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明細書 :超伝導ケーブル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 超伝導ケーブル
国際特許分類 H01B  12/02        (2006.01)
H01L  39/02        (2006.01)
FI H01B 12/02 ZAA
H01L 39/02 D
国際予備審査の請求
全頁数 25
出願番号 特願2015-535412 (P2015-535412)
国際出願番号 PCT/JP2014/071626
国際公開番号 WO2015/033768
国際出願日 平成26年8月19日(2014.8.19)
国際公開日 平成27年3月12日(2015.3.12)
優先権出願番号 2013185044
優先日 平成25年9月6日(2013.9.6)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG
発明者または考案者 【氏名】松下 照男
【氏名】小田部 荘司
【氏名】木内 勝
出願人 【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099634、【弁理士】、【氏名又は名称】平井 安雄
審査請求 未請求
テーマコード 4M114
5G321
Fターム 4M114AA09
4M114AA14
4M114BB10
4M114CC02
5G321BA01
5G321BA11
5G321BA14
5G321CA18
5G321CA26
5G321CA48
5G321CA99
要約 縦磁界効果を利用して大電流を流すことができると共に、過大電流が生じた場合に、限流するための機能をケーブル自体で実現することができる超伝導ケーブルを提供する。縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側導体3と、内側導体3における縦磁界が増加するように内側導体と逆方向に直流電流を通電するシールド層5とを有する超伝導ケーブル1であって、シールド層5の電流容量が内側導体3の電流容量より小さくなっており、シールド層5が、シールド層5に流れる電流がシールド層5の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための外側導電層6bを有し、内側導体3が、内側導体3に流れる電流が内側導体3の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための内側導電層6aを有し、外側導電層6b及び内側導電層6aに電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように外側導電層6b及び内側導電層6aが形成されている。
特許請求の範囲 【請求項1】
縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、
前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、
前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、
前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されていることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、
前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、
前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、
前記導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項3】
請求項2に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記導電層に流れる電流の方向が前記外側層に流れる電流の方向と同方向であることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項4】
縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、
前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、
前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、
前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されていることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項5】
請求項4に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、
前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、
前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、
前記導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項6】
請求項5に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記導電層に流れる電流の方向が前記内側層に流れる電流の方向と同方向であることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項7】
縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、
前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、
前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための外側導電層を有し、
前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための内側導電層を有し、
前記外側導電層及び前記内側導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記外側導電層及び前記内側導電層が形成されていることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項8】
請求項7に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、
前記内側層が、当該基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、
前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、
前記外側導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなり、前記内側導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項9】
請求項8に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記外側導電層に流れる電流の方向が前記外側層に流れる電流の方向と同方向であり、前記内側導電層に流れる電流の方向が前記内側層に流れる電流の方向と同方向であることを特徴とする超伝導ケーブル。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の超伝導ケーブルにおいて、
前記外側導電層及び前記内側導電層の前記基準方向に対する螺旋角度が、それぞれ25°以上、60°以下であることを特徴とする超伝導ケーブル。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、縦磁界効果を利用した限流機能付きの超伝導ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
縦磁界効果を利用してフォースフリー状態又はフォースフリー状態に近い状態を実現する超伝導ケーブルとして、発明者らにより開発された特許文献1に示す技術が知られている。特許文献1に示す技術は、超伝導体を用いて電力を送電する超伝導ケーブルにおいて、超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導材からなる導電部を備え、導電部が複数の層からなり、最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が基準方向に対して順次異なる角度であり、導電部に流れる電流により当該電流の流れと同方向に磁界を生じさせるものであり、前記導電部で形成される層を内側層とし、前記超伝導材からなる導電部で形成され、当該導電部が前記基準方向に対して、前記内側層に配設される導電部の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される外側層と、前記内側層と外側層の間に配設された絶縁層とを備える直流の超伝導往復送電ケーブルである。
【0003】
この特許文献1に示すフォースフリー超伝導電力ケーブルは、縦磁界下で臨界電流密度が大幅に増加するという縦磁界効果を直流用超伝導電力ケーブルに応用したものである。図4(A)は、金属系超伝導体の横磁界下(白丸)及び縦磁界下(黒丸)における臨界電流密度の違いであり、フォースフリー超伝導電力ケーブルでは、この縦磁界下の特性を利用する。そのため、図4(B)に示すような構造とし、帰路の外側遮蔽超伝導体を流れる電流が内側の超伝導体に縦磁界を与えるように一の方向に捻る。一方、こうした縦磁界下において、内側導体で局所的な電流の方向(巻く超伝導材の方向)と磁界とが平行になるフォースフリー状態(Lorentz力が働かない状態)が達成されるよう、特殊な超伝導線の巻き方を施す。こうした構造にすることで、通常の超伝導ケーブルに比べて大幅な電流容量の増大を可能としている。図4(C)は計算例であり、ケーブル内の導体層の数の増加と共に飛躍的に電流容量が増大することを示している。
【0004】
ところで、再生可能エネルギーを利用した太陽光や風力による発電の普及の障害の一つになっているのが余剰電力の処理であり、そのためには、高価なエネルギー貯蔵装置の設置しなくても、広範囲に電力網を広げて過不足と不足をならすことによって地域的な安定化を図ることが有効である。このような安定な電力供給のために電力ネットワークを整備することが望まれているが、現状では短絡事故や落雷などによる過大電流が問題となり、十分な電力ネットワークが形成されていない。こうした広域電力ネットワークの構築のためには、事故時の過大電流を阻止できる限流器の設置が重要であり、特に欧米では限流器の開発が急ピッチで行われている。
【0005】
超伝導を利用した限流器として、(1)抵抗遷移型、(2)インダクタンス型がよく知られている。(1)抵抗遷移型は、超伝導体が常伝導状態に転移して生じる高い電気抵抗を利用して限流するものであり、(2)インダクタンス型は、巻線数の多い変流器の2次側が常伝導状態に転移したときに1次側から見たインピーダンスが極めて大きくなることを利用して限流するものであり、交流専用となる。これ以外にも、例えば、(2)を利用して超伝導変圧器に限流機能を持たせたものがある。
【0006】
上記に関連する技術として、例えば特許文献2に示す技術が開示されている。特許文献2に示す技術は、超伝導ケーブルの冷却媒体流通路と流通可能な状態となるように超伝導ケーブルの端末に接続される低温容器と、低温容器に液体窒素を循環供給するための冷却システムと、低温容器内に配設されて液体窒素に埋没状態に浸漬され、かつ電流リードを介して常伝導機器に電気的に接続される超伝導限流素子とを備えるものである。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】国際公開第2011/043376号
【特許文献2】特開2009-27843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2に示す技術は、超伝導ケーブルに限流機能を別途設ける必要があり、構造が複雑になってしまうと共に、製造やメンテナンスに手間が掛かってしまうという課題を有する。
【0009】
本発明は、縦磁界効果を利用して大電流を流すことができると共に、過大電流が生じた場合に、限流するための機能をケーブル自体で実現することができる超伝導ケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る超伝導ケーブルは、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されているものである。
【0011】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されているため、過大電流が流れた場合には、外側層が有する導電層に電流が分流され、その分流された電流により縦磁界が減少することで、抵抗状態に遷移し、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0012】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるものである。
【0013】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記導電層に流れる電流の方向を前記外側層に流れる電流の方向と同方向とするものである。
【0015】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、導電層に流れる電流の方向を外側層に流れる電流の方向と同方向とするため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る超伝導ケーブルは、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されているものである。
【0017】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための導電層を有し、前記導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記導電層が形成されているため、過大電流が流れた場合には、内側層が有する導電層に電流が分流され、その分流された電流により縦磁界が減少することで、抵抗状態に遷移し、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0018】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるものである。
【0019】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、前記基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数の超伝導層を有し、当該複数の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0020】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記導電層に流れる電流の方向を前記内側層に流れる電流の方向と同方向とするものである。
【0021】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、導電層に流れる電流の方向を内側層に流れる電流の方向と同方向とするため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る超伝導ケーブルは、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための外側導電層を有し、前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための内側導電層を有し、前記外側導電層及び前記内側導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記外側導電層及び前記内側導電層が形成されているものである。
【0023】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、縦磁界効果を利用して直流電流を通電する内側層と、当該内側層を被覆する絶縁層と、当該絶縁層の外側に前記内側層における縦磁界が増加するように前記内側層と逆方向に直流電流を通電する外側層とを有する超伝導ケーブルであって、前記外側層の電流容量が前記内側層の電流容量より小さくなっており、前記外側層の最外層に、当該外側層に流れる電流が当該外側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための外側導電層を有し、前記内側層の最外層であって前記絶縁層の内側に、前記内側層に流れる電流が当該内側層の電流容量を超えた場合に、電流が分流するための内側導電層を有し、前記外側導電層及び前記内側導電層に電流が通電される場合に、当該電流により縦磁界が減少するように前記外側導電層及び前記内側導電層が形成されているため、過大電流が流れた場合には、内側層及び外側層が有する導電層に電流が分流され、その分流された電流により縦磁界が減少することで、抵抗状態に遷移し、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0024】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、当該基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数層の超伝導層を有し、当該複数層の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記外側導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなり、前記内側導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるものである。
【0025】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、前記超伝導ケーブルの長手方向を基準方向とし、前記内側層が、当該基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設される超伝導部材からなる複数層の超伝導層を有し、当該複数層の超伝導層の最内層から最外層に向かって、螺旋の角度が前記基準方向に対して順次大きくなる角度であり、前記外側層が、前記基準方向に対して、前記内側層に有する超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される超伝導部材からなる超伝導層を有し、前記外側導電層が、前記外側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなり、前記内側導電層が、前記内側層が有する前記超伝導層の螺旋方向と逆方向の螺旋方向に配設される導電部材からなるため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記外側導電層に流れる電流の方向を前記外側層に流れる電流の方向と同方向とし、前記内側導電層に流れる電流の方向を前記内側層に流れる電流の方向と同方向とするものである。
【0027】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、前記外側導電層に流れる電流の方向を前記外側層に流れる電流の方向と同方向とし、前記内側導電層に流れる電流の方向を前記内側層に流れる電流の方向と同方向とするため、導電層に流れる電流により縦磁界を減少させることができ、限流機能を実現することができるという効果を奏する。
【0028】
本発明に係る超伝導ケーブルは、前記外側導電層及び前記内側導電層の前記基準方向に対する螺旋角度が、それぞれ20°以上、60°以下とするものである。
【0029】
このように、本発明に係る超伝導ケーブルにおいては、前記外側導電層及び前記内側導電層の前記基準方向に対する螺旋角度が、それぞれ20°以上、60°以下とすることで、十分な限流効果を実現しつつ、導電層における導線の量を抑え、巻き易くして製造効率を上げることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】第1の実施形態に係る超伝導ケーブルの第1の構造を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係る超伝導ケーブルの第2の構造を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る超伝導ケーブルの第3の構造を示す図である。
【図4】フォースフリー超伝導電力ケーブルの特徴を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明は多くの異なる形態で実施可能である。また、本実施形態の全体を通して同じ要素には同じ符号を付けている。
【0032】
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係る超伝導ケーブルについて、図1ないし図3を用いて説明する。本実施形態に係る超伝導ケーブルは、フォースフリー状態又はフォースフリー状態に近い状態を実現して大電流を流すことが可能なフォースフリー超伝導電力ケーブルに限流機能を付加したものである。すなわち、縦磁界効果を利用することで電流容量を増加させる超伝導ケーブルの限流機能に関するものである。
【0033】
フォースフリー超伝導電力ケーブルは、図4(B)に示すように、円筒状に形成され、それぞれが異なる断面径を有する内側導体が、多層(図では3層)に積層された構造となっており、積層された内側導体は、絶縁層により被覆されている。絶縁層の外側には、内側導体とは逆方向に電流を通電すると共に、内側導体により発生する磁界をシールドするシールド層が、多層(図では3層)に積層された構造で形成されている。各層間は中空となっており、液体窒素等の冷媒が充填される。
【0034】
内側導体は、複数の超伝導テープを並設して形成されており、各層における超伝導テープは、フォースフリー超伝導電力ケーブルの長手方向を基準方向とし、基準方向に対して正、又は負のいずれか一の角度で螺旋状に配設されている。また、外側のシールド層は、内側導体と同様に複数の超伝導テープを並設して形成されており、各層における超伝導テープは、基準方向に対して内側導体における螺旋方向と反対方向の螺旋方向(すなわち、内側導体が正の角度であればシールド層は負の角度、内側導体が負の角度であればシールド層は正の角度)に配設されている。
【0035】
また、内側導体及び外側のシールド層の各層において、超伝導テープが配設される螺旋の角度は、半径方向に対して最も内側の層である最内層から、半径方向に対して最も外側の層である最外層に向けて基準方向に対する螺旋角度が順次大きくなっている。図4(B)における各層の矢印の方向は、超伝導テープが配設されている方向であり、電流が流れる方向を示している。つまり、電流は基準方向に向かって螺旋状に流れて送電される。
【0036】
ここで、内側導体を流れる電流をIとすると、電流Iは基準方向に平行な縦成分と基準方向に垂直な横成分に分けることができる。内側導体を電流Iが流れることで、基準方向からの螺旋の角度をθとすると、縦成分の電流Icosθは、フォースフリー超伝導電力ケーブルに対して横磁界を発生させ、横成分の電流Isinθは、フォースフリー超伝導電力ケーブルに対して縦磁界を発生させる。前述したように、縦磁界下では超伝導体の臨界電流密度が増大することから、大容量の電力を送電することが可能となる。
【0037】
また、外側のシールド層においては、内側導体に対して螺旋方向が逆であり、電流の方向も逆であるため、縦成分の電流については、内側導体で生じる横磁界を打ち消すことができ(すなわち、シールド機能を有しており)、横成分の電流については、内側導体で生じる縦磁界を増加させることができる。つまり、図4(C)に示すように、より大きな縦磁界を加えることで、臨界電流密度を大幅に増加させることが可能となる。
【0038】
フォースフリー超伝導電力ケーブルにおける超伝導テープは、理想的には流れる電流の方向と縦磁界の方向とが平行となる角度、つまりJ×B=0を満たすフォースフリー状態で電流が流れるように螺旋角度を設定して配設される(詳細は特許文献1を参照)。なお、フォースフリー超伝導電力ケーブルには、理想的にJ×B=0を満たすフォースフリー状態のものに加えて、J×B=0を完全には満たさないものの、フォースフリー状態に近い状態のものも含まれるとする。
【0039】
このようなフォースフリー超伝導電力ケーブルに限流機能を付加する。つまり、上述したように、抵抗転移型限流器の特徴は、過大電流が流れた場合にすばやく抵抗状態に転移し、高い抵抗を発生させることによって過大電流を速やかに減衰させるものであり、本実施形態に係る超伝導ケーブルにおいては、フォースフリー超伝導電力ケーブルの特徴的な構造を利用したものである。
【0040】
図1は、本実施形態に係る超伝導ケーブルの第1の構造を示す図である。図1において、超伝導ケーブル1は、中心部分に配設されるフォーマ2と、フォーマ2の外側に複数の超伝導テープを並設して形成された複数層(図では3層)の内側導体3と、内側導体3の外側に絶縁層4と、絶縁層4の外側に複数の超伝導テープを並設して形成された複数層(図では3層)のシールド層5と、シールド層5の外側に過大電流を分流するための導電層6が形成されている。
【0041】
内側導体3においては、電流は基準方向に流れ、上記で説明したように、内側導体3の各層は、フォースフリー状態又はフォースフリーに近い状態を実現するために、最内層から最外層に向けて基準方向に対する螺旋角度が順次大きくなっている。一方、シールド層5においては、電流は基準方向とは逆方向に流れ、その各層は内側導体3の各層に対して螺旋方向が逆方向に形成されている。
【0042】
導電層6は超伝導体ではなく、通常の導体(例えば、銅やアルミニウム)からなり、過大電流が生じた場合にシールド層5に流れていた電流が分流してシールド層5に流れていた電流と同方向、すなわち基準方向と逆方向に導体に沿って電流が流れる。この導電層6は、シールド層5の螺旋方向とは逆方向に巻かれて形成されている。すなわち、縦成分の電流により、内側導体3の横磁界を打ち消し、横成分の電流により、内側導体3の縦磁界を打ち消す。内側導体3の縦磁界が減少することで、臨界電流が減少し、抵抗状態への転移が高速に行われる。
【0043】
以下に、地絡事故や落雷などにより過大電流が流れた場合の限流プロセスを説明する。超伝導ケーブル1においては、シールド層5の電流容量が内側導体3の電流容量より小さくなるように形成されている。外側のシールド層5は、フォースフリーが実現されているわけではないため、大きな電流密度の増加はない。つまり、シールド層5に使用する超伝導材料を減らしておくことで、電流容量を小さくしておく。
【0044】
過大電流が生じた場合に、シールド層5の電流容量を超えた遮蔽電流は導電層6へ分流を始めるが、その導電層6がシールド層5の螺旋方向と逆方向に巻かれているため、縦磁界が減少する。これにより、内側導体3の電流容量が減少し、抵抗遷移が起こり易くなり、限流機能が実現される。
【0045】
図2は、本実施形態に係る超伝導ケーブルの第2の構造を示す図である。図2において、図1の場合と異なるのは、導電層6が、内側導体3と絶縁層4との間に形成されている点である。つまり、内側導体3に抵抗遷移が起こった際に、導電層6に内側導体3に流れていた電流と同方向、すなわち基準方向に導体に沿って電流が流れる。この導電層6は、内側導体3の螺旋方向と逆方向に巻かれているため、内側導体3の縦磁界が減少する。これにより、内側導体3の電流容量を減少させ、抵抗遷移を起こり易くして、限流機能が実現される。
【0046】
図3は、本実施形態に係る超伝導ケーブルの第3の構造を示す図である。図3における超伝導ケーブル1は、図1及び図2における超伝導ケーブル1を組み合わせた構造となっており、内側導体3と絶縁層4との間に内側導電層6aが形成され、シールド層5の外側に外側導電層6bが形成されている。これらの内側導電層6a及び外側導電層6bは、銅やアルミニウム等の通常の導体からなり、内側導体3やシールド層5に過大電流が生じた場合に各層を流れていた電流が分流する。つまり、外側導電層6bに、シールド層5に流れていた電流と同方向、すなわち基準方向と逆方向に導体に沿って電流が流れ、内側導電層6aに、内側導体3に流れていた電流と同方向、すなわち基準方向に導体に沿って電流が流れる。内側導電層6aは、内側導体3の螺旋方向とは逆方向の螺旋方向に巻かれており、外側導電層6bは、シールド層5の螺旋方向とは逆方向の螺旋方向に巻かれているため、内側導体3の縦磁界の減少が、外側導電層6b及び内側導電層6aの電流により促進される。これにより、内側導体3の電流容量を減少させ、抵抗遷移を起こり易くして、限流機能が実現される。
【0047】
以下に、過大電流が流れた場合の限流プロセスを説明する。ここでも、超伝導ケーブル1においては、シールド層5の電流容量が内側導体3の電流容量より小さくなるように形成されている。外側のシールド層5は、フォースフリー状態又はフォースフリー状態に近い状態が実現されているわけではないため、大きな電流密度の増加はない。つまり、シールド層5に使用する超伝導材料を減らしておくことで、電流容量を小さくしておく。
【0048】
過大電流が生じた場合に、シールド層5の電流容量を超えた遮蔽電流は、外側導電層6bへ分流を始めるが、その外側導電層6bがシールド層5の螺旋方向と逆方向に巻かれているため、縦磁界が減少する。これにより、内側導体3の電流容量が減少し、抵抗遷移が起こり易くなる。
【0049】
内側導体3が抵抗遷移を始めれば、電流の一部が内側導電層6aに流れるが、特に内側導体3のすぐ外側に形成された内側導電層6aに、内側導体3の螺旋方向とは逆方向の螺旋方向に電流が流れることで、縦磁界が大幅に減少し、臨界電流が大きく減少し、一気に抵抗遷移が加速され、強い限流が起こる。このようなプロセスにより、高速な抵抗状態への転移が始まれば、発生熱による温度上昇のスピードが速まり、一気に常伝導状態への転移が起こり、安全で確実に限流が行われる。
【0050】
このように、フォースフリー超伝導電力ケーブルにおいて、過大電流が流れた場合に縦磁界を減少するような構造とすることで、臨界電流が減少し、常伝導状態への転移を高速に行って、安全で確実な限流機能を実現することができる。
【0051】
なお、上記実施形態において、内側導体3の各層は、フォースフリー状態又はフォースフリーに近い状態を実現するために、最内層から最外層に向けて基準方向に対する螺旋角度が順次大きくなっている構成としたが、螺旋角度が0°、すなわち基準方向と平行の状態であってもよい。つまり、内側導体3では縦磁界を生じることなく、シールド層5による縦磁界効果により内側導体3の基準方向への電流容量を増加させて電流を通電する構成であればよい。
【実施例】
【0052】
以下、1つの超伝導ケーブルを例にとって限流特性の解析を行う。ここでは、図3に示す超伝導ケーブル1の構造をベースにして解析を行う。
【0053】
内側導体の超伝導層数nが8の場合を考える。この超伝導層の半径はR=2.0×10-2mとし、この場合、シールド層5を流れる返流による縦磁界はμ=0.517T、シールド層5の平均遮蔽電流密度は<Jc⊥>=4.0×1010A/m、フォースフリー状態にある内側導体3の臨界電流密度はJc∥=8.0×1010A/mであり、このときのケーブルの電流容量はI=89.6kAである。なお、これらの演算の詳細については、参考文献(T.Matsushita, M.Kiuchi, E.S.Otabe "Innovative superconducting force-free cable concept", Superconductors Science and Technology, Vol.25 (2012) 125009, 8pp)に基づくものである。
【0054】
ここで、シールド層5の電流容量を(1-ε)Iとし、ここではε=0.05とする。次に、外側導電層6b(銅)の半径をR=2.5×10-2m、その巻き角度θを40°とする。そして、絶縁層4の内側に配設する安定化銅のうち、内側導体3の外側に配する割合、すなわち内側導電層6a(銅)の割合をβで表し(1-βは中央のフォーマ(銅)の割合となる)、β=1とし、巻き角度θを同じく40°とする。
【0055】
以下、具体的な計算に入る前に簡単に概略を説明する。まず、電流容量を超えた電流が超伝導層に流れたとすると、磁束フロー状態に達することになるが、これに対応した超伝導体の抵抗を求める。例えば、発生に寄与し、シールド層5の超伝導体の断面積は、超伝導コート線材の超伝導層の厚さをd=1.0μmとして、
【0056】
【数1】
JP2015033768A1_000003t.gif

【0057】
となる。したがって、フロー抵抗率をρ=1.0μΩcmとすると、長さ1mあたりの超伝導体の抵抗はR’=1.0×10-8/1.25×10-6=80[mΩ/m]となる。しかしながら、安定化銅の抵抗は1mΩ/mよりはるかに小さいので、すべての余剰電流は安定化銅を流れるとしてよい。
【0058】
限流特性の指標として、中心導体部の銅層(ケーブル中心部のフォーマ)に流れる電流ICuを用いることにする。輸送電流をI、電流容量の減少分をΔIとすると、
【0059】
【数2】
JP2015033768A1_000004t.gif

【0060】
と書ける。この電流容量の減少は縦磁界の減少によるもので、このうち、シールド層5の電流による縦磁界の減少分をΔB、内側導体3の電流による縦磁界の減少分をΔBとすると、
【0061】
【数3】
JP2015033768A1_000005t.gif

【0062】
のようになる。ここでαは比例定数である。シールド層5はほとんどフォースフリー状態から外れているので、縦磁界の変化による臨界電流密度の変化は考えなくてよく、ΔBは単純に輸送電流Iがシールド層5の電流容量(1-ε)Iを超えた量によって決まる。
【0063】
【数4】
JP2015033768A1_000006t.gif

【0064】
一方、ΔBは簡単には求まらない。それは、単純に電流容量を超えた電流I-Iによって逆向きに作られる縦磁界の2倍では与えられず、それによってさらに減少する電流容量を求め、その効果も考慮しなければならないためである。以下、具体的な計算を行いながらそれらの確認を行う。
【0065】
(1)I=Iのとき
まず、電流容量Iに等しい電流がケーブルに流れたとする。まだ、超伝導体の温度が変わらないとすると、シールド層5における電流の5%である4.48kAは磁束フロー状態に対応した抵抗発生に寄与し、これをIと表す。外側導電層6bは、逆向きに40°傾けてあるので、この電流はこれまで作っていた方向とは逆向きの縦磁界を作り、縦磁界の減少分は、
【0066】
【数5】
JP2015033768A1_000007t.gif

【0067】
となる。次に、この縦磁界の減少による内側導体の電流容量の減少を計算する。正しくは、磁界が電流の方向から少しずれるため、これによる影響も加わるが、そのはずれの影響は相対的に小さいので、ここでは単純に縦磁界の減少による変化として電流容量の減少分を計算する。縦磁界のΔBだけの減少による臨界電流密度の減少分は、縦磁界Bに対する依存性をJc∥=5.0×1010+6.0×1010Bと近似していたので、
【0068】
【数6】
JP2015033768A1_000008t.gif

【0069】
となる。元々のJc∥=8.0×1010A/mに対する減少分ΔJ’c∥の割合から、電流容量の減少分は、
【0070】
【数7】
JP2015033768A1_000009t.gif

【0071】
となる。この2.60kAの電流は外側の逆向きの外側導電層6bである安定化銅を流れて、逆に縦磁界を減少させる。これによる縦磁界の減少分は、
【0072】
【数8】
JP2015033768A1_000010t.gif

【0073】
となる。この縦磁界の減少分はさらに中心の導体の電流容量を減少させる。その減少の割合をδとすると、それは最初の原因であるΔBに対するその結果としてもたらされたΔB(1)の割合で与えられ、
【0074】
【数9】
JP2015033768A1_000011t.gif

【0075】
ΔB(1)は同じ割合で次の減少分ΔB(2)をもたらし、それもさらに減少分をもたらす。電流容量の減少も同じ割合で生じるので、結局最終的な電流容量の減少分は、
【0076】
【数10】
JP2015033768A1_000012t.gif

【0077】
となる。今の場合、(2)式の第1項は0なので、ICu=9.49×10Aとなり、電流容量の10.6%が銅層に流れることになる。
【0078】
(2)I=1.02Iのとき
外側導電層6bの銅を流れる電流はI=0.07I=6.27kAであり、(5)式と同様な計算で縦磁界の減少分ΔB=5.40×10-2[T]を得る。これは上述のように、内側導体3の電流容量を下げ、それによって内側導電層6aを流れる電流をもたらし、さらに縦磁界を減少させる。その総量は、
【0079】
【数11】
JP2015033768A1_000013t.gif

【0080】
となる。また、内側導体3の過剰電流ΔI=I-I=1.79×10[A]によって直接生じる縦磁界の減少は、(8)式同様に、
【0081】
【数12】
JP2015033768A1_000014t.gif

【0082】
となる。したがって、これによる最終的な縦磁界の減少分は、
【0083】
【数13】
JP2015033768A1_000015t.gif

【0084】
となる。これより、全体の縦磁界の減少分は、
【0085】
【数14】
JP2015033768A1_000016t.gif

【0086】
となる。これによる臨界電流密度の減少分は、
【0087】
【数15】
JP2015033768A1_000017t.gif

【0088】
となり、電流容量は、
【0089】
【数16】
JP2015033768A1_000018t.gif

【0090】
だけ減少する。したがって、銅に流れる電流は
【0091】
【数17】
JP2015033768A1_000019t.gif

【0092】
となり、Iの22.1%に達する。
【0093】
(3)I=1.04Iのとき
外側導電層6bの銅を流れる電流による縦磁界の減少分は、(11)式よるIに比例することから、単純に、
【0094】
【数18】
JP2015033768A1_000020t.gif

【0095】
となる。一方、内側導体3の過剰電流は0.04Iと、I=1.02Iのときの2倍となるので、これによる縦磁界の減少分は、
【0096】
【数19】
JP2015033768A1_000021t.gif

【0097】
となる。これより、全体の縦磁界減少分は、
【0098】
【数20】
JP2015033768A1_000022t.gif

【0099】
となる。これによる臨界電流密度の減少分は、
【0100】
【数21】
JP2015033768A1_000023t.gif

【0101】
となり、電流容量は、
【0102】
【数22】
JP2015033768A1_000024t.gif

【0103】
だけ減少する。したがって、銅に流れる電流は、
【0104】
【数23】
JP2015033768A1_000025t.gif

【0105】
となり、Iの34.4%に達する。
【0106】
以下、解析結果について検討する。解析の手法について上述したので、ここで、パラメータの影響について考慮してみる。具体的には銅層の捻る角度θ、θの影響を考える。
【0107】
(4)θ=θ=30°のとき
まず、I=Iのとき、(5)式はΔB=2.01×10-2Tとなる。(7)式のΔI(1)も同じ割合だけ変化し、ΔI(1)=1.39×103Aとなる。これによる(8)式のB(1)はB(1)=0.803×10-2Tとなり、δ=0.389となる。この結果、電流容量の減少分は、
【0108】
【数24】
JP2015033768A1_000026t.gif

【0109】
となり、電流容量の2.5%が銅層に流れる。
【0110】
次に、I=1.02Iのとき、ΔB=2.81×10-2T、ΔB+ΔBi1=4.60×10-2Tを得る。また、Bi2(1)=1.03×10-2T、ΔBi2=1.69×10-2TよりΔB=6.29×10-2Tとなり、ΔJc∥=3.77×10[Am-2]、ΔI=4.23×10A、ICu=6.02×10Aを得る。これはIの6.7%である。同様な解析により、I=1.04IのときはICu=9.83×10Aで、Iの11.0%である。
【0111】
(5)θ=θ=35°のとき
詳細を省略するが、銅に流れる電流ICuは、I=IのときICu=4.09×10A(4.6%)、I=1.02IのときICu=9.78×10A(10.9%)、I=1.04IのときICu=1.54×10A(17.1%)となる。
【0112】
(6)θ=θ=25°のとき
結果のみを示す。ICuは、I=IのときICu=1.29×10A(1.4%)、I=1.02IのときICu=3.59×10A(4.0%)、I=1.04IのときICu=5.90×10A(6.6%)となる。
【0113】
以上の結果を下記の表1に示す。
【0114】
【表1】
JP2015033768A1_000027t.gif

【0115】
限流特性は、導電層6の巻き角度によって大きく変化し、その効果が現れるのは概ね25°~30°以上である。また、角度を大きくすればするほど限流効果が大きくなるが、現実的には60°以上の角度で巻くのは技術的な問題に加え、多量の銅を必要とすることから、60°が上限値になると考えられる。
【0116】
このように、上記解析の結果から、本発明に係る超伝導ケーブルでは、急速に銅に電流が分流することが明らかとなった。したがって、実際には銅に電流が流れることにより発熱し、一気に常伝導転移が起こり限流される。以上のことから、本発明の超伝導ケーブルは、フォースフリーを利用して電流容量を大きくできるのみならず、過大電流を防止する限流機能にも優れているものであることが明らかである。
【0117】
第2の解析として、内側導電層6aのみを備える構成とした場合、外側導電層6bのみを備える構成とした場合、内側導電層6a及び外側導電層6bを備える構成とした場合の縦磁界の減少分を比較する解析を行った。その結果を以下の表2に示す。
【0118】
【表2】
JP2015033768A1_000028t.gif

【0119】
表からわかるように、内側導電層6aの単独の場合、外側導電層6bの単独の場合には、それぞれに限流効果が見られるものの、内側導電層6a及び外側導電層6bの双方を備える構成の場合には、その効果が格段に大きくなっている。これは、それぞれの相乗効果によるものであると考えられるため、内側導電層6a単独、外側導電層6b単独の構成であってもよいが、好ましくは内側導電層6a及び外側導電層6bの双方を備える構成とするのがよい。
【符号の説明】
【0120】
1 超伝導ケーブル
2 フォーマ
3 内側導体
4 絶縁層
5 シールド層
6 導電層
6a 内側導電層
6b 外側導電層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3