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明細書 :生体情報取得装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-035174 (P2017-035174A)
公開日 平成29年2月16日(2017.2.16)
発明の名称または考案の名称 生体情報取得装置
国際特許分類 A61B   5/04        (2006.01)
A61B   5/0408      (2006.01)
A61B   5/0478      (2006.01)
A61B   5/0492      (2006.01)
FI A61B 5/04 R
A61B 5/04 300J
A61B 5/04 300E
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2015-156793 (P2015-156793)
出願日 平成27年8月7日(2015.8.7)
発明者または考案者 【氏名】徳田 崇
【氏名】太田 淳
【氏名】笹川 清隆
【氏名】野田 俊彦
【氏名】竹原 宏明
出願人 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001069、【氏名又は名称】特許業務法人京都国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C027
Fターム 4C027AA01
4C027EE01
4C027KK01
要約 【課題】複雑な3次元曲面形状を有する脳の表面への接触性を改善し、脳の広い範囲に対し高い空間分解能で脳機能情報を取得可能な生体情報取得装置を提供する。
【解決手段】脳表面から電気信号を拾う電極11、脳へ刺激光を与えるLED13、それに対する散乱光等を検出するPD14などをリジッド基板10上に搭載した上面視六角形形状の計測サブユニット1を2次元ハニカム状に多数配置しユニット1同士をFPC基板である連結部17で接続する。多数の計測サブユニット1の電極11等で得られた信号はバスライン方式で送られるので、一つの計測サブユニット1に繋がる複数の連結部17は同じ信号を送受し、制御ユニットへ信号を送るケーブル線4が接続されている計測サブユニットに繋がる一つの経路を確保すれば適宜の連結部17を切断でき、計測サブユニット1の動きの自由度が増し、各計測サブユニット1の電極11、12を脳表面に良好に密着させる。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
各種の実験動物やヒトを含む生体の表面又は該生体内部の特定部位の表面から電気的及び/又は光学的に生体情報を収集する生体情報取得装置であって、
a)それぞれが生体表面又は生体内部の特定部位の表面に接触するように設けられ、電気的に生体情報を取得する電極部、及び/又は、光学的に生体情報を取得する受光部、を含む略平板状である複数の計測サブユニットと、
b)2次元的に配置されてなる前記複数の計測サブユニットがその位置関係を維持し得るように一つの計測サブユニットとその周囲に配置されている他の計測サブユニットとを繋ぐようにその間にそれぞれ設けられ、一つの計測サブユニットと隣接する他の計測サブユニットとを電気的に接続する信号線を含むフレキシブル基板による複数の連結部と、
c)前記複数の計測サブユニットのうちの一つに接続され、その複数の全ての計測サブユニットの電極部及び/又は受光部で得られた生体情報を反映した信号を外側へ取り出すための取り出し配線部と、
を有する計測ユニットを少なくとも一つ備え、該計測ユニットにあって、任意の一つの計測サブユニットとその周囲に配置されている他の複数の計測サブユニットとの間にそれぞれ設けられている複数の前記連結部の信号線は同じ電気信号を送受するように構成されていることを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体情報取得装置であって、
前記計測ユニットに含まれる全ての連結部に含まれる信号線を共通のバスラインとし、前記計測サブユニットに搭載されている電気回路はそれぞれ共通のバスラインに接続されることを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生体情報取得装置であって、
前記連結部は、外部から力を加えない状態で略U字状に屈曲した状態を保つように立体形状加工されたフレキシブル基板からなることを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の生体情報計測装置であって、
被検体の脳の表面から電気的及び/又は光学的に生体情報を収集する装置であり、
被検体の頭蓋骨の一部に代えて該頭蓋骨に装着される人工頭蓋骨の内側に前記計測ユニットを保持する保持部を設け、該保持部により前記計測ユニットを人工頭蓋骨と脳との間の間隙に保持するようにしたことを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項5】
請求項4に記載の生体情報取得装置であって、
前記連結部はU字状に立体形状加工されたフレキシブル基板から成り、該U字状の突部が人工頭蓋骨の内面に向くように該連結部を設け、該U字状の突部を前記保持部で保持するようにしたことを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の生体情報取得装置であって、
前記人工頭蓋骨の所定位置に形成された開口に挿通され、その内側に向いた面が前記計測サブユニットに当接する押圧部を複数備え、人工頭蓋骨の外側から押圧部を挿入する長さを調整することで該押圧部による前記計測サブユニットの押し付け状態を調整し、該計測サブユニットに含まれる電極部と脳表面との密着性を確保するようにしたことを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項7】
請求項4又は5に記載の生体情報取得装置であって、
前記人工頭蓋骨の内部に液体が流通する又は貯留される通液路を形成するととともに、該人工頭蓋骨と前記計測サブユニットとの間に、前記通液路中の液体によって押圧される柔軟性を有する押圧部を設け、前記通液路に流す又は溜める液体の液圧を調整することで該押圧部による前記計測サブユニットの押し付け状態を調整するようにしたことを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか1項に記載の生体情報取得装置であって、
前記人工頭蓋骨は被検体の頭蓋骨に固定されるホルダに対して装着され、該人工頭蓋骨の外側に重ねた制御ユニット用ハウジングを前記ホルダに対し装着し、該制御ユニット用ハウジングの内部に、少なくとも前記計測ユニットに搭載された電気回路を制御する回路及び被検体の体外に設置された体外ユニットとの間での無線での信号送受を行う回路を含む制御ユニットを配設することを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の生体情報取得装置であって、
前記連結部が切断されたときに、その切断を検知可能な切断検知部を備えることを特徴とする生体情報取得装置。
【請求項10】
各種の実験動物やヒトを含む生体の表面又は該生体内部の特定部位の表面から生体情報を取得する生体情報取得装置であって、
a)生体表面又は生体内部の特定部位の表面に密着するように設けられる可撓性を有するメッシュ状部材であって、そのメッシュを構成する各線状部材が導電性線材を含む表面被覆部と、
b)前記表面被覆部の導電性線材の切断を検知する切断検知部と、
を備えることを特徴とする生体情報取得装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の実験動物や人間(ヒト)等の生体における様々な生体関連情報を取得するための生体情報取得装置に関し、さらに詳しくは、少なくとも一部が、生体の外表面や生体内の臓器等の特定の部位の表面に接触するように取り付けられ、その生体外表面や生体内部位の表面を通して生体関連情報を取得する生体情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の脳科学や医療用計測技術の進展は目覚ましく、脳機能関連情報を収集するための各種のセンシングデバイスや新しい脳機能イメージング技術が実現されている。脳機能関連情報計測用のデバイスは、大別して侵襲型と非侵襲型とに区分される。侵襲型とは電極などを直接的に脳に接触させるために、被検体の頭皮や頭蓋骨の切開など、何らかの外科的手術をも伴うものである。これに対し、非侵襲型とは被検体の頭部の外側から間接的に(つまり頭皮や頭蓋骨などを通して)脳にアクセスし、何らかの脳機能関連情報を取得するものである。
【0003】
非侵襲型装置は生体に対する損傷を与えない又は抑えられるという点で優れているものの、取得可能な情報の種類や精度等にはかなりの制約がある。そのため、高い精度、高い分解能で脳機能関連情報を得るため、或いは、通常の活動を行っている状態の被検体の脳機能関連情報を或る程度長期間に亘り取得するためには、少なくとも装置の一部を被検体の脳に接触させる侵襲型脳計測が必要である。
【0004】
侵襲型脳機能計測デバイスとしては、大別して、脳表型計測を行うものと脳刺入型計測を行うものとがある。脳刺入型のデバイスは文字通り、針状電極を脳内に刺入して脳内の比較的深い部分の電気信号を取得可能としたものであるのに対し、脳表型デバイスは脳の表面に密着するように電極等を配置して電気信号を取得するものである。こうした脳表型デバイスとしてはECoG電極と呼ばれるものが知られており、我が国において、てんかんなどの臨床治療用として認可されているユニークメディカル社の頭蓋内電極がある(非特許文献1参照)。脳表型デバイスは脳刺入型と比べると空間分解能は劣るものの、脳に与えるダメージが少なく性能の経時劣化も小さくて済む。また、広範囲の計測にも向いている。こうしたことから、被検体の自由な活動を阻害せずに、比較的長期間に亘り安定した脳機能関連情報を取得するには、脳表型計測が有利であるといえる。
【0005】
上述したように被検体の自由な活動を阻害することなく比較的長期間計測を継続するには、被検体の体内と外部との接続は無線方式があることが望ましい。こうした観点から、本願発明者らは特許文献1において、脳表面に接触する電極、脳に対し光学的な刺激を与えるLED、該LEDからの照射光に対し脳から得られた散乱光や反射光などを検出する光センサなどが搭載された体内ユニットと、体外に設置される体外ユニットとの間で信号の送受を無線で行う脳機能計測装置を提案している。この装置では、体内ユニットは被検体の頭蓋骨(又は人工頭蓋骨)の外側に装着され、棒状の電極が頭蓋骨や人工頭蓋骨に穿設された穴に挿通されてその先端部が脳表面に接触するように構成されている。
【0006】
一方、本願発明者らは、分散型アーキテクチャによるフレキシブル脳計測・脳刺激デバイスの研究・開発を長年に亘り続けている。これは、CMOS集積回路による小型の神経刺激用及び計測用のチップをフレキシブル基板上に複数搭載したものであり、該デバイスを被検体の脳表面に接触するように配置する(非特許文献2参照)。そして、複数のチップを協調して動作させることで、脳の広い範囲の活動電位計測を行えるようにしている。
【0007】
こうした脳機能計測装置において計測の空間分解能を上げるには、電極サイズを小さくし、それを高い密度で2次元的に配置する必要がある。また、脳の活動や機能についての有用な情報を得るには、脳のできるだけ広い範囲をカバーする計測を行うことが望ましい。こうした計測を行うために従来の装置では次のような問題がある。
【0008】
即ち、一般に、脳の表面は複雑な曲面形状であり、ほぼ平面であるとみなせる程度の狭い範囲であれば、複数の電極を脳表面に密着させることは容易である。しかしながら、脳全体やその大部分に及ぶような広い範囲において、複数の電極を脳表面に密着させることは難しい。また、上述したように頭蓋骨や人工頭蓋骨に穿設された穴に電極が挿通される構成であれば、頭蓋骨や人工頭蓋骨に対し電極の位置は正確に決まるが、回路基板上に電極を搭載し、該回路基板を脳表面と頭蓋骨や人工頭蓋骨との間の間隙に配置する構成では、回路基板の位置がずれて電極での計測位置が変化するおそれがある。また、脳表面と頭蓋骨や人工頭蓋骨との間の距離が経時的に変化すると、脳表面への電極の密着性が低下するおそれがある。さらにまた、脳表面と頭蓋骨や人工頭蓋骨との間に配置されるデバイスに搭載可能な回路の規模は、頭蓋骨や人工頭蓋骨の外側に配置されるユニットに比べてかなり限定される。一方で、電極やLED、光センサなどの数を増やすと処理すべき信号の量も増大するため、そうした多量の信号を頭蓋骨や人工頭蓋骨の内側に配置されるICチップ等で処理するのは困難であるという問題もある。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2014-79387号公報
【0010】

【非特許文献1】「頭蓋内電極」、[online]、株式会社ユニークメディカル、[平成27年7月15日検索]、インターネット<URL: http://www.unique-medical.jp/1220.pdf>
【非特許文献2】野口、ほか6名、「広範囲被覆可能なCMOSベースマルチモーダル電気脳刺激・計測デバイスの開発」、一般社団法人電気学会、平成27年電気学会全国大会講演論文集、第3冊、p.124
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここまでは被検体の脳刺激や脳計測を行う装置について述べてきたが、それは特に脳については高精度、高分解能の計測が要求されるためであって、生体内の臓器などの他の部位においても同様の手法による刺激や計測が有用である場合があることは言うまでもない。こうした場合にも、上述した問題が生じることになる。また、生体内ではなく、皮膚等の生体の外表面に接触するように設けた電極、LED、光センサ等を用いて生体刺激や生体計測を行う場合でも同様である。即ち、上記従来の脳機能計測装置における課題は、脳機能計測のみならず、同様の手法で以て生体情報を取得する際に生じる課題でもある。
【0012】
本発明はこうした課題に鑑みて成されたものであり、その主たる目的は、計測対象である又は電気的な若しくは光学的な刺激を与える対象である脳や臓器などの生体内の特定の部位の表面や生体外表面の曲面形状が複雑であっても、その表面に良好に密着し、広い範囲に対し高い密度で刺激を加えたり計測を行ったりすることができる生体情報取得装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために成された本発明は、各種の実験動物やヒトを含む生体の表面又は該生体内部の特定部位の表面から電気的及び/又は光学的に生体情報を収集する生体情報取得装置であって、
a)それぞれが生体表面又は生体内部の特定部位の表面に接触するように設けられ、電気的に生体情報を取得する電極部、及び/又は、光学的に生体情報を取得する受光部、を含む略平板状である複数の計測サブユニットと、
b)2次元的に配置されてなる前記複数の計測サブユニットがその位置関係を維持し得るように一つの計測サブユニットとその周囲に配置されている他の計測サブユニットとを繋ぐようにその間にそれぞれ設けられ、一つの計測サブユニットと隣接する他の計測サブユニットとを電気的に接続する信号線を含むフレキシブル基板による複数の連結部と、
c)前記複数の計測サブユニットのうちの一つに接続され、その複数の全ての計測サブユニットの電極部及び/又は受光部で得られた生体情報を反映した信号を外側へ取り出すための取り出し配線部と、
を有する計測ユニットを少なくとも一つ備え、該計測ユニットにあって、任意の一つの計測サブユニットとその周囲に配置されている他の複数の計測サブユニットとの間にそれぞれ設けられている複数の前記連結部の信号線は同じ電気信号を送受するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
複数の連結部の信号線が同じ電気信号を送受するように構成するには、具体的には例えば、全ての連結部に含まれる信号線を共通のバスラインとし、各計測サブユニットに搭載されている電気回路がそれぞれ共通のバスラインに接続される構成、つまりはバスライン方式による接続形態を採ればよい。
【0015】
本発明に係る生体情報取得装置では例えば、一つの計測サブユニットは外形が上面視六角形状のリジッド基板上に各種部品を搭載した構成であり、ハニカム状に配置された多数の計測サブユニットが、それぞれ最大6個の連結部によって周りを囲む最大6個の他の計測サブユニットとそれぞれ接続される構成とすることができる。連結部は可撓性を有するフレキシブル基板から成るから、該連結部を適宜に屈曲させることで、連なった計測サブユニットが曲面状になるようにすることができる。しかしながら、或る一つの計測サブユニットの3次元的な動きは連結部を介して接続されている周りの複数の計測サブユニットによって或る程度拘束されるため、連結部がいかに可撓性を有していても、多数の計測サブユニットによって形成される曲面の形状は限られる。
【0016】
これに対し本発明に係る生体情報取得装置では、一つの計測サブユニットに接続されている複数の連結部の信号線には同じ信号が送受されるため、その複数の連結部のうちのいずれか一つのみを残して他を切断しても、残された一つの連結部の信号線を通し、さらに隣接する一以上の計測サブユニットを介して、取り出し配線部が接続されている計測サブユニットに信号を送ることができる。即ち、各計測サブユニットにおいて一つ以上の連結部を介して他の計測サブユニットとの接続が確保されていさえすれば、その計測ユニットに含まれる全ての計測サブユニットの電極部や受光部で得られた信号を、取り出し配線部を通して、例えば生体表面や生体内の特定部位表面でない位置に設けられた別の回路ユニットへ送ることができる。
【0017】
こうして、一つの計測サブユニットと隣接する計測サブユニットを繋ぐ連結部のうち不要なものを切断することによって、各計測サブユニットの動きの制約が小さくなるので動きの自由度が増し、計測ユニットに含まれる各計測サブユニットを、複雑な曲面形状である生体表面や特定部位表面に良好に接触させることができるようになる。
【0018】
連結部に用いられるフレキシブル基板は通常、可撓性はあるものの伸縮性は乏しい。そこで、屈曲の際の自由度を高めるために、上記連結部は、外部から力を加えない状態で略U字状に屈曲した状態を保つように立体形状加工されたフレキシブル基板からなるものとするとよい。これにより、連結部を屈曲させる際の遊びが大きくなるので、計測サブユニットや連結部に無理な力が加わることなく、各計測サブユニットを生体表面や特定部位表面にフィットさせることができる。
【0019】
本発明に係る生体情報取得装置において、計測ユニットは例えばヒトの皮膚などの生体外表面、実験動物の脳の表面、或いは実験動物の臓器の表面など、適宜の箇所に取り付けて生体情報を収集するために利用することができるが、特に、高い精度で高い分解能が必要である部位の計測に適している。
そこで、本発明に係る生体情報取得装置の一実施態様は、被検体の脳の表面から電気的及び/又は光学的に生体情報を取得する装置であり、
被検体の頭蓋骨の一部に代えて該頭蓋骨に装着される人工頭蓋骨の内側に前記計測ユニットを保持する保持部を設け、該保持部により前記計測ユニットを人工頭蓋骨と脳との間の間隙に保持するようにするとよい。
【0020】
ここで、人工頭蓋骨の内側の保持部は各計測サブユニットを保持するようにしてもよいが、上述したように連結部がU字状に立体形状加工されたフレキシブル基板から成る場合には、そのU字状の突部が人工頭蓋骨の内面に向くように連結部を設け、そのU字状の突部を保持部で保持する構成とするとよい。
このような構成を採ることで、計測ユニットを人工頭蓋骨の内側に固定することができ、脳表面の計測箇所を一旦決めると、その計測箇所が経時的にずれてしまうことを防止することができる。
【0021】
また本発明に係る生体情報取得装置では、上記人工頭蓋骨の所定位置に形成された開口に挿通され、その内側に向いた面が前記計測サブユニットに当接する押圧部を複数備え、人工頭蓋骨の外側から押圧部を挿入する長さを調整することで該押圧部による前記計測サブユニットの押し付け状態を調整し、該計測サブユニットに含まれる電極部と脳表面との密着性を確保する構成とするとよい。
【0022】
一例としては、人工頭蓋骨にはネジ溝を形成した開口を穿設し、押圧部はそのネジ溝に螺合するネジ山が周囲に形成されたボルト状部材であるものとすることができる。この構成によれば、押圧部を開口に螺入してゆくに従い計測サブユニットは内側に押し込まれ、例えば電極部と脳表面との密着性が向上する。
【0023】
また本発明に係る生体情報取得装置では、人工頭蓋骨の内部に液体が流通する又は貯留される通液路を形成するととともに、該人工頭蓋骨と計測サブユニットとの間に、前記通液路中の液体によって押圧される柔軟性を有する押圧部を設け、前記通液路に流す又は溜める液体の液圧を調整することで該押圧部による前記計測サブユニットの押し付け状態を調整する構成としてもよい。
【0024】
人工頭蓋骨の位置が頭蓋骨に対して固定されていたとしても、人工頭蓋骨の内面と脳表面との間の距離は経時的に変化する可能性がある。これに対し上記構成では、通液路中に供給する液体の量を被検体の体外から調整できるようにしておくことで、該被検体の頭部を切開することなく、電極部と脳表面との密着性を調整することができる。それによって、長期間に亘り、良好な脳機能計測を継続することが可能である。
【0025】
また本発明に係る生体情報取得装置では、上記人工頭蓋骨は頭蓋骨に固定されるホルダに対して装着され、該人工頭蓋骨の外側に重ねた制御ユニット用ハウジングを前記ホルダに対し装着し、該制御ユニット用ハウジングの内部に、少なくとも前記計測ユニットに搭載された電気回路を制御する回路及び被検体の体外に設置された体外ユニットとの間での無線での信号送受を行う回路を含む制御ユニットを配設する構成とするとよい。
【0026】
人工頭蓋骨と脳表面との間の間隙にスペース的な制約があるため、この間隙に設置される計測サブユニットに搭載可能な素子や回路には限界がある。これに対し上記構成では、複雑な信号処理を行うような回路は計測サブユニットではなく制御ユニットに設けることができるので、計測サブユニットに搭載する素子や回路を最小限に抑えることができる。また、制御ユニットに搭載される回路は或る程度規模が大きくなるが、人工頭蓋骨の外側に配置することでスペースの制約が緩和される。また、ホルダに装着された制御ユニット用ハウジングの内部に制御ユニットを設けることで、計測ユニットや制御ユニットが一体化され、扱いも容易になる。
【0027】
また上述したように本発明に係る生体情報取得装置では、一つの計測サブユニットと他の計測サブユニットとを繋ぐ複数の連結部の一部を意図的に切断しても、計測サブユニットで得られた信号が最終的に取り出し配線部を通して外部へと送出されるようになっているが、意図的な切断ではなく意図せずに連結部が切断されたときに、その切断を検知可能な切断検知部を組み込んでおくとよい。
該切断検知部としては、切断された連結部の位置を特定可能である構成と、いずれかの連結部が切断されたことのみを検知可能である構成とが考えられる。
【0028】
この構成によれば、計測ユニットが被検体の生体内の特定部位に装着された状態で一部の連結部が切れたときに、その状態を迅速に把握して例えばその特定部位に何らかの異常が生じた等の事態を推測することができる。また、例えば臓器等の生体内の特定部位の膨張や収縮を含む形状の変化自体が検知対象の生体関連情報である場合には、計測サブユニットそれぞれが電極部や受光部を有している必要はなく、一つの計測サブユニットに相当する或る一つの格子点からその周囲の格子点に向かう複数の連結部のいずれかが切断されたときに、その切断を検知可能な手段が設けられていればよい。
【0029】
即ち、本発明に係る別の態様の生体情報取得装置は、各種の実験動物やヒトを含む生体の表面又は該生体内部の特定部位の表面から生体情報を取得する生体情報取得装置であって、
a)生体表面又は生体内部の特定部位の表面に密着するように設けられる可撓性を有するメッシュ状部材であって、そのメッシュを構成する各線状部材が導電性線材を含む表面被覆部と、
b)前記表面被覆部の導電性線材の切断を検知する切断検知部と、
を備えることを特徴としている。
【0030】
上記別の態様の生体情報取得装置では、表面被覆部が密着するように設けられた生体や生体内部の特定部位が何らかの要因で膨張したり変形したりすると、表面被覆部のメッシュ状部材の一部が引っ張られ、それが或る限界を超えると導電性線材の一部が切断される。切断検知部はこの切断を検知する。したがって、切断検知部により、生体自体や臓器などの生体内部の特定部位の膨張や変形を該生体に関連する情報の一つとして取得することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る生体情報取得装置によれば、例えば個体差があり複雑な曲面形状を有する脳などの生体内部の特定部位の表面の広い範囲に対し、電気的な計測を行う電極部や光学的な計測を行う受光部を良好に且つ高い密度で密着させることができる。それによって、被検体の脳等の特定部位の表面の広い範囲に亘る高い分解能の計測を行うことができ、その被検体に関する有用な生体情報を収集することができる。
また本発明に係る別の態様の生体情報取得装置によれば、例えば生体内の臓器などの特定部位の膨張や変形などの異常状態を体外から確実に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施例である脳機能計測装置の要部のブロック構成図。
【図2】本実施例の脳機能計測装置における一つの計測サブユニットの概略内部配線図。
【図3】本実施例の脳機能計測装置における計測ユニットの平面図(a)及び該計測ユニットに含まれる計測サブユニットの拡大平面図(b)。
【図4】図3に示した計測ユニットの使用状態の一例を示す平面図。
【図5】本実施例の脳機能計測装置における一つの計測サブユニット及び隣接する計測サブユニット間を繋ぐ連結部の概略断面図。
【図6】本実施例の脳機能計測装置において生体内に設置されるユニットの構造及び装着状態を示す概略断面図。
【図7】本実施例の脳機能計測装置における計測ユニットの固定方法を説明するための概略断面図。
【図8】脳表面への計測サブユニットの密着性を高めるための変形例を示す概略断面図。
【図9】脳表面への計測サブユニットの密着性を高めるための変形例を示す概略断面図。
【図10】本発明の他の実施例である生体情報取得装置の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
まず、本発明に係る生体情報取得装置の一実施例である脳機能測装置について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施例の脳機能計測装置の要部のブロック構成図、図2は本実施例の脳機能計測装置における一つの計測サブユニットの概略内部配線図、図3は本実施例の脳機能計測装置における計測ユニットの平面図(a)及び該計測ユニットに含まれる計測サブユニットの拡大平面図(b)である。また図5は、一つの計測サブユニット及び隣接する計測サブユニット間を繋ぐ連結部の概略断面図である。

【0034】
本実施例の脳機能計測装置は、被検体の体内に設置される計測ユニット2及び制御ユニット3と、該被検体の体外に設置される体外ユニット5と、を含む。
計測ユニット2は多数の計測サブユニット1を含み、各計測サブユニット1は、電極11、基準電極12、LED13、及びフォトダイオード(PD)14を含む。一つの制御ユニット3はそれぞれケーブル線4を介して複数の計測ユニット2と接続されている。制御ユニット3は、制御部31、電源部32、インターフェイス(I/F)部33などを備える。制御ユニット3と体外ユニット5との間は、電波などによる無線通信で相互に接続されている。これは特許文献1に記載の装置と全く同様である。

【0035】
本実施例の脳機能計測装置において、計測サブユニット1の電極11及び基準電極12は被検体の脳の表面に接触するように設けられるものである。制御ユニット3とケーブル線4を介して接続される一つの計測ユニット2は、図3(a)に示すように、多数の計測サブユニット1が連結部17で接続された構成を有する。図3(b)に示すように、一つの計測サブユニット1は上面視で正六角形状のリジッド基板10を有し、このリジッド基板10は連結部17であるフレキシブル基板と一体化されてリジッドフレキシブル複合基板となっている。図3の例では、一つの計測サブユニット1のリジッド基板10上に、12個の電極11、1個の基準電極12、6個のLED13、1個のPD14が搭載されている。基準電極12及びPD14はリジッド基板10の略中央に設けられ、電極11及びLED13はそれぞれリジッド基板10全体に適宜に分散して配置されている。一つの計測サブユニット1の大きさは、対向する2辺の間の距離が5.2mm、1辺の長さが3mmである。また、連結部17の長さ(つまりは連結部17で接続されている二つの計測サブユニット1の間の離間距離)は1.3mmである。

【0036】
図5(a)に示すように、一つの計測サブユニット1において、電極11及び基準電極12は複合基板の裏面に接触部が露出するように該基板に貫設され、LED13やPD14は該基板を貫通するように形成された窓10aを通して光を発したり光を受けたりするように、基板の表面に取り付けられている。窓10aは単なる穴でもよいが、石英ガラス等、長期間に亘り安定的に高い透明性が得られる材料を埋め込んだものでもよい。

【0037】
隣接する計測サブユニット1同士が接続される連結部17は可撓性を有するフレキシブル基板であるため、計測ユニット2を脳表面100に取り付ける際には、連結部17を自由に湾曲させることができる。さらに、本実施例の構成では、連結部17として、通常のフレキシブル基板ではなく、図5に示すように、外部から力を加えない状態で略U字状に屈曲した状態を保つように立体形状加工されたフレキシブル基板を用いている。一般的にフレキシブル基板は可撓性は高いものの伸縮性には乏しいため、隣接する計測サブユニット1の離間距離を調整するのは難しい。それに対し、本実施例の構成では、連結部17に略U字状屈曲部17aが設けられていることで伸縮が可能であるため、図5(b)に示すように、曲面である脳表面100に電極11、12の先端面が良好に接触するように隣接する計測サブユニット1の離間距離を適当に長くしつつ連結部17を湾曲させることができる。

【0038】
図3(a)に示すように、一つの計測ユニット2において計測サブユニット1同士は、周囲に配置されたものを除き、6個の連結部17によってその周囲の6個の他の計測サブユニット1と接続されている。6個の連結部17は全く同じ機能を有する。即ち、図2に示すように、一つの計測ユニット2において信号のやり取りはバスライン方式となっており、一つの計測サブユニット1において電極11、基準電極12、LED13、PD14は、PD14が一体化されたCMOS-ICに内蔵されているインターフェイス部15を介してバス配線16に接続されている。また、一つの計測サブユニット1に一端が接続されている最大6個の連結部17それぞれのケーブル線もバス配線16に接続されている。したがって、計測サブユニット1間の相互接続は多重化(最大で六重化)されており、或る一つの計測サブユニット1が6個の連結部17を介して周囲の6個の計測サブユニット1と接続されている場合には、そのうちの5個の連結部17が切断されても通信が可能である。

【0039】
計測ユニット2は上記構成を有するため、任意の一つの計測サブユニット1は、制御ユニット3との間の通信を担うケーブル線4が接続されている計測サブユニット(図3(a)では計測サブユニット1A)との間で任意の一つの経路で接続されていればよく、その経路以外の連結部17を切断することができる。図4はこのように連結部17を切断した構成の例であり、切断箇所に×印を記載してある。この例では、外周側に位置する計測サブユニット1は一つの連結部17でのみその内側の計測サブユニット1と接続されている。上述したように連結部17は可撓性及び略U字状屈曲部17aによる伸縮性を有するものの、隣接する他の計測サブユニット1との接続箇所が多いと曲面に沿わせて曲げるのが難しい場合がある。それに対し、この計測ユニット2では、適宜の位置の連結部17を切り離しても構わないので、3次元的な可撓性が向上し、曲面の形状に合わせた曲げの自由度を高めることができる。それによって、各計測サブユニット1における電極11、基準電極12の脳表面100への密着性を高めることができる。

【0040】
図6は本実施例の脳機能計測装置において生体内に設置されるユニットの構造及び装着状態を示す概略断面図、図7は計測ユニットの固定方法を説明するための概略断面図である。
上述した計測ユニット2は、被検体の頭蓋骨の一部を切除した開口に装着される人工頭蓋骨の内側に固定される。即ち、一部が切除された頭蓋骨の開口部に固定用リング50が取り付けられ、その固定用リング50の内側に人工頭蓋骨51が固定されている。人工頭蓋骨51の内面(脳表に対向する面)の適宜の位置には断面略U字状の溝である嵌合部53が形成されており、連結部17の略U字状屈曲部17aを嵌合部53に挿入し、該略U字状屈曲部17aを間に挟んで脱落防止部材54を嵌合部53に嵌め込むことで、連結部17を人工頭蓋骨51に固定する。なお、必ずしも切除されずに残っている全ての連結部17を嵌合部53に固定する必要はない。このようにして、一つの計測ユニット2に含まれる各計測サブユニット1は人工頭蓋骨51の内側の適切な位置におおむね固定される。
なお、図5では記載を省略していたが、人工頭蓋骨51に計測ユニット2を固定する際には、各計測サブユニット1にあって複合基板のおもて面は、PD14やインターフェイス部15を含むCMOS-ICやLED13などの回路全体を保護するように樹脂モールド19で固められる。

【0041】
一方、固定用リング50に取り付けられた人工頭蓋骨51の外面には、制御ユニット3が内部に配置された、樹脂等からなる制御ユニットハウジング52が取り付けられており、制御ユニット3と計測ユニット2とは人工頭蓋骨51を貫通するケーブル線4によって相互に接続されている。このようにして、制御ユニット3と計測ユニット2とを人工頭蓋骨51と一体化することができ、扱いも容易になる。

【0042】
本実施例の脳機能計測装置は以下のような動作により、被検体の脳の活動等を反映した脳機能関連情報を収集することができる。即ち、体外ユニット5は被検体の体内に設置された制御ユニット3との間で無線で信号のやり取りを行い、制御ユニット3に含まれる制御部31はケーブル線4を介して1又は複数の計測ユニット2に含まれる各計測サブユニット1の電極11から信号を収集する。図3(a)、図4等に示すように、電極11は脳表面100の広い範囲をカバーするように適度に分散して配置されているため、脳表面1100から満遍なく脳機能を反映した信号を集めることができる。基準電極12は計測サブユニット1内の複数の電極11で得られた信号の基準電位を得るために用いることができるほか、電気的刺激を与えるために微弱な電流を脳表面100に流すために利用することもできる。

【0043】
上述したような電気的な計測とは別に又は電気的な計測と並行して、各計測サブユニット1のLED13を所定時間駆動し、LED13から発せられた所定波長の光を脳表面100に照射する。PD14は、照射光に対し脳表面100で反射した光や脳内部に侵入し拡散して出射して来た光を受光し、光電変換した検出信号を出力する。各計測サブユニット1で得られた検出信号はバス配線16を通して計測サブユニット1Aに集められ、最終的にケーブル線4を通して制御ユニット3へ送られる。こうして、電気的及び/又は光学的に収集された信号はインターフェイス部33から無線で体外ユニット5へと送られ、体外ユニット5に備えられたメモリなどに保存される。

【0044】
上記実施例の脳機能計測装置において、計測ユニット2は人工頭蓋骨51の内側に固定されていたが、この場合、計測サブユニット1の厚さと、人工頭蓋骨51内面と脳表面100との間の隙間の距離とを適切に合わせておかないと、脳表面100への電極11、12の接触性が低下したり、逆に電極11、12が脳表面100を強く押圧しすぎて脳に損傷を与えたりするおそれがある。そこで、こうした点を改良した変形例を図8、図9に示す。図8、図9はいずれも上述した図7に相当する概略断面図である。

【0045】
図8に示した変形例では、人工頭蓋骨51の所定位置に貫通するように形成したネジ穴51aに押圧ネジ55を螺入し、該押圧ネジ55の平坦である先端面で各計測サブユニット1の樹脂モールド19の略中央を押すようにしている。押圧ネジ55をネジ穴51aに螺入していくに従い計測サブユニット1は外側から強く押され、電極11、12は脳表面100に密着する。したがって、押圧ネジ55の螺入量を調整することで、電極11、12を適度な圧力で脳表面100に接触させることができる。

【0046】
図9に示した変形例は、脳表面100への電極11、12の接触性を被検体の体外から調整可能としたものである。即ち、人工頭蓋骨51の内部に液体が流通可能な流路51bが形成され、計測サブユニット1が配置される位置では、人工頭蓋骨51の内側に適度な柔軟性を有する緩衝部材56を設け、この緩衝部材56を流路51b中の液体で押圧するようにしている。即ち、流路51b中に供給される液体によって緩衝部材56が内側に押され、緩衝部材56が計測サブユニット1の樹脂モールド19を内側に押す。緩衝部材56の押付け力は流路51bに供給する液体の圧力で調整可能である。

【0047】
これによって、多数の計測サブユニット1を略均一な圧力で押すことができ、全ての電極11、12の接触性を良好に保つことができる。また、人工頭蓋骨51の内面と脳表面100との離間距離が経時的に変化するような場合でも、流路51b中の液圧を調整することで常に良好な接触状態を維持することができる。なお、液圧の調整は手動で行うようにしてもよいが、液圧を検出してこれが所定値になるようにフィードバック制御を行うことで自動的に液圧を調整する構成とすることもできる。

【0048】
以上のようにして、本実施例の脳機能計測装置では、脳表面の広い範囲について高い空間分解能で且つ高い精度で脳情報の計測を行うことができる。

【0049】
上記実施例は本発明に係る生体情報取得装置を実験動物等の脳機能計測に利用したものであるが、本発明は脳以外の心臓、肝臓等の様々な臓器或いは口腔内などの生体内の特定の部位や生体表面(皮膚の表面)に電気的又は光学的刺激を与えるとともに電気的又は光学的情報を収集する場合に利用することができる。

【0050】
図10は本発明の他の実施例である生体情報取得装置の概略図である。
図10に示すように、この生体情報取得装置における計測ユニット60は、生体信号を計測するための多数のセンサ部61がマトリクス状に配置され、各センサ部61を格子点として格子状にフレキシブル基板による連結部62が設けられた構成を有する。各センサ部61は電極や光センサなどのほか、例えば圧力センサ、振動センサ、湿度センサ、血糖センサ、ガスセンサなどの特定の目的のセンサを一又は複数有するものとする。

【0051】
上記実施例と同様に、全ての連結部62は同じ信号をやり取りするものであり、或る一つのセンサ部61と隣接するセンサ部61とが一つの連結部62で接続されてさえいれば、そのセンサ部61に接続されている他の連結部62は切断しても構わない。そこで、この計測ユニット60を計測対象である生体表面等に貼り付ける際に、その計測対象物の大きさや計測したい範囲の形状などに応じて、適宜の箇所で連結部62を切断する(図10(b)参照)。これにより、曲面形状である生体表面に計測ユニット60を良好に密着させることができるとともに、計測対象でない範囲を除外して目的の範囲のみにセンサ部61を密着させることができる。

【0052】
図10に示した例では、一つのセンサ部61Aに信号を外部へと取り出すケーブル線63を取り付けているが、このケーブル線63と他の連結部62とでやり取りされる信号は同じであるから、連結部62の一つをケーブル線63の代わりに利用できることは明らかである。即ち、任意のセンサ部61から信号を外部へと取り出すことが可能である。また、各センサ部61に外部との無線通信が可能な回路を搭載しておくことで、いずれのセンサ部61からも無線で外部へと信号を取り出すことができる。もちろん、生体に対し電気的又は光学的刺激を加える刺激印加部を設けておいてもよい。

【0053】
こうした生体情報取得装置は様々な用途に利用できる。例えば、近年、ヒトの皮膚に密着するように装着して通常の生活時や運動時の生体信号を計測する形態のウェラブル端末が開発されているが、上記生体情報取得装置はそうした装置に利用することができる。また、皮膚に貼り付けて例えば糖尿病などの特定の疾患に関連した情報を収集する電子皮膚型のデバイスにも利用することができる。

【0054】
一方、センサ部61に搭載した電極やセンサ等で生体信号を計測するのみならず、或いはそうした計測を行うのではなく、本来は接続状態にある連結部62が切断されたことを生体情報の一つとして検出する構成とすることもできる。
例えば肝臓等の臓器の表面に上記のような計測ユニット60を貼り付けた場合、その臓器が何らかの原因で肥大化したり変形したりするとセンサ部61に比べて切れ易い連結部62の一部が切れてしまうことがである。こうした場合、この連結部62の切断を検知することで、臓器の肥大化又は変形という生体情報を把握することができる。そこで、各センサ部61に又は各センサ部61から取り出された信号を受ける外部のユニット(例えば図1における制御ユニット3又は体外ユニット5)に、連結部62の切断を検知する切断検知部を設けるようにしてもよい。

【0055】
もちろん、臓器の肥大化や変形等のみの情報の取得が目的である場合には、センサ部61は実質的にセンサとしての機能を有さず、単に切断検知の機能のみを有する構成としても構わない。

【0056】
連結部62の切断を検知する方法としては具体的に幾つかの方法が考えられる。例えば、各センサ部61にCMOS-ICが搭載されていて、複数(図10の例では最大四つ)の連結部62のケーブル線がそれぞれCMOS-ICに接続されている場合には、該CMOS-ICに搭載されている切断検知部は、それら複数の連結部62のケーブル線上の信号レベルを判定することで連結部62の切断の有無を検知することができる。また、上述したようにバスライン方式で信号のやり取りを行う場合には、或るセンサ部61に1本の連結部62が接続されていればバスライン上に信号が現れる。ただし、その場合でも、複数本の連結部62を通して周囲のセンサ部61と接続されているときと、そのうちの1本又は複数本(全てでない複数本)の連結部62が切断されたときとでは、バス配線のインピーダンスが変化するため、信号レベルが変化する。そこで、この信号レベルの変化を検知することで、いずれかの連結部62の切断を認識することが可能である。

【0057】
なお、上述したように複数の連結部62のケーブル線がそれぞれCMOS-ICに接続されている場合、或る連結部62が意図的に切断されたときに、CMOS-ICではその連結部62について内部的に接続を遮断する、つまりはその連結部62が接続されている入出力端をオープン端とするのではなく強制的に所定の電位レベル(例えば接地レベル、電源電圧レベル等)に定めるようにするとよい。これは、CMOS-ICの入出力端がオープン端であると、ノイズによる誤動作を生じたり、最悪の場合、スパイク性の大きなノイズの飛び込みによってICの破損を引き起こしたりするおそれがあるからである。上述した切断検知を利用し、或る連結部62の切断が検知されたならばその連結部62が接続されている入出力端を遮断する構成とすれば、信頼性の高い生体情報取得システムを構築することができる。

【0058】
また、上記実施例は本発明の単なる一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜変形や修正、又は追加を行っても、本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
例えば図3等に示した実施例の構成では、隣接する計測サブユニット1同士を接続する連結部17の数は6(最大6)であり、図10に示した実施例の構成では、隣接するセンサ部61同士を接続する連結部62の数は4(最大4)であるが、連結部の数はこれに限るものではなく2以上であればよい。実際には、或る一つの計測サブユニット又はセンサ部はそれを取り囲む周囲の複数の計測サブユニット又はセンサ部とそれぞれ連結部で接続されていることが好ましいから、通常、連結部の数は4以上であるとよい。
【符号の説明】
【0059】
1、1A…計測サブユニット
2、60…計測ユニット
3…制御ユニット
4、63…ケーブル線
5…体外ユニット
10…リジッド基板
10a…窓
11…電極
12…基準電極
13…LED
14…PD
15…インターフェイス部
16…バス配線
17、62…連結部
17a…略U字状屈曲部
19…樹脂モールド
31…制御部
32…電源部
33…インターフェイス部
50…固定用リング
51…人工頭蓋骨
52…制御ユニットハウジング
53…嵌合部
54…脱落防止部材
61、61A…センサ部
100…脳表面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9