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明細書 :PCP複合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 PCP複合体
国際特許分類 C08L 101/02        (2006.01)
C08L 101/12        (2006.01)
C08K   3/08        (2006.01)
C08K   5/00        (2006.01)
C08J   3/24        (2006.01)
FI C08L 101/02
C08L 101/12
C08K 3/08
C08K 5/00
C08J 3/24 CERZ
C08J 3/24 CEZ
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 24
出願番号 特願2015-528345 (P2015-528345)
国際出願番号 PCT/JP2014/069615
国際公開番号 WO2015/012373
国際出願日 平成26年7月24日(2014.7.24)
国際公開日 平成27年1月29日(2015.1.29)
優先権出願番号 2013156043
優先日 平成25年7月26日(2013.7.26)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】魚谷 信夫
【氏名】北川 進
【氏名】野呂 真一郎
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4F070
4J002
Fターム 4F070AA32
4F070AA60
4F070AC06
4F070GA00
4F070GA10
4F070GB09
4F070GC01
4J002AA031
4J002AA032
4J002AA051
4J002AA052
4J002AA061
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4J002AA071
4J002AA072
4J002BG051
4J002BG052
4J002CK021
4J002CP031
4J002CP032
4J002CP091
4J002CP092
4J002CP101
4J002CP102
4J002DA017
4J002DA026
4J002DA027
4J002DA037
4J002DA067
4J002DA077
4J002DA087
4J002DA097
4J002DA107
4J002DE156
4J002DG026
4J002DG046
4J002DJ046
4J002DJ056
4J002DK006
4J002FD117
4J002FD176
4J002GD00
4J002GD02
要約 PCPの性能を維持した成形が可能な複合体を提供する。
金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子(PCP)とガラス転移点が70℃以下のポリマーを含み、ポリマーは前記金属イオンと配位可能な複数の官能基を有し、PCPとポリマーが前記官能基を介して架橋されてなる、複合体。
特許請求の範囲 【請求項1】
金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子(PCP)とガラス転移点(Tg)が70℃以下のポリマーを含み、ポリマーは前記金属イオンと配位可能な複数の官能基を有し、PCPとポリマーが前記官能基を介して架橋されてなる、複合体。
【請求項2】
架橋間分子量が300~1300である請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記官能基がグリシジル基、COOH、無水カルボン酸基(-CO-O-CO-R)、CS2H、OH、SH、SO、SO2、SO3H、NO2、-S-、-SS-、Si(OH)3、Ge(OH)3、Sn(OH)3、Si(SH)4、Ge(SH)4、Sn(SH)4、PO3H、AsO3H、AsO4H、P(SH)3、As(SH)3、CH(SH)2、C(SH)3、CH(NH2)2、C(NH2)3、CH(OH)2、C(OH)3、CH(CN)2、C(CN)3、CH(RSH)2、C(RSH)3、CH(RNH2)2、C(RNH2)3、CH(ROH)2、C(ROH)3、CH(RCN)2、C(RCN)3、1級,2級又は3級アミノ基、芳香環を構成する窒素原子(式中、RはC1~C5アルキル基又はアリール基を示す)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1~2のいずれかに記載の複合体。
【請求項4】
前記官能基は、ポリマーの繰り返し単位100個あたり1~30個である、請求項1~3のいずれかに記載の複合体。
【請求項5】
金属イオンがMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選ばれる、請求項1~4のいずれかに記載の複合体。
【請求項6】
PCP70~99重量%、ポリマー1~30重量%を含む、請求項1~5のいずれかに記載の複合体。
【請求項7】
請求項1~8のいずれかに記載の複合体を成形してなる成形体。
【請求項8】
前記複合体と滑剤及び導電剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、請求項7に記載の成形体。
【請求項9】
前記成形体が、薄膜状、粒状、ペレット状の形状を有する、請求項7又は8に記載の成形体。
【請求項10】
請求項7~9のいずれかに記載の成形体を含む物質の貯蔵材料。
【請求項11】
請求項7~9のいずれかに記載の成形体を含む物質の分離材料。

【請求項12】
金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子(PCP)とガラス転移点が70℃以下のポリマーを溶媒中で混合してPCPとポリマーを前記官能基を介して架橋させることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の複合体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、PCP(Porous Coordination Polymer;多孔性配位高分子)複合体に関し、詳しくはPCPの機能を保持した成形を可能にする複合体に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、脱臭、排ガス処理などの分野で種々の吸着材が開発されている。活性炭はその代表例であり、活性炭の優れた吸着性能を利用して、空気浄化、脱硫、脱硝、有害物質除去など各種工業において広く使用されている。
より優れた吸着性能を与える吸着材として、外部刺激により動的構造変化を生じるPCPが開発されている。この新規な動的構造変化高分子金属錯体をガス状の物質の吸着材として使用した場合、ある一定の圧力までは物質を吸着しないが、ある一定圧を越えると物質の吸着が始まるという現象が観測されている。また、物質の種類によって吸着開始圧が異なる現象が観測されている。
【0003】
PCPは混合物質(気体、液体)の分離、精製、貯蔵に利用される優れた性質を有しているが、材料自体の機械的強度がないため、成形して使用することが求められている。PCPのみで成形した場合、PCPの凝集力が強くないため、分離、精製、貯蔵などの単位操作で形状が崩れてしまう。
【0004】
特許文献1は、MOFとグラファイトなどのバインダーにより成形体を製造することを開示しているが、この方法ではポリマーの配合量が多くなりすぎ、MOFの機能が低下する不具合があった。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特許第4980918号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、PCPの性能を維持し、かつ成形体が十分な強度を有する複合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の複合体を提供するものである。
項1. 金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子(PCP)とガラス転移点(Tg)が70℃以下のポリマーを含み、ポリマーは前記金属イオンと配位可能な複数の官能基を有し、PCPとポリマーが前記官能基を介して架橋されてなる、複合体。
項2. 架橋間分子量が300~1300である項1に記載の複合体。
項3. 前記官能基がグリシジル基、COOH、無水カルボン酸基(-CO-O-CO-R)、CS2H、OH、SH、SO、SO2、SO3H、NO2、-S-、-SS-、Si(OH)3、Ge(OH)3、Sn(OH)3、Si(SH)4、Ge(SH)4、Sn(SH)4、PO3H、AsO3H、AsO4H、P(SH)3、As(SH)3、CH(SH)2、C(SH)3、CH(NH2)2、C(NH2)3、CH(OH)2、C(OH)3、CH(CN)2、C(CN)3、CH(RSH)2、C(RSH)3、CH(RNH2)2、C(RNH2)3、CH(ROH)2、C(ROH)3、CH(RCN)2、C(RCN)3、1級,2級又は3級アミノ基、芳香環を構成する窒素原子(式中、RはC1~C5アルキル基又はアリール基を示す)からなる群から選ばれる少なくとも1種である、項1~2のいずれかに記載の複合体。
項4. 前記官能基は、ポリマーの繰り返し単位100個あたり1~30個である、項1~3のいずれかに記載の複合体。
項5. 金属イオンがMg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+及びBiからなる群から選ばれる、項1~4のいずれかに記載の複合体。
項6. PCP70~99重量%、ポリマー1~30重量%を含む、項1~5のいずれかに記載の複合体。
項7. 項1~8のいずれかに記載の複合体を成形してなる成形体。
項8. 前記複合体と滑剤及び導電剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、項7に記載の成形体。
項9. 前記成形体が、薄膜状、粒状、ペレット状の形状を有する、項7又は8に記載の成形体。
項10. 項7~9のいずれかに記載の成形体を含む物質の貯蔵材料。
項11. 項7~9のいずれかに記載の成形体を含む物質の分離材料。
項12. 金属イオンと有機配位子から構成される多孔性配位高分子(PCP)とガラス転移点が70℃以下のポリマーを溶媒中で混合してPCPとポリマーを前記官能基を介して架橋させることを特徴とする、項1~6のいずれかに記載の複合体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複合体は、ガラス転移点が70℃以下のポリマーとPCPを架橋しているので、少量のポリマーを利用して成形性に優れた複合体を得ることができる。物質の吸脱着時にPCPは体積が膨張及び収縮するが、本発明の複合体を用いた成形体は物質の吸脱着時にも形状を保持することができる。
【0009】
本発明の複合体は、成形体とすることで、物質の分離・貯蔵に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の複合体の構造を模式的に示す。
【図2】[Cu(BF4)2(bpp)2]n : ポリマーA = 80 : 20 の複合体の成形直後と300回繰り返し吸着後の写真を示す。
【図3】[Cu(BF4)2(bpp)2]n : ポリマーA = 90 : 10 の複合体の成形直後と300回繰り返し吸着後の写真を示す。
【図4】PCPが[Cu(BF4)2(bpp)2]nであり、ポリマーのガラス転移点が28℃のポリマーAの複合体の成形直後と300回繰り返し吸着後の写真を示す。
【図5】PCPが[Cu(BF4)2(bpp)2]nであり、ポリマーのガラス転移点が75℃の tert-butyl acrylate-co-ethyl acrylate-co-methacrylic acidの複合体の成形直後と300回繰り返し吸着後の写真を示す。
【図6】ポリマーB:[Cu3(1,3,5-btc)2]n=20:80の複合体に対する二酸化炭素の吸脱着させたときの挙動
【図7】ポリマーB:[Al(OH)(1,4-bdc)]n=20:80の複合体に対するプロピレンの吸脱着させたときの挙動
【図8】ポリマーA:[Cu(BF4)2(bpp)2]n=20:80の複合体に対するプロパンの吸脱着させたときの挙動
【図9】ポリマーA:[Cu(BF4)2(bpp)2]n=20:80の複合体におけるプロパン、プロピレンの分離
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の複合体は、多孔性配位高分子(PCP)とポリマーを含み、ポリマーがPCPで架橋された複合体である。

【0012】
本発明で使用するPCPは、金属イオンと有機配位子から構成され、物質(ガス状、液体状)の吸着時に体積が膨張し、物質の脱着時に体積が収縮するものである。このようなPCPは公知であり、公知の製造法により得ることができる。

【0013】
PCPを構成する金属イオンとしては、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、Sc3+、Y3+、Ti4+、Zr4+、Hf4+、V4+、V3+、V2+、Nb3+、Ta3+、Cr3+、Mo3+、W3+、Mn3+、Mn2+、Re3+、Re2+、Fe3+、Fe2+、Ru3+、Ru2+、Os3+、Os2+、Co3+、Co2+、Rh2+、Rh、Ir2+、Ir、Ni2+、Ni、Pd2+、Pd、Pt2+、Pt、Cu2+、Cu、Ag、Au、Zn2+、Cd2+、Hg2+、Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Si4+、Si2+、Ge4+、Ge2+、Sn4+、Sn2+、Pb4+、Pb2+、As5+、As3+、As、Sb5+、Sb3+、Sb、Bi5+、Bi3+、Biが挙げられる。

【0014】
PCPを構成する有機配位子は、金属イオンと配位可能な複数の官能基を有する芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物、ヘテロ芳香族化合物、ヘテロ環式化合物を含み、さらに金属イオンと配位可能な1つの官能基を有する芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物、ヘテロ芳香族化合物、ヘテロ環式化合物を併用してもよい。
有機配位子の金属イオンに配位可能な前記官能基は、1つの芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物、ヘテロ芳香族化合物、ヘテロ環式化合物に対し1~5個、好ましくは2~4個、より好ましくは2~3個含まれる。このような金属イオンに配位可能な官能基としては、グリシジル基、COOH、無水カルボン酸基、CS2H、OH、SH、SO、SO2、SO3H、NO2、-S-、-SS-、Si(OH)3、Ge(OH)3、Sn(OH)3、Si(SH)4、Ge(SH)4、Sn(SH)4、PO3H、AsO3H、AsO4H、P(SH)3、As(SH)3、CH(SH)2、C(SH)3、CH(NH2)2、C(NH2)3、CH(OH)2、C(OH)3、CH(CN)2、C(CN)3、CH(RSH)2、C(RSH)3、CH(RNH2)2、C(RNH2)3、CH(ROH)2、C(ROH)3、CH(RCN)2、C(RCN)3、NH2、NHR、NR2、芳香環を構成する窒素原子、(式中、RはC1~C5アルキル基又はアリール基を示す)が挙げられる。芳香環を構成する窒素原子とは、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、フェナントロリン、キノリン、イソキノリン、ナフチリジン、プリン、ビピリジン、テルピリジンなどの環内窒素原子を意味する。

【0015】
ポリマーは金属イオンと配位可能な複数の官能基を有し、この官能基によりPCPと架橋する。この官能基はポリマーを構成する繰り返し単位が有するものであり、繰り返し単位の数だけポリマーに含まれる。ポリマーを構成する繰り返し単位が有する配位可能な官能基は、繰り返し単位100個あたり1~30個程度、好ましくは5~30個程度、より好ましくは10~30個程度である。
ポリマーが有する「複数の官能基」は、架橋点が複数になるように複数の官能基を有することを意味し、1種類の官能基が複数存在してもよく、複数種類の官能基が各々少なくとも1個ポリマーに存在してもよい。通常は、金属イオンと配位可能な官能基はポリマーに多数存在し、ポリマーの多数の点でPCPにより架橋される。

【0016】
本明細書において、1つのポリマー鎖における隣接する2つの架橋点の間の分子量を「架橋間分子量」という。架橋間分子量とポリマーの柔軟性は密接な関係があり、架橋間分子量が大きい場合は、伸縮への追随がよく柔軟性があり、架橋間分子量が小さい場合は、逆に伸縮への追随が弱く柔軟性が低い。PCPなどの気体の吸脱着により体積変化がある材料とポリマーが架橋されてなる複合体では、適当な架橋間分子量が求められる。架橋間分子量は、実験的には、レオバイブロンを用い、周波数110Hzにて測定した動的粘弾性挙動から得られる。即ち、

【0017】
【数1】
JP2015012373A1_000003t.gif

【0018】
ここで、Mcは架橋間分子量、ρは試料の比重 [g/cm3]、Rは気体定数 8.31 × 107 [erg/deg・mol]、Tは動的粘弾性率が最小になる温度 [K]、Eminは温度Tの最小弾性率 [dyne/cm]を示す。

【0019】
架橋間分子量は、一般的に、300~1300程度、好ましくは500~1100程度である。架橋間分子量が大き過ぎると複合体の強度が不足して形状維持が困難になり、架橋間分子量が小さすぎると複合体が硬くなりPCPの動きに追随できずに崩壊してしまう。

【0020】
ポリマーとPCPを混合し、必要に応じて溶媒の存在下で混合することで、架橋を形成し、本発明の複合体を得ることができる。溶媒としては、水、DMF、DMSO、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N-メチルピロリドン、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低級アルコール、酢酸エチルなどのエステル類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトンなどのケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素などが挙げられる。

【0021】
芳香族化合物は、5又は6員の芳香族炭化水素環からなる単環又は多環系の化合物を意味し、具体例としては、ベンゼン、ナフタレン、1,4-ジヒドロナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、トリフェニル、アセナフチレン、アセナフテン、テトラヒドロナフタレン、クロマン、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレン、ピレン、インダン、インデン及びフェナントレンが挙げられる。
脂肪族化合物としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等の炭素数1~12の脂肪族化合物が挙げられる。

【0022】
脂環式化合物としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン及びシクロオクタンが挙げられる。
ヘテロ芳香族化合物は、N、O及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む、5又は6員の芳香環からなる単環又は多環系の化合物を意味し、多環系の場合には少なくとも1つの環がヘテロ芳香環であればよい。具体例としては、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、ピリダジン、インドール、キノリン、イソキノリン、ベンゾ[b]チオフェン及びベンズイミダゾールが挙げられる。
ヘテロ環式化合物としては、モルホリン、ピロリジン、ピペリジン、メチルピペラジン、テトラヒドトフラン、ジオキサンが挙げられる。

【0023】
芳香族化合物、脂肪族化合物、脂環式化合物、ヘテロ芳香族化合物、ヘテロ環式化合物は、金属イオンと配位可能な官能基の他に1~5個、好ましくは1~3個、特に1~2個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、シアノ、ニトロ、メチレンジオキシ、アセチルアミノ、カルバモイル、アセチル、ホルミルが挙げられる。

【0024】
PCPを構成する有機配位子の具体例としては、ピリジン、4,4’-ビピリジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、2-アミノエタノール、3-アミノプロパノール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、2-アミノプロパン、トリエタノールアミン、エチルブチルアミン、ピペリジン、シクロヘキシルアミン、2-メチルピリジン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルピペリジン、3-メチルピペリジン、4-メチルピペリジン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、モルホリン、アニリン、1,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,3,5-トリアジン、イミダゾール、ピラジン、メタノール、ジヒドロキシメタン、トリヒドロキシメタン、テトラヒドロキシメタン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,1,2,2-テトラヒドロキシエタン、1-プロパノール、2-プロパノール、1,3-プロパンジオール、グリセロール、1,1,3,3-テトラヒドロキシプロパン、アリルアルコール、n-ブタノール、sec-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,1,4,4-テトラヒドロキシブタン、n-ペンタノール、sec-ペンタノール、イソペンタノール、tert-ペンタノール、ネオペンタノール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,3,6-トリヒドロキシヘキサン、シクロヘキサノール、1,4-ジヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、フェノール、ベンジルアルコール、ヒドロキノン、カテコール、レゾルシノール、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、1,2,3-トリヒドロキシベンゼン、1,2,4,5-テトラヒドロキシベンゼン、チオメタン、チオエタン、チオプロパン、チオシクロヘキサン、チオベンゼン、1,3-ジチオプロパン、1,4-ジチオプロパン、1,4-ジチオベンゼン、1,3,5-トリチオベンゼン、1,4-ジシアノベンゼン、1,3,5-トリシアノベンゼン、1,4-ブタンジカルボン酸、酒石酸、グルタル酸、蓚酸、4-オキソピラン-2,6-ジカルボン酸、1,6-ヘキサンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、1,8-ヘプタデカンジカルボン酸、1,9-ヘプタデカンジカルボン酸、ヘプタデカンジカルボン酸、アセチレンジカルボン酸、1、2-ベンゼンジカルボン酸、2,3-ピリジンジカルボン酸、ピリジン-2,3-ジカルボン酸、1,3-ブタジエン-1,4-ジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、イミダゾール-2,4-ジカルボン酸、2-メチルキノリン-3,4-ジカルボン酸、キノリン-2,4-ジカルボン酸、キノキサリン-2,3-ジカルボン酸、6-クロロキノキサリン-2,3-ジカルボン酸、4,4′-ジアミノフェニルメタン-3,3′-ジカルボン酸、キノリン-3,4-ジカルボン酸、7-クロロ-4-ヒドロキシキノリン-2,8-ジカルボン酸、ジイミドジカルボン酸、ピリジン-2,6-ジカルボン酸、2-メチルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、チオフェン-3,4-ジカルボン酸、2-イソプロピルイミダゾール-4,5-ジカルボン酸、テトラヒドロフラン-4,4′-ジカルボン酸、ペリーレン-3,9-ジカルボン酸、ペリーレンジカルボン酸、プルリオールE200-ジカルボン酸、3,6-ジオキサオクタンジカルボン酸、3,5-シクロヘキサジエン-1,2-ジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ペンタン-3,3′-ジカルボン酸、4,4′-ジアミノ-1,1′-ジフェニル-3,3′-ジカルボン酸、4,4′-ジアミノジフェニル-3,3′-ジカルボン酸、ベンジジン-3,3′-ジカルボン酸、1,4-ビス-(フェニルアミノ)-ベンゼン-2,5-ジカルボン酸、1,1′-ビナフチル-8,8′-ジカルボン酸、7-クロロ-8-メチルキノリン-2,3-ジカルボン酸、1-アニリノアントラキノン-2,4′-ジカルボン酸、ポリテトラヒドロフラン-250-ジカルボン酸、1,4-ビス-(カルボキシメチル)-ピペラジン-2,3-ジカルボン酸、7-クロロキノリン-3,8-ジカルボン酸、1-(4-カルボキシ)フェニル-3-(4-クロロ)フェニルピラゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4,5,6,7,7-ヘキサクロロ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソ-イミダゾリン-4,5-ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ナフタレン-1,8-ジカルボン酸、2-ベンゾイルベンゼン-1,3-ジカルボン酸、1,3-ジベンジル-2-オキソイミダゾリン-4,5-ジカルボン酸、2,2′-ビキノリン-4,4′-ジカルボン酸、ピリジン-3,4-ジカルボン酸、3,6,9-トリオキサウンデカンジカルボン酸、O-ヒドロキシベンゾフェノンジカルボン酸、プルリオールE300-ジカルボン酸、プルリオールE400-ジカルボン酸、プルリオールE600-ジカルボン酸、ピラゾール-3,4-ジカルボン酸、2,3-ピラジンジカルボン酸、5,6-ジメチル-2,3-ピラジンジカルボン酸、4,4′-ジアミノ(ジフェニルエーテル)ジイミドジカルボン酸、4,4′-ジアミノジフェニルメタンジイミドジカルボン酸、4,4′-ジアミノ(ジフェニルスルホン)ジイミドジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,3-アダマンタンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-メトキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-ニトロ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、8-スルホ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、アントラセン-2,3-ジカルボン酸、2′,3′-ジフェニル-p-テルフェニル-4,4′′-ジカルボン酸、(ジフェニルエーテル)-4,4′-ジカルボン酸、イミダゾール-4,5-ジカルボン酸、4(1H)-オキソ-チオクロメン-2,8-ジカルボン酸、5-t-ブチル-1,3-ベンゼンジカルボン酸、7,8-キノリンジカルボン酸、4,5-イミダゾールジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、ヘキサトリアコンタンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸、1,7-ヘプタンジカルボン酸、5-ヒドロキシ-1,3-ベンゼンジカルボン酸、ピラジン-2,3-ジカルボン酸、フラン-2,5-ジカルボン酸、1-ノネン-6,9-ジカルボン酸、エイコセンジカルボン酸、4,4′-ジヒドロキシジフェニルメタン-3,3′-ジカルボン酸、1-アミノ-4-メチル-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2,3-ジカルボン酸、2,5-ピリジンジカルボン酸、シクロヘキセン-2,3-ジカルボン酸、2,9-ジクロロフルオルビン-4,11-ジカルボン酸、7-クロロ-3-メチルキノリン-6,8-ジカルボン酸、2,4-ジクロロベンゾフェノン-2′,5′-ジカルボン酸、1,3-ベンゼンジカルボン酸、2,6-ピリジンジカルボン酸、1-メチルピロール-3,4-ジカルボン酸、1-ベンジル-1H-ピロール-3,4-ジカルボン酸、アントラキノン-1,5-ジカルボン酸、3,5-ピラゾールジカルボン酸、2-ニトロベンゼン-1,4-ジカルボン酸、ヘプタン-1,7-ジカルボン酸、シクロブタン-1,1-ジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、5,6-デヒドロノルボルナン-2,3-ジカルボン酸、5-エチル-2,3-ピリジンジカルボン酸、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、7-クロロ-2,3,8-キノリントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、2-ホスホノ-1,2,4-ブタンジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、1-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボン酸、4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ[2,3-F]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸、5-アセチル-3-アミノ-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、3-アミノ-5-ベンゾイル-6-メチルベンゼン-1,2,4-トリカルボン酸、1,2,3-プロパントリカルボン酸、アウリントリカルボン酸、1,1-ジオキシドペリロ[1,12-BCD]チオフェン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、ペリーレン-3,4,9,10-テトラカルボン酸ペリーレン-1.12-スルホン-3,4,9,10-テトラカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、メソ-1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、デカン-2,4,6,8-テトラカルボン酸、1,4,7,10,13,16-ヘキサオキサシクロオクタジエン-2,3,11,12-テトラカルボン酸、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸、1,2,11,12-ドデカンテトラカルボン酸、1,2,5,6-ヘキサンテトラカルボン酸、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,9,10-デカンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、3,3′,4,4′-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸などが挙げられる。

【0025】
ポリマーとしては、前記金属イオンに配位可能な官能基を有するポリマーであれば特に限定されず、公知のポリマー或いは公知の製造方法により製造可能なポリマーを広く使用することができる。このようなポリマーは、ホモポリマーであってもよく、2以上のモノマーを重合した共重合体であってもよい。ポリマーは、単一のポリマーを配合してもよく、2種以上のポリマーを併用して配合してもよい。共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。

【0026】
ポリマーはPCPとさらにポリマーが有する官能基と反応しうる有機架橋剤を用いて架橋構造を形成してもよい。たとえば、ポリマーが有する官能基がグリシジル基の場合、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、チオール基等を2つ以上有する有機架橋剤、ポリマーが有する官能基がチオール基の場合、ビニル基、アクリル基などの2重結合を2つ以上有する有機架橋剤、ポリマーが有する官能基が水酸基の場合、イソシアネート基、ホルミル基、無水カルボン酸残基等を2つ以上有する有機架橋剤、ポリマーが有する官能基がアミノ基の場合、イソシアネート基、ホルミル基等を2つ以上有する有機架橋剤、ポリマーが有する官能基がカルボキシル基の場合、イソシアネート基、カルボジイミド残基、オキサゾリン基、エポキシ基等を2つ以上有する有機架橋剤、ポリマーが有する官能基が無水カルボン酸残基の場合、水酸基、アミノ基等を2つ以上有する有機架橋剤などを架橋構造として挙げることができる。有機架橋剤を使用する場合、溶媒は有機架橋剤と反応しないものあるいは有機架橋剤が溶媒よりもポリマーに速く反応するような有機架橋剤と反応しにくいものを用いる。

【0027】
イソシアネート基を2つ以上有する有機架橋剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4-(又は-2,6-)ジイソシアネート、1,3-(又は1,4-)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート類;これらのジイソシアネ-トのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネ-ト、4,4’-ジフェニルエーテルイソシアネート、(m-もしくはp-)フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4-フェニルイソシアネート)などの芳香族ジイソシアネート化合物;これらのジイソシアネ-ト化合物のビュ-レットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネートなどの1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;これらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物が挙げられる。また、上記のイソシアネート(NCO)をイソチオシアネート(NCS)に代えた化合物が挙げられる。

【0028】
ポリマーを構成するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン等のオレフィン、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレン、塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン、ブタジエン、イソプレン等のジエン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル(例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ベンジルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ウンデシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート)、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンなどの芳香環含有ビニル化合物類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド;グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、N-グリシジルアクリルアミド、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニル化合物類;アミノエチル(メタ)アクリレート、N-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有(メタ)アクリレート類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのアミノ基含有(メタ)アクリルアミド類;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセリル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのモノエステル化物、及びこれらとε-カプロラクトンの反応生成物などの水酸基含有ビニル化合物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、水酸基含有化合物と酸無水物の反応生成物などのカルボキシル基含有ビニル化合物類;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ハイミック酸などの酸無水物基含有ビニル化合物類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、オクタンジオール、トリシクロデカンジメチロール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの低分子量グリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートグリコールなどの高分子量グリコール類、グリセリンなどの多価アルコールと(メタ)アクリル酸のモノエステル;マレイン酸、クロロマレイン酸、フマル酸及びその酸無水物が挙げられる。

【0029】
本発明のポリマーがポリウレタンの場合には、上記の2以上のイソシアネート基を有するモノマーと2以上の水酸基を有するモノマーを反応させればよく、ポリエステルの場合には、2以上のカルボン酸基を有するモノマーと2以上の水酸基を有するモノマー、或いはカルボン酸基と水酸基を有するモノマーを重合することで得られる。

【0030】
モノマーが炭素-炭素二重結合を有する場合、重合開始剤の使用或いは紫外線照射などの常法に従い共重合体を得ることができる。

【0031】
好ましいポリマーは、例えば以下の一般式(I)のポリマーである:

【0032】
【化1】
JP2015012373A1_000004t.gif

【0033】
(式中、RはH又はCH3を意味する。

【0034】
Xは、PCPの金属イオンと配位可能な官能基を示す。

【0035】
Yは水素、アルコキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、CONH2、モノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、モノアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノアルキルアミノカルボニル、アルコキシカルボニルアミノを示す。

【0036】
Zは水酸基、ヒドロキシエチル、グリシジル基、チオール、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、無水カルボン酸残基を含む基が挙げられる。

【0037】
lは1以上の整数、mは0以上の整数、nは0以上の整数を示す。)
Xで表されるPCPの金属イオンと配位可能な官能基としては、具体的にはCOOH、SOH、POH又はこれらのアルカリ金属塩、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラジル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリルなどの含窒素アリール基、アミノフェニル、カルボキシフェニルなどが挙げられる。

【0038】
アルコキシカルボニル基の具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル及びヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。

【0039】
アラルキルオキシカルボニル基の具体例としては、フェニルメチルオキシカルボニル、ナフチルメチルオキシカルボニル、フルオレニルメチルオキシカルボニル、アントリルメチルオキシカルボニル、ビフェニリルメチルオキシカルボニル、テトラヒドロナフチルメチルオキシカルボニル、クロマニルメチルオキシカルボニル、2,3-ジヒドロ-1,4-ジオキサナフタレニルメチルオキシカルボニル、インダニルメチルオキシカルボニル及びフェナントリルメチルオキシカルボニルが挙げられる。

【0040】
アルコキシカルボニルアミノ基の具体例としては、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、イソプロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、イソブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ、ペンチルオキシカルボニルアミノ、イソペンチルオキシカルボニルアミノ及びヘキシルオキシカルボニルアミノが挙げられる。

【0041】
モノアルキルアミノカルボニルの具体例としては、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n-プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、n-ブチルアミノカルボニル、イソブチルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノカルボニル、n-ペンチルアミノカルボニル、イソペンチルアミノカルボニル、ヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。

【0042】
ジアルキルアミノカルボニルの具体例としては、ジメチルアミノカルボニル、ジエチルアミノカルボニル、ジn-プロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノカルボニル、ジn-ブチルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノカルボニル、ジtert-ブチルアミノカルボニル、ジn-ペンチルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノカルボニルが挙げられる。

【0043】
モノアルキルアミノアルキルアミノカルボニルの具体例としては、メチルアミノプロピルアミノカルボニル、エチルアミノプロピルアミノカルボニル、n-プロピルアミノプロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノプロピルアミノカルボニル、n-ブチルアミノプロピルアミノカルボニル、イソブチルアミノプロピルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノプロピルアミノカルボニル、n-ペンチルアミノプロピルアミノカルボニル、イソペンチルアミノプロピルアミノカルボニル、ヘキシルアミノプロピルアミノカルボニルが挙げられる。

【0044】
ジアルキルアミノプロピルアミノカルボニルの具体例としては、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジn-プロピルアミノプロピルアミノカルボニル、ジイソプロピルアミノプロピルアミノカルボニル、ジn-ブチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジイソブチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジtert-ブチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジn-ペンチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジイソペンチルアミノプロピルアミノカルボニル、ジヘキシルアミノプロピルアミノカルボニルが挙げられる。

【0045】
OHを含む基としては、ヒドロキシエチルオキシカルボニル、ヒドロキシプロピルオキシカルボニル、ヒドロキシブチルオキシカルボニル、-COO-(グリセリル)、-COO-(シクロヘキサンジメタノール)、ヒドロキシエチルアミノカルボニル、ポリエチレングリコールオキシカルボニル多価アルコールとCOOHのモノエステルが挙げられる。

【0046】
エチレンオキシドを含む基としては、グリシジルオキシカルボニル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアミノカルボニル、ビニルシクロヘキセンモノエポキシド、アリルグリシジルエーテルなどが挙げられる。

【0047】
金属イオンと配位可能な複数の官能基を有するポリマーとして、下記式(II)に示されるような主鎖がシリルオキシの繰り返し単位であるポリジメチルシロキサン、およびその変性シリコーンで、側鎖および/または末端にアミノプロピル、カルボニルプロピル、エポキシプロピル、水素、イソシアナートプロピル、メルカプトプロピル、(メタ)アクリロイルオキシプロピル、ビニル基を有するメチルシロキサンとジメチルシロキサンの共重合体を挙げることができる。

【0048】
【化2】
JP2015012373A1_000005t.gif

【0049】
(式中、WはPCPの金属イオンと配位可能な官能基、アミノプロピル、カルボニルプロピル、エポキシプロピル、水素、イソシアナートプロピル、メルカプトプロピル、(メタ)アクリロイルオキシプロピル、ビニル基を示す。)

【0050】
本発明のポリマーのガラス転移点(Tg)は、約70℃以下、好ましくは50℃以下である。

【0051】
ポリマーのガラス転移点は熱分析による方法あるいはFoxの式から算出される方法で求めることができる。Foxの式は、

【0052】
【数2】
JP2015012373A1_000006t.gif

【0053】
で表される。ここで、Tgは、共重合体のガラス転移温度 [K]、miはモノマーi成分の重量分率、Tgiはモノマーi成分のガラス転移温度 [K]を示す。

【0054】
本明細書において、PCPとしては、金属イオンと有機配位子から構成され、カウンターアニオンを含んでいてもよい。金属イオンとしては、マグネシウム、カルシウム、マンガン、鉄、ルテニウム、コバルト、ロジウム、ニッケル、パラジウム、銅、亜鉛、カドミウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、白金、ルテニウム、モリブデン、ジルコニウム、スカンジウムなどのイオンが好ましく、マグネシウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛などの金属のイオンがより好ましい。金属イオンは、単一の金属イオンを使用してもよく、2種以上の金属イオンを併用してもよい。

【0055】
PCPを構成する好ましい有機配位子としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、フルオレン、インダン、インデン、ピレン、1,4-ジヒドロナフタレン、テトラリン、ビフェニレン、トリフェニレン、アセナフチレン、アセナフテンなどの芳香環に2個、3個又は4個のカルボキシル基が結合した化合物(前記リガンドは、F,Cl、Br,Iなどのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、アセチルアミノ基などのアシルアミノ基、シアノ基、水酸基、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、メトキシ、エトキシなどの直鎖又は分岐を有する炭素数1~4のアルコキシ基、メチル、エチル、プロピル、tert-ブチル、イソブチルなどの直鎖又は分岐を有する炭素数1~4のアルキル基、SH、トリフルオロメチル基、スルホン酸基、カルバモイル基、メチルアミノなどのアルキルアミノ基、ジメチルアミノなどのジアルキルアミノ基などの置換基で1,2又は3置換されていてもよい)、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸などの不飽和2価カルボン酸、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、4,4’-ビピリジル、ジアザピレン、ニコチン酸、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、キノリン、イソキノリン、ナフチリジンなどの1又は2以上の環内窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子により配位可能な含窒素芳香族化合物(前記置換基により1、2または3置換されていてもよい。)などが挙げられる。配位子が中性の場合、金属イオンを中和するのに必要なカウンターアニオンを有する。このようなカウンターアニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、過塩素酸イオンなどが挙げられる。

【0056】
本発明のPCPは、シート状などの二次元細孔又は複数のシートがアキシャル位に配位する二座配位子を構成要素として含む三次元細孔を有するPCPを包含するが、例えば以下の一次元細孔を有するPCPを使用することができる。
IRMOF-1, [Zn4O(1,4-BDC)3]n (H2-1,4-BDC= 1,4-benzenedicarboxylic acid)
MOF-69C, [Zn3(OH2)(1,4-BDC)2]n
MOF-74, [M2(DOBDC)]n (H2DOBDC=2,5-dihydroxyterephthalic acid, M=Zn, Co, Ni, Mg)
HKUST-1, [Cu3(1,3,5-BTC)2]n (H3-1,3,5-BTC=1,3,5-benzenetricarboxylic acid)
MOF-508, [Zn(1,4-BDC)(bpy)0.5]n (bpy = 4,4′-bipyridine)
Zn-BDC-DABCO, [Zn2(1,4-BDC)2(DABCO)]n, (DABCO=1,4-diazabicyclo[2.2.2]-octane)
Cr-MIL-101, [Cr3F(H2O)2O(1,4-BDC)3]n
Al-MIL-110, [Al8(OH)12{(OH)3(H2O)3}(1,3-5-BTC)3]n
Al-MIL-53, [Al(OH)(1,4-BDC)]n
ZIF-8, [Zn(MeIM)2]n, (H-MeIM=2-methylimidazole)
MIL-88B, [Cr3OF(1,4-BDC)3]n
MIL-88C, [Fe3OX(O2C-C10H6-CO2)3]n (X = OH, Cl)
MIL-88D, [Cr3OF(O2C-C12H8-CO2)3]n
CID-1 [Zn2(ip)2(bpy)2]n (H2ip=isophthalic acid)

【0057】
本発明で使用するPCPは、例えば以下の文献、総説(Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 2334-2375.;Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 47, 2-14.;Chem. Soc. Rev., 2008, 37, 191-214.;PNAS, 2006, 103, 10186-10191.;Chem.Rev.,2011, 111, 688-764.;Nature, 2003, 423, 705-714.)などに記載されているが、これらに限定されず、公知のPCPあるいは今後製造され得るPCPを広く使用することができる。

【0058】
PCPとポリマーの割合(重量比)は、PCP 70~99重量%:ポリマー30~1重量%、好ましくはPCP 80~98重量%:ポリマー20~2重量%、より好ましくはPCP 85~97重量%:ポリマー15~3重量%である。

【0059】
PCPの金属イオンとポリマーの配位可能な複数の官能基との親和性は、通常HSAB則でおおまかに纏められている。硬い酸と硬い塩基、柔らかい酸と柔らかい塩基は相互作用が強く、安定な錯体を形成し易いことが知られている。硬い酸は、硬い塩基と安定なイオン性化合物を作る酸で電気陰性度が小さく、分極し難い。硬い塩基は、分極し難く、電気陰性度が大きく、還元されにくい。一方、軟らかい酸は、軟らかい塩基と共役結合性化合物あるいは分子性化合物を形成する酸で、電気陰性度が大きく、分極し易い。軟らかい塩基は、分極し易く、電気陰性度が小さく、酸化されやすい。硬い酸、中間に属するもの、軟らかい酸、硬い塩基、中間に属するもの、軟らかい塩基を以下に示す(表1)。

【0060】
【表1】
JP2015012373A1_000007t.gif

【0061】
PCPにより対象となるガスとしては、一酸化炭素、二酸化炭素、酸素、窒素、亜酸化窒素、アンモニア、水素、アルシン、一酸化窒素、塩化水素、塩素、ゲルマン、5フッ化リン、3塩化ホウ素、3フッ化窒素、3フッ化ホウ素、3フッ化リン、ジクロロシラン、ジボラン、シラン、スチビン、セレン化水素、テルル化水素、二酸化窒素、ホスフィン、4フッ化ケイ素、硫化水素、6フッ化硫黄などの無機気体、フルオロカーボン類、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの希ガス、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどのアルカン、エチレン、プロピレン、ブテン類、ペンテン類、ヘキセン類などのアルケン、アセチレンなどのアルキン、ベンゼン、トルエン、キシレン類などの芳香族化合物、シクロアルカン、ハロゲン化アルキル、エーテル、アルコール、アミン、エポキシ化合物、カルボニル化合物、などが挙げられる。

【0062】
上記対象となるガスと、ポリマーとの親和性は、最終用途に応じて選択しなければならない。上記対象となるガスの混合物を分離する場合は、分離させて回収しないガスとポリマーとの親和性が低いことが望まれる。親和性が高いと分離する際に分離剤の中に回収しないガスが残留し分離が容易でなくなり精製されない。一般にポリマーである高分子材料と低分子化合物との親和性は溶解度パラメーターを指標とすることができる。それぞれの分子の溶解度パラメーターはFedorsの方法で求めることができる。ポリマーの溶解度パラメーターと分離させて回収しないガスの溶解度パラメーターの大きさが大きい方がよく、0.1~30[MJ/m3]1/2程度差があることが望ましい。

【0063】
本発明の複合体には、さらに導電剤、滑剤を配合することができる。導電剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノファイバー、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、ファーネスブラック、黒鉛粉末、繊維状炭素材料、金属粉末、金属繊維などが挙げられる。

【0064】
滑剤としては、六方晶窒化ホウ素(hBN)、黒鉛、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、硫化セレン、フッ化黒鉛、フッ化カルシウム、雲母、タルク、PTFE、Pb、PbO、ZnS、BaSO4、金属石けん(たとえば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウムなどのステアリン酸塩)などの固体の滑剤が、単独または組み合わせて使うことができる。
【実施例】
【0065】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはいうまでもない。
【実施例】
【0066】
実施例1:PCPとカルボン酸残基を有するシリコーンとの複合体からなるペレット状の成形体の作製
側鎖にカルボン酸残基を有するシリコーン(Shin-Etsu X-22-3701-E、官能基数が繰り返し単位あたり2個、Tg-123℃、一般式(II)でWがCOOH)55mgを脱水した2-ブタノン2.0mLに溶解後、PCP、[Cu(BF4)2(bpp)2]n220mgを分散させた。10分間撹拌したのち298K、5Paで3時間乾燥させ、得られた粉末のうち200mgをペレット成形器に詰めた。25Kgf/cmで一度加圧した後、10分間放置してから取り出し、373K、5Paで4時間乾燥させ、ペレット状の成形体を得た。
【実施例】
【0067】
実施例2 ポリマーの合成(ポリマーA)
大気下、メタクリル酸グリシジル2.84g及びメタクリル酸ブチル11.3gを脱水酢酸エチル70mLに溶解させ、2,2'-アゾビス(イソ酪酸メチル)461mgの脱水酢酸エチル溶液80mLを加えた。続いて、この溶液を室温で撹拌しながら脱気と窒素ガス置換を繰り返し行った後、窒素ガスの雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後溶液を343Kで4時間加熱し、さらに363Kで16時間加熱した。次にこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサン800mLの入った容器に滴下した。続いて溶媒をデカンテーションによって除去した後、生成物を脱水アセトン60mLに溶解させた。この溶液をさらにヘキサン900mLの入った容器に滴下し、デカンテーションによって溶媒を除去した後、脱水アセトン60mLに溶解させた。得られた溶液について313Kで減圧留去を行い、さらに298K、5Paで4時間乾燥し、10.3g(収率72%)を得た。ポリマーAのTgは28℃で、メタクリル酸グリシジルの含量は、繰り返し単位100個あたり約23個であった。
【実施例】
【0068】
実施例3 ポリマーの合成(ポリマーB)
大気下、メタクリル酸1.72g及びメタクリル酸ブチル11.3gを脱水酢酸エチル70mLに溶解させ、2,2'-アゾビス(イソ酪酸メチル)461mgの脱水酢酸エチル溶液80mLを加えた。続いて、この溶液を室温で撹拌しながら脱気と窒素ガス置換を繰り返し行った後、窒素ガスの雰囲気下、室温で1時間撹拌した。その後溶液を353Kで4時間加熱し、さらに363Kで16時間加熱した。次にこの反応液を室温まで冷却し、ヘキサン1800mLの入った容器に滴下した。析出した固体を吸引濾過により回収し、酢酸エチル85mLに溶解させ、さらにヘキサン900mLの入った容器に滴下した。析出した固体を吸引濾過により回収した後ヘキサンで洗浄し、298K、5Paで4時間乾燥し、6.83g(収率52%)を得た。ポリマーBのTgは37℃で、メタクリル酸の含量は、繰り返し単位100個あたり約21個であった。
【実施例】
【0069】
実施例4 PCPとポリマーとの複合体からなるペレット状の成形体の作製
大気下、ポリマー55mgを脱水2-ブタノン0.5mLに溶解させ、これを溶液Aとした。続いてPCP220mgを脱水2-ブタノン1.5mL中に分散させ、溶液Aを滴下した後10分間撹拌した。続いて298K、5Paで3時間乾燥させ、得られた粉末を乳鉢ですりつぶし、このうち200mgをペレット成形器に詰めた。25Kgf/cmで一度加圧した後、10分間放置してから取り出し、ペレット状の成形体を得た。
【実施例】
【0070】
金属が異なるPCP3種類とそれに使ったポリマーとの複合体は、次の2つの組合せである。
1.ポリマーAとPCP[Cu(BF4)2(bpp)2]nとの複合体(架橋間分子量は450)
2.ポリマーBとPCP[Al(OH)(1,4-bdc)]n (MIL-53) との複合体(架橋間分子量は500)
【実施例】
【0071】
実施例5 ポリマーの含有量を変えた例
実施例4の方法で、ポリマーの含有量を変えてペレット状の成形体を作製した。ポリマーの含有量が10重量%でも20重量%でも、気体を300回吸脱着しても成形体の形状が保たれていた。
【実施例】
【0072】
1.ポリマーの含有量が20重量%のPCP[Cu(BF4)2(bpp)2]nとポリマーAとの複合体
2.ポリマーの含有量が10重量%のPCP[Cu(BF4)2(bpp)2]nとポリマーAとの複合体
【実施例】
【0073】
比較例1 ポリマーのTgを変えた例
実施例4の方法で、ポリマーの含有量を20重量%とし、ポリマーのTgが異なるポリマーとPCPとの複合体でペレット状の成形体を作製した。気体を300回吸脱着した後の成形体の形状は、Tgが28℃のポリマーでは維持されたが、Tgが75℃のポリマーでは維持されず崩壊した。
1.PCP[Cu(BF4)2(bpp)2]nとTgが28℃のポリマーAとの複合体
2.PCP[Cu(BF4)2(bpp)2]nとTgが75℃の tert-butyl acrylate-co-ethyl acrylate-co-methacrylic acidとの複合体
【実施例】
【0074】
実施例6 吸着の一般的な方法と吸着させる気体の例
サンプル管に吸着材をつめて真空加熱前処理を行い、前処理後の吸着材の質量を測定する。サンプル管を吸着測定装置にセットする。基準容積バッファVsに吸着ガスを一定圧導入した後、バルブを開閉し吸着材の入ったサンプル管に吸着ガスを298Kで導入する。導入した吸着ガスの圧力は吸着により減少するため、吸着前後の圧力差より吸着量を求める。
【実施例】
【0075】
1.ポリマーの含有量が10重量%の[Cu3(1,3,5-btc)2]nとポリマーBとの複合体の二酸化炭素の吸脱着挙動
298Kにおける二酸化炭素吸脱着測定を行った。100 kPaにおける吸着量は88 cm3(STP) g-1であった。
【実施例】
【0076】
2.ポリマーの含有量が20重量%の [Al(OH)(1,4-bdc)]nとポリマーBの複合体のプロピレンの吸脱着挙動
298Kにおけるプロピレン吸脱着測定を行った。100 kPaにおける吸着量は82 cm3(STP) g-1であった。
【実施例】
【0077】
3.ポリマーの含有量が20重量%の[Cu(BF4)2(bpp)2]nとポリマーAとの複合体のプロパンの吸脱着挙動
298Kにおけるプロパン吸脱着測定を行った。104 kPaにおける吸着量は43 cm3(STP) g-1であった。
【実施例】
【0078】
実施例7 分離の一般的な方法
分離度は以下の方法で算出した。はじめにガスAとガスBの吸脱着等温線を測定する。得られたデータから、次式によって定義される分離度Sを求める。
S = (XA/XB)/(YA/YB)
【実施例】
【0079】
ここでXi、Yiは、それぞれ吸着相と気相における i 成分のモル分率である。
ポリマーの含有量が20重量%の[Cu(BF4)2(bpp)2]nとポリマーAとの複合体によるプロパン、プロピレンの分離の結果を図9に示す。
【実施例】
【0080】
298Kにおけるプロパン及びプロピレン吸脱着測定を行った。13~24 kPaの範囲でプロピレンが選択的に吸着された。プロパン:プロピレン=1:1の混合ガスにおけるプロピレン分離度は最大20程度であった。
【実施例】
【0081】
比較例2
ポリマーの含有量が20重量%の[Cu(BF4)2(bpp)2]nとTgが163℃、架橋間分子量が0、ポリマーの繰り返し単位100個あたりの官能基が100個であるポリビニルイミダゾールをポリマーとの複合体を、実施例4の方法でペレット状の成形体を作製した。実施例6の方法でプロピレンの吸着試験を行ったが、プロピレンを全く吸着しなかった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8