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明細書 :骨系統疾患治療薬及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 骨系統疾患治療薬及びその用途
国際特許分類 A61K  31/495       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  19/00        (2006.01)
A23L  33/10        (2016.01)
FI A61K 31/495
A61P 43/00 111
A61P 19/00
A23L 1/30 Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 25
出願番号 特願2015-505352 (P2015-505352)
国際出願番号 PCT/JP2014/054023
国際公開番号 WO2014/141847
国際出願日 平成26年2月20日(2014.2.20)
国際公開日 平成26年9月18日(2014.9.18)
優先権出願番号 2013047426
優先日 平成25年3月10日(2013.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】大野 欽司
【氏名】石黒 直樹
【氏名】鬼頭 浩史
【氏名】松下 雅樹
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114362、【弁理士】、【氏名又は名称】萩野 幹治
審査請求 未請求
テーマコード 4B018
4C086
Fターム 4B018MD01
4B018MD07
4B018MD18
4B018ME05
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC50
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA96
4C086ZC02
要約 FGFR3の過剰な活性化に起因する骨系統疾患、特に、軟骨無形成症や軟骨低形成症に対する、治療効果に優れた新規な治療戦略を提供することを課題とする。メクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、骨系統疾患の治療薬が提供される。
特許請求の範囲 【請求項1】
メクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の治療薬。
【請求項2】
骨系統疾患が、軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、クルーゾン病、遠位中間肢異形成症及び発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)からなる群より選択される疾患である、請求項1に記載の治療薬。
【請求項3】
有効成分が塩酸メクリジンである、請求項1又は2に記載の治療薬。
【請求項4】
メクリジン又はその薬学的に許容される塩を治療上有効量、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の患者に投与するステップを含む、骨系統疾患の治療法。
【請求項5】
メクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、身長促進剤。
【請求項6】
請求項5に記載の身長促進剤を含有する身長促進用組成物。
【請求項7】
医薬、医薬部外品又は食品である、請求項6に記載の身長促進用組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は骨系統疾患治療薬及びその用途に関する。本発明の骨系統疾患治療薬は軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、クルーゾン病、遠位中間肢異形成症、発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)等の治療に利用され得る。本出願は、2013年3月10日に出願された日本国特許出願第2013-47426号に基づく優先権を主張するものであり、当該特許出願の全内容は参照により援用される。
【背景技術】
【0002】
軟骨無形成症や軟骨低形成症は骨伸張のネガティブレギュレーターである線維芽細胞成長因子受容体3(fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3))の恒常的活性型変異によって発症する。また、特発性小人症を含む低身長にもFGFR3の関与が示されている。軟骨無形成症では骨伸張が障害されることにより、低身長だけでなく脊柱管狭窄症や大後頭孔狭窄などの重篤な合併症も生じる。軟骨無(低)形成症におけるFGFR3の活性を抑える根本的治療法はなく、低身長に対する対症的な治療として内科的には成長ホルモン治療が、外科的には骨延長術が行われている。
【0003】
最近になって、FGFR3シグナルを阻害する低分子化合物が同定された。しかしながら、これらの化合物の毒物学的プロファイルは殆ど分かっていない(非特許文献1~3)。一方、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)はFGFR3シグナルに対する強力なアンタゴニストであり、FGFR3-MAPK経路の阻害によって軟骨無(低)形成症の表現型(短肢)を軽減する(非特許文献4、5)。CNPの半減期は極めて短く、in vivoの実験においては持続的静脈注射が必要となる(非特許文献6)。半減期の長いCNPアナログであるBMN 111が開発され、軟骨無(低)形成症マウスへの皮下注射によって軟骨無(低)形成症マウスにおける骨成長を有意に改善することが報告された(非特許文献7)。
【0004】
尚、軟骨無形成症に対する新たな治療戦略がいくつか報告されている(例えば特許文献1~3を参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特表平11-507828号公報
【特許文献2】特表2011-504506号公報
【特許文献3】特開2003-104908号公報
【0006】

【非特許文献1】Krejci, P., Murakami, S., Prochazkova, J., Trantirek, L., Chlebova, K., Ouyang, Z., Aklian, A., Smutny, J., Bryja, V., Kozubik, A. et al. (2010) NF449 is a novel inhibitor of fibroblast growth factor receptor 3 (FGFR3) signaling active in chondrocytes and multiple myeloma cells. J. Biol. Chem., 285, 20644-20653.
【非特許文献2】Jin, M., Yu, Y., Qi, H., Xie, Y., Su, N., Wang, X., Tan, Q., Luo, F., Zhu, Y., Wang, Q. et al. (2012) A novel FGFR3-binding peptide inhibits FGFR3 signaling and reverses the lethal phenotype of mice mimicking human thanatophoric dysplasia. Hum. Mol. Genet., 21, 5443-5455.
【非特許文献3】Jonquoy, A., Mugniery, E., Benoist-Lasselin, C., Kaci, N., Le Corre, L., Barbault, F., Girard, A.L., Le Merrer, Y., Busca, P., Schibler, L. et al. (2012) A novel tyrosine kinase inhibitor restores chondrocyte differentiation and promotes bone growth in a gain-of-function Fgfr3 mouse model. Hum. Mol. Genet., 21, 841-851.
【非特許文献4】Krejci, P., Masri, B., Fontaine, V., Mekikian, P.B., Weis, M., Prats, H. and Wilcox, W.R. (2005) Interaction of fibroblast growth factor and C-natriuretic peptide signaling in regulation of chondrocyte proliferation and extracellular matrix homeostasis. J. Cell Sci., 118, 5089-5100.
【非特許文献5】Yasoda, A., Komatsu, Y., Chusho, H., Miyazawa, T., Ozasa, A., Miura, M., Kurihara, T., Rogi, T., Tanaka, S., Suda, M. et al. (2004) Overexpression of CNP in chondrocytes rescues achondroplasia through a MAPK-dependent pathway. Nat. Med., 10, 80-86.
【非特許文献6】Yasoda, A., Kitamura, H., Fujii, T., Kondo, E., Murao, N., Miura, M., Kanamoto, N., Komatsu, Y., Arai, H. and Nakao, K. (2009) Systemic administration of C-type natriuretic peptide as a novel therapeutic strategy for skeletal dysplasias. Endocrinology, 150, 3138-3144.
【非特許文献7】Lorget, F., Kaci, N., Peng, J., Benoist-Lasselin, C., Mugniery, E., Oppeneer, T., Wendt, D.J., Bell, S.M., Bullens, S., Bunting, S. et al. (2012) Evaluation of the therapeutic potential of a CNP analog in a Fgfr3 mouse model recapitulating achondroplasia. Am J Hum Genet, 91, 1108-1114.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
成長ホルモンはインスリン様成長因子1(insulin-like growth factor-1(IGF-1))の骨端軟骨に対する伸張作用を生かした治療であるが、軟骨無形成症では一般的にはIGF-1の活性低下はないため、期待される効果が得られない。また、治療開始直後のみに効果を認めるが、徐々に効果が減弱する。一方、骨延長術は骨切りによって生じる仮骨を緩徐に伸張していく骨再生法であるが、延長した仮骨が成熟するのに長期間を要し、それに伴いピン感染や関節拘縮などの合併症が多くなることが問題である。そこで本発明の課題は、FGFR3の過剰な活性化に起因する骨系統疾患(特に、軟骨無形成症や軟骨低形成症)に対する、治療効果に優れた新規な治療戦略を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、FGFR3シグナルの活性化に着目し、FGFR3シグナルの活性化を特異的に抑制する低分子化合物を既認可薬の中から見出すことを試みた。まず、ラット軟骨肉腫(rat chondrosarcoma(RCS))細胞に線維芽細胞成長因子2(fibroblast growth factor 2(FGF2))を添加するとFGFR3シグナルが活性化され、細胞増殖の抑制および細胞外マトリクスの喪失を生じることを利用した実験系でスクリーニングを実施することにした。具体的には、RCS細胞にFGF2を加えたところに1,186種類の既認可薬(Prestwick Chemicals社)を添加し、その効果を調べた。詳細な検討の結果、驚くべきことに、抗ヒスタミン作用を有し、乗り物酔い止め薬として頻用されているメクリジン(meclizine)が細胞増殖の抑制及び細胞外マトリクスの喪失を濃度依存的にレスキューした。また、軟骨系細胞であるヒト軟骨肉腫(human chondrosarcoma)細胞とATDC5細胞にFGFR3の変異型を導入すると細胞増殖の抑制及び細胞外マトリクスの喪失を生じるが、メクリジンはこれらの作用もレスキューした。更には、胎生16.5日のマウス脛骨にFGF2を添加し器官培養を行うと骨の長径成長が抑制されるが、メクリジンは長径成長抑制効果を阻害した。
【0009】
以上の通り、複数の軟骨系細胞と骨の器官培養を利用した実験によってメクリジンの有効性、即ち、メクリジンがFGFR3シグナルを抑制し、薬効を示すことが明らかとなった。メクリジンを用いれば、FGFR3の過剰活性化を主因または病因の一部とする各種骨系統疾患(特に、軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、クルーゾン病、遠位中間肢異形成症、発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)など、低身長を呈する疾患)に対する根本的治療法を確立し得る。一方、正常な骨端軟骨の伸張においてもFGFR3はネガティブレギュレーターとして常に発現していることから、健常人における身長促進剤としてもメクリジンは有効といえる。実際、正常マウスへのメクリジンの経口投与により、体長および四肢の伸長効果を認めた。即ち、動物実験によってメクリジンの伸長効果も確認された。この結果を踏まえると、骨端線閉鎖を伴わない下垂体性小人症、ターナー症候群における低身長、プラダーウィリー症候群における低身長、成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)、子宮内発育遅延(SGA)性低身長症等に対する治療/予防にもメクリジンは有効といえる。
以下に示す本願発明は、主として上記知見及び考察に基づく。
[1]メクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の治療薬。
[2]骨系統疾患が、軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、クルーゾン病、遠位中間肢異形成症及び発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)からなる群より選択される疾患である、[1]に記載の治療薬。
[3]有効成分が塩酸メクリジンである、[1]又は[2]に記載の治療薬。
[4]メクリジン又はその薬学的に許容される塩を治療上有効量、線維芽細胞成長因子受容体3(FGFR3)の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の患者に投与するステップを含む、骨系統疾患の治療法。
[5]メクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する、身長促進剤。
[6][5]に記載の身長促進剤を含有する身長促進用組成物。
[7]医薬、医薬部外品又は食品である、[6]に記載の身長促進用組成物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】メクリジンはRCS細胞においてFGF2による増殖抑制と細胞外マトリクス喪失をレスキューする。(A) RCS細胞にFGF2 (5 ng/ml)と同時にメクリジンを添加し48時間後に細胞増殖能をMTSアッセイで評価した。グラフは490 nm吸光度をvehicle比で算出し、平均値とSD値を示している(n = 8)。メクリジンはFGF2によるRCS細胞の増殖抑制を濃度依存性にレスキューしたが、50μMで毒性が出現した。(B) メクリジンはFGF2による細胞形態の変化と細胞外マトリクス喪失をレスキューした。RCSにFGF2(5 ng/ml)単独、またはCNP(0.2μM)かメクリジン(20μM)を同時に添加し72時間後に細胞外マトリクスをアルシアンブルー染色した。RCS細胞はFGF2非存在下で培養すると球形の形態を呈し豊富な細胞外マトリクスを形成する。このような軟骨様の表現型はFGF2により喪失する。RCS細胞にFGF2と同時にCNPかメクリジンを添加すると細胞の形態は球形に保たれアルシアンブルーの染色性も保持される。(C) メクリジンはRCS細胞においてFGF2による細胞外マトリクス分解酵素の発現を抑制した。RCS細胞にFGF2と同時にCNPまたはメクリジンを添加し4時間後にリアルタイムRT-PCRにてmRNAを定量した。グラフはMmp10、Mmp13、Adamts1の発現量をvehicle比で算出し平均値とSD値を示している(n = 3)。FGF2はMmp10、Mmp13、Adamts1の発現を上昇させ、CNPとメクリジンはこれを抑制した。
【図2】メクリジンはFGFR3の変異型(K650E、K650M)を導入したHCS-2/8細胞の増殖抑制をレスキューする。(A) FGFR3の野生型または変異型(K650E)が発現したHCS-2/8細胞を播種して48時間後にMTSアッセイにて細胞増殖能を定量した。変異型(K650E)が発現したHCS-2/8細胞の増殖能は野生型と比較して優位に抑制された(p < 0.001)。グラフは平均値とSD値を示している。(B) 変異型(K650EまたはK650M)が発現したHCS-2/8細胞にメクリジンを添加し48時間後に増殖能をMTSアッセイにて評価した。グラフはvehicle比の平均値とSD値を示している(n = 12)。メクリジンは変異型(K650E、K650M)の導入による増殖抑制をレスキューした。(C)レンチウイルスによりHCS-2/8細胞に導入されたVenusの蛍光強度を評価すると、変異型(K650E)による増殖抑制はCNPとメクリジンによってレスキューされることが示された。上段のパネルよりトランスフェクション効率は90%以上であることが分かる。CNPとメクリジンの投与によりVenusの蛍光強度は増強した。グラフはvehicle比を算出し平均値とSD値を示している(n = 3)。
【図3】メクリジンはFGFR3の変異型(G380R)を導入したATDC5細胞の分化抑制をレスキューする。ATDC5細胞の微小塊培養(micromass culture)にCNPまたはメクリジンを添加して6日間培養しアルシアンブルー染色を行った。染色後に6 Mグアニジン塩酸を200μl添加して610 nmの吸光度測定をした。グラフは平均値とSD値を示している(n = 6)。CNPとメクリジンは変異型(G380R)を導入したATDC5細胞のアルシアンブルー染色性を増強させた。
【図4】メクリジンはFGF2添加の有無に関わらず胎仔脛骨の器官培養において骨の長径成長を促進する。6日間の器官培養後、胎仔脛骨の切片をHE染色及びアルシアンブルー染色に供した。同一個体の両側脛骨を隣に並べている。骨の長軸方向の長さは反対側の長さの比を算出し、グラフは平均値とSD値を示している。FGF2は骨の長径成長を抑制し、FGF2にCNPまたはメクリジンを加えると有意に長径成長は増大した(P < 0.01, t-test)。FGF2非存在下においてもメクリジンは有意に骨の長径成長を増大させた(P < 0.05, t-test)。
【図5】メクリジンはRCS細胞においてFGF2によるERKのリン酸化を抑制する。(A) RCS細胞にFGF2(5 ng/ml)を添加する30分前にメクリジンを投与しウエスタンブロッティング法にてERKとMEKのリン酸化レベルを評価した。ERKとMEKをローディングコントロールとした。メクリジンはFGF2添加5分後でERKのリン酸化を抑制したが、MEKのリン酸化を抑制しなかった。(B) レンチウイルスを用いて恒常的に活性化したERK、MEK、RAFのそれぞれの変異型をRCS細胞に導入した。メクリジン添加後48時間後に細胞増殖能をMTSアッセイにより定量した。490 nm吸光度をvehicle比で算出し平均値とSD値を示した(n = 3)。メクリジンは恒常的に活性化したMEKとRAFによる増殖抑制をレスキューしたが、ERKによる増殖抑制には効果がなかった。
【図6】軟骨におけるFGFR3シグナル伝達系とFGFR3阻害剤の機序。MAPK経路とSTAT経路は軟骨細胞の増殖と分化に抑制的に働いている。MAPK経路ではRAS、RAF、MEK、ERKのシグナルカスケードを段階的に活性化する。CNP はnatriuretic peptide receptor-Bと結合すると細胞内でcGMPが上昇しPKGの活性化を介してRAFを抑制する。NF449(参考文献14)、A31(参考文献16)、P3(参考文献15)は近年同定されたFGFR3阻害薬である。NF449とA31はFGFR3キナーゼ活性を抑制する。P3はFGFR3の細胞外ドメインに結合する。メクリジンはERKのリン酸化を抑制する。
【図7】メクリジン投与実験の結果。正常の妊娠マウスに妊娠14日目からメクリジンを内服投与し、生後5日目の仔マウスの体長、肢長を評価した。
【図8】メクリジン投与実験の結果。正常マウスに生後2週からメクリジンを内服投与し、5週目で体長、肢長を評価した。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第1の局面は骨系統疾患の治療薬(説明の便宜上、以下では「本発明の医薬」と呼ぶことがある)及びその用途に関する。「治療薬」とは、標的の疾病ないし病態に対する治療的又は予防的効果を示す医薬のことをいう。治療的効果には、標的疾患/病態に特徴的な症状又は随伴症状を緩和すること(軽症化)、症状の悪化を阻止ないし遅延すること等が含まれる。後者については、重症化を予防するという点において予防的効果の一つと捉えることができる。このように、治療的効果と予防的効果は一部において重複する概念であり、明確に区別して捉えることは困難であり、またそうすることの実益は少ない。尚、予防的効果の典型的なものは、標的疾患/病態に特徴的な症状の再発を阻止ないし遅延することである。尚、標的疾患/病態に対して何らかの治療的効果又は予防的効果、或いはこの両者を示す限り、標的疾患/病態に対する治療薬に該当する。

【0012】
本発明は、メクリジンの新規な薬理作用、即ちFGFR3シグナルを阻害する活性を見出した成果に基づく。本発明の医薬は当該薬理作用を利用するものであり、FGFR3の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の治療又は予防に用いられる。理論に拘泥する訳ではないが、本発明の医薬によればFGFR3の過剰な活性化(換言すれば恒常的活性化)が抑制ないし阻害され、治療効果が奏される。後述の実施例に示す通り、メクリジンは古典的RAS/MAPKカスケードの下流(MEKからERKへのシグナル伝達)において阻害活性示すことが判明した(図6)。この事実は、メクリジンが特異性に優れ、副作用の少ない薬剤であることを示唆する。

【0013】
治療又は予防の対象となる「骨系統疾患」は、FGFR3の過剰な活性化に起因するものである限り、特に限定されない。本明細書において「FGFR3の過剰な活性化に起因する」とは、FGFR3の過剰な活性化が主因又は病因の少なくとも一部であることを意味する。該当する「骨系統疾患」を例示すると、軟骨無形成症(Achondroplasia)、軟骨低形成症(Hypochondroplasia)、タナトフォリック骨異形成症(Thanatophoric dysplasia)、クルーゾン病(Crouzon disease)、遠位中間肢異形成症(Acromesomelic dysplasias)、発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)である。好ましい一態様では、軟骨無形成症又は軟骨低形成症の治療又は予防に本発明の医薬が適用される。軟骨無形成症は近位四肢短縮型の低身長を呈する代表的疾患であり、頻度も高い。患者の殆どにおいて第4染色体短腕上のFGFR3のG380R点変異(380番目のグリシンがアルギニンに置換される変異)が認められる。変異のためにFGFR3が恒常的に活性化され、軟骨細胞の増殖および分化が抑制される。その結果、軟骨内骨化によって長管骨の長軸方向への成長が著しく障害される。軟骨低形成症も近位四肢短縮型の低身長を呈する疾患である。軟骨低形成症の原因遺伝子もFGFR3であり、約半数の患者においてN540K点変異(540番目のアスパラギンがリシンに置換される変異)が認められる。尚、骨系統疾患国際分類では、軟骨無形成症と軟骨低形成症は同一のグループに分類されている。

【0014】
本発明の医薬はメクリジン(meclizine)又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する。メクリジンは、物質名1-[(4-クロロフェニル)フェニルメチル]-4-[(3-メチルフェニル)メチル]ピペラジンの化合物であり、抗ヒスタミン薬の一種として知られている。メクリジンは乗り物酔い止め薬としてOTC(over the counter)販売されている。メクリジンはメクロジン(meclozine)と呼称されることもある。本明細書では用語「メクリジン」と用語「メクロジン」を交換可能に使用する。

【0015】
本発明の医薬の有効成分として、メクリジンの薬理学的に許容される塩を用いても良い。市販されているメクリジン製剤では、多くの場合、メクリジンの塩酸塩の形で処方されている。そこで、本発明においても好ましくは塩酸塩を用いる。但し、「薬理学的に許容される塩」はこれに限定されるものではなく、様々な塩、例えば、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩、アミノ酸付加塩等の利用が想定される。酸付加塩の例としては塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩などの無機酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、クエン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩が挙げられる。金属塩の例としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、亜鉛塩が挙げられる。アンモニウム塩の例としてはアンモニウム、テトラメチルアンモニウムなどの塩が挙げられる。有機アミン付加塩の例としてはモルホリン付加塩、ピペリジン付加塩が挙げられる。アミノ酸付加塩の例としてはグリシン付加塩、フェニルアラニン付加塩、リジン付加塩、アスパラギン酸付加塩、グルタミン酸付加塩が挙げられる。

【0016】
本発明の医薬の製剤化は常法に従って行うことができる。製剤化する場合には、製剤上許容される他の成分(例えば、担体、賦形剤、崩壊剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤、無痛化剤、安定剤、保存剤、防腐剤、生理食塩水など)を含有させることができる。賦形剤としては乳糖、デンプン、ソルビトール、D-マンニトール、白糖等を用いることができる。崩壊剤としてはデンプン、カルボキシメチルセルロース、炭酸カルシウム等を用いることができる。緩衝剤としてはリン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩等を用いることができる。乳化剤としてはアラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、トラガント等を用いることができる。懸濁剤としてはモノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸アルミニウム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ラウリル硫酸ナトリウム等を用いることができる。無痛化剤としてはベンジルアルコール、クロロブタノール、ソルビトール等を用いることができる。安定剤としてはプロピレングリコール、アスコルビン酸等を用いることができる。保存剤としてはフェノール、塩化ベンザルコニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルパラベン等を用いることができる。防腐剤としては塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸、クロロブタノール等と用いることができる。

【0017】
製剤化する場合の剤形も特に限定されない。剤形の例は錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、及び座剤である。本発明の医薬はその剤形に応じて経口投与又は非経口投与(静脈内、動脈内、皮下、皮内、筋肉内、又は腹腔内注射、経皮、経鼻、経粘膜など)によって対象に適用される。また、全身的な投与と局所的な投与も対象により適応される。これらの投与経路は互いに排他的なものではなく、任意に選択される二つ以上を併用することもできる(例えば、経口投与と同時に又は所定時間経過後に静脈注射等を行う等)。本発明の医薬には、期待される治療効果を得るために必要な量(即ち治療上有効量)の有効成分が含有される。本発明の医薬中の有効成分量は一般に剤形によって異なるが、所望の投与量を達成できるように有効成分量を例えば約0.1重量%~約99重量%の範囲内で設定する。

【0018】
本発明の医薬の投与量は、期待される治療効果が得られるように設定される。治療上有効な投与量の設定においては一般に症状、患者の年齢、性別、及び体重などが考慮される。当業者であればこれらの事項を考慮して適当な投与量を設定することが可能である。例えば、成人(体重約60kg)を対象として一日当たりの有効成分量が1mg~500mg、好ましくは5mg~300mg、特に好ましくは10mg~200mgとなるよう投与量を設定することができる。投与スケジュールとしては例えば一日一回~数回、二日に一回、或いは三日に一回などを採用できる。投与スケジュールの作成においては、患者の病状や有効成分の効果持続時間などを考慮することができる。局所投与に関しては手術時の使用、あるいは治癒過程の促進目的に担体もしくは相応しい剤型で局所に注入などの方法がある。

【0019】
本発明の医薬による治療に並行して他の医薬(例えば既存の治療薬)による治療を行ったり、既存の治療手技に対して本発明の医薬による治療を組み合わせたりしてもよい。既存の治療法として成長ホルモン療法、既存の治療手技として骨延長術をそれぞれ例示することができる。骨延長術では固定装置(内固定型又は外固定型)又は骨延長器などと呼ばれる専用の装置が用いられる。骨延長術の方法は通常、骨切り、待機期間、骨延長期間及び骨硬化期間の行程からなる。尚、骨延長術については、例えば、ADVANCE SERIES II-9 骨延長術:最近の進歩(克誠堂出版、波利井清紀 監修、杉原平樹 編著)に詳しい。

【0020】
以上の記述から明らかな通り本出願は、FGFR3の過剰な活性化に起因する骨系統疾患の患者に対して本発明の医薬を治療上有効量投与することを特徴とする治療法も提供する。

【0021】
本発明の他の局面はメクリジン又はその薬学的に許容される塩を有効成分として含有する身長促進剤を提供する。尚、特に言及しない事項については、上記局面の対応する説明が援用される。

【0022】
本発明の身長促進剤は低身長を呈する患者のみならず、健常者にも適用可能である。例えば、骨端線閉鎖を伴わない下垂体性小人症、ターナー症候群における低身長、プラダーウィリー症候群における低身長、成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)、子宮内発育遅延(SGA)性低身長症等の治療又は予防に本発明を適用可能である。本発明の身長促進剤は各種組成物(例えば、医薬組成物、医薬部外品組成物、食品組成物)の形態で提供できる。

【0023】
本発明の身長促進剤を医薬組成物又は医薬部外品組成物の形態で提供する場合の製剤化や剤型、投与経路、投与量などは、上記局面に準ずる。一方、食品組成物の場合、例えば、栄養補助食品(サプリメント、栄養ドリンク等)として粉末、顆粒末、タブレット、ペースト、液体等の形状で本発明の身長促進剤を提供することができる。食品組成物の形態で提供することによって、本発明の身長促進剤を日常的に摂取したり、継続的に摂取したりすることが容易となる。本発明の食品組成物には、治療的又は予防的効果が期待できる量の有効成分が含有されることが好ましい。添加量は、それが使用される対象となる者の病状、健康状態、年齢、性別、体重などを考慮して定めることができる。
【実施例】
【0024】
近年、既存薬の新たな効能を探索し、適用拡大を図ること、即ちドラッグ・リポジショニング(drug repositioning)戦略が注目されている(参考文献20、21)。この戦略のメリットの一つは、同定された薬剤は至適服用量や副作用などが既に確立していることから、直ちに臨床応用できることである。以下では、軟骨無(低)形成症やFGFR3が関与する他の骨異形成症の治療に有効な薬剤を同定することを目指し、1,186種類のFDA認可薬をスクリーニングすることにした。
【実施例】
【0025】
1.材料と方法
(1)ラット軟骨肉腫(rat chondrosarcoma(RCS))細胞を用いた、1,186種類のFDA認可薬からのスクリーニング
Pavel Krejci博士(Medical Genetics Institute, Cedars-Sinai Medical Center, LA)より供与されたRCS細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS, Thermo Scientific)を添加したダルベッコ変法イーグル培地(DMEM, Invitrogen)で培養した(参考文献14)。RSC増殖アッセイ(growth arrest assay)のために、約5×103個の細胞を96ウェル培養プレート(Falcon)に播種し、10μMのFDA認可薬(1,186種類。Prestwick Chemical)と5 ng/mlのFGF2(R&D Systems)の存在下、48時間、培養した。MTSアッセイ(Cell 96 AQueus One Solution Cell Proliferation Assay, Promega)により細胞の増殖を定量した。操作は添付のマニュアルに従った。
【実施例】
【0026】
(2)アルシアンブルー染色
アルシアンブルー染色のために、12ウェルプレートでRCS細胞を培養し、各ウェルに5 ng/mlのFGF2と10μMのメクリジン又は0.2μMのCNP(Calbiochem)を添加した。72時間後、細胞をメタノールで固定化し(-20℃、30分間)、1 N HClで溶解した0.5% Alcian Blue 8 GX (Sigma)で染色した(overnight)。定量分析のために、アルシアンブルーで染色した細胞を室温にて6時間、200μlの6 Mグアニジン塩酸で抽出した(参考文献28)。PowerScan 4(DS Pharma Biomedical)を使用し、抽出されたアルシアンブルーの光学的濃度(610nmでの吸光度)を測定した。
【実施例】
【0027】
(3)全RNAの抽出及びリアルタイムRT-PCR解析
20μMのメクリジン又は0.2μMのCNPの存在下、FGF2で処理したRSC細胞からTrizolを用いて全RNAを単離した。ReverTra Ace(Toyobo)を使用して第一鎖cDNAを合成した。LightCycler 480 Real-Time PCR (Roche)とSYBR Green(Takara)を利用してマトリックスプロテアーゼ(Mmp10、Mmp13、Adamts1)のmRNAレベルを定量した。尚、測定値はGapdhのmRNA発現レベルで補正した。
【実施例】
【0028】
(4)ベクターとトランスフェクション
野生型FGFR3を発現するベクターpRK7-FGFR3-WTと変異型FGFR3(参考文献29)を発現するベクターpRK7-FGFR3-K650E及びpRK7-FGFR3-K650MはPavel Krejci博士(Medical Genetics Institute, Cedars-Sinai Medical Center, LA)より供与された。QuikChange site-directed mutagenesis kit(Stratagene)を用いてpRK7-FGFR3-G380Rを調製した。制限酵素HindIII及びBamHIによる処理により、野生型FGFR3 cDNAと変異型FGFR3 cDNAをベクターから切り出した。NheIサイト及びBamHIサイトを利用して各断片をレンチウイルスベクターCSII-CMV-MCS-IRES2-Venusにクローニングした。CSII-CMV-MCS-IRES2-Venusは三好浩之博士(Riken BioResource Center, Tsukuba, Japan.)より供与された。ライゲーションに先立ち、Quick Blunting Kit(New England Biolabs)を用いてインサートのHindIIIサイトとベクターのNheIサイトを平滑化した。トランスフェクションの前日にHEK293細胞を150mmディッシュに播種した。Lipofectamine 2000(Invitrogen)を用い、pLP1プラスミド、pLP2プラスミド、pLP/VSVGプラスミド(ViraPower Packaging Mix, Invitrogen)とCSII-CMV-MCS-IRES2-VenusベクターをHEK293に導入した。操作は添付のマニュアルに従った。トランスフェクション48時間後に、ウイルス粒子を含む培養液をMillex-HV 0.45 μm PVDFフィルター(Millex)を用いてフィルター処理し、2段階の超遠心処理(Beckman Coulter)によってレンチウイルスを精製した。精製したレンチウイルスをHCS-2/8細胞又はATDC5細胞の培養液に添加した。48時間後、90%以上の細胞がウイルスシグナル陽性であることを確認した。
【実施例】
【0029】
MAPK/ERK経路において、恒常的に活性化した変異体を発現するクローンであるpcDNA4Myc-ERK2(PD)、pcDNA3HA-MEK1(DD)及びpcDNA3Flag-C-rafΔN(参考文献30)は武川睦寛博士(Medical Science Institute, Tokyo University, Japan)から供与された。インサートをBamHI及びXhoIで処理し、平滑化した後、CSII-CMV-MCS-IRES2-VenusのBamHIサイトにクローニングした。レンチウイルス粒子を上述の方法で調製し、RCS細胞に適用した。
【実施例】
【0030】
(5)HCS-2/8細胞の増殖アッセイ
レンチウイルス(FGFR3-WT、FGFR3-K650E又はFGFR3-K650Mを発現する)をHCS-2/8(参考文献31)細胞に感染させ、96ウェル培養プレートに約5×103個播種した。48時間後、MTSアッセイによって細胞数を測定した。また、HCS-2/8細胞にFGFR3-K650Eを発現するレンチウイルスを導入し、12ウェルプレートに約1×105個播種した。72時間後、Venusタンパク質の蛍光強度をArrayScan VTI HCS Reader(Thermo Scientific)で定量した。
【実施例】
【0031】
(6)ATDC5細胞の微小塊培養
レンチウイルス(FGFR3-WT又はFGFR3-G380Rを発現する)をマウス胚性癌腫由来ATDC5細胞(参考文献32)に感染させた。感染後の細胞を微小塊培養(参考文献33)に供した。概要を述べれば、5% FBSを含有するDMEM/F-12(1:1)培地(Sigma)に1×107 cells/mlの濃度でATDC5細胞を懸濁し、高濃度軟骨凝縮を模倣すべく10μlの液滴で播種した。1時間のインキュベーションの後、1% インスリン-トランスフェリン-亜セレン酸ナトリウム(ITS, Sigma)を添加した培地を添加した。6日目に細胞を回収するまで、1日おきに培地を交換した。
【実施例】
【0032】
(7)器官培養
器官培養のために、顕微鏡下、野生型マウス胎仔(E16.5)の脛骨を採取し、96ウェル培養プレートに移した後、0.2%ウシ血清アルブミン、1 mM β-glycerophosphate及び50μg/mlアスコルビン酸を添加したα-minimal essential medium(Invitrogen)で培養した。続いて、20μMメクリジン又は0.2μM CNPの存在下及び非存在下において、100 ng/ml FGF2で6日間処理し、10% ホルムアルデヒド(リン酸緩衝液内)で固定した。0.5 M EDTAで脱ミネラル化し、パラフィン包埋した。切片をヘマトキシリンエオジン及びアルシアンブルーで染色した後、XZ-1デジタルカメラ(Olympus)を装着したSZ61顕微鏡(Olympus)で撮影した。骨の長径の長さ(関節軟骨の基部-先端部間の長さとして定義される)をImageJ (NIH)を用いて測定した。
【実施例】
【0033】
(8)ウエスタンブロット及びシグナル経路に関する検討
RCS細胞を20μMメクリジンで30分間処理した(メクリジン非処理細胞をVehicleとした)。5 ng/ml FGF2を添加し、5分後、プロテアーゼインヒビターを添加した氷冷RIPA Lysis Buffer (Santa Cruz)で細胞を融解した。全細胞ライセートをSDS-PAGEで分離し、ニトロセルロース膜に転写した。以下の抗体、即ちERK1/2、リン酸化-ERK1/2(Thr202/ Tyr204)、MEK1/2、及びリン酸化-MEK1/2(Ser217/221) (Cell Signaling)を使用して、MAPK経路における各分子のリン酸化レベルをウエスタンブロットで決定した。
【実施例】
【0034】
(9)正常マウスへのメクリジンの内服投与
正常の妊娠マウスに妊娠14日目からメクリジンを内服投与し(5gの餌にメクリジン2mgを含有)、生後5日目の仔マウスの体長、肢長を評価した。一方、正常マウスに生後2週からメクリジンを内服投与し、5週目で同様に評価した。
【実施例】
【0035】
2.結果
(1)メクリジンはRCS細胞においてFGF2による増殖抑制と細胞外マトリクス喪失をレスキューする
ラット軟骨肉腫(RCS)細胞はFGFR3を高発現しているため、FGF2を添加すると軟骨無(低)形成症の成長軟骨でみられる特徴をin vitroで再現できる(参考文献22)。FGF2 (5 ng/ml)を加えたRCS細胞に1,186種類のFDA認可薬(Prestwick Chemical)をそれぞれ10μM添加した。RCS細胞の増殖能をMTSアッセイで定量した結果、メクリジンを添加するとvehicleと比較して1.4倍以上の細胞増殖能が再現性をもって示された。さらに、0、1、2、5、10、20、50μMのメクリジンを添加するとRCSの細胞増殖能は濃度依存性に増加したが、50μMで毒性が認められた(図1A)。
【実施例】
【0036】
次にCNP(参考文献6、17)をポジティブコントロールとしメクリジンの効果を検証した。RCS細胞は培養により豊富な軟骨性のプロテオグリカンを産生し、アルシアンブルー染色性を有する。FGF2を添加するとプロテオグリカンの産生が抑制される上に細胞外マトリクス分解酵素が産生されるため、72時間後にはアルシアンブルー染色性はほとんど認められない(参考文献6)。FGF2に加えメクリジンを添加するとRCS細胞のアルシアンブルー染色性と軟骨細胞様の形態が保持されるが、この効果はCNPと同等であった(図1B)。RCS細胞にFGF2を添加すると4時間後にMmp10、Mmp13、Adamts1の発現が上昇することが知られている(参考文献6)。RCS細胞にFGF2を添加するとMmp10、Mmp13、Adamts1の発現が上昇し、そしてメクリジンとCNPはこれらの細胞外マトリクス分解酵素の発現を抑制した(図1C)。以上より、メクリジンはRCS細胞においてFGF2による細胞外マトリクス分解酵素の発現を抑制しプロテオグリカン喪失を阻害することが分かった。
【実施例】
【0037】
(2)メクリジンはFGFR3の変異型(K650E、K650M)を導入したHCS-2/8の増殖抑制をレスキューする
次に、レンチウイルスを用いてFGFR3の変異型(K650E:致死性異形成症、K650M:SADDAN)を導入したヒト軟骨肉腫(human chondrosarcoma)細胞(HCS-2/8)において、メクリジンによるFGFR3シグナル抑制効果を検証した。K650Eを導入したHCS-2/8は有意に細胞増殖能が低下したことをMTSアッセイで確認した(図2A)。K650EまたはK650Mが発現したいずれのHCS-2/8においてもメクリジン(20μM)は増殖抑制を一部阻害した(図2B)。さらに、細胞内に発現しているVenusの蛍光強度比較することでも、K650Eが導入されたHCS-2/8はメクリジンにより細胞増殖が促進されることが分かった(図2C)。
【実施例】
【0038】
(3)メクリジンはFGFR3の変異型(G380R)を導入したATDC5細胞の分化抑制をレスキューする
ATDC5細胞は軟骨分化能を有するため軟骨分化過程をin vitroで解析するのによく用いられている(参考文献15)。軟骨無形成症の成長軟骨では分化抑制が起きることが知られており、FGFR3の変異型(G380R:軟骨無形成症)をレンチウイルスにて導入したATDC5細胞の微小塊培養(micromass culture)にメクリジン(20μM)を加えて分化誘導を行うことにより、メクリジンが軟骨の分化抑制をレスキューできるか否か検証した。FGFR3の野生型を導入したATDC5細胞ではアルシアンブルーの染色性が良好であるのに対し、変異型を導入したATDC5細胞では染色性が低下する。この変異型を導入したATCD5細胞にメクリジンを添加するとアルシアンブルーの染色性がレスキューされた。次に、アルシアンブルー染色後にグアニジン塩酸を加え610 nmの吸光度測定し染色性の定量を行った。変異型を導入したATDC5では吸光度の低下が認められたが、これをメクリジンがレスキューした(図3)。以上より、メクリジンはFGFR3変異型の導入による軟骨分化抑制効果をレスキューする。
【実施例】
【0039】
(4)メクリジンはFGF2添加の有無に関わらず胎仔脛骨の器官培養において骨の長径成長を促進する
胎仔脛骨にFGF2を添加し器官培養を行うと骨の長径成長が抑制されることが知られているが(参考文献14)、FGF2と同時にメクリジンを投与すると成長抑制がレスキューされるかどうか検証した。FGF2(100 ng/ml)と同時にCNP(0.2μM)またはメクリジン(20μM)を器官培養液に加え、骨の長さを同一個体の反対側と比較した。FGF2を添加し6日間器官培養を行うと胎仔脛骨の長径成長は抑制され、CNPとメクリジンはFGF2による骨の成長抑制を有意にレスキューした(図4)。さらに、メクリジンはFGF2を添加しない脛骨の長径成長も促進した。
【実施例】
【0040】
(5)メクリジンはRCSにおいてFGF2によるERKのリン酸化を抑制する
RCS細胞を用いてFGFR3シグナルにおけるメクリジンの効果を検証した。RCS細胞に対してFGF2添加30分前にメクリジンを投与し、ウエスタンブロッティング法にてERKとMEKのリン酸化レベルを評価した。メクリジンはFGF2添加によるERK1/2のリン酸化を抑制したが、MEK1/2のリン酸化を抑制しなかった(図5A)。さらに、恒常的にシグナルが活性化したERK、MEK、RAFのそれぞれの変異型をレンチウイルスによりRCSに導入し、細胞増殖能をMTSアッセイにより評価した。メクリジンは活性化したMEKとRAFによる増殖抑制をレスキューした一方、ERKによる増殖抑制を阻害する効果は認められなかった(図5B)。以上より、メクリジンはリン酸化MEKによるERKのリン酸化の抑制、またはERKのリン酸化酵素の活性を抑制することが示唆された(図6)。
【実施例】
【0041】
(6)メクリジンは体長及び四肢長を増大させる
正常の妊娠マウスに妊娠14日目からメクリジンを内服投与し、生後5日目の仔マウスを評価したところ、メクリジン投与群において体長、上肢長及び下肢長の増大を認めた(図7)。また、正常マウスに生後2週からメクリジンを投与し、5週目で評価したところ、メクリジン投与群において体長及び尾長の増大を認めた(図8)。
【実施例】
【0042】
3.考察
Drug Repositioningは既存薬の新たな効能を発見する手法であり、候補薬を段階的に絞り込んでいく手順により研究の経費と時間を削減できることがメリットである(参考文献20、23)。有用性と毒性がすでに担保されている1,186種類のFDA認可薬のなかで、メクリジンは新規のFGFR3シグナル阻害薬であり、軟骨無(低)形成症における低身長の治療薬として臨床応用される可能性を秘めている。メクリジンは抗ヒスタミン作用を有し、乗り物酔い止め薬としてOTC(over the counter)販売されており、50年以上安全に使用されてきた実績がある。したがって至適服用量・副作用・禁忌など安全性が確立されており、この薬剤が臨床応用可能な濃度においてFGFR3の抑制効果を示せば、そのまま臨床応用ができる可能性が高い。
【実施例】
【0043】
現在、軟骨無(低)形成症において根本的治療法はないため、FGFR3シグナルの活性を抑制する新規治療法の開発が期待されてきた。Krejciらは1,120種類の化合物のスクリーニングを行った結果、NF449がRCSと胎仔脛骨の器官培養においてFGFR3シグナルを抑制することを報告した。しかし、NF449は抗癌作用を有するsuraminと構造が類似している(参考文献14)。Jonquoyetらはin silico解析によりFGFR3のチロシンキナーゼ阻害作用を持つ合成化合物(A31)を創薬した。A31はFGFR3の恒常的リン酸化を抑制し、器官培養において軟骨無形成症モデルマウス(Fgfr3Y367C/+)の長管骨の成長抑制をレスキューすることが示された。さらに、A31はFgfr3Y367C/+の成長軟骨の分化抑制をレスキューすることが示された(参考文献16)。Jinらはペプチドファージライブラリーのスクリーニングを行った結果、P3がFGFR3の細胞外ドメインに最も親和性が高いことでP3を同定した。P3はATDC5細胞において増殖・分化促進作用を有し、致死性異形成症モデルマウス(Fgfr3Neo-K644E/+)の長管骨の器官培養において骨の成長抑制をレスキューし、さらに母体への投与によりFgfr3Neo-K644E/+の長期生存可能であることが示された(参考文献15)。しかし、これらの新規FGFR3阻害薬はFGFR3以外のチロシンキナーゼにも作用する可能性があり、ヒトへ投与した場合の毒性が懸念される。メクリジンの作用部位も同様にチロシンキナーゼの特異性が懸念されるが、50年以上安全に使用されてきた実績があることから、重篤な副作用はないと考えられる。
【実施例】
【0044】
CNPは軟骨無形成症においてFGFR3シグナルの活性を抑制する作用を有する。CNP欠損マウスの表現型は低身長であり、成長軟骨は増殖軟骨細胞層と肥大軟骨細胞層が狭小化していることが特徴である(参考文献24)。acromesomelic dysplasia Maroteaux-type (AMDM) はCNPのレセプター遺伝子であるNPR2の機能喪失により四肢短縮型低身長となる(参考文献25)。一方、CNPの過剰発現によりMAPKシグナルの抑制を介して軟骨無形成症における長管骨の成長抑制はレスキューされる(参考文献17)。八十田らはCNPを投与することで軟骨無形成症モデルマウス(Fgfr3ach)の低身長をレスキューすることに成功した。しかし、CNPは半減期が非常に短いため持続静脈投与が必要である(参考文献18)。Lorgetらは中性エンドペプチダーゼによって分解されにくい構造であるCNPアナログ(BMN111)を開発し、これにより半減期が延長され、皮下注射によりFgfr3Y367C/+の低身長を改善させることができた(参考文献19)。今回の研究では、メクリジンはin vitroとex vivoモデルにおいてCNPと同等にFGFR3シグナルを抑制することができた。また、メクリジンは乗り物酔い止め薬として臨床で使用されてきた実績があることより、CNPやCNPアナログに代わる薬剤として使用されることが期待される。
【実施例】
【0045】
軟骨細胞の増殖と分化においてMAPK経路はFGFR3シグナルの主要経路の一つである。軟骨細胞においてERKが活性化し続けると増殖抑制、細胞外マトリクスの分解、細胞形態の変化、分化抑制が起こることが知られている(参考文献5、6)。CNPはPKGIIの活性化を介してRAF1キナーゼのリン酸化を抑制する(参考文献6、17)。今回、メクリジンが軟骨細胞においてERKのリン酸化を抑制することを証明した。メクリジンには抗ヒスタミン作用や抗ムスカリン作用の他に抗酸化的リン酸化作用があることをGohilらは報告している(参考文献26、27)。メクリジンは脳や心臓の虚血による細胞障害を抑制することが示された。今回の研究では抗ヒスタミン作用、抗ムスカリン作用又は抗酸化的リン酸化作用を示す薬剤の中で唯一メクリジンがFGFR3シグナルを抑制した。よって、内軟骨性骨化におけるメクリジンの薬理作用機序は抗ヒスタミン作用、抗ムスカリン作用又は抗酸化的リン酸化作用ではないと考えられる。
【実施例】
【0046】
今回の研究ではメクリジンはRCS細胞においてFGF2による細胞増殖抑制、細胞外マトリクスの喪失、細胞形態の変化、細胞外マトリクス分解酵素の発現をレスキューすることが証明された。また、メクリジンはFGFR3の変異型が発現したHCS細胞とATDC5細胞において増殖抑制と分化抑制をレスキューした。さらに、メクリジンはFGF2による胎仔長管骨の成長抑制をレスキューした。メクリジンは軟骨無(低)形成症に対して有用な治療法となりうる。
【実施例】
【0047】
一方、動物実験の結果、メクリジンが体長及び四肢の伸長効果を示すことが裏づけられた。この事実に鑑みると、例えば、骨端線閉鎖を伴わない下垂体性小人症、ターナー症候群における低身長、プラダーウィリー症候群における低身長、成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)、子宮内発育遅延(SGA)性低身長症に対してもメクリジンは有効と考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の治療薬は、FGFR3シグナルの抑制という、メクリジンの新規な作用によって薬効を示す。メクリジンは乗り物酔い止め薬としてOTC(over the counter)販売されており、50年以上安全に使用されてきた実績があり、至適服用量・副作用・禁忌など、安全性が確立されている。この事実は、臨床応用上の大きなメリットとなる。軟骨無形成症、軟骨低形成症、タナトフォリック骨異形成症、クルーゾン病、遠位中間肢異形成症、発達遅延と黒色表皮腫を伴う重度の軟骨無形成症(SADDAN)等、FGFR3の過剰な活性化に起因する各種骨系統疾患の治療に本発明が適用されることが期待される。
【0049】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【0050】
<参考文献>
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図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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