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明細書 :パイ共役系高分子およびそのパイ共役系高分子を備えるブロック共重合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5971622号 (P5971622)
登録日 平成28年7月22日(2016.7.22)
発行日 平成28年8月17日(2016.8.17)
発明の名称または考案の名称 パイ共役系高分子およびそのパイ共役系高分子を備えるブロック共重合体
国際特許分類 C08G  61/02        (2006.01)
FI C08G 61/02
請求項の数または発明の数 3
全頁数 63
出願番号 特願2015-550606 (P2015-550606)
出願日 平成26年10月17日(2014.10.17)
国際出願番号 PCT/JP2014/077648
国際公開番号 WO2015/079824
国際公開日 平成27年6月4日(2015.6.4)
優先権出願番号 2013243964
優先日 平成25年11月26日(2013.11.26)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年2月4日(2016.2.4)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
発明者または考案者 【氏名】三治 敬信
【氏名】元茂 朝日
【氏名】神戸 純子
【氏名】渡辺 悟
【氏名】彌田 智一
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100163119、【弁理士】、【氏名又は名称】布施 卓哉
審査官 【審査官】柳本 航佑
参考文献・文献 Takashi Morikita et al.,Luminescent π-conjugated poly(aryleneethynylene)s consisting of plural aromatic units:Preparation and systematic studies on their optical properties,Reactive and Functional Polymers,2008年,vol.68,1483-1491
Yongfeng Wang et al.,Transition-Metal-Free Synthesis of Alternating Thiophene-Perfluoroarene Copolymers,Journal of the American Chemical Society,2006年,vol.128,No.8,2536-2537
Kathy B et al.,Alternating Arene-Perfluoroarene Poly(phenylene ethynylenes),Macromolecules,2007年,vol.40,4470-4473
調査した分野 C08G 61/00-61/12
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
ペルフルオロアレーン基と、前記ペルフルオロアレーン基と結合するパイ電子系有機化合物であるパイ電子ユニットと、前記パイ電子ユニットと結合するエチニル基と、前記エチニル基と結合するシリル基とを備え、下記一般式(5)にて表される化合物をモノマーとし、
前記モノマーを、アニオンによる前記モノマーの前記シリル基の脱離に基づいて重合させていくことで、左側より前記ペルフルオロアレーン基、前記パイ電子ユニット、前記エチニル基の順に配列されるように得られる、下記一般式(6)にて表される単位構造で構成されることを特徴とするパイ共役系高分子。

【化5】
JP0005971622B2_000025t.gif

【化6】
JP0005971622B2_000026t.gif

(前記モノマーおよび前記単位構造において、PAは、前記ペルフルオロアレーン基であり、PEUは、前記パイ電子ユニットであり、SIは、前記シリル基を示す。nは、前記単位構造の数である。)
【請求項2】
請求項1に記載のパイ共役系高分子において、
前記パイ電子ユニットとして、
下記一般式(7)にて表される化合物が用いられることを特徴とするパイ共役系高分子。

【化7】
JP0005971622B2_000027t.gif

(○‐は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記ペルフルオロアレーン基との結合手であり、‐○○は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記エチニル基との結合手であり、CおよびDは、炭化水素基または炭化水素オキシ基を示す。)
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のパイ共役系高分子を第1グループとし、
一端にヒドロキシル基を備えた所定の高分子であって、パイ共役系高分子でないものを第2グループとした場合、
少なくとも前記第1グループと、前記第2グループと、を備えたブロック共重合体であって、
前記第1および第2グループの結合において、前記パイ共役系高分子の一端における前記ペルフルオロアレーン基側と、前記所定の高分子の一端における前記ヒドロキシル基側とが互いに結合されることを特徴とするブロック共重合体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、パイ共役系高分子(π共役系高分子)およびそのパイ共役系高分子を備えるブロック共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
有機高分子材料における研究として、パイ共役系高分子についての検討が近年盛んである。このパイ共役系高分子は、その主鎖に沿ってパイ電子(π電子)雲が広がる構造を有しており、所定の処置に応じて導電性を備える場合が多い。従って、パイ共役系高分子は、有用な導電性高分子材料として期待されている。
【0003】
代表的な事例としては、ポリアセチレンフィルムが挙げられる。ポリアセチレンは、主鎖となる炭素間結合において、二重結合と単結合との交互結合を有しており、上記パイ電子雲が広がる構造が達成され得る。そこにハロゲン等がドープされることにより、パイ電子雲より電子が引き抜かれる。以上により、ポリアセチレンにて、金属並みの導電性を有することが、確認されている。その他、ポリアセチレンに代えて、ポリパラフェニレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセンなどの、多様なパイ電子共役系が周知である。これらのパイ共役系高分子は、金属系電子材料や無機系半導体などとの代替の材料、又は、分子エレクトロニクス用の材料として、実用化が待望されている。
【0004】
実用化に向けて、パイ共役系高分子の種々合成が試みられている。パイ共役系高分子においては、電子的および光学的機能が、分子量分布(または分子量そのもの)に大きく影響を受ける。このため、分子量の制御を可能とする技術が、開発されてきている。例えば、山本カップリング法、鈴木-宮浦カップリング法、または薗頭カップリング法などを応用することで、分子量の制御を達成した旨が報告されている(下記、非特許文献1~3)。これによれば、連鎖的重縮合反応により、狭い分子量分散度にて分子量の制御が可能となっている。
【0005】
他方、合成時の反応において、貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減についても取り組まれている。これは、資源の希少性や、反応後の回収が必要となる観点から、この様な触媒利用の抑制が望まれているからである。例えば、下記非特許文献4によれば、触媒として、ルイス酸触媒を用い、2‐クロロチオフェン誘導体の連鎖重合が報告されている。下記非特許文献5および特許文献1によれば、触媒として、フッ化物アニオンを用い、ビス(シリルエチニル)ベンゼンとヘキサフルオロベンゼンとの反応が、報告されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0042127号明細書
【0007】

【非特許文献1】ミヤコシ(Miyakoshi R.)、外2名、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2005年、127、p.17542
【非特許文献2】ヨコヤマ(Yokoyama A.)、外5名、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2007年、129、p.7236
【非特許文献3】カン(Kang S.)、外2名、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2013年、135、p.4984
【非特許文献4】ボニーロ(Bonilo B.)、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2012年、134、p.18916
【非特許文献5】ダッタ(Dutta T.)、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2008年、130、p.452
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を、両立して達成した事例は、これまで皆無である。このことは、上述の実用化において不利であると考えられる。上記非特許文献1~3に記載の何れのパイ共役系高分子においては、分子量の制御が達成され得たものの、合成に貴金属触媒または遷移金属触媒が用いられている。上記非特許文献4に記載のパイ共役系高分子においては、合成に貴金属触媒および遷移金属触媒が不要とされ且つ分子量分布が狭いものの、用いる触媒量が多く、触媒量に応じた分子量の制御がなされているとは言えない。更に、この合成は、限られた系にのみ有効で、汎用性に乏しい。上記非特許文献5および上記特許文献1に記載の何れのパイ共役系高分子においては、合成に貴金属触媒および遷移金属触媒が不要とされるものの、分子量の制御が未達成である。
【0009】
本発明は、上記を鑑みてなされたものである。従って、本発明の目的は、パイ共役系高分子において、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得るものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記モノマーおよび前記単位構造において、「PA」は、前記ペルフルオロアレーン基であり、「PEU」は、前記パイ電子ユニットであり、「SI」は、前記シリル基を示す。
【0012】
各要素の結合部位は、以下のように規定される。前記モノマーにおいて、ペルフルオロアレーン基の所定の炭素(ペルフルオロアレーン第1炭素)と、パイ電子ユニットの所定の炭素(パイ電子ユニット第1炭素)とが結合している。パイ電子ユニットの所定の炭素であって第1炭素とは異なるもの(パイ電子ユニット第2炭素)と、シリル基とが結合している(例えば、図2を参照)。前記単位構造すなわちポリマーにおいては、上述のペルフルオロアレーン第1炭素とパイ電子ユニット第1炭素との結合が維持されている。パイ電子ユニット第2炭素は、別の隣り合う構造単位におけるペルフルオロアレーン基の所定の炭素であって第1炭素とは異なるもの(ペルフルオロアレーン第2炭素)と結合している(例えば、図4を参照)。すなわち、ペルフルオロアレーン第1、第2炭素が、パイ電子ユニット第1、第2炭素とそれぞれ結合することで、前記単位構造の繰り返しが構成される。
【0013】
ここにおいて、前記モノマーから前記単位構造を備えたパイ共役系高分子が構成されるメカニズムは、以下に基づく。第1のモノマーが有するシリル基においては、所定のアニオン(例えば、フッ化物アニオンなど)存在下において、そのアニオンをもってシリル基が脱離する。このシリル基脱離により、パイ電子ユニットそのものが求核性アニオンとなる。なお、ペルフルオロアレーン第1炭素と、パイ電子ユニット第1炭素との結合は、維持される。
【0014】
一方、第2のモノマーが有するペルフルオロアレーン基は、第1のモノマーにおける求核性アニオンと結合する。すなわち、第1のモノマーにおけるパイ電子ユニット第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素とが、結合し得る。このプロセスが、順次に繰り返されることで重合していき、この結果、上述の一般式(2)の単位構造で示されるパイ共役系高分子が構成される(例えば、図5を参照)。
【0015】
開始剤および触媒としては、上記所定のアニオン(例えば、フッ化物アニオンなど)が相当する。この所定のアニオンが、第1のモノマーにおけるパイ電子ユニット第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素とを結合させることになる。この結合の際、ペルフロオロアレーン基の第2炭素に元々結合していたフッ素が脱離し、フッ化物アニオンが新たに生成・再生する。新たに生成したフッ化物アニオンは、次に重合すべきモノマーにおけるシリル基を脱離させることになる。このフッ化物アニオンの生成・再生が、上述の重合を可能としている。
【0016】
この場合、例えば、フッ化物アニオンの量(モル数)が、モノマーに対する触媒量となる。フッ化物アニオンに対するパイ電子ユニット(上述した求核性アニオン)の反応性において、第1および第2モノマーが結合する前におけるパイ電子ユニットの反応性が、結合した後におけるパイ電子ユニットの反応性よりも小さい場合に、反応は連鎖的に進行することになる。この条件に基づくことで、触媒量に応じて分子量を制御することができる。加えて、この重合にかかわる何れの反応においても、触媒として貴金属および遷移金属が不要である。従って、本発明によれば、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。
【0019】
ところで、高分子としては、2種類以上のモノマーを用いた共重合体が要求される場合も多い。特に、同じ単位構造が連続して結合された高分子グループを構成し、複数の異なる高分子グループが、それぞれ結合される所謂ブロック共重合体としての要求も多い。このブロック共重合体では、1の高分子グループは、1種の単位構造(モノマー)に対応する。このブロック共重合体の高分子グループとして、上述のパイ共役系高分子が用いられる。これにより、ブロック共重合体全体としても、同様の効果が奏される。本発明に係るパイ共役系高分子として、ブロック共重合体が構成される場合、例えば、ブロック共重合体は、上記一般式(2)の単位構造から成る高分子グループにて構成されてもよい。より具体的には、異なるパイ電子ユニット(例えば、異なるチエニレン構造)に対応する複数種類の単位構造が用いられ得る。これにより、異なるチエニレン構造に対応する各高分子グループがそれぞれ結合され、上記一般式(2)の単位構造から成るブロック共重合体が、構成され得る。
【0020】
また、本発明にかかるパイ共役系高分子は、ペルフルオロアレーン基と、前記ペルフルオロアレーン基と結合するパイ電子系有機化合物であるパイ電子ユニットと、前記パイ電子ユニットと結合するエチニル基と、前記エチニル基と結合するシリル基とを備え、下記一般式(5)にて表される化合物をモノマーとし、前記モノマーを、アニオンによる前記モノマーの前記シリル基の脱離に基づいて重合させていくことで、左側より前記ペルフルオロアレーン基、前記パイ電子ユニット、前記エチニル基の順に配列されるように得られる、下記一般式(6)にて表される単位構造で構成されることを特徴とする(請求項1)。
【化5】
JP0005971622B2_000002t.gif

【化6】
JP0005971622B2_000003t.gif


【0021】
ここにおいて、上記一般式(5)および(6)に記載の「PA」,「PEU」,「SI」は、上記一般式(1)および(2)に記載のものと同一である。
【0022】
各要素の結合部位は、下記の異なる点を除き、上記一般式(1)および(2)のものと同一に規定される。すなわち、前記モノマーにおいては、パイ電子ユニット第2炭素は、エチニル基の所定の炭素(エチニル第1炭素)と結合しており、エチニル基の所定の炭素であって第1炭素とは異なるもの(エチニル第2炭素)と、シリル基とが結合している(例えば、図13を参照)。前記単位構造すなわちポリマーにおいては、上述のペルフルオロアレーン第1炭素とパイ電子ユニット第1炭素との結合に加え、パイ電子ユニット第2炭素とエチニル第1炭素との結合が維持されている。エチニル第2炭素は、別の隣り合う構造単位におけるペルフルオロアレーン第2炭素と結合している。すなわち、ペルフルオロアレーン第1、第2炭素が、パイ電子ユニット第1炭素、エチニル第2炭素とそれぞれ結合し、パイ電子ユニット第2炭素がエチニル第1炭素と結合することで、前記単位構造の繰り返しが構成される(例えば、図15を参照)。
【0023】
この場合、前記モノマーから前記単位構造を備えたパイ共役系高分子が構成されるメカニズムとしては、下記の異なる点を除き、一般式(1)および(2)のものと同一である。すなわち、上述と同様のシリル基脱離により、エチニル基がエチニルアニオン(上述の求核性アニオンに相当)となる。なお、ペルフルオロアレーン第1炭素とパイ電子ユニット第1炭素との結合に加え、パイ電子第2炭素とエチニル第1炭素との結合も維持される。
【0024】
このため、エチニルアニオン(第1のモノマー)とペルフルオロアレーン基(第2のモノマー)との結合は、第1のモノマーにおけるエチニル第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素との結合となり得る。この結果、上述の一般式(6)の単位構造で示されるパイ共役系高分子が構成される(例えば、図16を参照)。フッ化物アニオンが新たに生成・再生する事象も、上述と同様である。以上より、本発明によっても、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。
【0025】
本発明にかかるパイ共役系高分子においては、モノマーが上記一般式(5)で表され、単位構造が上記一般式(6)で表される場合、前記パイ電子ユニットとして、下記一般式(7)にて表される化合物が用いられてもよい(請求項2)。
【化7】
JP0005971622B2_000004t.gif


【0026】
また、モノマーが上記一般式(5)で表され、単位構造が上記一般式(6)で表される場合、具体的には、パイ電子ユニットとして、下記一般式(25)にて表される化合物が用いられても良い。
【化25】
JP0005971622B2_000005t.gif

【0027】
「○‐」は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記ペルフルオロアレーン基との結合手である。「‐○○」は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記エチニル基との結合手である。「C」および「D」は、炭化水素基または炭化水素オキシ基を示す。「C」および「D」は、同一の構造であってもよく、それぞれ異なる構造となっていてもよい。
【0028】
本発明に係るパイ共役系高分子として、ブロック共重合体が構成される場合、例えば、ブロック共重合体は、上記一般式(6)の単位構造から成る高分子グループにて構成されてもよい。より具体的には、異なるパイ電子ユニット(例えば、異なるエチニルフェニレン構造)に対応する複数種類の単位構造が用いられ得る。これにより、異なるエチニルフェニレン構造に対応する各高分子グループがそれぞれ結合され、上記一般式(6)の単位構造から成るブロック共重合体が、構成され得る。
【0029】
なお、上記化学式(2)および(6)の単位構造における前記ペルフルオロアレーン基「PA」は、この「PA」の炭素であって隣り合うモノマーと結合している炭素(すなわちペルフルオロアレーン第2炭素)には、フッ素が結合していない状態の要素を示す。一方、上記化学式(1)および(5)のモノマーにおける前記ペルフルオロアレーン基「PA」は、ペルフルオロアレーン第2炭素にフッ素が結合している状態の要素を示す。換言すれば、前記単位構造における「PA」は、前記モノマーにおける「PA」から、ペルフルオロアレーン第2炭素に対応する位置のフッ素を、一つ脱離させた状態の要素を示すことになる。
【0030】
本発明に係るパイ共役系高分子においては、前記単位構造における前記ペルフルオロアレーン基として、下記一般式(8)乃至(10)にて表される化合物のうち何れか1つが用いられてもよい(請求項5)。
【化8】
JP0005971622B2_000006t.gif
【化9】
JP0005971622B2_000007t.gif
【化10】
JP0005971622B2_000008t.gif

【0031】
「△‐」は、前記モノマーにおいて、フッ素との結合手であって、前記単位構造においては、隣り合う別の前記単位構造の右端との結合手である。「‐△△」は、前記単位構造および前記モノマーにおいて、前記パイ電子ユニットとの結合手を示す。すなわち、「△‐」および「‐△△」に対応する炭素は、それぞれ上述したペルフルオロアレーン第2炭素および第1炭素である。なお、「F」は、フッ素である。
【0032】
前記シリル基(「SI」)としては、たとえば、トリメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、フェニルジメチルシリル基などが用いられ得、これらに限定されない。
【0033】
なお、前記開始剤は、複数のモノマーが分散している状態において添加されることで、モノマーの重合を開始させるために使用される。前記触媒は、この重合が開始された直後より、重合反応を容易に進行させるために使用される。本系においては、開始剤と、触媒とが、同一の物質であってもよいし、異なっていてもよい。前記開始剤および前記触媒としては、たとえば、前記モノマーと反応してフッ化物アニオンが生成・再生される物質、フッ化物アニオンそのものなどが用いられ得、これらに限定されない。ここにおいて、フッ化物アニオンが生成・再生される物質としては、たとえば、エチニルアニオン、アリールアニオン、チオール、アミン、ホスフィンなどが用いられ得、これらに限定されない。特に、開始剤と触媒とが、異なっている場合、開始剤として、金属アルコキシドや、シリルエチニル基を備えた物質などが用いられてもよい。金属アルコキシドが用いられる場合、カウンタカチオンの種類は特に限定されないが、金属としてアルカリ金属が用いられると好適である。
【0034】
また、本発明のモノマーの重合に際し、重合開始以降に、積極的に重合停止させる所謂重合停止反応をもって、分子量を制御してもよい。例えば、本発明にかかるパイ共役系高分子の生長末端にて、所定の分子にてエンドキャッピングを施してもよい。また、本発明のモノマーの重合に際し、1つの起点から、直鎖的にモノマーが重合されていってもよい。この場合、パイ共役系高分子は、直鎖状を呈することになる。他方、1つの起点から、分岐的に複数のモノマーが同時に重合されていってもよい。この場合、パイ共役系高分子は、分岐状を呈することになる。この分岐の数は、2,3、または、それ以上であってもよい。
【0035】
また、本発明は、上述したパイ共役系高分子(即ち、上記一般式(6)の単位構造に対応するもの)を第1グループとし、一端にヒドロキシル基を備えた所定の高分子であって、パイ共役系高分子でないものを第2グループとした場合、少なくとも前記第1グループと、前記第2グループと、を備えたブロック共重合体を提供する。前記第1および第2グループの結合において、前記パイ共役系高分子の一端における前記ペルフルオロアレーン基側と、前記所定の高分子の一端における前記ヒドロキシル基側とが互いに結合される(請求項3)。ここにおいて、所定の高分子としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等であって、一端にヒドロキシル基を備えるものであれば、これらに限定されない。

【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。この結果、所望分子量のパイ共役系高分子を取得するにあたり、工数低減が可能となる。加え、高価な原料が抑制され得る。従って、既往のプロセスに比してコスト低減が可能となり、製品価格をより安価なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの結合部位を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、結合部位を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子が構成されるメカニズムを説明するための図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図11】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図13】本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの結合部位を説明するための図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、結合部位を説明するための図である。
【図16】本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子が構成されるメカニズムを説明するための図である。
【図17】本発明の実施例1の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、H‐NMRスペクトルを示す図である。
【図18】本発明の実施例1の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示す図である。
【図19】本発明の実施例4の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示す図である。
【図20】本発明の実施例5の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示す図である。
【図21】本発明の実施例7の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、H‐NMRスペクトルを示す図である。
【図22】本発明の実施例7の工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示す図である。
【図23】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図24】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図25】本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図26】本発明の第2実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図27】本発明の第2実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図28】本発明の第2実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。
【図29】本発明の第3実施形態に係るブロック共重合体の、合成スキームを示す図である。
【図30】本発明の第4実施形態に係るブロック共重合体の、合成スキームを示す図である。
【図31】本発明の第4実施形態に係るブロック共重合体の、モノマーの合成スキームを示す図である。
【図32】本発明の第4実施形態に係るブロック共重合体の、パイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。
【図33】本発明の実施例13の開始剤の合成スキームを示す図である。
【図34】本発明の実施例14の停止剤の合成スキームを示す図である。
【図35】本発明の実施例20の開始剤の合成スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(第1実施形態)
以下、本発明によるパイ共役系高分子の第1実施形態について説明する。本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子は、後述するスキームにて合成されるモノマーを、所定の開始剤および所定の触媒にて重合させていくことで得られるものである。このモノマーは、ペルフルオロアレーン基と、パイ電子系有機化合物のパイ電子ユニットと、シリル基とを備える(上記一般式(1)に相当)。得られるパイ共役系高分子は、左側よりペルフルオロアレーン基、パイ電子ユニットの順に配列され、これらの結合が維持された状態にて成る単位構造の繰り返しで構成される(上記一般式(2)に相当)。すなわち、モノマーからシリル基および4位フッ素が脱離したものが、単位構造を構成することになる。

【0039】
<モノマーの合成>
本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームについて説明する。第1実施形態においては、ペルフルオロアレーン基は、ペンタフルオロフェニル基である(上記一般式(8)に相当)。パイ電子ユニットは、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンである(上記一般式(3)に相当)。シリル基は、トリメチルシリル基である。すなわち、合成されるモノマーは、下記一般式(11)にて示される、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンとなる。この場合、上記一般式(3)にて示される「A」および「B」は、下記一般式(12)にてそれぞれ示される要素に相当するものとなる。ここにおいて、「□-」は、チオフェンとの結合手を示し、「-□□」は、「A」「B」それぞれとの結合手を示す。
【化11】
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【化12】
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【0040】
図1は、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。先ず、出発原料を、3,4‐ジメトキシチオフェンとした。この出発原料を、2,2‐ジブチル‐1,3‐プロパンジオールと、p‐トルエンスルホン酸存在下にてアルコール交換反応させる。この反応により、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが得られる。なお、上記一般式(11)乃至下記一般式(17)および図中「Bu」は、ブチル基を示している。このブチル基に相当する部位は、これに代えて、任意の炭化水素基であればよく、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基などでありこれらに限定されない。また、上記一般式(11)乃至下記一般式(20)および図中「O」、「S」、「F」、「Si」および「Me」は、それぞれ酸素、硫黄、フッ素、ケイ素、およびメチル基を示している。このメチル基に相当する部位は、これに代えて、任意の炭化水素基であればよく、たとえば、イソプロピル基、フェニル基などであり、これらに限定されない。

【0041】
次に、得られた3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンのテトラヒドロフラン溶液に、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液を添加する。次いで、この溶液に、トリメチルクロロシランを添加することで、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが得られる。ここにおいて、n‐ブチルリチウムおよびトリメチルクロロシランの添加としては、それぞれの添加後に所定の温度・時間にて、各々溶液撹拌を行うと好適である。

【0042】
次に、得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンのテトラヒドロフラン溶液に、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液を添加する。次いで、この溶液に、ヘキサフルオロベンゼンを添加することで、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが得られる。ここにおいて、n‐ブチルリチウムおよびヘキサフルオロベンゼンの添加としては、それぞれの添加後に所定の温度・時間にて、各々溶液撹拌を行うと好適である。

【0043】
図2は、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの結合部位を説明するための図である。上述のようにして得られたモノマーにおいては、結合部位が以下のように規定される。すなわち、ペンタフルオロフェニル基の炭素は、1位をもって、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンのチオフェン部の炭素と結合している。それぞれの炭素が、前記ペルフルオロアレーン第1炭素および前記パイ電子ユニット第1炭素に相当する。

【0044】
他方、トリメチルシリル基は、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンのチオフェン部における、ペンタフルオロフェニル基と結合を成していない炭素と結合している。この炭素が、前記パイ電子ユニット第2炭素に相当する。以上が、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームについての説明である。

【0045】
<パイ共役系高分子の重合>
本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の重合スキームについて説明する。第1実施形態においては、上述のようにして得られたモノマーが重合される。この重合体は、得られたモノマーに対応する単位構造を有することになる。すなわち、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子において、単位構造は、下記一般式(13)で表されるものになる。この単位構造の繰り返しをもってパイ共役系高分子が構成される。
【化13】
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【0046】
図3は、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。上述のようにして得られた、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンのテトラヒドロフラン溶液に、所定濃度のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を、開始剤および触媒として添加する。これにより、重合反応を生じさせる。次いで、再沈殿・乾燥を経て、上記単位構造の繰り返しをもつパイ共役系高分子が得られる(単離される)。ここにおいて、テトラブチルアンモニウムフルオリドの添加としては、添加後に所定の温度・時間にて、溶液撹拌を行うと好適である。

【0047】
図4は、本発明の第1実施形態に係るパイ共役系高分子の、結合部位を説明するための図である。上述のようにして得られたパイ共役系高分子においては、結合部位が以下のように規定される。すなわち、上述のようにして得たモノマーにおける、前記ペルフルオロアレーン第1炭素および前記パイ電子ユニット第1炭素の結合は、維持されている。

【0048】
他方、上述のようにして得たモノマーにおいてトリメチルシリル基と結合していた前記パイ電子ユニット第2炭素は、上記単位構造では、(トリメチルシリル基に代えて)別の隣り合う構造単位と結合している。別の隣り合う構造単位におけるその結合部位は、ペンタフルオロフェニル基の4位の炭素となる。この炭素が、前記ペルフルオロアレーン第2炭素に相当する。すなわち、ペルフルオロアレーン第1、第2炭素が、パイ電子ユニット第1、第2炭素とそれぞれ結合することで、前記構造単位の繰り返しが構成される。

【0049】
図5は、上述のようにして得たモノマー(上記一般式(11))から、前記構造単位(上記一般式(13))を備えたパイ共役系高分子が構成されるメカニズムを説明するための図である。第1のモノマーが有するトリメチルシリル基においては、テトラブチルアンモニウムフルオリドをアニオンとして、その存在下において、そのアニオンをもってトリメチルシリル基が脱離する。このトリメチルシリル基脱離により、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン部位そのものが、求核性アニオンとなる。なお、ペルフルオロアレーン第1炭素と、パイ電子ユニット第1炭素との結合は、維持される。

【0050】
一方、第2のモノマーが有するペンタフルオロフェニル基は、第1のモノマーにおける求核性アニオンと結合する。すなわち、第1のモノマーにおけるパイ電子ユニット第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素とが、結合し得る。このプロセスが順次に繰り返されることで重合していき、この結果、上述の一般式(13)の単位構造で示されるパイ共役系高分子が構成される。

【0051】
開始剤および触媒としては、上記テトラブチルアンモニウムフルオリドが相当する。このテトラブチルアンモニウムフルオリドが、第1のモノマーにおけるパイ電子ユニット第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素とを結合させることになる。この結合の際、ペンタフルオロフェニル基における4位の炭素(ペルフルオロアレーン第2炭素)に元々結合していたフッ素が脱離し、フッ化物アニオンが新たに生成・再生する。新たに生成したフッ化物アニオンは、次に重合すべきモノマーにおけるトリメチルシリル基を脱離させることになる。このフッ化物アニオンの生成・再生が、上述の重合を可能としている。

【0052】
この場合、上述のように添加されるテトラブチルアンモニウムフルオリドの量(モル数)が、モノマーに対する触媒量となる。テトラブチルアンモニウムフルオリドに対する、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン部位(パイ電子ユニット。すなわち、上述した求核性アニオン)の反応性において、第1および第2モノマーが結合する前におけるパイ電子ユニットの反応性が、結合した後におけるパイ電子ユニットの反応性よりも小さい場合に、反応は連鎖的に進行することになる。即ち、触媒量に応じて分子量が制御され得ることになる。加えて、この重合にかかわる反応において、触媒として貴金属および遷移金属が不要である。従って、本発明によるパイ共役系高分子の第1実施形態によれば、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。以上が、本発明によるパイ共役系高分子の第1実施形態の説明である。

【0053】
本発明によるパイ共役系高分子の第1実施形態においては、上記に限定されることなく、本発明の範囲内にて種々形態を採用することができる。以下、上記第1実施形態の変形例について、説明する。

【0054】
上記第1実施形態においては、ペルフルオロアレーン基として、ペンタフルオロフェニル基を用いていたが、これに代えて、たとえば、ノナフルオロビフェニル基を用いてもよい(上記一般式(9)に相当)。この場合、合成されるモノマーは、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ノナフルオロビフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであって、下記一般式(14)で表されるものとなる。そのモノマーを重合させて得られるパイ共役系高分子の単位構造は、下記一般式(15)で表されるものとなる。

【0055】
【化14】
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【化15】
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【0056】
図6、および図7は、この変形例におけるパイ共役系高分子のモノマーの合成スキーム、およびパイ共役系高分子の重合スキームを説明するための図であり、それぞれ上述した図1、および図3に対応するものである。すなわち、この変形例は、モノマーの合成スキームにおいて、デカフルオロビフェニルを用いる点のみ、ヘキサフルオロベンゼンを用いていた第1実施形態と異なる。

【0057】
また、上記第1実施形態においては、ペルフルオロアレーン基として、ペンタフルオロフェニル基を用いていたが、これに代えて、たとえば、ヘプタフルオロナフチル基を用いてもよい(上記一般式(10)に相当)。この場合、合成されるモノマーは、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ヘプタフルオロナフチル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであって、下記一般式(16)で表されるものとなる。そのモノマーを重合させて得られるパイ共役系高分子の単位構造は、下記一般式(17)で表されるものとなる。
【化16】
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【化17】
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【0058】
図8、および図9は、この変形例におけるパイ共役系高分子のモノマーの合成スキーム、およびパイ共役系高分子の重合スキームを説明するための図であり、それぞれ上述した図1、および図3に対応するものである。すなわち、この変形例は、モノマーの合成スキームにおいて、オクタフルオロナフタレンを用いる点のみ、ヘキサフルオロベンゼンを用いていた第1実施形態と異なる。

【0059】
また、上記第1実施形態においては、パイ電子ユニットとして、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンを用いていたが、これに代えて、たとえば、3,4位に他の炭化水素基またはアルキルオキシ基を有するチオフェンを用いてもよい。より具体的には、3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェンを用いてもよい(上記一般式(4)に相当)。この場合、合成されるモノマーは、下記一般式(18)にて示される、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェンとなる。この場合、上記一般式(4)にて示される「A」および「B」は、下記一般式(19)にてそれぞれ示される要素に相当するものとなる。ここにおいて、「□-」は、チオフェンとの結合手を示す。また、重合体の単位構造は、下記一般式(20)で表されるものになる。この単位構造の繰り返しをもってパイ共役系高分子が構成される。
【化18】
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【化19】
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【化20】
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【0060】
図10は、本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。先ず、出発原料のアルコール交換反応において、上記第1実施形態のアルコール(2,2‐ジブチル‐1,3‐プロパンジオール)に代えて、3‐トリメチルシリル‐1‐プロパノールを用い、3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェンが得られる。次いで、上記第1実施形態の添加と同様にして、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェンを経て、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェンが得られる。

【0061】
図11は、本発明の第1実施形態の変形例に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。上述のようにして得られた、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェンのテトラヒドロフラン溶液に、上記第1実施形態と同様、所定濃度のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を、開始剤および触媒として添加することで、上記単位構造の繰り返しをもつパイ共役系高分子が得られる(単離される)。なお、本変形例においては、ペルフルオロアレーン基として、ペンタフルオロフェニル基を用いていたが、これに代えて、たとえば、ノナフルオロビフェニル基、または、ヘプタフルオロナフチル基を用いてもよい。この場合、モノマーは、それぞれ2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ノナフルオルビフェニルチオフェン、または、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ヘプタフルオルナフチルチオフェンとなる。上述した何れの変形例によっても、上記第1実施形態と同様、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。

【0062】
また、上記第1実施形態においては、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの重合に際し、開始剤としてテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いていた。これに代えて、開始剤として、例えば、金属アルコキシド、シリルエチニル基を持つ物質を用いてもよい。

【0063】
図23は、開始剤として、金属アルコキシド、シリルエチニル基をもつ物質を用いた場合における、パイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。モノマーとしては、上記第1実施形態と同様、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが、用いられる。開始剤の金属アルコキシドとしては、例えば、カリウムtert-ブトキシド/クリプタント[2.2.2]や、カリウム3-トリメチルシリルプロポキシド/クリプタント[2.2.2]が、用いられ得る。また、シリルエチニル基を持つ物質としては、例えば、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドが、用いられ得る。これらの開始剤によっても、上記と同様のメカニズムにて、重合が達成され得る。なお、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンの合成プロセスについては、後述の実施例の欄にて、詳述する。

【0064】
また、上記第1実施形態においては、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの重合に際し、触媒量のみに基づき分子量を制御していた。これに代えて、例えば、重合開始以降にて、重合停止反応を用いエンドキャッピングを施すことで、分子量を制御してもよい。

【0065】
図24は、上記エンドキャッピングに用いられる物質として、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランを用いた場合における、パイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。モノマーとしては、上記第1実施形態と同様、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが、用いられる。これによれば、生長末端におけるチエノジオキセピン部のパイ電子ユニット第2炭素が、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランと結合し得る。3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランにおける結合部位は、ペンタフルオロフェニル基における4位炭素となる。以上の結合を呈する重合停止反応より、エンドキャッピングが施される。

【0066】
また、上記第1実施形態においては、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの重合に際し、1つの起点から直鎖的にモノマーを重合していた。これに代えて、例えば、1つの起点から分岐的に複数のモノマーを同時に重合してもよい。この分岐の数は、2または3となるのが好適である。

【0067】
図25は、上記分岐を有するパイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。モノマーとしては、上記第1実施形態と同様、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンが、用いられる。起点となる開始剤を異ならせることで、所望の分岐数が得られる。分岐数を「2」とする場合には、上記起点となる開始剤として、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンが、用いられる。分岐数を「3」とする場合には、上記起点となる開始剤として、1,3,5-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンが、用いられる。上記各開始剤におけるそれぞれのトリメチルシリル基から、上記第1実施形態と同様のメカニズムをもって、複数のモノマーが同時に重合していく。このように、1つの起点となる分子(開始剤)が、分岐数に対応するシリルエチニル基の数を備えるよう構成されることで、所望の分岐数をもつパイ共役系高分子が得られる。

【0068】
(第2実施形態)
以下、本発明によるパイ共役系高分子の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子は、上記第1実施形態と同様に、モノマーを重合させていくことで得られるものである。第2実施形態は、このモノマーにおいて、エチニル基を更に備える点で上記第1実施形態と異なる。従って、第2実施形態は、構成される単位構造においても、エチニル基を更に備える点で上記第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態においては、上記第1実施形態と異なる点を主に説明する。

【0069】
このモノマーは、ペルフルオロアレーン基と、パイ電子系有機化合物のパイ電子ユニットと、エチニル基と、シリル基とを備える(上記一般式(5)に相当)。得られるパイ共役系高分子は、左側よりペルフルオロアレーン基、パイ電子ユニット、エチニル基の順に配列され、これらの結合が維持された状態にて成る単位構造の繰り返しで構成される(上記一般式(6)に相当)。なお、この構造単位が、モノマーからシリル基および4位フッ素が脱離したものとなることも、上記第1実施形態と同様である。

【0070】
<モノマーの合成>
本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームについて説明する。第2実施形態においては、ペルフルオロアレーン基は、ペンタフルオロフェニル基である。パイ電子ユニットは、2,5‐ビス(エチルヘキシルオキシ)ベンゼンである(上記一般式(7)に相当)。シリル基は、トリメチルシリル基である。パイ電子ユニットと、シリル基との間に、エチニル基が介装される。すなわち、合成されるモノマーは、下記一般式(21)にて示される、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンとなる。この場合、上記一般式(7)にて示される「C」および「D」は、下記一般式(22)にてそれぞれ示される要素に相当するものとなる。ここにおいて、「◎-」は、ベンゼンとの結合手を示す。また、下記一般式(21)乃至下記一般式(23)および図中「O」、「F」、「Si」および「Me」は、それぞれ酸素、フッ素、ケイ素、およびメチル基を示している。このメチル基に相当する部位は、これに代えて、任意の炭化水素基であればよく、たとえば、イソプロピル基、フェニル基などであり、これらに限定されない。
【化21】
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【化22】
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【0071】
図12は、本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームを示す図である。先ず、出発原料を、2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐1,4‐ジヨードベンゼンとした。この出発原料を、トリメチルシリルアセチレンと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム錯体・ヨウ化銅・トリエチルアミン存在下にて薗頭反応させる。この反応により、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ヨードベンゼンが得られる。

【0072】
次に、得られた1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ヨードベンゼンのエーテル溶液に、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液を添加する。次いで、この溶液に、ヘキサフルオロベンゼンを添加することで、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンが得られる。ここにおいて、n‐ブチルリチウムおよびヘキサフルオロベンゼンの添加としては、それぞれの添加後に所定の温度・時間にて、各々溶液撹拌を行うと好適である。

【0073】
図13は、本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの結合部位を説明するための図である。上述のようにして得られたモノマーにおいては、結合部位が以下のように規定される。すなわち、ペンタフルオロフェニル基の炭素は、1位をもって、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)ベンゼン部の4位の炭素と結合している。それぞれの炭素が、前記ペルフルオロアレーン第1炭素および前記パイ電子ユニット第1炭素に相当する。

【0074】
他方、エチニル基の炭素は、上述したベンゼン部の1位の炭素と結合している。それぞれの炭素が、前記エチニル第1炭素および前記パイ電子ユニット第2炭素に相当する。更に、トリメチルシリル基は、エチニル基におけるパイ電子ユニットと結合を成していない炭素と結合している。この炭素が、前記エチニル第2炭素に相当する。以上が、本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、モノマーの合成スキームについての説明である。

【0075】
<パイ共役系高分子の重合>
本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の重合スキームについて説明する。この場合、単位構造は、下記一般式(22)で表されるものになり、この繰り返しをもってパイ共役系高分子が構成される。
【化23】
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【0076】
図14は、本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、重合スキームを示す図である。上述のようにして得られた、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンのテトラヒドロフラン溶液に、所定濃度のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液を、開始剤および触媒として添加する。これにより、重合反応を生じさせる。次いで、再沈殿・乾燥を経て、上記単位構造の繰り返しをもつパイ共役系高分子が得られる(単離される)。ここにおいて、テトラブチルアンモニウムフルオリドの添加としては、添加後に所定の温度・時間にて、溶液撹拌を行うと好適である。

【0077】
図15は、本発明の第2実施形態に係るパイ共役系高分子の、結合部位を説明するための図である。上記構造単位においては、モノマーにおける前記ペルフルオロアレーン第1炭素と前記パイ電子ユニット第1炭素との結合、および前記パイ電子ユニット第2炭素と前記エチニル第1炭素との結合が、維持されている。

【0078】
他方、上述のようにして得たモノマーにおいてトリメチルシリル基と結合していた前記エチニル第2炭素は、上記単位構造では、(トリメチルシリル基に代えて)別の隣り合う構造単位と結合している。別の隣り合う構造単位におけるその結合部位は、ペンタフルオロフェニル基の4位の炭素となる。この炭素が、前記ペルフルオロアレーン第2炭素に相当する。すなわち、ペルフルオロアレーン第1、第2炭素が、パイ電子ユニット第1炭素、エチニル第2炭素とそれぞれ結合することで、前記単位構造の繰り返しが構成される。

【0079】
図16は、上述のようにして得たモノマー(上記一般式(20))から、前記構造単位(上記一般式(22))を備えたパイ共役系高分子が構成されるメカニズムを説明するための図である。この場合、下記の異なる点を除き、上記第1実施形態におけるメカニズムと同一である。すなわち、上述と同様のシリル基脱離により、エチニル基がエチニルアニオン(上述の求核性アニオンに相当)となる。なお、ペルフルオロアレーン第1炭素とパイ電子ユニット第1炭素との結合に加え、パイ電子第2炭素とエチニル第1炭素との結合も維持される。

【0080】
このため、エチニルアニオン(第1のモノマー)とペルフルオロアレーン基(第2のモノマー)との結合は、第1のモノマーにおけるエチニル第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素との結合となり得る。この結果、上述の一般式(22)の単位構造で示されるパイ共役系高分子が構成される。開始剤および触媒としては、上記テトラブチルアンモニウムフルオリドが相当する。このテトラブチルアンモニウムフルオリドが、第1のモノマーにおけるエチニル第2炭素と、第2のモノマーにおけるペルフルオロアレーン第2炭素とを結合させることになる。このように、フッ化物アニオンが新たに生成・再生する事象も、上記第1実施形態と同様である。

【0081】
この場合も、上述のように添加されるテトラブチルアンモニウムフルオリドの量(モル数)が、モノマーに対する触媒量となる。反応が連鎖的に進行するか否かは、上記第1実施形態においては、第1および第2モノマーの結合前後における、パイ電子ユニットの反応性の大小に基づき決定されていた。この第2実施形態では、パイ電子ユニットの反応性に代えて、エチニルアニオンの反応性の大小に基づくことになる。従って、第2実施形態においても、触媒量に応じて分子量を制御することができ、この重合にかかわる反応においても、触媒として貴金属および遷移金属が不要である。従って、本発明によるパイ共役系高分子の第2実施形態によっても、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。以上が、本発明によるパイ共役系高分子の第2実施形態の説明である。

【0082】
本発明によるパイ共役系高分子の第2実施形態においては、上記に限定されることなく、本発明の範囲内にて種々形態を採用することができる。以下、上記第2実施形態の変形例について、説明する。

【0083】
上記第2実施形態においては、パイ電子ユニットとして、2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)ベンゼンを用いていたが、これに代えて、以下のように変形させた化合物を用いてもよい。この2‐エチルへキシルオキシ基に相当する部位は、これに代えて、任意の炭化水素基またはアルキルオキシ基であればよく、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などでありこれらに限定されない。

【0084】
また、上記第2実施形態においては、パイ電子ユニットとして、2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)ベンゼンを用いていたが、これに代えて、たとえば、上記一般式(3)、一般式(4)、及び下記一般式(24)で表されるもののうち何れか1つであってもよい。
【化24】
JP0005971622B2_000022t.gif

【0085】
ここにおいて、上記一般式(7)と同様、「○‐」は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記ペルフルオロアレーン基との結合手である。「‐○○」は、前記モノマーおよび前記単位構造において、前記エチニル基との結合手である。「C」および「D」は、炭化水素基または炭化水素オキシ基を示す。「C」および「D」は、同一の構造であってもよく、それぞれ異なる構造となっていてもよい。

【0086】
また、上記第2実施形態においては、モノマーとして、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンを用いていた。すなわち、ペンタフルオロフェニル基と、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)ベンゼンとが直接結合されるよう、構成されていた。換言すれば、パイ電子ユニットに着目すると、そのベンゼン環の4位炭素と、ペルフルオロアレーン基とが、直接結合されていた。これに代えて、例えば、上記ベンゼン環の4位炭素とペルフルオロアレーン基との間にエチニル基が介装されるよう、モノマーを構成してもよい。この場合、パイ電子ユニットとしては、上記一般式(25)に相当する構造をとる。より具体的には、例えば、モノマーとして、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンが用いられる。この場合、上記一般式(25)における「C」は、上記一般式(22)にて表される化合物と同一となる。

【0087】
図26は、重合されるモノマーとして、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンを用いた場合における、パイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。これによっても、上記第2実施形態と同様のメカニズムにて、パイ共役系高分子が構成され得る。

【0088】
図27は、この2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンの、合成スキームを示す図である。先ず、出発原料を、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-2,4-ジヨードベンゼンとした。この出発原料を、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ヨウ化銅・トリエチルアミン存在下にて、トリメチルシリルアセチレンと反応させる。この反応により、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-ヨードベンゼンが得られる。次に、得られた2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-ヨードベンゼンを、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ヨウ化銅・ピペリジン存在下にて、2-メチル-3-ブチン-2-オールと反応させる。この反応により、2-メチル-4-(2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-4-トリメチルシリルエチニル)フェニル)ブタ-3-イン-2-オールが得られる。

【0089】
次いで、得られた2-メチル-4-(2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-4-トリメチルシリルエチニル)フェニル)ブタ-3-イン-2-オールを、水酸化ナトリウムのトルエン溶液にて加熱還流することで、2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-1-トリメチルシリルエチニル-4-エチニルベンゼンが得られる。そして、得られた2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-1-トリメチルシリルエチニル-4-エチニルベンゼンを、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ヨウ化銅・トリエチルアミン存在下にて、ペルフルオロヨードベンゼンと反応させる。この反応により、上記モノマーである2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンが得られる。

【0090】
また、例えば、上記第2実施形態におけるモノマーにおいて、ペンタフルオロフェニル基と、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)ベンゼンとを、エチニル基を介して結合させてもよい。

【0091】
また、上記第2実施形態においては、ペルフルオロアレーン基として、ペンタフルオロフェニル基を用いていたが、これに代えて、たとえば、ノナフルオロビフェニル基またはヘプタフルオロナフチル基を用いてもよい。この場合、合成されるモノマーは、それぞれ1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ノナフルオロビフェニルベンゼン、または、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ヘプタフルオロナフチルベンゼンである。この場合におけるモノマーの合成スキーム、重合スキームは、上記第1実施形態の変形例におけるものと同様である。

【0092】
更に、上記第2実施形態の変形例においても、ペルフルオロアレーン基を、ペンタフルオロフェニル基に代えて、たとえば、ノナフルオロビフェニル基またはヘプタフルオロナフチル基を用いてもよい。上述した何れの変形例によっても、上記第2実施形態と同様、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。

【0093】
また、上記第2実施形態においては、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンの重合に際し、開始剤としてテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いていた。これに代えて、上記第1実施形態の変形例と同様、開始剤として、例えば、金属アルコキシド、シリルエチニル基を持つ物質を用いてもよい。

【0094】
図28は、開始剤として、金属アルコキシド、シリルエチニル基をもつ物質を用いた場合における、パイ共役系高分子の重合スキームを示す図である。モノマーとしては、上記第2実施形態と同様、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンが、用いられる。開始剤の金属アルコキシドとしては、例えば、カリウムtert-ブトキシド/クリプタント[2.2.2]が、用いられ得る。また、シリルエチニル基を持つ物質としては、例えば、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドや、1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドが、用いられ得る。これらの開始剤によっても、上記と同様のメカニズムにて、重合が達成され得る。

【0095】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について説明する。本発明の第3実施形態は、2つのグループを備えたブロック共重合体である。第1グループは、上記第1実施形態に係るパイ共役系高分子である。残りの第2グループは、ポリエチレングリコールである。以下、第3実施形態においては、上記第1,第2実施形態と異なる点を主に説明する。

【0096】
図29は、ポリエチレングリコールと、第1実施形態のパイ共役系高分子とのブロック共重合体の合成スキームを示す図である。所定の分子量をもつポリエチレングリコールを、クリプタント[2.2.2]・テトラヒドロフラン存在下において、水素化カリウムと反応させる。この反応により、ポリエチレングリコールの一端が、カリウムに置換される。その後、第1実施形態のモノマーである、3,3-ジブチル-6-トリメチルシリル-8-(ペンタフルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピンを更に添加する。これにより、ポリエチレングリコールの上記一端における酸素と、ペルフルオロアレーン第2炭素(図4を参照)とが結合する。これと同時に、フッ素アニオンが生成される。これにより、上記第1実施形態と同様、3,3-ジブチル-6-トリメチルシリル-8-(ペンタフルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピンが、順次重合されていく。以上により、ポリエチレングリコールと、上記第1実施形態にかかるパイ共役系高分子とを備えた、ブロック共重合体が得られる。

【0097】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について説明する。本発明の第4実施形態も、2つのグループを備えたブロック共重合体である。第1グループは、上記第2実施形態に係るパイ共役系高分子である。残りの第2グループは、他の種類のパイ共役系高分子である。以下、第4実施形態においては、上記第1,第2,第3実施形態と異なる点を主に説明する。ここにおいて、「他の種類のパイ共役系高分子」は、モノマーが、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンである高分子である。すなわち、このモノマーの構造は、第2実施形態のモノマー(上記一般式(21)、図13を参照)における2-エチルヘキシルオキシ基が、3-トリメチルシリルプロポキシに置き換わった点のみ、第2実施形態のものと異なっている。

【0098】
図30は、第2実施形態のパイ共役系高分子と、上記「他の種類のパイ共役系高分子」とのブロック共重合体の合成スキームを示す図である。1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンを、テトラブチルアンモニウムフルオリド・テトラヒドロフラン存在下において、1番目の重合を開始させる。所定時間経過後、エタノールを添加して、1番目の重合を停止させる。次いで、その溶液に、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンを添加して、2番目の重合を開始させる。所定時間経過後、エタノールを添加して、2番目の重合を停止させる。これにより、上記第2実施形態のパイ共役系高分子における末端(エチニル第2炭素側(図15を参照))を起端にして、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンが順次重合されていく。この以上により、上記第1実施形態にかかるパイ共役系高分子と、上記「他の種類のパイ共役系高分子」とを備えた、ブロック共重合体が得られる。

【0099】
図31は、上記モノマーである、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンの合成スキームを示す図である。先ず、出発原料を、2,5-ジブロモヒドロキノンとした。この出発原料を、炭酸カリウム・ジメチルホルムアミド存在下にて、3-トリメチルシリル-1-プロパノールと反応させる。この反応により、1,4-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-2,5-ジブロモベンゼンが得られる。次に、得られた1,4-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-2,5-ジブロモベンゼンを、エーテル・n-ブチルリチウム存在下にて、ヘキサフルオロベンゼンと反応させる。この反応により、4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンが得られる。

【0100】
次いで、得られた4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンを、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム・ヨウ化銅・テトラヒドロフラン/ジイソプロピルアミン存在下にて、トリメチルシリルアセチレンと反応させる。この反応により、上記モノマーである、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンが得られる。

【0101】
図32は、上記「他の種類のパイ共役系高分子」の重合スキームを示す図である。即ち、このスキームは、上述のようにして得られた、4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンが重合していくスキームである。モノマーとしての4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンを、テトラヒドロフラン・テトラブチルアンモニウムフルオリド存在下にて、重合させる。この重合のメカニズムは、上記第2実施形態のものと同様であるので、説明を省略する。
【実施例】
【0102】
次に、本発明によるパイ共役系高分子の実施例について説明する。本実施例においては、23通りの異なる重合条件に対応して、23通りの実施例が構成されている。これに加え、2通りの比較例も示す。
【実施例】
【0103】
表1は、それぞれの実施例および比較例に対応するモノマー、[I]/[M]、収率、Mn、およびPDIを示したものである。ここにおいて、「[I]/[M]」は、開始剤濃度をモノマー濃度で除した値を百分率換算したものとして定義され、単位はmol%である。この値は、モノマーに対する触媒量を示す。「収率」は、実際に得られたパイ共役系高分子の量(mol量または質量)を理論的に得られるパイ共役系高分子の量(mol量または質量)で除した値を百分率換算したものとして定義される。「Mn」は、得られたパイ共役系高分子の数平均分子量を示す。「PDI(ポリマー)」は、得られたパイ共役系高分子の重量平均分子量Mwを「Mn」で除した値(Mw/Mn)として定義され、得られたパイ共役系高分子の分子量分布を示す。
【表1】
JP0005971622B2_000023t.gif

【実施例】
【0104】
表1に示すモノマーにおいては、記号と物質名とが下記のとおり対応している。
I :
3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン
II :
3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ノナフルオロビフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン
III:
3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ヘプタフルオロナフチル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン
IV :
2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェン
V :
1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼン
VI :
3,3‐ジブチル‐6,8‐ビス(トリメチルシリル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン、およびヘキサフルオロベンゼン
VII:
3,4‐ジブトキシ‐2,5‐ビス(トリメチルシリル)チオフェン、およびヘキサフルオロベンゼン
【実施例】
【0105】
実施例1乃至実施例3における[I]/[M]と、Mnとの関係においては、[I]/[M]が小さいほどMnが大きくなった。これは、モノマーに対する触媒量に応じて、重合されるパイ共役系高分子のMnが、制御され得ることを意味している。更に、[I]/[M]と、PDIとの関係においては、何れの[I]/[M]であってもPDI=1.30~1.70と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0106】
実施例4および実施例5は、モノマーの構成要素であるペルフルオロアレーン基のみが実施例2と変更された例である。実施例6は、モノマーの構成要素であるパイ電子ユニットのみが実施例2と変更された例である。何れの場合においてもPDI=1.39~1.51と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0107】
実施例7乃至実施例10における[I]/[M]と、Mnとの関係においては、[I]/[M]が小さいほどMnが大きくなった。これは、モノマーに対する触媒量に応じて、重合されるパイ共役系高分子のMnが、制御され得ることを意味している。更に、[I]/[M]と、PDIとの関係においては、何れの[I]/[M]であってもPDI=1.04~2.39と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0108】
一方、比較例1においては、重合反応そのものが確認されなかった。すなわち、この条件では、分子量の制御および分子量分布を議論するに足る高分子の合成に至らなかった。また、比較例2においては、PDI=2.70と大きい値に推移した。すなわち、分子量分布が広いことを意味しており、分子量の制御もなされ得ない。本発明の各実施例のモノマーは、パイ電子ユニット、シリル基、およびペルフルオロアレーン基を一体として、1つのモノマーとしてそれぞれ構成されている。このモノマーが用いられることで、分子量が制御され得、分子量分布が狭いという本発明特有の効果が奏される。一方、2つの比較例では、両方とも2つのモノマーを用い合成を試みている。この2つのモノマーのうち1つが、パイ電子ユニットおよびシリル基に相当する要素が一体として構成され、残りが、ペルフルオロアレーン基に相当する要素である。この2つのモノマーが用いられる場合には、上述の効果が奏されない。
【実施例】
【0109】
このように、実施例1乃至実施例10にかかるパイ共役系高分子においては、PDIの値が、最大であっても略2.0に推移した。すなわち、比較例に対して、分子量分布が十分狭いことが確認された。加え、触媒量に応じて分子量の制御が可能であることが、確認された。更に、何れの実施例の重合にかかわる反応において、触媒として貴金属および遷移金属が不要である。従って、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。
【実施例】
【0110】
表2は、それぞれの実施例に対応するモノマー、[I]/[M]、収率、Mn、およびPDIを示したものである。それぞれの項目の定義は、上述した表1にて対応するものと同じである。
【表2】
JP0005971622B2_000024t.gif
【実施例】
【0111】
表2が示すモノマーにおいては、記号と物質名とが下記のとおり対応している。
I :
3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン
II :
2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼン
III:
1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼン
IV :
1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(3‐トリメチルプロポキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼン
V :
エチレングリコール
【実施例】
【0112】
実施例11、実施例12、および実施例13は、モノマーおよびパイ共役系高分子の単位構造が全て同じである一方、開始剤がそれぞれ異なる例である。何れの開始剤が用いられた場合であっても、パイ共役系高分子が構成され、PDI=1.71~1.95と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0113】
実施例14は、モノマーについては上記実施例11~13と同じものが用いられる。一方、重合開始以降にて、重合停止反応を用いて生長末端にエンドキャッピングを施す点で、それらと異なる。PDI=1.96であり、Mn=4,200であった。分子量分布が狭く、且つ、このエンドキャッピングにより比較的小さい分子量をもつ共役系高分子が得られた。すなわち、このエンドキャッピングによって、分子量が制御されることを意味している。
【実施例】
【0114】
実施例15、および実施例16は、モノマーについては上記実施例11~14と同じものが用いられる。一方、1つの起点から分岐的に複数のモノマーを同時に重合される点で、それらと異なる。実施例15および実施例16における分岐の数は、それぞれ「2」および「3」である。分岐の数が何れである場合であっても、パイ共役系高分子が構成され、PDI=1.45,1.74と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0115】
実施例17は、モノマーについては構成要素であるパイ電子ユニットのみが、実施例11~13からそれぞれ変更された例である。パイ共役系高分子が構成され、PDI=1.96であった。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0116】
実施例18、実施例19および実施例20は、モノマーおよびパイ共役系高分子の単位構造が全て同じである一方、開始剤がそれぞれ異なる例である。また、これらのモノマーは、その構成要素であるパイ電子ユニットのみが、実施例11~13からそれぞれ変更された例である。何れの開始剤が用いられた場合であっても、パイ共役系高分子が構成され、PDI=1.49~2.26と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0117】
実施例21は、モノマーについては構成要素であるパイ電子ユニットのみが、実施例11~13からそれぞれ変更された例である。パイ共役系高分子が構成され、PDI=1.42であった。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0118】
実施例22は、2種類のモノマーに対応する2種類の高分子からなるブロック共重合体の例である。ブロック共重合体の第1グループは、パイ共役系高分子の単位構造で構成される。一方、第2グループは、ポリエチレングリコールで構成される。これらのモノマーが用いられた場合であっても、PDI=1.43と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0119】
実施例23は、2種類のモノマーに対応する2種類の高分子からなるブロック共重合体の例である。ブロック共重合体の第3グループおよび第4グループは、それぞれパイ共役系高分子の単位構造で構成される。各モノマーは、それぞれパイ電子ユニットのみ異なる。これらのモノマーが用いられた場合であっても、ブロック共重合体が構成され、PDI=2.49と小さい値に推移した。すなわち、分子量分布が狭いことを意味している。
【実施例】
【0120】
このように、実施例11乃至実施例22にかかるパイ共役系高分子およびブロック共重合体においても、実施例1~10と同様に、分子量分布が十分狭いことが確認された。加え、触媒量に応じて分子量の制御が可能であることが、確認された。更に、何れの実施例の重合にかかわる反応において、触媒として貴金属および遷移金属が不要である。従って、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得る。
【実施例】
【0121】
以下、上記実施例および上記比較例について詳述する。
【実施例】
【0122】
(実施例1)
実施例1の3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの合成と、これをモノマーとした重合反応について説明する。以下全ての合成・反応を、不活性ガス(アルゴンまたは窒素)雰囲気下にて行った。先ず、3,3‐ジブチル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンを、非特許文献『ウェルシュ(Welsh,D.M.)、外8名、「マクロモルキュールズ(Macromolecules)」、(米国)、2002、35(17)、p.6517-6525』に記載の方法を用い、合成した。この合成物7.14g(26.6mmol)を、テトラヒドロフラン(市販品)に溶解させ、テトラヒドロフラン溶液200mLとした。この溶液を-78℃に維持したものに対し、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液1.58M(市販品)18mL(28.4mmol)を略30分にて滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、室温で1時間撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液を0℃に維持し、その溶液に対し、トリメチルクロロシラン4.07g(3.74mmol)を数分にて更に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0123】
この撹拌後の反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン/塩化メチレン=2/1、Rf=0.69、シリカゲル:Merck社製Silica Gel 60、0.040-0.063mm)にて、淡黄色オイルおよび無色透明オイルを得た。それぞれの同定に際し、H,13C,19F,29Si‐NMR(ブルカー・バイオスピン社製 Avance 400型スペクトロメータ)、およびHRMS(JEOL JMS-700、 EI:イオン化電圧 70 eV、 FAB:マトリクス=3‐ニトロベンジルアルコール)での分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.32 (s, 9H), 0.97 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.28-1.45 (m, 12H), 3.84 (s, 2H), 3.86 (s, 2H), 6.69 (s, 1H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ ?0.7, 14.1, 23.3, 25.1, 31.7, 43.6, 77.4(8), 77.5, 109.9, 116.9, 151.0, 155.7; HRMS calcd for C1832SSi ([M]) m/z 340.1892, found 340.1882.。これにより、得られた淡黄色オイルが、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであることが確認された。この収量は、6.66g(19.6mmol)であり、収率は、74%であった。他方、無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.33 (s, 18H), 0.98 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 1.33-1.45 (m, 12H), 3.83 (s, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ ?0.7, 14.1, 23.3, 25.1, 31.7, 43.6, 77.4(8), 77.5, 122.6, 157.0; 29Si{H}‐NMR(CDCl, 79.5 MHz) δ ?7.5; HRMS calcd for C2140SSi ([M]) m/z 412.2288, found 412.2287.。これにより、得られた無色透明オイルが、3,3‐ジブチル‐6,8‐ビス(トリメチルシリル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであることが確認された。この収量は、1.17g(2.83mmol)であり、収率は、11%であった。
【実施例】
【0124】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン4.53g(13.3mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液100mLとした。その溶液を-78℃に維持し、その溶液に対し、上記ヘキサン溶液10mL(15.8mmol)を略20分にて滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、室温で1時間撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液を0℃に維持し、その溶液に対し、ヘキサフルオロベンゼン3.04g(16.3mmol)を更に一気に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0125】
この撹拌後の反応溶液に、上述と同様の抽出・洗浄・乾燥・濃縮の工程を施し、その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン、Rf=0.56、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.36 (s, 9H), 0.96 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.31-1.45 (m, 12H), 3.89 (s, 2H), 3.92 (s, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -0.8, 13.9, 14.1, 22.6, 23.5,25.0, 31.6, 43.8, 77.6, 77.7, 108.3(bm), 109.1, 119.7, 136.5(bm), 139.0(bm), 143.2(bm), 145.7(bm), 149.8, 155.2; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -162.85 (td, J=21, 7.5 Hz, 2F), -155.5 (t, J = 21 Hz, 1F), -139.0 (dd, J = 7.5, 21 Hz, 2F); 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ -6.3; HRMS calcd for C2431SSi ([M]) m/z 506.1734, found 506.1732.。これにより、得られた無色透明オイルが、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであることが確認された。この収量は、4.03g(7.95mmol)であり、収率は、60%であった。ここで得られた物質を、モノマーとして用いた。
【実施例】
【0126】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.196g(0.387mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)2.0μL(0.002mmol、0.5
mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、反応溶液に対し、メタノール200mLを滴下し沈殿を得た。なお、これら一連の重合反応を、グローブボックス中で実施した。
【実施例】
【0127】
得られた沈殿はポリマーであり、この沈殿を遠心分離機にて単離させた。次いで、ベンゼン/メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼン相を凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.97 (bt, J = 7 Hz, 6H), 1.34‐1.47 (bm, 12H), 4.07 (bs, 4H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ 8.3, 23.5, 25.5, 30.3, 31.5, 44.1, 78.1, 108.4, 111.7 (bm), 145.4 (bm), 145.6, (bm), 148.6; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -139.1 (bs).。これにより、得られた白色粉末が、上記一般式(13)に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.143g(0.344mmol)であり、収率は、89%であった。
【実施例】
【0128】
図17は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、H‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における0ppm付近のピークは、トリメチルシリル基のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、そのピークが認められない。すなわち、ポリマーは、モノマーのトリメチルシリル基が脱離した上で重合され、構成されていると推測される。
【実施例】
【0129】
図18は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における3つのピークは、それぞれペンタフルオロフェニル基の4位、3・5位、2・6位に存在するフッ素のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、-139ppm付近の1のピークのみが確認された。すなわち、ペンタフルオロフェニル基の4位に、フッ素に代えてチオフェン部が結合されて、この結果、2・3・5・6位に存在するフッ素は、均等な結合状態を呈したと推測される。H‐NMRおよび19F‐NMRスペクトルより、得られたポリマーの主鎖構造は、テトラフルオロフェニレンとチエニレンとで構成される、規則的な繰り返しを成していると言える。換言すれば、重合反応は、位置選択的かつ連鎖的に進行したと考えられる。
【実施例】
【0130】
上記のプロセスより、このポリマーの重合における[I]/[M]=0.5mol%である。また、分子量の測定によれば、Mn=11,000であり、PDI=1.70であった。この分子量の測定には、サイズ排除クロマトグラフィ(日本分光製 高速液体クロマトグラフHPLC LC-2000Plus、カラム:Shodex製 LF804カラム(×2))を用いた。なお、その溶離液にはテトラヒドロフランを用い、分子量の換算には標準ポリスチレン換算を用いた。
【実施例】
【0131】
(実施例2)
実施例2では、上記実施例1のポリマーの重合における[I]/[M]を変更し、工程を実施例1におけるものと同様とした。すなわち、[I]/[M]=5mol%となるよう、テトラブチルアンモニウムフルオリドに対するモノマーの比率を調整した点のみ、上記実施例1と異なる。分子量の測定によれば、Mn=6,700であり、PDI=1.55であった。この収率は、93%であった。この分子量の測定手法も、上記実施例1と同様である。
【実施例】
【0132】
(実施例3)
実施例3では、上記実施例1のポリマーの重合における[I]/[M]を変更し、工程を実施例1におけるものと同様とした。すなわち、[I]/[M]=10mol%となるよう、テトラブチルアンモニウムフルオリドに対するモノマーの比率を調整した点のみ、上記実施例1と異なる。分子量の測定によれば、Mn=4,900であり、PDI=1.30であった。この収率は、81%であった。この分子量の測定手法も、上記実施例1と同様である。
【実施例】
【0133】
(実施例4)
実施例4の3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ノナフルオロビフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの合成と、これをモノマーとした重合反応について説明する。本例では、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンを得る工程を、上記実施例1と同様とした。
【実施例】
【0134】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.48g(1.40mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。その溶液を-78℃に維持したものに対し、上記ヘキサン溶液1.40mL(2.20mmol)を滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、室温で2時間撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液を0℃に維持し、その溶液に対し、デカフルオロビフェニル0.80g(2.40mmol)を更に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0135】
この撹拌後の反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和塩化アンモニウム水および飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン、Rf=0.52、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.37 (s, 9H), 0.96 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.31‐1.45 (m, 12H), 3.91 (s, 2H), 3.98 (s, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -0.8, 14.0, 14.1, 22.6, 23.5, 25.0, 31.6, 43.8, 77.7, 77.9, 109.8 (bm), 120.8, 142.9 (bm), 145.5 (m), 150.1, 155.2; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -161.0‐-160.9 (m, 2F), -150.8 (t, J = 20.4 Hz, 1F), -139.4‐-139.3 (m, 2F), -138.4‐-138.3 (m, 2F), -137.4‐-137.3 (m, 2F); 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ -6.5; HRMS calcd for C3031SSi ([M]) m/z 654.1670, found 654.1666.。これにより、得られた無色透明オイルが、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ノナフルオロビフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであることが確認された。この収量は、0.382g(0.583mmol)であり、収率は、42%であった。ここで得られた物質を、モノマーとして用いた。
【実施例】
【0136】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ノナフルオロビフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.210g(0.325mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)17μL(0.017mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で18時間撹拌した後、反応溶液に対し、メタノール200mLを滴下し沈殿を得た。なお、これら一連の重合反応を、グローブボックス中で実施した。
【実施例】
【0137】
得られた沈殿はポリマーであり、この沈殿を遠心分離機にて単離させた。次いで、ベンゼン/メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼン相を凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.97 (bs, 6H), 1.34‐1.49 (bm, 12H), 4.11 (bs, 4H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ 13.6, 23.5, 25.0, 31.5, 44.1, 78.3, 106.9, 108.3, 114.0 (bm), 143.1 (bm), 145.6 (bm), 148.9, 149.2; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -138.3 (bs, 4F), -137.8 (bs, 4F).。これにより、得られた白色粉末が、上記一般式(15)に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.041g(0.068mmol)であり、収率は、21%であった。
【実施例】
【0138】
上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーのH‐NMRスペクトル(図示せず)によれば、上記実施例1と同様、モノマーのスペクトルにトリメチルシリル基のピークが認められた一方、ポリマーのスペクトルにそのピークが認められなかった。すなわち、このポリマーも、モノマーのトリメチルシリル基が脱離した上で重合され、構成されていると推測される。
【実施例】
【0139】
図19は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における5つのピークは、それぞれノナフルオロビフェニル基の4位、3・5位、2・6位、3’・5’位、2’・6’位に存在するフッ素のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、-138ppm付近の2のピークのみが確認された。すなわち、ノナフルオロビフェニル基の4位に、フッ素に代えてチオフェン部が結合されて、この結果、3・5位および2’・6’位に存在するフッ素の組み合わせ、および、2・6位および3’・5’位に存在するフッ素の組み合わせにて、それぞれの組み合わせの内で均等な結合状態を呈したと推測される。H‐NMRおよび19F‐NMRスペクトルより、得られたポリマーの主鎖構造は、オクタフルオロビフェニルとチエニレンとで構成される、規則的な繰り返しを成していると言える。換言すれば、重合反応は、位置選択的かつ連鎖的に進行したと考えられる。
【実施例】
【0140】
上記のプロセスより、このポリマーの重合における[I]/[M]=5mol%である。また、分子量の測定によれば、Mn=5,500であり、PDI=1.39であった。この分子量の測定手法は、実施例1のものと同様である。
【実施例】
【0141】
(実施例5)
実施例5の3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ヘプタフルオロナフチル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンの合成と、これをモノマーとした重合反応について説明する。本例では、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンを得る工程を、上記実施例1と同様とした。
【実施例】
【0142】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.72g(2.12mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。その溶液を-78℃に維持したものに対し、上記ヘキサン溶液1.60mL(2.53mmol)を滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、室温で2時間撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液を0℃に維持し、その溶液に対し、オクタフルオロナフタレン0.94g(3.46mmol)のテトラヒドロフラン溶液5mLを更に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0143】
この撹拌後の反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和塩化アンモニウム水および飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン、Rf=0.47、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.38 (s, 9H), 0.96 (t, J = 7.1 Hz, 6H), 1.28‐1.46 (m, 12H), 3.92 (s, 2H), 3.97 (s, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -0.8, 14.0, 14.0(4), 22.6, 23.5, 25.0, 31.6, 31.7, 43.9, 77.7, 77.7(4), 110.1, 120.4, 139.9, 142.4, 144.5, 148.3, 150.1, 150.9, 155.2; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -156.3‐-156.1 (m, 1F), -153.9 (bt, J = 18.4 Hz, 1F), -149.3 (dtt, J = 57, 18, 4.0 Hz, 1F), -146.6 (dtd, J = 57, 18, 4.0 Hz, 1F), -143.9 (dt, J = 70, 18 Hz, 1F), -133.9‐-133.9 (m, 1F), -116.9 (ddd, J = 70, 18, 2.7 Hz, 1F).。これにより、得られた無色透明オイルが、3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ヘプタフルオロナフチル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンであることが確認された。この収量は、0.676g(1.14mmol)であり、収率は、54%であった。ここで得られた物質を、モノマーとして用いた。
【実施例】
【0144】
得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ヘプタフルオロナフチル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.159g(0.268mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)15μL(0.015mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で18時間撹拌した後、反応溶液に対し、メタノール200mLを滴下し沈殿を得た。なお、これら一連の重合反応を、グローブボックス中で実施した。
【実施例】
【0145】
得られた沈殿はポリマーであり、この沈殿を遠心分離機にて単離させた。次いで、ベンゼン/メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼン相を凍結乾燥させることで、淡黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.96 (bs, 6H), 1.36‐1.46 (bm, 12H), 4.08 (bs, 4H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ 13.9, 23.5, 25.0, 31.6, 43.99, 44.1 78.0, 108.6, 111.7 (bm), 139.7 (bm), 148.9; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -147.1 (bd, J = 21 Hz, 2F), -135.5 (bs, 2F), -116.9 (bdd, J = 14, 67 Hz, 2F).。これにより、得られた白色粉末が、上記一般式(17)に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.092g(0.17mmol)であり、収率は、89%であった。
【実施例】
【0146】
上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーのH‐NMRスペクトル(図示せず)によれば、上記実施例1および上記実施例5と同様、モノマーのスペクトルにトリメチルシリル基のピークが認められた一方、ポリマーのスペクトルにそのピークが認められなかった。すなわち、このポリマーも、モノマーのトリメチルシリル基が脱離した上で重合され、構成されていると推測される。
【実施例】
【0147】
図20は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における7つのピークは、それぞれヘプタフルオロナフチル基の2位、3位、4位、5位、6位、7位、8位に存在するフッ素のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、-117ppm、-136ppm、-147ppm付近の3のピークのみが確認された。すなわち、ヘプタフルオロナフチル基の5位に、フッ素に代えてチオフェン部が結合されて、この結果、2・8位に存在するフッ素の組み合わせ、3・7位に存在するフッ素の組み合わせ、および、4・6位に存在するフッ素の組み合わせにて、それぞれの組み合わせの内で均等な結合状態を呈したと推測される。H‐NMRおよび19F‐NMRスペクトルより、得られたポリマーの主鎖構造は、ヘキサフルオロナフタレンとチエニレンとで構成される、規則的な繰り返しを成していると言える。換言すれば、重合反応は、位置選択的に進行したと考えられる。
【実施例】
【0148】
上記のプロセスより、このポリマーの重合における[I]/[M]=5mol%である。また、分子量の測定によれば、Mn=5,600であり、PDI=1.51であった。この分子量の測定手法は、実施例1のものと同様である。
【実施例】
【0149】
(実施例6)
実施例6の2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェンの合成と、これをモノマーとした重合反応について説明する。先ず、3,4‐ジメトキシチオフェン5.0g(35mmol)に、3‐トリメチルシリル‐1‐プロパノール10g(76mmol)およびp‐トルエンスルホン酸2.0g(11mol)を加えてトルエン溶液150mLとし、それを12時間加熱環流した。
【実施例】
【0150】
その環流後の反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン/トルエン=5/1、Rf=0.34、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.07 (s, 18H), 0.61‐0.66 (m, 4H), 1.86‐1.91 (m, 4H), 3.99 (t, J = 7.1 Hz, 4H), 6.2 (s, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -1.7, 12.5, 23.7, 73.2, 96.5, 147.4; 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ 2.0; HRMS calcd for C1632SSi ([M]) m/z 344.1662, found 344.1661.。これにより、得られた無色透明オイルが、3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェンであることが確認された。この収量は、5.7g(17.0mmol)であり、収率は、48%であった。
【実施例】
【0151】
得られた3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェン5.17g(15.0mmol)を、テトラヒドロフラン(市販品)に溶解させ、テトラヒドロフラン溶液50mLとした。この溶液を-78℃に維持したものに対し、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液1.58M(市販品)10mL(15.8mmol)を略10分にて滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、0℃で30分撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液に対し、‐78℃にてトリメチルクロロシラン2.74g(25.2mmol)を数分にて更に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0152】
この撹拌後の反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン/トルエン=20/1、Rf=0.39、シリカゲル:上記と同一)にて、淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.07 (s, 18H), 0.35 (s, 9H), 0.61‐0.69 (m, 4H), 1.79‐1.85 (m, 4H), 3.94 (2H, J = 6.6 Hz, 2H), 4.02 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 6.42 (s, 1H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -1.7, ‐0.5, 12.5, 12.8, 23.9, 24.7, 73.0, 75.6, 101.8, 119.8, 151.3, 152.6; 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ -7.6, 1.8(5), 1.8(8); HRMS calcd for C1940SSi ([M]) m/z 416.2057, found 416.2061.。これにより、得られた淡黄色オイルが、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェンであることが確認された。この収量は、5.31g(12.8mmol)であり、収率は、85%であった。
【実施例】
【0153】
得られた2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)チオフェン5.15g(12.4mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液100mLとした。その溶液を-78℃に維持したものに対し、上記ヘキサン溶液10mL(15.8mmol)を略5分で滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、-78℃で30分撹拌して、その後、0℃で30分撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液に対し、ヘキサフルオロベンゼン5.78g(31.0mmol)を-78℃にて一気に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0154】
この撹拌後の反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和炭酸水素ナトリウムおよび飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン、Rf=0.47、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ -0.01 (s, 9H), 0.07 (s, 9H), 0.38 (s, 9H), 0.38‐0.46 (m, 2H), 0.60‐0.65 (m, 2H), 1.55‐1.63 (m, 2H), 1.78‐1.84 (m. 2H), 3.93 (t, J = 7 Hz, 2H), 3.99‐4.03 (t, J = 7 Hz, 2H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -1.9, -1.8, -0.5, 12.2, 12.4, 24.4, 24.6, 75.5, 76.2, 108.8 (bm), 111.6, 123.5, 136.4 (bm), 139.0 (bm), 143.3 (bm), 145.8 (bm), 150.1, 154.9; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -162.70 (td, J = 21, 7.5 Hz, 2F), ‐154.66 (t, J = 21 Hz, 1F), -138.34 (dd, J = 7.5, 21 Hz, 2F); 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ -7.0, 1.8, 1.9; HRMS calcd for C2539SSi ([M]) m/z 582.1899, found 582.1870.。これにより、得られた無色透明オイルが、2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェンであることが確認された。この収量は、4.44g(7.63mmol)であり、収率は、62%であった。
【実施例】
【0155】
得られた2‐トリメチルシリル‐3,4‐ビス(3‐トリメチルシリルプロポキシ)‐5‐ペンタフルオルフェニルチオフェン0.173g(0.297mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)15μL(0.015mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、反応溶液に対し、メタノール200mLを滴下し沈殿を得た。なお、これら一連の重合反応を、グローブボックス中で実施した。
【実施例】
【0156】
得られた沈殿はポリマーであり、この沈殿を遠心分離機にて単離させた。次いで、ベンゼン/メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼン相を凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.02 (bs, 18H), 0.50‐0.54 (m, 4H), 1.68‐1.70 (m, 4H), 4.09‐4.10 (m, 4H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -12.2, 24.6, 75.9, 110.5, 112.5 (bm), 128.4, 143.1 (bm), 145.6 (bm), 148.8; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -138.5.1 (bs).。これにより、得られた白色粉末が、上記一般式(19)に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.115g(0.234mmol)であり、収率は、78%であった。
【実施例】
【0157】
上記のプロセスより、このポリマーの重合における[I]/[M]=5mol%である。また、分子量の測定によれば、Mn=7,700であり、PDI=1.40であった。この分子量の測定手法は、実施例1のものと同様である。
【実施例】
【0158】
(実施例7)
実施例7の1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンの合成と、これをモノマーとした重合反応について説明する。先ず、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ヨードベンゼンを、上記非特許文献3に記載の方法を用い、合成した。この合成物2.85g(5.12mmol)を、エーテル(市販品)に溶解させ、エーテル溶液60mLとした。この溶液を-78℃に維持したものに対し、n‐ブチルリチウムのヘキサン溶液1.58M(市販品)4.0mL(6.32mmol)を数分にて滴下し、このまま1時間撹拌した。次いで、この撹拌後の混合溶液を-78℃に維持し、その溶液に対し、ヘキサフルオロベンゼン5.25g(28.2mmol)を更に一気に滴下した。次に、滴下後の混合溶液を、室温で終夜撹拌した。
【実施例】
【0159】
この撹拌後の反応溶液に、水およびヘキサンを加え、有機相を抽出した。抽出した有機相を飽和塩化アンモニウム水および飽和炭酸水素ナトリウムにて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥させた。次いで、乾燥後の濾液を減圧濃縮した。その濃縮液からシリカゲルカラムクロマトグラフィ(移動相:ヘキサン/トルエン=20/1、Rf=0.89、シリカゲル:上記と同一)にて、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.33 (s, 9H), 0.87‐1.02 (m, 12H), 1.27‐1.82 (m, 18H), 3.84‐3.96 (m, 4H), 6.96 (s, 1H), 7.11 (s, 1H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ -0.1, 11.0. 11.3, 13.9, 14.1, 23.0, 23.1, 29.0, 29.2, 30.5, 30.6, 39.4, 39.7, 71.3, 72.0, 99.7, 100.8, 115.0, 115.7, 116.4, 116.8, 125.3, 128.2, 129.0, 150.3, 154.4; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -163.6 (ddd, J = 21, 21, 8.2 Hz, 2F), -156.0 (t, J = 21 Hz, 1F), -139.7 (td, J = 21, 8.1 Hz, 2F); 29Si{H}‐NMR (CDCl, 79.5 MHz) δ -17.6; HRMS calcd for C3345SSi ([M]) m/z 596.7966, found 596.3095.。これにより、得られた無色透明オイルが、1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼンであることが確認された。この収量は、2.15g(3.60mmol)であり、収率は、70%であった。ここで得られた物質を、モノマーとして用いた。
【実施例】
【0160】
得られた1‐トリメチルシリルエチニル‐2,5‐ビス(2‐エチルヘキシルオキシ)‐4‐ペンタフルオロフェニルベンゼン0.165mg(0.277mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液2mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)2.6μL(0.0026mmol、1mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、反応溶液に対し、メタノール200mLを滴下し沈殿を得た。なお、これら一連の重合反応を、グローブボックス中で実施した。
【実施例】
【0161】
得られた沈殿はポリマーであり、この沈殿を遠心分離機にて単離させた。次いで、ベンゼン/メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼン相を凍結乾燥させることで、黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。H‐NMR(CDCl, 400 MHz) δ 0.89‐1.01 (bm, 12H), 1.29‐1.83 (m, 18H), 3.86‐3.99 (m, 4H), 6.91 (bs, 1H), 7.23 (bs, 1H); 13C{H}‐NMR(CDCl, 100 MHz) δ 11.03, 11.1, 13.9, 14.0, 22.9, 23.0, 29.0, 29.1, 30.5, 30.6, 39.5, 39.7, 71.6, 72.2, 115.6, 116.7, 145.2 (bm), 147.7 (bm), 150.5, 154.3; 19F{H}‐NMR (CDCl, 376 MHz) δ -140.7‐-140.5 (bm, 2F), -137.9‐-137.8 (bm, 2F).。これにより、得られた黄色粉末が、上記一般式(22)に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.154g(0.305mmol)であり、収率は、93%であった。
【実施例】
【0162】
図21は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、H‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における0ppm付近のピークは、トリメチルシリル基のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、そのピークが認められない。すなわち、ポリマーは、モノマーのトリメチルシリル基が脱離した上で重合され、構成されていると推測される。
【実施例】
【0163】
図22は、上記工程にて得られたモノマーおよびポリマーの、19F‐NMRスペクトルを示している。モノマーのスペクトル(上段)における3つのピークは、それぞれペンタフルオロフェニル基の4位、3・5位、2・6位に存在するフッ素のシグナルである。これに対し、ポリマーのスペクトル(下段)においては、-138ppm、-141ppm付近の2のピークのみが確認された。すなわち、ペンタフルオロフェニル基の4位に、フッ素に代えてチオフェン部が結合されて、この結果、3・5位に存在するフッ素の組み合わせ、および、2・6位に存在するフッ素の組み合わせにて、それぞれの組み合わせの内で均等な結合状態を呈したと推測される。H‐NMRおよび19F‐NMRスペクトルより、得られたポリマーの主鎖構造は、テトラフルオロフェニレンとエチニルフェニレンとで構成される、規則的な繰り返しを成していると言える。換言すれば、重合反応は、位置選択的かつ連鎖的に進行したと考えられる。
【実施例】
【0164】
上記のプロセスより、このポリマーの重合における[I]/[M]=1mol%である。また、分子量の測定によれば、Mn=13,700であり、PDI=2.39であった。この分子量の測定手法は、実施例1のものと同様である。
【実施例】
【0165】
(実施例8)
実施例8では、上記実施例7のポリマーの重合における[I]/[M]を変更し、工程を実施例7におけるものと同様とした。すなわち、[I]/[M]=2mol%となるよう、テトラブチルアンモニウムフルオリドに対するモノマーの比率を調整した点のみ、上記実施例7と異なる。分子量の測定によれば、Mn=7,900であり、PDI=1.94であった。この収率は、77%であった。この分子量の測定手法も、上記実施例1と同様である。
【実施例】
【0166】
(実施例9)
実施例9では、上記実施例7のポリマーの重合における[I]/[M]を変更し、工程を実施例7におけるものと同様とした。すなわち、[I]/[M]=5mol%となるよう、テトラブチルアンモニウムフルオリドに対するモノマーの比率を調整した点のみ、上記実施例7と異なる。分子量の測定によれば、Mn=4,500であり、PDI=1.94であった。この収率は、78%であった。この分子量の測定手法も、上記実施例1と同様である。
【実施例】
【0167】
(実施例10)
実施例10では、上記実施例7のポリマーの重合における[I]/[M]を変更し、工程を実施例7におけるものと同様とした。すなわち、[I]/[M]=10mol%となるよう、テトラブチルアンモニウムフルオリドに対するモノマーの比率を調整した点のみ、上記実施例7と異なる。分子量の測定によれば、Mn=3,300であり、PDI=1.04であった。この収率は、33%であった。この分子量の測定手法も、上記実施例1と同様である。
【実施例】
【0168】
(比較例1)
比較例1では、3,3‐ジブチル‐6,8‐ビス(トリメチルシリル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン、およびヘキサフルオロベンゼンの重合を試みた。
【実施例】
【0169】
上記実施例1にて得られた3,3‐ジブチル‐6,8‐ビス(トリメチルシリル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.054g(0.312mmol)を、ヘキサフルオロベンゼン0.159g(0.29mmol)のテトラヒドロフラン溶液5mLに室温にて添加して混合した。この混合溶液を室温に維持したものに対し、開始剤のテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液1M(市販品)15μL(0.015mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で48時間撹拌した後、0.2mLを取出しSEC分析を実施した。一方、残りの溶液に対して、メタノール200mLを滴下しても沈殿は得られなかった。この場合、[I]/[M]=5mol%、Mn<1,000であり、収率およびPDIは、それぞれ検出不能および算出不能であった。
【実施例】
【0170】
(比較例2)
比較例2は、3,4‐ジブトキシ‐2,5‐ビス(トリメチルシリル)チオフェン、およびヘキサフルオロベンゼンの重合を試みた結果である。この結果は、非特許文献「ワン(Wang,Y.)、「ジャーナルオブジアメリカンケミカルソサイエティ(Journal of the American Chemical Society)」、(米国)、2006年、128、p.2536‐2537」に記載の値を引用したものである。より具体的には、この結果は、上記2つのモノマーに対し、開始剤としてフッ化セシウム/18‐クラウン‐6を10mol%にて添加し得られたものである。このときの反応溶媒は、トルエンであり、反応温度および反応時間は、それぞれ80℃および5日間であった。この場合、[I]/[M]=10mol%、収率=88%、Mn=28,000であり、PDI=2.7であった。
【実施例】
【0171】
(実施例11)
実施例11では、モノマーとして、上記実施例1~3のものと同じ3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピンを用いた。開始剤として、上記実施例1~3のものから変更し、カリウムt-ブトキシド/クリプタント[2.2.2]を用いた。
【実施例】
【0172】
実施例1と同様にして得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.243g(0.480mmol)と、クリプタント[2.2.2]0.0183g(0.048mmol)とを、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液7mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤となるカリウムt-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液1.0mL(2.4×10-5mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、エタノール0.20mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、メタノール200mLに滴下し再沈殿させた。再度、メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.94 (bt, J = 6.8 Hz), 1.27-1.55 (bm), 4.04 (bs, 4H), 6.72 (s); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -139.1 (bs).。これにより、得られた白色粉末が、上記図23に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.162g(0.391mmol)であり、収率は、82%であった。
【実施例】
【0173】
(実施例12)
実施例12では、開始剤として、カリウム3-トリメチルシリルプロポキシド/クリプタント[2.2.2]を用いた。この点のみ、上記実施例11と異なる。
【実施例】
【0174】
実施例1と同様にして得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.263g(0.519mmol)と、クリプタント[2.2.2]0.0197g(0.052mmol)とを、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液7mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤となるカリウム3-トリメチルシリルプロポキシドのテトラヒドロフラン溶液1.0mL(0.0255mmol、5mol%)を添加した。このカリウム3-トリメチルシリルプロポキシドは、3-トリメチルシリルプロパノール(6.8mg、0.051mmol)と水素化カリウム(3.9mg、0.097mmol)とを、テトラヒドロフラン(1.0mL)中で反応させたものである。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、エタノール0.20mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、メタノール200mLに滴下し再沈殿させた。再度、メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.02 (s), 0.90 (bt, J = 6.8 Hz), 1.24-1.52 (bm), 4.01 (bs, 4H), 6.69 (s); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -139.1 (bs).。これにより、得られた白色粉末が、上記図23に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.184g(0.440mmol)であり、収率は、86%であった。
【実施例】
【0175】
(実施例13)
実施例13では、開始剤として、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いた。この点のみ、上記実施例11、12と異なる。以下、実施例13の1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンの合成と、これを開始剤とした重合反応について説明する。
【実施例】
【0176】
図33は、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンの合成スキームを示す図である。先ず、3-ブロモプロピルトリメチルシラン2.0g(10.0mmol)、4-ブロモフェノール2.04g(11.8mmol)、および炭酸カリウム2.19g(15.8mmol)を、ジメチルホルムアミドに溶解させて40mL溶液として、その溶液を80℃で24時間撹拌した。次いで、その溶液に、飽和塩化アンモニウム水溶液およびヘキサンを加えて、有機層を、飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン,R=0.31)により、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.07 (s, 9H), 0.61-0.66 (m, 2H), 1.79-1.83 (m, 2H), 3.90 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 6.80 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.38 (d, J = 4.4 Hz, 2H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.7, 12.6, 23.8, 70.9, 112.6, 116.3, 132.5, 159.3; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ 1.9; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C1219BrOSi ([M]) m/z 286.0389, found 286.0389.。これにより、得られた無色透明オイルが、4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ブロモベンゼンであることが確認された。この収量は、2.08g(10mmol)であり、収率は、99%であった。
【実施例】
【0177】
得られた4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ブロモベンゼン2.0g(7.1mmol)を、トリエチルアミンに溶解させて15mLとした。その溶液に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム26mg(0.37mol)と、ヨウ化銅180mg(0.95mmol)とを室温で加え、この混合物を約10分間撹拌した。次いで、その混合物に、トリメチルシリルアセチレン2.2g(22.4mmol)を加え、60℃で終夜撹拌した。次いで、その反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水およびヘキサンを加えて、有機層を、飽和塩化アンモニウム水と飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾液を減圧濃縮後、カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/トルエン=10/1, R=0.31)により、淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.06 (s, 9H), 0.28 (s, 9H), 0.61-0.65 (m, 2H), 1.79-1.83 (m, 2H), 2.39 (s, 1H), 3.93 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 6.83 (d, J = 4.4 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 4.4 Hz, 2H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.7, 0.1, 12.6, 23.8, 70.7, 92.3, 105.4, 114.4, 115.0, 133.5, 159.3; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -18.2, 1.9; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C1728OSi ([M]) m/z 304.1679, found 304.1680.。これにより、得られた淡黄色オイルが、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンであることが確認された。この収量は、2.70g(3.44mmol)であり、収率は、30%であった。以上が、開始剤としての、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンの合成の説明である。
【実施例】
【0178】
得られた1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン5.0mg(0.017mmol)のテトラヒドロフラン溶液1.0mLに、テトラブチルアンモニウムフルオリド1M溶液15mL(0.015mmol)を加え、30分撹拌した。この溶液に、上述のようにして得られた3,3-ジブチル-6-トリメチルシリル-8-(ペンタフルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピン150mg(0.296mmol)のテトラヒドロフラン溶液1.0mLを室温で加え、2時間撹拌した。次いで、その重合反応液をメタノール200mLに入れて重合停止させた。沈殿物を遠心分離で単離、再度メタノールで再沈殿し、ベンゼンから凍結乾燥することで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl, 400 MHz) δ 0.06 (s), 0.95 (bt), 1.29-1.46 (bm), 4.06 (bs); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.4, 162.1, 158.6, 154.0, ?144.6, 139.6, 139.1 (bs), ?138.1.。これにより、得られた白色粉末が、上記図23に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.082g(0.20mmol)であり、収率は、96%であった。
【実施例】
【0179】
(実施例14)
実施例14では、重合反応停止のために、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランを用い、エンドキャッピングがなされる。この点のみ、上記実施例11と異なる。以下、実施例14の3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランの合成と、重合反応(エンドキャッピング)について説明する。
【実施例】
【0180】
図34は、停止剤としての、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランの合成スキームを示す図である。先ず、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルクロロジメチルシランを、エーテルに溶解させて70mL溶液として、その溶液に3Mのメチルマグネシウムブロミドエーテル溶液13mL(39mmol)を、室温で滴下した。終夜撹拌して2時間還流した後に、反応混合物に少量の水を加えヘキサンで抽出した。次いで、有機層を、飽和塩化アンモニウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。反応混合物をろ過し、溶媒留去後、蒸留により淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.02 (s, 9H), 0.56-0.60 (m, 2H), 1.58-1.64 (m, 2H), 2.74 (t, J = 7.5 Hz, 2H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.9, 16.4, 24.0, 25.9, 115.4 (bm), 136.13 (bm), 138.5 (bm), 140.6 (bm), 143.8 (bm), 146.3 (bm); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -162.9 (td, J = 22, 7.2 Hz, 2F), ?155.5 (t, J = 21 Hz, 1F), ?139.0 (dd, J = 7.5, 21 Hz, 2F); 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ 1.4; HRMS; HRMS calcd for C1215Si ([M]) m/z 282.0863, found 282.0862.。これにより、得られた淡黄色オイルが、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランであることが確認された。この収量は、8.57g(30.4mmol)であり、収率は、92%であった。以上が、停止剤としての、3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシランの合成の説明である。
【実施例】
【0181】
実施例1と同様にして得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.103g(0.203mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤となるテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液10μL(0.010mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、得られた3-(ペンタフルオロフェニル)プロピルトリメチルシラン0.50g(1.77mmol)を加えた。更に、2時間撹拌した後、重合反応液をメタノール200mLに入れて重合を停止させた。沈殿物を遠心分離で単離し、再度メタノールで再沈殿した後、ベンゼンから凍結乾燥することにより、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz)δ 0.02 (s), 0.95 (bt), 1.29-1.46 (bm), 4.06 (bs); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.4, 162.1, 158.6, 154.0, 144.6, 139.6, 139.1 (bs), 138.1.。これにより、得られた白色粉末が、上記図24に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.082g(0.19mmol)であり、収率は、98%であった。
【実施例】
【0182】
(実施例15)
実施例15では、開始剤として、1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いた。この点のみ、上記実施例11、12、13と異なる。以下、実施例15の重合反応について説明する。
【実施例】
【0183】
開始剤となる1,4-ビス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン2.0mg(0.0075mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液3mLとした。この溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液15μL(1M、0.015mmol)を添加して、30分撹拌した。この反応溶液に、実施例1と同様にして得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.153g(0.30mmol)のテトラヒドロフラン溶液6mLを添加して、室温にて2時間撹拌した。その後、その反応溶液に、エタノール0.4mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、メタノール200mLに滴下し黄色沈殿を得た。再度、メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.64 (s), 7.35 (s), 6.70 (b), 4.02 (s, broad), 1.42 (s, broad), 1.31-1.28 (m), 1.45 (bs), 0.94 (m).。これにより、得られた白色粉末が、上記図25に記載の2分岐のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.080gであり、収率は、64%であった。
【実施例】
【0184】
(実施例16)
実施例16では、開始剤として、1,3,5-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いた。この点のみ、上記実施例15と異なる。以下、実施例16の重合反応について説明する。
【実施例】
【0185】
開始剤となる1,3,5-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼン2.0mg(0.0060mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液3mLとした。この溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液15μL(1M、0.015mmol)を添加して、30分撹拌した。この反応溶液に、実施例1と同様にして得られた3,3‐ジブチル‐6‐トリメチルシリル‐8‐(ペンタフルオロフェニル)‐3,4‐ジヒドロ‐2H‐チエノ[3,4‐b][1,4]ジオキセピン0.153g(0.30mmol)のテトラヒドロフラン溶液6mLを一気に添加して、室温にて2時間撹拌した。その後、その反応溶液に、エタノール0.8mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、メタノール200mLに滴下し、遠心分離器にて沈殿物を単離した。この沈殿物にトルエン/メタノールを添加して再沈殿させ、単離した後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (400 MHz,CDCl3) δ 7.38 (s), 6.74 (s), 4.05 (bs), 1.45 (bs), 1.32-1.28 (m), 1.45 (bs), 0.94 (m).。これにより、得られた白色粉末が、上記図25に記載の3分岐のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.058gであり、収率は、38%であった。
【実施例】
【0186】
(実施例17)
実施例17では、モノマーとして、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンを用いた。このモノマーは、上述した図27のプロセスに基づき合成した。モノマーである2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンの合成と、重合反応について説明する。
【実施例】
【0187】
先ず、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-2,4-ジヨードベンゼン6.70g(7.95mmolと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.28g(0.40mmmol)と、ヨウ化銅0.15g(0.80mmmol)とを、トリエチルアミンに溶解させて50mL溶液とした。その溶液に、トリメチルアセチレン0.67mL(4.77mmol)を室温で添加して、終夜撹拌した。その後、反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水溶液およびヘキサンを加え、有機層を、飽和塩化アンモニウム水およぎ飽和食塩水で洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで乾燥した後に、その濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/トルエン=20/1~10/1)により、淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.26 (s, 9H), 0.89-0.96 (m, 24H), 1.33-1.82 (m, 36H), 3.80 (d, J = 6.4 Hz, 4H), 3.87-3.95 (m, 4H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -0.1, 11.2, 14.1, 23.1, 23.7, 29.32, 30.3, 30.3, 40.4, 40.5, 77.5, 93.9, 97.2, 103.9, 128.2, 129.0, 148.9, 150.32; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -17.9; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C4377Si ([M]) m/z 812.4636, found 812.4662.。これにより、得られた淡黄色オイルが、2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-ヨードベンゼンであることが確認された。この収量は、1.10g(1.35mmol)であり、収率は、17%であった。
【実施例】
【0188】
得られた2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-ヨードベンゼン8.10g(9.96mmol)と、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.70g(1.00mmmol)と、ヨウ化銅0.38g(1.99mmmol)とを、ピペリジンに溶解させて100mL溶液とした。その溶液に、2-メチル-3-ブチン-2-オール4.87mL(49.8mmol)を室温で添加して、50℃で終夜撹拌した。その後、反応溶液から減圧下でピペリジンを除去し、飽和塩化アンモニウム水溶液およびヘキサンを加え、有機層を、飽和塩化アンモニウム水およぎ飽和食塩水で洗浄した。次いで、硫酸マグネシウムで乾燥した後に、その濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/塩化メチレン=10/1~1/1)により、淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.07 (s, 9H), 0.87-0.94 (m, 24H), 1.31-1.77 (m, 42H), 2.00 (s, 1H), 3.83-3.96 (m, 8H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -0.1, 11.2, 14.1, 23.1, 23.7, 29.3, 30.2, 30.4, 31.4, 40.5, 40.6, 65.8, 74.9, 97.1, 102.8, 104.2, 113.97, 114.2, 149.8, 150.3; HRMS (FAB, matrix=3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C48H84O5Si ([M]) m/z 768.6088, found 768.6082.。これにより、得られた淡黄色オイルが、2-メチル-4-(2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-4-トリメチルシリルエチニル)フェニル)ブタ-3-イン-2-オールであることが確認された。この収量は、6.10g(7.93mmol)であり、収率は、77%であった。
【実施例】
【0189】
得られた2-メチル-4-(2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-4-トリメチルシリルエチニル)フェニル)ブタ-3-イン-2-オール6.10g(7.93mmol)と、水酸化ナトリウム1.60g(39.7mmol)とをトルエンに溶解させて100mLとした。その溶液を、6時間加熱還流した後、反応液を濾過して、溶媒を留去することで、淡黄色オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.24 (s, 9H), 0.77-0.94 (m, 24H), 1.30-1.73 (m, 36H), 3.86-3.96 (m, 9H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -0.1, 11.1, 14.1, 23.1, 23.6, 23.7, 29.2, 29.3, 30.3, 40.5, 40.5(1), 76.2, 76.3, 76.7, 86.4, 86.5, 97.1, 104.3, 113.6, 114.0, 114.7, 150.4, 150.5, 150.6; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -17.9; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C45784Si ([M]) m/z 710.5569, found 710.5665.。これにより、得られた淡黄色オイルが、2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-1-トリメチルシリルエチニル-4-エチニルベンゼンであることが確認された。この収量は、4.90g(6.89mmol)であり、収率は、87%であった。
【実施例】
【0190】
得られた2,3,5,6-(テトラ(2-エチルヘキシルオキシ))-1-トリメチルシリルエチニル-4-エチニルベンゼン4.90g(6.89mmol)と、ペルフルオロヨードベンゼン9.13mL(22.1mmol)と、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム0.48g(0.69mmol)と、ヨウ化銅0.26g(1.38mmol)とを、トリエチルアミンに溶解させて100mLとした。その溶液を、40℃で終夜撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/塩化メチレン=9/1)およびゲル濾過クロマトグラフィにより、白色ワックス状粘性固体を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色ワックス状粘性固体の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.27 (s, 9H), 0.84-0.89 (m, 24H), 1.31-1.77 (m, 44H), 3.86-3.98 (m, 8H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -0.1, 10.8, 11.1, 13.9, 14.1, 23.1, 23.5, 23.6, 23.7, 29.2, 29.3, 30.2, 30.28, 30.40, 40.4, 40.5, 76.7, 77.0, 81.4, 94.9, 97.0, 105.3, 112.8, 116.0, 136.4, 138.9, 145.8, 148.3, 150.1, 150.3; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -162.1 (td, J=20, 7.0 Hz, 2F), 152.8 (t, J=20 Hz, 1F), 135.4 (dd, J=7.0, 20 Hz, 2F); 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -17; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C1728OSi ([M]) m/z 304.1679, found 304.1680.。これにより、得られた白色ワックス状粘性固体2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンであることが確認された。この収量は、1.23g(1.40mmol)であり、収率は、20%であった。以上が、モノマーである2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼンの合成についての説明である。
【実施例】
【0191】
得られた2,3,5,6-テトラ(2-エチルヘキシルオキシ)-1-トリメチルシリルエチニル-4-(ペンタフルオロフェニル)エチニルベンゼン0.120g(0.140mmol)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液2.0mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤となるテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液7.0μL(0.0070mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で2時間撹拌した後、エタノール0.20mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、メタノール200mLに滴下し再沈殿させた。再度、メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、淡黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.84-0.96 (m), 1.27-1.81(m), 3.51 (bs), 3.94 (bs), 7.51 (s), 7.71 (bs); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -161.7, 152.0, ?136.2, 135.1.。これにより、得られた淡黄色粉末が、上記図26に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.110gであり、収率は、86%であった。
【実施例】
【0192】
(実施例18)
実施例18では、モノマーとして、上記実施例7~10のものと同じ1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンを用いた。開始剤として、上記実施例7~10のものから変更し、カリウムt-ブトキシド/クリプタント[2.2.2]を用いた。
【実施例】
【0193】
実施例7と同様にして得られた1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.186g(0.312mmol)と、クリプタント[2.2.2]0.011g(0.030mmol)とを、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液10mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、開始剤となるカリウムt-ブトキシドのテトラヒドロフラン溶液0.5mL(0.015mmol、5mol%)を添加した。次に、添加後の反応溶液を、室温で12時間撹拌した後、その反応溶液を、メタノール200mLに入れて重合停止させた。沈殿物を遠心分離で単離させ、再度、メタノールによる再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。得られた白色粉末が、上記図28に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.120g(0.230mmol)であり、収率は、74%であった。
【実施例】
【0194】
(実施例19)
実施例19では、開始剤として、1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いた。この点のみ、上記実施例18と異なる。
【実施例】
【0195】
開始剤となる1-トリメチルシリルエチニル-4-(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン0.010g(0.016mmol、実施例13の開始剤と合成プロセスは同一)を、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液1mLとした。この溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド15μL(1M、0.0015)を添加して、30分撹拌した。この溶液を室温に維持したものに対し、実施例7と同様にして得られた1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.245g(0.411mmol)のテトラヒドロフラン溶液8.0mLを添加し、12時間撹拌した。その後、その重合反応液をメタノール200mLに入れて重合停止させた。沈殿物を遠心分離で単離し、再度、メタノールで再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.06 (s), 0.85-1.00 (bm),1.28-1.85 (bm), 3.34 (s), 3.96 (bs), 6.90 (bs), 7.22 (bs); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -146, 137.。これにより、得られた白色粉末が、上記図28に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.160g(0.313mmol)であり、収率は、76%であった。
【実施例】
【0196】
(実施例20)
実施例20では、開始剤として、1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼン/テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いた。この点のみ、上記実施例18、19と異なる。以下、実施例20の1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼンの合成と、これを開始剤とした重合反応について説明する。
【実施例】
【0197】
図35は、1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼンの合成スキームを示す図である。先ず、1-トリメチルシリル-4-エチニルベンゼン2.95g(16.9mmol)のテトラヒドロフラン溶液33mLに、n-ブチルリチウム8.8mL(1.6M、14.1mmol)を-78℃で滴下して、その後0℃にて4時間撹拌した。この溶液を、トリエトキシシクロロシラン4.20g(21.1mmol)のテトラヒドロフラン溶液42mLに-78℃にて添加し、その後室温にて終夜撹拌した。その溶液から溶媒を留去し、ヘキサンを加え、析出した塩をセライト吸引濾過した。そこから、再び溶媒を留去し、蒸留により無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.27(s, 9H), 1.30(t, J=7.0 Hz, 9H), 3.95(q, J=7.0 Hz, 6H), 7.49(d, J=1.6 Hz, 4H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.3, 18.0, 59.1,85.5, 104.3, 122.2, 131.4, 133.1, 142.5; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -72.4, ?3.3; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol) calcd for C1728BrOSi ([M]) m/z 336.1577, found 336.1643.。これにより、得られた無色透明オイルが、1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼンであることが確認された。この収量は、2.17g(6.40mmol)であり、収率は、39%であった。以上が、開始剤としての、1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼンの合成についての説明である。
【実施例】
【0198】
得られた1-トリメチルシリル-4-トリエトキシシリルエチニルベンゼン5.6mg(0.017mmol)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLに、カリウムt-ブトキシド1.9mg(0.017mmol)と、クリプタント[2.2.2]12.7mL(0.034mmol)とを添加し、30分撹拌した。この溶液に、実施例7と同様にして得られた1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.200g(0.335mmlo)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLを、室温にて滴下し、その後2時間撹拌した。この滴下速度を、0.1mL/minに調整した。その後、その重合反応液をメタノール200mLに入れて重合停止させた。沈殿物を遠心分離で単離し、再度、メタノールで再沈殿を経た後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、淡黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.30 (s), 0.82-0.98 (bm),1.26-1.83 (bm), 3.32 (s), 3.88 (bs), 6.84 (bs), 7.15 (bs); 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163, 156, 141, 140, 138.。これにより、得られた淡黄色粉末が、上記図28に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.179g(0.300mmol)であり、収率は、89%であった。
【実施例】
【0199】
(実施例21)
実施例21では、モノマーとして、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンを用いた。以下、実施例21のモノマーの合成、および重合反応について説明する。
【実施例】
【0200】
1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンは、上述の図31に示すスキームにて合成される。先ず、2,5-ジブロモヒドロキノン4.90g(18.0mmol)と、3-トリメチルシリル-1-プロパノール7.10g(36.3mmol)と、炭酸カリウム6.56g(47.5mmol)とを、ジメチルホルムアミドに溶解させ、ジメチルアミド溶液60mLとした。その溶液を、80°Cにて終夜撹拌した。この反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水と、ヘキサンとを添加した。次いで、有機層を、飽和塩化アンモニウム水と、飽和食塩水とで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/トルエン=2/1, R=0.83)により、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.05 (s, 18H), 0.63-0.66 (m, 4H), 1.81-1.84 (m, 4H), 3.93 (t, J = 6.8 Hz, 4H), 5.10 (s, 2H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.7, 12.5, 23.8, 72.9, 111.4, 118.5, 150.1; 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ 1.9; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol, NBA) calcd for C1832BrSi ([M]) m/z 496.4299, found 494.0301.。これにより、得られた無色透明オイルが、1,4-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-2,5-ジブロモベンゼンであることが確認された。この収量は、8.43g(17.0mmol)であり、収率は、94%であった。
【実施例】
【0201】
得られた1,4-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)-2,5-ジブロモベンゼンのエーテル溶液200mLを?45℃に冷却し、この溶液に、n-ブチルリチウムのヘキサン溶液12mL(1.60M、19.2mmol)を、約10分で滴下した。その後、この温度で60分撹拌した。この溶液に、ヘキサフルオロベンゼン7.0g(37.6mmol)を一気に加え、その後、室温で終夜撹拌した。この反応溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水と、ヘキサンとを添加し、有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム水と、飽和食塩水とで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン, R=0.28)により、白色ワックス状固体を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色ワックス状固体の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.00(5) (s, 9H), 0.06 (2, 9H), 0.47-0.51 (m, 2H), 0.64-0.68 (m, 2H), 1.64-1.70 (m, 2H), 1.83-1.88 (m, 2H), 3.89-3.98 (m, 2H), 6.81 (s, 1H), 6.93 (s, 1H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.9, ?1.8, 12.3, 12.5, 23.7, 23.8, 72.0, 73.0, 114.5, 115.0, 116.0, 116.9, 117.6, 118.0, 125.3, 128.2, 129.0, 136.3, 136.36, 137.9, 137.8, 138.9, 138.8, 139.0, 143.2, 145.6, 145.7, 145.7, 149.6, 150.4, 151.0; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.5-?163.1 (m, 2F), 155.9-155.6 (m, 1F), 139.9-139.6 (m, 2F); 29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ 1.8, 1.9; HRMS (FAB, matrix=3-nitrobenzyl alcohol, NBA) calcd for C2432BrFSi ([M]) m/z 583.5839, found 582.1049.。これにより、得られた白色ワックス状固体が、4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼンであることが確認された。この収量は、8.14g(13.9mmol)であり、収率は、84%であった。
【実施例】
【0202】
得られた4-ブロモ-1-ペンタフルオロフェニル-2,5-ビス(3-トリメチルシリルプロポキシ)ベンゼン7.17g(12.3mmol)のテトラヒドロフラン80mL/ジイソプロピルアミン20mLの混合溶液に、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム98mg(0.140mol)と、ヨウ化銅76mg(0.40mmol)とを室温で添加し、この混合物を約15分撹拌した。この反応溶液に、トリメチルシリルアセチレン2.40g(24.2mmol)を添加し、50℃にて終夜撹拌した。次いで、この反応溶液に、飽和塩化アンモニウム水と、ヘキサンとを添加し、有機層を、飽和塩化アンモニウム水と、飽和食塩水とで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。その後、濾液を減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(シリカゲル,移動相:ヘキサン/トルエン=10/1, R=0.42)により、無色透明オイルを得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。無色透明オイルの分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.00(9) (s, 9H), 0.05 (s, 9H), 0.31 (s, 9H), 0.46-0.50 (m, 2H), 0.67-0.72 (m, 2H), 1.62-1.66 (m, 2H), 1.82-1.86 (m, 2H), 3.89-3.98 (m, 4H), 6.75 (s, 1H), 7.08 (s, 1H); 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.93, ?1.77, ?0.02, 12.3, 12.7, 23.7, 24.0, 71.8, 72.4, 76.7, 77.0, 77.3, 99.8, 100.8, 112.5, 115.1, 116.4, 116.6, 117.3, 143.1, 145.5, 150.3, 154.15; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.4 (dt, J = 21, 8.2 Hz, 2F), ?156.0 (t, J=21 Hz, 1F), 139.8 (dd, J = 21, 8.2 Hz, 2F);29Si{1H} NMR (CDCl3, 79.5 MHz) δ -17.6, 1.74, 1.86; HRMS (FAB, matrix = 3-nitrobenzyl alcohol, NBA) calcd for C2941Si ([M]) m/z 600.2335, found 600.2335.これにより、得られた無色透明オイルが、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンであることが確認された。この収量は、2.70g(3.44mmol)であり、収率は、30%であった。以上が、モノマーとしての1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンの合成についての説明である。
【実施例】
【0203】
得られた1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.18g(300mmol)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLに、室温でテトラブチルアンモニウムフルオリドのテトラヒドロフラン溶液15μL(1M、0.015mmol、5mol%)を添加し、2時間撹拌した。その後、その反応溶液を、メタノール200mLに入れ、生成したポリマーを再沈殿させた。沈殿したポリマーを、再度トルエンに溶解させた。次いで、メタノールで再沈殿後、ベンゼンを用いた凍結乾燥により、淡黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.00-0.05 (bm), 0.50, 0.72, 1.57, 1.69, 1.88, 3.38, 3.92-34.04, 6.82-6.83, 6.88, 7.12, 7.19-7.20; 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 1.8, 12.3, 23.7, 71.9, 72.5, 113.6, 116.21, 117.0, 117.6, 143.1, 144.9, 145.6, 147.7, 150.4, 154.1; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.2, 155.7, 140.7-140.5 (bm), 139.7, 137.8,-137.7 (bm).。これにより、得られた淡黄色粉末が、上記図32に記載のパイ共役系高分子であることが確認された。この収量は、0.0923g(0.181mmol)であり、収率は、60%であった。
【実施例】
【0204】
(実施例22)
実施例22では、ブロック共重合体の第1グループが、パイ共役系高分子の単位構造で構成される。そのモノマーには、3,3-ジブチル-6-トリメチルシリル-8-(ペンタフルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピンが用いられる。第2グループは、ポリエチレングリコールで構成される。
【実施例】
【0205】
エチレングリコールから、周知の手法により予め合成されたポリエチレングリコール0.150g(0.076mmol、Mn=2,000)と、クリプタント[2.2.2]51mg(0.14mmol)とを、テトラヒドロフランに溶解させ、テトラヒドロフラン溶液5.0mLとした。この溶液を室温に維持したものに対し、水素化カリウム3.5mg(0.087mmol)を添加し、その反応溶液を30分撹拌した。次いで、実施例1と同様にして得た3,3-ジブチル-6-トリメチルシリル-8-(ペンタフルオロフェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-チエノ[3,4-b][1,4]ジオキセピン0.37g(0.74mmol)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLを添加し、室温にて2時間撹拌した。その後、この溶液に、エタノール0.20mLを加えて重合を停止させた。その反応溶液を、ヘキサン200mLに滴下し再沈殿させた。遠心分離を用いて沈殿物を単離し、再度少量のベンゼンに溶解させた後、メタノール200mLに滴下した。再度遠心分離を用いて沈殿物を単離した後、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、白色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。白色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.97 (br), 1.34-1.47 (bm), 3.67 (s), 4.07 (bs);13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 13.1, 14.1, 22.6, 23.5, 25.0, 31.4, 44.1, 70.6, 108.4, 143.1, 143.2, 145.7, 148.7; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -139.1 (bs).。これにより、得られた白色粉末が、上記図29に記載のブロック共重合体であることが確認された。この収量は、0.270gであり、収率は、59%であった。
【実施例】
【0206】
(実施例23)
実施例22では、ブロック共重合体の第3,4グループは、それぞれパイ共役系高分子の単位構造で構成される。第3グループのモノマーには、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンが、用いられる。このモノマーは、実施例7と同様にして得られる。第4グループのモノマーには、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼンが、用いられる。このモノマーは、実施例21と同様にして得られる。
【実施例】
【0207】
第3グループのモノマーである、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.180g(0.302mmol)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLに、室温にてテトラブチルアンモニウムフルオリド15μL(1M、0.015mmol、5mol%)を添加し、2時間撹拌した。次いで、この反応溶液に、エタノール0.2mLを添加し、重合停止させた。ここで、得られたパイ共役系高分子(一般式(23)、図14に相当)の分子量測定を行ったところ、Mn=5,800、PDI=2.15であった。このパイ共役系高分子が、第3グループに対応する。
【実施例】
【0208】
この反応溶液に、第4グループのモノマーである、1-トリメチルシリルエチニル-2,5-ビス(3-トリメチルプロポキシ)-4-ペンタフルオロフェニルベンゼン0.179g(0.300mmol)のテトラヒドロフラン溶液2.0mLを添加し、第2の重合を実施した。その後、室温にて2時間撹拌後、この反応溶液に、エタノール0.2mLを添加し、重合停止させた。この第2の重合にて構成されるパイ共役系高分子が、第4グループに対応する。次いで、メタノールにて再沈殿させ、ベンゼンを用いて凍結乾燥させることで、淡黄色粉末を得た。その同定に際し、上述と同様の分析を実施した。淡黄色粉末の分析結果として、下記データを得た。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.00-0.05 (bm), 0.50, 0.82, 0.89-1.00 (m), 1.28-1.68 (bm), 3.91-4.04 (bm), 6.89, 7.22;13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -1.9, ?1.8, 11.1, 11.2, 12.3, 12.5, 14.0, 14.1, 23.0, 23.1, 23.7, 23.8, 23.9, 23.9, 29.0, 29.1, 30.4, 30.5, 39.4, 39.6, 71.4, 71.9, 72.0, 72.5, 113.4, 115.4, 116.1, 116.6, 117.0, 143.0, 144.9, 145.6, 147.5, 150.3, 150.4, 154.1, 154.2; 19F{1H} NMR (CDCl3, 376 MHz) δ -163.2, 155.6, 140.7-140.5 (bm), 139.6, 138.1-137.7 (bm).。これにより、得られた淡黄色粉末が、上記図30に記載のブロック共重合体であることが確認された。この収量は、0.214gであり、収率は、70%であった。
【実施例】
【0209】
なお、本出願は、2013年11月26日に日本国に本出願人により出願された、特願2013-243964号に基づく。その全内容は、参照により本出願に組み込まれる。
【実施例】
【0210】
本発明の特定の実施形態についての上記説明は、例示を目的として提示したものである。それらは、網羅的であったり、記載した形態そのままに本発明を制限したりすることを、意図したものではない。数多くの変形や変更が、上記の記載内容に照らして可能であることは、当業者に自明である。
【産業上の利用可能性】
【0211】
本発明のパイ共役系高分子およびそのパイ共役系高分子を備えるブロック共重合体は、「触媒量に応じた分子量の制御」及び「貴金属触媒や遷移金属触媒の使用低減」を両立し得るので、産業上有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
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【図28】
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【図29】
28
【図30】
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【図31】
30
【図32】
31
【図33】
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【図34】
33
【図35】
34