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明細書 :光アップコンバージョン発光体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月9日(2017.2.9)
発明の名称または考案の名称 光アップコンバージョン発光体
国際特許分類 C09K  11/06        (2006.01)
H01L  33/50        (2010.01)
C07D 493/08        (2006.01)
FI C09K 11/06
H01L 33/00 410
C07D 493/08 C
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 29
出願番号 特願2015-504251 (P2015-504251)
国際出願番号 PCT/JP2014/054546
国際公開番号 WO2014/136619
国際出願日 平成26年2月25日(2014.2.25)
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権出願番号 2013043145
優先日 平成25年3月5日(2013.3.5)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】鎌田 賢司
【氏名】小林 健二
出願人 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100156845、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 威一郎
【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100174160、【弁理士】、【氏名又は名称】水谷 馨也
【識別番号】100124039、【弁理士】、【氏名又は名称】立花 顕治
【識別番号】100112896、【弁理士】、【氏名又は名称】松井 宏記
審査請求 未請求
テーマコード 4C071
5F142
Fターム 4C071AA03
4C071AA07
4C071BB01
4C071BB07
4C071CC14
4C071DD40
4C071EE08
4C071FF18
4C071LL05
5F142DA55
5F142DA74
5F142DA80
5F142HA01
要約 【課題】高い光アップコンバージョン収率を有する新規な有機系光アップコンバージョン発光体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物からなる、光アップコンバージョン発光体。
【化1】
JP2014136619A1_000025t.gif
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物からなる、光アップコンバージョン発光体。
【化1】
JP2014136619A1_000020t.gif
[一般式(1)中、基Aは、置換基を有することがある縮合環数が3~5の多環芳香族化合物の2価の残基を示す。
基B1及び基B2は、それぞれ独立して、下記一般式(2a)または(2b)で表される3価の基を示す。
【化2】
JP2014136619A1_000021t.gif
[一般式(2a)及び(2b)中、基Zが基Aと結合しており、残りの2つの結合手がそれぞれ基X1及び基X2と結合しており、基Zは、単結合、または飽和もしくは不飽和であり、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示す。Rn2は、0~3個の置換基であって、ベンゼン環上の水素原子と置換しており、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。]
基X1及び基X2は、それぞれ独立して、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数2以上の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示す。]
【請求項2】
一般式(1)において、基Aが、下記一般式(A1)~(A23)で表される多環芳香族化合物残基のいずれかである、請求項1に記載の光アップコンバージョン発光体。
【化3】
JP2014136619A1_000022t.gif
[一般式(A1)~(A23)中、2価の結合手は、それぞれ芳香環上の水素原子と置換可能な任意の位置に存在する。Rn1は、0個以上の置換基であって、それぞれ芳香環に結合した水素原子と置換しており、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。]
【請求項3】
一般式(1)において、基Aが、下記一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)で表される多環芳香族化合物残基のいずれかである、請求項1または2に記載の光アップコンバージョン発光体。
【化4】
JP2014136619A1_000023t.gif
[一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)中、Rn1は、上記の一般式(A1)~(A23)と同様である。]
【請求項4】
基B1及び基B2は、それぞれ独立して、下記一般式(3a-1)~(3a-4)で表される3価の基のいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体。
【化5】
JP2014136619A1_000024t.gif
[一般式(3a-1)~(3a-4)中、Rn2は、一般式(2a)と同様である。]
【請求項5】
一般式(1)において、基X1及び基X2は、それぞれ独立して、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数が5~10の直鎖のアルキレン基である、請求項1~4のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体と、光増感剤とを含む、光アップコンバージョン材料。
【請求項7】
溶媒、樹脂、またはガラスをさらに含む、請求項6に記載の光アップコンバージョン材料。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光アップコンバージョン材料に光を照射することにより、前記照射した光よりも短波長の光を発光させる、光波長の変換方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、長波長光を短波長光に変換する光アップコンバージョン発光体、及びこれを含む光アップコンバージョン材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、長波長光を短波長光に変換する光アップコンバージョン発光体が知られている。光アップコンバージョン発光体としては、希土類元素などを用いた無機系光アップコンバージョン発光体が知られている。無機系光アップコンバージョン発光体は、赤外レーザー光を可視光に変換するIRカードなどに応用され、既に実用化されている。
【0003】
一方、有機化合物を用いた有機系光アップコンバージョン発光体では、有機化合物が有する強くて幅広い吸収スペクトルを用いることにより、無機系光アップコンバージョン発光体よりも、幅広い波長かつ低い入射パワーでの光アップコンバージョンが可能となることが知られている。有機系光アップコンバージョン発光体の用途としては、例えば、有機太陽電池などが挙げられる。有機太陽電池において、太陽光から自由電荷担体を発生させるのは紫外光及び青色光である。そこで、有機太陽電池に有機系光アップコンバージョン発光体を用いることにより、緑色、赤色などの長波長光を青色光などの短波長光に変換し、有機太陽電池の光電変換効率を高めることなどが期待されている。このように、近年、有機系光アップコンバージョン発光体が注目を集めてきている(例えば、特許文献1、非特許文献1及び2を参照)。
【0004】
有機系光アップコンバージョン発光体は、一般に、光増感剤と共に用いられ、有機系光アップコンバージョン材料として使用される。現在知られている有機系光アップコンバージョン材料における光アップコンバージョンの機構としては、例えば次のような機構が挙げられる。まず、基底状態にある光増感剤分子(1A)が、光エネルギーを吸収して励起一重項状態(1*)へと遷移する(1A+hν→1*)。次に、速やかに励起三重項状態(3*)へと系間交差を起こし(1*3*)、光増感剤分子の励起三重項状態から発光体分子にエネルギーが受け渡される。これにより、光増感剤分子はエネルギーを失ってその基底状態に戻る。一方、基底状態にあった発光体分子(1E)が、励起三重項(3*)へと変化する(三重項-三重項エネルギー移動:3*1E→1A+3*)。励起三重項状態へ変化した発光体分子の濃度が高まると、励起三重項状態へ変化した発光体分子同士の相互作用が効率よく起きるようになり、励起三重項状態へ変化した一方の発光体分子から他方の発光体分子にエネルギーが移動する。このとき、励起三重項状態へ変化した一方の発光体分子は基底状態に戻り、他方は励起一重項状態へと変化する(三重項-三重項消滅過程:3*3*1E+1*)。そして、この励起一重項状態へ変化した発光体分子から、蛍光として、アップコンバージョンされた発光(1*1E+hνf)が生じる。このような機構は、「三重項-三重項アップコンバージョン」、「光化学アップコンバージョン」などと呼ばれている。
【0005】
以上のような機構を考慮すると、有機系光アップコンバージョン材料では、発光体の励起三重項状態のエネルギーが励起一重項状態のエネルギーの半分程度である必要性がある。このため、発光体としては、芳香環骨格をもつ分子などが用いられている。また、光増感剤としては、高効率に励起三重項状態を生成する有機金属錯体などが用いられている。
【0006】
例えば、青色発光領域の光アップコンバージョン発光体として、アントラセン、9,10-ジフェニルアントラセンなどが知られている。しかしながら、これらの発光体を用いた光アップコンバージョン収率(長波長光から短波長光への変換収率)は、3~5%程度と低く、より高い光アップコンバージョン収率を有する新規な有機系光アップコンバージョン材料の開発が求められている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2008-506798号公報
【0008】

【非特許文献1】Ceroni, P. Energy up-conversion by low-power excitation: new applications of an old concept. Chemistry (Weinheim an der Bergstrasse, Germany) 2011, 17, 9560-4.
【非特許文献2】Trupke, T.; Shalav, a.; Richards, B. S.; Wurfel, P.; Green, M. a. Efficiency enhancement of solar cells by luminescent up-conversion of sunlight. Solar Energy Materials and Solar Cells 2006, 90, 3327-3338.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、高い光アップコンバージョン収率を実現する新規な有機系光アップコンバージョン発光体、及びこれを含む光アップコンバージョン材料を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記のような課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、上記の一般式(1)で表される化合物を光アップコンバージョン発光体として用いることにより、高い光アップコンバージョン収率を有する光アップコンバージョン材料が得られることが明らかとなった。本発明は、このような知見に基づいて、さらに検討を重ねることにより完成された発明である。
【0011】
すなわち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記一般式(1)で表される化合物からなる、光アップコンバージョン発光体。
【化1】
JP2014136619A1_000003t.gif
[一般式(1)中、基Aは、置換基を有することがある縮合環数が3~5の多環芳香族化合物の2価の残基を示す。
基B1及び基B2は、それぞれ独立して、下記一般式(2a)または(2b)で表される3価の基を示す。
【化2】
JP2014136619A1_000004t.gif
[一般式(2a)及び(2b)中、基Zが基Aと結合しており、残りの2つの結合手がそれぞれ基X1及び基X2と結合しており、基Zは、単結合、または飽和もしくは不飽和であり、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示す。Rn2は、0~3個の置換基であって、ベンゼン環上の水素原子と置換しており、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。]
基X1及び基X2は、それぞれ独立して、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数2以上の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を示す。]
項2. 一般式(1)において、基Aが、下記一般式(A1)~(A23)で表される多環芳香族化合物残基のいずれかである、項1に記載の光アップコンバージョン発光体。
【化3】
JP2014136619A1_000005t.gif
[一般式(A1)~(A23)中、2価の結合手は、それぞれ芳香環上の水素原子と置換可能な任意の位置に存在する。Rn1は、0個以上の置換基であって、それぞれ芳香環に結合した水素原子と置換しており、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。]
項3. 一般式(1)において、基Aが、下記一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)で表される多環芳香族化合物残基のいずれかである、項1または2に記載の光アップコンバージョン発光体。
【化4】
JP2014136619A1_000006t.gif
[一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)中、Rn1は、上記の一般式(A1)~(A23)と同様である。]
項4. 基B1及び基B2は、それぞれ独立して、下記一般式(3a-1)~(3a-4)で表される3価の基のいずれかである、項1~3のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体。
【化5】
JP2014136619A1_000007t.gif
[一般式(3a-1)~(3a-4)中、Rn2は、一般式(2a)と同様である。]
項5. 一般式(1)において、基X1及び基X2は、それぞれ独立して、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数が5~10の直鎖のアルキレン基である、項1~4のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体。
項6. 項1~5のいずれかに記載の光アップコンバージョン発光体と、光増感剤とを含む、光アップコンバージョン材料。
項7. 溶媒、樹脂、またはガラスをさらに含む、項6に記載の光アップコンバージョン材料。
項8. 項6または7に記載の光アップコンバージョン材料に光を照射することにより、照射した光よりも短波長の光を発光させる、光波長の変換方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高い光アップコンバージョン収率を実現する光アップコンバージョン発光体及びこれを含む光アップコンバージョン材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例1で得られた光アップコンバージョン材料による発光の波長と発光強度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例3で得られた光アップコンバージョン材料による発光の波長と発光強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の光アップコンバージョン発光体は、下記一般式(1)で表される化合物からなることを特徴とする。

【0015】
【化6】
JP2014136619A1_000008t.gif

【0016】
本発明において、「光アップコンバージョン発光体」とは、吸収した光よりも短波長の光を発する化合物をいう。以下、本発明の光アップコンバージョン発光体、及びこれを含む光アップコンバージョン材料について詳述する。

【0017】
[光アップコンバージョン発光体]
光アップコンバージョン発光体は、上記の一般式(1)で表される化合物であり、後述の光アップコンバージョン材料が吸収した光よりも短波長光を発光する機能を有する。一般式(1)において、基Aは、基B1及び基B2と結合している。また、基B1、基X1、基B2、及び基X2はこの順に結合して環を形成しており、この環の中に基Aが位置している。

【0018】
一般式(1)において、基Aは、置換基を有することがある縮合環数が3~5の多環芳香族化合物の2価の残基を示す。基Aを構成する芳香環としては、例えば、ベンゼン環、シクロペンタジエニル環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、フラン環、チオフェン環、シロール環などが挙げられる。

【0019】
基Aの具体例としては、例えば、下記一般式(A1)~(A23)で表される多環芳香族化合物残基が挙げられる。

【0020】
【化7】
JP2014136619A1_000009t.gif

【0021】
一般式(A1)~(A23)において、2価の結合手の位置は、特に制限されず、それぞれ芳香環上の水素原子と置換可能な任意の位置に存在する。2価の結合手は、それぞれ、同一または互いに隣接する芳香環上に存在することが好ましい。これにより、環の大きさを小さくすることができ、発光体間の相互作用が起こりやすくなり、光アップコンバージョン収率をより高めることが可能となると考えられる。また、2価の結合手は、結合手が無い場合にラジカルが発生しやすい位置にあることが好ましい。このような位置に結合手が存在することにより、これらの位置でラジカルが発生することが阻止され、ラジカル反応によって発光体同士が反応して2量体となり、光アップコンバージョン収率が低下することを抑制することができる。

【0022】
一般式(A1)~(A23)において、Rn1は、0個以上の置換基であって、それぞれ芳香環に結合した水素原子と置換している。Rn1の数の上限値は、一般式(A1)~(A23)の芳香環に結合した水素原子の数によって異なるが、通常0~8個程度、好ましくは0~4程度である。0個以上のRn1は、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。Rn1が、アルキル基またはアルコキシ基である場合、炭素数としては特に制限されないが、基Aの立体障害を小さくし、発光体間の相互作用を起こりやすくする観点からは、好ましくは1~4程度が挙げられる。

【0023】
一般式(1)において、好ましい基Aとしては、下記一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)で表される多環芳香族化合物残基が挙げられる。基Aがこれらの構造を有することにより、発光体は、基Aの中央部分において、基B1、基X1、基B2、及び基X2によって形成された環が基Aを囲む構造となる。このような構造を有する発光体間では、相互作用が起こりやすくなり、光アップコンバージョン収率をより高めることが可能になると考えられる。また、これらの構造を有する基Aの2つの結合手は、それぞれ、結合手が無い場合にはラジカルが発生しやすい炭素原子上に位置している。すなわち、これらの構造では、基Aの2つの結合手によって、これらの位置でラジカルが発生することが阻止されている。よって、ラジカル反応によって発光体同士が反応して2量体となり、光アップコンバージョン収率が低下することが、効果的に抑制されていると考えられる。

【0024】
【化8】
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【0025】
一般式(A1-1)、(A1-2)、(A2-1)、(A3-1)、(A4-1)、(A5-1)、(A5-2)、(A6-1)、(A9-1)、(A9-2)、(A9-3)、(A9-4)、(A14-1)、(A14-2)、(A14-3)、及び(A14-4)において、Rn1は、上記の一般式(A1)~(A23)と同様である。

【0026】
一般式(1)において、基B1及び基B2は、それぞれ独立して、下記一般式(2a)または(2b)で表される3価の基を示す。

【0027】
【化9】
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【0028】
一般式(2a)及び(2b)において、基Zが、基Aの2つの結合手とそれぞれ結合している。また、一般式(2a)及び(2b)の残りの2つの結合手は、それぞれ一般式(1)の基X1及び基X2と結合している。

【0029】
一般式(2a)及び(2b)において、基Zは、単結合、または飽和もしくは不飽和であり、直鎖もしくは分岐鎖のアルキレン基を示す。また、一般式(2a)において、Rn2は、0~3個の置換基であって、ベンゼン環上の水素原子と置換しており、それぞれ独立に、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、水酸基、またはアミノ基を示す。Rn2がアルキル基またはアルコキシ基である場合、炭素数としては特に制限されないが、基B1及び基B2の立体障害を小さくし、発光体間の相互作用を起こりやすくする観点からは、好ましくは1~4程度が挙げられる。

【0030】
基B1及び基B2の具体例としては、それぞれ独立に、下記一般式(3a-1)~(3a-4)で表される3価の基が挙げられる。

【0031】
【化10】
JP2014136619A1_000012t.gif

【0032】
一般式(3a-1)~(3a-4)のRn2は、それぞれ、上記の一般式(2a)及び(2b)のRn2と同じである。

【0033】
一般式(1)において、基X1及び基X2は、それぞれ、2価の結合手の一方が基B1と結合しており、他方が基B2と結合している。基X1及び基X2は、それぞれ独立して、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数2以上の直鎖または分岐鎖のアルキレン基である。基X1及び基X2の立体障害を小さくし、発光体間の相互作用を起こりやすくする観点からは、基X1及び基X2は、好ましくは、エーテル結合、エステル結合、アミド結合及びスルフィド結合からなる群から選択された少なくとも一種の結合を有することがある炭素数が5~10の直鎖のアルキレン基が挙げられ、より好ましくは炭素数が5~10の直鎖のアルキレン基またはエーテル結合を有する炭素数が5~10の直鎖のアルキレン基が挙げられる。

【0034】
一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記式(1a)、(1b)、及び(1c)で表される化合物などが挙げられる。

【0035】
【化11】
JP2014136619A1_000013t.gif

【0036】
一般式(1)で表される化合物の製造方法としては、特に制限されず、公知の合成方法により製造することができる。一般式(1)で表される化合物の製造方法を上記式(1a)で表される化合物を例にして説明する。下記のスキーム1に示すように、まず、アントラキノン(1a1)と2,6-ジメチロキシフェニルリチウムとを反応させて、式(1a2)で表される化合物を得る。次に、この化合物を脱水させることにより9,10-bis(2,6-ジメトキシフェニル)アントラセン(1a3)を得る。脱水は、例えば、NaI、NaH2PO2・H2O、AcOHの存在下において、120℃程度に加熱することにより行うことができる。次に、BBr3を用いて、9,10-bis(2.6-ジメトキシフェニル)アントラセン(1a3)の脱メチル化を行い、式(1a4)で表される化合物を得る。最後に、式(1a4)の化合物と1,7-ジブロモヘプタンとを反応させることにより、式(1a)の化合物が得られる。

【0037】
【化12】
JP2014136619A1_000014t.gif

【0038】
また、一般式(1)で表される化合物は、下記のスキーム2に示す方法などによっても、製造することもできる。この製造方法を式(1a)で表される化合物を例にして説明する。まず、9,10-ジブロモアントラセン(1a5)と2,6-ジメトキシフェニルボロン酸とを鈴木-宮浦カップリング反応により結合させて、9,10-bis(2,6-ジメトキシフェニル)アントラセン(1a3)を得る。その後は、上記のスキーム1と同様にして、式(1a)の化合物が得られる。

【0039】
【化13】
JP2014136619A1_000015t.gif

【0040】
後述の光アップコンバージョン材料において、本発明の光アップコンバージョン発光体は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、光アップコンバージョン材料において、本発明の光アップコンバージョン発光体の含有量としては、光アップコンバージョン材料の用途などに応じて適宜設定することができ、通常1μM~10mM程度、好ましくは100μM~5mM程度、より好ましくは1~3mM程度が挙げられる。

【0041】
[光アップコンバージョン材料]
本発明の光アップコンバージョン材料には、上記一般式(1)で表される光アップコンバージョン発光体に加えて、通常、光増感剤が含まれる。光増感剤としては、光エネルギーを吸収して、本発明の光アップコンバージョン発光体に光エネルギーを移動させることができるものであれば、特に制限されず、公知の光増感剤を用いることができる。本発明の光アップコンバージョン発光体に光エネルギーを好適に移動させる観点からは、光増感剤としては、好ましくは、有機金属錯体が挙げられる。有機金属錯体を構成する金属としては、特に制限されないが、例えば、Li、Mg、Al、Ti、V、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ru、Pd、Ag、Re、Os、Ir、Pt、Pbなどが挙げられ、好ましくはPt、Pdが挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、ポルフィリンまたはその置換体の金属錯体、フタロシアニンまたはその置換体の金属錯体などが挙げられ、これらの中でも好ましくはポルフィリンまたはその置換体の金属錯体が挙げられる。

【0042】
特に好ましい光増感剤としては、ポルフィリンまたはその置換体のパラジウム錯体、ポルフィリンまたはその置換体のプラチナ錯体が挙げられる。ポルフィリンまたはその置換体のパラジウム錯体の具体例としては、パラジウムテトラベンゾポルフィリン、パラジウムテトラフェニルテトラベンゾポルフィリン、パラジウムオクタエチルポルフィリン、パラジウムシクロヘキセノポルフィリンなどが挙げられる。また、ポルフィリンまたはその置換体のプラチナ錯体の具体例としては、プラチナテトラベンゾポルフィリン、プラチナテトラフェニルテトラベンゾポルフィリン、プラチナオクタエチルポルフィリン、プラチナシクロヘキセノポルフィリンなどが挙げられる。

【0043】
本発明の光アップコンバージョン材料において、光増感剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。

【0044】
本発明の光アップコンバージョン材料が光増感剤を含む場合、光増感剤の含有量は適宜設定すればよいが、通常、上記アップコンバージョン発光体の10分の1倍から10000分の1倍の濃度程度、好ましくは10分の1倍から500分の1倍の濃度程度、より好ましくは50分の1から200分の1倍の濃度程度が挙げられる。

【0045】
本発明の光アップコンバージョン材料は、通常、本発明の光アップコンバージョン発光体と、上記の光増感剤とが媒体中に分散された形態を有する。例えば、媒体中に、上記量の本発明の光アップコンバージョン発光体と光増感剤とを分散させて、本発明の光アップコンバージョン材料とすることができる。媒体としては、特に制限されず、本発明の光アップコンバージョン材料の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、溶媒、樹脂、ガラスなどが挙げられる。

【0046】
媒体となる溶媒としては、特に制限されず、本発明の光アップコンバージョン材料の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、有機溶媒、水などを用いることができる。有機溶媒の具体例としては、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-へプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられ、これらの中でも、好ましくはジメチルスルホキシド、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ジクロロメタン、ベンゼンが挙げられる。

【0047】
また、樹脂としては、特に制限されず、本発明の光アップコンバージョン材料の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース樹脂、イミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ビニルエステル樹脂などの公知の樹脂を用いることができる。樹脂の形状は、特に制限されず、光アップコンバージョン材料の用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、フィルム状、シート状、繊維状などが挙げられる。

【0048】
媒体となるガラスとしては、特に制限されず、本発明の光アップコンバージョン材料の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、ソーダライムガラス、無アルカリガラスなどを用いることができる。ガラスの形状は、特に制限されず、光アップコンバージョン材料の用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、フィルム状、シート状、繊維状などが挙げられる。

【0049】
本発明の光アップコンバージョン材料では、吸収する光の波長が通常480~560nm程度、好ましくは490~510nm程度と525~540nm程度の位置に吸収強度のピークがある。本発明の光アップコンバージョン材料では、発光する光の波長が通常400~550nm程度、好ましくは400~480nm程度の位置に発光強度のピークがある。また、本発明の光アップコンバージョン材料に照射する光の光照射パワー(mW)は、光アップコンバージョン材料の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、0.01~10mW程度が挙げられる。

【0050】
本発明の光アップコンバージョン材料は、光アップコンバージョン材料に入射した波長を効率よく短波長に変換することができるため、有機太陽電池などの太陽電池、自然光照明、LED、有機EL素子、バイオマーカー、ディスプレイ、印刷、セキュリティ認証、光データ記憶装置、センサーなどの用途に好適に使用することができる。本発明の光アップコンバージョン材料は、光を照射することにより、照射した光よりも短波長の光を発光させる、光波長の変換方法として好適に使用することができる。
【実施例】
【0051】
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されない。
【実施例】
【0052】
[実施例1]
ジメチルスルホキシド(DMSO)からなる媒体中に、発光体として下記一般式(1a)で表される化合物(sDPA)と、光増感剤として下記式(4)で表されるPt-オクタエチルポルフィリン(PtOEP)とを加えて、光アップコンバージョン材料を作製した。光アップコンバージョン材料中の発光体の濃度は214μM、光増感剤の濃度は2.2μMとした。なお、作製した光アップコンバージョン材料では、高純度アルゴンガス(>99.9%)を用いてガス置換を行い、溶存酸素を取り除いた。
【実施例】
【0053】
次に、得られた光アップコンバージョン材料に対して、中心波長518nm、スペクトル幅40nm、光照射パワー1mWのLED光を照射したところ、光アップコンバージョン材料から図1に示される波長の発光が生じた。図1から、光アップコンバージョン材料からは、入射光の波長(中心波長518nm)よりも短波長(400~500nm)の発光が生じていることが明らかとなった。
【化14】
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【実施例】
【0054】
次に、実施例1で得られた光アップコンバージョン材料に対して、光照射パワーを表1のように0.1mW~1.3mWの範囲で段階的に変化させた上記のLED光を照射し、光アップコンバージョン材料の発光強度をそれぞれ測定して、光アップコンバージョン収率を求めた。なお、光照射部位のビーム直径は、10mmとした。また、光アップコンバージョン収率は、Tanya N. Singh-Rachford et al., J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 14203-14211.に記載の方法で求めた。
【実施例】
【0055】
具体的には、アップコンバージョン収率(Φuc)は、下記式:
Φuc=2×Φstd×(Astd/Auc)×(Iuc/Istd)×(Nuc/Nstd)2
によって求めた。ここで、Astd及びAucは、それぞれ標準物質及びアップコンバージョン用被測定試料の励起波長における吸光度である。また、Istd及びIucは、それぞれ標準物質及びアップコンバージョン用被測定試料の発光強度を発光体全域にわたる波長で積分した積分発光強度である。特に、アップコンバージョン用被測定試料については、励起光よりも短波長のアップコンバージョン発光帯についての積分発光強度である。また、Nstd及びNucは、それぞれ標準物質及びアップコンバージョン用被測定試料の発光波長における溶媒の屈折率である。光アップコンバージョン収率の測定は、標準物質及びアップコンバージョン用非測定試料共に溶媒に溶かした溶液状態で、同一の光学配置および光学条件のもとで行った。標準物質として、Kelly G. Casey' and Edward L. Quitevis, J. Phys. Chem. 1988, 92, 6590-6594に記載のローダミンBのメタノール溶液(2μM)の値0.40をΦstdとして用いた。
【実施例】
【0056】
[比較例1]
発光体として、9,10-ジフェニルアントラセン(210μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン材料を作製した。また、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン材料中の溶存酸素を除去した。次に、実施例1と同様にして、光照射パワーを表1のように0.1mW~1.3mWの範囲で段階的に変化させた上記のLED光を照射し、光アップコンバージョン収率を求めた。結果を表1に示す。
【実施例】
【0057】
【表1】
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【実施例】
【0058】
表1に示されるように、全ての光照射パワーにおいて、実施例1で作製した光アップコンバージョン材料の方が、比較例1で作製した光アップコンバージョン材料よりも、4~7倍も高い光アップコンバージョン収率を示した。また、実施例1で得られた光アップコンバージョン材料の最大の光アップコンバージョン収率は、12%程度であり、従来知られている有機系光アップコンバージョン材料の中でも高い収率を有することが明らかとなった。
【実施例】
【0059】
[実施例2]
発光体の濃度を220μMとしたこと以外は、実施例1と同様にして光アップコンバージョン材料を作製した。また、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン材料中の溶存酸素を除去した。次に、光照射部位のビーム直径を1.6mmとし、光照射パワーを表2のように0.03mW~0.1mWの範囲で段階的に変化させたこと以外は、実施例1と同様のLED光を照射して光アップコンバージョン収率を求めた。結果を表2に示す。
【実施例】
【0060】
[比較例2]
発光体として、9,10-ジフェニルアントラセン(230μm)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、光アップコンバージョン材料を作製した。また、実施例1と同様にして、光アップコンバージョン材料中の溶存酸素を除去した。次に、実施例2と同様にして、光照射パワーを表2のように0.03mW~0.1mWの範囲で段階的に変化させた上記のLED光を照射し、光アップコンバージョン収率を求めた。結果を表2に示す。
【実施例】
【0061】
【表2】
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【実施例】
【0062】
表2に示されるように、光照射パワーが0.03mW~0.1mWの場合にも、全ての光照射パワーにおいて、実施例2で作製した光アップコンバージョン材料の方が、比較例2で作製した光アップコンバージョン材料よりも、高い光アップコンバージョン収率を示した。
【実施例】
【0063】
[実施例3]
ジメチルスルホキシド(DMSO)からなる媒体中に、発光体として下記一般式(1b)で表される化合物(194μM)と、光増感剤として下記式(4)で表されるPt-オクタエチルポルフィリン(PtOEP、2.4μM)とを加えて、光アップコンバージョン材料を作製した。次に、作製した光アップコンバージョン材料では、液体窒素を用いた凍結-真空脱気法により溶存酸素を取り除いた。
【化15】
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次に、光照射部位のビーム直径を2.3mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射パワー4mWのLED光を照射したところ、光アップコンバージョン材料から図2に示される波長の発光が生じた。図2から、一般式(1b)で表される化合物を用いた光アップコンバージョン材料からも、入射光の波長(中心波長532nm)よりも短波長(400~500nm)の発光が生じていることが分かる。このときの光アップコンバージョン収率は12.3%であった。
【実施例】
【0064】
[実施例4]
発光体として上記一般式(1a)で表される化合物(215μM)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして光アップコンバージョン材料を作製した。また、実施例3と同様にして、光アップコンバージョン材料中の溶存酸素を除去した。次に、実施例3と同様のLED光を照射して光アップコンバージョン収率を求めたところ、15.1%であった。
[比較例3]
発光体として、9,10-ジフェニルアントラセン(228μM)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして光アップコンバージョン材料を作製した。また、実施例3と同様にして、光アップコンバージョン材料中の溶存酸素を除去した。次に、実施例3と同様のLED光を照射して光アップコンバージョン収率を求めたところ、7.9%であった。
【実施例】
【0065】
以上の通り、光照射パワー4mWにおいて、実施例3及び実施例4で作製した光アップコンバージョン材料の方が、比較例3で作製した光アップコンバージョン材料よりも、高い光アップコンバージョン収率を示した。
図面
【図1】
0
【図2】
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