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明細書 :卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカーおよびそれを用いた判定

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年3月2日(2017.3.2)
発明の名称または考案の名称 卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカーおよびそれを用いた判定
国際特許分類 G01N  33/68        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
G01N  33/543       (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  27/62        (2006.01)
C07K  14/765       (2006.01)
FI G01N 33/68 ZNA
G01N 33/53 D
G01N 33/543 501D
G01N 33/50 J
G01N 27/62 V
C07K 14/765
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 23
出願番号 特願2015-529492 (P2015-529492)
国際出願番号 PCT/JP2014/068506
国際公開番号 WO2015/016036
国際出願日 平成26年7月10日(2014.7.10)
国際公開日 平成27年2月5日(2015.2.5)
優先権出願番号 2013156672
優先日 平成25年7月29日(2013.7.29)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】宮本 薫
【氏名】水谷 哲也
【氏名】折坂 誠
【氏名】田中 憲次
【氏名】李 良子
【氏名】野中 大輔
【氏名】麻田 恭一
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
【識別番号】504150782
【氏名又は名称】株式会社プロトセラ
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2G041
2G045
4H045
Fターム 2G041CA01
2G041FA12
2G045AA27
2G045CB15
2G045DA36
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA40
4H045DA86
4H045EA50
要約 卵子の受精可能性を検査するための新規なバイオマーカーの提供。
被検者より採取した卵胞液中の、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択される1以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被検者における卵子の受精可能性の検査方法。
特許請求の範囲 【請求項1】
被検者より採取した卵胞液中の、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択される1以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被検者における卵子の受精可能性の検査方法。
【請求項2】
卵胞液を質量分析にかけることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定により得られたペプチドの量を、対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値と比較し、前記測定により得られたペプチドの量が対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値に比べて統計学的に有意に変動している場合に、卵子の受精可能性が高いと判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを含む卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカー。
【請求項5】
配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドからなる卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカー。
【請求項6】
卵子の受精可能性を検査する方法であって、
配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いた方法。
【請求項7】
抗体を含む卵子の受精可能性を検査するための判定キットであって、当該抗体が、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、判定キット。
【請求項8】
配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドに対する抗体を固定した免疫診断または判定用装置。
【請求項9】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
(関連分野の相互参照)
本願は、2013年7月29日に出願した特願2013-156672号明細書(その全体が参照により本明細書中に援用される)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
(技術分野)
本発明は、卵子の受精可能性を検査するための新規なバイオマーカー、並びにそれを利用した卵子の受精可能性の検査または判定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
少子高齢化の進む我が国では、出生児の50人に1人、年間約2万人は体外受精により出産を迎えており、体外受精は少子高齢化の歯止めとなる核心的な医療技術として近年普及してきている。一方、体外受精の成功率は、受精可能性など、採取する卵子の質または状態に依存しているが、受精に適した質または状態の卵子を判別する方法が無いのが現状である。
【0004】
従来は、体外受精処理後の医師の顕微鏡観察による卵子の選択法があったが、この場合、医師の経験に依存し、主観的判断が入ると共に、判定時間もかかっていた。
【0005】
最近の研究によれば、高齢化に従って卵子の質が変化し、それが高齢における妊娠・出産の大きなリスクファクターとなっている。体外受精時に卵子を採取する際に同時に得られる卵胞液の成分から、受精可能性などの卵子の質を判定しようとする試みがなされているが(特許文献1および非特許文献1)、迅速に高い精度で検査できる適切なバイオマーカーは現在まで発見されていない。
【0006】
今後も高齢出産における体外受精の比率はさらに高まると予測されることから、受精の成功率の上昇が喫緊の課題である。受精可能性の高い卵子を選択または判別する方法が開発されれば、体外受精の成功率の向上につながり、子供を希望するカップルにとって朗報となり、また今後さらに進展すると予想される我が国の超少子高齢化に歯止めをかける一つの手段となり得ると期待される。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特表2007-530030
【0008】

【非特許文献1】Wu et al. Reproductive Biology and Endocrinology 2012, 10:116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、卵子の受精可能性を検査するための新規なバイオマーカー、並びにそれを利用した卵子の受精可能性の検査または判定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく、患者から採取した卵胞液を質量分析により調べた結果、卵胞の成熟度合いに応じて卵胞液中の量が変動している特定のペプチドを見出し、これらのペプチドを卵子の受精可能性の検査または判定のためのマーカーとして新たに同定して、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明の第一の態様によれば、被検者より採取した卵胞液中の、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択される1以上のペプチドの量を測定することを特徴とする、該被検者における卵子の受精可能性の検査方法が提供される。
【0012】
一つの実施形態において、卵胞液を質量分析にかけることを含む。
【0013】
別の実施形態において、前記測定により得られたペプチドの量を、対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値と比較し、前記測定により得られたペプチドの量が対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値に比べて統計学的に有意に変動している場合に、卵子の受精可能性が高いと判定することをさらに含む。
【0014】
本発明の第二の態様によれば、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを含む卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカーが提供される。
【0015】
本発明の第三の態様によれば、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドからなる卵子の受精可能性の検査のためのバイオマーカーが提供される。
【0016】
本発明の第四の態様によれば、卵子の受精可能性を検査する方法であって、 配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体を用いた方法が提供される。
【0017】
本発明の第五の態様によれば、抗体を含む卵子の受精可能性を検査するための判定キットであって、当該抗体が、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドを特異的に認識する抗体である、判定キットが提供される。
【0018】
本発明の第六の態様によれば、配列番号1~4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド群より選択されるペプチドに対する抗体を固定した免疫診断または判定用装置が提供される。
【0019】
本発明の第七の態様によれば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、または配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチドが提供される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、卵子を傷つけることなく卵子の受精可能性を迅速かつ高い精度で判定できるので、受精、特に体外受精に適した卵子を鑑別でき、結果として体外受精の成功率を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1で得られたバイオマーカーペプチド4種の質量分析における分子量、由来するタンパク質名、およびアミノ酸配列を示す表である。
【図2】(A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量2743)の、未受精群(グループ1)と受精群(グループ2)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図である。AUC値、感度(SN;有病正診率)および特異度(SP;無病正診率)を図2Aの上に示した。
【図3】(A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量2757)の、未受精群(グループ1)と受精群(グループ2)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図である。AUC値、感度(SN;有病正診率)および特異度(SP;無病正診率)を図3Aの上に示した。
【図4】(A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量2862)の、未受精群(グループ1)と受精群(グループ2)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図である。AUC値、感度(SN;有病正診率)および特異度(SP;無病正診率)を図4Aの上に示した。
【図5】(A)実施例1で得られたバイオマーカー(分子量2941)の、未受精群(グループ1)と受精群(グループ2)間でのピーク強度のプロット図と(B)ROC曲線図である。AUC値、感度(SN;有病正診率)および特異度(SP;無病正診率)を図5Aの上に示した。
【図6】(a),(b)イムノクロマットチップの例。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書において、単数形(a, an, the)は、本明細書で別途明示がある場合または文脈上明らかに矛盾する場合を除き、単数と複数を含むものとする。

【0023】
本発明は、新規かつ有用な、卵子の受精可能性の検査または判定のためのマーカーペプチドを提供する。

【0024】
排卵は、卵巣の卵胞から成熟した卵母細胞すなわち卵子が排出される過程である。本発明者らは、卵胞の卵胞液に含まれる以下の本発明の4種のペプチドの各々の発現量が卵子の受精可能性と関係があることを見出した。

【0025】
ペプチド1:配列番号1で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は、ヒトα-2-HS-glycoproteinの341番目から367番目までのフラグメントに相当する。

【0026】
ペプチド2:配列番号2で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は、ヒト血清アルブミンの25番から48番目までのフラグメントに相当する。

【0027】
ペプチド3:配列番号3で表されるアミノ酸配列からなる。該アミノ酸配列は配列番号1と27個のアミノ酸配列はすべて同じであるが、ペプチド3では18番目のシステインにさらにジスルフィド結合によりシステインが結合している。

【0028】
ペプチド4:配列番号4で表されるアミノ酸配列からなる。ヒト血清アルブミンの25番から50番目までのフラグメントに相当する。
TVVQPSVGAAAGPVVPPCPGRIRHFKV (配列番号1)
DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVL (配列番号2)
TVVQPSVGAAAGPVVPPCPGRIRHFKV 18番目の位置でシステイン化 (配列番号3)
DAHKSEVAHRFKDLGEENFKALVLIA (配列番号4)

【0029】
具体的には、卵子が受精しているか又は受精可能性が高い状態にあるときはペプチド1、2、および4の発現量が上昇しており、ペプチド3の発現量は低い。よって、ペプチド1、2、および4の発現量が高く、および/またはペプチド3が低いことを確認することで、卵子が受精しているか又は受精可能性が高いことを判定することができる。

【0030】
ペプチド1~4は、平均分子量がそれぞれ2743、2757、2862、2941であるが、プロトン化分子([M+H+])による精密な分子量はそれぞれ2738.52、2752.43、2857.52、2936.44である(図1)。このように、分子量の実測値は、用いられる測定方法・測定機器に応じて若干変動し得る。例えば、質量分析計を用いる方法による場合は、示された数値±0.5%(好ましくは±0.3%、より好ましくは±0.1%)の位置に出現するピーク強度を測定することが好ましい。

【0031】
上記のペプチド1~4が卵子の受精可能性の検査または判定マーカーとして有用であるので、この4種のペプチドのアミノ酸残基を含むペプチドも同様に卵子の受精可能性の検査または判定マーカーとなることが考えられる。

【0032】
また、本発明のペプチドは、上記4種のペプチドのアミノ酸配列の全部のアミノ酸配列を有するぺプチドに加えて、上記4種のペプチドのアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチドも含む。実質的に同一とは、上記4種のペプチドのアミノ酸配列と比較して、1個もしくは少数個のアミノ酸が修飾されているが、なお卵子の受精可能性の検査または判定マーカーとなり得るものを意味する。少数個とは、1~3個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個を指す。ここで修飾とは、アミノ酸が欠失、付加、もしくは他のアミノ酸により置換されているか、またはこれらの組み合わせによりアミノ配列が変更されていることを意味する。さらに修飾には、糖鎖および/または脂肪酸の付加やリン酸化も含まれる。

【0033】
例えば、被験対象となる患者が、本発明のペプチドのアミノ酸配列内に1もしくは2以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入もしくは付加またはそれらの組合せを含む多型もしくはアレル変異を有する場合、検出すべきペプチドのアミノ酸配列は、「配列番号1~4で表される各アミノ酸配列において、当該多型もしくはアレル変異を有するアミノ酸配列」と解すべきであることは、当業者にとって自明である。

【0034】
本発明はまた、卵子の受精可能性の検査を必要とする被検者由来の卵胞液中の、1種以上の本発明のペプチドの量を測定することによる、該被検者における卵子の受精可能性の検査方法を提供する。本発明のペプチドは、卵子の成熟後、さらに受精可能か否かで変動することから、本発明のペプチドを指標とする検査または診断を採用することにより、受精可能な良質の卵子を選択でき、体外受精の成功率を大幅に向上させることが可能となる。本方法により受精可能な卵子を鑑別できるため、1回の対外受精でも患者における100%に近い確率での妊娠が可能となる。

【0035】
測定対象となるペプチドは、上記4種の本発明のペプチドから選択される限り特に制限はない。また、測定精度を高めるために、本発明のペプチドを含む限り、本発明のペプチド以外の卵子の検査または判定マーカーとなりうる1種以上の生体物質の量を、さらに測定してもよい。。

【0036】
被験試料となる被検者由来の体液は卵胞液である。卵胞液は、人工授精の場合に、卵子を傷つけることなく卵胞から採取ができる点で有利である。検出対象である本発明のペプチドは、試料のタンパク質除去等の前処理なしに、つまり精製せずに直接、検査または判定に用いてもよいし、必要に応じて、スピンカラムなどを用いて、試料から予め高分子量の蛋白質画分などを軽く分離除去しておくこともできる。

【0037】
卵胞液中の、本発明のペプチドの検出は、例えば、卵胞液を各種の分子量測定法、例えば、ゲル電気泳動や、各種の分離精製法(例:イオン交換クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなど)、表面プラズモン共鳴法、イオン化法(例:電子衝撃イオン化法、フィールドディソープション法、二次イオン化法、高速原子衝突法、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)法、エレクトロスプレーイオン化法など)、および質量分析計(例:二重収束質量分析計、四重極型分析計、飛行時間型質量分析計、フーリエ変換質量分析計、イオンサイクロトロン質量分析計、免疫質量分析計、安定同位体ペプチドを内部標準にした質量分析計など)を組み合わせる方法等に供し、該ペプチドの分子量と一致するバンドもしくはスポット、あるいはピークを検出することにより行うことができるが、これらに限定されない。

【0038】
本発明のペプチドを精製してそれらを認識する抗体を作製し、ELISA, RIA,イムノクロマト法、ウェスタンブロッティング、免疫質量分析法や各種イムノアッセイにより該ペプチドを検出する方法もまた、好ましく用いられ得る。さらに上記の検出方法とのハイブリッド型検出法も有効である。

【0039】
本発明の検査方法における特に好ましい測定法の1つは、飛行時間型質量分析に使用するプレートの表面に被験試料を接触させ、該プレート表面に捕捉された成分の質量を飛行時間型質量分析計で測定する方法が挙げられる。飛行時間型質量分析計に適合可能なプレートは、検出対象である本発明のペプチドを効率よく吸着し得る表面構造(例:官能基付加ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO2、SiN4、改質シリコン、種々のゲルまたはポリマーのコーティング)を有している限り、いかなるものであってもよい。

【0040】
好ましい実施態様においては、質量分析用プレートとして用いられる支持体は、ポリビニリデンジフロリド(PVDF)、ニトロセルロースまたはシリカゲル、特に好ましくはPVDFで薄層コーティングされた基材である(WO 2004/031759を参照)。かかる基材は、質量分析用プレートにおいて使用されているものであれば、特に限定されず、例えば、絶縁体、金属、導電性ポリマー、それらの複合体などが挙げられる。かかるPVDFで薄層コーティングされた質量分析用プレートとして、好ましくはプロトセラ社のブロットチップ(BLOTCHIP,登録商標)などが挙げられる。このBLOTCHIP(登録商標)を用いた質量分析法は検体(血液等の体液や組織抽出液)の前処理無しに分析を可能にした世界初のペプチドーム解析法であり、詳細については日本特許第4447458号、Tanaka, K; BBRC, 379, 110-114. (2009)、Y. Araki; Proteomics, 11 (13), 2727-2737. (2011)などに記載されている。

【0041】
被験試料となる被検者由来の卵胞液を前処理せずに、あるいは抗体カラムその他の方法で高分子タンパク質を簡単に除去した後、被験試料をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動もしくは等電点電気泳動に付し、泳動後ゲルを質量分析用プレートと接触させて転写(ブロッティング)させる。転写の方法自体は公知であり、好ましくは電気転写が用いられる。電気転写時に使用する緩衝液としては、pH 7~9、低塩濃度の公知の緩衝液を用いることが好ましい(例えばトリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酢酸緩衝液など)。

【0042】
好ましい実施形態では、タンパク質に吸着したペプチドを、界面活性剤(SDS)存在下に電気泳動によって解離させ、BLOTCHIP(R)へ転写した後、同チップをMALDI-MSで高速解析する。この結果、従来の前処理(タンパク質除去)によるタンパク質複合体ペプチドの喪失等が生じず、どの検体のペプチドームプロファイルも定量的に再現でき、これまで見逃されてきた多くのバイオマーカーペプチドを高い精度と確率で発見できる。

【0043】
上記の方法により支持体表面上に捕捉された被験試料中の分子を質量分析することにより、分子量に関する情報から、標的分子である本発明のペプチドの存在および量を同定することができる。質量分析装置からの情報を、任意のプログラムを用いて、受精が不可能な場合の卵胞液における質量分析データと比較して、示差的な(differential)情報として出力させることも可能である。そのようなプログラムは周知であり、また、当業者は、公知の情報処理技術を用いて、容易にそのようなプログラムを構築もしくは改変することができることが理解されよう。

【0044】
高精度な質量分析結果を得るためには、標的分子の安定同位体標識ペプチドを合成して、それを既知量の内部標準品として被験試料に混合し、プロトセラ社のBLOTCHIP(登録商標)システムを用いて測定することでCV値が5%以下の実測データを取得できる。もちろんBLOTCHIP(登録商標)システム以外の質量分析システムでも質量分析が実施可能であり、この方法は抗体を使用しない診断装置として臨床使用できる。

【0045】
上記の質量分析による検出において、タンデム質量分析(MS/MS)法を用いてペプチドを同定することができ、かかる同定法としては、MS/MSスペクトルを解析してアミノ酸配列を決定するde novo sequencing法と、MS/MSスペクトル中に含まれる部分的な配列情報(質量タグ)を用いてデータベース検索を行い、ペプチドを同定する方法等が挙げられる。また、MS/MS法を用いることにより、直接本発明のペプチドのアミノ酸配列を同定し、該配列情報に基づいて該ペプチドの全部もしくは一部を合成し、これを以下の抗体に対する抗原(ハプテン)として利用することもできる。

【0046】
本発明のペプチドの測定は、それに対する抗体を用いて行うこともできる。よって、本発明は、ペプチドを特異的に認識する抗体を用いた卵子の受精可能性の検査方法、かかる抗体を含む抗体を含む卵子の受精可能性を検査するための判定キットを含む。かかる検査方法は、最適化されたイムノアッセイ系を構築してこれをキット化すれば、上記質量分析装置のような特殊な装置を使用することなく、高感度かつ高精度に該ペプチドを検出することができる点で有用である。

【0047】
また、本発明は、ペプチドに対する抗体を用いた免疫診断または判定用装置も含み、かかる装置としては例えば限定ではないがペプチドに対する抗体をチップの判定領域に固定したイムノクロマト診断または判定用チップが挙げられる。このようなチップの好ましい実施形態は、本発明のペプチドに対する抗体を固定したイムノクロマト診断または判定用チップである。

【0048】
本発明のペプチドに対する抗体は、例えば、本発明のペプチドを、これを発現する患者由来の卵胞液から単離・精製し、該ペプチドを抗原として動物を免疫することにより調製することができる。あるいは、得られるペプチドの量が少量である場合は、RT-PCRによる該ペプチドをコードするcDNA断片の増幅等の周知の遺伝子工学的手法によりペプチドを大量に調製することができ、あるいはかかるcDNAを鋳型として、無細胞転写・翻訳系を用いて本発明のペプチドを取得することもできる。さらに有機合成法により大量に調製することも可能である。

【0049】
本発明のペプチドに対する抗体(以下、「本発明の抗体」と称する場合がある)は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のいずれであってもよく、周知の免疫学的手法により作製することができる。また、該抗体は完全抗体分子だけでなくそのフラグメントをも包含し、それには例えば、Fab、F(ab')2、ScFv、およびminibody等が挙げられる。

【0050】
例えば、ポリクローナル抗体は、本発明のペプチドを抗原として、市販のアジュバント(例えば、完全または不完全フロイントアジュバント)とともに、動物の皮下あるいは腹腔内に2~3週間おきに2~4回程度投与し、最終免疫後に全血を採取して抗血清を精製することにより取得できる。抗原を投与する動物としては、ラット、マウス、ウサギ、ヤギ、モルモット、ハムスターなど、目的の抗体を得ることができる哺乳動物が挙げられる。

【0051】
また、モノクローナル抗体は、細胞融合法により作成することができる。モノクローナル抗体を調製するための技法の説明は、Stites et al, Basic and Clinical Immunology. (Lang Medical Publications Los Altos. CA. 4th Edition) and references therein, 、in particular Koehler, G. & Milstein, C. Nature 256, 495-497 (1975).に見出され得る。例えば、本発明のペプチドを市販のアジュバントと共にマウスに2~4回皮下あるいは腹腔内に投与し、最終投与後に脾臓あるいはリンパ節を採取し、白血球を採取する。

【0052】
この白血球と骨髄腫細胞(例えば、NS-1, P3X63Ag8など)を細胞融合して該ペプチドに対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを得る。所望のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、周知のEIAまたはRIA法等を用いて抗原と特異的に結合する抗体を、培養上清中から検出することにより選択できる。モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマの培養は、インビトロ、またはマウスもしくはラット、このましくはマウス腹水中等のインビボで行うことができ、抗体はそれぞれハイブリドーマの培養上清および動物の腹水から取得することができる。

【0053】
抗体を用いる本発明の検査方法は、特に制限されるべきものではなく、被験試料中の抗原量に対応した抗体、抗原もしくは抗体-抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法等が好適に用いられる。測定に際し、抗体または抗原は、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、または発光物質等の標識剤と結合され得る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン-アビジン系を用いることもできる。
これら個々の免疫学的測定法は、当業者の通常の技能により、本発明の定量方法に適用可能である。

【0054】
本発明のペプチドはタンパク質分解産物からなるため、未分解のタンパク質や、切断部位が共通の類似ペプチド等様々な分子が測定値に影響を与える可能性がある。そこで、第1工程において、卵胞液を抗体により免疫アフィニティ精製し、抗体に結合したフラクションを、第2工程において質量分析に付し、精緻な分子量を基準に同定、定量する、いわゆる免疫質量分析法を利用することができる(例えば、Rapid Commun. Mass Spectrom. 2007, 21: 352-358を参照)。免疫質量分析法によれば、未分解のタンパク質も類似ペプチドも、質量分析計で完全に分離され、バイオマーカーの正確な分子量を基準に高い特異性と感度で定量が可能となる。

【0055】
あるいは、本発明の抗体を用いる別の本発明の検査方法として、該抗体を上記したような質量分析計に適合し得るチップの表面上に固定化し、該チップ上の該抗体に被検試料を接触させ、該抗体に捕捉された試料中の成分を質量分析にかけ、該抗体が認識するマーカーペプチドの分子量に相当するピークを検出する方法が挙げられる。

【0056】
上記のいずれかの方法により測定された被検者由来試料中の本発明のペプチドのレベルが、対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値に比べて統計学的に有意に変動している場合、該被検者の卵子の受精可能性が高いと診断または判定することができる。対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された閾値は、対照試料中のペプチドの量そのものであってもよいし、本発明の検査または判定方法の信頼性が確保される範囲で対照試料中のペプチドの量に基づいて設定された別の基準値であってもよい。

【0057】
本明細書において、対照試料とは、比較の基準となる試料を指し、未受精の場合の試料が含まれる。対照試料中の本発明のペプチドのレベルは、被検者の生体試料における本発明のペプチドのレベルと平行して検出してもよいし、あるいは、予め、多数の対照試料における本発明のペプチドのレベルを測定しておき、対照試料における標準的な発現レベルを統計学的に決定してもよい。具体的には、たとえば、平均値±2×標準偏差(S.D.)、あるいは平均値±×標準偏差(S.D.)または平均値±3×標準偏差(S.D.)を標準値として用いることもできる。

【0058】
あるいは、対照試料中の本発明のペプチドの発現レベルを、ROC曲線を利用して設定してもよい。ROC曲線(receiver operating characteristic curve;受信者操作特性曲線)は、縦軸に検出感度を、横軸に擬陽性率(すなわち"1-特異度")を示すグラフである。生体試料中のペプチドの発現レベルを判定するための基準値を連続的に変化させたときの、感度と擬陽性率の変化をプロットすることによって、ROC曲線を得ることができる。

【0059】
得られたROC曲線に基づいて、所望の検出感度、並びに精度を期待できる標準値を選択することができる。ROC曲線などによって統計学的に設定された標準値は、カットオフ値(cut-off value)とも呼ばれる。カットオフ値に基づいて卵子の受精可能性を検出する場合、被験者由来試料中の本発明のペプチドのレベルが、カットオフ値と比較される。そして、カットオフ値に対して被験者由来試料中の本発明のペプチドのレベルが変動しているときに、卵子の受精可能性が検出または判定がされる。

【0060】
なお、カットオフ値は、病気の診断の分野において、その値以上であると該病気の罹患のリスクが高いと予測される判定基準値であり、カットオフ値以上は陽性、カットオフ値未満は陰性と判定される。カットオフ値を低く設定すれば感度が高く特異度が低くなり、カットオフ値を高く設定すれば感度が低く特異度が高くなる。一実施形態では、カットオフ値は、対照試料における測定値である基準値を、個体数ぶん測定し、そのうちの95%を含む中央部の数値を求めた基準範囲(95%信頼区間、正規分布の場合は対照試料における測定平均値±2標準偏差)の上限値である。しかしながら、判定で求められる感度と特異度が満たされる限り、別の値をカットオフ値として設定してもよい。

【0061】
より具体的には、本発明のペプチドがペプチド1、2、または4のいずれかであり、試料中の該ペプチドのレベルが、対照試料中の該ペプチドレベルに比べて統計学的に有意に上昇している場合、および/または試料中のペプチド3のレベルが、対照試料中の該ペプチドレベルに比べて統計学的に有意に低下している場合、卵子の受精可能性が高いと診断または判定することができる。

【0062】
本発明のペプチド、より具体的には本発明の4種のペプチドは、それぞれ単独でも卵子の受精可能性の診断マーカーとして利用することができるが、2種以上を組み合わせることにより、感度(有病正診率)および特異度(無病正診率)をより高めることができる。

【0063】
2もしくは4種の本発明のペプチドをマーカーとして用いる場合、集団学習法により判定するか、あるいは相当サンプル数の既知患者の試料中および対照由来試料中の各ペプチドの測定値を2次元もしくは3次元座標にプロットして散布図を作成することにより、2群のそれぞれがどの領域に分布するかを可視化し、次いで、被検者由来試料中の各ペプチドの測定値を該散布図上にプロットすることにより、被検者の卵子の受精可能性を容易に判定することができる。散布図に基づいて各ペプチドのカットオフ値を決定し、被検者由来試料中の各ペプチドの測定値をこれと比較することによっても判定が可能である。

【0064】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されないことは言うまでもない。

【0065】
本明細書中に引用されているすべての特許出願および文献の開示は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【実施例】
【0066】
実施例1 BLOTCHIP(登録商標)を用いたプロファイリング解析
福井大学産婦人科を受診し、インフォームドコンセントが得られた女性患者8名を被験者とした。被験者の体外受精治療により採取した卵胞から、注射針を指して卵胞液を吸い取り、体外受精で受精しなかった卵子が入っていた卵胞液(未受精群、1-F1~1-F4の4検体)と、体外受精で受精した卵子が入っていた卵胞液(受精群、2-F1~2-F4の4検体)とに群分けした。受精の確認は、受精した卵子における細胞分裂の開始を顕微鏡観察する従来の方法で確認した。採取した卵胞液は、各卵子と1対1に対応付けして、-80℃で直ちに凍結保存し、後のプロファイリング解析に用いた。
【実施例】
【0067】
上記の未受精群4例および受精群4例の卵胞液1.5μLを電気泳動用サンプル処理液(NuPAGE(登録商標)LDS Sample Buffer 4x ;Invitrogen)4.5μLと混合し70℃で10分間、加熱処理した後、4-12%グラジェントポリアクリルアミドゲル(Invitorigen)にアプライし電気泳動を行った。電気泳動終了後、ゲルを切り出しBLOTCHIP(登録商標)(Protosera, Inc.)に積層し電気転写用バッファー(BLOTBufferTM;Protosera, Inc.)中で90mA、120分間転写した。転写終了後、チップの表面を超純水でリンスし、チップ全体にマトリックス(α-Cyano-4-hydroxy cinamic acid)を塗布後、matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight (MALDI-TOF) mass spectrometer (Bruker Daltnics社製Ultra-FlexII)で質量分析を行った。測定パラメータは、Detector voltage 1685V, Supression1000, Laser Intensity は28~35のFuzzyモードで、1チップあたり415点、1点あたり500回のレーザー照射で、総計207,500回レーザー照射を行った。得られたスペクトル中の各ピーク強度をM/z 毎に積算し、1個の積算スペクトルに変換した。積算スペクトルをClinProTools 2.2(Bruker Daltonik GmbH) を用いて、未受精群の卵胞液と受精群の卵胞液の間でディファレンシャルプロファイリング解析を行い、統計学的有意差(0.05以下のP値)を与えるペプチド群を選択し、分子量2743、2757、2862、および2941の4種のペプチドが卵子の検査または判定マーカーとして同定された(図1)。
【実施例】
【0068】
図2A、図3A、図4Aおよび図5Aは得られた4種のバイオマーカーの2群間での分子量2743、2757、2862、および2941それぞれにおけるピーク強度を示し、図2B、図3B、図4Bおよび図5Bは当該4種のバイオマーカーの、1:未受精群と2:受精群間でのピーク強度のプロット図とROC曲線図とを示す。これらの結果から、受精群では未受精群と比較して分子量2743、2757、および2941におけるピーク強度が顕著に高く、分子量2862におけるピーク強度が顕著に低いことが理解され、4種のペプチドが特異的な卵子の受精可能性の検査または判定マーカーとして有用であることが示された。
【実施例】
【0069】
実施例2 BLOTCHIP上でのde novo MS/MS解析によるペプチドの同定
図2~5に示したペプチドのあったフラクションのスポットに対し、MALDI-TOF型質量分析計UltraflexII(Bruker Daltnics社製)のReflectorモードでモノアイソトピック質量[M+H]+を測定した。得られたモノアイソトピック質量[M+H]+をParent Massに指定して、Liftモード(PSD)でMS/MS測定を行った。測定結果をMASCOT Serverで検索し、MS/MS解析によりアミノ酸配列を決定し、ペプチドを同定した(図1)。
【実施例】
【0070】
その結果、ヒトα-2-HS-glycoproteinの341番目から367番目までのフラグメントに相当し配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるペプチド1、ヒト血清アルブミンの25番から48番目までのフラグメントに相当し配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるペプチド2、アミノ酸配列は配列番号1と同じだが18番目のシステインにさらにジスルフィド結合によりシステインが結合しているペプチド3、ヒト血清アルブミンの25番から50番目までのフラグメントに相当し配列番号4で表されるアミノ酸配列からなるペプチド4がそれぞれ同定された。
【実施例】
【0071】
実施例3 免疫診断または判定用装置の例
図6(a),(b)は、本発明の免疫診断または判定用装置であるイムノクロマットチップの例を示す略図である。イムノクロマトチップ10は、イムノストリップまたは免疫測定用ストリップとも呼ばれる、抗原抗体反応を利用して検体を分析する免疫 アッセイ装置であり、基本構造として、基材と、基材上に設けられた検体を含む生体試料(本願では卵胞液)を吸収、展開させる吸収パッドを備えている。基材や吸収パッドは当該技術分野における周知又は公知の材料から構成されてよい。
【実施例】
【0072】
図6(a),(b)において、イムノクロマトチップ10の長手方向に沿って本発明のペプチドに対する抗体を結合させた領域20が設けられる。
【実施例】
【0073】
イムノクロマトチップ10の下端から卵胞液を含む生体試料を吸収、展開させる場合、下から上へと生体試料が流れ(図6の矢印の方向)、図6(a),(b)におけるように、卵胞液中の卵子の受精可能性を判定できる。図6(a)は領域20のラインが無く、卵子が未受精又は受精に適していないことを示す。図6(b)は領域20のラインが有り、卵子が受精に適した状態にあるか又は受精していることを示す。
【実施例】
【0074】
このように、本発明のペプチドに対する抗体を用いたイムノチップによれば、卵子の質又は状態を簡易、迅速かつ的確に判定できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の新規な卵子の検査または判定マーカーを利用した臨床検査方法は、卵子の受精可能性を迅速且つ的確に判断できるので、受精、特に体外受精の成功率を大幅に向上できる点で有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5