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明細書 :二酸化炭素と親二酸化炭素系界面活性剤を用いた機能性高分子複合化粒子及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-029915 (P2016-029915A)
公開日 平成28年3月7日(2016.3.7)
発明の名称または考案の名称 二酸化炭素と親二酸化炭素系界面活性剤を用いた機能性高分子複合化粒子及びその製造方法
国際特許分類 A23L  33/10        (2016.01)
A23L   5/00        (2016.01)
B01J   3/00        (2006.01)
B01J   2/00        (2006.01)
B01J   2/10        (2006.01)
FI A23L 1/30 Z
A23L 1/00 C
B01J 3/00 A
B01J 2/00 B
B01J 2/10 A
請求項の数または発明の数 13
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-153605 (P2014-153605)
出願日 平成26年7月29日(2014.7.29)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 平成26年3月19日 公益財団法人化学工学会主催の「化学工学会 第79年会」において文書をもって発表
発明者または考案者 【氏名】三島 健司
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100163647、【弁理士】、【氏名又は名称】進藤 卓也
【識別番号】100182084、【弁理士】、【氏名又は名称】中道 佳博
【識別番号】100123489、【弁理士】、【氏名又は名称】大平 和幸
審査請求 未請求
テーマコード 4B018
4B035
4G004
Fターム 4B018MD01
4B018MD07
4B018MD09
4B018MD14
4B018ME14
4B018MF14
4B035LC16
4B035LE20
4B035LG01
4B035LG08
4B035LG12
4B035LP55
4B035LP59
4G004BA00
4G004GA00
要約 【課題】従来の超臨界微粒子コーティング技術では、超臨界二酸化炭素に溶解度の大きいフッ素系やシラノール系の高分子しか利用することができず、食品への利用が困難であった。本発明は、二酸化炭素との親和性の高いフッ素やシランなどの親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加することで、二酸化炭素との親和性の低い高分子を二酸化炭素中に溶解または分散させることで、超臨界微粒子コーティング技術で使用できる高分子の種類を拡張することを目的とする。
【解決手段】超臨界状態もしくは亜臨界状態の高圧流体の存在下にて、pH応答性などを有する高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下、固体状態で分散させた後、高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、有効成分含有材料と高分子を接触させた後、超臨界流体を除去することにより複合化粒子を製造する方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の存在下において、高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下で、固体状態で分散させる工程と、該高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、該有効成分含有材料と該高分子を接触させる工程と、該高圧流体を除去する工程とを含む複合化粒子を製造する方法。
【請求項2】
超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の存在下において、高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下、固体状態で分散させる工程と、二酸化炭素との親和性の高い親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加する工程と、有効成分含有材料及び高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、高速攪拌にて、有効成分含有材料と高分子を接触させる工程と、溶媒である高圧流体ならびにそれに溶解している成分を容器外へ放出する工程とを含む複合化粒子を製造する方法。
【請求項3】
二酸化炭素の減圧に伴う相変化時に、前記親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を共存させ、溶媒である二酸化炭素とそれに溶解している成分を容器外への放出を攪拌下に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項4】
前記高分子と前記有効成分含有材料を固体状態で分散させる温度・圧力条件よりも、溶融する温度・圧力条件を高温・高圧にすることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項5】
超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体が超臨界二酸化炭素である請求項1~4のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項6】
有効成分含有材料がα-リポ酸である請求項1~5のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項7】
高分子が菜種硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルである請求項1~6のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項8】
高分子の主成分がステアリン酸トリグリセライドの硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分においてC22のアルキル鎖長を持つトリグリセリン脂肪酸エステルである請求項7に記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項9】
減圧前の容器内温度が60℃以下であり、そして減圧前の圧力が200kg/cm以下であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかの方法により製造された、油脂コーティング植物抽出エキス粉末または油脂コーティング抗酸化能原末である複合化粒子。
【請求項11】
油脂が菜種硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルである請求項10に記載の複合化粒子。
【請求項12】
有効成分含有材料が、フェニルアラニン、ルテオリン、アピゲニン、クエルセチンのいずれかまたはこれらのいずれか複数の組合せであることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の複合化粒子。
【請求項13】
請求項1~9のいずれかの方法により製造された、油脂コーティングミネラル酵母である複合化粒子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界二酸化炭素を用いて製造されるマイクロカプセルおよびその製造方法に関する。より詳しくは、超臨界二酸化炭素を用いて製造される食品用マイクロカプセルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術としては、微粒子コーティング技術(特許文献1)があげられる。この場合、マスキング(コーティング剤)には、超臨界二酸化炭素に溶解度の大きいフッ素系やシラノール系の高分子しか利用することができず、食品への利用が困難であるという問題があった。
【0003】
一方、複合体製造技術(特許文献2、特許文献3)では、超臨界二酸化炭素への溶解度は小さいが、逆にマスキング剤への二酸化炭素への溶解度が大きく、二酸化炭素の溶解によりマスキング剤の可塑化が著しく進む硬化油脂をマスキング剤として利用することで、食品コーティングへの適用を可能とした。
【0004】
しかし、これらの方法では、二酸化炭素への親和性の低いpH応答性を有するアクリル系高分子を被覆材として用いることは困難であった。また、pH応答性の高分子カプセル化には、woエマルション法なども検討されたが有害な有機溶媒の製品への残留が問題となっていた。
【0005】
そこでこれらの問題を解決する機能性高分子複合体粒子とその製造方法が求められていた。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特許第3469223号公報
【特許文献2】特許第4997449号公報
【特許文献3】特許第5224619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の超臨界微粒子コーティング技術では、超臨界二酸化炭素に溶解度の大きいフッ素系やシラノール系の高分子しか利用することができず、食品への利用が困難であった。本発明は、二酸化炭素との親和性の高いフッ素やシランなどの親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加することで、二酸化炭素との親和性の低い高分子を二酸化炭素中に溶解または分散させることで、超臨界微粒子コーティング技術で使用できる高分子の種類を拡張することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は以下の発明を提供する。
(1)超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の存在下において、高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下で、固体状態で分散させる工程と、該高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、該有効成分含有材料と該高分子を接触させる工程と、該高圧流体を除去する工程とを有する複合化粒子を製造する方法。
【0009】
(2)超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の存在下において、高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下、固体状態で分散させる工程と、二酸化炭素との親和性の高い親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加する工程と、有効成分含有材料および高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、高速攪拌にて、有効成分含有材料と高分子を接触させる工程と、溶媒である高圧流体ならびにそれに溶解している成分を容器外へ放出する工程とにより複合化粒子を製造する方法。
【0010】
ここで、高分子とは、pH応答性などを有する高分子をいい、好ましくは、重量平均分子量(MW)1000~800000、より好ましくは10000~500000、さらに好ましくは、20000~200000、特に好ましくは、100000~180000である。また、高分子には油脂も含まれる。
【0011】
二酸化炭素との親和性の高い親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤とは、例えば、フッ素やシランなどの親二酸化炭素部位を有する界面活性剤をいう。
【0012】
(3)二酸化炭素の減圧に伴う相変化時に、前記親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を共存させ、溶媒である二酸化炭素とそれに溶解する成分を容器外への放出を攪拌下に行うことを特徴とする(1)または(2)の複合化粒子を製造する方法。
【0013】
(4)前記高分子と前記有効成分含有材料を固体状態で分散させる温度・圧力条件よりも、溶融する温度・圧力条件を高温・高圧にすることを特徴とする(1)~(3)のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【0014】
(5)超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体が超臨界二酸化炭素である(1)~(4)のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【0015】
(6)有効成分含有材料がα-リポ酸である(1)~(5)のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【0016】
(7)高分子が菜種硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルである(1)~(6)のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【0017】
(8)高分子の主成分がステアリン酸トリグリセライドの硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸部分においてC22のアルキル鎖長を持つトリグリセリン脂肪酸エステルである(7)に記載の複合化粒子を製造する方法。
【0018】
(9)減圧前の容器内温度が60℃以下であり、そして減圧前の圧力が200kg/cm以下であることを特徴とする(1)~(8)のいずれかに記載の複合化粒子を製造する方法。
【0019】
(10)(1)~(9)のいずれかの方法により製造された、油脂コーティング植物抽出エキス粉末または油脂コーティング抗酸化能原末である複合化粒子。
【0020】
(11)油脂が菜種硬化油脂またはグリセリン脂肪酸エステルである(10)に記載の複合化粒子。
【0021】
(12)有効成分含有材料が、フェニルアラニン、ルテオリン、アピゲニン、クエルセチンのいずれかまたはこれらのいずれか複数の組合せであることを特徴とする(10)または(11)に記載の複合化粒子。
ここで、有効成分含有材料は芯物質である。
【0022】
(13)(1)~(9)のいずれかの方法により製造された、油脂コーティングミネラル酵母である複合化粒子。
【発明の効果】
【0023】
従来のマイクロカプセル製造技術に比べて、毒性が極めて小さい二酸化炭素を機能性溶媒として用い、有害な有機溶媒を使用していないので、環境に優しいだけでなく、分離コストが大幅に削減できる効果がある。さらに、助剤として添加する親二酸化炭素系界面活性剤も製品中にはほとんど残留しない。また、従来法では困難であった製品の更なる微粒化が可能となるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】エタノールを溶媒とし、オイドラギッドL100にフェニルアラニンを被覆した微粒子を示す図である。
【図2】2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノールを溶媒とし、オイドラギッドE100にフェニルアラニンを被覆した微粒子を示す図である。
【図3】超臨界二酸化炭素を用いて製造したフェニルアラニンを芯物質とするマイクロカプセルからのフェニルアラニンの徐放率のpH依存性を示すグラフである。
【図4】2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール溶媒濃度が微粒子径に及ぼす影響を示すグラフである。
【図5】二酸化炭素60gに対して添加したフッ素系界面活性剤の量が粒子径に及ぼす影響を示すグラフである。
【図6】マイクロカプセル製造過程の温度が微粒子径に及ぼす影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明においては、超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の存在下において、高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下で、固体状態で分散させる工程と、該高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、該有効成分含有材料と該高分子を接触させる工程と、該高圧流体を除去する工程とを有する複合化粒子を製造する方法が提供される。

【0026】
また、さらに、二酸化炭素との親和性の高い親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加する工程を含んでいてもよい。

【0027】
この複合化粒子を製造する方法により、pH応答性を示す高分子等で薬剤または微粒子などの有効成分含有材料を被覆し、直径数μmから数十μm程度の微粒子カプセルの製造を可能とした。この直径は従来法による微粒子カプセルよりも小さく、体内への吸収速度のコントロールにおいて大幅な改善が期待できるという利点がある。

【0028】
本発明において、超臨界状態もしくは亜臨界状態の高圧流体として用いるガスとしては、特に限定されないが、例えば、アンモニア、メタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、窒素、二酸化炭素等およびこれらの組合せが挙げられるが、安価でハンドリング条件がよい二酸化炭素がより好ましく用いられる。

【0029】
高分子は有効成分含有材料を被覆するために用いられる。高分子としては、例えば、pH応答性を有する高分子が好ましく用いられる。pH応答性を有する高分子とは、例えば、pHの変化により構造が変化し、薬物を放出できる高分子等を言う。このような高分子の例としてはRohm GmbH & Co. KG. Darmstadt社製のEudragit polymerオイドラギット E100;アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、オイドラギット L100メタクリル酸コポリマーLなどがある。ミセルを形成し、pHの変化によりミセルの構造が変化し、薬剤を放出するものなどが知られている。

【0030】
また有効成分含有材料を被覆するために用いられる高分子としては、特に限定されず、例えば、メタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6-6など)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アクリル樹脂(ポリアクリル酸;ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル酸エステル)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ乳酸、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリシロキサン、デキストラン、ゼラチン、でん粉、セルロース類(酪酸セルロース、ニトロセルロースなど)、糖類、キチン類、ポリペプチド、およびそれらを構成成分とする高分子共重合体、ならびにそれらを含む混合物等が挙げられる。さらに、例えば、薬剤コーティング用に厚生労働省から認可されているRohm GmbH & Co. KG. Darmstadt社製のオイドラギッドL100やE100などが挙げられる。これらの高分子には、pH応答性を示す高分子も含まれる。高分子の分子量は、1000~800000、より好ましくは10000~500000、さらに好ましくは、20000~200000、特に好ましくは、100000~180000である。

【0031】
本発明においては、二酸化炭素と親和性の高いフッ素やシランなどの親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤を添加することで、二酸化炭素との親和性の低い高分子を二酸化酸素中に溶解または分散させることができる。この技術により、従来の方法では不可能であった二酸化炭素との親和性の低い高分子が使用できるようになった。このような高分子の例としては、特に限定されないが、例えば、高分子量のメタクリル酸コポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6-6など)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、アクリル樹脂(ポリアクリル酸;ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル酸エステル)が挙げられる。

【0032】
本発明に用いるフッ素やシランなどの親二酸化炭素性部位を有する界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、フルオロアルキル、パーフルオロアルキル基若しくはシロキサン結合を有する例えば、2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール、トリフルオロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼン、オクタフルオロナフタレン、2-(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ナフタレン、1,2,3,4-テトラフルオロナフタレン、ドコサフルオロデカン、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2-(パーフルオロブチル)エタノール、1,1,2,2-テトラヒドロパーフルオロヘキシル アルコール、1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、1,1-ジメチル-3-ヒドロキシプロパンジシロキサン、およびヘキサメチルシクロトリシロキサン等、ならびにそれらの組合せが挙げられ、好ましくは、二酸化炭素存在下において、110℃以下で溶融するものが好ましい。

【0033】
本発明における「有効成分含有原料」とは、有効成分そのもの或いは有効成分を主成分とするもの或いは少量ではあるが有効性を示す成分を含む原料である。また、「有効成分含有原料」は、高分子材料で被覆されて複合化粒子となり得る物質をいい、高圧流体に不溶性の有機物質および/または無機物質であり得る。有効成分含有原料は、複合化粒子の用途に応じて選定され、例えば、医薬品、食品添加物、複写・記録・表示用に使用する物質、電子素子、燃料電池などの材料として使用される物質が挙げられる。

【0034】
有効成分含有原料として適した有機物質としては、例えば、タンパク質(例えば、ツベラクチノマイシン、ポリミキシン、インスリン、リゾチーム、α-キモトリプシン、ペプシン、卵白アルブミン、血清アルブミン、アミラーゼ、リパーゼ、カゼインなど)、アミノ酸(例えば、フェニルアラニンなど)、シロスタゾール、レスベラトール、キサントン類、スクラロース、D-プシコース、D-アロース、D-リボース、キシリトール、エリスリトール、L-アラビノース、D-キシロース、フラボノイド、ルテオニン、アピゲニン、クエルセチン、フィセチン、染料および塗料(例えば、ロイコ染料、セラック、マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、カーボンブラックなど)が挙げられる。

【0035】
有効成分含有原料として適した無機物質としては、例えば、電子機器分野などの当業者に公知の硫化物、珪素化合物、金属、金属化合物、アルカリ金属化合物、アルカリ土類化合物などの任意の無機物質が用いられ得る。このような無機物質としては、特に限定されないが、例えば、硫化物(例えば、硫化亜鉛、硫化カドミウム、硫化ナトリウムなど);珪素化合物(例えば、二酸化珪素など);金属(例えば、鉄、ニッケル、コバルト、ステンレス、銅、亜鉛あるいはこれらの合金など);酸化物(例えば、酸化鉄、酸化チタン、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化モリブデン、酸化マンガン、酸化銅、酸化タンタルなど);金属化合物(例えば、フェライト、MnFe、MnFe、ZnFe、NiFe、CuFeなど);炭化物(Pd-C、白金担持カーボンPt-C)、炭酸カルシウムなどが挙げられる。

【0036】
本発明における「複合化粒子」とは、超臨界状態もしくは亜臨界状態の高圧流体の存在下にて、pH応答性などを有する高分子と有効成分含有材料が各々固有の融点以下で溶融しない温度・圧力条件下、固体状態で分散させた後、高分子固有の融点以下で溶融する温度・圧力条件下、有効成分含有材料と高分子を接触させた後、超臨界流体を除去することにより製造される粒子をいう。

【0037】
超臨界二酸化炭素または液体二酸化炭素の圧力減圧を行う場合の温度は、263.15~353.15Kであることが好ましく、より好ましくは283.15~335.15Kである。超臨界二酸化炭素または液体二酸化炭素の減圧を行う場合の圧力は、超臨界二酸化炭素または液体二酸化炭素の減圧を効率的に行う観点から、72~400kg/cm以下であることが好ましく、より好ましくは150~300kg/cm以下である。

【0038】
高速攪拌とは、高圧容器内で高分子を撹拌できる30rpm以上をいう。

【0039】
本発明の方法においては、高圧流体中で高分子材料および芯物質に剪断応力を加えるため、剪断応力を得るには高速に攪拌可能な攪拌装置を用いることが好ましい。高速攪拌装置としては、高圧容器内に備えられ、そして芯物質を数μm以下、好ましくはナノメートルオーダーのサイズに安定に分散できる装置であれば、特に制限はない。攪拌装置としては、例えば、メカニカルシールを備えた攪拌装置や磁力型誘導攪拌装置などが挙げられる。本発明では、メカニカルシールを備えた攪拌装置と磁力型誘導攪拌装置を採用することにより、60rpm以上、好ましくは100rpm以上、より好ましくは500rpm以上の高速攪拌を安定した状態で行うことができる。このような高速攪拌を行うことにより、0.01Pa以上の剪断応力を攪拌翼と攪拌容器壁面との間に存在する高圧流体に加えることができ、芯物質の粒子が、数μm以下、より好ましくはナノメートルオーダーのサイズで高圧流体中に分散される。

【0040】
本明細書において、「芯物質」とは、有効成分含有材料をいう。
【実施例】
【0041】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は、下記実施例により何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0042】
(実施例1)
被覆材としてオイドラギッドL100(pH6以上で溶解)100mg、親二酸化炭素性界面活性剤としてエタノール400mgならびに薬剤(カプセルの芯物質)としてフェニルアラニン300mgの組み合わせによる粒子複合化実験を行った。また、温度・圧力操作条件として、308Kで約80kg/cm2付近まで昇圧し、500rpmで攪拌しながら、徐々に温度を上げていき、最終的に313K、100kg/cm2付近で安定させた後、大気圧下に徐々に減圧し、オイドラギッドL100にて被覆した微粒子を得た。
【実施例】
【0043】
上記で調製したオイドラギッドL100にて被覆した微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図1に示す。これらの写真より、各々の微粒子は平均して数十μmの粒子であった。
【実施例】
【0044】
(実施例2)
被覆材としてオイドラギッドE100(pH6以上で溶解)100mg、親二酸化炭素性界面活性剤として2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール400mgおよび薬剤(カプセルの芯物質)としてフェニルアラニン300mgの組み合わせによる粒子複合化実験を行った。また、温度・圧力は、313K, 100kg/cm2付近で安定させた。一時間後、大気圧下に徐々に減圧し、オイドラギッドE100にて被覆した微粒子を得た。
【実施例】
【0045】
上記で調製したオイドラギッドE100にて被覆した微粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2に示す。このとき、各々の微粒子は癒着が少なく、細かな粒子径のものが観察された。
【実施例】
【0046】
(実施例3)
被覆材としてオイドラギッドL100(pH6以上で溶解)100mg、親二酸化炭素性界面活性剤として2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール400mgならびに薬剤(カプセルの芯物質)としてフェニルアラニン300mgの組み合わせによる粒子複合化を行った。また、温度・圧力は、313K、100kg/cm2付近で安定させた。一時間後、大気圧下に徐々に減圧し、オイドラギッドL100にて被覆した微粒子を得た。作製したオイドラギッドL100にて被覆した微粒子をpH4~10の緩衝液中に浸漬した。その後、紫外可視分光光度計(V-550, 日本分光)を用いて、緩衝液中のフェニルアラニンを測定した。
【実施例】
【0047】
上記の徐放実験の結果を図3に示す。測定結果より、フェニルアラニンのみの溶解速度の方が、マイクロカプセル中のフェニルアラニンよりも速く溶解したため、カプセル化することでフェニルアラニンの溶解速度を制御できることが示唆された。また、緩衝液がpH=4, 6の場合とpH=8, 10の場合では、溶解速度が明らかに異なっていた。よって、製造したマイクロカプセルは、pHによる徐放制御をできることが示唆された。
【実施例】
【0048】
(実施例4)
粒径制御の観点から、溶媒として2.2.3.3.4.4.5.5-オクタフルオロ1-ペンタノールの仕込み量を200~800mgに変化させた時の粒径に及ぼす影響を検討した。被覆材としてオイドラギッドL100(pH6以上で溶解)100mg、親二酸化炭素性界面活性剤として2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール200~800mgならびに薬剤(カプセルの芯物質)としてフェニルアラニン300mgの組み合わせによる粒子複合化実験を行った。また、温度・圧力は313K, 100kg/cm2付近で安定させた。一時間後、大気圧下に徐々に減圧し、オイドラギッドL100にて被覆した微粒子を得た。製造したマイクロカプセルの平均粒径および標準偏差を、島津レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD-2000)を用いて測定した。
【実施例】
【0049】
上記で調製したオイドラギッドL100にて被覆した微粒子の粒子径分布を図4に示す。また、添加界面活性剤量と平均粒径の関係を図5に示す。測定結果より、200~800mgの2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノールの溶媒量では、製造した微粒子の粒径は溶媒の量に依存して、小さくなることが実証された。
【実施例】
【0050】
(実施例5)
粒径制御の観点から、系内温度依存性について検討した。被覆材としてオイドラギッドL100(pH6以上で溶解)100mg、親二酸化炭素性界面活性剤として2,2,3,3,4,4,5,5,-オクタフルオロ-1-ペンタノール400mgならびに薬剤(カプセルの芯物質)としてフェニルアラニン300mgの組み合わせで、異なる温度にて粒子複合化実験を行った。また、圧力は、 100kg/cm2付近で安定させ、攪拌した。一時間後、大気圧下に徐々に減圧し、オイドラギッドL100にて被覆した微粒子を得た。製造したマイクロカプセルの平均粒径および標準偏差を、島津レーザー回析式粒度分布測定装置(SALD-2000)を用いて測定した。
【実施例】
【0051】
上記で調製したオイドラギッドL100にて被覆した微粒子の平均粒径と生成温度の関係を図6に示す。測定結果より、313~333Kの温度条件下では、製造した微粒子の粒径は温度に依存して、小さくなることが実証された。
【産業上の利用可能性】
【0052】
製品は、健康食品、化粧品、医薬品など利用され、製造方法は、これらを製造する食品、健康食品、化粧品、医薬品等の製造業界にて利用される。
図面
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
4
【図2】
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