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明細書 :トリアゾール連結型環状ジヌクレオチド類縁体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6153116号 (P6153116)
登録日 平成29年6月9日(2017.6.9)
発行日 平成29年6月28日(2017.6.28)
発明の名称または考案の名称 トリアゾール連結型環状ジヌクレオチド類縁体
国際特許分類 C07H  19/16        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07H 19/16 CSP
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 5
全頁数 24
出願番号 特願2014-513396 (P2014-513396)
出願日 平成25年12月27日(2013.12.27)
国際出願番号 PCT/JP2013/085042
国際公開番号 WO2014/109256
国際公開日 平成26年7月17日(2014.7.17)
優先権出願番号 2013001994
優先日 平成25年1月9日(2013.1.9)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年3月23日(2016.3.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
発明者または考案者 【氏名】磯部 寛之
【氏名】藤野 智子
【氏名】岡田 滉大
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100180862、【弁理士】、【氏名又は名称】花井 秀俊
審査官 【審査官】伊佐地 公美
参考文献・文献 国際公開第2008/120016(WO,A1)
特開平05-186495(JP,A)
国際公開第2005/005450(WO,A1)
LUO, Y. et al.,Differential binding of 2'-biotinylated analogs of c-di-GMP with c-di-GMP riboswitches and binding proteins,Molecular BioSystems,2012年,Vol. 8, No. 3,pp. 772-778
GRAJKOWSKI, A. et al.,Convenient Synthesis of a Propargylated Cyclic (3'-5') Diguanylic Acid and Its "Click" Conjugation to a Biotinylated Azide,Bioconjugate Chemistry,2010年,Vol. 21, No. 11,pp. 2147-2152
EI-SAGHEER, A. H. et al.,A Very Stable Cyclic DNA Miniduplex with Just Two Base Pairs,ChmeBioChem,2008年,Vol. 9,pp. 50-52
LIETARD, J. et al.,New Strategies for Cyclization and Bicyclization of Oligonucleotides by Click Chemistry Assisted by Microwaves,Journal of Organic Chemistry,2008年,Vol. 73,pp. 191-200
HYODO, M. et al.,Synthesis of cyclic bis(3'-5')diguanylic acid (c-di-GMP) analogs,Tetrahedron,2006年,Vol. 62,pp. 3089-3094
調査した分野 C07H
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP0006153116B2_000018t.gif
[式中、
Xa及びXbは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され、
Y1及びY2は、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)又は(Y-II):
【化2】
JP0006153116B2_000019t.gif
[式中、
*aは、Xaを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
*bは、Xbを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
Za及びZbは、1,2,3-トリアゾール環の窒素原子と結合している場合には直接結合であり、1,2,3-トリアゾール環の炭素原子と結合している場合にはメチレンである]
からなる群より選択される1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基であり、
Ra1及びRb1は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態であり、
Ra1又はRb1がヒドロキシルの保護形態である場合、ヒドロキシル基の保護基は、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、アセトニド、tert-ブチル及びトリチルからなる群より選択される
で表される環状ジヌクレオチド類縁体。
【請求項2】
Xa及びXbが同一の塩基であり、並びにY1が式(Y-I)であり且つY2が式(Y-II)であるか、又はY1が式(Y-II)であり且つY2が式(Y-I)である、請求項1に記載の環状ジヌクレオチド類縁体。
【請求項3】
以下の式:
【化3】
JP0006153116B2_000020t.gif
で表される化合物から選択される、請求項1又は2に記載の環状ジヌクレオチド類縁体。
【請求項4】
式(Ia):
【化4】
JP0006153116B2_000021t.gif
[式中、
Xa及びRa1は、請求項1と同義であり、
La1及びLa2は、それぞれ独立して、Ra2又はRa3に含まれるアジドの窒素原子と結合している場合には直接結合であり、エチニルの炭素原子と結合している場合にはメチレンであり、
Ra2は、アジドであり、且つRa3は、エチニルであるか、又は
Ra2は、エチニルであり、且つRa3は、アジドである]
で表される化合物と、式(Ib):
【化5】
JP0006153116B2_000022t.gif
[式中、
Xb及びRb1は、請求項1と同義であり、
Lb1及びLb2は、それぞれ独立して、Rb2又はRb3に含まれるアジドの窒素原子と結合している場合には直接結合であり、エチニルの炭素原子と結合している場合にはメチレンであり、
Rb2は、アジドであり、且つRb3は、エチニルであるか、又は
Rb2は、エチニルであり、且つRb3は、アジドである]
で表される化合物とをそれぞれ1~10 mMの濃度で含む反応系中で、硫酸銅(II)の無水物又は水和物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、酢酸銅(II)とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、塩化銅(II)とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、並びに硫酸銅の無水物又は水和物とトリ(カルボキシエチル)ホスフィンとの組み合わせからなる群より選択される二価銅及び還元剤の組み合わせからなる触媒、並びにトリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)又はトリス(2-ベンジミダゾリルメチル)アミンである塩基存在下、50~60℃の範囲の温度で連結反応させて、環状構造を形成する環状構造形成工程;
を含む、請求項13のいずれか1項に記載の環状ジヌクレオチド類縁体の製造方法。
【請求項5】
式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とが同一の化合物である、請求項4に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアゾール連結型環状ジヌクレオチド類縁体に関する。
【背景技術】
【0002】
環状ジヌクレオチドは、細菌のセカンドメッセンジャーとして機能する天然生理活性物質である。例えば、細菌由来環状ジヌクレオチドである、環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸(c-di-GMP)は、ペスト菌、コレラ菌及びサルモネラ菌等のバイオフィルム生合成並びに運動性を制御する生理活性を有する。近年、c-di-GMPのような特定の環状ジヌクレオチドが、哺乳類の免疫応答を活性化し得ることが見出された。このため、医学又は生物科学分野における環状ジヌクレオチドの利用が期待されている(非特許文献1及び2)。
【0003】
環状ジヌクレオチドの新規用途を開発するためには、環状ジヌクレオチドを低コストで大量合成し得る技術が必要とされる。例えば、特許文献1は、ジヌクレオチドの分子内環化反応により、環状ビス(3’-5’)ジヌクレオチドを効率的に収率よく合成する方法を記載する。
【0004】
環状ジヌクレオチドのような天然型ヌクレオチドは、塩基とアルドペントース型の糖とからなる複数のヌクレオシドが、糖の水酸基部分に形成されたリン酸ジエステル結合を介して互いに連結された構造を有する。前記の構造的特徴に起因して、天然型ヌクレオチドは、生体内に存在する加水分解酵素に対するリン酸ジエステル結合部分の安定性が低い。また、塩基部分、糖部分及びリン酸ジエステル結合部分のいずれも脂溶性が低い極性基であるため、天然型ヌクレオチドは、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性が低い。これらの性質は、天然型ヌクレオチドを医薬用途に応用する際に、大きな問題となる。
【0005】
前記の問題に対し、天然型ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合部分を化学的により安定な基に置換した天然型ヌクレオチドの類縁体又はミミックである、人工ヌクレオシド連結体が開発された。例えば、特許文献2は、複数のリガンドを有するポリアミド骨格を含む化合物であって、前記複数のリガンドは、前記骨格中に位置する窒素原子と個別に結合し、前記リガンドの少なくとも1つは天然核酸塩基、非天然核酸塩基、DNAインターカレーター又は核酸塩基結合基である、前記化合物を記載する。当該文献に記載の化合物は、ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合部分をペプチド鎖に置換したペプチド核酸(PNA)を包含する。
【0006】
特許文献3は、糖とピリミジン塩基又はプリン塩基とがグリコシド結合してなる糖-塩基部が複数結合したヌクレオシド誘導体であって、該糖-塩基部が1,2,3-トリアゾール環を含む有機基を介して結合した構造を含む、前記ヌクレオシド誘導体を記載する。
【0007】
天然型環状ジヌクレオチドの類縁体である人工環状ヌクレオシド連結体として、例えば、非特許文献3は、c-di-GMPのリン酸ジエステル結合部分の一方をモノホスホロチオ酸ジエステル基に置換したc-di-GMP類縁体を記載する。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】国際公開第2005/005450号
【特許文献2】国際公開第92/20702号
【特許文献3】特開2007-204367号公報
【0009】

【非特許文献1】兵藤守ら、有機合成化学協会誌(2006)、第64巻、第4号、p. 359-370
【非特許文献2】吉岡資郎、化学(2012)、第67巻、第5号、p. 61-62
【非特許文献3】Hyodo, M.ら, Tetrahedron (2006), 第62巻, p. 3089-3094
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のように、天然型環状ジヌクレオチドの類縁体である人工環状ヌクレオシド連結体は知られている。しかしながら、人工環状ヌクレオシド連結体を医薬用途に応用するためには、天然型環状ジヌクレオチドとの構造類似性を維持しつつ、化学的安定性及び脂溶性をさらに向上させる必要がある。
【0011】
それ故、本発明は、天然型環状ジヌクレオチドの類縁体である人工環状ヌクレオシド連結体において、天然型との構造類似性を維持しつつ、化学的安定性及び脂溶性を向上させる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、前記課題を解決するための手段を種々検討した結果、天然型環状ジヌクレオチドの2個のリン酸ジエステル結合部分を、アジドとエチニルの付加環化反応によって形成される1,2,3-トリアゾール環を含む連結基に置換することにより、化学的安定性及び脂溶性を向上し得ることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
【0014】
(1) プリン塩基又はピリミジン塩基を含む2個のヌクレオシド部分と、1,2,3-トリアゾール環を含み、該2個のヌクレオシド部分を互いに連結して環状構造を形成する2個の連結基とを有する環状ジヌクレオチド類縁体。
【0015】
(2) 式(I):
【化1】
JP0006153116B2_000002t.gif
[式中、
Xa及びXbは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択され、
Y1及びY2は、それぞれ独立して、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基であり、
Ra1及びRb1は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態である]
で表される環状ジヌクレオチド類縁体。
【0016】
(3) Y1及びY2が、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)~(Y-IV):
【化2】
JP0006153116B2_000003t.gif
[式中、
*aは、Xaを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
*bは、Xbを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、
Za及びZbは、それぞれ独立して、直接結合又はヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基である]
からなる群より選択される、前記(2)に記載の環状ジヌクレオチド類縁体。
【0017】
(4) Xa及びXbが同一の塩基であり、並びにY1が式(Y-I)若しくは式(Y-III)であり且つY2が式(Y-II)若しくは式(Y-IV)であるか、又はY1が式(Y-II)若しくは式(Y-IV)であり且つY2が式(Y-I)若しくは式(Y-III)である、前記(2)又は(3)に記載の環状ジヌクレオチド類縁体。
【0018】
(5) 式(Ia):
【化3】
JP0006153116B2_000004t.gif
[式中、
Xa及びRa1は、前記(2)と同義であり、
La1及びLa2は、それぞれ独立して、直接結合又はヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基であり、
Ra2は、アジドであり、且つRa3は、エチニルであるか、又は
Ra2は、エチニルであり、且つRa3は、アジドである]
で表される化合物と、式(Ib):
【化4】
JP0006153116B2_000005t.gif
[式中、
Xb及びRb1は、前記(2)と同義であり、
Lb1及びLb2は、それぞれ独立して、直接結合又はヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基であり、
Rb2は、アジドであり、且つRb3は、エチニルであるか、又は
Rb2は、エチニルであり、且つRb3は、アジドである]
で表される化合物とを連結反応させて、環状構造を形成する環状構造形成工程;
を含む、前記(2)~(4)のいずれかに記載の環状ジヌクレオチド類縁体の製造方法。
【0019】
(6) 式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とが同一の化合物である、前記(5)に記載の方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、天然型環状ジヌクレオチドの類縁体である人工環状ヌクレオシド連結体において、天然型との構造類似性を維持しつつ、化学的安定性及び脂溶性を向上させる手段を提供することが可能となる。
【0021】
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願第2013-001994号の明細書及び/又は図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、トリアゾール修飾型-親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラムを接続したHPLCを用いた化合物(5)の分析HPLCクロマトグラムを示す図である。
【図2】図2は、トリアゾール修飾型-親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラムを接続したHPLCを用いた化合物(8)の分析HPLCクロマトグラムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<1. 環状ジヌクレオチド類縁体>
本発明は、環状ジヌクレオチド類縁体に関する。

【0024】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、プリン塩基又はピリミジン塩基を含む2個のヌクレオシド部分と、該2個のヌクレオシド部分を互いに連結して環状構造を形成する2個の連結基とを有することが必要である。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、プリン塩基又はピリミジン塩基を含む2個のヌクレオシドが、2個の連結基によって環状構造を形成するように連結された環状ヌクレオシド連結体である。

【0025】
本明細書において、「プリン塩基」は、プリン核を有する塩基性化合物又はその9-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味する。プリン塩基としては、限定するものではないが、例えば、アデニン及びグアニン等のプリン核酸塩基、並びにこれらの誘導体を挙げることができる。本明細書において、「ピリミジン塩基」は、ピリミジン核を有する塩基性化合物又はその1-位窒素原子上の水素原子を除去した1価の基を意味する。ピリミジン塩基としては、限定するものではないが、例えば、ウラシル、シトシン及びチミン等のピリミジン核酸塩基、並びにこれらの誘導体を挙げることができる。ピリミジン核酸塩基及びプリン核酸塩基の誘導体としては、限定するものではないが、例えば、ウラシル、シトシン、チミン、アデニン又はグアニンのハロゲン化誘導体及び脱アミノ誘導体、前記化合物の酸素原子が硫黄原子に置換された誘導体、ピリミジンのC-5位修飾塩基、プリンのC-7位修飾塩基、並びに環拡張型修飾塩基等を挙げることができる。

【0026】
例えば、プリン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることができる。
【化5】
JP0006153116B2_000006t.gif

【0027】
式中、D1は、酸素原子又は硫黄原子であり、D2は、ヒドロキシル又はアミノであり、E1及びE2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン、シアノ、アルキル、アルケニル又はアルキニルである。この場合、プリン核酸塩基及びその誘導体は、9-位の窒素原子を介してヌクレオシド部分の糖の1-位の炭素原子と結合する。

【0028】
前記化合物に包含されるプリン核酸塩基及びその誘導体としては、例えば、ヒポキサンチンのような脱アミノグアニン誘導体、8-フルオログアニン、8-ブロモグアニン及び8-ヨードグアニンのようなハロゲン化グアニン誘導体等の、グアニンの誘導体;8-フルオロアデニン、8-ブロモアデニン及び8-ヨードアデニンのようなハロゲン化アデニン誘導体、並びに1,N6-エテノアデニン等の、アデニンの誘導体を挙げることができる。

【0029】
例えば、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、以下の式で表される化合物を挙げることができる。
【化6】
JP0006153116B2_000007t.gif

【0030】
式中、D3及びD4は、それぞれ独立して、酸素原子又は硫黄原子であり、D5は、ヒドロキシル又はアミノであり、D6は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ又はアミノアルコキシであり、E3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニル又はアルコキシである。この場合、ピリミジン核酸塩基及びその誘導体は、1-位の窒素原子を介してヌクレオシド部分の糖の1-位の炭素原子と結合する。

【0031】
前記化合物に包含されるピリミジン核酸塩基及びその誘導体としては、例えば、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル及び5-ヨードウラシルのようなハロゲン化ウラシル誘導体、2-チオウラシル、4-チオウラシル及び2,4-ジチオウラシルのような酸素原子に代えて硫黄原子を有するウラシル誘導体、5-メチルウラシル、5-ビニルウラシル、並びに5-エチニルウラシル等の、ウラシルの誘導体;5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン及び5-ヨードシトシンのようなハロゲン化シトシン誘導体、5-エチニルシトシンのようなアルキニルを有するシトシン誘導体等の、シトシンの誘導体を挙げることができる。

【0032】
本明細書において、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「C1~C6アルキル」は、少なくとも1個且つ多くても6個の炭素原子を含む、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖を意味する。好適なアルキルとしては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル及びヘキシル等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルキレン」は、前記アルキルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。好適なアルキレンとしては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、t-ブチレン、ペンチレン及びヘキシレン等の直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルキレンを挙げることができる。

【0033】
本明細書において、「アルケニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なアルケニルとしては、例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、2-メチルアリル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル及び1,3-ブタンジエニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルケニレン」は、前記アルケニルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。好適なアルケニレンとしては、例えば、ビニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、2-メチル-1-プロペニレン、3-ブテニレン、4-ペンテニレン、5-ヘキセニレン及び1,3-ブタジエニレン等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルケニレンを挙げることができる。

【0034】
本明細書において、「アルキニル」は、前記アルキルの1個以上のC-C単結合が三重結合に置換された基を意味する。好適なアルキニルとしては、例えば、エチニル、2-プロピニル、2-ブチニル、2-ペンチニル、2-ヘキシニル及び2-ペンテン-4-イニル等の直鎖又は分枝鎖のC2~C6アルキニルを挙げることができる。また、本明細書において、「アルキニレン」は、前記アルキニルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0035】
本明細書において、「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を含む、脂環式アルキルを意味する。例えば、「C3~C6シクロアルキル」は、少なくとも3個且つ多くても6個の炭素原子を含む、環式の炭化水素基を意味する。好適なシクロアルキルは、限定するものではないが、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等を挙げることができる。また、本明細書において、「シクロアルキレン」は、前記シクロアルキルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0036】
本明細書において、「シクロアルケニル」は、前記シクロアルキルの1個以上のC-C単結合が二重結合に置換された基を意味する。好適なシクロアルケニルは、限定するものではないが、例えばシクロブテニル、シクロペンテニル及びシクロヘキセニル等を挙げることができる。また、本明細書において、「シクロアルケニレン」は、前記シクロアルケニルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0037】
本明細書において、「ヘテロシクリル」は、前記シクロアルキル又はシクロアルケニルの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素原子(N)、硫黄原子(S)及び酸素原子(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロシクリルは、限定するものではないが、例えばピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニル等を挙げることができる。また、本明細書において、「ヘテロシクリレン」は、前記ヘテロシクリルの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0038】
本明細書において、「アリール」は、6~15の炭素原子数を有する芳香環基を意味する。好適なアリールは、限定するものではないが、例えばフェニル、ビフェニル、ナフチル及びアントリル(アントラセニル)等を挙げることができる。また、本明細書において、「アリーレン」は、前記アリールの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0039】
本明細書において、「アリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルキルは、限定するものではないが、例えばベンジル、1-フェネチル及び2-フェネチル等を挙げることができる。

【0040】
本明細書において、「アリールアルケニル」は、前記アルケニルの水素原子の1個が前記アリールに置換された基を意味する。好適なアリールアルケニルは、限定するものではないが、例えばスチリル等を挙げることができる。

【0041】
本明細書において、「ヘテロアリール」は、前記アリールの1個以上の炭素原子が、それぞれ独立して窒素原子(N)、硫黄原子(S)及び酸素原子(O)から選択されるヘテロ原子に置換された基を意味する。この場合において、N又はSによる置換は、それぞれN-オキシド又はSのオキシド若しくはジオキシドによる置換を包含する。好適なヘテロアリールは、限定するものではないが、例えばフラニル、チエニル(チオフェンイル)、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、イソチアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル及びインドリル等を挙げることができる。また、本明細書において、「ヘテロアリーレン」は、前記ヘテロアリールの1個の水素原子が取り除かれた2価の基を意味する。

【0042】
本明細書において、「ヘテロアリールアルキル」は、前記アルキルの水素原子の1個が前記ヘテロアリールに置換された基を意味する。

【0043】
本明細書において、「アシル」は、前記で説明した基から選択される1価基とカルボニルとが連結した基を意味する。好適なアシルは、限定するものではないが、例えばアセチル、プロピオニル及びベンゾイル等を挙げることができる。

【0044】
本明細書において、「アルコキシ」は、前記アルキル、アルケニル又はアルキニルの1個以上の水素原子が酸素原子に置換された基を意味する。好適な直鎖又は分枝鎖のC1~C6アルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びイソブトキシ等を挙げることができる。

【0045】
本明細書において、「アミノアルコキシ」は、前記アルコキシの1個以上の水素原子がアミノ基に置換された基を意味する。好適な直鎖又は分枝鎖のアミノC1~C6アルコキシとしては、アミノメトキシ、2-アミノエトキシ及び3-アミノプロポキシ等を挙げることができる。

【0046】
本明細書において、「ハロゲン」は、フッ素、臭素、ヨウ素又は塩素を意味する。好適なハロゲンとしては、例えば、フッ素、臭素又はヨウ素を挙げることができる。

【0047】
本明細書において、「ヘテロ原子」は、酸素原子(O)、窒素原子(N)、硫黄原子(S)、ケイ素原子(Si)又はリン原子(P)を意味する。

【0048】
前記で説明した基は、それぞれ独立して、非置換であるか、或いは1個若しくは複数のハロゲン、OH、NQ1Q2(Q1及びQ2は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル若しくはアルキニルである)、NO2、C(O)Q3(Q3は水素、ヒドロキシル、NH2若しくは前記で説明した基から選択される1価基である)、又は前記で説明した基から選択される1価基によってさらに置換することもできる。

【0049】
本明細書において、「保護基」は、望ましくない反応の進行を防止するために、特定の官能基に導入される基であって、特定の反応条件において定量的に除去され、且つそれ以外の反応条件においては実質的に安定、即ち反応不活性である基を意味する。本明細書において、「保護(化)」及び「脱保護(化)」は、それぞれ官能基に保護基を導入すること、及び保護基を定量的に除去することを意味する。また、本明細書において、「保護形態」は、1個又は複数の官能基に保護基が導入された形態を意味し、「保護誘導体」は、特定の化合物において、1個又は複数の官能基に保護基が導入された誘導体、すなわち保護形態の基を有する該化合物の誘導体を意味する。保護誘導体は、以下で説明する保護化を実施することによって調製してもよく、予め所望の保護基が導入されている市販の保護誘導体を用いてもよい。

【0050】
例えば、酸性条件下において安定で、且つアルカリ処理で脱保護されるヒドロキシル基又はアミノ基の保護基としては、限定するものではないが、例えば、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、並びにtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)及びtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなシリルを挙げることができる。前記保護基による保護化は、例えば、トリエチルアミン又はピリジンのような有機塩基存在下、無水酢酸、塩化ベンゾイル又は塩化シランのような保護化試薬と反応させることにより実施することができる。また、前記保護基の脱保護化は、メタノール又は水のような溶媒中、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又はアンモニアのようなアルカリで処理することにより実施することができる。

【0051】
例えば、酸性条件下において安定で、且つ脱シリル化条件で脱保護される末端アルキン(例えばエチニル)の保護基としては、限定するものではないが、例えば、トリメチルシリル(TMS)及びトリイソプロピルシリル(TIPS)のようなシリルを挙げることができる。前記保護基の脱保護化は、テトラヒドロフラン(THF)のような非プロトン性極性溶媒中、テトラブチルアンモニウムフルオリド又は強塩基のような試薬と反応させることにより実施することができる。なお、本明細書において、「脱シリル化条件」は、前記で説明したような、シリルの脱保護化を実施するための反応条件を意味する。

【0052】
塩基性条件下において安定で、且つ酸処理によって脱保護されるヒドロキシル基の保護基としては、限定するものではないが、例えば、アセトニド、tert-ブチル及びトリチルを挙げることができる。前記の保護基による保護化は、例えば、硫酸又は塩酸のような酸存在下、アセトン又はイソブテンと反応させることにより、或いはトリエチルアミン又はピリジンのような有機塩基存在下、塩化トリチルと反応させることにより実施することができる。また、かかる保護基の脱保護化は、水性溶媒中、トリフルオロ酢酸(TFA)のような酸と反応させることにより実施することができる。

【0053】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体において、前記連結基は、1,2,3-トリアゾール環を含むことが必要である。前記連結基において、1,2,3-トリアゾール環は、ヌクレオシド部分の糖と直接結合するように配置されていてもよく、ヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基を介してヌクレオシド部分の糖と結合するように配置されていてもよい。

【0054】
本発明者らは、天然型ヌクレオチドのリン酸ジエステル結合部分を1,2,3-トリアゾール環を含む連結基に置換した人工ヌクレオシド連結体の合成において、3’-位にアジドを、5’-位にエチニルを、それぞれ有するヌクレオシド中間体を用いて、所定の条件下で環化付加反応を行うと、2分子のヌクレオシド中間体が1,2,3-トリアゾール環を含む2個の連結基で連結された構造を有する環状ジヌクレオチド類縁体が形成されることを見出した。従来、2分子のヌクレオシド中間体が1,2,3-トリアゾール環を含む1個の連結基で連結された構造を有するヌクレオシド誘導体は、分子が剛直であるため、歪みの生じる中員環構造を安定に形成し得ないと考えられた。実際に、前記ヌクレオシド中間体を用いて環化付加反応を行うと、ヌクレオシド中間体が直鎖状に連結された構造を有する直鎖状ヌクレオシド誘導体が優先的に形成される(特許文献3)。環化付加反応の反応条件を最適化することにより、歪みの生じる中員環構造を有する環状ジヌクレオチド類縁体を形成し得ることは、本発明者らが見出した新規な知見である。

【0055】
天然型環状ジヌクレオチドのリン酸ジエステル結合部分を別の連結基に置換した人工環状ヌクレオシド連結体としては、非特許文献3に記載の化合物が知られている。しかしながら、非特許文献3に記載の化合物の製造方法の場合、合成工程が複雑であり、製造コストが増大する可能性がある。また、モノホスホロチオ酸ジエステル結合は、加水分解酵素によって加水分解され得る。このため、非特許文献3に記載のc-di-GMP類縁体は、生体内に存在する加水分解酵素に対する安定性が低くなる可能性がある。さらに、モノホスホロチオ酸ジエステル結合は、リン酸ジエステル結合と実質的に同程度の極性を有する。このため、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性が低くなる可能性がある。これに対し、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体に含まれる、1,2,3-トリアゾール環を含む連結基は、リン酸ジエステル結合及びモノホスホロチオ酸ジエステル結合と異なり、核酸加水分解酵素によって分解されない。このため、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、天然型環状ジヌクレオチドと比較して、生体内における安定性を向上させることができる。また、1,2,3-トリアゾール環は無電荷であるため、1,2,3-トリアゾール環を含む連結基は、脂溶性が高いだけでなく、静電相互作用が低い。それ故、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、天然型環状ジヌクレオチドと比較して、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性及び相補鎖に対する結合力を向上させることができる。

【0056】
一態様において、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、
式(I):
【化7】
JP0006153116B2_000008t.gif
で表される。

【0057】
前記式において、Xa及びXbは、それぞれ独立して、プリン塩基及びピリミジン塩基から選択される。Xa及びXbは、それぞれ独立して、アデニン及びグアニン等のプリン核酸塩基、及びこれらの誘導体、並びに、ウラシル、シトシン及びチミン等のピリミジン核酸塩基、及びこれらの誘導体からなる群より選択されることが好ましい。

【0058】
前記式において、Y1及びY2は、それぞれ独立して、1,2,3-トリアゾール環を含む二価の基である。Y1及びY2は、1,2,3-トリアゾール-ジイル、或いは1,2,3-トリアゾール-ジイルを含む、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルケニレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルキニレン、置換又は非置換のC3~C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC4~C6シクロアルケニレン(前記アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン及びシクロアルケニレンは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~3個のヘテロ原子を有していてもよい)、置換又は非置換のC6~C15ヘテロシクリレン、置換又は非置換のC6~C15アリーレン、又は置換又は非置換のC6~C15ヘテロアリーレンであることが好ましく、1,2,3-トリアゾール-ジイルを含む、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンであることがより好ましい。前記の基が置換されている場合、該置換基は、前記で挙げた置換基から選択されることが好ましい。Y1及びY2が、1,2,3-トリアゾール-ジイルを含む、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンである場合、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体の中員環構造の歪みを軽減することができる。

【0059】
前記式において、Ra1及びRb1は、それぞれ独立して、ヒドロキシル又はその保護形態である。ヒドロキシルの保護形態としては、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、又はtert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)若しくはtert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)のようなシリルが好ましい。

【0060】
Y1及びY2は、それぞれ独立して、以下の式(Y-I)~(Y-IV):
【化8】
JP0006153116B2_000009t.gif
からなる群より選択されることが好ましい。

【0061】
前記式において、*aは、Xaを含むヌクレオシド部分との結合位置を示し、*bは、Xbを含むヌクレオシド部分との結合位置を示す。

【0062】
前記式において、Za及びZbは、それぞれ独立して、直接結合又はヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基である。Za及びZbは、それぞれ独立して、直接結合、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルケニレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルキニレン、置換又は非置換のC3~C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC4~C6シクロアルケニレン(前記アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン及びシクロアルケニレンは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~3個のヘテロ原子を有していてもよい)、置換又は非置換のC6~C15ヘテロシクリレン、置換又は非置換のC6~C15アリーレン、又は置換又は非置換のC6~C15ヘテロアリーレンであることが好ましく、直接結合又は置換若しくは非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンであることがより好ましい。前記の基が置換されている場合、該置換基は、前記で挙げた置換基から選択されることが好ましい。Za及びZbが、それぞれ独立して、直接結合又は置換若しくは非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンである場合、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体の中員環構造の歪みを軽減することができる。

【0063】
Za及びZbは、1,2,3-トリアゾール環の窒素原子と結合している場合には直接結合であり、1,2,3-トリアゾール環の炭素原子と結合している場合にはメチレンであることが特に好ましい。この場合、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体の中員環構造の歪みを特に軽減することができる。

【0064】
Xa及びXbが同一の塩基であり、並びにY1が式(Y-I)若しくは式(Y-III)であり且つY2が式(Y-II)若しくは式(Y-IV)であるか、又はY1が式(Y-II)若しくは式(Y-IV)であり且つY2が式(Y-I)若しくは式(Y-III)であることが好ましい。この場合、式(I)で表される環状ジヌクレオチド類縁体は、同一のヌクレオシド部分からなるホモ二量体となる。

【0065】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、以下の式で表される化合物から選択されることが特に好ましい。この場合、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、対応する天然型環状ジヌクレオチドとの構造類似性を維持しつつ、該天然型環状ジヌクレオチドと比較して、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性及び相補鎖に対する結合力を顕著に向上させることができる。
【化9】
JP0006153116B2_000010t.gif

【0066】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、該化合物自体だけでなく、その塩も包含する。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体の塩の対イオンとしては、限定するものではないが、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン若しくはマグネシウムイオンのようなカチオン、又は塩化物イオン、臭化物イオン、ギ酸イオン、酢酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、パモ酸イオン、コハク酸イオン、ビスメチレンサリチル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンジスルホン酸イオン、プロピオン酸イオン、酒石酸イオン、サリチル酸イオン、クエン酸イオン、グルコン酸イオン、アスパラギン酸イオン、ステアリン酸イオン、パルミチン酸イオン、イタコン酸イオン、グリコール酸イオン、p-アミノ安息香酸イオン、グルタミン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、シクロヘキシルスルファミン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、イセチオン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、p-トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン又は過塩素酸イオンのようなアニオンが好ましい。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体が前記の対イオンとの塩の形態である場合、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性及び相補鎖に対する結合力を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。

【0067】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、前記の化合物自体だけでなく、その溶媒和物も包含する。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体と溶媒和物を形成し得る溶媒としては、限定するものではないが、例えば、メタノール、エタノール、2-プロパノール(イソプロピルアルコール)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン若しくは酢酸エチルのような有機溶媒、又は水が好ましい。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体が前記の溶媒との溶媒和物の形態である場合、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性及び相補鎖に対する結合力を実質的に低下させることなく該化合物を使用することができる。

【0068】
本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、前記の化合物自体だけでなく、その保護誘導体も包含する。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体の保護誘導体を形成し得る保護基としては、限定するものではないが、例えば、置換カルバモイル(例えば、ジフェニルカルバモイル)、アセチル(Ac)、ベンゾイル(Bz)、シリル(例えば、tert-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)、トリメチルシリル(TMS)若しくはトリイソプロピルシリル(TIPS))、アセトニド、tert-ブチル、又はトリチルが好ましい。本発明の環状ジヌクレオチド類縁体が前記の保護基を有する保護誘導体の形態である場合、望ましくない反応の進行を防止することができる。

【0069】
<2. 環状ジヌクレオチド類縁体の製造方法>
本発明はまた、環状ジヌクレオチド類縁体の製造方法に関する。

【0070】
[2-1. 環状構造形成工程]
本発明の方法は、式(Ia):
【化10】
JP0006153116B2_000011t.gif
で表される化合物と、式(Ib):
【化11】
JP0006153116B2_000012t.gif
で表される化合物とを連結反応させて、環状構造を形成する環状構造形成工程を含むことが必要である。

【0071】
前記式(Ia)及び(Ib)において、Xa、Xb、Ra1及びRb1は、前記と同義である。また、Xa、Xb、Ra1及びRb1は、それぞれ独立して、1個又は複数の保護基を有する保護形態であってもよい。すなわち、本発明において、式(Ia)で表される化合物及び(Ib)で表される化合物は、前記の化合物自体だけでなく、その保護誘導体の形態も包含する。

【0072】
前記式(Ia)において、Ra2は、アジドであり、且つRa3は、エチニルであるか、又はRa2は、エチニルであり、且つRa3は、アジドであることが必要である。また、前記式(Ib)において、Rb2は、アジドであり、且つRb3は、エチニルであるか、又はRb2は、エチニルであり、且つRb3は、アジドであることが必要である。Ra2、Ra3、Rb2及びRb3が前記の条件を満たす場合、アジドとエチニルとの間の環化付加反応により、1,2,3-トリアゾール環を含む連結基が形成される。これにより、2個の連結基によって2個のヌクレオシド部分が環状構造を形成するように連結された構造を有する本発明の環状ジヌクレオチド類縁体を得ることができる。

【0073】
前記式(Ia)及び(Ib)において、La1及びLa2とLb1及びLb2とは、それぞれ独立して、直接結合又はヘテロ原子を有していてもよい二価の炭化水素基である。La1及びLa2とLb1及びLb2とは、それぞれ独立して、直接結合、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルケニレン、置換又は非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC2~C6アルキニレン、置換又は非置換のC3~C6シクロアルキレン、置換又は非置換のC4~C6シクロアルケニレン(前記アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン及びシクロアルケニレンは、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選択される1~3個のヘテロ原子を有していてもよい)、置換又は非置換のC6~C15ヘテロシクリレン、置換又は非置換のC6~C15アリーレン、又は置換又は非置換のC6~C15ヘテロアリーレンであることが好ましく、直接結合又は置換若しくは非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンであることがより好ましい。前記の基が置換されている場合、該置換基は、前記で挙げた置換基から選択されることが好ましい。La1及びLa2とLb1及びLb2とが、それぞれ独立して、直接結合又は置換若しくは非置換の直鎖若しくは分枝鎖のC1~C6アルキレンである場合、本工程の反応過程で形成される中員環構造の反応中間体の歪みを軽減することができる。このため、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0074】
La1及びLa2とLb1及びLb2とは、Ra2若しくはRa3又はRb2若しくはRb3に含まれるアジドの窒素原子と結合している場合には直接結合であり、エチニルの炭素原子と結合している場合にはメチレンであることが特に好ましい。この場合、本工程の反応過程で形成される中員環構造の反応中間体の歪みを軽減することができる。このため、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0075】
前記式(Ia)において、La1が直接結合であり、Ra2がアジドであり、La2がメチレンであり、Ra3がエチニルであることが特に好ましい。また、前記式(Ib)において、Lb1が直接結合であり、Rb2がアジドであり、Lb2がメチレンであり、Rb3がエチニルであることが特に好ましい。この場合、本工程の反応過程で形成される中員環構造の反応中間体の歪みを特に軽減することができる。このため、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を特に向上させることができる。

【0076】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とを、それぞれ1~50 mMの濃度で含む反応系中で連結反応させることが好ましい。反応系中における式(Ia)で表される化合物及び式(Ib)で表される化合物の濃度は、それぞれ1~25 mMの範囲であることがより好ましく、1~10 mMの範囲であることが特に好ましく、10 mMであることがとりわけ好ましい。前記濃度は、式(Ia)で表される化合物及び式(Ib)で表される化合物の連結反応を開始する時点における該化合物の濃度を意味する。反応系中における式(Ia)で表される化合物及び式(Ib)で表される化合物の濃度が50 mM以下の場合、該化合物が直鎖状に連結された構造を有する直鎖状ヌクレオシド連結体に対して、2個の連結基によって2個のヌクレオシド部分が環状構造を形成するように連結された構造を有する本発明の環状ジヌクレオチド類縁体が優先的に形成される。このため、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0077】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とを、触媒存在下の反応系中で連結反応させることが好ましい。前記触媒としては、例えば、二価銅及び還元剤の組み合わせ、0価銅及び二価銅の組み合わせ、一価銅錯体、並びにルテニウム錯体を挙げることができる。二価銅及び還元剤の組み合わせとしては、例えば、硫酸銅(II)の無水物又は水和物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、酢酸銅(II)とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、塩化銅(II)とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせ、並びに硫酸銅の無水物又は水和物とトリ(カルボキシエチル)ホスフィンとの組み合わせを挙げることができる。この場合、還元剤によって二価銅が還元されて、反応液中で一価銅を生成する。一価銅錯体としては、例えば、臭化銅ジメチルスルフィド錯体等のハロゲン化銅ジメチルスルフィド錯体、並びに臭化銅(I)及びヨウ化銅(I)等のハロゲン化銅(I)を挙げることができる。ルテニウム錯体としては、Ru(OAc)2(PPh3)2、Cp*RuCl(PPh3)2及びCp*RuCl(NBD)のような二価ルテニウム錯体を挙げることができる。二価銅及び還元剤の組み合わせが好ましく、硫酸銅(II)の無水物又は水和物とアスコルビン酸ナトリウムとの組み合わせがより好ましい。二価銅及び還元剤の組み合わせを用いることにより、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0078】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とを、溶媒存在下の反応系中で連結反応させることが好ましい。前記溶媒は、tert-ブタノール、メタノール若しくは2-プロパノールのようなプロトン性極性有機溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル若しくはピリジンのような非プロトン性極性有機溶媒、又はそれらの組合せであることが好ましい。前記の溶媒を用いることにより、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0079】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とを、塩基存在下の反応系中で連結反応させることが好ましい。前記塩基は、トリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)又はトリス(2-ベンジミダゾリルメチル)アミンが好ましく、TBTAがより好ましい。前記の塩基存在下で本工程を実施することにより、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0080】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とを連結反応させる温度は、20~80℃の範囲であることが好ましく、50~60℃の範囲であることがより好ましい。また、反応時間は、2~48時間の範囲であることが好ましく、6~24時間の範囲であることがより好ましい。80℃以下の温度で本工程を実施する場合、式(Ia)で表される化合物及び式(Ib)で表される化合物が直鎖状に連結された構造を有する直鎖状ヌクレオシド連結体に対して、2個の連結基によって2個のヌクレオシド部分が環状構造を形成するように連結された構造を有する本発明の環状ジヌクレオチド類縁体が優先的に形成される。50℃以上の温度で本工程を実施する場合、前記で説明した触媒を、反応系中に実質的に溶解させることができる。このため、前記の条件で本工程を実施することにより、結果として得られる環状ジヌクレオチド類縁体の収量を向上させることができる。

【0081】
本工程において、式(Ia)で表される化合物と式(Ib)で表される化合物とが同一の化合物であることが好ましい。この場合、本工程で形成される環状ジヌクレオチド類縁体は、同一のヌクレオシド部分からなるホモ二量体となる。

【0082】
なお、本工程において使用される式(Ia)で表される化合物及び式(Ib)で表される化合物は、予め合成されたものを購入等して準備してもよく、例えば特許文献3又は特開2011-153111号公報に記載の方法に基づき合成することによって準備してもよい。いずれの場合も、本工程の実施形態に包含される。

【0083】
以上説明したように、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体は、対応する天然型環状ジヌクレオチドとの構造類似性を維持しつつ、該天然型環状ジヌクレオチドと比較して、生体内における安定性、標的細胞内に移行するための細胞膜透過性及び相補鎖に対する結合力を顕著に向上させることができる。それ故、本発明の環状ジヌクレオチド類縁体及びその製造方法を用いることにより、ペスト菌、コレラ菌及びサルモネラ菌等の細菌に対する細菌感染症予防薬若しくは治療薬、又は免疫応答賦活化剤若しくは抗癌剤等の新たな医薬を提供することが可能となる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0085】
<I:一般的実験方法>
プロトン(1H)核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL LA-400 (400 MHz)分光計を用いて測定した。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、蛍光検出試薬を含有するシリカゲル(230-400メッシュ、0.25 mm厚)を塗布したガラスプレート(silica gel 60F254, Merck社)を用いて実施した。質量分析は、JEOL JMS-T100LC (ESI-TOF MS)質量分析計を用いて測定した。
【実施例】
【0086】
<II:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸誘導体の合成(1)>
グアノシン誘導体(1)(49.5 mg, 124μmol)、硫酸銅(II)五水和物(3.13 mg, 12.5μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(24.6 mg, 124μmol)及びトリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(6.56 mg, 12.3μmol)のtert-ブタノール/DMF(体積比1:2, 13 ml)溶液を、50℃で21時間撹拌した。その後、反応溶液から溶媒を減圧留去した。得られた粗生成物の一部(総重量の20重量%)を、トリアゾール修飾型-親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラムを接続したHPLCを用いて下記の条件で分取し、目的物(2)を分析的に純品として得た(1.98 mg, 2.48μmol, 出発物質(1)に対する収率:10%)。
HPLC条件:
カラム:COSMOSIL(登録商標) HILIC(20×250 mm、ナカライテスク社製)
溶離液:10体積%水(10 mM 酢酸アンモニウムバッファー、pH7)/アセトニトリル溶液
流速 :10 ml/分
【実施例】
【0087】
【化12】
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化合物(2)の物性値:1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1H NMR (400 MHz, 20(体積/体積)% CD3OD/CDCl3) δ 1.72 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 4.66 (ddd, J= 4.8, 7.0, 12.4 Hz, 1H), 5.73 (dd, J= 6.8, 7.0 Hz, 1H), 5.95 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 6.08 (dd, J = 3.2, 6.8 Hz, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.85 (s, 1H)(2個のプロトンは、溶媒ピークと重なっていた); MS (ESI-TOF) C32H32N16O10K([M + K]+)に対する計算値:839.21, 実測値:839.25.
【実施例】
【0088】
<III:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸誘導体の合成(2)>
[III-1:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸誘導体前駆体の合成]
モノマー(3)(205 mg, 344 μmol)のtert-ブタノール/DMF(1:2 v/v, 35 mL)溶液に、硫酸銅(II)五水和物(9.03 mg, 36.1 μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(72.4 mg, 365 μmol)及びトリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA; 18.2 mg, 34.4 μmol)を加えた。この反応混合物を、60℃で1日間撹拌した。室温まで冷却後、揮発性物質を減圧留去し、得られた混合物をクロロホルムで洗浄した(200 mL)。粗生成物を、循環型GPC(溶出液:クロロホルム)で精製し、標題化合物(4)を白色固体として得た(64.5 mg, 107 μmol, 31%)。
【実施例】
【0089】
【化13】
JP0006153116B2_000014t.gif
化合物(4)の物性値:IR (neat) 2924 (m), 1745 (s), 1212 (s), 1051 (s) cm-1; 1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ2.03 (s, 6H), 2.29 (s, 6H), 3.13 (dd, J = 10.8, 13.2 Hz, 2H), 3.41 (dd, J = 4.0, 13.2 Hz, 2H), 5.05 (ddd, J = 4.0, 9.6, 10.8 Hz, 2H), 5.97 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 6.13 (s, 2H), 6.72 (dd, J = 6.6, 9.6 Hz, 2H), 7.37-7.56 (m, 20H), 7.96 (s, 2H), 8.09 (s, 2H), 8.50 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) 20.1 (CH3), 24.7 (CH3), 28.2 (CH2), 62.3 (CH), 75.9 (CH), 81.0 (CH), 89.1 (CH), 121.0, 126.4 (CH), 127.3 (CH), 128.7 (CH), 129.0 (CH), 138.9, 141.3, 143.4 (CH), 150.3, 151.8, 153.6, 155.9, 168.2, 170.0; HRMS C58H50N18O12Na([M + Na]+)に対する計算値:1213.3753, 実測値:1213.3777.
【実施例】
【0090】
[III-2:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸誘導体の合成]
トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジグアニル酸誘導体前駆体(4)(86.5 mg, 72.7 μmol)の28%水性水酸化アンモニウム/メタノール(1:1 v/v, 36 mL)溶液を、60℃で2日間撹拌した。沈殿した固体を濾過によって集め、メタノール/クロロホルム(1:5 v/v, 30 mL)及び28%水性水酸化アンモニウム(30 mL)で洗浄し、標題化合物(5)を白色固体として得た(33.2 mg, 52.5 μmol, 72%)。
【実施例】
【0091】
【化14】
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化合物(5)の物性値:IR (neat) 2924 (m), 1731 (s), 1213 (s), 1059 (s) cm-1; 1H NMR (400 MHz, 75% TFA-d/D2O) δ3.57 (dd, J = 6.4, 8.4 Hz, 1H), 3.79 (dd, J = 2.2, 8.4 Hz, 1H), 4.98 (ddd, J = 2.2, 6.0, 6.4 Hz, 1H), 5.28 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 6.25 (dd, J = 3.2, 6.0 Hz, 1H), 6.34 (s, 1H), 8.28 (s, 1H), 9.05 (s, 1H); 13C NMR (100 MHz, 75% TFA-d/D2O) δ28.8 (CH2), 67.5 (CH), 75.1 (CH), 81.4 (CH), 94.9 (CH), 110.2, 129.7 (CH), 138.1, 141.8 (CH), 151.4, 156.3, 157.4; HRMS C24H25O6N16([M + H]+)に対する計算値:633.2143, 実測値:633.2157.
【実施例】
【0092】
化合物(5)を、トリアゾール修飾型-親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラムを接続したHPLCを用いて下記の条件で分析した。結果を図1に示す。
HPLC条件:
カラム:COSMOSIL(登録商標) トリアゾール-HILIC
(4.6×250 mm、ナカライテスク社製)
溶離液:10-30体積%水(10 mM 酢酸アンモニウムバッファー、pH7)/
アセトニトリル溶液(0-30分までの直線勾配)
流速 :1.0 ml/分
検出 :UV 260 nm
【実施例】
【0093】
<IV:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジアデニル酸誘導体の合成>
【実施例】
【0094】
[IV-1:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジアデニル酸誘導体前駆体の合成]
モノマー(6)(31.9 mg, 71.4 μmol)のtert-ブタノール/DMF(1:2 v/v, 7.2 mL)溶液に、硫酸銅(II)五水和物(1.90 mg, 7.61 μmol)、アスコルビン酸ナトリウム(15.2 mg, 76.9 μmol)及びトリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA; 3.80 mg, 7.17 μmol)を加えた。この反応混合物を、60℃で12時間撹拌した。室温まで冷却後、沈殿した固体を濾過によって集め、揮発性物質を減圧留去した。得られた混合物を20%メタノール/クロロホルム(10 mL)及びメタノール(3×20 mL)で洗浄し、標題化合物(7)を白色固体として得た (11.2 mg, 12.5 μmol, 35%)。
【実施例】
【0095】
【化15】
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化合物(7)の物性値:IR (neat) 2968 (m), 1618 (s), 1454 (m), 1250 (s) cm-1; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ1.97 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 3.02 (dd, J = 11.2, 13.6 Hz, 1H), 3.32 (dd, J = 10.0, 14.4 Hz, 1H), 3.41 (dd, J = 6.8, 14.4 Hz, 1H), 3.58 (dd, J = 2.2, 13.6 Hz, 1H), 4.59 (ddd, J = 2.2, 11.2, 12.2 Hz, 1H), 5.04 (ddd, J = 6.8, 7.4, 10.0 Hz, 1H), 5.55 (dd, J = 7.4, 8.2 Hz, 1H), 5.84 (d, J = 5.8 Hz, 1H), 6.00 (s, 1H), 6.18 (dd, J = 3.2, 8.2 Hz, 1H), 6.38 (d, J = 3.2 Hz, 1H), 6.57 (dd, J = 5.8, 12.2 Hz, 1H), 6.62 (s, 1H), 6.65 (s, 1H), 7.56 (dd, J = 6.8, 6.8 Hz, 4H), 7.64 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 8.05 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 8.06 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 8.10 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 8.95 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ11.0 (CH), 14.0 (CH), 20.4 (CH3), 20.7 (CH3), 23.0 (CH2), 23.8 (CH2), 28.3, 28.9, 29.1, 29.7, 30.4, 38.7 (CH), 62.1 (CH), 64.1 (CH), 68.2, 73.6 (CH), 75.6 (CH), 80.7 (CH), 81.9 (CH), 88.9 (CH), 89.2 (CH), 121.6 (CH), 125.7 (CH), 127.9 (CH), 128.0 A(CH), 128.8 (CH), 129.0 (CH), 130.9 (CH), 133.0 (CH), 133.0, 140.3, 142.0, 142.2, 142.4 (CH), 151.3, 153.0, 169.2, 169.5; HRMS C42H36N16O8Na ([M + Na]+)に対する計算値:915.2800, 実測値:915.2842.
【実施例】
【0096】
[IV-2:トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジアデニル酸誘導体の合成]
トリアゾール連結型環状ビス(3’-5’)ジアデニル酸誘導体前駆体(7)(5.60 mg, 6.28 μmol)の28%水性水酸化アンモニウム/メタノール(1:1 v/v, 2.4 mL)溶液を、60℃で24時間撹拌した。沈殿した固体を濾過によって集め、28%水性水酸化アンモニウム/メタノール(1:1 v/v, 5.0 mL)で洗浄し、標題化合物(8)を白色固体として得た(3.60 mg, 6.00 μmol, 95%)。
【実施例】
【0097】
【化16】
JP0006153116B2_000017t.gif
化合物(8)の物性値:IR (neat) 3173 (w), 1693 (s), 1434 (s), 1042 (s) cm-1; 1H NMR (400 MHz, 75% TFA-d/D2O) δ3.56 (dd, J = 12.4, 13.8 Hz, 2H), 3.82 (dd, J = 2.8, 13.8 Hz, 2H), 5.05 (ddd, J = 2.8, 10.2, 12.4 Hz, 2H), 5.26 (d, J = 5.2 Hz, 2H), 6.23 (dd, J = 5.2, 10.2 Hz, 2H), 6.49 (s, 2H), 8.32 (s, 2H), 8.70 (s, 2H), 8.78 (s, 2H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3); HRMS C24H25N16O4 ([M + H]+)に対する計算値:601.2245, 実測値:601.2231.
【実施例】
【0098】
化合物(8)を、トリアゾール修飾型-親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC)カラムを接続したHPLCを用いて下記の条件で分析した。結果を図2に示す。
HPLC条件:
カラム:COSMOSIL(登録商標) トリアゾール-HILIC
(4.6×250 mm、ナカライテスク社製)
溶離液:10-30体積%水(10 mM 酢酸アンモニウムバッファー、pH7)/
アセトニトリル溶液(0-30分までの直線勾配)
流速 :1.0 ml/分
検出 :UV 260 nm
【実施例】
【0099】
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
図面
【図1】
0
【図2】
1