,78.9,77.9,75.3,73.5,68.7,60.4,58.2,55.3,47.2,44.0,43.1,39.9,38.5,38.0,37.2,35.8,35.0,33.3,32.4,31.3,27.3,26.1,26.1,24.2,21.0,19.8,17.9,16.6,15.2,14.9,13.1,12.0,11.2,10.7
【実施例】
【0019】
試験例(化学式(1)で表される化合物の癌細胞増殖阻害活性試験(HeLa))
ヒト子宮頸がん由来細胞株(HeLa)は、10%ウシ胎児血清含有のDMEM培地にて炭酸ガス培養器(5%CO、37℃)で培養した。HeLa細胞を96穴プレートに播種し(1×10cells/well)、16時間培養後にDMSOに溶解した本発明に係る化学式(1)で表される化合物を所定の濃度(1μg/mLから開始して、1/2段階希釈を10段階)になるように細胞に添加した。48時間培養を続けた。細胞数の測定にはcell counting kit(同仁化学)を用い、取扱説明書に従って行った。その結果、IC50=0.10μg/mLの濃度で癌細胞の増殖を阻害した。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の化学式(1)で示される化合物は、HeLa細胞に対して細胞毒性を示すことから、抗癌剤として有用である。

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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