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明細書 :導電性ナノワイヤーネットワーク並びにこれを利用した導電性基板及び透明電極、並びにそれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 導電性ナノワイヤーネットワーク並びにこれを利用した導電性基板及び透明電極、並びにそれらの製造方法
国際特許分類 H01B   5/02        (2006.01)
H01B   5/14        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
FI H01B 5/02 Z
H01B 5/14 ZNMA
H01B 13/00 503B
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 16
出願番号 特願2015-501477 (P2015-501477)
国際出願番号 PCT/JP2014/053931
国際公開番号 WO2014/129504
国際出願日 平成26年2月19日(2014.2.19)
国際公開日 平成26年8月28日(2014.8.28)
優先権出願番号 2013031003
優先日 平成25年2月20日(2013.2.20)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】坂尻 浩一
【氏名】東 啓介
【氏名】松本 英俊
【氏名】渡辺 順次
【氏名】戸木田 雅利
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】JXエネルギー株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100077517、【弁理士】、【氏名又は名称】石田 敬
【識別番号】100087413、【弁理士】、【氏名又は名称】古賀 哲次
【識別番号】100128495、【弁理士】、【氏名又は名称】出野 知
【識別番号】100102990、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 良博
審査請求 未請求
テーマコード 5G307
5G323
Fターム 5G307FA01
5G307FA02
5G307FB02
5G307FC03
5G323BA01
5G323BB01
5G323BB02
5G323BB03
5G323BB04
5G323BB05
5G323BB06
要約 導電性ナノワイヤーネットワーク並びにこれを利用した導電性基板及び透明電極、並びにそれらの製造方法を提供する。
本発明による導電性ナノワイヤーネットワークは、実質的に途切れのない連続した導電性ナノワイヤーがランダムにネットワーク化していることを特徴とする。また、本発明による導電性ナノワイヤーネットワークの製造方法は、導電層で被覆された基板上にナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用し、該ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去し、次いで該ナノファイバーを除去することを特徴とする。さらに、当該ネットワークの構造(ワイヤー径及びネットワーク密度)を制御することにより、透明性と導電性を兼ね備えた透明電極を得る。
特許請求の範囲 【請求項1】
実質的に途切れのない連続した導電性ナノワイヤーがランダムにネットワーク化していることを特徴とする導電性ナノワイヤーネットワーク。
【請求項2】
該導電性ナノワイヤーがアルミニウムで構成されている、請求項1に記載の導電性ナノワイヤーネットワーク。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の導電性ナノワイヤーネットワークを基板上に担持してなる導電性基板。
【請求項4】
該基板が透明である、請求項3に記載の導電性基板。
【請求項5】
該基板が可撓性樹脂基板である、請求項3又は4に記載の導電性基板。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の導電性基板を含む透明電極。
【請求項7】
導電層で被覆された基板上にナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用し、該ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去し、次いで該ナノファイバーを除去することを特徴とする、導電性ナノワイヤーネットワークの製造方法。
【請求項8】
導電層で被覆された透明基板上にナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用し、該ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去し、次いで該ナノファイバーを除去することを特徴とする、導電性ナノワイヤーネットワークを担持した透明電極の製造方法。
【請求項9】
導電層で被覆された基板上又は透明基板上にナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用するに際して電界紡糸法を用いる、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
導電層で被覆された基板上又は透明基板上にナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用した後、該ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去する前に、該基板に熱処理を施す、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノファイバーを利用した導電性ナノワイヤーネットワークに関する。また、本発明は、電子デバイスに好適に使用できる当該導電性ナノワイヤーネットワークを利用した導電性基板及び透明電極に関する。さらに、本発明は、このような導電性ナノワイヤーネットワーク、導電性基板及び透明電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薄型テレビ、携帯電話、スマートフォン、タブレット等の表示装置やタッチパネル、太陽電池、エレクトロルミネッセンス素子、電磁シールド、機能性ガラス等において、透明電極は必須の要素となっている。これらの電子デバイスに用いられる透明電極の導電性材料として、酸化インジウムスズ(以下、ITOと略す)が主流となっている。
【0003】
しかしながらITOの原料であるインジウムは希少金属であることから、将来の供給に不安を抱えている。また、ITO膜を作製するためのスパッタリング等の工程の低生産性により低コスト化が困難であり、ITO代替材料が求められている。
【0004】
近年、ITO代替の新たな透明導電材料として、例えば、特許文献1には金属系ナノワイヤー材料を含む導電層をパターン化した透明導電体とその製造方法が提案されている。また、カーボンナノチューブや導電性高分子等の繊維状導電性物質を含有する透明導電層を有する透明導電膜が検討されており、例えば、特許文献2に記載されている。
【0005】
これらは従来のITO膜に代替し得る高い透明性と低い電気抵抗を示すが、金属系ナノワイヤーやカーボンナノチューブ等の繊維状導電性物質を用いた透明導電層を有する透明導電膜では、繊維状導電性物質が有限の長さをもつ棒状の形態であるため、製造工程で繊維状導電性物質が一定の方向に配列し易く、このため透明導電膜の電気特性や光学特性に異方性が生じ易い。その結果として透明導電膜の場所や方向によって、電気特性や光学特性が異なり、品質管理上の難しさに加え、視認性に問題が起こり得るという課題が残されている。さらに、長さが有限であるため、繊維状導電性物質間の接点が少なく、すなわち導電パスが少なく、繊維状導電性物質の電気特性を十分に発揮させることができない。
【0006】
特許文献1及び2に代表される透明導電膜における特性の異方性を解消するため、規則的な導電性金属のメッシュパターンを形成することによって透明導電膜の特性に異方性が生じないようにした透明導電膜が検討されている(特許文献3)。しかしながら、導電性金属のメッシュパターンが規則的であるため、モアレが生じ易いという本質的問題を抱える。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2009-505358号公報
【特許文献2】特開2011-168421号公報
【特許文献3】特開2006-352073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を一挙に解決し、電子デバイスに好適に使用できる導電性ナノワイヤーネットワーク並びに当該導電性ナノワイヤーネットワークを利用した導電性基板及び透明電極を簡易なプロセスで低コストに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、導電層で被覆された基板上に実質的に途切れのない連続したナノファイバーをランダムなネットワーク状に適用し、該ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去した後、該ナノファイバーを除去することにより、ネットワーク状の導電体、すなわち、実質的に途切れのない連続した導電性ナノワイヤーがランダムにネットワーク化している導電性ナノワイヤーネットワークを得るとともに、当該ネットワークの構造(ワイヤー径及びネットワーク密度)を制御することにより、透明性と導電性を兼ね備えた透明電極が得られることを見出し、本発明を完成するに到った。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、実質的に途切れのない連続したナノファイバーのランダムなネットワークを利用しているので、得られる導電性ナノワイヤーネットワークは等方的であり、当該導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極は安定した物性値を示し、かつ、モアレを生じさせることがない。また従来の長さに制限がある(有限の長さをもつ)ナノワイヤーと比べて、本発明によるナノワイヤーはワイヤー間の接点が多く、電気抵抗が低いネットワークが得られる。そのため、同等の導電性を達成するのに要するナノワイヤーの量(すなわちネットワークの密度)を低減することができ、その結果より高い透明性を達成することができる。従って、電子デバイスに好適に使用できる導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極を提供することができる。しかも、簡易なプロセスで汎用的な高分子材料をナノファイバー原料とすることができるため低コストである。加えて、本発明の透明電極は、折り曲げ耐性に優れる基材を使用することができるので、例えば、タッチパネル用透明導電膜、電子ペーパー用透明電極、フレキシブル薄膜太陽電池用透明電極、フレキシブルディスプレイ用透明電極などの折り曲げ耐性が求められるフレキシブル電子デバイスに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による導電性ナノワイヤーネットワークの顕微鏡写真の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。

(導電性ナノワイヤーネットワーク)
本発明の導電性ナノワイヤーネットワークは、実質的に途切れのない連続した導電性のナノワイヤーがランダムにネットワーク(網目)化した導電体である。本明細書において「導電体」という場合、導電性ナノワイヤーネットワーク自体のみならず、これを担持する基板等も包括している。本発明の導電性ナノワイヤーネットワークにおいて、実質的に途切れのない連続したナノワイヤーがランダムにネットワーク化している形態とは、特定の図形や、特定の図形の組み合わせから構成される、例えば三角形、四角形、六角形等のn角形、円、楕円等、又はそれらの組み合わせによる格子模様等、一定の規則性を示すネットワーク(網目)を含まないことを意味する。もっとも、本発明の導電性ナノワイヤーネットワークは、全体として不規則な形状であればよく、その所期の効果を奏する限りにおいて、局所的に偶然生じる規則的形状の網目の存在を除外するものではない。本発明の導電性ナノワイヤーネットワークは、一例として、導電層で被覆された基板上に適当な手段でネットワーク状のナノファイバーを適用し、ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去した後、ネットワーク状ナノファイバーを除去することにより得ることができる。従来の金属系ナノワイヤーやカーボンナノチューブ等の繊維状導電性物質の長さは有限であるため、これらを用いた透明導電層を有する透明導電膜では、製造工程で繊維状導電性物質が一定の方向に配列し易く、透明導電膜の電気特性や光学特性に異方性が生じ得るという課題が残されているが、本発明の導電性ナノワイヤーネットワークは、実質的に途切れのない連続したランダムな網目状の導電体を構成するため、実質的に異方性がなく、かつ、網目に規則性がないため、実質的にモアレを生じない。またネットワーク(網目)の密度を容易に制御することができ、具体的用途に応じた良好な光透過率と導電性を両立することができる。本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを形成するナノファイバーは、連続した1本のナノファイバーであってもよいし、独立した複数のナノファイバーであってもよい。いずれにしても、各ナノファイバーは、基板上にランダムに適用された際にワイヤー間に多数の接点が生じるに十分な長さを有することが重要である。

【0013】
上記導電層としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、クロム、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、アルミニウムなどの金属やこれらの金属の合金、またはITO、インジウムガリウム亜鉛酸塩酸化物(IGZO)、チタン、酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化バナジウム,酸化インジウム,酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化バナジウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物や窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化アルミニウムなどの金属窒化物に例示される金属化合物が挙げられるが、本発明の導電性ナノワイヤーネットワークの導電層としてはこれらに制限されることなく、いかなる導電性物質にも適応することができる。また本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極を提供する上では、導電性の観点から銅、銀、アルミニウム、酸化インジウムスズが好ましく、またフレキシブル透明電極(透明導電膜)を提供する上では、アルミニウム、銅等の金属又は合金が好ましく、さらに軽量さと低価格の観点からアルミニウムがより好ましい。

【0014】
導電層の基板としては、樹脂やガラスなどを挙げることができるが、後述する導電層除去工程で損なわれない限り特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等については公知のものの中から適宜選択することができる。樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、液晶性芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレートやポリエチルアクリレートなどのポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートやポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、シクロオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリノルボルネン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリウレタン、エポキシ樹脂、トリアセチルセルロースなどの糖系高分子、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有高分子、ポリシロキサンやポリシルセスキオキサンやポリシラン等のシリコン含有高分子、ポリフォスファゼン等のリン含有高分子、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体あるいはこれらの物質の共重合体または混合物が挙げられる。ここで、共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含むいかなる共重合体でもよく、これらは2種類以上の複数成分から構成されていてもよい。さらにガラスとしては、通常のソーダガラスなどを用いることができる。加えて、樹脂とガラスを組み合わせた基板、2種類以上の樹脂を積層した基板などの複合基板であってもよい。基板の種類は上述した例に限定されることなく、用途に応じて透明性、耐久性、コスト等から最適なものを選ぶことができ、基板の厚みは、透明電極としての機能を考慮すると、1μm以上2000μm以下が好ましい。また本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極のうち、特にフレキシブル透明電極(透明導電膜)を提供する上では、透明性、寸法安定性、厚みの均一性、強度、耐熱性、耐薬品性、耐水性等の性質からポリエステルが好ましい例として挙げられるが、これに制限されることなく用途に応じて適宜選択することができる。この場合、基板の厚みとしては、透明性に加えて、基板の可撓性又は柔軟性を考慮する必要があり、1μm以上500μm以下が好ましいが、用途に依存するため、この範囲に限定されるものではない。

【0015】
上記導電層で被覆された基板の作製方法、すなわち基板の導電性物質による被覆方法としては、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等の物理的作製法、スプレー法、ディップ法、CVD法等の化学的作製法やめっきなどが挙げられるが、被覆する導電性物質に適した、均一に被覆することができれば、いかなる方法でもよい。導電層の厚みとしては、用途に応じて最適な厚みを設定することができ、被覆する導電層の抵抗値などに依存するが、1nm以上500nm以下の厚みが好ましい。

【0016】
導電層で被覆された基板上に適用するナノファイバーとしては、途切れることなく連続したネットワーク状に適用することができれば、いかなる種類のナノファイバーであってもよい。ただし、先に一例として挙げた導電性ナノワイヤーネットワークの製造方法においては、導電性ナノワイヤーネットワークを得るための最終工程でナノファイバーを溶媒などで除去する必要があるため、基板に用いる材料とは異なる材料のナノファイバーを使用することにはなる。使用できるナノファイバーとしては、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、液晶性芳香族ポリエステル、液晶性全芳香族ポリエステル、ポリカーボネート、ポリメチルアクリレートやポリエチルアクリレートなどのポリアクリル酸エステル、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートやポリヒドロキシエチルメタクリレートなどのポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、シクロオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ乳酸、脂肪族ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリノルボルネン、ポリスルホン、ポリスルフィド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリアセチレンやポリピロールやポリチオフェンなどの導電性高分子、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、酢酸セルロース、硝酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キチン・キトサン等の糖系高分子、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の親水性高分子、ポリベンジルグルタメート等のポリペプチド、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有高分子、ポリシロキサンやポリシルセスキオキサンやポリシラン等のシリコン含有高分子、ポリフォスファゼン等のリン含有高分子、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体あるいはこれらの物質の共重合体または混合物が挙げられる。ここで、共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体を含むいかなる共重合体でもよく、これらは2種類以上の複数成分から構成されていてもよい。さらに例えばトリカルボキサミドなどの低分子化合物で非共有結合相互作用により自己集合する超分子化合物から得られる超分子繊維をナノファイバーとして使用することもできる。

【0017】
導電層で被覆された基板上へのナノファイバーの適用方法としては、電界紡糸法、コンジュゲート溶融紡糸法、メルトブロー法等の紡糸方法により直接的に堆積させる方法、予め適当な方法で紡糸されたナノファイバーを基板上に散布する方法、予めネットワーク状に編まれたナノファイバーを基板上に付着させる方法、ネットワークを形成する高分子や超分子のゲルなどを基板上にスピンコートする方法が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、導電層で被覆された基盤に損傷を与えない限り、任意の適用方法を採用することができる。特に、常温で紡糸が可能であり、ナノファイバーの直径やネットワークの密度を制御し易い電界紡糸法が好ましい。電界紡糸法によるナノファイバーの直径・密度の制御方法としては、紡糸液の粘度、電気伝導度、表面張力、溶媒沸点などの溶液物性と、印加電圧、ノズル-基板間距離、溶液供給速度などプロセス条件を調節することによって、ナノファイバーの直径を制御することができる。これらの制御因子のうち、特に紡糸液の粘度と電気伝導度の調整が汎用的な制御方法として利用されている。具体的には、紡糸液粘度は、紡糸液中に含まれる溶質分子(高分子またはゾル・ゲル前駆体)の分子量、濃度、および紡糸液の温度の調整により制御することができ、また紡糸液の電気伝導度は、紡糸液中への電解質の添加により制御することができる。一般に、紡糸液に含まれる溶質分子が高分子量かつ低濃度であるほど、また紡糸液の電気伝導度が高電場下での帯電誘起を妨げない範囲において大きい程、ナノファイバーの直径を細くすることができる。溶質分子の分子量および濃度については均一な紡糸液の調製が可能であれば、適宜用途に応じて選択することができる。また電解質としては、ピリジン、酢酸、アミン等の有機溶媒やリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、炭酸塩などの無機塩が挙げられる。均一な紡糸液の調製が可能であればこれらに制限はない。ナノファイバーの密度は、電界紡糸時間を制御することにより容易に行うことができる。ナノファイバーの密度は電界紡糸時間とともに高くなるが、電界紡糸時間は使用する電界紡糸溶液の種類や濃度、さらに装置に依存するため、一概にはいえないが、特別に制限されることはなく、用途に応じて適宜選択することができる。

【0018】
導電層で被覆された基板上へ適用するナノファイバーの直径としては、導電層の抵抗値や用途に依存するが、平均直径として5000nm以下が好ましく、光散乱による透明性の低下が特に懸念される場合においては、2000nm以下がより好ましく、さらに1000nm以下が特に好ましい。

【0019】
適用されたナノファイバーは、導電層のマスクとして機能させるため、導電層と密着させる必要がある。この密着が不十分であると、得られる導電性ナノワイヤーネットワークに断線等の欠陥が生じ、導電性が低下する恐れがある。適用されたナノファイバーの導電層に対する密着性を高める方法としては、例えばナノファイバーのガラス転移温度以上で熱処理することが効果的である。熱処理温度や熱処理時間は、基板及びナノファイバーの熱特性や粘度に依存するが、例えば、200℃で1分以上行うことが好ましく、熱変性を防ぐ観点から200分以下が好ましい。

【0020】
ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去する方法としては、導電層を形成する導電性物質の特性に依存するが、例えば、塩酸、硝酸などの酸性水溶液、または水酸化ナトリウムや水酸化カリウム水溶液に浸漬し、導電性物質をイオン化あるいは錯イオン化させることなどにより上記水溶液中に溶解させる湿式法が挙げられる。浸漬時間や温度などは使用する上記の水溶液の種類や濃度及び溶解させる導電層の種類や厚みに応じて適宜選択することができ、必要に応じて、有機系ガスやハロゲン系ガスを使用した乾式法によって代えることができる。

【0021】
ナノファイバーで被覆されていない導電層領域を除去した後は、導電性物質がイオン化あるいは錯イオン化した化合物や水溶液中に含まれている溶質などの不純物を除くために、ナノファイバーで被覆された導電性ネットワークを含む基板を水などで十分に洗浄することが好ましい。

【0022】
次いで、ネットワーク状ナノファイバーを除去することにより、ネットワーク状ナノファイバーのランダムな軌跡を反映した導電性ナノワイヤーネットワークを得ることができる。ネットワーク状ナノファイバーを除去する方法としては、使用しているナノファイバーの溶解性及び基板と導電層の溶解性を適宜考慮し適当な溶媒を選択する必要がある。すなわちナノファイバーを溶解することができる溶媒で、且つ基板及び導電層を溶解しない溶媒を適宜選択し、ナノファイバーの溶解除去を行う。

【0023】
(導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極)
本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極は、前記導電性ナノワイヤーネットワークの密度などを用途に応じて最適化することによって得られ、ガラスなどの剛性基板を使用した透明電極及び樹脂などの柔軟性基板を使用した透明電極(透明導電膜)である。透明電極として好適に使用するためには、用途に依存するが、可視光領域(約400nm~700nm)の光透過率が50%以上、より好ましくは70%以上の透明性を有するものであることが好ましい。また表面電気抵抗率としては、用途に依存するが、1000Ω/□以下、より好ましくは500Ω/□以下であることが好ましい。本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極は、例えば前記で示したような基板、導電層、ナノファイバーを多種多様な組み合わせで得られるため、個々の条件を限定することはできないが、透明電極としての機能を失わない範囲で、基板の種類と厚み、導電層の種類と厚み、ナノファイバーの直径とネットワークの密度などを適宜設定することにより、好適に使用することができる。また、本発明の導電性ナノワイヤーネットワークを利用した透明電極は、網目に規則性がないため実質的にモアレを生じない。
【実施例】
【0024】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲で適宜種々の変更を行うことができる。また、各実施例における導電性ナノワイヤーネットワークの諸物性値を以下に記載の方法により測定した。
【実施例】
【0025】
<平均直径>
直径を走査型電子顕微鏡(JEOL社製JCM-5700)を用いて、ランダムに50箇所測定し、平均値を算出した。
【実施例】
【0026】
<透過率>
400nmから700nmの透過率を可視紫外分光光度計(日本分光社製V-570)を用いて測定した。基板として使用した樹脂フィルムをバックグラウンドとして差し引き、550nmにおける透過率を導電性ナノワイヤーネットワークの透過率とした。
【実施例】
【0027】
<表面抵抗率>
透明導電膜を、5cm四方に切り出し測定用試料とした。ランダムに10箇所を選び、4探針法抵抗率計(三菱化学社製ロレスタEP MCP-T360型)を用いて、4探針プローブを押し当て表面抵抗率を測定し、10箇所の平均を表面抵抗率とした。
【実施例】
【0028】
実施例1
導電層として厚さ100nmのアルミニウムで被覆された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートを基板として用い、1mL容量のシリンジを用い、電極間距離10cm、電位差15kV、送液速度3.33μL/分で電界紡糸法(直流高圧電源:松定プレシジョンHAR-100P 0.3、シリンジポンプ:ミナトコンセプトMCIP-III)により、ポリメタクリル酸メチル(重量平均分子量9万1500)(和光純薬製)のナノファイバーを基板上に5秒間堆積させた。得られたファイバーの平均繊維径は600nmであった。ここで、ポリメタクリル酸メチルの電界紡糸用溶液として、濃度25wt%のDMF(N’,N’-ジメチルホルムアミド)(和光純薬製)溶液を使用した。次に、ナノファイバーが堆積したアルミニウム導電層を含むポリエチレンテレフタレート基板を200℃で1分熱処理を行い、ナノファイバーをアルミニウム導電層に密着させた。その結果、平均繊維径は1200nmに増大した。その後、ナノファイバーが堆積したアルミニウム導電層を含むポリエチレンテレフタレート基板を、常温で1M水酸化カリウム水溶液に2分間浸漬し、ナノファイバーで覆われていないアルミニウム部分を溶解除去し、水で洗浄した。最後に、ナノファイバーをアセトンで溶解除去し、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワーク(平均幅:1150nm)を得た。透明電極としての評価を行った結果、透過率は78%、表面抵抗率は51Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0029】
実施例2
実施例1と同様のアルミニウムを導電層とするポリエチレンテレフタレートを基板として用い、1mL容量のシリンジを用い、電極間距離15cm、電位差4.5kV、送液速度5μL/分で電界紡糸法により、ポリスチレン(重量平均分子量2300万)のナノファイバーを基板上に3分間堆積させた。得られたファイバーの平均繊維径は300nmであった。ここで、ポリスチレンの電界紡糸用溶液として、濃度0.20wt%のDMF/テトラヒドロフラン(質量比1対1)溶液を使用した。次に、ナノファイバーが堆積したアルミニウム導電層を含むポリエチレンテレフタレート基板を200℃で30分熱処理を行い、ナノファイバーをアルミニウム導電層に密着させた。その結果、平均繊維径は600nmに増大した。その後、ナノファイバーが堆積したアルミニウム導電層を含むポリエチレンテレフタレート基板を、常温で1M水酸化ナトリウム水溶液に3分間浸漬し、ナノファイバーで覆われていないアルミニウム部分を溶解除去し、水で洗浄した。最後に、ナノファイバーをクロロホルムで溶解除去し、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワーク(平均幅:600nm)を得た。透明電極としての評価を行った結果、透過率は80%、表面抵抗率は62Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0030】
実施例3
実施例2と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、ポリスチレンの濃度を0.25wt%とした。また、得られたファイバーの平均繊維径は300nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は600nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は76%、表面抵抗率は45Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
得られた導電性ナノワイヤーネットワークの顕微鏡写真を図1に示す。途切れのない連続したナノファイバーがランダムにネットワーク(網目)化している形態が見て取れる。
【実施例】
【0031】
実施例4
実施例3と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、電界紡糸法によるナノファイバーの堆積時間を1分とした。得られたファイバーの平均繊維径は300nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は600nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は93%、表面抵抗率は125Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0032】
実施例5
実施例3と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、電界紡糸法によるナノファイバーの堆積時間を5分とした。得られたファイバーの平均繊維径は300nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は600nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は68%、表面抵抗率は24Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0033】
実施例6
実施例2と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、ポリスチレンの濃度を0.98wt%とした。また、得られたファイバーの平均繊維径は750nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの幅は1500nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は35%、表面抵抗率は6Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0034】
実施例7
実施例6と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、電界紡糸法によるナノファイバーの堆積時間を1分とした。得られたファイバーの平均繊維径は750nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は1500nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は64%、表面抵抗率は27Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0035】
実施例8
実施例6と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、電界紡糸法によるナノファイバーの堆積時間を0.5分とした。得られたファイバーの平均繊維径は750nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は1500nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は77%、表面抵抗率は76Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0036】
実施例9
実施例2と同様に行い、途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを得た。但し、電界紡糸法によるナノファイバーの堆積時間を2分とした。またポリスチレンの電界紡糸用溶液として、濃度0.05wt%のDMF/テトラヒドロフラン(質量比1対3)溶液を使用した。さらに熱処理温度を160℃とした。得られたファイバーの平均繊維径は170nmであった。熱処理後のファイバーの平均繊維径とナノワイヤーの平均幅は300nmであった。透明電極としての評価を行った結果、透過率は84%、表面抵抗率は109Ω/□であった。また、得られた導電性ナノワイヤーネットワークは、ポリエチレンテレフタレート基板の可撓性に追従するフレキシビリティを示した。さらに、得られた透明電極において知覚できるモアレは生じなかった。
【実施例】
【0037】
以上の実施例の結果が示すように、従来にない途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークを発明したと同時にこれを利用したものが透明電極として有用であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、従来に例がない途切れのない連続したランダムな導電性ナノワイヤーネットワークと該導電性ナノワイヤーネットワークを利用した導電性基板及び透明電極を簡易なプロセスで低コストに提供するものであり、表示装置やタッチパネルなどの電子デバイスに好適に使用することができる。また特に折り曲げ耐性が求められるフレキシブル電子デバイスに極めて有用である。
図面
【図1】
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