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明細書 :電気力/磁気力顕微鏡および電場/磁場同時測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月23日(2017.3.23)
発明の名称または考案の名称 電気力/磁気力顕微鏡および電場/磁場同時測定方法
国際特許分類 G01Q  60/50        (2010.01)
G01Q  60/30        (2010.01)
FI G01Q 60/50
G01Q 60/30
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 27
出願番号 特願2015-560054 (P2015-560054)
国際出願番号 PCT/JP2015/052766
国際公開番号 WO2015/115622
国際出願日 平成27年1月30日(2015.1.30)
国際公開日 平成27年8月6日(2015.8.6)
優先権出願番号 2014016131
優先日 平成26年1月30日(2014.1.30)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】齊藤 準
【氏名】吉村 哲
【氏名】木下 幸則
出願人 【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100129838、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 典輝
審査請求 未請求
要約 ソフト磁性探針112を有する探針部材11と;探針部材11を励振させる探針励振部12と;周波数が異なる交流電場と交流磁場とをソフト磁性探針112に印加する交流電場印加部131及び交流磁場印加部132と;交流電場印加部131及び交流磁場印加部132を駆動する交流電場駆動部141及び交流磁場駆動部142と;探針部材11の振動を検出し、振動検出信号VIBを生成する探針振動検出部15と;ソフト磁性探針112により試料SMPLを走査する探針走査部16と;振動検出信号VIBを取得し、試料SMPLとソフト磁性探針112との間に生じた交流電気力および交流磁気力を復調する復調部17と;復調された交流電気力を用いて、試料SMPLから生じる電場を測定する電場測定部181と;復調された交流磁気力を用いて、試料SMPLから生じる磁場を測定する磁場測定部182と、を備える電気力/磁気力顕微鏡1。
特許請求の範囲 【請求項1】
励振している探針部材の先端に設けた導電性のソフト磁性探針に周波数が異なる交流電場と交流磁場とを印加し、前記ソフト磁性探針により試料を走査し、前記探針部材の振動を検出することで、前記試料から発生する電場と磁場とを同時に測定する電気力/磁気力顕微鏡であって、
前記探針部材と、
前記探針部材を励振させる探針励振部と、
前記交流電場を発生し当該交流電場を前記ソフト磁性探針に印加する交流電場印加部と、
前記交流磁場を発生し当該交流磁場を前記ソフト磁性探針に印加する交流磁場印加部と、
前記交流電場印加部を駆動する交流電場駆動部と、
前記交流磁場印加部を駆動する交流磁場駆動部と、
前記探針部材の振動を検出し、振動検出信号を生成する探針振動検出部と、
前記ソフト磁性探針により前記試料を走査するために、前記探針部材を空間駆動する探針走査部と、
前記振動検出信号を取得し、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた交流電気力および交流磁気力を復調する復調部と、
前記復調部により復調された前記交流電気力を用いて、前記試料から発生する前記電場を測定する電場測定部と、
前記復調部により復調された前記交流磁気力を用いて、前記試料から発生する前記磁場を測定する磁場測定部と、
を備えたことを特徴とする電気力/磁気力顕微鏡。
【請求項2】
試料から発生する時間変化しない直流電場と直流磁場とを同時に測定するための請求項1に記載の電気力/磁気力顕微鏡であって、
前記電場測定部は、
前記試料と前記導電性のソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定部と、
前記交流電気力測定部により測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加部が印加する交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流電場を測定する直流電場測定部と、
を備え、
前記磁場測定部は、
前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流磁気力を測定する交流磁気力測定部と、
前記交流磁気力測定部により測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加部が印加する交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流磁場を測定する直流磁場測定部と、
を備えたことを特徴とする電気力/磁気力顕微鏡。
【請求項3】
試料から発生する周期的に時間変化する交流電場と交流磁場とを同時に測定するための請求項1に記載の電気力/磁気力顕微鏡であって、
前記電場測定部は、
前記試料と前記導電性のソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定部と、
前記交流電気力測定部により測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加部が印加する交流電場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流電場を測定する交流電場測定部と、
を備え、
前記磁場測定部は、
前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた交流磁気力を測定する交流磁気力測定部と、
前記交流磁気力測定部により測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加部が印加する交流磁場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流磁場を測定する交流磁場測定部と、
を備えたことを特徴とする電気力/磁気力顕微鏡。
【請求項4】
試料から発生する時間変化しない直流電場と直流磁場、および前記試料から発生する周期的に時間変化する交流電場と交流磁場を同時に測定するための請求項1に記載の電気力/磁気力顕微鏡であって、
前記電場測定部は、
前記試料と前記導電性のソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定部と、
前記交流電気力測定部により測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加部が印加する交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流電場を測定する直流電場測定部と、
前記交流電気力測定部により測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加部が印加する交流電場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流電場を測定する交流電場測定部と、
を備え、
前記磁場測定部は、
前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流磁気力を測定する交流磁気力測定部と、
前記交流磁気力測定部により測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加部が印加する交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流磁場を測定する直流磁場測定部と、
前記交流磁気力測定部により測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加部が印加する交流磁場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流磁場を測定する交流磁場測定部と、
を備えたことを特徴とする電気力/磁気力顕微鏡。
【請求項5】
前記交流電場印加部が前記試料に印加する前記交流電場の周波数ωeと、前記交流磁場印加部が前記試料に印加する前記交流磁場の周波数ωmとが、1以上のいかなる整数nについてもωm≠nωeかつnωm≠ωeをみたす、請求項1~4のいずれかに記載の電気力/磁気力顕微鏡。
【請求項6】
励振している探針部材の先端に設けた導電性のソフト磁性探針に、周波数が異なる交流電場と交流磁場とを印加し、前記ソフト磁性探針により試料を走査し、前記ソフト磁性探針の振動を検出することで、前記試料から発生する電場と磁場を同時に測定する電場/磁場同時測定方法であって、
探針励振部により、前記探針部材を励振させる探針励振ステップと、
交流電場印加部により、前記交流電場を発生し、当該交流電場を前記ソフト磁性探針に印加するとともに、交流磁場印加部により、前記交流磁場を発生し、当該交流磁場を前記ソフト磁性探針に印加する交流電場/交流磁場印加ステップと、
探針振動検出部により、前記探針部材の振動を検出し振動検出信号を生成する探針振動検出ステップと、
探針走査部により、前記探針部材を空間駆動し、前記ソフト磁性探針により前記試料を走査する探針走査ステップと、
復調部により、前記振動検出信号を用いて前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた交流電気力および交流磁気力を復調する復調ステップと、
電場測定部により、前記復調ステップにおいて復調された前記交流電気力を用いて、前記試料から発生する前記電場を測定する電場測定ステップと、
磁場測定部により、前記復調ステップにおいて復調された前記交流磁気力を用いて、前記試料から発生する前記磁場を測定する磁場測定ステップと、
を有することを特徴とする電場/磁場同時測定方法。
【請求項7】
試料から発生する時間変化しない直流電場と直流磁場とを同時に測定するための請求項6に記載の電場/磁場同時測定方法であって、
前記電場測定ステップは、
交流電気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定ステップと、
直流電場測定部により、前記交流電気力測定ステップにおいて測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流電場を測定する直流電場測定ステップを有し、かつ、
前記磁場測定ステップは、
交流磁気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流磁気力を測定する交流磁気力測定ステップと、
直流磁場測定部により、前記交流磁気力測定ステップにおいて測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流磁場を測定する直流磁場測定ステップと、
を有する、
ことを特徴とする電場/磁場同時測定方法。
【請求項8】
試料から発生する周期的に時間変化する交流電場と交流磁場とを同時に測定するための請求項6に記載の電場/磁場同時測定方法であって、
前記電場測定ステップは、
交流電気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定ステップと、
交流電場測定部により、前記交流電気力測定ステップにおいて測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流電場を測定する交流電場測定ステップと、
を含み、かつ、
前記磁場測定ステップは、
交流磁気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流磁気力を測定する交流磁気力測定ステップと、
交流磁場測定部により、前記交流磁気力測定ステップにおいて測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流磁場を測定する交流磁場測定ステップと、
を含むことを特徴とする電場/磁場同時測定方法。
【請求項9】
試料から発生する、時間変化しない直流電場と直流磁場および周期的に時間変化する交流電場と交流磁場を同時に測定するための請求項6に記載の電場/磁場同時測定方法であって、
前記電場測定ステップは、
交流電気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流電気力を測定する交流電気力測定ステップと、
直流電場測定部により、前記交流電気力測定ステップにおいて測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流電場を測定する直流電場測定ステップと、
交流電場測定部により、前記交流電気力測定ステップにおいて測定した前記交流電気力から、前記交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流電場を測定する交流電場測定ステップと、を含み、かつ、
前記磁場測定ステップは、
交流磁気力測定部により、前記試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた前記交流磁気力を測定する交流磁気力測定ステップと、
直流磁場測定部により、前記交流磁気力測定ステップにおいて測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する時間変化しない前記直流磁場を測定する直流磁場測定ステップと、
交流磁場測定部により、前記交流磁気力測定ステップにおいて測定した前記交流磁気力から、前記交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数の2倍以上の周波数成分を抽出することにより、前記試料から発生する周期的に時間変化する前記交流磁場を測定する交流磁場測定ステップと、
を含むことを特徴とする電場/磁場同時測定方法。
【請求項10】
前記交流電場印加部が前記試料に印加する前記交流電場の周波数ωeと、前記交流磁場印加部が前記試料に印加する前記交流磁場の周波数ωmとが、1以上のいかなる整数nについてもωm≠nωeかつnωm≠ωeをみたす、請求項6~9のいずれかに記載の電場/磁場同時測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、試料から発生する電場と磁場とを同時に測定することができる、電気力/磁気力顕微鏡および電場/磁場同時測定方法に関する。
本発明では、周波数が異なる交流電場と交流磁場とを、励振している導電性のソフト磁性探針に印加し、前記ソフト磁性探針の振動を検出することで、前記試料から発生する電場と磁場とが同時に測定される。
【背景技術】
【0002】
試料の直流磁場を測定する技術として、図1(A)に示す磁気力顕微鏡(MFM8)が知られている(特許文献1:WO2013/047537参照)。
このMFM8では、先端に探針チップ811が設けられた探針部材81(カンチレバー)が励振される。そして、バネ振動している探針チップ811により、試料82の表面を走査し、前記探針チップ811の振動を検出することで、試料82の表面の磁場を測定することができる。
【0003】
試料82の下方には交流磁場発生用のコイル84が設けられており、探針チップ811には、試料82が生成する直流磁場H_DCSMPLと、コイル84が生成する交流磁場H_ACとの重畳磁場が印加される。
レーザ(LASER)831とフォトダイオード(PD)832とからなる振動検出器により、探針部材81の振動(みかけ上のバネ定数が変化することによって生じた振動変調)が検出され、図示しない直流磁場測定部により試料82の表面の直流磁場が測定される。
なお、探針チップ811は、錐形のSiにソフト磁性体(例えばFe-Co、Fe-Co-B、パーマロイ(Ni-Fe)、Co-Zr-Nb等。)の薄膜を形成することで作製される。
【0004】
図1(A)に示した従来の磁気力顕微鏡(MFM8)の動作原理を説明する。
直流磁場勾配(∂H_DCSMPL/∂z)の計測は、試料82上の、探針チップ811に空間的に一様な交流磁場を印加して、探針チップ811の磁気モーメントを周期的に変化させることで可能となる。
図1(B)に、探針チップ811に使用されるソフト磁性体のM-H特性の一例を示す。
図1(B)では交流磁場の印加による磁化Mの時間変化を併せて示してある。
探針チップ811に、交流磁場により探針の共振周波数と異なる、非共振の交番磁気力が与えられたときのカンチレバー(探針部材81)の運動方程式は、式(1)で表される。
【0005】
【数1】
JP2015115622A1_000003t.gif
z(t):ソフト磁性探針(探針チップ811)の変位の時間変化(ここで、z方向は、試料面に垂直な方向にとり、探針の振動方向とする)
ω0:加振角周波数
ωm:交流磁気力の角周波数
m:ソフト磁性探針(探針チップ811)の等価質量
γ:減衰係数
0:カンチレバー(探針部材81)固有のバネ定数
Δk:カンチレバー(探針部材81)のバネ定数のみかけ上の周期的変化の振幅
Δk≪k0であるので、式(1)の解は式(2)で与えられる。
【0006】
【数2】
JP2015115622A1_000004t.gif

【0007】
非共振の交流磁場をソフト磁性探針(探針チップ811)に印加することにより、探針部材81のバネ定数は、式(3)のように周期的に時間変化する項を含む。
Δk(t)={qtipdc+qtipaccos(ωmt)}
・[(∂H_DCSMPL/∂z)
+(∂H_AC/∂z)cos(ωmt)] (3)
H_DCSMPL:試料から発生する直流磁場
H_AC:ソフト磁性探針(探針チップ811)に印加する交流磁場の振幅
tipac:振幅がH_ACの交流磁場により探針チップ811に生じた交流磁荷(以下、「交流磁極」と言う)の振幅
tipdc:直流電場E_DCSMPLにより探針チップ811に生じた直流の磁荷(以下、「磁極」と言う)
【0008】
外部から印加する交流磁場H_ACが空間的に一様な場合、
|∂H_AC/∂z|≪1
となり、Δk(t)は、式(4)で表される。
Δk(t)≒qtipac(∂H_DCSMPL/∂z)cos(ωmt) (4)
tipacの値は、H_ACの値を一定にすることで一定となるので、Δk(t)のcos(ωmt)で時間変化する成分を検出することで、試料82の表面の直流磁場の勾配を知ることができる。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】WO2013/047537A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、磁場の発生源である電流や磁気モーメントと、電場の発生源である電荷や電気分極とが共存する、磁場と同時に電場を発生する試料においては、試料の物性や特性測定といった観点から、試料から発生する直流磁場の測定だけでなく、直流電場と直流磁場の同時測定が必要な場合が生じる。
従来、このような要請(電場と磁場の同時測定)に応える技術は提供されていない。
【0011】
本発明の目的は、試料から発生する電場と磁場とを同時に測定することができる電気力/磁気力顕微鏡および電場/磁場同時測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、周波数が異なる交流電場と交流磁場とを、励振しているソフト磁性探針に印加し、ソフト磁性探針の振動を検出する。これにより、試料から発生する電場と磁場とが同時に測定される。
【0013】
本発明の構成を、図面を参照しつつ説明する。
〔1〕
図2は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の基本的な実施形態を示す全体図である。
図2において、電気力/磁気力顕微鏡1は、探針部材11と、探針励振部12、交流電場印加部131と、交流磁場印加部132と、交流電場駆動部141と、交流磁場駆動部142と、探針振動検出部15と、探針走査部16と、復調部(信号抽出部)17と、電場測定部181と、磁場測定部182とを備えている。
探針部材11は、その先端に設けられたソフト磁性探針112を有する。ソフト磁性探針112は、たとえば、表面に導電性のソフト磁性体薄膜が形成された錐形の探針チップからなる。
探針励振部12は、探針部材11を励振させることができる。
交流電場印加部131は、交流電場(角周波数ωe,振幅E_AC)を発生し当該交流電場をソフト磁性探針112に印加し、交流磁場印加部132は、交流磁場(角周波数ωm,振幅H_AC)を発生し当該交流磁場をソフト磁性探針112に印加する。
交流電場駆動部141は、交流電場印加部131を駆動し、交流磁場駆動部142は、交流磁場印加部を駆動する。
探針振動検出部15は、探針部材11の振動を検出し、振動検出信号VIBを生成する。
探針走査部16は、ソフト磁性探針112により試料SMPLを走査するために、探針部材11を空間駆動する。
復調部17は、振動検出信号VIBを取得し、試料と前記ソフト磁性探針との間に生じた交流電気力に係る信号および交流磁気力に係る信号を復調する(図2では、これらの信号をEF/HFで示す)。
電場測定部181は、復調部17により復調された交流電気力を用いて、試料SMPLから発生する電場ESMPL(E_DCSMPLおよび/またはE_ACSMPL)を測定し、磁場測定部182は、復調部17により復調された交流磁気力を用いて、試料SMPLから発生する磁場HSMPL(H_DCSMPLおよび/またはH_ACSMPL)を測定する。
測定結果は、たとえば測定結果出力部19により画像出力することができる。
【0014】
〔2〕
図3は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の一の実施形態を示す全体図である。
本実施形態の電気力/磁気力顕微鏡1は、試料SMPLから発生する時間変化しない直流電場と直流磁場とを同時に測定するために好適である。
本実施形態では、電場測定部181’は、交流電気力測定部1811と、直流電場測定部1812とを備えている。
交流電気力測定部1811は、試料SMPLとソフト磁性探針112との間に生じた交流電気力を測定する。直流電場測定部1812は、交流電気力測定部1811により測定した交流電気力から、交流電場印加部131が印加する交流電場の周波数に等しい周波数成分(図3では角周波数ωe)を抽出することにより、時間変化しない直流電場E_DCSMPL(具体的には、試料SMPLから発生する直流電場:電場振幅RE_DCと位相θE_DCとの組、または同相信号XE_DCと直交信号YE_DCとの組)を測定することができる。
ここで、(RE_DC,θE_DC)と(XE_DC,YE_DC)との間には、式(5)の関係が成り立つ。
E_DCexp(iθE_DC)=XE_DC+iYE_DC (5)
ここでiは虚数単位である。
【0015】
本実施形態では、磁場測定部182’は、交流磁気力測定部1821と、直流磁場測定部1822とを備えている。
交流磁気力測定部1821は、試料SMPLとソフト磁性探針112との間に生じた交流磁気力を測定する。直流磁場測定部1822は、交流磁気力測定部1821により測定した交流磁気力から、交流磁場印加部132が印加する交流磁場の周波数に等しい周波数成分(図3では角周波数ωm)を抽出することにより、時間変化しない直流磁場H_DCSMPL(具体的には、試料SMPLから発生する直流磁場:磁場振幅RH_DCと位相θH_DCとの組、または同相信号XH_DCと直交信号YH_DCとの組)を測定することができる。
ここで、(RH_DC,θH_DC)と(XH_DC,YH_DC)との間には、式(6)の関係が成り立つ。
H_DCexp(iθH_DC)=XH_DC+iYH_DC (6)
【0016】
〔3〕
図4は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の他の一の実施形態を示す全体図である。
上述した〔2〕の態様では、直流電場測定部1812および直流磁場測定部1822は、試料SMPLから発生する時間変化しない直流電場および直流磁場を測定している。
【0017】
本実施形態の電気力/磁気力顕微鏡1では、試料SMPLから発生する周期的に時間変化する交流電場と交流磁場とを同時に測定することができる。
図4の構成要素は、電場測定部181''および磁場測定部182''以外は図3に記載の構成要素と概略同じである。
図3では、電場測定部181’は交流電気力測定部1811と直流電場測定部1812とを有しているのに対し、本実施形態では図4に示すように、電場測定部181''は交流電気力測定部1811と交流電場測定部1813とを有している。
また、図3では、磁場測定部182’は交流磁気力測定部1821と直流磁場測定部1822とを有しているのに対し、本実施形態では図4に示すように、磁場測定部182''は交流磁気力測定部1821と交流磁場測定部1823とを有している。
【0018】
図4において、交流電場測定部1813および交流磁場測定部1823は、試料SMPLから発生する周期的に時間変化する交流電場E_ACSMPL(具体的には、電場振幅RE_ACと位相θE_ACとの組、または同相信号XE_ACと直交信号YE_ACとの組)および交流磁場H_ACSMPL(具体的には、磁場振幅RH_ACと位相θH_ACとの組、または同相信号XH_ACと直交信号YH_ACとの組)を測定することができる。
ここで、(RE_AC,θE_AC)と(XE_AC,YE_AC)との間には
E_ACexp(iθE_AC)=XE_AC+iYE_AC
の関係が成り立ち、(RH_AC,θH_AC)と(XH_AC,YH_AC)との間には
H_ACexp(iθH_AC)=XH_AC+iYH_AC
の関係が成り立つ。
これらの測定量には、通常、高周波成分が含まれる。
【0019】
交流電場測定部1813は、交流電気力測定部1811により測定した交流電気力から、交流電場印加部131が印加する交流電場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωe)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流電場を測定することができる。
また、交流磁場測定部1823は、交流磁気力測定部1821により測定した交流磁気力から、交流磁場印加部132が印加する交流磁場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωm)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流電場を測定することができる。
【0020】
〔4〕
図5は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡のさらに他の一の実施形態を示す全体図である。
本実施形態の電気力/磁気力顕微鏡1では、試料から発生する時間変化しない直流電場と直流磁場、および試料から発生する周期的に時間変化する交流電場と交流磁場を同時に測定することができる。
図5の構成要素は、電場測定部181'''および電場測定部182'''以外は図3または図4に記載の構成要素と概略同じである。
図3における電場測定部181’は交流電気力測定部1811と直流電場測定部1812とを有しており、図4における電場測定部181''は交流電気力測定部1811と交流電場測定部1813とを有しているのに対し、本実施形態では図5に示すように、電場測定部181'''は交流電気力測定部1811と直流電場測定部1812と交流電場測定部1813とを有している。
また、図3における磁場測定部182’は交流磁気力測定部1821と直流磁場測定部1822とを有しており、図4における磁場測定部182''は交流磁気力測定部1821と交流磁場測定部1823とを有しているのに対し、本実施形態では図5に示すように、磁場測定部182'''は、交流磁気力測定部1821と直流磁場測定部1822と交流磁場測定部1823とを有している。
【0021】
図5において、直流電場測定部1812及び直流磁場測定部1822は、試料SMPLから発生する時間変化しない直流電場E_DCSMPL(電場振幅RE_DCと位相θE_DCとの組、または同相信号XE_DCと直交信号YE_DCとの組)および直流磁場H_DCSMPL(磁場振幅RH_DCと位相θH_DCとの組、または同相信号XH_DCと直交信号YH_DCとの組)を測定することができる。
ここで、(RE_DC,θE_DC)と(XE_DC,YE_DC)との間には、次式が成り立つ。
E_DCexp(iθE_DC)=XE_DC+iYE_DC
また、(RH_DC,θH_DC)と(XH_DC,YH_DC)との間には次式が成り立つ。
H_DCexp(iθH_DC)=XH_DC+iYH_DC
【0022】
また、図5において、交流電場測定部1813及び交流磁場測定部1823は、試料SMPLから発生する周期的に時間変化する交流電場E_ACSMPL(電場振幅RE_ACと位相θE_ACとの組、または同相信号XE_ACと直交信号YE_ACとの組)および交流磁場H_ACSMPL(磁場振幅RH_ACと位相θH_ACとの組、または同相信号XH_ACと直交信号YH_ACとの組)を測定することができる。
ここで、(RE_AC,θE_AC)と(XE_AC,YE_AC)との間には、次式が成り立つ。
E_ACexp(iθE_AC)=XE_AC+iYE_AC
また、(RH_AC,θH_AC)と(XH_AC,YH_AC)との間には、次式が成り立つ。
H_ACexp(iθH_AC)=XH_AC+iYH_AC
これらの測定量には、通常、高周波成分が含まれる。
【0023】
〔5〕
上記〔1〕~〔4〕の実施形態において、交流電場印加部が試料に印加する交流電場の周波数ωeと、交流磁場印加部が試料に印加する交流磁場の周波数ωmとが、1以上のいかなる整数nについてもωm≠nωeかつnωm≠ωeをみたすことが好ましい。
【0024】
〔6〕
本発明の電場/磁場同時測定方法では、励振している探針部材の先端に設けたソフト磁性探針(表面に導電性のソフト磁性体薄膜が形成された探針チップからなる)に、周波数が異なる交流電場と交流磁場とを印加し、ソフト磁性探針により試料を走査し、ソフト磁性探針の振動を検出することで、試料から発生する電場と磁場とを同時に測定することができる。
本発明の電場/磁場同時測定方法は、以下のステップを含む。
探針励振ステップ:探針励振部により、探針部材を励振させる。
交流電場/交流磁場印加ステップ:交流電場印加部により交流電場を発生し、当該交流電場をソフト磁性探針に印加するとともに、交流磁場印加部により交流磁場を発生し、当該交流磁場をソフト磁性探針に印加する。
探針振動検出ステップ:探針振動検出部により、探針部材の振動を検出し振動検出信号を生成する。
探針走査ステップ:探針走査部により、探針部材を空間駆動し、ソフト磁性探針により試料を走査する。
復調ステップ:復調部により、振動検出信号を用いて試料とソフト磁性探針との間に生じた交流電気力および交流磁気力を復調(抽出)する。
電場測定ステップ:電場測定部により、復調ステップにおいて復調された交流電気力を用いて、試料から発生する電場を測定する。
磁場測定ステップ:磁場測定部により、復調ステップにおいて復調された交流磁気力を用いて、試料から発生する磁場を測定する。
【0025】
〔7〕
本発明の電場/磁場同時測定方法の一の実施形態では、電場測定ステップは、交流電気力測定ステップと直流電場測定ステップとを含み、磁場測定ステップは、交流磁気力測定ステップと直流磁場測定ステップとを含む。
交流電気力測定ステップ:交流電気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流電気力を測定する。
直流電場測定ステップ:直流電場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流電気力から、交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、時間変化しない直流電場を測定する。
交流磁気力測定ステップ:交流磁気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流磁気力を測定する。
直流磁場測定ステップ:直流磁場測定部により、交流磁気力測定ステップにおいて測定した交流磁気力から、交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、時間変化しない直流磁場を測定する。
【0026】
〔8〕
本発明の電場/磁場同時測定方法の他の一の実施形態では、電場測定ステップは、交流電気力測定ステップと交流電場測定ステップとを含み、磁場測定ステップは、交流磁気力測定ステップと交流磁場測定ステップとを含む。
交流電気力測定ステップ:交流電気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流電気力を測定する。
交流電場測定ステップ:交流電場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流電気力から、交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωe)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流電場を測定する。
交流磁気力測定ステップ:交流磁気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流磁気力を測定する。
交流磁場測定ステップ:交流磁場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流磁気力から、交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωe)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流磁場を測定する。
【0027】
〔9〕
本発明の電場/磁場同時測定方法のさらに他の一の実施形態では、電場測定ステップは、交流電気力測定ステップと直流電場測定ステップと交流電場測定ステップとを含み、磁場測定ステップは、交流磁気力測定ステップと直流磁場測定ステップと交流磁場測定ステップを含む。
交流電気力測定ステップ:交流電気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流電気力を測定する。
直流電場測定ステップ:直流電場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流電気力から、交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、時間変化しない直流電場を測定する。
交流電場測定ステップ:交流電場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流電気力から、交流電場印加ステップにおいて印加された交流電場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωe)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流電場を測定する。
交流磁気力測定ステップ:交流磁気力測定部により、試料とソフト磁性探針との間に生じた交流磁気力を測定する。
直流磁場測定ステップ:直流磁場測定部により、交流磁気力測定ステップにおいて測定した交流磁気力から、交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数に等しい周波数成分を抽出することにより、時間変化しない直流磁場を測定する。
交流磁場測定ステップ:交流磁場測定部により、交流電気力測定ステップにおいて測定した交流磁気力から、交流磁場印加ステップにおいて印加された交流磁場の周波数のN倍(Nは2以上の整数であり、好ましくは2、3等である。)の周波数成分(角周波数Nωe)を抽出することにより、周期的に時間変化する交流磁場を測定する。
【0028】
〔10〕
上記〔6〕~〔9〕の実施形態において、交流電場印加部が試料に印加する交流電場の周波数ωeと、交流磁場印加部が試料に印加する交流磁場の周波数ωmとが、1以上のいかなる整数nについてもωm≠nωeかつnωm≠ωeをみたすことが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、試料の表面の電場と磁場とを同時に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(A)は、直流磁場を測定するための磁気力顕微鏡(MFM)を示す図である。 図1(B)は、ソフト磁性体のM-H特性の例を示す図である。
【図2】図2は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の基本的な実施形態を示す全体図である。
【図3】図3は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の一の実施形態を示す全体図である。
【図4】図4は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡の他の一の実施形態を示す全体図である。
【図5】図5は、本発明の電気力/磁気力顕微鏡のさらに他の一の実施形態を示す全体図である。
【図6】図6は本発明の電気力/磁気力顕微鏡の一実施形態を示す説明図である。
【図7】図7は、外部から印加する交流電場および交流磁場と、試料から発生する電場および磁場との関係を示す図である。
【図8】図8は、図6に示した電気力/磁気力顕微鏡を用いた電場/磁場同時測定方法の処理を示すフローチャートである。
【図9】図9は、測定結果出力部により出力された画像を示す図である。 図9(A)は直流電場測定部の振幅出力から作成した画像である。 図9(B)は直流電場測定部の位相角出力から作成した画像である。 図9(C)は直流磁場測定部の振幅出力から作成した画像である。 図9(D)は直流磁場測定部の位相角出力から作成した画像である。 図9(E)は図9(A)の切断ラインL1における直流電場測定部の振幅出力信号を示す図である。 図9(F)は図9(B)の切断ラインL2における直流電場測定部の位相角出力信号を示す図である。図9(G)は図9(C)の切断ラインL3における直流磁場測定部の振幅出力信号を示す図である。 図9(H)は図9(D)の切断ラインL4における直流磁場測定部の位相角出力信号を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
《発明の原理》
本発明の原理を以下に示す。
交流電場(振幅:E_AC)と交流磁場(振幅:H_AC)とを、導電性を有するソフト磁性探針(探針チップ)に、同時に外部から印加する。
これにより、探針チップの先端に、交流変化する電荷(振幅:qeac)と交流変化する磁極(振幅:qmac)が発生する。

【0032】
これらの外部から印加する交流電場と交流磁場により、試料の直流電場の発生源である電荷あるいは電気分極、および試料の直流磁場の発生源である電流あるいは磁気モーメントが変化しない場合には、試料からは直流電場および直流磁場が発生し、交流電場および交流磁場は発生しない。この場合、探針装置(カンチレバー)のバネ定数は、みかけ上変化し、式(7)で与えられる。以下、Δk(t)を「みかけ上のバネ定数」と称する。

【0033】
Δk(t)={qedc+qeaccos(ωet)}
・[(∂E_DCSMPL/∂z)
+(∂E_AC/∂z)cos(ωet)]
+{qmdc+qmaccos(ωet)}
・[(∂H_DCSMPL/∂z)
+(∂H_AC/∂z)cos(ωmt)] (7)
E_DCSMPL:試料から発生する直流電場
E_AC:探針チップに印加する交流電場の振幅
ωe:交流電場E_ACの角周波数
edc:試料から発生する直流電場E_DCSMPLにより探針チップに生じた直流電荷
eac:交流電場E_ACにより探針チップに生じた交流電荷の振幅
H_DCSMPL:試料から発生する直流磁場
H_AC:探針チップに印加する交流磁場の振幅
ωe:交流磁場H_ACの角周波数
mdc:試料から発生する直流磁場H_DCSMPLにより探針チップに生じた直流磁極
mac:交流磁場H_ACにより探針チップに生じた交流磁極の振幅

【0034】
外部から印加する交流電場E_ACおよび交流磁場H_ACが空間的に一様な場合、次の関係が成立する。
|∂E_AC/∂z|≪1
および、
|∂H_AC/∂z|≪1
このとき、探針チップの見かけ上のバネ定数Δk(t)は、式(8)で与えられる。
Δk(t)≒qeac(∂E_DCSMPL/∂z)cos(ωet)
+qmac(∂H_DCSMPL/∂z)cos(ωmt) (8)

【0035】
したがって、Δk(t)のωe成分(すなわち式(6)の第1項)を検出すれば、(∂E_DCSMPL/∂z)(すなわち、試料の直流電場の勾配)を求めることができる。
また、Δk(t)のωm成分(すなわち式(6)の第2項)を検出すれば、(∂H_DCSMPL/∂z)(すなわち、試料の直流磁場の勾配)を求めることができる。

【0036】
外部から印加する交流電場と交流磁場により、試料の直流電場の発生源である電荷あるいは電気分極、および試料の直流磁場の発生源である電流あるいは磁気モーメントが変化する場合には、試料からも交流電場と交流磁場が発生する。
以下の説明には、試料から発生する交流電場および交流磁場が、試料に印加する交流電場および交流磁場に対して飽和等で非線形に変化する場合も含まれる。
この場合、試料から発生する交流電場および交流磁場はフーリエ級数で式(9)のように展開できる。
E_ACSMPL(t)
=E_ACSMPL1cos(ωet)
+E_ACSMPL2cos(2ωet)
+E_ACSMPL3cos(3ωet)
+・・・
H_ACSMPL(t)
=H_ACSMPL1cos(ωet)
+H_ACSMPL2cos(2ωet)
+H_ACSMPL3cos(3ωet)
+・・・
(9)

【0037】
このとき、探針チップの見かけ上のバネ定数Δk(t)は、式(10)で与えられる。
Δk(t)={qedc+qeaccos(ωet)}
・[(∂E_DCSMPL/∂z)
+(∂E_AC/∂z)cos(ωet)
+(∂E_ACSMPL1/∂z)cos(ωet)
+(∂E_ACSMPL2/∂z)cos(2ωet)
+(∂E_ACSMPL3/∂z)cos(3ωet)
+・・・]
+{qmac+qmaccos(ωmt)}
・[(∂H_DCSMPL/∂z)
+(∂H_AC/∂z)cos(ωmt)
+(∂H_ACSMPL1/∂z)cos(ωmt)
+(∂H_ACSMPL2/∂z)cos(2ωmt)
+(∂H_ACSMPL3/∂z)cos(3ωmt)
+・・・] (10)

【0038】
外部から印加する交流電場E_ACおよび交流磁場H_ACが空間的に一様な場合、式(11a)及び(11b)の関係が成立する。
|∂E_AC/∂z|≪1 (11a)
|∂H_AC/∂z|≪1 (11b)
このとき、探針チップの見かけ上のバネ定数Δk(t)は、式(12)で与えられる。
Δk(t)
≒{qeac(∂E_DCSMPL/∂z)
+qedc(∂E_ACSMPL1/∂z)
+(qeac/2)(∂E_ACSMPL1/∂z)}cos(ωet)
+{(qeac/2)(∂E_ACSMPL1/∂z)
+qedc(∂E_ACSMPL2/∂z)
+(qeac/2)(∂E_ACSMPL3/∂z)}cos(2ωet)
+{(qeac/2)(∂E_ACSMPL2/∂z)
+(qedc/2)(∂E_ACSMPL3/∂z)}cos(3ωet)
+{qmac(∂H_DCSMPL/∂z)
+qmdc(∂H_ACSMPL1/∂z)
+(qmac/2)(∂H_ACSMPL1/∂z)}cos(ωmt)
+{(qmac/2)(∂H_ACSMPL1/∂z)
+qmdc(∂H_ACSMPL2/∂z)
+(qmac/2)(∂H_ACSMPL3/∂z)}cos(2ωmt)
+{(qmac/2)(∂H_ACSMPL2/∂z)
+(qmdc/2)(∂H_ACSMPL3/∂z)}cos(3ωmt)
+・・・
(12)
ここで、電場と磁場とを分離して検出するために、印加する交流磁場の周波数ωmおよび印加する交流電場の周波数ωeには、異なる周波数を選択する。好ましくは、印加する交流磁場の周波数ωmは印加する交流電場の周波数ωeの整数倍ではなく、且つ、印加する交流電場の周波数ωeは印加する交流磁場の周波数ωmの整数倍ではないように、印加する交流磁場の周波数ωmおよび印加する交流電場の周波数ωeを選ぶ。すなわち、ωmおよびωeを、1以上のいかなる整数nについてもωm≠nωeかつnωm≠ωeを満たすように選ぶ。

【0039】
以上より、外部から印加する交流電場と交流磁場により、試料から交流電場と交流磁場が発生する場合には、Δk(t)に、2ωe成分以上の高次項、および2ωm成分以上の高次項が発生することがわかる。
したがって、Δk(t)の2ωe成分以上の高次項、および2ωm成分以上の高次項の存在により、試料から発生する交流電場の勾配および交流磁場の勾配の大きさや線形性を評価することができる。なお実際上は、Δk(t)のNωe成分およびNωm成分(いずれもNは2以上の整数)の強度は、次数Nが増大するにつれて急激に減少する。
ただし、試料が強誘電性・強磁性共存物質等の、電気分極と磁気モーメントが相互作用により強く結合している物質の場合には、交流電場(角周波数ωe)による電気分極の変化と交流磁場(角周波数ωm)による磁気モーメントの変化が競合し、これらの内、相互作用が強い方の角周波数で、電気分極と磁気モーメントが変化することになる。

【0040】
図6は本発明の電気力/磁気力顕微鏡の一実施形態を示す説明図である。
図6において、電気力/磁気力顕微鏡1は、探針部材11、探針励振部12、交流電場印加部131、交流磁場印加部132、交流電場駆動部141、交流磁場駆動部142、探針振動検出部15、探針走査部16、復調部17、電場測定部181、磁場測定部182および測定結果出力部19とを有している。
なお、本実施形態では、探針部材11、試料SMPL、交流電場印加部131、交流磁場印加部132等は、説明の便宜上、実際のサイズとは異なるように記載してある。

【0041】
探針部材11は、先端にソフト磁性探針112を有している。ソフト磁性探針112は、導電性を有するソフト磁性体薄膜が表面に形成された探針チップである。
探針部材11は、シリコンにより構成されたカンチレバーを母材として作製され、アーム111の先端に、表面にソフト磁性体薄膜(後述する、図7の符号113参照)が形成された円錐形の探針チップ(ソフト磁性探針112)が備えられている。ソフト磁性体薄膜113を構成するソフト磁性体としては、たとえば、Fe-Co、Fe-Co-B、パーマロイ(Ni-Fe)、Co-Zr-Nb等を好ましく採用できる。
探針励振部12は、探針部材11を励振させることができる。探針励振部12は、交流電源121と、探針部材11に振動を与える圧電素子122とからなる。

【0042】
交流電場印加部131は、交流電場E_ACを発生し、交流電場E_ACがソフト磁性探針112に印加される。ソフト磁性探針112は導電性を有するので、静電誘導によりソフト磁性探針112の表面(ソフト磁性体薄膜113)に交流電荷が発生する。
交流磁場印加部132は、交流磁場H_ACを発生し、交流磁場H_ACがソフト磁性探針112に印加される。ソフト磁性探針112はソフト磁性を有するので、ソフト磁性探針112の表面に交流磁極が発生する。
交流電場印加部131は、板状または薄膜状の電極であり、試料台を兼ねることもできる。電極は、導電性の材料(Al,Au,Pt,Ta等の非磁性体金属、Ni,Co,Fe,パーマロイ等の高透磁率を有する合金,等の強磁性体金属、あるいはこれらの積層体)から構成することができる。なお、試料SMPLが、導電性を有する場合には、試料SMPL自体を電極とすることができる。また,試料SMPLが、導電性の下地層を有する場合には、下地層を電極とすることができる。通常、導電性を有するソフト磁性探針112は接地されており(後述する図6の「GND」参照)、交流電場印加部131とソフト磁性探針112間に交流電場が発生する。
交流磁場印加部132は、交流電流ACにより駆動される交流コイルからなり、交流電場印加部131は、交流磁場印加部132の中央に配置することができる。

【0043】
交流電場駆動部141は、角周波数ωeの駆動電圧を出力する交流電源であり交流電場印加部131を駆動する。
交流磁場駆動部142は、角周波数ωmの駆動電流を出力する交流電源であり交流磁場印加部132を駆動する。
ωmおよびωeは互いに異なる周波数である。ωmおよびωeは、いかなる自然数n(n≧1)についてもωm≠nωeかつnωm≠ωeをみたしていることが好ましく、これにより試料から発生する直流磁場の測定に際して電場由来の成分を分離して測定することができ、且つ、試料から発生する直流電場の測定に際して磁場由来の成分を分離して測定することができる。

【0044】
図7に、交流電場駆動部141が発生する交流電場E_ACと、交流磁場駆動部142が発生する交流磁場H_ACと、試料SMPLから発生する電場(図7のESMPL参照)と、試料SMPLから発生する磁場(図7のHSMPL参照)との関係を示す。

【0045】
探針振動検出部15は、探針部材11の振動(すなわち、ソフト磁性探針112の振動)を検出し振動検出信号VIBを生成する。
探針振動検出部15は、レーザ(LSR)151とフォトディテクタ(PD)152とを有している。ソフト磁性探針112の先端上面には反射ミラーが形成されている。LSR151から出射されたレーザビームLBは探針部材11の先端上面で反射されてPD152に入射される。
探針走査部16は、ソフト磁性探針112が試料SMPLの表面を走査できるように、探針部材11を空間駆動(XY駆動)する。図6では、試料SMPLがセットされたステージSTGを移動させることで、ソフト磁性探針112により試料SMPLの表面を走査する例を示しているが、ソフト磁性探針112を試料SMPLに対して相対的に移動させることで、ソフト磁性探針112により試料SMPLの上面を走査することもできる。

【0046】
復調部17は、探針振動検出部15により検出された振動検出信号VIBを取得し復調信号を出力する。
本実施形態では、振動検出信号VIBの変調成分の分離にはPLL(Phase Locked Loop)回路が使用されている。図6では、復調部17の出力信号をEF/HFで示す。

【0047】
電場測定部181は、復調部17からの復調信号に基づき、試料SMPLの表面の電場勾配(電気特性)を測定する。本実施形態では電場測定部181はロックインアンプであり、復調信号の強度REおよび位相θEの組、または復調信号の同相信号XEおよび直交信号YEの組を検出することで、試料SMPLの表面の電場勾配(電気特性)を測定することができる。
磁場測定部182は、復調部17からの復調信号に基づき、試料SMPLの表面の磁場勾配(磁気特性)を測定する。本実施形態では磁場測定部182はロックインアンプであり、復調信号の強度RHおよび位相θHの組、または復調信号の同相信号XHおよび直交信号YHの組を検出することで、試料SMPLの表面の磁場勾配(磁気特性)を測定することができる。

【0048】
測定結果出力部19は、電場測定部181により測定された電場勾配(電気特性)を画像化することができ、磁場測定部182により測定された磁場勾配(磁気特性)を画像化することができる。

【0049】
以上のように、本実施形態では、電気力/磁気力顕微鏡1は、励振しているソフト磁性探針112に、周波数が異なる交流電場E_ACと交流磁場H_ACとを印加し、ソフト磁性探針112により試料SMPLの表面を走査し、ソフト磁性探針112の振動を検出する。
試料SMPLが、交流電場E_ACと交流磁場H_ACの印加により、交流電場および交流磁場を発生しない場合には、試料SMPLの表面の直流電場E_DCSMPLおよび直流磁場H_DCSMPLを同時に測定することができる。
また、試料SMPLが、交流電場E_ACと交流磁場H_ACの印加により、交流電場および交流磁場を発生する場合には、試料SMPLから発生する交流電場E_ACSMPLの勾配および交流磁場H_ACSMPLの勾配の、大きさや線形性も評価することができる。

【0050】
図8は、図6に示した電気力/磁気力顕微鏡1を用いた本発明の電場・磁場同時測定方法の処理を示すフローチャートである。

【0051】
探針励振ステップS110: 探針励振部12により、アーム111の先端に設けられた導電性を有するソフト磁性探針112(導電性を有するソフト磁性体薄膜が表面に形成された探針チップ)を励振させる。

【0052】
交流電場/交流磁場印加ステップS120: 交流電場印加部131および交流磁場印加部132により、周波数が異なる交流電場E_ACと交流磁場H_ACとをソフト磁性探針112に印加し、探針部材11の振動(ソフト磁性探針112の振動)に、変調を生じさせる。

【0053】
探針振動検出ステップS130: 探針部材11の振動(ソフト磁性探針112の振動)を検出し振動検出信号VIBを生成する。

【0054】
復調ステップS140: 探針振動検出ステップS130において検出された振動検出信号VIBを用いて、試料SMPLとソフト磁性探針112との間に生じた交流電気力および交流磁気力を復調(抽出)する。

【0055】
電場測定ステップ151: 復調ステップS140において復調した信号(復調信号)に基づき、試料SMPLの表面の電場勾配(電気特性)を測定する。
磁場測定ステップ152: 復調ステップS140において復調した信号(復調信号)に基づき、試料SMPLの表面の磁場勾配(磁気特性)を測定する。
なお、電場測定ステップ151は、交流電気力測定ステップと直流電場測定ステップとを含むことができ、磁場測定ステップ152は、交流磁気力測定ステップと直流磁場測定ステップとを含むことができる。
また、電場測定ステップ151は、交流電気力測定ステップと交流電場測定ステップとを含むことができ、磁場測定ステップ152は、交流磁気力測定ステップと交流磁場測定ステップとを含むことができる。
さらに、電場測定ステップ151は、交流電気力測定ステップと直流電場測定ステップと交流電場測定ステップとを含むことができ、磁場測定ステップ152は、交流磁気力測定ステップと直流磁場測定ステップと交流磁場測定ステップとを含むことができる。

【0056】
データ蓄積ステップ160: 電場測定ステップ151および磁場測定ステップ152において測定されたデータを、測定結果出力部19に含まれる記憶装置191に記憶する。

【0057】
走査続行判断ステップ170: S130~S160の処理の後、試料SMPLの表面の他の場所について、電場勾配(電気特性)および磁場勾配(磁気特性)の測定を行うかを判断する(すなわち、走査を続行するか終了するかを判断する。)。他の場所について測定を行う場合には、処理をS130に戻し、測定を終了する場合には、処理をS180に進める。
このようにして、ソフト磁性探針112を走査(XY駆動)して、多数の観察点(観察場所)について電場勾配(電気特性)および磁場勾配(磁気特性)の測定が行われる。

【0058】
測定結果出力ステップ180: 測定結果出力部19により、測定された電場勾配(電気特性)および磁場勾配(磁気特性)を画像化して出力する。

【0059】
以上のようにして、励振しているソフト磁性探針112により試料SMPLの表面を走査し、ソフト磁性探針112の振動を検出することで、試料SMPLの表面の直流電場E_DCSMPL及び直流磁場H_DCSMPLを同時に測定すること、交流電場E_ACSMPL及び交流磁場H_ACSMPLを同時に測定すること、または、直流電場E_DCSMPL、直流磁場H_DCSMPL、交流電場E_ACSMPL、及び交流磁場H_ACSMPLを同時に測定することができる。

【0060】
本発明に関する上記説明では、試料SMPLに印加する外部磁場が交流磁場H_ACである形態の電気力/磁気力顕微鏡1、及びこれを用いた電場/磁場同時測定方法を例示したが、本発明は当該形態に限定されない。例えば、試料から発生する直流磁場によってソフト磁性探針の磁化が飽和するために磁場検出感度が低下し、磁場測定が困難になるような場合には、交流磁場だけでなく、試料から発生する直流磁場とは逆の方向を有する空間的に一様な直流磁場をソフト磁性探針に印加することで、ソフト磁性探針の磁化の飽和を防止する形態の電気力/磁気力顕微鏡および電場/磁場同時測定方法とすることも可能である。
【実施例】
【0061】
以下の条件・構成で電気力/磁気力顕微鏡1により、本発明の効果の検証を行った。
試料SMPL: SiO2基板上に、Ta/Pt/(Bi0.6Ba0.4)FeO3の薄膜を形成した。Ta/Ptが交流電場印加部131として機能する。
本試料SMPLは、外部からの交流電場および交流磁場の印加により、交流電場および交流磁場を発生させない。したがって本試料SMPLにおいては、電場測定部は直流電場測定部として動作し、磁場測定部は直流磁場測定部として動作する。
ソフト磁性探針(探針チップ)112: Co‐Zr‐Nbのソフト磁性体を、探針部材11の先端の円錐形のSiO2の表面に、膜厚30nmで形成することにより構成した。
バイアス電圧VBIAS:試料SMPLの3×3μmの領域にDC12Vを与え、走査領域の中央の1×1μmの領域に-12Vを与えた。これにより、電場書き込みによって長方形領域に電気的分域と磁気的分域(磁区)を形成した。
交流電場E_AC:周波数300Hz(fe)、ピーク間の電圧0.2V(振幅0.2Vp-p)の交流電場をソフト磁性探針112と交流電場印加部131との間に発生させた。
交流磁場H_AC:周波数78Hz(fm)、強度200Oeの交流磁場を交流磁場印加部132から発生させた。
なお、試料の電気分極モーメントおよび磁気モーメントは試料面に垂直方向(上向き、下向き)の成分を有する。
【実施例】
【0062】
以上の条件・構成の下、探針走査部16により、3×3μmの領域を走査し、測定結果出力部19により画像を作成した。
図9に測定結果出力部19により出力された画像を示す。
測定結果出力部19による直流電場E_DCSMPLの出力結果を図9(A),(B)に示す。図9(A)は電場測定部181の振幅出力から作成した画像であり、図9(B)は電場測定部181の位相角出力から作成した画像である。
測定結果出力部19による直流磁場H_DCSMPLの出力結果を図9(C),(D)に示す。図9(C)は磁場測定部182の振幅出力から作成した画像であり、図9(D)は磁場測定部182の位相角出力から作成した画像である。
図9(E)は図9(A)の切断ラインL1における電場測定部182の振幅出力信号を示す図であり、図9(F)は図9(B)の切断ラインL2における電場測定部181の位相角出力信号を示す図である。
図9(G)は図9(C)の切断ラインL3における磁場測定部182の振幅出力信号を示す図であり、図9(H)は図9(D)の切断ラインL4における磁場測定部182の位相角出力信号を示す図である。
【実施例】
【0063】
図9(A),図9(C)の強度像、および図9(E),図9(G)の振幅出力信号のラインプロファイルでは、書き込み領域の境界で信号強度が極小となっており、書込み領域の境界における場の方向は概ね試料面に対して平行な方向になっていることがわかる。
図9(B),図9(D)の位相像、および図9(F),図9(H)の位相角出力信号のラインプロファイルでは、書き込み領域の境界で位相が反転(位相角が180度変化)しており、場の垂直成分が書込み領域の境界で上向きから下向きに変化していることがわかる。
以上の結果より、本発明によれば、電場と磁場の同時イメージングが実現できていることがわかる。
【符号の説明】
【0064】
1 電気力/磁気力顕微鏡
11 探針部材
111 アーム
112 ソフト磁性探針
113 ソフト磁性体薄膜
12 探針励振部
121 交流電源
122 圧電素子
131 交流電場印加部
132 交流磁場印加部
141 交流電場駆動部
142 交流磁場駆動部
15 探針振動検出部
151 LSR(レーザ)
152 PD(フォトディテクタ)
16 探針走査部
17 復調部
181 電場測定部
1811 交流電気力測定部
1812 直流電場測定部
1813 交流電場測定部
182 磁場測定部
1821 交流磁気力測定部
1822 直流磁場測定部
1823 交流磁場測定部
19 測定結果出力部
191 記憶装置
811 探針チップ
82 試料
84 コイル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8