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明細書 :二本鎖核酸分子、DNA、ベクター、癌細胞増殖抑制剤、及び医薬

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5976922号 (P5976922)
登録日 平成28年7月29日(2016.7.29)
発行日 平成28年8月24日(2016.8.24)
発明の名称または考案の名称 二本鎖核酸分子、DNA、ベクター、癌細胞増殖抑制剤、及び医薬
国際特許分類 C12N  15/113       (2010.01)
A61K  48/00        (2006.01)
A61K  31/713       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAG
A61K 48/00
A61K 31/713
A61P 35/00
請求項の数または発明の数 7
全頁数 31
出願番号 特願2015-506816 (P2015-506816)
出願日 平成26年3月19日(2014.3.19)
国際出願番号 PCT/JP2014/057471
国際公開番号 WO2014/148529
国際公開日 平成26年9月25日(2014.9.25)
優先権出願番号 2013057785
優先日 平成25年3月21日(2013.3.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年9月29日(2015.9.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
発明者または考案者 【氏名】井上 聡
【氏名】池田 和博
【氏名】高山 賢一
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
審査官 【審査官】鈴木 崇之
参考文献・文献 特開2012-005479(JP,A)
特表2006-507841(JP,A)
Mol. Endocrinol.,2012年 5月,Vol. 26, No. 5,pp. 748-761
J. Cell Sci.,2009年 8月,Vol. 122,pp. 3190-3198
Clin. Cancer Res.,2012年,Vol. 18,pp. 5617-5627
Expert Opin. Ther. Targets,2010年,Vol. 14, No. 12,pp. 1343-1354
調査した分野 C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
DWPI(Thomson Innovation)
特許請求の範囲 【請求項1】
TACC2遺伝子の発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
(a)配列番号:2の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、
(b)前記(a)のセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖と、
を含むことを特徴とする二本鎖核酸分子。
【請求項2】
センス鎖が、配列番号:2の標的配列に対応するヌクレオチド配列からなるセンス鎖である請求項1に記載の二本鎖核酸分子。
【請求項3】
siRNAである請求項1から2のいずれかに記載の二本鎖核酸分子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とするDNA。
【請求項5】
請求項4に記載のDNAを含むことを特徴とするベクター。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかに記載の二本鎖核酸分子、請求項4に記載のDNA、及び請求項5に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞増殖抑制剤。
【請求項7】
癌を予防乃至治療するための医薬であって、請求項6に記載の癌細胞増殖抑制剤を含むことを特徴とする医薬。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤を含む医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
癌の中で、前立腺癌は、欧米において男性が罹患する最も頻度の高い癌であることが知られている。日本においても、食生活の欧米化及び人口の高齢化に伴い、前立腺癌の患者数は飛躍的に増加している。
その治療技術として、臨床的には前立腺摘出術をはじめとする外科的治療、抗癌剤による化学療法、及び放射線治療が広く応用されている。前記治療では、外科的治療が第一選択であるが、既に癌が進行した状態で診断されたときや、外科手術後の再発などにより手術困難な場合には、外科的治療以外の治療法が選択される。
一般に、前立腺癌の増殖はアンドロゲンにより刺激される。そのため、前記外科的治療以外の治療法として、アンドロゲンの産生、機能を阻害するホルモン療法がしばしば行われる。前記ホルモン療法の効果は極めてよいものの、治療開始から数年以内にアンドロゲン非依存性前立腺癌として再燃するという問題がある。そのため、アンドロゲン非依存性前立腺癌の制御が最も重要な課題となっている。
【0003】
アンドロゲン依存性癌から非依存性癌への進行の詳細な分子メカニズムは未だ明らかでないが、アンドロゲン受容体(以下、「AR」と称することがある)の関与が示唆されている。即ち、アンドロゲン非依存性癌は、ARの変異又は増幅により、超低濃度のアンドロゲン、抗アンドロゲン剤、その他のステロイドホルモンなどに感受性を示すことが示唆されている。
再燃した前立腺癌においては、AR拮抗薬による前立腺癌の治療が難航し、又は無効となる。そこで、ARに対して薬剤によりリガンドの結合を阻害する、又はRNA干渉(RNA interference;RNAi)技術を用いてARの発現を抑制する方法が研究されている。しかしながら、ARを標的とするだけでは限界があり、臨床的に十分なものは未だ開発されておらず、より効率的にARを抑制する方法の開発が求められている。
【0004】
これまでに、アンドロゲン応答遺伝子であるTransforming acidic coiled-coil protein 2(TACC2)遺伝子が、ARの下流遺伝子として機能しており、術後の再発、前立腺癌の予後に関与している因子であることが示されている。具体的には、前記TACC2遺伝子は、細胞周期の分裂(Mitosis)期において微小管の安定性に関わり細胞周期を正に制御する。それにより、前記TACC2遺伝子は、前立腺癌のホルモン依存性の増殖に関わっていること、及びARの過敏性を獲得した細胞モデルにおいて高発現し、ホルモン枯渇性の増殖能獲得に関与していることが示唆されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、同じくアンドロゲン応答遺伝子である14-3-3ζ(以下、「14-3-3 zeta」と称することがある)遺伝子が、ARの下流遺伝子として機能しており、かつ前立腺癌の発症に伴い発現が亢進している因子であることが示されている。具体的には、前記14-3-3ζ遺伝子は、細胞質中において抗アポトーシス効果を有しており、PI3K-AKT経路の活性化などにより癌の増殖を促進し、また、核内においてARと結合しアンドロゲンのシグナルを正に制御することにより、前立腺癌のホルモン依存性の増殖に関わることが示されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0006】
このような状況下、ARの拮抗薬による治療が難航し、又は無効となった癌をも治療することができる優れた治療方法の速やかな開発が強く求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Takayama K, Horie-Inoue K, Suzuki T, Urano T, Ikeda K, Fujimura T, Takahashi S, Homma Y, Ouchi Y, Inoue S.、TACC2 is an androgen-responsive cell cycle regulator promoting androgen-mediated and castration-resistant growth of prostate cancer.、Mol Endocrinol. 2012 May;26(5):748-61.
【非特許文献2】Murata T, Takayama K, Urano T, Fujimura T, Ashikari D, Obinata D, Horie-Inoue K, Takahashi S, Ouchi Y, Homma Y, Inoue S、14-3-3ζ, a Novel Androgen-Responsive Gene, Is Upregulated in Prostate Cancer and Promotes Prostate Cancer Cell Proliferation and Survival、Clin Cancer Res October 15, 2012 18:20 5617-5627
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかを標的として、これらの遺伝子の発現を抑制することにより、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができ、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤を含む医薬を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
(a)配列番号:1~配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、
(b)前記(a)のセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖と、
を含むことを特徴とする二本鎖核酸分子である。
<2> 前記<1>に記載の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とするDNAである。
<3> 前記<2>に記載のDNAを含むことを特徴とするベクターである。
<4> 前記<1>に記載の二本鎖核酸分子、前記<2>に記載のDNA、及び前記<3>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞増殖抑制剤である。
<5> 癌細胞に、前記<4>に記載の癌細胞増殖抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の増殖抑制方法である。
<6> 癌を予防乃至治療するための医薬であって、前記<4>に記載の癌細胞増殖抑制剤を含むことを特徴とする医薬である。
<7> 個体に、前記<6>に記載の医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかを標的として、これらの遺伝子の発現を抑制することにより、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができ、癌の予防乃至治療に好適に用いることができる二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子を含むDNA及びベクター、該二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含む癌細胞増殖抑制剤、並びに該癌細胞増殖抑制剤を含む医薬を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1A】図1Aは、試験例1-1-1の結果を示すグラフである。
【図1B】図1Bは、試験例1-1-2の結果を示すグラフである。
【図2】図2は、試験例1-2の結果を示すグラフである。
【図3】図3は、試験例2-1の結果を示す図である。
【図4】図4は、試験例2-2の結果を示す図である。
【図5A】図5Aは、試験例3-1-1の結果を示すグラフである。
【図5B】図5Bは、試験例3-1-2の結果を示すグラフである。
【図6】図6は、試験例3-2の結果を示すグラフである。
【図7A】図7Aは、試験例4-1の結果を示す写真である。
【図7B】図7Bは、試験例4-1の結果を示すグラフである。
【図8A】図8Aは、試験例4-2の結果を示す写真である。
【図8B】図8Bは、試験例4-2の結果を示すグラフである。
【図9】図9は、試験例5-1の結果を示すグラフである。
【図10】図10は、試験例5-2の結果を示すグラフである。
【図11】図11は、試験例6-1の結果を示すグラフである。
【図12】図12は、試験例6-2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(二本鎖核酸分子)
本発明の二本鎖核酸分子は、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であり、(a)配列番号:1~配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、(b)前記(a)のセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含むことを特徴とする。
なお、本発明において「二本鎖核酸分子」とは、所望のセンス鎖とアンチセンス鎖とがハイブリダイズしてなる二本鎖の核酸分子をいう。

【0013】
<TACC2遺伝子、14-3-3ζ遺伝子>
前記TACC2遺伝子、及び前記14-3-3ζ遺伝子は、前記したように、ともにアンドロゲン応答遺伝子である。
前記TACC2遺伝子の塩基配列は、GenBank(NCBI)などの公共データベースを通じて容易に入手することができ、例えば、ヒトTACC2遺伝子は、NCBI accession number NM_006997.2である。
また、前記14-3-3ζ遺伝子遺伝子の塩基配列も、GenBank(NCBI)などの公共データベースを通じて容易に入手することができ、例えば、ヒト14-3-3ζ遺伝子は、NCBI accession number NM_001135699.1である。
本発明において、前記TACC2遺伝子、前記14-3-3ζ遺伝子は、そのmRNA配列が前記二本鎖核酸分子の標的となり、前記二本鎖核酸分子によってその発現が抑制されることから、本明細書中において前記TACC2遺伝子、前記14-3-3ζ遺伝子を、前記二本鎖核酸分子の「標的遺伝子」と称することがある。
なお、参考として、前記ヒトTACC2遺伝子配列を配列番号:19に、前記ヒト14-3-3ζ遺伝子配列を配列番号:20に示す。

【0014】
<センス鎖、アンチセンス鎖>
本発明者らは、鋭意検討の結果、前記TACC2遺伝子、前記14-3-3ζ遺伝子のmRNA配列の中でも、ある特定の標的配列(配列番号:1~配列番号:18)に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖を含む二本鎖核酸分子が、前記TACC2遺伝子、前記14-3-3ζ遺伝子に対して顕著に優れた発現抑制効果を有することを見出した。したがって、本発明の二本鎖核酸分子は、(a)配列番号:1~配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、(b)前記(a)のセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含むものである。
ここで、前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖は、RNA鎖であってもよいし、RNA-DNAキメラ鎖であってもよい。前記センス鎖と前記アンチセンス鎖とは、互いにハイブリダイズすることで前記二本鎖核酸分子を形成することができる。
なお、前記配列番号:1~配列番号:18のうち、配列番号:1~配列番号:10はTACC2遺伝子配列(配列番号:19)の一部であり、配列番号:11~配列番号:18はヒト14-3-3ζ遺伝子配列(配列番号:20)の一部である。

【0015】
前記二本鎖核酸分子の中でも、前記センス鎖が、配列番号:1~配列番号:4、配列番号:7~配列番号:13、配列番号:15、配列番号:16、及び配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するものであることが好ましく、配列番号:2、及び配列番号:13のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するものであることがより好ましい。
前記センス鎖が、前記好ましいセンス鎖以外のセンス鎖であると、前記二本鎖核酸分子の前記標的遺伝子に対する発現抑制効果が弱くなる場合がある。一方で、前記センス鎖が、前記より好ましいセンス鎖であると、前記二本鎖核酸分子の使用量が少量であっても、前記標的遺伝子に対する強い発現抑制効果が得られる点で、有利である。
なお、前記二本鎖核酸分子におけるセンス鎖は、前記所定の配列番号の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有していればよく、その他のヌクレオチド配列を含んでいてもよいが、前記所定の配列番号の標的配列に対応するヌクレオチド配列からなることが好ましい。
また、前記二本鎖核酸分子におけるアンチセンス鎖は、前記センス鎖とハイブリダイズすることができる程度に相補的なヌクレオチド配列を有していればよく、その他のヌクレオチド配列を含んでいてもよいが、前記センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を70%以上含むことが好ましく、80%以上含むことがより好ましく、90%以上含むことが特に好ましい。

【0016】
<種類>
前記二本鎖核酸分子の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二本鎖RNA(double-stranded RNA:dsRNA)、二本鎖RNA-DNAキメラなどが挙げられる。これらの中でも、二本鎖RNAが好ましい。
ここで、「二本鎖RNA」とは、センス鎖及びアンチセンス鎖のいずれもがRNA配列で構成されてなる二本鎖核酸分子をいい、「二本鎖RNA-DNAキメラ」とは、センス鎖及びアンチセンス鎖のいずれもがRNAとDNAとのキメラ配列で構成されてなる二本鎖核酸分子をいう。

【0017】
前記二本鎖RNAは、siRNA(small interfering RNA)であることが特に好ましい。ここで、siRNAとは、18塩基長~29塩基長の小分子二本鎖RNAであり、前記siRNAのアンチセンス鎖(ガイド鎖)と相補的な配列をもつ標的遺伝子のmRNAを切断し、標的遺伝子の発現を抑制する機能を有する。
前記siRNAは、前記したようなセンス鎖及びアンチセンス鎖を有し、かつ前記標的遺伝子の発現を抑制し得るものであれば、その末端構造に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記siRNAは、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。中でも、前記siRNAは、各鎖の3’末端が2塩基~6塩基突出した構造を有することが好ましく、各鎖の3’末端が2塩基突出した構造を有することがより好ましい。
前記siRNAの具体例としては、配列番号:21と配列番号:22とからなるsiRNA、配列番号:23と配列番号:24とからなるsiRNA、配列番号:25と配列番号:26とからなるsiRNA、配列番号:27と配列番号:28とからなるsiRNA、配列番号:29と配列番号:30とからなるsiRNA、配列番号:31と配列番号:32とからなるsiRNA、配列番号:33と配列番号:34とからなるsiRNA、配列番号:35と配列番号:36とからなるsiRNA、配列番号:37と配列番号:38とからなるsiRNA、配列番号:39と配列番号:40とからなるsiRNA、配列番号:41と配列番号:42とからなるsiRNA、配列番号:43と配列番号:44とからなるsiRNA、配列番号:45と配列番号:46とからなるsiRNA、配列番号:47と配列番号:48とからなるsiRNA、配列番号:49と配列番号:50とからなるsiRNA、配列番号:51と配列番号:52とからなるsiRNA、配列番号:53と配列番号:54とからなるsiRNA、配列番号:55と配列番号:56とからなるsiRNAが挙げられる。
これらの中でも、配列番号:21と配列番号:22とからなるsiRNA、配列番号:23と配列番号:24とからなるsiRNA、配列番号:25と配列番号:26とからなるsiRNA、配列番号:27と配列番号:28とからなるsiRNA、配列番号:33と配列番号:34とからなるsiRNA、配列番号:35と配列番号:36とからなるsiRNA、配列番号:37と配列番号:38とからなるsiRNA、配列番号:39と配列番号:40とからなるsiRNA、配列番号:41と配列番号:42とからなるsiRNA、配列番号:43と配列番号:44とからなるsiRNA、配列番号:45と配列番号:46とからなるsiRNA、配列番号:49と配列番号:50とからなるsiRNA、配列番号:51と配列番号:52とからなるsiRNA、配列番号:55と配列番号:56とからなるsiRNAが好ましく、配列番号:23と配列番号:24とからなるsiRNA、配列番号:45と配列番号:46とからなるsiRNAがより好ましい。

【0018】
また、前記二本鎖RNAは、shRNA(short hairpin RNA)であってもよい。ここで、shRNAとは、18塩基~29塩基程度のdsRNA領域と3塩基~9塩基程度のloop領域を含む一本鎖RNAであるが、shRNAは、生体内で発現されることにより、塩基対を形成してヘアピン状の二本鎖RNAとなる。その後、shRNAはDicer(RNase III酵素)により切断されてsiRNAとなり、標的遺伝子の発現抑制に機能することができる。
前記shRNAの末端構造としても、前記siRNA同様、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。

【0019】
また、前記二本鎖RNA-DNAキメラは、キメラsiRNAであることが特に好ましい。ここで、キメラsiRNAとは、siRNAのRNA配列の一部がDNAに変換された、18塩基長~29塩基長の小分子二本鎖RNA-DNAキメラをいう。中でも、siRNAのセンス鎖の3’側の8塩基、及び、アンチセンス鎖の5’側の6塩基がDNAに変換された、21塩基長~23塩基長の小分子二本鎖RNA-DNAキメラであることが好ましい。前記キメラsiRNAは、前記siRNAと同様に、標的遺伝子の発現を抑制する機能を有する。なお、前記キメラsiRNAには、DNAに変換された配列の一部をRNAに再度変換した態様も含まれる。
前記キメラsiRNAの末端構造としても、前記siRNA同様、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、平滑末端を有するものであってもよいし、突出末端(オーバーハング)を有するものであってもよい。
前記キメラsiRNA(二本鎖RNA-DNAキメラ)は、血中安定性が高い、免疫応答誘導性が低い、製造コストが低いなどの点で、有利である。

【0020】
<修飾>
また、前記二本鎖核酸分子は、目的に応じて、適宜修飾を有していてもよい。例えば、核酸分解酵素(ヌクレアーゼ)に対する耐性を付与し、培養液中や生体中における安定性を向上させる等の目的から、前記二本鎖核酸分子に、2’O-methyl化修飾や、ホスホロチオエート化(S化)修飾、LNA(Locked Nucleic Acid)修飾等を施すことができる。また、例えば、細胞への導入効率を高める等の目的から、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖の5’端、或いは3’端に、ナノ粒子、コレステロール、細胞膜通過ペプチド等の修飾を施すこともできる。なお、前記二本鎖核酸分子にこのような修飾を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。

【0021】
<入手方法>
前記二本鎖核酸分子の入手方法としては、特に制限はなく、それぞれ従来公知の手法に基づき作製することができる。
例えば、前記siRNAは、所望のセンス鎖とアンチセンス鎖とに相当する18塩基長~29塩基長の一本鎖RNAを、それぞれ既存のDNA/RNA自動合成装置等を利用して化学的に合成し、それらをアニーリングすることにより作製することができる。また、アニーリング済の二本鎖siRNAの市販品を入手することもできるし、siRNA合成受託会社に合成を依頼することにより入手することもできる。また、後述する本発明のベクターのような、所望のsiRNA発現ベクターを構築し、前記発現ベクターを細胞内に導入することにより、細胞内の反応を利用してsiRNAを作製することもできる。
また、前記キメラsiRNAは、例えば、キメラ核酸分子であるセンス鎖とアンチセンス鎖とをそれぞれ化学合成し、それらをアニーリングすることにより、作製することができる。

【0022】
(DNA、ベクター)
本発明のDNAは、前記した本発明の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであり、また、本発明のベクターは、前記DNAを含むベクターである。

【0023】
<DNA>
前記DNAとしては、前記した本発明の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNAであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列の上流(5’側)に、前記二本鎖核酸分子の転写を制御するためのプロモーター配列が連結されていることが好ましい。前記プロモーター配列としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CMVプロモーター等のpol II系プロモーター、H1プロモーター、U6プロモーター等のpol III系プロモーターなどが挙げられる。
また、更に、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列の下流(3’側)に、前記二本鎖核酸分子の転写を終結させるためのターミネーター配列が連結されていることがより好ましい。前記ターミネーター配列としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記プロモーター配列、前記二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列、及び前記ターミネーター配列を含む転写ユニットは、前記DNAにおける好ましい一態様である。なお、前記転写ユニットは、従来公知の手法を用いて構築することができる。

【0024】
<ベクター>
前記ベクターとしては、前記DNAを含むものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクターなどが挙げられる。前記ベクターは、前記二本鎖核酸分子を発現可能な発現ベクターであることが好ましい。
前記二本鎖核酸分子の発現様式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば二本鎖核酸分子としてsiRNAを発現させる方法として、短い一本鎖RNAを二本発現させる方法(タンデム型)、shRNAとしての一本鎖RNAを発現させる方法(ヘアピン型)等が挙げられる。
前記タンデム型siRNA発現ベクターは、前記siRNAを構成するセンス鎖をコードするDNA配列と、アンチセンス鎖をコードするDNA配列とを含み、かつ、各鎖をコードするDNA配列の上流(5’側)にプロモーター配列がそれぞれ連結され、また、各鎖をコードするDNA配列の下流(3’側)にターミネーター配列がそれぞれ連結されたDNAを含む。
また、前記ヘアピン型siRNA発現ベクターは、前記siRNAを構成するセンス鎖をコードするDNA配列と、アンチセンス鎖をコードするDNA配列とが逆向きに配置され、前記センス鎖DNA配列とアンチセンス鎖DNA配列とがループ配列を介して接続されており、かつ、それらの上流(5’側)にプロモーター配列が、また、下流(3’側)にターミネーター配列が連結されたDNAを含む。
前記各ベクターは、従来公知の手法を用いて構築することができ、例えば、前記DNAを、予め制限酵素で切断したベクターの切断部位に連結(ライゲーション)することにより構築することができる。

【0025】
前記DNA又は前記ベクターを細胞に導入(トランスフェクト)することにより、プロモーターが活性化され、前記二本鎖核酸分子を生成することができる。例えば、前記タンデム型ベクターにおいては、前記DNAが細胞内で転写されることにより、センス鎖及びアンチセンス鎖が生成され、それらがハイブリダイズすることによりsiRNAが生成される。前記ヘアピン型ベクターにおいては、前記DNAが細胞内で転写されることにより、まずヘアピン型RNA(shRNA)が生成され、次いで、ダイサーによるプロセシングにより、siRNAが生成される。

【0026】
(癌細胞増殖抑制剤)
本発明の癌細胞増殖抑制剤は、癌細胞の増殖を抑制するための癌細胞増殖抑制剤(「腫瘍増殖抑制剤」と称することがある)であり、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。

【0027】
<二本鎖核酸分子、DNA、ベクター>
前記二本鎖核酸分子の詳細としては、前記した本発明の二本鎖核酸分子の項目に記載した通りである。前記二本鎖核酸分子は、標的とするTACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現を効果的に抑制することができるので、癌細胞の増殖を抑制するための前記癌細胞増殖抑制剤の有効成分として好適である。また、前記DNA、ベクターの詳細としても、前記した本発明のDNA、ベクターの項目に記載した通りである。
前記癌細胞増殖抑制剤中の前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記癌細胞増殖抑制剤としては、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかそのものであってもよい。
前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの中でも、配列番号:2の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNA、及び該DNAを含むベクターの少なくともいずれかと、配列番号:13の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNA、及び該DNAを含むベクターの少なくともいずれかとを含む態様が好ましい。

【0028】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを所望の濃度に希釈するための生理食塩水、培養液等の希釈用剤や、対象とする細胞内に前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを導入(トランスフェクト)するためのトランスフェクション試薬などが挙げられる。
前記癌細胞増殖抑制剤中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

【0029】
<癌細胞>
前記癌細胞増殖抑制剤の適用対象となる細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前立腺癌細胞が好適に挙げられる。前記前立腺癌細胞は、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞であってもよい。
前記癌細胞は、体外で培養されている細胞であってもよいし、また、癌を患う患者の体内に存在する細胞であってもよい。
前記体外で培養されている前立腺癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、LNCaP細胞(Adenocarcinoma由来)、PC-3細胞(adenocarcinoma由来)、DU145細胞(carcinoma由来)などが挙げられる。
これらの細胞は、例えば、ATCC(American Type Culture Collection)より入手することができる。

【0030】
<作用>
前記癌細胞増殖抑制剤は、例えば、癌細胞に導入(トランスフェクト)することによって、前記細胞に作用させることができる。前記導入の方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トランスフェクション試薬を用いる方法、エレクトロポレーションによる方法、磁気粒子を用いる方法、ウイルス感染を利用する方法などが挙げられる。
癌細胞に対して作用させる前記癌細胞増殖抑制剤の量としても、特に制限はなく、細胞の種類や所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、1×10個の細胞数に対し、有効成分(前記二本鎖核酸分子)の量として、0.1μg程度が好ましく、5μg程度がより好ましく、15μg程度が特に好ましい。

【0031】
<癌細胞増殖抑制方法>
前記癌細胞増殖抑制剤は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、癌細胞に作用させることにより、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができる。したがって、本発明は、前記二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを癌細胞に作用させることを特徴とする、癌細胞の増殖抑制方法(「腫瘍増殖抑制方法」と称することがある)にも関する。前記癌細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前立腺癌細胞が好適に挙げられる。前記前立腺癌細胞は、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞であってもよい。

【0032】
(医薬)
本発明の医薬は、癌を予防乃至治療するための医薬であり、前記した本発明の癌細胞増殖抑制剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。

【0033】
<癌細胞増殖抑制剤>
前記癌細胞増殖抑制剤の詳細としては、前記した本発明の癌細胞増殖抑制剤の項目に記載した通りである。前記癌細胞増殖抑制剤は、前記した本発明の二本鎖核酸分子、DNA、及びベクターの少なくともいずれかを含むので、標的とするTACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができる。即ち、前記癌細胞増殖抑制剤は、癌を予防乃至治療するための医薬として好適に利用可能である。前記癌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前立腺癌が好適に挙げられる。前記前立腺癌は、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌であってもよい。
前記医薬中の前記癌細胞増殖抑制剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬は、前記癌細胞増殖抑制剤そのものであってもよい。

【0034】
ここで、前記医薬の有効成分となる前記二本鎖核酸分子としては、非修飾の状態の二本鎖核酸分子そのものを用いてもよいが、適切に予防乃至治療効果が得られるよう、生体への投与に適した形態の二本鎖核酸分子を用いることが好ましい。
例えば、前記二本鎖核酸分子は、生体内における二本鎖核酸分子の安定性を高めることができる点で、修飾が施されていることが好ましい。前記二本鎖核酸分子に施し得る修飾の種類としては、特に制限はなく、例えば、2’O-methyl化修飾、ホスホロチオエート化(S化)修飾、LNA(Locked Nucleic Acid)修飾などが挙げられる。また、標的細胞への導入効率を高める等の目的から、例えば、前記二本鎖核酸分子のセンス鎖の5’端、或いは3’端に、ナノ粒子、コレステロール、細胞膜通過ペプチド等の修飾を施すこともまた好ましい。前記二本鎖核酸分子に前記修飾を施す方法としては、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。
また、前記二本鎖核酸分子は、標的細胞への導入効率を高めることができる点で、リポソームや高分子マトリックス等と複合体を形成していることも好ましい。前記複合体を形成する方法としても、特に制限はなく、従来公知の手法を適宜利用することができる。

【0035】
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、医薬的に許容され得る担体などが挙げられる。前記担体としても、特に制限はなく、例えば、剤型等に応じて適宜選択することができる。また、前記医薬中の前記その他の成分の含有量としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。

【0036】
<剤型>
前記医薬の剤型としては、特に制限はなく、例えば、後述するような所望の投与方法に応じて適宜選択することができ、例えば、経口固形剤(錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等)、経口液剤(内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、注射剤(溶液、懸濁液、用事溶解用固形剤等)、軟膏剤、貼付剤、ゲル剤、クリーム剤、外用散剤、スプレー剤、吸入散剤などが挙げられる。

【0037】
前記経口固形剤としては、例えば、前記有効成分に、賦形剤、更には必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味・矯臭剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄などが挙げられる。前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。

【0038】
前記経口液剤としては、例えば、前記有効成分に、矯味・矯臭剤、緩衝剤、安定化剤等の添加剤を加え、常法により製造することができる。
前記矯味・矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、トラガント、アラビアゴム、ゼラチンなどが挙げられる。

【0039】
前記注射剤としては、例えば、前記有効成分に、pH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により皮下用、筋肉内用、静脈内用等の注射剤を製造することができる。
前記pH調節剤及び前記緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなどが挙げられる。前記安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。前記等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、ブドウ糖などが挙げられる。前記局所麻酔剤としては、例えば、塩酸プロカイン、塩酸リドカインなどが挙げられる。

【0040】
前記軟膏剤としては、例えば、前記有効成分に、公知の基剤、安定剤、湿潤剤、保存剤等を配合し、常法により混合し、製造することができる。
前記基剤としては、例えば、流動パラフィン、白色ワセリン、サラシミツロウ、オクチルドデシルアルコール、パラフィンなどが挙げられる。前記保存剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。

【0041】
前記貼付剤としては、例えば、公知の支持体に前記軟膏剤としてのクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤等を、常法により塗布し、製造することができる。前記支持体としては、例えば、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン等のフィルム、発泡体シートなどが挙げられる。

【0042】
<投与>
前記医薬は、癌の予防乃至治療に好適である。したがって、前記医薬は、癌に罹患した患者に投与することにより好適に使用することができる。

【0043】
前記医薬の投与対象動物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒト、マウス、ラット、ウシ、ブタ、サル、イヌ、ネコなどが挙げられるが、これらの中でも、ヒトが特に好ましい。

【0044】
前記医薬の投与方法としては、特に制限はなく、例えば、前記医薬の剤型、疾患の種類、患者の状態等に応じて、局所投与、全身投与のいずれかを選択することができる。例えば、局所投与においては、前記医薬の有効成分(前記二本鎖核酸分子)を、所望の部位(例えば、腫瘍部位)に直接注入することにより投与することができる。前記注入には、注射等の従来公知の手法を適宜利用することができる。また、全身投与(例えば、経口投与、腹腔内投与、血液中への投与等)においては、前記医薬の有効成分(前記二本鎖核酸分子)が所望の部位(例えば、腫瘍部位)まで安定に、かつ効率良く送達されるよう、従来公知の薬剤送達技術を適宜応用することが好ましい。

【0045】
前記医薬の投与量としては、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて適宜選択することができるが、例えば、成人への1日の投与あたり、有効成分(前記二本鎖核酸分子)の量として、1mg~100mgが好ましい。
また、前記医薬の投与回数としても、特に制限はなく、投与対象である患者の年齢、体重、所望の効果の程度等に応じて、適宜選択することができる。

【0046】
前記医薬の投与時期としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記疾患に対して、予防的に投与されてもよいし、治療的に投与されてもよい。中でも、前記医薬は、癌細胞の増殖を阻害し、前記癌細胞の増殖による腫瘍の増大を防ぐ効果に優れることから、前記医薬は前記疾患の出来る限り早期の段階に投与されることが望ましいと考えられる。

【0047】
<予防乃至治療方法>
前記医薬は、前記癌細胞増殖抑制剤を含むので、癌を患う個体に投与することにより、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現抑制を介して、癌細胞の増殖を効果的に抑制し、癌を予防乃至治療することができる。したがって、本発明は、個体に前記医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法にも関する。前記癌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前立腺癌が好適に挙げられる。前記前立腺癌は、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌であってもよい。
【実施例】
【0048】
以下に本発明の試験例等を説明するが、本発明は、これらの試験例等に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0049】
(製造例1:二本鎖核酸分子(siRNA)の作製)
TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現を抑制するための本発明の二本鎖核酸分子(siRNA)を、以下のようにして準備した。
TACC2遺伝子に対する本発明のsiRNA(siTACC2 #1~#10)と、14-3-3ζ遺伝子に対する本発明のsiRNA(si14-3-3 zeta #1~#8)は、それぞれのsiRNAのターゲットとする遺伝子配列(以下に記載)とその相補的な配列を、3’末端が2塩基オーバーハングするようなRNAの二本鎖として合成した(Sigma-Aldrich社製)。これらは、センス鎖由来のオフターゲット効果を防ぐことができるものである。
また、ネガティブコントロールとして、全既知遺伝子へのオフターゲット効果がないsiRNA(siControl #1(RNAi社製)、siControl #2(Ambion社製、4390843))を用意した。
また、TACC2遺伝子に対するsiRNAのポジティブコントロールとして、siTACC2 #0(Invitrogen社製、HSS116289)を用意した。
【実施例】
【0050】
それぞれのsiRNAのターゲットとする遺伝子配列、及び作製したsiRNAの配列を以下に示す。
<siTACC2 #1>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTACCCTTAAGCGAACTAAAA-3’(配列番号:1)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUACCCUUAAGCGAACUAAAA-3’(配列番号:21)
--アンチセンス鎖--
5’-UUAGUUCGCUUAAGGGUACUA-3’(配列番号:22)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における932番目から954番目に対応する。
<siTACC2 #2>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CTTAACTGTTGCGTGCAATAT-3’(配列番号:2)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CUUAACUGUUGCGUGCAAUAU-3’(配列番号:23)
--アンチセンス鎖--
5’-AUUGCACGCAACAGUUAAGUC-3’(配列番号:24)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における3436番目から3458番目に対応する。
<siTACC2 #3>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CGTGCCTCAGACGCTAAGAAT-3’(配列番号:3)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CGUGCCUCAGACGCUAAGAAU-3’(配列番号:25)
--アンチセンス鎖--
5’-UCUUAGCGUCUGAGGCACGAG-3’(配列番号:26)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における730番目から752番目に対応する。
<siTACC2 #4>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CCATTGCTAAAGGTACTTACA-3’(配列番号:4)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CCAUUGCUAAAGGUACUUACA-3’(配列番号:27)
--アンチセンス鎖--
5’-UAAGUACCUUUAGCAAUGGGG-3’(配列番号:28)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における1553番目から1575番目に対応する。
<siTACC2 #5>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CGGAGGAAGTCCACGGATTCC-3’(配列番号:5)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CGGAGGAAGUCCACGGAUUCC-3’(配列番号:29)
--アンチセンス鎖--
5’-AAUCCGUGGACUUCCUCCGUG-3’(配列番号:30)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における772番目から794番目に対応する。
<siTACC2 #6>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTGGTGCACTTGACTATCTGG-3’(配列番号:6)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUGGUGCACUUGACUAUCUGG-3’(配列番号:31)
--アンチセンス鎖--
5’-AGAUAGUCAAGUGCACCACAG-3’(配列番号:32)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における2534番目から2556番目に対応する。
<siTACC2 #7>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CGAGAAACTTGACAACACTCC-3’(配列番号:7)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CGAGAAACUUGACAACACUCC-3’(配列番号:33)
--アンチセンス鎖--
5’-AGUGUUGUCAAGUUUCUCGGG-3’(配列番号:34)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における1491番目から1513番目に対応する。
<siTACC2 #8>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GGACCTGTCCACCTTTGTAAA-3’(配列番号:8)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GGACCUGUCCACCUUUGUAAA-3’(配列番号:35)
--アンチセンス鎖--
5’-UACAAAGGUGGACAGGUCCGA-3’(配列番号:36)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における2064番目から2086番目に対応する。
<siTACC2 #9>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GCCTTAAGGAGTGTAAACTTG-3’(配列番号:9)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GCCUUAAGGAGUGUAAACUUG-3’(配列番号:37)
--アンチセンス鎖--
5’-AGUUUACACUCCUUAAGGCAA-3’(配列番号:38)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における3783番目から3805番目に対応する。
<siTACC2 #10>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CTGCCGTCTTCGATGAAGACA-3’(配列番号:10)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CUGCCGUCUUCGAUGAAGACA-3’(配列番号:39)
--アンチセンス鎖--
5’-UCUUCAUCGAAGACGGCAGAG-3’(配列番号:40)
なお、前記siRNAの配列は、NM_006997.2における629番目から651番目に対応する。
【実施例】
【0051】
<si14-3-3 zeta #1>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTGGACATCGGATACCCAAGG-3’(配列番号:11)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUGGACAUCGGAUACCCAAGG-3’(配列番号:41)
--アンチセンス鎖--
5’-UUGGGUAUCCGAUGUCCACAA-3’(配列番号:42)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における834番目から856番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #2>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CAGCACGCTAATAATGCAATT-3’(配列番号:12)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CAGCACGCUAAUAAUGCAAUU-3’(配列番号:43)
--アンチセンス鎖--
5’-UUGCAUUAUUAGCGUGCUGUC-3’(配列番号:44)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における792番目から814番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #3>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CCGTTACTTGGCTGAGGTTGC-3’(配列番号:13)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CCGUUACUUGGCUGAGGUUGC-3’(配列番号:45)
--アンチセンス鎖--
5’-AACCUCAGCCAAGUAACGGUA-3’(配列番号:46)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における531番目から553番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #4>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTTATAAGTGTTTGGCATAGT-3’(配列番号:14)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUUAUAAGUGUUUGGCAUAGU-3’(配列番号:47)
--アンチセンス鎖--
5’-UAUGCCAAACACUUAUAACUU-3’(配列番号:48)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における1139番目から1161番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #5>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTAGCATTAACTGTAAGTTTT-3’(配列番号:15)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUAGCAUUAACUGUAAGUUUU-3’(配列番号:49)
--アンチセンス鎖--
5’-AACUUACAGUUAAUGCUACCC-3’(配列番号:50)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における2242番目から2264番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #6>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GCACGCTAATAATGCAATTAC-3’(配列番号:16)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GCACGCUAAUAAUGCAAUUAC-3’(配列番号:51)
--アンチセンス鎖--
5’-AAUUGCAUUAUUAGCGUGCUG-3’(配列番号:52)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における794番目から816番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #7>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-CCTACCTATCCTGAATGGTCT-3’(配列番号:17)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-CCUACCUAUCCUGAAUGGUCU-3’(配列番号:53)
--アンチセンス鎖--
5’-ACCAUUCAGGAUAGGUAGGGU-3’(配列番号:54)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における2578番目から2600番目に対応する。
<si14-3-3 zeta #8>
-ターゲットとする遺伝子配列-
5’-GTAGTAATTGTGGGTACTTTA-3’(配列番号:18)
-siRNAの配列-
--センス鎖--
5’-GUAGUAAUUGUGGGUACUUUA-3’(配列番号:55)
--アンチセンス鎖--
5’-AAGUACCCACAAUUACUACAC-3’(配列番号:56)
なお、前記siRNAの配列は、NM_001135699.1における1288番目から1310番目に対応する。
【実施例】
【0052】
ネガティブコントロールに用いたsiControl #1の配列を以下に示す。
<siControl #1>
-センス鎖-
5’-GUACCGCACGUCAUUCGUAUC-3’(配列番号:57)
-アンチセンス鎖-
5’-UACGAAUGACGUGCGGUACGU-3’(配列番号:58)
【実施例】
【0053】
(試験例1-1-1:siRNAによるmRNAレベルでの標的遺伝子発現抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTACC2 #1~#10を、前立腺癌細胞にトランスフェクションし、48時間後に全RNAを回収してquantitative real-time PCRを行うことにより、各siRNAの前立腺癌細胞におけるTACC2遺伝子発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #2及びsiTACC2 #0を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0054】
[細胞]
前記前立腺癌細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0055】
[細胞培養]
LNCaP細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0056】
[トランスフェクション]
6穴プレートに、LNCaP細胞 1×10個/穴をまき、その翌日(細胞数:3×10個/穴)に、RNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、10nMとなるように調整した。
【実施例】
【0057】
[遺伝子発現レベルの測定]
トランスフェクションし48時間培養した後に、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを細胞より回収した。前記全RNA 500ngを用いて、Prime script RT reagent kit(タカラバイオ株式会社製)により、cDNAを合成した。
前記cDNAを10倍希釈し、そのうちの2μLを用いてquantitative real-time PCRを行った。前記quantitative real-time PCRは、Step one real-time PCR (Applied biosystems社製)、及びKAPA SYBR Fast PCR kit(日本ジェネティクス株式会社製)を用いて行い、TACC2遺伝子及び内部コントロールであるGAPDH遺伝子の発現レベルを測定した。
前記TACC2遺伝子の発現レベルは、前記GAPDH遺伝子に対する発現レベルをCycle数からΔΔCt法を用いて算出した。
【実施例】
【0058】
結果を図1Aに示した。図1A中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図1Aの結果から、本発明のsiTACC2 #1~#10は、Reagent、siControlに比べてTACC2遺伝子の発現を抑制した。
【実施例】
【0059】
(試験例1-1-2:siRNAによるmRNAレベルでの標的遺伝子発現抑制効果の検討)
試験例1-1-1において、導入したsiRNAの量を10nMから50nMに変えた以外は、試験例1-1-1と同様にして試験した。
結果を図1Bに示した。図1B中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図1Bの結果から、本発明のsiTACC2 #1~#3、#5、#7、及び#8は、siTACC2#0と同等、若しくはそれ以上のノックダウン効果を有することが確認できた。
【実施例】
【0060】
(試験例1-2:siRNAによるmRNAレベルでの標的遺伝子発現抑制効果の検討)
試験例1-1-1において、siRNAをsi14-3-3 zeta #1~#8とし、コントロールをsiControl #2とし、14-3-3ζ遺伝子の発現レベルを測定した以外は、試験例1-1-1と同様にして試験した。
結果を図2に示した。図2中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。
図2の結果から、本発明のsi14-3-3 zeta #1~#8は、Reagent、siControlに比べてmRNAレベルで14-3-3ζ遺伝子の発現を抑制した。これらの中でも、si14-3-3 zeta #1、#3、#4、#6が特に効果が高かった。
【実施例】
【0061】
(試験例2-1:siRNAによるタンパク質レベルでの標的遺伝子発現抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTACC2 #1~#10を、前立腺癌細胞にトランスフェクションし、48時間後にタンパク質サンプルを回収してウエスタンブロット解析を行うことにより、各siRNAの前立腺癌細胞におけるTACC2遺伝子発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #2を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0062】
[細胞]
前記前立腺癌細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0063】
[細胞培養]
LNCaP細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0064】
[トランスフェクション]
6穴プレートに、LNCaP細胞 1×10個/穴をまき、その翌日(細胞数:3×10個/穴)に、RNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、50nMとなるように調整した。
【実施例】
【0065】
[ウエスタンブロット解析]
トランスフェクションし48時間培養した後に、NP40 lysis buffer[50mM Tris-HCl(pH8.0)、150mM NaCl、1% NP-40、Protease inhibitor cocktail(ナカライテスク株式会社製)]を用いて細胞より全細胞抽出液を採取した。
前記全細胞抽出液のタンパク質濃度をBCA assay(Pierce社製)により調製した。
前記タンパク質濃度を調整した全細胞抽出液10μgを、8% SDS-PAGEゲルにて泳動後、Immobilon-P Transfer Membrane(Millipore社製)へブロットした。
その後、1次抗体として、1,000倍希釈したAnti-TACC2抗体(Upstate社製、07-228)を用いて一晩反応させ、次いで、2次抗体として、5,000倍希釈したペルオキシダーゼの結合した抗ラビットIgG抗体(Sigma社製)を1時間反応させた。また、内部コントロールとして、500倍希釈したanti-β-actin(Sigma社製、A5316)を用いて一晩反応させ、次いで、2次抗体として、5,000倍希釈したペルオキシダーゼの結合した抗マウスIgG抗体(GEヘルスケア・ジャパン社製、NA931-100UL)を1時間反応させた。
次いで、抗原抗体複合体を、ImmunoCruz Western blotting detector system(Santa Cruz Biotechnology社製)を用いて反応させ、X線フィルムへ撮影した。
【実施例】
【0066】
結果を図3に示した。図3中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、上段は、TACC2遺伝子の発現レベルを示し、下段は、内部コントロールであるβ-アクチンの発現レベルを示す。
図3の結果から、siTACC2 #1~#3、#6、及び#9は、Reagent、siControlよりもタンパク質レベルでTACC2遺伝子の発現を抑制した。これらの中でも、#1が最も効果が高かった。
【実施例】
【0067】
(試験例2-2:siRNAによるタンパク質レベルでの標的遺伝子発現抑制効果の検討)
試験例2-1において、siRNAをsi14-3-3 zeta #1~#8とし、導入したsiRNAの量を50nMから10nMに変え、1次抗体を1,000倍希釈したanti-14-3-3 zeta抗体(Santa Cruz Biotechnology社製、C-16)とし、anti-β-actin(Sigma社製、A5316)を1,000倍希釈したものに変えた以外は、試験例2-1と同様にして試験した。
結果を図4に示した。図4中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、上段は、14-3-3ζ遺伝子の発現レベルを示し、下段は、内部コントロールであるβ-アクチンの発現レベルを示す。
図4の結果から、si14-3-3 zeta #1~#4、及び#6~#8は、Reagent、siControlよりもタンパク質レベルで14-3-3ζ遺伝子の発現を抑制した。これらの中でも、#3が最も効果が高かった。
【実施例】
【0068】
(試験例3-1-1:siRNAによるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTACC2 #1~#10を、前立腺癌細胞にトランスフェクションし、その後の細胞増殖速度を測定することにより、各siRNAの前立腺癌細胞増殖抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #2及びsiTACC2 #0を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0069】
[細胞]
前記前立腺癌細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0070】
[細胞培養]
LNCaP細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0071】
[トランスフェクション]
トランスフェクション前日に、96穴プレートに、LNCaP細胞を3×10個/穴になるよう継代し、トランスフェクション当日に、RNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、10nMとなるように調整した。
【実施例】
【0072】
[細胞増殖試験]
細胞増殖試験は、トランスフェクション1日後、3日後、5日後にCell titer 96(Promega社製)を用いて2時間反応させ、マイクロプレートリーダーにて吸光度490nmで細胞増殖能を測定することにより行った。前記試験は、PES(phenazine ethosulfate)を介して、テトラゾリウム塩[MTS;3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-5-(3-carboxymethoxyphenyl)-2-(4-sulfophenyl)-2H-tetrazolium, inner salt]を発色物質であるホルマザン産物へ変換する還元反応に基づいて、生細胞数を測定するものである。
【実施例】
【0073】
結果を図5Aに示した。図5A中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、各siRNA等の欄における棒グラフは、左から順に、トランスフェクション1日後、3日後、5日後の結果を示す。
図5Aの結果から、siTACC2 #1~#4、#7~#9は、Reagent、siControlよりも細胞増殖が抑えられていた。
【実施例】
【0074】
(試験例3-1-2:siRNAによるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
試験例3-1-1において、導入したsiRNAの量を10nMから50nMに変えた以外は、試験例3-1-1と同様にして試験した。
結果を図5Bに示した。図5B中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、各siRNA等の欄における棒グラフは、左から順に、トランスフェクション1日後、3日後、5日後の結果を示す。
図5Bの結果から、siTACC2 #1~#4、及び#7~#10は、siTACC2 #0と同等、若しくはそれ以上の細胞増殖抑制効果が確認できた。これらの中でも、特にsiTACC2 #2、及び#9において細胞増殖抑制効果が強いことが観察された。
【実施例】
【0075】
(試験例3-2:siRNAによるin vitroにおける細胞増殖抑制効果の検討)
試験例3-1-1において、siRNAをsi14-3-3 zeta #1~#8とし、コントロールをsiControl #2とし、細胞増殖試験をトランスフェクション1日後、4日後、5日後、及び6日後に行った以外は、試験例3-1-1と同様にして試験した。
結果を図6に示した。図6中、「Reagent」は、siRNAをトランスフェクションしなかったもの(試薬のみ)の結果を示し、「siControl」は、「siControl #2」をトランスフェクションしたものの結果を示す。また、各siRNA等の欄における棒グラフは、左から順に、トランスフェクション1日後、4日後、5日後、6日後の結果を示す。
図6の結果から、si14-3-3 zeta #1~#8は、Reagent、siControl #2よりも有意に細胞増殖を抑制効果した。これらの中でも、特にsi14-3-3 zeta #1~#3、#5、#6、及び#8は、トランスフェクション4日後以降、細胞の増殖を強く抑制することが認められた。
【実施例】
【0076】
(試験例4-1:siRNAによるin vivoにおける腫瘍増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTACC2のうち、前記試験において、mRNAレベルでの発現抑制効果と、細胞増殖抑制効果が共に高かったsiTACC2 #2について、ヌードマウスの皮下に腫瘍細胞を移植し、その腫瘍に対する増殖抑制効果を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #1を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0077】
[細胞]
前記腫瘍細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0078】
[マウス]
前記マウスとして、日本クレア株式会社より購入したオスの8週齢のヌードマウス(BALB/cAJcl-nu/nu)を用いた。
【実施例】
【0079】
[腫瘍細胞の皮下移植]
前記LNCaP細胞をヌードマウス一匹あたり1×10個になるように調整し、PBS 100μLと混合した。前記混合物をマトリゲル(BD bioscience社製)100μLと混合した。前記混合物を、25G注射針を用いてマウスの皮下に注入した。
【実施例】
【0080】
[siRNAの投与]
マウスへ腫瘍細胞を移植後、腫瘍体積が100mmに達したところでsiRNAの投与を開始した。
前記siRNAの投与は、siRNAが5μg/匹となるように、RNAi MAX(Invitrogen社製)15μL、phenol red-free OPTI-MEM(85μL)と混合した溶液(100μL)をマウスの腫瘍内へ局注することにより行った。
前記投与は、2回/週を4週間繰り返した。
【実施例】
【0081】
[腫瘍増殖の測定、評価]
マウスの腫瘍の大きさは、週1回計測した。
腫瘍体積は、長径(r1)と、短径(r2,r3)を2か所とを計測し、「{長径(r1)(mm)×短径(r2)(mm)×短径(r3)(mm)}/2〕の式により算出した。
【実施例】
【0082】
結果を図7A及び7Bに示した。
図7Aは、siRNA投与開始4週間後に、アバチンにて麻酔をかけ、腫瘍の大きさが分かるように撮影した写真である(左側:siControl #1を投与、右側:siTACC2 #2を投与)。
図7Bは、腫瘍体積の変化を表したグラフである。図7B中、「◇」は、「siControl #1」を投与したマウス(n=7)における結果を示し、「□」は、「siTACC2 #2」を投与したマウス(n=8)における結果を示す。また、同図中、「***」は、p<0.001を表す。
図7A及び7Bの結果から、siTACC2 #2の投与により、マウスにおけるLNCaP細胞の増殖が有意に抑制されることが明らかになった。
【実施例】
【0083】
(試験例4-2:siRNAによるin vivoにおける腫瘍増殖抑制効果の検討)
試験例4-1において、siRNAを上述の試験例において最も抑制効果が高かったsi14-3-3 zeta #3とした以外は、試験例2-1と同様にして試験した。
結果を図8A及び8Bに示した。
図8Aは、siRNA投与開始4週間後に、アバチンにて麻酔をかけ、腫瘍の大きさが分かるように撮影した写真である(左側:siControl #1を投与、右側:si14-3-3 zeta #3を投与)。
図8Bは、腫瘍体積の変化を表したグラフである。図8B中、「◇」は、「siControl #1」を投与したマウス(n=7)における結果を示し、「△」は、「si14-3-3 zeta #3」を投与したマウス(n=7)における結果を示す。また、同図中、「**」は、p<0.01を表し、「***」は、p<0.001を表す。
図8A及び8Bの結果から、si14-3-3 zeta #3の投与により、マウスにおけるLNCaP細胞の増殖が有意に抑制されることが明らかになった。
【実施例】
【0084】
(試験例5-1:siTACC2 #2と、既報のsiRNAとの比較)
前記製造例1で得られたsiTACC2 #2と、「Takayama et al., Mol Endocrinol 26:748-761, 2012」(以下、「既報文献1」と称することがある)に記載のTACC2遺伝子に対するsiRNA(下記参照)とについて、前立腺癌細胞におけるTACC2遺伝子発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #2及びsiTACC2 #0を用いた。
【実施例】
【0085】
<既報文献1に記載のsiRNA>
(1)siTACC2s20765(既報文献1におけるsiTACC2(ME)#1、lifetechnologies社製)
(2)siTACC2s20767(既報文献1におけるsiTACC2(ME)#2、lifetechnologies社製)
【実施例】
【0086】
実験方法の詳細は、以下の通りである。
[細胞]
前記前立腺癌細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0087】
[細胞培養]
LNCaP細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0088】
[トランスフェクション]
トランスフェクション前日に、6穴プレートに、LNCaP細胞 3×10個/穴をまき、トランスフェクション当日に、RNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、0.05nMとなるように調整した。
【実施例】
【0089】
[遺伝子発現レベルの測定]
トランスフェクションし72時間後に、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを細胞より回収した。前記全RNA 500ngを用いて、Prime script RT reagent kit(タカラバイオ株式会社製)により、cDNAを合成した。
前記cDNAを10倍希釈し、そのうちの2μLを用いてquantitative real-time PCRを行った。前記quantitative real-time PCRは、Step one real-time PCR (Applied biosystems社製)、及びKAPA SYBR Fast PCR kit(日本ジェネティクス株式会社製)を用いて行い、TACC2遺伝子及び内部コントロールであるGAPDH遺伝子の発現レベルを測定した。
前記TACC2遺伝子の発現レベルは、前記GAPDH遺伝子に対する発現レベルをCycle数からΔΔCt法を用いて算出した。
【実施例】
【0090】
図9に、siControl #2で処理した群におけるTACC2遺伝子の発現レベルに対する、siTACC2s20765、siTACC2s20767、siTACC2 #0、又はsiTACC2 #2で処理した群におけるTACC2遺伝子の発現レベルを算出した結果を示す。図9中、縦軸は、siControl #2で処理した群に対する割合(%)を示す。
図9における横軸は、「1」がsiTACC2s20765の結果を示し、「2」がsiTACC2s20767の結果を示し、「3」がsiTACC2 #0の結果を示し、「4」がsiTACC2 #2の結果を示す。また、図9中、「**」は「P<0.01」、「*」は「P<0.05」を示す。
【実施例】
【0091】
図9の結果から、siTACC2 #2は、0.05nMという低濃度において、他のsiRNAよりも高い遺伝子発現抑制効果を示した。したがって、前記siTACC2 #2のノックダウン効果の優位性が確認された。
【実施例】
【0092】
(試験例5-2:si14-3-3 zeta #3と、既報のsiRNAとの比較)
前記製造例1で得られたsi14-3-3 zeta #3と、「Murata et al., Clin Caner Res 18:5617-27, 2012」(以下、「既報文献2」と称することがある)に記載の14-3-3ζ遺伝子に対するsiRNA(下記参照)とについて、前立腺癌細胞における14-3-3ζ遺伝子発現に対する抑制効果(ノックダウン効果)を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #2を用いた。
【実施例】
【0093】
<既報文献2に記載のsiRNA>
(1)si14-3-3 zeta(既報文献2、lifetechnologies社製)
【実施例】
【0094】
実験方法の詳細は、以下の通りである。
[細胞]
前記前立腺癌細胞として、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)を用いた。
【実施例】
【0095】
[細胞培養]
LNCaP細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含むRPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0096】
[トランスフェクション]
トランスフェクション前日に、6穴プレートに、LNCaP細胞 3×10個/穴をまき、トランスフェクション当日に、RNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、0.05nMとなるように調整した。
【実施例】
【0097】
[遺伝子発現レベルの測定]
トランスフェクションし72時間後に、ISOGEN(株式会社ニッポンジーン製)を用いて全RNAを細胞より回収した。前記全RNA 500ngを用いて、Prime script RT reagent kit(タカラバイオ株式会社製)により、cDNAを合成した。
前記cDNAを10倍希釈し、そのうちの2μLを用いてquantitative real-time PCRを行った。前記quantitative real-time PCRは、Step one real-time PCR (Applied biosystems社製)、及びKAPA SYBR Fast PCR kit(日本ジェネティクス株式会社製)を用いて行い、14-3-3ζ遺伝子及び内部コントロールであるGAPDH遺伝子の発現レベルを測定した。
前記14-3-3ζ遺伝子の発現レベルは、前記GAPDH遺伝子に対する発現レベルをCycle数からΔΔCt法を用いて算出した。
【実施例】
【0098】
図10に、siControl #2で処理した群における14-3-3ζ遺伝子の発現レベルに対する、si14-3-3 zeta(既報文献2)、又はsi14-3-3 zeta #3で処理した群における14-3-3ζ遺伝子の発現レベルを算出した結果を示す。図10中、縦軸は、siControl #2で処理した群に対する割合(%)を示す。
図10における横軸は、「1」がsi14-3-3 zeta(既報文献2)の結果を示し、「2」がsi14-3-3 zeta #3の結果を示す。また、図10中、「**」は「P<0.01」を示す。
【実施例】
【0099】
図10の結果から、si14-3-3 zeta #3は、0.05nMという低濃度において、他のsiRNAよりも高い遺伝子発現抑制効果を示した。したがって、前記si14-3-3 zeta #3のノックダウン効果の優位性が確認された。
【実施例】
【0100】
(試験例6-1:ホルモン療法抵抗性前立腺癌細胞に対する細胞増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsiTACC2 #2を、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞にトランスフェクションし、その後の細胞増殖を測定することにより、前記siTACC2 #2のホルモン療法抵抗性前立腺癌細胞に対する細胞増殖抑制効果を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #1を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0101】
[細胞]
「Takayama K. et al., Molecular Endocrinology 26: 748-761, 2012」に記載の方法にしたがって、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)をホルモン枯渇状態の培地で9ヶ月間以上培養し、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞(以下、「LTAD細胞」と称することがある)を作製した。
【実施例】
【0102】
[細胞培養]
LTAD細胞は、チャコール吸着した10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含む、フェノールレッド不含RPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0103】
[トランスフェクション]
96穴プレートに、LTAD細胞を5,000個/穴になるよう播き、24時間後にRNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、1nMとなるように調整した。
【実施例】
【0104】
[細胞増殖試験]
トランスフェクション5日後に、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク株式会社製)を用いて細胞増殖試験を行った。
【実施例】
【0105】
結果を図11に示した。図11中、縦軸は、490nmの吸光度を示し、「siControl」は、「siControl #1」をトランスフェクションしたものの結果を示す。なお、「**」は、P<0.01を示す。
図11の結果から、siTACC2 #2は、LTAD細胞においても、有意に細胞増殖を抑制することが示された。
【実施例】
【0106】
(試験例6-2:ホルモン療法抵抗性前立腺癌細胞に対する細胞増殖抑制効果の検討)
前記製造例1で得られたsi14-3-3 zeta #3を、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞にトランスフェクションし、その後の細胞増殖を測定することにより、前記si14-3-3 zeta #3のホルモン療法抵抗性前立腺癌細胞に対する細胞増殖抑制効果を検討した。
なお、コントロールとして、siControl #1を用いた。
実験方法の詳細を以下に示す。
【実施例】
【0107】
[細胞]
「Takayama K. et al., Molecular Endocrinology 26: 748-761, 2012」に記載の方法にしたがって、アンドロゲン受容体(AR)陽性のヒト前立腺癌由来LNCaP細胞(入手元:ATCC(American Type Culture Collection)、No.CRL-1740)をホルモン枯渇状態の培地で9ヶ月間以上培養し、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞(以下、「LTAD細胞」と称することがある)を作製した。
【実施例】
【0108】
[細胞培養]
LTAD細胞は、チャコール吸着した10%ウシ胎児血清(FBS、Sigma社製)、100μg/mL ストレプトマイシン、100U/mL ペニシリン(Invitrogen社製)を含む、フェノールレッド不含RPMI-1640(Sigma社製)を細胞培養液として用い、空気中に5%の炭酸ガスを含む培養器内にて37℃で培養した。
【実施例】
【0109】
[トランスフェクション]
96穴プレートに、LTAD細胞を5,000個/穴になるよう播き、24時間後にRNAi MAX(Invitrogen社製)及びOPTI-MEM(Invitrogen社製)を用いてsiRNAをトランスフェクションした。導入したsiRNAの量は、1nMとなるように調整した。
【実施例】
【0110】
[細胞増殖試験]
トランスフェクション5日後に、生細胞数測定試薬SF(ナカライテスク株式会社製)を用いて細胞増殖試験を行った。
【実施例】
【0111】
結果を図12に示した。図12中、縦軸は、490nmの吸光度を示し、「siControl」は、「siControl #1」をトランスフェクションしたものの結果を示す。なお、「*」は、P<0.05を示す。
図12の結果から、si14-3-3 zeta #3は、LTAD細胞においても、有意に細胞増殖を抑制することが示された。
【実施例】
【0112】
以上の試験例1~試験例6により、本発明の二本鎖核酸分子が、癌細胞におけるTACC2遺伝子、14-3-3ζ遺伝子の発現に対して高い抑制効果を有することが示された。更に、これらの二本鎖核酸分子は、in vivoにおいても高い腫瘍増殖抑制効果を有することが示されたことから、癌を予防乃至治療するための医薬の有効成分として好適に利用可能であると考えられる。
また、本発明の二本鎖核酸分子は、従来のAR自体を抑制することにより行われる治療方法と異なり、ARの下流シグナルとして存在するTACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかを標的とするものであるため、ホルモン療法不応性となった癌に対しても好適に利用可能であると考えられる。
また、TACC2遺伝子、及び14-3-3ζ遺伝子の発現が、前立腺癌で著明に亢進しているとの臨床データもあるため、本発明の二本鎖核酸分子により、癌の進展抑制にも優れた効果が見込まれる。
【実施例】
【0113】
本発明の態様としては、例えば、以下のものなどが挙げられる。
<1> TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現を抑制するための二本鎖核酸分子であって、
(a)配列番号:1~配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、
(b)前記(a)のセンス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖と、
を含むことを特徴とする二本鎖核酸分子である。
<2> センス鎖が、配列番号:1~配列番号:4、配列番号:7~配列番号:13、配列番号:15、配列番号:16、及び配列番号:18のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖である前記<1>に記載の二本鎖核酸分子である。
<3> センス鎖が、配列番号:2、及び配列番号:13のいずれかの標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖である前記<1>から<2>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<4> 二本鎖RNA及び二本鎖RNA-DNAキメラの少なくともいずれかである前記<1>から<3>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<5> siRNA及びキメラsiRNAの少なくともいずれかである前記<1>から<4>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<6> siRNAである前記<1>から<5>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むことを特徴とするDNAである。
<8> 前記<7>に記載のDNAを含むことを特徴とするベクターである。
<9> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の二本鎖核酸分子、前記<7>に記載のDNA、及び前記<8>に記載のベクターの少なくともいずれかを含むことを特徴とする癌細胞増殖抑制剤である。
<10> 配列番号:2の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNA、及び該DNAを含むベクターの少なくともいずれかと、
配列番号:13の標的配列に対応するヌクレオチド配列を有するセンス鎖と、該センス鎖に相補的なヌクレオチド配列を有するアンチセンス鎖とを含む二本鎖核酸分子、該二本鎖核酸分子をコードするヌクレオチド配列を含むDNA、及び該DNAを含むベクターの少なくともいずれかと、
を含む前記<9>に記載の癌細胞増殖抑制剤である。
<11> 癌細胞が、前立腺癌細胞である前記<9>から<10>のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤である。
<12> 前立腺癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞である前記<11>に記載の癌細胞増殖抑制剤である。
<13> 癌細胞に、前記<9>から<12>のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤を作用させることを特徴とする癌細胞の増殖抑制方法である。
<14> 癌細胞が、前立腺癌細胞である前記<13>に記載の癌細胞の増殖抑制方法である。
<15> 前立腺癌細胞が、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌細胞である前記<14>に記載の癌細胞の増殖抑制方法である。
<16> 癌を予防乃至治療するための医薬であって、前記<9>から<12>のいずれかに記載の癌細胞増殖抑制剤を含むことを特徴とする医薬である。
<17> 癌が、前立腺癌である前記<16>に記載の医薬である。
<18> 前立腺癌が、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌である前記<17>に記載の医薬である。
<19> 個体に、前記<16>から<18>のいずれかに記載の医薬を投与することを特徴とする癌の予防乃至治療方法である。
<20> 癌が、前立腺癌である前記<19>に記載の癌の予防乃至治療方法である。
<21> 前立腺癌が、ホルモン療法抵抗性の前立腺癌である前記<20>に記載の癌の予防乃至治療方法である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の二本鎖核酸分子は、TACC2遺伝子及び14-3-3ζ遺伝子の少なくともいずれかの発現抑制を介し、癌細胞の増殖を効果的に抑制することができるので、癌に対する優れた医薬の有効成分として有用である。
図面
【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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