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明細書 :姿勢調整装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6232619号 (P6232619)
登録日 平成29年11月2日(2017.11.2)
発行日 平成29年11月22日(2017.11.22)
発明の名称または考案の名称 姿勢調整装置
国際特許分類 G02B   7/00        (2006.01)
G02F   1/37        (2006.01)
G02B   7/198       (2006.01)
FI G02B 7/00 B
G02F 1/37
G02B 7/00 F
G02B 7/198
請求項の数または発明の数 1
全頁数 11
出願番号 特願2014-559678 (P2014-559678)
出願日 平成26年1月28日(2014.1.28)
国際出願番号 PCT/JP2014/051766
国際公開番号 WO2014/119541
国際公開日 平成26年8月7日(2014.8.7)
優先権出願番号 2013013865
優先日 平成25年1月29日(2013.1.29)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年1月6日(2017.1.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504261077
【氏名又は名称】大学共同利用機関法人自然科学研究機構
発明者または考案者 【氏名】水谷 伸雄
【氏名】バンダリ ラケシュ
【氏名】平等 拓範
個別代理人の代理人 【識別番号】110000110、【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
審査官 【審査官】瀬戸 息吹
参考文献・文献 特開2003-156667(JP,A)
特開2011-107522(JP,A)
特表2002-503888(JP,A)
調査した分野 G02B 7/00 - 7/24
G02F 1/00 - 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
光源であって、
可視光レーザを発振する発振装置と、
前記発振装置が発振した可視光レーザの波長を1/2の波長に変換する第1波長変換結晶と、
前記第1波長変換結晶で波長変換されたレーザの波長を1/2の波長に変換する第2波長変換結晶と、
基板を備えており、
前記第1波長変換結晶が第1姿勢調整装置に保持されており、
前記第2波長変換結晶が第2姿勢調整装置に保持されており、
前記発振装置と、前記第1姿勢調整装置のベースと、前記第2姿勢調整装置のベースが前記基板に固定されており、
前記第1姿勢調整装置と前記第2姿勢調整装置の各々が、前記ベースと球形ホルダを備えており、
前記ベースに、前記球形ホルダと同一半径の部分凹球面上に配置されているベース側支持部が形成されており、
前記球形ホルダに、貫通穴が形成されており、
前記貫通穴の内部に、前記波長変換結晶が保持されており、
前記球形ホルダが、前記ベース側支持部によって支持されており、
前記球形ホルダが、前記ベースに対して任意の方向に回転可能であることを特徴とする光源。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本明細書では、光学素子の姿勢調整装置を開示する。特に、波長変換現象が生じる非線形光学結晶(本明細書では波長変換結晶という)の立体的な姿勢を調整するのに適した姿勢調整装置を開示する。また、波長変換結晶を組みこんだ光源も開示する。
【背景技術】
【0002】
レーザ発振装置が発振したレーザを波長変換結晶に入射し、波長変換結晶で波長変換されたレーザを射出する光源が開発されている。波長変換現象は、波長変換結晶に入射したレーザの光軸と波長変換結晶の結晶軸が特定の角度関係であるときに得られることから、レーザの光軸に対する波長変換結晶の姿勢を特定の姿勢に調整する必要がある。レーザの光軸と結晶の姿勢との関係は立体的であり、結晶の立体的な姿勢を調整する必要がある。波長変換結晶の場合、結晶の外形と結晶軸の関係が厳密には管理されていない。光軸に対する結晶の外形姿勢を管理する手法では、光軸に対する結晶軸の姿勢を特定の姿勢に調整することができず、多くの場合に予定した変換効率が得られない。波長変換結晶の立体的姿勢を調整する必要がある。通常は、直交3軸の各軸の周りに回転可能なステージを備えている立体姿勢調整装置に波長変換結晶を固定し、波長変換された光の強度を測定し、最大強度が得られる立体姿勢に調整する。立体姿勢調整装置には、例えばシグマ光機株式会社のθαβステージを利用することができる。また特許文献1に、立体姿勢調整装置を実現する機構が開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-267782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知の立体姿勢調整装置は、複雑な機構を備えており、大型である。既知の立体姿勢調整装置を利用して光学素子を組み込んだ光学装置を組み立てると、光学装置が大型化してしまう。例えば、可視光レーザを発振し、波長変換結晶によって紫外線レーザに変換する紫外線レーザの光源が大型化してしまう。
発明者らの研究によって、高強度の可視光レーザを発振するマイクロチップが実現している。その技術を用いると、集光系レンズが必要とされなくなる。その場合、マイクロチップから発振するレーザが微小な広がり角を持っていることから、マイクロチップと波長変換結晶を接近して配置するのが有利である。また2つの波長変換結晶を直列に配置して可視光レーザの波長を1/4にする場合がある。この場合、第1の波長変換結晶と第2の波長変換結晶を接近して配置するのが有利である。既知の立体姿勢調整装置は、大型であり、光学素子同士を接近して配置することの障害となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書で開示する姿勢調整装置は、部分凹球面をガイドにして球を支えると、球を任意の方向に回転させることができるという現象を利用する。その球に光学素子を保持しておくと、その光学素子の立体的な姿勢を自在に調整できるという現象を活用する。
【0006】
本明細書で開示する姿勢調整装置は、ベースと球形ホルダを備えている。ベースには、ベース側支持部が形成されており、そのベース側支持部は、球形ホルダと同一半径の部分凹球面上に配置されている。球形ホルダには、貫通穴が形成されており、貫通穴の内部に光学素子が保持されている。球形ホルダは、部分凹球面上に配置されているベース側支持部によって支持されており、ベースに対して任意の方向に回転させることができる。
上記の姿勢調整装置によると、ベースに対して球形ホルダを任意の方向に回転させることができ、ベースに対する光学素子の立体的姿勢を自在に調整することができる。球形ホルダは、光学素子と同等な大きさにまで小型化することができる。きわめて小型な姿勢調整装置が得られる。
上記でいう球形ホルダは、完全な球体ではない。貫通穴が表面に開口する部分では空間となっている。あるいは後記するように、球を回転させるハンドルを挿入する挿入穴が形成されていることもある。立体姿勢の調整の際に、ベース側支持部に接する範囲が球面であればよい。通常の場合、光学素子の立体的姿勢の調整に必要な可動域は狭く、例えば1/4回転といった大きな回転は必要とされない。必要な可動域の範囲内が球面であればよい。
またベースは、光学装置を収容する筐体の一部であってもよい。あるいは、レーザ発振装置等の他の光学装置ないし光学素子を固定している基板の一部であってもよい。
【0007】
光学素子の立体的姿勢が調整されてしまえば、ベースに対して球形ホルダを固定してしまえばよい。例えば接着剤等で両者を固定してしまえばよい。その一方おいて、ベースに対して球形ホルダが回転できる状態と回転できない状態の間で切り換え可能となっていると、姿勢調整作業をやり直すことができる。そのためには、ストッパと締め付け部材を付加する。ストッパには、ストッパ側支持部を形成する。そのストッパ側支持部は、球形ホルダと同一半径の部分凹球面上に配置されている。締め付け部材は、締め付けるとベースとストッパを接近させる。球形ホルダは、ベース側支持部とストッパ側支持部に支持された状態で、ベースとストッパの間に挟み込みこまれている。その構成を備えていると、締め付け部材の締め付け力を増すと球形ホルダが回転不能となり、締め付け部材の締め付け力を緩めると球形ホルダが任意の方向に回転可能となる。
上記構成によると、ベースに対して球形ホルダが回転できる状態と回転できない状態の間で切り換え可能となる。この構成でも、光学素子と同等な大きさにまで球形ホルダを小型化することができる。きわめて小型な姿勢調整装置が得られる。
【0008】
ベース側支持部とストッパ側支持部は、球形ホルダと同一半径の部分凹球面上に配置されていればよく、後記する図2に例示するように、部分凹球面に沿って連続的に伸びている支持面であってもよいし、図7に例示するように、部分凹球面上を伸びている支持線であってもよいし、図8に例示するように、部分凹球面上に配置されている複数の支持点であってもよい。いずれであっても、球形ホルダは、その中心位置は移動不能であるが、任意の方向に回転可能に保持される。
【0009】
この立体姿勢調整装置が活用できる光学素子は、波長変換結晶に限られない。例えば反射鏡の姿勢調整にも利用できる。光軸に対して45度の角度に反射鏡の姿勢を調整して光軸を直交方向に曲げるような利用方法もできる。その場合には、球形ホルダの中心で角度を変える貫通穴を形成する。
波長変換結晶の立体的な姿勢を調整する場合には、球形ホルダの直径に沿って延びている貫通穴を設ければよい。
【0010】
この姿勢調整装置は、球形ホルダを特定の姿勢に調整した後にその姿勢に固定する方法で用いる。姿勢の調整段階から固定段階までの間に、球形ホルダが不用意に回転しない機構を付加することが好ましい。そのためには、ベースとストッパを接近させる弾性力を発揮する弾性部材を配置することが好ましい。その弾性力の大きさは選択可能であることから、球形ホルダが意図せずに回転することを拘束するとともに、操作者が球形ホルダを意図的に回転させることを許容する大きさに設定することができる。
【0011】
立体姿勢の調整作業を容易化するためには、球形ホルダを回転させるハンドルを用意しておき、そのハンドルの先端を挿入する穴を球形ホルダに形成しておくことが好ましい。その場合、球形ホルダにハンドルを取り付けることができる。
上記の場合、ハンドルの通過とハンドルの傾動を許容する通過穴をストッパに形成することが好ましい。姿勢調整作業がやり易くなる。
【0012】
本明細書で開示する姿勢調整装置を利用すると光源が小型化される。例えば、可視光レーザの発振装置と可視光レーザの波長を変換する波長変換結晶を備えている光源の場合、本明細書で開示する姿勢調整装置で波長変換結晶を保持すると、光源が小型化される。光源を小型化すると、姿勢を調整した後に姿勢が狂う現象が抑制され、性能が長期に亘って安定した光源を実現することができる。
可視光レーザの波長を1/2にする第1の波長変換結晶と、第1の波長変換結晶で波長が1/2となったレーザの波長をさらに1/2にする第2の波長変換結晶を利用することもある。その場合、第2の波長変換結晶から紫外線レーザが射出される。
本明細書で開示する姿勢調整装置によって第1の波長変換結晶と第2の波長変換結晶の各々を保持すると、可視光レーザの発振装置と第1の波長変換結晶を接近して配置することができ、第1の波長変換結晶と第2の波長変換結晶を接近して配置することができる。可視光レーザの発振装置から発振されたレーザが広がらない間(すなわち光強度が高い間)に、波長変換することができる。波長変換効率は光強度に依存し、光強度が高いほど変換効率も高い。第1の波長変換結晶と第2の波長変換結晶の双方に本明細書で開示する技術を適用することが特に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施例の光源の構成を模式的に示す図。
【図2】ベースと球形ホルダと光学素子とハンドルの関係を模式的に示す図。
【図3】ベースと球形ホルダとストッパとねじとばねの関係を模式的に示す図。
【図4】実施例の姿勢調整装置の平面図。
【図5】図4のV-V断面図。
【図6】図4のVI-VI断面図。
【図7】部分凹球面上に配置されているベース側支持部を例示する図。
【図8】部分凹球面上に配置されているベース側支持部の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
下記の説明する実施例の特徴を列記する。
(特徴1)ベースの部分凹球面の半径と、ストッパの部分凹球面の半径と、球形ホルダの半径が同一である。
(特徴2)二つの半球を固定することで球形ホルダが形成されている。
(特徴3)ストッパに形成されている通過穴の壁面が、ロート形状である。
【実施例】
【0015】
図1は、紫外線レーザの光源を示しており、手のひらに乗る大きさでありながら、メガワットの紫外線レーザを射出する。
参照番号4は、1.1 at.%の[111]cutのNd:YAGであり、直径が5mmであり、厚みが4mmである。参照番号6は、[110]cutのCr4+:YAGであり、直径が5mmであり、厚みが4mmである。参照番号8は、出力カプラーである。以上によって波長1064nmの可視光レーザ10を発振する装置2が構成されている。可視光レーザ発振装置2は、ピーク強度が13メガワットのパルスレーザ(可視光レーザ)10を発振する。
参照番号16は、θ=90°、φ=11.4°でカットされたLBO(TYPE 1のLiBO)結晶であり、断面が5mm×5mmであり、長さが10mmであり、波長1064nmの可視光レーザ10を入射し、2倍の周波数で波長が532 nmの緑色光レーザ12を射出する。参照番号18は、θ=47.7°、φ=0°でカットされたBBO(フラックレス成長したβ-BaBO)結晶であり、断面が5mm×5mmであり、長さが6mmであり、波長532nmの緑色光レーザ12を入射し、2倍の周波数で波長が266 nmの紫外線レーザ14を射出する。
可視光レーザ発振装置2と、LBO結晶16と、BBO結晶18は、共通の基板19に固定されており、相対的位置と相対的姿勢が保持されている。
LBO結晶16の変換効率と、BBO結晶18の変換効率には、光強度が影響し、光強度が高いほど変換効率が高い。通常は、集光光学系を利用し、光強度を高めて波長変換結晶に入射する。本実施例では、可視光レーザ発振装置2がピーク強度=13メガワットという高強度のパルスレーザ(可視光レーザ)10を発振するために、集光しなくても変換効率が高く、集光レンズ等を必要としない。
【実施例】
【0016】
波長変換結晶の変換効率は、入射光の光軸に対する結晶軸の姿勢によっても影響を受ける。結晶の外形と結晶軸は正確には対応しておらず、入射光の光軸に対する結晶の外形姿勢を管理するだけでは、入射光の光軸と結晶軸の姿勢が高変換効率を得る姿勢に調整されない。本実施例では、LBO結晶16とBBO結晶18の各々を、図2に示す球形ホルダ20に保持し、入射光の光軸に対する結晶軸の姿勢を調整可能としている。球形ホルダ20は任意の方向に回転可能であり、直交3軸の各々の軸の周りの角度を調整することができる。
【実施例】
【0017】
図2は、LBO結晶16を保持している姿勢調整装置の一部を模式的に示している。ベース30は、フランジ42,46に形成されている通過穴44,48(参照番号48の通過穴は図4参照)にねじを通すことによって、基板19に固定される。通過穴44,48はねじの軸の径よりも大径であり、可視光レーザ発振装置2に対するベース30の相対的位置関係を調整可能となっている。ベース30の上面の中央には、凹部40が形成されている。凹部40の壁面の形状は、凹な球面の一部であり、本明細書では部分凹球面という。部分凹球面を提供している凹部40に、球形ホルダ20の一部がはまり込む関係になっている。ベース30の部分凹球面40の半径と、球形ホルダ20の半径は同一であり、球形ホルダ20の外周面の一部は部分凹球面40に密着ないし倣う関係となっている。凹部と部分凹球面は、同一位置に存在しているので、本明細書では共通番号40を用いる。
参照番号32,34は、後記するねじ穴であり、参照番号36,38は、後記するばね通過穴である。
【実施例】
【0018】
球形ホルダ20は、ほぼ球形状であるが、直径に沿って伸びている貫通穴22と、後記するハンドル50の先端が挿入される挿入穴24等が形成されており、完全な球体ではない。球形ホルダ20は、後記するように、1対の半球をねじで固定して形成されており、ねじ等の存在位置でも球ではない。球形ホルダ20の貫通穴22内にLBO結晶16が保持されている。BBO結晶18についても同様であり、重複説明は省略する。
【実施例】
【0019】
ベース30の部分凹球面40の半径と球形ホルダ20の半径は同一であり、球形ホルダ20の外周面の一部は部分凹球面40に密着ないし倣う関係となっている。そのために、球形ホルダ20はベース30に対して任意の方向に回転可能であり、LBO結晶16の立体的な姿勢を調整可能であることが理解できる。球形ホルダ20を回転させてLBO結晶16の立体的な姿勢を調整しても、球形ホルダ20の中心位置(すなわちLBO結晶16の中心位置)は、移動しない。相対的位置関係を維持しながら、相対的姿勢を調整できることがわかる。
参照番号50は、球形ホルダ20を回転させる際に用いるハンドルである。ハンドル50の先端は、挿入穴24に挿入可能となっている。ハンドル50を傾けたり回転したりすることで球形ホルダ20は任意の方向に回転する。
【実施例】
【0020】
図3は、立体姿勢調整装置の全体を示し、ストッパ60、締め付け部材72,74、弾性部材86,88が示されている。
ストッパ60の下面の中央には、凹部66(図6参照)が形成されている。凹部66の壁面の形状は、凹な球面の一部であり、本明細書では部分凹球面という。部分凹球面を提供している凹部66に、球形ホルダ20の一部がはまり込む関係になっている。ストッパ60の部分凹球面66の半径と、球形ホルダ20の半径は同一であり、球形ホルダ20の外周面の一部は部分凹球面66に密着ないし倣う関係となっている。凹部と部分凹球面は同一位置にあり、本明細書では共通番号66を用いる。
ストッパ60の上面の中央に、ハンドル50が通過する通過穴62が形成されている。通過穴62は部分凹球面66に達しており、通過穴62の底面にハンドル50の挿入穴24が観測される。通過穴62にハンドル50を通過させ、挿入穴24にハンドル50の先端を差し込むことができる。その状態でハンドル50を傾動させると、球形ホルダ20が回転する。通過穴62の壁面64は、上側ほど直径が大きくなっているロート形状となっており、ハンドル50の傾動を許容する。通過穴62の直径と、ロート形状の壁面64の傾斜角は、LBO結晶(波長変換結晶)16の姿勢を最適値に調整するのに必要な調整域にあわせてある。ハンドル50をロート形状の壁面64の範囲内で傾動させると、LBO結晶(波長変換結晶)16の立体的姿勢が最適値に調整される。
【実施例】
【0021】
参照番号86,88は、ストッパ60をベース40に向けて引っ張っている弾性部材(引っ張りばねである)。球形ホルダ20を回転させてLBO結晶(波長変換結晶)16の結晶軸の姿勢を調整する段階では、後記するねじ72,74を緩める。引っ張りばね86,88がないと、ねじ72,74を緩めたときに、球形ホルダ20が容易に回転してしまう。この立体姿勢調整装置は、球形ホルダ20を所望の姿勢に調整した後に、その姿勢に固定する方法で用いる。姿勢を調整してから保持するまでの間に、球形ホルダ20が不用意に回転すると、姿勢調整作業がやり難い。そこで引っ張りばね86,88によって、球形ホルダ20が意図せずに回転することを拘束する。引っ張りばね86,88の弾性力は、球形ホルダ20が意図せずに回転することを拘束するが、人が球形ホルダ20を意図的に回転させようと思えば容易に回転できる大きさのものが選ばれている。引っ張りばね86,88があるために、球形ホルダ20を好ましい角度に回転させた姿勢で仮保持することができる。
参照番号72,74は締め付け部材(ねじ)であり、ベース30に形成されているねじ穴32,34にねじ込むとストッパ60がベース30側に接近する。ねじ72,74を締め付けると、ストッパ60がベース30側に接近し、ベース30の部分凹球面40と球形ホルダ20の外周面が強く密着し、ストッパ60の部分凹球面66と球形ホルダ20の外周面が強く密着する。球形ホルダ20の回転が禁止される。
【実施例】
【0022】
図4から図6は、実施例の姿勢調整装置の詳細を示している。図4では、出力カプラー8と、LBO結晶16のための姿勢調整装置と、BBO結晶18のための姿勢調整が並んで配置されている様子を示す。姿勢調整装置は小型であり、出力カプラー8とLBO結晶16の間隔G1と、LBO結晶16とBBO結晶18の間隔G2を極めて接近させることができる。球形ホルダ20の直径は、LBO結晶16の長さ、またはBBO結晶18の長さに合わせることができ、必要最小限の大きさにまで小型化できる。
図5の参照番号76は、引っ張りばね86,88の上端に支えている支持ピンであり、ストッパ60に保持されている。参照番号39は、引っ張りばね86,88の下端に支えている支持ピンであり、ベース30に保持されている。図6に示すように、球形ホルダ20は、一対の半球部材25,26をねじ27,28で保持することで形成されている。図6では、ねじ27,28の上方に球面が存在しないが、図示しない断面では、ストッパ60の部分凹球面66に密着する球面が存在しており、ストッパ60を下方向に締め付ければ、ストッパ60の部分凹球面66と球形ホルダ20の外周面が強く密着する。
【実施例】
【0023】
実際の組み付け時には、下記の手順を実行する。
(1)図1に示す基板19に、可視光レーザ発振装置2を固定する。
(2)基板19に、LBO結晶16を保持した姿勢調整装置のベース30を固定する。
(3)ねじ72,76を緩め、ハンドル50を挿入穴24に挿入する。
(4)可視光レーザ発振装置2を動作させ、球形ホルダ20を回転させながら、LBO結晶16から射出される緑色光レーザ12の強度を測り、最大強度が得られる回転角度に調整する。
(5)最大強度得られたら、ハンドル60を取り去り、ねじ72,76を締め付ける。ばね86,88がベース30とストッパ60の間に球形ホルダ20を挟みつけているので、(4)と(5)の間に球形ホルダ20が回転することはない。
(6)基板19に、BBO結晶18を保持した姿勢調整装置のベース30を固定する。
(7)ねじ72,76を緩め、ハンドル50を挿入穴24に挿入する。
(8)可視光レーザ発振装置2を動作させ、球形ホルダ20を回転させながらBBO結晶18から射出される紫外線レーザ14の強度を測り、最大強度が得られる回転角度に調整する。
(9)最大強度得られたら、ハンドル60を取り去り、ねじ72,76を締め付ける。ばね86,88がベース30とストッパ60の間に球形ホルダ20を挟みつけているので、(8)と(9)の間に球形ホルダ20が回転することはない。
【実施例】
【0024】
上記によって、実施例の装置では、LBO結晶16によって73%の変換効率を得ることができ、BBO結晶18によって45%の変換効率を得ることに成功した。その結果、波長266nm, 650μJ, 4.3MWのピーク強度、波長幅150psで100Hzの紫外線レーザ14を得ることができた。
【実施例】
【0025】
上記では、ベース側支持部とストッパ側支持部が、球形ホルダと同一半径の部分凹球面に沿って連続敵に伸びている実施例を説明した。これに代えて、例えば図7に例示するような支持線90であってもよい。球形ホルダ20と接して支持する支持線90が、球形ホルダ20と同一半径の部分凹球面上に配置されていれば、球形ホルダ20の中心位置が不動な状態で、球形ホルダ20が任意の方向に回転可能な状態で保持される。あるいは図8に例示するような支持点の集まりであってもよい。支持点群82,84,86が、球形ホルダ20と同一半径の部分凹球面上に配置されていれば、球形ホルダ20の中心位置が不動な状態で、球形ホルダ20が任意の方向に回転可能な状態で保持される。ストッパ側支持部についても同様である。図8の場合、球形ホルダ20を支持する3個の部材自体がベアリングであり、ベース80に対して任意の方向に回転可能である。球形ホルダ20は、任意の方向にスムースに回転することができる。
上記では、上部半球と26と下部半球25の半径が共通である。これに代えて上部半球26と下部半球25の半径を変えてもよい。この場合、ベース側の部分凹球面と下部半球25の半径を揃え、ストッパ側の部分凹球面と上部半球と26の半径を揃える。上部半球と26と下部半球25の中心が一致していれば、球形ホルダ20は自在に回転することができる。球形ホルダは、異なる半径を持つ部分球から構成されていてもよい。
上記では、第2次高調波に変換する波長変換結晶(非線形光学結晶)の立体的姿勢を調整する。利用可能な光学素子はそれに限定されず、第3次高調波、第4次高調波、第5次高調波、和周波、差周波等に変換する非線形結晶に適用することができる。
上記では、ストッパ60と締め付け部材72,74を利用して、球形ホルダ20が回転できる状態と回転できない状態を作り出す。これに対して姿勢調整が終了したら、球形ホルダ20を固定してしまうことができる。例えば接着剤で固定してしまうことができる。その用法の場合、ストッパ60と締め付け部材72,74を省略することができる。ストッパを利用しない場合、球形ホルダは半球状であってもよく、光学素子を固定する貫通穴を形成する壁の一部が省略されていてもよい。
【実施例】
【0026】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0027】
2:可視光レーザ発振装置
4:Nd:YAG
6:Cr4+:YAG
8:出力カプラー
10:パルスレーザ、可視光レーザ
12:緑色光レーザ
14:紫外線レーザ
16:LBO結晶
18:BBO結晶
19:基板
20:球形ホルダ
22:貫通穴
24:挿入穴
25:下部半球
26:上部半球
27:ねじ
28:ねじ
30:ベース
32,34:ねじ穴
36,38:ばね通過穴
39:支持ピン
40:凹部、部分凹球面
42:フランジ
44:通過穴
46:フランジ
48:通過穴
50:ハンドル
60:ストッパ
62:通過穴
64:ロート形状の壁面
66:凹部、部分凹球面
72:74:締め付け部材、ねじ
76:支持ピン
86:88:弾性部材、引っ張りばね
90:支持線
92,94,96:支持点
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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