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明細書 :鉄系超電導物質及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月9日(2017.3.9)
発明の名称または考案の名称 鉄系超電導物質及びその製造方法
国際特許分類 C22C  28/00        (2006.01)
C22C   1/00        (2006.01)
C22C   1/02        (2006.01)
H01B  12/00        (2006.01)
H01B  13/00        (2006.01)
FI C22C 28/00 ZAAB
C22C 1/00 B
C22C 1/02 503N
H01B 12/00
H01B 13/00 563Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 14
出願番号 特願2015-539039 (P2015-539039)
国際出願番号 PCT/JP2014/072770
国際公開番号 WO2015/045733
国際出願日 平成26年8月29日(2014.8.29)
国際公開日 平成27年4月2日(2015.4.2)
優先権出願番号 2013199997
優先日 平成25年9月26日(2013.9.26)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG
発明者または考案者 【氏名】澤 博
【氏名】片山 尚幸
【氏名】細野 秀雄
【氏名】野原 実
【氏名】工藤 一貴
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100108671、【弁理士】、【氏名又は名称】西 義之
審査請求 未請求
テーマコード 5G321
Fターム 5G321AA99
5G321CA03
5G321CA05
5G321DD02
要約 希土類元素の含有率が少ない層間物質からなる鉄系超電導物質を提供すること。
化学式Ca1-xxFeAs2で示され、CaFeAs2型で、空間群P21の結晶構造を有し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素であり、原子比xが0.08≦x≦0.24であることを特徴とする超電導物質。CaFeAs2型構造は、FeAs層とCa1-xxAs層の交互積層構造であり、Ca1-xxAs層が、Ca1-xx層-As2層-Ca1-xx層の3層からなる層間物質であり、Rをドープすることにより前記超電導物質となる。
特許請求の範囲 【請求項1】
化学式Ca1-xxFeAs2で示され、CaFeAs2型で、空間群P21の結晶構造を有し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素であり、原子比xが0.08≦x≦0.24であることを特徴とする超電導物質。
【請求項2】
前記CaFeAs2型構造は、FeAs層とCa1-xxAs層の交互積層構造であり、Ca1-xxAs層が、Ca1-xx層-As2層-Ca1-xx層の3層からなる層間物質であり、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素であり、Rをドープすることにより前記超電導物質となることを特徴とする層状化合物。
【請求項3】
原料として、Caの粒又は粉末、前記R元素の粒又は粉末、FeAsの粒又は粉末、Asの粒又は粉末を組成比がCa1-xxFeAs2(ただし、0.08≦x≦0.24)となるように秤量し、混合し、混合粒又は混合粉末を不活性雰囲気又は真空中、1050℃~1100℃で溶融して合成反応させることを特徴とする請求項1に記載の超電導物質の製造法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄系超電導物質及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2006年から2008年にかけて、東京工業大学の細野秀雄教授のグループにより、鉄系超電導物質が発見された(特許文献1~4、非特許文献1~3)。この発見を契機に、様々な鉄系超電導物質が開発された(非特許文献4)。
【0003】
FeAs層を有する鉄系超電導物質は、超電導を担うFeAs層と層間物質が交互に積層した積層構造を特徴とする。この層間物質として、アルカリ金属イオン(Li、Na)、アルカリ土類金属イオン(Ca、Sr、Ba)、蛍石構造の酸化物RO(ただし、Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gdから選ばれる希土類元素の少なくとも1種)、蛍石構造のフッ化物AF(ただし、Aは、Ca、Sr、Baから選ばれるアルカリ土類元素の少なくとも1種)、ペロブスカイト構造及び岩塩構造からなる遷移金属酸化物(Sr426など)などが知られている。
【0004】
これらの層間物質のうち、蛍石構造の酸化物ROを層間物質としたRFeAsOが最も高い温度で超電導を示す。しかしながら、RFeAsOは、組成比で25%の希土類元素を含む。鉄系超電導物質を応用していく為には、高価な希土類元素の含有率が少ない層間物質を見出すことが望まれていた。
【0005】
AeFe2As2(Ae=Ca,Sr,Ba)は、非ドープでは超電導を示さないが、希土類元素R(R=La,Ce,Pr,Nd)をドープすることで超電導転移温度(Tc)が40K以上の高い温度で超電導を示すことが報告されている(非特許文献5、6)。
【0006】
本発明者らは、FeAs面を有する鉄系超伝導体において、FeAs面のFeを部分的にPtに置換するとともに原子空孔を導入してコドーピングした鉄系超伝導体Ca(Fe1-xPtx2-δAs2(xは、0.3≦x≦0.4、δは、0.4≦δ≦0.6)に係る発明を特許出願した(特許文献5)。また、本発明者らは、CaFe2As2にLaとPを同時ドーピングすることでTcが45Kの超電導が発現することを報告した(非特許文献7)。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2007-320829号公報
【特許文献2】WO2009/104611
【特許文献3】特開2009-234847号公報
【特許文献4】WO2010/007929
【特許文献5】特開2012-66960号公報
【0008】

【非特許文献1】Y.Kamihara,et al.,J.Am.Chem.Soc.128,10012(2006)
【非特許文献2】Y.Kamihara,et al.,J.Am.Chem.Soc.130,3296(2008)
【非特許文献3】H.Takahashi,et al.,Nature 453,376-378(15 May 2008)
【非特許文献4】S.Fujitsu,et al.,International Materials Reviews VOL. 57,No.6,311-327(2012)
【非特許文献5】S.R.Saha,et al.Phys.Rev.B 85,024525(2012)
【非特許文献6】B.Lv,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 108.15705-15709(2011)
【非特許文献7】K.Kudo,et al.,Scientific Reports,3:1478 DOI:10.1038/srep 01478,Published 18 March 2013
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、希土類元素の含有率が少ない層間物質からなる鉄系超電導物質を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の鉄系超電導物質は、化学式 Ca1-xxFeAs2(だたし、RはLa、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの希土類元素である。また、0.08≦x≦0.24である。)で示される化合物によって提供される。この化合物は、FeAs層とCa1-xxAs層の交互積層構造からなるCaFeAs2型構造(空間群P21)をとる。層間物質は、Ca1-xx層-As2層-Ca1-xx層の3層からなるCa1-xxAs層である。
【0011】
前記の化合物において、Caサイトに軽希土類元素Rをドープすることにより、CaFeAs2型構造が安定化される。さらに、軽希土類元素Rをドープすることにより、FeAs層にキャリアが注入され、超電導が発現する。
【0012】
すなわち、本発明は、(1)化学式Ca1-xxFeAs2で示され、CaFeAs2型で、空間群P21の結晶構造を有し、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素であり、原子比xが0.08≦x≦0.24であることを特徴とする超電導物質、である。
【0013】
また、本発明は、(2)前記CaFeAs2型構造は、FeAs層とCa1-xxAs層の交互積層構造であり、Ca1-xxAs層が、Ca1-xx層-As2層-Ca1-xx層の3層からなる層間物質であり、Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素であり、Rをドープすることにより前記超電導物質となることを特徴とする層状化合物、である。
【0014】
また、本発明は、(3)原料として、Caの粒又は粉末、前記R元素の粒又は粉末、FeAsの粒又は粉末、Asの粒又は粉末を組成比がCa1-xxFeAs2(ただし、0.08≦x≦0.24)となるように秤量し、混合し、混合粒又は混合粉末を不活性雰囲気又は真空中、1050℃~1100℃で溶融して合成反応させることを特徴とする上記(1)の超電導物質の製造法、である。
【0015】
CaFe2As2にLaとPを同時ドーピングした超電導物質は、5つの元素を用いるため試薬の調合が煩雑であり、また、可燃性のPを用いるという問題があった。本発明は、可燃性のPを用いることなく超電導物質を得る点に特徴がある。
【0016】
また、CaFe2As2にLaとPを同時ドーピングした超電導物質は、全てのAsがFeAs層に属しており、Asの価数はマイナス3である。一方で、本発明のCa1-xxFeAs2では、FeAs超電導層に属するAsの価数はマイナス3であるが、層間物質に属するAsの価数はマイナス1となる。これは、層間物質のAsが隣接するAsと直接化学結合を作るジグザグ1次元鎖の構造をとるからである(Zintlの化学)。一方で、FeAs超電導層のAsは、Asとの直接の化学結合を形成しないため、価数はマイナス3となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、公知の鉄系層状化合物からなる超電導体と異なり、層間物質Ca1-xxAsを含む新しい化合物群のTc=20K級~35K級の鉄系超電導物質を提供する。この鉄系超電導物質は、希土類元素の含有率を低くできるので、安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の鉄系超電導物質を提供する112型構造の層状化合物(左側図)と公知の122型構造の層状化合物(右側図)の結晶構造である。
【図2】実施例1で得られた単結晶試料の電気抵抗率の温度変化を示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた単結晶試料の磁化率の温度変化を示すグラフである。
【図4】比較例1で得られた単結晶試料の磁化率の温度変化を示すグラフである。
【図5】実施例2で得られた単結晶試料の磁化率の温度変化を示すグラフである。
【図6】実施例3で得られた単結晶試料の磁化率の温度変化を示すグラフである。
【図7】実施例4で得られた単結晶試料の磁化率の温度変化を示すグラフである。
【図8】実施例5で得られた単結晶試料の超電導転移温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の鉄系超電導物質は、化学式Ca1-xxFeAs2(だたし、RはLa、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つの軽希土類元素である。また、0.08≦x≦0.24である。)で示される化合物によって提供される。

【0020】
図1の左側図に、本発明の鉄系超電導物質を提供するCaFeAs2で示される層状化合物の結晶構造を示す。CaFeAs2で示される112型構造の化合物は、超電導層のFeAs層と、層間物質のCaAs層とが交互に重なる構造であり、単斜晶(空間群P21)である。層間物質のCaAs層は、Ca層、Asのジグザク鎖からなるAs層、Ca層が積層した3層の積層構造からなる。一方で、AeFe2As2(Ae=Ca,Sr,Ba)で示される公知の122型構造の化合物は、図1の右側図に示すように、超電導層のFeAs層と、層間物質のCa層とが交互に重なる構造であり、正方晶(空間群14/mmm)である。すなわち、公知の122型構造の化合物の層間物質はAeからなる1層の構造である。

【0021】
RFeAsO(R=La,Ce,Pr,Nd,Sm)で示される公知の化合物は、いずれの希土類元素Rを用いても超電導を示す。これは、これらの希土類のイオン半径がほぼ等しいこと、共通して3価の価数を取ること、4f電子の数が異なるが原子核の近くに局在するので化学結合に関与しないことによる。希土類元素Rの作用は、Ca1-xxFeAs2においても同様であると考えられる。

【0022】
CaFeAs2化合物のCaサイトに軽希土類元素Rをドープすると超電導を示す。軽希土類元素Rは、La、Ce、Pr、Ndから選ばれる少なくとも1つであり、これらの元素は、Caとイオン半径が近い点で望ましい。R元素のドープによって、層間物質は、Ca1-xx層-As層-Ca1-xx層の3層からなるCa1-xxAs層となる。

【0023】
Ca1-xxFeAs2のxで示される軽希土類元素Rの濃度は、0.08≦x≦0.24、すなわちCaに対して8~24原子%程度、好ましくは0.10≦x≦0.22、すなわち10原子%以上、22原子%以下程度である。8原子%未満ではCaFeAs2型構造がほとんど得られず、当該化合物の合成時に多量の不純物FeAsが析出する。25原子%以上では超電導を示さない。xが0.1~0.15、すなわちCaに対して10~15原子%程度でTcが最も高く、xの値が増えるとTcが低下する。

【0024】
RとしてCaとイオン半径が最も近いLaを用いた場合、15原子%程度の濃度で超電導転移温度(Tc)が最も高い温度になる。

【0025】
また、本発明の鉄系超電導物質は、原料として、Caの粒又は粉末、R元素の粒又は粉末、FeAsの粒又は粉末、Asの粒又は粉末を1-x:x:1:1(0.08≦x≦0.24)の割合で混合し、混合粒又は混合粉末を不活性雰囲気又は真空中で加熱して溶融し、合成反応させることでCa1-xxFeAs2を製造することができる。FeAsの粒又は粉末の代わりにFeとAsの粒又は粉末を用いて、Ca、R、Fe、Asを1-x:x:1:2の割合で混合しても良い。なお、粒又は粉末は、混合に適するものであれば、その形状、サイズなどは限定されない。

【0026】
原料の粒又は粉末を混合して混合粒又は混合粉末を作製した後、当該混合粒又は混合粉末を加熱炉に入れて溶融し、合成反応させてから凝固することにより鉄系超電導体が得られる。反応容器として石英ガラス管を用いる場合には、Caが石英ガラス管と反応することを防ぐために、混合粒又は混合粉末をアルミナ坩堝へ入れ、これを石英ガラス管に入れて真空封入することが好ましい。

【0027】
混合粒又は混合粉末を合成反応させることができるのであれば、加熱、冷却条件は適宜調整してよい。例えば、800℃以上の温度で合成反応させることで超電導物質を得ることができるが、好ましくは、1050℃~1100℃で溶融する。例えば、20時間以上かけて1100℃まで昇温し、1100℃から1050℃まで加熱炉内で数十時間かけて溶融物を徐冷することが好ましい。その後、加熱炉内で自然冷却すればよい。
【実施例1】
【0028】
出発原料にCa粒、La粉末、FeAs粉末、As粒を用い、組成比がCa0.9La0.1FeAs2となるように秤量した。
【実施例1】
【0029】
La粉末とFeAs粉末をメノウ乳鉢で混合した。これをCa粒とAs粒と共にアルミナ坩堝(内径6mm、長さ60mm)に入れ、さらに石英ガラス管(内径11mm、肉厚1mm)に入れて真空封管した。これを電気炉に入れて、以下のように加熱処理を行った。室温から700℃まで15時間かけて上げた。700℃で3時間保持した。700℃から1100℃まで9時間かけて上げた。1100℃から1050℃まで40時間かけて徐冷した。その後、1050℃から室温まで炉冷した。
【実施例1】
【0030】
上記方法により、1mm×1mm×0.1mm程度のCa0.9La0.1FeAs2単結晶が得られた。不純物として、FeAsとLaAsが生成した。
【実施例1】
【0031】
図2に、上記方法により得られたCa0.9La0.1FeAs2単結晶の電気抵抗率の温度依存性を示す。約38Kで電気抵抗が減少しはじめ、約35Kでゼロ抵抗を示した。
【実施例1】
【0032】
図3に、上記方法により得られたCa0.9La0.1FeAs2単結晶の磁化率の温度依存性を示す。約35K以下で負の値を示した。このように、この単結晶はTcが約35Kであることが分かる。
[比較例1]
【実施例1】
【0033】
実施例1で用いた組成比の代わりにCa0.5La0.5FeAs2となるように秤量した以外は、実施例1と同じ条件でCa0.5La0.5FeAs2単結晶が得られた。不純物として、FeAsとLaAsが生成した。
【実施例1】
【0034】
図4に、上記方法により得られたCa0.5La0.5FeAs2単結晶の磁化率の温度依存性を示す。磁化率は負の値を示さなかった。このように、LaがCaに対して50原子%の単結晶は超電導を示さないことが分かる。
【実施例2】
【0035】
実施例1で用いたLa粉末の代わりにCe粉末を用いた以外は、実施例1と同じ条件でCa0.9Ce0.1FeAs2単結晶が得られた。不純物として、FeAsとCeAsが生成した。
【実施例2】
【0036】
図5に、上記方法により得られたCa0.9Ce0.1FeAs2単結晶の磁化率の温度依存性を示す。約20K以下で負の値を示した。このように、この単結晶はTcが約20Kであることが分かる。
【実施例3】
【0037】
実施例1で用いたLa粉末の代わりにPr粉末を用いた以外は、実施例1と同じ条件でCa0.9Pr0.1FeAs2単結晶が得られた。不純物として、FeAsとPrAsが生成した。
【実施例3】
【0038】
図6に、上記方法により得られたCa0.9Pr0.1FeAs2単結晶の磁化率の温度依存性を示す。約21K以下で負の値を示した。このように、この単結晶はTcが約20Kであることが分かる。
【実施例4】
【0039】
実施例1で用いたLa粉末の代わりにNd粉末を用いた以外は、実施例1と同じ条件でCa0.9Nd0.1FeAs2単結晶が得られた。不純物として、FeAsとNdAsが生成した。
【実施例4】
【0040】
図7に、上記方法により得られたCa0.9Nd0.1FeAs2単結晶の磁化率の温度依存性を示す。約12K以下で負の値を示した。このように、この単結晶はTcが約12Kであることが分かる。
【実施例5】
【0041】
実施例1で用いた組成比の代わりにCa1-xLaFeAs2においてxの値が0.15、0.16、0.19、0.21、0.22の各組成比で秤量した以外は、実施例1と同じ条件で単結晶を製造した。図8に、磁化率より決定した超電導転移温度と、蛍光X線分析により決定したLa量の関係を示す。La分析値x=0.15の単結晶はTcが約35Kであることが分かる。Laの分析値がさらに増加すると、Tcが低下し、La分析値x=0.22の単結晶はTcが約22Kであることが分かる。La分析値x=0.25の単結晶は超電導を示さなかった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の鉄系超電導物質は、従来の鉄系超電導物質に較べて、希土類元素の含有量が少ないため、安価に製造できるTc=10K級~30K級の超電導物質を提供することができる。この超電導物質は、循環型冷凍機と組み合わせて、小型モーター材料、MRI-CT用磁石などへの用途がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
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