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明細書 :3-ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いる新規Δ1-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 3-ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いる新規Δ1-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12Q   1/26        (2006.01)
C12Q   1/527       (2006.01)
C12N   9/06        (2006.01)
C12N   9/88        (2006.01)
FI C12N 15/00 A
C12Q 1/26 ZNA
C12Q 1/527
C12N 9/06 Z
C12N 9/88
国際予備審査の請求
全頁数 75
出願番号 特願2015-535349 (P2015-535349)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 電気通信回線による発表: 掲載年月日:平成25年12月12日 掲載アドレス1:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/protein/565411963?sat=18&satkey=3897154
特許法第30条第2項適用申請有り 電気通信回線による発表: 掲載年月日:平成25年12月12日 掲載アドレス2:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/565411962?sat=18&satkey=3897154
特許法第30条第2項適用申請有り 電気通信回線による発表: 掲載年月日:平成26年 2月26日 掲載アドレス3:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211546314000217
国際出願番号 PCT/JP2014/065019
国際公開番号 WO2015/033636
国際出願日 平成26年6月5日(2014.6.5)
国際公開日 平成27年3月12日(2015.3.12)
優先権出願番号 2013186647
優先日 平成25年9月9日(2013.9.9)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】渡邉 誠也
【氏名】谷本 佳彰
出願人 【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B050
4B063
Fターム 4B024AA11
4B024BA07
4B024BA08
4B024CA06
4B024DA06
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA01
4B024HA06
4B050CC04
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4B050LL03
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4B063QS02
4B063QX01
要約 簡便な3-ヒドロキシプロリンの分析を可能とする新たな分析方法の提供を目的とする。
下記(s1)~(s3)工程により、被検試料中の3-ヒドロキシプロリンを分析する。
(s1)3-ヒドロキシプロリン脱水酵素により、被検試料中の3—ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水する脱水工程
(s2)Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素により、前記(s1)工程において得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化する還元工程
(s3)前記(s2)工程の還元反応を分析する分析工程
特許請求の範囲 【請求項1】
下記(s1)~(s3)工程を含むことを特徴とする、被検試料中の3-ヒドロキシプロリンを分析する分析方法。
(s1)3-ヒドロキシプロリン脱水酵素により、被検試料中の3—ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水する脱水工程
(s2)Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素により、前記(s1)工程において得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化する還元工程
(s3)前記(s2)工程の還元反応を分析する分析工程
【請求項2】
前記(s2)工程のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、下記(R1Tl)~(R3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1記載の分析方法。
(R1Tl) 配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項3】
前記(s2)工程のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、下記(R1Ab)~(R3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1記載の分析方法。
(R1Ab) 配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項4】
前記(s2)工程のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、下記(R1Cp)~(R3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1記載の分析方法。
(R1Cp) 配列番号13のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項5】
前記(s2)工程のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、下記(R1Ps)~(R3Ps)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1記載の分析方法。
(R1Ps) 配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Ps) 前記(R1Ps)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Ps) 前記(R1Ps)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項6】
前記(s1)工程の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、下記(D1Tl)~(D3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
(D1Tl) 配列番号12のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Tl) 前記(D1Tl)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Tl) 前記(D1Tl)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項7】
前記(s1)工程の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、下記(D1Ab)~(D3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
(D1Ab) 配列番号11のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項8】
前記(s1)工程の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、下記(D1Cp)~(D3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
(D1Cp) 配列番号9のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Cp) 前記(D1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Cp) 前記(D1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項9】
前記(s1)工程の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、下記(D1Hs)~(D3Hs)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項1から5のいずれか一項に記載の分析方法。
(D1Hs) 配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Hs) 前記(D1Hs)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Hs) 前記(D1Hs)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項10】
下記(S1)~(S3)工程を含むことを特徴とする、被検試料中のコラーゲンの測定方法。
(S1)被検試料中のコラーゲンから、3-ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程
(S2)前記(S1)工程で遊離した3-ヒドロキシプロリンの量を、請求項1から9のいずれか一項に記載の分析方法により測定する測定工程
(S3)予め求めた前記コラーゲンに対する3-ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定した3-ヒドロキシプロリンの量からコラーゲンの量を算出する算出工程
【請求項11】
前記コラーゲンが、コラーゲンIVである、請求項10記載の測定方法。
【請求項12】
下記(R1Tl)~(R3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、新規タンパク質。
(R1Tl) 配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項13】
下記(R1Ab)~(R3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、新規タンパク質。
(R1Ab) 配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項14】
下記(R1Cp)~(R3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることを特徴とする、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素。
(R1Cp) 配列番号13のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項15】
下記(D1Tl)~(D3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることを特徴とする、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素。
(D1Tl) 配列番号12のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Tl) 前記(D1Tl)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Tl) 前記(D1Tl)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項16】
下記(D1Ab)~(D3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする、新規タンパク質。
(D1Ab) 配列番号11のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項17】
下記(D1Cp)~(D3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることを特徴とする、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素。
(D1Cp) 配列番号9のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Cp) 前記(D1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Cp) 前記(D1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項18】
3-ヒドロキシプロリンの分析試薬であって、
3-ヒドロキシプロリン脱水酵素およびΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素を含むことを特徴とする、分析試薬。
【請求項19】
前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、請求項12記載のタンパク質である、請求項18記載の分析試薬。
【請求項20】
前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、請求項13記載のタンパク質である、請求項18記載の分析試薬。
【請求項21】
前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、請求項14記載のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素である、請求項18記載の分析試薬。
【請求項22】
前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素が、下記(R1Ps)~(R3Ps)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項18記載の分析試薬。
(R1Ps) 配列番号2のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Ps) 前記(R1Ps)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Ps) 前記(R1Ps)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【請求項23】
前記3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、請求項15記載の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素である、請求項18から22のいずれか一項に記載の分析試薬。
【請求項24】
前記3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、請求項16記載のタンパク質である、請求項18から22のいずれか一項に記載の分析試薬。
【請求項25】
前記3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、請求項17記載の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素である、請求項18から22のいずれか一項に記載の分析試薬。
【請求項26】
前記3-ヒドロキシプロリン脱水酵素が、下記(D1Hs)~(D3Hs)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である、請求項18から22のいずれか一項に記載の分析試薬。
(D1Hs) 配列番号3のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Hs) 前記(D1Hs)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Hs) 前記(D1Hs)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
【請求項27】
コラーゲンの測定試薬であって、
請求項18から26のいずれか一項に記載の3-ヒドロキシプロリンの分析試薬を含むことを特徴とする、測定試薬。
【請求項28】
下記(r1Tl)~(r3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子。
(r1Tl)配列番号16の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Tl)前記(r1Tl)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Tl)前記(r1Tl)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項29】
下記(r1Ab)~(r3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、新規遺伝子。
(r1Ab)配列番号4の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Ab)前記(r1Ab)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Ab)前記(r1Ab)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項30】
下記(r1Cp)~(r3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子。
(r1Cp)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Cp)前記(r1Cp)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Cp)前記(r1Cp)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項31】
下記(d1Tl)~(d3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子。
(d1Tl)配列番号19の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2Tl)前記(d1Tl)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d3Tl)前記(d1Tl)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項32】
下記(d1Ab)~(d3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、新規遺伝子。
(d1Ab)配列番号17の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2Ab)前記(d1Ab)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d3Ab)前記(d1Ab)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【請求項33】
下記(d1Cp)~(d3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子。
(d1Cp)配列番号18の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2Cp)前記(d1Cp)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d3Cp)前記(d1Cp)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素を用いた3-ヒドロキシプロリンの分析方法、コラーゲンの測定方法、およびそれに用いる新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康および美容の観点から、コラーゲンが注目されており、コラーゲンの定性分析および定量分析が、重要視されている。
【0003】
試料中のコラーゲンの分析方法としては、コラーゲンに含まれるヒドロキシプロリンの含有量を測定することによって、間接的にコラーゲンを測定する方法が一般的である。コラーゲンは、一般的なタンパク質、すなわち非コラーゲンタンパク質を構成する基本アミノ酸には該当しないヒドロキシプロリンを含有している。このため、試料におけるヒドロキシプロリンを分析すれば、間接的に、前記試料におけるコラーゲンの分析が可能である。そして、ヒドロキシプロリンの測定は、HPLC分析が汎用されている(特許文献1)。具体的な方法としては、まず、試料に前処理を施し、コラーゲンの分解によりヒドロキシプロリンを遊離させる。前処理済みの試料をHPLCに供し、ヒドロキシプロリンのピーク面積からヒドロキシプロリン量を算出する。そして、前記算出値と、コラーゲン1分子あたりのヒドロキシプロリン量とから、前記試料のコラーゲン量を求めることができる。
【0004】
HPLC分析によりヒドロキシプロリンを分析する場合、ヒドロキシプロリンを、コラーゲンの分解により遊離するL-ヒドロキシプロリンから分離しなければならない。しかしながら、HPLC分析によっても、ヒドロキシプロリンとL-ヒドロキシプロリンとの分離は、困難である。また、ヒドロキシプロリンは2級アミンであることから、特殊な展開溶媒で開環する必要がある。さらに、HPLC分析は、高額な分析カラムおよび機器が必要であり、分析に時間を要するという問題がある。
【0005】
他方、コラーゲンの中でも、コラーゲンIVは、癌患者の尿中で濃度が上昇することが報告されており、癌のマーカーとなり得る。そして、コラーゲンIVには、他のタイプ(例えば、I~III)と比較して、約8~25倍の3-ヒドロキシプロリンが含まれていることから、3-ヒドロキシプロリンを分析することで、間接的に癌マーカーとなるコラーゲンIVを分析することができる。このため、3-ヒドロキシプロリンの簡便な分析を可能とする方法が求められている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許公表2010-504533
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、3-ヒドロキシプロリンの簡便な分析を可能とする新たな分析方法、それを用いたコラーゲンの測定方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法は、被検試料中の3-ヒドロキシプロリンを分析する分析方法であり、下記(s1)~(s3)工程を含むことを特徴とする。
(s1)3-ヒドロキシプロリン脱水酵素により、被検試料中の3—ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水する脱水工程
(s2)Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素により、前記(s1)工程において得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化する還元工程
(s3)前記(s2)工程の還元反応を分析する分析工程
【0009】
本発明のコラーゲンの測定方法は、被検試料中のコラーゲンの測定方法であり、下記(S1)~(S3)工程を含むことを特徴とする。
(S1)被検試料中のコラーゲンから、3-ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程
(S2)前記(S1)工程で遊離した3-ヒドロキシプロリンの量を、前記本発明の分析方法により測定する測定工程
(S3)予め求めた前記コラーゲンに対する3-ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定した3-ヒドロキシプロリンの量からコラーゲンの量を算出する算出工程
【0010】
本発明の新規タンパク質は、下記(R1Tl)~(R3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
(R1Tl) 配列番号14のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Tl) 前記(R1Tl)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【0011】
本発明の新規タンパク質は、下記(R1Ab)~(R3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
(R1Ab) 配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Ab) 前記(R1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【0012】
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素は、下記(R1Cp)~(R3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることを特徴とする。
(R1Cp) 配列番号13のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
【0013】
本発明の分析試薬は、3-ヒドロキシプロリンの分析試薬であって、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素およびΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の測定試薬は、コラーゲンの測定試薬であって、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析試薬を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子は、下記(r1Tl)~(r3Tl)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(r1Tl)配列番号16の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Tl)前記(r1Tl)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Tl)前記(r1Tl)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0016】
本発明の新規遺伝子は、下記(r1Ab)~(r3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(r1Ab)配列番号4の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Ab)前記(r1Ab)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Ab)前記(r1Ab)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【0017】
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子は、下記(r1Cp)~(r3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(r1Cp)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Cp)前記(r1Cp)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Cp)前記(r1Cp)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
【発明の効果】
【0018】
本発明者は、鋭意研究の結果、3-ヒドロキシプロリンの分析方法として、酵素を用いる新たな方法を見出した。具体的には、まず、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素によって、3-ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に変換し、さらに、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素によって、Δ-ピロリン-2-カルボン酸の還元反応を行う。そして、この還元反応を分析することで、酵素的に3-ヒドロキシプロリンの分析が可能となるとの知見を得て、本発明を完成するに到った。本発明の分析方法によれば、従来のように、HPLCを用いることなく、酵素反応によって簡便に3-ヒドロキシプロリンを分析できる。また、本発明の分析方法によって3-ヒドロキシプロリンが分析できることから、間接的に、コラーゲンの測定も簡便に行うことができる。このため、本発明は、医療、食品および美容等の分野において、極めて有用な技術といえる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施例1において、Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素およびPsaeruginosa由来Δ-ピロリン-2-カルボン酸(以下、「Pyr2C」ともいう。)還元酵素のCBB染色の結果を示す写真である。
【図2】図2は、本発明の実施例1において、3-ヒドロキシプロリン(以下、3-Hyp)ともいう。)の濃度を変えたときのPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図3】図3は、本発明の実施例1において、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素を用いて作成した検量線を示すグラフである。
【図4】図4は、本発明の実施例2において、3-Hyp脱水酵素の量およびPyr2C還元酵素の量を変えたときのPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例2において、Pyr2C還元酵素を添加するタイミングを代えたときの、Pyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施例3において、brasilense由来Pyr2C還元酵素のCBB染色の結果を示す写真である。
【図7】図7は、本発明の実施例3において、補酵素を変えたときのPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施例3において、基質を変えたときのPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施例4において、Psaeruginosa由来Pyr2C還元酵素およびbrasilense由来Pyr2C還元酵素のPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の実施例5において、炭素源を変えたときのbrasilense由来無細胞抽出物の3-Hyp脱水酵素活性およびPyr2C還元酵素活性を示すグラフである。
【図11】図11は、本発明の実施例6において、リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。
【図12】図12は、本発明の実施例6において、比活性およびKcat/K値を示すグラフである。
【図13】図13は、本発明の実施例6において、比活性およびKcat/K値を示すグラフである。
【図14】図14は、本発明の実施例7において、異なるpHにおける比活性を示すグラフである。
【図15】図15は、本発明の実施例7において、異なるpHにおける比活性を示すグラフである。
【図16】図16は、本発明の実施例8において、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフ
【図17】図17は、本発明の実施例9において、相対活性を示すグラフである。
【図18】図18は、本発明の実施例10において、HPLCの分析結果を示すグラフである。
【図19】図19は、本発明の実施例11において、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素を用いて作成した検量線を示すグラフである。
【図20】図20は、本発明の実施例11において、検量線から求めた3-ヒドロキシプロリンの濃度と、HPLCにより測定した3-ヒドロキシプロリンの濃度とを示すグラフである。
【図21】図21は、本発明の実施例12において、相対活性を示すグラフである。
【図22】図22は、本発明の実施例12において、相対活性を示すグラフである。
【図23】図23は、本発明の実施例13において、リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。
【図24】図24は、本発明の実施例13において、相対活性を示すグラフである。
【図25】図25は、本発明の実施例13において、相対活性を示すグラフである。
【図26】図26は、本発明の実施例13において、相対活性を示すグラフである。
【図27】図27は、本発明の実施例13において、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<3-ヒドロキシプロリンの分析方法>
本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法は、前述のように、被検試料中の3-ヒドロキシプロリンを分析する分析方法であり、下記(s1)~(s3)工程を含むことを特徴とする。
(s1)3-ヒドロキシプロリン脱水酵素により、被検試料中の3—ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水する脱水工程
(s2)Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素により、前記(s1)工程において得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化する還元工程
(s3)前記(s2)工程の還元反応を分析する分析工程

【0021】
本発明において、以下、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素を、3-Hyp脱水酵素、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素を、Pyr2C還元酵素ともいう。

【0022】
本発明において、前記3-Hyp脱水酵素は、3-ヒドロキシプロリンの脱水反応の触媒機能を有するタンパク質であればよく、その種類および由来等は、特に制限されない。前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、Homo属、Pseudomonas属、Burkholderia属、Azospirillum属、Mus属、Saccoglossus属、Colwellia属、Thermococcus属由来等あげられる。Homo属は、例えば、Homo sapiens等があげられる。Pseudomonas属は、例えば、Psaeruginosa等があげられる。また、Burkholderia属は、例えば、cenocepaciapseudomalleisp.383等があげられる。また、Azospirillum属は、例えば、brasilense等があげられ、具体例として、brasilense ATCC29145があげられる。Mus属は、例えば、Mus musculus等があげられる。Saccoglossus属は、例えば、Saccoglossus kowalevskii等があげられる。Colwellia属は、例えば、Colwellia psychrerythraea等があげられ、具体例として、Colwellia psychrerythraea 34H等があげられる。Thermococcus属は、例えば、Thermococcus litoralisThermococcus sibiricus等があげられる。

【0023】
前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、以下のようなものが例示できる。Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.NP_653182.1で登録されているアミノ酸配列(配列番号3)からなるタンパク質等があげられる。また、Mus musculus由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.NP_080314.1で登録されているアミノ酸配列(配列番号7)からなるタンパク質等があげられる。Saccoglossus kowalevskii由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.XP_002734182.1で登録されているアミノ酸配列(配列番号8)からなるタンパク質等があげられる。sp.383由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.YP_372418.1で登録されているアミノ酸配列(配列番号10)からなるタンパク質等があげられる。

【0024】
以下に、前記3-Hyp脱水酵素の具体例を示すが、本発明は、これらの例示には制限されない。以下の配列において2カ所の四角で囲んだ残基(C/T)は、3-Hyp脱水酵素の触媒機能に関与する活性部位である。

【0025】
JP2015033636A1_000003t.gif

【0026】
JP2015033636A1_000004t.gif

【0027】
JP2015033636A1_000005t.gif

【0028】
JP2015033636A1_000006t.gif

【0029】
前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、本発明の新規3-Hyp脱水酵素および本発明の3-Hyp脱水酵素の少なくとも一方を使用できる。本発明の新規3-Hyp脱水酵素および本発明の3-Hyp脱水酵素については、後述する。

【0030】
前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、下記(D1)~(D3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である。
(D1) 配列番号3、7、8、9、10、11および12からなる群から選択された少なくとも一つのアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2) 前記(D1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3) 前記(D1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素活性を有するタンパク質

【0031】
前記(D1)において配列番号3の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Hs)、(D2Hs)および(D3Hs)ともいう。前記(D1)において配列番号9の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Cp)、(D2Cp)および(D3Cp)ともいう。前記(D1)において配列番号11の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Ab)、(D2Ab)および(D3Ab)ともいう。前記(D1)において配列番号12の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Tl)、(D2Tl)および(D3Tl)ともいう。

【0032】
前記(D2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(D2)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D2)の「1もしくは数個」は、前記(D1)のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。つまり、例えば、「1~3個」との記載は、「1、2、3個」の全ての開示を意味する(以下、同様)。

【0033】
前記(D3)において、「同一性」は、例えば、前記(D3)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D3)の「同一性」は、前記(D1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータにより算出できる(以下、同様)。

【0034】
前記(D2)および(D3)のタンパク質は、前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されていることが好ましい。前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記二か所の活性部位は、例えば、Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素(配列番号3)を基準として、アライメントを行い、対応する2カ所の部位を活性部位と判断できる。

【0035】
前記(D3)のタンパク質は、前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されている場合、前記同一性は、例えば、40%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは80%以上である。

【0036】
前記3-Hyp脱水酵素の酵素活性は、特に制限されず、1unit(U)は、例えば、30℃、pH8の条件下、1分間に1μmolのL-プロリンを生成する酵素量と定義できる。

【0037】
3-ヒドロキシプロリンは、例えば、シス-3-ヒドロキシ-L-プロリン(以下、シス-3-ヒドロキシプロリンともいう)およびトランス-3-ヒドロキシ-L-プロリン(以下、トランス-3-ヒドロキシプロリンともいう)があげられる。本発明において、前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、シス型およびトランス型のいずれを基質としてもよく、両方を基質としてもよい。例えば、生体内における3-ヒドロキシプロリンを分析する場合、前記3-ヒドロキシプロリンはトランス型であるため、トランス型を基質とする3-Hyp脱水酵素が好ましい。

【0038】
本発明において、前記Pyr2C還元酵素は、Δ-ピロリン-2-カルボン酸の還元反応の触媒機能を有するタンパク質であればよく、その種類および由来等は、特に制限されない。前記Pyr2C還元酵素は、例えば、Pseudomonas属、Azospirillum属、Burkholderia属、Colwellia属、Thermococcus属由来等があげられる。Pseudomonas属は、例えば、PsaeruginosaPsputidaPseudomonas syringaeおよびPseudomonas chlororaphis等があげられる。Psaeruginosaは、具体例として、PAO1株(例えば、Bater, A. J., Venables, W. A., and Thomas, S. (1977) Arch. Microbiol. 112, 287-289、Manoharan, H. T. (1980) J. Biosci. 2, 107-120参照)等があげられる。Psputidaは、具体例として、KT2422株(例えば、Gryder, R. M., and Adams, E. (1969) J. Bacteriol. 97, 292-306参照)等があげられる。Azospirillum属は、例えば、brasilense等があげられる。brasilenseは、具体例として、ATCC29145株等があげられる。Burkholderia属は、例えば、sp.383等があげられる。Colwellia属は、例えば、Colwellia psychrerythraea等があげられ、具体例として、Colwellia psychrerythraea 34H等があげられる。Thermococcus属は、例えば、Thermococcus litoralisThermococcus sibiricus等があげられる。

【0039】
Psaeruginosa由来Pyr2C還元酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.NP_249943.1で登録されているアミノ酸配列(配列番号2)からなるタンパク質等があげられる。

【0040】
以下に、前記Pyr2C還元酵素の具体例を示すが、本発明は、これらの例示には制限されない。

【0041】
Psaeruginosa由来Pyr2C還元酵素(配列番号2)
MIRMTLDEVRELAVRILRRHAFSEAHVQAVADTLVAGERDECASHGIWRLLGCIATLKAGKVSADAEPELHDIAPGLLRVDAHGGFSQCAFRLGLPHLLEKARSQGIAAMAVNRCVHFSALWVEVEALTEAGLVALATTPSHAWVAPAGGRKPIFGTNPIAFGWPRPDGPPFVFDFATSAVARGEIQLHERAGKPIPLGWGVDEQGEPTTDASAALRGAMLTFGGHKGSALAAMVELLAGPLIGDLTSAESLAYDEGSRSSPYGGELLIAIDPRRMLGASAEEHLARAETLFEGIVEQGARLPSQRRFEARERSARDGVTIPEALHRELLALLE

【0042】
前記Pyr2C還元酵素は、この他に、例えば、dpkA-like酵素またはオルニチンシクロデアミナーゼ様(OCD-like)酵素等を用いてもよい。Psputida由来dpkA-like酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.NP_745727.1で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質等があげられる。Pseudomonas syringae由来dpkA-like酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.NP_792175.1で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質等があげられる。sp.383由来dpkA-like酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.YP_372656.1で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質等があげられる。

【0043】
sp.383由来OCD-like酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.YP_372421.1で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質等があげられる。Pseudomonas chlororaphis由来OCD-like酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.EIM16948で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質等があげられる。

【0044】
前記Pyr2C還元酵素は、例えば、本発明の新規Pyr2C還元酵素および本発明のPyr2C還元酵素の少なくとも一方を使用できる。本発明の新規Pyr2C還元酵素および本発明のPyr2C還元酵素については、後述する。

【0045】
前記Pyr2C還元酵素は、例えば、下記(R1)~(R3)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質である。
(R1) 配列番号1、2、13および14からなる群から選択された少なくとも1つのアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2) 前記(R1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質
(R3) 前記(R1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素活性を有するタンパク質

【0046】
前記(R1)において配列番号1の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、後述するように、それぞれ、(R1Ab)、(R2Ab)および(R3Ab)ともいう。前記(R1)において配列番号2の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、それぞれ、(R1Ps)、(R2Ps)および(R3Ps)ともいう。前記(R1)において配列番号13の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、それぞれ、(R1Cp)、(R2Cp)および(R3Cp)ともいう。前記(R1)において配列番号14の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、それぞれ、(R1Tl)、(R2Tl)および(R3Tl)ともいう。

【0047】
前記(R2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(R2)が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(R2)の「1もしくは数個」は、前記(R1)のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。

【0048】
前記(R3)において、「同一性」は、例えば、前記(R3)が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(R3)の「同一性」は、前記(R1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0049】
前記Pyr2C還元酵素の酵素活性は、特に制限されず、1unit(U)は、例えば、30℃、pH8の条件下、1分間に1μmolのL-プロリンを生成する酵素量と定義できる。

【0050】
前記3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素は、例えば、粗酵素(非精製酵素)、部分的に精製した部分精製酵素、および、単一に精製した精製酵素のいずれでもよく、好ましくは精製酵素である。

【0051】
前記被検試料の種類は、特に制限されず、例えば、3-ヒドロキシプロリンを含有する試料、含有すると考えられる試料、含有の有無が不明な試料等が対象となる。前記被検試料は、例えば、固体でも液体でもよい。前記被検試料が固体の場合、例えば、溶媒への懸濁、分散または溶解等の前処理を施し、前処理後の試料を被検試料として、本発明の分析方法に供することが好ましい。また、前記被検試料が、コラーゲン等のタンパク質を含み、前記タンパク質における3-ヒドロキシプロリンを分析する場合は、例えば、前記タンパク質を分解して前記3-ヒドロキシプロリンを遊離する前処理を施すことが好ましい。前記3-ヒドロキシプロリンを遊離する前処理の方法は、特に制限されず、例えば、タンパク質の加水分解処理があげられる。

【0052】
前記(s1)工程は、前述のように、3-Hyp脱水酵素により、被検試料中の3—ヒドロキシプロリンをΔ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水する脱水工程である。前記(s1)工程は、例えば、前記被検試料と前記3-Hyp脱水酵素との接触により行うことができる。前記接触方法は、特に制限されず、例えば、酵素を用いる一般的な手段が採用でき、具体例として、前記被検試料と前記3-Hyp脱水酵素とを含む反応系が使用できる。前記反応系において、前記3-Hyp脱水酵素は、例えば、遊離した状態で使用してもよいし、担体に固定化した状態で使用してもよい。後者の固定化酵素の場合、前記担体の種類は、特に制限されず、例えば、プレート、容器等の基板、ビーズ、フィルター等、公知の担体が使用できる。前記反応系は、例えば、反応液である。

【0053】
前記(s1)工程において、前記3-Hyp脱水酵素の使用量は、特に制限されず、単位Uの場合、前記被検試料1mlに対して、例えば、0.01~10Uであり、好ましくは0.01~1Uであり、より好ましくは0.01~0.05Uである。また、タンパク質量の場合、前記3-Hyp脱水酵素の使用量は、前記被検試料1mlに対して、例えば、0.1~10μgであり、好ましくは0.1~1μgであり、より好ましくは0.1~0.5μgである。また、例えば、後述するようにコラーゲンの測定を行う場合、前記3-Hyp脱水酵素の使用量は、例えば、前記被検試料中のタンパク質に対する添加量でもよい。前記被検試料中のタンパク質量は、例えば、コラーゲンタンパク質および非コラーゲンタンパク質の総量から設定できる。

【0054】
前記(s1)工程において、脱水反応の条件は、特に制限されず、例えば、使用する前記3-Hyp脱水酵素の化学特性に応じて適宜設定できる。反応温度は、例えば、10~100℃であり、好ましくは15~90℃であり、より好ましくは20~80℃である。反応時間は、例えば、0~10分であり、好ましくは0.5~5分であり、より好ましくは1~5分である。前記反応系のpHは、例えば、5~10であり、好ましくは6~9であり、より好ましくは7~9である。

【0055】
前記3-Hyp脱水酵素がbrasilense由来の3-Hyp脱水酵素である場合、反応温度は、例えば、30~50℃であり、好ましくは35~45℃であり、より好ましくは37~40℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、5~10であり、好ましくは6~9であり、より好ましくは7~9である。

【0056】
前記3-Hyp脱水酵素がColwellia psychrerythraea 34H由来の3-Hyp脱水酵素である場合、反応温度は、例えば、10~50℃であり、好ましくは15~30℃であり、より好ましくは20~30℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、5~10であり、好ましくは6~9であり、より好ましくは7~9である。

【0057】
前記3-Hyp脱水酵素がThermococcus litoralis DSM 5473由来の3-Hyp脱水酵素である場合、反応温度は、例えば、50~100℃であり、好ましくは60~90℃であり、より好ましくは70~80℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、5~10であり、好ましくは6~9であり、より好ましくは7~9である。

【0058】
前記反応系は、前記被検試料および前記3-Hyp脱水酵素の他に、例えば、溶媒、前記3-Hyp脱水酵素に対する補酵素、イオン性化合物、ジチオスレイトール等の還元剤、EDTA等のキレート剤等を含んでもよい。前記溶媒は、例えば、水、緩衝液等の水性溶媒があげられ、前記緩衝液は、例えば、Tris-HCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等が使用でき、前記緩衝液によって、例えば、前記反応系のpHを調整することが好ましい。

【0059】
つぎに、前記(s2)工程は、Pyr2C還元酵素により、前記(s1)工程において得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化する還元工程である。前記(s2)工程は、例えば、前記(s1)工程で得られたΔ-ピロリン-2-カルボン酸と前記Pyr2C還元酵素との接触により行うことができる。本発明において、前記(s1)工程および前記(s2)工程は、例えば、前記(s1)工程の後に、前記(s2)工程を行ってもよいし、前記(s1)工程と前記(s2)工程とを並行して行ってもよい。

【0060】
前記(s1)工程を行った後に前記(s2)工程を行う場合、前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸と前記Pyr2C還元酵素との接触は、例えば、前記(s1)工程で脱水反応を行った後の前記反応系を、そのまま前記Pyr2C還元酵素と接触させてもよいし、前記反応系に処理を施したものを前記Pyr2C還元酵素と接触させてもよい。後者の場合、前記処理は、特に制限されず、例えば、前記反応系の濃縮処理、前記反応系からの前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸の単離処理等でもよい。前記濃縮処理を行った場合、前記反応系の濃縮物と前記Pyr2C還元酵素とを接触させればよく、また、前記単離処理を行った場合、単離した前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸を前記Pyr2C還元酵素と接触させればよい。また、前述のように、前記(s1)工程において固定化した前記3-Hyp脱水酵素を使用した場合、例えば、前記反応系について、液体画分と固形画分とを分離し、前記(s2)工程において、前記液体画分を、前記Pyr2C還元酵素と接触させることが好ましい。本発明においては、操作が簡便であることから、例えば、前記(s1)工程後の前記反応系または前記反応系の前記液体画分と、前記Pyr2C還元酵素とを接触させることが好ましい。

【0061】
前記(s1)工程と前記(s2)工程とを並行して行う場合、例えば、前記被検試料と前記3-Hyp脱水酵素と前記Pyr2C還元酵素とを含む反応系を用いて、前記反応系中で、3-ヒドロキシプロリンからΔ-ピロリン-2-カルボン酸への脱水化と、前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸の水素化を行うことができる。

【0062】
前記反応系において、前記Pyr2C還元酵素は、例えば、遊離した状態で使用してもよいし、担体に固定化した状態で使用してもよい。後者の固定化酵素の場合、前記担体の種類は、特に制限されず、前述と同様である。

【0063】
前記(s2)工程において使用する前記Pyr2C還元酵素の由来は、前記(s1)工程において使用する前記3-Hyp脱水酵素の由来と同じであってもよいし、異なってもよい。前記(s1)工程において使用する前記3-Hyp脱水酵素および前記(s2)において使用する前記Pyr2C還元酵素の組合せは、特に制限されない。前記組合せは、例えば、酵素活性がより高く、より短時間で3-Hypを測定できることから、brasilense由来の3-Hyp脱水酵素およびbrasilense由来のPyr2C還元酵素がの組合せが好ましい。前記組合せは、例えば、耐熱性が高く、より長期の保存が可能なことから、例えば、Thermococcus litoralis DSM 5473由来の3-Hyp脱水酵素およびThermococcus litoralis DSM 5473由来のPyr2C還元酵素の組合せが好ましい。前記組合せは、例えば、耐寒性が高く、より低温で3-Hypを測定できることから、Colwellia psychrerythraea 34H由来の3-Hyp脱水酵素およびColwellia psychrerythraea 34H由来のPyr2C還元酵素の組合せが好ましい。

【0064】
前記(s2)工程において、前記Pyr2C還元酵素の使用量は、特に制限されず、単位Uの場合、前記(s1)工程における前記被検試料1mlに対して、例えば、0.01~10Uであり、より好ましくは0.01~1Uであり、さらに好ましくは0.01~0.05Uである。また、タンパク質量の場合、前記Pyr2C還元酵素の使用量は、前記(s1)工程における前記被検試料1mlに対して、例えば、0.1~10μgであり、好ましくは0.1~1μgであり、より好ましくは0.1~0.5μgである。また、後述するようにコラーゲンの測定を行う場合、前記Pyr2C還元酵素の使用量は、例えば、前記被検試料中のタンパク質に対する添加量でもよい。前記被検試料中のタンパク質量は、例えば、コラーゲンタンパク質および非コラーゲンタンパク質の総量から設定できる。

【0065】
前記(s2)工程において、還元反応の条件は、特に制限されず、使用する前記Pyr2C還元酵素の化学特性に応じて適宜設定できる。反応温度は、例えば、10~100℃であり、好ましくは15~90℃であり、より好ましくは20~80℃である。反応時間は、例えば、0.5~10分であり、好ましくは0.5~5分であり、好ましくは1~5分である。反応pHは、例えば、4~9であり、好ましくは5~8であり、より好ましくは6~8である。

【0066】
前記Pyr2C還元酵素がbrasilense由来のPyr2C還元酵素である場合、反応温度は、例えば、30~50℃であり、好ましくは35~45℃であり、より好ましくは37~40℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、6~8であり、好ましくは6.5~7.5であり、より好ましくは6.8~7.2である。

【0067】
前記Pyr2C還元酵素がColwellia psychrerythraea 34H由来のPyr2C還元酵素である場合、反応温度は、例えば、10~50℃であり、好ましくは15~30℃であり、より好ましくは20~30℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、6~8であり、好ましくは6.5~7.5であり、より好ましくは6.8~7.2である。

【0068】
前記Pyr2C還元酵素がThermococcus litoralis DSM 5473由来のPyr2C還元酵素である場合、反応温度は、例えば、50~100℃であり、好ましくは60~90℃であり、より好ましくは70~80℃である。反応時間は、例えば、1~10分であり、好ましくは1~5分であり、より好ましくは1~2分である。前記反応系のpHは、例えば、4~9であり、好ましくは5~8であり、より好ましくは6~8である。

【0069】
前記反応系は、前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸および前記Pyr2C還元酵素の他に、例えば、溶媒、前記Pyr2C還元酵素に対する補酵素、イオン性化合物、ジチオスレイトール等の前記還元剤等を含んでもよい。前記溶媒は、例えば、水、緩衝液等の水性溶媒があげられる。前記緩衝液は、例えば、Tris-HCl、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等が使用でき、前記緩衝液によって、例えば、前記反応系のpHを調整することが好ましい。前記イオン性化合物は、例えば、二価イオンを遊離する化合物等があげられ、前記二価イオンとしては、例えば、マグネシウム等があげられる。

【0070】
前記補酵素は、特に制限されず、例えば、NADHおよびNADPH等があげられる。

【0071】
そして、前記(s3)工程は、前記(s2)の還元反応を分析する分析工程である。本発明において、前記分析は、例えば、定性分析、定量分析および半定量分析のいずれでもよい。

【0072】
前記還元反応の分析は、例えば、前記反応により生じるシグナルの検出により行うことができる。前記シグナルは、例えば、前記還元反応によりシグナルを生じる基質、または、前記還元反応によりシグナルが消失または減少する基質等を併用することが好ましい。

【0073】
前記基質の添加順序は、特に制限されず、例えば、前記(s1)工程において、前記反応系が基質を含んでもよいし、前記(s2)工程において、前記反応系が基質を含んでもよいし、前記(s2)工程の後であり前記(s3)工程の前に、前記反応系が基質を含んでもよい。

【0074】
前記(s3)工程において、前記還元反応の分析方法は、特に制限されず、例えば、光学的分析および電気的分析のいずれでもよい。

【0075】
光学的分析の場合、例えば、前記還元反応によって生じる光学的シグナルを測定する方法があげられる。前記光学的シグナルは、例えば、発色、発光もしくは蛍光等のシグナルがあげられ、前記光学的シグナルの測定は、例えば、吸光度、反射率、蛍光強度等の測定により行うことができる。前記(s3)工程において光学的シグナルを測定する場合、前記(s2)工程における還元反応において、例えば、前記還元反応によって、発色、発光もしくは蛍光を発する基質、発色、発光もしくは蛍光が消失または減少する基質等を併用することが好ましい。前記基質の存在下で、前記(s2)工程の還元反応を行うことによって、例えば、前記(s3)工程において、前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸に依存した光学的シグナルの測定を行うことができる。

【0076】
また、電気的分析の場合、例えば、前記還元反応によって生じる電子の授受を、電気的シグナルとして測定する方法があげられる。前記電気的シグナルの測定は、例えば、電流等の電気シグナルの強度を測定する方法があげられる。前記(s3)工程において電気的シグナルを測定する場合、前記(s2)工程における還元反応において、例えば、前記還元反応によって、電子の授受が可能な基質等を併用することが好ましい。前記基質の存在下で、前記(s2)工程の還元反応を行うことによって、例えば、前記(s3)工程において、前記Δ-ピロリン-2-カルボン酸に依存した電気的シグナルの測定を行うことができる。

【0077】
前記基質は、特に制限されず、例えば、電子供与体が好ましく、NADHおよびNADPH等があげられる。

【0078】
前記補酵素および前記基質として、例えば、NADHまたはNADPHを使用した場合、以下のようなメカニズムによりPyr2C還元酵素活性を測定できると推定される。NADHおよびNADPHは、酸化により、それぞれNADおよびNADPを生成する。また、NADHおよびNADPHは、340nmの紫外光線を吸収するのに対し、NADおよびNADPは、340nmの紫外光線を吸収しない。このため、Pyr2C還元酵素により、Δ-ピロリン-2-カルボン酸が還元されL-プロリンが生成すると同時に、NADHおよびNADPHからそれぞれNADおよびNADPが生成される。そこで、340nmの吸光度を測定することによって、Δ-ピロリン-2-カルボン酸の還元、つまり、Pyr2C還元酵素の活性を測定できる。なお、前記推定メカニズムは、本発明を何ら制限しない。

【0079】
前記基質の添加のタイミングは、特に制限されず、例えば、前記(s2)工程において前記基質が前記Pyr2C還元酵素と共存していることが好ましい。また、前記(s2)工程において、前記(s1)工程における反応系を使用する場合、例えば、前記(s1)工程において、その反応系が前記基質を含有してもよい。

【0080】
本発明は、さらに、下記(s4)工程を有してもよい。
(s4)既知量の3-ヒドロキシプロリンを含む標準試料の3-ヒドロキシプロリンの量と、前記標準試料に対する前記(s1)~(s3)工程の実行により得られる分析結果との相関関係に基づいて、前記(s3)工程における前記被検試料の分析結果から、前記被検試料中の3-ヒドロキシプロリンの量を算出する算出工程

【0081】
本発明において、各工程の順序は、特に制限されず、例えば、以下のような順序が例示できる。各工程を実行する順序は、例えば、3-Hyp脱水酵素、Pyr2C還元酵素および/または前記Pyr2C還元酵素による還元反応における基質の添加のタイミングによって、適宜、調節できる。
1: (s1)、(s2)および(s3)の順序で、処理を行う
2: (s1)および(s2)を並行して行った後、(s3)を行う
3: (s1)を行った後、(s2)および(s3)を並行して行う
4: (s1)、(s2)および(s3)を並行して行う

【0082】
本発明の分析方法について、以下に、光学的分析の一例を示すが、例示であって、本発明は、この方法には制限されない。

【0083】
まず、被検試料、前記3-Hyp脱水酵素、および前記Pyr2C還元酵素に対する基質を含む反応液s1を調製する。前記反応液s1について、例えば、1mlあたりの組成を以下に示す。前記基質は、例えば、NADHおよびNADPH等があげられる。

【0084】
(反応液s1の組成:1mlあたり)
3-Hyp脱水酵素 0.1~0.5μgまたは0.01~0.05U
緩衝液 50~100mmol/L
基質 0.1~0.2mmol/L
pH 6~8
被検試料 100~500μL

【0085】
前記反応液s1をインキュベートして、前記3-Hyp脱水酵素による脱水反応を行う。前記インキュベートの条件は、特に制限されず、温度が、例えば、10~100℃であり、好ましくは15~90℃であり、時間が、例えば、0~10分間であり、好ましくは、0.5~5分間であり、より好ましくは、1~5分間である。

【0086】
つぎに、前記反応液s1に、さらに、前記Pyr2C還元酵素を添加して、還元反応の反応液s2を調製する。前記反応液s2について、1mlあたりの前記Pyr2C還元酵素の濃度は、例えば、0.1~0.5μgまたは0.01~0.05Uである。なお、本例では、前記反応液s1にPyr2C還元酵素に対する基質(NADHまたはNADPH)を添加したが、例えば、これらを、前記反応液s1への添加に代えて、前記反応液s2の調製において添加してもよい。

【0087】
前記反応液s2をインキュベートして、前記Pyr2C還元酵素による還元反応を行う。前記インキュベートの条件は、特に制限されず、温度が、例えば、10~100℃であり、好ましくは15~90℃であり、時間が、例えば、0.5~10分間であり、好ましくは0.5~5分間である。

【0088】
そして、前記反応液s2について、吸光度測定を行う。前記吸光度の測定波長は、例えば、前記Pyr2C還元酵素の基質の種類に応じて適宜決定でき、具体例として、NADHおよびNADPHを使用した場合、340nmがあげられる。

【0089】
他方、既知濃度の3-ヒドロキシプロリンを含む複数の標準試料を使用し、同様の条件で、前記3-Hyp脱水酵素による脱水反応および前記Pyr2C還元酵素による還元反応を行い、吸光度を測定する。そして、前記各標準試料の濃度と、これらに対応する吸光度との相関関係を求める。前記相関関係は、例えば、一次式、検量線等で表わすことができる。そして、前記被検試料に関する吸光度の測定結果と前記相関関係とから、前記被検試料における3-ヒドロキシプロリンの量を算出する。このように、例えば、前記相関関係を利用することによって、前記被検試料における3-ヒドロキシプロリンの量を定量できる。

【0090】
<コラーゲンの測定方法>
本発明のコラーゲンの測定方法は、前述のように、被検試料中のコラーゲンの測定方法であって、下記(S1)~(S3)工程を含むことを特徴とする。
(S1)被検試料中のコラーゲンから、3-ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程
(S2)前記(S1)工程で遊離した3-ヒドロキシプロリンの量を、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法により測定する測定工程
(S3)予め求めた前記コラーゲンに対する3-ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定した3-ヒドロキシプロリンの量からコラーゲン量を算出する算出工程

【0091】
前述のように、被検試料におけるコラーゲンの分析は、被検試料における3-ヒドロキシプロリンの分析によって、間接的に行うことができる。このため、前述の本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法に利用すれば、従来のHPLC法とは異なり、酵素反応を行うのみで、簡便に前記3-ヒドロキシプロリンを分析し、その分析結果から、間接的に前記被検試料におけるコラーゲンを測定できる。

【0092】
本発明は、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法により前記被検試料中の3-ヒドロキシプロリンを測定することが特徴であって、その他の工程およびその他の条件は、何ら制限されない。

【0093】
前記被検試料の種類は、特に制限されず、例えば、コラーゲンを含有する試料、含有すると考えられる試料、含有の有無が不明な試料等が対象となる。前記被検試料は、例えば、固体でも液体でもよい。前記被検試料が個体の場合、例えば、溶媒への懸濁、分散または溶解等の前処理を施し、前処理後の試料を被検試料として、本発明の測定方法に供することが好ましい。前記被検試料の具体例としては、例えば、食品、化粧品、医薬品、生体由来の組織等があげられる。

【0094】
前記コラーゲンの種類は、特に制限されず、例えば、コラーゲンI、コラーゲンII、コラーゲンIII、コラーゲンIV、コラーゲンV、コラーゲンVIII、コラーゲンX、コラーゲンXI、コラーゲンXVIII等があげられ、好ましくは、コラーゲンIVである。

【0095】
前記(S1)工程は、被検試料中のコラーゲンから、3-ヒドロキシプロリンを遊離させる遊離工程である。前記コラーゲンから前記3-ヒドロキシプロリンを遊離させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。具体例としては、前記コラーゲンの加水分解処理があげられる。前記加水分解処理は、例えば、前記被検試料を、酸性条件および加熱条件で処理することにより行える。前記酸性条件への調整は、例えば、前記被検試料への酸の添加により行える。前記酸は、特に制限されず、例えば、塩酸、硫酸等が使用できる。

【0096】
前記加水分解処理後の処理液は、次工程である前記(S2)工程に使用できる。前記処理液は、例えば、酸性条件であることから、前記(S2)工程に適したpHに調整しておくことが好ましい。前記pHの調整は、例えば、アルカリ、緩衝液等が使用できる。前記pHは、特に制限されず、前記(S2)工程、すなわち、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法における前記(s1)工程で示したpHがあげられる。

【0097】
つぎに、前記(S2)工程は、前記(S1)工程で遊離した3-ヒドロキシプロリンの量を、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法により測定する工程である。前記(S2)工程は、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法の記載を援用できる。

【0098】
続いて、前記(S3)工程は、予め求めた前記コラーゲンに対する3-ヒドロキシプロリンの割合係数に基づき、前記(S2)工程で測定した3-ヒドロキシプロリンの量からコラーゲン量を算出する工程である。

【0099】
前記コラーゲンに対する3-ヒドロキシプロリンの割合係数は、例えば、公知の割合係数があげられる。また、前記割合係数は、例えば、既知量のコラーゲンを含む標準試料のコラーゲン量と、前記標準試料に対する前記(S1)および(S2)工程の実行により得られる3-ヒドロキシプロリンの量との相関関係であってもよい。前記相関関係は、例えば、一次式、検量線等で表わすことができる。

【0100】
<新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素>
本発明の新規タンパク質は、前述のように、下記(R1)~(R3)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
(R1) 配列番号1および14の少なくとも一方のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2) 前記(R1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質
(R3) 前記(R1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質

【0101】
前記新規タンパク質は、以下、新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸(Pyr2C)還元酵素ともいう。前記新規Pyr2C還元酵素は、本発明者らが新たに同定したタンパク質である。

【0102】
前記(R1)において配列番号1の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、それぞれ、(R1Ab)、(R2Ab)および(R3Ab)ともいう。前記(R1)において配列番号14の場合、前記(R1)、(R2)および(R3)は、それぞれ、(R1Tl)、(R2Tl)および(R3Tl)ともいう。

【0103】
前記(R1Ab)における配列番号1のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(R1Ab)は、例えば、brasilenseから得ることができる。

【0104】
(R1Ab)のアミノ酸配列(配列番号1)
MTALSPIPVFDAADTAALLDYPALLATLRQAVADYAAGEIVSPERLVVPLQAGGVMLSMPSSARDLATHKLVNVCPGNGARGLPTILGQVTAYDATTGEMRFALDGPTVTGRRTAAITALGIQALHGVAPRDILLIGTGKQAANHAEALAAIFPDARLHVRGTSADSAAAFCAAHRTQAPHLVPLDGDAIPDAIDVVVTLTTSRTPVYREAAREGRLVVGVGAFTADAAEIDANTVRASRLVVDDPAGARHEAGDLIVAQVDWQDVASLADVLRGAFDRSGPLLFKSVGCAAWDLAACRTARDALAARRAG

【0105】
前記(R1Tl)における配列番号14のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(R1Tl)は、例えば、Thermococcus litoralis DSM 5473から得ることができる。

【0106】
(R1Tl)のアミノ酸配列(配列番号14)
MLLLSRSDLEKLISMKEVIESVERAFLELYNGKAKVPLRTIIEVEKHNGFILYMPSYLEDSEALAVKVVSLYPENTKKGLPSVLASILLNDPKTGAPLALMEGTFITAMRTGAASGVATKYLARKDSKIAGIIGAGVQARTQLWAVCEVRNIEKALVYDINPKNAKKFAEEMSKKLGIEIKTVESAREATEKSDILIVATTAREPVVKGGWIREGTHINSVGWVGRDARELDSETVRKSKLVVDSKEGVLNESGDIIIPMKEGVIDEGHIHAELAEIVAGVKKGRENNREITLFKSVGLAIEDAITAKLAYEKALEHGVGTNVEL

【0107】
前記(R2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(R2)が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(R2)の「1もしくは数個」は、前記(R1)のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。

【0108】
前記(R3)において、「同一性」は、例えば、前記(R3)が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(R3)の「同一性」は、前記(R1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0109】
本発明の新規Pyr2C還元酵素は、例えば、以下のような化学的特性を有する。

【0110】
前記新規Pyr2C還元酵素は、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を基質とする還元酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。

【0111】
前記新規Pyr2C還元酵素は、例えば、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に対する基質特異性が、Δ-ピペリジン-2-カルボン酸に対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を基質とした代謝効率(Kcat/K)を相対活性100%とした場合に、Δ-ピペリジン-2-カルボン酸を基質とした相対活性が20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。

【0112】
前記新規Pyr2C還元酵素は、例えば、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に対するK値が、例えば、5mM以下であり、好ましくは1mM以下である。

【0113】
前記新規Pyr2C還元酵素は、例えば、補酵素として、NADHおよびNADPHのいずれも使用できる。

【0114】
<Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素>
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素は、前述のように、下記(R1Cp)~(R3Cp)からなる群から選択された少なくとも一つのタンパク質であることを特徴とする。
(R1Cp) 配列番号13のアミノ酸配列からなるタンパク質
(R2Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質
(R3Cp) 前記(R1Cp)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質

【0115】
前記Pyr2C還元酵素は、本発明者らが新たに同定したPyr2C還元酵素である。

【0116】
前記(R1Cp)における配列番号13のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(R1Cp)は、例えば、Colwellia psychrerythraea 34H由来Pyr2C還元酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.YP_268197.1で登録されているアミノ酸配列からなるタンパク質(配列番号13)があげられる。

【0117】
(R1Cp)のアミノ酸配列(配列番号13)
MKIISAEQVHQNLNFEELIPLLKQSFSRPFSMPQRQVYSLAPEQSENHDAFALLPSWNEEVIGNKAFTYFPDNAKKHDLPGLFSKIMLFKRQTGEPLALVDGTSVTYWRTAAISALASQLLSRKNSQHLMLFGTGNLASYLVKAHLTVRDIKQVTLWGRNAKKVSKLIADFSILYPAVTFKTSVDVNAEVASADIICCATGAKTPLFDGNSVSAGCHIDCLGNHMTDARECDTTTILRARVFVDSLTNTLNEAGELLIPMAEDAFNKDEIVGELADMCKTPSMLRQSSDEITLFKSVGTAISDLVAAHSVVEKLAD

【0118】
本発明のPyr2C還元酵素は、例えば、以下のような化学的特性を有する。

【0119】
前記Pyr2C還元酵素は、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を基質とする還元酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。

【0120】
前記Pyr2C還元酵素は、例えば、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に対する基質特異性が、Δ-ピペリジン-2-カルボン酸に対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を基質とした代謝効率(Kcat/K)を相対活性100%とした場合に、Δ-ピペリジン-2-カルボン酸を基質とした相対活性が20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。

【0121】
前記Pyr2C還元酵素は、例えば、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に対するK値が、例えば、5mM以下であり、好ましくは1mM以下である。

【0122】
前記Pyr2C還元酵素は、例えば、補酵素として、NADHおよびNADPHのいずれも使用できる。

【0123】
<新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子>
本発明の新規遺伝子は、前述のように、下記(r1Ab)~(r7Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(r1Ab)配列番号4の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2Ab)前記(r1Ab)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3Ab)前記(r1Ab)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r4Ab)前記(r1Ab)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r5Ab)配列番号1のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r6Ab)配列番号1のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r7Ab)配列番号1のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド

【0124】
前記新規遺伝子は、前記本発明の新規タンパク質(新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素)をコードする遺伝子であることから、以下、新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子ともいう。前記新規Pyr2C還元酵素遺伝子は、本発明者らが新たに同定した遺伝子である。

【0125】
本発明の新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子は、例えば、前述のような本発明の新規Pyr2C還元酵素の遺伝子工学的手法による合成に有用である。

【0126】
配列番号4の塩基配列は、以下の通りである。配列番号4の塩基配列は、前記配列番号1のアミノ酸配列からなる本発明の新規Pyr2C還元酵素(R1Ab)のコード配列である。配列番号4のポリヌクレオチド(r1Ab)は、例えば、brasilenseから得ることができる。

【0127】
(r1Ab)のポリヌクレオチド(配列番号4)
ATGACCGCTCTTTCCCCGATTCCCGTTTTCGATGCGGCCGACACGGCCGCGCTGCTCGACTACCCGGCGCTGCTCGCCACGCTCAGGCAGGCCGTCGCCGACTATGCGGCGGGCGAGATCGTCAGCCCCGAACGCCTGGTCGTGCCGTTGCAGGCGGGCGGCGTGATGCTGTCGATGCCGTCGAGCGCGCGCGACCTCGCGACCCACAAGCTCGTGAACGTGTGCCCGGGCAACGGCGCGCGCGGGCTGCCGACGATCCTCGGCCAGGTCACCGCATACGACGCGACCACCGGCGAGATGCGTTTCGCGCTCGACGGCCCGACGGTCACCGGACGCCGCACGGCGGCCATCACCGCGCTCGGCATCCAGGCGCTGCATGGCGTCGCCCCGCGCGACATCCTGCTGATCGGCACCGGGAAACAGGCAGCGAATCACGCGGAAGCGCTCGCCGCGATCTTTCCCGACGCGCGCCTTCACGTGCGCGGCACGAGCGCCGACAGCGCGGCTGCCTTCTGCGCCGCGCACCGCACACAGGCACCGCATCTCGTGCCGCTCGACGGCGACGCGATTCCCGATGCGATCGACGTCGTCGTCACGCTCACGACCAGCCGCACGCCCGTCTATCGCGAAGCCGCGCGCGAAGGCCGGCTGGTGGTCGGCGTCGGCGCGTTCACCGCGGACGCGGCCGAGATCGACGCGAACACCGTGCGCGCCAGCCGGCTGGTCGTCGACGATCCGGCCGGCGCGCGCCACGAAGCCGGCGACCTGATCGTCGCGCAGGTCGACTGGCAGGATGTCGCGTCGCTCGCCGACGTGCTGCGCGGCGCATTCGACCGCAGCGGGCCGCTGCTGTTCAAGAGCGTCGGCTGTGCCGCGTGGGATCTGGCCGCGTGCCGCACCGCGCGCGATGCGCTGGCCGCACGCCGGGCCGGCTGA

【0128】
前記(r2Ab)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(r2Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(r2Ab)の「1もしくは数個」は、前記(r1Ab)の塩基配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。

【0129】
前記(r3Ab)において、「同一性」は、例えば、前記(r3Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(r3Ab)の同一性は、前記(r1Ab)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0130】
前記(r4Ab)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(r1Ab)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。

【0131】
前記(r4Ab)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔(Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。

【0132】
前記(r5Ab)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(r5Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(r5Ab)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号1のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。

【0133】
前記(r6Ab)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(r6Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(r6Ab)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号1のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。

【0134】
前記(r7Ab)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(r7Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記Pyr2C還元酵素活性を有する範囲であればよい。前記(r7Ab)の同一性は、前記配列番号1のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0135】
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。

【0136】
<Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子>
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子は、前述のように、下記(r1)~(r7)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(r1)配列番号15および16の少なくとも一方の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(r2)前記(r1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r3)前記(r1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r4)前記(r1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r5)配列番号13および14の少なくとも一方のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r6)配列番号13および14の少なくとも一方のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(r7)配列番号13および14の少なくとも一方のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、Pyr2C還元酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド

【0137】
前記Pyr2C還元酵素遺伝子は、本発明者らが新たに同定したPyr2C還元酵素遺伝子である。

【0138】
本発明のΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子は、例えば、前述のような本発明のPyr2C還元酵素の遺伝子工学的手法による合成に有用である。

【0139】
前記(r1)において配列番号15の場合、前記(r1)、(r2)、(r3)、(r4)、(r5)、(r6)および(r7)は、それぞれ、(r1Cp)、(r2Cp)、(r3Cp)、(r4Cp)、(r5Cp)、(r6Cp)および(r7Cp)ともいう。前記(r1)において配列番号16の場合、前記r1)、(r2)、(r3)、(r4)、(r5)、(r6)および(r7)は、それぞれ、(r1Tl)、(r2Tl)、(r3Tl)、(r4Tl)、(r5Tl)、(r6Tl)および(r7Tl)ともいう。

【0140】
前記(r1cp)における配列番号15の塩基配列は、以下の通りである。配列番号15の塩基配列は、前記配列番号13のアミノ酸配列からなる本発明のPyr2C還元酵素(R1Cp)のコード配列である。配列番号15のポリヌクレオチド(r1Cp)は、例えば、Colwellia psychrerythraea 34H由来Pyr2C還元酵素遺伝子としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.CPS_1455で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号15)があげられる。

【0141】
(r1Cp)のポリヌクレオチド(配列番号15)
ATGAAAATTATTAGCGCCGAACAAGTCCACCAAAACCTAAACTTTGAAGAGTTGATCCCTTTACTAAAACAGAGTTTTAGTCGCCCATTTAGTATGCCTCAGCGTCAGGTTTACTCACTAGCGCCTGAGCAAAGTGAAAATCATGATGCGTTTGCCTTATTACCTTCATGGAATGAAGAAGTGATTGGTAATAAAGCTTTCACTTACTTTCCTGACAACGCGAAAAAGCATGATTTACCGGGTTTGTTTTCGAAAATAATGCTGTTTAAACGCCAAACAGGTGAGCCGTTAGCACTGGTTGATGGCACCAGTGTTACGTATTGGCGAACAGCAGCTATTTCAGCATTAGCCAGCCAATTACTTTCTCGAAAAAATAGCCAACATCTGATGTTATTTGGTACCGGAAATCTAGCAAGTTATTTAGTAAAAGCGCATTTAACTGTGCGAGATATTAAGCAAGTTACTCTGTGGGGACGTAATGCAAAAAAAGTTAGCAAACTGATTGCAGACTTTAGTATTTTGTATCCAGCTGTTACGTTTAAAACCAGTGTTGATGTCAATGCTGAGGTAGCAAGTGCTGATATTATTTGCTGTGCAACGGGGGCAAAAACACCTCTTTTTGATGGGAATAGCGTGAGTGCAGGTTGTCATATTGATTGCTTAGGTAATCACATGACTGATGCGCGTGAATGCGATACAACAACAATATTACGCGCTAGGGTATTTGTTGATAGTTTAACGAATACCTTAAATGAAGCGGGTGAATTACTTATCCCTATGGCAGAAGATGCTTTTAACAAGGATGAGATTGTAGGCGAATTAGCTGACATGTGTAAAACGCCATCAATGCTGCGCCAATCAAGCGATGAAATAACGTTATTTAAGTCTGTGGGCACAGCGATTAGTGATTTAGTAGCGGCACATAGCGTAGTAGAAAAGTTAGCAGATTAA

【0142】
前記(r1Tl)における配列番号16の塩基配列は、以下の通りである。配列番号16の塩基配列は、前記配列番号14のアミノ酸配列からなる本発明のPyr2C還元酵素(R1Tl)のコード配列である。配列番号16のポリヌクレオチド(r1Tl)は、例えば、Thermococcus litoralis DSM 5473から得ることができる。

【0143】
(r1Tl)のポリヌクレオチド(配列番号16)
ATGTTGCTCCTCAGCAGAAGTGATCTTGAGAAGTTGATCTCAATGAAGGAAGTCATAGAGTCCGTTGAAAGAGCATTCTTAGAGCTCTATAACGGAAAAGCAAAAGTTCCGTTAAGGACTATAATAGAGGTTGAGAAGCACAACGGGTTCATTCTGTACATGCCAAGTTACTTAGAAGATTCCGAGGCTTTGGCTGTAAAGGTGGTTTCTTTATACCCTGAAAATACCAAGAAAGGTCTGCCGAGCGTTTTGGCGTCAATTCTTCTCAACGACCCAAAAACAGGTGCTCCATTGGCCTTGATGGAAGGCACCTTCATAACTGCCATGAGAACTGGGGCTGCAAGTGGTGTTGCCACAAAGTATCTTGCCAGAAAAGACTCAAAAATCGCGGGAATTATTGGCGCGGGGGTTCAAGCGAGAACTCAGCTCTGGGCAGTTTGCGAAGTTAGAAACATAGAAAAGGCACTTGTCTATGATATTAACCCCAAAAATGCTAAAAAATTTGCCGAAGAGATGTCTAAAAAGCTTGGAATCGAGATAAAAACAGTTGAATCTGCAAGGGAAGCTACTGAGAAGTCCGATATCCTAATAGTAGCAACAACGGCAAGAGAACCAGTAGTTAAGGGGGAaTGGATTAGGGAAGGCACGCACATCAACTCCGTAGGCTGGGTGGGGAGAGATGCCAGGGAACTCGATTCCGAAACAGTGAGAAAGTCTAAGCTGGTTGTGGACTCAAAAGAGGGTGTCCTAAATGAATCAGGGGACATAATAATTCCCATGAAAGAGGGGGTAATTGACGAGGGCCATATCCATGCCGAGCTTGCTGAAATCGTTGCTGGAGTTAAAAAAGGAAGGGAAAACAACAGAGAGATAACCCTTTTCAAGAGCGTCGGTTTGGCAATAGAAGATGCAATAACAGCCAAGTTAGCATATGAAAAAGCCCTTGAACATGGAGTTGGTACTAACGTGGAGCTTTAG

【0144】
前記(r2)~(r7)の説明は、前記本発明の新規Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素遺伝子の説明において、「(r2Ab)」を「(r2)」に、「(r3Ab)」を「(r3)」に、「(r4Ab)」を「(r4)」に、「(r5Ab)」を「(r5)」に、「(r6Ab)」を「(r6)」に、「(r7Ab)」を「(r7)」に、「配列番号1」を「配列番号13および14の少なくも一方」読み替えて援用できる。

【0145】
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。

【0146】
<Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素の発現ベクター>
本発明のPyr2C還元酵素の発現ベクターは、前記本発明の新規Pyr2C還元酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドおよび前記本発明のPyr2C還元酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドの少なくとも一方(以下、「本発明のPyr2C還元酵素のポリヌクレオチド」ともいう。)を含むことを特徴とする。本発明のPyr2C還元酵素の発現ベクターによれば、例えば、前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターを前記宿主に導入することで、前記本発明の新規Pyr2C還元酵素および前記本発明のPyr2C還元酵素の少なくとも一方を容易に製造できる。

【0147】
前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターは、例えば、前記本発明のPyr2C還元酵素のポリヌクレオチドがコードするPyr2C還元酵素を発現可能なように、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを含んでいればよく、その構成は何ら制限されない。

【0148】
前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターは、例えば、骨格となるベクター(以下、「基本ベクター」ともいう)に、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを挿入することで作製できる。前記ベクターの種類は、特に制限されず、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜決定できる。前記ベクターは、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクターがあげられる。前記導入方法としてヒートショック法により宿主の形質転換を行う場合、前記ベクターは、例えば、バイナリーベクター等があげられる。前記ベクターは、例えば、pETDuet-1ベクター、pQE-80LベクターおよびpUCP26Kmベクター等があげられる。大腸菌等の細菌に形質転換を行う場合、前記ベクターは、pETDuet-1ベクター(ノバジェン社)、例えば、pQE-80Lベクター(QIAGEN社)等があげられる。

【0149】
前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターは、例えば、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドの発現および前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドがコードする前記本発明の新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方の発現を調節する、調節配列を有することが好ましい。前記調節配列は、例えば、プロモーター、ターミネーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル配列、複製起点配列(ori)等があげられる。前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターにおいて、前記調節配列の配置は特に制限されない。前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターにおいて、前記調節配列は、例えば、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドの発現およびこれがコードする前記新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方の発現を、機能的に調節できるように配置されていればよく、公知の方法に基づいて配置できる。前記調節配列は、例えば、前記基本ベクターが予め備える配列を利用してもよいし、前記基本ベクターに、さらに、前記調節配列を挿入してもよいし、前記基本ベクターが備える調節配列を、他の調節配列に置き換えてもよい。

【0150】
前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターは、例えば、さらに、選択マーカーのコード配列を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、薬剤耐性マーカー、蛍光タンパク質マーカー、酵素マーカー、細胞表面レセプターマーカー等があげられる。

【0151】
<Δ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素の製造方法>
本発明の新規タンパク質(新規Pyr2C還元酵素)の製造方法は、特に制限されず、例えば、遺伝子工学的手法により製造してもよいし、新規Pyr2C還元酵素を発現する細菌等を公知の手段で培養し、新規Pyr2C還元酵素を産生させることにより製造してもよい。前者の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、前記本発明の新規遺伝子(新規Pyr2C還元酵素遺伝子)およびPyr2C還元酵素遺伝子の少なくとも一方を発現させる工程を有する。後者の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方を発現する細菌を培養し、新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方を産生させる工程を有する。これによって、前記本発明の新規Pyr2C還元酵素を製造できる。

【0152】
また、本発明のPyr2C還元酵素の製造方法は、特に制限されない。本発明のPyr2C還元酵素の製造方法は、前記本発明の新規Pyr2C還元酵素の製造方法の説明において、「新規Pyr2C還元酵素」を「Pyr2C還元酵素」に、「新規Pyr2C還元酵素遺伝子」を「Pyr2C還元酵素遺伝子」に、「新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方」を「Pyr2C還元酵素」に、読み替えて援用できる(以下、同様)。

【0153】
前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドの発現は、例えば、前記本発明のPyr2C還元酵素の発現ベクターを使用して行ってもよい。

【0154】
前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを発現させる方法は、特に制限されず、公知の方法が採用でき、例えば、宿主を使用してもよいし、無細胞タンパク質合成系を使用してもよい。

【0155】
前者の場合、例えば、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドが導入された前記宿主を使用し、前記宿主の培養により、前記宿主において前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを発現させることが好ましい。このように、例えば、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを宿主に導入することで、本発明の新規Pyr2C還元酵素を合成する形質転換体を製造でき、また、前記形質転換体の培養により、前記新規Pyr2C還元酵素を合成できる。

【0156】
前記宿主は、例えば、微生物、動物細胞、昆虫細胞、または、これらの培養細胞等の非ヒト宿主、単離したヒト細胞またはその培養細胞等があげられる。前記原核生物は、例えば、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等の細菌があげられる。前記真核生物は、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の酵母等があげられる。前記動物細胞は、例えば、COS細胞、CHO細胞等があげられ、前記昆虫細胞は、例えば、Sf9、Sf21等があげられる。

【0157】
前記宿主の培養の方法は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜設定できる。培養に使用する培地は、特に制限されず、前記宿主の種類に応じて適宜決定できる。

【0158】
前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを前記宿主に導入する方法は、特に制限されず、公知の方法により行うことができる。前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドは、例えば、前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターにより導入されてもよい。前記導入方法は、例えば、前記宿主の種類に応じて、適宜設定できる。前記導入方法は、例えば、パーティクルガン等の遺伝子銃による導入法、リン酸カルシウム法、ポリエチレングリコール法、リポソームを用いるリポフェクション法、エレクトロポレーション法、超音波核酸導入法、DEAE-デキストラン法、微小ガラス管等を用いた直接注入法、ハイドロダイナミック法、カチオニックリポソーム法、導入補助剤を用いる方法、アグロバクテリウムを介する方法等があげられる。前記リポソームは、例えば、リポフェクタミンおよびカチオニックリポソーム等があげられ、前記導入補助剤は、例えば、アテロコラーゲン、ナノ粒子およびポリマー等があげられる。前記宿主が、微生物の場合、例えば、中でも、coliまたはPsputida等を介する方法が好ましい。前記本発明のPyr2C還元酵素のポリヌクレオチドは、例えば、前記本発明のPyr2C還元酵素の発現ベクターにより前記宿主に導入してもよい。

【0159】
後者の場合、無細胞タンパク質合成系において前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドを発現させることが好ましい。この場合、前記Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチドの発現には、前記Pyr2C還元酵素の発現ベクターを使用してもよい。前記無細胞タンパク質合成系は、例えば、細胞抽出液と、各種成分を含むバッファーと、目的のPyr2C還元酵素のポリヌクレオチドが導入された発現ベクターとを用いて、公知の方法により行うことができ、例えば、市販の試薬キットが使用できる。

【0160】
前記新規Pyr2C還元酵素を発現する細菌の培養方法は、特に制限されず、従来公知の培養方法に基づいて、適宜実施できる。

【0161】
前記細菌は、特に制限されず、例えば、前述の通りである。

【0162】
前記細菌の培養に使用する培地の形態は、特に制限されず、例えば、固体培地、液体培地等、従来公知の培地を適宜使用できる。前記培地に含まれる成分は、特に制限されず、例えば、窒素源、炭素源、塩類等が挙げられる。前記窒素源としては、特に制限されず、例えば、カゼイン、ゼラチン、魚由来タンパク質、豆由来タンパク質等のタンパク質が挙げられる。また、前記炭素源は、特に制限されず、例えば、グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース等が挙げられる。前記塩類も、特に制限されず、例えば、塩化ナトリウム、リン酸水素二カリウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。また、前記培地は、さらに、前記新規Pyr2C還元酵素の発現誘導剤を含んでもよく、前記発現誘導剤は、例えば、L-プロリン、L-プロリン、D-プロリン、L-ヒドロキシプロリン、D-ヒドロキシプロリン、3-ヒドロキシプロリン、D-リジン等があげられる。前記培地は、例えば、市販培地を含んでもよい。前記市販培地としては、特に制限されず、例えば、LB培地、スーパーブロス培地、M9培地等が挙げられる。これらは、一種類で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。前記培地のpHは、特に制限されず、例えば、pH6~8の範囲であり、好ましくは、pH6.5~7.5の範囲である。

【0163】
前記細菌の培養方法は、特に制限されず、前記固体培地を用いた場合には、例えば、平板培養法、斜面培養法等が挙げられる。また、前記液体培地を用いた場合にも、特に制限されず、例えば、静置培養法、通気培養法、振とう培養法等が挙げられる。

【0164】
培養温度は、特に制限されないが、例えば、前述した前記細菌の生育可能温度や、前記生育最適温度等が挙げられる。具体的には、前記培養温度は、例えば、0~80℃の範囲等で行うことができる。前記細菌が、brasilenseの場合、前記培養温度は、例えば、15~40℃の範囲、30~37℃の範囲等で行うことができる。前記細菌が、Colwellia psychrerythraea 34Hの場合、前記培養温度は、例えば、0~10℃の範囲等で行うことができる。前記細菌が、Thermococcus litoralis DSM 5473の場合、前記培養温度は、例えば、70~80℃の範囲等で行うことができる。

【0165】
前記細菌は、例えば、好気的条件下で培養してもよく、嫌気的条件下で培養してもよい。前記好気的条件または嫌気的条件は、特に制限されず、従来公知の方法を用いて設定できる。

【0166】
本発明の製造方法は、例えば、前記新規Pyr2C還元酵素の精製工程を含んでもよい。前記精製方法は、特に制限されず、例えば、塩析、各種カラムクロマトグラフィー等があげられる。前記各種精製工程において使用する溶媒は、特に制限されず、例えば、緩衝液が使用できる。前記溶媒のpHは、例えば、6~8である。本発明の製造方法により得られた新規Pyr2C還元酵素は、例えば、そのまま粗酵素(非精製酵素)として使用してもよいし、部分的に精製した部分精製酵素として使用してもよいし、単一に精製した精製酵素として使用してもよい。

【0167】
<新規3-ヒドロキシプロリン脱水酵素>
本発明の新規タンパク質は、前述のように、下記(D1Ab)~(D3Ab)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
(D1Ab) 配列番号11のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3Ab) 前記(D1Ab)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質

【0168】
前記新規タンパク質は、以下、新規3-ヒドロキシプロリン(3-Hyp)脱水酵素ともいう。前記新規3-Hyp脱水酵素は、本発明者らが新たに同定したタンパク質である。

【0169】
前記(D1Ab)における配列番号11のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(D1Ab)は、例えば、brasilenseから得ることができる。以下の配列において2カ所の四角で囲んだ残基(C/T)は、3-Hyp脱水酵素の触媒機能に関与する活性部位である。

【0170】
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【0171】
前記(D2Ab)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(D2Ab)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D2Ab)の「1もしくは数個」は、前記(D1Ab)のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。

【0172】
前記(D3Ab)において、「同一性」は、例えば、前記(D3Ab)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D3Ab)の「同一性」は、前記(D1Ab)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0173】
前記(D2Ab)および(D3Ab)のタンパク質は、前記配列番号11のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されていることが好ましい。前記配列番号11のアミノ酸配列において、前記二か所の活性部位は、例えば、Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素(配列番号3)を基準として、アライメントを行い、対応する2カ所の部位を活性部位と判断できる。

【0174】
前記(D3Ab)のタンパク質は、前記配列番号11のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されている場合、前記同一性は、例えば、40%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは80%以上である。

【0175】
本発明の新規3-Hyp脱水酵素は、例えば、以下のような化学的特性を有する。

【0176】
前記新規3-Hyp脱水酵素は、3-ヒドロキシプロリンを基質とする脱水酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。

【0177】
前記新規3-Hyp脱水酵素は、例えば、3-ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が、4-ヒドロキシプロリンに対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、3-ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(Kcat/K)を相対活性100%とした場合に、4-ヒドロキシプロリンを基質とした相対活性が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。

【0178】
前記新規3-Hyp脱水酵素は、例えば、3-ヒドロキシプロリンに対するK値が、例えば、1mM以下であり、好ましくは0.5mM以下である。

【0179】
<3-ヒドロキシプロリン脱水酵素>
本発明の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素は、前述のように、下記(D1)~(D3)からなる群から選択された少なくとも一つであることを特徴とする。
(D1) 配列番号9および12の少なくとも一方のアミノ酸配列からなるタンパク質
(D2) 前記(D1)のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質
(D3) 前記(D1)のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質

【0180】
前記3-Hyp脱水酵素は、本発明者らが新たに同定した3-Hyp脱水酵素である。

【0181】
前記(D1)において配列番号9の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Cp)、(D2Cp)および(D3Cp)ともいう。前記(D1)において配列番号12の場合、前記(D1)、(D2)および(D3)は、それぞれ、(D1Tl)、(D2Tl)および(D3Tl)ともいう。

【0182】
前記(D1Cp)における配列番号9のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(D1Cp)は、例えば、Colwellia psychrerythraea 34H由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.CPS_1453で登録されているアミノ酸配列(配列番号9)からなるタンパク質等があげられる。以下の配列において2カ所の四角で囲んだ残基(C/T)は、3-Hyp脱水酵素の触媒機能に関与する活性部位である。

【0183】
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【0184】
前記(D1Tl)における配列番号12のアミノ酸配列は、以下の通りである。前記(D1Tl)は、例えば、Thermococcus litoralis DSM 5473由来3-Hyp脱水酵素としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.OCC_00387で登録されているアミノ酸配列(配列番号12)からなるタンパク質等があげられる。以下の配列において2カ所の四角で囲んだ残基(C/T)は、3-Hyp脱水酵素の触媒機能に関与する活性部位である。

【0185】
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【0186】
前記(D2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(D2)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D2)の「1もしくは数個」は、前記(D1)のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。本発明において、個数の数値範囲は、例えば、その範囲に属する正の整数を全て開示するものである。

【0187】
前記(D3)において、「同一性」は、例えば、前記(D3)が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(D3)の「同一性」は、前記(D1)のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0188】
前記(D2)および(D3)のタンパク質は、前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されていることが好ましい。前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記二か所の活性部位は、例えば、Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素(配列番号3)を基準として、アライメントを行い、対応する2カ所の部位を活性部位と判断できる。

【0189】
前記(D3)のタンパク質は、前記各配列番号のアミノ酸配列において、前記2カ所の活性部位の残基がC/Tに保存されている場合、前記同一性は、例えば、40%以上であり、好ましくは60%以上であり、より好ましくは80%以上である。

【0190】
本発明の3-Hyp脱水酵素は、例えば、以下のような化学的特性を有する。

【0191】
前記3-Hyp脱水酵素は、3-ヒドロキシプロリンを基質とする脱水酵素活性を有していればよく、例えば、さらに、その他の触媒活性を有してもよい。

【0192】
前記新規3-Hyp脱水酵素は、例えば、3-ヒドロキシプロリンに対する基質特異性が、4-ヒドロキシプロリンに対する基質特異性よりも高いことが好ましい。具体的には、3-ヒドロキシプロリンを基質とした代謝効率(Kcat/K)を相対活性100%とした場合に、4-ヒドロキシプロリンを基質とした相対活性が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは1%以下である。

【0193】
前記新規3-Hyp脱水酵素は、例えば、3-ヒドロキシプロリンに対するK値が、例えば、1mM以下であり、好ましくは0.5mM以下である。

【0194】
<新規3-ヒドロキシプロリン酵素遺伝子>
本発明の新規遺伝子は、前述のように、下記(d1Ab)~(d7Ab)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(d1Ab)配列番号17の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2Ab)前記(d1Ab)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d3Ab)前記(d1Ab)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d4Ab)前記(d1Ab)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d5Ab)配列番号11のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d6Ab)配列番号11のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d7Ab)配列番号11のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド

【0195】
前記新規遺伝子は、前記本発明の新規タンパク質(新規3-ヒドロキシプロリン脱水酵素)をコードする遺伝子であることから、以下、新規3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子ともいう。前記新規3-Hyp脱水酵素遺伝子は、本発明の発明者らが新たに同定した遺伝子である。

【0196】
本発明の新規3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子は、例えば、前述のような本発明の新規3-Hyp脱水酵素の遺伝子工学的手法による合成に有用である。

【0197】
配列番号17の塩基配列は、以下の通りである。配列番号17の塩基配列は、前記配列番号11のアミノ酸配列からなる本発明の新規3-Hyp脱水酵素(D1Ab)のコード配列である。配列番号17のポリヌクレオチド(d1Ab)は、例えば、bdasilenseから得ることができる。

【0198】
(d1Ab)のポリヌクレオチド(配列番号17)
ATGAAAATTACCCGATCCCTTTCCACCGTCGAAGTCCACACCGGCGGCGAAGCGTTCCGCATCGTCACGAGCGGGCTGCCGCGCGCGCCCGGCGACACGATCGTCCAGCGCCGCGCGTGGCTCAAGGAAAACGCCGACGAGATCCGCCGCGCGCTGATGTTCGAACCGCGCGGCCACGCCGACATGTACGGCGGCTACCTGACCGAGCCCGTGTCGCCGAACGCGGATTTCGGCGTGATCTTCGTGCACAACGAAGGCTACAGCGACCATTGCGGGCACGGCGTGATCGCGCTGTCGACCGCGGCCGTCGAGCTCGGCTGGGTGCAGCGCACGGTACCGGAAACGCGGGTCGGCATCGATGCGCCGTGCGGCTTCATCGAAGCGTTCGTCAAGTGGGACGGCGAGCATGCGGGACCGGTGCGCTTCGTCAACGTGCCGTCGTTCATCTGGCAGCGCGACGTGTCGGTCGAGACGCCGTCGTTCGGCACCGTGACCGGCGACATCGCGTACGGCGGCGCGTTCTACTTCTACGTCGACGGTGCGCCGTTCGACCTGCCGGTGCGCGAAGCGGCGGTGGAAAAGCTGATCCGTTTCGGCGCGGAAGTGAAGGCCGCCGCGAACGCGAAGTACCCGGTCGTGCATCCGGAGATCCCGGAAATCAACCATATCTACGGCACGATCATCGCGAATGCGCCGCGCCACCCGGGCTCGACGCAGGCGAACTGCTGCGTGTTCGCGGATCGCGAGGTCGACCGCTCGCCGACCGGTTCCGGCACCGGCGGCCGGGTCGCGCAGCTCTACCAGCGCGGGCTGCTCGCGGCGGGCGACACGCTCGTCAACGAATCGATCGTCGGCACGGTCTTCAAGGGGCGCGTGCTGCGCGAAACGACGGTCGGCGACATCCCGGCCGTGATTCCGGAAGTGGAAGGCAGCGCGCATATCTGCGGGTTCGCGAACTGGATCGTCGACGAGCGCGATCCGCTGACCTACGGTTTTCTCGTGCGCTGA

【0199】
前記(d2Ab)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(d2Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(d2Ab)の「1もしくは数個」は、前記(d1Ab)の塩基配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個、欠失、置換、挿入および/または付加されてもよい。

【0200】
前記(d3Ab)において、「同一性」は、例えば、前記(d3Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(d3Ab)の同一性は、前記(d1Ab)の塩基配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0201】
前記(d4Ab)において、「ハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド」は、例えば、前記(d1Ab)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambdook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Moleculad Cloning: A Labodatody Manual 2nd Ed.)」〔(Cold Spding Hadbod Labodatody Pdess (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。

【0202】
前記(d4Ab)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambdook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Moleculad Cloning: A Labodatody Manual 2nd Ed.)」〔(Cold Spding Hadbod Labodatody Pdess (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。

【0203】
前記(d5Ab)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(d5Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する塩基配列であればよい。前記(d5Ab)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号11のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。

【0204】
前記(d6Ab)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(d6Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(d6Ab)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号11のアミノ酸配列において、例えば、1~20個、好ましくは1~10個、より好ましくは1~9個、さらに好ましくは1~5個、特に好ましくは1~3個、最も好ましくは1または2個である。

【0205】
前記(d7Ab)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(d7Ab)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記3-Hyp脱水酵素活性を有する範囲であればよい。前記(d7Ab)の同一性は、前記配列番号11のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上であり、好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、より好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%以上である。

【0206】
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。

【0207】
<3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子>
本発明の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子は、前述のように、下記(d1)~(d7)からなる群から選択された少なくとも一つのポリヌクレオチドからなることを特徴とする。
(d1)配列番号18および19の少なくとも一方の塩基配列からなるポリヌクレオチド
(d2)前記(d1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d3)前記(d1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d4)前記(d1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d5)配列番号9および12の少なくとも一方のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d6)配列番号9および12の少なくとも一方のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d7)配列番号9および12の少なくとも一方のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、3-Hyp脱水酵素活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド

【0208】
前記3-Hyp脱水酵素遺伝子は、本発明の発明者らが新たに同定した3-Hyp脱水酵素遺伝子である。

【0209】
本発明の3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子は、例えば、前述のような本発明の3-Hyp脱水酵素の遺伝子工学的手法による合成に有用である。

【0210】
前記(d1)において配列番号18の場合、前記(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)、(d6)および(d7)は、それぞれ、(d1Cp)、(d2Cp)、(d3Cp)、(d4Cp)、(d5Cp)、(d6Cp)および(d7Cp)ともいう。前記(d1)において配列番号19の場合、、前記(d1)、(d2)、(d3)、(d4)、(d5)、(d6)および(d7)は、それぞれ、(d1Tl)、(d2Tl)、(d3Tl)、(d4Tl)、(d5Tl)、(d6Tl)および(d7Tl)ともいう。

【0211】
前記(d1cp)における配列番号18の塩基配列は、以下の通りである。配列番号18の塩基配列は、前記配列番号9のアミノ酸配列からなる本発明の3-Hyp脱水酵素(D1Cp)のコード配列である。配列番号18のポリヌクレオチド(d1Cp)は、例えば、Colwellia psychrerythraea 34H由来3-Hyp脱水酵素遺伝子としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.CPS_1453で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号18)があげられる。

【0212】
(d1Cp)のポリヌクレオチド(配列番号18)
ATGACAAAAAATATAGCGCAAGCAGCTGTAAAATTTGAACAATGGCAGCCAAAAATTGAGCAAGAAAGTTATTTAACCATTAATTCCCTTGAGTGCCATACCGGTGGTGAGCCATTGCGTATTATCACCAGTGGTTTTCCTGTATTAAAAGGCAATACCATTTTGGCAAAAGCAAATGATTGTAAGCAAAACTATGATCAACTTCGTCGAGCATTGATGTTTGAGCCTCGGGGGCATGCTGATATGTATGGCGCTATTATTACTGACGCTGAGCGAGACGATAGCCACTTTGGTGCTGTGTTTATTCATAACGAAGGTTATAGCAGTATGTGTGGTCATGCAGTTATAGCTTTGACAAAAACTGCGGTAGAGTCAGGTGTAGTTGCCAGAACAGGCGATGTTACTCAAGTTGTTATCGATGTACCTTGTGGACAGATTTACGCAATGGCTTATAGCCACAATAATGTAGTGAAACACGTTAGCTTTCAATGCGTACCTTCATTTGTTTATGCCAAAGATCAACAGGTTGAGGTTGATGGCATTGGCATGGTTCAGTTTGATATTGCTTACGGTGGTGCTTTTTATGCTTATGTACAAGCCTCTTCTCTTGGTTTGTCATTGGTGCCTGAGCAACAAGAAAAGCTCATAGCGTATGGCCGAAAAATCAAACAAGCCATTATTCCTCAGTTTGAAATTAATCATCCAACGACCGCAGAATTGAGTTTTTTATATGGCGTTATTTTTATTGATGACTCACCGAATCAAGATGTGCATTCACGCAATGTCTGTATTTTTGCTGATGGCGAATTAGATAGGAGTCCTACTGGCAGTGGGGTTAGTGGACGTATCGCTTTGCATCATGCCAAACAGCAAATAGTTTTAAATGAAACGATTACCATAGAGAGCATTTTAGCGAGTTCGTTTAGTGTCCGAGCTATTGAAACAGTATGCTTTGCCGGTTTTGATGCGGTGATTCCTGAGGTAACAGGCGATGCCTATGTCTGTGGTAAAGGCCAGTGGTTTATTAACGCTGAAGATCCGTTGAAATATGGTTTTTTATTAAGATAA

【0213】
前記(d1Tl)における配列番号19の塩基配列は、以下の通りである。配列番号19の塩基配列は、前記配列番号12のアミノ酸配列からなる本発明の3-Hyp脱水酵素(D1Tl)のコード配列である。配列番号19のポリヌクレオチド(d1Tl)は、例えば、Thermococcus litoralis DSM 5473由来3-Hyp脱水酵素遺伝子としては、例えば、GenBankにアクセッションNo.OCC_0038で登録されている塩基配列からなるポリヌクレオチド(配列番号19)があげられる。

【0214】
(d1Tl)のポリヌクレオチド(配列番号19)
ATGTTCAAAAAACTTGAGAACTTAGAGAAATGGGAACCCCCAAAAGATTGGATGGTAATTAAAACTCTCGATACTCACACTGCTGGAGAACCACTAAGGATAATCTTAAGCGGTTTCCCAGAGATTCCCGGAAAAACAATACTAGAAAAGAGGCGCTATCTCATGGAAAACCTAGATCACCTTAGAAAAGCCCTAATGTGGGAGCCAAGAGGACATGCAGATATGTATGGGGCAATAATAACGGAACCTGTTAGTGAAGAAGCAGACTTCGGCGTAATATTCATGCACAACGAAGGTTATAGTACAATGTGTGGTCATGCGACCATAGCCCTTGGAAAAGTTGCTGTGGAGTGCGGGCTTGTTGAAGCTAAAGAACCAATAACCGAGATAAAGATGGACAGCCCAGCTGGTCTAATCAAGATTTACGTTAAGGTTAGGGATGGAAAAGTGGAGAAAGTTTACTTCCACAACGTGCCATCTTTTGTTCTTTTCAAAGATGAAACTATCAACGTTCCAGGAATAGGGGAAGTTAAATACGATCTTGCCTATGGGGGAGCGTTCTACGCATTCGTGAATGCTGAAGAGATTGGATTAAAGTGCACTCCAGAATATTACAGGCAACTCATTGACGTCGGCATGAAAATTAAAAGAGCTATAATGTCCGAAAAAGAAATAAGGCACCCATTTGAGGAGGATTTAAGCTTTCTGTATGGGACGATATTCATAGGAGAGCCGGAAGATGAGAACTCTCACAGCAGGCATGTTTGCATATTCGCCGATGGTGAAGTTGATAGAAGTCCAACGGGAACCGGCGTAAGTGCAAGGCTTGCAATCCTCTATGAAAAAGGAGAAATCGACATAGGAGAAGAGATAACAATCGAGAGCATAATCGGCACAAAGTTCACCGGAAAAGTTGTTGAAGAGACAAGATACGGCCTTTACAGGGCAATAATCCCTGAAGTTGGAGGAAACGCCTACATAGTGGCTAAGAATACCTTTTTAATCGACCCCCAAGATCCACTCAAGTACGGATTTTTCTTAAGATGA

【0215】
前記(d2)~(d7)の説明は、前記本発明の新規3-ヒドロキシプロリン脱水酵素遺伝子の説明において、「(d2Ab)」を「(d2)」に、「(d3Ab)」を「(d3)」に、「(d4Ab)」を「(d4)」に、「(d5Ab)」を「(d5)」に、「(d6Ab)」を「(d6)」に、「(d7Ab)」を「(d7)」に、「配列番号11」を「配列番号9および12の少なくとも一方」に読み替えて援用できる。

【0216】
本発明において、前記各種ポリヌクレオチドは、例えば、遺伝子工学的手法または有機合成的手法によって合成でき、cDNA等の合成DNA、合成RNAということもできる。

【0217】
<3-ヒドロキシプロリン脱水酵素の発現ベクター>
本発明の3-Hyp脱水酵素の発現ベクターは、前記本発明の新規3-Hyp脱水酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドおよび前記本発明の3-Hyp脱水酵素遺伝子である前記ポリヌクレオチドの少なくとも一方(以下、「本発明の3-Hyp脱水酵素のポリヌクレオチド」ともいう。)を含むことを特徴とする。本発明の3-Hyp脱水酵素の発現ベクターによれば、例えば、前記3-ヒドロキシプロリン脱水酵素の発現ベクターを前記宿主に導入することで、前記本発明の新規3-Hyp脱水酵素および前記本発明の3-Hyp脱水酵素の少なくとも一方を容易に製造できる。

【0218】
本発明の3-Hyp脱水酵素の発現ベクターの説明は、前記本発明のPyr2C還元酵素の発現ベクターの説明において、「Pyr2C還元酵素の発現ベクター」を「3-Hyp脱水酵素の発現ベクター」に、「Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチド」を「3-Hyp脱水酵素のポリヌクレオチド」に、「新規Pyr2C還元酵素」を「新規3-Hyp脱水酵素」に、「Pyr2C還元酵素」を「3-Hyp脱水酵素」に読み替えて援用できる。

【0219】
<3-ヒドロキシプロリン脱水酵素の製造方法>
本発明の新規タンパク質(新規3-Hyp脱水酵素)の製造方法は、特に制限されず、例えば、遺伝子工学的手法により製造してもよいし、新規3-Hyp脱水酵素を発現する細菌等を公知の手段で培養し、新規3-Hyp脱水酵素を産生させることにより製造してもよい。前者の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、前記本発明の新規遺伝子(新規3-Hyp脱水酵素遺伝子)を発現させる工程を有する。後者の場合、具体例としては、本発明の製造方法は、例えば、新規3-Hyp脱水酵素を発現する細菌を培養し、新規3-Hyp脱水酵素を産生させる工程を有する。これによって、前記本発明の新規3-Hyp脱水酵素を製造できる。

【0220】
本発明の新規3-Hyp脱水酵素の製造方法の説明は、前記本発明のPyr2C還元酵素の製造方法の説明において、「Pyr2C還元酵素の発現ベクター」を「3-Hyp脱水酵素の発現ベクター」に、「Pyr2C還元酵素のポリヌクレオチド」を「3-Hyp脱水酵素のポリヌクレオチド」に、「新規Pyr2C還元酵素」を「新規3-Hyp脱水酵素」に、「新規Pyr2C還元酵素遺伝子およびPyr2C還元酵素遺伝子の少なくとも一方」を「新規3-Hyp脱水酵素遺伝子」に、「新規Pyr2C還元酵素およびPyr2C還元酵素の少なくとも一方」を「新規3-Hyp脱水酵素」に読み替えて援用できる。

【0221】
また、本発明の3-Hyp脱水酵素の製造方法は、特に制限されない。本発明の3-Hyp脱水酵素の製造方法は、前記本発明の新規3-Hyp脱水酵素の製造方法の説明において、「新規3-Hyp脱水酵素」を「3-Hyp脱水酵素」に、「新規3-Hyp脱水酵素遺伝子」を「3-Hyp脱水酵素遺伝子」に読み替えて援用できる。

【0222】
<3-ヒドロキシプロリンの分析試薬>
本発明の分析試薬は、3-ヒドロキシプロリンの分析試薬であって、3-ヒドロキシプロリン脱水酵素およびΔ-ピロリン-2-カルボン酸還元酵素を含むことを特徴とする。

【0223】
本発明の分析試薬によれば、前記本発明の3-ヒドロキシプロリンの分析方法を、より簡便に行うことができる。本発明の分析試薬は、前記3-Hyp脱水酵素および前記Pyr2C還元酵素を含むことが特徴であって、その他の構成等は、特に制限されない。前記3-Hyp脱水酵素および前記Pyr2C還元酵素は、前述の通りである。前記Pyr2C還元酵素は、前記本発明の新規Pyr2C還元酵素および前記本発明のPyr2C還元酵素の少なくとも一方であることが好ましい。また、前記3-Hyp脱水酵素は、前記本発明の新規3-Hyp脱水酵素および前記本発明の3-Hyp脱水酵素の少なくとも一方であることが好ましい。

【0224】
本発明の分析試薬は、例えば、さらに、前記本発明の分析方法において使用できる成分を備えてもよい。前記成分は、例えば、前述のような、緩衝液、基質等があげられる。前記基質は、特に制限されず、例えば、NADHおよびNADPH等があげられる。

【0225】
本発明の分析試薬は、例えば、一つの容器に各成分が収容されてもよいし、複数の容器に各成分が別個に収容されてもよい。後者の場合、本発明の分析試薬は、例えば、分析用キットともいう。本発明の分析用キットは、例えば、さらに、使用説明書を備えてもよい。また、本発明の分析方法において、前記(s4)工程における「相関関係」を準備するための、前記3-ヒドロキシプロリンの標準試料を備えてもよい。

【0226】
<コラーゲンの測定試薬>
本発明の測定試薬は、コラーゲンの測定試薬であって、3-ヒドロキシプロリンの分析試薬を含み、前記分析試薬が、前記本発明の分析試薬であることを特徴とする。

【0227】
本発明の測定試薬を用いれば、前記本発明のコラーゲンの測定方法を、より簡便に行うことができる。本発明の測定試薬は、前記本発明の分析試薬を含むことが特徴であって、その他の構成等は、特に制限されない。本発明の測定試薬は、例えば、測定用キットともいう。本発明の測定用キットは、例えば、さらに、使用説明書を備えてもよい。
【実施例】
【0228】
次に、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。
【実施例】
【0229】
[実施例1]
本例では、Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素(C14orf149)およびPsaeruginosa由来Pyr2C還元酵素(PaLhpD)を使用し、3-ヒドロキシプロリンの測定を行った。
【実施例】
【0230】
(1)発現ベクターの構築
Homo sapiens由来3-Hyp脱水酵素(配列番号3)をコードするC14orf149 cDNA(配列番号5)は、理研バイオリソースセンターより取得した。また、PsaeruginosaPAO1株のゲノムDNAを鋳型として、PaPyr2C還元酵素(配列番号2)をコードするPaLhpD cDNA(配列番号6)を増幅した。
【実施例】
【0231】
C14orf149 cDNA(配列番号5)
ATGGAGAGCGCGCTGGCGGTGCCCCGGCTGCCCCCGCATGATCCAGGGACGCCGGTGCTGTCGGTGGTGGACATGCACACGGGCGGCGAGCCCTTGCGTATCGTGCTGGCGGGGTGTCCGGAGGTGTCTGGGCCCACCCTGCTGGCCAAGCGGCGCTACATGCGCCAGCACCTTGACCACGTGCGGCGACGGCTCATGTTCGAGCCCCGAGGGCACCGGGACATGTACGGGGCGGTCCTAGTCCCGAGCGAGCTGCCGGACGCGCATCTGGGCGTCCTGTTCCTGCACAACGAGGGCTACAGCTCCATGTGCGGCCACGCAGTGCTGGCGCTGGGCCGCTTCGCTTTGGACTTCGGGCTTGTGCCGGCGCCCCCTGCGGGCACCCGCGAGGCCCGCGTCAATATCCACTGCCCCTGCGGGCTGGTGACCGCCTTCGTGGCATGCGAGGACGGCCGCAGCCACGGACCGGTGCGCTTCCACAGCGTCCCGGCCTTCGTGCTGGCCACAGATCTCATGGTGGATGTTCCTGGACATGGAAAGGTGATGGTGGACATTGCATATGGCGGTGCATTTTATGCATTTGTTACTGCTGAAAAGTTAGGACTAGACATTTGTTCTGCAAAGACCAGGGACCTTGTGGATGCAGCGAGTGCAGTGACAGAGGCAGTGAAAGCTCAGTTTAAAATTAATCATCCTGATAGTGAAGACCTTGCCTTTTTATATGGAACTATATTAACAGATGGAAAAGATGCTTATACCAAGGAACCAACCACCAACATTTGTGTTTTTGCAGATGAACAGGTTGACAGAAGTCCCACTGGCTCAGGAGTGACAGCCCGAATTGCCTTACAGTATCACAAAGGGCTTCTGGAACTGAACCAGATGAGAGCCTTCAAAAGCAGTGCAACTGGCTCAGTATTCACAGGGAAAGCTGTGAGGGAAGCGAAATGTGGTGATTTTAAAGCTGTTATAGTGGAAGTATCAGGACAAGCCCATTACACGGGTACAGCAAGCTTTATAATAGAAGATGACGACCCATTGAGGGATGGATTTCTTCTCAAGTGA
【実施例】
【0232】
PaLhpD cDNA(配列番号6)
GTGATCCGAATGACGCTGGACGAGGTCCGCGAGCTGGCCGTGCGCATCCTGCGCCGGCACGCTTTCAGCGAAGCCCATGTACAGGCGGTGGCCGATACCCTGGTGGCGGGGGAGCGTGACGAATGCGCGTCCCACGGTATCTGGCGGTTGCTCGGCTGCATCGCCACCCTGAAGGCCGGCAAGGTATCCGCCGACGCCGAGCCGGAACTGCACGACATCGCTCCCGGCCTGCTGCGGGTCGACGCCCATGGCGGGTTCTCCCAGTGCGCATTCCGGCTGGGGCTGCCGCATCTGCTGGAGAAGGCCCGCAGCCAGGGTATCGCGGCGATGGCGGTGAACCGCTGTGTGCATTTCTCCGCGCTATGGGTTGAGGTCGAGGCACTCACCGAGGCGGGCCTGGTGGCCCTGGCGACCACGCCGAGTCATGCCTGGGTGGCGCCGGCGGGCGGACGCAAGCCGATCTTCGGCACCAACCCGATCGCCTTTGGCTGGCCGCGTCCGGACGGCCCGCCGTTCGTCTTCGACTTCGCCACCAGCGCCGTGGCGCGTGGCGAGATCCAGTTGCACGAACGCGCCGGCAAGCCGATCCCGCTGGGCTGGGGGGTGGACGAGCAGGGCGAGCCGACCACCGATGCCAGCGCCGCGTTGCGAGGCGCCATGCTTACTTTCGGCGGGCACAAGGGCTCGGCCCTGGCGGCGATGGTCGAACTGCTCGCCGGTCCGCTGATCGGCGACCTGACCAGTGCCGAGTCGCTGGCCTACGACGAGGGCAGCCGTTCTTCTCCCTACGGTGGCGAACTGCTGATCGCCATCGATCCGCGGCGCATGCTCGGCGCCTCGGCGGAGGAGCACCTGGCGCGCGCCGAGACGCTGTTCGAAGGCATCGTCGAACAGGGCGCGCGCTTGCCCTCGCAGCGACGCTTCGAAGCGCGCGAACGCAGCGCCAGGGACGGCGTGACGATTCCCGAGGCGTTGCACCGGGAGCTGCTGGCGTTGCTGGAGTGA
【実施例】
【0233】
前記C14orf149 cDNAおよび得られたPCR産物を、それぞれアンピシリン耐性遺伝子を有するpETDuet-1ベクター(ノバジェン社製)およびpQE-80Lベクター(キアゲン社製)に連結した。C14orf149 cDNAを挿入したベクターを、C14orf149発現ベクター、PaLhpD cDNAを挿入したベクターを、PaLhpD発現ベクターとした。なお、前記ベクターは、いずれも発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチド(ヒスチジンタグ)を付加するように設計されている。
【実施例】
【0234】
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌BL21(DE3)およびDH5α株に、前記C14orf149発現ベクターおよび前記PaLhpD発現ベクターを、それぞれ単独で、ヒートショック法により形質導入した。得られた形質転換体を、抗生物質(アンピシリン)を含有するLB培地を用いて、OD600=0.6程度になるまで37℃で培養した。前記培地における前記抗生物質濃度は、50mg/Lとした。前記培養後、さらに、1mmol/LとなるようにIPTGを前記培養液に添加し、6時間培養した。PaLhpDの発現の際には、IPTGを添加し、前記添加後は、18℃で培養した。培養した菌体を集菌し、300mmol/L NaCl、および10mmol/L イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH8)に懸濁し、超音波破砕した。そして、遠心分離によって上清(無細胞抽出液)を回収して、下記条件のカラムクロマトグラフィーに供して、発現したリコンビナントタンパク質を精製した。以下、前記C14orf149発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を「C14orf149」、前記PaLhpD発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を「PaLhpD」とした。
【実施例】
【0235】
(カラムクロマトグラフィー)
カラム:Ni-NTA Spin Column(キアゲン社製)
洗浄用緩衝液:300mmol/L NaClおよび50mmol イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウム緩衝液(pH8)
溶出用緩衝液:300mmol/L NaClおよび250mmol/L イミダゾールを含有する50mmol/L リン酸ナトリウムバッファー(pH8)
【実施例】
【0236】
(3)リコンビナントタンパク質の発現の確認
前記リコンビナントタンパク質について、12%ゲルを用いてSDS-PAGEを行った。前記電気泳動後、CBB染色により、バンドの検出を行った。これらの結果を図1に示す。図1は、前記リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。図1において、写真の左側が、分子量マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、C14orf149、PaLhpDの結果である。
【実施例】
【0237】
図1に示すように、C14orf149について、約41KDa付近にバンドが観察され、PaLhpDについて、約39KDa付近にバンドが観察された。これらのバンドの分子量は、それぞれC14orf149の理論値39618.72Da、PaLhpDの理論値36950.61Daと近似していた。これらの結果から、前記発現ベクターから、C14orf149およびPaLhpDが発現され、且つ、単一に精製されていることが確認された。
【実施例】
【0238】
(4)3-ヒドロキシプロリンの測定
分光光度計(商品名シマズUV-1800分光光度計、島津GLC)のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(1μg)のC14orf149および1μL(1μg)のPaLhpDを添加し、さらに、所定濃度(1、2、4、6、8または10mmol/L)となるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0239】
【表1】
JP2015033636A1_000010t.gif
【実施例】
【0240】
これらの結果を図2に示す。図2は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示す。図2に示すように、いずれの3-ヒドロキシプロリンの濃度においても、同程度の直線性が得られた。
【実施例】
【0241】
(5)検量線の作成
前記(4)の測定結果から、基質濃度の逆数(1/S)および反応速度の逆数(1/V)を計算し、ラインウィンバー・バークプロット(検量線)を作成した。
【実施例】
【0242】
これらの結果を図3に示す。図3において、横軸は、基質濃度の逆数(1/S)を示し、縦軸は、反応速度の逆数(1/V)を示し、各グラフ内の関数は、相関関数を示し、Rは、相関係数を示す。図3に示すように、C14orf149およびPaLhpDを用いた場合、基質濃度1~10mmol/Lの間で、相関係数が0.99以上の相関性の高い検量線が作成できた。これらの結果から、C14orf149およびPaLhpDを使用することで、広い濃度範囲について、3-ヒドロキシプロリンの精度に優れる定量が可能であることがわかった。
【実施例】
【0243】
[実施例2]
本例では、3-Hyp脱水酵素とPyr2C還元酵素とを用いた3-ヒドロキシプロリンの分析について、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素の添加量、ならびに、Pyr2C還元酵素の添加前における3-Hyp脱水酵素のインキュベート時間による影響を確認した。3-Hyp脱水酵素として、前記実施例1(2)のC14orf149、Pyr2C還元酵素として、前記実施例1(2)のPaLhpDを使用した。
【実施例】
【0244】
(1)酵素の添加量
反応液における3-ヒドロキシプロリンの終濃度を10mmol/Lとし、C14orf149(H)およびPaLhpD(D)の添加量(H:D)を、それぞれ、下記条件とした以外は実施例1(4)と同様にして、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
条件(i) H:10μg D:10μg
条件(ii) H:33.9μg D:10μg
条件(iii) H:10μg D:84μg
【実施例】
【0245】
これらの結果を、図4に示す。図4は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示し、図中に示した(i)-(iii)は、添加したC14orf149およびPaLhpDの前記条件を示す。図4に示すように、条件(i)-(iii)のいずれにおいても、吸光度の減少がみられた。中でも、前記条件(ii)および条件(iii)は、前記条件(i)と比較して、吸光度の減少がより速く、また、反応開始直後においても優れた直線性を示した。これらの結果から、3-Hyp脱水酵素またはPyr2C還元酵素の量を増やすことにより、反応開始直後でも、3-ヒドロキシプロリンを精度よく測定できることがわかった。
【実施例】
【0246】
(2)3-Hyp脱水酵素のインキュベート時間
前記反応セルに、前記表1の組成の反応試薬、C14orf149 1μLおよび3-ヒドロキシプロリン 100μLを添加し、所定時間(0、1、2、5、10分)インキュベートした後、PaLhpD 1μLを添加した。PaLhpDの添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長340nmの吸光度を測定した。C14orf149およびPaLhpDの添加量は、それぞれ、10μgとし、前記反応液における3-ヒドロキシプロリンの終濃度を10mmol/Lとした以外は、前記(1)と同様とした。
【実施例】
【0247】
これらの結果を図5に示す。図5は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示し、図中の時間は、PaLhpD添加前における3-Hyp脱水酵素のインキュベート時間(0、1、2、5、10分)である。
【実施例】
【0248】
図5に示すように、インキュベート時間にかかわらず、経時的に吸光度の減少が見られた。中でも、インキュベート時間が5分以上である場合、吸光度の減少がより速く、反応開始直後においても優れた直線性を示した。これらの結果から、インキュベート0時間であっても、3-ヒドロキシプロリンを精度よく測定でき、インキュベート時間5分以上とすることで、さらに精度を向上できることがわかった。
【実施例】
【0249】
[実施例3]
本例では、brasilense由来Pyr2C還元酵素(AbLhpI)を精製し、特性を確認した。
【実施例】
【0250】
(1)発現ベクターの構築
brasilense ATCC29145株のゲノムDNAを鋳型として、AbPyr2C還元酵素(配列番号1)をコードするAbLhpI cDNA(配列番号4)を増幅した。
【実施例】
【0251】
得られたPCR産物を、アンピシリン耐性遺伝子を有するpETDuet-1ベクター(ノバジェン社製)に連結した。AbLhpI cDNAを挿入したベクターを、AbLhpI発現ベクターとした。なお、前記ベクターは、発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチド(ヒスチジンタグ)を付加するように設計されている。
【実施例】
【0252】
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌BL21(DE3)株に、前記AbLhpI発現ベクターを導入した以外は前記実施例1(2)と同様にして、上清(無細胞抽出液)を回収した。そして、前記上清を、前記実施例1(2)と同様にして、カラムクロマトグラフィーに供し、発現したリコンビナントタンパク質を精製した。以下、前記AbLhpI発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「AbLhpI」とした。
【実施例】
【0253】
(3)リコンビナントタンパク質の発現の確認
25μgの前記無細胞抽出液および10μgのAbLhpIについて、12%ゲルを用いてSDS-PAGEを行った。前記電気泳動後、CBB染色により、バンドの検出を行った。これらの結果を図6に示す。図6は、前記無細胞抽出液および前記リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。図6において、写真の左側が、分子量マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(M)、前記無細胞抽出液、AbLhpIの結果である。
【実施例】
【0254】
図6に示すように、前記無細胞抽出液およびAbLhpIについて、約37KDa付近にバンドが観察された。このバンドの分子量は、AbLhpIの理論値33555.73Daと近似していた。これらの結果から、前記発現ベクターから、AbLhpIが発現され、且つ、単一に精製されていることが確認された。
【実施例】
【0255】
(4)補酵素特異性
前記反応セルに、下記表2の組成の反応試薬、Δ-ピロリン-2-カルボン酸、1μL(10μg)のAbLhpIを添加し、さらに、NADPHまたはNADHを添加した。NADPHまたはNADHの添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長340nmの吸光度を測定した。前記反応液におけるΔ-ピロリン-2-カルボン酸の終濃度を1mmol/Lとし、NADPHまたはNADHの終濃度を0.00015mmol/Lとした。
【実施例】
【0256】
【表2】
JP2015033636A1_000011t.gif
【実施例】
【0257】
これらの結果を図7に示す。図7は、前記反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示す。図7に示すように、NADPHおよびNADHのいずれの場合においても、経時的に吸光度の減少が見られ、優れた直線性を示した。これらの結果から、AbLhpIは、NADPHおよびNADHのいずれも、補酵素として利用できることがわかった。
【実施例】
【0258】
また、NADPHを使用した際のAbLhpIの比活性は、171.5unit/mg proteinであり、NADHを使用した際のAbLhpIの比活性は、126.2unit/mg proteinであった。そして、前記実施例1で使用したPaLhpDは、NADHを使用した際の比活性が18.6unit/mg proteinであることから、AbLhpIは、PaLhpDに対し、約10倍高い比活性を示すことがわかった。このことから、Pyr2C還元酵素としてApLhpIを使用することで、使用する酵素のタンパク質量を低減することが可能といえる。
【実施例】
【0259】
(5)基質特異性
前記反応セルに、下記表3の組成の反応試薬、1μL(20μg)AbLhpIおよびNADPを添加し、さらに、下記基質を添加した。基質の添加時を0秒として、60秒における反応液の波長340nmの吸光度を測定した。そして、AbLhpIのL-プロリンに対する比活性を100%として、その他の基質に対する相対活性を算出した。前記反応液において、NADPの終濃度は0.0015mmol/Lとし、基質の終濃度は10mmol/Lとした。また、AbLhpIに代えて、前記実施例1(2)のPaLhpDを添加した以外は同様にして、PaLhpDの基質に対する相対活性を算出した。
【実施例】
【0260】
【表3】
JP2015033636A1_000012t.gif
【実施例】
【0261】
(基質)
L-プロリン、トランス-3-ヒドロキシ-L-プロリン、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン、シス-3-ヒドロキシ-L-プロリン、トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン、トランス-4-ヒドロキシ-D-プロリン、D-プロリン、シス-4-ヒドロキシ-D-プロリン
【実施例】
【0262】
これらの結果を図8に示す。図8は、AbLhpIおよびPaLhpDの基質特異性を示すグラフである。図8において、横軸は、基質を示し、縦軸は、相対的活性を示す。図8に示すように、PaLhpDは、トランス-3-ヒドロキシ-L-プロリン、シス-4-ヒドロキシ-L-プロリン、シス-3-ヒドロキシ-L-プロリンに対し、弱い活性を示し、また、L-プロリンに対し、強い活性を示した。また、AbLhpIは、L-プロリン以外のプロリンアナログに対し、活性を示さなかった。これらの結果から、AbLhpIおよびPaLhpDは、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を水素化し、L-プロリンを生成するPyr2C還元酵素であることがわかった。また、AbLhpIは、PaLhpDと比較して、トランス-3-ヒドロキシ-L-プロリンに対する活性が弱いことから、3-ヒドロキシプロリンの分析に、より適していることがわかった。
【実施例】
【0263】
[実施例4]
本例では、3-Hyp脱水酵素として前記実施例1(2)のC14orf149、Pyr2C還元酵素として前記実施例3(2)のAbLhpIを使用し、3-ヒドロキシプロリンを測定した。
【実施例】
【0264】
3-ヒドロキシプロリンの測定は、AbLhpIを用い、3-ヒドロキシプロリン添加後に5分間インキュベートしてから測定を開始した以外は、前記実施例1(4)と同様にして、反応液の波長340nmの吸光度を測定した。AbLhpIの添加量は、1μL(0.4μg)とした。また、Pyr2C還元酵素として、実施例1(2)のPaLhpDを使用し、添加量を1μL(10μg)とした以外は同様に測定した。
【実施例】
【0265】
これらの結果を図9に示す。図9は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、測定時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示す。図9において、測定時間は、5分間のインキュベートが終了した時点を基準としたときの時間である。図9に示すように、AbLhpI(LhpI)を用いた場合、経時的に吸光度の減少が見られ、優れた直線性を示した。これらの結果から、AbLhpIを用いることで、優れた精度で3-ヒドロキシプロリンを測定できることがわかった。また、AbLhpIは、PaLhpD(LhpD)よりも、吸光度の減少がより速く、また測定開始0-60秒の間においても優れた直線性を示した。これらの結果から、Pyr2C還元酵素の中でもAbLhpIが極めて優れたPyr2C還元酵素活性を示し、その直線性から、3-ヒドロキシプロリンの分析に適していることがわかった。
【実施例】
【0266】
[実施例5]
本例では、brasilense ATCC29145株を培養して、無細胞抽出液を調製し、3-Hyp脱水酵素活性およびPyr2C還元酵素活性を測定した。
【実施例】
【0267】
brasilense ATCC29145株ついて、好気条件下、30℃で振とう培養を行った。培地は、1Lあたり、0.8g KHPO/KHPO、2g (NHSO、0.002g FeSO、0.080g MgSO・7HOおよび37mmol/Lの炭素源を含む最小培地(pH6.8)を使用した。前記炭素源は、グルコース、L-プロリン、D-プロリン、シス-L-ヒドロキシプロリン(L-Hyp)、シス-D-ヒドロキシプロリン(D-Hyp)、3-ヒドロキシプロリン(3-L-Hyp)またはD-リジン(D-Lys)を使用した。そして、遠心分離(30000×g、20分)により培養細胞を回収し、50mmol/L Tris-HCl(pH8.0)に懸濁して、超音波破砕した。そして、前記懸濁液を遠心分離して上清を回収し、これを無細胞抽出液とした。なお、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素の安定化のため、前記Tris-HClには、1%(v/v)となるようにTween-20を添加した。
【実施例】
【0268】
そして、前記各培地を使用して調製した無細胞抽出液について、3-Hyp脱水酵素活性およびPyr2C還元酵素活性を確認した。3-Hyp脱水酵素活性の測定については、リコンビナントタンパク質に代えて、前記無細胞抽出液を用いた以外は前記実施例2(1)と同様に測定した。
【実施例】
【0269】
また、Pyr2C還元酵素活性の測定については、前記反応セルに、900μLの1mmol/L Δ-ピロリン-2-カルボン酸を含む50mmol/L Tris-HCl(pH8.0)および前記無細胞抽出液を添加し、さらに、100μLの0.0015mmol/L NADPHを添加し、30℃の条件下でインキュベートした。NADPHの添加時を0秒として、60秒における反応液の波長340nmの吸光度を測定し、Pyr2C還元酵素活性とした。そして、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素について、1mgのタンパク質当たりの比活性(units/mg protein)を算出した。
【実施例】
【0270】
これらの結果を図10に示す。図10において、(A)は、無細胞抽出液における3-Hyp脱水酵素の活性を示すグラフであり、(B)は、Pyr2C還元酵素の活性を示すグラフである。図10において、横軸は、炭素源を示し、縦軸は、比活性を示す。図10(A)に示すように、D-プロリン、3-ヒドロキシプロリンおよびD-リジンを炭素源として用いた場合、3-Hyp脱水酵素活性が高かった。また、図10(B)に示すように、D-プロリン、シス-L-ヒドロキシプロリン、シス-D-ヒドロキシプロリン、3-ヒドロキシプロリンおよびD-リジンを炭素源として用いた場合、Pyr2C還元酵素活性が高かった。これらの結果から、D-プロリン、シス-L-ヒドロキシプロリン、シス-D-ヒドロキシプロリン、3-ヒドロキシプロリンおよびD-リジンを炭素源とし、brasilense ATCC29145株を培養することで、Pyr2C還元酵素の高い発現を誘導できることがわかった。また、中でも、D-プロリン、3-ヒドロキシプロリンおよびD-リジンを炭素源とし、brasilense ATCC29145株を培養することで、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素の高い発現を誘導できることがわかった。
【実施例】
【0271】
[実施例6]
本例では、brasilense由来3-Hyp脱水酵素(AbLhpH)、ならびにColwellia psychrerythraea由来Pyr2C還元酵素(CpLhpI)および3-Hyp脱水酵素(CpLhpH)を精製した。また、AbLhpH、CpLhpH、および前記実施例1(2)のC14orf149の3-Hyp脱水酵素活性、ならびにCpLhpI、前記実施例1(2)のPaLhpDおよび前記実施例3(2)のAbLhpIのPyr2C還元酵素活性を比較した。
【実施例】
【0272】
(1)発現ベクターの構築
brasilense ATCC29145株のゲノムDNAを鋳型として、Ab3-Hyp脱水酵素(配列番号11)をコードするAbLhpH cDNA(配列番号17)を増幅した。また、Colwellia psychrerythraea 34H株のゲノムDNAを鋳型として、CpPyr2C還元酵素(配列番号13)をコードするCpLhpI cDNA(配列番号15)およびCp3-Hyp脱水酵素(配列番号9)をコードするCpLhpH cDNA(配列番号18)を増幅した。
【実施例】
【0273】
得られたPCR産物を、アンピシリン耐性遺伝子を有するpETDuet-1ベクター(ノバジェン社製)に連結した。AbLhpH cDNAを挿入したベクターを、AbLhpH発現ベクター、CpLhpI cDNAを挿入したベクターを、CpLhpI発現ベクター、CpLhpH cDNAを挿入したベクターを、CpLhpH発現ベクターとした。なお、前記ベクターは、発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチド(ヒスチジンタグ)を付加するように設計されている。
【実施例】
【0274】
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌BL21(DE3)株に、前記AbLhpH発現ベクター、前記CpLhpI発現ベクターまたは前記CpLhpH発現ベクターを導入した以外は前記実施例1(2)と同様にして、上清(無細胞抽出液)を回収した。そして、前記上清を、前記実施例1(2)と同様にして、カラムクロマトグラフィーに供し、発現したリコンビナントタンパク質を精製した。以下、前記AbLhpH発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「AbLhpH」、前記CpLhpI発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「CpLhpI」、前記CpLhpH発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「CpLhpH」とした。
【実施例】
【0275】
(3)リコンビナントタンパク質の発現の確認
前記リコンビナントタンパク質について、12%ゲルを用いてSDS-PAGEを行った。前記電気泳動後、CBB染色により、バンドの検出を行った。これらの結果を図11に示す。図11は、前記リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。図11において、写真の左側が、分子量マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(Marker)、AbLhpH、CpLhpH、CpLhpIの結果である。
【実施例】
【0276】
図11に示すように、AbLhpHについて、約40KDa付近にバンドが観察され、CpLhpHについて、約40KDa付近にバンドが観察され、CpLhpIについて、約40KDa付近にバンドが観察された。これらのバンドの分子量は、それぞれAbLhpHの理論値37805.87Da、CpLhpHの理論値40437.15Da、CpLhpIの理論値36181.76Daと近似していた。これらの結果から、前記発現ベクターから、AbLhpH、CpLhpHおよびCpLhpIが発現され、且つ、単一に精製されていることが確認された。
【実施例】
【0277】
(4)3-Hyp脱水酵素の酵素活性の比較
分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(10μg)のPaLhpD、および1μL(1μg)のC14orf149、AbLhpHまたはCpLhpHを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0278】
【表1】
JP2015033636A1_000013t.gif
【実施例】
【0279】
そして、得られた測定結果から、基質濃度の逆数(1/S)および反応速度の逆数(1/V)を計算し、ラインウィンバー・バークプロットを作成した。そして、前記ラインウィンバー・バークプロットから、各酵素のミカエリス定数(K)および速度定数(Kcat)を算出した。そして、KおよびKcatから、Kcat/K値を算出した。
【実施例】
【0280】
また、得られた測定結果から、C14orf149、AbLhpHおよびCpLhpHの1mgのタンパク質当たりの比活性(units/mg protein)を算出した。
【実施例】
【0281】
これらの結果を図12に示す。図12は、比活性およびKcat/K値を示すグラフである。図12において、横軸は、3-Hyp脱水酵素の種類を示し、縦軸は、比活性またはKcat/K値を示す。図12において、白色のバーは、比活性を示し、黒色のバーは、Kcat/K値を示す。図12に示すように、AbLhpHおよびCpLhpHは、C14orf149と比較して、格段に優れた比活性を示した。また、Kcat/K値においては、AbLhpHは、C14orf149と比較して、より高いKcat/K値を示した。さらに、CpLhpHは、C14orf149およびAbLhpHと比較して、さらに高いKcat/K値を示した。これらのことから、AbLhpHおよびCpLhpHは、C14orf149と比較して、高い3-Hyp脱水酵素活性を有することが分かった。また、AbLhpHおよびCpLhpHは、高い3-Hyp脱水酵素活性を有することから、より少量のタンパク質量を使用した場合においても、3-ヒドロキシプロリンを測定できることが分かった。
【実施例】
【0282】
(5)Pyr2C還元酵素の酵素活性の比較
前記反応セルに、下記表4の組成の反応試薬、Δ-ピロリン-2-カルボン酸、および1μL(10μg)のPaLhpD、AbLhpIまたはCpLhpIを添加し、さらに、NADPHを添加した。NADPHの添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長340nmの吸光度を測定した。前記反応液におけるΔ-ピロリン-2-カルボン酸の終濃度を1mmol/Lとし、NADPHの終濃度を0.15mmol/Lとした。なお、PaLhpDは、pH7.0の条件下で、AbLhpIおよびCpLhpIは、pH6.5の条件下で測定を行った。
【実施例】
【0283】
【表4】
JP2015033636A1_000014t.gif
【実施例】
【0284】
そして、得られた測定結果から、基質濃度の逆数(1/S)および反応速度の逆数(1/V)を計算し、ラインウィンバー・バークプロットを作成した。そして、前記ラインウィンバー・バークプロットから、各酵素のミカエリス定数(K)および速度定数(Kcat)を算出した。そして、KおよびKcatから、Kcat/K値を算出した。
【実施例】
【0285】
また、得られた測定結果から、PaLhpD、AbLhpIおよびCpLhpIの1mgのタンパク質当たりの比活性(units/mg protein)を算出した。
【実施例】
【0286】
これらの結果を図13に示す。図13は、比活性およびKcat/K値を示すグラフである。図13において、横軸は、Pyr2C還元酵素の種類を示し、縦軸は、比活性またはKcat/K値を示す。図13において、白色のバーは、比活性を示し、黒色のバーは、Kcat/K値を示す。図13に示すように、AbLhpIは、PaLhpDおよびCpLhpIと比較して、格段に優れた比活性を示した。また、Kcat/K値においても、AbLhpIは、PaLhpDおよびCpLhpIと比較して、より高いKcat/K値を示した。これらのことから、AbLhpIは、PaLhpDおよびCpLhpIと比較して、高いPyr2C還元酵素活性を有することが分かった。また、AbLhpIは、高いPyr2C還元酵素活性を有することから、より少量のタンパク質量を使用した場合においても、3-ヒドロキシプロリンを測定できることが分かった。
【実施例】
【0287】
[実施例7]
本例では、前記実施例1(2)のC14orf149、前記実施例6(1)のAbLhpH、および前記実施例6(1)のCpLhpHの至適pHを確認した。また、前記実施例1(2)のPaLhpD、前記実施例3(2)のAbLhpIおよび前記実施例6(1)のCpLhpIの至適pHを確認した。
【実施例】
【0288】
(1)3-Hyp脱水酵素の至適pH
分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表5の組成の反応試薬、1μL(10μg)のPaLhpD、および1μL(1μg)のC14orf149、AbLhpHまたはCpLhpHを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。なお、各種バッファーは、酢酸ナトリウムバッファー(酢酸バッファー)、リン酸カリウムバッファー(リン酸バッファー)、Tris-HCl、またはグリシン-NaOHを使用した。また、前記酢酸バッファーのpHは、pH4、4.5、5、5.5または6とし、前記リン酸バッファーのpHは、pH6、6.5、7、7.5、8または8.5とし、前記Tris-HClのpHは、7、7.5、8、8.5または9とし、前記グリシン-NaOHのpHは、9、9.5、10、10.5または11とした。
【実施例】
【0289】
【表5】
JP2015033636A1_000015t.gif
【実施例】
【0290】
そして、得られた測定結果から、C14orf149、AbLhpHおよびCpLhpHの1mgのタンパク質当たりの比活性(units/mg protein)を算出した。
【実施例】
【0291】
これらの結果を図14に示す。図14において、(A)は、C14orf149の結果を示し、(B)は、AbLhpHの結果を示し、(C)は、CpLhpHの結果を示す。また、図14において、横軸は、前記各種バッファーのpHを示し、縦軸は、比活性を示し、図中の□は、前記酢酸バッファーの結果を示し、○は、リン酸バッファーの結果を示し、△は、Tris-HClの結果を示し、◇は、グリシン-NaOHの結果を示す。図14に示すように、C14orf149、AbLhpHおよびCpLhpHは、いずれもpHが中性付近(pH7~9)の際に高い比活性を示した。
【実施例】
【0292】
(2)Pyr2C還元酵素の至適pH
前記反応セルに、下記表6の組成の反応試薬、Δ-ピロリン-2-カルボン酸またはL-プロリン、および1μL(10μg)のPaLhpD、AbLhpIまたはCpLhpIを添加した。さらに、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を添加した前記反応セルに、NADPHを、L-プロリンを添加した前記反応セルに、NADPを添加した。NADPHまたはNADPの添加時を0秒として、経時的に、反応液の波長340nmの吸光度を測定した。前記反応液におけるΔ-ピロリン-2-カルボン酸の終濃度を1mmol/Lとし、NADPHの終濃度を0.15mmol/Lとし、L-プロリンの終濃度を10mmol/Lとし、NADPの終濃度を1.5mmol/Lとした。なお、各種バッファーは、酢酸バッファー、リン酸バッファー、Tris-HCl、またはグリシン-NaOHを使用した。また、前記酢酸バッファーのpHは、pH5、5.25、5.5、5.75または6とし、前記リン酸バッファーのpHは、pH6、6.25、6.5、6.75、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25または8.5とし、前記Tris-HClのpHは、7、7.25、7.5、7.75、8、8.25、8.5または8.75とし、前記グリシン-NaOHのpHは、9、9.25、9.5、9.75、10、10.25、10.5、10.75、11、11.25、11.5、11.75または12とした。そして、Δ-ピロリン-2-カルボン酸を添加した前記反応セルでは、前記各種バッファーとして、酢酸バッファー、リン酸バッファーまたはTris-HClを使用し、L-プロリンを添加した前記反応セルでは、前記各種バッファーとして、グリシン-NaOHを使用した。
【実施例】
【0293】
【表6】
JP2015033636A1_000016t.gif
【実施例】
【0294】
そして、得られた測定結果から、PaLhpD、AbLhpIまたはCpLhpIの1mgのタンパク質当たりの比活性(units/mg protein)を算出した。
【実施例】
【0295】
これらの結果を図15に示す。図15は、異なるpHにおける比活性を示すグラフである。図15において、(A)は、PaLhpDの結果を示し、(B)は、AbLhpIの結果を示し、(C)は、CpLhpIの結果を示す。また、図15において、横軸は、前記各種バッファーのpHを示し、縦軸は、比活性を示し、図中の□は、酢酸バッファーの結果を示し、○は、リン酸バッファーの結果を示し、△は、Tris-HClの結果を示し、◇は、グリシン-NaOHの結果を示す。図15に示すように、PaLhpD、AbLhpIまたはCpLhpIは、いずれもpHが中性付近(pH6~7)およびアルカリ性付近(pH10~11)の際に高い比活性を示した。
【実施例】
【0296】
[実施例8]
本例では、3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素を組合せて、3-ヒドロキシプロリンの測定能を比較した。
【実施例】
【0297】
分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、下記条件(i)~(v)の3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素を添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
条件(i) AbLhpH:10μg AbLhpI:1μg
条件(ii) AbLhpH:10μg CpLhpI:10μg
条件(iii) C14orf149:10μg PaLhpD:10μg
条件(iv) AbLhpH:10μg PaLhpD:10μg
条件(v) C14orf149:10μg AbLhpI:10μg
【実施例】
【0298】
【表1】
JP2015033636A1_000017t.gif
【実施例】
【0299】
この結果を図16に示す。図16は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、測定時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示す。図16に示すように、条件(ii)、条件(i)、条件(iv)、条件(v)および条件(iii)の順番で、吸光度の減少がより速かった。また、条件(i)は、1/10の量のPyr2C還元酵素を使用した際にも、条件(ii)と同等の吸光度の減少を示した。これらのことから、AbLhpHおよびAbLhpIを組合せることで、少ない3-Hyp脱水酵素およびPyr2C還元酵素の使用量で、3-ヒドロキシプロリンをより精度よく測定できることがわかった。
【実施例】
【0300】
[実施例9]
本例では、前記実施例6(1)AbLhpHおよび前記実施例3(2)のAbLhpIを組合せた際の至適pHを確認した。
【実施例】
【0301】
分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表5の組成の反応試薬、1μL(10μg)のAbLhpH、および1μL(1μg)のAbLhpIを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、60秒における前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。なお、各種バッファーは、リン酸バッファーまたはTris-HClを使用した。また、前記リン酸バッファーのpHは、pH7、7.5または8とし、前記Tris-HClのpHは、pH7.5、8、8.5または9とした。
【実施例】
【0302】
【表5】
JP2015033636A1_000018t.gif
【実施例】
【0303】
そして、pH8.0のTris-HClを使用したときの吸光度を100%とし、前記各種バッファーの各pHにおける相対活性を算出した。
【実施例】
【0304】
この結果を図17に示す。図17は、相対活性を示すグラフである。図17において、横軸は、前記各種バッファーのpHを示し、縦軸は、相対活性を示し、図中の□は、リン酸バッファーの結果を示し、○は、Tris-HClの結果を示す。図17に示すように、pH8.0のTris-HClを使用した際に、3-ヒドロキシプロリンをより精度よく測定できることがわかった。
【実施例】
【0305】
[実施例10]
本例では、前記実施例6(1)AbLhpHおよび前記実施例3(2)のAbLhpIを使用した際に、3-ヒドロキシプロリンが、AbLhpHにより、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水され、さらに、Δ-ピロリン-2-カルボン酸が、AbLhpIにより、L-プロリンに還元されることを確認した。
【実施例】
【0306】
反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(10μg)のAbLhpI、および1μL(10μg)のAbLhpHを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。前記反応は、30℃とし、一晩行った。
【実施例】
【0307】
【表1】
JP2015033636A1_000019t.gif
【実施例】
【0308】
前記反応後の反応液について、HPLC分析装置(日立高速アミノ酸分析計L-8900、日立ハイテクノロジーズ社製)を使用し、分析した。また、コントロールは、AbLhpIを添加しない以外は同様にして、分析した。さららに、標準試料1として、3-ヒドロキシプロリンを、標準試料2として、L-プロリンを同様にして、分析した。
【実施例】
【0309】
これらの結果を図18に示す。図18は、HPLCの分析結果を示すグラフである。図18において、(A)は、標準試料1の結果を示し、(B)は、コントロールの結果を示し、(C)は、実施例の結果を示し、(D)は標準試料2の結果を示す。また、図18において、横軸は、リテンション時間を示し、縦軸は、電圧を示し、図中の白矢印は、3-ヒドロキシプロリンのピークを示し、黒矢印は、L-プロリンのピークを示す。図18(B)に示すように、3-Hyp脱水酵素であるAbLhpHのみで処理したコントロールでは、L-プロリンのピークが見られなくなった。また、図18(C)に示すように、3-Hyp脱水酵素であるAbLhpHおよびPyr2C還元酵素であるAbLhpIで処理した実施例では、黒矢印で示すL-プロリンのピークがみられた。これらの結果から、3-ヒドロキシプロリンが、AbLhpHにより、Δ-ピロリン-2-カルボン酸に脱水され、さらに、Δ-ピロリン-2-カルボン酸が、AbLhpIにより、L-プロリンに還元されることがわかった。
【実施例】
【0310】
[実施例11]
本例では、3-ヒドロキシプロリンの検量線を作製し、優れた精度で3-ヒドロキシプロリンを定量できることを確認した。
【実施例】
【0311】
(1)検量線の作製
分光光度計のインキュベート温度を30℃に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(10μg)のAbLhpHおよび1μL(1μg)のAbLhpIを添加し、さらに、所定濃度(0.05、0.1、0.15、0.2、0.3、0.4、0.5または1mmol/L)となるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0312】
【表1】
JP2015033636A1_000020t.gif
【実施例】
【0313】
前記測定結果から、基質濃度の逆数(1/S)および反応速度の逆数(1/V)を計算し、ラインウィンバー・バークプロット(検量線)を作成した。
【実施例】
【0314】
これらの結果を図19に示す。図19において、横軸は、基質濃度の逆数(1/S)を示し、縦軸は、反応速度の逆数(1/V)を示し、各グラフ内の関数は、相関関数を示し、Rは、相関係数を示す。図19に示すように、AbLhpHおよびAbLhpIを用いた場合、基質濃度0.05~1mmol/Lの間で、相関係数が0.99以上の相関性の高い検量線が作成できた。これらの結果から、AbLhpHおよびAbLhpIを使用することで、広い濃度範囲について、3-ヒドロキシプロリンの精度に優れる定量が可能であることがわかった。
【実施例】
【0315】
(2)3-ヒドロキシプロリンの定量
100mmol/Lの3-ヒドロキシプロリン標準液を、任意に希釈した希釈サンプルA-Dを調製した。そして、前記3-ヒドロキシプロリン100μLに代えて前記希釈サンプルA-Dを各100μL使用した以外は、前記(1)と同様にして、反応を行い、吸光度を測定した。そして、測定した吸光度と前記(1)の検量線とから、3-ヒドロキシプロリンの濃度を決定した。他方、前記希釈サンプルA-Dの3-ヒドロキシプロリンの濃度を、HPLC分析装置により決定した。
【実施例】
【0316】
検量線から求めた3-ヒドロキシプロリンの濃度と、HPLCにより測定した3-ヒドロキシプロリンの濃度とを、表7に示す。表7に示すように、AbLhpHおよびAbLhpIを使用することで、HPLCと同程度の精度で3-ヒドロキシプロリンを測定できることがわかった。
【実施例】
【0317】
【表7】
JP2015033636A1_000021t.gif
【実施例】
【0318】
(3)3-ヒドロキシプロリンおよび4-ヒドロキシプロリンの混合物の測定
100mmol/Lの3-ヒドロキシプロリン標準液および100mmol/Lの4-ヒドロキシプロリン標準液を作製した。そして、それぞれを任意に希釈および混合した混合サンプルA-Dを調製した。そして、前記3-ヒドロキシプロリン100μLに代えて前記混合サンプルA-Dを各100μL使用した以外は、前記(1)と同様にして、反応を行い、吸光度を測定した。そして、測定した吸光度と前記(1)の検量線とから、3-ヒドロキシプロリンの濃度を決定した。他方、前記混合サンプルA-Dの3-ヒドロキシプロリンの濃度を、HPLC分析装置により決定した。
【実施例】
【0319】
この結果を図20に示す。図20は、検量線から求めた3-ヒドロキシプロリンの濃度と、HPLCにより測定した3-ヒドロキシプロリンの濃度とを示すグラフである。図20において、横軸が、前記混合サンプルの種類を示し、縦軸が、3-ヒドロキシプロリンの濃度を示す。また、図中の黒色のバーは、HLPCにより測定した3-ヒドロキシプロリンの濃度を示し、白色のバーは、前記検量線から求めた3-ヒドロキシプロリンの濃度を示す。図20に示すように、混合サンプルA-Dのいずれにおいても、HPLCと同程度の精度で3-ヒドロキシプロリンを測定できた。すなわち、4-ヒドロキシプロリンの共存下においても、AbLhpHおよびAbLhpIを使用することで、HPLCと同程度の精度で測定できることがわかった。これらのことから、4-ヒドロキシプロリン等が存在する生体試料においても、HPLCと同程度の精度で3-ヒドロキシプロリンを測定できることがわかった。
【実施例】
【0320】
[実施例12]
本例では、前記実施例3(2)のAbLhpIおよび前記実施例6(1)のCpLhpIの至適温度および熱安定性を確認した。
【実施例】
【0321】
(1)至適温度
分光光度計のインキュベート温度を所定温度(10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65または70℃)に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(10μg)のAbLhpH、および1μL(1μg)のAbLhpIまたはCpLhpIを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、60秒における前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0322】
【表1】
JP2015033636A1_000022t.gif
【実施例】
【0323】
そして、CpLhpIを使用し、30℃でインキュベートしたときの吸光度を100%とし、AbLhpIまたはCpLhpIの各温度における相対活性を算出した。
【実施例】
【0324】
この結果を図21に示す。図21は、相対活性を示すグラフである。図21において、横軸は、インキュベート温度を示し、縦軸は、相対活性を示し、図中の□は、AbLhpIの結果を示し、○は、CpLhpIの結果を示す。図21に示すように、AbLhpIは、45~60℃の範囲で、優れたPyr2C還元酵素活性を示すことが分かった。また、CpLhpIは、10~30℃の範囲で、優れたPyr2C還元酵素活性を示すことが分かった。
【実施例】
【0325】
(2)温度安定性
反応セルに前記表1の反応試薬、および1μL(1μg)のAbLhpIまたはCpLhpIを添加した。そして、前記反応セルを、所定温度(30、35、40、45、50、55または60℃)とし、10分間処理した。前記処理後の反応セルに、さらに、1μL(10μg)のAbLhpH、および10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、60秒における前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0326】
そして、熱処理しなかったときの吸光度を100%とし、AbLhpIまたはCpLhpIの各温度における相対活性を算出した。
【実施例】
【0327】
この結果を図22に示す。図22は、相対活性を示すグラフである。図22において、横軸は、処理温度を示し、縦軸は、相対活性を示し、図中の□は、AbLhpIの結果を示し、○は、CpLhpIの結果を示す。図22に示すように、AbLhpIおよびCpLhpIは、55℃未満の処理温度において、高い相対活性を維持することがわかった。
【実施例】
【0328】
[実施例13]
本例では、Thermococcus litoralis DSM 5473由来3-Hyp脱水酵素(TlLhpH)およびPyr2C還元酵素(TlLhpI)を精製した。また、TlLhpHおよびTlLhpIの化学特性を確認した。
【実施例】
【0329】
(1)発現ベクターの構築
Thermococcus litoralis DSM 5473株のゲノムDNAを鋳型として、Tl3-Hyp脱水酵素(配列番号12)をコードするTlLhpH cDNA(配列番号19)およびTlPyr2C還元酵素(配列番号14)をコードするTlLhpI cDNA(配列番号16)を増幅した。
【実施例】
【0330】
得られたPCR産物を、アンピシリン耐性遺伝子を有するpETDuet-1ベクター(ノバジェン社製)に連結した。TlLhpH cDNAを挿入したベクターを、TlLhpH発現ベクター、TlLhpI cDNAを挿入したベクターを、TlLhpI発現ベクターとした。なお、前記ベクターは、発現タンパク質のN末端に、ヒスチジン6分子が連結したペプチド(ヒスチジンタグ)を付加するように設計されている。
【実施例】
【0331】
(2)リコンビナントタンパク質の精製
大腸菌BL21(DE3)株に、前記TlLhpH発現ベクターまたは前記TlLhpI発現ベクターを導入した以外は前記実施例1(2)と同様にして、上清(無細胞抽出液)を回収した。そして、前記上清を、前記実施例1(2)と同様にして、カラムクロマトグラフィーに供し、発現したリコンビナントタンパク質を精製した。以下、前記TlLhpH発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「TlLhpH」、前記TlLhpI発現ベクターを導入した形質転換体から得られたリコンビナントタンパク質を、「TlLhpI」とした。
【実施例】
【0332】
(3)リコンビナントタンパク質の発現の確認
前記リコンビナントタンパク質について、12%ゲルを用いてSDS-PAGEを行った。前記電気泳動後、CBB染色により、バンドの検出を行った。これらの結果を図23に示す。図23は、前記リコンビナントタンパク質のSDS-PAGEの結果を示す写真である。図23において、写真の左側が、分子量マーカーの分子量を示し、各レーンは、左から、分子量マーカー(Marker)、TlLhpI、TlLhpHの結果である。
【実施例】
【0333】
図23に示すように、TlLhpHについて、約45KDa付近にバンドが観察され、TlLhpIについて、約40KDa付近にバンドが観察された。これらのバンドの分子量は、それぞれTlLhpHの理論値40781.05Da、TlLhpIの理論値36943.01Daと近似していた。これらの結果から、前記発現ベクターから、TlLhpHおよびTlLhpIが発現され、且つ、単一に精製されていることが確認された。
【実施例】
【0334】
(4)3-Hyp脱水酵素の至適温度
分光光度計のインキュベート温度を所定温度(10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100℃)に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、前記表1の組成の反応試薬、1μL(1μg)のAbLhpI、および1μL(1μg)のAbLhpH、CpLhpHまたはTlLhpHを添加し、さらに、10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、60秒における前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0335】
そして、最大活性を示したときの吸光度を100%とし、AbLhpH、CpLhpHまたはTlLhpHの各温度における相対活性を算出した。
【実施例】
【0336】
この結果を図24に示す。図24は、相対活性を示すグラフである。図24において、横軸は、インキュベート温度を示し、縦軸は、相対活性を示し、図中の□は、AbLhpHの結果を示し、○は、CpLhpHの結果を示し、△は、TlLhpHの結果を示す。図24に示すように、AbLhpHは、35~45℃の範囲で、優れた3-Hyp脱水酵素活性を示すことが分かった。CpLhpHは、45~50℃の範囲で、優れた3-Hyp脱水酵素活性を示すことが分かった。TlLhpHは、80~100℃の範囲で、優れた3-Hyp脱水酵素活性を示すことが分かった。
【実施例】
【0337】
(5)TlLhpIの至適温度
分光光度計のインキュベート温度を所定温度(10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95または100℃)に保持し、反応セルをセットした。前記反応セルに、下記表3の組成の反応試薬、Δ-ピロリン-2-カルボン酸および1μL(10μg)のTlLhpIを添加した。さらに、前記反応セルに、NADPHを添加した。NADPHの添加時を0秒として、60秒における反応液の波長340nmの吸光度を測定した。前記反応液におけるΔ-ピロリン-2-カルボン酸の終濃度を1mmol/Lとし、NADPHの終濃度を0.15mmol/Lとした。
【実施例】
【0338】
【表3】
JP2015033636A1_000023t.gif
【実施例】
【0339】
そして、80℃でインキュベートしたしたときの吸光度を100%とし、各温度における相対活性を算出した。
【実施例】
【0340】
この結果を図25に示す。図25は、相対活性を示すグラフである。図25において、横軸は、インキュベート温度を示し、縦軸は、相対活性を示す。図25に示すように、TlLhpIは、70~85℃の範囲で、優れたPyr2C還元酵素活性を示すことが分かった。
【実施例】
【0341】
(6)TlLhpHの熱安定性
反応セルに前記表1の反応試薬、および1μL(1μg)のTlLhpHを添加した。そして、前記反応セルを、100℃で所定時間(0、0.5、1、2、3、4または5時間)処理した。前記処理後の反応セルに、さらに、1μL(10μg)のAbLhpI、および10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、60秒における前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0342】
そして、0時間処理したときの吸光度を100%とし、各処理時間における相対活性を算出した。
【実施例】
【0343】
この結果を図26に示す。図26は、相対活性を示すグラフである。図26において、横軸は、処理時間を示し、縦軸は、相対活性を示す。図26に示すように、100℃で5時間処理しても、20%を超える相対活性を有していた。これらのことから、TlLhpHは、極めて耐熱性が高いことが分かった。また、極めて耐熱性が高いことから、例えば、長期保存した場合においても、反応性を維持できることが分かった。
【実施例】
【0344】
(7)3-ヒドロキシプロリンの測定
分光光度計のインキュベート温度を所定温度(50、60または70℃)に保持し、反応セルをセットした。そして、前記反応セルに、下記表1の組成の反応試薬、1μL(1μg)のTlLhpHおよび1μL(1μg)のTlLhpIを添加し、さらに10mmol/Lとなるように3-ヒドロキシプロリン100μLを添加することにより、反応を開始した。3-ヒドロキシプロリンの添加時を0秒として、経時的に、前記反応液の波長340nmの吸光度を測定した。
【実施例】
【0345】
【表1】
JP2015033636A1_000024t.gif
【実施例】
【0346】
これらの結果を図27に示す。図27は、3-ヒドロキシプロリン測定の反応液における吸光度を示すグラフであり、横軸は、反応時間を示し、縦軸は、340nmの吸光度を示す。図27に示すように、いずれのインキュベートにおいても、直線性が得られた。また、インキュベート温度が高くなるにつれ、吸光度の減少がより速く、また、反応開始直後においても優れた直線性を示した。これらの結果から、インキュベート温度を高くすることで、反応開始直後でも、3-ヒドロキシプロリンを精度よく測定できることがわかった。
【実施例】
【0347】
以上、実施形態および実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【実施例】
【0348】
この出願は、2013年9月9日に出願された日本出願特願2013-186647を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0349】
以上のように、本発明の分析方法によれば、従来のように、HPLCを用いることなく、酵素反応によって、簡便に3-ヒドロキシプロリンを分析できる。また、本発明の分析方法によって3-ヒドロキシプロリンが分析できることから、間接的に、コラーゲンの測定も簡便に行うことができる。このため、本発明は、医療、食品および美容等の分野において、極めて有用な技術といえる。
図面
【図3】
0
【図8】
1
【図12】
2
【図13】
3
【図14】
4
【図15】
5
【図17】
6
【図18】
7
【図19】
8
【図20】
9
【図21】
10
【図26】
11
【図1】
12
【図2】
13
【図4】
14
【図5】
15
【図6】
16
【図7】
17
【図9】
18
【図10】
19
【図11】
20
【図16】
21
【図22】
22
【図23】
23
【図24】
24
【図25】
25
【図27】
26