TOP > 国内特許検索 > 軟骨細胞の調製方法 > 明細書

明細書 :軟骨細胞の調製方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 軟骨細胞の調製方法
国際特許分類 C12N   5/077       (2010.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
A61K  35/12        (2015.01)
A61P  19/08        (2006.01)
A61K  35/32        (2015.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61L  27/00        (2006.01)
A61K  35/44        (2015.01)
FI C12N 5/00 202G
C12Q 1/02
A61K 35/12
A61P 19/08
A61K 35/32
A61P 43/00 121
A61L 27/00 G
A61K 35/44
国際予備審査の請求
全頁数 43
出願番号 特願2015-506846 (P2015-506846)
国際出願番号 PCT/JP2014/057673
国際公開番号 WO2014/148592
国際出願日 平成26年3月20日(2014.3.20)
国際公開日 平成26年9月25日(2014.9.25)
優先権出願番号 2013058534
優先日 平成25年3月21日(2013.3.21)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】谷口 英樹
【氏名】武部 貴則
【氏名】小林 眞司
出願人 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100098121、【弁理士】、【氏名又は名称】間山 世津子
【識別番号】100107870、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 健一
審査請求
テーマコード 4B063
4B065
4C081
4C087
Fターム 4B063QA01
4B063QQ08
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BB34
4B065BC11
4B065BC41
4B065CA44
4C081AB04
4C081BA12
4C081CD34
4C081DA16
4C081EA11
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB46
4C087BB64
4C087CA04
4C087MA67
4C087NA14
4C087ZA96
4C087ZC75
要約 従来法が抱えている問題を解決できる、軟骨組織の構築を可能とする軟骨細胞の調製方法を提供する。
軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することを含む、軟骨細胞の調製方法。前記方法により調製された軟骨細胞を含む、軟骨再生医療用組成物。前記方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、医薬品として有効な薬剤をスクリーニングする方法。前記方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、軟骨細胞が産生する基質を調製する方法。前記方法により調製された軟骨細胞を生体内に移植し、軟骨組織を形成させることを含む、軟骨再生方法。
特許請求の範囲 【請求項1】
軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することを含む、軟骨細胞の調製方法。
【請求項2】
軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することで、軟骨形成細胞が増幅する請求項1記載の方法。
【請求項3】
支持体上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、三次元組織が形成される請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
支持体が0.5~25 kPaの硬度を有する基材である請求項3記載の方法。
【請求項5】
底面に細胞が集まるような形状のプレート上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、三次元組織が形成される請求項1又は2記載の方法。
【請求項6】
線維芽細胞増殖因子2(bFGF(FGF2))、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)、骨形成因子2(BMP2)、骨形成因子3(BMP3)、骨形成因子4(BMP4)、骨形成因子6(BMP6)、結合組織増殖因子(CTGF)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)、トランスフォーミング増殖因子β2(TGF-β2)、トランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、肝細胞増殖因子(HGF)、アグリカン(Aggrecan)、ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid)、内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECDGF)、上皮成長因子(EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic FGF)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液(BPE)、糖質コルチコイド、コレステロール、各種ビタミンからなる群より選択される少なくとも1つの成分の存在下で、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養する請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
軟骨形成細胞と血管細胞を1:0.3~1の混合比で共培養する請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
軟骨形成細胞が、軟骨細胞、未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞である請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
軟骨細胞が、肋骨軟骨、鼻軟骨、耳軟骨、気管軟骨、喉頭軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、環状軟骨、腱、靭帯、関節間軟骨及び椎間板からなる群より選択される組織から得られたものである請求項8記載の方法。
【請求項10】
未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞が、軟骨、軟骨膜、骨髄、胎盤、臍帯、皮膚、筋肉、脂肪及び骨膜からなる群より選択される組織から得られたものである請求項8記載の方法。
【請求項11】
軟骨形成細胞と血管細胞が同じ個体に由来する請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
軟骨形成細胞と血管細胞が異なる個体に由来する請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞を含む、軟骨再生医療用組成物。
【請求項14】
生体内に移植し、軟骨組織を形成させるために用いられる請求項13記載の組成物。
【請求項15】
生体内に移植した後、血管網が構築される請求項14記載の組成物。
【請求項16】
血管網に血管潅流が生じる請求項15記載の組成物。
【請求項17】
血管網が構築された後、消失し、血管構造を欠く軟骨組織が形成される請求項16記載の組成物。
【請求項18】
請求項1~12のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、医薬品として有効な薬剤をスクリーニングする方法。
【請求項19】
請求項1~12のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、軟骨細胞が産生する基質を調製する方法。
【請求項20】
請求項1~12のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞を生体内に移植し、軟骨組織を形成させることを含む、軟骨再生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、軟骨細胞の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト軟骨組織は、先天的に欠損していたり、後天的に損傷あるいは欠損すると、通常は再生されない。このようなヒト軟骨疾患に対する従来の治療としては、自己の他部位から軟骨組織を採取し欠損部位に移植する方法があるが、採取部位や量が限定されてしまうことが問題であった。そこで、本発明者らは過去に、自己の軟骨膜に由来する軟骨形成細胞を一部採取して生体外で拡大培養した後、サイトカインなどの誘導因子を添加することにより平面培養下で軟骨細胞へと分化誘導を行う方法を開発した(特許文献1、非特許文献1)。
【0003】
一方、軟骨組織の修復を目的とした3次元軟骨組織を作成する手段としては、培養軟骨形成細胞を多数の孔を有する生体適合性足場材等の担体に充填・付着させ、移植材を形成する方法が知られている(特許文献2~5)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第4748222号
【特許文献2】特開2012-000262公報
【特許文献3】特開2011-078710公報
【特許文献4】特開2009-226221公報
【特許文献5】特開2009-106214公報
【0005】

【非特許文献1】Kobayashi et al,Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 108:14479-14484,2011
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
サイトカインなどの誘導因子により平面培養下で軟骨細胞へ分化誘導を行う方法には、以下のような問題点があった。
1.分化誘導に必要な試薬のコストが高額で、分化誘導に莫大な費用が生じる。
2.軟骨細胞への分化誘導までに長期間(2~4ヶ月の)の培養期間を要するために、腫瘍形成など医療応用上のリスクが高まる。
3.分化誘導された軟骨細胞はゲル状であり、移植時に形態を制御することが著しく困難である。
【0007】
担体を用いて3次元軟骨組織再構築を行う方法には、以下のような問題点があった。
1.担体が生体にとり異物であることから、感染や炎症、それらに起因する瘢痕組織形成などが生じる。
2.軟骨形成細胞を担体に充填ないし付着させるため、軟骨細胞への適切な分化プロセスが再現されない。
3.終末分化した軟骨細胞への分化誘導効率が低いために、均一で、充分な量の3次元軟骨組織を得ることが困難である。
【0008】
本発明は、以上の問題を解決できる軟骨組織の構築を可能とする、軟骨細胞の調製方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
成体軟骨組織には血管が存在しないため、従来の軟骨再生医療の開発概念において、血管は不要と考えられてきた。しかし、軟骨発生の初期段階においては、一過性に血管化が生じ、軟骨形成細胞が血管系細胞と秩序だった空間的配置をとることが重要であり、これにより血管内皮細胞との協調的な相互作用が生じ、軟骨形成細胞の増殖と分化が誘導され、最終的に血管構造を欠く軟骨組織が形成されることを本発明者らは見出した。
【0010】
そこで、従来全く着目されなかった軟骨形成細胞と血管内皮細胞との相互作用を再現化することによる3次元培養系を確立した。この培養系で誘導された三次元組織は生体への移植により、従来法(ペレット移植法)より、高効率に弾性軟骨を構築することができた。軟骨形成細胞と血管細胞(例えば、血管内皮細胞)の細胞間相互作用に注目し、軟骨組織の3次元的な再構築を試みる手法は過去には存在せず、新規性の極めて高い方法である。
【0011】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することを含む、軟骨細胞の調製方法。
(2)軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することで、軟骨形成細胞が増幅する(1)記載の方法。
(3)支持体上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、三次元組織が形成される(1)又は(2)記載の方法。
(4)支持体が0.5~25 kPaの硬度を有する基材である(3)記載の方法。
(5)底面に細胞が集まるような形状のプレート上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、三次元組織が形成される(1)又は(2)記載の方法。
(6)線維芽細胞増殖因子2(bFGF(FGF2))、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)、骨形成因子2(BMP2)、骨形成因子3(BMP3)、骨形成因子4(BMP4)、骨形成因子6(BMP6)、結合組織増殖因子(CTGF)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)、トランスフォーミング増殖因子β2(TGF-β2)、トランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、肝細胞増殖因子(HGF)、アグリカン(Aggrecan)、ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid)、内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECDGF)、上皮成長因子(EGF)、酸性線維芽細胞成長因子(acidic FGF)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液(BPE)、糖質コルチコイド、コレステロール、各種ビタミンからなる群より選択される少なくとも1つの成分の存在下で、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養する(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)軟骨形成細胞と血管細胞を1:0.3~1の混合比で共培養する(1)~(6)のいずれかに記載の方法。
(8)軟骨形成細胞が、軟骨細胞、未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞のいずれかである(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9)軟骨細胞が、肋骨軟骨、鼻軟骨、耳軟骨、気管軟骨、喉頭軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、環状軟骨、腱、靭帯、関節間軟骨及び椎間板からなる群より選択される組織から得られたものである(8)記載の方法。
(10)未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞が、軟骨、軟骨膜、骨髄、胎盤、臍帯、皮膚、筋肉、脂肪及び骨膜からなる群より選択される組織から得られたものである(8)記載の方法。
(11)軟骨形成細胞と血管細胞が同じ個体に由来する(1)~(10)のいずれかに記載の方法。
(12)軟骨形成細胞と血管細胞が異なる個体に由来する(1)~(10)のいずれかに記載の方法。
(13)(1)~(12)のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞を含む、軟骨再生医療用組成物。
(14)生体内に移植し、軟骨組織を形成させるために用いられる(13)記載の組成物。
(15)生体内に移植した後、血管網が構築される(14)記載の組成物。
(16)血管網に血管潅流が生じる(15)記載の組成物。
(17)血管網が構築された後、消失し、血管構造を欠く軟骨組織が形成される(16)記載の組成物。
(18)(1)~(12)のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、医薬品として有効な薬剤をスクリーニングする方法。
(19)(1)~(12)のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、軟骨細胞が産生する基質を調製する方法。
(20)(1)~(12)のいずれかに記載の方法により調製された軟骨細胞を生体内に移植し、軟骨組織を形成させることを含む、軟骨再生方法。
【発明の効果】
【0012】
1.既に開発されている軟骨膜に由来する幹細胞の操作技術(例えば、特許第4748222号)と連動することで、高品質な3次元軟骨を大量創出する上で有用な技術となる。
2.サイトカインなど分化誘導に必要な誘導因子を低減することができ、莫大なコスト削減につながる。
3.軟骨形成細胞の分化誘導に必要な培養期間を短縮することができる。
4.培養時に一定の強度を有した3次元組織が形成されるため、移植直後も形状を保ったまま移植することが可能となる。したがって、移植後に得られる3次元組織の形状予測が一定程度可能となる。
5.軟骨形成細胞の移植生着効率・終末分化誘導効率が高いために、少ない細胞数でも効率的に3次元軟骨を形成することができる。
6.高分子ポリマーなどの足場材料が不要なため、炎症や吸収が生じない。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2013‐58534の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ヒト耳介軟骨膜中に存在する軟骨前駆細胞の同定。A)小耳症患者から摘出した残存耳介軟骨を軟骨膜層、軟骨層に分離した。B)ヒト軟骨前駆細胞はCD44+,CD90+のマーカーを発現しており、前駆細胞の特徴である高い増殖能、多分化能を有し、さらに移植することで、ヒト弾性軟骨組織を長期的に再構築した。
【図2】クラニアルウインドウ法を用いた軟骨形成プロセスの追尾定点観察。A)ヒト耳介軟骨の軟骨膜層に血管内皮細胞が存在した。B)E17.5のEGFP遺伝子改変マウスの耳介軟骨をクラニアルウインドウ内に移植した時の肉眼観察。C)共焦点顕微鏡による追尾定点観察。マウスの尾静脈にtetramethylrhodamine-conjugated dextranとAlexa647-conjugated mouse specific CD31 (mCD31) antibody を注入することでマウスの血管内皮細胞と血流を可視化したところ、移植後3日に、血流を有した血管が移植片に侵入していることが確認できた。これらの血管は移植後10日には、退行した。(スケールバー; 75 μm)D)移植後20日に、軟骨組織を包むように血管を有している軟骨膜組織が形成され、軟骨組織を構成する細胞は敷石状の形態を示した。E)P10、P30の発生段階の耳介軟骨組織と同様に、E17.5のEGFP遺伝子改変マウスの耳介軟骨組織は、成熟した弾性軟骨を形成したことが確認された(スケールバー; 100 μm)。
【図3】発生初期のマウス耳介軟骨における一過性血管侵入。A)E18.5からP30の発生段階の耳介軟骨でmCD31(緑)とlaminins(赤)により免疫組織化学染色を行った。(両矢印は軟骨層を示す。スケールバー; 50μm)P2の段階で最も多くの内皮細胞を確認できた。一方で、P30の段階では全く観察することは出来なかった。B)軟骨前駆細胞と最も近い血管の平均距離を定量したところ、生後2日で最も短い距離(17.8 μm)を計測した。データは、少なくとも独立した3検体以上から得たmean±s.d.を表記した(200個以上の細胞を計測した。)。
【図4】ヒト軟骨再構築過程での一過性血管侵入。A)従来の軟骨分化誘導法を施した軟骨前駆細胞をクラニアルウインドウ内に移植した。B)ライブイメージングより、移植後10日と30日に血液灌流が確認された。移植後60日には、血管が退行した。成熟軟骨層は、Alcian Blue染色により確認した(スケールバー; 100 μm)。
【図5】発生初期の耳介軟骨における軟骨前駆細胞の著しい増殖。A)P0、P2、P10とP30の発生段階の耳介軟骨で、CD44陽性である軟骨前駆細胞の増殖をKi67により確認した。P0、P2において、軟骨前駆細胞がより増殖していた。一方で、P30では、Ki67陽性細胞は観察出来なかった(スケールバー; 100 μm, N.D: Not Detected) B)軟骨層におけるKi67陽性である増殖中の細胞数を定量した。 データは、少なくとも独立した5検体以上から得たmean±s.d.を表記した。
【図6】血管内皮細胞と共培養することによる、in vitroでの軟骨前駆細胞の増殖亢進。A)軟骨前駆細胞を低密度で播種し、Transwell assayによりヒト臍帯静脈内皮細胞と共培養を行ったところ、血管内皮細胞特異的に軟骨前駆細胞が増殖した。共培養11日後の単位面積当たりの細胞数を定量した。データは、少なくとも独立した検体から得たmean±s.d.を表記した(N=5, **: P < 0.01、Ctrl: Control, HUVEC: Normal Human Umbilical Vascular Endothelial Cells , MSC: mesenchymal stem cells, Fibro: dermal fibroblasts, Chon: chondrocytes)B)ヒト軟骨前駆細胞が有する細胞表面マーカーであるCD44+ CD90+の発現をフローサイトメトリーにより解析した。
【図7】血管内皮細胞との共培養によるヒト軟骨前駆細胞の自律的な三次元組織化。A)軟骨発生初期過程を再現することによる新規三次元培養系の開発。ヒト軟骨前駆細胞が、in vitroにおいて、足場材料や成長因子を使うことなく三次元組織化した。(緑:ヒト臍帯静脈内皮細胞(Normal Human Umbilical Vascular Endothelial Cells: HUVEC)、赤:ヒト軟骨前駆細胞( human cartilage from progenitor cells:hCPCs))B)HUVECと共培養した軟骨前駆細胞のin vivoにおける経時的観察。マクロ観察(上)、ライブイメージング(下)(スケールバー; 100 μm)。移植後早期に血管侵入が起き、続いて血管退行が起きている。C)HUVECと共培養した軟骨前駆細胞を移植して3、15、30、60日後でのAlcian Blue染色 (スケールバー; 200 μm)D)Safranin O(左)、Elastica Van Gieson(左から二番目)より、HUVECと共培養した軟骨前駆細胞は、移植することで弾性軟骨組織を形成したことが示された。また、Aggrecan(緑)とI型コラーゲン(赤)による免疫組織化学染色(右から二番目)を行ったところ、軟骨膜層と軟骨層の両方を形成したことが示された。hCD31の免疫組織化学染色(右)により、軟骨膜層に内皮細胞が存在していることが示された。(スケールバー; 100 μm)E)同様の三次元培養系を用いて、脱分化している軟骨細胞とHUVECを共培養した。Alcian Blue染色(左から二番目)、Elastica Van Gieson染色(右)により弾性軟骨組織が形成したことが確認できた。(スケールバー; 100 μm)
【図8】血流阻害移植モデルを用いたヒト弾性軟骨形成の阻害。A)血流阻害移植モデル作製のスキーム。HUVECと共培養した軟骨前駆細胞をクラニアルウインドウに移植し、0.45 μmのポアサイズのナノメッシュ間に挟みこむことで、マウスの血流が移植片に作用しないようにした。B)移植0日から15日までをマクロ観察したところ、移植片への血液灌流を完全に阻害した。C)ライブイメージングにより観察したところ、軟骨前駆細胞は生着しなかったことが確認された。下の画像は、上の画像の強倍率を示している。D)血流阻害移植モデル(上)と通常に移植したモデル(下)で、Caspase 3とII型コラーゲンにより免疫組織化学染色を行った。 (スケールバー; 200 μm)
【図9】血管内皮細胞との共培養により構築した三次元組織の高効率な弾性軟骨創出。A)同一のクラニアルウインドウマウスの左脳にHUVECと共培養した軟骨前駆細胞、右脳に軟骨前駆細胞をペレット移植した。移植後15日で、HUVECと共培養した軟骨前駆細胞の方がより早くプロテオグリカンを産生し始めていることがわかった。移植後30、60日で、HUVECと共培養した軟骨前駆細胞では、成熟した軟骨細胞に分化した。(スケールバー; 200 μm)B)移植60日後の、HUVECと共培養した軟骨前駆細胞とペレット移植のアルシアンブルー陽性である最大割面領域の比較と、青色に染色されている部位の抽出画像。Image Jにより、色の抽出を行った。C)アルシアンブルー陽性領域を定量した。データは、少なくとも独立した検体から得たmean±s.d.を表記した(N=4, *: P < 0.05) 。
【図10】軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを硬さ条件:0.5kPaのゲル(細胞培養用ハイドロゲル 評価用サンプルプレート(VERITAS))上で培養したときの初日、培養1日目、2日目の三次元組織形成の状態を示す。
【図11】軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを硬さ条件:0.2-50kPaのゲル(細胞培養用ハイドロゲル 評価用サンプルプレート(VERITAS))上で培養したときの培養2日目の三次元組織形成の状態を示す。下段の右は通常の培養皿上で同様の培養条件で培養を行ったときの状態(三次元組織は形成されなかった)を示す。
【図12】軟骨膜細胞 3x104 cellsと血管内皮細胞 1x104 cellsを、U底形状を有する培養基材で培養したときの初日、培養2日目の三次元組織形成の状態を示す。A) U底形状を有する96well細胞培養用培養基材(住友ベークライト)の外観。右上のパネルは1つのwellの拡大像を示す。B) 播種された軟骨膜細胞は自律的に凝集を開始し、翌日には400μm程度の球状の三次元組織を形成した。
【図13】軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを共培養することにより形成された4mm大の三次元組織100個を、皮下へ移植を行った状態を示す。A)皮下に大量に三次元組織を配置した状態。B) 薬匙によって回収を行っている30個程度の三次元組織を示す。
【図14】軟骨膜細胞 3x104 cellsと血管内皮細胞 1x104 cellsから形成された400μm大の三次元組織600個を、関節軟骨の欠損部位に移植を行った状態を示す。A) 関節欠損部位に大量に回収した400μm程度の三次元組織をピペットにより移植操作を行っている状態。 B) 三次元組織を移植した直後の関節欠損部位の様子。
【図15】軟骨形成細胞のみの培養と、血管内皮細胞との共培養を行った軟骨形成細胞の遺伝子発現解析を示す。(左)未(脱)分化マーカーの発現。(右)軟骨分化マーカーの発現。
【図16】血管化軟骨作成に用いる支持体条件の検討。A) マトリゲルの希釈率を検討した結果、8倍希釈まで血管化軟骨を作製することが可能であった。B) アガロースゲルを用いた条件ではいずれの場合においても血管化軟骨の形成を認めなかった。C) I型コラーゲンを用いた場合においても血管化軟骨の形成を認めなかった。
【図17】凍結保存を行った血管化軟骨移植によるヒト成熟軟骨の創出。A) 血管化軟骨の凍結工程。左;培養皿内で形成された組織、中;薬さじにて回収した様子、右;凍結用溶媒(TC Protector)に回収した組織を浸漬した凍結直前の様子。B) 凍結後、1か月後に融解を行ったヒト血管化軟骨の肉眼観察。C) 融解を行ったヒト血管化軟骨の皮下移植サンプルの組織学的解析。免疫不全マウス背部皮下移植により2ヶ月後に摘出し、アルシアンブルーおよびII型コラーゲンの産生を認める軟骨組織の再構築を認めた。
【図18】長期培養を行った血管化軟骨由来成熟軟骨の創出。長期培養血管化軟骨の組織学的解析。作製した血管化軟骨を60日間にわたり長期培養することにより、血管を含む軟骨膜組織と血管が排除された軟骨組織の形成を認めた。左上;形成された組織の肉眼像、右上;免疫染色により中心部は軟骨マーカーであるAggrecanを発現し、周囲にはLamininが存在することを示す。下段左;免疫染色拡大図、下段中;HE染色、下段右;アルシアンブルー染色。誘導を行った三次元組織はピンセットで用手圧迫を行っても、組織が破壊されない高い力学的強度を有していた。
【図19】長期培養を行った血管化軟骨由来成熟軟骨の移植。長期培養血管化軟骨(上段左図の左下の小窓に示す)は顔面部の移植により、皮下の緊張に耐えうる力学的強度を有した軟骨組織であった。上段と下段の写真は、角度を変えて盛り上がっている部分の見え方を確認したものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。

【0015】
本発明は、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することを含む、軟骨細胞の調製方法を提供する。

【0016】
本発明において、「軟骨形成細胞」とは、軟骨を形成しうる細胞をいい、例えば、BRACHYURY、KDR、CXCR4、PDGFRA、PDGFRB、CD44、SOX5、SOX6、SOX9、RUNX2、CDH1、Aggrecan、Collagen II、Versican、Elsatin、CSPなどのマーカーを発現しているものが好ましい。

【0017】
軟骨形成細胞は、様々な供給源から得ることができ、一般に耳介軟骨又は耳介軟骨膜から分離されるが、これらに限定されることはない。さらに、軟骨形成細胞は、軟骨細胞、未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞等に区別することができる。軟骨細胞は、硝子軟骨、弾性軟骨、線維軟骨のいずれの軟骨から得られたものであってもよく、具体的には、肋骨軟骨、鼻軟骨、耳介軟骨、気管軟骨、喉頭軟骨、甲状軟骨、披裂軟骨、環状軟骨、腱、靭帯、関節間軟骨、及び椎間板などから得られる。一般的に、培養を経た軟骨細胞は、脱分化しているだろうと考えられているが、このような脱分化した状態の軟骨細胞を用いてもよい。未熟軟骨細胞、軟骨前駆細胞又は軟骨幹細胞は、軟骨、軟骨膜、骨髄、胎盤、臍帯、皮膚、筋肉、脂肪、及び骨膜のような組織から得られる。軟骨形成細胞は、主としてヒト由来のものを用いるとよいが、ヒト以外の動物(例えば、実験動物、愛玩動物、使役動物、競走馬、闘犬などに利用される動物、具体的には、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ニワトリ、サメ、エイ、ギンザメ、サケ、エビ、カニなど)由来の軟骨形成細胞を用いてもよい。

【0018】
血管細胞は、血管組織から分離することができるが、血管組織から分離された細胞に限定されることはなく、iPS細胞やES細胞などの全能性あるいは多能性を有する細胞から分化誘導されたものであってもよい。血管細胞としては、血管内皮細胞が好ましく、本発明において「血管内皮細胞」とは、血管内皮を構成する細胞、又はそのような細胞に分化することのできる細胞(例えば、血管内皮前駆細胞、血管内皮幹細胞など)をいう。ある細胞が血管内皮細胞であるかどうかは、マーカータンパク質、例えば、TIE2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、CD31が発現しているかどうかを調べることにより確認できる(前記マーカータンパク質のいずれか一つあるいは複数が発現していれば血管内皮細胞であると判断できる)。また、血管内皮前駆細胞のマーカーとしては、c-kit、Sca-1などが報告されており、これらのマーカーの発現により、血管内皮前駆細胞であることを確認しうる(S Fang,et al. PLOS Biology. 2012;10(10):e1001407.)。当業者間で使用されている用語のうち、endothelial cells、umbilical vein endothelial cells、endothelial progenitor cells、endothelial precursor cells、vasculogenic progenitors、hemangioblast(HJ. Joo, et al. Blood. 25;118(8):2094-104.(2011))などは本発明における血管内皮細胞に含まれる。血管細胞は、主としてヒト由来のものを用いるが、ヒト以外の動物(例えば、実験動物、愛玩動物、使役動物、競走馬、闘犬などに利用される動物、具体的には、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ニワトリ、サメ、エイ、ギンザメ、サケ、エビ、カニなど)などの動物由来の血管細胞を用いてもよい。血管細胞は、臍帯血、臍帯血管、新生児組織、肝臓、大動脈、脳、骨髄、脂肪組織などから得られる。

【0019】
軟骨形成細胞と血管細胞は、生体から採取した細胞、生体から採取した細胞を初代あるいは継代培養した細胞、さらには株化された細胞、全能性あるいは多能性を有する細胞(例えば、未熟細胞、前駆細胞、幹細胞、iPS細胞、ES細胞等)から分化誘導した細胞など、いずれの細胞であってもよい。また、軟骨形成細胞と血管細胞は、同じ個体に由来するものであっても、異なる個体に由来するものであってもよい。再生医療に応用される場合には、軟骨形成細胞と血管細胞(特に、血管細胞)は、免疫拒絶されないHLA型であることが好ましい。

【0020】
共培養における二種類の細胞の培養比は軟骨が形成できる範囲内であれば特に限定されないが、好適な細胞の数比は、軟骨形成細胞:血管細胞=1:0.4~1である。

【0021】
軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することで、軟骨形成細胞と血管細胞との相互作用により、軟骨形成細胞が軟骨に運命づけされたPre-chondrocyte(immature chondrocyte、未熟軟骨細胞)という状態へと変化するとともに、細胞増殖が活性化される。

【0022】
本発明の方法により調製される「軟骨細胞」の概念には、完全に分化した軟骨細胞だけではなく、未熟軟骨細胞(Pre-chondrocyte(immature chondrocyte))、軟骨前駆細胞、軟骨幹細胞、それらの混合物なども包含される。軟骨への分化は、Alcian Blue染色、未(脱)分化状態を示すマーカー(例えば、Collagen 1、CD44)発現の減弱、軟骨分化マーカー(例えば、Sox9、RUNX2、Aggrecan、Collagen II、Versican、Elsatin、CSPG)発現の増強などによって、確認することができる。

【0023】
軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することで、軟骨形成細胞が増幅する。(後述の実施例1、図6)細胞の増幅とは、細胞が自己複製して、増殖することをいう。

【0024】
また、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、三次元組織が形成されうる。三次元組織は、支持体上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより、形成することができる。支持体は、0.5~25 kPaの硬度を有する基材であるとよく、そのような基材としては、ゲル(例えば、原液~4倍希釈マトリゲル(登録商標)、アガロースゲル、アクリルアミドゲル、ハイドロゲル、コラーゲンゲル、ウレタンゲルなど)を例示することができるが、それに限定されることはない。0.5~25 kPaの硬度を有する基材上では、大型(すなわち、2~3 mm程度又はそれ以上の大きさ)の三次元組織を形成することができる。このような大型の三次元組織は皮下への大量移植に適している。(後述の実施例4、図13)
ゲルのような支持体ではなく、底面に細胞が集まるような形状(例えば、U底形状、V底形状など)のプレート上で軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することによっても、三次元組織を形成することができる。このようなプレート上では、小型(すなわち、数百μm程度又はそれ以下の大きさ)の三次元組織を形成することができる。このような小型の三次元組織は関節軟骨欠損部への移植に適している。(後述の実施例5、図14)
軟骨形成細胞と血管細胞との共培養開始から1日程度で三次元組織の形成が観察され、さらに培養を続けると(共培養開始から2日程度)、三次元組織に血管構造の形成が認められ、その後(共培養開始から10日程度)、血管構造の消失が起こることが確認されている。

【0025】
共培養の際に使用する培地は、軟骨形成細胞と血管細胞を維持することができる培地であればよいが、線維芽細胞増殖因子2(bFGF(FGF2))、線維芽細胞増殖因子5(FGF5)、骨形成因子2(BMP2)、骨形成因子4(BMP4)、骨形成因子6(BMP6)、結合組織増殖因子(CTGF)、トランスフォーミング増殖因子β1(TGF-β1)、トランスフォーミング増殖因子β2(TGF-β2)、トランスフォーミング増殖因子β3(TGF-β3)、インスリン様成長因子1(IGF-1)、肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子4(FGF4)、骨形成因子3(BMP3)、アグリカン(Aggrecan)、ヒアルロン酸(Hyaluronic Acid)、内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECDGF)、上皮成長因子(EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic FGF)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液(BPE)、糖質コルチコイド、コレステロール、各種ビタミンからなる群より選択される少なくとも1つの成分を含むとよい。これらの成長因子またはホルモン類は単独で、あるいは適宜混合して、培地に添加するとよい。糖質コルチコイドとしては、ハイドロコーチゾン、コーチゾン、コーチコステロン、デキサメサゾン、トリアムシノロン、プレドニゾロン等が例示される。各種ビタミンとしては、ビタミンC等が例示される。bFGF(FGF2)、FGF5、FGF5、BMP2、BMP4、BMP6、CTGF 、TGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、IGF-1、HGF、EGF、FGF4、BMP3、Aggrecan及びHyaluronic Acidは、軟骨への分化をサポートすることができる。内皮細胞成長因子(ECGF)、内皮細胞増殖因子(ECGS)、内皮細胞由来成長因子(ECDGF)、上皮成長因子(EGF)、酸性繊維芽細胞成長因子(acidic FGF)、塩基性繊維芽細胞成長因子(bFGF)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)、マクロファージ由来成長因子(MDGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、腫瘍血管新生因子(TAF)、血管内皮増殖因子(VEGF)ウシ脳抽出液(BBE)、ウシ脳下垂体抽出液(BPE)、糖質コルチコイド(ハイドロコーチゾン、コーチゾン、コーチコステロン、デキサメサゾン、トリアムシノロン、プレドニゾロン等)、コレステロール、各種ビタミン等は、血管細胞の生存をサポートすることができる。なお、三次元組織化には、上記のようなタンパク質製剤の存在を必須とするわけではなく、培地はどのようなものであってもよく、血管細胞を維持する培地であればよい。

【0026】
三次元組織の分化段階は、Pre-chondrocyte(immature chondrocyte)、Mature Chondrocyteなど、いずれの状態であってもよい。

【0027】
三次元組織の形状は、通常、球状であるが、基材の設定により、耳などの複雑な形状を作製してもよく、特に限定されるものではない。
本発明の方法により形成される三次元組織は、ピンセット等で用手圧迫を行っても、組織が破壊されない程度の高い力学的強度を有しうる。

【0028】
培養時の温度は特に限定されないが、30~40℃とするのが好ましく、37℃とするのが更に好ましい。

【0029】
培養期間は特に限定されないが、1~20日とするのが好ましく、2~3日とするのが更に好ましい。

【0030】
上記の方法により調製された軟骨細胞(完全に分化した軟骨細胞、未熟軟骨細胞(Pre-chondrocyte(immature chondrocyte))、軟骨前駆細胞、軟骨幹細胞、それらの混合物などのいずれであってもよく、また、三次元組織を形成していても、形成していなくてもよい)は、凍結して、保存することができる。また、凍結後に、融解して、利用することもできる。従って、本発明の軟骨細胞の調製方法は、軟骨細胞を凍結する工程を含んでもよく、さらには、軟骨細胞を凍結する工程の後、融解する工程を含んでもよい。

【0031】
本発明の方法により調製された軟骨細胞は、軟骨再生医療に用いることができる。従って、本発明は、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより得られた軟骨細胞を含む、軟骨再生医療用組成物を提供する。

【0032】
軟骨形成細胞と血管細胞との共培養により、三次元組織を形成したものは、移植が容易であるので好ましいが、三次元組織を形成していなくとも、移植後に細胞が分散せずに留めておくことができるのであれば、軟骨の再生が可能であると考えられる。例えば、ペレット(遠心分離によりすべての細胞を沈ませた状態)状態でも移植が可能と考えられる。

【0033】
本発明の組成物は、生体内に移植し、軟骨組織を形成させるために用いることができる。従って、本発明は、上記の方法により調製された軟骨細胞を生体内に移植し、軟骨組織を形成させることを含む、軟骨再生方法も提供する。

【0034】
生体としては、ヒトの他、ヒト以外の動物(例えば、実験動物、愛玩動物、使役動物、競走馬、闘犬などに利用される動物、具体的には、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、イヌ、サル、ウシ、ウマ、ヒツジ、ニワトリ、サメ、エイ、ギンザメ、サケ、エビ、カニなど)を挙げることができる。

【0035】
本発明の組成物は、生体内に移植した後、血管網が構築されうる。(後述の実施例1、図2C、3、4)その血管網には血管潅流が生じうる。血管網に血管潅流が生じることにより、軟骨形成細胞が効率的に生着しうる。血管網は構築された後、消失し、血管構造を欠く軟骨組織が形成されうる。(後述の実施例1、図2C、3、4)軟骨細胞への分化誘導が開始することによって、次第に血管構造が排除されるとともに、軟骨形成細胞の終末分化が生じる。(後述の実施例1、図2C、3、4)

【0036】
生体への移植には、共培養開始から3日目程度のもの(三次元組織)が適しているようである。大型の軟骨を形成させるためには、皮下へ3mm程度のもの(三次元組織)を大量に(複数個~数十個:後述の実施例4、図13)移植を行うとよく、関節の欠損部位への移植には200μm-400μm程度のもの(三次元組織)を数百個移植するとよい(後述の実施例5、図14)。また、血管構造に関しては、認めたものの方が結果が良いことが多いが、必須ではない。物理的に(肉眼的に)3次元組織形成が良く、ある程度硬いものということが大切なようである。

【0037】
本発明は、顔面に変形を有する患者や、加齢・スポーツなどによる外傷で生じた関節症を有する患者等を対象とした軟骨再生医療を実現化するための、治療用3次元軟骨デバイスを製造する技術を提供する。現在の外科的治療や従来の再生医療技術と比べ、飛躍的な臨床的治療効果を有する軟骨再生医療が実施可能となる。

【0038】
本発明の方法により調製した軟骨細胞は、医薬品として有効な薬剤のスクリーニングにも利用可能である。本発明により、軟骨変性疾患を有する患者より採取した軟骨形成細胞より疾患モデル3次元軟骨組織を再構築することが可能となる。再構築された疾患モデル3次元軟骨組織は、新薬を開発する上で有益な創薬スクリーニング系となることが期待される。従って、本発明は、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより得られる軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、医薬品として有効な薬剤をスクリーニングする方法を提供する。

【0039】
例えば、形成された3次元軟骨組織を対象として、軟骨形成を促進する化合物をスクリーニングすることにより、軟骨が損傷を受けた際に有効な医薬品の開発につながる。このスクリーニングでは、例えば、三次元組織の培養系に候補物質を添加し、軟骨形成の促進の有無を調べることにより、有効な薬剤を選択することができる。

【0040】
他の例としては、炎症反応を抑制する化合物をスクリーニングすることにより、リウマチ性疾患や変形性関節症などの疾患治療に有効な医薬品の開発につながる。このスクリーニングでは、例えば、自己炎症性の関節疾患を有する患者より採取した滑膜細胞や軟骨細胞を用いて作成した三次元組織に対して、培養系で、薬剤を添加した際に、自己炎症性の関節疾患に関与するコラゲナーゼやプロテアーゼ(組織を溶かしてしまう酵素)の産生が抑制されるか否かを調べることにより、有効な薬剤を選択することができる。

【0041】
本発明のスクリーニング方法に供される被験物質は、いかなる公知化合物及び/又は新規化合物であってもよく、また、高分子化合物(例えば、核酸、糖、脂質、蛋白質、ペプチドなど)及び/又は低分子化合物のいずれか又は両方であってもよく、これらの物質は、天然由来のもの(例えば、微生物、動植物、海洋生物等に由来する天然成分など)であっても、合成されたもの(例えば、既存の化合物ライブラリー、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、ペプチドライブラリー、バーチャルライブラリーなど)であってもよい。

【0042】
また、本発明の方法により調製した軟骨細胞は、軟骨細胞が産生する基質の生産にも利用可能である。サメなどの動物由来軟骨組織より抽出されたコンドロイチン硫酸は広く保健機能食品として利用されている。本発明により人為的に再構築した軟骨組織は、食品関連産業においてコンドロイチン硫酸を効率的に製造する上で極めて有益な軟骨組織の供給源となる。従って、本発明は、軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより得られる軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、軟骨細胞が産生する基質を調製する方法を提供する。軟骨細胞が産生する基質としては、コンドロイチン硫酸の他、ヒアルロン酸、プロテオグリカン、コラーゲン、エラスチンなどを例示することができる。軟骨形成細胞を血管細胞と共培養することにより得られる軟骨細胞、該軟骨細胞から形成された軟骨組織及び/又は該軟骨組織由来の細胞を用いて、軟骨細胞が産生する基質を調製するには、細胞や組織の培養物から基質を抽出する公知の方法を用いればよい。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
〔実施例1〕ヒト軟骨前駆細胞を用いた弾性軟骨創出
1. 要約
成体軟骨組織は血管や神経を欠く単純な臓器であり、複雑な高次構造を有する固形臓器などと比較して、再生医療の早期実現化が期待される。これまでに様々な組織由来間葉系前駆細胞を用いて、成熟軟骨細胞の分化誘導を試みる研究が多数報告されている。しかし、成長因子を用いる従来の分化誘導法では、軟骨細胞への終末分化誘導効率が低いことが重大な未解決課題となっている。
【実施例】
【0044】
本研究では高効率な弾性軟骨創出法の開発を目指し、軟骨の生理分化プロセスの解明を試みた。軟骨前駆細胞を含む発生初期の耳介軟骨を独自のライブ観察系に導入しin vivoにおいて追尾定点観察を行ったところ、一過性に血液灌流が生じ血管内皮細胞が侵入することを見出した。これにより軟骨前駆細胞の増殖活性が一時的に亢進し、続く血管の退行に伴って終末分化誘導が生じることが明らかとなった。そこで、近年我々が同定したヒト軟骨前駆細胞を用いて、このような発生過程における一過性血管侵入を再現する新規培養系の構築を試みた。驚くべきことに、血管内皮細胞との共培養により、軟骨前駆細胞はin vitroで自律的に三次元組織を構築することが明らかとなった。さらに、この三次元組織を移植に用いることで、従来のペレット移植法と比較して、高効率に弾性軟骨を再構築することが示された。
【実施例】
【0045】
本技術によれば、成長因子や足場材料を用いる必要がないことから、安全性やコストの面で極めて有益な弾性軟骨再構築技術になるものと期待される。将来的に、患者のHLA型と一致した血管内皮細胞と低侵襲で採取培養した軟骨前駆細胞と共培養させ、三次元組織化を誘導し移植することで、頭蓋・顎・顔面領域の先天奇形や外傷に起因する組織変形の新たな治療法を提供できると考えられる。
【実施例】
【0046】
2. 緒言
頭蓋・顎・顔面領域の先天奇形や外傷に起因する変形は、全世界で100万人以上の患者が抱えている極めて重要な解決課題であり、これらの疾患に対する新しい治療法の開発が待ち望まれている1。現在、形成外科領域では顔面の変形や先天性奇形に対して、患者自身の軟骨組織を移植する手術が広く行われている2。組織移植に広く用いられている軟骨組織として肋軟骨が挙げられるが、採取に伴う術後の疼痛や胸部の瘢痕が問題となるばかりでなく、前胸部の変形をきたす症例もある。先天性の変形に対する手術は小児期に行われることが多いため、患者へ対する侵襲は相対的に大きく、その負担は計り知れない。また、軟骨組織移植に伴う経年的な組織変形と吸収や、骨組織移植に伴う経月的な組織吸収も極めて大きな問題となっており臨床的に満足のいく長期成績が得られていない3-7。合成高分子化合物などの医用材料を移植する方法もあるが8-13、それらが人体にとって異物であることから、感染や炎症、皮膚穿孔などが生じることが知られており、これらの問題が未解決である12,13。このような問題点を克服することの可能な新しい治療法として、組織再生工学を用いたヒト弾性軟骨の臨床的再構築法の開発が切望されている。
【実施例】
【0047】
ヒト弾性軟骨の再構築に適応可能な細胞源として、幾つかの可能性が示唆されている14-16。ヒト耳介軟骨細胞は軟骨分化能などの優位性を有しているが、採取部位への侵襲に加え、自己複製能を有する幹細胞が存在しないために、細胞寿命に起因する長期的な組織維持が困難であることが問題となっている。骨髄由来のヒト間葉系幹細胞は、これらの諸問題を解決できる可能性を持つ細胞の一つであるが17,18、骨髄穿刺の侵襲が大きいこと、成熟軟骨細胞への分化能が極めて低いこと、血管侵入や石灰沈着をきたすことなどの様々な問題を抱えているため実用化の可能性は低い19-21。他にも脂肪組織由来のヒト間葉系幹細胞など候補となる細胞は存在するものの、いずれも成熟軟骨細胞への分化能力が低く、弾性軟骨における細胞外基質の産生能は全く確認されていないことから、ヒト弾性軟骨の再構築に応用可能な優れた細胞源は見いだされていないのが現状である22-24
【実施例】
【0048】
ヒト弾性軟骨による再生治療を実現するためには、低侵襲操作で採取が可能であり、高い増殖活性、成熟軟骨細胞への高い分化能、自己複製能を持つヒト軟骨前駆細胞を同定し、これらの分離・培養法、分化誘導法などに関する様々な細胞操作技術を開発することが必要である。
【実施例】
【0049】
先行研究において、BrdU Labeling retaining assayによりマウス耳介軟骨膜部にのみBrdU投与後1年にわたりLabel Retaining Cells ( LRCs )が存在することを確認し25、軟骨膜に軟骨前駆細胞が存在することが示唆された。そこで、ヒト軟骨膜に、前駆細胞の特徴である高い増殖能、多分化能を有する細胞集団が存在することを明らかにし、前駆細胞を分離・培養する技術を開発した26
【実施例】
【0050】
一方で、軟骨細胞への分化誘導因子の探索を目的として、分子生物学的解析が実施され、軟骨分化の進行には、増殖、分化を制御する多様な成長因子が介在していることが明らかとなってきている。その一つの例としてFGFs(Fibroblast Growth Factors)が挙げられる。FGFsは、1974年にGospodarowiczらにより、ウシ脳抽出液中に線維芽細胞の増殖を促進する増殖因子として発見され27、1977年に仔ウシの軟骨から精製することに成功している28。FGFR遺伝子に変異が起こることで、頭蓋縫合早期癒合症や四肢の短縮が起こる軟骨無形成症、軟骨低形成症29,30などの遺伝性骨形成疾患が発生することが明らかになり、FGFシグナルの骨・軟骨形成における役割が注目されている。またその他にも、TGF-βレセプターのキナーゼ領域を欠失させたドミナントネガティブ型レセプターを発現するトランスジェニックマウスが、変形性膝関節症様症状を呈した31。分子生物学的解析により、TGF-β によるSmad2/3を介したシグナルがSox9の転写活性を促進し、Co12a1遺伝子のエンハンサー領域においてSox9とCBP/p300との複合体形成を調節することで、軟骨の初期分化を促進していることを明らかになっている32。このことから、軟骨前駆細胞や間葉系幹細胞を軟骨分化誘導するには、TGFsやFGFsなどの成長因子を添加することが必要であると考えられる33,34。実際に、Insulin-like Growth Factor-I、basic-FGFの二つの成長因子を添加することで、軟骨前駆細胞に軟骨分化誘導を行う方法が標準的である。しかし、生着率が低いなどの理由から軟骨再構築をする効率が低いことが課題となっている。同様に、間葉系幹細胞から軟骨分化誘導を行う研究が多く成されているが35-38、どの方法においても軟骨再構築をする効率が低いことが課題となっている。
【実施例】
【0051】
発生の初期において、未分化な間葉系細胞から分化した軟骨前駆細胞が出現し、間充織凝集を経て、軟骨細胞へ分化・成熟することで、軟骨組織が形成される。しかし、軟骨前駆細胞の生理分化プロセスには未だに不明な点が多い。そこで、これまで全く未解明であった生理分化プロセスを明らかにし、それらの相互作用を再現化することによる高効率な弾性軟骨創出法の確立を目指した。
【実施例】
【0052】
3. 材料と方法
3-1. クラニアルウインドウの作製
6週齢で雌のNOD/SCIDマウスを、三協ラボサービス株式会社より購入した。購入したマウスは、横浜市立大学 先端医科学研究センター 共同研究支援部門動物実験センター内において飼育・維持され、これらを用いた動物実験に関しては、横浜市立大学福浦キャンパス動物実験指針に則って行った。
クラニアルウインドウ作製は主にYuanらの方法に従い行った39。麻酔はケタラール(Sankyo Yell Yakuhin Co.)90 mg/kg, キシラジン(Sigma Chemical CO.)9 mg/kgを滅菌処理したPBSで1個体200 μlの投与量になるように調製し、大腿部筋肉内注射により実施した(ケタラール・キシラジン混合麻酔)。ケタラールは麻薬管理法に従い使用した。70 %エタノールでNOD/SCIDマウス頭部を消毒し、頭部皮膚を切開し、頭蓋骨表面の骨膜を綿棒により除去したのち、歯科用マイクロドリル(Fine Science Tools)を用いて頭蓋骨を円形に薄削し、慎重に取り除いた。続いてピンセットを用いて硬膜を剥離した。出血した際には、スポンゼル(Astellas Co.)を用いて止血を行った。出血が見られないことを確認した後、生理食塩水(Otuka Pharmaceutical Co.)で脳表面を満たして、直径7 mmの特注円形スライドガラス(MATSUNAMI)を表面に乗せ、コートレープラスチックパウダー(Yoshida)とアロンアルファ(Toagosei CO.)をセメント状になるように混合した接着剤により強固に封入した。
【実施例】
【0053】
クラニアルウインドウ作製から1週間経過後、手術部に出血や炎症が見られないマウスを今後の実験に用いた。
【実施例】
【0054】
3-2. 共焦点顕微鏡による観察
作成されたクラニアルウインドウマウスにケタラール・キシラジン混合麻酔を腹腔投与後、頭部ガラスが水平になるよう仰向けにしたマウスをカバーガラス上にセロハンテープで固定し、GFP-mouse(C57BL/6-Tg(CAG-EGFP))(日本SLC)の未成熟な軟骨組織や細胞の観察を行った40,41。観察には、共焦点顕微鏡(Leica)を用いた。また、マウスの血流を可視化するため、尾静脈から29 Gの注射器(Termo)でfluorescein isothiocyanate-conjugated dextran(MW 2,000,000)、tetramethylrhodamine-conjugated dextran (MW 2,000,000)を100μl、マウスの血管構造を可視化するために、尾静脈からAlexaR647-conjugated mouse-specific CD31 antibody(BD Biosciences Pharmingen) 100μl投与した。
【実施例】
【0055】
3-3. 組織化学染色
摘出した組織、および各発生段階の野生型C57BL/6Jマウス(日本SLC)耳介を、4 %パラホルムアルデヒド(PFA)(Wako)/リン酸緩衝食塩液(PBS)(pH7.4)で4 ℃、2時間固定した。次に、100 mM塩化アンモニウム(Wako)/PBSで4 ℃、10分間、3回洗浄した.そして、15 %スクロース(Wako)/PBSに4 ℃、1 時間浸した後,30%スクロース/PBSで4 ℃、over nightで静置した。O.C.T. Compound(SAKURA Japan)(30 ml)に組織を包埋した。4 ℃、1 時間静置した後、液体窒素で急速凍結し、凍結ブロックを作製した。凍結ブロックをクリオスタットHM 500 O(ZEISS)で5 μmの厚さに薄切し、凍結組織切片を作製した。作成した組織切片は、Alcian Blue染色(武藤化学薬品)、Elastica Van Gieson染色(武藤化学薬品)を行った。
【実施例】
【0056】
Alcian Blue染色は、1×PBS(phosphate-buffered saline)で洗浄してOCT Compoundを除去後、3%酢酸水で3分間前処理をし、Alcian blue染色液で60分間染色した。3 %酢酸水で染色液を落とし純水で洗浄後、ケルンエヒトロートで5分間核染色した。余分なケルンエヒトロートを純水で落とした後、上昇エタノール系列にて脱水し、キシレンで透徹処理した。
【実施例】
【0057】
Elastica Van Gieson染色は、OCT Compoundを除去後、1 %塩酸70 %エタノールで3分間前処理をし、ワイゲルト・レゾルシンフクシン液で60分間浸漬した。1 %塩酸70 %エタノールで染色液を落とし、ワイゲルト鉄ヘマトキシリン液で5分間核染色した。微温湯で色出しを行い、ワンギーソン液で15分間浸漬し、上昇エタノール系列にて脱水し、キシレンで透徹処理した。
【実施例】
【0058】
3-4. 免疫組織化学染色
摘出した組織、および各発生段階の野生型C57BL/6Jマウス(日本SLC)耳介を、4 %パラホルムアルデヒド(PFA)(Wako)/リン酸緩衝食塩液(PBS)(pH7.4)で4 ℃、2時間固定した。次に、100 mM塩化アンモニウム(Wako)/PBSで4 ℃、10分間、3回洗浄した。そして、30%スクロース/PBSで4 ℃、over nightで静置し、O.C.T. Compound(SAKURA Japan)(30 ml)に組織を包埋した。30分静置した後、液体窒素で急速凍結し、凍結ブロックを作製した。凍結ブロックをクリオスタットHM 500 O(ZEISS)で5 μmの厚さに薄切し、凍結組織切片を作製した。作成した組織切片を0.1%tween-TBSで洗浄してOCT Compoundを除去後、凍結切片周囲のTBS-Tを拭き取り、染色対象を撥水ペン(DAKO)で囲むように書き、撥水処理を施した。次に、protein block Serum-Free Ready-to-use(Dako)を用い、4 ℃で24時間ブロッキングを行った。一次抗体には、一次抗体は4℃で一晩反応させた。処理後、TBS-Tで5分間3回洗浄し、二次抗体を滴下し、室温で2時間反応させた。TBS-Tで5分間3回洗浄し、DAPIを添加したFA Mounting Fluid(Becton Dickinson)にて核染色および封入を行った。一次抗体および二次抗体の希釈には、protein block Serum-Free Ready-to-use(Dako)を用いた。
【実施例】
【0059】
一次抗体は、Alexa Fluor647 anti-mouse CD31(Biolegend)(1:200)、rabbit anti-polyclonal laminin(Dako)(1:200)、mouse anti-mouse/human CD44(Biolegend)(1:200)、Rabbit anti-polyclonal Ki67(Abcam)(1:200)、rabbit anti-human Collagen type I(MONOSAN)(1:200)、mouse anti-chicken Collagen type II(CHEMICON)(1:200)を使用した。
また、二次抗体は、
Alexa488 Goat Anti-mouse IgG1(Molecular Probe)(1:500)、
Alexa555 Goat Anti-rabbit IgG(Molecular Probe)(1:500)、
Alexa555 Goat Anti-mouse IgG2b(Molecular Probe)(1:500)、
Alexa555 rabbit Anti-rat IgG2b(Molecular Probe)(1:500)、
Alexa546 Goat Anti-rabbit IgG(Molecular Probe)(1:500)、
を使用した。観察には、蛍光顕微鏡(Zeiss)を用いた。
【実施例】
【0060】
3-5. ヒト耳介軟骨からの軟骨膜組織、軟骨組織の分離
横浜市立大学附属病院倫理委員会より承認を得て(approval #03-074)、小耳症患者より手術の際に余剰となる残存耳介弾性軟骨を供与頂き、研究を遂行した。
【実施例】
【0061】
提供されたヒト耳介弾性軟骨は、実体顕微鏡下で軟骨膜組織、軟骨組織の2層に分離した。
【実施例】
【0062】
3-6. ヒト耳介軟骨膜細胞、軟骨細胞の培養
実体顕微鏡下で軟骨膜部、軟骨実質部の2層に分離し、組織を細切にした。その後0.2 %Collagenase TypeII(Worthington)に懸濁・振蕩し、基質を分解し細胞を分離した。その際、軟骨膜組織と軟骨膜は2時間、軟骨組織は10~15時間振蕩した。各組織の細胞懸濁液は100 μmのCell Strainer (BD Falcon)で濾過し、遠心分離 (1500 rpm、4 ℃、5 min)した。上清を除去後、Standard medium( 10 %Fetal Bovine Serum(FBS;GIBCO)、1 %Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDULBECCO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM NUTRIENT MIXTURE F-12 HAM(D-MEM/F-12;SIGMA))で洗浄し、遠心分離(1500 rpm、4 ℃、5 min)を行った。回収した各細胞は、35 mmイージーグリップ細胞培養ディッシュ(FALCON)あるいは60 mm細胞培養ディッシュ(FALCON)に播種した。細胞は気相条件を37 ℃、CO2濃度5 %に設定したインキュベーター内で培養を行った。
【実施例】
【0063】
細胞の継代は、0.2 %Collagenase typeII(Worthington)を含有するDulbecco’s modified Eagle medium and Ham’s F-12 medium(D-MEM/F-12;SIGMA)を用いて行った。培地を除去したディッシュに上記の0.2 %Collagenase溶液を注入し、インキュベーター内で20分静置し、Standard mediumを加え、ピペッティングし細胞を回収した。回収した細胞は遠心分離(1500 rpm、4 ℃、5 min)を行い、洗浄を行った後、ディッシュに播種し再び培養した。ディッシュがコンフルエントに達した際に同様の継代操作を施行し、その操作を繰り返した。
【実施例】
【0064】
3-7. ヒト臍帯静脈血管内皮細胞の培養
正常ヒト臍帯静脈内皮細胞(Normal Human Umbilical Vein Endothelial Cells: HUVEC) (Lonza)の継代は、1×PBSで3回洗浄後、0.05 % Tripysin-EDTA(Gibco)を1 ml注入し、インキュベーター内で1分間静置し、Endothelial Cell Growth Medium SingleQuots Supplements and Growth Factors(EGM)(Lonza)を加えてピペッティングし細胞を回収した。回収した細胞は遠心分離(950 rpm、4 ℃、5 min)を行い、洗浄を行った後、ディッシュに播種し再び培養した。ディッシュがコンフルエントに達した際に同様の継代操作を施行し、その操作を繰り返した。
【実施例】
【0065】
3-8. レトロウイルスベクターによる蛍光標識
全ての遺伝子組み換え実験は、横浜市立大学DNA組み換え委員会の了承を得たうえで、P2レベル安全キャビネット内にて施行した。
【実施例】
【0066】
ウイルスベクターpGCDΔNsamEGFPおよびpGCDΔNsamKOの産出は以下の方法で行った。293GPG/pGCDΔNsamEGFP細胞および293GPG/pGCDΔNsamKO細胞を、poly-L-lysineでコーティングしたディッシュへ播種し、専用に調整した培地(293GPG mediumと示す)を用いて培養した。すなわち、DMEM (SIGMA)中へ10% fetal bovine serum(GIBCO、USA)、2 mmol/L L-glutamine (Gibco)、1penicillin/streptomycin(Gibco)、1 μg/mL Tetracycline hydrochloride(SIGMA T-7660)、2 μg/mL Puromycin(SIGMA P-7255)、0.3 mg/mL G418(SIGMA A-1720)を含むものを用いた。培養は37℃、10%CO2のインキュベーター内で培養した。約80 %コンフルエント状態まで培養した後、培地を293GPG mediumからTetracycline hydrochloride、Puromycin、G418を抜いた培地(293GP mediumと示す)へ置換した(Day 0とする)。Day 3で培地を交換した後、Day4からウイルスを培地ごと回収し、再び293GP mediumで満たした。回収した培地を0.45μmフィルターでろ過し一時的に4℃で保管した。上記の手順でDay7まで回収したものを6000xg、4℃、16時間遠心し、ペレットへ400μL のStempro (invitrogen)を添加し、4℃、72時間振とう後、この-80℃で回収・保存した。(100倍濃縮ウイルス溶液と示す)。
【実施例】
【0067】
ヒト耳介軟骨膜細胞、HUVECの2種類の細胞を30~50%コンフルエント状態になるまで培養し、それぞれの培地にProtamine (Sigma)を終濃度0.4μm/mLになるように加え、HUVECへはpGCDΔNsamEGFPおよびpGCDΔNsamKO、hMSCへはpGCDΔNsamKO、hFLCへはpGCDΔNsamEGFPの100倍濃縮ウイルスを添加した。37℃、5%CO2のインキュベーター内で4時間感染させ、PBSで2回洗浄後、培地を新鮮なものに交換し、再び37℃、5%CO2インキュベーター内で培養した。この操作を4回繰り返し、FACS CANTOを用いて各細胞へのウイルスベクター導入効率を算出した。
【実施例】
【0068】
3-9. 増殖能の比較
軟骨膜細胞を4.0×104 cells/cm2の密度で播種し,増殖培地で培養を行った。24時間後に、軟骨膜細胞、HUVECそれぞれを4.0×104 cells/mlの密度で播種したCell Culture Inserts(BD Falcon)を挿入した。12日間培養後、培地にNuc Blue Live Cell Stain(Molecular Probes)一滴添加した。インキュベーター内で10分静置後、IN Cell analyzer2000(GE)で細胞数を測定した。なお、本検討においては、増殖培地としてStandard medium ( 10 %Fetal Bovine Serum(FBS;GIBCO)、1 %Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDULBECCO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM NUTRIENT MIXTURE F-12 HAM(D-MEM/F-12;SIGMA))を用いて培養を行った。
【実施例】
【0069】
3-10. FACSを用いた細胞表面抗原の解析
軟骨膜細胞を1.0×105 cells/mlの密度で播種し,増殖培地で培養を行った。24時間後に、軟骨膜細胞、血管内皮細胞それぞれを7.5×104 cells/mlの密度で播種したCell Culture Insert(BD)を挿入した。3日間培養後、培地を除去したディッシュに上記の0.2 %Collagenase溶液を注入し、インキュベーター内で20分静置し、Standard mediumを加え、ピペッティングし細胞を回収した。
【実施例】
【0070】
各細胞毎にFluorescein isothiocyanate (FITC)、 Phycoerythrin(PE) 、 Allophycocyanin(APC)抱合モノクローナル抗体を用い、氷上で30分間染色した。3度の洗浄後、 1 μg/mlのpropidium iodide(PI) を含むPBSに懸濁し、 FACSによる解析を行った。解析にはMoFlo cell sorter (DakoCytomation)を用いた。軟骨膜細胞に対し、fluorescent-conjugated mouse anti-human CD44(BD science)、CD90(BD science)を用いてソーティングを行った。ソーティングに際し、細胞の残骸、死細胞やダブレットは前方散乱光、側方散乱光、PIによって除去した。
【実施例】
【0071】
3-11. 従来法による軟骨再構築
耳介軟骨膜細胞を用いて積層化培養によって軟骨細胞へ分化誘導を行った。軟骨膜細胞を2.5×104 cells/cm2に調整し細胞培養ディッシュ(FALCON)に播種した。播種後2日間、Standard mediumで培養し、細胞の接着を促した後、軟骨分化誘導培地を用いて5日間培養した。軟骨分化誘導培地は10 %FBS(GIBCO)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution、L-ascorbic acid 2-phosphate(WAKO)、Dexamethasone(SIGMA)、Insulin Growth Factor-I(SIGMA)、basic Fibroblast Growth Factor(科研製薬)を含有するD-MEM/F-12 medium(SIGMA)である。軟骨分化誘導培地を用い7日間培養を行った後、別に用意した細胞を5×104 cells/cm2に調整し、上から播種し積層化した。2層目を播種後、1層目と同様に2日間はStandard mediumで培養を行い、その後軟骨分化誘導培地を用いて5日間培養を行った。この操作をもう一度繰り返し、計3層に重層化した。なお、細胞の培養はすべて、気相条件を37℃、CO2濃度5%に設定したインキュベーター内で行った。分化させた各細胞は、セルスクレイパー(IWAKI)を用いて剥離した。クラニアルウインドウ内に移植し、共焦点顕微鏡を用い観察を行った。
【実施例】
【0072】
3-12. 三次元組織化の誘導
24-well plateに150 μmのEGMとMatrigelをそれぞれ添加し、インキュベーター内で30分静置した。1.0×105 cells/mlの軟骨膜細胞、HUVECの各細胞懸濁液を混合し、遠心分離(950 rpm、4 ℃、5 min)を行い、回収した細胞を少量の増殖培地でウェルに播種した。5~20分静置後、Endothelial Cell Growth Medium SingleQuots Supplements and Growth Factors(EGM)よりEGF添加を行わない培地(EGM-ΔEGF)(lonza)を1 ml添加し、1日毎にEGMを交換し、3日間培養した。なお、10 %Fetal Bovine Serum(FBS;GIBCO)、1 %Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDULBECCO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM NUTRIENT MIXTURE F-12 HAM(D-MEM/F-12;SIGMA))を用いて培養を行った。
誘導した三次元組織をクラニアルウインドウ内に移植し、肉眼および共焦点顕微鏡によるライブイメージングを実施するとともに、移植15、30、60日後に摘出し、組織化学染色を行った。
【実施例】
【0073】
移植片への血液灌流を阻害するために、作成されたクラニアルウインドウマウスの脳の上にナノメッシュ(pore size = 0.45 μm)を敷き、細胞を移植した。
【実施例】
【0074】
3-14. アルシアンブルー陽性領域の定量
Alcian Blue染色した組織切片を、HSオールインワン蛍光顕微鏡(KEYENCE)により組織全体像の画像を取得し、Image J (http://rsb.info.nih.gov/ij/)により、陽性領域を定量した42
【実施例】
【0075】
3-15. 統計解析について
データは、少なくとも3人以上の独立した検体による実験から得たmean±s.d.を表記した。統計学的解析には、まず3あるいは4群のデータに対しKruskal Wallis-H testを行い、P<0.01と判定された場合に、 Mann-Whitney’s U test with Bonferroni correctionによる多重比較検定を行った。有意確率P値がP<0.001またはP<0.01を満たす場合を統計学的有意差ありと判定した。
【実施例】
【0076】
4. 結果
4-1. 軟骨形成プロセスの追尾定点観察
E17.5のEGFP遺伝子改変マウスの耳介軟骨をクラニアルウインドウ内に移植し、共焦点顕微鏡を用いたライブイメージングを行うことで、軟骨前駆細胞が成熟軟骨細胞に分化するまでの追尾観察を行った。肉眼観察で、移植後1、2目に、移植片の血管とホストマウスの血管の吻合が起き始めていることを確認できた。しかし、移植後5日目以降は、完全に血管が吻合していることが確認された。移植後5日目から血管が徐々に退行していき、移植後11日目には、ほぼ完全に血管が移植片から退行していた(図2A)。tetramethylrhodamine-conjugated dextranとAlexa647-conjugated mouse specific CD31 (mCD31) antibody を血管内に投与することでマウスの血管内皮細胞と血流を可視化したところ、移植後3日に、血流を有した血管が移植した耳介軟骨に侵入していることが確認できた。移植後7日には、一部の血管内皮細胞だけ残し、血管網は退行していた (図2B)。 同時に、円形の形態をしている軟骨前駆細胞が、軟骨細胞と同様な敷石状の形態へと変化していた。移植後10日には、移植した耳介軟骨からは血管が完全に退行していた(図2B)。移植後20日に、軟骨組織を包むように血管を有した軟骨膜組織を形成し、軟骨組織を構成する細胞は敷石状の形態を示した(図2B)。先行研究により、成体のヒトとマウス両方の耳介の軟骨膜組織に、高い軟骨分化能を有している軟骨前駆細胞が存在していることを明らかになっている。移植後20日経過した移植した耳介軟骨は弾性軟骨を形成しているかを組織学的解析により確認したところ、Alcian Blue染色によってプロテオグリカンを産生する軟骨組織が形成され、弾性繊維を染色するElastica Van Gieson染色により、弾性軟骨が形成したことが示された(図2C)。肉眼で、血管退行が起き始めている移植後5日目以降から、移植した発生初期の耳介軟骨が成長していくことが確認できた(図2A)。
【実施例】
【0077】
4-2. 発生初期のマウス耳介軟骨における一過性血管侵入
血管内皮細胞を支持している基底膜の構成タンパク質であるラミニン、血管内皮細胞マーカーであるmCD31により、E18.5、P0、P2、P10、P30の発達段階の耳介軟骨をクリオスタットで凍結組織切片を作製し、免疫組織化学染色を行った。E18.5の段階で、ラミニン、mCD31を発現する細胞が軟骨形成予定部位に存在していた。P0では、E18.5と比較して血管が多く存在し、P2で最も多くの血管を確認できた。一方で、P10では、血管をわずかに観察することができたが、P30では全く観察することは出来なかった(図3A)。P0、P2、P10、P30の段階での、ラミニン、mCD31を発現する血管と軟骨前駆細胞との距離を測定したところ、P2で最も短い距離(17.8 μm)を計測した (図3B)。
【実施例】
【0078】
4-3. 従来の軟骨再構築法における一過性血管侵入
軟骨再構築過程においても血管の侵入が起きているかを検証した。成長因子を添加した分化培地を用い、重層化させることにより、軟骨前駆細胞に軟骨分化誘導を行った。培養上清が粘性を帯びたときに、セルスクレイパーを用いて細胞を回収し、ペレット化することで、クラニアルウインドウに移植した(図4A)。fluorescent-conjugated dextranを血管内に投与することで血流を可視化したところ、10日後に移植したペレットに血管が侵入していき、移植30日後まで血管は侵入したままであった。60日後になると、移植したペレットから血管は完全に退行した(図4B) 。軟骨前駆細胞が成熟軟骨細胞へ分化したかを、組織学的解析により確認したところ、血管が侵入していた移植後10日ではAlcian Blue染色で染色されることはなかったが、移植後30日ではわずかに青色を呈していた。血管の完全に退行している移植後60日後には、濃い青色に染色されており、プロテオグリカンを産生する成熟軟骨細胞へと分化していることが確認できた。
【実施例】
【0079】
4-4. 血管内皮細胞による軟骨前駆細胞の増殖能への影響
血管が侵入する発生初期の耳介軟骨において、細胞が増殖しているかを検討した。血管が侵入していたP0、P2と、完全に血管が退行していたP30の耳介軟骨を用いて、Ki67とCD44により免疫組織化学染色を行った。増殖中の軟骨前駆細胞を、軟骨前駆細胞の特異的マーカーとして我々が報告しているCD4443と細胞増殖マーカーであるki67により観察した。血管が侵入していた段階であるP0、P2において、Ki67陽性細胞を観察することができ、最も血管の侵入していたP2の段階で最もKi67陽性細胞を確認できた。血管の退行しているP30では、Ki67陽性細胞は観察できなかった(図5)。次に、軟骨前駆細胞を低密度で播種し、Transwell assayによりヒト臍帯静脈内皮細胞(Normal Human Umbilical Vascular Endothelial Cells: HUVEC)と共培養することで、血管内皮細胞による軟骨前駆細胞の増殖能への影響を評価した。コントロールとして、間葉系幹細胞、繊維芽細胞や軟骨細胞と共培養を行った。共培養を始めて12日後、HUVECと共培養したものは細胞が密な状態に成り、ほぼコンフルエントになった。In cell analyzerにより細胞数を定量したところ、軟骨前駆細胞のみでは約2500 cells/cm2であったのに対して、HUVECと共培養を行った軟骨前駆細胞では約4000 cells/cm2であった。また、間葉系幹細胞、繊維芽細胞や軟骨細胞と共培養を行ったが、軟骨前駆細胞の増殖能への影響は見られなかった(図6A)。次に、フローサイトメトリーを用いて、共培養することによる細胞の表面抗原の変化を解析した。先行研究により、CD44+ CD90+細胞がヒト軟骨前駆細胞であると同定している。内皮細胞と共培養して12日後、コントロールである軟骨前駆細胞のみでは、CD44+ CD90+細胞は全体の0.79 %であったのに対して、HUVECと共培養することでCD44+ CD90+細胞は、12.44 %へと増加した (図6B)。
【実施例】
【0080】
4-5. 血管内皮細胞との共培養による軟骨前駆細胞の三次元組織化
軟骨前駆細胞と内皮細胞との相互作用を再現することによる、足場材料や成長因子を使わない三次元培養系を開発した。ヒト軟骨前駆細胞とHUVECをマトリゲル上で共培養すると、播種後12時間で細胞が少しずつ凝集していき、48時間後には直径約3 mmの三次元構造を自律的に形成した(図7A)。この三次元組織は、一定の力学強度を有しており、形状を崩すことなく、薬さじで掬い上げることでマウスのクラニアルウインドウ内に移植することが出来た。肉眼で、E17.5のマウスの未成熟な耳介軟骨を移植した時と同様に、移植後3日に、移植片への血流が再開し始めた。移植後10日後には、完全にHUVECとマウスの血管が吻合することで、移植片内に血管網が構築されていることが確認でき、一過性血管侵入を再現することが出来た(図7B)。血管侵入している部位を追尾観察していくと、移植後30日では、血管網が完全に無くなり、軟骨前駆細胞は、軟骨細胞と同様な敷石状の形態に変化したことから、軟骨前駆細胞は、成熟軟骨細胞へ分化したと考えられる。ライブイメージング解析でも同様に、移植後3日にはHUVECが血管網を構築し、移植後30日には完全に退行することが確認できた。移植した三次元組織が軟骨組織を形成したかを、組織学的解析により確認したところ、血管が侵入していた移植後3日ではAlcian Blue染色により染色されることはなかったが、移植後15日では一部分が青く染色された。血管の完全に退行した移植後30日後には、一部が濃い青色に染色されており、移植後60日後には、移植した三次元組織の大部分がAlcian Blueにより濃青色に染色された(図7C)。このことから、軟骨前駆細胞とHUVECを共培養することで構築した三次元組織が、プロテオグリカンを産生する軟骨組織を形成したことが確認できた。また、移植後30日の段階で、サフラニンO染色でも軟骨が再構築していること確認でき、Elastica Van Gieson染色により形成した軟骨は弾性軟骨であることが確認できた。免疫組織化学染色により、再構築した軟骨は、アグリカン陽性である軟骨組織を包み込むように、I型コラーゲン陽性である軟骨膜組織を有していることが示された 。また、hCD31の免疫組織化学染色により、再構築した軟骨膜組織に血管内皮細胞が存在していることが示された(図7D)。
【実施例】
【0081】
同様の三次元培養系を用いて、脱分化している軟骨細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞を共培養した。軟骨前駆細胞を用いたときと同様に、Alcian Blue染色とElastica Van Gieson染色により、弾性軟骨を再構築したことが確認できた (図7E)。
【実施例】
【0082】
4-6. 血流阻害移植モデルを用いた軟骨形成の阻害
軟骨が成熟することに、マウス由来の血管と血液灌流が必須であるか明らかにするために、0.45 μmのポアサイズのナノメッシュを軟骨前駆細胞とHUVECを共培養することで構築した三次元組織と脳の間に挟み、マウスの血流が移植片に作用しない、血流阻害移植モデルを確立した(図8A)。移植後15日においても、移植した三次元組織の周囲に血流がないことが確認できた(図8B)。ライブイメージングにより、移植後3日には多くのHUVECが存在しているが、移植後7日目にはHUVECは減衰していき、移植後10日目にはほとんどのHUVECが死滅していた。また、HUVECの減衰に伴い、移植後11日には軟骨前駆細胞自体も死滅していた(図8C)。血液灌流を阻害することで、軟骨前駆細胞は、生着しないことが示された。また、免疫組織化学染色により、移植15日後の血液灌流を阻害した移植した三次元組織では、軟骨の基質であるII型コラーゲンが陰性であり、アポトーシス過程における中心的酵素であるcaspase3が陽性であることが確認できた(図8D)。一方で、血液灌流を阻害していない場合は、caspase3陽性の細胞は検出されず、II型コラーゲン陽性である軟骨組織を形成した。
【実施例】
【0083】
4-7. 従来法との弾性軟骨再構築能の比較
従来法であるペレット移植法44と、軟骨前駆細胞とHUVECを共培養することで構築した三次元組織との軟骨再構築の効率を比較するために、同一のクラニアルウインドウマウスの左脳に軟骨前駆細胞とHUVECを共培養することで構築した三次元組織、右脳にペレットを移植した(図9A)。アルシアンブルー染色により、移植後10日で、ペレットは青色に染色されなかったが、共培養することで形成した三次元組織は青色に染色された。このことから、HUVECと共培養することで、プロテオグリカンを産生する成熟軟骨細胞へと軟骨前駆細胞を高効率に分化させることが示唆された。移植後30日になると、共培養することで構築した三次元組織は、プロテオグリカンを多く産生している軟骨組織を形成していることがわかった。移植後60日には、共培養することで構築した三次元組織の大部分がAlcian Blue染色により濃く青色に染色されたため、終末分化した成熟軟骨組織を形成したことが確認できた。対照的に、従来法では移植したペレットに対して一部分でしか、プロテオグリカンを産生する軟骨組織を形成しなかった(図9A)。このことは、HUVECと共培養した軟骨前駆細胞の方がより効率的に軟骨を再構築していることを示している。 アルシアンブルー陽性領域を定量化するために、青色に染色されている部位をimage Jより抽出して、面積を測定した(図9B) 。軟骨前駆細胞とHUVECを共培養することで構築した三次元組織では、アルシアンブルー陽性領域は、移植後10日で約100,000 μm2、移植後30日で約130,000 μm2、移植後60日では約250,000 μm2であった。一方で、従来法であるペレット移植法では、移植後10日で約35,000 μm2、移植後30日で約20,000 μm2、移植後60日では約80,000 μm2の面積の軟骨組織を形成した。比較すると、共培養することで構築した三次元組織では、移植後10日で2.85倍、移植後30日で6.5倍、移植後60日では3.27倍の面積の軟骨組織を形成したことが示された(図9C)。
【実施例】
【0084】
5. 考察
軟骨組織は、軟骨細胞とそれを取り囲む細胞外基質からなる支持器官である。結合組織や骨組織といった他の支持組織と異なり、軟骨組織の細胞間質内には血管、リンパ管、神経などが存在しない45,46。そのため、複雑な高次構造を有する固形臓器などと比較して、再生医療の早期実現化が期待される領域である47,48。本研究では、軟骨形成プロセスをライブイメージングにより追尾観察することで、軟骨前駆細胞の分化段階において、従来不要と考えられていた血管が一過性に侵入することを見出した。移植した発生初期の耳介軟骨が、血管が侵入した直後に膨化したことから、軟骨前駆細胞が急激に増殖していると考えられる。血管が侵入する時期の耳介軟骨において、間葉系幹細胞の特異的マーカーとして報告されているCD44を発現している細胞を観察でき、その中の一部の細胞がKi67陽性を示した。そこで、軟骨前駆細胞と血管内皮細胞を共培養したところ、軟骨前駆細胞であるCD44+ CD90+細胞が増殖亢進していることが明らかになった。
【実施例】
【0085】
血管は酸素や栄養を供給し、老廃物を取り除くだけではなく、高次構造の構築に重要な役割を担っていることが明らかにされてきた49-52。例えば、肝臓における血管内皮細胞と肝細胞の相互作用についてはこれまでに、VEGFR2(Vascular Endothelial Growth Factor Receptor-2)ノックアウトマウスでは、血管新生の未形成により肝臓の形態形成が阻害されることがわかっている。しかし、軟骨組織のような血管の存在しない組織が発達するときの血管内皮細胞との相互作用については、全く未解明である。血管内皮細胞は発生が進むにつれて退行していくが、成長因子を用いずに軟骨前駆細胞に備わっている軟骨分化能を活性化させることが示唆された。成長因子は、臨床で使用する際には、高コストであることや安全性の面で問題が残っている。そのため、血管内皮細胞と共培養させることで、成長因子を使わずに軟骨前駆細胞から軟骨組織を構築することが出来る本技術は、臨床応用に向けた有益な技術になる可能性を示している。
【実施例】
【0086】
臨床応用に際して移植/再構築組織の形態の制御に関しても問題となっている。従来の組織工学的な手法によりヒト軟骨組織を作製するためには、スキャフォールドが必要と考えられてきた。スキャフォールドの多くは生物材料、合成高分子などで構成されている。しかし、臨床応用に耐え得るヒト軟骨組織の作製のためのスキャフォールドはまだ開発されていない。また、軟骨分化誘導した軟骨細胞をゲル状の基質を含めて直接皮下に注入する方法や、それらを一旦腹部皮下に移植し再構築された軟骨様組織を二期的に移植する方法などが開発されているが、いずれも再生軟骨を安定的に得られることは出来ない。本研究において、血管内皮細胞と共培養することで、足場材料を用いることなく、軟骨前駆細胞はin vitroで自律的に三次元組織を誘導が可能であることを示した。この三次元組織は、力学的強度を有しており、形状を崩すことなく移植できるため、移植時に形状の制御が容易になると考えられる。
【実施例】
【0087】
間葉系前駆細胞から軟骨分化誘導を行う従来研究の多くは、生着率が低いなどの理由から、極めて効率が悪く、移植細胞数に対し終末分化した軟骨細胞は10-20 %程度しか得られない。本研究で確立した弾性軟骨創出法は、終末分化誘導効率が大幅に上昇することから、従来法と比較して大型の弾性軟骨を効率的に再構築することが可能となるものと期待される。耳介軟骨のような複雑な形態を有する大型の弾性軟骨を再構築することが必要であり、現在、ヒト軟骨前駆細胞と血管内皮細胞を相互作用させることで構築した三次元組織を、マウスの皮下に大量に移植することで大型の弾性軟骨を創出できないか検証している。
【実施例】
【0088】
本研究で開発したヒト弾性軟骨創出法を臨床応用するためには、自己の軟骨に加えて、Human Leukocyte Antigen:HLAの適合する血管内皮細胞を安定して供給できるシステムを構築する必要がある。HLAとは、ヒトの免疫に関わる重要な分子として働いている。自分と異なるHLA型の人から細胞や臓器の移植を受けた場合、免疫拒絶反応が起こるため、HLA型をできるだけ合わせる必要がある。そのために、臍帯から血管内皮細胞を採取培養し保存する血管内皮細胞バンクを設立することが必要となる。臍帯はこれまで破棄されてきた生物資源であるが、臍帯血と同様に保存することが実現することで、血管内皮細胞を安定して供給すること出来ると考えられる。患者のHLA型と一致した血管内皮細胞と低侵襲で採取培養した軟骨前駆細胞と共培養させ、三次元組織化を誘導し移植することで、頭蓋・顎・顔面領域の先天奇形や外傷に起因する組織変形の新たな治療法を提供できると考えられる。
【実施例】
【0089】
将来的には、in vitroで三次元的に軟骨組織を再構築することが望まれている。近年、注目されている三次元培養法としてはRotating Wall Vessel ( RWV ) bioreactorという回転する培養器を用いることで微小重力環境を摸倣する培養法が挙げられる。先行研究において、RWVを用い、ヒト耳介軟骨膜細胞と小型の新規スキャフォールドを組み合わせ、軟骨様組織を再構築した53。しかし、軟骨様組織の強度の面に関して問題の残る結果となった。そこで、軟骨形成プロセスで生じる血管化を再現するという独自のアプローチとRWVを組み合わせることにより、従来の培養技術では達成が困難であったin vitroでの終末軟骨分化誘導が期待される。
【実施例】
【0090】
耳介軟骨膜に存在する軟骨前駆細胞は、異種軟骨組織である硝子軟骨への分化能を有し、それらを移植することで関節軟骨組織を再構築できることを明らかにしている(未発表データ)。本技術は、一過性血管侵入を再現することで軟骨を効率的に創出するため、関節軟骨欠損の再生治療における移植後の軟骨再構築する効率が悪いという問題を解決することが可能である。関節軟骨は損傷を受けると、軟骨組織は治癒能を有さないことから関節炎や変形性膝関節症などの二次変性疾患へと進行する。日本だけでも膝変形性関節症の患者数は2530万人いると試算もあり、治療対象となる患者数は相当数に及ぶ。低侵襲で採取できる軟骨膜に存在する軟骨前駆細胞を血管内皮細胞と共培養させ、三次元組織化を誘導し移植することで、莫大なニーズのある関節軟骨欠損に対する新たな治療法になると期待される。
【実施例】
【0091】
6. 引用文献
1. Chang, S.C., Tobias, G., Roy, A.K., Vacanti, C.A. & Bonassar, L.J. Tissue engineering of autologous cartilage for craniofacial reconstruction by injection molding. Plast Reconstr Surg 112, 793-799; discussion 800-791 (2003).
2. Beahm, E.K. & Walton, R.L. Auricular reconstruction for microtia: part I. Anatomy, embryology, and clinical evaluation. Plast Reconstr Surg 109, 2473-2482; quiz following 2482 (2002).
3. Firmin, F., Sanger, C. & O'Toole, G. Ear reconstruction following severe complications of otoplasty. J Plast Reconstr Aesthet Surg (2008).
4. Kline, R.M., Jr. & Wolfe, S.A. Complications associated with the harvesting of cranial bone grafts. Plast Reconstr Surg 95, 5-13; discussion 14-20 (1995).
5. Laurie, S.W., Kaban, L.B., Mulliken, J.B. & Murray, J.E. Donor-site morbidity after harvesting rib and iliac bone. Plast Reconstr Surg 73, 933-938 (1984)
6. Skouteris, C.A. & Sotereanos, G.C. Donor site morbidity following harvesting of autogenous rib grafts. J Oral Maxillofac Surg 47, 808-812 (1989).
7. Whitaker, L.A., et al. Combined report of problems and complications in 793 craniofacial operations. Plast Reconstr Surg 64, 198-203 (1979).
8. Eppley, B.L. & Dadvand, B. Injectable soft-tissue fillers: clinical overview. Plast Reconstr Surg 118, 98e-106e (2006).
9. Matton, G., Anseeuw, A. & De Keyser, F. The history of injectable biomaterials and the biology of collagen. Aesthetic Plast Surg 9, 133-140 (1985).
10. Nagata, S. Modification of the stages in total reconstruction of the auricle: Part I. Grafting the three-dimensional costal cartilage framework for lobule-type microtia. Plast Reconstr Surg 93, 221-230; discussion 267-228 (1994).
11. Maas, C.S., Monhian, N. & Shah, S.B. Implants in rhinoplasty. Facial Plast Surg 13, 279-290 (1997).
12. Matarasso, A., Elias, A.C. & Elias, R.L. Labial incompetence: a marker for progressive bone resorption in silastic chin augmentation. Plast Reconstr Surg 98, 1007-1014; discussion 1015 (1996).
13. Zeng, Y., Wu, W., Yu, H., Yang, J. & Chen, G. Silicone implants in augmentation rhinoplasty. Aesthetic Plast Surg 26, 85-88 (2002).
14. Berry, L., Grant, M.E., McClure, J. & Rooney, P. Bone-marrow-derived chondrogenesis in vitro. J Cell Sci 101 ( Pt 2), 333-342 (1992).
15. Ma, H.L., Hung, S.C., Lin, S.Y., Chen, Y.L. & Lo, W.H. Chondrogenesis of human mesenchymal stem cells encapsulated in alginate beads. J Biomed Mater Res A 64, 273-281 (2003).
16. Terada, S., Fuchs, J.R., Yoshimoto, H., Fauza, D.O. & Vacanti, J.P. In vitro cartilage regeneration from proliferated adult elastic chondrocytes. Ann Plast Surg 55, 196-201 (2005).
17. Goessler, U. R. et al. Tissue engineering in head and neck reconstructive surgery: what type of tissue do we need? Eur Arch Otorhinolaryngol 264, 1343-1356, (2007).
18. Caplan, A. I. Review: mesenchymal stem cells: cell-based reconstructive therapy in orthopedics. Tissue Eng 11, 1198-1211, (2005).
19. Shieh, S.J., Terada, S. & Vacanti, J.P. Tissue engineering auricular reconstruction: in vitro and in vivo studies. Biomaterials 25, 1545-1557 (2004).
20. Togo, T., et al. Identification of cartilage progenitor cells in the adult ear perichondrium: utilization for cartilage reconstruction. Lab Invest 86, 445-457 (2006).
21. Dickhut, A., et al. Calcification or dedifferentiation: requirement to lock mesenchymal stem cells in a desired differentiation stage. J Cell Physiol 219, 219-226 (2009).
22. Afizah, H., Yang, Z., Hui, J.H., Ouyang, H.W. & Lee, E.H. A comparison between the chondrogenic potential of human bone marrow stem cells (BMSCs) and adipose-derived stem cells (ADSCs) taken from the same donors. Tissue Eng 13, 659-666 (2007).
23. Koga, H., et al. Comparison of mesenchymal tissues-derived stem cells for in vivo chondrogenesis: suitable conditions for cell therapy of cartilage defects in rabbit. Cell Tissue Res 333, 207-215 (2008).
24. Sakaguchi, Y., Sekiya, I., Yagishita, K. & Muneta, T. Comparison of human stem cells derived from various mesenchymal tissues: superiority of synovium as a cell source. Arthritis Rheum 52, 2521-2529 (2005).
25. Kobayashi, S. et al. Presence of cartilage stem/progenitor cells in adult mice auricular perichondrium. PLoS One 6, e26393, (2011).
26. Kobayashi, S. et al. Reconstruction of human elastic cartilage by a CD44+ CD90+ stem cell in the ear perichondrium. Proc Natl Acad Sci U S A 108, 14479-14484, (2011).
27. Gospodarowicz D, Weseman J, Moran J. Presence in brain of a mitogenic agent promoting proliferation of myoblasts in low density culture. Nature 256,216-219, (1975)
28. Klagsbrun M, Langer R, Levenson R, Smith S, Lillehei C. The stimulation of DNA synthesis and cell division in chondrocytes and 3T3 cells by a growth factor isolated from cartilage. Exp Cell Res 105, 99-108, (1977)
29. Shiang R, Thompson LM, Zhu YZ, Church DM, Fielder TJ, Bocian M, Winokur ST, Wasmuth JJ. Mutations in the transmembrane domain of FGFR3 cause the most common genetic form of dwarfism, achondroplasia. Cell 29, 335-342, (1994)
30. Deng C, Wynshaw-Boris A, Zhou F, Kuo A, Leder P. Fibroblast growth factor receptor 3 is a negative regulator of bone growth. Cell 22, 911-921, (1996)
31. Serra R, Johnson M, Filvaroff EH, LaBorde J, Sheehan DM, Derynck R, Moses HL. Expression of a truncated, kinase-defective TGF-beta type II receptor in mouse skeletal tissue promotes terminal chondrocyte differentiation and osteoarthritis. J Cell Biol 20,541-552, (1997)
32. Furumatsu, T. et al. Smad3 induces chondrogenesis through the activation of SOX9 via CREB-binding protein/p300 recruitment. J. Biol. Chem 280, 8343-8350, (2005)
33. Garcia-Ramirez, M., Toran, N., Andaluz, P., Carrascosa, A. & Audi, L. Vascular endothelial growth factor is expressed in human fetal growth cartilage. J Bone Miner Res 15, 534-540, (2000).
34. Gerber, H. P. et al. VEGF couples hypertrophic cartilage remodeling, ossification and angiogenesis during endochondral bone formation. Nature medicine 5, 623-628, (1999).
35. Furukawa, T., Eyre, D. R., Koide, S. & Glimcher, M. J. Biochemical studies on repair cartilage resurfacing experimental defects in the rabbit knee. J Bone Joint Surg Am 62, 79-89, (1980).
36. L. Danisovic, P. Lesny, V. Havlas, P. Teyssler, Z. Syrova, M. Kopani, G. Fujerikova, T. Trc, E. Sykova, P. Jendelova. Chondrogenic differentiation of human bone marrow and adipose tissue-derived mesenchymal stem cells. J. Appl. Biomed 5, 139-150, (2007)
37. Havlas V, Kos P, Jendelova P, Lesny P, Trc T, Sykova E. Comparison of chondrogenic differentiation of adipose tissue-derived mesenchymal stem cells with cultured chondrocytes and bone marrow mesenchymal stem cells. Acta Chir. Orthop. Traumatol. Cech 78, 138-144, (2011)
38. K.H. Park, K. Na. Effect of growth factors on chondrogenic differentiation of rabbit mesenchymal cells embedded in injectable hydrogels. J. Biosci. Bioeng 106, 74-79, (2008)
39. Yuan F. Jain RK et al. Vascular permeability and microcirculation of gliomas and mammary carcinomas transplanted in rat and mouse cranial windows. Cancer Res 54, 4564-8, (1994)
40. Koike, N. et al. Tissue engineering: creation of long-lasting blood vessels. Nature 428, 138-139, (2004).
41. Takebe, T. et al. Generation of functional human vascular network.
Transplant Proc 44, 1130-1133, (2012).
42. Horvatic, I. et al. Prognostic significance of glomerular and tubulointerstitial morphometry in idiopathic membranous nephropathy. Pathol Res Pract 208, 662-667, (2012).
43. Aruffo, A., Stamenkovic, I., Melnick, M., Underhill, C. B. & Seed, B. CD44 is the principal cell surface receptor for hyaluronate. Cell 61, 1303-1313, (1990).
44. Wang, Y., Kim, U. J., Blasioli, D. J., Kim, H. J. & Kaplan, D. L. In vitro cartilage tissue engineering with 3D porous aqueous-derived silk scaffolds and mesenchymal stem cells. Biomaterials 26, 7082-7094, (2005).
45. NewmanAP. Articular cartilage repair. Am J Sports Med 26, 309-324(1998)
46. Hollander, A. P., Dickinson, S. C. & Kafienah, W. Stem cells and cartilage development: complexities of a simple tissue. Stem Cells 28, 1992-1996, (2010).
47. Langer, R. & Vacanti, J. P. Tissue engineering. Science 260, 920-926, (1993).
48. Khademhosseini, A., Vacanti, J. P. & Langer, R. Progress in tissue engineering. Sci Am 300, 64-71, (2009).
49. Ding, B. S. et al. Inductive angiocrine signals from sinusoidal endothelium are required for liver regeneration. Nature 468, 310-315, (2010).
50. Ding, B. S. et al. Endothelial-derived angiocrine signals induce and sustain regenerative lung alveolarization. Cell 147, 539-553, (2011).
51. Lammert, E., Cleaver, O. & Melton, D. Role of endothelial cells in early pancreas and liver development. Mech Dev 120, 59-64, (2003).
52. Matsumoto, K., Yoshitomi, H., Rossant, J. & Zaret, K. S. Liver organogenesis promoted by endothelial cells prior to vascular function. Science 294, 559-563, (2001).
53. Takebe, T. et al. Human elastic cartilage engineering from cartilage progenitor cells using rotating wall vessel bioreactor. Transplant Proc44, 1158-1161, (2012).
【実施例】
【0092】
〔実施例2〕固さの異なるゲル上での培養
実施例1で採取、継代した軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを、実施例1と同じ培養条件で、硬さ条件:0.5kPaのゲル(細胞培養用ハイドロゲル 評価用サンプルプレート(VERITAS))上で培養した。初日、培養1日目、2日目の三次元組織形成の状態を図10に示す。
【実施例】
【0093】
細胞培養用ハイドロゲル 評価用サンプルプレート(VERITAS)を用いて、0.2kPaから50kPaまでの様々な硬さ条件において、細胞を播種した。その結果を図11に示す。なお、通常の培養皿としては、10cmイージーグリップ細胞培養ディッシュ(FALCON)を用いた。
【実施例】
【0094】
硬さ条件0.5~25kPaのプレートを用いた場合において、軟骨膜細胞は移植操作に耐え得る三次元組織を良好に形成した。通常の培養皿を用いた場合は、三次元組織を形成しなかった。
【実施例】
【0095】
〔実施例3〕底面に細胞が集まるような形状のプレート上での培養
軟骨膜細胞 3x104 cellsと血管内皮細胞 1x104 cellsを、U底形状を有するPrimeSurface 96well細胞培養用培養基材(住友ベークライト)で培養した(図12A)。三次元組織の培養には、軟骨分化誘導培地を用いた。(10 %FBS(GIBCO)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution、L-ascorbic acid 2-phosphate(WAKO)、Dexamethasone(SIGMA)、Insulin Growth Factor-I(SIGMA)、basic Fibroblast Growth Factor(科研製薬)を含有するD-MEM/F-12 medium(SIGMA))初日、培養2日目の三次元組織形成の状態を図12Bに示す。播種された軟骨膜細胞は自律的に凝集を開始し、翌日には400μm程度の球状の三次元組織を形成した。これらはピペット操作などで容易に、形状を保ったまま回収が可能であった。
【実施例】
【0096】
〔実施例4〕皮下への大量移植
実施例1と同様の方法で、軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを、Matrigel(BD)上で共培養することにより形成された4mm大の三次元組織100個を薬匙により回収し、NOD SCIDマウス(三協ラボ)の皮下へ移植を行った。その状態を図13に示す。図13のAは皮下に大量に三次元組織を配置した状態を示し、図13のBは薬匙によって回収を行っている30個程度の三次元組織を示す。
【実施例】
【0097】
〔実施例5〕関節軟骨欠損部への移植
実施例3と同様の方法で、軟骨膜細胞 3x104 cellsと血管内皮細胞 1x104 cellsから形成された400μm大の三次元組織600個を、免疫不全ラット(日本クレア)の関節軟骨表面に作成した3mm大の軟骨欠損部位に移植を行った。その状態を図14に示す。図14のAは関節欠損部位に大量に回収した400μm程度の三次元組織をピペットにより移植操作を行っている状態を示す。図14のBは移植直後の関節欠損部位を示す。移植後20分程度静置し、三次元組織が流れ出ない状態になった後、閉創を行った。
【実施例】
【0098】
〔実施例6〕血管内皮細胞との共培養により、軟骨形成細胞は分化マーカーの発現を増強する
10cmイージーグリップ細胞培養ディッシュ(FALCON)で培養を行った軟骨形成細胞と、ゲル上で血管内皮細胞と共培養を行った軟骨形成細胞の遺伝子発現を、Realtime PCRにより解析を行った。血管内皮細胞との共培養により、未(脱)分化マーカーであるCollagen I遺伝子の発現が減弱し(図15、左)、軟骨分化マーカーであるSOX9とAggrecanの発現が増強した(図15、右)。
【実施例】
【0099】
〔実施例7〕in vitro長期培養
軟骨膜細胞 3x106 cellsと血管内皮細胞 1x106 cellsを、Matrigel(BD)上でEndothelial Cell Growth Medium SingleQuots Supplements and Growth Factors(EGM)(lonza)で2日間共培養を行うことにより4mm大の三次元組織が形成され、血管構造の形成を認めた。さらにその後、増殖培地( 10 %Fetal Bovine Serum(FBS;GIBCO)、1 %Antibiotic Antimycotic Solution(SIGMA)を添加したDULBECCO’S MODIFIED EAGLE’S MEDIUM NUTRIENT MIXTURE F-12 HAM(D-MEM/F-12;SIGMA))、または、軟骨分化誘導培地(10 %FBS(GIBCO)、1 % Antibiotic Antimycotic Solution、L-ascorbic acid 2-phosphate(WAKO)、Dexamethasone(SIGMA)、Insulin Growth Factor-I(SIGMA)、basic Fibroblast Growth Factor(科研製薬)を含有するD-MEM/F-12 medium(SIGMA))で10日程度培養を行うことで、血管構造が消失することが確認された。これらは30日以上の長期にわたって培養を行うことが可能であった。
【実施例】
【0100】
〔実施例8〕
10%DMSO、5% ethylene glycol、10% sucrose含有増殖培地によるガラス化法による急速凍結法、および、TCプロテクター(大日本住友製薬株式会社)を用いることによる緩慢凍結法、による3次元組織の凍結実験を実施した。
【実施例】
【0101】
凍結1週間後に増殖培地により融解を行ったのち、0.2 %Collagenase typeII(Worthington)を含有するDulbecco’s modified Eagle medium and Ham’s F-12 medium(D-MEM/F-12;SIGMA)溶液に懸濁し、インキュベーター内で20分静置し、ピペッティングにより細胞の単細胞化を行った。単離された細胞懸濁液をトリパンブルー染色により染色を行った。自動セルカウンター「CountessTM」(InvitrogenTM)により、トリパンブルー染色陰性の生存細胞の数を計測したところ、DMSOを用いる方法では、74%の細胞が生存していたのに対し、TCプロテクターを用いる方法では、88%の細胞が生存していた。細胞は再度培養皿へと播種することにより、良好な増殖性を保っていた。さらに、融解された組織は形状を維持したまま、NOD SCIDマウス(三協ラボ)背部皮下への移植実験に用いることが可能であった。
【実施例】
【0102】
〔実施例9〕支持体の検討(図16)
方法
24-well plateに次の複数種類の支持体をゲル化し、固着した。
1.Matrigel原液~希釈率(16倍希釈まで)。
2.4~0.5%アガロースゲル。
3.I型コラーゲンゲル(BD Bioscience)。
上記に示す様々な支持体上に、2.0×10cellsの軟骨膜細胞,0.6×10cellsのHUVECの各細胞懸濁液を混合し,遠心分離(950 rpm、4 ℃、5 min)ののちに,回収した細胞をウェルに播種した。30分静置後,EGMを1 ml添加し,3日間培養した。
【実施例】
【0103】
結果
血管化軟骨作製に用いる支持体条件の検討結果を図16に示す。
A) マトリゲルの希釈率を検討した結果、8倍希釈まで血管化軟骨を作製することが可能であった。
B) アガロースゲルを用いた条件ではいずれの場合においても血管化軟骨の形成を認めなかった。
C) I型コラーゲンを用いた場合においても血管化軟骨の形成を認めなかった。
【実施例】
【0104】
〔実施例10〕凍結保存を行った血管化軟骨移植によるヒト成熟軟骨の創出(図17)
方法
・血管化軟骨の凍結(図17A)
TC protectorを凍結用tubeに分注(200~1000ul/tube)した。その後、24-well plateで誘導した三次元組織を浸漬し、4℃にて数時間からover nightしたのちに、-80℃にて緩慢凍結を行った。
なお、急速凍結(ガラス化)法を用いる場合には、10% DMSO, 5% ethylene glycol, 及び 10% sucrose 添加した組織をEGM培地に15~20分浸したのちに、2M DMSO, 1 M acetamide, 3M propylene glycol添加を行ったDMEM/F12(bFGF, IGF, Dex, Ascorbic Acid, ITS-X, 10%FBS, 1%ABAM)培地(200 ul/tube)に移した。その後直ちに液体窒素に浸し、液体窒素タンクにて保存を行った。
・血管化軟骨の融解(図17B)
【実施例】
【0105】
凍結された組織を、-80℃から37℃ water bathに移し、融解したのち、15 ml遠心管に移した。4℃, 750rpm, 3min. で遠心ののち、上清をピペットマンなどで除去した。(アスピレーターは組織を吸ってしまうので、使用しなかった。)PBS wash(5 ml/tube)ののち、4℃,1500rpm,5 minで再度遠心を行い、上清の除去(ピペットマンなどで)を行い、その後、移植、ないし培養実験に用いた。
・融解を行ったヒト血管化軟骨の皮下移植(図17C)
【実施例】
【0106】
6週齢で雌のNOD/SCID(免疫不全)マウスを、三協ラボサービス株式会社より購入した。購入したマウスは、横浜市立大学 先端医科学研究センター 共同研究支援部門動物実験センター内において飼育・維持され、これらを用いた動物実験に関しては、横浜市立大学福浦キャンパス動物実験指針に則って行った。免疫不全マウスを剃毛の後に、背部皮下ないし、顔面部皮下を切開・剥離し,回収した組織を埋入し,移植を実施した。
摘出した組織を、4 %パラホルムアルデヒド(PFA)(Wako)/リン酸緩衝食塩液(PBS)(pH7.4)で4 ℃、2時間固定した。次に、100 mM塩化アンモニウム(Wako)/PBSで4 ℃、10分間、3回洗浄した。そして、15 %スクロース(Wako)/PBSに4 ℃、1 時間浸した後,30%スクロース/PBSで4 ℃、over nightで静置した。O.C.T. Compound(SAKURA Japan)(30 ml)に組織を包埋した。4 ℃、1 時間静置した後、液体窒素で急速凍結し、凍結ブロックを作製した。凍結ブロックをクリオスタットHM 500 O(ZEISS)で5 μmの厚さに薄切し、凍結組織切片を作製した。作製した組織切片は、Alcian Blue染色(武藤化学薬品)、Elastica Van Gieson染色(武藤化学薬品)を行った。
【実施例】
【0107】
蛍光免疫染色に関しては、凍結ブロックをクリオスタットHM 500 O(ZEISS)で5 μmの厚さに薄切し、凍結組織切片を作製した。作製した組織切片を0.1%tween-TBSで洗浄してOCT Compoundを除去後、凍結切片周囲のTBS-Tを拭き取り、染色対象を撥水ペン(DAKO)で囲むように書き、撥水処理を施した。次に、protein block Serum-Free Ready-to-use(Dako)を用い、4 ℃で24時間ブロッキングを行った。一次抗体は4℃で一晩反応させた。処理後、TBS-Tで5分間3回洗浄し、二次抗体を滴下し、室温で2時間反応させた。TBS-Tで5分間3回洗浄し、DAPIを添加したFA Mounting Fluid(Becton Dickinson)にて核染色および封入を行った。一次抗体および二次抗体の希釈には、protein block Serum-Free Ready-to-use(Dako)を用いた。
【実施例】
【0108】
結果
血管化軟骨の凍結工程の様子を図17Aに示す。左;培養皿内で形成された組織、中;薬さじにて回収した様子、右;凍結用溶媒(TC Protector)に回収した組織を浸漬した凍結直前の様子。図17Bは、凍結後、1か月後に融解を行ったヒト血管化軟骨の肉眼観察を示す。図17Cは、融解を行ったヒト血管化軟骨の皮下移植サンプルの組織学的解析を示す。免疫不全マウス背部の皮下へ移植を行ったサンプルの組織学的解析の結果、移植を行ったヒト血管化軟骨は、アルシアンブルーおよびII型コラーゲン抗体によって染色される軟骨基質を含有する軟骨組織を再構築することが明らかとなった。
【実施例】
【0109】
〔実施例11〕血管化軟骨の長期培養(図18、19)
方法
24-well plateに150 μmのEGMとMatrigelをそれぞれ添加し, インキュベーター内で30分静置した。2.0×10cellsの軟骨膜細胞, 0.6×10cellsのHUVECの各細胞懸濁液を混合し,遠心分離(950 rpm、4 ℃、5 min)を行い,回収した細胞をウェルに播種した。30分静置後, EGMを1 ml添加し, 3日間培養した。誘導した三次元組織を培養ベッセルに播種し,三次元培養用軟骨分化培地(DMEM/F12, Dexamethasone, ascorbic acid 2-phosphate, bFGF, IGF-1, ITS-X, 1% Antibiotic Antimycotic Solution)により,気相条件を37 ℃,CO濃度5 %に設定したインキュベーター内でRWV bioreactor(Synthecon)により回転培養を行った。回転速度は 7~12rpmに調整した。60日間の軟骨分化培養の後,5mm~1cm大の大きさを有する細胞塊を回収し,ピンセット等で用手圧迫を行うことで力学的強度の確認を行った。強度が充分であることを確認のうえ,免疫不全マウスの頭部へと移植した。
【実施例】
【0110】
結果
図18は、長期培養血管化軟骨の組織学的解析を示す。作製した血管化軟骨を60日間にわたり長期培養することにより、血管を含む軟骨膜組織と血管が排除された軟骨組織の形成を認めた。左上;形成された組織の肉眼像、右上;免疫染色により中心部は軟骨マーカーであるAggrecanを発現し、周囲にはLamininが存在することを示す。下段左;免疫染色拡大図、下段中;HE染色、下段右;アルシアンブルー染色。誘導を行った三次元組織はピンセットで用手圧迫を行っても、組織が破壊されない高い力学的強度を有していた。
【実施例】
【0111】
図19は、長期培養を行った血管化軟骨由来成熟軟骨の移植を示す。長期培養血管化軟骨(上段左図の左下の小窓に示す)は顔面部の移植により、皮下の緊張に耐えうる力学的強度を有した軟骨組織であった。上段と下段の写真は、角度を変えて盛り上がっている部分の見え方を確認したものである。
【実施例】
【0112】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、再生医療、医薬品のスクリーニング、軟骨細胞が産生する基質の生産などに利用することができる。
図面
【図15】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18