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明細書 :家族性地中海熱のバイオマーカー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-058341 (P2017-058341A)
公開日 平成29年3月23日(2017.3.23)
発明の名称または考案の名称 家族性地中海熱のバイオマーカー
国際特許分類 G01N  33/53        (2006.01)
C12Q   1/68        (2006.01)
FI G01N 33/53 ZNAD
G01N 33/53 M
C12Q 1/68 A
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2015-185703 (P2015-185703)
出願日 平成27年9月18日(2015.9.18)
発明者または考案者 【氏名】古賀 智裕
【氏名】川上 純
【氏名】右田 清志
【氏名】佐藤 俊太朗
出願人 【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
【識別番号】504136993
【氏名又は名称】独立行政法人国立病院機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100080791、【弁理士】、【氏名又は名称】高島 一
【識別番号】100125070、【弁理士】、【氏名又は名称】土井 京子
【識別番号】100136629、【弁理士】、【氏名又は名称】鎌田 光宜
【識別番号】100121212、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 弥栄子
【識別番号】100117743、【弁理士】、【氏名又は名称】村田 美由紀
【識別番号】100163658、【弁理士】、【氏名又は名称】小池 順造
【識別番号】100174296、【弁理士】、【氏名又は名称】當麻 博文
【識別番号】100151301、【弁理士】、【氏名又は名称】戸崎 富哉
審査請求 未請求
テーマコード 4B063
Fターム 4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ28
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
要約 【課題】発作期の家族性地中海熱を迅速に精度よく診断するバイオマーカーの提供。
【解決手段】下記(a)~(d)からなる、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー:
(a)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、
(b)ICAM-1タンパク質またはICAM-1転写産物、
(c)IL-18タンパク質またはIL-18転写産物、
(d)IL-17タンパク質またはIL-17転写産物など。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記(a)~(d)からなる、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー:
(a)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、
(b)ICAM-1タンパク質またはICAM-1転写産物、
(c)IL-18タンパク質またはIL-18転写産物、
(d)IL-17タンパク質またはIL-17転写産物。
【請求項2】
生体から分離した検体について、請求項1に記載のバイオマーカーを定量することを含む、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法。
【請求項3】
検体が血清である、請求項2に記載の検査方法。
【請求項4】
下記(a)~(d)を用いて定量することを含む、請求項2又は3に記載の検査方法:
(a)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b)ICAM-1タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはICAM-1転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c)IL-18タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-18転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d)IL-17タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-17転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー。
【請求項5】
下記(a)~(d)を含む、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット:
(a)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b)ICAM-1タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはICAM-1転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c)IL-18タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-18転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d)IL-17タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-17転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー。
【請求項6】
下記(a’)~(d’)からなる、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー:
(a’)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、
(b’)G-CSFタンパク質またはG-CSF転写産物、
(c’)IL-10タンパク質またはIL-10転写産物、
(d’)IL-12p40タンパク質またはIL-12p40転写産物。
【請求項7】
生体から分離した検体について、請求項6に記載のバイオマーカーを定量することを含む、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法。
【請求項8】
検体が血清である、請求項7に記載の検査方法。
【請求項9】
下記(a’)~(d’)を用いて定量することを含む、請求項7又は8に記載の検査方法:
(a’)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b’)G-CSFタンパク質を特異的に認識し得る抗体またはG-CSF転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c’)IL-10タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-10転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d’)IL-12p40タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-12p40転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー。
【請求項10】
下記(a’)~(d’)を含む、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット:
(a’)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b’)G-CSFタンパク質を特異的に認識し得る抗体またはG-CSF転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c’)IL-10タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-10転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d’)IL-12p40タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-12p40転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、健常者と発作期の家族性地中海熱(Familial Mediterranean Fever (FMF))患者を区別するためのバイオマーカーに関する。より詳しくは、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17からなる健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーに関し、さらに当該バイオマーカーを定量することによる健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法に関する。本発明はまた、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーに関する。より詳しくは、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40からなる非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーに関し、さらに当該バイオマーカーを定量することによる非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
家族性地中海熱は周期性(発作期と非発作期)の発熱、関節炎、漿膜炎などの症状を特徴とする自己免疫疾患であり、患者の9割が20歳前に発症し、その半数以上が10歳前に発症する。家族性地中海熱は16番目染色体短腕に存在する家族性地中海熱遺伝子(Mediterranean Fever gene:MEFV遺伝子)の変異遺伝子をホモ接合型で有する場合に発症することが知られており、MEFV遺伝子はpyrinと呼ばれるタンパク質をコードしているが、その機能の全体像は明らかになっていない。本疾患は、スペイン・ポルトガル系のユダヤ人、北アフリカのアラブ人、アルメニア人、トルコ人、ギリシア人、イタリア人を中心とした地中海周辺の民族の出身者に比較的多くみられる疾患であるが、その他の民族においてもみられ、世界的には潜在的に10万人以上の患者が存在すると考えられている。本邦においても1,000-2,000人程度の患者がおり、その数は年々増加傾向にある。本邦における家族性地中海熱では、変異MEFV遺伝子がヘテロ接合型である症例、そもそもMEFV遺伝子の変異を認めない症例が、全体の90%を占めることが明らかとなっている。以上から、本邦においてみられる家族性地中海熱と地中海沿岸地域の家族性地中海熱は、遺伝学的に同一の疾患であるか否かは不明な点が多い。従って、家族性地中海熱を精度よく診断するためには、MEFV遺伝子の検査のみでは足らず、別の診断方法も加味して総合的に判断することが必要である。現在は主に、遺伝子検査と臨床症状に基づく診断がなされており、鑑別診断基準としては、急性間欠性ポルフィリン症、腹部発作を伴う遺伝性血管性浮腫、再発性膵炎、その他の遺伝性周期熱などの有無、ならびに治療薬としてのコルヒチンに対する反応性が挙げられる。しかしながら、家族性地中海熱と関節リウマチやその他の膠原病との臨床的な区別が困難であるため、未だに診断の精度に課題が残されている。
近年、家族性地中海熱のバイオマーカーの探索が進められている(非特許文献1、2)。しかし、これらのバイオマーカーは他の疾患においても上昇が確認されているため、公知のバイオマーカーのみによる検査では、家族性地中海熱に対する特異性に乏しいという課題があった。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Fujikawa K et al., Clin Exp Rheumatol. May-Jun; 31(3 Suppl 77):150-151, 2013
【非特許文献2】Yamazaki T et al., Modern Rheumatology. Early Online: 1-3, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、発作期の家族性地中海熱を迅速に精度よく検査するバイオマーカーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために、検討を重ねた結果、発作期の家族性地中海熱患者の血清中のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17濃度が健常者と比較して有意に高いことを見出した。さらに、本発明者らは、発作期の家族性地中海熱患者の血清中のIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40濃度が、非発作期の家族性地中海熱患者と比較して有意に高いことを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は以下よりなる。
[1]下記(a)~(d)からなる、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー:
(a)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、
(b)ICAM-1タンパク質またはICAM-1転写産物、
(c)IL-18タンパク質またはIL-18転写産物、
(d)IL-17タンパク質またはIL-17転写産物;
[2]生体から分離した検体について、前記[1]に記載のバイオマーカーを定量することを含む、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法;
[3]検体が血清である、前記[2]に記載の検査方法;
[4]下記(a)~(d)を用いて定量することを含む、前記[2]又は[3]に記載の検査方法:
(a)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b)ICAM-1タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはICAM-1転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c)IL-18タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-18転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d)IL-17タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-17転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー;
[5]下記(a)~(d)を含む、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット:
(a)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b)ICAM-1タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはICAM-1転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c)IL-18タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-18転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d)IL-17タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-17転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー;
[6]下記(a’)~(d’)からなる、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー:
(a’)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、
(b’)G-CSFタンパク質またはG-CSF転写産物、
(c’)IL-10タンパク質またはIL-10転写産物、
(d’)IL-12p40タンパク質またはIL-12p40転写産物;
[7]生体から分離した検体について、前記[6]に記載のバイオマーカーを定量することを含む、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法;
[8]検体が血清である、前記[7]に記載の検査方法;
[9]下記(a’)~(d’)を用いて定量することを含む、前記[7]又は[8]に記載の検査方法:
(a’)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b’)G-CSFタンパク質を特異的に認識し得る抗体またはG-CSF転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c’)IL-10タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-10転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d’)IL-12p40タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-12p40転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー;
[10]下記(a’)~(d’)を含む、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット:
(a’)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b’)G-CSFタンパク質を特異的に認識し得る抗体またはG-CSF転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c’)IL-10タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-10転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(d’)IL-12p40タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-12p40転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー。
【発明の効果】
【0007】
本発明のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17は、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーとなりうる。IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17をバイオマーカーとして定量することにより、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するため検査を行うことができる。また、本発明のIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40は、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーとなりうる。IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40をバイオマーカーとして定量することにより、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するため検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】A:健常者と発作性の家族性地中海熱患者のサイトカインレベルに関するRandom Forest analysisを示す図である。B:非発作性の家族性地中海熱患者と発作性の家族性地中海熱患者のサイトカインレベルに関するRandom Forest analysisを示す図である。縦軸は各サイトカインを示す。横軸は各サイトカインの重要度を表す。
【図2】A:IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17による健常者と発作性の家族性地中海熱患者を区別するため、これらのサイトカインを説明変数としたロジスティック回帰分析によって得られたROC曲線解析を示す図である。B:IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40による非発作期の家族性地中海熱患者と発作性の家族性地中海熱患者を区別するため、これらのサイトカインを説明変数としたロジスティック回帰分析によって得られたROC曲線解析を示す図である。
【図3】A:発作性の家族性地中海熱患者のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17レベルが相関関係にあることを示す図である。B:発作性の家族性地中海熱患者のIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40レベルが相関関係にあることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー(以下、本発明のバイオマーカーI)は、(a)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、(b)ICAM-1タンパク質またはICAM-1転写産物、(c)IL-18タンパク質またはIL-18転写産物、および(d)IL-17タンパク質またはIL-17転写産物からなる。また、本発明の非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカー(以下、本発明のバイオマーカーII)は、(a’)IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、(b’)G-CSFタンパク質またはG-CSF転写産物、(c’)IL-10タンパク質またはIL-10転写産物、および(d’)IL-12p40タンパク質またはIL-12p40転写産物からなる。

【0010】
本発明のバイオマーカーIに含まれるIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17の各タンパク質および本発明のバイオマーカーIIに含まれるIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40の各タンパク質は公知のタンパク質であり、それぞれGenbank Accession No.: P05231 (IL-6)、Genbank Accession No.: P05362 (ICAM-1)、Genbank Accession No.: Q14116 (IL-18)、Genbank Accession No.: Q16552 (IL-17)、Genbank Accession No.: P09919 (G-CSF)、Genbank Accession No.: P22301 (IL-10)およびGenbank Accession No.: P29460 (IL-12p40)としてアミノ酸配列が開示されている。本発明においてはIL-6、ICAM-1、IL-18、IL-17、G-CSF、IL-10およびIL-12p40の各タンパク質は、それぞれ配列番号:2、配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12および配列番号:14で表されるアミノ酸配列、あるいはこれと実質的に同一のアミノ酸配列を含むタンパク質であってよい。

【0011】
配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列と約60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、特に好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。ここで「相同性」とは、当該技術分野において公知の数学的アルゴリズムを用いて2つのアミノ酸配列をアラインさせた場合の、最適なアラインメント(好ましくは、該アルゴリズムは最適なアラインメントのために配列の一方もしくは両方へのギャップの導入を考慮し得るものである)における、オーバーラップする全アミノ酸残基に対する同一アミノ酸および類似アミノ酸残基の割合(%)を意味する。「類似アミノ酸」とは物理化学的性質において類似したアミノ酸を意味し、例えば、芳香族アミノ酸(Phe、Trp、Tyr)、脂肪族アミノ酸(Ala、Leu、Ile、Val)、極性アミノ酸(Gln、Asn)、塩基性アミノ酸(Lys、Arg、His)、酸性アミノ酸(Glu、Asp)、水酸基を有するアミノ酸(Ser、Thr)、側鎖の小さいアミノ酸(Gly、Ala、Ser、Thr、Met)などの同じグループに分類されるアミノ酸が挙げられる。このような類似アミノ酸による置換はタンパク質の表現型に変化をもたらさない(即ち、保存的アミノ酸置換である)ことが予測される。保存的アミノ酸置換の具体例は当該技術分野で周知であり、種々の文献に記載されている(例えば、Bowieら,Science, 247: 1306-1310 (1990)を参照)。
本明細書におけるアミノ酸配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;マトリクス=BLOSUM62;フィルタリング=OFF)にて計算することができる。アミノ酸配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、例えば、Karlinら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90: 5873-5877 (1993)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはNBLASTおよびXBLASTプログラム(version 2.0)に組み込まれている(Altschulら,Nucleic Acids Res., 25: 3389-3402 (1997))]、Needlemanら, J .Mol. Biol., 48: 444-453 (1970)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のGAPプログラムに組み込まれている]、MyersおよびMiller, CABIOS, 4: 11-17 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはCGC配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(version 2.0)に組み込まれている]、Pearsonら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85: 2444-2448 (1988)に記載のアルゴリズム[該アルゴリズムはGCGソフトウェアパッケージ中のFASTAプログラムに組み込まれている]等が挙げられ、それらも同様に好ましく用いられ得る。

【0012】
配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、前記の配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含み、配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列を含むタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。ここで「活性」とは、例えば、炎症活性などをいう。「実質的に同質」とは、それらの活性が定性的(例えば、生理学的または薬理学的)に同じであることを示す。したがって、前記活性は同等であることが好ましいが、これらの活性の程度(例えば、約0.1~約10培、好ましくは約0.5~約2倍)や蛋白質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。前記活性の測定は、自体公知の方法に準じて行なうことができる。

【0013】
また、本発明のIL-6、IL-17、IL-18、ICAM-1、IL-10、IL-12p40およびG-CSFの各タンパク質には、例えば、(1)配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列のうち1または2個以上(好ましくは、1~100個程度、好ましくは1~50個程度、さらに好ましくは1~10個程度、特に好ましくは1~数(2、3、4もしくは5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1~100個程度、好ましくは1~50個程度、さらに好ましくは1~10個程度、特に好ましくは1~数(2、3、4もしくは5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(3)配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1~50個程度、好ましくは1~10個程度、さらに好ましくは1~数(2、3、4もしくは5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、(4)配列番号:2(または配列番号:4、配列番号:6、配列番号:8、配列番号:10、配列番号:12もしくは配列番号:14)で表されるアミノ酸配列のうち1または2個以上(好ましくは、1~50個程度、好ましくは1~10個程度、さらに好ましくは1~数(2、3、4もしくは5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(5)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質なども含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が挿入、欠失または置換されている場合、その挿入、欠失または置換の位置は、タンパク質の活性が保持される限り特に限定されない。

【0014】
また、本発明のバイオマーカーIとしては、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17の各転写産物も含まれてよく、本発明のバイオマーカーIIとしては、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40の各転写産物も含まれてよい。本発明のバイオマーカーIに含まれるIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17の各転写産物および本発明のバイオマーカーIIに含まれるIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40の各転写産物は公知の転写産物であり、それぞれGenbank Accession No.: NM_000600 (IL-6)、Genbank Accession No.: NM_000201 (ICAM-1)、Genbank Accession No.: NM_001562 (IL-18)、Genbank Accession No.: NM_002190 (IL-17)、Genbank Accession No.: NM_000759 (G-CSF)、Genbank Accession No.: NM_000572 (IL-10)およびGenbank Accession No.:NM_002187 (IL-12p40)として塩基配列が開示されている。本発明においてはIL-6、ICAM-1、IL-18、IL-17、G-CSF、IL-10およびIL-12p40の各転写産物は、それぞれ配列番号:1 (IL-6)、配列番号:3 (ICAM-1)、配列番号:5 (IL-18)、配列番号:7 (IL-17)、配列番号:9 (G-CSF)、配列番号:11 (IL-10)および配列番号:13 (IL-12p40)で表される塩基配列と同一または実質的に同一な塩基配列を含む核酸などが挙げられる。
配列番号:1(あるいは配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13)で表される塩基配列と実質的に同一な塩基配列を含む核酸としては、例えば、配列番号:1(あるいは配列番号:3、配列番号:5、配列番号:7、配列番号:9、配列番号:11または配列番号:13)で表される塩基配列と約60%以上、好ましくは約70%以上、さらに好ましくは約80%以上、特に好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列を含有し、前記したIL-6(あるいはICAM-1、IL-18、IL-17、G-CSF、IL-10またはIL-12p40)と実質的に同質の活性を有するタンパク質をコードする核酸などが用いられる。
本明細書における塩基配列の相同性は、相同性計算アルゴリズムNCBI BLAST(National Center for Biotechnology Information Basic Local Alignment Search Tool)を用い、以下の条件(期待値=10;ギャップを許す;フィルタリング=ON;マッチスコア=1;ミスマッチスコア=-3)にて計算することができる。塩基配列の相同性を決定するための他のアルゴリズムとしては、上記したアミノ酸配列の相同性計算アルゴリズムが同様に好ましく例示される。

【0015】
後述する実施例の通り、発明者らは、発作期の家族性地中海熱であると臨床的に診断された被験者の血清中における本発明のバイオマーカーIのレベルが健常者に比べて有意に高いことを確認した。従って、本発明は、生体から分離した検体について、本発明のバイオマーカーIを定量することを含む、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法(以下、本発明の検査方法I)を提供する。また、発明者らは、発作期の家族性地中海熱であると臨床的に診断された被験者の血清中における本発明のバイオマーカーIのレベルが非発作期の家族性地中海熱であると臨床的に診断された被験者に比べて有意に高いことを確認した。従って、本発明は、生体から分離した検体について、本発明のバイオマーカーIIを定量することを含む、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査方法(以下、本発明の検査方法II)を提供する。

【0016】
本発明の検査方法Iが適用できる生体は、特に制限されないが、例えば、発作期の家族性地中海熱に罹患しているおそれがある生体、もしくは罹患していることが疑われる生体、あるいは現に発作期の家族性地中海熱に罹患している生体が挙げられる。また、本発明の検査方法IIが適用できる生体は、特に制限されないが、例えば、家族性地中海熱に罹患しているが、該疾患が発作期なのか非発作期なのか判断できない場合の生体が挙げられる。生体としては、例えば、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ等が挙げられる。好ましい生体は、ヒトである。

【0017】
本発明の検査方法I(または、本発明の検査方法II)に用いられる検体としては、検査対象である上記生体から分離されるものであって、検出または定量する対象である本発明のバイオマーカーI(IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、ICAM-1タンパク質またはICAM-1転写産物、IL-18タンパク質またはIL-18転写産物、およびIL-17タンパク質またはIL-17転写産物)[または、本発明のバイオマーカーII(IL-6タンパク質またはIL-6転写産物、G-CSFタンパク質またはG-CSF転写産物、IL-10タンパク質またはIL-10転写産物、およびIL-12p40タンパク質またはIL-12p40転写産物)]を含有し得る組織または分泌物等であれば特に制限されない。例えば、血液、血漿、血清などが挙げられるが、好ましくは、血清である。

【0018】
生体から分離した検体における本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の定量は、該検体からRNA(例:全RNA、mRNA)画分を調製し、該画分中に含まれる本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の転写産物を検出または定量することにより調べることができる。
従って、一実施態様において、本発明の検査方法Iは、IL-6転写産物、ICAM-1転写産物、IL-18転写産物およびIL-17転写産物をそれぞれ特異的に検出し得る核酸プローブまたは核酸プライマーを用いて測定することを含む。また、一実施態様において、本発明の検査方法IIは、IL-6転写産物、G-CSF転写産物、IL-10転写産物およびIL-12p40転写産物をそれぞれ特異的に検出し得る核酸プローブまたは核酸プライマーを用いて測定することを含む。

【0019】
RNA画分の調製は、グアニジン-CsCl超遠心法、AGPC法など公知の手法を用いて行うことができるが、市販のRNA抽出用キット(例:RNeasy Mini Kit;QIAGEN製等)を用いて、微量検体から迅速且つ簡便に高純度の全RNAを調製することができる。RNA画分中のIL-6転写産物、ICAM-1転写産物、IL-18転写産物およびIL-17転写産物(または、IL-6転写産物、G-CSF転写産物、IL-10転写産物およびIL-12p40転写産物)を検出する手段としては、例えば、ハイブリダイゼーション(ノーザンブロット、ドットブロット等)を用いる方法、あるいはPCR(RT-PCR、競合PCR、リアルタイムPCR等)を用いる方法などが挙げられる。微量検体から迅速且つ簡便に定量性よくIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各遺伝子の発現変動を検出できる点で競合PCRやリアルタイムPCRなどの定量的PCR法が好ましい。

【0020】
ノーザンブロットまたはドットブロットハイブリダイゼーションによる場合、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17遺伝子(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40遺伝子)の検出は、例えば、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブを用いて行うことができる。そのような核酸プローブは、前述の公知のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各転写産物であるポリヌクレオチドのうち、約15塩基以上、好ましくは約18~約500塩基、より好ましくは約18~約200塩基、いっそう好ましくは約18~約50塩基の連続したヌクレオチド配列またはその相補配列をふくむポリヌクレオチドである。該核酸はDNAであってもRNAであってもよく、あるいはDNA/RNAキメラであってもよい。好ましくはDNAが挙げられる。また、プローブとして用いられる核酸は、二本鎖であっても一本鎖であってもよい。二本鎖の場合は、二本鎖DNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAのハイブリッドでもよい。一本鎖の場合は、アンチセンス鎖を用いることができる。

【0021】
また、本発明の検査方法I(または、本発明の検査方法II)に用いられる核酸プローブは、前述の公知のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17 (または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各転写産物であるポリヌクレオチドにストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドである。ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)第2版(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab.Press,1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。ストリンジェントな条件としては、例えば、6×SSC(sodium chloride/sodium citrate)中45℃でのハイブリダイゼーション反応の後、0.2×SSC/0.1%SDS中65℃での一回以上の洗浄などが挙げられる。当業者は、ハイブリダイゼーション溶液の塩濃度、ハイブリダゼーション反応の温度、プローブ濃度、プローブの長さ、ミスマッチの数、ハイブリダイゼーション反応の時間、洗浄液の塩濃度、洗浄の温度等を適宜変更することにより、所望のストリンジェンシーに容易に調節することができる。

【0022】
IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17遺伝子(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40遺伝子)の発現を検出し得るプローブとして機能する核酸は、該遺伝子の転写産物の一部もしくは全部を増幅し得るプライマーセットを用い、生体(例:ヒト、サル、マウス、ラット、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、ウサギ、ハムスター、モルモット等)のあらゆる細胞[例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑筋細胞、線維芽細胞、線維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくは癌細胞など]もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組織[例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆嚢、骨髄、副腎、皮膚、肺、消化管(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、脂肪組織、骨格筋など]由来のcDNAもしくはゲノムDNAを鋳型としてPCR法によって所望の長さの核酸を増幅するか、前記した細胞・組織由来のcDNAもしくはゲノムDNAライブラリーから、コロニーもしくはプラークハイブリダイゼーション等により上記の遺伝子もしくはcDNAをクローニングし、必要に応じて制限酵素等を用いて適当な長さの断片とすることにより取得することができる。ハイブリダイゼーションは、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)第2版(前述)に記載の方法などに従って行なうことができる。あるいは、該核酸は、公知のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)に示される塩基配列情報に基づいて、該塩基配列および/またはその相補鎖配列の一部もしくは全部を市販のDNA/RNA自動合成機等を用いて化学的に合成することによっても得ることができる。

【0023】
該核酸は、標的核酸の検出・定量を可能とするために、標識剤により標識されていることが好ましい。標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔32P〕、〔3H〕、〔14C〕などが用いられる。酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、アルカリホスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用いられる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられる。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられる。さらに、プローブと標識剤との結合にビオチン-(ストレプト)アビジンを用いることもできる。

【0024】
ノーザンハイブリダイゼーションによる場合は、上記のようにして調製したRNA画分をゲル電気泳動にて分離した後、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフロリド等のメンブレンに転写し、上記のようにして調製された標識プローブを含むハイブリダイゼーション緩衝液中、特異的にハイブリダイゼーションさせた後、適当な方法でメンブレンに結合した標識量をバンド毎に測定することにより、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17遺伝子(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40遺伝子)の発現量を測定することができる。ドットブロットの場合も、RNA画分をスポットしたメンブレンを同様にハイブリダイゼーション反応に付し、スポットの標識量を測定することにより、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17遺伝子(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40遺伝子)の発現量を測定することができる。

【0025】
別の好ましい実施態様によれば、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17遺伝子(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40遺伝子)の発現を測定する方法として定量的PCR法が用いられる。定量的PCRとしては、例えば、競合PCRやリアルタイムPCRなどがある。
PCRにおいてプライマーとして用いられるオリゴヌクレオチドのセットとしては、例えば、IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各転写産物を特異的に検出し得る核酸プライマーを挙げることができる。1つの好ましい態様においては、本発明の検査方法Iに用いられる核酸プライマーとしては、例えば、公知のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17(または、IL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40)の各転写産物であるポリヌクレオチドのうち、約15塩基以上、好ましくは約15~約50塩基、より好ましくは約15~約30塩基、いっそう好ましくは約15~約25塩基の連続したヌクレオチド配列の長さを有し、約100bp~数kbpのDNA断片を増幅するようにデザインされたポリヌクレオチド(センス鎖)配列に相補的なポリヌクレオチド、及び前記のポリヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド(アンチセンス鎖)にハイブリダイズし得るポリヌクレオチドのオリゴヌクレオチドのセットが挙げられる。

【0026】
あるいは、生体から分離した検体における本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の検出または定量は、該検体からタンパク質画分を調製し、該画分中に含まれる該遺伝子の翻訳産物(即ち、IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質[または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質])を検出または定量することにより調べることができる。IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質(または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質)の検出または定量は、各タンパク質を特異的に認識する抗体を用いて、免疫学的測定法(例:ELISA、FIA、RIA、ウェスタンブロット等)によって行うこともできる。
従って、一実施態様において、本発明の検査方法Iは、IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質をそれぞれ特異的に検出し得る抗体を用いて測定することを含む。また、一実施態様において、本発明の検査方法IIは、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質をそれぞれ特異的に検出し得る抗体を用いて測定することを含む。

【0027】
IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質(または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質)をそれぞれ特異的に認識する抗体は、IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質(または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質)やその抗原性を有する部分ペプチド、具体的には、前述の公知のIL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質(または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質)のペプチド配列の全部またはエピトープに当たる部分を有する部分ペプチドを免疫原として用い、既存の一般的な製造方法によって製造することができる。本明細書において、抗体には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体(mAb)等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体、ヒト化抗体や一本鎖抗体、およびこれらの結合性断片が含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体又はこれらの結合性断片である。結合性断片とは、特異的結合活性を有する前述の抗体の一部分の領域を意味し、具体的には例えばF(ab’)、Fab’、Fab、Fv、sFv、dsFv、sdAb等が挙げられる(Exp. Opin. Ther. Patents, Vol.6, No.5, p.441-456, 1996)。抗体のクラスは、特に限定されず、IgG、IgM、IgA、IgDあるいはIgE等のいずれのアイソタイプを有する抗体をも包含する。好ましくは、IgG又はIgMであり、精製の容易性等を考慮するとより好ましくはIgGである。また、本発明においては、IL-6タンパク質、ICAM-1タンパク質、IL-18タンパク質およびIL-17タンパク質(または、IL-6タンパク質、G-CSFタンパク質、IL-10タンパク質およびIL-12p40タンパク質)を特異的に認識する抗体として、市販の抗体または抗体を含むキットを使用することもまた好ましい。

【0028】
個々の免疫学的測定法を本発明の検査方法I(または、本発明の検査方法II)に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。例えば、入江寛編「ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江寛編「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol.70(Immunochemical Techniques(Part A))、同書Vol.73(Immunochemical Techniques(Part B))、同書Vol.74(Immunochemical Techniques(Part C))、同書Vol.84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、同書Vol.92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、同書Vol.121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。

【0029】
また、別の実施態様では、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の検出は、ハイスループットなタンパク質の発現・定量解析が可能なiTRAQTM試薬(ABI社)及び質量分析計の組み合わせによりプロテオーム解析を用いて測定することを特徴とする。

【0030】
本発明の検査方法Iにおいて、本発明のバイオマーカーIの定量により、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査を行うことができる。具体的には、以下の工程を含む方法であってよい。
(1)健常者および被験者の生体から分離した検体について本発明のバイオマーカーIを定量する工程、
(2)健常者および被験者で定量された本発明のバイオマーカーIを互いに比較する工程。
本発明の検査方法IIにおいて、本発明のバイオマーカーIIの定量により、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査を行うことができる。具体的には、以下の工程を含む方法であってよい。
(1)非発作期の家族性地中海熱患者および被験者の生体から分離した検体について本発明のバイオマーカーIIを定量する工程、
(2)非発作期の家族性地中海熱患者および被験者で定量された本発明のバイオマーカーIIを互いに比較する工程。

【0031】
後述の実施例に示されるように、健常者と比較して発作期の家族性地中海熱患者において血清中の本発明のバイオマーカーIの濃度が高い。従って、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査は、例えば、発作期の家族性地中海熱を発症していない健常者及び被験者からの検体における本発明のバイオマーカーIの濃度を定量し、被験者からの検体における本発明のバイオマーカーIの濃度を、健常者からの検体における本発明のバイオマーカーIの濃度と比較する。あるいは、本発明のバイオマーカーIの濃度と発作期の家族性地中海熱の発症の有無との相関図をあらかじめ作成しておき、被験者における本発明のバイオマーカーIの濃度をその相関図と比較してもよい。
そして、被験者において本発明のバイオマーカーIが、健常者に比べて高値で検出された場合には、上記のような発作期の家族性地中海熱を発症している可能性が高いと判断することができる。従って、本発明の検査方法Iは、上記(1)、(2)の工程に加えて、(3)被験者において本発明のバイオマーカーIが、健常者に比べて高値で検出された場合には、発作期の家族性地中海熱を発症していると判断する工程を含んでもよい。

【0032】
同様に、後述の実施例に示されるように、非発作期の家族性地中海熱患者と比較して発作期の家族性地中海熱患者において血清中の本発明のバイオマーカーIIの濃度が高い。従って、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査は、例えば、非発作期の家族性地中海熱患者及び被験者からの検体における本発明のバイオマーカーIIの濃度を定量し、被験者からの検体における本発明のバイオマーカーIIの濃度を、非発作期の家族性地中海熱患者からの検体における本発明のバイオマーカーIIの濃度と比較する。あるいは、本発明のバイオマーカーIIの濃度と家族性地中海熱の非発作期から発作期への移行の有無との相関図をあらかじめ作成しておき、被験者における本発明のバイオマーカーIIの濃度をその相関図と比較してもよい。濃度の比較は、好ましくは、有意差の有無に基づいて行われる。
そして、被験者において本発明のバイオマーカーIIが、非発作期の家族性地中海熱患者に比べて高値で検出された場合には、上記のような発作期の家族性地中海熱を発症している可能性が高いと判断することができる。従って、本発明の検査方法IIは、上記(1)、(2)の工程に加えて、(3)被験者において本発明のバイオマーカーIIが、非発作期の家族性地中海熱患者に比べて高値で検出された場合には、発作期の家族性地中海熱を発症していると判断する工程を含んでもよい。

【0033】
さらに、本発明は、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット(以下、本発明の検査キットI)を提供する。本発明の検査キットIは、上述の本発明の検査方法Iを簡便に実施するためのキットであればよく、特に限定されないが、好ましくは、
(a)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b)ICAM-1タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはICAM-1転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c)IL-18タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-18転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、および
(d)IL-17タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-17転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー
を含む。
また、本発明は、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するための検査キット(以下、本発明の検査キットII)を提供する。本発明の検査キットIIは、上述の本発明の検査方法IIを簡便に実施するためのキットであればよく、特に限定されないが、好ましくは、
(a’)IL-6タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-6転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(b’)G-CSFタンパク質を特異的に認識し得る抗体またはG-CSF転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、
(c’)IL-10タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-10転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー、および
(d’)IL-12p40タンパク質を特異的に認識し得る抗体またはIL-12p40転写産物を特異的に検出し得る核酸プローブもしくは核酸プライマー
を含む。

【0034】
本発明の検査キットI(または、本発明の検査キットII)が前記の核酸プローブまたは核酸プライマーを構成として含む場合、該核酸プローブまたは核酸プライマーとしては、本発明の検査方法I(または、本発明の検査キットII)において前記したプローブ用核酸もしくはプライマー用オリゴヌクレオチドが挙げられる。

【0035】
本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出し得る核酸は、乾燥した状態もしくはアルコール沈澱の状態で、固体として提供することもできるし、水もしくは適当な緩衝液(例:TE緩衝液等)中に溶解した状態で提供することもできる。標識プローブとして用いられる場合、該核酸は予め上記のいずれかの標識物質で標識した状態で提供することもできるし、標識物質とそれぞれ別個に提供され、用時標識して用いることもできる。
あるいは、該核酸は、適当な固相に固定化された状態で提供することもできる。固相としては、例えば、ガラス、シリコン、プラスチック、ニトロセルロース、ナイロン、ポリビニリデンジフロリド等が挙げられるが、これらに限定されない。また、固定化手段としては、予め核酸にアミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入しておき、一方、固相上にも該核酸と反応し得る官能基(例:アルデヒド基、アミノ基、SH基、ストレプトアビジンなど)を導入し、両官能基間の共有結合で固相と核酸を架橋したり、ポリアニオン性の核酸に対して、固相をポリカチオンコーティングして静電結合を利用して核酸を固定化するなどの方法が挙げられるが、これらに限定されない。

【0036】
本発明の検査キットI(または、本発明の検査キットII)に含有される核酸は、同一の方法(例:ノーザンブロット、ドットブロット、DNAアレイ技術、定量RT-PCR等)により本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出し得るように構築されていることが特に好ましい。

【0037】
本発明の検査キットI(または、本発明の検査キットII)が前記の抗体を含有する試薬を構成として含む場合、該抗体としては、本発明の検査方法I(または、本発明の検査方法II)において前記した抗体が挙げられる。

【0038】
本発明の検査キットI(または、本発明の検査キットII)を構成する試薬は、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出し得る核酸や抗体に加えて、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出するための反応において必要な他の物質であって、共存状態で保存することにより反応に悪影響を及ぼさない物質をさらに含有することができる。あるいは、該試薬は、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出するための反応において必要な他の物質を含有する別個の試薬とともに提供されてもよい。例えば、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出するための反応がPCRの場合、当該他の物質としては、例えば、反応緩衝液、dNTPs、耐熱性DNAポリメラーゼ等が挙げられる。競合PCRやリアルタイムPCRを用いる場合は、competitor核酸や蛍光試薬(上記インターカレーターや蛍光プローブ等)などをさらに含むことができる。また、本発明のバイオマーカーI(または、本発明のバイオマーカーII)の発現を検出するための反応が抗原抗体反応の場合、当該他の物質としては、例えば、反応緩衝液、competitor抗体、標識された二次抗体(例えば、一次抗体がウサギ抗体の場合、ペルオキシダーゼやアルカリホスファターゼ等で標識されたマウス抗ウサギIgGなど)、ブロッキング液等が挙げられる。
【実施例】
【0039】
以下に、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではないことは明らかである。
【実施例】
【0040】
患者および対照者
本実施例の研究は、大学病院医療情報ネットワーク臨床試験登録(UMIN-CTR)にUMIN000015881として登録されている。本実施例の研究対象集団は、長崎大学、信州大学、金沢大学および長崎医療センターからのTel Hashomerの診断基準(Livneh A, Langevitz P, Zemer D, et al. Criteria for the diagnosis of familial Mediterranean fever. Arthritis Rheum. 1997; 40(10):1879-85)を満たす、典型的な家族性地中海熱の日本人患者(44名の女性および31名の男性;平均年齢34.0歳、標準偏差19.3)および年齢および性別が一致した33名の健常者からなる。MEFV遺伝子型の分布は以下の通りだった:M694I/M694I, 5名; M694I/-, 3名; M694I/E148Q, 14名; M694I/P715L, 1名; E148Q/-, 6名; L110P/E148Q/E148Q, 1名; L110P/E148Q, 4名; L110P/E148Q/R202Q, 3名; L110P/E148Q/P369S, 1名; E148Q/P369S/R408Q, 1名; E84K/-, 2名, E84K/G304R, 1名; G304R/-, 1名; S503C/-, 1; 変異無し, 5名。血液試料を2,000gで5分間遠心し、上清を回収し、アッセイ前まで-80℃で保存した。全ての患者は長崎大学および関連センターの施設内倫理委員会によって承認されたプロトコル(承認番号14092946)を受けるインフォームド・コンセントにサインした。
【実施例】
【0041】
複合型サイトカインアッセイ
発明者らは、説明書に従いBio-Plex Pro Human Cytokine (Bio-Rad, Hercules, CA)およびMilliplex MAP Human Cytokine/Chemokine Panel 1 (Millipore, Billerica, MA)を用いて、複合型サイトカインビーズアッセイを実施した。インターロイキン-1b (IL-1b), IL-1RA, IL-2, IL-4, IL-5, IL-6, IL-7, IL-8, IL-10, IL-12 (p40), IL-12 (p70), IL-17, IL-18, 腫瘍壊死因子-a (TNF-a), インターフェロン-a(IFN-a), IFN-g, 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF), 顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF), 血管内皮成長因子(VEGF), ICAM-1, VCAM-1, 線維芽細胞増殖因子2 (FGF2), CCL2 [単球遊走因子-1 (MCP-1)/MCAF], CCL3 [マクロファージ炎症性タンパク質-1a (MIP-1a)], CCL4 [マクロファージ炎症性タンパク質-1b (MIP-1b)], CCL22 [ヒトマクロファージ由来ケモカイン(MDC)], CXCL1[増殖制御タンパク質α前駆体(GRO)], CXCL10[インターフェロンγ誘導性タンパク質10 (IP-10)]およびCX3CL1 (Fractalkine)を含む45のサイトカインのうち、33のサイトカインをさらなる解析に供試した。
【実施例】
【0042】
統計解析
両群間(健常者vs発作期の家族性地中海熱患者、健常者vs非発作期の家族性地中海熱患者)のサイトカインレベルを比較するためにDunn multiple comparisons testを用いた。結果を表1に示す。p-value <0.05で有意であるとみなした。【0043】
【表1】
JP2017058341A_000002t.gif
【実施例】
【0044】
さらに、発明者らは、R package random Forest Version 4.5-34,22(Kokkonen H, Soderstrom I, Rocklov J, et al. Up-regulation of cytokines and chemokines predates the onset of rheumatoid arthritis. Arthritis Rheum. 2010; 62(2):383)を用いたRandom Forest analysis (RFA)という名称の多変数分類アルゴリズムによってサイトカインレベルをランキングした。結果を図1に示す。
【実施例】
【0045】
次に発明者らは、両群間(健常者vs発作期の家族性地中海熱患者、非発作期の家族性地中海熱患者vs発作期の家族性地中海熱患者)を区別するために最も感度や特異性の高いサイトカインマーカーのセットを抽出した。健常者と発作性の家族性地中海熱患者を区別するためのサイトカインの組み合わせとして、図1Aの上位4種であるIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17を選択した。また、非発作期の家族性地中海熱患者と発作性の家族性地中海熱患者を区別するためのサイトカインの組み合わせとして、図1Bの上位4種であるIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40を選択した。それぞれ4種類のサイトカインについて、受信者動作特性(ROC)曲線を取得し、曲線下面積(AUC)を計算した。結果を図2に示す。統計解析は、R (R 3.2.0 GUI 1.65 Mavericks build) およびJMP pro 11.2 software (SAS Institute, Cary, NC, USA)を用いた。
【実施例】
【0046】
さらに、発明者らは、健常者と発作性の家族性地中海熱患者区別するためのサイトカインIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17が相関関係にあるか否かをSpearman(スピアマン)の順位相関係数を用いて調べた。結果を図3Aに示す。IL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17のサイトカインレベルが互いに相関することを確認した。同様に、非発作期の家族性地中海熱患者と発作性の家族性地中海熱患を区別するためのサイトカインIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40が相関関係にあるか否かを調べ、同じ結果を得た(図3B)。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のIL-6、ICAM-1、IL-18およびIL-17は、健常者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーとなりうる。また、本発明のIL-6、G-CSF、IL-10およびIL-12p40は、非発作期の家族性地中海熱患者と発作期の家族性地中海熱患者を区別するためのバイオマーカーとなりうる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2