TOP > 国内特許検索 > 植物への高効率遺伝子導入能を付与したアグロバクテリウム菌 > 明細書

明細書 :植物への高効率遺伝子導入能を付与したアグロバクテリウム菌

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 植物への高効率遺伝子導入能を付与したアグロバクテリウム菌
国際特許分類 C12N   1/21        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
A01H   5/00        (2006.01)
FI C12N 1/21 ZNA
C12N 15/00 A
A01H 5/00 A
国際予備審査の請求
全頁数 27
出願番号 特願2014-560812 (P2014-560812)
国際出願番号 PCT/JP2014/052844
国際公開番号 WO2014/123208
国際出願日 平成26年2月7日(2014.2.7)
国際公開日 平成26年8月14日(2014.8.14)
優先権出願番号 2013023726
優先日 平成25年2月8日(2013.2.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】江面 浩
【氏名】中村 幸治
【氏名】野中 聡子
【氏名】染谷 龍彦
【氏名】周 莎
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100170221、【弁理士】、【氏名又は名称】小瀬村 暁子
審査請求 未請求
テーマコード 2B030
4B024
4B065
Fターム 2B030AA02
2B030AA03
2B030AB03
2B030AD20
2B030CA17
2B030CB02
2B030CD17
4B024AA08
4B024BA79
4B024CA01
4B024DA01
4B024DA05
4B024EA04
4B024GA11
4B024GA17
4B024GA27
4B024HA08
4B065AA11X
4B065AA26Y
4B065AA41Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA53
要約 本発明は、遺伝子導入効率を向上させたアグロバクテリウム菌に関する。外来性のGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持する、向上した遺伝子導入効率を示す形質転換アグロバクテリウム菌、及びそれを用いた形質転換植物の作製方法が提供される。
特許請求の範囲 【請求項1】
外来性のGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持する、向上した遺伝子導入効率を示す形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項2】
外来性のACCデアミナーゼ遺伝子をさらに保持する、請求項1に記載の形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項3】
GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子をベクター形態で保持する、請求項1又は2に記載の形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項4】
T-DNA領域を含むバイナリーベクターをさらに含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項5】
GABAアミノ基転移酵素遺伝子が細菌由来である、請求項1~4のいずれか1項に記載の形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項6】
ACCデアミナーゼ遺伝子が細菌由来である、請求項1~5のいずれか1項に記載の形質転換アグロバクテリウム菌。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の形質転換アグロバクテリウム菌を用いて、植物への遺伝子導入を行うことを特徴とする、形質転換植物の作製方法。
【請求項8】
植物が単子葉植物又は双子葉植物である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
単子葉植物がイネ科植物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
双子葉植物がナス科植物である、請求項8に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本件技術は、植物への遺伝子導入効率が向上したアグロバクテリウム菌及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌細菌の一つであるアグロバクテリウム菌を介した植物への遺伝子導入法(アグロバクテリウム法)は、特別な技術や装置を必要とせず簡便な手順で行うことができる。アグロバクテリウム法では、遺伝子を完全な形でかつ少ないコピー数で植物に導入できる。このため、他の植物遺伝子導入法と比較して、形質転換植物の作製に高頻度に用いられている。しかしながら、アグロバクテリウム法による導入効率が低い植物種も多数存在する。そこで植物への遺伝子導入能力を促進したアグロバクテリウムの開発が望まれている。
【0003】
アグロバクテリウム菌にエチレン生産を抑制する能力を付与するACCデアミナーゼ遺伝子を含むプラスミドを保持させることにより、植物への遺伝子導入効率を向上させたアグロバクテリウム菌(スーパーアグロバクテリウム)について報告されている(特許文献1、非特許文献1)。しかし様々なメカニズムに基づいて遺伝子導入効率を向上させるべく、遺伝子導入効率の高いアグロバクテリウム菌の開発は依然として望まれている。なお本発明者らは、アグロバクテリウム菌のゲノムの所定領域にACCデアミナーゼ遺伝子を組み込むことにより、アグロバクテリウム菌の遺伝子導入効率を安定して向上させる技術を開発している(特許文献2)。
【0004】
ところで、GABA(γ-アミノ酪酸)は植物への傷害やアグロバクテリウム菌感染により植物内で生産される(非特許文献2)。また、GABA高生産植物はアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株に対する感染感受性が低かったという報告がある(非特許文献3)。さらに、植物のGABAはアグロバクテリウム菌のクォーラムセンシングシグナルを抑制し、遺伝子導入に必要なTiプラスミドの複製や、アグロバクテリウム菌体間の水平伝搬を抑制することが知られている(非特許文献4及び5)。しかし植物のGABA活性を、アグロバクテリウム菌の改変により変化させることができるかどうか、またそれにより遺伝子導入効率を変化させることができるかどうかは知られていない。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2005-312345号公報
【特許文献2】特開2013-183659
【0006】

【非特許文献1】Nonaka et al., Applied and Environmental Microbiology, Apr. (2008) p. 2526-2528
【非特許文献2】Haudecoeur et al., (2009) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 106:14587-14592
【非特許文献3】Chevrot et al., (2006) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 103: 7460-7464
【非特許文献4】Yuan et al., (2007) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 104:11790-5
【非特許文献5】Pappas (2008) Plasmid 60: 89-107
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、遺伝子導入効率の高いアグロバクテリウム菌を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、アグロバクテリウム菌にGABAアミノ基転移酵素活性を付与することにより、アグロバクテリウム菌による植物への遺伝子導入効率を大きく向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下を包含する。
【0010】
[1] 外来性のGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持する、向上した遺伝子導入効率を示す形質転換アグロバクテリウム菌。
【0011】
この本発明の形質転換アグロバクテリウム菌は、外来性のACCデアミナーゼ遺伝子をさらに保持することも好ましい。
【0012】
本発明の形質転換アグロバクテリウム菌は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子をベクター形態で保持することが好ましい。
【0013】
本発明の形質転換アグロバクテリウム菌は、T-DNA領域を含むバイナリーベクターをさらに含有してもよい。
【0014】
ここで、GABAアミノ基転移酵素遺伝子は細菌由来であることが好ましい。また、ACCデアミナーゼ遺伝子が細菌由来であることも好ましい。
【0015】
[2] 上記[1]の形質転換アグロバクテリウム菌を用いて、植物への遺伝子導入を行うことを特徴とする、形質転換植物の作製方法。
【0016】
この方法では、植物は単子葉植物又は双子葉植物であり得る。単子葉植物は例えばイネ科植物が好ましい。また双子葉植物は例えばナス科植物が好ましい。
【0017】
本明細書は本願の優先権主張の基礎となる日本国特許出願 特願2013-023726号の明細書及び図面に記載される内容を包含する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、植物宿主ゲノムに目的遺伝子を効率よく導入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子(gabT)を持つpETgabTのプラスミドマップを示す。
【図2】図2は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子を持つ発現ベクターpBBRgabTのプラスミドマップを示す。
【図3】図3は、pBBRgabT中のGABAアミノ基転移酵素タンパク質(gabT)をコードする塩基配列を示す。図中にβガラクトシダーゼ由来の33アミノ酸をコードしている範囲(lacZ部分断片)を示した。
【図4】図4は、pBBRgabTを鋳型としてプライマーacdS-for及びgabT-Revを用いてPCR法で増幅したgabT断片2(配列番号9)の塩基配列を示す。図中にlacプロモーター、リボソーム結合配列(二重下線部)、βガラクトシダーゼ由来33アミノ酸コード配列(lacZ部分断片)、GABAアミノ基転移酵素遺伝子(gabT)(ORF)の範囲を示した。
【図5】図5は、ACCデアミナーゼ遺伝子とGABAアミノ基転移酵素遺伝子を共発現するベクターpBBRacdS/gabTのプラスミドマップを示す。
【図6】図6は、アグロバクテリウム菌におけるgabT酵素活性の測定結果を示す。MCS:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)、gabT:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)、acdS/gabT:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)を表す。n=3。エラーバーは標準偏差を表す。
【図7】図7は、アグロバクテリウム菌によるトマトへの遺伝子導入効率を示す。Aは、アグロバクテリウム菌を感染させたトマト外植片における遺伝子導入頻度を6段階のGUS染色レベルの分布で示す。MCS:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)、gabT:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)を表す。BはGUS染色レベル0~5の例を示す。
【図8】図8は、アグロバクテリウム菌によるエリアンサスへの遺伝子導入効率を示す。MCS:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)、acdS:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS, pEKH2)、gabT:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)、acdS/gabT:アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)を表す。n=3。エラーバーは標準偏差を表す。一回の実験に1~2gのカルスを使用した。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0021】
本発明は、GABAアミノ基転移酵素活性をアグロバクテリウム菌に付与することにより、それが感染した植物に対する遺伝子導入効率が向上した形質転換アグロバクテリウム菌を提供する。より具体的には、本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌は、外来性のGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持する、形質転換アグロバクテリウム菌である。本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子導入前と比較して、アグロバクテリウム媒介形質転換において植物への向上した遺伝子導入効率を示す。本発明において「外来性の」GABAアミノ基転移酵素遺伝子とは、アグロバクテリウム菌中に外部から導入されたGABAアミノ基転移酵素遺伝子、又はそのアグロバクテリウム菌の子孫において維持されているGABAアミノ基転移酵素遺伝子を指す。

【0022】
本発明で用いるGABAアミノ基転移酵素遺伝子は、GABAアミノ基転移酵素タンパク質をコードする核酸である。GABAアミノ基転移酵素は、GABA(γ-アミノ酪酸)を、コハク酸セミアルデヒド及びグルタミン酸へと代謝する活性を有する。大腸菌、シュードモナス属菌、マイコバクテリア属、根粒菌等を含む広範な細菌の他、植物等もGABAアミノ基転移酵素遺伝子を有していることが知られているが、天然のアグロバクテリウム菌はGABAアミノ基転移酵素遺伝子を有していない。本発明で用いるGABAアミノ基転移酵素遺伝子は、GABAアミノ基転移酵素を有する任意の生物種(細菌、植物、真菌、又は動物等)由来の遺伝子であってよい。例えば大腸菌(Escherichia coli)等のエシェリキア属菌、根粒菌(Shinorizobium meriloti等)、シュードモナス属菌(Pseudomonas syringae、Pseudomonas stutzeri等)、クリナリウム属菌(Crinalium epipsammum等)、シアノバクテリウム属菌(Cyanobacterium aponinum等)、ストレプトマイセス属菌(Streptomyces rimosus等)、エントロバクター属菌(Entrobacter cloacae subsp.等)、バチルス属菌(Bacillus sp.等)、プロヴィデンシィア属菌(Providencia stuartii等)、マイコバクテリア属菌(Mycobacterium marinum等)のような細菌由来のGABAアミノ基転移酵素遺伝子を好適に用いることができる。

【0023】
一実施形態として、例えば大腸菌Escherichia coli K12株由来のGABAアミノ基転移酵素のアミノ酸配列(配列番号2)をコードする塩基配列を含む核酸断片、例えば配列番号1に示す塩基配列をオープンリーディングフレーム(ORF)として有する核酸断片を、GABAアミノ基転移酵素遺伝子として用いてもよい。なお、本発明においてオープンリーディングフレーム(ORF)とは、タンパク質をコードする、開始コドンから終止コドンまでの核酸配列をいう。あるいは、配列番号1に示す塩基配列(全長)に対して70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、例えば95%、98%又は99%以上の配列同一性を有し、かつGABAアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をGABAアミノ基転移酵素遺伝子として用いてもよい。また配列番号2に示すアミノ酸配列において1~50個、好ましくは1~10個、例えば1~5個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつGABAアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をGABAアミノ基転移酵素遺伝子として用いてもよい。さらに、配列番号2に示すアミノ酸配列(全長)に対して70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、例えば95%、98%又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつGABAアミノ基転移酵素活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をGABAアミノ基転移酵素遺伝子として用いてもよい。GABAアミノ基転移酵素活性は、公知のGABAアミノ基転移酵素活性測定方法を用いて確認することができ、例えば、後述の実施例5に記載した方法に従って測定することができる。具体的には、反応液(0.1M Bicine-NaOH、0.1M リン酸ピリドキサール、10mM 2-ケトグルタレート、10mM GABA)にタンパク質を加えて37℃でインキュベートすることにより反応させ、一定の反応時間後、GABAアミノ基転移酵素反応の反応生成物であるグルタミン酸量を測定すればよい。グルタミン酸量の測定は、限定するものではないが、十分な測定感度を示す任意の市販のキット、例えばヤマサL-グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油株式会社)を用いて測定することもできる。グルタミン酸量が経時的に増加したことが検出されれば、GABAアミノ基転移酵素活性が確認されたものと判断することができる。本発明において「核酸断片」は、DNAであってもRNAであってもよい。本発明において「核酸断片」はまた、修飾核酸又は人工核酸を含んでもよい。

【0024】
また、酵素活性に影響を及ぼさないアミノ酸配列がN末端又はC末端に付加されたGABAアミノ基転移酵素タンパク質をコードする核酸断片を用いることもできる。例えばGABAアミノ基転移酵素タンパク質のN末端に1~50個、例えば1~33個のアミノ酸が付加されたタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をGABAアミノ基転移酵素遺伝子として用いてもよい。酵素活性に影響を及ぼさないそのようなアミノ酸配列は、例えば選択マーカー遺伝子産物若しくはレポーター遺伝子産物、又はその断片であり得るが、好ましい例としてはβガラクトシダーゼ由来タンパク質断片(例えば、配列番号6の1~33位のアミノ酸配列)が挙げられる。そのような付加配列を含むGABAアミノ基転移酵素タンパク質は、例えば配列番号6に示すアミノ酸配列からなるタンパク質であり、そのようなタンパク質をコードする核酸断片の例は配列番号5に示す塩基配列を含む核酸断片である。

【0025】
本発明のGABAアミノ基転移酵素遺伝子は、その塩基配列(大腸菌の場合、例えば配列番号1の塩基配列)に基づいて、生物由来核酸から常法により単離することができる。例えば、細菌等の生物から常法により調製された全mRNA、全RNAからRT-PCRにより得られたcDNA、cDNAライブラリー等の核酸を鋳型とし、GABAアミノ基転移酵素遺伝子の配列に基づいて設計されるプライマーセットを用いてPCRを実施することにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子をDNA増幅断片として取得することができる。得られたDNA増幅断片は、常法により抽出・精製することができる。あるいは、GABAアミノ基転移酵素遺伝子(例えば、配列番号1の塩基配列からなるDNA)又はその一部を用いてプローブを作製し、それを細菌等の生物から常法により調製された全mRNA、全RNAからRT-PCRにより得られたcDNA、cDNAライブラリー等の核酸に対してハイブリダイズさせることにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子をクローンとして取得することもできる。本発明のGABAアミノ基転移酵素遺伝子はまた、化学合成法を利用して合成してもよい。また、天然源から単離された又は合成したGABAアミノ基転移酵素遺伝子を、部位特異的突然変異誘発法等の変異導入法によって改変することにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子を作製することもできる。遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。遺伝子への変異導入は、例えば市販の部位特異的突然変異誘発キットを用いて当業者であれば容易に行うことができる。

【0026】
なお、得られたGABAアミノ基転移酵素遺伝子を含む核酸断片については、塩基配列決定によりその配列を確認することが好ましい。塩基配列決定はマキサム-ギルバートの化学修飾法、ジデオキシヌクレオチド鎖終結法等の公知手法により行うことができるが、通常は自動塩基配列決定装置(例えばABI社製DNAシークエンサー)を用いて行えばよい。

【0027】
本発明では、GABAアミノ基転移酵素遺伝子をT-DNA領域に含めて植物ゲノムへ導入することは意図しておらず、当該遺伝子をアグロバクテリウム菌に導入しその遺伝子産物の活性を保持させることによりアグロバクテリウム菌における植物への遺伝子導入効率(遺伝子導入能)を向上(増強)させることを意図している。そのため本発明では、GABAアミノ基転移酵素遺伝子を、T-DNA領域を含まないベクターを用いアグロバクテリウム菌に導入することが好ましい。T-DNA領域とは、アグロバクテリウム菌が有する染色体外ベクター中に存在する、右側ボーダー配列(RB)と左側ボーダー配列(LB)で挟まれた領域であって、アグロバクテリウム菌による植物形質転換の際にベクターから切り出されて植物ゲノム中に組み込まれる領域である。すなわち、本発明で好適に用いられる、T-DNA領域を含まないベクターは、アグロバクテリウム菌を介して植物ゲノムに挿入され得るT-DNA領域を有するベクター(典型的にはバイナリーベクター)ではなく、アグロバクテリウム菌において目的遺伝子の発現を誘導するための発現ベクターやアグロバクテリウムゲノムに目的遺伝子を組み込むための相同組換えベクター等である。本発明で用いるベクターは、好ましくはプラスミドベクターである。本発明で用いるベクターは、広宿主域ベクターであることも好ましい。本発明において好適に利用可能な広宿主域ベクターとしては、例えば、pBBR1MCS-5、pBBR122、及びRK2、並びにそれらの派生株等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

【0028】
アグロバクテリウム菌に導入されるGABAアミノ基転移酵素遺伝子は、ベクター、好ましくはT-DNA領域を含まないベクター中で、プロモーターの制御下に配置されていることが好ましい。ここで用いるプロモーターは、細菌、特にアグロバクテリウム菌で機能しうる任意のプロモーターであってよく、構成的プロモーター、誘導性プロモーター、一過性プロモーター、器官、組織又は細胞特異的プロモーターのいずれであってもよい。本発明においてアグロバクテリウム菌におけるGABAアミノ基転移酵素遺伝子の発現誘導に好適に使用可能なプロモーターとしては、例えば、lacプロモーター、dnakプロモーター、trpプロモーター、araBプロモーター、Pzt-1プロモーター、recAプロモーター、lppプロモーター、tacプロモーター、virプロモーター等が挙げられるが、これらに限定するものではない。1コピーのみならず、2コピー以上のコピー数のGABAアミノ基転移酵素遺伝子が、ベクター、好ましくはT-DNA領域を含まないベクター中で、プロモーターの制御下に含まれていてもよい。本発明において、1つのプロモーターの制御下に複数個の遺伝子が含まれる場合、それらの遺伝子は同じプロモーターの制御を受ける程度に短い間隔(例えば100 bp以下、好ましくは50 bp以下)で同配向で連結されていることが好ましい。

【0029】
GABAアミノ基転移酵素遺伝子を導入するアグロバクテリウム菌は、限定するものではないが、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ビチス(Agrobacterium vitis)、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)、及びアグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)等のアグロバクテリウム法に使用可能な任意のアグロバクテリウム菌であってよい。具体的には、例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)GV2260、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)C58株、アグロバクテリウム・ビチス(Agrobacterium vitis)S4株、アグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)A4株、及びアグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)K84株、並びにそれらの派生株、また植物形質転換用に使用されている他のアグロバクテリウム菌株を好適に使用することができ、例えば、GV2260、C58C1RifR、GV3850、GV3101、EHA101、EHA105、AGL1、LBA4404、K84N6株が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。植物形質転換に利用するため、植物細胞への遺伝子導入に関与するvir領域を含むベクター又はゲノム領域(典型的にはvir領域を持つヘルパープラスミド)を有するアグロバクテリウム菌は好ましい。

【0030】
GABAアミノ基転移酵素遺伝子を含むベクターのアグロバクテリウム菌への導入は、限定するものではないが、典型的にはエレクトロポレーション法により行うことができる。ベクターを導入したアグロバクテリウム菌を、例えばベクターに含まれる薬剤耐性遺伝子等の選択マーカーに対応した抗生物質等を含む選択培地で培養することにより、形質転換アグロバクテリウム菌を選択することができる。選択した形質転換アグロバクテリウム菌を選択培地で培養することにより、導入されたGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持させてもよい。

【0031】
導入されたGABAアミノ基転移酵素遺伝子は、得られる形質転換アグロバクテリウム菌において染色体外でベクター形態で(プラスミド等のベクターに含まれた状態で)保持されてもよいし、アグロバクテリウム菌のゲノムに組み込まれて保持されてもよい。GABAアミノ基転移酵素遺伝子を発現ベクターを用いてアグロバクテリウム菌に導入した場合には、GABAアミノ基転移酵素遺伝子は、自律複製する発現ベクター中に含まれる状態で保持され、GABAアミノ基転移酵素タンパク質を発現することが好ましい。GABAアミノ基転移酵素遺伝子をアグロバクテリウムゲノムを標的とする相同組換えベクターを用いてアグロバクテリウム菌に導入した場合には、GABAアミノ基転移酵素遺伝子は、ゲノム中に組み込まれた状態で保持され、GABAアミノ基転移酵素タンパク質を発現することが好ましい。本発明では、導入されたGABAアミノ基転移酵素遺伝子を保持しているアグロバクテリウム菌又はその子孫であって、GABAアミノ基転移酵素活性を示すことができるアグロバクテリウム菌を、本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌とする。

【0032】
本発明ではまた、GABAアミノ基転移酵素遺伝子に加えて外来性のACCデアミナーゼ遺伝子をアグロバクテリウム菌に導入することも好ましい。本発明において「外来性の」ACCデアミナーゼ遺伝子とは、アグロバクテリウム菌中に外部から導入されたACCデアミナーゼ遺伝子、又はそのアグロバクテリウム菌の子孫において維持されているACCデアミナーゼ遺伝子を指す。本発明で用いるACCデアミナーゼ遺伝子は、ACCデアミナーゼをコードする。ACCデアミナーゼは、エチレン生合成中間体であるACC(1-アミノシクロプロパン-1-カルボン酸)をα-ケト酪酸とアンモニアに分解し、それにより細胞内でのエチレン生産を抑制することができる。植物は病原菌に対する防御作用としてエチレンを生成し、エチレンはアグロバクテリウム菌のvir遺伝子の発現を抑制する作用を有することから、ACCデアミナーゼの作用によりエチレン生成を抑制することで、アグロバクテリウム菌のvir遺伝子の発現抑制を解除し、結果としてアグロバクテリウム菌を介した細胞への遺伝子導入効率をさらに高めることができる。エチレン生成は植物に広く共通した防御反応機構である。

【0033】
本発明で用いるACCデアミナーゼ遺伝子は、任意の生物種由来の、ACC分解活性を有する酵素をコードする遺伝子であってよく、例えば、シュードモナス属菌(Pseudomonas sp. ACP株、Pseudomonas fluorescens、Pseudomonas putida、Pseudomonas stutzeri、Pseudomonas entomophila PS-PJH株等)、パノニバクター属菌(Pannonibacter phragmatetus PB-Rt1.等)、エンテロバクター属菌(Enterobacter cloacae LH-R2等)、リゾビウム属菌(Rhizobium sp. QR1等)、アクロモバクター属菌(Achromobacter sp等)、シノリゾビウム属菌(Sinorhizobium sp. BL3株等)、メソリゾビウム属菌(Mesorhizobium loti等)のような細菌をはじめとする土壌微生物由来のACCデアミナーゼ遺伝子を好適に用いることができる。GABAアミノ基転移酵素遺伝子との併用に適したACCデアミナーゼ遺伝子の例として、例えばPseudomonas sp. ACP株由来の、配列番号14に示すアミノ酸配列をコードする塩基配列を含む核酸断片、例えば配列番号13に示す塩基配列をオープンリーディングフレーム(ORF)として有する核酸断片を、ACCデアミナーゼ遺伝子として用いてもよい。あるいは、配列番号13に示す塩基配列(全長)に対して70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、例えば95%、98%又は99%以上の配列同一性を有し、かつACCデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をACCデアミナーゼ遺伝子として用いてもよい。また配列番号14に示すアミノ酸配列において1~50個、好ましくは1~10個、例えば1~5個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列からなり、かつACCデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をACCデアミナーゼ遺伝子として用いてもよい。さらに、配列番号14に示すアミノ酸配列(全長)に対して70%以上、好ましくは80%以上、好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上、例えば95%、98%又は99%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつACCデアミナーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をACCデアミナーゼ遺伝子として用いてもよい。ACCデアミナーゼ活性は、公知のACCデアミナーゼ活性測定方法を用いて確認することができる。具体的には、例えば、ACCデアミナーゼ活性を有するタンパク質の溶液に、1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACC)、及びピリドキサール-5’リン酸(PLP)を加え、30℃で保温した後、反応液に100%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)溶液を加えて反応を停止させ、反応液と同等量の0.1% 2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)溶液を加えて15分間、30℃で保温し、反応液と同等量の3 N 水酸化ナトリウム溶液を加えて呈色反応を停止する。その呈色反応液中に蓄積されたα-ケト酪酸を340 nmの吸収波長で検出する。α-ケト酪酸はACCデアミナーゼの触媒作用により1-アミノシクロプロパンカルボン酸(ACC)から生成されることから、タンパク質の量の増加に応じてα-ケト酪酸の蓄積量が増加することが示されれば、ACCデアミナーゼ活性が確認されたものと判断することができる。さらに、酵素活性に影響を及ぼさないアミノ酸配列がN末端又はC末端に付加されたACCデアミナーゼタンパク質をコードする核酸断片を用いてもよい。例えばACCデアミナーゼタンパク質のN末端に1~50個、例えば1~33個のアミノ酸が付加されたタンパク質をコードする塩基配列からなる核酸断片をACCデアミナーゼ遺伝子として用いてもよい。酵素活性に影響を及ぼさないそのようなアミノ酸配列は、例えば選択マーカー遺伝子産物若しくはレポーター遺伝子産物、又はその断片であり得るが、好ましい例としてはβガラクトシダーゼ由来タンパク質断片(例えば、配列番号6の1~33位のアミノ酸配列)が挙げられる。ACCデアミナーゼ遺伝子は、上述したGABAアミノ基転移酵素遺伝子の取得方法に準じて取得することができる。

【0034】
アグロバクテリウム菌に導入されるACCデアミナーゼ遺伝子は、ベクター、好ましくはT-DNA領域を含まないベクター中で、プロモーターの制御下に配置されていることが好ましい。プロモーターとしては、GABAアミノ基転移酵素遺伝子に関して上述したプロモーターを好適に用いることができる。1コピー又は2コピー以上のコピー数のACCデアミナーゼ遺伝子がプロモーターの制御下に含まれ得るが、これに関してもGABAアミノ基転移酵素遺伝子に関して上述したとおりである。

【0035】
導入されたACCデアミナーゼ遺伝子は、得られる形質転換アグロバクテリウム菌において染色体外でベクター形態で(プラスミド等のベクターに含まれた状態で)保持された状態でACCデアミナーゼタンパク質を発現してもよいし、アグロバクテリウム菌のゲノムに組み込まれて保持された状態でACCデアミナーゼタンパク質を発現してもよい。

【0036】
本発明では、アグロバクテリウム菌に、GABAアミノ基転移酵素遺伝子とACCデアミナーゼ遺伝子をそれぞれ別個のベクターに含めて導入してもよい。あるいは、GABAアミノ基転移酵素遺伝子とACCデアミナーゼ遺伝子を単一のベクターに含めて導入してもよい。単一のベクターにその2つの遺伝子を含めて導入する場合、1つのプロモーターの制御下にそれぞれの遺伝子をタンデムに配置してもよいが、各遺伝子の上流にそれぞれプロモーターを配置することがより好ましい。それらのプロモーターは互いに同一であってもよいし異なるプロモーターであってもよいが、いずれもlacプロモーターを使用することも好ましい。

【0037】
アグロバクテリウム菌へのACCデアミナーゼ遺伝子の導入は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子のアグロバクテリウム菌への導入方法について上述したのと同様の方法により実施することができる。

【0038】
なお、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子は、1つ又は2つ以上の、マーカー遺伝子等の他の外来遺伝子と共にベクター中に含めてアグロバクテリウム菌に導入されることが好ましい。GABAアミノ基転移酵素遺伝子及びACCデアミナーゼ遺伝子は、ベクター中で他の外来遺伝子よりも上流に配置されることが好ましい。マーカー遺伝子としては、ゲンタマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ゼオシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、及びアンピシリン耐性遺伝子等の薬剤耐性遺伝子を好適に用いることができるが、蛍光タンパク質をコードする遺伝子等のレポーター遺伝子を用いてもよい。あるいは、アグロバクテリウム菌細胞中でプラスミドを安定的に保持させる配列(例えば、プラスミドの安定化に関与する遺伝子sta配列等)を、他の外来遺伝子として、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子を含むベクターに含めてもよい。本発明において「他の外来遺伝子」とは、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及びACCデアミナーゼ遺伝子以外の遺伝子であって、タンパク質又は機能性RNAをコードしており、宿主アグロバクテリウム菌が天然には有しない遺伝子を意味する。GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子と共に他の外来遺伝子がベクターに含まれる場合、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子と他の外来遺伝子の間に転写終結配列が存在することが好ましい。

【0039】
転写終結配列は、mRNAの転写終結のシグナルとして機能し得る配列であれば特に限定されない。例えば各遺伝子がその下流に天然に有している転写終結配列を利用してもよいし、公知の任意の遺伝子の下流に存在する転写終結配列をPCR増幅等により調製して用いてもよい。具体例としては、例えば、アンピシリン薬剤耐性遺伝子の転写終結配列が挙げられる。アンピシリン薬剤耐性遺伝子の転写終結配列としては、例えば配列番号12に示す塩基配列、又はその配列に対して80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、例えば98%又は99%以上の配列同一性を有し、かつターミネーター活性を有する塩基配列が挙げられる。

【0040】
得られた形質転換アグロバクテリウム菌を用いれば、植物への遺伝子導入を高効率に行うことができる。この本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌を用いた植物への遺伝子導入は、通常のアグロバクテリウム法の手順に従って行うことができる。具体的には例えば、植物形質転換用のT-DNA領域を有するプラスミド等のベクター(典型的はバイナリーベクター)の右側ボーダー配列(RB)及び左側ボーダー配列(LB)の間に、プロモーター及びターミネーターの制御下に植物に導入する任意の遺伝子(目的遺伝子)を組み込み、そのベクターを本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌に常法により導入し、植物への遺伝子導入に用いればよい。目的遺伝子と共に、上述したようなマーカー遺伝子をT-DNA領域内に組み込んでもよい。本発明は、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子を含むベクターに加えて、目的遺伝子が挿入されたT-DNA領域を含むベクター(好ましくはT-DNA領域を含むバイナリーベクター)を含有する形質転換アグロバクテリウム菌も提供する。T-DNA領域を含むバイナリーベクターとしては、例えば、pIG121-Hm、pEKH2、pRI 909、pRI 910、BIBAC1等の公知の多数のT-DNAバイナリーベクター(Lee, L.Y and Gelvin, S.B. (2008) T-DNA Binary Vectors and Systems, Pant Physiology 146:325-332等を参照)が挙げられる。なおpIG121-HmはT-DNA領域中に35Sプロモーター制御下に配置されたGUS遺伝子を有し、pEKH2はT-DNA領域中にトウモロコシ由来のUbiプロモーター制御下に配置されたGUS遺伝子を有する。なお、本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌は植物細胞への遺伝子導入に関与するvir領域を発現しうる状態で保持する必要があり、そのため必要であれば、vir領域を持つヘルパーベクターも導入してよい。好ましい一実施形態では、ベクターを導入した本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌において、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子を含むベクターと、vir領域を持つヘルパーベクターと、植物に導入する遺伝子を含むT-DNA領域を有するバイナリーベクターが共存する。あるいは、GABAアミノ基転移酵素遺伝子及び/又はACCデアミナーゼ遺伝子は、アグロバクテリウム菌中のvir領域を有するヘルパーベクター中に組み込ませてもよい。

【0041】
次いでその形質転換アグロバクテリウム菌を、植物組織、植物細胞(カルス等)又は種子等に接種し共存培養して感染させ、T-DNA領域を植物細胞中のゲノムに挿入させる。共存培養に用いる共存培地は、特に限定されないが、MS培地に基づく培地も好ましい。共存培地は、アセトシリンゴン(例えば、50μM~500μM、好ましい例として100μM~300μM)及びグルコース(例えば、0.5~10%、好ましい例として1~5%)を含有することが好ましい。

【0042】
本発明の形質転換アグロバクテリウム菌を用いたアグロバクテリウム媒介形質転換法は、アグロバクテリウム菌が感染可能な任意の植物について実施することができる。例えば、本発明に係るアグロバクテリウム菌を用いて形質転換を行う植物は、双子葉植物であっても単子葉植物であってもよい。該当植物としては、特に限定されないが、例えば、ナス科[ナス(Solanum melongena L.)、トマト(Solanum lycopersicum)、ピーマン(Capsicum annuum L. var. angulosum Mill.)、トウガラシ(Capsicum annuum L.)、タバコ(Nicotiana tabacum L.)等]、イネ科[イネ(Oryza sativa)、コムギ(Triticum aestivum L.)、オオムギ(Hordeum vulgare L.)、トウモロコシ(Zea mays L.)、ソルガム(Sorghum bicolor (L.) Moench)、エリアンサス(Eriansus ravennae)、ギニアグラス(Panicum maximum Jacq.)、ミスカンサス(Miscanthus spp)、サトウキビ(Saccharum officinarum L.)、ネピアグラス(Pennisetum purpureum Schumach)、パンパスグラス(Cortaderia argentea Stapf.)、ペレニアルライグラス(Lolium perenne L.)、イタリアンライグラス(Lolium multiflorum Lam.)、メドウフェスク(Festuca pratensis Huds.)、トールフェスク(Festuca arundinacea Schreb.)、オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)、チモシー(Phleum pratense L.)等]、アブラナ科[シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、アブラナ(Brassica campestris L.)、ハクサイ(Brassica pekinensis Rupr.)、キャベツ(Brassica oleracea L. var. capitata L.)、ダイコン(Raphanus sativus L.)、ナタネ(Brassica campestris L., B. napus L.)等]、マメ科[ダイズ(Glycine max)、アズキ(Vigna angularis Willd.)、インゲン(Phaseolus vulgaris L.)、ソラマメ(Vicia faba L.)等]、ウリ科[キュウリ(Cucumis sativus L.)、メロン(Cucumis melo L.)、スイカ(Citrullus vulgaris Schrad.)、カボチャ(C. moschata Duch., C. maxima Duch.)等]、ヒルガオ科[サツマイモ(Ipomoea batatas)等]、ユリ科[ネギ(Allium fistulosum L.)、タマネギ(Allium cepa L.)、ニラ(Allium tuberosum Rottl.)、ニンニク(Allium sativum L.)、アスパラガス(Asparagus officinalis L.)等]、シソ科[シソ(Perilla frutescens Britt. var. crispa)等]、キク科[キク(Chrysanthemum morifolium)、シュンギク(Chrysanthemum coronarium L.)、レタス(Lactuca sativa L. var. capitata L.)等]、バラ科[バラ(Rose hybrida Hort.)、イチゴ(Fragaria x ananassa Duch.)等]、ミカン科[ミカン(Citras unshiu)、サンショウ(Zanthoxylum piperitum DC.)等]、フトモモ科[ユーカリ(Eucalyptus globulus Labill)等]、ヤナギ科[ポプラ(Populas nigra L. var. italica Koehne)等]、アカザ科[ホウレンソウ(Spinacia oleracea L.)、テンサイ(Beta vulgaris L.)等]、リンドウ科[リンドウ(Gentiana scabra Bunge var. buergeri Maxim.)等]、ナデシコ科[カーネーション(Dianthus caryophyllus L.)等]の植物が挙げられる。限定するものではないが、単子葉植物ではイネ科、双子葉植物ではナス科の植物は本発明の形質転換にとりわけ好適である。

【0043】
本発明に係るアグロバクテリウム菌を介してゲノム中に目的遺伝子を組み込まれた植物組織、植物細胞(カルス等)、又は種子等は、公知の方法で植物体に再生させることができる。例えば、目的の遺伝子が組み込まれた形質転換植物細胞を、従来知られている植物組織培養法に従って選択培地で培養し、生存したカルスを再分化培地(適当な濃度の植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン、ジベレリン、アブシジン酸、エチレン、ブラシノライド等)を含む)で培養することにより、形質転換植物体(特にシュート)を再生することができる。サイトカイニンの例としてはゼアチンが挙げられる。再生した植物体はさらに発根培地に移植して成長させることができる。

【0044】
目的遺伝子が植物ゲノムに挿入されたかどうかは、目的遺伝子の遺伝子産物の活性に基づいて形質転換体を試験するか、又は目的遺伝子と共にマーカー遺伝子を植物ゲノムに組み込んだ場合にはマーカー遺伝子産物の活性に基づいて形質転換体を試験することにより、確認することができる。あるいはゲノム中に導入した目的遺伝子及び/又はマーカー遺伝子を特異的にPCR増幅し、塩基配列を決定することにより、より確実に確認することができる。形質転換植物体の場合には、発根培地において発根が認められた植物体のうち2倍体個体についてゲノム中への目的遺伝子の挿入を確認することが好ましい。

【0045】
植物形質転換法の詳細は、『島本功、岡田清孝 監修 「新版 モデル植物の実験プロトコール 遺伝学的手法からゲノム解析まで」(2001) 秀潤社』などの一般的な教科書の記載や、Hiei Y. et al., "Efficient transformation of rice (Oryza sativa L.) mediated by Agrobacterium and sequence analysis of the boundaries of the T-DNA." Plant J. (1994) 6, 271-282; Hayashimoto, A. et al., "A polyethylene glycol-mediated protoplast transformation system for production of fertile transgenic rice plants." Plant Physiol. (1990) 93, 857-863等の文献を参照すればよい。

【0046】
本発明では、GABAアミノ基転移酵素遺伝子が導入された形質転換アグロバクテリウム菌を用いてアグロバクテリウム媒介形質転換を実施することにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子が導入されていないこと以外は同等のアグロバクテリウム菌と比較して、宿主生物、典型的には植物への、遺伝子導入効率を向上させることができる。本発明において遺伝子導入効率とは、アグロバクテリウム菌を接触させた宿主外植片又は宿主細胞の個数のうち、遺伝子導入により生じる表現型が示された宿主外植片又は宿主細胞の割合をいう。本発明における遺伝子導入効率は、アグロバクテリウム菌を接触させた宿主外植片の個数のうち、ゲノム中への遺伝子導入が確認された形質転換個体の割合として表すこともできる。遺伝子導入効率の評価は、導入する目的遺伝子やマーカー遺伝子の種類によって異なる手法を用いて行うが、基本的には実施例6~実施例8の記載に従って行うことができる。遺伝子導入効率の向上レベルは、限定するものではないが、例えば、10%以上、好ましくは20%以上、さらに好ましくは50%以上、なお好ましくは100%以上、特に200%以上の向上である。本発明では、アグロバクテリウム媒介形質転換(遺伝子導入)法に、上述のようにGABAアミノ基転移酵素遺伝子が導入された形質転換アグロバクテリウム菌を用いることによって、植物細胞に顕著に高効率で目的遺伝子を導入し、形質転換植物を効率よく作製することができる。また本発明では、GABAアミノ基転移酵素遺伝子とACCデアミナーゼ遺伝子を共に導入した形質転換アグロバクテリウム菌を用いることにより、植物細胞にさらに高効率で目的遺伝子を導入することもできる。

【0047】
本発明によれば、実施例にも示すように、エリアンサスなど植物の種類によりACCデアミナーゼ遺伝子を単独でアグロバクテリウム菌に導入する既存の形質転換法(特許文献1)で十分な効果が得られない場合にも、遺伝子導入効率を顕著に向上させることができる。本発明では、アグロバクテリウム菌にGABAアミノ基転移酵素遺伝子を単独で導入しただけでも遺伝子導入効率の大きな向上が認められるが、GABAアミノ基転移酵素遺伝子をACCデアミナーゼ遺伝子と組み合わせて導入することで、遺伝子導入効率をさらに向上させることもできる。

【0048】
植物はアグロバクテリウム菌感染の際にエチレン以外にも様々な物質を分泌し、アグロバクテリウム菌による遺伝子導入を抑制している。そのため植物種によってはエチレン発生の抑制だけでは遺伝子導入効率を十分に高めることができない場合があるものと思われる。エチレンとGABAでは遺伝子導入を抑制するメカニズムが異なることにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子産物によるGABAの抑制が、エチレンの発生抑制で十分な効果が得られなかった植物種において顕著な効果をもたらすと考えられる。GABAの代謝産物であるコハク酸セミアルデヒドもアグロバクテリウム菌のクォーラムセンシングシグナルを抑制することが報告されていたため(Wang et al., 2006 Molecular Microbiology 62:45-56)、本発明に係る形質転換アグロバクテリウム菌の開発過程では、GABAアミノ基転移酵素によりGABAを代謝することによってコハク酸セミアルデヒドが遺伝子導入を阻害してしまう可能性が考えられた。しかし驚くべきことに本発明者らは、アグロバクテリウム菌にGABAアミノ基転移酵素活性を付与することにより、GABA代謝産物による顕著な阻害を生じることなく、遺伝子導入効率を大きく向上させることができることを示した。本発明は、このような形質転換植物の作製方法も提供する。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を用いて本件技術をさらに具体的に説明する。但し、本件技術の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0050】
[実施例1] GABAアミノ基転移酵素遺伝子のクローニングとシークエンス解析
本実施例では、GABAアミノ基転移酵素遺伝子を大腸菌Escherichia coli K12株からクローニングした。まず、Escherichia coli K12株を37℃にてLB培地で増殖させ、維持した。E. coli K12株から、トータルDNAをSambrook et al.(2001)の方法により抽出して、PCRの鋳型とした。本株のゲノム情報(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/NC_010473.1, NCBI GenBankデータベース)に基づいて、GABAアミノ基転移酵素(gabT)遺伝子をクローニングするための2つのプライマーgabTF(5’-aagcttaatgaacagcaataaagagtt-3’(配列番号3))及びgabTR(5’-tctagactactgcttcgcctcatcaaaac-3’(配列番号4))を設計し合成した。上記で抽出したトータルDNAとこれらのプライマーを用いて、以下の条件でPCRを行った:94℃、2分間の熱変性の後、94℃で45秒間、58℃で45秒間、及び72℃で2分間の温度サイクルを35回繰り返した。期待した大きさ1294 bpのPCR産物(gabT断片1)を、クローニングベクターpET-21b(+)(Promega, USA)にクローニングした(pETgabT)(図1)。クローン化DNA断片については、DNAシークエンサーABI310及びDNA Sequencing Kit Big Dye Terminator cycle sequencing Ready Reaction(Applied Biosystems, Tokyo)を用いて、塩基配列の決定を行い、GenBankデータベース上の登録配列(アクセッション番号NC_010473.1、Gene ID:6061113、gabT)と同一の配列であることを確認した。得られたクローン化DNAに含まれるGABAアミノ基転移酵素遺伝子gabTのオープンリーディングフレーム(ORF)の塩基配列を配列番号1に、その塩基配列によってコードされるGABAアミノ基転移酵素タンパク質のアミノ酸配列を配列番号2に示す。
【実施例】
【0051】
[実施例2] gabT発現ベクターの構築
実施例1で得た組換え大腸菌E. coli DH5α(pETgabT)からプラスミドpETgabTを常法に従って抽出し、GABAアミノ基転移酵素遺伝子(gabT)を制限酵素HindIIIとXbaIで切り出し、広宿主域ベクターpBBR1MCS-5(Kovach et al., 1995, Gene 166, 175-176)のマルチクローニングサイトにサブクローニングした(pBBRgabT、図2)。この組換えプラスミドから発現されるGABAアミノ基転移酵素タンパク質は、そのN末端に付加された、pBBR1MCS-5中の配列(lacZ遺伝子の断片)にコードされたβガラクトシダーゼ由来の33アミノ酸を有している(図3、塩基配列:配列番号5、アミノ酸配列:配列番号6)。なおN末端に付加されたβガラクトシダーゼ由来の33アミノ酸は、GABAアミノ基転移酵素の活性に影響を及ぼさない。このプラスミド上でgabT遺伝子の発現は、lacプロモーターの制御下に置かれる。
【実施例】
【0052】
[実施例3] GABAアミノ基転移酵素遺伝子とACCデアミナーゼ遺伝子を共発現する発現ベクターの構築
実施例2で作製したpBBRgabT発現ベクターを鋳型として、プライマーacdS-for(5’-tctgcgcgtaatctgctgcttgagcgcaacgcaattaatg-3’(配列番号7))及びプライマーgabT-Rev(5’-cgattctagactactgcttcgcctcatcaaaac-3’(配列番号8))を用いてPCRによりGABAアミノ基転移酵素酵素遺伝子(gabT)を含むDNA断片を増幅した。得られた増幅断片(gabT断片2;配列番号9)には、lacプロモーターを含む5’非翻訳領域(リボソーム結合配列を含む)、及びβガラクトシダーゼ由来の33アミノ酸がN末端に付加されたGABA分解酵素タンパク質をコードする配列が含まれる(図4)。
【実施例】
【0053】
次に、pUC18ベクターを鋳型として、二つのプライマーamp_ter-for2(5’-GCTAGAATTCCTGTCAGACCAAGTTTACTC-3’(配列番号10))及びamp_ter-rev2(5’-CATTAATTGCGTTGCGCTCAAGCAGCAGATTACGCGCAGA-3’(配列番号11))を用いてPCRによってアンピシリン薬剤耐性遺伝子の転写終結領域を含むDNA断片を増幅した。得られた増幅断片(amp-term断片)の塩基配列を配列番号12に示す。
【実施例】
【0054】
得られた二つの増幅断片gabT断片2とamp-term断片を、プライマーamp_ter-for2とgabT-Revを用いてfusion PCR法により連結した。得られたPCR産物を制限酵素EcoRI及びXbaIで消化した。
【実施例】
【0055】
続いて、得られたEcoRI-XbaI消化断片を、制限酵素EcoRI及びXbaIで消化したシュードモナス(Pseudomonas)ACCデアミナーゼ発現ベクターpBBRacdS(Nonaka et al., Appl. Environ. Microbiol., 74, 2526-2528 (2008))とライゲーションし、大腸菌DH5αにおいてクローニングすることにより、GABAアミノ基転移酵素遺伝子とACCデアミナーゼ遺伝子を共発現する発現ベクター(pBBRacdS/gabT)を作製した(図5)。なお、ACCデアミナーゼ遺伝子の塩基配列を配列番号13に、その塩基配列によりコードされるACCデアミナーゼタンパク質のアミノ酸配列を配列番号14に示す。
【実施例】
【0056】
[実施例4] アグロバクテリウムへの遺伝子導入
実施例2で構築したプラスミドベクターpBBRgabT、及び実施例3で構築したプラスミドベクターpBBRacdS/gabTを、それぞれ、バイナリープラスミドpIG121-Hmを保持するアグロバクテリウム菌株Agrobacterium tumefaciens GV2260又はバイナリープラスミドpEKH2を保持するアグロバクテリウム菌株Agrobacterium tumefaciens GV2260へエレクトロポーレション法により導入した。なおGV2260はvir領域を持つヘルパープラスミドを有している。それらのバイナリープラスミドにはGUS(uidA)遺伝子が挿入されており、植物への遺伝子導入の指標として利用することができる。導入ベクターを保持するアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pIG121-Hm)、及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)は、抗生物質ゲンタマイシン50 mg/L、カナマイシン100mg/L、及びアンピシリン100mg/Lを含むLB培地、又はゲンタマイシン50mg/L、スペクチノマイシン50mg/L、及びアンピシリン100mg/Lを含むLB培地で培養し維持することにより取得した。
【実施例】
【0057】
アグロバクテリウム菌が2種類のプラスミドを同時に保持することは、コロニーを鋳型とする直接PCR法により、gabT遺伝子の検出にはプライマーgabTFとgabTR、uidAの検出にはプライマーGUSF(5’-atccacgccgtattcgg-3’(配列番号15)),プライマーGUSR(5’-catgaagatgcggacttacg-3’(配列番号16))をそれぞれ用いて確認した。
【実施例】
【0058】
また対照として、プラスミドベクターpBBR1MCS-5を導入すること以外は上記と同様の方法により、gabT遺伝子を含まないプラスミドベクターpBBR1MCS-5を保持するアグロバクテリウム菌株 GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm)及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)を得た。
【実施例】
【0059】
さらに、ACCデアミナーゼ遺伝子発現プラスミドベクターpBBRacdSを保持するアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS, pIG121-Hm)を、プラスミドベクターpBBRacdSを導入すること以外は上記と同様の方法により得た。
【実施例】
【0060】
[実施例5] GABAアミノ基転移酵素活性の測定
実施例4で作成したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)におけるgabT活性を測定した。対照として、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)のgabT活性も測定した。これらのアグロバクテリウム菌を、ゲンタマイシン50mg/L、スペクチノマイシン50mg/L、及びアンピシリン100mg/Lを含むLB培地で培養し、培養開始から22時間後のアグロバクテリウム菌(O.D.600=0.8)を集菌し、菌由来タンパク質抽出試薬BugBuster Master mix(Novagene)を用いて溶菌した。プロテアーゼインヒビター(Protease Inhibitor Cocktail setII, Novagen)を添加し、20分間室温で回転混和した。その後、16,000×gで20分遠心分離し、上澄みを新しいチューブに移した。次いで、タンパク質アッセイキットBCA Protein Assay kit(Novabene)を用いて上澄みのタンパク質の濃度を測定した。さらに、反応液(0.1M Bicine-NaOH、0.1M リン酸ピリドキサール、10mM 2-ケトグルタレート、10mM GABA)に上澄み(粗抽出酵素タンパク質)を100ng加えてGABAアミノ基転移酵素反応を引き起こした。酵素反応は、37℃で行い、反応時間は、0分、10分、20分、30分、60分、120分、180分とした。
【実施例】
【0061】
酵素反応後、反応生成物であるグルタミン酸量を、ヤマサL-グルタミン酸測定キットII(ヤマサ醤油株式会社)を用いて測定した。この測定では、キットに含まれるL-グルタミン酸オキシダーゼにより、反応生成物のグルタミン酸を酸化することにより過酸化水素を生成させ、過酸化水素からペルオキシダーゼ反応により青色色素を形成させ、青色色素を600nmの波長で測定することにより、反応液中のグルタミン酸量が測定される。
【実施例】
【0062】
酵素反応の結果、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)から得られた粗酵素抽出液を用いた場合、対照とするアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)由来の粗酵素抽出液を用いた場合よりも、反応生成物であるグルタミン酸が多く測定され、それは反応時間の増加に伴って増加することが示された(図6)。これは、アグロバクテリウム菌体に導入されたベクターから大腸菌由来のGABAアミノ基転移酵素がアグロバクテリウム菌体内で安定的に発現され、かつ活性を有することを示している。このように、GABAアミノ基転移酵素遺伝子をアグロバクテリウムヘ導入することにより、アグロバクテリウム菌にその活性を付与することができることが示された。
【実施例】
【0063】
[実施例6] 植物への遺伝子導入効率の評価-1
GABAアミノ基転移酵素遺伝子を導入したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)、及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)について、植物への遺伝子導入能力の評価を行った。ここで植物に導入する遺伝子は、バイナリーベクターpIG121-Hm及びpEKH2のT-DNA領域中に含まれ、植物への遺伝子導入のマーカーとして用いられているGUS遺伝子である(Hiei et al., Plant J., 6(2): 271-282 (1994))。
【実施例】
【0064】
まず、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)、及び対照としてのアグロバクテリウム菌株 GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm)をそれぞれ用いて、双子葉植物トマト(Solanum lycopersicum‘Money Maker’)へのGUS遺伝子の導入効率を評価した。トマトの種子を1/2MS(Murasige-Skoog) 1.5%ショ糖培地へ無菌播種し、それを生育させて得られた子葉の上下を切り落とし、2分割した切片をトマト外植片とした。アグロバクテリウム菌をLB培地(100 mg/L アンピシリン、50 mg/L ゲンタマイシン、及び100 mg/L カナマイシン含有)に植菌して28℃で22時間振盪培養し、濁度O.D.600=0.8になるまで培養した。得られた菌液を遠心して集菌し、菌体をMS液体培地に懸濁した。菌体密度がO.D.600=0.5になるように調製した。調製した菌液にトマト外植片を20分間浸した後、28℃、暗条件で72時間共存培養を行った。共存培地は、MS培地に3% グルコース、200 μM アセトシリンゴン、1.5 mg/L ゼアチンを加えて調製したものを用いた。
【実施例】
【0065】
共存培養終了後、トマトの子葉外植片をGUS染色し、遺伝子導入効率を評価した。具体的には、共存培養後のトマトの子葉外植片を、EDTA(10 mM)、フェリシアンカリウム(5 mM)、フェロシアン化カリウム(5 mM)、Triton X-100(0.1%)、及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシル-グルクロニド(X-Glu)(0.5 mg/L)を含む100 mMリン酸緩衝液へ浸し、37℃で一晩インキュベートした。これにより、GUS遺伝子が導入された細胞では、GUS遺伝子産物の機能により、基質X-Gluが分解され、濃青色に染色される。37℃で一晩インキュベートした後、染色度合いを観察するために、トマト外植片をリン酸緩衝液から70%エタノールへ移し、GUS染色反応を停止するとともに、クロロフィルを脱色した。70%エタノールを2回交換し、最終的にはトマト外植片を100%エタノールに浸漬した。完全にクロロフィルが脱色された後、濃青色に染色された外植片の出現頻度を調べた。その際に染色レベルを0~5にふり分け(図7B)、それぞれの染色レベルの外植片の出現頻度を評価した。0はGUS染色スポットが観察されなかったことを意味し、1から5に近づくほど外植片に占めるGUS染色領域の割合が拡大することを意味する。3回の実験で同様の結果を示した。一回の実験当たり30枚のトマトの子葉切片を使用した。結果を図7に示す。
【実施例】
【0066】
gabT活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)のトマトへのGUS遺伝子導入を、対照としてのアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm)のトマトへのGUS遺伝子導入と比較すると、GUSスポットが観測された外植片の枚数の割合(%)、及び1枚当たりのGUSスポットの平均出現頻度が、gabT活性を付与したアグロバクテリウム菌株において顕著に増加していた(図7A)。このことから、GABAアミノ基転移酵素活性をアグロバクテリウム菌へ付与することにより、植物への遺伝子導入の能力が優れたアグロバクテリウム菌株を作製できることが示された。
【実施例】
【0067】
[実施例7] 植物への遺伝子導入効率の評価-2
次に、GABAアミノ基転移酵素活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)、GABAアミノ基転移酵素活性とACCデアミナーゼ活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)、ACCデアミナーゼ活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS, pEKH2)、及び対照区であるアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)をそれぞれ用いて、単子葉植物エリアンサス(Eriansus ravennae)へのGUS遺伝子の導入効率を評価した。エリアンサスの完熟種子を、3% マルトース、2 mg/L 2,4-ジクロロフェノキシ酢酸、0.2% 細菌アルカリホスファターゼ(BAP)及び0.3% ゲルライトを含むMS培地で培養してカルスを誘導した。エリアンサスカルスはアグロバクテリウム菌の感染3日前に新しい培地へ置床した。アグロバクテリウム菌はゲンタマイシン50mg/L、スペクチノマイシン50mg/L、及びアンピシリン100mg/Lを含むLB培地2mLで培養し、定常状態に達するまで培養した(前培養)。その後、前培養物を1000倍希釈して、本培養を開始した。本培養の開始から22時間後、O.D.600=0.8に達した時点で集菌した。集菌したアグロバクテリウム菌は、液体MS培地に再懸濁し、濁度をO.D.600 0.4~0.5に調整した。エリアンサスカルスをアグロバクテリウム菌懸濁液へ入れ、0.8 MPa下に10分間置く処理を2回繰り返した。次いで、アグロバクテリウム菌液に浸したエリアンサスカルスを回収し、28℃、暗条件で72時間共存培養を行った。共存培地は、MS培地に3% グルコース、200 μM アセトシリンゴンを加えて調製したものを用いた。
【実施例】
【0068】
共存培養終了後、エリアンサスカルスをGUS染色し、遺伝子導入効率を評価した。具体的には、共存培養後のエリアンサスカルスを、EDTA(10 mM)、フェリシアンカリウム(5 mM)、フェロシアン化カリウム(5 mM)、Triton X-100(0.1%)、及び5-ブロモ-4-クロロ-3-インドキシル-グルクロニド(X-Glu)(0.5 mg/L)を含む100 mMリン酸緩衝液へ浸し、37℃で一晩インキュベートした。これにより、GUS遺伝子が導入された細胞では、GUS遺伝子産物の機能により、基質X-Gluが分解され、濃青色に染色される。37℃で一晩インキュベートした後、エリアンサスカルスを70%エタノールへ移して基質X-Gluの分解反応を停止させた。70%エタノールを2回交換し、最終的にはエリアンサスカルスを100%エタノールに浸漬した。カルス中の濃青色に染色されたGUSスポットの数を数え、その結果に基づいてそれぞれの菌株の遺伝子導入能力を評価した。その結果を図8に示す。
【実施例】
【0069】
GABAアミノ基転移酵素活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pEKH2)によるエリアンサスへのGUS遺伝子導入を、対照としてのアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBR1MCS-5, pEKH2)によるエリアンサスへのGUS遺伝子導入と比較すると、カルス1グラム当たりのGUSスポット数が、GABAアミノ基転移酵素活性を付与したアグロバクテリウム菌株において顕著に増加していた。このことから、GABAアミノ基転移酵素活性をアグロバクテリウム菌へ付与することにより、様々な植物に対して高頻度に遺伝子導入することができる菌株を作製できることがさらに示された。また、ACCデアミナーゼ活性を単独でアグロバクテリウム菌へ付与した場合と比較しても、GABAアミノ基転移酵素活性を付与したアグロバクテリウム菌の方が遺伝子導入効率は明らかに高かった。さらに、ACCデアミナーゼ活性とGABAアミノ基転移酵素活性の両方を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pEKH2)では、ACCデアミナーゼ活性を単独で付与したアグロバクテリウム菌株、及びGABAアミノ基転移酵素を単独で付与したアグロバクテリウム菌株よりもエリアンサスカルス1g当たりに出現するGUSスポット数がさらに増加しており、遺伝子導入能力が特に高くなっていた。以上の結果は、GABAアミノ基転移酵素活性をアグロバクテリウム菌ヘ付与することは、ACCデアミナーゼ活性を単独で付与することよりもアグロバクテリウム菌の遺伝子導入能力の増強に有効であることを示している。特に、アグロバクテリウム菌に付与したACCデアミナーゼ活性によるエチレン生成抑制が遺伝子導入効率をそれほど向上させることができないと思われるエリアンサス等の植物において、GABAアミノ基転移酵素活性の付与は遺伝子導入効率を非常に顕著に向上させることができることが示された。またACCデアミナーゼ活性とGABAアミノ基転移酵素活性の両方を付与することは、その遺伝子導入効率をさらに増大させることができることも示された。
【実施例】
【0070】
[実施例8] 植物への遺伝子導入効率の評価-3
GABAアミノ基転移酵素遺伝子を導入したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)、及びアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pIG121-Hm)を用いて、双子葉植物トマトへの遺伝子導入効率の評価を行った。ここで植物に導入する遺伝子は、バイナリーベクターpIG121-HmのT-DNA領域中に含まれているGUS遺伝子、カナマイシン耐性遺伝子、及びハイグロマイシン耐性遺伝子である(Hiei et al., Plant J., 6(2): 271-282 (1994))。トマトの場合、ハイグロマイシンによる選抜は不可能なので、本実施例においては、カナマイシン耐性遺伝子を遺伝子導入のマーカーとして用いた。
【実施例】
【0071】
まず、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pIG121-Hm)及び対照としてのアグロバクテリウム菌株 GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm)、アグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS, pIG121-Hm)をそれぞれ用いて、双子葉植物トマト(Solanum lycopersicum‘Micro Tom’)を形質転換し、安定な形質転換体の作出効率を評価した。具体的には、トマトの種子を1/2MS(Murasige-Skoog) 1.5%ショ糖培地へ無菌播種し、それを生育させて得られた子葉の上下を切り落とし、2分割した切片をトマト外植片として遺伝子導入に用いた(供試切片)。アグロバクテリウム菌をLB培地(100 mg/L アンピシリン、50 mg/L ゲンタマイシン、及び100 mg/L カナマイシン含有)に植菌して28℃で22時間振盪培養し、濁度O.D.600=0.8になるまで培養した。得られた菌液を遠心して集菌し、菌体をMS液体培地に懸濁した。菌体密度がO.D.600=0.5になるように調製した。調製した菌液にトマト外植片を20分間浸した後、28℃、暗条件で72時間共存培養を行った。共存培地は、MS培地に3% グルコース、200 μM アセトシリンゴン、1.5 mg/L ゼアチン、0.3% ゲランガムを加えてpH5.2に調製したものを用いた。
【実施例】
【0072】
共存培養終了後、トマト外植片を除菌及びカルス誘導培地へ置床した。除菌及びカルス誘導培地は、MS培地に3%スクロース、1.5mg/L ゼアチン、0.3%ゲランガム、100mg/L カナマイシン、及び375mg/L オーグメンチンを加えてpH5.8に調整したものを用いた。トマト外植片を、除菌及びカルス培地で16時間日長、60μmol-2S-1の光条件下、25℃で3~4週間培養した後、シュートが形成された。シュートを形成したカルスをシュート伸長培地へ移植した。シュート伸長培地は、MS培地に3%スクロース、1.0mg/L ゼアチン、0.3%ゲランガム、100mg/L カナマイシン、375mg/L オーグメンチンを加え、pH5.8に調整したものを用いた。シュートが1~2cmまで伸長した後、シュートを切り落とし発根培地へ移植した。発根培地は1/2MS培地に15%スクロース、0.3%ゲランガム、100mg/L カナマイシン、375mg/L オーグメンチンを加えてpH5.8に調整したものを用いた。発根培地で2週間以内に発根した個体(発根個体)を形質転換体の候補として選抜した。主根から側根がでているものを発根個体とした。フローサイトメーターを用いて発根個体のうち、2倍体のものを選抜した。2倍体個体からゲノムを抽出し、それぞれの導入遺伝子の断片をプローブとしてサザンハイブリダイゼーションを行い、ゲノムへの遺伝子導入を確認した。数回の実験を行い、供試切片数(各実験につき菌株当たり80~156個使用)に対する、得られた遺伝子導入個体(サザンハイブリダイゼーション陽性)の割合(形質転換効率)の平均値を算出した(表1)。
【表1】
JP2014123208A1_000002t.gif
【実施例】
【0073】
gabT活性を付与したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)では、対照としてのアグロバクテリウム菌株 GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm)を用いた場合と比較して形質転換効率(個体ゲノムへの遺伝子導入効率)が約235%に有意に上昇した。さらに、遺伝子acdSとgabTの両方を導入したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS/gabT, pIG121-Hm)では、対照(GV2260(pBBR1MCS-5, pIG121-Hm))、及びacdS又はgabTの一方のみ導入したアグロバクテリウム菌株GV2260(pBBRacdS, pIG121-Hm)、GV2260(pBBRgabT, pIG121-Hm)を用いた場合と比較しても、形質転換効率がさらに上昇した。この結果から、GABAアミノ基転移酵素活性と共にacdS活性をアグロバクテリウム菌に付与することにより、アグロバクテリウム菌株の遺伝子導入能力をさらに増強できることがさらに裏付けられた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、アグロバクテリウム法に基づく植物形質転換の遺伝子導入効率を向上させるために用いることができる。例えば、従来からアグロバクテリウム菌による遺伝子導入が報告されている植物種では組換え植物の作出効率を向上させるために、また、従来遺伝子導入が困難とされていた植物種においては組換え植物を作出するために、本発明のアグロバクテリウム菌及び本発明の方法を用いることができる。本発明により、広い範囲の植物種で遺伝子組換えを利用した品種の改良が可能になる。
【0075】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に組み入れるものとする。
【配列表フリ-テキスト】
【0076】
配列番号1:Escherichia coli株由来のGABAアミノ基転移酵素タンパク質をコードする塩基配列
配列番号2:GABAアミノ基転移酵素タンパク質
配列番号3:プライマーgabTF
配列番号4:プライマーgabTR
配列番号5:βガラクトシダーゼ由来33アミノ酸が付加されたGABAアミノ基転移酵素タンパク質をコードする塩基配列
配列番号6:βガラクトシダーゼ由来33アミノ酸が付加されたGABAアミノ基転移酵素タンパク質
配列番号7:プライマーacdS-for
配列番号8:プライマーgabT-Rev
配列番号9:gabT断片2
配列番号10:プライマーamp_ter-for2
配列番号11:プライマーamp_ter-rev2
配列番号12:amp-term断片
配列番号13:ACCデアミナーゼ遺伝子
配列番号14:ACCデアミナーゼタンパク質
配列番号15:プライマーGUSF
配列番号16:プライマーGUSR
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7