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明細書 :ハロゲン化された炭素シート及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 ハロゲン化された炭素シート及びその製造方法
国際特許分類 C01B  32/15        (2017.01)
C01B  32/18        (2017.01)
C01B  32/182       (2017.01)
FI C01B 31/02 101Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 16
出願番号 特願2015-526443 (P2015-526443)
国際出願番号 PCT/JP2014/068553
国際公開番号 WO2015/005470
国際出願日 平成26年7月11日(2014.7.11)
国際公開日 平成27年1月15日(2015.1.15)
優先権出願番号 2013146743
優先日 平成25年7月12日(2013.7.12)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】高口 豊
【氏名】田嶋 智之
【氏名】小林 和正
【氏名】和田 卓聡
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100180600、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
Fターム 4G146AA01
4G146AA15
4G146AB07
4G146AC16B
4G146AC25B
4G146AD03
4G146AD14
4G146AD28
4G146BA02
4G146BB04
4G146BB11
4G146BC32B
4G146BC41
4G146BC50
要約 六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法において、前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させることを特徴とする。これにより、炭素シートの積層体である黒鉛から直接、炭素シートを剥離させる剥離方法、及びグラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、端部がハロゲン化された炭素シートの製造方法が提供される。
特許請求の範囲 【請求項1】
六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法において、
前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法。
【請求項2】
六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合することにより、前記黒鉛から剥離させて成るハロゲン化された炭素シート。
【請求項3】
請求項2記載のハロゲン化された炭素シートにおけるハロゲンを目的官能基に置換して成る炭素シート。
【請求項4】
六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させて得られるハロゲン化された炭素シートの製造方法において、
前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させてハロゲン化された炭素シートの分散液を得る工程と、
前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する工程と
を有するハロゲン化された炭素シートの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化された炭素シート及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンシートとは、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートであり、グラフェンシートの積層体が黒鉛である。グラフェンシートは、電子デバイス材料として用いられることが知られており、グラフェンシートを化学修飾した材料についての検討もされている。
【0003】
非特許文献1には、グラフェンシートを臭素化する方法として、酸化グラフェンを出発原料とした化学修飾法が記載されている(Scheme 1)。この方法によれば臭素化されたグラフェンが得られるとされているが、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合に臭素が付加するため、グラフェンの電気・電子特性が低下するという問題があった。また、酸化グラフェンを出発原料として用いるためには、Hummers法等によりグラファイトから酸化グラフェンを合成する必要があるが、複数工程を要するとともに反応に長期間を要するため、実用性が低いという問題もあった。
【0004】
また、非特許文献2には、臭化プラズマを用いることによりグラフェン等の黒鉛材料を臭素化する方法が記載されている(Fig. 10)。この方法によれば、臭素化されたグラフェンが得られるとされているが、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合に臭素が付加するため、グラフェンの電気・電子特性が低下するという問題があった。また、プラズマを発生させるための装置も必要となるため、必ずしも簡便な方法ではなかった。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Yang Li et al., Synthesis of partially hydrogenated graphene and brominated graphene, J. Mater. Chem., 2012, 22, p.15021-15024
【非特許文献2】J. F. Friedrich et al., Plasma-chemical bromination of graphitic materials and its use for subsequent functionalization and grafting of organic molecules, Carbon 2010, 48, p.3884-3894
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、炭素シートの積層体である黒鉛から直接、炭素シートを剥離させる剥離方法、及びグラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、端部がハロゲン化された炭素シートの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法において、前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法を提供することによって解決される。
【0008】
また、上記課題は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合することにより、前記黒鉛から剥離させて成るハロゲン化された炭素シートを提供することによって解決される。
【0009】
このとき、ハロゲン化された炭素シートにおけるハロゲンを目的官能基に置換して成る炭素シートが好適な実施態様であり、目的官能基としてはペンチル基又はジメチルシリル基であることが好ましい。
【0010】
また、上記課題は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させて得られるハロゲン化された炭素シートの製造方法において、前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させてハロゲン化された炭素シートの分散液を得る工程と、前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する工程とを有するハロゲン化された炭素シートの製造方法を提供することによって解決される。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、炭素シートの積層体である黒鉛から直接、炭素シートを剥離させることができ、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、端部がハロゲンされた炭素シートを得ることができる。こうして得られた前記炭素シートは、グラフェンの電気・電子特性を損なわないため、電子デバイス材料に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1~5で得られた臭化グラフェンについての熱重量分析結果を示した図である。
【図2】実施例1~5で得られた臭化グラフェンについてのラマン分光法による分析結果を示した図である。
【図3】実施例2で得られた臭化グラフェンの分散性を示した写真である。
【図4】実施例8で得られたペンチル基が導入されたグラフェンについての熱重量分析結果を示した図である。
【図5】実施例8で得られたペンチル基が導入されたグラフェンについての赤外分光分析結果を示した図である。
【図6】実施例8で得られたペンチル基が導入されたグラフェンについての赤外分光分析結果を示した図である。
【図7】実施例8で得られたペンチル基が導入されたグラフェンについてのラマン分光法による分析結果を示した図である。
【図8】実施例10で得られたフェニルカルバゾリル基が導入されたグラフェンについての熱重量分析結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法において、前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させる剥離方法である。また、本発明は、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体である黒鉛から前記炭素シートを剥離させて得られるハロゲン化された炭素シートの製造方法において、前記黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させてハロゲン化された炭素シートの分散液を得る工程と、前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する工程とを有するハロゲン化された炭素シートの製造方法である。ここで、黒鉛とは、六角形の格子状に並んだ炭素原子で構成された炭素シートの積層体であり、黒鉛から剥離された炭素シートはグラフェンシートと呼ばれる。本発明で得られる炭素シートには、1層からなる炭素シートだけでなく、2~10層程度炭素シートが複数重なったものも含まれる。

【0014】
本発明の製造方法は、黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させてハロゲン化された炭素シートの分散液を得る工程と、前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する工程とを有することを特徴とする。黒鉛、ポリリン酸及びハロゲン化剤を混合して炭素シートをハロゲン化することにより、炭素シートの積層体である黒鉛から炭素シートが剥離され、黒鉛から直接、端部がハロゲン化された炭素シートが得られる。すなわち、本発明により、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、端部にハロゲンが付加された炭素シートが得られる。このように、黒鉛から直接、端部がハロゲン化された炭素シートを得ることができるため、合成プロセスを大幅に簡略化することが可能となった。こうして得られた炭素シートは、グラフェンの電気・電子特性を損なわないため、黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合する構成を採用する意義が大きい。

【0015】
本発明で用いられるポリリン酸としては特に限定されず、オルトリン酸が脱水縮合して得られる直鎖縮合ポリリン酸(一般式Hn+23n+1(nは2以上の整数である。))であってもよいし、環状ポリリン酸であってもよいし、P-O-P結合が網目状に無定形に連結されたポリリン酸であってもよいし、これらの塩であってもよい。中でも、直鎖縮合ポリリン酸又はその塩が好適に用いられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩が好適に用いられる。

【0016】
本発明で用いられるポリリン酸の使用量については特に限定されず、黒鉛1質量部に対して、1~200質量部であることが好ましい。ポリリン酸の使用量が1質量部未満の場合、黒鉛から炭素シートを剥離することが困難となるおそれがあり、ポリリン酸の使用量は10質量部以上であることがより好ましい。一方、ポリリン酸の使用量が200質量部を超える場合、黒鉛とハロゲン化剤とが反応しにくくなるおそれがあり、ポリリン酸の使用量は100質量部以下であることがより好ましい。

【0017】
本発明で用いられるハロゲン化剤としては特に限定されず、N-クロロスクシンイミド、N-クロロフタル酸イミド、塩素、五塩化リン、塩化チオニル、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンなどの塩素化剤;ジブロモイソシアヌル酸、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモフタル酸イミド、N-ブロモジトリフルオロメチルアミン、臭素、三臭化ホウ素、臭化鉄(III)、臭化銅、臭化銀、臭化-t-ブチル、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラフルオロエタンなどの臭素化剤;N-ヨードスクシンイミド、ヨウ素、ヨウドトリクロライド、N-ヨードフタル酸イミドなどのヨウ素化剤等が挙げられる。これらの中でも、難燃性の炭素シートが得られる観点から、臭素化剤を用いることが好ましく、臭素化剤の中でもジブロモイソシアヌル酸、N-ブロモスクシンイミド、及び臭化鉄(III)からなる群から選択される少なくとも1種の臭素化剤を用いることが好ましい。

【0018】
本発明で用いられるハロゲン化剤の使用量については特に限定されず、黒鉛1質量部に対して、1~20質量部であることが好ましい。ハロゲン化剤の使用量が1質量部未満の場合、炭素シートの端部にハロゲンを導入することが困難となるおそれがあり、ハロゲン化剤の使用量は2質量部以上であることがより好ましい。一方、ハロゲン化剤の使用量が20質量部を超える場合、炭素シートの表面にハロゲンが吸着するおそれがあり、ハロゲン化剤の使用量は10質量部以下であることがより好ましい。

【0019】
本発明において、黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合する際の反応温度としては特に限定されず、50~200℃の範囲にあることが好ましい。反応温度が50℃未満の場合、黒鉛から炭素シートを剥離することが困難となるおそれがあり、反応温度は80℃以上であることがより好ましい。一方、反応温度が200℃を超える場合、ハロゲン化剤が分解するおそれがあり、反応温度は150℃以下であることがより好ましい。反応時間は、1時間~10日であることが好ましく、12時間~5日であることがより好ましい。

【0020】
本発明において、黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合する際には、酸化剤をさらに含んでいてもよい。酸化剤としては、硫酸、塩酸、硝酸、及び過酸化ベンゾイルからなる群から選択される少なくとも1種が好適に用いられる。これらの中でも、硫酸、及び過酸化ベンゾイルからなる群から選択される少なくとも1種がより好適に用いられる。本発明で用いられる酸化剤の使用量については特に限定されず、黒鉛1質量部に対して、1~300質量部であることが好ましく、10~200質量部であることがより好ましい。

【0021】
本発明の製造方法は、黒鉛と、ポリリン酸と、ハロゲン化剤とを混合して前記炭素シートをハロゲン化することにより、前記黒鉛から前記炭素シートを剥離させてハロゲン化された炭素シートの分散液を得る工程を有するが、次いで、前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する工程を有するものである。前記分散液からハロゲン化された炭素シートを分離する方法としては特に限定されず、濾別によりハロゲン化された炭素シートを分離してもよいし、遠心分離によりハロゲン化された炭素シートを分離してもよいが、濾別によりハロゲン化された炭素シートを分離する方法が好適に採用される。

【0022】
以上説明したように、本発明により、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、端部にハロゲンが付加された炭素シートが得られる。こうして得られた炭素シートに対して、ハロゲンの代わりにさらに置換基を導入することもできる。すなわち、ハロゲン化された炭素シートにおけるハロゲンを目的官能基に置換して成る炭素シートが本発明の好適な実施態様である。このように、ハロゲン化された炭素シートを中間体として用いることが可能となり、例えば、有機金属試薬を用いて置換基を導入するや、クロスカップリング反応により置換基を導入することができる。前記目的官能基としては特に限定されないが、炭素数1~100の有機基であることが好ましい。

【0023】
前記有機基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルシリル基、エステル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アミド基、複素芳香環基等が挙げられる。中でもアルキル基、アルキルシリル基、アリール基、及びアルキニル基からなる群から選択される少なくとも1種の置換基がより好適に用いられる。

【0024】
前記目的官能基として用いられるアルキル基は、直鎖や分岐鎖のアルキル基であってもよいし、環状のシクロアルキル基であってもよい。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、2-エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等の直鎖や分岐鎖のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。

【0025】
また、前記目的官能基として用いられるアルキル基は、置換基を有してもよく、かかる置換基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基等の複素芳香環基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基等の三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基等のスルフォン酸エステル基;アミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。

【0026】
前記目的官能基として用いられるアルケニル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。これらアルケニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。

【0027】
前記目的官能基として用いられるアルキニル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、フェニルエチニル基、トリイソプロピルシリルエチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。これらアルキニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。

【0028】
前記目的官能基として用いられるアルコキシ基は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、n-デシルオキシ基等が挙げられる。これらアルコキシ基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示されたアルコキシ基以外の置換基を用いることができる。

【0029】
前記目的官能基として用いられるアシル基は、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ベンゾイル基、ドデカノイル基、ピバロイル基等が挙げられる。これらアシル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。

【0030】
前記目的官能基として用いられるアリール基は、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示されたアリール基以外の置換基や、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を用いることができる。

【0031】
前記目的官能基として用いられるアリールアルキル基は、例えば、ベンジル基、4-メトキシベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。これらアリールアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。

【0032】
前記目的官能基として用いられるアルキルシリル基は、例えば、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。これらアルキルシリル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。

【0033】
前記目的官能基として用いられるエステル基は、-COO-又は-OCO-で示される基を含むものであり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基などが挙げられる。これらアルコキシカルボニル基は置換基を有してもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示されたアルコキシカルボニル基以外の置換基を同様に用いることができる。

【0034】
前記目的官能基として用いられるアルキルチオ基は、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等が挙げられる。また、前記目的官能基として用いられるアリールチオ基は、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基等が挙げられる。これらアルキルチオ基やアリールチオ基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示されたアルキルチオ基やアリールチオ基以外の置換基を同様に用いることができる。

【0035】
前記目的官能基として用いられるアミノ基は、1級アミノ基(-NH)の他、2級アミノ基、3級アミノ基であっても良い。2級アミノ基は、-NHR(Rは任意の一価の置換基である)で示されるモノ置換アミノ基であり、Rとしては、アルキル基、アリール基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。2級アミノ基の具体例としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基等のようにRがアルキル基である2級アミノ基や、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等のようにRがアリール基である2級アミノ基等が挙げられる。また、Rにおけるアルキル基やアリール基の水素原子が、更にアセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert-ブトキシカルボニル基等で置換されていてもよい。3級アミノ基は、-NR(R及びRはアルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である)で示されるジ置換アミノ基であり、Rとしては、Rと同様のものを用いることができ、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。3級アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等のようにR及びRがアルキル基またはアリール基からなる群から選択される3級アミノ基等が挙げられる。

【0036】
前記目的官能基として用いられるアミド基は、-C(=O)NR(R及びRは水素原子、アルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である)で示されるアミド基が挙げられる。R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。R及びRにおけるアルキル基、アリール基としては、上記アルキル基やアリール基の説明のところで例示された置換基を同様に用いることができる。

【0037】
前記目的官能基として用いられる複素芳香環基は、例えば、ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、カルバゾリル基等が挙げられる。これら複素芳香環基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された複素芳香環基以外の置換基や、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を用いることができる。

【0038】
本発明により得られる炭素シートは、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはハロゲンがほとんど付加されず、グラフェンの電気・電子特性を損なわない。したがって、電子デバイス材料、特に、太陽電池、キャパシタ、電極材料等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0040】
実施例1
[ジブロモイソシアヌル酸と硫酸を用いた臭化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコ中に、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,1.20g)とグラファイト(20.9mg)、ジブロモイソシアヌル酸(40.3mg)、97%硫酸(1.00ml)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水を適量加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジに臭素を修飾した臭化グラフェン(20.8mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が導入されているか同定した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いて臭素導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図1に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用いて欠陥の有無を確認した。この際、488nmの励起レーザーを使用した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0041】
実施例2
[ジブロモイソシアヌル酸のみを用いた臭化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコ中に、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,1.27g)とグラファイト(21.5mg)、ジブロモイソシアヌル酸(40.0mg)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水を適量加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジに臭素を修飾した臭化グラフェン(21.4mg)を得た。得られた臭化グラフェン膜のシート抵抗を4端子法を用いて測定したところ、1.703x104Ω/cm2であった。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が導入されているか同定した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いて臭素導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図1に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用いて欠陥の有無を確認した。この際、488nmの励起レーザーを使用した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0042】
実施例3
[N-ブロモスクシンイミド(NBS)と過酸化ベンゾイル(BPO)を用いた臭化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコ中に、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,1.21g)とグラファイト(20.7mg)、N-ブロモスクシンイミド(41.5mg)、過酸化ベンゾイル(1.3mg)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水を適量加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジに臭素を修飾した臭化グラフェン(21.4mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が導入されているか同定した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いて臭素導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図1に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用いて欠陥の有無を確認した。この際、488nmの励起レーザーを使用した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0043】
実施例4
[N-ブロモスクシンイミド(NBS)のみを用いた臭化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコ中に、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,1.26g)とグラファイト(20.8mg)、N-ブロモスクシンイミド(41.2mg)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水を適量加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジに臭素を修飾した臭化グラフェン(21.8mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が導入されているか同定した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いて臭素導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図1に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用いて欠陥の有無を確認した。この際、488nmの励起レーザーを使用した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0044】
実施例5
[臭化鉄(III)を用いた臭化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコ中に、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,1.20g)とグラファイト(20.2mg)、臭化鉄(III)(40.3mg)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水を適量加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジに臭素を修飾した臭化グラフェン(21.4mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が導入されているか同定した。得られた結果を表1にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いて臭素導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図1に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用いて欠陥の有無を確認した。この際、488nmの励起レーザーを使用した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0045】
ジブロモイソシアヌル酸を用いて合成した実施例2の臭化グラフェンを用いて、各溶媒における分散性を確認した。得られた結果を図3に示す。
【実施例】
【0046】
【表1】
JP2015005470A1_000003t.gif
【実施例】
【0047】
実施例6
[N-ヨードスクシンイミド(NIS)を用いたヨウ化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコに、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,3.04g)とグラファイト(50.9mg)、N-ヨードスクシンイミド(104.5mg,0.464mmol)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水(20.0ml)を加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(孔径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水、メタノールの順に洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジをヨウ素で修飾したヨウ化グラフェン(50.9mg)を得た。
【実施例】
【0048】
実施例7
[N-クロロスクシンイミド(NCS)を用いた塩化グラフェンの合成]
100mlナスフラスコに、ポリリン酸(Sigma-Aldrich,CAS-No.8017-16-1,d=2.05g/cm3,≧83% phosphate (as P2O5) basis,3.02g)とグラファイト(50.9mg)、N-クロロスクシンイミド(102.1mg,0.765mmol)を加えた。窒素置換した後、130℃のオイルバスで3日間還流攪拌した。反応終了後、イオン交換水(20.0ml)を加え、ポリリン酸が溶けきるまで攪拌した。次にPTFEメンブレンフィルター(孔径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水、メタノールの順に洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジを塩素で修飾した塩化グラフェン(50.3mg)を得た。
【実施例】
【0049】
実施例8
[ペンチル基を導入したグラフェンの合成]
100ml三口フラスコ中にジブロモイソシアヌル酸を用いて合成した臭化グラフェン(39.6mg)を加え、Ar置換をした後、フレームドライした。蒸留したTHF(20ml)を加え、溶媒の温度が-20℃で安定するまで攪拌した。次に、n-ブチルリチウム(1.4ml)をシリンジで加え、1時間攪拌した。その後、1-ブロモペンタン(1ml)をシリンジで加え、室温で3時間攪拌した。PTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジにペンチル基を導入したグラフェン(34.8mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が脱離しているか同定した。得られた結果を表2にまとめて示す。また、熱重量分析(SHIMADZU DTG-60)を用いてペンチル基導入後の熱安定性を解析した。得られた結果を図4に示す。赤外分光分析(SHIMADZU IRAffinity-1)を用いてペンチル基が導入された際に確認されるアルキル鎖のピーク(2926cm-1,2872cm-1)を確認した。得られた結果を図5及び図6に示す。レーザーラマン分光光度計(NRS-3100)を用い、レーザーは488nmを用いて欠陥の有無を確認した。得られた結果を図7に示す。
【実施例】
【0050】
実施例9
[ジメチルシリル基を導入したグラフェンの合成]
100ml三口フラスコ中にジブロモイソシアヌル酸を用いて合成した臭化グラフェン(48.7mg)を加え、Ar置換をした後、フレームドライした。蒸留したTHF(20ml)を加え、溶媒の温度が-20℃で安定するまで攪拌した。次に、n-ブチルリチウム(1.4ml)をシリンジで加え、1時間攪拌した。その後、クロロジメチルシラン(1ml)をシリンジで加え、室温で3時間攪拌した。PTFEメンブレンフィルター(口径0.45mm)で吸引ろ過を行い、イオン交換水とメタノールで洗浄した。得られた残留物を真空乾燥させたところ、エッジにジメチルシリル基を導入したグラフェン(38.8mg)を得た。蛍光X線分析(リガク製 ZSX Prime II-R1)を用いて臭素が脱離しているか同定した。得られた結果を表2にまとめて示す。また、赤外分光分析(SHIMADZU IRAffinity-1)を用いてジメチルシリル基が導入された際に確認されるSi-Hのピーク(2100cm-1付近)を確認した。
【実施例】
【0051】
【表2】
JP2015005470A1_000004t.gif
【実施例】
【0052】
図2で示されるラマン分光法による分析結果から分かるように、1578cm-1付近にGバンドと呼ばれるピークがあり、1364cm-1付近にDバンドと呼ばれるピークがあるが、このGバンドとDバンドとの比G/Dは、原料であるグラファイトと実施例1~5により得られた臭化グラフェンとでほとんど同じであった。この結果から、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合には臭素がほとんど付加されず、端部に臭素が付加された炭素シートが得られているといえる。同様に、図7で示されるラマン分光法による分析結果からも、グラフェン平面を形成する6員環の二重結合にはペンチル基がほとんど付加されず、端部にペンチル基が付加された炭素シートが得られているといえる。また、図1で示される熱重量分析結果から分かるように、原料であるグラファイトと比べて、実施例1~5で得られた臭化グラフェンにおける80%重量減少の温度が高く、熱安定性が向上しているといえる。
【実施例】
【0053】
実施例10
[フェニルカルバゾリル基を導入したグラフェンの合成]
50mlナスフラスコ中に臭化グラフェン(10.3mg)と4-(9-carbazolyl)phenyl boronic acid(11.7mg,4.07×10-5mmol)、Pd触媒としてテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(10.1mg,8.74×10-6mmol)をDMF(3ml)に加えた。次に、リン酸三カリウム水溶液(0.3ml,2M)を加えた。各試薬が溶解するまで超音波照射をし、80℃のオイルバスで6時間攪拌した。反応終了後、PTFEメンブレンフィルター(孔径0.45μm)で吸引ろ過を行い、メタノール、イオン交換水、メタノール、クロロホルムの順に洗浄した。次に、得られた残留物をソックスレー抽出器で還流したクロロホルムを用いて2日間洗浄した。得られた固体を真空乾燥させたところ、エッジ部位にフェニルカルバゾリル基を導入したグラフェン(8.7mg)を黒色固体として得た。蛍光X線分析結果を表3にまとめて示す。
【実施例】
【0054】
【表3】
JP2015005470A1_000005t.gif
【実施例】
【0055】
表3より、鈴木・宮浦クロスカップリングを用いた化学修飾後に減少した臭素は、Tiを内標準物質として用いた検量線から求めると20.74mg,8.24×10-4mmolであった。また、図8より、485℃-540℃において、フェニルカルバゾリル基由来の重量減少が確認された。燃焼したフェニルカルバゾリル基を求めると7.35×10-4mmolであった。表3より求めた臭素の減少量と図8より求めた官能基の減少量がほぼ一致している。この結果から、鈴木・宮浦クロスカップリングによりフェニルカルバゾリル基を導入したグラフェンが得られたことが分かる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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