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明細書 :光電変換装置、建築物および電子機器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成28年9月5日(2016.9.5)
発明の名称または考案の名称 光電変換装置、建築物および電子機器
国際特許分類 H01L  31/054       (2014.01)
H01L  31/0475      (2014.01)
H01L  51/44        (2006.01)
H01L  31/0745      (2012.01)
G02B   5/18        (2006.01)
FI H01L 31/04 620
H01L 31/04 550
H01L 31/04 120
H01L 31/06 450
G02B 5/18
国際予備審査の請求
全頁数 38
出願番号 特願2014-542164 (P2014-542164)
国際出願番号 PCT/JP2013/078139
国際公開番号 WO2014/061719
国際出願日 平成25年10月17日(2013.10.17)
国際公開日 平成26年4月24日(2014.4.24)
優先権出願番号 2012231508
優先日 平成24年10月19日(2012.10.19)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】石橋 晃
【氏名】松岡 隆志
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100120640、【弁理士】、【氏名又は名称】森 幸一
審査請求 未請求
テーマコード 2H249
5F151
Fターム 2H249AA13
2H249AA55
2H249AA62
2H249CA04
2H249CA05
2H249CA11
5F151AA03
5F151AA04
5F151AA08
5F151DA03
5F151DA07
5F151DA20
5F151EA20
5F151JA02
5F151JA21
要約 入射光に対する不感領域をなくすことができ、ステブラー・ロンスキー効果や紫外成分による有機半導体の劣化を抑えることができ、極めて高い光電変換効率を得ることができ、大面積化も極めて容易な、太陽電池などとして用いて好適な光電変換装置を提供する。
光電変換装置は、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80と、2次元空間伝播光を導波する面状光導波路20と、この面状光導波路20の端部に設けられた光電変換用の半導体層30とを有する。面状光導波路20の主面に入射した光がその内部を導波されて半導体層30に入射する。面状光導波路20内を導波される光の正味の進行方向と、この面状光導波路20の端面から半導体層30に入射した光によりこの半導体層30の内部に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角である。
特許請求の範囲 【請求項1】
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
上記3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体が、互いに屈折率が異なる帯状の第1の部分および帯状の第2の部分が交互に周期的に、または一定間隔で、配列された構造を有することを特徴とする請求項1記載の光電変換装置。
【請求項3】
上記間隔が互いに異なる複数の値に設定されたことを特徴とする請求項2記載の光電変換装置。
【請求項4】
上記3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体が、上記面状光導波路の主面または上記面状光導波路内に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項5】
上記3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体が、上記面状光導波路の主面または上記面状光導波路内に設けられた回折格子であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項6】
上記面状光導波路と上記半導体層とが互いに一体に設けられていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項7】
上記半導体層の互いに対向する第1の面および第2の面にそれぞれ第1の電極および第2の電極が設けられていることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項8】
上記半導体層は無機半導体または有機半導体からなることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項9】
上記半導体層はp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合であることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項10】
上記半導体層のバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的および/または連続的に減少するように構成されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項11】
上記半導体層はバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的に減少した複数の領域からなり、上記第1の電極および上記第2の電極のうちの少なくとも一方は各領域間で互いに分離して設けられていることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項12】
上記面状光導波路は四角形の形状を有し、上記面状光導波路の互いに対向する一対の辺のうちの少なくとも一方の辺に相当する上記面状光導波路の端部に上記半導体層が設けられ、上記面状光導波路の上記互いに対向する一対の辺と異なる一対の辺のうちの少なくとも一方の辺に相当する上記面状光導波路の端部に光反射機構が設けられていることを特徴とする請求項1~11のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項13】
上記面状光導波路は、上記面状光導波路内を導波される光が上記面状光導波路のうちの上記半導体層と接触する部分に集光される屈折率分布を有することを特徴とする請求項1~12のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項14】
上記3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体上に光波進行方向変換シートが設けられていることを特徴とする請求項1~13のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項15】
上記面状光導波路の主面に光が入射する際に上記半導体層に光が直接入射しないように構成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項16】
上記半導体層はバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的に減少した複数の領域からなり、各領域の光の進行方向の幅が、各領域のバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップと等しいエネルギーを有する光の各領域における吸収係数の逆数以上であることを特徴とする請求項1~15のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項17】
上記半導体層はアモルファス半導体、多結晶半導体または単結晶半導体からなることを特徴とする請求項1~16のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項18】
上記半導体層は、光の進行方向に順に、Six 1-x (0<x<1)からなる領域、Siからなる領域およびSiy Ge1-y (0<y<1)からなる領域を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項19】
上記半導体層は、光の進行方向に順に、Six 1-x (0<x<1)からなる領域、Siからなる領域およびマイクロクリスタルSiy Ge1-y (0<y<1)からなる領域を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項20】
上記半導体層は、光の進行方向に順に、AlGaN、GaNおよびIGZOからなる群より選ばれた少なくとも一つの半導体を含む領域、Six 1-x (0<x<1)からなる領域、Siからなる領域およびSiy Ge1-y (0<y<1)からなる領域を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項21】
上記半導体層は、光の進行方向に順に、Six 1-x (0<x<1)からなる領域、Siからなる領域、Siy Ge1-y (0<y<1)からなる領域およびGeからなる領域を有することを特徴とする請求項1~17のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項22】
上記光電変換装置は太陽電池であることを特徴とする請求項1~21のいずれか一項記載の光電変換装置。
【請求項23】
少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする建築物。
【請求項24】
上記面状光導波路の主面に光が入射する際に上記半導体層に光が直接入射しないように上記半導体層が上記建築物の陰の部分に配置されていることを特徴とする請求項23記載の建築物。
【請求項25】
外面に取り付けられた少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、光電変換装置、建築物および電子機器に関し、例えば、ビルの窓や各種の電子機器のディスプレイなどに設置して太陽電池として用いて好適な光電変換装置ならびにこの光電変換装置を用いた建築物および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
未来の循環型社会のキーテクノロジーとして、また単に地球温暖化を防止するのみならず、自然環境の調和した緑の地球を次代の人類に手渡すためには、太陽光のより一層の有効利用が望まれる。この観点から世界的に太陽電池が注目され、光電変換効率の向上や製造コストの低減を図るべく盛んに研究開発が行われている。
【0003】
従来の太陽電池としては、アモルファスまたは結晶シリコンを用いた太陽電池、GaAs結晶を用いた太陽電池、有機半導体を用いた太陽電池などが知られている。これらの太陽電池は、p型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合をアノード電極とカソード電極との間に挟んだ構造を有し、pn接合の接合面に太陽光が垂直入射するタイプのものが一般的である(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
この従来の太陽電池を図1に示す。図1に示すように、この従来の太陽電池は、p型半導体層151とn型半導体層152とによりpn接合を構成し、p型半導体層151上にアノード電極153を形成し、n型半導体層152上にカソード電極154を形成したものであり、全体として板状の形状を有する。この太陽電池においては、一方の主面155に垂直に入射する光156の進行方向と、この光156の入射によりpn接合中に生成される電子および正孔がドリフトまたは拡散によりそれぞれカソード電極154およびアノード電極153に向かう方向、言い換えるとキャリアの正味の移動方向とが平行になっている。このため、光156の吸収を十分に行うためにp型半導体層151およびn型半導体層152を厚くしようとすると、アノード電極153とカソード電極154との間の距離が大きくなってしまうため、光吸収の増大とキャリアの収集効率の向上とを両立させることは極めて困難であり、ひいてはこれが光電変換効率の向上を妨げていた。即ち、従来の太陽電池においては、吸収光子数およびフォトキャリア収集効率は、共に電極間隔、言い換えればp型半導体層151およびn型半導体層152の合計の厚さdに依存し、トレードオフの関係にあるため、光電変換効率ηはdに対し、図2の太い実線で示すように振舞う。また、従来の太陽電池は、量産性に富むものはその多くが単一のバンドギャップを用いているため、光電変換効率としては、図3の実線で示すように、理論的に最大でも30%程度しか得られない問題があった。これを補うために、太陽電池をスタック構造としたり、マルチ接合構造や互いにバンドギャップが異なる複数種の半導体を用いて太陽電池を構成したりする試みもあるが、これらの太陽電池はいずれも大面積化が容易ではないという問題がある。理論的には、図3に示すように、N=10、即ち10段階のバンドギャップを用いることで約60%の高効率が得られる。
【0005】
他方、光電変換効率の大幅な向上を図ることを目的として、最近、pn接合の接合面に平行に太陽光が入射するタイプの太陽電池が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この太陽電池は、アノード電極とカソード電極とが、間にp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合を挟んで渦巻き状に形成されたもので、全体として薄い円板の形状を有する。p型半導体層およびn型半導体層のバンドギャップEg は、光入射面から円板の厚さ方向にn段階(n≧2)に段階的に減少しており、光入射面側から順にEg1、Eg2、…、Egn(Eg1>Eg2>…>Egn)となっている。
【0006】
図4は、ロールツーロールプロセスで製造された、特許文献1に記載の太陽電池の一例を示し、円板の直径方向の断面を示す。この太陽電池を製造するには、透明な樹脂製のベースフィルムを用いて、その上に太陽電池のアノード電極、半導体層およびカソード電極を形成し、ベースフィルムを巻き込みながら渦巻き構造を形成する。図4に示すように、この太陽電池では、ベースフィルム201の幅方向(円板の厚さ方向)に順にアノード電極202、203、204、205が形成されている。これらのアノード電極202、203、204、205はベースフィルム201の長手方向に細長く延びて形成されている。これらのアノード電極202、203、204、205の上にバンドギャップEg がそれぞれEg1、Eg2、Eg3、Eg4(Eg1>Eg2>Eg3>Eg4)の半導体からなる領域206、207、208、209が形成されている。これらの領域206、207、208、209のアノード電極202、203、204、205とは反対側の面には全面電極であるカソード電極210が形成されている。ここで、領域206、207、208、209の円板の厚さ方向の幅は典型的には数十μm程度、円板の直径方向の幅は典型的には150nm程度である。これに対し、図4においては図示の都合上ベースフィルム201の厚さは極端に小さく描かれているが、ベースフィルム201の厚さは例えば約100μm程度であり、領域206、207、208、209の円板の直径方向の幅に比べて3桁程度大きい。
【0007】
なお、光電変換材料に単一物質を用いた太陽電池に関するものであるが、集光システムを使わず、光の伝播を考えて光電変換効率の向上を目指した報告がある(非特許文献2、3参照。)。また、レンズ等を用いた集光システムを使うと、太陽光を受ける面積に対し、素子の面積を小さくすることができ、また、集光による光子数の増大により光電変換効率が向上することが知られているが、集光により太陽電池の温度も上昇してしまうため、光電変換効率の低下に繋がっていた。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第4022631号明細書
【0009】

【非特許文献1】D.J.Friedman,J.F.Geisz,S.R.Kurtz,and J.M.Olson,July 1998・NREL/CP-520-23874
【非特許文献2】Efficiency enhancement in Si solar cells by textured photonic crystal back reflector, L. Zeng, et.al., Appl. Phys. Lett. 89, 111111 _2006_
【非特許文献3】Conversion of Light Propagation Direction for Highly Efficient Solar Cells, Ikuo Suemune, Applied Physics Express 4, 102301 (2011)
【非特許文献4】[平成24年10月13日検索]、インターネット〈URL:http://www.hikari-energy.jp/websheetouyou.pdf 〉
【非特許文献5】[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.brl.ntt.co.jp/J/activities/file/report02/J/report15.html 〉
【非特許文献6】日本学術振興会69委員会 資源・素材学会研究委員会 2013 年3 月21日 資料6-4 NEDO
【非特許文献7】[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.aist.go.jp/aist_j/new _research/nr20080829/nr20080829.html 〉
【非特許文献8】[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.nedo.go.jp/content/100092910.pdf 〉
【非特許文献9】[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.nedo.go.jp/content/100086784.pdf 〉
【非特許文献10】[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://hashi.shinshu-u.ac.jp/research/research2/research2.html〉
【非特許文献11】M.Liu,M.B.Jonson,and H.J.Snaith,Nature,published online 11 Sep.2013,doi:10.1038/nature12509
【非特許文献12】KURENAI : Kyoto University Research Information Repository[平成25年10月11日検索]、インターネット〈URL:http://hdl.handle.net/2433/120869 〉
【非特許文献13】Sci. Technol. Adv. Mater. 11 (2010) 044305 (23pp) doi:10.1088/1468-6996/11/4/044305
【非特許文献14】Kentaro Imamura, Francisco C. Franco, Jr., Taketoshi Matsumoto, and Hikaru Kobayashi, 貼ochUltra-low reflectivity polycrystalline siliconsurfaces formed by surface structure chemical transfer method", APPLIED PHYSICSLETTERS 103, 013110 (2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、図4に示す太陽電池では、円板の一方の面に垂直に入射する光は、透明なベースフィルム201を透過して円板の他方の面から外部に抜け出てしまい、光電変換には何ら寄与しない。即ち、ベースフィルム201は入射光に対して不感領域となるが、円板の面積に占めるこのベースフィルム201の端面の面積、つまり不感領域の面積の割合は極めて大きいことが分かる。これがこの太陽電池の光電変換効率を制約していた。また、太陽光がベースフィルム201内を導波されて深部に位置する半導体領域に直接侵入する経路も存在するため、深部の半導体がアモルファスシリコンである場合には、光入射により太陽電池の光電変換効率が低下する、いわゆるステブラー・ロンスキー(SW)効果があり、深部の半導体が有機半導体である場合には、太陽光の紫外成分による有機半導体の劣化の問題があった。この問題は、一般のアモルファスシリコン太陽電池でも同様である。加えて、アモルファスシリコン太陽電池では、半導体層の厚さを大きくしても空間電荷効果により内部電界が減殺され、特性が向上しないという問題があった。
【0011】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、入射光に対する不感領域をなくすことができ、ステブラー・ロンスキー効果や紫外成分による有機半導体の劣化を抑えることができ、極めて高い光電変換効率を得ることができ、大面積化も極めて容易な、太陽電池などとして用いて好適な光電変換装置ならびにこの優れた光電変換装置を用いた建築物および電子機器を提供することである。
【0012】
また、この発明が解決しようとする他の課題は、集光型太陽発電において、集光した光の導入による副産物としての温度上昇により、本来集光無しの場合よりも高まる光電変換効率が相殺されてしまうのを防止することができる光電変換装置を提供することである。
【0013】
また、この発明が解決しようとするさらに他の課題は、レンズ等を用いる集光型太陽発電において、太陽の直射光が欠けた場合、つまり拡散光がメインとなった場合に光電変換効率が低下する問題があったが、これを解決することができる光電変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、この発明は、
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする光電変換装置である。
【0015】
典型的には、面状光導波路と半導体層とは互いに一体に設けられ、例えば、それらの端部同士が接合されて一体化される。半導体層の互いに対向する一対の面にそれぞれ第1の電極および第2の電極が設けられる。これらの第1の電極および第2の電極の一方はアノード電極、他方はカソード電極として用いられる。
【0016】
θは、具体的には、例えば、π/2-δ≦θ≦π/2+δに選ばれる。ただし、δは、第1の電極および第2の電極のうちのアノード電極として用いられるものの、半導体層内の光の進行方向に平行な方向の幅(電極幅)に対する半導体層の厚さの比に対応し、δ~半導体層の厚さ/電極幅である。
【0017】
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体は、例えば、互いに屈折率が異なる帯状の第1の部分および帯状の第2の部分が交互に周期的に、または一定間隔で、配列された構造を有する。この3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体は、典型的には、面状光導波路の主面または面状光導波路内に設けられる。具体的には、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体は、例えば、面状光導波路の主面または面状光導波路内に設けられた回折格子である。この回折格子は従来公知の方法により形成することができる。例えば、面状光導波路の主面にインプリント技術により凸部を周期的に形成したり、この主面に周期的に凹部を形成し、この凹部に面状光導波路と異なる屈折率を有する材料を埋め込んだり、イオン交換により屈折率を変えたりすることにより回折格子を形成することができる。あるいは、面状光導波路の主面に、周期構造からなる回折格子が形成された透明プラスチックフィルムを張り付けたりすることもできる。3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体上には、必要に応じて、光波進行方向変換シート(例えば、非特許文献4参照。非特許文献4では集光シートと呼ばれている。)が設けられる。
【0018】
面状光導波路は、平面状光導波路であっても、曲面状光導波路であってもよい。また、面状光導波路の平面形状は必要に応じて選ばれるが、典型的には、四角形、例えば長方形または正方形の形状を有する。この場合、面状光導波路のこの四角形の互いに対向する一対の辺のうちの少なくとも一方の辺に相当する面状光導波路の端部に半導体層が設けられ、好適には、この四角形の上記の互いに対向する一対の辺と異なる一対の辺のうちの少なくとも一方の辺に相当する面状光導波路の端部に光反射機構が設けられる。この場合、面状光導波路の主面に入射した光が面状光導波路内を導波される際にこの光反射機構に入射すると反射され、半導体層に向かう方向に光路が曲げられることにより、半導体層の端面に入射する光の量が多くなる。
【0019】
好適には、面状光導波路の主面に光が入射する際に半導体層に光が直接入射しないように構成される。言い換えると、光電変換装置の主面に光が入射する場合、面状光導波路の主面には光が入射するが、半導体層の面には光が直接入射しない。こうすることで、半導体層に直接入射する光により半導体層が加熱されて温度が上昇するのを防止することができるので、半導体層の特性劣化を防止することができ、ひいては、熱として散逸するエネルギーも少ないことと相まって、この光電変換装置の光電変換効率の低下を防止することができ、高い光電変換効率を得ることができる。
【0020】
面状光導波路の厚さは一般に半導体層の厚さに比べて大きいので、面状光導波路内を導波される光の有効利用を図るため、好適には、面状光導波路内を導波される光を集光して半導体層に入射させる。このためには、例えば、面状光導波路が、面状光導波路内を導波される光が面状光導波路のうちの半導体層と接触する部分(半導体層と同じ厚さを有する)に、例えば漸近的に集光される屈折率分布を有するようにする。即ち、面状光導波路内を導波される光は、この面状光導波路の屈折率分布に従って導波されるため、導波されながら漸近的に半導体層と接触する部分に集光される。
【0021】
半導体層は、無機半導体または有機半導体からなり、典型的には、p型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合である。半導体層の厚さは、この半導体層内のキャリアの拡散長の関数として適宜選ばれるが、典型的には10nm以上100μm以下である。半導体層を構成する半導体は、アモルファス(非晶質)、多結晶、単結晶のいずれの形態のものであってもよい。
【0022】
無機半導体としては、CdSe、PbS、PbSe、PbTeなどのII-VI族化合物半導体、GaSb、InAs、InN、AlInN、GaInN、GaN、AlGaN、GaAsN、GaPNなどのIII-V族化合物半導体、SiやSiGeなどのIV族半導体、Six Gey Sn1-x-y O、SiNx 、SiOx 、CIS(CuInSe)、CIGS(CuInGaSe)、CuInGaSeTeなどを用いることができる(例えば、非特許文献5~10参照。)。これらの半導体は、例えば、In、GaなどのIII族元素の組成比の制御や硫黄(S)の混合などによってバンドギャップを制御することができるのが特徴である。半導体層は、これらの無機半導体からなる微粒子により構成することもできる。
【0023】
有機半導体としては、有機太陽電池の材料として一般的に報告されているものは全て用いることができるが、具体的には、ペンタセンなどのポリアセン、ポリアセチレン(好ましくは二置換型ポリアセチレン)、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリ(2,5-チエニレンビニレン)、ポリピロール、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリアニリン、ポリ(9,9-ジアルキルフルオレン)(PDAF)、ポリ(9,9-ジオクチルフルオレン-co-ビチオフェン)(F8T2)、ポリ(1-ヘキシル-2-フェニルアセチレン)(PHX PA)(発光材料としては青色の発光を示す)、ポリ(ジフェニルアセチレン)誘導体(PDPA-n Bu)(発光材料としては緑色の発光を示す)、ポリ(ピリジン)(PPy)、ポリ(ピリジルビニレン)(PPyV)、シアノ置換型ポリ(p-フェニレンビニレン)(CNPPV)、ポリ(3,9-ジ-tert-ブチルインデノ[1,2-b]フルオレン(PIF)などを用いることができる。これらの有機半導体のドーパントについては、ドナーとしてはアルカリ金属(Li、Na、K、Cs)を用いることができ、アクセプタとしてはハロゲン類(Br2 、I2 、CI2 )、ルイス酸(BF3 、PF5 、AsF5 、SbF5 、SO3 )、遷移金属ハロゲン化物(FeCl3 、MoCl5 、WCl5 、SnCl4 )、有機アクセプタ分子としてはTCNE、TCNQを用いることができる。また、電気化学ドーピングに用いられるドーパントイオンは、陽イオンとしてはテトラエチルアンモニウムイオン(TEA+ )、テトラブチルアンモニウムイオン(TBA+ )、Li+ 、Na+ 、K+ 、陰イオンとしてはClO4 - 、BF4 - 、PF6 - 、AsF6 - 、SbF6 - などを用いることができる。有機半導体としてはさらに、高分子電解質を用いることもできる。この高分子電解質の具体例を挙げると、ポリアニオンとしては、サルフォネートポリアニリン、ポリ(チオフェン-3-酢酸)、サルフォネートポリスチレン、ポリ(3-チオフェンアルカンサルフォネート)など、ポリカチオンとしては、ポリアリルアミン、ポリ(p-フェニレン-ビニレン)前駆体高分子、ポリ(p-メチルピリジニウムビニレン)、プロトン化ポリ(p-ピリジルビニレン)、ポロトン(2-N-メチルピリジニウムアセチレン)などを用いることができる。半導体層として低不純物濃度にドープされた有機半導体層を用いる場合、この有機半導体層はヘテロジャンクション型あるいはバルクヘテロジャンクション型の構造とすることができる。ヘテロジャンクション型構造の有機半導体層においては、p型有機半導体膜およびn型有機半導体膜とを第1の電極および第2の電極と接触するように接合する。バルクヘテロジャンクション型構造の有機半導体層は、p型有機半導体分子とn型有機半導体分子との混合物からなり、p型有機半導体とn型有機半導体とが互いに入り組んで互いに接触した微細構造を有する。
【0024】
半導体層を構成する半導体としては、無機半導体および有機半導体のほかに、有機無機ハイブリッド半導体を用いることもできる。このような有機無機ハイブリッド半導体としては、例えば、ペロブスカイト系半導体(例えば、非特許文献11参照。)を用いることができる。
【0025】
好適には、第1の電極および第2の電極は半導体層とオーミック接触している。半導体層として有機半導体を用いる場合は、第1の電極および第2の電極は半導体層とオーミック接触していなくてもよい。第1の電極および第2の電極としては、金(Au)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)などの金属のほか、インジウム錫酸化物(ITO)などの各種の透明導電性酸化物などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0026】
好適には、半導体層のバンドギャップ、あるいは半導体層が有機半導体からなる場合にはHOMO(最高被占分子軌道)-LUMO(最低非占分子軌道)ギャップが光の進行方向に順に段階的および/または連続的に減少するようにする。こうすることで、例えば、光電変換装置の半導体層の主面に太陽光が入射した場合、この太陽光は、面状光導波路内を導波されて半導体層に入射すると、バンドギャップあるいはHOMO-LUMOギャップが一番大きい半導体にまず入射し、最終的にバンドギャップが一番小さい半導体に入射することになり、この過程で太陽光スペクトルのうちの短い波長の光から長い波長の光に亘って順次吸収され、しかもこの吸収量は最大化される。このため、半導体層のバンドギャップあるいはHOMO-LUMOギャップの変化のさせ方および使用する半導体の種類によって、太陽光スペクトルの主要部あるいは実質的に全部の光を光電変換することができ、究極的には光電変換効率を理論最大効率に近づけることができる。典型的には、半導体層は、バンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的に減少した複数の領域からなり、各領域の互いに対向する一対の面に第1の電極および第2の電極が設けられ、これらの第1の電極および第2の電極のうちの少なくとも一方は各領域間で互いに分離して設けられる。
【0027】
好適には、半導体層はバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的に減少した複数の領域からなり、各領域の光の進行方向の幅が、各領域のバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップと等しいエネルギーを有する光の各領域における吸収係数の逆数以上である。
【0028】
半導体層が、バンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが光の進行方向に順に段階的に減少した複数の領域からなる場合、これらの領域の例を挙げると、光の進行方向に順に、Six 1-x (0<x<1)からなる領域、Siからなる領域およびSiy Ge1-y (0<y<1)からなる領域、あるいは、Six 1-x からなる領域、Siからなる領域およびマイクロクリスタルSiy Ge1-y からなる領域、あるいは、AlGaN、GaNおよびIGZO(In、Ga、Znの酸化物)からなる群より選ばれた少なくとも一つの半導体を含む領域、Six 1-x からなる領域、Siからなる領域およびSiy Ge1-y からなる領域、あるいは、Six 1-x からなる領域、Siからなる領域、Siy Ge1-y からなる領域およびGeからなる領域である。
【0029】
光電変換装置には、太陽電池のほか、光センサーなども含まれる。必要に応じて、光電変換装置または太陽電池を複数組み合わせてモジュール化あるいはシステム化してもよい。
【0030】
また、この発明は、
少なくとも一つの光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする建築物である。
【0031】
ここで、建築物は、光電変換装置を設置可能な建築物であれば、基本的にはどのようなものであってもよいが、具体的には、例えば、ビルディング、マンション、戸建住宅、アパート、駅舎、校舎、庁舎、競技場、球場、病院、教会、工場、倉庫、小屋、橋などが挙げられる。これらの建築物への光電変換装置の設置箇所は特に限定されず、必要に応じて選ばれる。設置箇所の例を挙げると、これらの建築物のガラス窓や採光部などである。この場合、光電変換装置は、例えば、これらの建築物やその内部に設置される電気製品の電源として用いられる太陽電池である。好適には、面状光導波路の主面に光が入射する際に半導体層に光が直接入射しないように半導体層が建築物の陰の部分に配置される。例えば、面状光導波路が緩やかな曲率を有する部分を含むようにし、この部分を、例えば、瓦の下、屋根の中央部迫り出し稜線の下、窓の枠あるいは桟等に配置する。
【0032】
また、この発明は、
外面に取り付けられた光電変換装置を有し、
上記光電変換装置が、
3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体と、
上記2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、
上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、
上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、
上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする電子機器である。
【0033】
電子機器は、基本的にはどのようなものであってもよく、携帯型のものと据え置き型のものとの双方を含むが、具体例を挙げると、携帯電話、モバイル機器、ロボット、パーソナルコンピュータ、車載機器、各種家庭電気製品などである。この場合、光電変換装置は、例えば、これらの電子機器の電源として用いられる太陽電池である。
【発明の効果】
【0034】
この発明によれば、面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、面状光導波路の端面から半導体層に入射した光により半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であるので、光の入射方向の光電変換層の厚さの選択による光の吸収量の最大化と電極間距離の最小化とを両立させることができる。このため、極めて高い光電変換効率を得ることができる。また、面状光導波路の主面の全体で入射光を受けることができるので、入射光に対する不感領域がない。また、面状光導波路の主面に入射した光が面状光導波路内を導波されて半導体層に入射するので、半導体層に光が直接入射しないようにすることができる。このため、半導体層が例えばアモルファスシリコンや有機半導体からなる場合であっても、ステブラー・ロンスキー(SW)効果や紫外成分による有機半導体の劣化を抑えることができる。また、面状光導波路の面積を大きくすることにより、光電変換装置の大面積化も極めて容易である。また、半導体層のバンドギャップあるいは半導体層が有機半導体からなる場合にはHOMO-LUMOギャップが光の入射方向に段階的および/または連続的に減少するようにすることにより、太陽光スペクトルの主要部あるいは全部の波長の光を吸収して光電変換することができ、究極的には理論最大効率に迫る光電変換効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来の太陽電池を示す断面図である。
【図2】太陽電池の電極間距離と光電変換効率との関係を示す略線図である。
【図3】光子エネルギーと太陽光の光子密度との関係を示す略線図である。
【図4】特許文献1で提案された太陽電池を示す略線図である。
【図5A】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置を示す平面図である。
【図5B】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置を示す断面図である。
【図6】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の要部を拡大して示す断面図である。
【図7】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の要部を示す断面図である。
【図8】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の半導体層の一例を示す断面図である。
【図9】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の要部を示す断面図である。
【図10】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置において面状光導波路上に光波進行方向変換シートが設けられた例を示す断面図である。
【図11A】図10に示す光波進行方向変換シートにより光波の進行方向が変換される様子を示す図面代用写真である。
【図11B】図10に示す光波進行方向変換シートにより光波の進行方向が変換される様子を示す図面代用写真である。
【図11C】図10に示す光波進行方向変換シートにより光波の進行方向が変換される様子を示す図面代用写真である。
【図12】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の光電変換効率が半導体層の光吸収率と無関係に定まることを示すために行った実験結果を示す略線図である。
【図13】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の光電変換効率が半導体層の光吸収率と無関係に定まることを示すために行った別の実験結果を示す略線図である。
【図14】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置において半導体層が互いにバンドギャップが異なる四種類の半導体からなる場合における光子エネルギーと太陽光の光子密度との関係を示す略線図である。
【図15】シリコン中における各種の元素の拡散係数の温度依存性を示す略線図である。
【図16】レーザアニールにより結晶化されたアモルファスシリコン層のラマン散乱測定の結果を示す略線図である。
【図17A】Si基板の表面を部分的に改質してSiGe層およびSiC層を形成した試料を示す図面代用写真である。
【図17B】Si基板の表面を部分的に改質してSiGe層およびSiC層を形成した試料を示す断面図である。
【図18】図17Aおよび図17Bに示す試料のSiGe素子部分の電流密度-電圧特性を測定した結果を示す略線図である。
【図19】図17Aおよび図17Bに示す試料のSi素子部分の電流密度-電圧特性を測定した結果を示す略線図である。
【図20】図17Aおよび図17Bに示す試料のSiC素子部分の電流-電圧特性を測定した結果を示す略線図である。
【図21A】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の半導体層の成長方法の一例を説明するための平面図である。
【図21B】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の半導体層の成長方法の一例を説明するための断面図である。
【図22】この発明の第1の実施の形態による光電変換装置の半導体層の成長方法の他の例を説明するための断面図である。
【図23】この発明の第2の実施の形態による光電変換装置の面状光導波路の光導波性能を検証するために行ったシミュレーションのモデルを示す略線図である。
【図24】この発明の第2の実施の形態による光電変換装置の面状光導波路の光導波性能を検証するために行ったシミュレーションの結果を示す略線図である。
【図25】この発明の第4の実施の形態による複合光電変換装置を示す等価回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という。)について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態においては、原則として、同一または対応する部分には同一の符号を付す。

【0037】
〈第1の実施の形態〉
[光電変換装置]
図5Aおよび図5Bは第1の実施の形態による光電変換装置を示す。図5Aおよび図5Bに示すように、この光電変換装置は、長方形または正方形の面状光導波路20と、この面状光導波路20の互いに平行な一対の辺に相当する端面に設けられた光電変換用の半導体層30とを有する。半導体層30は一般的には細長い長方形の形状を有する。面状光導波路20と半導体層30とは互いに一体に設けられており、全体として面状の形状を有する。面状光導波路20および半導体層30は支持基板40上に設けられている。

【0038】
半導体層30の互いに対向する一対の面(上面および下面)にそれぞれ第1の電極50および第2の電極60が設けられている。これらの第1の電極50および第2の電極60の一方はアノード電極、他方はカソード電極として用いられる。例えば、第1の電極50がアノード電極、第2の電極60がカソード電極として用いられる。第1の電極50および第2の電極60は、半導体層30が互いに異なる半導体からなる複数の領域に分割されている場合には各領域毎に設けられてもよいし、一方が全ての領域上に延在する全面電極であってもよい。

【0039】
面状光導波路20を構成する材料の屈折率をn1 とする。この場合、面状光導波路20の主面からなる光入射面20aに屈折率n2 (n2 >n1 )の材料からなるストライプ状(帯状)の埋め込み層70が所定の配列で設けられている。この埋め込み層70の配列に関しては、厳密な周期性は、むしろデルタ関数状の波長弁別性を持ってしまうことを考慮し、大局的には周期性を持つものの、局所的にはランダムあるいは系統的揺らぎを持たせたり、厳密な周期性からはずれた準周期性の屈折率変調構造とするのが有効である。即ち、図5Aおよび図5Bに示すように、この場合、面状光導波路20の面内の一定の範囲内において、ストライプ状の埋め込み層70およびこの埋め込み層70の間のストライプ状の面状光導波路20が一定周期Pで交互に周期的に、または一定間隔で、配列されており、これによって、面状光導波路20の光入射面20aに入射する3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80が形成されている。ただし、図5Aおよび図5Bにおいては、便宜上、面状光導波路20の全面に埋め込み層70が示されている。埋め込み層70は面状光導波路20の半導体層30が設けられた辺に平行に延在している。埋め込み層70の深さをDとすると、面状光導波路20の光入射面20aに垂直入射する波長λの光は、埋め込み層70を通過した光と埋め込み層70の両脇の部分の面状光導波路20を通過した光との間に、構造体80を通過した時点で、2π(n2 -n1 )D/λで表される位相差を持つ。この位相差がπ、あるいはその奇数倍となるようにDを設定することで、構造体80を通過した時点での垂直方向に進行する光の振幅をゼロとすることができる。好適には、構造体80の上面にはさらに反射防止膜(無反射コート)が施される。こうすることで、入射光は、横方向(面状光導波路20の面内の方向)に伝播せざるを得なくなる。こうして、3次元空間伝播光は2次元空間伝播光になり、面状光導波路20内を効率的に導波される。埋め込み層70の材料としては、例えばSiNが屈折率~2で、かつ紫外(UV)~赤外(IR)域で透明な材料として好ましいが、これに限定されるものではない。

【0040】
また、上記周期P(あるいは一定間隔W)は、太陽光スペクトルを構成する光子の波長に対して、好適には、3eV~0.5eVのエネルギーに対応する光子の波長帯全体に亘って3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換するように設定する。最も単純には、周期をPi =λi (λi は太陽光スペクトルを構成する光子の波長帯から選ばれた波長、i=1~N)とし、多重(N重)周期構造、複数間隔構造を設定する。ここでいう多重性は、面状光導波路20の厚さ方向に複数層の周期構造(この周期性は面状光導波路20の延在方向に沿ったものである)が存在することを言う。こうすることで、上記太陽光スペクトル全般に対し、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換することができる。好適には、多重度Nは、半導体層30を構成する後述のEgi領域の数、言い換えると半導体層30において光の進行方向に段階的に設定されるバンドギャップの数に一致させる。周期構造の多重性、あるいは構造間隔の複数性は、構造体80の面内に設定してもよいし、深さ方向に設定してもよく、Nが大きいところでは両者の併用が望ましい。これは、バンドパス多層膜構造をラテラル方向に構成することに相当する。

【0041】
この光電変換装置においては、面状光導波路20の光入射面20aに入射した3次元空間伝播光(入射光)が2次元空間伝播光に変換されてこの面状光導波路20内を導波され、集光された後に半導体層30に入射するように構成されている。図6に示すように、この場合、面状光導波路20内を導波される光の正味の進行方向と、面状光導波路20の端面から半導体層30に入射した光によりこの半導体層30中に生成されるキャリア(フォトキャリア)の正味の移動方向(第1の電極50と第2の電極60とを最短で結ぶ方向)とのなす角度θはほぼ直角である。角度θは、具体的には、第1の電極50の光の進行方向の幅あるいは半導体層30が互いに異なる半導体からなる複数の領域に分割されており第1の電極50が各領域毎に設けられる場合には各領域毎に設けられる第1の電極50の光の進行方向の幅をW´、半導体層30の厚さをdとすると、π/2-δ≦θ≦π/2+δ(ただし、δ~d/W´)であり、典型的には80°≦θ≦100°であり、最も好適には90°である。入射光、例えば太陽光が最初に入射する面(最上面)、図5Bにおいては面状光導波路20の光入射面20aには、必要に応じて、入射光の反射を防止するために反射防止膜が設けられる。反射防止膜としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、屈折率の異なる複数の材料からなる周期的多層構造が挙げられる。このほかに、ピラミッド状やエッチングにより生じる微細構造(ナノ構造・マイクロ構造)を表面に配することも有効である。特に、この面状光導波路20の表面に設ける微細構造、即ち埋め込み層70に、光導波方向に沿った距離xのある関数構造を持たせ、回折作用を持たせることで、図5Aおよび図5Bに示す構造を、方向変換光導波路とも言えるリディレクション ウエイブガイド(redirection waveguide)(即ち、3次元空間伝播光である入射光を、例えば回折により、方向転換させて2次元空間伝播光とした後、直ちに横方向に導波させることのできる機能性薄膜構造)とすることができる。これらの低反射率構造は、必要に応じて選ばれる。また、面状光導波路20と半導体層30との接合面には、面状光導波路20から半導体層30に入射する光の反射を防止するために、好適には反射防止膜が設けられる。

【0042】
面状光導波路20の、半導体層30が設けられている一対の辺とは異なる一対の辺に相当する面状光導波路20の端面に光反射機構が設けられている。この光反射機構は、例えば、面状光導波路20の端面に設けられた光反射膜あるいは面状光導波路20の端面が鏡面に構成されたものである。この場合、面状光導波路20の主面に入射した光が面状光導波路20内を導波される際にこの光反射機構に入射すると反射され、半導体層30に向かう方向に光路が曲げられることにより、半導体層30に入射する光量が大きくなる。

【0043】
この光電変換装置においては、面状光導波路20の光入射面20aに光が入射する際に半導体層30に光が直接入射しないように構成される。言い換えると、光電変換装置に光が入射する場合、面状光導波路20の光入射面20aには光が入射するが、半導体層30の面には光が直接入射しないようにする。このためには、具体的には、例えば次のようにする。例えば、第1の電極50を覆うように半導体層30の上方に遮光層を設ける。遮光層は従来公知のものを用いることができ、必要に応じて選ばれるが、例えば、アルミ箔の両面にプラスチックフィルムが形成されたアルミラミネートフィルムなどである。この遮光層により、半導体層30に光が直接入射しないようにすることができる。また、支持基板40が建築物や電子機器の外面の一部を構成する場合には、面状光導波路20には太陽光が入射するが、半導体層30には太陽光が入射しないように、言い換えれば半導体層30が陰になるように部材等により覆うようにする。例えば、建築物の窓にこの光電変換装置を設置する場合には、窓ガラスが支持基板40となり、外部に露出した窓ガラス上に面状光導波路20が設けられ、半導体層30は例えばアルミニウム製の窓枠の内側に隠れるようにする。また、この光電変換装置を建築物の屋根に敷き詰める場合には、隣接する光電変換装置の端部が上下に重なり合うようにし、上の光電変換装置の端部の半導体層30により下の光電変換装置の端部の半導体層30が覆われるようにする。また、電子機器、例えばスマートフォンのディスプレイ部にこの光電変換装置を設置する場合には、このディスプレイ部の表面の透明部材が支持基板40となり、外部に露出した透明部材上に面状光導波路20が設けられ、半導体層30はこのディスプレイ部の表面に設けられた部材の内側に隠れるようにする。

【0044】
面状光導波路20は透明ガラスや透明プラスチックなどからなる。透明プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などが挙げられる。面状光導波路20の素材としては、特に、プラスティックオプティカルファイバー(POF)等に用いられるフッ素系の素材が、その低光損失性により好適である。面状光導波路20の厚さは必要に応じて選ばれるが、例えば1~1000μmである。面状光導波路20の大きさ(縦横の長さ)は、この光電変換装置を設置する箇所に応じて適宜選ばれるが、一般的には、例えば(1cm~1m)×(1cm~1m)である。

【0045】
半導体層30は、例えば、既に挙げたものの中から必要に応じて選ばれる。半導体層30は、典型的には、p型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合である。好適には、半導体層30のうちの第1の電極50および第2の電極60が接触する部分が高不純物濃度にドープされ、これらの第1の電極50および第2の電極60が半導体層30とオーミック接触するようにする。半導体層30の一辺の長さは、典型的には、この半導体層30が設けられる面状光導波路20の辺の長さと同一に選ばれるが、この辺と直角な辺の長さは、一般的には、例えば10μm~1cmであり、典型的には20μm~1mmである。面状光導波路20の大きさは上述のように例えば(1cm~1m)×(1cm~1m)であるので、この半導体層30の面積は一般的には面状光導波路20の面積よりはるかに小さくて済む。即ち、この光電変換装置は、面状光導波路20が大部分を占め、半導体層30は端のわずかな部分しか占めない。例えば、面状光導波路20の大きさが10cm×10cm、半導体層30の大きさが1mm×10cmとすると、面状光導波路20と二つの半導体層30との全体の面積に占める二つの半導体層30の面積の割合は、2×0.1×10/10.2×10.2=0.019≒2%に過ぎない。これに加えて、半導体層30の厚さは、一般的には数十μm以下と小さいので、半導体層30の体積も極めて小さい。即ち、半導体層30の使用量が極めて少なくて済む。このため、光電変換装置の製造コストの低減を図ることができる。また、この面状光導波路20の端部を有限の曲率半径を以て、例えば下向きに90度曲げる(ベンドする)ことで、半導体層30中を図5Bにおいて縦方向に光が進行するように構成することができる。これにより、上記のように、第1の電極50を覆うように半導体層30の上方に遮光層を設けた場合に発生する遮光ロスを最小限に抑えることができる。

【0046】
半導体層30のバンドギャップあるいはHOMO-LUMOギャップEg は、半導体層30内の光の進行方向にN段階(N≧2)に段階的に減少しており、順にEg1、Eg2、…、EgN(Eg1>Eg2>…>EgN)となっている。図7に一例としてN=4の場合を示すが、これに限定されるものではない。図7に示すように、半導体層30は、バンドギャップあるいはHOMO-LUMOギャップEg がそれぞれEg1、Eg2、Eg3、Eg4の領域31、32、33、34からなる。各領域31、32、33、34は、面状光導波路20の半導体層30が設けられた辺に平行な方向に延在する細長いストライプ状の形状を有する。図7においては、各領域31、32、33、34上に互いに分離してそれぞれ第1の電極51、52、53、54が設けられている。第2の電極60は全面電極であり、各領域31、32、33、34の共通電極である。半導体層30を構成する各Egi領域の幅(光の進行方向の幅で、図7の横方向の長さ)は、各Egi領域の光電変換対象光子(各Egi領域のバンドギャップEgi以上のエネルギーを有する光子)のうち、最低エネルギーのものに対するこのEgi領域の吸収係数をαi とすると、1/αi 以上とする。

【0047】
giは次のように設定することができる。例えば、AM1.5太陽光スペクトルの全波長範囲またはその主要な波長範囲(入射エネルギーが高い部分を含む範囲)において、波長をN個の区間に分ける。そして、これらの区間に短波長側(高エネルギー側)から順に1、2、…、Nというように番号を付け、i番目の区間の最小光子エネルギーに等しくEgiを選ぶ。こうすることで、k番目の区間の光子エネルギーを有する光子がEgi領域に入射すると電子-正孔対が発生し、光電変換が行われる。また、この場合、このk番目の区間の光子エネルギーを有する光子が各Egi領域に到達して十分に吸収されるように、面状光導波路20と半導体層30との接合面からこのEgi領域までの距離を選ぶ。これによって、面状光導波路20内を導波されて半導体層30に入射する太陽光は、まずEg1領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEg1以上のものが吸収されて光電変換され、続いてEg2領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEg2以上でEg1より小さいものが吸収されて光電変換され、最終的にEgN領域に入射してそのスペクトルのうち光子エネルギーがEgN以上でEgN-1より小さいものが吸収されて光電変換される。この結果、太陽光スペクトルのほぼ全範囲あるいは主要な波長範囲の光を光電変換に使用することができる。

【0048】
giの理想的な設定例について説明する。図3にAM1.5太陽光スペクトルの光子エネルギーhνと光子数n(hν)との関係を示す。ここでは、AM1.5太陽光スペクトルの光子エネルギーをエネルギー幅Δの10個の区間に等分するものとする。この場合の理論最大光電変換効率は約70%にもなり、これは例えばEg =1.35eVの従来の太陽電池の理論最高光電変換効率31%の倍以上である。

【0049】
ただし、光子数n(hν)は
【数1】
JP2014061719A1_000003t.gif
で表される。また、光電変換効率ηは
【数2】
JP2014061719A1_000004t.gif
で表される。

【0050】
各Egiの設定は、各Egi領域を構成する半導体の組成や半導体の形態(アモルファス、多結晶、単結晶)などを変えることにより行うことができる。具体的には、各Egi領域を別種の半導体により構成する。この場合、この半導体は、吸収係数αの大小は問わず、キャリア移動度μの高いものを選ぶことができるので、選択肢が広い。無機半導体を用いる場合について具体例をいくつか挙げると次の通りである。N=3の場合には、例えば、Eg1領域をSix 1-x (Eg =1.8~2.9eV)、Eg2領域をSi(Eg =1.11eV)、Eg3領域をGe(Eg =0.76eV)により構成する。また、N=4の場合には、例えば、Eg1領域をSix 1-x (Eg =1.8~2.9eV)、Eg2領域をアモルファスシリコン(a-Si)(Eg =1.4~1.8eV)、Eg3領域をSiy Ge1-y (Eg =1.11eV)、Eg4領域をSiy Ge1-y (Eg =~0.76eV)により構成する。あるいは、N=4の場合に、Eg1領域をIGZO(In、Ga、Znの酸化物)(Eg =~3eV)、Eg2領域をSix 1-x (Eg =~1.8eV)、Eg3領域をSi(Eg =1.11eV)、Eg4領域をSiy Ge1-y (Eg =~0.76eV)により構成する。そのほかに、次のように構成することもできる。N=2の最も簡単な場合には、例えば、Eg1領域をa-Si(Eg =1.4~1.8eV)、Eg2領域をSiy Ge1-y (Eg =~0.76eV)により構成する。また、N=3の場合には、例えば、Eg1領域をGaP(Eg =2.25eV)、Eg2領域をGaAs(Eg =1.43eV)、Eg3領域をInN(Eg =0.7eV)により構成する。また、N=4の場合には、例えば、Eg1領域をGax In1-x N(Eg =2.3eV)、Eg2領域をGay In1-y N(Eg =1.4~1.8eV)、Eg3領域をGaz In1-z N(Eg =1.1eV)、Eg4領域をInN(Eg =0.7eV)により構成する。また、N=5の場合には、例えば、Eg1領域を直径1.9nm程度のCdSe微粒子(吸収ピーク波長445nm)、Eg2領域を直径4.0nm程度のCdSe微粒子(吸収ピーク波長585nm)、Eg3領域を直径2nm程度のPbSe微粒子(吸収ピーク波長800nm)、Eg4領域を直径4.5nm程度のPbSe微粒子(吸収ピーク波長1100nm)、Eg5領域を直径90nm程度のPbSe微粒子(吸収ピーク波長2300nm)により構成する。さらに、GaInNx As1-x やGaInNx 1-x を用いてxの制御だけでN~10の場合のEgi領域を構成することも可能である。加えて、Teを含ませると大きなボウイング(bowing)を示すことが知られているII-VI族化合物半導体を用いてEgi領域を構成してもよい。有機半導体と無機半導体とを用いる場合についての具体例を挙げると次のとおりである。例えば、N=4の場合には、Eg1領域をMDMO-PPV(Eg =2.2eV)、Eg2領域をa-Si(Eg =1.4~1.8eV)、Eg3領域をポリアセン系(ヘキサセン)半導体(Eg =1~1.2eV)、Eg4領域をポリアセン系(ヘプタセン)半導体(Eg =0.6~0.8eV)により構成する。また、N≧2の場合に、Eg1領域をIGZO(In、Ga、Znの酸化物)(Eg =~3eV)、AlInN(Eg =2.8~3eV)、またはGaInN(Eg =2.8~3eV)、あるいは同様のバンドギャップを有する酸化物半導体(ZnO、ZnMgO等)のうちのいずれか一つとし、それに続く領域、例えば、Eg2領域をa-Si(Eg =1.4~1.8eV)とすることで、450nm以下の波長の光によって生ずることが示されているステブラー・ロンスキー反応を起こす光子を、予め、a-Si層に侵入する前に、光電変換しておくことで同反応を抑えることができ、従って、a-Si層からなる光電変換領域の寿命を伸ばすことができる。この単なるパッシベーションでなく、有効に光電変換しつつコヒーシブエネルギーを抑える高エネルギー光子除去機能は、同じく戸外での使用には弱いとされている有機半導体光電変換部の信頼性の向上や長寿命化にも有効である。

【0051】
各Egi領域の厚さdは必要に応じて選ばれるが、例えば数μm~数十μmである。各Egi領域の幅(半導体層30内の光の進行方向の幅)も必要に応じて選ばれるが、例えば数十μm~数百μmである。例えば、図8は図7の領域31~34の拡大図であるが、各領域31~34の厚さdを数μm~数十μm、各領域31~34の幅w1 ~w4 を数十μm~数百μm、例えば~100μmに選ぶ。

【0052】
図9に示すように、典型的な場合、各領域31~34はp型半導体層とn型半導体層とからなるpn接合により構成される。図9には、各領域31~34を構成するpn接合の接合面を破線で示す。

【0053】
ところで、面状光導波路20の光入射面20aに入射する3次元空間伝播光が太陽光である場合、太陽光は、地球の自転のため、時間と共に入射角を変化させる。この場合には、図10に示すように、面状光導波路20の、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80上に光波進行方向変換シート85(例えば、非特許文献4)を設けることが望ましい。面状光導波路20に反射防止膜(無反射コート)を施す場合は、この光波進行方向変換シート85上に形成するが、この光波進行方向変換シート85自体がその表面に持つナノ構造による実効屈折率の(自由空間から光波進行方向変換シート85内部に入っていく間における)漸近的変化、あるいは光波進行方向変換シート85自体がその表面に持つマイクロ構造に起因する屈折・反射等の幾何光学効果のみで、反射率を下げることも可能である。なお、光波進行方向変換シート85の代わりに、例えばピラミッド状構造、あるいはまた、断面が3角形の集合体であって、これが断面と垂直方向(図5Aの縦方向)に併進対称性を持つ構造を用いることも可能である。図11A、図11Bおよび図11Cは光波進行方向変換シート85の入射光に対する光配向特性の写真であり、レーザ光を光波進行方向変換シート85に照射し空気を介した裏面平面に放射された光を写真に撮ったものである。図11A、図11Bおよび図11Cより、レーザ光の照射角度を水平方向に傾けていった場合でも、出射光は面に直角に出ていることが分かる。従って、この光波進行方向変換シート85を用いることで、任意の方向からの太陽光は、(面を黄道に正対するように季節により仰角を変えるのが最も好適であるが)日の出から日の入りまで、時間によらず、図9の垂直入射配置に持ってくることができ、従って、上記の3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に上述の通り効率的に変換することができる。さらには、この光波進行方向変換シート85を用いることで、曇天や壁反射光などの拡散光もすべて、図9の光入射配置に持ってくることができる。これにより、レンズ式集光システムの難点を解決し、拡散光に対する光電変換効率向上を実現することができる。この光波進行方向変換シート85は、回転放物面集合体のほか、プリズム状構造の集合体とすることもできる。

【0054】
支持基板40は、基本的にはどのようなものであってもよいが、典型的には、少なくとも可視光に対して透明な透明基板である。透明基板は、具体的には、例えば、ガラス板、透明プラスチック板などである。透明プラスチック板を構成する透明プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフッ化ビニリデン、アセチルセルロース、ブロム化フェノキシ、アラミド類、ポリイミド類、ポリスチレン類、ポリアリレート類、ポリスルホン類、ポリオレフィン類などを用いることができる。支持基板40は、具体的には、例えば、各種建築物(公共施設、ビルディイグ、マンション、戸建て住宅など)の窓ガラス、各種電子機器(携帯電話、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、デスクトップ型パーソナルコンピュータ、テレビ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ)などの外面の透明部材などであるが、これに限定されるものではない。

【0055】
[光電変換装置の動作]
この光電変換装置の動作について説明する。半導体層30はpn接合とする。図5Aおよび図5Bに示すように、この光電変換装置の面状光導波路20の、2次元空間伝播光に変換する構造体80が形成された光入射面20aに3次元空間伝播光、例えば太陽光が入射する。半導体層30の面には光は直接入射しない。面状光導波路20の光入射面20aに入射した3次元空間伝播光は、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80により2次元空間伝播光に変換される。この2次元空間伝播光は面状光導波路20内をその上面および下面で反射を繰り返したりしながら効率的に導波され(後述の図24参照。)、面状光導波路20の端面から出て半導体層30に入射した後に半導体層30内を進み、その過程で半導体層30中に電子-正孔対が生成される。そして、こうして生成された電子および正孔は半導体層30内をドリフトまたは拡散により移動し、第1の電極50および第2の電極60のうちの一方および他方に収集される。こうして半導体層30内で光電変換が行われ、第1の電極50と第2の電極60とから外部に電流(光電流)が取り出される。

【0056】
この光電変換装置においては、上述のようにθはほぼ直角であるため、図1に示す従来の太陽電池と異なり、吸収光子数およびフォトキャリア収集効率はトレードオフの関係ではなくなる。最も好適には、θ=90°とすることができる。言い換えると、第1の電極50と第2の電極60とを最短に結ぶ直線に垂直な方向から、面状光導波路20内を導波されて面状光導波路20の端面から出射される光を半導体層30に入射させることができる。この場合、半導体層30の吸収光子数は、光の入射方向の幅(半導体層30が例えば領域31~34からなる場合には領域31~34の幅w1 ~w4 )で支配され、光電変換効率ηは光吸収律速領域では半導体層30の厚さdに支配されない(図2の太い一点鎖線) 。即ち、この光電変換装置の極めて有利な点は、面状光導波路20に対する光の入射方向とキャリアの移動方向とを例えば互いに直交させることにより、光吸収の最適化とキャリア収集効率の最適化とを完全に両立させることができることである。さらに、半導体層30の吸収係数αの小ささは、光の入射方向の半導体層30の幅(半導体層30が例えば領域31~34からなる場合には領域31~34の幅w1 ~w4 )を大きくすることにより補うことができるので、半導体層30の材料として、αの大小にとらわれることなく、唯一の支配パラメータであるμの大きい材料を用いることができる。こうすることで、図2の太い一点鎖線で示すような高い光電変換効率ηを得ることが可能となる。これにより、熱力学的限界に迫る光電変換効率を得ることが可能である。

【0057】
図12および図13に、この光電変換装置においては光電変換効率ηがαによる束縛から解放されることを実証するために行った実験の結果を示す。図12の上の挿入図に示すように、PEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム上にIZO(インジウム亜鉛酸化物)膜、PEDOT:PSS膜およびP3HT:PCBM膜を順次形成し、P3HT:PCBM膜上にAl膜を形成した。P3HT:PCBM膜の厚さをdとする。IZO膜とAl膜との間に電圧を印加して電圧-電流特性を測定した結果を図12の下の挿入図に示す。図12の黒い菱形のプロットはP3HT:PCBM膜に対して垂直方向から光を入射させた場合のη、白い楕円のプロットはP3HT:PCBM膜の端面から光を入射させた場合のηの測定結果を示す。図12の点線の直線はη∝dを示す。図13はさらに他のロット(試料)での結果であり、ISCOC(ISCは飽和電流、VOCは開放端電圧)のP3HT:PCBM膜の厚さdに対する依存性をP3HT:PCBM膜に対して垂直方向から光を入射させた場合とP3HT:PCBM膜の端面から光を入射させた場合とについて測定した結果を示す。図12および図13より、P3HT:PCBM膜に対して垂直方向から光を入射させた場合にはdが大きくなるにつれてηが大きくなるのに対して、P3HT:PCBM膜の端面から光を入射させた場合の光電変換効率はdが小さくなるにつれてηが大きくなるという逆の傾向を示す。また、P3HT:PCBM膜の厚さが同じとき(例えば、150nm)、P3HT:PCBM膜に対して垂直方向から光を入射させた場合に比べて、P3HT:PCBM膜の端面から光を入射させた場合の方がηが大きいことが分かる。これは、ηがP3HT:PCBM膜、より一般的には半導体層の吸収係数αに束縛されないことを意味する。

【0058】
次に、特に、図7に示すように半導体層30が四つの領域31~34からなる場合のEg1、Eg2、Eg3、Eg4の最適な設定例について説明する。図14はAM1.5太陽光スペクトルの光子エネルギーhνと光子数nphとの関係を示す。図14においては、Eg1、Eg2、Eg3、Eg4をEg (1) 、Eg (2) 、Eg (3) 、Eg (4) と記載している。図14に示すように、AM1.5太陽光スペクトルの光子エネルギーを四つの区間に分割する。この場合の理論最大光電変換効率は図14の挿入図に示すように約50%にもなり、これは例えばEg =1.35eVの従来の太陽電池の理論最高光電変換効率31%の約1.6倍である。

【0059】
また、この光電変換装置は、集光システムであり、この集光効果により、図3の挿入図に示すように、さらに光電変換効率が向上し、N=4で60%を達成可能となる。N=10では、図3の挿入図から分かるように、75%の光電変換効率も可能となる。特に、後述の傾斜パラメータ配置を用いて容易に実現することができる、半導体層30の組成がこの半導体層30内を進行する光の方向に傾斜した傾斜組成構造を利用することにより、Nを大きくすることが可能であり、しかも、電極50、60のうちの少なくとも一方は、N個の領域(セグメント)に対して一括して形成することが許される(即ち、並列接続のタンデム構造である)この光電変換装置の利点を生かすと、熱力学的限界の85%にも肉薄することのできる理想的な集光システムを実現することができる。

【0060】
半導体層30としてSi層を用い、これにSi以外の元素を導入することによりSi層を部分的に改質して他の半導体に変換する場合について考える。図15は種々の元素のSi中における拡散係数の温度依存性を示す。図15より、例えば、Si層にCを拡散させることによりSix 1-x を作製することができ、Geを拡散させることによりSiy Ge1-y を作製することができる。

【0061】
また、図16は、半導体層30としてリン(P)がドープされたa-Si層を用い、このa-Si層をレーザアニールにより結晶化した試料のラマン散乱測定を行った結果を示す。レーザアニールはアルゴン(Ar)レーザを用いて得られた波長514nmのレーザ光を用いて行った。照射エネルギー密度は6.1mW、照射時間は10分とした。レーザ光の照射回数を1、2、3、4と変えた。この結果から、a-Si層を、光照射した部分だけ選択的に結晶性のSiに変換することができることが分かる。a-Siと結晶性のSiとは互いにバンドギャップが異なるため、互いにバンドギャップが異なる二つの領域を形成することができることが分かる。しかも、ストライプ幅をレーザ光の照射幅によって制御することができる。

【0062】
図17Aは、Si基板の表面に部分的にGeを拡散させてストライプ状のSiGe領域を形成するとともに、Si基板の表面の別の部分にCを拡散させてストライプ状のSiC領域を形成した試料の表面を光学顕微鏡により撮影した写真である。図17Bにこの試料の断面形状を示す。

【0063】
図18~図20はそれぞれこの試料のSiGe素子部分の電流密度(J)-電圧(V)特性、Si素子部分のJ-V特性、SiC素子部分のI-V特性の測定結果を示す。図18~図20より、SiGe素子とSi素子とSiC素子とでビルトイン電圧が異なっていることが分かり、開放端電圧Vocはそれぞれ、0.22~0.24V、~0.42V、0.45~0.6Vであることから、Si基板へのSi以外の元素の拡散による組成制御により、pn接合面のバンドギャップを変化させることができていることが分かる。これは、太陽光スペクトルの異なるエネルギー範囲の光子を光電変換することができることの証左である。

【0064】
ここで、半導体層30の具体的な成長方法の好適な一例を説明する。ここでは、一例として、半導体層30が、半導体層30内の光の進行方向に傾斜組成を有し、バンドギャップがこの光の進行方向に減少する三種類の半導体からなる場合について説明するが、この成長方法はこれに限定されるものではなく、一般にはN種類の半導体からなる場合にも適用することができる。また、ここでは、この三種類の半導体が元素A、BおよびCからなるAp 1-p C、Aq 1-q CおよびAr 1-r C(p>q>rまたはp<q<r)である場合について説明するが、これに限定されるものではなく、一般には二元系または四元系以上の半導体であってもよい。C={φ}(空集合)とすることで、この三種類の半導体は二元物質(例えば、Six Ge1-x など)となる。

【0065】
図21Aおよび図21Bに示すように、基板101上にx軸方向に順にAp 1-p C層102、Aq 1-q C層103およびAr 1-r C層104を成長させる。これらのAp 1-p C層102、Aq 1-q C層103およびAr 1-r C層104はy軸方向に延在する細長いストライプ状の形状を有する。図21Aに示すように、これらのAp 1-p C層102、Aq 1-q C層103およびAr 1-r C層104の成長は、基板101上にx軸方向に原料フラックスを供給することにより行うことができるが、この際に傾斜パラメーター配置を行う。即ち、図21Aおよび図21Bのx軸方向に沿って、パラメーターの値が単調に変化(増加または減少)する。ここで、その単調性(モノトナスに変化すること)が重要である。即ち、例えば、成長物質Ax 1-x C(x=p、q、r)において、p>q>r(あるいはp<q<r)であり、x軸方向に沿って、Aの組成が単調減少(あるいは単調増加)となる。パラメーターとしては、成長温度、基板101の格子定数、基板101のオフアングル数、成長時に光を用いる場合には光照射時の光強度などが挙げられる。これらを複数組み合わせることも有効である。基板101の格子定数を変化させる手法としては、イオン注入や拡散が挙げられる。イオン注入や拡散に用いる原子種としては、基板101の構成元素、あるいは目的とする成長層の構成元素を用いることが親和性が高いが、これに限らない。光照射は、結晶成長反応そのものを促進させるケースや基板温度の上昇をもたらす場合など、目的に応じて選択する。原料フラックスとしては、原料含有ガス、分子ビーム、原料含有溶液などが挙げられる。基板101を図21Aのy軸方向に一定速度で移動させることで、事実上無限に長いテープ状基板上にマルチストライプ半導体層を成長させることができる。成長と同時にドーピングを行うこともできるので、pn接合も形成することができ、半導体層30を容易に形成することができ、ひいては光電変換装置を容易に製造することができる。なお、半導体層30の成長後に基板101をそのまま残す場合には基板101として導電性基板が用いられ、半導体層30の成長後に基板101を剥離して半導体層30だけを用いる場合には基板101として導電性基板および非導電性基板のいずれを用いてもよい。

【0066】
半導体層30の具体的な成長方法の好適な他の例を説明する。図22に示すように、基板101を紙面の向かって奥側(図21Aのy軸方向)に移動させながら、基板101の主面に対して一定角度傾斜した方向から、左右方向の一方の側から原料フラックス供給装置105により例えばAおよびC供給用の原料フラックス106を供給するとともに、左右方向の他方の側から原料フラックス供給装置107により例えばBおよびC供給用の原料フラックス108を供給する。原料フラックス106、108は、例えば、原料ガス、分子ビーム、ミスト噴霧(例えば、非特許文献12~13参照。)などである。この方法によっても、半導体層30内の光の進行方向に傾斜組成を有し、バンドギャップがこの光の進行方向に減少する三種類の半導体からなる半導体層30を成長させることができる。なお、四元系以上の多元系の半導体を成長させる場合には、必要な個数の原料フラックス供給装置を用意する。また、図21Aおよび図21Bに示す成長方法と図22に示す成長方法との併用も有効である。

【0067】
この第1の実施の形態によれば、次のような種々の利点を得ることができる。即ち、この光電変換装置においては、面状光導波路20が大部分の面積を占め、この面状光導波路20の全体で入射光を受光することができるため、入射光に対する不感領域が実質的にない。また、この光電変換装置においては、面状光導波路20の光入射面20aに入射し、面状光導波路20内を導波されて集光された光が半導体層30に入射するため、例えば図3の挿入図に示すように、極めて高い光電変換効率を得ることができる。例えば、面状光導波路20の大きさが10cm×10cm、半導体層30の厚さdが50μm=50×10-4cm、半導体層30の幅が10cmとすると、集光率は(面状光導波路20の面積)/(半導体層30の光が入射する端面の面積)=(10×10)/2×(10cm×50×10-4)=1000倍となる。このときの光電変換効率は図3の挿入図より60%を超える。また、従来の太陽電池では、光入射面の全体に光電変換用の半導体を設ける必要があるため、半導体の使用量が多いのに対し、この光電変換装置においては、半導体層30はごく一部の面積を占めるに過ぎず、その体積も極めて小さくて済むため、半導体の使用量が少なくて済み、製造コストの低減を図ることができる。また、半導体層30が、この半導体層30内の光の進行方向にバンドギャップまたはHOMO-LUMOギャップが段階的に減少する複数の領域により構成される場合には、太陽光の高エネルギーの紫外成分を例えば1段目の領域で吸収することができるため、後段の領域に紫外成分が入射しないようにすることができる。このため、後段の領域をアモルファスシリコンや有機半導体により構成しても、ステブラー・ロンスキー効果や有機半導体の劣化の問題がない。このため、これによっても光電変換効率の向上を図ることができるとともに、光電変換装置の信頼性の向上を図ることができる。さらに、この光電変換装置は、面状光導波路20の面積を大きくするだけで容易に大面積化が可能である。また、面状光導波路20の端部に半導体層30が設けられ、面状光導波路20内を導波される光が面状光導波路20の端面から出て半導体層30に入射するように構成されているため、集光のためのレンズなどが不要であり、構成も極めて簡単であり、光軸合わせなども不要であるため、製造が容易であるだけでなく、製造コストの低減を図ることもでき、経時変化や経年変化を防止することもできる。また、レンズ式集光システムの欠点であった拡散光に対し光電変換効率が下がる点も、互いに面状構造であり貼り合わせができるという意味で、光波進行方向変換シート85との相性が極めてよい面状光導波路20の構造をとることで、拡散光であっても、直射光に対する光電変換効率に比し(光波進行方向変換シート85の効率である)約95%まで、回復させることができる。加えて、この光電変換装置では、アモルファスシリコン太陽電池で問題になっている空間電荷効果を抑制することができる。即ち、アモルファスシリコン太陽電池では、アモルファスシリコンの厚さを大きくして光吸収を増やそうとしても、内部電界が空間電荷でキャンセルされて特性の向上につながらないという問題がある。これに対し、この光電変換装置では、半導体層30の一部の領域をアモルファスシリコンにより構成する場合、半導体層30の上下に設けられた第1の電極50と第2の電極60との間の距離を小さくすることができ、同時に、半導体層30内の光の進行方向のアモルファスシリコン領域の長さは大きく取ることができるので、空間電荷効果を抑制することができる。

【0068】
また、この光電変換装置においては、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換し、2次元空間伝播光の伝播を効率的に行うことができる面、即ち受光面(面状光導波路20の面)と光電変換領域である半導体層30とを空間的に分離することができるので、太陽光の直射による半導体層30の温度上昇を抑えることができる。例えば、面状光導波路30が緩やかな曲率を持つ部分を含み、当外部分を瓦の下、屋根の中央部迫り出し稜線の下、窓の桟の下等に配置し、面状光導波路20の光入射面20aに光が入射する際に半導体層30は陰の部分に配置することができる。これにより直射光による温度上昇と、直射光の中の紫外(UV)光成分による半導体層30の結合に対する悪影響との双方を抑制することができる。特に、太陽光の入射する一層目のバンドギャップEg1を、用いる半導体材料のコヒーシブエネルギー以上に設定することで、後段の半導体の結合を守り、素子寿命を延ばすことができ、長期信頼性が得られる。温度上昇に関しては、この光電変換装置の高効率性は、とりもなおさず、熱としてのロスを極小化できることを意味しているので、導波される光に対しては、そのエネルギーを高効率で電気エネルギーに変え、熱に転化する成分を低減することによって、やはり温度上昇を抑えることができる。

【0069】
このように、この光電変換装置によれば、高効率化による(熱として失うエネルギー減少を通じての)温度上昇の抑制のベースの上に、更に、集光システムの悪いところ(高強度光の入射による温度上昇)をなくし、良いところ(変換効率が非集光系に比べ、図3内の挿入図に示すように、約2割も上昇する点)のみを生かすことができる。

【0070】
この光電変換装置の利点を改めてまとめると次の通りである。
(1)フォトンの進行方向とフォトキャリアの移動方向との直交性により、光吸収とキャリア捕集効率を独立に、同時最適化できる。
(2)傾斜組成による多段のマルチストライプ性が可能となり、太陽光スペクトルの全幅光電変換が可能となる。
(3)集光系であることにより、非集光系に比べ、約20%の効率上昇が見込まれる。
(4)多段のマルチギャップ半導体による光電変換を行うことができることから、熱として散逸してしまうエネルギーを極小化できるため、集光太陽光発電系の弱点であった温度上昇を抑制することができる。
(5)回折格子を用いた面状光導波路による集光系であるため、曇天時等の拡散光に対する集光特性の劣化が抑制される。
(6)物質の結合に害を与える高エネルギーフォトンをマルチストライプの最初の層で、光電変換することで(エネルギーを無駄にすることなく)、それに続く中間ギャップ半導体層、ナローギャップ半導体層を形成する物質の劣化を未然に防ぐことができ、結果として高い信頼性が得られる。特に、従来は戸外で使えなかったような材料もこの光電変換装置中に用いれば、高い信頼性を以て戸外でも使うことができる。

【0071】
このように、この光電変換装置は数多くの特性を備えた究極の光電変換システムということができる。

【0072】
〈第2の実施の形態〉
[光電変換装置]
第1の実施の形態においては、面状光導波路20の主面からなる光入射面20aに埋め込み層70を設けることにより、面状光導波路20の光入射面20aに入射する3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80を形成しているのに対し、第2の実施の形態においては、スタンピングやナノ・マイクロインプリンティングにより光入射面20aに周期的凹凸構造が設けられることにより、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80が形成される。周期的凹凸構造は、例えば、くしの歯状、鋸歯状、正弦波状などの形状を有する。その他のことは、第1の実施の形態と同様である。

【0073】
この光電変換装置における、光入射面20aに3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80が形成された面状光導波路20の光導波性能を検証するためにシミュレーションを行った。シミュレーションに使用したモデルを図23に示す。図23に示すように、面状光導波路111の一方の主面(光入射面)の一部にくし歯状に長方形断面の凸部112aが周期的に形成され、周期的凹凸構造112が形成されている。面状光導波路111が面状光導波路20に対応し、周期的凹凸構造92が3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80に対応する。面状光導波路111の他方の主面には、周期的凹凸構造112よりも広い面積に亘って反射膜として機能するAlからなるバックメタル113が形成されている。バックメタル113と面状光導波路111との界面は鋸歯状に形成されており、この鋸歯状の界面のバックメタル113の微小な傾斜面に当たった光が種々の方向に反射されるようになっている。シミュレーションの諸条件は下記の通りである。面状光導波路111の屈折率はn=1.65とした(面状光導波路111の材質として樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを想定)。図23に示すように(x,y,z)座標系を取った。面状光導波路111のx軸方向の幅は80μm、z軸方向の厚さは4μmとした。凸部112aが配列している方向がx軸方向、面状光導波路111の面内のx軸方向に直交する方向がy軸方向、面状光導波路111の面に垂直な方向がz軸方向である。凸部112aの個数は5個、凸部112aのx軸方向のピッチは2.0μm、凸部112aのx軸方向の幅は1.0μm、凸部112aと凸部112aとの間の溝の幅は1.0μm、凸部112aのz軸方向の高さは1.5384μm、凸部112aのy軸方向の幅は3.9μmである。周期的凹凸構造112に対してz軸方向に波長2.1μmの光(平面波)を入射させた。これらの条件でマックスウェル方程式を用いて面状光導波路111内の電場のy成分Ey を計算した。こうして計算したEy の振幅の分布を図24の上の図に示す。この結果から分かるように、周期的凹凸構造112に対して垂直に入射した光は、その多くがこの周期的凹凸構造112により回折されて進行方向を90°変えられて面状光導波路111内を導波する。即ち、リディレクション ウエイブガイドが実現可能であることが示され、その構造パラメーターも明らかになった。他の波長の光に対しても、凸部112a(あるいは埋め込み層70)の寸法および周期を適宜変化させることで対応することが可能である。図24の下の図は、凸部112aのz軸方向の高さを1.0μmに設定して同様な計算を行った結果を示す。この場合は回折条件が成立しなくなるため、回折がほとんど起きず、周期的凹凸構造112に対して垂直に入射した光は、ほとんど面状光導波路111内を導波していない。以上の結果より、この光電変換装置の、周期的凹凸構造が光入射面20aに設けられた面状光導波路20の光導波性能が高いことが検証された。なお、以上の結果は、第1の実施の形態のように、埋め込み層70を設けることにより3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体80を形成する場合も同様に成立する。
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができる。

【0074】
〈第3の実施の形態〉
[光電変換装置]
第3の実施の形態においては、第1の実施の形態による光電変換装置において、面状光導波路20の端面に接する半導体層30の側面に微小な凹凸構造(ギザギザ構造)が設けられている。その他のことは、第1の実施の形態と同様である。

【0075】
半導体層30の側面にこのような微小な凹凸構造を設けることにより、入射光の波長によらず、低反射率を持たせることができる(例えば、非特許文献14参照。)。非特許文献14では、ホウ素がドープされたp型多結晶シリコンウェハーを15重量%H2 2 と25重量%HFとを含む水溶液中に室温で浸漬し、p型多結晶シリコンウェハーの表面にローラーに取り付けられた白金メッシュを接触させ、ローラーを回転させながら白金メッシュの開口部からp型多結晶シリコンウェハーの表面をエッチングすることにより微小な凹凸構造を形成している。このように半導体層30の側面をエッチングすることにより微小な凹凸構造を形成する場合には、半導体層30の側面に露出する半導体の種類に応じて使用するエッチング液やエッチング方法を適宜決める。非特許文献14によれば、300nm~800nmの波長範囲でp型多結晶シリコンウェハーの反射率を1~3%に抑えることができる。また、非特許文献14の図1(b)および図2(a)から分かるように、0~10μmまでの範囲で構造に周期性がない以上、波長800nm~2.4μmの範囲でもほぼ同様の低反射率を得ることができる。このような微小な凹凸構造を従来の面状の太陽電池に用いた場合は、太陽電池は戸外で使用されることもあり、表面に塵埃等が堆積するとその効果が薄れがちとなるが、この光電変換装置では、この微小な凹凸構造は、半導体層30の側面に形成されるものであるため横向きであるだけでなく、面状光導波路20の端面と直接結合することにより、凸凹内に塵埃等の堆積する余地がないため、恒常的に高特性を維持することができ、長期安定性がある。

【0076】
以上のように、この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点に加えて、光電変換装置の長期安定性を実現することができるという利点を得ることができる。

【0077】
〈第4の実施の形態〉
[複合光電変換装置]
第4の実施の形態においては、第1の実施の形態による光電変換装置を二つ結合した複合光電変換装置について説明する。

【0078】
図25の左の図に示すように、第4の実施の形態による光電変換装置においては、半導体層30が互いにバンドギャップが異なる四つの領域からなるものを二つ、即ち光電変換装置121、122を用意する。これらの光電変換装置121、122は、例えば図9に示す構成を有する。Eg (1) 、Eg (2) 、Eg (3) 、Eg (4) はEg1領域、Eg2領域、Eg3領域、Eg4領域に対応する。図25の右の図に示すように、これらの光電変換装置121、122をたすき掛け接続する。即ち、光電変換装置121の第1の電極51、第1の電極52、第1の電極53および第1の電極54をそれぞれ、光電変換装置122の第1の電極54、第1の電極53、第1の電極52および第1の電極51と接続する。

【0079】
この第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様な利点を得ることができるほか、単一出力電圧を維持しつつ、光電変換効率ηが高い複合光電変換装置を実現することができる。

【0080】
以上、この発明の実施の形態について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。

【0081】
例えば、上記の面状光導波路20の端部において、例えば、イオン交換法によりガラス導波路の屈折率を変えることで、背面側から屈折率の小さな層を形成し、2次元導波されてきた光が、半導体層30に近づくにつれ、面に垂直方向にもコンデンスされて、面状光導波路20と半導体層30との接触部においてこの半導体層30の厚さと同一の厚さにまで集合する(漸近的に光を集中させる)ようにすることもできる。

【0082】
また、例えば、太陽光スペクトルのうちのUV光成分は、図3から分かるようにその比率は高くないので、最初から2次元空間伝播光に変換せず、従って面状光導波路20内を導波させず、これより低エネルギー成分の光のみを2次元空間伝播光に変換して面状光導波路20内を導波させて半導体層30に入射させることにより光電変換することで、半導体層30にa-Siや有機半導体を含む場合の光電変換装置の長寿命化および信頼性の向上を図ることもできる。

【0083】
また、例えば、図5Aの両端の半導体層30を図の縦方向(y軸方向)に所定の長さ(例えば、10cm程度)毎にセグメント化することで、図25に示したような接続を行った際に生じる、タンデム構造の要素ユニットに生じた欠陥により光電変換装置が機能不全になる確率/リスクを下げることができる。これは、従来の直列接続タンデム構造においては、面積を大きくすればするほど、上記の不具合の確率が増すのに対し、この発明による光電変換装置では、タンデム構造の要素ユニットがライン状で面積が極めて小さくて済むのみならず、この要素ユニットを、そのストライプ方向において、上述のようにセグメント化することで、上記のように、局所的欠陥が光電変換装置全体を不具合にしてしまう確率を格段に下げることができる。

【0084】
また、例えば、上述の実施の形態において挙げた数値、材料、形状、配置などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、これらと異なる数値、材料、形状、配置などを用いてもよい。

【0085】
また、第1~第4の実施の形態による光電変換装置を複数敷き詰めて光電変換装置システム(あるいは太陽電池システム)を構成してもよい。

【0086】
また、上記のリディレクション ウエイブガイドで、例えばビルの側面全面を鉢巻状にぐるりと取り巻き、これと結合する光電変換素子部(半導体層30)は、例えば当該ビルの北側面の一箇所(即ち、例えば、鉛直方向数m、横方向数mm~1cmの領域)に集約して配置してもよい。なお、この鉢巻状のリディレクション ウエイブガイド自体は、当該ビルの日陰の部分に存在するその一部分に、いわば逆リディレクション(即ち、2次元空間伝播光を3次元空間伝播光に戻す)構造を設けることで、当該ビルにより形成される日陰を実質的に解消する用途に用いることもできる。

【0087】
なお、場合によっては、この発明において、3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体を省略することも可能である。即ち、2次元空間伝播光を導波する面状光導波路と、上記面状光導波路の端部に設けられた光電変換用の半導体層とを有し、上記面状光導波路の主面に入射した光が上記面状光導波路内を導波されて上記半導体層に入射するように構成され、上記面状光導波路内を導波される光の正味の進行方向と、上記面状光導波路の端面から上記半導体層に入射した光により上記半導体層中に生成されるキャリアの正味の移動方向とのなす角度θがほぼ直角であることを特徴とする光電変換装置も有効である。この場合、3次元空間伝播光が面状光導波路の主面に入射し、その光がこの面状光導波路の内部に入ってこの面状光導波路の内部を2次元空間伝播光が導波される。
【符号の説明】
【0088】
20 面状光導波路
20a 光入射面
30 半導体層
40 支持基板
50~54 第1の電極
60 第2の電極
70 埋め込み層
80 3次元空間伝播光を2次元空間伝播光に変換する構造体
85 光波進行方向変換シート
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5A】
4
【図5B】
5
【図6】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図13】
11
【図14】
12
【図15】
13
【図16】
14
【図17B】
15
【図18】
16
【図19】
17
【図20】
18
【図22】
19
【図23】
20
【図25】
21
【図11A】
22
【図11B】
23
【図11C】
24
【図12】
25
【図17A】
26
【図21A】
27
【図21B】
28
【図24】
29