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明細書 :波長変換装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6186610号 (P6186610)
登録日 平成29年8月10日(2017.8.10)
発行日 平成29年8月30日(2017.8.30)
発明の名称または考案の名称 波長変換装置
国際特許分類 G02F   1/365       (2006.01)
FI G02F 1/365
請求項の数または発明の数 14
全頁数 25
出願番号 特願2014-554465 (P2014-554465)
出願日 平成25年12月24日(2013.12.24)
国際出願番号 PCT/JP2013/084536
国際公開番号 WO2014/104038
国際公開日 平成26年7月3日(2014.7.3)
優先権出願番号 2012283058
優先日 平成24年12月26日(2012.12.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年7月21日(2016.7.21)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
発明者または考案者 【氏名】柏木 謙
【氏名】黒川 隆志
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査官 【審査官】野口 晃一
参考文献・文献 特開2006-251360(JP,A)
特開2012-185378(JP,A)
特開平8-179386(JP,A)
特開2012-159546(JP,A)
特開平4-19718(JP,A)
特開平11-52440(JP,A)
特開2001-231058(JP,A)
特開平8-195732(JP,A)
F. Parmigiani, et al.,Timing Jitter Tolerant All-Optical TDM Demultiplexing Using a Saw-Tooth Pulse Shaper,IEEE Photonics Technology Letters,2008年12月 1日,Vol.20, No.23,pp.1992-1994
J. Li, et al.,OTDM Demultiplexer Based on XPM-Induced Wavelength Shifting in Highly Nonlinear Fiber,IEEE Photonics Technology Letters,2003年12月,Vol.15, No.12,pp.1770-1772
A. Hasegawa, et al.,Generation of Optical Short Pulses with Asymmetric Waveforms and Their Imaging with a Time Lens,2012 17th Opto-Electronics and Communications Conference (OECC 2012) Technical Digest,2012年 7月 2日,4E4-1,pp.273-274
調査した分野 G02F 1/35- 2/02
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
Google Scholar
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のチャネルの光信号を時分割多重した光信号である信号光パルス列および制御光パルス列を時間的に重ね合わせて入力することにより、信号光パルス列の波長を変換する装置において、
少なくとも一部に一定または略一定の勾配部分を含む波形を有する光パルスからなり、各々の光パルスの波形が同一である光パルス列を生成する光パルス発生装置と、
前記光パルス発生装置から入力された前記光パルス列の各々の光パルスの前記勾配の大きさを制御して制御光パルス列を生成する勾配制御装置と、
前記信号光パルス列および前記制御光パルス列を入力し、前記制御光パルス列の勾配の大きさに応じて信号光パルス列の各パルスの中心波長をシフトさせ、前記信号光パルス列の波長を可変にして出力する波長変換部と、
前記チャネルごとに変換すべき波長を決定し、当該波長のシフト量に応じた勾配を有し、かつ前記チャネルの数を周期とする制御光パルス列が生成されるように前記勾配制御装置を制御する制御装置と、を含み、
前記波長変換部は、前記信号光パルス列の波長を前記チャネルごとにシフト量を異ならせて変換し出力光信号として出力する
波長変換装置。
【請求項3】
前記信号光パルス列の先頭位置を検出する検出装置と、
前記検出装置から入力された前記信号光パルス列および前記勾配制御装置から入力された前記制御光パルス列の少なくとも一方を遅延させ、前記信号光パルス列の先頭位置と前記制御光パルス列の先頭位置との時間差を調整する可変遅延装置と、をさらに含み、
前記制御装置は、前記信号光パルス列と前記制御光パルス列との時間的な重なりが、前記波長変換部において波長変換を生じさせるように前記可変遅延装置を制御して前記時間差を調整する
請求項1に記載の波長変換装置。
【請求項4】
前記波長変換部から出力された前記出力光信号を入力する入力端と、前記出力光信号に含まれる前記チャネルを前記波長に応じて分離し出力する複数の出力端を有する分光素子をさらに含む
請求項1または請求項3に記載の波長変換装置。
【請求項5】
前記複数の出力端が各々異なる送信先に接続され、
前記制御装置は、前記チャネルの送信先の変更に伴い、当該チャネルの光信号が出力される出力端が変更後の送信先に接続された出力端となるように、前記勾配制御装置を制御して、当該チャネルに対応する制御光パルス列の各々の光パルスの勾配を変更後の出力端に対応する波長に応じた勾配に変更する
請求項4に記載の波長変換装置。
【請求項6】
時系列で配置された複数のパケットからなる光信号である信号光パルス列および制御光パルス列を時間的に重ね合わせて入力することにより、信号光パルス列の波長を変換する装置において、
少なくとも一部に一定または略一定の勾配部分を含む波形を有する光パルスからなり、各々の光パルスの波形が同一である光パルス列を生成する光パルス発生装置と、
前記光パルス発生装置から入力された前記光パルス列の各々の光パルスの前記勾配の大きさを制御して制御光パルス列を生成する勾配制御装置と、
前記信号光パルス列および前記制御光パルス列を入力し、前記制御光パルス列の勾配の大きさに応じて信号光パルス列の各パルスの中心波長をシフトさせ、前記信号光パルス列の波長を可変にして出力する波長変換部と、
前記パケットごとに変換すべき波長を決定し、当該波長のシフト量に応じた勾配を有し、かつ前記パケットに含まれるビットの数を周期とする制御光パルス列が前記パケットごとに生成されるように前記勾配制御装置を制御する制御装置と、を含み、
前記波長変換部は、前記信号光パルス列の波長を前記パケットごとにシフト量を異ならせて変換し出力光信号として出力する
波長変換装置。
【請求項7】
前記パケットごとにその先頭位置を検出する検出装置と、
前記検出装置から入力された前記信号光パルス列および前記勾配制御装置から入力された前記制御光パルス列の少なくとも一方を遅延させ、前記信号光パルス列の先頭位置と前記制御光パルス列の先頭位置との時間差を調整する可変遅延装置と、をさらに含み、
前記制御装置は、前記信号光パルス列と前記制御光パルス列との時間的な重なりが、前記波長変換部において波長変換を生じさせるように前記可変遅延装置を制御して前記時間差を調整する
請求項6に記載の波長変換装置。
【請求項8】
前記波長変換部から出力された前記出力光信号を入力する入力端と、前記出力光信号に含まれる前記パケットを前記波長に応じて分離し出力する複数の出力端を有する分光素子をさらに含む
請求項6または請求項7に記載の波長変換装置。
【請求項9】
前記複数の出力端が各々異なる送信先に接続され、
前記制御装置は、前記パケットの送信先の変更に伴い、当該パケットの光信号が出力される出力端が変更後の送信先に接続された出力端となるように、前記勾配制御装置を制御して、当該パケットに対応する制御光パルス列の各々の光パルスの勾配を変更後の出力端に対応する波長に応じた勾配に変更する
請求項8に記載の波長変換装置。
【請求項10】
前記制御光パルス列の各々の光パルスの波形が、立ち上がり部および立ち下がり部の少なくとも一方に、一定または略一定の勾配を有する波形である
請求項1、請求項3ないし請求項9のいずれか1項に記載の波長変換装置。
【請求項11】
前記制御光パルス列の各々の光パルスの波形が、立ち上がり部に一定または略一定の勾配を有するとともに立ち下がり部が速やかに立ち下がる鋸歯状波形、または、立ち下がり部に一定または略一定の勾配を有するとともに立ち上がり部が速やかに立ち上がる鋸歯状波形である
請求項1、請求項3ないし請求項10のいずれか1項に記載の波長変換装置。
【請求項12】
前記勾配制御装置は、入力された光パルス列に含まれる各々の光パルスの強度を制御して前記勾配の大きさを制御する
請求項1、請求項3ないし請求項11のいずれか1項に記載の波長変換装置。
【請求項13】
前記波長変換部が非線形ファイバまたは非線形光学結晶を含む非線形光学素子を用いて構成される
請求項1、請求項3ないし請求項12のいずれか1項に記載の波長変換装置。
【請求項14】
前記光パルス発生装置が、出力の一部を分岐し、光スペクトラムアナライザを介して測定された光スペクトル、および、光サンプリングオシロスコープを介して測定されたパルス波形をフィードバックして制御することにより前記パルス波形が同一である光パルス列を生成する光パルスシンセサイザである
請求項1、請求項3ないし請求項13のいずれか1項に記載の波長変換装置。
【請求項15】
前記光パルス発生装置が、パルス光源、前記パルス光源から入力された光パルスの強度および位相を制御して一定または略一定の正の勾配部分を含む波形を有する光パルスを生成し出力する第1の光パルス整形器、前記パルス光源から入力された光パルスの強度および位相を制御して一定または略一定の負の勾配部分を含む波形を有する光パルスを生成し出力する第2の光パルス整形器、および、前記第1の光パルス整形器の出力および前記第2の光パルス整形器の出力のいずれか一方を選択して前記波形が同一である光パルス列として出力する光スイッチを含んで構成される
請求項1、請求項3ないし請求項14のいずれか1項に記載の波長変換装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、光伝送システムにおける伝送信号の大容量化に伴い、WDM(Wavelength Division Multiplexing:波長分割多重)通信システムが発展してきた。ネットワーク網としてWDM通信システムを用いた場合には、異なる経路からの信号光同士の波長が重ならないように波長変換することが要求される。そして、柔軟な光ネットワークを構築するためには、波長変換が高速になされることが肝要である。
【0003】
その高速波長変換技術の一手法として、非線形光学効果の1種である相互位相変調(Cross Phase Modulation:XPM)を用いたものがある。相互位相変調とは、信号光と制御光とを非線形媒質に入射した場合に、制御光の強度に比例した位相変調量が信号光に与えられる現象である。光周波数は位相変調の微分であるため、信号光に傾きが一定の位相変調を施せば、周波数シフト(波長変換)が実現できる。また、波長シフトの方向は制御光の強度勾配の正負によって決まり、スペクトルシフト量(変換波長幅)は制御光の強度勾配によって決まる。本手法で用いる非線形媒質としては、高非線形ファイバを代表として、特殊ガラスファイバやシリコン細線導波路など、非線形性の高い素子を広く用いることができる。
【0004】
上記相互位相変調を用いた波長変換の具体的な方法として、信号光パルスと制御光パルスとを時間的に重ね合わせ、非線形媒質中を伝搬させることによって、相互位相変調を介し波長変換する方法がある。そのような波長変換装置の従来例として、制御光にガウシアンパルスを用いる従来例1、および制御光に鋸歯状パルスを用いる従来例2を挙げることができる。
【0005】
図14に、非特許文献1に開示された従来例1による波長変換装置800を示す。
図14(a)において太線は光ファイバを示しており、波長変換装置800は、高非線形ファイバ802、光フィルタ804、第1の入力ポート810、第2の入力ポート812、および出力ポート814を含んで構成されている。なお、第1の入力ポート810、第2の入力ポート812、および出力ポート814には通常の単一モードファイバが用いられる。
【0006】
図14(a)において、第1の入力ポート810に波長λの信号光P、第2の入力ポート812にガウシアンパルス型の制御光Pを入力し、時間的に重ね合わせて高非線形ファイバ802中を伝搬させることにより出力ポート814から波長変換された波長λの波長変換装置出力光P(波長変換された信号光P)を得ることができる。
【0007】
図14(b)には、時間領域における信号光Pおよび制御光Pの波形の変化の一例を示している。同図に示すように、信号光Pと制御光Pとを立ち上がり部分が重なるようにして高非線形ファイバ802中を伝搬させることにより相互位相変調を生じさせている。ガウス波形をした制御光Pの立ち上がり部分の傾きが信号光Pに位相変調を与えるので、その位相変調量に応じ信号光Pの波長を変化させることができる。その結果、周波数領域での信号光Pおよび制御光Pの変化を表した図14(c)に示すように、入力された信号光Pの波長がλからλへと変換され、波長変換装置出力光P(波長変換された信号光P)として出力される。
【0008】
図15に、非特許文献2に開示された従来例2による波長変換装置900を示す。
図15(a)において太線は光ファイバを示しており、波長変換装置900は、高非線形ファイバ902、第1の入力ポート910、第2の入力ポート912、出力ポート914、サーキュレータ916、およびSSFBG(Super Structured Fiber Bragg Grating:超構造ファイバブラッググレーティング)918を含んで構成されている。なお、第1の入力ポート910、第2の入力ポート912、および出力ポート914には通常の単一モードファイバが用いられる。
【0009】
図15(a)において、第1の入力ポート910に波長λの信号光P、第2の入力ポート912にSSFBG918で生成された鋸歯状のパルスである制御光Pを入力し、時間的に重ね合わせて高非線形ファイバ902中を伝搬させることにより出力ポート914から波長変換された波長λの波長変換装置出力光P(波長変換された信号光P)を得ることができる。
【0010】
SSFBGとは、光ファイバ型の帯域反射フィルタであるFBG(Fiber Bragg Grating:ファイバブラッググレーティング)を周期的に配置し、その間の位相を調整した素子である。本従来例2では、第2の入力ポート912から所定の光パルスP’をSSFBG918に入射させることにより、鋸歯状パルスを形成するのに必要な周波数成分を反射させて合成することにより鋸歯状パルスを生成している。
【0011】
図15(b)には、時間領域における各信号の波形の変化の一例を示している。同図に示すように、信号光Pに制御光Pの立ち上がり部分が重なるようして高非線形ファイバ902中を伝搬させることにより相互位相変調を生じさせている。鋸歯状の波形をした制御光Pの立ち上がり部分の傾きが信号光Pに位相変調を与えるので、その位相変調量に応じて信号光Pの波長を変化させることができる。その結果、周波数領域での信号光Pおよび制御光Pの変化を表した図15(c)に示すように、入力された信号光Pの波長がλからλへと変換され、波長変換装置出力光P(波長変換された信号光P)として出力される。
【先行技術文献】
【0012】

【非特許文献1】Jianjun Yu; Jeppesen, P.; , 80-Gb/s wavelength conversion based on cross-phase modulation in high-nonlinearity dispersion-shifted fiber and optical filtering, Photonics Technology Letters, IEEE , Vol.13, No.8, 2001, pp.833-835
【非特許文献2】Parmigiani, F.; Ibsen, M.; Petropoulos, P.; & Richardson, D. J.; , Efficient All-Optical Wavelength-Conversion Scheme Based on a Saw-Tooth Pulse Shaper, Photonics Technology Letters, IEEE , Vol.21, No.24, 2009, p1837-p1839
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、従来例1については、制御光Pがガウシアンパルスであるため、立ち上がり部分の傾きが一定の時間範囲Δt(図14(b)参照)が狭く、制御光Pと信号光Pとのタイミング合わせに厳密性が要求される。
さらに、従来例1では、変換された信号光を切り出すための光フィルタ804が必要とされる上、信号光Pの変換効率も低い。その理由を以下に説明する。
【0014】
図14(c)に示すように、信号光Pの光エネルギーのうち、制御光Pの傾きが一定の時間幅に入らなかった部分は、目的とする変換光の周波数とは異なる周波数成分に変換されるので、信号光Pのスペクトルが拡大される。したがって、目的とする波長λの波長変換装置出力光Pを切り出すために、中心波長λのバンドパス型の光フィルタ804を用いる必要がある。
この際、波長λ以外のスペクトルは除去するので、光エネルギーの変換効率が非常に低いものとなってしまう。
【0015】
一方、従来例2は、制御光Pにおける傾きが一定の時間幅が狭いという従来例1の欠点を、鋸歯状パルスの制御光Pを用いることにより改善している。鋸歯状パルスの立ち上がり部分の傾きは一定であるのでその時間幅は広く、制御光Pと信号光Pとのタイミング合わせに余裕が生じる。また、鋸歯状パルスの傾きが一定の時間幅に信号光Pのパルスを納めることが容易であるため、スペクトルが拡大することもなく波長シフトのみが生ずるので、波長変換効率を高くすることができる。
【0016】
しかしながら、従来例2においては、入出力特性が固定されたSSFBGを使用しているので、鋸歯状パルスの幅や波長を任意の値に変えることが困難である。そのため、出力される鋸歯状パルスの勾配も固定されている。したがって、たとえば、パルス列からなる信号光Pの幅や波長が当初の設定から変わったときに、対応することができない。また、信号光Pの各パルス単位で波長を可変にするようなこともできない。
【0017】
さらに、SSFBGは紫外線の干渉縞を光ファイバに照射し、紫外線誘起屈折率変化により周期的な屈折率の変化を光ファイバ中に形成しているので、屈折率の変化を精密に制御するのが難しく、生成される鋸歯状パルスの形状(特に立ち上がり部の直線性)の精確さに欠けるという欠点がある。鋸歯状パルスの立ち上がり部の直線性が悪いと、従来例1のガウシアンパルスによる場合と同様、信号光の波長を精確にシフトすることができない。
【0018】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様に係る波長変換装置は、信号光パルス列および制御光パルス列を時間的に重ね合わせて入力することにより、信号光パルス列の波長を変換する装置において、少なくとも一部に一定または略一定の勾配部分を含む波形を有する光パルスからなり、各々の光パルスの波形が同一である光パルス列を生成する光パルス発生装置と、前記光パルス発生装置から入力された前記光パルス列の各々の光パルスの前記勾配の大きさを制御して制御光パルス列を生成する勾配制御装置と、信号光パルス列および前記制御光パルス列を入力し、前記制御光パルス列の勾配の大きさに応じて信号光パルス列の各パルスの中心波長をシフトさせ、前記信号光パルス列の波長を可変にして出力する波長変換部と、を含むものである。
【0020】
本発明の第2の態様に係る波長変換装置は、第1の態様に係る波長変換装置において、前記信号光パルス列が複数のチャネルの光信号を時分割多重した光信号であり、前記チャネルごとに変換すべき波長を決定し、当該波長のシフト量に応じた勾配を有し、かつ前記チャネルの数を周期とする制御光パルス列が生成されるように前記勾配制御装置を制御する制御装置をさらに含み、前記波長変換部は、前記信号光パルス列の波長を前記チャネルごとにシフト量を異ならせて変換し出力光信号として出力するものである。
【0021】
本発明の第3の態様に係る波長変換装置は、第2の態様に係る波長変換装置において、前記信号光パルス列の先頭位置を検出する検出装置と、前記検出装置から入力された前記信号光パルス列および前記勾配制御装置から入力された前記制御光パルス列の少なくとも一方を遅延させ、前記信号光パルス列の先頭位置と前記制御光パルス列の先頭位置との時間差を調整する可変遅延装置と、をさらに含み、前記制御装置は、前記信号光パルス列と前記制御光パルス列との時間的な重なりが、前記波長変換部において波長変換を生じさせるように前記可変遅延装置を制御して前記時間差を調整するものである
【0022】
本発明の第4の態様に係る波長変換装置は、第2の態様または第3の態様に係る波長変換装置において、前記波長変換部から出力された前記出力光信号を入力する入力端と、前記出力光信号に含まれる前記チャネルを前記波長に応じて分離し出力する複数の出力端を有する分光素子をさらに含むものである。
【0023】
本発明の第5の態様に係る波長変換装置は、第4の態様に係る波長変換装置において、前記複数の出力端が各々異なる送信先に接続され、前記制御装置は、前記チャネルの送信先の変更に伴い、当該チャネルの光信号が出力される出力端が変更後の送信先に接続された出力端となるように、前記勾配制御装置を制御して、当該チャネルに対応する制御光パルス列の各々の光パルスの勾配を変更後の出力端に対応する波長に応じた勾配に変更するものである。
【0024】
本発明の第6の態様に係る波長変換装置は、第1の態様に係る波長変換装置において、前記信号光パルス列が時系列で配置された複数のパケットからなる光信号であり、前記パケットごとに変換すべき波長を決定し、当該波長のシフト量に応じた勾配を有し、かつ前記パケットに含まれるビットの数を周期とする制御光パルス列が前記パケットごとに生成されるように前記勾配制御装置を制御する第2の制御装置をさらに含み、前記波長変換部は、前記信号光パルス列の波長を前記パケットごとにシフト量を異ならせて変換し出力光信号として出力するものである。
【0025】
本発明の第7の態様に係る波長変換装置は、第6の態様に係る波長変換装置において、前記パケットごとにその先頭位置を検出する検出装置と、前記検出装置から入力された前記信号光パルス列および前記勾配制御装置から入力された前記制御光パルス列の少なくとも一方を遅延させ、前記信号光パルス列の先頭位置と前記制御光パルス列の先頭位置との時間差を調整する可変遅延装置と、をさらに含み、前記第2の制御装置は、前記信号光パルス列と前記制御光パルス列との時間的な重なりが、前記波長変換部において波長変換を生じさせるように前記可変遅延装置を制御して前記時間差を調整するものである。
【0026】
本発明の第8の態様に係る波長変換装置は、第6の態様または第7の態様に係る波長変換装置において、前記波長変換部から出力された前記出力光信号を入力する入力端と、前記出力光信号に含まれる前記パケットを前記波長に応じて分離し出力する複数の出力端を有する分光素子をさらに含むものである。
【0027】
本発明の第9の態様に係る波長変換装置は、第8の態様に係る波長変換装置において、前記複数の出力端が各々異なる送信先に接続され、前記第2の制御装置は、前記パケットの送信先の変更に伴い、当該パケットの光信号が出力される出力端が変更後の送信先に接続された出力端となるように、前記勾配制御装置を制御して、当該パケットに対応する制御光パルス列の各々の光パルスの勾配を変更後の出力端に対応する波長に応じた勾配に変更するものである。
【0028】
本発明の第10の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第9のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記制御光パルス列の各々の光パルスの波形が、立ち上がり部および立ち下がり部の少なくとも一方に、一定または略一定の勾配を有する波形であるものである。
【0029】
本発明の第11の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第10のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記制御光パルス列の各々の光パルスの波形が、立ち上がり部に一定または略一定の勾配を有するとともに立ち下がり部が速やかに立ち下がる鋸歯状波形、または、立ち下がり部に一定または略一定の勾配を有するとともに立ち上がり部が速やかに立ち上がる鋸歯状波形であるものである。
【0030】
本発明の第12の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第11のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記勾配制御装置は、入力された光パルス列に含まれる各々の光パルスの強度を制御して前記勾配の大きさを制御するものである。
【0031】
本発明の第13の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第12のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記波長変換部が非線形ファイバまたは非線形光学結晶を含む非線形光学素子を用いて構成されるものである。
【0032】
本発明の第14の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第13のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記光パルス発生装置が、出力の一部を分岐し、光スペクトラムアナライザを介して測定された光スペクトル、および、光サンプリングオシロスコープを介して測定されたパルス波形をフィードバックして制御することにより前記パルス波形が同一である光パルス列を生成する光パルスシンセサイザであるものである。
【0033】
本発明の第15の態様に係る波長変換装置は、第1ないし第14のいずれか1つの態様に係る波長変換装置において、前記光パルス発生装置が、パルス光源、前記パルス光源から入力された光パルスの強度および位相を制御して一定または略一定の正の勾配部分を含む波形を有する光パルスを生成し出力する第1の光パルス整形器、前記パルス光源から入力された光パルスの強度および位相を制御して一定または略一定の負の勾配部分を含む波形を有する光パルスを生成し出力する第2の光パルス整形器、および、前記第1の光パルス整形器の出力および前記第2の光パルス整形器の出力のいずれか一方を選択して前記波形が同一である光パルス列として出力する光スイッチを含んで構成されるものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施の形態に係る波長変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】実施例に係る波長変換装置の制御光の波形の実測値および目標値を示す波形図である。
【図3】実施例に係る波長変換装置の各波形のスペクトル、および波長変換動作を説明するための各部波形等の模式図である。
【図4】実施例に係る波長変換装置の入力パワーに対する波長変換幅を示すグラフである。
【図5】実施例に係る波長変換装置の波長変換の有無による波長変換部の出力の光スペクトルを示す図である。
【図6】実施例に係る波長変換装置の固定パターンに対する制御光、変換光の波形を示す波形図である。
【図7】第2の実施の形態に係る波長変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】第2の実施の形態に係る光パルス発生装置で発生させる鋸歯状パルスの波形を示す模式図である。
【図9】第2の実施の形態に係る光パルス発生装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態に係る波長変換装置の各部の波形を示す模式図である。
【図11】第3の実施の形態に係る波長変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】第3の実施の形態に係るパケットの構成を示す模式図である。
【図13】第4の実施の形態に係る波長変換装置の構成例を示すブロック図である。
【図14】従来例1による波長変換装置を説明するための模式図である。
【図15】従来例2による波長変換装置を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。

【0037】
[第1の実施の形態]
図1に本実施の形態に係る波長変換装置90に示す。波長変換装置90は、光パルス発生装置12、勾配制御部14、波長変換部16、光フィルタ64、第1の入力ポート66、第2の入力ポート67、および出力ポート68を含んで構成されている。

【0038】
光パルス発生装置12は、波形において一定または略一定の勾配部分を有する一定強度の光パルスを生成する部位であり、たとえば、後述するように光パルスシンセサイザにより構成することができる。本実施の形態では、該一定強度の光パルスを図8に示すような一定強度の鋸歯状波形のパルスとしている。光パルスシンセサイザを用いることにより、容易に鋸歯状波形パルスの波長や幅を変更することが可能で、精確な制御光波形を生成する光パルス発生装置を構成することができる。

【0039】
勾配制御部14は、光パルス発生装置12から入力された光パルスのピーク強度(図8内のP)を、たとえば、外部からの信号に基づき変えることにより該光パルスの勾配を制御して、制御光Pを生成する部位である。勾配制御部14は、一例として、光増幅器や光変調器(光減衰器)等により構成することができる。図8において、パルスの勾配をPとすると、
JP0006186610B2_000002t.gif(ここで、Tはゼロレベル幅であり、光強度が0の位置の光パルスの時間幅をいう)
なので、ピーク強度Pを変えることによって、パルスの勾配を制御できる。
なお本実施の形態における制御光Pの波形は、一定または略一定の勾配部分を有する波形であれば、特に鋸歯状波形に限定されることなく適用することができる。

【0040】
波長変換部16は、制御光Pの一定または略一定の勾配部分を用いて信号光Pに傾き一定の強度変調を施し、信号光Pに周波数シフト(波長変換)を行う部位であり、たとえば、非線形ファイバや非線形光学結晶などを用いて構成することができる。本実施の形態では、波長変換の方法として、相互位相変調を用いた形態を例示して説明するが、これに限られず一定または略一定の勾配を有する制御光を利用するものであれば、特に限定されることなく用いることができる。

【0041】
すなわち、非線形光学素子一般において、該非線形光学素子に一定または略一定の勾配を有する制御光を入射した場合の周波数シフト量Δf、あるいは波長シフト量Δλは、次の式で表される。
JP0006186610B2_000003t.gifここで、γ:非線形光学素子の非線形定数、P:制御光のパルス強度の勾配、L:作用長
したがって、本発明では、非線形光学素子の上記特性を用いることにより、波長変換部16を構成することができる。

【0042】
波長変換装置90の第1の入力ポート66からはパルス状の波長λS1の信号光Pが、第2の入力ポート67からは波長λの上記制御光Pが、両者のタイミングをそろえて入力される。そして、図1における横軸が波長のグラフが示すように、波長変換部16において、信号光Pの波長はλS1からλS2に変換されて出力ポート68から波長変換装置出力光Pとして出力される。

【0043】
ここで、信号光パルスP、および波長変換装置出力光パルスPは一定のスペクトル分布を有するが、以下では、それぞれのパルスの中心波長λS1、λS2を単に波長と記載して説明する。

【0044】
なお、図1において光フィルタ64は制御光Pを除去するためのフィルタであるが、本実施の形態においては、たとえば波長変換された信号光Pとの関係で必要に応じ設ければよいものであり、以下の実施の形態においてはこれを省略した形態で説明する。

【0045】
以上のように、本実施の形態に係る波長変換装置90では、波形において一定または略一定の勾配部分を有する一定強度の光パルスを発生する光パルス発生装置12を採用している。そして、さらにその後段に、光パルス発生装置12から入力された光パルスの強度を変えることにより該光パルスの勾配を独立に制御して制御光Pを生成することが可能な勾配制御部14を配置する構成としている。
したがって、本実施の形態に係る波長変換装置によれば、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することができる。

【0046】
[実施例]
以下に、本実施の形態に係る波長変換装置の実施例について説明する。本実施例では、図1に示す波長変換装置90を実際に実現し、以下に示す各データを取得している。

【0047】
図2は、波長変換装置90の光パルス発生装置12から出力された、制御光として使用する非対称な鋸歯状の光パルスの波形を示している。先述したように、当該光パルス発生装置12は、後述の光パルスシンセサイザにより構成されている。図2に実験値で示された波形は繰り返し周波数10GHz、パルス幅10ps(半値幅、FWHM)の光パルスであり、光パルス発生装置12の出力を観測したものである。

【0048】
図2に示す波形では、ゼロレベル幅を20psとしている。また、実験値として示した波形が、実際の波長変換装置において観測した波形であり、目標値として示した波形は、シミュレーションにより求めた理想的な鋸歯状パルス波形である。

【0049】
図2(a)に示す鋸歯状の光パルス波形では立ち上がり、立ち下がりの比を1:2としており、したがって、立ち上がり時間は6.7ps(ピークピーク値、peak-to-peak値)、立ち下がり時間(ピークピーク値、peak-to-peak値)は13.3psとなっている。また、図2(b)は、図2(a)に示す光パルス波形を強度軸に対して線対称とした光パルス波形である。したがって、図2(b)に示す光パルス波形の立ち上がり、立ち下がりの比は2:1となっており、立ち上がり時間は13.3ps、立ち下がり時間は6.7psとなっている。

【0050】
図2(a)および(b)に示すように、実験値と目標値とはよく一致していることがわかる。したがって、本実施例に係る波長変換装置によれば、一例として、精確な鋸歯状パルス波形を有する制御光Pを生成することが可能であり、さらに、立ち上がり時間、立ち下がり時間、つまり鋸歯状パルス波形の勾配の設定等に対して柔軟に対応することが可能となっている。

【0051】
つぎに、波長変換幅についての実施結果について説明する。
先述したように、本実施の形態に係る波長変換装置では、制御光Pの勾配部分を用いて信号光Pに強度変調を施すことにより、勾配に比例した波長シフト量Δλを得ることができる。ここでいう波長変換幅とはこの波長シフト量Δλをさし、信号光Pの波長と波長変換装置出力光パルス(以下、「変換光」という場合がある)Pの波長との差分である。なお、本実施例では、制御光P、信号光P、および変換光Pの各波長は、各光スペクトラムのピーク値で読み取った波長としている。

【0052】
本実施例では、波長変換装置90の第1の入力ポート66から入力する信号光Pを波長1540nmの連続光とし、光パルス発生装置12からの出力(つまり制御光P)を図2(a)に示す鋸歯状波形を有する波長1550nmの光パルスとした。また、波長変換部16には、長さ100mの高非線形ファイバを用いた。

【0053】
図3(a)に、図1に示す波長変換装置90における波長変換部16の出力で観測した光スペクトルを示す。同図において、波長1550nmを中心とする光スペクトルが制御光Pであり、波長1540nmの線スペクトルが信号光Pである。

【0054】
また、信号光Pの両側に発生している光スペクトルが変換光Pの光スペクトルである。信号光Pに対して長波長側に発生している変換光Pは制御光Pの正の勾配に対応して発生した変換光Pであり、いわゆるレッドシフトした変換光である。また、信号光Pに対して短波長側に発生している変換光Pは制御光Pの負の勾配に対応して発生した変換光Pであり、いわゆるブルーシフトした変換光である。

【0055】
上記の短波長側および長波長側への変換光Pのスペクトルは、それぞれ制御光Pの立ち下がり時間13.3ps、および立ち上がり時間6.7psに対応する光周波数を有する矩形波の光スペクトル(sinc関数形状)とよく一致している。したがって、原理通りに相互位相変調による波長変換が実現されていることがわかる。

【0056】
図3(b)ないし(f)には、本実施例に係る波長変換装置の動作について説明するための模式図である。
図3(b)は連続光である信号光Pの波形、図3(c)は図2(a)に示す波形を有する制御光Pの波形を示している。なお、同図における横軸のtは時間を、縦軸のPは光パワーを表している。

【0057】
また、図3(d)は、図3(c)に示す制御光Pの立ち上がり部分および立ち下がり部分のそれぞれに対応する、時間に対する変換光Pの光周波数fの変化を示している。同図に示すように、制御光Pの立ち上がり部分においては基準となる光周波数f(信号光Pの波長である1540nmに対応する周波数)に対して負側に偏移した(レッドシフトした)一定の光周波数となっており、制御光Pの立ち下がり部分においては基準となる光周波数fに対して正側に偏移した(ブルーシフトした)一定の光周波数となっている。

【0058】
さらに、図3(e)は制御光Pの立ち下がり部分に対応する変換光の波形を、図3(f)は制御光Pの立ち上がり部分に対応する変換光の波形を示している。図2(a)示す波形を有する制御光Pで連続光である信号光Pを時間的に一部切り出すため、制御光Pの立ち上がり部分および立ち下がり部分に対応する各変換光の波形は、図3(e)および(f)に示すように矩形波になる。

【0059】
ここで、先述したように、波長変換幅は制御光Pの強度の時間波形の傾き(強度の時間波形の微分値)に比例する。つまり、波長変換幅は制御光Pの強度勾配に比例し、該強度勾配の正負によって波長変換方向がそれぞれ+方向、-方向(周波数シフトの方向がそれぞれ-方向、+方向)となる。したがって、本実施の形態に係る波長変換装置では、図2に示す鋸歯状波形を有する制御光Pのピーク強度を変更することによって、変換光Pの変換波長を調整することができる。

【0060】
図4は、波長が1540nmで連続光の信号光Pと、波長1550nmの図2に示す鋸歯状波形を有する制御光Pとを波長変換部16に入力した場合の、制御光Pの光強度(同図では「入力パワー」と表記)に対する波長変換幅を示している。図4(a)は、波長変換部16を構成する高非線形ファイバの長さが100mの場合のレッドシフトおよびブルーシフトの波長変換幅を、図4(b)は、波長変換部16を構成する高非線形ファイバの長さが200mの場合のブルーシフトの波長変換幅を示している。なお、図4の入力パワーは平均値で表しているが、本実施例に係る制御光Pは、図2に示すようにゼロレベル幅が20psで一定の光パルス波形となっているので、制御光Pの入力パワーの変化はすなわち制御光Pのピーク強度の変化となっている。

【0061】
図4(a)に示すように、高非線形ファイバの長さが100mの場合、レッドシフトで約4nmの波長変換幅、ブルーシフトで約3nmの波長変換幅を実現している。また、図4(b)に示すように、高非線形ファイバの長さが200mの場合、ブルーシフトで約6nmの波長変換幅を実現している。したがって、本実施例に係る波長変換装置によれば、高非線形ファイバの長さ、制御光Pの入力パワーを調整することにより、レッドシフトおよびブルーシフトを合わせて10nm以上の波長変換幅を有する波長変換装置を構成することが可能である。

【0062】
また、図4から、先に示した波長シフト量Δλを算出する式のとおり、波長変換幅は制御光Pの入力パワー、すなわち、本実施例では制御光Pのパルス強度の勾配に対して比例して変化していることがわかる。また、図4(b)に示す高非線形ファイバの長さが200mの場合の内挿した直線の傾きは、図4(a)に示す高非線形ファイバの長さが100mの場合の内挿した直線の傾きの約2倍となっていることがわかる。つまり、図4の結果から、本実施例に係る波長変換装置が理論通りの動作をしていることがわかる。

【0063】
つぎに、本実施例に係る波長変換装置の波長変換効率について以下に述べる。
波長変換効率とは、波長変換部16の出力で観測した場合の、信号光Pに対する波長変換を行った場合の光強度の波長変換を行わない場合の光強度に対する比であり、当該波長変換においてどの程度の光の損失(または増幅)が発生したかを示す指標である。

【0064】
図5は、波長変換部16の出力を光フィルタ64で切り出した、波長変換を行った場合(同図では、「波長変換あり」と表記)の変換光Pの光スペクトルと、行わない場合(同図では、「波長変換なし」と表記)の信号光Pの光スペクトルを示している。図5では、信号光Pにパルス幅約5.5psのパルス列を用いており、制御光Pは短波長側に波長変換される条件、つまり、鋸歯状波形の光パルスの負の勾配部分を用いる条件としている。また、波長変換を行わない場合では光パルス発生装置12の動作を停止させ、波長変換部16に制御光Pを入力しないようにしている。

【0065】
また、図5においては、波長変換の有無で損失を合わせるため、波長変換なしの場合には信号光Pの波長1540nmを中心波長とする光バンドパスフィルタで、波長変換ありの場合には変換光Pの波長1538.5nm(つまり、波長変換の結果、信号光Pの波長は短波長側に1.5nmシフトしている)を中心波長とする光バンドパスフィルタで波長変換部16の出力を切り出している。

【0066】
図5から、波長変換なしの場合よりも波長変換ありの場合の方が光強度のピーク値が大きいことがわかる。また、波長変換なしの場合の平均光強度は-3.3dBm、波長変換ありの場合の平均光強度は-1.6dBmとなっており、波長変換効率は100%を越える150%となっていることがわかった。このことから、高非線形ファイバにおいて、相互位相変調による波長変換と同時にパラメトリック増幅が起こっており、本波長変換装置によれば信号光Pの増幅も可能であることがわかった。

【0067】
ところで、波長変換装置においては、所定の波長に正確に変換することのみならず、波長を変換するために要する時間(波長スイッチング時間)が重要である。そこで、この波長スイッチの速度を示す波長スイッチング時間を確認した結果について図6を参照しつつ説明する。

【0068】
上記の波長変換効率の測定に際しては、繰り返し周波数10GHzの信号光Pの光パルスの各々に対して、同じ強度の光パルスとした制御光Pを作用させていた。ここでは、波長変換動作におけるスイッチング時間を確認するため、図1に示す勾配制御部14により制御光Pに強度変調を施し、制御光Pのビットごとの光パワーを信号光Pのビットごと対応させて変化させ、信号光Pのビットごとに波長変換を行った。

【0069】
その際、信号光P、および制御光Pのパルスパターンとして固定パターン1101および固定パターン1000の2種類のパターンを用い、光フィルタ64として光バンドパスフィルタを用いて波長変換部16の出力を切り出し、各固定パターンに対応する変換光Pの波形を観測した。図6はその観測結果を示しており、図6(a)および(b)はそれぞれ固定パターン1101の場合の制御光Pの波形および変換光Pの波形を、図6(c)および(d)は、それぞれ固定パターン1000の場合の制御光Pの波形および変換光Pの波形を示している。

【0070】
図6に示すように、パルスパターンの異なる2種類の固定パターンの制御光Pによって100ps間隔のパルス列である信号光Pが抜き出されている。このことから、本実施例に係る波長変換装置では、100ps以下の波長スイッチング速度が得られていることがわかる。この波長スイッチング速度は、本実施の形態に係る波長変換装置のみならず、後述の波長分割多重伝送装置あるいは波長分割パケット伝送装置に対しても適用可能な速度である。

【0071】
[第2の実施の形態]
図7に、本実施の形態に係る波長変換装置10を示す。波長変換装置10は、単一光で時分割多重(Optical Time Division Multiplex:OTDM)された入力信号光Pを、波長分割多重された波長変換装置出力光Pに変換する装置である。また、波長変換装置10は、制御光を鋸歯状パルスとし、相互位相変調により波長変換を行う。

【0072】
なお、本実施の形態では、入力信号光Pに波長が一定の単一光を適用した場合の形態を例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、各光パルスの波長が異なる信号光、たとえば、波長分割多重された入力信号光Pについても同様に適用が可能である。

【0073】
図7に示すように、波長変換装置10は、波長変換部16、光パルス発生装置12、勾配制御部14、可変遅延器20、同期信号検出部24、波長変換装置制御部18、および光カプラ22を含んで構成されている。光パルス発生装置12、勾配制御部14、および可変遅延器20を具備して制御光生成部30が構成されている。

【0074】
同期信号検出部24は、伝送路から波長変換装置10に入力された時分割多重された信号光Pから、波長変換処理を行う上で必要となる各種同期信号S、すなわち時分割多重信号の多重数、先頭ビットの位置、クロック周波数等の検出を行う。同期信号検出部24は、たとえば、光信号を一旦電気信号に変換し、電子回路で処理して同期信号Sを抽出した後、再度光信号に変換する公知の回路を用いて構成することができる。検出された同期信号Sは、波長変換装置制御部18に送られる。本実施の形態では、一例として、多重数を4とし、時分割多重信号のチャネルをch1、ch2、sh3およびch4の4チャネルとしている。

【0075】
制御光生成部30における、光パルス発生装置12は、図8に示すような一定強度の鋸歯状波形のパルスを発生する装置であり、たとえば光パルスシンセサイザで構成することができる。

【0076】
図9に、本実施の形態に係る光パルス発生装置12の構成例を示す。
図9(a)に示す光パルス発生装置12は、パルスレーザ70、および光パルス整形器72を含んで構成されている。パルスレーザ70は、次段の光パルス整形器72において鋸歯状波形の制御光パルスに整形するためのパルス光源である。

【0077】
光パルス整形器72は光パルスを入力し、該光パルスの各周波数成分の強度と位相とを独立に調整することで任意形状の光パルスを合成する。周波数スペクトルと時間波形はフーリエ変換で結ばれる表裏一体の関係にあるから、光スペクトルを調整すれば、時間波形を任意形状に合成することが可能である。

【0078】
光パルス整形器72は、図示しない光スペクトラムアナライザおよび光サンプリングオシロスコープ(または自己相関器)を含んで構成されている。そして、強度および位相の制御には、光出力の一部を分岐して、光スペクトラムアナライザで測定した光スペクトルと、光サンプリングオシロスコープからのパルス波形を元に、理想的な鋸歯状パルスの形状になるようにフィードバック制御を行う。光パルス整形器72で合成された制御光パルスは、光パルス発生装置出力光Pとして出力される。

【0079】
図9(b)に、本実施の形態に係る光パルス発生装置12の他の構成例を示す。
同図に示す光パルス発生装置12は、単一周波数レーザ74、光コム発生器76、信号発生器78、および光パルス整形器72を含んで構成されており、図9(a)に示す光パルス発生装置12におけるパルスレーザ70の代わりに光コム発生器76を用いた構成例である。

【0080】
光コム発生器76は、単一周波数レーザ74から入力された光パルスを、たとえば、ニオブ酸リチウム(LN)を材料とする位相変調器で位相変調することにより光周波数コムを発生する。信号発生器78は該位相変調器を駆動するためのマイクロ波信号を発生するものである。光周波数コムの周波数間隔および生成する光パルス列の繰り返し周波数は、この信号発生器78で発生されるマイクロ波信号の周波数と等しくなる。光パルス整形器72で合成された制御光パルスは、光パルス発生装置出力光Pとして出力される。ここで、単一周波数レーザ74として周波数可変レーザを用いれば、光周波数コムの中心波長を選択することができる。

【0081】
また、図9(a)および図9(b)に示すように、光パルス整形器72は、周波数制御信号CSが入力される入力部を有しており、該周波数制御信号CSに基づいて生成する制御光パルスの周波数を変更可能なように構成されている。

【0082】
ここで、図9(c)を参照して、光パルス発生装置12において、勾配の傾きの正負を切り替える構成について説明する。
光パルス発生装置12は、任意の形状を有する光パルスを発生させることが可能であるから、たとえば、鋸歯状パルスの勾配の傾きの正負が異なる光パルス(たとえば、図8に示す光パルスと図8に示す光パルスの光強度軸に対して線対称な光パルス)を切り替えて、入力信号光の波長に対する波長シフトの方向を異ならせることが可能である。

【0083】
しかしながら、光ネットワークにおいては高速な波長切り替えが要求されるため、変換波長の切り替えは波長シフトの方向も含めて、確実に行うことが求められる。図9(c)に示す光パルス発生装置80は、この点を考慮した構成となっている。
光パルス発生装置80は、正の傾きを有する鋸歯状パルスを発生する光パルス整形器72A、負の傾きを有する鋸歯状パルスを発生する光パルス整形器72B、パルスレーザ70、および2×1光スイッチ82を含んで構成されている。

【0084】
図9(c)において、光パルス整形器72Aと光パルス整形器72Bとは同期をとって並列に動作させるようになっている。そして、波長シフトの方向に応じて、2×1光スイッチ82を制御することにより、光パルス整形器72Aまたは光パルス整形器72Bの出力を切り替えて光パルス発生装置出力光Pとすることにより、鋸歯状パルスの勾配の傾きの正負を速やかに切り換えることが可能となっている。光パルス整形器72Aおよび光パルス整形器72Bの切り替え信号は、たとえば、周波数制御信号を送信するCSに含ませることができる。光パルス発生装置80によれば、入力信号光において、たとえばビット単位で波長シフトの方向が異なる信号光が混在したとしても、変換の取りこぼしを発生させることなく波長変換を行うことが可能である。

【0085】
以上のように構成された光パルス発生装置12によれば、波形等が精密に制御された制御光パルスを発生することが可能である。

【0086】
制御光生成部30における勾配制御部14は、上記鋸歯状パルスの強度を変化させてその勾配を制御する。上述したように、制御光の傾きの大きさにより信号光Pの周波数のシフト量、すなわち変換波長幅を制御できるので、本構成により時分割多重された信号光Pに含まれる各チャネルに対して、ビット単位の波長変換を行うことができる。勾配制御部14は、光増幅器や光変調器(光減衰器)等により構成してもよい。

【0087】
制御光生成部30における可変遅延器20は、信号光Pのチャネルの配列と勾配を制御された制御光Pの配列とのタイミングを合わせるために、制御光Pに対して必要な遅延を与える。その結果、信号光Pの各チャネルに対して波長が割り当てられ、かつ信号光Pと制御光Pとがタイミングが合わされた状態で光カプラ22により合波され、波長変換部16へと導かれる。

【0088】
波長変換部16は、合波された信号光Pおよび制御光Pに基づき相互位相変調により波長を変換して、波長変換装置出力光Pとして出力ポート146から出力する部位であり、本実施の形態では、高非線形ファイバを採用している。

【0089】
波長変換装置制御部18は、同期信号検出部24から受け取った同期信号Sに基づいて、制御光生成部30の制御を行う。

【0090】
まず、同期信号Sに含まれる信号光Pのクロック周波数を、光パルス発生装置12に周波数制御信号CSとして送る。
光パルス発生装置12は、受け取った周波数制御信号CSに基づき、光パルス整形器72に備えられた制御部(図示省略)が発生させる鋸歯状パルスの周波数を決定し、強度一定の鋸歯状パルス列を発生させる。

【0091】
また、波長変換装置制御部18は、同期信号Sに含まれる多重数および波長変換装置出力光Pに許容される波長等を考慮して、信号光Pの各チャネルに割り当てる波長配置を決定し、波長制御信号CSとして勾配制御部14に送る。
勾配制御部14は、受け取った波長制御信号CSに基づき各チャネルの波長に対応する鋸歯状パルスの強度を決定する。決定した強度に基づき、光パルス発生装置12から勾配制御部14に入力された一定強度の鋸歯状パルス列である光パルス発生装置出力光Pに対して、各チャネルに対応する鋸歯状パルスごとに強度を変える。その結果、信号光Pの各チャネルに対応して波長を変えるための制御光Pが得られる。本実施の形態では、一例として、多重数を4としているので、ch1ないしch4に対応して、変換波長はλ、λ、λ、およびλの4波が決定される。

【0092】
さらに、波長変換装置制御部18は、同期信号Sに含まれる信号光Pの先頭ビット位置と上記で生成した制御光Pのパルス列の先頭ビット位置との時間差を計算し、必要な遅延時間を求め、遅延時間制御信号CSとして可変遅延器20に送る。
可変遅延器20は、受け取った遅延時間制御信号CSに基づき制御光Pを遅延させて遅延制御光Pとする。その結果、信号光Pと制御光Pとのタイミングを合わせることが可能となる。
なお、可変遅延器20としては、遅延時間に応じて光路長の異なる伝送線を選択する方式のもの(たとえば、特開平08-220343号公報に開示されたもの)等公知のものを用いることができる。

【0093】
ここで、本実施の形態では、制御光Pを遅延させて信号光Pと制御光Pのタイミングを合わせる形態を例示して説明したが、これを信号光Pを遅延させて行ってもよいし、あるいは制御光Pおよび信号光Pの双方を遅延させて行ってもよい。信号光Pを遅延させる場合には、同期信号検出部24の後段に可変遅延器20を配置すればよい。

【0094】
つぎに、図10を参照して、タイミングチャートに基づく波長変換装置10の各部波形について説明する。

【0095】
図10(a)は、ch1ないしch4の時分割多重された信号光Pを示している。このチャネルごと(ビットごと)に波長変換を行う。
図10(b)は、光パルス発生装置12から発生した光パルスである光パルス発生装置出力光Pを示している。同図に示すように、光パルス発生装置出力光Pの強度は一定である。
図10(c)は、勾配制御部14で光パルスごとに傾きを変化させた制御光Pを示す。同図においてch1ないしch4に対応する光パルスの傾きの大きさは、ch2>ch4>ch3>ch1の順序なので、波長変換される光パルスの波長シフト量はこの順序で大きくなる。

【0096】
図10(d)は、光カプラ22において、信号光Pと可変遅延器20で遅延された遅延制御光Pとが合波された状態の合波光Pを示している。同図に示されるようにタイミング調整された信号光Pと制御光Pとが、波長変換部16に入力される。

【0097】
図10(e)に示すように、波長変換部16において、信号光Pの各チャネルの光パルス信号は、対応する制御光Pの鋸歯状パルスの傾きに応じて周波数シフトされ、波長変換装置出力光Pとして出力される。このとき、制御光Pの鋸歯状パルスの傾きは、ch2>ch4>ch3>ch1であったので、波長変換後の各チャネルの波長λ、λ、λ、λは、λ>λ>λ>λの順序となる。すなわち、波長変換装置出力光Pの波長配置は、図7の波長配置に示すような配置となる。

【0098】
ここで、波長制御信号CS、鋸歯状パルスの傾き、および変換波長の相互の関係は、予め波長変換装置制御部18接続されたROM等の記憶部(図示省略)に格納しておいてもよい。

【0099】
以上のような動作によって、波長変換装置10は、時分割多重された入力信号光Pを波長分割多重された波長変換装置出力光Pとして出力する。
本実施の形態に係る波長変換装置10によれば、光変調器等により構成された勾配制御部14において鋸歯状パルスである制御光Pの強度を変化させるだけで波長を変換できるので、高速に波長を切り替える(スイッチングする)ことが可能である。

【0100】
以上のように、本実施の形態に係る波長変換装置によっても、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することができる。

【0101】
[第3の実施の形態]
図11に、本実施の形態に係る波長変換装置40を示す。
第2の実施の形態に係る波長変換装置10がビット単位で波長変換するものであったのに対し、本実施の形態に係る波長変換装置40はパケット単位で波長変換を行う形態であり、その構成は図7に示す波長変換装置10と同様である。

【0102】
なお、本実施の形態に係る波長変換装置40では、入力される各パケットの波長は特に限定されるものではなく、各パケットがどのような波長の組み合わせであっても、同様に適用することができる。たとえば、すべて同一の波長のパケットから構成されていてもよいし、波長の異なるパケットを含んでいてもよい。

【0103】
図12に示すように、パケット200は、通常ヘッダ領域204およびデータ領域206を含んで構成されている。ヘッダ領域204には、送信元アドレス、宛先アドレス等データの伝送に必要な情報が含まれ、データ領域206には、伝送すべき情報の本体が含まれている。ヘッダ領域204およびデータ領域206を併せてフレーム202と呼ぶ。パケット通信では、個々のパケットがバースト的に、つまり離散的に伝送されるので、パケット単位で波長変換する波長変換装置にも高速な応答性が要求される。

【0104】
図11を参照して、波長変換装置40の動作について説明する。同図においては、各パケットを4ビット単位として4本の直線で示しており、時間的に早い順から1ないし4の番号を付してある。また、パケットとパケットの間に設けられたガードタイムも示している。
同期信号検出部24は、ヘッダ領域204に含まれる情報から、パケットの先頭位置、パケットの種別等を読み取り、同期信号Sとして波長変換装置制御部18へ送る。

【0105】
同期信号Sを受け取った波長変換装置制御部18は、該同期信号Sに基づき、周波数制御信号CSを生成して光パルス発生装置12に送り、波長制御信号CSを生成して勾配制御部14に送り、遅延時間制御信号CSを生成して可変遅延器20に送り、それぞれを制御する。

【0106】
波長変換装置40では、勾配制御部14から出力される制御光Pがパケット単位で生成されるので、1フレームに含まれるビット数(図11では4ビット)だけの同一強度の鋸歯状パルス列となる。制御光Pは可変遅延器20で遅延させて遅延制御光Pとされ、対応するパケット信号の先頭とタイミングを合わせた後、光カプラ22で合波され、波長変換部16へ導かれる。波長変換部16では、同一パケットに含まれる各ビットが同一の波長に変換されて、パケット単位で波長変換され、波長変換装置出力光Pとして出力ポート146から出力される。

【0107】
その後に引き続くパケットに対しては、変換波長を異ならせて、または同一変換波長で上記同様にパケット単位で波長変換を行う。変換すべき波長の配置(パケットごとの波長の配置)は、ヘッダ領域204に含まれる宛先アドレス等に基づいて、波長変換装置制御部18が行ってもよい。

【0108】
図11においては、パケット1ないしパケット4の波長が、波長変換装置出力光Pにおいて、λ1ないしλ4に変換されている。遅延制御光Pの勾配の大きさが、ch3>ch2>ch1>ch4となっているので、波長変換後の波長は、λ3>λ2>λ1>λ4となり、波長変換装置出力光Pの波長配置は図11に示すような配置となる。ここで、パケット4に対応する遅延制御光Pの傾きは負であるので、波長λ4は元の波長に対して小さくなる方向にシフトする。

【0109】
なお、本実施の形態では、パケットとパケットの間にガードタイムが設けられているので、たとえば、図11で波長スイッチング時間として示しているように、勾配制御部14で勾配を制御する場合において、過渡的に光強度が制御値に達しない状態が発生したとしても問題はなく、ガードタイムの間に光強度が制御値に達すればよい。

【0110】
以上のように、本実施の形態に係る波長変換装置によっても、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することができる。
さらに、本実施の形態に係る波長変換装置は、パケット伝送のようなバースト的な信号の波長変換にも適したものとなっている。

【0111】
[第4の実施の形態]
本実施の形態は、第2の実施の形態に係る波長変換装置10を時分割多重分離装置50に適用した形態である。時分割多重分離装置とは、時分割多重された単一波長の信号(OTDM信号)をチャネルごとに分離(Demultiplexing:DEMUX)する装置である。時分割多重分離装置50は、チャネルごとに波長を変えて波長変換し、分光素子でチャネルごとに分離する形態を採用している。時分割多重分離装置50は、変換波長を動的に切り替えることにより、送信先を任意に変更可能な経路スイッチング装置としても機能する。

【0112】
図13を参照して、時分割多重分離装置50について説明する。
図13において、時分割多重分離装置50は、第2の実施の形態に係る波長変換装置10および波長変換装置10の出力ポート146に接続された分光素子としての分波器502、O/E変換器(Optical/Electrical Converter:光/電気変換器)504、および伝送路506含んで構成されている。OTDM信号光Pの多重数は4であり、ch1ないしch4が多重化されている。図7と同様に、OTDM信号光Pは、波長変換装置10において各チャネルのビットごとに波長を変えて波長変換が行われ、波長変換装置出力光Pとして波長変換装置10の出力ポート146から出力され、分波器502に導かれる。

【0113】
分波器502は、各チャネルごとの波長に応じて、波長変換装置出力光Pを各チャネルごとに分離する。分離された信号光Pの一部のチャネルは、時分割多重分離装置50に付随するO/E変換器504に入力され、電気信号に変換されて受信信号を生成する。この場合のチャネルはドロップチャネルと呼ばれる場合もある。また、分離された信号光Pの他のチャネルは、そのまま他の伝送路506に入力され、さらに他のノード(中継装置等)に向けて伝送される場合もある。この場合のチャネルはスルーチャネルと呼ばれる場合もある。図13では、ch1およびch4がドロップチャネル、ch2およびch3がスルーチャネルとなっている。
なお、分波器502は、一例として、AWGなどを用いて構成してもよい。

【0114】
以上のように、本実施の形態に係る時分割多重分離装置50は、第2の実施の形態に係る波長変換装置10を採用しているので、時分割多重信号光の一括分離が可能となっている。

【0115】
また、時分割多重分離装置50は、図13において、制御光生成部30における制御光の波長を動的に変化させることにより、チャネル単位の高速波長ルーティングを行うことが可能である。すなわち、たとえば、ドロップチャネルであったch1を、波長を変えることによって分波器502の出力端子を変更し、スルーチャネルに変えるようなことが可能である。
さらに、パケット単位で動的に波長を変化させれば、パケット単位の高速波長ルーティングが可能となる。

【0116】
以上のように、本実施の形態に係る波長変換装置によっても、一定の勾配を有する光パルス列を発生することができ、その強度を調整することによって、入力信号光の波長を切り替えることの可能な波長変換装置を提供することができる。

【0117】
なお、上記各実施の形態においては、各機能における損失を補償するために、適宜な位置にEDFA(Erbium Doped Fiber Amplifier:エルビウム添加光ファイバ増幅器)やSOA(Semiconductor Optical Amplifier:半導体光増幅器)などの光増幅器を配してもよい。

【0118】
日本出願2012-283058の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0119】
10 波長変換装置
12 光パルス発生装置
14 勾配制御部
16 波長変換部
18 波長変換装置制御部
20 可変遅延器
22 光カプラ
24 同期信号検出部
30 制御光生成部
40 波長変換装置
50 時分割多重分離装置
64 光フィルタ
66 第1の入力ポート
67 第2の入力ポート
68 出力ポート
70 パルスレーザ
72、72A、72B 光パルス整形器
74 単一周波数レーザ
76 光コム発生器
78 信号発生器
80 光パルス発生装置
82 2×1光スイッチ
90 波長変換装置
146 出力ポート
200 パケット
202 フレーム
204 ヘッダ領域
206 データ領域
502 分波器
504 O/E変換器
506 伝送路
800 波長変換装置
802 高非線形ファイバ
804 光フィルタ
810 第1の入力ポート
812 第2の入力ポート
814 出力ポート
900 波長変換装置
902 高非線形ファイバ
910 第1の入力ポート
912 第2の入力ポート
914 出力ポート
916 サーキュレータ
918 SSFBG
信号光
制御光
光パルス発生装置出力光
遅延制御光
合波光
波長変換装置出力光
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14