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明細書 :回転機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-050978 (P2017-050978A)
公開日 平成29年3月9日(2017.3.9)
発明の名称または考案の名称 回転機
国際特許分類 H02K   9/19        (2006.01)
F28D  15/02        (2006.01)
F28D  15/06        (2006.01)
H02K   9/20        (2006.01)
FI H02K 9/19 B
F28D 15/02 N
F28D 15/02 101K
F28D 15/02 105D
H02K 9/20
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 16
出願番号 特願2015-172527 (P2015-172527)
出願日 平成27年9月2日(2015.9.2)
発明者または考案者 【氏名】村瀬 陽平
【氏名】柳瀬 悦也
【氏名】柳本 俊之
【氏名】和泉 充
【氏名】三木 基寛
【氏名】山口 康太
出願人 【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000556、【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5H609
Fターム 5H609BB07
5H609PP07
5H609QQ04
5H609QQ05
5H609QQ06
5H609QQ09
5H609RR26
5H609RR37
5H609RR51
5H609RR58
要約 【課題】本発明は、装置全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部と蒸発部との間における熱輸送能力を安定して維持できる回転機を提案する。
【解決手段】回転機は、回転軸線の周りを回転する回転子内の被冷却体を熱サイフォン作用により冷却させる回転機であって、回転子の外部に配置された、冷媒を凝縮する凝縮部と、回転子内において、凝縮部で凝縮した液相冷媒を気化させて被冷却体との熱交換を行う蒸発部と、蒸発部と凝縮部との間で冷媒を行き来させる、屈曲部を有した連結配管と、を備え、連結配管は、凝縮部において凝縮した液相冷媒が流通する液相冷媒流路と、蒸発部において気化した気相冷媒が流通する気相冷媒流路とがそれぞれ別々に設けられた配管構造を有する。
【選択図】図2
特許請求の範囲 【請求項1】
回転軸線の周りを回転する回転子内の被冷却体を熱サイフォン作用により冷却させる回転機であって、
前記回転子の外部に配置された、冷媒を凝縮する凝縮部と、
前記回転子内において、前記凝縮部で凝縮した液相冷媒を気化させて前記被冷却体との熱交換を行う蒸発部と、
前記蒸発部と前記凝縮部との間で前記冷媒を行き来させる、屈曲部を有した連結配管と、を備え、
前記連結配管は、前記凝縮部において凝縮した液相冷媒が流通する液相冷媒流路と、前記蒸発部において気化した気相冷媒が流通する気相冷媒流路とがそれぞれ別々に設けられた配管構造を有する回転機。
【請求項2】
前記連結配管は、一端部が前記蒸発部内に挿入され、前記回転軸線に沿って、該蒸発部または該冷媒流通部から前記回転子の外側に向かって延伸し、前記屈曲部にて屈曲して他端部が該凝縮部に固定されており、
前記一端部と前記他端部とを結ぶ線分の前記回転軸線に対する角度が、当該回転機の傾斜が許容される角度を示す許容傾斜角度θ以上となるような寸法を有している請求項1に記載の回転機。
【請求項3】
前記連結配管は、内管を前記気相冷媒流路とし、この内管の外周を囲む外管と該内管との間に形成される空間を前記液相冷媒流路とする二重配管構造、あるいは、液相冷媒流路と気相冷媒流路とを並列に配置した並列配管構造を有しており、
前記蒸発部内において、前記気相冷媒流路の前記蒸発部側の一端部の方が、前記液相冷媒流路の前記蒸発部側の一端部よりも突出している請求項1または2に記載の回転機。
【請求項4】
前記凝縮部内において、前記液相冷媒の前記気相冷媒流路への浸入を防ぐための浸入防止部を備える請求項3に記載の回転機。
【請求項5】
前記連結配管は、前記他端部が前記凝縮部において固定され、前記一端部は前記蒸発部内に挿入されており、
前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、
前記連結配管の外周面と前記開口部の周縁との間の隙間を塞ぐように設けられ、該連結配管を該開口部近傍において支持する支持部を備える請求項1から4のいずれか1項に記載の回転機。
【請求項6】
前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、
前記連結配管が、該連結配管の外周面と前記開口部の周縁との隙間に液相冷媒が前記蒸発部内から逆流して浸入することを防ぐための逆流防止部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の回転機。
【請求項7】
前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、
前記連結配管の前記蒸発部側の外周面と前記開口部の周縁との隙間に液相冷媒が前記蒸発部内から逆流して浸入することを防ぐためのシール部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の回転機。
【請求項8】
前記蒸発部は、前記液相冷媒を貯留する冷媒貯留部と、前記連結配管を該冷媒貯留部内に挿入するための開口部と、を有しており、
前記冷媒貯留部を形成する壁面のうち、前記連結配管が挿入される側の壁面には、該壁面の内面の少なくとも一部が、前記回転軸線に対して傾き、かつその先端部に前記開口部が形成されたテーパーフード部が設けられており、
前記回転軸線に対する前記テーパーフード部の傾斜角度は前記許容傾斜角度θより大きくなる請求項2に記載の回転機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸線の周りを回転する回転子内の被冷却体を熱サイフォン作用により冷却させる回転機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高温超電導(HTS)線材を巻線したHTS磁石の応用範囲が広まっており、例えば、このHTS磁石を用いた超電導回転機等の回転機が開発されている。
【0003】
ところで、HTS材料の臨界温度は90K前後であるため、冷却機等を利用して数Kから数十K程度までHTS線材の巻線を冷却する必要がある。特に、船舶用超電導回転機においては、大きな熱負荷が発生するため、十分な冷却能力を確保できるように、例えば、GM型冷凍機等の冷却機が利用されている。また、HTS材料を用いた船舶用超電導回転機において、HTS界磁極を搭載した界磁子が回転する回転界磁型を採用している場合、冷却機を直接HTS磁石に接続し伝導伝熱により冷却する直接冷却方式が利用できない。そこで、冷却機と回転子との間を、冷媒還流を用いて熱的に接続する方法が用いられている。このような方法としては、例えば、GM型冷凍機等の冷却機により冷却した冷媒(例えば、ネオン、窒素等)を用いて、自然対流によりHTS界磁極の冷却を行う熱サイフォン式冷却システム等が挙げられる。例えば、熱サイフォン式冷却システムを用いた超電導回転機としては、特許文献1に示す超電導装置が提案されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第3799016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に示す従来の超電導装置を、船舶等に用いると、装置全体が傾斜または動揺することがある。このように装置全体が傾斜または動揺した場合、従来の超電導装置は、冷却機側に設けられる凝縮部と回転子内の蒸発部との間における熱輸送能力が低下するという問題がある。
【0006】
より具体的には、特許文献1に係る超電導装置の構成の場合、装置全体が傾斜または動揺すると、凝縮部(凝縮器ユニット)と回転子内の蒸発部との間に設けられたヒートパイプの屈曲部に液相冷媒が詰まり、気相冷媒の流通が妨げられる。このため、特許文献1に係る超電導装置では、装置全体が傾斜または動揺すると、冷媒(ガス,液体)の連続的、安定的な供給が阻害され、熱輸送能力が低下する場合がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部と蒸発部との間における熱輸送能力を安定して維持できる回転機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある形態に係る回転機は、回転軸線の周りを回転する回転子内の被冷却体を熱サイフォン作用により冷却させる回転機であって、前記回転子の外部に配置された、冷媒を凝縮する凝縮部と、前記回転子内において、前記凝縮部で凝縮した液相冷媒を気化させて前記被冷却体との熱交換を行う蒸発部と、前記蒸発部と前記凝縮部との間で前記冷媒を行き来させる、屈曲部を有した連結配管と、を備え、前記連結配管は、前記凝縮部において凝縮した液相冷媒が流通する液相冷媒流路と、前記蒸発部において気化した気相冷媒が流通する気相冷媒流路とがそれぞれ別々に設けられた配管構造を有する。
【0009】
上記構成によると、連結配管は、液相冷媒流路と気相冷媒流路とがそれぞれ別々に設けられている。このため、回転機全体が傾斜または動揺し、連結配管の屈曲部において液相冷媒がつまり、気相冷媒の流通を妨げることを防ぐことができる。
【0010】
従って、本発明のある形態に係る回転機は、装置全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部と蒸発部との間における熱輸送能力を安定して維持できるという効果を奏する。
【0011】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記連結配管は、一端部が前記蒸発部内に挿入され、前記回転軸線に沿って、該蒸発部または該冷媒流通部から前記回転子の外側に向かって延伸し、前記屈曲部にて屈曲して他端部が該凝縮部に固定されており、前記一端部と前記他端部とを結ぶ線分の前記回転軸線に対する角度が、当該回転機の傾斜が許容される角度を示す許容傾斜角度θ以上となるような寸法を有していてもよい。
【0012】
例えば、回転機全体が傾斜すると、それに伴って、連結配管も傾斜し、蒸発部と屈曲部との間の区間において、蒸発部側にある一端部が屈曲部よりも高くなる場合がある。このような場合、連結配管では屈曲部側から蒸発部側に向かって液相冷媒が流通しなくなる。
【0013】
しかしながら、上記構成によると、本発明に係る回転機では、連結配管は、自身の一端部と他端部とを結ぶ線分の回転軸線に対する角度が許容傾斜角度θ以上となるような寸法を有する。このため、回転機全体が許容傾斜角度θまで傾斜したとしても、凝縮部側にある連結配管の他端部を、蒸発部側にある連結配管の一端部以上の高さに維持することができる。
【0014】
それ故、例えば、回転機全体が傾斜または動揺し、液相冷媒が連結配管を介して蒸発部に一時的に供給されない状態となったとしても、連結配管内において液相冷媒が蒸発部側の一端部以上の高さまで貯留されると、そのヘッド圧(水頭圧)により液相冷媒を蒸発部に押しだすことができる。よって、回転機全体が傾斜または動揺したとしても液相冷媒を蒸発部に供給することができ、回転子内の被冷却体に対する冷却能力を維持することができる。
【0015】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記連結配管は、内管を前記気相冷媒流路とし、この内管の外周を囲む外管と該内管との間に形成される空間を前記液相冷媒流路とする二重配管構造、あるいは、液相冷媒流路と気相冷媒流路とを並列に配置した並列配管構造を有しており、前記蒸発部内において、前記気相冷媒流路の前記蒸発部側の一端部の方が、前記液相冷媒流路の前記蒸発部側の一端部よりも突出した構成であってもよい。
【0016】
上記構成によると、蒸発部内において気相冷媒流路の蒸発部側の一端部の方が、液相冷媒流路の蒸発部側の一端部よりも突出した構成となっている。このため、例えば、回転機全体が傾斜または動揺したとしても、液相冷媒流路を流通して蒸発部側に供給される液相冷媒が気相冷媒流路内に浸入することを防ぐことができる。
【0017】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記凝縮部内において、前記液相冷媒の前記気相冷媒流路への浸入を防ぐための浸入防止部を備える構成であってもよい。
【0018】
上記構成によると、浸入防止部を備えるため、凝縮部内において気相冷媒流路内に液相冷媒が浸入することを防ぐことができる。このため、液相冷媒によって気相冷媒流路が塞がれることを防止することができる。
【0019】
なお、浸入防止部としては、例えば、凝縮部において液相冷媒が上方から滴下し気相冷媒流路内に浸入することを防ぐ遮蔽部材として実現できる。あるいは、液相冷媒の浸入を防ぐように、気相冷媒流路の凝縮部側の端部を屈曲させるなど変形させた形状部分として実現することもできる。
【0020】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記連結配管は、前記他端部が前記凝縮部において固定され、前記一端部は前記蒸発部内に挿入されており、前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、前記連結配管の外周面と前記開口部の周縁との間の隙間を塞ぐように設けられ、該連結配管を該開口部近傍において支持する支持部を備える構成であってもよい。
【0021】
上記構成によると支持部を備えるため、連結配管を凝縮部と該支持部との両端で支持することができる。このため、回転機全体が傾斜または動揺した際に生じる衝撃や疲労に対して耐性を高めることができる。また、支持部により開口部の周縁と連結配管との隙間に液相冷媒が浸入することを防ぐことができる。
【0022】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、前記連結配管が、該連結配管の外周面と前記開口部の周縁との隙間に液相冷媒が前記蒸発部内から逆流して浸入することを防ぐための逆流防止部を備える構成であってもよい。
【0023】
上記構成によると逆流防止部を備えるため、回転機全体が傾斜または動揺した際に、連結配管の外周面と開口部の周縁との間に形成される隙間に、蒸発部内から逆流した液相冷媒が浸入することを防ぐことができる。
【0024】
なお、逆流防止部は、例えば、回転機全体が傾斜または動揺した際に、蒸発部内からの液相冷媒の逆流を妨げる、連結配管外周に設けられた遮蔽部材として実現することができる。
【0025】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記蒸発部は、前記連結配管を内部に挿入するための開口部を有しており、前記連結配管の前記蒸発部側の外周面と前記開口部の周縁との隙間に液相冷媒が前記蒸発部内から逆流して浸入することを防ぐためのシール部を備える構成であってもよい。
【0026】
上記構成によるとシール部を備えるため、回転機全体が傾斜または動揺した際に、連結配管の外周面と開口部の周縁との間に形成される隙間に、蒸発部内から逆流した液相冷媒が、浸入することを防ぐことができる。
【0027】
また、本発明のある形態に係る回転機は、上記した構成において、前記蒸発部は、前記液相冷媒を貯留する冷媒貯留部と、前記連結配管を該冷媒貯留部内に挿入するための開口部と、を有しており、前記冷媒貯留部を形成する壁面のうち、前記連結配管が挿入される側の壁面には、該壁面の内面の少なくとも一部が、前記回転軸線に対して傾き、かつその先端部に前記開口部が形成されたテーパーフード部が設けられており、前記回転軸線に対する前記テーパーフード部の傾斜角度は前記許容傾斜角度θより大きくなる構成であってもよい。
【0028】
上記した構成によると、前記テーパーフード部は、回転軸線に対する傾斜角度が許容傾斜角度θより大きくなるように構成されている。このため、例えば、回転機が許容傾斜角度θまで傾斜し、連結配管の蒸発部側の一端部位置が屈曲部よりも高くなるような場合であっても、テーパーフード部では開口部から冷媒貯留部内に向かって低くなるように傾斜を維持することができる。このため、連結配管を流通した液相冷媒を蒸発部の冷媒貯留部内に流入させることができる。さらに、冷媒貯留部内に貯留する液相冷媒が連結配管の方に向かって逆流することを防ぐことができる。
【0029】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は以上に説明したように構成され、装置全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部と蒸発部との間における熱輸送能力を安定して維持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態に係る回転機の構成の一例を模式的に示した端面図である。
【図2】図1に示す回転機において利用する熱サイフォン冷却システムの一例を模式的に示す図である。
【図3】図1に示す回転機において利用する熱サイフォン冷却システムの一例を模式的に示す図である。
【図4】図1に示す回転機が備える連結配管の、蒸発部側から屈曲部までの連結配管部分(第1連結配管部)と、凝縮部側から屈曲部までの連結配管部分(第2連結配管部)とのそれぞれの長さ成分の関係を示す図である。
【図5A】連結配管内における冷媒の流通状態を示す図であり、従来の回転機が水平な床面に載置されている場合の連結配管内の状態を模式的に示す。
【図5B】連結配管内における冷媒の流通状態を示す図であり、従来の回転機が傾斜または揺動した場合の連結配管内の状態を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(本発明の概要)
本発明者は、回転子内の例えば、界磁極またはその他の電機子など被冷却体を熱サイフォン作用により冷却する回転機の構成について鋭意研究した。特に、船内など傾斜または動揺するなど水平状態が保たれない場所にこの回転機が設置された場合に関して検討した。なお、熱サイフォン作用は、ヒートパイプ作用とも称される場合がある。そして、特許文献1に開示された超電導装置(これ以降、従来の回転機と称する)では、具体的には以下の問題が生じることを見出した。

【0033】
まず、従来の回転機は、冷却機で冷やされた凝縮器によって液化された冷媒(液相冷媒)が連結配管を通じて回転機の回転子内部に形成された中央空洞(蒸発部)に送られ、蒸発部の液相冷媒が気化することにより蒸発部の周囲に設けられた巻線ホルダを介して巻線ホルダに巻回された巻線(界磁極)を冷却するように構成されている。従来の回転機では、蒸発部で液相冷媒が気化することによって生じた気相冷媒は、同じ連結配管を通じて凝縮器に戻される。

【0034】
ここで、従来の回転機が水平な床面に載置されている場合、この回転機が備える連結配管は、図5Aに示すように凝縮部で凝縮され、液相冷媒が略垂直方向に延びる連結配管内を滴下し、略水平方向に延びる連結配管の底部に沿って蒸発部の方に流通する。蒸発部で生じた気相冷媒は、蒸発部と凝縮部との圧力差または密度差によって、連結配管内を蒸発部から凝縮部に向かって液相冷媒とは逆に流通する。

【0035】
ここで、従来の回転機が傾斜または動揺した場合、例えば、図5Bに示すように略垂直方向に延びる連結配管部と略水平方向に延びる連結配管部との連結部分である屈曲部およびその近傍に液相冷媒が貯留する可能性がある。連結配管の屈曲部およびその近傍に液相冷媒が貯留すると、この貯留した液相冷媒により連結配管内が塞がれてしまい、気相冷媒の流通が妨げられることとなる。

【0036】
このように気相冷媒の流通が妨げられると、凝縮部と蒸発部との間において冷媒の連続的、安定的な供給が阻害され、熱輸送能力が低下する。そして熱輸送能力が低下すると回転子を安定して回転させることができなくなる。そこで本発明者はこの問題点に関し、検討を重ねた結果、以下の知見を得た。

【0037】
すなわち、連結配管を、液相冷媒が流通する液相冷媒流路と気相冷媒が流通する気相冷媒流路とをそれぞれ別々に設けた配管構造とすることで、回転機が傾斜または動揺した場合であっても気相冷媒が流通する流路を確保できることを見出した。これにより、回転機全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部と蒸発部との間における熱輸送能力を安定して維持できる。

【0038】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下ではすべての図を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。

【0039】
(回転機の構成)
以下において本実施の形態に係る回転機100の構成を、図1を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係る回転機100の構成の一例を模式的に示した端面図である。なお、本実施の形態では、回転機100として超電導回転機を例に挙げ説明するが、これに限定されるものではなく、回転軸線Aの周りを回転する回転子1内の被冷却体を熱サイフォン作用により冷却させる回転機であればよい。また、本実施の形態では、被冷却体として超電導コイル11を例示するが、これに限定されるものではなく他の例えば、永久磁石、常電導コイル等であってもよい。また、該被冷却体は界磁極に限定されるもではなく、例えば電機子等であってもよい。

【0040】
回転機100は、図1に示すように、複数の電機子2からなる固定子と、回転子1と、凝縮部4と、連結配管5とを備えている。回転子1の回転軸3は、水平方向に延伸した回転軸線Aの周りに回転子1が回転可能となるように不図示の軸受で支持されている。軸受は、機械軸受であってもよいし磁気軸受であってもよい。回転子1の外周には複数の電機子2が設けられている。また、回転子1の外部には、該回転子1が備える超電導コイル(界磁極)11を超電導状態に保持するために、該超電導コイルを冷却するための冷却機60が固定されている。冷却機60は、コールドヘッド61の端部に、凝縮部4が備えられており、この凝縮部4に固定された連結配管5を介して回転子1にある超電導コイル11と熱的に接続されている。

【0041】
凝縮部4では、コールドヘッド61により気相冷媒が所定温度まで冷却され、凝縮して液相冷媒となる。液相冷媒は、略垂直方向に延伸する連結配管部分(第2連結配管部5b)を介して凝縮部4から下方に向って滴下される。滴下された液相冷媒は、屈曲部50から回転子1に向かって回転軸線A方向に延伸する連結配管部分(第1連結配管部5a)を流通する。

【0042】
図1に示すように回転子1は、その内部に複数の超電導コイル11と、蒸発部12とを有している。蒸発部12は、凝縮部4から供給された液相冷媒を気化させて超電導コイル11と熱交換するものであり、冷媒貯留部20と、開口部21と、冷媒流通配管13と、伝熱バー14とを備えてなる構成である。

【0043】
冷媒貯留部20は、回転子1内の略中央部分に形成されており、凝縮部4から連結配管5を通じて供給された液相冷媒を貯留するための空間である。連結配管5が配置される側の冷媒貯留部20の壁面には、該連結配管5をこの冷媒貯留部20内に挿入するための開口部21が形成されている。

【0044】
冷媒流通配管13は、冷媒貯留部20から超電導コイル11の近傍へ至り、該超電導コイル11の近傍から冷媒貯留部20に戻るように環状に配設された配管であり、冷媒貯留部20内と連通している。そして、冷媒流通配管13を流通した液相冷媒と、超電導コイル11との間で熱交換を行うように構成されている。

【0045】
伝熱バー14は、冷媒貯留部20の外周と超電導コイル11との間に架け渡されており熱伝導により超電導コイルを冷却する。そして、上記した冷媒流通配管13および伝熱バー14を介して液相冷媒と超電導コイル11との間で熱交換をし、該超電導コイル11を所定温度まで冷却させる。一方、この熱交換により冷媒は気化し(気相冷媒)、冷媒貯留部20から連結配管5を通じて凝縮部4へと戻される。

【0046】
また、図1に示すように、連結配管5が挿入される側に突出した回転軸3は中空となっており、この中空の回転軸3内に連結配管5が配置され、該連結配管5の一端部が冷媒貯留部20内に挿入されるようになっている。連結配管5が挿入される側に突出した回転軸3内において、該回転軸3の内周面と該連結配管5との間は磁性流体封止部材6によりシールされており、これにより冷媒雰囲気と大気間とをシールする。本実施の形態に係る回転機100では、上記したように密封するために磁性流体封止部材6を用いる構成であるが、この磁性流体封止部材6の代わりに、ラビリンスシールを用いる構成であってもよい。

【0047】
なお、図1では、蒸発部12は、回転子1内の略中央部分に設けられ、液相冷媒を貯留する冷媒貯留部20を有した構成であったが蒸発部12の構成はこれに限定されるものではない。例えば、蒸発部12は、冷媒貯留部20を備えず、連結配管5を通じて凝縮部4から流通した液相冷媒をそのまま冷媒流通配管13に流通させ、該冷媒流通配管13を流通した液相冷媒と超電導コイル11との間で熱交換させる構成であってもよい。このような構成の場合、連結配管5は冷媒流通配管13の開口部に挿通されており、冷媒流通配管13と連結配管5とが直接、連通することとなる。

【0048】
ところで、本実施に形態に係る回転子1では、超電導コイル11を、熱サイフォン作用を利用することにより冷却することができるように構成されている。以下において、回転子1において利用する熱サイフォン作用を実現する構成の詳細について説明する。

【0049】
(熱サイフォン作用)
以下、図1,2を参照して本実施の形態に係る回転機100において、熱サイフォン作用を実現する構成(熱サイフォン冷却システム)について説明する。図2は、図1に示す回転機100において利用する熱サイフォン冷却システムの一例を模式的に示す図である。

【0050】
熱サイフォン冷却システムは、冷却機60と凝縮部4と蒸発部12と連結配管5とから構成され、凝縮部4、蒸発部12、および連結配管5からなる密閉空間内に冷媒(たとえば、ネオンまたは窒素など)を封入する。そして、図2に示すように凝縮部4と蒸発部12との間で冷媒が相変化する。なお、熱サイフォン冷却システムでは冷媒の還流に重力を利用している。より具体的には、凝縮部4において冷却機60により冷却された冷媒は凝縮し、液相冷媒となる。液相冷媒は、重力により連結配管5内に設けられた液相冷媒流路51を流れ、蒸発部12における冷媒貯留部20内に貯留され、被冷却体である超電導コイル11との熱交換により気化される。気相冷媒は、凝縮部4と蒸発部12との間の圧力差または密度差により蒸発部12から凝縮部4に向かって連結配管5内に設けられた気相冷媒流路52を通じて戻される。なお、連結配管5の詳細な構成については後述する。

【0051】
以上のように本実施の形態に係る回転機100では、冷媒が相変化し、自然対流によって凝縮部4と蒸発部12との間を循環することで被冷却対象である超電導コイル11を冷却することができる。

【0052】
(連結配管の構造)
ここで連結配管5の構造について上記した図1,2を参照してより詳細に説明する。

【0053】
図1,2に示すように連結配管5は、一端部が蒸発部12の冷媒貯留部20内に挿入されており、回転軸線Aに沿って、冷媒貯留部20から回転子1の外側に向かって延伸し、屈曲部50で屈曲する。屈曲部50で屈曲した連結配管5は、少なくとも回転軸線Aよりも高い位置に設けられている凝縮部4に向かって延伸する。そして、連結配管5の他端部は凝縮部4に固定される。なお、本明細書では、蒸発部12側にある連結配管5の端部を一端部、凝縮部4側にある連結配管5の端部を他端部として区別するものとする。

【0054】
図2に示すように、連結配管5は、凝縮部4において凝縮した液相冷媒が流通する液相冷媒流路51と、蒸発部12において気化した気相冷媒が流通する気相冷媒流路52とがそれぞれ別々に設けられた配管構造を有している。本実施の形態に係る回転機100では、図2に示すように、連結配管5は、内管と、この内管の外周を囲む外管とから構成された二重配管構造となっている。連結配管5では、内管が気相冷媒流路52となっており、内管と外管との間に形成される空間が液相冷媒流路51となっているが、これに限定されるものではない。例えば、連結配管5は、内管が液相冷媒流路51となっており、内管と外管との間に形成される空間が気相冷媒流路52となっている構成であってもよい。図2に示す連結配管5は、同軸上に延伸する、径が異なる2つの配管を組み合わせて形成することができる。また、連結配管5の配管構造は、このように内管と外管とから構成される二重配管構造に限定されない。例えば、一本の配管内を2分割するように連結配管5の延伸方向に沿って仕切り壁を設け、2分割された一方の流路を液相冷媒流路51とし、他方の流路を気相冷媒流路52とする並列配管構造であってもよい。

【0055】
以上のように、連結配管5は、液相冷媒流路51と気相冷媒流路52とがそれぞれ別々に設けられている。このため、回転機100全体が傾斜または動揺し、連結配管5の屈曲部50において液相冷媒が詰り、気相冷媒の流通を妨げることを防ぐことができる。従って、回転機100は、装置全体が傾斜または動揺した場合であっても、凝縮部4と蒸発部12との間における熱輸送能力を安定して維持できる。

【0056】
また、本実施の形態に係る回転機100では、図2に示すように、蒸発部12の冷媒貯留部20内に挿通される連結配管5の一端部において、気相冷媒流路52の方が、液相冷媒流路51よりも回転子1の中心に向かって突出した構成となっている。例えば、連結配管5が図2に示す二重配管構造を有し、内管側が気相冷媒流路52となっている場合、あるいは、連結配管5が並列配管構造を有する場合において、気相冷媒流路52の一端部の方が液相冷媒流路の一端部よりも突出した構成とすることで、回転機100全体が傾斜したとしても、液相冷媒流路51を流通して冷媒貯留部20に供給される液相冷媒が気相冷媒流路52内へと浸入することを防ぐことができる。

【0057】
また、本実施の形態に係る回転機100では、図2に示すように、凝縮部4内において、液相冷媒が気相冷媒流路52へと浸入することを防ぐための浸入防止部41が設けられている。ここで、図1に示すように凝縮部4の上面には冷却機60のコールドヘッド61が設けられており、コールドヘッド61により冷却され凝縮した液相冷媒が凝縮部4の上方から下方に向って滴下するように構成されている。そこで、本実施の形態に係る回転機100では、図2に示すように、凝縮部4内において液相冷媒が上方から滴下し、気相冷媒流路52内に浸入することを防ぐことができる傘形状の遮蔽部材を浸入防止部41として備えている。この浸入防止部41は、凝縮部4内において気相冷媒流路52からの気相冷媒の排出を妨げず、かつ気相冷媒流路52への液相冷媒の浸入を防ぐ位置に設けられる。

【0058】
なお、浸入防止部41の形状は図2に示すような傘形状に限定されるものではなく、例えば板形状など、気相冷媒流路52への液相冷媒の浸入を防ぐことができる形状であればよい。浸入防止部41は、連結配管5の気相冷媒流路52に設けられた支持材(不図示)によって凝縮部4内に支持された構成であってもよいし、凝縮部4内に設けられた支持材(不図示)によって該凝縮部4内に支持された構成であってもよい。

【0059】
また、図2に示す回転機100では、浸入防止部41は連結配管5とは別部材として設けられる構成であった。しかしながら、浸入防止部41は、連結配管5の他端部を液相冷媒が気相冷媒流路52内に浸入しないように変形させた部分としてもよい。具体的には、液相冷媒の浸入を防ぐように、気相冷媒流路52の他端部を屈曲させるなど変形させた形状部分を浸入防止部41とすることができる。

【0060】
このように、浸入防止部41を備えるため、気相冷媒流路52に浸入した液相冷媒によって、気相冷媒流路52の屈曲部50近傍を塞いでしまうことを防止することができる。

【0061】
また、回転機100では、連結配管5は、一端部が開口部21を介して冷媒貯留部20内に挿入され、他端部が凝縮部4に固定されている。このため、連結配管5の外周面と開口部21の周縁との間には隙間が形成されることとなる。本実施の形態に係る回転機100では、この連結配管5の外周面と開口部21の周縁との間に形成された隙間を塞ぐように、連結配管を開口部21および/または開口部21の近傍において支持する支持部31が設けられている。支持部31としては、回転部側に備えられた蒸発部12の開口部21と固定部側に備えられた連結配管5との間で相対的に回転可能となり、かつ連結配管5を開口部21の周縁で支持することができるベアリングなどを利用することができる。

【0062】
本実施の形態に係る回転機100では、上述のように支持部31を備えるため、連結配管5を凝縮部4と支持部31との両端で支持することができる。このため、回転機100全体が傾斜または動揺した際に生じる衝撃や疲労に対して耐性を高めることができる。また、支持部31により開口部21の周縁と連結配管5との隙間に液相冷媒が浸入することを防ぐことができる。このように、開口部21の周縁と連結配管5との隙間への液相冷媒の浸入を防ぐことができるため、磁性流体封止部材6が浸入してきた液相冷媒に曝されることを防止することができる。

【0063】
また、開口部21と連結配管5との隙間に液相冷媒が浸入することを防ぐために、上記した支持部31の代わりにシール部を備える構成であってもよい。シール部としては、例えば、回転部側に備えられた蒸発部12の開口部と固定部側に備えられた連結配管5との間で相対的に回転可能とする、例えばメカニカルシール、リップシール、ラビリンスシールを挙げることができる。また、支持部31とシール部とを組み合わせた構成としてもよい。両者を組み合わせることで連結配管5の衝撃や疲労に対する耐性を高めつつ、磁性流体封止部材6が液相冷媒に曝されるリスクを大幅に低減させることができる。

【0064】
また、開口部21と連結配管5との隙間に液相冷媒が浸入することを防ぐために、図3に示すように、連結配管5が、該連結配管5の外周面と開口部21の周縁との隙間に液相冷媒が蒸発部12内から逆流して浸入することを防ぐための逆流防止部32を備える構成としてもよい。図3は、図1に示す回転機100において利用する熱サイフォン冷却システムの一例を模式的に示す図である。

【0065】
逆流防止部32は、例えば、回転機100全体が傾斜または動揺した際に、蒸発部12の冷媒貯留部20内から液相冷媒が連結配管5に向かって逆流し、液相冷媒が開口部21と連結配管5との隙間に浸入することを防ぐことができるように、連結配管5の外周に設けられた遮蔽部材として実現することができる。この遮蔽部材は、例えば、図3に示すように連結配管5の一端部において、連結配管5と開口部21との隙間に液相冷媒が浸入しないように、連結配管5の外周壁が折り返された折り返し構造部分として例示できる。

【0066】
また、図1から3に示すように、連結配管5の外形は、第1連結配管部5aと第2連結配管部5bとが略L字形状となっている。本実施の形態に係る連結配管5では、第1連結配管部5aの長さ成分と、第2連結配管部5bの長さ成分とは図4に示す関係にある。図4は、図1に示す回転機100が備える連結配管5の、蒸発部12側から屈曲部50までの連結配管部分(第1連結配管部5a)と、凝縮部4側から屈曲部50までの連結配管部分(第2連結配管部5b)とのそれぞれの長さ成分の関係を示す図である。

【0067】
すなわち、蒸発部12側にある連結配管5の一端部と凝縮部4側にある連結配管5の他端部とを結ぶ線と、回転軸線Aとによってなす角度が、回転機100において設定されている許容傾斜角度θ以上となるように第1連結配管部5aと第2連結配管部5bとの長さ成分の比率が設定されている。

【0068】
例えば、回転機100全体が傾斜すると、それに伴って、連結配管5も傾斜し、蒸発部12と屈曲部50との間の区間において、蒸発部12側にある一端部が屈曲部50よりも高くなる場合がある。このような場合、連結配管5では屈曲部50から蒸発部12に向かって液相冷媒が流通しなくなる。

【0069】
しかしながら、上記したように、回転機100では、連結配管5の一端部と他端部とを結ぶ線と回転軸線Aとによってなす角度が許容傾斜角度θ以上であるため、回転機100全体が許容傾斜角度θまで傾斜したとしても、凝縮部4側にある連結配管5の他端部を、蒸発部12側にある連結配管5の一端部以上の高さに維持することができる。それ故、例えば、回転機100全体が傾斜または動揺し、液相冷媒が連結配管5を介して蒸発部12に一時的に供給されない状態となったとしても、第2連結配管部5bにおいて液相冷媒が蒸発部12側の一端部以上の高さまで貯留されると、そのヘッド圧(水頭圧)により液相冷媒を冷媒貯留部20内に押し出すことができる。なお、許容傾斜角度θは、設置場所において該回転機100の傾斜が許容される角度であり、例えば、15度~30度の範囲で設定することができる。

【0070】
よって、回転機100全体が傾斜または動揺したとしても液相冷媒を蒸発部12に供給することができ、回転子1内の超電導コイル11に対する冷却能力を維持することができる。

【0071】
また、本実施の形態に係る回転機100では、蒸発部12の冷媒貯留部20の壁面のうち、連結配管5が挿入される側の壁面の内面の少なくとも一部が、回転軸線Aに対して傾くように形成されたテーパーフード部22が設けられている。より具体的には、テーパーフード部22は、図1,図2に示すように開口部21から回転子1の中心に向かって拡径する、いわゆる錐台形状をしている。

【0072】
ここで、超電導コイル11を冷却するのに十分な流量の冷媒を流通させるためには、連結配管5の配管長が長くなればなるほど、配管径を大きくする必要があり、結果的に回転軸3や該回転軸3を支持する軸受が拡径することになるため、材料・組立費が増加したり、軸受のメンテナンス間隔が悪化たりする。しかしながら、本実施の形態に係る回転機100では、蒸発部12側にテーパーフード部22を設け、連結配管5を蒸発部12側から迎えにいく構造とすることで連結配管5の配管長を、テーパーフード部22を設けない構造の場合と比較して短くすることができる。これにより連結配管5の配管径が大きくなることを防ぐことができ、回転軸3や該回転軸3を支持する軸受の拡径化により、材料・組立費の増加や軸受のメンテナンス間隔の悪化を防ぐことが出来る。また、本実施の形態に係る回転機100では、テーパーフード部22の回転軸線Aに対する傾斜角度が、許容傾斜角度θより大きくなるように設定されている。

【0073】
このため、例えば、回転機100が許容傾斜角度θまで傾斜し、連結配管5の蒸発部12側の一端部位置が屈曲部50よりも高くなるような場合であっても、テーパーフード部22では開口部21から冷媒貯留部20内に向かって低くなるように傾斜を維持することができる。このため、連結配管5を流通した液相冷媒を蒸発部12の冷媒貯留部20内に流入させることができる。さらに、冷媒貯留部20内に貯留する液相冷媒が連結配管5に向かって逆流することや、開口部21の周縁と連結配管5との隙間に液相冷媒が浸入することを防ぐことができる。

【0074】
なお、本実施の形態に係る回転機100では、蒸発部12の冷媒貯留部20に上記したテーパーフード部22を備える構成であったが、必ずしもテーパーフード部22を設ける必要はない。例えば、連結配管5の配管径が所望の寸法に収まる場合であって、冷媒貯留部20に貯留された液相冷媒が逆流することがない場合は、テーパーフード部22を備えない構成とすることができる。このようにテーパーフード部22を備えない構成の場合、冷媒貯留部20の連結配管5が挿入される側の壁面は、回転軸線Aに対して傾斜した構成とはならない。

【0075】
また、冷媒貯留部20においてテーパーフード部22を設ける構成は、必ずしも熱サイフォン作用を用いて被冷却体を冷却する構成に限定されるものではない。また、連結配管5が上述した二重配管構造または並列配管構造を有する構成に限定されるものでもない。すなわち、被冷却体を冷却するために冷媒貯留部20内に液相冷媒が貯留される構成において、装置全体が傾斜または動揺した際に、貯留された液相冷媒の逆流を防止することができる装置を提供する場合に、テーパーフード部22を設けた構成とすることができる。さらにまた、連結配管5の配管長が長くなり所望の配管径の寸法より大きくなる構造を改善することができる装置を提供する場合にも、上記したテーパーフード部22を設けた構成とすることができる。

【0076】
なお、連結配管5は、ヒートパイプ作用(ウィック)を生じさせる構造を有するものであってもよい。

【0077】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、例えば、船舶など傾斜または動揺する環境下で用いられる、熱サイフォン作用を用いて被冷却体の冷却を行う回転機において有用である。
【符号の説明】
【0079】
1 回転子
3 回転軸
4 凝縮部
5 連結配管
11 超電導コイル
12 蒸発部
13 冷媒流通配管
20 冷媒貯留部
21 開口部
22 テーパーフード部
31 支持部
32 逆流防止部
41 浸入防止部
50 屈曲部
51 液相冷媒流路
52 気相冷媒流路
60 冷却機
100 回転機
A 回転軸線
θ 許容傾斜角度
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5A】
4
【図5B】
5