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明細書 :[18F]Fまたは蛍光色素で標識されたPEG化生物活性物質の製造方法、ならびにその体内動態解析

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 [18F]Fまたは蛍光色素で標識されたPEG化生物活性物質の製造方法、ならびにその体内動態解析
国際特許分類 C08G  65/333       (2006.01)
C07D 403/06        (2006.01)
C07D 487/04        (2006.01)
A61K  49/00        (2006.01)
A61K  51/00        (2006.01)
FI C08G 65/333
C07D 403/06 CSP
C07D 487/04 150
A61K 49/00
A61K 49/02
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 46
出願番号 特願2015-508736 (P2015-508736)
国際出願番号 PCT/JP2014/059034
国際公開番号 WO2014/157584
国際出願日 平成26年3月27日(2014.3.27)
国際公開日 平成26年10月2日(2014.10.2)
優先権出願番号 2013070277
優先日 平成25年3月28日(2013.3.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】赤井 周司
【氏名】奥 直人
出願人 【識別番号】507219686
【氏名又は名称】静岡県公立大学法人
個別代理人の代理人 【識別番号】100093230、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 利夫
審査請求 未請求
テーマコード 4C050
4C063
4C085
4J005
Fターム 4C050AA01
4C050AA07
4C050BB10
4C050CC06
4C050EE04
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C063AA01
4C063BB04
4C063CC20
4C063DD04
4C063EE10
4C085HH03
4C085HH11
4C085KA27
4C085KA29
4C085KB20
4C085KB56
4J005AA04
4J005AA14
4J005BD05
4J005BD06
要約 非侵襲的に高感度・リアルタイムで薬物の時空間的な体内動態の定量化を可能とする新規な技術手段を提供する。
次式(I-a)および(I-b):
【化19】
JP2014157584A1_000070t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、Rb1~Rb10は水素原子等、Rc1は水素原子等を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1は2価のC1~C12炭化水素基等、Rd2は2価のC1~C6炭化水素基等、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基、Zは蛍光色素を含む1価の基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる[18F]F標識または蛍光標識PEG化生物活性物質。
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I-a):
【化1】
JP2014157584A1_000052t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。Ra1は-N3-の3つの窒素原子のうち両端のいずれか一方の窒素原子に結合している。)で表わされる、[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質。
【請求項2】
請求項1に記載のPEG化生物活性物質を製造する方法であって、次式(II-a):
【化2】
JP2014157584A1_000053t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる[18F]フルオロPEG化合物と、次式(III):
【化3】
JP2014157584A1_000054t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はC1~C12炭化水素基または2価のC1~C12アミド基またはカルバミン酸エステル基含有炭化水素基、Rd2は2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に反応させ、前記式(I-a)で表わされるPEG化生物活性物質を合成することを特徴とする、[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質の製造方法。
【請求項3】
次式(I-b):
【化4】
JP2014157584A1_000055t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基、Zは蛍光色素を含む1価の基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。Ra1は-N3-の3つの窒素原子のうち両端のいずれか一方の窒素原子に結合している。)で表わされる、蛍光標識されたPEG化生物活性物質。
【請求項4】
請求項3に記載のPEG化生物活性物質を製造する方法であって、次式(II-b):
【化5】
JP2014157584A1_000056t.gif
(式中、Zは蛍光色素を含む1価の基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる蛍光色素含有PEG化合物と、次式(III):
【化6】
JP2014157584A1_000057t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に反応させ、前記式(I-b)で表わされるPEG化生物活性物質を合成することを特徴とする、蛍光標識されたPEG化生物活性物質の製造方法。
【請求項5】
次式(II-a’):
【化7】
JP2014157584A1_000058t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表されるデオキシフルオロPEG化合物。
【請求項6】
式(II-a’)のFが、18Fである請求項5に記載のデオキシフルオロPEG化合物。
【請求項7】
次式(II-b):
【化8】
JP2014157584A1_000059t.gif
(式中、Zは蛍光色素を含む1価の基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される蛍光色素含有PEG化合物。
【請求項8】
次式(II-c):
【化9】
JP2014157584A1_000060t.gif
(式中、Rh1はハロゲン原子で置換されていてもよい1価のC1~C12炭化水素基、またはヘテロ原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよいC1~C4有機基で置換されていてもよいフェニル基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表されるスルホニル化PEG化合物。
【請求項9】
請求項8に記載のスルホニル化PEG化合物の製造方法であって、次式(II-c-1):
【化10】
JP2014157584A1_000061t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる化合物と、ジアゾ転送試薬のスルホニルアジド化合物とを溶媒中で反応させて次式(II-c-2):
【化11】
JP2014157584A1_000062t.gif
(式中、Ra1およびnは前記と同義である。)を合成し、次いで得られた式(II-c-2)で表わされる化合物と、スルホニル化試薬とを溶媒中で反応させて前記式(II-c)で表わされるスルホニル化PEG化合物を合成することを特徴とするスルホニル化PEG化合物の製造方法。
【請求項10】
請求項6に記載のデオキシフルオロPEG化合物の製造方法であって、次式(II-c):
【化12】
JP2014157584A1_000063t.gif
(式中、Rh1はハロゲン原子で置換されていてもよい1価のC1~C12炭化水素基、またはヘテロ原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよいC1~C4有機基で置換されていてもよいフェニル基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表されるスルホニル化PEG化合物と、[18F]標識フッ素化試薬とを溶媒中で反応させて、[18F]で標識された前記式(II-a’)で表わされるデオキシフルオロPEG化合物を合成することを特徴とするデオキシフルオロPEG化合物の製造方法。
【請求項11】
請求項7に記載の蛍光色素含有PEG化合物の製造方法であって、次式(II-b-1):
【化13】
JP2014157584A1_000064t.gif
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される化合物と、この式(II-b-1)で表される化合物のアミノ基と反応する官能基を有する蛍光色素とを反応させて、前記式(II-b)で表される蛍光色素含有PEG化合物を合成することを特徴とする蛍光色素含有PEG化合物の製造方法。
【請求項12】
次式(III):
【化14】
JP2014157584A1_000065t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物。
【請求項13】
次式(III-1):
【化15】
JP2014157584A1_000066t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物。
【請求項14】
請求項13に記載の環状アセチレン化合物の製造方法であって、次式(III-1-1):
【化16】
JP2014157584A1_000067t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Re1は2価のC1~C5炭化水素基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物と、次式(III-1-2):
【化17】
JP2014157584A1_000068t.gif
(式中、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc3はC1~C8炭化水素基または-Rd3(OCH2CH2)mRd4-(Rd3は2価のC1~C8炭化水素基またはOCH2CH2、Rd4はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、ORc4は前記(III-1)で表される蛍光色素含有PEG化合物のアミノ基との反応により脱離する脱離基を示す。)で表わされるマレイミド化合物とを反応させて、前記式(III-1)で表される蛍光色素含有PEG化合物を合成することを特徴とする環状アセチレン化合物の製造方法。
【請求項15】
請求項12に記載の環状アセチレン化合物の製造方法であって、次式(III-1):
【化18】
JP2014157584A1_000069t.gif
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物と、この式(III-1)で表される環状アセチレン化合物のマレイミド基と反応する官能基を有する生物活性物質とを反応させて、前記式(III)で表される環状アセチレン化合物を合成することを特徴とする環状アセチレン化合物の製造方法。
【請求項16】
請求項1に記載の[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質の体内動態をポジトロン断層法(PET)によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析する方法。
【請求項17】
請求項3に記載の蛍光標識されたPEG化生物活性物質の体内動態を蛍光検出法によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、PEG化生物活性物質の体内動態の解析等のために、生物活性物質をPEG化する技術と[18F]Fや蛍光色素によって標識する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質性医薬品に長鎖ポリエチレングリコール(PEG, 分子量5,000~40,000程度)を結合すると薬効の持続、副作用の軽減などが期待できるため、PEG化は創薬研究で活発に利用されている。すでに、PEG化インターフェロンα(C型肝炎治療薬)やPEG化エリスロポエチン(腎性貧血治療薬)などが市販され、また、低分子の医薬品候補化合物のPEG化研究も盛んに行われている。
【0003】
一方、2008年に厚労省から「マイクロドーズ臨床試験」の実施ガイダンスが発表された。これは、医薬品開発の効率化と安全性向上を目指すために、臨床開発の初期段階で、ヒトにおいて薬理作用を発現すると推定される投与量の1/100を超えない用量または100μgのいずれか少ない用量の被験物質を、健康な被験者に単回投与することにより、その薬物動態に関する情報を得る試験である。そのために、非侵襲的に高感度・リアルタイムで薬物の時空間的な体内動態を定量化する技術が必要となる。
【0004】
このような時代の要請に応えるべく、本発明者らは数年前より[18F]Fで標識した新規なPEG化合物を創製し、体内動態解析への応用研究を行ってきた。すなわち、[18F]Fで標識した新規なPEG含有低分子化合物(分子量360)を創製した。これによってリポソームをラベル化し、ラットにおける体内動態をポジトロン断層法(PET)によって可視化/定量化する新技術を開発した(特許文献1、非特許文献1)。
【0005】
また[18F]Fで標識した長鎖PEG(分子量2,000と10,000)を合成した。この長鎖PEGを用い、ラットにおけるPEG自身の体内動態を、PETを用いて可視化/定量化することに成功した(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許第4989241号(平成24年5月11日登録)
【0007】

【非特許文献1】J. Med. Chem. 2007, 50, 6454-6457.
【非特許文献2】Mol. Pharmaceutics 2011, 8, 302-308.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の技術では[18F]FをPEGに導入する工程を80~120℃で行ってきたが、この加熱条件をPEG化ペプチドに適用するとペプチドが変成してしまう。更に、[18F]Fの半減期が110分であるために、[18F]F標識化は迅速に行う必要がある。
【0009】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、非侵襲的に高感度・リアルタイムでPEG化生物活性物質の時空間的な体内動態の可視化/定量化を可能とする新規な技術手段を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は以下のことを特徴としている。
【0011】
本発明の[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質は、次式(I-a):
【0012】
【化1】
JP2014157584A1_000003t.gif

【0013】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。Ra1は-N3-の3つの窒素原子のうち両端のいずれか一方の窒素原子に結合している。)で表わされる。
【0014】
本発明の[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質の製造方法は、前記式(I-a)で表わされるPEG化生物活性物質を製造する方法であって、次式(II-a):
【0015】
【化2】
JP2014157584A1_000004t.gif

【0016】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる[18F]フルオロPEG化合物と、次式(III):
【0017】
【化3】
JP2014157584A1_000005t.gif

【0018】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよいC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に結合(Huisgen反応)させ、前記式(I-a)で表わされるPEG化生物活性物質を合成することを特徴とする。
【0019】
本発明の蛍光標識されたPEG化生物活性物質は、次式(I-b):
【0020】
【化4】
JP2014157584A1_000006t.gif

【0021】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基、Zは蛍光色素を含む1価の基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。Ra1は-N3-の3つの窒素原子のうち両端のいずれか一方の窒素原子に結合している。)で表わされる。
【0022】
本発明の蛍光標識されたPEG化生物活性物質の製造方法は、前記式(I-b)のPEG化生物活性物質を製造する方法であって、次式(II-b):
【0023】
【化5】
JP2014157584A1_000007t.gif

【0024】
(式中、Zは蛍光色素を含む1価の基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる蛍光色素含有PEG化合物と、次式(III):
【0025】
【化6】
JP2014157584A1_000008t.gif

【0026】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に結合(Huisgen反応)させ、前記式(I-b)で表わされるPEG化生物活性物質を合成することを特徴とする。
【0027】
本発明のデオキシフルオロPEG化合物は、次式(II-a’):
【0028】
【化7】
JP2014157584A1_000009t.gif

【0029】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される。このデオキシフルオロPEG化合物において、式(II-a’)のFは、例えば18Fである。
【0030】
本発明の蛍光色素含有PEG化合物は、次式(II-b):
【0031】
【化8】
JP2014157584A1_000010t.gif

【0032】
(式中、Zは蛍光色素を含む1価の基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される。
【0033】
本発明のスルホニル化PEG化合物は、次式(II-c):
【0034】
【化9】
JP2014157584A1_000011t.gif

【0035】
(式中、Rh1はハロゲン原子で置換されていてもよい1価のC1~C12炭化水素基、またはヘテロ原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよいC1~C4有機基で置換されていてもよいフェニル基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される。
【0036】
本発明のスルホニル化PEG化合物の製造方法は、前記式(II-c)で表わされるスルホニル化PEG化合物の製造方法であって、次式(II-c-1):
【0037】
【化10】
JP2014157584A1_000012t.gif

【0038】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表わされる化合物と、ジアゾ転送試薬のスルホニルアジド化合物とを溶媒中で反応させて次式(II-c-2):
【0039】
【化11】
JP2014157584A1_000013t.gif

【0040】
(式中、Ra1およびnは前記と同義である。)を合成し、次いで得られた式(II-c-2)で表わされる化合物と、スルホニル化試薬とを溶媒中で反応させて前記式(II-c)で表わされるスルホニル化PEG化合物を合成することを特徴とする。
【0041】
本発明のデオキシフルオロPEG化合物の製造方法は、前記式(II-a’)で表わされるデオキシフルオロPEG化合物の製造方法であって、次式(II-c):
【0042】
【化12】
JP2014157584A1_000014t.gif

【0043】
(式中、Rh1はハロゲン原子で置換されていてもよい1価のC1~C12炭化水素基、またはヘテロ原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよいC1~C4有機基で置換されていてもよいフェニル基、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表されるスルホニル化PEG化合物と、[18F]標識フッ素化試薬とを溶媒中で反応させて、[18F]で標識された前記式(II-a’)で表わされるデオキシフルオロPEG化合物を合成することを特徴とする。
【0044】
本発明の蛍光色素含有PEG化合物の製造方法は、前記式(II-b)で表される蛍光色素含有PEG化合物の製造方法であって、次式(II-b-1):
【0045】
【化13】
JP2014157584A1_000015t.gif

【0046】
(式中、Ra1は2価のC1~C6炭化水素基、nは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)で表される化合物と、この式(II-b-1)で表される化合物のアミノ基と反応する官能基を有する蛍光色素とを反応させて、前記式(II-b)で表される蛍光色素含有PEG化合物を合成することを特徴とする。
【0047】
本発明の環状アセチレン化合物は、次式(III):
【0048】
【化14】
JP2014157584A1_000016t.gif

【0049】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、Yは生物活性物質を含む1価の基を示す。)で表わされる。
【0050】
本発明の環状アセチレン化合物は、次式(III-1):
【0051】
【化15】
JP2014157584A1_000017t.gif

【0052】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)を示す。)で表わされる。
【0053】
本発明の環状アセチレン化合物の製造方法は、前記式(III-1)で表わされる環状アセチレン化合物の製造方法であって、次式(III-1-1):
【0054】
【化16】
JP2014157584A1_000018t.gif

【0055】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Re1は2価のC1~C5炭化水素基を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物と、次式(III-1-2):
【0056】
【化17】
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【0057】
(式中、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc3はC1~C8炭化水素基または-Rd3(OCH2CH2)mRd4-(Rd3は2価のC1~C8炭化水素基またはOCH2CH2、Rd4はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、ORc4は前記(III-1)で表される蛍光色素含有PEG化合物のアミノ基との反応により脱離する脱離基を示す。)で表わされるマレイミド化合物とを反応させて、前記式(III-1)で表される蛍光色素含有PEG化合物を合成することを特徴とする。
【0058】
本発明の環状アセチレン化合物の製造方法は、前記式(III)で表わされる環状アセチレン化合物の製造方法であって、次式(III-1):
【0059】
【化18】
JP2014157584A1_000020t.gif

【0060】
(式中、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示し、Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)を示す。)で表わされる環状アセチレン化合物と、この式(III-1)で表される環状アセチレン化合物のマレイミド基と反応する官能基を有する生物活性物質とを反応させて、前記式(III)で表される環状アセチレン化合物を合成することを特徴とする。
【0061】
本発明によれば、前記の[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質の体内動態をポジトロン断層法(PET)によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析する方法が提供される。
【0062】
本発明によれば、前記の蛍光標識されたPEG化生物活性物質の体内動態を蛍光検出法によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析する方法が提供される。
【0063】
分子量数千以上の長鎖PEGの[18F]F標識化は本発明者らの報告(非特許文献2)以外に例は無い。タンパク質は熱や化学薬品などで容易に変成するため、分子量数千以上の長鎖PEGが結合したタンパク質の[18F]F標識化は更に困難で、前例は全く無い。従って、本発明の新規性は明瞭である。
【0064】
医薬品候補としてのPEG化タンパク質やPEG化抗体の開発は世界的に活発に研究されているが、その体内動態を生体で解析した例は全く無い。タンパク質を結合した長鎖PEGと、[18F]F標識化長鎖PEGの合成条件が全く異なるために、本発明によれば、予め各ユニットを別々に合成し、その後に生理的条件下のHuisgen反応で両者を結合することによって、初めて分子量数千以上の長鎖PEGが結合したタンパク質の[18F]F標識化が可能になる。本発明によれば、種々の[18F]F-PEG化化合物の体内動態がPETによってリアルタイムに可視化/定量化できる。
【0065】
リンカーXにPEG(分子量2kDa~40kDa)を用いて式(I-a)や式(I-b)のPEG化生物活性物質を合成すれば、式(II-a)や式(II-b)由来のPEGと併せた分子量4kDa~80kDaの長鎖PEG鎖の中程にHuisgen反応連結部分が収まる。このために、連結部分が分子全体に及ぼす影響を軽減することができる。それによって、実際のPEG化生物活性物質の体内動態と殆ど変わらない結果を得ることができると考えられる。
【0066】
蛍光色素を結合した式(I-b)の化合物の利用は、PETよりも簡便に可視化、定量化できる利点がある。
【0067】
本発明者らの方法では式(II-c)から式(II-a)への反応は20分以内で完了する。式(II-a)と式(III)の連結も20分程度以内に終了できれば、半減期110分の[18F]Fでも、式(I-a)の放射活性が十分量確保できる。また、リンカー部はPEG部に比べて格段に小さいため、分子全体に及ぼす影響は殆どないことがFeringa, B. et al., Angew.Chem.2011 などに記されている。
【0068】
PETは極めて高感度であるため、ごく微量のPEG化医薬品候補化合物を使って、ヒトで安全に動態の情報が得られる。本発明は、マイクロドーズ臨床試験を推進する極めて有力な手法を提供できる。これは、創薬研究に画期的な手法を提供し、その波及効果は非常に大きい。本発明は、世界中の製薬企業や創薬研究者が使う基本的なツールとなり得る。
【0069】
疾患に特異的なバイオマーカー(抗体、ペプチド、核酸、低分子化合物など)を長鎖[18F]F-PEGに結合してPETプローブ化すれば、各種疾患の診断に利用される。[18F]F-FDG (fluorodeoxyglucose)を用いるPETによる癌診断が普及しているように、非侵襲的な全身スキャン・可視化に有効なPETのインフラ整備は進んでいる。[18F]F-PEGを活用する診断薬の充実は、近い将来、早期医療を支える1つの柱になるであろう。
【0070】
PEG化タンパク質やPEG化抗体は生化学研究の試薬としても汎用されているので、[18F]F-PEGや蛍光色素を結合したPEGを活用すれば、その用途は更に広がる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例3において化合物64とAlexa Fluor 750 Carboxylic Acid Succinimidyl Esterとの反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図2A】実施例4において化合物64とAlexa Fluor 647 Carboxylic Acid Succinimidyl Esterとの反応混合物(粗生成物)をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図2B】実施例4において化合物64とAlexa Fluor 647 Carboxylic Acid Succinimidyl Esterとの反応混合物(粗生成物)をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図3】実施例9において化合物83と化合物56の反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図4A】実施例11において化合物83と化合物56aの反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図4B】実施例11において化合物83と化合物56aの反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図5】実施例12において化合物84と化合物56の反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図6】実施例13において化合物84をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図7A】実施例13において化合物84と化合物56aの反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図7B】実施例13において化合物84と化合物56aの反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図8A】実施例14において、A549ヒト肺がん細胞移植マウスに対照化合物(86a)を尾静脈に投与後、その体内動態をAlexa647の蛍光によってin vivoイメージングした結果を示す。
【図8B】実施例14において、A549ヒト肺がん細胞移植マウスにRGDfC-PEG(85a)を尾静脈に投与後、その体内動態をAlexa647の蛍光によってin vivoイメージングした結果を示す。
【図9】実施例14において、投与3時間後にマウスを解剖し、血液、各臓器、および腫瘍への対照化合物(86a)とRGDfC-PEG(85a)の分布をIVISにてex vivoイメージングした結果を示す。
【図10】実施例15において化合物83と化合物52の反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図11A】実施例16において化合物81と化合物52の反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【図11B】実施例16において化合物81と化合物52の反応混合物をHPLCで分析した結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下に、本発明について詳細に説明する。
(デオキシフルオロPEG化合物)
本発明のデオキシフルオロPEG化合物は、前記式(II-a’)で表される。このデオキシフルオロPEG化合物は、次のようにして合成することができる。

【0073】
最初に、出発原料として前記式(II-c-1)で表わされる化合物HO(CH2CH2O)n-Ra1-NH2 を用いて、ジアゾ転送試薬のスルホニルアジド化合物と反応させて前記式(II-c-2)で表わされる化合物HO(CH2CH2O)n-Ra1-N3を合成する。

【0074】
出発原料のHO(CH2CH2O)n-Ra1-NH2 は、nが分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内のもので、例えば、分子量に分布はあるがその大部分がこの範囲内である市販のものが使用できる。

【0075】
nは、分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内、好ましくは2kDa~40kDaの範囲内、より好ましくは2kDa~30kDaの範囲内である。

【0076】
Ra1は、2価のC1~C6炭化水素基を示す。好ましくは2価のC1~C6アルキレン基、より好ましくは2価のC2~C4アルキレン基である。

【0077】
スルホニルアジド化合物R-SO2N3は、ジアゾ転送試薬として知られているが、中でも貯蔵安定性が良く、結晶で取り扱い性も良く安全性の高いイミダゾール-1-スルホニルアジド塩酸塩が好ましい。

【0078】
イミダゾール-1-スルホニルアジド塩酸塩を用いた第一級アミンのアジドへの変換は、Ethan D. Goddard-Borger, Robert V. Stick, Org. Lett. 2007, 9, 3797-3800.に記載されている。

【0079】
例えば、HO(CH2CH2O)n-Ra1-NH2 を1当量、K2CO3を2当量、および触媒量のCuSO4・H2Oをメタノールに溶解し、室温でイミダゾール-1-スルホニルアジド塩酸塩1.5当量を加えて24時間撹拌して反応させた後、濃塩酸などで酸性とし、有機溶媒で抽出し、有機層を無水MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去して目的物を得ることができる。

【0080】
次に、この反応によって得られたHO(CH2CH2O)n-Ra1-N3をスルホニル化試薬と溶媒中で反応させて、上記式(II-c)で表わされる化合物Rh1SO2O(CH2CH2O)n-Ra1-N3を合成する。

【0081】
ここでRh1は、フッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよい1価のC1~C12炭化水素基、またはヘテロ原子もしくはハロゲン原子を含んでいてもよいC1~C4有機基(例えば、メチル基等)で置換されていてもよいフェニル基を示す。

【0082】
この反応は、好ましくは有機塩基の存在下で行われる。有機塩基としては、例えば、Et3N、RNMe2などを用いることができる。ここでRNMe2のRとしては、炭素数1~6のアルキル基、炭素数7~12のアリールアルキル基などが挙げられる。中でも、メチル基が好ましい。また、RNMe2触媒は、例えばHCl塩などの適当な塩の形態で用いてもよく、特にMe3Nの場合はHCl塩として用いることが好ましい。

【0083】
スルホニル化試薬としては、例えば、p-トルエンスルホニルクロライド(TsCl)、メタンスルホニルクロリド(MsCl)、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)、ノナフルオロブタンスルホン酸フルオリド(NfF)などを用いることができる。

【0084】
このスルホニル化反応に用いる溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリフルオロトルエン、アセトニトリル、トルエンなどが挙げられる。

【0085】
このスルホニル化反応は、例えば、原料のHO(CH2CH2O)n-Ra1-N3に対してスルホニル化試薬を1~10当量、Et3Nを1~10当量、RNMe2を0.05~1当量の範囲で用いて行うことができる。

【0086】
このスルホニル化反応は、例えば、反応温度-20~60℃、反応時間1~24時間の範囲で行うことができる。

【0087】
反応後の精製は、目的物のPEG化合物はその極性の高さから分液操作や順相カラムクロマトグラフィーによる精製が困難であり、未反応のスルホニル化試薬や副生するEt3N・スルホン酸を除去することが困難である。これに対して、強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120および強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA-400を用いると(参考文献:Shuji Akai, Sho Ishida, Kentaro Hatanaka, Takayuki Ishii, Norihiro Harada, Hideo Tsukada, Naoto Oku, Molecular Pharmaceutics, 2011, 8, 302-308.)これらの不純物を効果的に除去することができる。

【0088】
次に、得られたRh1SO2O(CH2CH2O)n-Ra1-N3を、フッ素化試薬と溶媒中で反応させて上記式(II-a’)で表されるデオキシフルオロPEG化合物F(CH2CH2O)n-Ra1-N3を合成する。

【0089】
フッ素化試薬としては、例えば、フッ化テトラ-n-ブチルアンモニウム(nBu4NF :TBAF)、KF-Kryptofix- [2.2.2]、CsFなどが挙げられる。

【0090】
ここで、フッ素化試薬として、[18F]標識フッ素化試薬を用いると、式(II-a’)で表される化合物を18Fで標識することができる。19Fが18Fに変わっても反応性への影響はほとんどない。ただし、[18F]標識フッ素化試薬を用いた反応は、放射線の影響を避けるために自動合成装置で行われる(非特許文献2)。

【0091】
18Fは半減期が110分と短いため、[18F]F標識化反応は短時間で進行させる必要がある。そのため[18F]標識フッ素化試薬と溶媒の選択が重要になる。

【0092】
溶媒としては、例えば、アセトニトリル(MeCN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。また、t-ブタノール(t-BuOH)はCsFやnBu4NFを用いるフッ素化において反応性や選択性を向上させる溶媒として知られている(Kim, D. W.; Jeong, H. J.; Lim, S. T.; Sohn, M. H.; Katzenellenbogen, J. A.; Chi, D. Y. Facile Nucleophilic Fluorination Reactions Using tert-Alcohols as a Reaction Medium: Significantly Enhanced Reactivity of Alkali Metal Fluorides and Improved Selectivity. J. Org. Chem. 2008, 73, 957-962.)。

【0093】
[18F]標識フッ素化試薬と溶媒の組み合わせとしては、例えば、[18F]nBu4NF/DMF、[18F]KF-Kryptofix- [2.2.2]/MeCN、[18F]nBu4NF/ MeCN、[18F]KF-Kryptofix- [2.2.2]/ t-BuOH、[18F]nBu4NF/ t-BuOH、[18F]CsF/ t-BuOHなどが挙げられるが、[18F]Fの半減期が110分と短いため、放射活性が十分量確保できるように迅速に標識化すること、例えば20分間で反応を終了することを考慮すると、[18F]nBu4NF/DMFが効果的である。

【0094】
この標識化反応は、例えば、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気下、Rh1SO2O(CH2CH2O)n-X-N3に対して[18F]標識フッ素化試薬を用いて、50~150℃で行うことができる。

【0095】
反応後の精製は、強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120および強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA-400を用いて行うことができる。
(蛍光色素含有PEG化合物)
前記式(II-b)で表わされる蛍光色素含有PEG化合物は、前記式(II-b-1)で表される化合物と、この式(II-b-1)で表される化合物のアミノ基と反応する官能基を有する蛍光色素とを反応させることで合成することができる。

【0096】
式(II-b)において、Zは蛍光色素を含む1価の基である。蛍光色素としては、特に限定されないが、例えば、フルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(Integrated DNA Technologies社製)、ポリハロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、ヘキサクロロフルオレセイン・ファミリーの蛍光色素(アプライドバイオシステムズジャパン(株)製)、クマリン・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ローダミン・ファミリーの蛍光色素(GEヘルスケア バイオサイエンス(株)製)、シアニン・ファミリーの蛍光色素、インドカルボシアニン・ファミリーの蛍光色素、オキサジン・ファミリーの蛍光色素、チアジン・ファミリーの蛍光色素、スクアライン・ファミリーの蛍光色素、キレート化ランタニド・ファミリーの蛍光色素、BODIPY(登録商標)・ファミリーの蛍光色素(インビトロジェン(株)製)、ナフタレンスルホン酸・ファミリーの蛍光色素、ピレン・ファミリーの蛍光色素、トリフェニルメタン・ファミリーの蛍光色素、Alexa Fluor(登録商標)色素シリーズ(インビトロジェン(株)製)などが挙げられる。これらファミリーに含まれる代表的な蛍光色素の吸収波長(nm)および発光波長は、例えば、450~850nmの範囲内である。

【0097】
Ra1は、2価のC1~C6炭化水素基を示す。好ましくは2価のC1~C6アルキレン基、より好ましくは2価のC2~C4アルキレン基である。

【0098】
nは、分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内、好ましくは2kDa~40kDaの範囲内、より好ましくは2kDa~30kDaの範囲内である。

【0099】
前記式(II-b-1)で表される化合物のアミノ基と反応する官能基を有する蛍光色素としては、例えば、アミノ基と反応する官能基として-COORf1(ORf1は優れた脱離能を有する基を示し、例えば、HORf1としてN-ヒドロキシスクシミドが挙げられる)を有する蛍光色素等が挙げられる。

【0100】
前記式(II-b)で表わされる蛍光色素含有PEG化合物は、例えば、前記式(II-b-1)で表される化合物と、この式(II-b-1)で表される化合物のアミノ基と反応する官能基を有する蛍光色素とをDMF/NaHCO3 aq等の溶媒中、室温付近で反応させることで合成することができる。
(環状アセチレン化合物)
前記式(III)で表わされる環状アセチレン化合物は、前記式(III-1-1)で表わされる環状アセチレン化合物と、前記式(III-1-2)で表わされるマレイミド化合物とを反応させて合成することができる。

【0101】
式(III)で表わされる環状アセチレン化合物において、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子、Rc1は水素原子またはフッ素原子を示す。

【0102】
Xは2価のC1~C12炭化水素基または-Rd1(OCH2CH2)mRd2-(Rd1はアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有していてもよい2価のC1~C12炭化水素基(ここでC1~C12にはアミド基またはカルバミン酸エステル基の炭素原子を含まない。)、Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基(ここでC1~C6にはアミド基の炭素原子を含まない。)、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)を示す。

【0103】
Xの2価のC1~C12炭化水素基は、好ましくは2価のC1~C12アルキレン基、より好ましくは2価のC1~C6アルキレン基である。

【0104】
XのRd1がアミド基またはカルバミン酸エステル基を含まない2価のC1~C12炭化水素基の場合、好ましくは2価のC1~C12アルキレン基、より好ましくは2価のC1~C6アルキレン基である。XのRd1がアミド基または(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成されてもよいカルバミン酸エステル基を有する2価のC1~C12炭化水素基の場合、例えば、-Rg1NHCORg2-(Rg1、Rg2はそれぞれ独立にC1~C5アルキレン基を示す。)、-Rg1NHCOORg2-(Rg1、Rg2はそれぞれ独立にC1~C5アルキレン基を示す。)、-Rg1NHCOO-(Rg1はC1~C5アルキレン基を示し、NHCOO-は(OCH2CH2)mの酸素原子と共に構成される。)等が挙げられる。Rd2はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基であり、好ましくはC1~C4アルキル基または-Rg3NHCORg4-(Rg3、Rg4はそれぞれ独立にC1~C5アルキレン基を示す。)である。mは、分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内、好ましくは2kDa~40kDaの範囲内、より好ましくは2kDa~30kDaの範囲内である。

【0105】
またYは生物活性物質を含む1価の基を示す。生物活性物質は、生物に対して生理作用ないしは薬理作用を発現する物質単体および化合物群であり、自然界から適切な方法で得られるものであっても、遺伝子工学的手法その他の人工的手法で製造される天然と同一の物質であってもよく、さらに、これらの改変型であってもよい。具体的には、例えば、ペプチド、核酸関連物質、低分子化合物、抗原、抗体、受容体、接着分子、サイトカイン、ホルモン、多糖、オリゴ糖、オリゴペプチド、酵素、抗生物質、酵素阻害剤、受容体アゴニスト、受容体アンタゴニストなどが挙げられる。

【0106】
前記式(III)で表わされる環状アセチレン化合物は、前記式(III-1)で表わされる環状アセチレン化合物と、この式(III-1)で表される環状アセチレン化合物のマレイミド基と反応する官能基を有する生物活性物質とをDMF/NaHCO3 aq等の溶媒中、室温付近で反応させることで合成することができる。

【0107】
この生物活性物質における式(III-1)で表される環状アセチレン化合物のマレイミド基と反応する官能基としては、例えば、チオール基等が挙げられる。

【0108】
前記式(III-1)で表わされる環状アセチレン化合物は、前記式(III-1-1)で表わされる環状アセチレン化合物と、前記式(III-1-2)で表わされるマレイミド化合物とを、ジクロロメタンやTHF/aq等の溶媒中で、必要に応じてNaHCO3 やEt3N等の塩基を添加して反応させることで合成することができる。

【0109】
式(III-1-1)において、Rb1~Rb10はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示す。Re1は2価のC1~C5炭化水素基、好ましくはC1~C5アルキレン基である。

【0110】
式(III-1-2)において、Rc1、Rc2はそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子を示す。Rc3はC1~C8炭化水素基または-Rd3(OCH2CH2)mRd4-(Rd3は2価のC1~C8炭化水素基またはOCH2CH2、Rd4はアミド基を有していてもよい2価のC1~C6炭化水素基(ここでC1~C6にはアミド基の炭素原子を含まない。)、mは分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内の整数を示す。)、ORc4は前記(II-b-1)で表される蛍光色素含有PEG化合物のアミノ基との反応により脱離する脱離基ORf1と同様の基を示す。

【0111】
Rc3のC1~C8炭化水素基は、好ましくは2価のC1~C8アルキレン基、より好ましくは2価のC1~C6アルキレン基である。

【0112】
Rc3の-Rd3(OCH2CH2)mRd4-において、Rd3は2価のC1~C8アルキレン基、より好ましくは2価のC1~C6アルキレン基である。Rd4は2価のC1~C6炭化水素基であり、好ましくはC1~C4アルキル基である。mは、分子量換算で1kDa~40kDaの範囲内、好ましくは2kDa~40kDaの範囲内、より好ましくは2kDa~30kDaの範囲内である。
([18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質)
前記式(I-a)で表わされる、[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質は、前記式(II-a)で表わされる[18F]フルオロPEG化合物と、前記式(III)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に反応させることで合成することができる。

【0113】
本発明の[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質には、式(I-a)のリンカーXにPEG(分子量2kDa~40kDa)を用いたものが含まれる。このような化合物の合成が実施可能であることは、後述の実施例の結果と、既に当業者に知られている技術常識より明らかであることが理解されるであろう。そしてこのような式(II-a)由来のPEGとリンカーX由来のPEGとを有する長鎖PEG化合物の合成は、前述したように、予めタンパク質を結合した長鎖PEGと、[18F]F標識化長鎖PEGの合成条件が全く異なるために、各ユニットを別々に合成し、その後に生理的条件下のHuisgen反応で両者を結合することによって、初めて分子量数千以上の長鎖PEGが結合したタンパク質の[18F]F標識化が可能ではないかと着想し、後述の実施例で実施可能な程度に裏付けられたことによる。このような長鎖PEG化合物によれば、式(II-a)由来のPEGと併せた分子量4kDa~80kDaの長鎖PEG鎖の中程にHuisgen反応連結部分が収まるために、連結部分が分子全体に及ぼす影響を軽減することができる。

【0114】
この[18F]Fで標識されたPEG化生物活性物質を用いることで、その体内動態をポジトロン断層法(PET)によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析することが可能となる。

【0115】
なお、このアジドとアルキンのHuisgen環化付加反応は、アジドおよびアルキンが高い化学的安定性を有し、かつほぼ無極性で水素結合を形成しにくい性質のため生体分子の構造特性を大きく変化させることはないという特徴がある。しかし無触媒では反応速度が非常に遅く、通常は長時間の加熱が必要であった。2002年にMeldalおよびSharplessらによって銅触媒を用いる手法が報告され、銅触媒がアルキンを活性化することで迅速かつ穏和な条件での反応が可能になった。

【0116】
しかし、本発明では高反応性の式(III)で表わされる環状アセチレン化合物を用いることで、銅触媒を用いずとも、銅触媒を用いる手法と同程度の速度で反応が進行する。銅イオンは細胞毒性を有しているため、これが不要になることは大きな利点であり、上記のPETによる体内動態解析や、下記の蛍光色素による体内動態解析などの応用にも適している。
(蛍光標識されたPEG化生物活性物質)
前記式(I-b)で表わされる、蛍光標識されたPEG化生物活性物質は、前記式(II-b)で表わされる蛍光色素含有PEG化合物と、前記式(III)で表わされる環状アセチレン化合物とを、生理的条件下(水溶液中、室温、かつ銅触媒の不存在下)に反応させることで合成することができる。

【0117】
この蛍光標識されたPEG化生物活性物質を用いることで、その体内動態を種々の蛍光検出法によってリアルタイムに非侵襲的かつ定量的に解析することが可能となる。
【実施例】
【0118】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<実施例1~3> アジド基を有する官能基化された新規PEGの合成
市販されている末端にアミノ基を有するPEG(2kDa, 58)を出発原料とし、Goddard-Borgerらの手法を用いて末端アミノ基をアジド化し59を得た。続いて末端水酸基をトシル化し60を得た。なお、本発明者らが開発した陽イオン及び陰イオン交換樹脂を用いるPEGの精製法を応用することで極性の高いPEG誘導体60でも効率よく単離することができた。最後にnBu4NFを用いてフッ素化することで目的とするPEG 52を3工程79%の収率で得た。精製は同様にイオン交換樹脂を用いた。
【実施例】
【0119】
【化19】
JP2014157584A1_000021t.gif
【実施例】
【0120】
<実施例1>
化合物59の合成
【実施例】
【0121】
【化20】
JP2014157584A1_000022t.gif
【実施例】
【0122】
HO(CH2CH2O)nC3H6NH2 (58, 平均分子量: 2 kDa, 0.40 g, 0.20 mmol)、K2CO3(55 mg 0.40 mmol)、CuSO4・H2O (2.5 mg, 10 μmol)をMeOH (2.0 ml)に溶かし、室温でImidazole-1-sulfonyl azide・HCl(63 mg, 0.30 mmol)を加え24時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣に1N HCl (5 ml)を加えCH2Cl2(5 ml)で3回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥後、溶媒を減圧留去し、59(0.38 g, 97%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : 1.85 (2 H, quint, J = 6.5 Hz), 3.39 (2 H, t, J = 6.5 Hz), 3.48-3.79 (ca.200 H, m). 13C NMR (500 MHz, CDCl3) : 29.0, 48.4, 61.4, 67.8, 70.1, 70.3, 70.4, 70.5, 72.8. IR (CHCl3) : 2099 cm-1.
MS (MALDI-TOF): m/z calcd for C89H179N3O44K [M (n=43) + K]+: 2033.1499, found: 2033.2044.
化合物60の合成
【実施例】
【0123】
【化21】
JP2014157584A1_000023t.gif
【実施例】
【0124】
59 (0.19 g, 95 μmol)、TsCl (0.11 g, 0.57 mmol)、Me3N・HCl (1.0 mg, 10 μmol)をCH2Cl2(2.0 ml) に溶かし、室温でEt3N (0.10 ml, 0.67 mmol)を加え3時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、H2O-MeCN (1:1, 20 ml)に溶かした。活性化した強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120(3.0 g)および活性化した強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA- 400 (3.0 g) を加え約20 分間激しく撹拌し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、60 (0.19 g 92%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : 1.84 (2 H, quint, J = 6.5 Hz), 2.44 (3 H, s), 3.38 (2 H, t, J = 6.5 Hz), 3.48-3.78 (ca.200 H, m), 4.14 (2 H, t, J = 5.0 Hz), 7.33 (2 H, d, J = 8.0 Hz), 7.78 (2 H, d, J = 8.0 Hz). 13C NMR (500 MHz, CDCl3) : 21.6, 29.1, 48.4, 67.8, 68.6, 69.2, 70.3, 70.5, 70.7, 127.9, 129.8, 132.9, 144.7. IR (CHCl3) : 2099 cm-1.
MS (MALDI-TOF): m/z calcd for C94H181N3O45SK [M (n=42) + K]+: 2143.1325, found: 2143.3302.
<実施例2>
化合物52の合成
【実施例】
【0125】
【化22】
JP2014157584A1_000024t.gif
【実施例】
【0126】
アルゴン雰囲気下、60 (40 mg, 20 μmol)を無水DMF (0.5 ml)に溶かし、nBuN4F (1.0 M THF solution, 30 μl, 0.30 μmol) を加え、80 °Cで20分間撹拌した。H2O-MeCN (1:1, 20 ml)に溶かした後、活性化した強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120(2.0 g)および活性化した強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA- 400 (2.0 g) を加え約20 分間激しく撹拌し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、52 (35 mg 88%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : 1.84 (2 H, quint, J = 6.5 Hz), 3.38 (2 H, d, J = 6.5 Hz), 3.47-3.78 (ca.200 H, m), 4.55 (2 H, td, J = 4.5, 52.0 Hz). 13C NMR (500 MHz, CDCl3) : 29.1, 48.4, 67.8, 70.3, 70.5, 70.7, 83.1 (d, J = 168 Hz). 19F NMR (470 MHz, CDCl3) : -223 (tt, J = 29, 47 Hz)
IR (CHCl3) : 2099 cm-1
MS (MALDI-TOF): m/z calcd for C89H178N3O43FK [M (n=43) + K]+: 2035.1455, found: 2035.2070.
<実施例3>
化合物64の合成
市販されている58のアミノ基を保護し、水酸基をトシル化することで62を2工程89%の収率で得た。続いて求核的にアジドを導入し、アミノ基を脱保護することで目的のPEG 64を定量的に得た。なお、各工程における精製はイオン交換樹脂や低極性溶媒による洗浄を行うことで精製困難なPEGを効率よく単離した。
【実施例】
【0127】
【化23】
JP2014157584A1_000025t.gif
【実施例】
【0128】
化合物62の合成
【実施例】
【0129】
【化24】
JP2014157584A1_000026t.gif
【実施例】
【0130】
HO(CH2CH2O)n(CH2)3NH2 (58, 平均分子量: 2kDa, 0.10 g, 50 μmol)をCH2Cl2-1M NaOH水 (1:1, 1.0 ml)に溶かし、室温でBoc2O(23 μl, 0.10 mmol)を加え19時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をCH2Cl2(1.0 ml) に溶かし、TsCl (57 mg, 0.30 mmol)、Me3N・HCl (1.0 mg, 10 μmol)、Et3N (49 μl, 0.35 mmol)を加え室温で24時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、H2O-MeCN (1:1, 20 ml)に溶かした後、活性化した強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120(2.0 g)および活性化した強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA- 400 (2.0 g) を加え約20 分間激しく撹拌し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、62 (0.10 g, 89%)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) : 1.40 (9 H, s), 1.72 (2 H, quint, J = 6 Hz), 2.42 (3 H, s), 3.18 (2 H, dd, J = 12, 6 Hz), 3.47-3.78 (ca.200 H, m), 4.12 (2 H, t, J = 5 Hz), 7.32 (2 H, d, J = 8 Hz), 7.76 (2 H, d, J = 8 Hz).
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C101H195NO48SK [M (n=43) + K]+: 2261.2206, found: 2261.2132.
化合物63の合成
【実施例】
【0131】
【化25】
JP2014157584A1_000027t.gif
【実施例】
【0132】
62(0.10 g, 44 μmol)をDMF(0.5 ml)に溶かし、室温でNaN3(8.6 mg, 0.13 mmol)を加え100 °Cで2時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、H2O-MeCN (1:1, 20 ml)に溶かした後、活性化した強酸性イオン交換樹脂Amberlite IR-120(2.0 g)および活性化した強塩基性イオン交換樹脂Amberlite IRA- 400 (2.0 g) を加え約20 分間激しく撹拌し、濾過した。濾液を減圧濃縮し、63 (0.10 g, quant.)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) : 1.41 (9 H, s), 1.73 (2 H, quint, J = 6 Hz), 3.19 (2 H, dd, J = 13, 6 Hz), 3.37 (2 H, t, J = 5 Hz) 3.47-3.78 (ca.200 H, m)
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C94H188N4O45K [M (n=43) + K]+: 2132.2183, found: 2132.2180.
化合物64の合成
【実施例】
【0133】
【化26】
JP2014157584A1_000028t.gif
【実施例】
【0134】
63(0.10 g, 44 ・ol)を4N HCl/EtOAc(1.0 ml)に溶かし、室温で4時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をhexaneで洗浄し、64(94mg, quant.)を得た。
1H NMR (500 MHz, D2O/CDCl3) : 2.00-2.10 (2 H, m), 3.19 (2 H, t, J = 5 Hz), 3.39 (2 H, t, J = 5 Hz) 3.47-3.78 (ca.200 H, m).
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C89H180N4O43K [M (n=43) + K]+: 2032.1658, found: 2032.1563.
続いて64と775nmに最大蛍光発光を持つAlexa Fluor 750を結合した。
【実施例】
【0135】
【化27】
JP2014157584A1_000029t.gif
【実施例】
【0136】
化合物56の合成
【実施例】
【0137】
【化28】
JP2014157584A1_000030t.gif
【実施例】
【0138】
64(0.30 mg, 1.5 μmol)とAlexa Fluor 750 Carboxylic Acid, Succinimidyl Ester (90 μg)をDMF (50 μl)、NaHCO3水(0.15M, 50 μl)に溶かし、室温で21時間撹拌した。逆相HPLC(MeCN-H2O, 7:3)で精製し、56 (65%)を得た。反応液はHPLCで分析し、700nmで検出した(図1)。通常この領域に吸収をもつ化合物はない。そのため、吸収ピークは全てAlexa Fluor由来のものであると考えられ、目的とする反応が進行したことが示唆された。また、ピーク面積を基に収率を算出した。なお、これ以降反応剤の量が極めて少ない場合はHPLCによる反応追跡を行った。
<実施例4>
64と647nmに最大蛍光発光を持つAlexa Fluor 647を結合し、56aを合成した。
【実施例】
【0139】
【化29】
JP2014157584A1_000031t.gif
【実施例】
【0140】
64 (0.17 μmol)をNaHCO3aq. (0.1 M, 100 μl)に溶かしAlexa Fluor 647 Carboxylic Acid, Succinimidyl Ester (0.18 μmol) のDMF溶液(100 μl) を加えた。室温で220分間撹拌した。反応粗生成物をHPLC (5C18-AR-II, 4.6×250 mm, MeCN:H2O = 5 : 95 (0 min) →5 : 95 (5 min) →50 : 50 (15 min) →50 : 50 (25 min) → 95 : 5 (30 min) → 100 : 0 (35 min), 流速1.0 mL min-1, 検出: UV 650 nm及びコロナ荷電化粒子検出器)で分析した(図2A,B)。粗生成物 (HPLC 1)および、Alexa 647 Carboxylic Acid, Succinimidyl Esterと粗生成物との混合物(HPLC 2)の比較により、保持時間21 minに現れた新しいピーク(目的化合物56a)を含む粗生成物を次の反応に用いた。
<実施例5、6> 高反応性シクロオクチンの合成
側鎖末端にマレイミド基を有する高反応性シクロオクチンを合成した。
<実施例5>
側鎖末端にマレイミド基を有する高反応性シクロオクチン(72, 79)を合成した。まず、dibenzosuberenoneに塩酸ヒドロキシルアミンを反応させオキシム68を定量的に得た。続いて徳山らのDIBALを過剰に用いるBeckman転位及びアミドの還元反応(Cho, H.; Iwama, Y.; Sugimoto, K.; Mori, S.; Tokuyama, H.J. Org. Chem. 2010, 75, 627-636.)を68に適用し、8員環アミン69を80%の収率で得た。
【実施例】
【0141】
【化30】
JP2014157584A1_000032t.gif
【実施例】
【0142】
β-アラニンならびに化合物69を原料にして73を合成した。
【実施例】
【0143】
【化31】
JP2014157584A1_000033t.gif
【実施例】
【0144】
次に、マレイミドユニット67を文献(Figueiredo, R. M.; Oczipka, P.; Frohlich, R.; Christmann, M. Synthesis2008, 8, 1316-1318.)に従い合成した。
【実施例】
【0145】
【化32】
JP2014157584A1_000034t.gif
【実施例】
【0146】
次に、マレイミドユニット67 (X = OH)と化合物73の縮合反応を検討した。その結果、縮合剤EDCを用いた場合、72が生じたが収率は最高でも20%であったが(Entries 1-3)、67を酸クロリドへと変換した後反応させると高反応性シクロオクチン72を40%の収率で得ることができた(Entry 4)。
【実施例】
【0147】
【化33】
JP2014157584A1_000035t.gif
【実施例】
【0148】
また、73と78から、別の高反応性シクロオクチン79を合成した。
【実施例】
【0149】
【化34】
JP2014157584A1_000036t.gif
【実施例】
【0150】
化合物79の合成
73(212 mg, 0.623 mmol)、78(290 mg, 1.87 mmol)をTHF(5.5 ml)及びNaHCO3水(5.5 ml)の混合液に溶かし、室温で30分間撹拌した。NH4Cl sat.を加え、CH2Cl2で抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(hexane-EtOAc, 1:1)で精製し79(139 mg, 62%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : 2.18-2.31 (1 H, m), 2.46-2.55 (1 H, m), 3.64 (1 H, d, J = 14 Hz), 3.54-3.63 (1 H, m), 3.68-3.80 (1 H, m), 5.14 (1 H, d, J = 14 Hz), 6.53 (1H, s), 7.22-7.41 (7 H, m), 7.69 (1 H, d, J = 7 Hz).
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C22H16N2O3Na [M + Na]+: 379.1053, found: 379.1052.
<実施例6>
PEG (Mw 2kDa)を導入したシクロオクチン81を合成した。すなわち、末端にカルボキシル基とアミノ基を有する市販のPEG 80を出発原料とし、先ほどと同様にしてマレイミド基を導入した。続いてカルボキシル基をNHSで活性エステルとし、アミン73と反応させ81を3工程64%の収率で得た。
【実施例】
【0151】
【化35】
JP2014157584A1_000037t.gif
【実施例】
【0152】
化合物81の合成
【実施例】
【0153】
【化36】
JP2014157584A1_000038t.gif
【実施例】
【0154】
80(0.10 g, 46 μmol)、78(22 mg, 0.14 mmol)をMeCN(0.5 ml)及びNaHCO3 水(0.5 ml)に溶かし、室温で3時間撹拌した。1M HCl 水を加え、CH2Cl2で3回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をCH2Cl2(1.0 ml)に溶かし、NHS(16 mg, 0.14 mmol)、EDC(27 mg, 0.14 mmol)を加え、室温で16時間撹拌した。H2Oを加え、CH2Cl2で3回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をCH2Cl2(1.0 ml)に溶かし、73(25 mg, 92 μmol)、Et3N (13 μl, 92 μmol)を加え3時間撹拌した。1M HCl 水を加え、CH2Cl2で3回抽出した。有機層を無水MgSO4で乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2-MeOH, 10:1)で精製した。その後、逆相HPLC (MeCN-H2O, 7:3)で精製し、81(72mg, 64%)を得た。
<実施例7~11> PEG化ペプチドの体内動態を可視化する分子の合成
<実施例7>
化合物82の合成
最初に、前記において合成したアジドPEG 52とアルキン79を用いてHuisgen反応を検討した。
【実施例】
【0155】
79(4.9 mg, 14 μmol)をMeCN(0.3 ml)に溶かし、室温で52(20 mg, 10 μmol)を加え室温で15分間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣を逆相HPLC(MeCN-H2O, 95:5)で精製し、82(20mg, 80%,2種の位置異性体3:2の混合物)を得た。2種の位置異性体のどちらが主生成物であるかは決定していない。
【実施例】
【0156】
【化37】
JP2014157584A1_000039t.gif
【実施例】
【0157】
<実施例8>
化合物83の合成
79 (0.2 mg, 0.56 μmol)、cyclo-RGDfC-SH (0.50 μmol)をDMF(70 μl)とNaHCO3水(0.10 M, 70 μl)の混合液に溶かし、室温で24時間撹拌した。HPLC (5C18-AR-II, 4.6×250 mm, MeCN : H2O = 1 : 1, 流速1.0mLmin-1,検出: UV 254 nm)にて分析し、79ならびにcyclo-RGDfC-SHとは異なる新しいピーク(保持時間3.3分)を分取して化合物83を得た。
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C46H51N10O10S [M + H]+: 935.3505, found: 935.3492.
【実施例】
【0158】
【化38】
JP2014157584A1_000040t.gif
【実施例】
【0159】
<実施例9>
対照化合物として、cyclo-RGDfC-SHの代わりにドデカンチオールを導入した84を同様にして合成した。
【実施例】
【0160】
【化39】
JP2014157584A1_000041t.gif
【実施例】
【0161】
79(7.0 mg, 20 μmol)をMeCN(0.2 ml)とCH2Cl2(10 μl)の混合液に溶かし、0℃でドデカンチオール(3.8 μl, 15.7 μmol)、K2CO3(4.1 mg, 29 μmol)を加え、室温で11時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(hexane-EtOAc, 1:1)で精製し、84(6.8 mg, 78%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : 0.88 (3 H, t, J = 7 Hz), 1.21-1.37 (18 H, m), 1.44-1.70 (2 H, m), 2.19 (1 H, sext, J = 8 Hz), 2.36 (1 H, dt, J = 19, 3 Hz), 2.42-2.84 (3 H, m), 2.94 (1 H, ddd, J = 22, 19, 9 Hz), 3.46-3.75 (3 H, m), 3.64 (1 H, d, J = 14 Hz), 5.14 (1 H, d, J = 14 Hz), 7.26-7.41 (7 H, m), 7.69 (1 H, d, J = 7 Hz).
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C34H43N2O3S [M + H]+: 559.2989, found: 559.2989.
<実施例10>
83と56のHuisgen反応による結合を試みた。その結果、83は速やかに消失し、化合物85が得られた(図3)。
【実施例】
【0162】
【化40】
JP2014157584A1_000042t.gif
【実施例】
【0163】
化合物85の合成
【実施例】
【0164】
【化41】
JP2014157584A1_000043t.gif
【実施例】
【0165】
83(30 nmol)、56(45 nmol)をDMF(50 μl)、H2O(50 μl)に溶かし、室温で15分間撹拌した。
<実施例11>
83と56aのHuisgen反応を行い、化合物85aを得た。
【実施例】
【0166】
【化42】
JP2014157584A1_000044t.gif
【実施例】
【0167】
83(32 nmol) をDMFとNaHCO3水の1 : 1 混合液(8.0 μl)に溶解し、56a(8 nmol)のDMF 溶液(12.5 μl)とMeCN(20 μl)の混合液を加えた。反応液を室温で8時間撹拌した。HPLC (5C18-AR-II 4.6×250 mm, MeCN:H2O = 5 : 95 (0 min) →5 : 95 (5 min) →50 : 50 (15 min) →50 : 50 (25 min) → 95 : 5 (30 min) → 100 : 0 (35 min), 流速1.0 mL min-1, 検出: UV 254 nm, 650 nm及びコロナ荷電化粒子検出器、図4A,B参照) の保持時間(21分)のピークを分取し、85aを得た。
<実施例12>
バックグラウンド用として84と56のHuisgen反応により86を合成した。700nmで検出したところ56が消失し、保持時間11.5分の新しいピークがAlexa Fluor付加体86であると考えられる(図5)。また、ピーク面積を基に収率は52%と推定した。
【実施例】
【0168】
【化43】
JP2014157584A1_000045t.gif
【実施例】
【0169】
化合物86の合成
【実施例】
【0170】
【化44】
JP2014157584A1_000046t.gif
【実施例】
【0171】
84(60 nmol)、56(30 nmol)をDMF(50 μl)、H2O(50 μl)に溶かし、室温で15分間撹拌した。逆相HPLC(MeCN-H2O, 30:70→100:0)で分析し、86(52%)を得た。
<実施例13>
対照化合物として、cyclo-RGDfCの代わりにドデカンチオールが結合した86aを同様にして合成した。
【実施例】
【0172】
【化45】
JP2014157584A1_000047t.gif
【実施例】
【0173】
化合物86aの合成
84 (図6) (32 nmol)と56a(8 nmol) のDMF(12.5 μl)溶液を室温で70分間撹拌した。HPLC (5C18-AR-II 4.6×250 mm, MeCN:H2O = 5 : 95 (0 min) →5 : 95 (5 min) →50 : 50 (15 min) →50 : 50 (25 min) → 95 : 5 (30 min) → 100 : 0 (35 min), 流速1.0 mL min-1, 検出: UV 254 nm, 650 nm及びコロナ荷電化粒子検出器、図7A,B参照) の保持時間(21分)のピークを分取し、86aを得た。
<実施例14>
RGDfC-PEG(85a)のin vivoイメージング
1. 実験材料
各サンプル: RGDfC-PEG(85a), control-PEG(86a)
クロロフィルを含まないマウス飼育用飼料:オリエンタル酵母工業(株)
イソフルラン(エスカイン<登録商標>):メルク製薬(株)
insuflon<登録商標>:Unomedical
2. 実験方法
(がん細胞の培養)
移植がん細胞としてA549ヒト肺がん細胞株を用いた。培養培地としては、D-MEM/Ham’s F-12にペニシリンG(100 unit/mL)、ストレプトマイシン溶液(100 μg/mL)を加えたものに、非働化ウシ胎児血清(Fetal bovine serum:FBS)を加えて調製した10% FBS D-MEM/Ham’s F-12 (P/S+)を用いた。インキュベーター内で5% CO2存在下37oCで培養し、コンフルエント時には、0.25% Trypsin/EDTA-PBS(-)溶液で細胞を剥離し、継代を行った。
(担がんマウスの作製)
実験動物には5週齢の雄性BALB/c nu/nu マウス(日本SLC)を用いた。マウスは、クロロフィルを含まない飼料を与えて飼育し、イメージング時のバックグラウンドを低減した。
【実施例】
【0174】
A549細胞の懸濁液(1.0×107cells / 0.2 mL/ mouse)をマウスの左腹側部に移植し、腫瘍径が約10 mmに到達した時点でイメージングに用いた。
(サンプル調製)
各サンプル[RGDfC-PEG (85a), control-PEG (86a)]を10 nmol / mLとなるように、適量の生理食塩水にて用時溶解した。
(in vivoイメージング)
担がんマウスの尾静脈内にカニューレ(insuflon<登録商標>)を挿入後、専用チャンバー内でイソフルラン(エスカイン<登録商標>)を用いてマウスを麻酔した。マウスをIVIS Lumina Imaging System(Xenogen社)の装置内に固定後、調製した各サンプル(2 nmol / 0.2 mL / mouse)を尾静脈内投与した。投与直後から各サンプルに含まれるAlexa647の蛍光を非侵襲的にイメージングした。投与3時間後にマウスを解剖し、血液、各臓器、および腫瘍への85a, 86aの分布をIVISにてex vivoイメージングした。
3. 実験結果
A549ヒト肺がん細胞移植マウスに投与したcontrol-PEG(86a) あるいはRGDfC-PEG(85a) の体内動態をAlexa647の蛍光によってin vivoイメージングした結果を図8A,Bに示す。いずれのサンプルにおいても腎臓から膀胱へと移行していく様子が観察された。投与3時間後にマウスを解剖し、血液、各臓器、および腫瘍への86a, 85aの分布をIVISにてex vivoイメージングした結果を図9に示す。この結果から、RGDfC-PEG(85a)の腎臓および腫瘍への顕著な集積が観察された。したがって、RGDfC-PEG(85a)は腫瘍のイメージングに有用であることが示唆された。
<実施例15>
【実施例】
【0175】
【化46】
JP2014157584A1_000048t.gif
【実施例】
【0176】
83(25 nmol)、52(Mw 2 kDa, 50 nmol)をDMF(50 μl)、H2O(50 μl)に溶かし、室温で15分間撹拌した。逆相HPLCで分析し、87を得た(図10)。
<実施例16>
【実施例】
【0177】
【化47】
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【実施例】
【0178】
化合物88の合成
81 (0.26 μmol)をMeCN (0.5ml) に溶解し、52 (0.19 μmol)を加えて室温で120分間撹拌した。HPLC (5C18-AR-II 4.6×250 mm, MeCN:H2O = 1 : 1, 流速0.4 mL min-1, 検出: UV 254 nm及びコロナ荷電化粒子検出器、図11A,B参照) の保持時間(14分)のピークを分取し、88を得た。なお、HPLCでは81は8min, 52と88はいづれも14minに現れる。88と52が重なり、反応の終点を判断することはできなかったので、念のために120分間、反応を行った。
MS (MALDI-TOF): m/z calcd for C200H371N6O88FNa [M (n1 = n2 =42) + Na]+: 4307.4622, found: 4307.3684.
<実施例17>
【実施例】
【0179】
【化48】
JP2014157584A1_000050t.gif
【実施例】
【0180】
化合物90の合成
89 (2.2 μmol)のMeCN (0.4ml)溶液にK2CO3 (0.6 mg, 4.4 μmol)を加えた後、dodecanethiol のMeCN溶液(24 mM)を0.1 ml加え、反応液を室温で220分間撹拌した。粗生成物(化合物90)はそのまま次の反応に用いた。
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C111H211N3O50SK [M (n = 42) + K]+: 2457.3413, found: 2457.3437.
<実施例18>
【実施例】
【0181】
【化49】
JP2014157584A1_000051t.gif
【実施例】
【0182】
化合物91の合成
90 (4.0×102 μmol)のCH2Cl2 (0.25 ml)溶液に73のCH2Cl2 溶液(36 mM)を17.5 μl加え、室温で15分間撹拌し、化合物91を得た。
HRMS (MALDI-TOF): m/z calcd for C127H226N4O49SK [M (n = 43) + K]+: 2662.4668, found: 2662.4610.
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図3】
3
【図4A】
4
【図4B】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7A】
8
【図7B】
9
【図8A】
10
【図8B】
11
【図9】
12
【図10】
13
【図11A】
14
【図11B】
15