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明細書 :水溶性フラボノイド組成物、これを含有する飲料、食品、医薬品、化粧品及び水溶性フラボノイド組成物の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月9日(2017.2.9)
発明の名称または考案の名称 水溶性フラボノイド組成物、これを含有する飲料、食品、医薬品、化粧品及び水溶性フラボノイド組成物の製造方法
国際特許分類 A23L  33/10        (2016.01)
A23L   2/52        (2006.01)
A61K  31/7048      (2006.01)
A61P   9/14        (2006.01)
A61P   9/12        (2006.01)
A61P   3/06        (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
A61K  36/82        (2006.01)
A61K  36/752       (2006.01)
FI A23L 1/30 B
A23L 2/00 F
A61K 31/7048
A61P 9/14
A61P 9/12
A61P 3/06
A61P 9/00
A61K 36/82
A61K 36/752
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 37
出願番号 特願2015-504277 (P2015-504277)
国際出願番号 PCT/JP2014/055080
国際公開番号 WO2014/136681
国際出願日 平成26年2月28日(2014.2.28)
国際公開日 平成26年9月12日(2014.9.12)
優先権出願番号 2013047321
優先日 平成25年3月8日(2013.3.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】宮田 裕次
【氏名】荒牧 貞幸
【氏名】石本 慶一郎
【氏名】中山 久之
【氏名】田中 隆
【氏名】永田 保夫
【氏名】田中 一成
【氏名】田丸 靜香
【氏名】松井 利郎
出願人 【識別番号】000214191
【氏名又は名称】長崎県
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
【識別番号】505225197
【氏名又は名称】長崎県公立大学法人
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100064908、【弁理士】、【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100108578、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 詔男
【識別番号】100094400、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 三義
審査請求
テーマコード 4B017
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4B117
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4C088
Fターム 4B017LC03
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4C088ZC33
要約 容易に調製でき、かつ水への溶解性に優れる水溶性フラボノイド組成物を提供する。フラバノン配糖体と茶ポリフェノールとを含有する水溶性フラボノイド組成物である。
特許請求の範囲 【請求項1】
フラバノン配糖体と茶ポリフェノールとを含有する水溶性フラボノイド組成物。
【請求項2】
前記フラバノン配糖体と前記茶ポリフェノールとの会合体を含有する、請求項1に記載の水溶性フラボノイド組成物。
【請求項3】
前記茶ポリフェノールは、カテキン、プロトシアニジン、フラボノール配糖体及び紅茶ポリフェノールから選択される1種以上である請求項1又は2に記載の水溶性フラボノイド組成物。
【請求項4】
前記フラバノン配糖体はヘスペリジンであり、前記茶ポリフェノールは少なくともテアシネンシンAを含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物を含有する飲料。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物を含有する食品。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物を含有する医薬品。
【請求項8】
請求項1から4のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物を含有する化粧品。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか1項に記載の水溶性フラボノイド組成物の製造方法であって、前記フラバノン配糖体を含有する原料aと前記茶ポリフェノールを含有する原料bとを揉捻して混合揉捻物を得る揉捻物調製工程と、前記混合揉捻物を抽出溶媒に浸漬する抽出工程と、を備える水溶性フラボノイド組成物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶性フラボノイド組成物、これを含有する飲料、食品、医薬品、化粧品及び水溶性フラボノイド組成物の製造方法に関する。
本願は、2013年3月8日に日本に出願された特願2013-47321号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
フラバノン配糖体はミカン等の柑橘類に多く含まれており、脂質の酸化防止作用等を有することが知られている。
中でもヘスペリジンは、血管強化、血圧低下、コレステロール低減、中性脂肪低減及び血流改善作用等の効能が認められているフラバノン配糖体である。しかし、ヘスペリジンは、水に溶けにくいため、生体内への吸収性が低く、効果が発揮されにくいという問題がある。
【0003】
こうした問題に対し、例えば、ヘスペリジンにD-グルコース残基が等モル以上α結合しているα-グリコシルヘスペリジンが提案されている(特許文献1)。特許文献1の発明は、ヘスペリジンの一部にグルコースを結合させ、酵素処理することによって、水溶性を付与するものである。
特許文献1の発明においては、ミカンからヘスペリジンを抽出する抽出工程と、ヘスペリジンを糖転移する糖転移工程とにより製造される。抽出工程では、未熟ミカンをエタノール溶液中に浸漬し、ヘスペリジンを溶出する。糖転移工程では、ヘスペリジン及びデキストリンを含有する水溶液中で、70℃、18時間の酵素(シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ)処理を施し、次いで、酵素を加熱失活させる。糖転移工程を経ることで、ヘスペリジンにグルコースが結合し、α-グルコシルヘスペリジリンが得られる。その後、糖転移工程で生じた特異な風味をなくすために、55℃、5時間の酵素(グルコアミラーゼ)処理を施し、エタノール濃度を段階的に高めながら濾過し、乾燥する。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平3-7593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の発明は、製造工程が煩雑であり、かつ歩留が低いためにコスト高である。加えて、特許文献1の発明では、廃液処理等の問題がある。
そこで、本発明は、容易に調製でき、かつ水への溶解性に優れる水溶性フラボノイド組成物を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、フラバノン配糖体と茶ポリフェノールとを含有する水溶性フラボノイド組成物が、水への溶解性に優れることを見出し、本発明に至った。
【0007】
即ち、本発明の一実施態様に係る水溶性フラボノイド組成物は、フラバノン配糖体と茶ポリフェノールとを含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の一実施態様に係る水溶性フラボノイド組成物は、前記フラバノン配糖体と前記茶ポリフェノールとの会合体を含有する。
【0009】
本発明の一実施態様に係る水溶性フラボノイド組成物は、前記茶ポリフェノールが、カテキン、プロトシアニジン、フラボノール配糖体及び紅茶ポリフェノールから選択される1種以上である。
【0010】
本発明の一実施態様に係る飲料は、前記フラバノン配糖体はヘスペリジンであり、前記茶ポリフェノールは少なくともテアシネンシンAを含む。
【0011】
本発明の一実施態様に係る飲料は、前記の本発明の水溶性フラボノイド組成物を含有する。
【0012】
本発明の一実施態様に係る食品は、前記の本発明の水溶性フラボノイド組成物を含有する。
【0013】
本発明の一実施態様に係る医薬品は、前記の本発明の水溶性フラボノイド組成物を含有する。
【0014】
本発明の一実施態様に係る化粧品は、前記の水溶性フラボノイド組成物を含有することを特徴とする。
【0015】
本発明の一実施態様に係る水溶性フラボノイド組成物の製造方法は、前記水溶性フラボノイド組成物の製造方法であって、前記フラバノン配糖体を含有する原料aと前記茶ポリフェノールを含有する原料bとを揉捻して混合揉捻物を得る揉捻物調製工程と、前記混合揉捻物を抽出溶媒に浸漬する抽出工程と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の水溶性フラボノイド組成物によれば、容易に調製でき、かつ水への溶解性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例2-1~2-4、比較例2-1の溶解量比を示すグラフである。
【図2】フラバノン配糖体と茶ポリフェノールとの会合状態を表した模式図である。
【図3】ヘスペリジンの構造を説明する図面である。
【図4】茶ポリフェノールの添加量に伴うヘスペリジンのケミカルシフト変化を示すグラフである。
【図5】紅茶熱水抽出物のHPLCチャートを示すグラフ図である。
【図6】紅茶熱水抽出物のHPLC溶出フラクションの添加量ごとのヘスペリジンのピーク面積を示すグラフ図である。
【図7】ヘスペリジン標品の溶解性に対する紅茶熱水抽出物ならびに各画分の影響を示すグラフ図である。
【図8】紅茶熱水抽出物の各フラクションの相互作用によるヘスペリジン溶解性への影響を示すグラフ図である。
【図9】LC-TOFMS分析によるヘスペリジン溶解性試験の結果を示すグラフ図である。
【図10】ヘスペリジンの化学構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(水溶性フラボノイド組成物)
本実施形態の水溶性フラボノイド組成物は、フラバノン配糖体(以下、(A)成分ということがある)と茶ポリフェノール(以下、(B)成分ということがある)とを含有する。
水溶性フラボノイド組成物は、粉粒状、タブレット状等の固体でもよいし、液体でもよい。

【0019】
<(A)成分:フラバノン配糖体>
(A)成分はフラバノン配糖体である。(A)成分は、フラバノン骨格を有するフラボノイドに糖が結合した配糖体であり、例えば、ヘスペリジン、ナリルチン、ナリンギン、ネオヘスペリジン等が挙げられる。
(A)成分としては、例えば、未熟ミカン等の柑橘類から、公知の方法で抽出されたものが挙げられる。

【0020】
水溶性フラボノイド組成物中の(A)成分の含有量は、水溶性フラボノイド組成物の剤形に応じて適宜決定される。

【0021】
<(B)成分:茶ポリフェノール>
(B)成分は、茶ポリフェノールである。(B)成分としては、茶葉に含まれるポリフェノールあるいは茶葉から抽出されるポリフェノールであれば特に限定されない。茶葉としては、緑茶等の非発酵茶葉、紅茶やウーロン茶等の発酵茶葉等のいずれでもよい。
(B)成分としては、カテキン、プロトシアニジン、フラボノール配糖体及び紅茶ポリフェノールから選択される1種以上が好ましい。水溶性フラボノイド組成物は、これらの(B)成分を含有することで、(A)成分の水への溶解性のさらなる向上を図れる。

【0022】
(B)成分の供給源としては、カテキン、プロトシアニジン、フラボノール配糖体又は紅茶ポリフェノール等の精製品でもよいし、例えば、紅茶抽出物である紅茶エキスや、緑茶抽出物である緑茶エキス等のエキスでもよい。

【0023】
(B)成分を含有することで(A)成分の水への溶解性が高まる理由は定かではないが、次のように推測される。
一般に(A)成分は、疎水性の部位(例えば、ヘスペリジンにおいてはヘスペレチン部分)同士が強固に会合して結晶を形成しているため、水への溶解性に劣る。(A)成分と(B)成分とを共存させると、(B)成分が(A)成分同士の会合部分を切り離し、(A)成分との会合体を形成する。そして、形成された会合体は、水への溶解性が高いため、(A)成分の水への溶解性を高められると考えられる。

【0024】
水溶性フラボノイド組成物中、(B)成分/(A)成分で表される質量比(以下、B/A比ということがある)は、特に限定されないが、例えば、1~100が好ましく、1超100以下がより好ましく、5~50がさらに好ましく、10~30が特に好ましい。B/A比が上記下限値未満では、(A)成分の水への溶解性が低下するおそれがあり、上記上限値超としても、(A)成分の水への溶解性のさらなる向上を図れないおそれがある。

【0025】
<任意成分>
水溶性フラボノイド組成物は、例えば、剤形等に応じて、(A)~(B)成分以外の任意成分を含有してもよい。
例えば、固形の水溶性フラボノイド組成物においては、造粒又は成形性を高める観点から、デンプン等のバインダーを含有してもよい。

【0026】
(製造方法)
水溶性フラボノイド組成物の製造方法は、剤形等に応じて適宜決定される。
例えば、(A)成分と(B)成分とを水に分散し混合して、液体の水溶性フラボノイド組成物を得たり、この液体の水溶性フラボノイド組成物を凍結乾燥等により乾燥して、固体の水溶性フラボノイド組成物を得る方法が挙げられる。

【0027】
あるいは、例えば、(A)成分を含有する原料(以下、原料aということがある)と、(B)成分を含有する原料(以下、原料bということがある)とから、水溶性フラボノイド組成物を得る方法が挙げられる。

【0028】
原料aと原料bとから水溶性フラボノイド組成物を得る製造方法の一例について、以下に説明する。
本例の水溶性フラボノイド組成物の製造方法は、原料aと原料bとを揉捻して混合揉捻物を得る工程(揉捻物調製工程、揉捻工程)と、混合揉捻物から水溶性フラボノイド組成物を抽出する工程(抽出工程)とを備える。

【0029】
<揉捻物調製工程>
揉捻物調製工程は、原料aと原料bとの混合揉捻物を得る工程である。
まず、原料aをスライスあるいは粉砕する等して小片とする。小片とした原料aを原料bに混合し、揉捻して(揉捻操作)、混合揉捻物を得る。

【0030】
原料aとしては、(A)成分を含有するものであればよく、例えば、ミカン、オレンジ、イヨカン、ポンカン、ブンタン、ヒュウガナツ、ハッサク、ダイダイ、ナツミカン、グレープフルーツ、ユズ、カボス又はカラタチ等、柑橘類の果実が挙げられ、中でも、ミカンの果実が好ましく、未熟ミカンの果実がより好ましい。これらの原料aは、(A)成分の含有量が多いためである。
原料aは、青果でもよいし、乾燥物でもよく、中でも乾燥物が好ましい。乾燥物であれば、揉捻操作において水分が揉み出されにくくなって、原料a中の(A)成分が流失されにくくなる。

【0031】
原料bは、茶葉であり、茶生葉でもよいし、発酵茶葉でもよいし、これらが予め萎凋されたものでもよい。
原料bは、原料aと混合されるに際し、予め萎凋されていることが好ましい。予め萎凋された原料bは、揉捻操作において水分が揉み出されにくくなって、原料b中の(B)成分が流失されにくくなる。
萎凋された原料bの水分量は、例えば、45~65質量%が好ましい。水分量は45~60質量%であってもよい。

【0032】
揉捻方法としては、特に限定されず、例えば、原料bを任意の時間揉捻し、次いで、原料aを加えて揉捻してもよいし、予め原料aと原料bとを仕込み、これを揉捻してもよい。

【0033】
原料b/原料aで表される質量比(以下、b/a比ということがある)は、原料a及び原料bの水分量等を勘案して決定される。例えば、原料aが青果で、原料bが茶生葉であれば、b/a比は、1~10が好ましく、2~8がより好ましく、3~6がさらに好ましい。b/a比が上記下限値未満では、得られる水溶性フラボノイド組成物の水に対する溶解性が低下するおそれがあり、上記上限値超としても、水溶性フラボノイド組成物の水に対する溶解性のさらなる向上を図れないおそれがある。また、例えば、原料bとして茶、原料aとして未熟ミカンを用いる場合、茶の量に対して未熟ミカンを10~50重量%添加してもよい。さらに、茶の量に対して未熟ミカンを21~30重量%添加してもさらによい。

【0034】
揉捻操作における原料の温度は、例えば、20~40℃とされる。
揉捻操作の時間は、例えば、10~60分間が好ましく、15~25分間がより好ましい。

【0035】
揉捻物調製工程は、揉捻操作の後、発酵操作を行う工程(発酵工程)を備えてもよい。
発酵操作においては、混合揉捻物を数cmの厚さに堆積させた状態で、温度20~27℃、湿度30~60%RHの発酵室内等の環境下に静置する。
発酵操作の時間は、例えば、0~4時間とされる。なお、揉捻操作の開始と同時に原料a又は原料bの発酵が開始する場合がある。その場合、発酵が早めに行われることを考慮すると、発酵操作の時間は、例えば0~1時間であってもよい。

【0036】
加えて、揉捻物調製工程は、揉捻操作の後(発酵操作を備える場合には、発酵操作の後)に、乾燥操作を備えてもよい。乾燥操作を備えることで、混合揉捻物中の酸化酵素(ポリフェノールオキシダーゼ等)を失活させ、水分量を低減させて、混合揉捻物の品質安定性を高められる。
乾燥操作は、例えば、連続式乾燥機に原料を投入し、これに温度80~120℃の熱風を吹き込み、排気温度が50~60℃となるように操作する。乾燥操作の時間は、特に限定されず、例えば、10~60分間とされる。
乾燥操作後の混合揉捻物の水分量は、例えば、5質量%以下が好ましい。

【0037】
<抽出工程>
抽出工程は、揉捻物調製工程で得られた混合揉捻物から、水溶性フラボノイド組成物を抽出する工程である。
抽出工程としては、例えば、混合揉捻物を抽出溶媒に浸漬し、任意の温度で加熱して、抽出溶媒に水溶性フラボノイド組成物を抽出して、液体の水溶性フラボノイド組成物を得る方法が挙げられる。

【0038】
抽出溶媒としては、例えば、水、炭素数1~6の低級アルコール及びこれらの混合液等が挙げられる。
抽出工程における加熱温度は、特に限定されず、例えば、20~100℃が好ましい。
抽出時間は、特に限定されず、例えば、3~30分間が好ましい。

【0039】
抽出工程の後、液体の水溶性フラボノイド組成物を乾燥して、固体の水溶性フラボノイド組成物としてもよい。乾燥方法としては、例えば、凍結乾燥法等が挙げられる。

【0040】
(飲料)
本実施形態の飲料は、水溶性フラボノイド組成物を含有するものである。
例えば、混合揉捻物を水やエタノールに浸漬し、これを任意の温度で加熱したり、混合揉捻物を任意の温度の水やエタノールに浸漬して得られる抽出液が挙げられる。即ち、従来公知の茶の飲用方法と同様にして、本実施形態の飲料を得られる。
あるいは、液体又は固体の水溶性フラボノイド組成物を任意の飲料(例えば、清涼飲料水、アルコール飲料)に添加する方法が挙げられる。

【0041】
(食品)
本実施形態の食品は、水溶性フラボノイド組成物を含有するものである。
対象となる食品は、特に限定されない。例えば、上記した本実施形態の飲料に増粘多糖類やゼラチン等を加え、これを冷却して得られるゲル状食品等が挙げられる。
また、例えば、加工食品、菓子類等が挙げられる。

【0042】
(医薬品)
本実施形態の医薬品は、水溶性フラボノイド組成物を含有するものである。
フラバノン配糖体、特にヘスペリジンは、血管強化、血圧低下、コレステロール低減、中性脂肪低減及び血流改善作用等を有している。
従って、本実施形態の医薬品は、水溶性フラボノイド組成物を血管強化剤、血圧低下剤、コレステロール低減剤、中性脂肪低減剤、血流改善剤として含有するものが好ましい。

【0043】
医薬品中の水溶性フラボノイド組成物の含有量は、医薬品の剤形等を勘案して適宜決定される。
例えば、医薬品中の水溶性フラボノイド組成物の含有量は、1回の服用で、(A)成分500~2000mgを摂取できる量が好ましい。

【0044】
上述の通り、本実施形態の水溶性フラボノイド組成物は、水への溶解性に優れる。
加えて、本実施形態の水溶性フラボノイド組成物は、(A)成分と(B)成分とを混合したり、あるいは原料aと原料bとが揉捻された混合揉捻物から水等の抽出溶媒で抽出するという簡単な方法で得られる。
さらに、本実施形態の水溶性フラボノイド組成物は、水への溶解性に優れるため、生体内への吸収性を高められる。

【0045】
(化粧品)
本実施形態の化粧品は、水溶性フラボノイド組成物を含有するものである。対象となる化粧品は、特に限定されない。例えば、上記した本実施形態の水溶性フラボノイド組成物に水等の溶媒、又は各種の化粧品用添加物を加えた化粧品としてもよい。本実施形態の水溶性フラボノイド組成物は、水への溶解性に優れるため、生体内への吸収性を高められる。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を示して本実施形態を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
(実施例1-1)
生茶葉(原料b)30kgを萎凋して、水分量50質量%の原料b19kgを得た。萎凋後の原料b19kgと、スライスした未熟ミカンの青果(原料a)10kgとを混合し揉捻して、混合揉捻物を得た(揉捻操作)。揉捻時間は20分間であり、揉捻温度は35℃であった。
揉捻操作の後、得られた混合揉捻物を温度35℃、湿度65%RHの発酵室内で、表1に示す発酵時間で発酵した(発酵操作)。
発酵操作後、混合揉捻物に100℃の空気を30分間当てて、乾燥した(乾燥操作)。
乾燥操作を施した混合揉捻物について、以下の抽出試験を行い、その結果を表1~2に示す。
なお、表中の溶出率は、下記(1)式により求められる値である。
【実施例】
【0048】
溶出率(質量%)=[ミカン単位の溶出量]÷[原料aの乾燥物(100mg)中のヘスペリジン量]×100・・・(1)
[(1)式中、ミカン単位の溶出量は、後述する抽出試験で求められた溶出量(混合揉捻物から溶出した(A)成分の量(mg))を、実施例1-1、1-2では4倍、実施例1-3、1-4では2倍した値である。]
【実施例】
【0049】
<抽出試験>
≪水抽出≫
25℃の水100mLに各例の混合揉捻物100mgを浸漬し、25℃で24時間放置して、抽出液を得た。
得られた抽出液を0.45μmメンブランフィルターでろ過し、ろ液中のヘスペリジン量を超高速液体クロマトグラフィーUFLC(HPLC、株式会社島津製作所製)で測定した。1試料につき3回測定し、得られた面積からヘスペリジンの溶出量を算出した。
HPLCの分析条件は、以下の通りである。なお、原料aの乾燥物(100mg)に含まれるヘスペリジン量は20.8mgであった。
【実施例】
【0050】
[分析条件]
カラム・・・Shim-pack C18(3.0×50mm、株式会社島津製作所製)。
移動相A液・・・CHCN:10mMリン酸=20:80(体積比)。
移動相B液・・・CHCN:10mMリン酸=30:70(体積比)。
グラジェント構成・・・移動相A液:移動相B液=100:0(体積基準)を7分間で直線的に、移動相A液:移動相B液=0:100(体積基準)とした。
流速:0.6mL/分。
カラム温度:40℃。
検出波長:280nm。
【実施例】
【0051】
≪熱水抽出≫
25℃の水を100℃の水に換えた以外は、「≪水抽出≫」と同様にして抽出液を得、このろ液中のヘスペリジン量を測定した。
【実施例】
【0052】
≪60質量%アルコール抽出≫
25℃の水を25℃の60質量%アルコールに換えた以外は、「≪水抽出≫」と同様にして抽出液を得、このろ液中のヘスペリジン量を測定した。
【実施例】
【0053】
(実施例1-2)
揉捻時間を40分間とした以外は、実施例1-1と同様にして混合揉捻物を得た。
得られた混合揉捻物について抽出試験を行い、その結果を表1~2に示す。
【実施例】
【0054】
(実施例1-3)
原料aを20kg、原料bを20kgとして揉捻した以外は、実施例1-1と同様にして混合揉捻物を得た。
得られた混合揉捻物について抽出試験を行い、その結果を表1~2に示す。
【実施例】
【0055】
(実施例1-4)
揉捻時間を40分間とした以外は、実施例1-3と同様にして混合揉捻物を得た。
得られた混合揉捻物について抽出試験を行い、その結果を表1~2に示す。
【実施例】
【0056】
(比較例1-1)
原料aについて抽出試験を行い、その結果を表1~2に示す。
【実施例】
【0057】
【表1】
JP2014136681A1_000002t.gif
【実施例】
【0058】
【表2】
JP2014136681A1_000003t.gif
【実施例】
【0059】
表1~2に示すように、原料aと原料bとを揉捻した混合揉捻物を用いた実施例1-1~1-4は、原料aのみを用いた比較例1-1に比べて、総じて溶出率を高められた。
ヘスペリジンの溶出率は、水抽出に比べて、熱水抽出又は60質量%エタノール抽出の方が高かった。ただし、熱水抽出と60質量%エタノール抽出とでは、ヘスペリジンの溶出率に大きな差は見られなかった。
実施例1-1と実施例1-3との比較、実施例1-2と実施例1-4との比較において、b/a比が3である実施例1-1、1-2はb/a比が1である実施例1-3、1-4に比べて溶出率が高まっていた。
【実施例】
【0060】
(調製例1~3)フラクション1~3の調製
以下の手順により、(B)成分(茶ポリフェノール)を含むフラクション1~3を調製した。
紅茶20gに1Lの熱水(95℃)を加えて5分間抽出し、これをろ過した。ろ液をロータリーエバポレータで濃縮し、これを凍結乾燥して、紅茶ポリフェノールを含む紅茶エキス6.1gを得た。水で充填したSephadex LH-20カラム(内径3.0cm×長さ20cm)に紅茶エキス4.8gを付し、これを水200mLと、40体積%メタノール200mLとで順次溶出して、糖、カフェイン、フラボノール配糖体を主成分とするフラクション1(Fr.1)を得た。得られたFr.1は3.04g(紅茶エキスの63質量%)であった。
Fr.1を溶出した後、60体積メタノール200mLと、80体積%メタノール200mLとで順次溶出して、エピカテキン、エピガロカテキン、没食子酸を主成分とするフラクション2(Fr.2)を得た。得られたFr.2は0.90g(紅茶エキスの19質量%)であった。
Fr.2を溶出した後、100体積%メタノール200mLと、60体積%アセトン200mLとで順次溶出して、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、テアフラビン、テアフラビン-3-ガレート、テアフラビン-3’-ガレート、テアフラビン-3,3’-ジガレート、テアシネンシンA、テアシネンシンB、カテキン重合ポリフェノールを主成分とするフラクション3(Fr.3)を得た。得られたFr.3は0.85g(紅茶エキスの18質量%)であった。
【実施例】
【0061】
(実施例2-1)
1.5mLエッペンドルフチューブに、ヘスペリジンの結晶の水懸濁液(10mg/mL)0.2mLを入れた。このエッペンドルフチューブに、紅茶エキス水溶液(20mg/mL、ヘスペリジン2mgに対して紅茶葉53mgに相当)、0.8mLを加えた。
エッペンドルフチューブを密閉後、時々振り混ぜながら80℃で10分間加熱し、その後、室温(25℃)で2時間放置した。
2時間放置した後、遠心分離し、上清をメンブランフィルター(0.45μm)でろ過して試料とした。試料10μLを高速液体クロマトグラフィーで分析して、試料中のヘスペリジン量(ピーク面積)を測定した。同様の操作を3回行って、その平均値をヘスペリジンの水への溶解量とした。
後述する比較例2-1における溶解量(ピーク面積)に対する本例の溶解量(ピーク面積)の比(溶解量比)を求め、その結果を図1に示す。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下の通りであった。
【実施例】
【0062】
<分析条件>
カラム:Cosmosil 5C18 ARII(4.6×250mm)。
カラム温度:35℃。
移動相C液:50mMリン酸。
移動相D液:CHCN。
グラジェント構成・・・移動相C液:移動相D液=96:4(体積基準)を39分間で直線的に、移動相C液:移動相D液=70:30(体積基準)とし、次いで、15分間で直線的に、移動相C液:移動相D液=25:75(体積基準)とした。
流速:0.8mL/分。
カラム温度:40℃。
検出方法:フォトダイオードアレイ検出(Max absorbance)。
【実施例】
【0063】
(実施例2-2)
紅茶エキス水溶液に換えて、Fr.1水溶液(12.6mg/mL)0.8mLを加えた以外は、実施例2-1と同様にして、溶解量比を求めた。その結果を図1に示す。
【実施例】
【0064】
(実施例2-3)
紅茶エキス水溶液に換えて、Fr.2水溶液(3.8mg/mL)0.8mLを加えた以外は、実施例2-1と同様にして、溶解量比を求めた。その結果を図1に示す。
【実施例】
【0065】
(実施例2-4)
紅茶エキス水溶液に換えて、Fr.3水溶液(3.6mg/mL)0.8mLを加えた以外は、実施例2-1と同様にして、溶解量比を求めた。その結果を図1に示す。
【実施例】
【0066】
(比較例2-1)
紅茶エキス水溶液に換えて、水0.8mLを加えた以外は、実施例2-1と同様にして、ヘスペリジンの溶解量(ピーク面積)を求め、その結果を図1に示す。
【実施例】
【0067】
図1は、比較例2-1のヘスペリジンのピーク面積に対し、実施例2-1~2-4におけるヘスペリジンのピーク面積を相対値で示したグラフである。
本実施形態を適用した実施例2-1~2-4は、(B)成分を含有しない比較例2-1に比べて、ヘスペリジンの水への溶解量が多かった(即ち、水への溶解性に優れていた)。
中でも、(B)成分として紅茶エキスを用いた実施例2-1において、ヘスペリジンの溶解量が最も多く、(B)成分を含有しない比較例2-1におけるヘスペリジンの溶解量の約10倍であった。
また、実施例2-2~2-4の比較において、紅茶の主要ポリフェノールを主成分とするFr.3を加えた実施例2-3において、ヘスペリジンの溶解量が最も多かった。なお、Fr.3の内、テアフラビン類4種、テアシネンシンA及びB、カテキン重合ポリフェノールが紅茶特有の成分である。
【実施例】
【0068】
(A)成分と(B)成分とが共存することにより、(A)成分の水溶性が高まるイメージについて、図2を参照して説明する。
(A)成分単独では、水中で複数のヘスペリジン1aが互いに強固に会合し、ヘスペリジン結晶1を形成してしまう。
(A)成分と(B)成分とが共存すると、実施例2-1や2-4では、カテキン重合ポリフェノール2のベンゼン環がヘスペリジン1aのヘスペレチン部分にスタッキングすることでヘスペリジン1a同士の強い会合が崩され、水溶性を高めていると推測される。実施例2-2や2-3では、カフェイン3、フラボノール配糖体、カテキン類(フラボノール配糖体及びカテキン類は、図2中の符号4)がヘスペリジン1aのヘスペレチン部分にスタッキングして、(A)成分の水溶性を高めていると推測される。紅茶エキスでは、これらの会合が相加的に作用して、水溶性を大きく高めていると考えられる。
【実施例】
【0069】
(実験例1)
水素核磁気共鳴(H-NMR)スペクトルを測定した場合、測定している化合物の水素に共存物質のベンゼン環が近づくとベンゼン環のπ電子の影響を受けて、水素シグナルが高磁場側へシフトする。ポリフェノール類は多くのベンゼン環を有する。このため、水素シグナルが高磁場側へシフトする現象を利用して、(B)成分による(A)成分の溶解性の向上が、(A)成分への(B)成分の会合によるものであることを示すための実験を行った。(A)成分と(B)成分とが会合しているのであれば、両者を混合するとヘスペリジン分子の水素のシグナルが高磁場にシフトするはずである。
【実施例】
【0070】
ヘスペリジン1mgを0.1mLのジメチルスルホキシド-dに溶解し、ここに0.9mLの重水を加えて、α1液とした。1mLのα1液に10mgのFr.3を溶解して、β1液とした。α1液0.75mLをNMR測定管に入れて、水素核磁気共鳴(H-NMR)でNMRスペクトルを測定した。NMRスペクトルを測定した後、NMR測定管にβ1液0.05mLを加えて混合し、この試料のNMRスペクトルを測定した(スペクトル測定操作)。この時の測定試料中のFr.3の濃度は、0.6mg/mLである。
この測定後のNMR測定管中にβ1液0.05mLを加え、NMRスペクトルを測定した。この時の測定試料中のFr.3の濃度は、1.2mg/mLである。
NMR測定管中にβ1液0.05mLを加え、NMRスペクトルを測定する操作をさらに3回繰り返した。それぞれのNMRスペクトルの測定時における測定試料中のFr.3の濃度は、2.1mg/mL、2.9mg/mL、4.0mg/mLである。このNMRスペクトルの測定操作を通じて、測定試料中のヘスペリジンの濃度は、1.0mg/mLである。
各測定操作でのケミカルシフト値を比較した。観測可能なグルコース1位、ヘスペレチンA環6位及び8位、B環2位及びメトキシ基由来のシグナルのケミカルシフト変化を図4に示す。
【実施例】
【0071】
図3にヘスペリジンの構造を示す。
図3中、符号10は、ヘスペレチンA環、符号20は、ヘスペレチンB環、符号30は、ヘスペレチンC環を表す。図3中、符号40は、ラムノースを示し、符号50は、グルコースを示す。
【実施例】
【0072】
図4は、縦軸にヘスペリジンのケミカルシフト変化を取り、横軸に測定試料中のFr.3の濃度を取ったグラフである。
図4に示すように、Fr.3の濃度に依存して、(B)成分のヘスペレチン部分のケミカルシフト値が変化した。特にB環のケミカルシフトは、高磁場に大きくシフトし、メトキシ基とA環のシグナルも変化していた。この結果から、水酸基が存在せず最も疎水性が高いヘスペレチンC環付近で、(B)成分が(A)成分に会合していることが確認された。この結果は(A)成分の水への溶解性の向上が、(B)成分との会合によることを示すものである。
【実施例】
【0073】
(実験例2-1)
ヘスペリジン4.0mg(6.56μM)を0.4mLのジメチルスルホキシド-dに溶解し、これに重水3.6mLを加えて、α2液(1.64μM/mL-10%ジメチルスルホキシド)とした。1mLのα2液をNMR測定管に入れスペクトル測定を行った。本例の結果を表3に示す。
【実施例】
【0074】
(実験例2-2)
NMR測定管に、(B)成分であるエピガロカテキンガレート1.5mg(3.28μM)を測り取り、これを1mLのα2液で溶解し、NMRスペクトルを測定した。本例の結果を表3に示す。
下記(I)式は、エピガロカテキンガレートの構造式である。
【実施例】
【0075】
【化1】
JP2014136681A1_000004t.gif
【実施例】
【0076】
(実験例2-3)
NMR測定管に、カフェイン0.6mg(3.09μM)を測り取り、これをα2液1mLに溶解し、NMRスペクトルを測定した。本例の結果を表3に示す。
下記(II)式は、カフェインの構造式である。
【実施例】
【0077】
【化2】
JP2014136681A1_000005t.gif
【実施例】
【0078】
【表3】
JP2014136681A1_000006t.gif
【実施例】
【0079】
表3に示すように、エピガロカテキンガレートを共存させた実験例2-2は、(A)成分のみの実験例2-1に比べて、C環の2位及び3位のシグナルが高磁場に大きくシフトしていた。このことから、水中で、(A)成分のC環の水素がエピガロカテキンガレートの芳香環に近接していることが示された。C環は、水分子が水和する水酸基がないため、ヘスペリジン分子で最も疎水性の高い部分である。この疎水性の高い部分がエピガロカテキンガレートで塞がれることで、(A)成分の疎水性が減弱されて、水溶性が高まるものと考えられる。
(B)成分に換えて、カフェインを加えた実験例2-3においては、ケミカルシフトはほとんど変化していなかった。
【実施例】
【0080】
(実施例3-1)
生茶葉(原料b)30kgを萎凋して、水分量50質量%の原料b19kgを得た。萎凋後の原料b19kgと、スライスした未熟ミカンの青果(原料a)10kgとを混合し揉捻して、混合揉捻物を得た(揉捻操作)。揉捻時間は20分間であり、揉捻温度は35℃であった。本例における発酵時間は、0時間(即ち、発酵操作が施されていない)であった。
混合揉捻物に100℃の空気を30分間当てて、乾燥した(乾燥操作)。
乾燥操作を施した混合揉捻物に50倍量(質量基準)の熱水(90℃)を加え、30分間放置して、水溶性フラボノイド組成物を抽出した。水溶性フラボノイド組成物を抽出した液をエバポレータで濃縮し、その後、凍結乾燥機にて乾燥して、固形の水溶性フラボノイド組成物を得た。
得られた水溶性フラボノイド組成物について、後述する方法で機能性を評価し、その結果を表4に示す。
【実施例】
【0081】
(比較例3-1)
水溶性フラボノイド組成物に換えて、糖転移ヘスペリジン(αGヘスペリジンH(商品名)、27%、株式会社林原)を用いた以外は、実施例3-1と同様にして機能性を評価し、その結果を表4に示す。
【実施例】
【0082】
<機能性の評価>
≪検体の採取≫
実験動物には、5週齢のSD系雄ラット(日本クレア株式会社)を用いた。ラットを温度22±1℃、湿度55±5%RH、12時間明暗サイクル(明期:8~20時)に設定した長崎県立大学動物実験室内で飼育した。動物を馴化させるために、MF固形飼料と蒸留水を自由に摂取させ、7日間の予備飼育を行った。
予備飼育終了後、ラットの体重に群間で差がないように、2群に群分けした。
American Institute of Nutrition(AIN)-76組成に基づくコントロール食に、水溶性フラボノイド組成物を0.5質量%となるように加え、これを一方の群のラットに摂食させた。また、コントロール食に糖転移ヘスペリジンを0.2質量%となるように加え、これを他方の群のラットに摂食させた。
AIN-76の組成(g/kg)は、カゼイン200、コーン油50、コーンスターチ150、セルロース50、ミネラル混合35、ビタミン混合10、DL-メチオニン3、重酒石酸コリン2及びショ糖500である。水溶性フラボノイド組成物又は糖転移ヘスペリジンを添加した分をショ糖500から減じた。
飼育期間中、体重及び摂食量を毎日測定した。4週間の飼育終了後、6時間絶食させ、断頭屠殺した後、血液、肝臓及び白色脂肪組織(腎臓、睾丸及び腸間膜周辺脂肪組織)を採取した。各組織を生理食塩水で洗浄後、質量を測定した。本試験は「長崎県立大学動物実験規程」(長崎県立大学動物実験委員会監修、平成23年12月6日改正)及び「実験動物の飼養及び保管等に関する基準」(昭和55年3月総理府告示第6号)に則って実施した。
【実施例】
【0083】
≪血清コレステロール濃度の測定≫
血清コレステロール濃度は、cholesterol oxidase・3,5-dimethoxy-N-ethyl-N-(2-hydroxy-3-sulfopropyl)-aniline sodium(DAOS)法によるコレステロールE-テストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。血清コレステロール濃度の測定では、キットに付属の標準血清を用い、50、100、200、397.4、592.2mg/dLの標準溶液を作成した。
検体として採取した血液を、25℃で20分間静置した後、4℃、1200xg(3000rpm)で20分間、遠心処理した。遠心処理後、上清の血清を採取した。
試験管に盲検用の蒸留水、標準溶液又は血清を10μLサンプリングし、これに付属の発色試薬を1.5mL加え、攪拌し、ウォーターバスにて37℃で5分間加温した。加温後、盲検を対象として、吸光度計を用いて波長600nmの吸光度を測定し、標準溶液を用いて得られた標準直線の式より、血清コレステロール濃度を算出した。
【実施例】
【0084】
≪肝臓中の中性脂肪濃度の測定≫
肝臓の総脂質は、Folchら(Folch,J.;Lees,M.;Sloane-Stanley,G.H.A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues.J.Biol.Chem.1957,226,497-509)の方法に従って抽出した。摘出したラットの肝臓0.5gをガラスのホモジナイズチューブに入れた。15mLのメタノールを準備し、まず、5~7mLのメタノールを用い、肝臓片が完全に潰れるまでホモジナイズし、ホモジネートを50mLのメスフラスコにロートを用いて移した。残りのメタノールでホモジナイザー及びホモジナイズチューブを洗浄し、メスフラスコに加えた。その後、クロロホルム30mLを用いてホモジナイザーを3回に分けて洗浄しながら、メスフラスコに加えた。ロート及び50mLメスフラスコの内壁はクロロホルム:メタノール=2:1(体積比)の溶媒で容量が約49mLになるまで洗い込んだ。続いて、メスフラスコに軽く栓をして40℃の湯浴で振とうしながら30分間インキュベートし、加温抽出を行った。その後、抽出液を室温まで冷却し、クロロホルム:メタノール=2:1(体積比)の溶媒で50mLに調整した。この抽出液をNo.2のろ紙でろ過し、ろ液を50mLの共栓付メスシリンダーに入れた。ろ液量を記録し、蒸留水9mLを加え、2回、転倒混和した。-4℃で一晩静置して、分離した上層(蒸留水及びメタノール層)を廃棄して、脂質を含む下層(クロロホルム層)を得た。
下層をフラスコに移し、50℃の湯浴上で、ロータリーエバポレータで減圧しながらクロロホルムを吸引除去した。次に、ヘキサンを用いてフラスコ内壁に付着した脂質を25mLのメスフラスコに回収し、フィルアップした。これを肝臓総脂質濃縮液とし、-20℃で保存した。
肝臓中の中性脂肪濃度の測定には、肝臓総脂質濃縮液をヘキサンで10倍量希釈(体積換算)した溶液0.5mLをサンプリングし、窒素乾固したものを供した。乾固されたものに100μLのイソプロピルアルコールを加え、glycerol 3-phosphate oxidase・DAOS法によるトリグリセライドE-テストワコー(和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。測定は「血清コレステロール濃度の測定」と同様に行った。標準溶液による標準曲線より抽出液中の中性脂肪濃度を算出した。
【実施例】
【0085】
【表4】
JP2014136681A1_000007t.gif
【実施例】
【0086】
表4は、白色脂肪組織質量(ラットの体重100g当たりの量)、血清コレステロール濃度(mg/100mL)、肝臓中の中性脂肪濃度(mg/g)を示したものである。
表4に示すように、水溶性フラボノイド組成物を摂食した群(実施例3-1)は、糖転移ヘスペリジンを摂食した群(比較例3-1)に比べ、白色脂肪組織質量、血清コレステロール濃度、肝臓中の中性脂肪濃度が低かった。
【実施例】
【0087】
(実験例3)
上述の実施例1~4と同様の試験を行い、乾燥サンプル100mgあたりのヘスぺリジンの溶出量及び溶出率を求めた。溶出量及び溶出率の計算は以下のように行った。
平均値±標準偏差(n=3)
1)溶出量;乾燥サンプル100mgから溶け出しているヘスペリジンの量
2)溶出率の計算方法
茶生葉に含まれる水分含量75%、青ミカンに含まれる水分含量82%、青ミカン乾燥粉末に含まれるヘスペリジン含量は20.8%
・ミカン10kg:茶30kgの場合
ミカン 10kg×0.18=1.8kg、茶 30kg×0.25=7.5kg より、合計 9.3kg乾燥サンプルが製造できる。全乾燥物に19.35%の青ミカンが含まれる。
よって、乾燥混合ミカン100mgにヘスペリジンが4.02mg含まれている。
・ミカン20kg:茶20kgの場合
ミカン 20kg×0.18=3.6kg、茶 20kg×0.25=5kg より、合計 8.6kg乾燥サンプルが製造できる。全乾燥物に41.9%の青ミカンが含まれる。
よって、乾燥混合ミカン100mgにヘスペリジンが8.72mg含まれている。
【実施例】
【0088】
上述の抽出を行い溶出量と溶出量を求めた結果を、表5(水抽出)、表6(熱湯抽出)、及び表7(60%エタノール抽出)に示す。
【表5】
JP2014136681A1_000008t.gif

【表6】
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【表7】
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【実施例】
【0089】
表5~7に示すように、ミカンと茶とを揉捻した混合揉捻物を用いた例は、総じて高いヘスぺリジンの溶出量及び溶出率を得られた。ヘスペリジンの溶出率は、水抽出に比べて、熱水抽出又は60質量%エタノール抽出の方が高かった。熱水抽出と60質量%エタノール抽出との比較では、短時間では熱湯抽出が、長時間ではエタノール抽出が、若干ながら高い溶出率という傾向が得られた。
【実施例】
【0090】
(実験例4:水溶性フラボノイド組成物の機能性評価)
(実験試料)
乾燥した水溶性フラボノイド組成物の熱水抽出物を凍結乾燥し、粉末にしたものを試料として用いた。20gの水溶性フラボノイド組成物を熱水1L中で抽出、乾燥後、6.38gの粉末が回収された。
【実施例】
【0091】
(動物実験)
動物は4週齢のSD系雄ラット(九動、佐賀)を用いた。ラットを温度22 ± 1℃、湿度55 ± 5%、12時間明暗サイクル(明期:8~20時)に設定した長崎県立大学動物実験室内で飼育した。動物を馴化させるために、MF固形飼料と蒸留水を自由摂取させ1週間の予備飼育を行った。
予備飼育終了後、ラットの体重に群間で差がないように、コントロール群および水溶性フラボノイド組成物群に群分けし、試験食および蒸留水を2週間自由摂取させた。
【実施例】
【0092】
食餌はAmerican Institute of Nutrition (AIN) -93G組成に基づく純化食をコントロール食とした。AIN-93G組成(g/kg)は、カゼイン 200、大豆油70、α-コーンスターチ 132、ショ糖 100、セルロース50、ミネラル混合35、ビタミン混合10、t-ブチルヒドロキノン 0.014、重酒石酸コリン2.5、L-シスチン 3 およびβ-コーンスターチ397.486である。コントロール食に水溶性フラボノイド組成物粉末を食餌総重量の0.75%になるように添加した食餌を水溶性フラボノイド組成物食とし、全量をβ-コーンスターチで調整した。その組成は(g/kg)、水溶性フラボノイド組成物7.5、β-コーンスターチ 389.986、その他の配合はコントロール食と同様に調製した。
【実施例】
【0093】
飼育期間中、体重および摂食量を2日に1回測定した。2週間の飼育終了後、それぞれの群内で平均的な体重のラットの肝臓を細胞培養に用いた。
肝細胞の分離および培養に用いた試薬、調製した溶液、器具および機器はすべて滅菌済みのものを用いた。ラットをペントバルビタールナトリウム(0.1mL / 100g体重)の腹腔内注射により麻酔した後、開腹した。門脈に留置針をカニュレーションして糸で結紮した。次いで、留置針にチューブをつなぎ、37℃の湯浴中で保温された前灌流液をペリスタポンプで流入させた。下部大動脈に予め糸をかけておき、切断・脱血後糸で結紮した。次に、上部大静脈に留置針をカニュレーションして糸で結紮した後チューブをつなぎ、門脈から流入させた前灌流液が肝臓を通り上部大静脈から放血される状態を維持し、約20mL/minの流速で約10分間灌流した。肝臓が完全に脱血されたことを確認した後、37℃の湯浴中で保温されたコラゲナーゼ溶液を同流速にて約10分間再循環方式で灌流した。
【実施例】
【0094】
消化された肝臓を回収し、Hanks水溶液(9.8g/L)を30mL加え、はさみを用いて細分した後、ガーゼ(二重)を用いて遠心チューブへろ過した。ろ液をピペッティングして肝細胞を分散させた後、50×g(600rpm)で1分間遠心分離した。上清を廃棄した後、再びHanks水溶液を加え、沈殿物となった肝細胞をピペッティングにより分散させ、同様に遠心分離および上清破棄を行った。このように、Hanks水溶液による肝細胞の洗浄操作を3回行い、得られた細胞画分を肝実質細胞とした。
【実施例】
【0095】
次にWE培地を30mL加え、ピペッティングにより分散させて細胞懸濁液を調製した。トリパンブルー染色法にて血球計測板を用いて生細胞数をカウントし、生細胞数が5×10cells/mLとなるようにWE培地で希釈した。希釈する際、肝細胞の接着と伸長に必要なFBSを培地中の含有量が10%となるように加えた。コラーゲンコートディッシュ(35mm,6well)に1×10cells/2mL/well播種し、CO‐インキュベータ(37℃,95% O,5% CO、ASTEC、福岡)で3時間前培養した。培地を廃棄し、ディッシュの底面に接着した細胞をPhosphate buffered Saline(PBS)で2回洗浄後、引き続き5% FBS含有培地を用いて24時間前培養し、コンフルエントに達したものを実験に用いた。
【実施例】
【0096】
コンフルエントに達した肝細胞に、脂質合成の基質として[1,2-14C] 酢酸を1.4μCi(1mCi/mmol/dish) 添加した無血清培地に交換し、5時間培養した。培養終了後、培地2mLをすべて回収した。細胞はPBSで2回洗浄した後、ラバーポリスマンを用いてはぎ取り、PBS溶液として回収し、全量を1.5mLとした。培地および細胞溶液は分析に供するまで-80℃で保存した。
【実施例】
【0097】
培地および細胞中の総脂質抽出はFolchらの方法に準じて行った。細胞はPBSでホモジナイズし、全量を2.5mLとした。細胞ホモジネートあるいは培地0.4mLに、脂質画分のキャリアーとしてAIN-93G組成に基づく純化食を2週間摂食させたSD系雄ラットの血清を100μL加えよく混合し、次いでクロロホルム:メタノール=2:1溶液を10mL加えよく混合した後、40℃で30分加温して総脂質を抽出した。20%(v/v)量の水を加えて転倒混和し、上層を破棄した。破棄した上層とほぼ同量の割合のメタノール:水=16:9溶液を6mL加えて転倒混和し、再び上層を破棄した。下層(クロロホルム層)を5mLサンプリングし窒素乾固した後、少量のメタノールを加えて再び窒素乾固することで純化した。クロロホルムを1、2滴加え、毛細管を用いて薄層板(TLC Silica gel 60, 20×20cm, Merck)にプロットした。展開溶媒(hexane : diethylether : acetic acid=80:20:1mL)を満たした展開層に薄層板を入れた。展開終了後、リン脂質(PL)、遊離脂肪酸(FFA)、トリグリセリド(TG)およびコレステロールエステル(CE)画分のバンドは、ヨウ素の蒸気にさらして着色することで確認した後、薄層版から剥ぎ取り、トルエンベースのシンチレーションカクテルを10mL入れたバイアルに回収し、液体シンチレーションカウンターにより、各脂質画分の[14C]放射性活性を測定した。
【実施例】
【0098】
表8に、2週間実験食を摂食したラットの肝臓から分離した細胞および培地における[14C] 酢酸の各脂質画分への取り込みを示す。
【表8】
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【実施例】
【0099】
細胞中への取り込みは、肝臓の細胞での合成を示し、培地への取り込みは、肝臓からの分泌を示している。細胞中のトリグリセリド、リン脂質、コレステロールエステルおよび遊離脂肪酸画分への放射能活性の取り込みは、コントロール群と比較して、水溶性フラボノイド組成物添加群で有意に低値を示し、それぞれ45%、47%、25%、69%低下した。このことから肝臓細胞において、フラボノイド組成物は[14C] 酢酸を基質とする脂質の合成を抑制することが示された。
【実施例】
【0100】
培地中のトリグリセリド画分への放射能活性の取り込みは、コントロール群に比べ水溶性フラボノイド組成物添加群で有意に低値を示した。食餌の違いはリン脂質画分への取り込みに影響しなかった。コレステロールエステル画分への取り込みは、水溶性フラボノイド組成物摂取によって低下傾向を示した。遊離脂肪酸画分への取り込みは水溶性フラボノイド組成物添加群において高値であったが、有意な差は認められなかった。このことから水溶性フラボノイド組成物は、肝細胞内で合成された脂質の培地への分泌を抑制することが示された。
これらの結果から、水溶性フラボノイド組成物は肝臓での脂質の合成と肝臓から血液中への脂質の分泌を抑制することで脂質代謝改善効果を発揮することが明らかとなった。
【実施例】
【0101】
(実験例5:ヘスぺリジン可溶化実験)
(紅茶熱水抽出物の乾燥粉末の調製)
紅茶(2013年に長崎県農林技術開発センター茶業研究室で製造した)およそ40gをワーリングブレンダーで粉砕し,得られた粉末状試料を沸騰水2Lで2分間煮沸後、吸引ろ過を行った。ろ液をエバポレーターで濃縮し、凍結乾燥して紅茶熱水抽出物の乾燥粉末11gを得た。これをHPLCにて分析し,茶カテキンやその他の各種ポリフェノール類のピークを確認した(図5)。
【実施例】
【0102】
HPLC分析条件
カラム:COSMOSIL 5C18-AR-II (4.6×250mm,ナカライ)
カラム温度:35℃
移動相:A;50mMリン酸水溶液,B;アセトニトリル,Bを4%から30%(39分間),30%から75%(15分間),75%から95%(6分間),5%から4%(5分間)
流速:0.8mL/min
検出:フォトダイオードアレイ,検出波長200-550nm
【実施例】
【0103】
(紅茶熱水抽出物の乾燥粉末の分画)
上記のようにして得られた乾燥粉末の9.9gをダイアイオンHP-20SSカラム(5×24cm、三菱化学)を用いたクロマトグラフィーに付し,水から徐々にメタノール濃度を上げ、最後に60%含水アセトンにて溶出させることで、4つの画分(フラクション1-4)に分画した。各画分を減圧濃縮後、凍結乾燥した。フラクション1(3.0g)は主に糖、没食子酸、テオガリンを、フラクション2(1.9g)は主にエピガロカテキン、テアシネンシンB、テアシネンシンC、テアルビジンを、フラクション3(1.7g)は主にエピカテキン、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、テアシネンシンA、フラボノール配糖体、およびテアルビジンを、フラクション4(1.7g)は主にカフェイン、テアフラビンを含むことをシリカゲル薄層クロマトグラフィー(展開溶媒トルエン:ギ酸エチル:ギ酸=1:7:1,検出は紫外吸収および塩化鉄(III) 試薬噴霧)ならびにHPLC分析(フォトダイオードアレイ,検出波長200-550nm)により確認した。
【実施例】
【0104】
(未熟ミカン乾燥粉末からのヘスペリジン溶出に対する紅茶熱水抽出物ならびに各画分の影響)
エッペンドルフチューブ(容量1.5mL)に未熟ミカン乾燥粉末4.0mgを入れ、紅茶熱水抽出物を4、8、16mg、またはそれを分画して得た4つのフラクションを1、2、4、8mg加えた。各チューブに蒸留水1.0mLを加えて懸濁し、湯浴中80℃で10分間加熱した。室温で2時間冷却した後、遠心器(2000×g)で約1分間の遠心分離を行った。上清はメンブランフィルター(0.45μm)でろ過後、ろ液をHPLCで分析し、283nmにおけるヘスペリジンのピーク面積を比較した。
【実施例】
【0105】
HPLC分析条件
カラム:COSMOSIL 5C18-AR-II (4.6×250mm,ナカライ)
カラム温度:35℃
移動相:A;50mMリン酸水溶液,B;アセトニトリル,Bを15%から45%(15分間),45%から90%(3分間),90%で2分間,90%から10%(2分間)
流速:0.8mL/min
検出:283nmにおけるUV吸収
【実施例】
【0106】
結果を図6に示す。何も加えず未熟ミカン乾燥粉末だけを抽出した場合に比べて、紅茶熱水抽出物を加えるとヘスペリジンの溶出量が増加した。抽出物を分画したフラクションのうち、フラクション1はヘスペリジンの溶出にほとんど寄与していないが、他のフラクションは添加量に依存してヘスペリジンの溶出量は増大した。
【実施例】
【0107】
(ヘスペリジン標品の溶解性に対する紅茶熱水抽出物ならびに各画分の影響)
未熟ミカン乾燥粉末の代わりに市販のヘスペリジン(和光純薬)2mgを用い、紅茶熱水抽出物、それを分画して得た4つの画分を加えて前記と同様の操作を行った。ただし、添加量は紅茶熱水抽出物を16mg(未熟ミカン乾燥粉末に対する重量比1:4)とし、分画フラクションについてはそれぞれの収率を考慮してフラクション1を5.7mg、フラクション2を3.6mg、フラクション3を3.3mg、フラクション4を3.4mg加えた。結果を図7に示す。この結果から、テアシネンシンA、エピガロカテキンガレート、エピカテキンガレート、エピカテキン、フラボノール配糖体、およびテアルビジンを含むフラクション3が最もヘスペリジンの溶解に寄与しており、次いでエピガロカテキン、テアシネンシンB、テアシネンシンC、テアルビジンを含むフラクション2の寄与が大きいことが分かる。
【実施例】
【0108】
(紅茶熱水抽出物の各画分の相互作用によるヘスペリジン溶解性への影響)
未熟ミカン乾燥粉末に、紅茶熱水抽出物を分画して得た4つの画分を単独もしくは全てのパターンの組合せ(計15通り)で添加し、上述の操作を行った。添加量は分画前の熱水抽出物を16mg(未熟ミカン乾燥粉末に対する重量比1:4)とし、さらにその中で各画分が占める割合を考慮してフラクション1を5.7mg、フラクション2を3.6mg、フラクション3を3.3mg、フラクション4を3.4mgとした。結果を図8に示す。この結果から、ほとんどの組合せにおいてヘスペリジンの溶解性は相加的に向上することがわかる。ただし、フラクション1はほとんどヘスペリジン溶解に寄与しておらず、フラクション3の寄与が最も大きい。
【実施例】
【0109】
(実験例6:ヘスぺリジンのLC-TOF/MS測定)
ヘスペリジン終濃度1mM及びエピガロカテキンガレート、テアシネンシンA、テアシネンシンB、カフェイン終濃度10mMとなるように、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて各種混合溶液を作製した。これらを37Cで24時間静置した。遠心分離後(10,000×g, 20C, 5min)、回収した上清を10%DMSOで100倍希釈した。これをLC-TOF/MS分析に供した(Injection volume ; 20mL)。
【実施例】
【0110】
<LC-TOF/MS分析条件>
Gradient:0 - 100 % Methanol / 0.1 % Formic acid ( 20 min )
Column:Cosmosil 5C18 - MS - II ( φ2.0 mm × 150 mm )
Column Temperature:40
Sample Injection volume:20 mL
Flow rate:0.2 mL/min
Negative mode, Expert mode
target mass range:100 - 1000 m/z
ESI source:Hexapole RF 400 Vpp, Capillary Exit -130 V
Dry Gas:8.0 L/min
Dry Temperature:200
Nebulizer gas:1.6 Bar
・装置
micrOTOF II - MA1:Bruker Daltonics GmbH
Agilent 1200 series:Agilent Technologies
Nitrogen Generator JAN3-08D-MSF:JAPAN THERMAL ENGINEERING
Compass 1.3 SR1 for micrOTOF:Bruker Daltonics GmbH
micrOTOF 3.0
Hyster 3.2
DataAnalysis 4.0
Target Analysis 4.0
Centrifuge 5417R:eppendorf
【実施例】
【0111】
H-NMR測定)
全てのNMR 測定は、日本電子製 ECS-400 を使用した。サンプルは、ヘスペリジン終濃度1 mM となるように 10% DMSO-dを用いて作製した。内標準物質はDSS-d を用い、内径5 mm のサンプルチューブに液高 4.2 cm となるように添加した。本サンプルをNMR 装置に挿入後、グラジエントシム調整を行い、H-NMR測定 (acquisition points: 16,384; relaxation delay: 15 sec; temperature: 25oC)に供した。得られたヘスペリジンのスペクトルを d ヘスペリジン (ppm)とした。続いて、同サンプルをH-NMR-DOSY測定 (diffusion time: 0.1msec; field gradient pulse: 50-300mT/m; acquisition points: 16,384; receiver gain: 24; relaxation delay: 50sec; temperature: 25 oC; spinner: OFF)に供した。測定終了後、SPLMOD (display range: 1.0-100 ×10-10/sec) を用いて、2D スペクトルを処理した。得られたスペクトルより、拡散係数 Dヘスペリジン (×10-10/sec) を求めた。また、ヘスペリジン終濃度 1mM 及び アシネンシンA 終濃度 10mM となるように、10%DMSO-dを用いてヘスペリジン-テアシネンシンA 混合溶液を作製した。本サンプルに内標準物質DSS-d を添加後、内径5mmのサンプルチューブに液高 4.2cmとなるように添加し、前述と同様にH-NMR 測定及びH-NMR-DOSY 測定を行った。得られたスペクトルより、dヘスペリジン+テアシネンシンA(ppm)及びDヘスペリジン+テアシネンシンA(×10-10/sec) を求めた。ヘスペリジン及び テアシネンシンA を混合したことによる化学シフト値の変化を Delta d = dヘスペリジン - dヘスペリジン+テアシネンシンA、拡散係数の変化を Delta D = Dヘスペリジン - Dヘスペリジン+テアシネンシンAとし算出した。
【実施例】
【0112】
(測定結果)
(1)LC-TOFMS分析によるヘスペリジンの溶解性試験
ヘスペリジンの溶解性試験の結果を図9に示す。本結果より、ヘスペリジン及び テアシネンシンA 1:10 混合時に、溶解度が3倍程度増加することが明らかとなった。
(2) H-NMR測定によるヘスペリジン及び テアシネンシンA の相互作用メカニズムの解明
ヘスペリジンの構造 (図10) 並びにヘスペリジンの化学シフト値 dヘスペリジン(ppm) (表9)を示す。ヘスペリジン及びテアシネンシンA を混合したことによる化学シフト値の変化 (表10)より、ヘスペリジンの疎水性骨格部C環由来プロトンにおいて、顕著な変化 (< -0.2ppm) が観測された。また、ヘスペリジン及びテアシネンシンA を混合したことにより、拡散係数についてDelta D = 1.1×10-10/sec の変化が観測された(表11)。以上のことから、ヘスペリジンは疎水性骨格部C環において、テアシネンシンA と相互作用していることが示唆された。
【実施例】
【0113】
【表9】
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【表10】
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【表11】
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【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の水溶性フラボノイド組成物によれば、容易に調製でき、かつ水への溶解性に優れ、これを含有する飲料、食品及び医薬品を得られる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
9