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明細書 :複合材中空粒子およびその製造方法、蛍光材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6083003号 (P6083003)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発行日 平成29年2月22日(2017.2.22)
発明の名称または考案の名称 複合材中空粒子およびその製造方法、蛍光材料
国際特許分類 C01B  33/18        (2006.01)
C09K  11/54        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
F21S   2/00        (2016.01)
F21V   9/08        (2006.01)
F21V   3/00        (2015.01)
H01L  33/50        (2010.01)
F21V   9/16        (2006.01)
F21Y 103/10        (2016.01)
F21Y 115/10        (2016.01)
FI C01B 33/18 Z
C09K 11/54 CPB
C09K 11/08 G
F21S 2/00 431
F21V 9/08 200
F21V 3/00 320
H01L 33/50
F21V 9/16 100
F21Y 103:10
F21Y 115:10
請求項の数または発明の数 15
全頁数 18
出願番号 特願2015-540568 (P2015-540568)
出願日 平成26年10月3日(2014.10.3)
国際出願番号 PCT/JP2014/076536
国際公開番号 WO2015/050243
国際公開日 平成27年4月9日(2015.4.9)
優先権出願番号 2013207983
2014129753
優先日 平成25年10月3日(2013.10.3)
平成26年6月25日(2014.6.25)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成28年4月18日(2016.4.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】藤 正督
【氏名】石野 尊拡
【氏名】白井 孝
【氏名】高井 千加
個別代理人の代理人 【識別番号】110001128、【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
審査官 【審査官】小野 久子
参考文献・文献 特開2003-201473(JP,A)
YAO, K. X. et al.,Simultaneous Chemical Modification and Structural Transformation of Stober Silica Spheres for Integr,Chem. Mater.,2012年,Vol. 24,p. 140-148,ABSTRACT,「EXPERIMENTAL SECTION」の「Preparation of ZnO/Zn-SiO2 Hollow Spheres」,Figure 2,p. 145
化学大辞典編集委員会,化学大辞典6,共立出版株式会社,1979年,p. 696-697
調査した分野 C01B 33/18
C09K 11/08
C09K 11/54
F21S 2/00
F21V 3/00
F21V 9/08
H01L 33/50
F21V 9/16
F21Y 103/10
F21Y 115/10
特許請求の範囲 【請求項1】
シリカ殻からなるシリカ中空粒子と、
前記シリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に担持された亜鉛含有結晶粒子とを備え、
前記シリカ中空粒子の平均粒子径は30~2000nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子の平均粒子径は1~20nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおいて、θ=(9°、18°、27°、36°)の度群、2θ=(10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°)の度群および2θ=(32°、34°、38°)の度群のいずれか1つ以上の角度群に回折ピークを有する、シリカと亜鉛含有結晶の複合材で構成された複合材中空粒子。
【請求項2】
前記複合材から放出される蛍光のピーク波長が500~600nmである請求項1に記載の複合材中空粒子。
【請求項3】
前記シリカ殻は細孔を有し、前記細孔の平均細孔径が2nm以下である請求項1または2に記載の複合材中空粒子。
【請求項4】
前記亜鉛含有結晶粒子は、前記シリカ殻の外表面と内表面のうち少なくとも内表面に担持されている請求項1ないしのいずれか1つに記載の複合材中空粒子。
【請求項5】
シリカ殻からなるシリカ中空粒子と、
前記シリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に担持された亜鉛含有結晶粒子とを備え、
前記シリカ中空粒子の平均粒子径は30~2000nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子の平均粒子径は1~20nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおいて、2θ=(32°、35°、36°)の第1角度群、2θ=(9°、18°、27°、36°)の第2角度群、2θ=(10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°)の第3角度群および2θ=(32°、34°、38°)の第4角度群のいずれか1つ以上の角度群に回折ピークを有する、シリカと亜鉛含有結晶の複合材で構成された複合材中空粒子の製造方法であって、
細孔を有するシリカ殻からなり、平均粒子径が30~2000nmであるシリカ中空粒子と、亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した亜鉛源含有溶液と、アルカリ源と溶媒とを混合させたアルカリ含有混合液とを用意する第1工程と、
前記シリカ中空粒子に前記亜鉛源含有溶液と前記アルカリ含有混合液の一方の液体を含浸させて、前記一方の液体が前記細孔から前記シリカ中空粒子の内部に入り込んだ粒子を得る第2工程と、
前記亜鉛源含有溶液と前記アルカリ含有混合液の他方の液体と、前記第2工程で得られた粒子とを混合および撹拌して、前記亜鉛源と前記アルカリ源を反応させて前記シリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に亜鉛含有結晶粒子を生成する第3工程とを行うことで、前記複合材中空粒子を得る複合材中空粒子の製造方法。
【請求項6】
前記第3工程の混合および撹拌を20~40℃の温度下で行う請求項に記載の複合材中空粒子の製造方法。
【請求項7】
前記シリカ中空粒子として、平均細孔径が2nm以下である細孔を有する前記シリカ殻からなるものを用いる請求項またはに記載の複合材中空粒子の製造方法。
【請求項8】
前記亜鉛源含有溶液の亜鉛源として、無水酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛および硫酸亜鉛のいずれか1つ以上のものを用いる請求項ないしのいずれか1つに記載の複合材中空粒子の製造方法。
【請求項9】
前記アルカリ含有混合液のアルカリ源として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムおよびアンモニアのいずれか1つ以上のものを用い、前記アルカリ含有混合液の溶媒として、エタノール、2-プロパノール、アセトン、エチレングリコール、ジグライムおよび水のいずれか1つ以上のものを用いる請求項ないしのいずれか1つに記載の複合材中空粒子の製造方法。
【請求項10】
前記アルカリ含有混合液のアルカリ源および溶媒として、水酸化ナトリウムおよびエタノールを用いるとともに、エタノール中に含まれる水酸化ナトリウムの量を5g/L~50g/Lとし、
前記第3工程の混合および撹拌の時間を1分~120分とする請求項ないしのいずれか1つに記載の複合材中空粒子の製造方法。
【請求項11】
シリカと亜鉛含有結晶の複合材で構成された複合材中空粒子を用いた蛍光材料であって
前記複合材中空粒子は、
シリカ殻からなるシリカ中空粒子と、
前記シリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に担持された亜鉛含有結晶粒子とを備え、
前記シリカ中空粒子の平均粒子径は30~2000nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子の平均粒子径は1~20nmであり、
前記亜鉛含有結晶粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおいて、2θ=(32°、35°、36°)の第1角度群、2θ=(9°、18°、27°、36°)の第2角度群、2θ=(10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°)の第3角度群および2θ=(32°、34°、38°)の第4角度群のいずれか1つ以上の角度群に回折ピークを有する蛍光材料。
【請求項12】
請求項11に記載の蛍光材料を用いた導光板式フラットパネル照明。
【請求項13】
請求項11に記載の蛍光材料を内包した発光ダイオード照明。
【請求項14】
光を照射する光源と、
前記光源から照射された光によって発光する蛍光体とを備え、
前記光源の光と前記蛍光体が発光した光の両方を照射する照明装置であって、
前記蛍光体は、請求項11に記載の蛍光材料で構成されていることを特徴とする照明装置。
【請求項15】
前記光源は、青色発光ダイオードであることを特徴とする請求項14に記載の照明装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ殻からなる中空粒子と蛍光体粒子とを複合させた複合材中空粒子およびその製造方法、その複合材中空粒子を用いた蛍光材料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中空粒子は低密度、高比表面積、物質内包能等、中実粒子と異なる種々の特徴を有することから、軽量材、断熱材、光学材、医療分野等の幅広い分野で応用されている。近年、特に粒子径50~100nm程度の中空粒子、そのなかでもシリカの中空粒子の研究開発が活発になされている。シリカ自体が透明性を有すること、粒子径が可視光波長以下であること、さらに内部が空洞であり、光の吸収が少ないため、高光透過性を有する。また個々の粒子内部が空洞のため、空気とシリカ殻との界面の面積が増加することに加えて、多数粒子の凝集内部に粒子界面があるため、光の散乱が起こりやく、優れた光透過性と光散乱性を併せて有する。このようなシリカ中空粒子およびその製造方法については、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
蛍光体粒子として、酸化亜鉛(ZnO)微粒子が知られている。酸化亜鉛微粒子の発光メカニズムは諸説あるが、酸化亜鉛のウルツ鉱型結晶中の酸素欠陥に起因していると説明されることが多い。特に粒子径により蛍光強度あるいは蛍光ピーク波長が変わると言われている。
【0004】
酸化亜鉛微粒子の製造方法については、特許文献2に開示され、カルボン酸亜鉛塩とアルコールとの混合液を、アンモニアを含有及び/又は発生する物質と混合及び/又は接触させて、その混合液を加水分解して酸化亜鉛超微粒子を生成し、その後、アンモニアを留去することにより、実質的にアルカリを含有しない酸化亜鉛超微粒子ができるとしている。
【0005】
一方、特許文献3には、亜鉛化合物のエタノール又は水等の溶液を用いて、シリカゲル等のシリカ系無機多孔質体の細孔内に亜鉛イオン又は亜鉛化合物を導入し、酸化雰囲気下で加熱焼成して、多孔質体の細孔内に酸化亜鉛微粒子を内包させる技術を開示している。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許第4654428号公報
【特許文献2】特開平10-120419号公報
【特許文献3】特開2003-201473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記シリカ中空粒子の特徴を活かし、シリカ中空粒子の殻に蛍光体粒子を担持させることにより、蛍光を発光し、透過散乱させる、発光効率の高い光学材料を作製することができると期待される。
【0008】
また、シリカ中空粒子の殻に蛍光体粒子を担持させる際では、室温付近の温度下でかつ直接、シリカ中空粒子のシリカ殻の表面に蛍光体粒子を担持できることが望ましい。
【0009】
なお、特許文献2には、アンモニアを触媒として加水分解することで200℃以下の低温で酸化亜鉛微粒子が作成できることは開示されているが、酸化亜鉛微粒子とシリカ微粒子との複合材を作製することは開示されていない。また、特許文献3では、シリカゲル等の多孔質材の細孔内の亜鉛化合物を酸化亜鉛にするため、400℃以上の加熱が必要であるとしている。
【0010】
本発明は、上記点に鑑み、シリカ中空粒子と蛍光体粒子とを複合させた複合材中空粒子を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、室温付近の温度下でかつ直接、シリカ中空粒子のシリカ殻の表面に蛍光体粒子を担持させることができる複合材中空粒子の製造方法を提供することを第2の目的とする。また、本発明は、複合材中空粒子を用いた蛍光材料や、その蛍光材料を用いた応用品を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、シリカ中空粒子に亜鉛源を溶解した溶液を含浸させ、濾過後の粒子をアルカリ含有溶液に加えることにより、上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明によれば、以下の複合材およびその製造方法が提供される。
【0012】
本発明の第1の特徴は、シリカ殻からなるシリカ中空粒子と、シリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に担持された亜鉛含有結晶粒子とを備えるシリカと亜鉛含有結晶の複合材で構成された複合材中空粒子である。この亜鉛含有結晶粒子は、CuKα線によるX線回折パターンにおいて、2θ=(32°、35°、36°)の第1角度群、2θ=(9°、18°、27°、36°)の第2角度群、2θ=(10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°)の第3角度群および2θ=(32°、34°、38°)の第4角度群のいずれか1つ以上の角度群に回折ピークを有する。
【0013】
本発明の第1の特徴により、上記した第1の目的が達成される。本発明の第1の特徴の複合材中空粒子は、光透過性および光散乱性が高いシリカ中空粒子に、蛍光体である亜鉛含有結晶粒子が担持されているので、発光輝度の高い蛍光材料としての利用が可能である。
【0014】
本発明の第2の特徴は、第1工程と、第2工程と、第3工程とを順に行うことで、複合材中空粒子を得る複合材中空粒子の製造方法である。第1工程では、細孔を有するシリカ殻からなるシリカ中空粒子と、亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した亜鉛源含有溶液と、アルカリ源と溶媒とを混合させたアルカリ含有混合液とを用意する。第2工程では、シリカ中空粒子に亜鉛源含有溶液とアルカリ含有混合液の一方の液体を含浸させて、一方の液体が細孔からシリカ中空粒子の内部に入り込んだ粒子を得る。第3工程では、亜鉛源含有溶液とアルカリ含有混合液の他方の液体と、第2工程で得られた粒子とを混合および撹拌する。これにより、亜鉛源とアルカリ源を反応させてシリカ殻の外表面と内表面の少なくとも一方に亜鉛含有結晶粒子を生成する。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、第3工程の混合および撹拌を室温付近の温度下で行うことで、亜鉛含有結晶粒子を生成でき、生成した亜鉛含有結晶粒子をシリカ中空粒子のシリカ殻の表面に直接担持させることができる。
【0016】
本発明の第3の特徴は、本発明の第1の特徴の複合材中空粒子を用いた蛍光材料である。
【0017】
本発明の第4の特徴は、本発明の第3の特徴の蛍光材料を用いた導光板式フラットパネル照明である。
【0018】
本発明の第5の特徴は、蛍光材料を内包した発光ダイオード照明である。
【0019】
本発明の第6の特徴は、光を照射する光源と、前記光源から照射された光によって発光する蛍光体とを備え、前記光源の光と前記蛍光体が発光した光の両方を照射する照明装置である。この照明装置において、蛍光体は、本発明の第3の特徴の蛍光材料で構成される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】シリカ中空粒子の殻に細孔有(A、B)と無(C)のtプロットを示す図である。
【図2A】原料であるシリカ中空粒子のSEM像(透過電子モード)を示す図である。
【図2B】図2Aの模式図である。
【図3A】本発明の、シリカ中空粒子の殻表面に亜鉛含有結晶ナノ粒子を担持した複合材中空粒子のSEM像(透過電子モード)である。
【図3B】図3Aの模式図である。
【図4】本発明の、シリカ中空粒子の殻表面に亜鉛含有結晶ナノ粒子を担持した複合材中空粒子の合成条件を変えた場合の各サンプルのX線回折パターン(XRD)を示す図である。
【図5】図3に示す各サンプルのフォトルミネッセンス(PL)特性を示す図である。
【図6】NaOH×1/2、撹拌時間30minのサンプルの発光状態を示す図である。
【図7】励起波長350nmの光を照射した、亜鉛含有結晶担持シリカ中空粒子と亜鉛含有結晶担持シリカ中実粒子の蛍光色を示す図である。
【図8】励起波長350nmの光を照射した、亜鉛含有結晶担持シリカ中空粒子と亜鉛含有結晶担持シリカ中実粒子の蛍光強度の波長依存性を示す図である。
【図9-1A】本発明の一実施形態における照明装置の構成を示す断面図である。
【図9-1B】図9-1A中の複合材中空粒子の断面図である。
【図9-1C】図9-1A中の複合材中空粒子における光の透過および散乱を示す概念図である。
【図9-2A】比較例1における照明装置の構成を示す断面図である。
【図9-2B】図9-2A中の複合材中実粒子における光の透過および散乱を示す概念図である。
【図10-1A】本発明の他の実施形態における照明装置の断面図である。
【図10-1B】図10-1A中の保持部の拡大図である。
【図10-1C】図10-1B中の複合材中空粒子の断面図である。
【図10-1D】図10-1Cに対する変形例である複合材中空粒子の断面図である。
【図10-2】比較例2における照明装置の保持部の断面図である。
【図11】本発明の複合材中空粒子の製造工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0022】
本発明の複合材中空粒子は、粒子径30~2000nmのシリカ中空粒子の殻の外表面もしくは内表面の少なくとも一方に亜鉛含有結晶ナノ粒子が被着したものである。亜鉛含有結晶ナノ粒子の粒径は1nm~20nmであることが蛍光を放出する点から特に好ましく、本発明の亜鉛含有結晶粒子はピーク波長が500~600nmの蛍光を放出する。シリカ中空粒子は球状、回転楕円体状、または立方体状のいずれかの形態である。ここで、「球状」とは、球に限らず面で囲まれた球に似た形状をいい、「回転楕円体状」とは、回転楕円体に限らず面で囲まれた回転楕円体に似た形状をいい、「立方体状」とは、立方体に限らず面で囲まれた立方体に似た形状をいう。そして、このような球状、回転楕円体状、または立方体状を有するシリカ殻からなる中空粒子は、例えば、乾燥粉末状態で球状、回転楕円体状、または立方体状の形態の炭酸カルシウム粒子あるいはポリスチレン等の高分子材をコア材として用いることによって製造される。すなわち、コア材の表面にシリカ殻を形成した後、コア材を除去することによって製造される。シリカ殻形成後のコア材の除去は酸処理あるいは加熱等により行う(例えば、特許文献1参照)。なお、中空粒子の平均粒子径は、回転楕円体状の場合は、長径と短径の平均、立方体状の場合は、一辺の長さを言う。

【0023】
前記シリカ殻からなる中空粒子のシリカ殻の厚みtは、2~25nmであることが中空構造の強度を保持する点から好ましい。また、シリカ中空粒子の殻に細孔があり、細孔径は0.5nm~10nm、平均細孔径が2nm以下の細孔(以下、平均細孔径が2nm以下の場合をマイクロ孔という。)、殻密度が1.5g/cm以上であることが好ましい。ここでいう殻密度ρは下記式(1)、(2) から求められる。殻厚tは透過型電子顕微鏡による計測、比表面積Sは窒素ガス吸着によりBET式を適用して求めたものである。Mは中空粒子重量、rは中空粒子コア半径である。細孔の有無は、図1に示すように、tプロットを用いて調べることができる。プロットが1本の直線で近似できるものは無細孔であり、プロットが2直線で近似でき、原点に近い側で直線が下に折れているものはマイクロ孔を持つと判断できる。

【0024】
【数1】
JP0006083003B2_000002t.gif

【0025】
【数2】
JP0006083003B2_000003t.gif
なお、平均細孔径は、例えば、BJH法を用いた窒素ガス吸着等温線から求められる。シリカ中空粒子の平均粒子径および亜鉛含有結晶粒子の平均粒子径は、例えば、走査型電子顕微鏡の観察写真(SEM像)から求められる。

【0026】
本発明の複合材中空粒子の製造方法は、シリカ中空粒子に、亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した溶液を含浸し、濾過して得られた粒子をアルカリ含有混合液に混合し、撹拌して得られるシリカ中空粒子の殻表面に亜鉛含有結晶ナノ粒子が担持された複合材中空粒子の製造方法である。

【0027】
すなわち、本発明の複合材中空粒子の製造方法は、図11に示すように、第1工程と、第2工程と、第3工程とを順に行うことで、複合材中空粒子を得る。第1工程では、原料として、細孔を有するシリカ殻からなるシリカ中空粒子と、亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した亜鉛源含有溶液と、アルカリ源と溶媒とを混合させたアルカリ含有混合液とを用意する。第2工程では、シリカ中空粒子に亜鉛源含有溶液を含浸させた後、濾過して粒子を得る。第3工程では、第2工程で得られた粒子とアルカリ含有混合液とを混合および撹拌する。

【0028】
シリカ中空粒子に亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した溶液を含浸し、濾過して得られた粒子をアルカリ含有混合液と混合することによって、生成した亜鉛含有結晶をシリカ中空粒子に被着させるが、シリカ中空粒子に含浸する亜鉛源‐有機溶媒混合液を作製するに際しては、亜鉛源として、塩化亜鉛(ZnCl)、硫酸亜鉛(ZnSO)、硝酸亜鉛(Zn(NO)、酢酸亜鉛(Zn(OAc))、硫化亜鉛(ZnS)、水酸化亜鉛(Zn(OH))等が使用できるが、なかでも汎用性の点より無水酢酸亜鉛が好ましい。一方、有機溶媒としては、シリカ中空粒子と生成した亜鉛含有結晶粒子とが溶媒中で分散性がよいことが必要であり、例えばアルコール類、グリコール類、グリコールエステル類、アセトン等のケトン類、もしくはこれら2種類以上の混合溶媒が挙げられるが、中でもアルコール類が好ましく、エタノールが特に好ましい。

【0029】
前記濾過して得られた粒子をアルカリ含有混合液に混合する場合、アルカリは酢酸亜鉛を亜鉛含有結晶に変化させる役割であり、アルカリ源として水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化アンモニウム(NHOH)、水酸化リチウム(LiOH)は好適に用いられ、アルカリ源との混合液の溶媒にはアルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。水酸化ナトリウムとエタノールとの混合液の場合、エタノール中に含まれる水酸化ナトリウムの量は5g/L~50g/Lが好ましく、シリカ中空粒子と亜鉛源を含むアルカリ含有混合液を室温付近(20~40℃)で混合撹拌する時間が1分~120分であることが好ましく、5分~60分であることが特に好ましい。なお、アルカリ含有混合液の溶媒として水を用いても良い。また、アルカリ含有混合液は、アルカリ源が溶媒に溶けている状態に限らず、アルカリ源が溶媒に溶けていない状態であってもよい。

【0030】
また本発明では、シリカ中空粒子を、亜鉛源を水または有機溶媒に溶解した溶液に含浸する際に、シリカ中空粒子の殻にマイクロ孔を持つことから、前記亜鉛源含有溶液が孔を通じて内部の空洞に入りこむ。シリカ中空粒子と亜鉛源との溶液をろ過後の粒子をアルカリ含有溶液と混合した際に、殻内の亜鉛源と殻外から拡散するアルカリ源が、シリカ中空粒子の殻付近で化学反応することによって、殻内表面または外表面に亜鉛含有結晶粒子が被着するものである。この反応は、室温付近の温度下で起きる。また、この反応は、上記手順と逆であっても可能であり、シリカ中空粒子を、アルカリ含有溶液に含浸し、アルカリを殻内に入り込ませ、濾過後の粒子を亜鉛源含有溶液に混合することによって、シリカ中空粒子の殻付近で亜鉛含有結晶となる。シリカ中空粒子の殻が無孔の場合には溶液が中空内部へ入りこまない。反対に、細孔が大きくなると、入りこんだ亜鉛源またはアルカリ含有溶液が再度浸み出してしまう。したがって、マイクロ孔を殻に有する中空粒子を用いることが本発明の複合材中空粒子を製造するうえで好ましい。

【0031】
このように、本発明の複合材中空粒子の製造方法によれば、室温付近の温度下でかつ直接、シリカ中空粒子の表面に亜鉛含有結晶ナノ粒子を担持させることができる。

【0032】
なお、上記説明では、第2工程において、シリカ中空粒子に亜鉛源含有溶液を含浸させて、亜鉛源含有溶液を細孔を通じてシリカ中空粒子の内部に入り込ませて、亜鉛源含有溶液がシリカ中空粒子の内部に込んだ粒子を得た後、この粒子を濾過して第3工程を行ったが、この粒子を濾過せずに第3工程を行ってもよい。ただし、濾過せずに第3工程を行うと、シリカ中空粒子の殻付近だけでなく、シリカ中空粒子の外側においても、上記した化学反応が生じてしまう。このため、第2工程では、濾過することが好ましい。

【0033】
また、第3工程の撹拌後では、撹拌後の懸濁液を濾過し、濾過して得られた複合材中空粒子を乾燥させずに使用したり、乾燥させて使用したりすることができる。また、撹拌後の懸濁液をそのまま使用してもよい。

【0034】
本発明の複合材中空粒子は、ナノメートルサイズ(1nm~20nm)の亜鉛含有結晶粒子がシリカ中空粒子の殻外表面および/または内表面に担持されており、当該シリカ中空粒子への入射光が殻外表面での光散乱に加えて、殻内表面からの光散乱が重畳され、蛍光強度が増大される。その結果、光透過性および光散乱性が高く、かつピーク波長が500nm~600nmの蛍光を発するので、例えば、青色発光ダイオード(LED)と併用することにより、白色光あるいはこれに近い波長の光を放つことができる。このように、本発明の複合材中空粒子は、高光散乱性蛍光材料として用いることが可能である。

【0035】
したがって、本発明の高光散乱性蛍光材料を用いて、図9-1Aに示す導光板式フラットパネル照明に応用することができる。上記効果により、図9-2Aに示す比較例1の中実粒子の蛍光強度に比較して20%~40%高い輝度が得られる。一方、図10-1Aに示すように、中実粒子の黄色蛍光材料の代わりに本発明の高光散乱性蛍光材料を内包した、高輝度あるいは省エネルギーのLED照明に応用することができる。この場合も、蛍光粒子担持のシリカ中実粒子に比較して本発明の蛍光粒子担持のシリカ中空粒子は20%~40%高い輝度が得られる。

【0036】
図9-1Aに示す本発明の一実施形態における照明装置10は、青色LED11と、導光板12と、光散乱板13とを備えている。青色LED11は、青色の光を照射する光源である。導光板12は、表面12aと裏面12bを有し、平面方向端部12cから内部に入射した光源の光を表面12aから均一に放出する板である。導光板12の裏面12bには反射板14が設けられている。導光板12の平面方向端部12cに光源11が配置される。光散乱板13は、導光板12の表面12a上に配置されている。光散乱板13は、蛍光体として本発明の複合材中空粒子15を用いた蛍光材料16を透明板17の表面上に塗布したものである。

【0037】
複合材中空粒子15は、図9-1Bに示すように、シリカ中空粒子15aの外表面に亜鉛含有結晶15bが担持されている。なお、亜鉛含有結晶15bは、シリカ中空粒子15aの外表面と内表面の両方に担持されていてもよく、シリカ中空粒子15aの内表面のみに担持されていてもよい。

【0038】
この照明装置10では、導光板12の平面方向端部12cから入射された光源11の光は、導光板12の内部を進行し、反射板14に反射することにより、導光板12の表面12aから均一に放出される。導光板12の表面12aから放出された光は、光散乱板13を通過する。このとき、複合材中空粒子15は、青色LED11から照射された光によって励起して蛍光を発する。このため、照明装置10は、青色LED11が照射した光と、複合材中空粒子15が発光した光の両方を照射する。この結果、照明装置10は、白色光あるいはこれに近い波長の光を照射する。

【0039】
図9-2Aに示す比較例1の照明装置100は、図9-1Aに示す照明装置10において、光散乱板13の蛍光材料16として、図9-2Bに示すように、シリカ中実粒子に亜鉛含有結晶を担持させた複合材中実粒子18を用いたものである。

【0040】
比較例1の照明装置100と図9-1Aの照明装置10を比較すると、比較例1の照明装置100では、図9-2Bに示すように、複合材中実粒子18を透過する透過光が減衰してしまう。これに対して、複合材中空粒子15は、図9-1Cに示すように、複合材中実粒子18よりも光透過性および光散乱性が高いので、複合材中実粒子18の蛍光強度に比較して20%~40%高い輝度が得られる。このため、図9-1Aの照明装置10によれば、比較例1の照明装置100よりも白色光の輝度が向上する。

【0041】
図10-1Aに示す本発明の他の施形態における照明装置20は、砲弾型のLED照明である。この照明装置20は、青色LED21と、リードフレーム22と、カバー23とを備えている。リードフレーム22は、青色LED21を保持する保持部22aを有しており、青色LED21を保持する保持部材と、青色LED21に電気的に接続された電気配線部材とを兼ねている。カバー23は、透明材料で構成され、青色LED21およびリードフレーム22の保持部22aを覆っている。

【0042】
図10-1Bに示すように、保持部22aは、凹形状であり、凹形状の底部に青色LED21が配置されている。さらに、青色LED21の周囲に蛍光体として本発明の複合材中空粒子15を用いた蛍光材料が配置されている。この複合材中空粒子15は、図10-1Cに示すように、シリカ中空粒子15aの内表面に亜鉛含有結晶15bが担持されている。この場合、複合材中空粒子15は、黄色の発光を示す。なお、亜鉛含有結晶15bは、図10-1Dにしめすように、シリカ中空粒子15aの外表面のみに担持されていてもよく、シリカ中空粒子15aの外表面と内表面の両方に担持されていてもよい。シリカ中空粒子15aの外表面に亜鉛含有結晶15bが担持されている場合、複合材中空粒子15は、黄緑色の発光を示す。

【0043】
この照明装置20においても、青色LED21が照射した光と、複合材中空粒子15が発光した光の両方を照射する。この結果、照明装置10は、白色光あるいはこれに近い波長の光を照射する。

【0044】
図10-2に示す比較例2の照明装置200は、保持部22aの内部の蛍光材料として、比較例1の照明装置100と同様に、複合材中実粒子18を用いたものである。

【0045】
複合材中空粒子15は、複合材中実粒子18よりも光透過性および光散乱性が高いので、複合材中実粒子18の蛍光強度に比較して20%~40%高い輝度が得られる。このため、図10-1Aの照明装置20によれば、比較例2の照明装置200よりも白色光の輝度が向上する。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
実施例及び比較例で合成に用いた中空シリカ粒子のパラメータを表1に示す。
【実施例】
【0048】
【表1】
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(実施例1~14、比較例1~2)
本実験では、表1に示すように、粒子径約100nm、立方体状、比表面積180m/gのシリカ中空粒子を用いた。まず、分液漏斗と真空ポンプに接続したセパラブルフラスコに200mgの前記中空粒子を入れ、マントルヒーターで200℃に加熱し、減圧下で2時間乾燥させた。その後、室温に冷却した中空粒子に、2.29g(0.0125mol)の無水酢酸亜鉛(和光純薬工業製)を150mLのエタノール(99.5%、和光純薬工業製)に溶解させた酢酸亜鉛‐エタノール溶液を加えて、マグネチックスターラーで15分撹拌した。
【実施例】
【0049】
前記撹拌した懸濁液を孔径0.1μmのオムニポアメンブレン(Millipore社製)を用いてアスピレータによる吸引濾過を行った。得られた粒子をビーカーに移し、0.25g(0.00625mol)、0.5g(0.0125mol)、1.0g(0.025mol)、2.0g(0.05mol)、4.0g(0.1mol)の水酸化ナトリウム(和光純薬工業製)を50mLのエタノールに溶解させた水酸化ナトリウム‐エタノール溶液を加えてマグネチックスターラーで5分、30分、および60分撹拌した。水酸化ナトリウム量5種類、撹拌時間3種類(水酸化ナトリウム0.25gの場合のみ120分を含めた4種類)、計16種類のサンプルである。撹拌後の懸濁液に再度減圧濾過を行い、得られた粒子を室温下で24時間真空乾燥させて、シリカ/亜鉛含有結晶複合材中空粒子を得た。
【実施例】
【0050】
合成した複合材中空粒子の形状評価として、走査電子顕微鏡(SEM)による観察(JSM‐7600F/JEOL社製)、定性評価としてCuKα線による粉末X線回折(XRD)測定(UltimaIV/Rigaku社製)、また蛍光特性の評価は分光蛍光光度計(FP6500/JASCO社製)により行った。
【実施例】
【0051】
図2A、2Bに原料となるシリカ中空粒子、図3A、3Bに合成したシリカ/亜鉛含有結晶複合材中空粒子のSEM像(透過電子モード像)およびその模式図をそれぞれ示す。図2A、2Bから、原料となるシリカ中空粒子が立方体状で粒子径が約100nm、殻厚が約10nmであることが分かる。一方、図3A、3Bから、中空シリカの粒子の殻表面に数nmの大きさの微粒子が付着していることが分かる。本実施例では、酢酸亜鉛‐エタノール溶液に原料のシリカ中空粒子を含浸した後、一度濾過し、その後水酸化ナトリウム‐エタノール溶液を加えた反応させたので、亜鉛イオンの分布がシリカの殻の外表面および内表面に集中し、微粒子が殻表面に選択的に析出したものと考えられる。
【実施例】
【0052】
合成したシリカ/亜鉛含有結晶複合材中空粒子のXRDパターンを図4に示す。ここで、NaOH×1、NaOH×0.5、NaOH×0.25、NaOH×2、NaOH×4は、水酸化ナトリウムの使用量が各々1.0g、0.5g、0.25g、2.0g、4.0gであること、時間は水酸化ナトリウム‐エタノール溶液を加えた撹拌時間を表している。また、「ZnO(Wako)」と「Zn(OAc)」は各々参照として、和光純薬製試薬の酸化亜鉛と無水酢酸亜鉛を合成物と同条件で測定したものである。
【実施例】
【0053】
合成したすべてのサンプルにおいて、原料である無水酢酸亜鉛のピークは消失し、酸化亜鉛のピークが認められる。2θ=32、35、36(第1角度群)にあるピークが酸化亜鉛のピークである。ただし、これら酸化亜鉛のピークはブロード化しており、亜鉛含有結晶の微粒子化による影響と考えられる。なお、(NaOH×1、60min)と(NaOH×0.5、60min)については、9°、18°、27°、および36°(第2角度群)に鋭いピークがあり、その角度が倍数になっているので、層状亜鉛含有結晶ができている可能性が示唆される。また、サンプルのうち、例えば、(NaOH×1/4、5min)においては、10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°(第3角度群)にピークがある。(NaOH×1/2、5min)においては、2θ=32°、34°、38°(第4角度群)にピークがある。
【実施例】
【0054】
合成したサンプルのフォトルミネッセンス(PL)特性を図5に示す。励起光の波長は350nmである。いずれのサンプルも蛍光ピーク波長は550~560nmで大きな差異は見られず、黄緑色~黄色の発光を示すことが分かった。また、XRD測定における34°付近のピークが広がっているほうが蛍光の強度が大きくなっていると考えられる。NaOH×1/4のサンプルに関しては、蛍光強度は大きいが、SEM像による確認ではシェル上への亜鉛含有結晶の担持が非常に少なかった。これは水酸化ナトリウムの濃度が薄いことによって、亜鉛含有結晶の生成に時間がかかり、合成時に亜鉛イオンがシェル外に拡散してしまったと考えられる。また、NaOH×2、NaOH×4のサンプルに関しては、SEMによってシリカシェル上への亜鉛含有結晶の担持が確認されたものの、XRD測定によって結晶性が非常に低いことが分かった。また、PL測定結果でもそれぞれ蛍光強度が低いことが分かった。さらにNaOH×2、NaOH×4のサンプルは、残留した水酸化ナトリウムの影響か、大気中で保管した場合に潮解性のような現象がみられ、粉末としての操作性に優れないことが分かった。
【実施例】
【0055】
NaOH×1/2、撹拌時間30minのサンプルの発光状態を示す写真を図6に示す。励起光の波長は365nmであり、容器は石英製である。写真のように黄緑~黄色の発光を示すことが分かった。
表2は合成に用いた無水酢酸亜鉛、水酸化ナトリウムの量及びそのモル比、水酸化ナトリウムとそれを溶解させるアルコールの量比、撹拌時間の組み合わせおよびサンプル評価結果をまとめたものである。物性欄にはSEM観察によるシリカ中空粒子と亜鉛含有結晶ナノ粒子の複合化の確認結果(○は良好、少しでも複合化しているものは△、全く複合化していないものは×で表記)、XRD測定による亜鉛含有結晶のピーク(2θ=(9°、18°、27°、36°)及び、2θ=(10°、15°、17°、20°、21°、25°、28°、32°、36°)及び、2θ=(32°、34°、38°)及び、酸化亜鉛のピークのいずれか)の有無(有りは○、無しは×で表記)、PL測定による蛍光強度(特に強いものは◎、強いものは○、弱いものは△、全く蛍光を示さないものは×に大別した)である。なお、NaOH×2、60min(比較例1)、及び、NaOH×4、60min(比較例2)の条件で合成したサンプルについては、NaOH由来と思われる潮解性が強く、粉末としての操作性に優れないことが分かった。この潮解性のために、NaOH×2、60minのPL測定、及びNaOH×4、60minのXRD測定とPL測定は実行できなかった。
【実施例】
【0056】
【表2】
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(実施例15~18、比較例3~6)
実施例1~14で用いたシリカ中空粒子より密度が小さく、細孔径が大きいシリカ中空粒子(密度約1.5g/cmで平均細孔径約1.5nm)、および密度約2.2g/cmで細孔無しのシリカ中空粒子を用いた比較例3~6を表3に示す。シリカ中空粒子の殻に細孔がない場合は亜鉛含有結晶が殻表面に形成されないことがわかる。
【実施例】
【0057】
【表3】
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(実施例19~34)
亜鉛源として硝酸亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛を用いた(硫化亜鉛、硫酸亜鉛を亜鉛源とする時のみ溶媒を水とする)実施例19~34を表4に示す。溶媒をアルコールの代わりに水とした硫化亜鉛、硫酸亜鉛でもシリカ/亜鉛含有結晶複合材が形成された。
【実施例】
【0058】
【表4】
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(実施例35~46)
アルカリとして水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア水を用いた実施例35~46を表5に示す。水酸化ナトリウム以外に水酸化リチウム等でもシリカ/亜鉛含有結晶複合材が形成されることがわかった。
【実施例】
【0059】
【表5】
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(実施例47~62)
溶媒として、エタノールの代わりに2-プロパノール、アセトン、エチレングリコール、ジグライムを用いた実施例47~62を表6に示す。エタノール以外の汎用性の高い溶媒でもシリカ/亜鉛含有結晶複合材が形成されることがわかった。
【実施例】
【0060】
【表6】
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(実施例63~66)
上記実施例1~62とは逆にアルカリを中空粒子に含浸させ、濾過した後に亜鉛源溶液を加える手法を用いた実施例63~66を表7に示す。アルカリを先に中空粒子に含浸させた場合でも、シリカ中空粒子の殻付近で亜鉛含有結晶が形成可能であることがわかる。
【実施例】
【0061】
【表7】
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本発明の亜鉛含有結晶を担持したシリカ中空粒子(Hollow-ZnO)と同亜鉛含有結晶を担持したシリカ中実粒子(DenseーZnO)の蛍光色と蛍光強度を比較した。図7に示すようにアセトンに各粒子を分散させ、励起波長350nmの光を照射したところ、亜鉛含有結晶担持シリカ中空粒子は黄緑色の蛍光を放ち、亜鉛含有結晶担持シリカ中実粒子は黄色の蛍光を放った。次に、励起波長350nmの光で照射した際の蛍光特性を測定した結果を図8に示す。亜鉛含有結晶担持シリカ中空粒子(Hollow-ZnO)と亜鉛含有結晶担持シリカ中実粒子(Dense-ZnO)の蛍光強度の波長依存性はほぼ同じであるが、強度は亜鉛含有結晶担持シリカ中空粒子が亜鉛含有結晶担持中実粒子に対して全波長域で約2倍となり、中空粒子の光透過性と光散乱性が高いことによると推測できる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のシリカ/亜鉛含有結晶複合材中空粒子は蛍光材料に利用できる。
図面
【図1】
0
【図2B】
1
【図3B】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図8】
5
【図9-1A】
6
【図9-1B】
7
【図9-1C】
8
【図9-2A】
9
【図9-2B】
10
【図10-1A】
11
【図10-1B】
12
【図10-1C】
13
【図10-1D】
14
【図10-2】
15
【図11】
16
【図2A】
17
【図3A】
18
【図6】
19
【図7】
20