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明細書 :窒化炭素の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-043511 (P2017-043511A)
公開日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 窒化炭素の製造方法
国際特許分類 C01B  21/082       (2006.01)
FI C01B 21/082 K
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2015-166636 (P2015-166636)
出願日 平成27年8月26日(2015.8.26)
発明者または考案者 【氏名】澤田 剛
【氏名】久保 臣悟
【氏名】七村 和影
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
審査請求 未請求
要約 【課題】形状の自由度がより高められた窒化炭素を製造できる窒化炭素の製造方法を提供する。
【解決手段】窒化炭素の製造方法は、メラミン樹脂を加熱する加熱ステップを含む。この場合、前記加熱ステップでは、減圧下で前記メラミン樹脂を加熱してもよい。また、前記加熱ステップでは、空気より低い酸素濃度下で前記メラミン樹脂を加熱してもよい。また、前記加熱ステップでは、前記メラミン樹脂が250~600℃になるように加熱してもよい。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
メラミン樹脂を加熱する加熱ステップを含む、
窒化炭素の製造方法。
【請求項2】
前記加熱ステップでは、
減圧下で前記メラミン樹脂を加熱する、
請求項1に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項3】
前記加熱ステップでは、
空気より低い酸素濃度下で前記メラミン樹脂を加熱する、
請求項1または2に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項4】
前記加熱ステップでは、
前記メラミン樹脂が250~600℃になるように加熱する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項5】
前記加熱ステップでは、
3~20℃/分の昇温速度で前記メラミン樹脂を加熱する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項6】
前記加熱ステップは、
前記メラミン樹脂が第1の温度になるように加熱する第1の加熱ステップと、
前記メラミン樹脂が前記第1の温度よりも高い第2の温度になるように加熱する第2の加熱ステップと、
を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項7】
前記加熱ステップでは、
電気管状炉、マッフル炉またはマイクロ波合成裝置で前記メラミン樹脂を加熱する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の窒化炭素の製造方法。
【請求項8】
前記窒化炭素は、
グラファイト状である、
請求項1から7のいずれか一項に記載の窒化炭素の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化炭素の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラファイト状窒化炭素は、graphitic Carbon Nitride(g-C)と呼称される機能性材料である。グラファイト状窒化炭素は、炭素の機能性材料であるグラフェンと類似した層構造を有している。グラファイト状窒化炭素は、非常に高い硬度と有機半導体としての性質を有し、光触媒として利用されている。
【0003】
グラファイト状窒化炭素の主な合成法として、メラミンまたはジシアノジアミンなどの含窒素化合物を500℃前後で加熱することによる熱縮合が挙げられる。例えば、特許文献1には、ロダン化アンモニウムを熱分解して得られる黒鉛状構造を有する窒化炭素材料が開示されている。
【0004】
また、窒化炭素を加工する方法として、特許文献2には、グラファイト状窒化炭素の粉末を、金属イオンを含む水溶液中で加熱処理することが開示されている。特許文献2によれば、当該方法によって、金属イオンが層間に挿入されたグラファイト状窒化炭素が得られる。
【0005】
上記熱縮合によるグラファイト状窒化炭素、上記特許文献1に開示された窒化炭素材料および上記特許文献1に開示された金属イオンが挿入されたグラファイト状窒化炭素は、いずれも粉末状である。
【0006】
一方、粉末状ではない窒化炭素の製造方法として、蒸着重合によって基材上表面に薄膜化されたグラファイト状窒化炭素のフィルムを形成させる方法が特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2009-542574号公報
【特許文献2】特開2011-195412号公報
【特許文献3】国際公開第2014/098251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
窒化炭素は熱に極めて強く、有機溶媒などへの溶解性が低いため、上述の粉末状の窒化炭素の形状を制御することは困難である。また、上記特許文献3に開示された製造方法では、窒化炭素の形状は薄膜に限られる。このため、窒化炭素の形状の自由度は制限されている。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、形状の自由度がより高められた窒化炭素を製造できる窒化炭素の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点に係る窒化炭素の製造方法は、
メラミン樹脂を加熱する加熱ステップを含む。
【0011】
この場合、前記加熱ステップでは、
減圧下で前記メラミン樹脂を加熱する、
こととしてもよい。
【0012】
また、前記加熱ステップでは、
空気より低い酸素濃度下で前記メラミン樹脂を加熱する、
こととしてもよい。
【0013】
また、前記加熱ステップでは、
前記メラミン樹脂が250~600℃になるように加熱する、
こととしてもよい。
【0014】
また、前記加熱ステップでは、
3~20℃/分の昇温速度で前記メラミン樹脂を加熱する、
こととしてもよい。
【0015】
また、前記加熱ステップは、
前記メラミン樹脂が第1の温度になるように加熱する第1の加熱ステップと、
前記メラミン樹脂が前記第1の温度よりも高い第2の温度になるように加熱する第2の加熱ステップと、
を含むこととしてもよい。
【0016】
また、前記加熱ステップでは、
電気管状炉、マッフル炉またはマイクロ波合成裝置で前記メラミン樹脂を加熱する、
こととしてもよい。
【0017】
また、前記窒化炭素は、
グラファイト状である、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、形状の自由度がより高められた窒化炭素を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】窒化炭素の製造装置の一例の概略を示す図である。
【図2】X線光電子分光分析法(XPS)で分析したメラミン樹脂の窒素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【図3】XPSで分析したメラミン樹脂の炭素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【図4】実施例1で生成した窒化炭素を分析した窒素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【図5】実施例1で生成した窒化炭素を分析した炭素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【図6】実施例2で生成した窒化炭素を分析した窒素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【図7】実施例2で生成した窒化炭素を分析した炭素の1s軌道のXPSスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施の形態および図面によって限定されるものではない。

【0021】
(実施の形態1)
実施の形態1について詳細に説明する。本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法は、メラミン樹脂を加熱する加熱ステップを含む。メラミン樹脂は、ホルムアルデヒド存在下でメラミンを縮合させた熱硬化性樹脂である。メラミン樹脂は、市販のものを使用してもよいし、公知の方法で合成したものを用いてもよい。市販されているメラミン樹脂としては、日本触媒社製のエボスターS、エボスターS6およびエボスターS12などが挙げられる。

【0022】
メラミン樹脂を合成するには、まず、メラミンとホルムアルデヒドとをpH10付近で75~90℃で所定時間反応させることでメチロールメラミンを得る。さらに、得られたメチロールメラミンをpH7~9で75~90℃まで加熱することでメチロールメラミンの重縮合を促す。反応の進行とともにゲル化した生成物、すなわちメチロールメラミンが網目状に架橋したメラミン樹脂が得られる。

【0023】
メラミン樹脂は、比較的容易に形状を制御でき、マイクロカプセル、微粒子およびメソポーラス構造などの多様な形状に成形できる。メラミン樹脂の成形には、公知の方法、例えば圧縮成形法、射出成形法、トランスファー成形法、押出成形法および中空成形法などが適用できる。圧縮成形法の場合、製造する窒化炭素の形状、用途などに応じて成形条件は適宜決定すればよいが、例えば、金型の温度が150~170℃、成形圧力が20MPa、成形時間が厚さ1mmあたり20~30秒である。

【0024】
本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法では、加熱ステップで加熱するメラミン樹脂を任意の形状に成形しておけば、その形状を維持した窒化炭素が得られる。このため、当該製造方法は、加熱ステップの前に、上述のようにメラミン樹脂を成形する成形ステップを含んでもよい。

【0025】
加熱ステップでは、メラミン樹脂が200~700℃、好ましくは250~600℃になるように加熱すればよい。加熱ステップでの昇温速度は特に限定されないが、メラミン樹脂表面の急激な温度上昇に起因するメラミン樹脂の変形などを回避するために、昇温速度は1~40℃/分、好ましくは3~20℃/分、より好ましくは10℃/分である。加熱時間は、製造する窒化炭素の形態に応じて適宜設定すればよい。加熱時間は、例えば、1~100時間、2~80時間または6~60時間である。

【0026】
メラミン樹脂を加熱するために使用する加熱装置は任意であるが、好ましくは、電気管状炉が用いられる。電気管状炉は、メラミン樹脂表面全体を均一に加熱できる点が好ましい。これにより、メラミン樹脂の部位によって反応の進行がばらつくことを抑えることができる。また、電気管状炉は管状であるため、メラミン樹脂が配置された内部を通気させることができるので、メラミン樹脂周囲の気体環境を制御しやすい。

【0027】
ここで、電気管状炉を用いた場合の窒化炭素の製造装置の一例を説明する。図1は、窒化炭素の製造装置100の概略図を示す。製造装置100は、電気管状炉1と、石英ガラス管2と、シリコン栓3と、送気管4と、を備える。電気管状炉1には、図1に示すように、石英ガラス管2が挿入されている。石英ガラス管2は、中空で、両端にそれぞれ開口部21、22を有する。石英ガラス管2の開口部21には、該開口部内面に密着するようにシリコン栓3が挿入される。

【0028】
シリコン栓3は、中空で、両端が開口している。シリコン栓3の、石英ガラス管2に挿入されていない一端の開口部31には、管状の送気管4が挿入される。石英ガラス管2、シリコン栓3および送気管4の接続部分は密閉されている。したがって、送気管4の内部を通って石英ガラス管2内に送られる空気は、石英ガラス管2の開口部22のみから外部に排出される。

【0029】
石英ガラス管2の内部に設置された燃焼皿5の上に、メラミン樹脂6が配置される。製造装置100では、電気管状炉1によって、メラミン樹脂6を加熱する。これにより、窒化炭素が得られる。

【0030】
メラミン樹脂はマッフル炉で加熱されてもよい。マッフル炉によれば、メラミン樹脂を直接加熱せず、間接的に加熱できる。間接的に加熱することで、メラミン樹脂の表面が汚れるのを防ぎ、かつメラミン樹脂の雰囲気を一定に保つことができる。

【0031】
メラミン樹脂の加熱には、マイクロ波合成裝置を用いてもよい。マイクロ波合成裝置によるマイクロ波加熱によって、メラミン樹脂の表面および内部を均一に加熱することができる。

【0032】
加熱ステップでは、メラミン樹脂は空気下で加熱されてもよいが、好ましくは減圧下で加熱されてもよい。例えば、メラミン樹脂は、50~900hPa、100~400hPaまたは150~250hPaの減圧下で加熱される。減圧下で加熱する場合は、例えば、図1の石英ガラス管2の開口部22に管を介して真空ポンプなどを接続することで、石英ガラス管2の内部を減圧できる。

【0033】
また、加熱ステップでは、空気より低い酸素濃度下でメラミン樹脂を加熱してもよい。空気より低い酸素濃度下でメラミン樹脂を加熱するには、例えば、メラミン樹脂が置かれた反応系内部に窒素ガスを所定の流速で通気すればよい。空気より低い酸素濃度下で加熱する場合は、例えば、図1の石英ガラス管2の開口部21から窒素ガスを石英ガラス管2の内部へ送気すればよい。

【0034】
本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法によれば、種々の窒化炭素が生成する。主な窒化炭素としては、g-Cが挙げられる。窒化炭素の組成、構造または化学結合の状態などは公知の分析方法で決定することができる。例えば、XPS、X線回折法(XRD)、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴法(NMR)および熱分解ガスクロマトグラフ-質量分析法(Py-GC-MS)などである。

【0035】
XPSでは、試料表面にX線を照射し、試料表面から放出される光電子の運動エネルギーを計測することで、電子の結合エネルギーを求める。当該結合エネルギーに基づいて元素の組成および化学結合状態などを分析することができる。

【0036】
例えば、本実施の形態に係る製造方法で得られた窒化炭素のXPSスペクトルによれば、加熱ステップの条件を調整することで、g-Cに限らず、多様な化学結合状態を有する窒化炭素が得られる。

【0037】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法は、形状の自由度が高いメラミン樹脂を加熱して窒化炭素を製造するので、あらかじめ成形されたメラミン樹脂の形状を維持した窒化炭素を製造できる。このため、例えば、マイクロカプセル、微粒子またはメソポーラス構造に形成したメラミン樹脂を用いれば、マイクロカプセル、微粒子またはメソポーラス構造の形状の窒化炭素を製造できる。

【0038】
なお、本実施の形態に係る製造方法では、加熱ステップにおいて、減圧下でメラミン樹脂を加熱してもよいこととした。減圧下で加熱することで、反応によって生成する窒化炭素以外の生成物が蒸発除去されるので、窒化炭素の生成を促進することができる。

【0039】
また、加熱ステップでは、空気より低い酸素濃度下でメラミン樹脂を加熱してもよいこととした。こうすることで、メラミン樹脂表面の過度の燃焼および酸化を防ぐことができる。その結果、メラミン樹脂の形状を維持しつつ、外観が損なわれない窒化炭素を製造できる。

【0040】
また、加熱ステップでは、3~20℃/分の昇温速度でメラミン樹脂を加熱してもよいこととした。当該昇温速度でメラミン樹脂を加熱することで、グラファイト状の窒化炭素が多く含まれる窒化炭素を製造できる。グラファイト状の窒化炭素は、電子基板材料として使用される有機半導体の他、可視光領域で水または有機化合物を分解する光触媒として利用できる。本実施の形態に係る形状の自由度がより高められたグラファイト状の窒化炭素は、有機半導体および光触媒として利用するうえでも極めて有用である。

【0041】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について、上記実施の形態1と異なる点について主に説明する。本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法では、加熱ステップが第1の加熱ステップと第2の加熱ステップとを含む。

【0042】
第1の加熱ステップでは、メラミン樹脂が温度T1(第1の温度)になるように加熱する。T1は、例えば、200~600℃、好ましくは200~300℃、特に好ましくは250℃である。

【0043】
第2の加熱ステップでは、メラミン樹脂が温度T1よりも高い温度T2(第2の温度)になるように加熱する。T2は、T1よりも高ければ任意であるが、例えば、200~600℃、好ましくは200~400℃、特に好ましくは300℃である。

【0044】
第1の加熱ステップおよび第2の加熱ステップの各加熱時間は、特に限定されず、例えば、1~100時間、2~80時間または6~60時間である。好適には、第2の加熱ステップの加熱時間が第1の加熱ステップの加熱時間よりも長い。例えば、第1の加熱ステップの加熱時間が10~30時間の場合、第2の加熱ステップの加熱時間は、40~80時間である。

【0045】
以上詳細に説明したように、本実施の形態に係る窒化炭素の製造方法では、メラミン樹脂をT1になるように加熱した後、さらにT1よりも高いT2になるように加熱することとした。これにより、T2より低温のT1でメラミン樹脂表面の過度の燃焼および酸化を防ぎつつ、さらにT2でメラミン樹脂内部の反応を十分に促進させることができる。

【0046】
なお、上記第1の加熱ステップおよび第2の加熱ステップの両方、または一方においても、上記実施の形態1に記載のように、減圧下でメラミン樹脂を加熱してもよいし、空気より低い酸素濃度下でメラミン樹脂を加熱してもよい。

【0047】
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
燃焼皿に乗せた1gのメラミン樹脂(エボスターS12、日本触媒社製)を、内部を窒素置換した石英ガラス菅に入れた。当該石英ガラス管を、温度コントローラーを装備したセラミックス電気環状炉(ARF30、アサヒ理科機器社製)に設置した。石英ガラス菅の一端から窒素ガスを流速0.4L/分で石英ガラス菅内部に流し、他端から窒素ガスが抜けるようにした。この状態で、石英ガラス管内部を昇温速度10℃/分で300℃まで加熱し、窒素雰囲気下で40時間温度を維持した。その結果、黄土色の生成物を得た。
【実施例】
【0049】
(結果)
実施例1で得られた黄土色の生成物を、走査型X線光電子分光分析裝置(AXIS-ULTRA DLD、島津製作所製)で解析した。XPSスペクトルによれば、物質中の原子の結合状態が定量的に推定できる。
【実施例】
【0050】
まず、比較のために、加熱する前のメラミン樹脂の窒素の1s軌道および炭素の1s軌道のXPSスペクトルを、それぞれ図2および図3に示す。窒素の1s軌道のXPSスペクトルでは、399~400eVに高い強度のピークが確認された。また、炭素の1s軌道のXPSスペクトルでは、284~285eVに高い強度のピークが確認された。
【実施例】
【0051】
一方、黄土色の生成物の窒素の1s軌道および炭素の1s軌道のスペクトルを、それぞれ図4および図5に示す。黄土色の生成物の窒素の1s軌道のスペクトルでは、398~399eVに高い強度のピークが確認された。メラミン樹脂の窒素の1s軌道のXPSスペクトル(図2参照)と比較すると、黄土色の生成物では、窒素の1s軌道のスペクトルにおけるピークが低い結合エネルギー側に若干シフトした。また、黄土色の生成物の炭素の1s軌道のスペクトルでは、284~285eVのピークに加え、288eVに高い強度のピークが確認された。
【実施例】
【0052】
(実施例2)
燃焼皿に乗せた1gのメラミン樹脂(エボスターS12、日本触媒社製)を、石英ガラス菅に入れた。当該石英ガラス管を、温度コントローラーを装備したセラミックス電気環状炉(ARF30、アサヒ理科機器社製)に設置した。石英ガラス菅の一端から空気を流速0.4L/分で石英ガラス菅内部に流し、他端から空気が抜けるようにした。この状態で、石英ガラス管内部を昇温速度10℃/分で250℃まで加熱し、24時間温度を維持した。その結果、黄土色の生成物を得た。
【実施例】
【0053】
(結果)
得られた黄土色の生成物の窒素の1s軌道および炭素の1s軌道のスペクトルを、それぞれ図6および図7に示す。黄土色の生成物の窒素の1s軌道のスペクトルでは、401~404eVあたりの強度が増加した。また、黄土色の生成物の炭素の1s軌道のスペクトルでは、284~285eVのピークに加え、288eV付近に高い強度のピークが確認された。
【実施例】
【0054】
(実施例3)
燃焼皿に乗せた1gのメラミン樹脂(エボスターS12、日本触媒社製)を、内部を窒素置換した石英ガラス菅に入れた。当該石英ガラス管を、温度コントローラーを装備したセラミックス電気環状炉(ARF30、アサヒ理科機器社製)に設置した。石英ガラス菅内部をダイヤフラムポンプで200hPaに減圧しつつ、昇温速度10℃/分で250℃まで加熱し、減圧下、温度を250℃に15時間維持した。その後、温度を300℃まで上げ、60時間加熱し、黄土色の生成物を得た。
【実施例】
【0055】
(実施例4)
るつぼに入れた5gのメラミン樹脂(エボスターS12、日本触媒社製)を、空気中でマッフル炉(STR25K型、いすゞ製作所社製)にて、昇温速度3℃/分で、250℃、350℃、あるいは600℃まで加熱し、2時間温度を維持した。その結果、黄褐色または黒色の目的物を得た。
【実施例】
【0056】
上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。すなわち、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内およびそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、窒化炭素、特にはグラフェン状の窒化炭素の製造に好適である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気管状炉
2 石英ガラス管
3 シリコン栓
4 送気管
5 燃焼皿
6 メラミン樹脂
21、22、31 開口部
100 製造装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6