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明細書 :支援用具、および生体情報取得システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明の名称または考案の名称 支援用具、および生体情報取得システム
国際特許分類 A61B   5/1455      (2006.01)
FI A61B 5/14 322
国際予備審査の請求
全頁数 41
出願番号 特願2016-507446 (P2016-507446)
国際出願番号 PCT/JP2015/055765
国際公開番号 WO2015/137151
国際出願日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際公開日 平成27年9月17日(2015.9.17)
優先権出願番号 2014047755
優先日 平成26年3月11日(2014.3.11)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】森村 尚登
【氏名】小林 直樹
【氏名】堀江 克如
【氏名】平原 英昭
【氏名】鈴木 克佳
【氏名】松沢 航
【氏名】熊谷 壮祐
【氏名】刀祢 勝秀
【氏名】野村 健一
出願人 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】110001416、【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C038
Fターム 4C038KK01
4C038KL05
4C038KL07
4C038KX01
4C038KY01
要約 支援用具(3)は、センサ(2)が装着された被検者の指(5)に装着されて生体情報取得を支援する。第1支持体(31)は、被検者の指の爪側(5a)に配置される。第2支持体(32)は、被検者の指の腹側(5b)に配置される。第2支持体(32)は、第1支持体(31)との相対位置が不変である。袋体(33)は、第1支持体(31)および第2支持体(32)よりも柔軟な材料で形成され、第1支持体(31)の内周面に沿って配置される。通気チューブ(34)は、袋体(33)の内部と連通する通気路を形成する。センサ(2)は、発光部(21)と受光部(22)を含む。発光部(21)は、被検者の指(5)と袋体(33)の間に配置される。受光部(22)は、被検者の指(5)と第2支持体(32)の間に配置される。
特許請求の範囲 【請求項1】
センサが装着された被検者の指に装着されて当該被検者の生体情報の取得を支援する用具であって、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
を備えており、
装着時において、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に前記センサが配置されるように構成されている、支援用具。
【請求項2】
前記内周面は、円弧状に延びている、請求項1に記載の支援用具。
【請求項3】
生体の指を模した押圧部材が前記袋体の外面に設けられている、請求項1または2に記載の支援用具。
【請求項4】
前記第1支持体と前記第2支持体の少なくとも一方に、被検者の指への固定を補助する固定補助部が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の支援用具。
【請求項5】
前記固定補助部は、被検者の指の一部を包囲する弾性部材を有している、請求項4に記載の支援用具。
【請求項6】
前記通路形成部は、前記第1支持体の外周面に設けられるとともに、前記流体通路と連通するチューブとの接続部を有している、請求項1から5のいずれか一項に記載の支援用具。
【請求項7】
前記通路形成部と前記接続部の少なくとも一方は、前記第1支持体に対して可動とされている、請求項6に記載の支援用具。
【請求項8】
被検者の指へのアクセスを許容する貫通穴が、前記第1支持体または前記第2支持体に形成されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の支援用具。
【請求項9】
前記生体情報は、毛細血管再充満時間と血液中物質濃度の少なくとも一方を含んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載の支援用具。
【請求項10】
被検者の指に装着されて当該被検者の生体情報の取得を支援する用具であって、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
装着時において、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に配置され、被検者の生体情報に対応する信号を出力するセンサと、
を備えている、支援用具。
【請求項11】
前記通路形成部に接続され、前記第1支持体および前記第2支持体よりも高い柔軟性を有するチューブを備えており、
前記チューブは、
前記通路形成部と連通して前記流体通路の一部を形成する通気路と、
前記センサと電気的に接続された信号線を収容する信号線収容部と、
を備えている、請求項10に記載の支援用具。
【請求項12】
前記通路形成部に接続され、前記第1支持体および前記第2支持体よりも高い柔軟性を有するチューブを備えており、
前記チューブは、
前記通路形成部と連通して前記流体通路の一部を形成する通気路と、
前記センサと電気的に接続された信号線を着脱可能に保持する信号線保持部と、
を備えている、請求項10に記載の支援用具。
【請求項13】
前記生体情報は、毛細血管再充満時間と血液中物質濃度の少なくとも一方を含んでいる、請求項10から12のいずれか一項に記載の支援用具。
【請求項14】
被検者の指に装着される支援用具と、
被検者の指に装着され、当該被検者の生体情報に応じた信号を出力するセンサと、
前記センサから出力される信号に基づいて前記生体情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報を出力する情報出力部と、
を備えており、
前記支援用具は、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
を備えており、
前記支援用具の装着時において、前記センサは、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に配置され、
前記通路形成部を通じて前記袋体内の流体の体積を調節し、被検者の指に加わる圧力を調節する圧力調節部をさらに備えている、生体情報取得システム。
【請求項15】
前記圧力調節部は、電動ポンプを含んでいる、請求項14に記載の生体情報取得システム。
【請求項16】
前記支援用具は、被検者の指が装着されると作動するスイッチを備えており、
前記スイッチの作動に応じて、前記電動ポンプを駆動する制御部をさらに備えている、請求項15に記載の生体情報取得システム。
【請求項17】
電源から前記電動ポンプへの電力供給能力を監視する電源監視部を備えており、
電源監視部は、前記電力供給能力が所定値を下回ると、前記圧力調節部に電動ポンプの駆動を停止させる、請求項15または16に記載の生体情報取得システム。
【請求項18】
前記圧力調節部は、手動で前記流体の体積を調節する機構を含んでいる、請求項14から17のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項19】
被検者の指に加わる圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力に応じた音声を出力する音声出力部と、
を備えている、請求項14から18のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項20】
前記センサは、
第1波長を有する第1の光、および第2波長を有する第2の光を出射する発光部と、
被検者の指を通過または反射した前記第1の光と前記第2の光の強度に応じて、それぞれ第1信号および第2信号を出力する受光部と、
を備えており、
前記情報取得部は、
前記第1信号に基づいて前記第1の光の減光度を取得し、前記第2信号に基づいて前記第2の光の減光度を取得する第1減光度取得部と、
前記第1の光の減光度および前記第2の光の減光度に基づいて、血液由来の減光度を取得する第2減光度取得部と、
前記袋体による被検者の指の圧迫に伴う前記血液由来の減光度の経時変化に基づいて、指の生体組織への毛細血管再充満時間を特定する毛細血管再充満時間特定部と、
を備えている、請求項14から19のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項21】
前記発光部は、第3波長を有する第3の光を出射し、
前記受光部は、被検者の指を通過または反射した前記第3の光の強度に応じて、第3信号を出力し、
前記第1波長と前記第2波長は、ヘモグロビンにより吸収される波長であり、
前記第3波長は、ヘモグロビンによる吸収よりも水による吸収が大きい波長であり、
前記情報取得部は、
前記袋体による被検者の指の圧迫に伴う少なくとも前記第3信号の経時変化に基づいて、血液以外の被検者の生体組織に係る情報を取得する、請求項20に記載の生体情報取得システム。
【請求項22】
前記センサは、
互いに異なるN種(Nは3以上の整数)の波長を有する光を出射する発光部と、
被検者の指を通過または反射した前記N種の光の強度に応じて、N種の信号を出力する受光部と、
を備えており、
前記情報取得部は、
前記N種の信号に基づいて、N種の減光度を取得する第1減光度取得部と、
前記N種の減光度から選ばれた最大で(N-1)種の組合せに係る2つの減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液由来の減光度を取得する第2減光度取得部と、
前記最大で(N-1)種の血液由来の減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液中物質濃度を特定する血液中物質濃度特定部と、
を備えている、請求項14から19のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項23】
前記情報出力部による前記血液中物質濃度の出力は、前記袋体により被検者の指が圧迫されていない状態において行なわれ、
前記袋体により被検者の指が圧迫されている間、前記情報出力部は、前記血液中物質濃度の出力を中止、あるいは加圧前の出力値を維持する、請求項22に記載の生体情報取得システム。
【請求項24】
前記圧力調節部を所定のインターバルで動作させる制御部を備えている、請求項14から23のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項25】
前記圧力調節部の動作を開始させるスイッチと、
前記袋体による被検者の指の圧迫が解除されてから所定時間が経過するまで、前記スイッチの動作を無効にする禁止制御部と、
を備えている、請求項14から24のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
【請求項26】
前記所定時間は、前記圧力調節部の動作状態に基づいて可変とされている、請求項25に記載の生体情報取得システム。
【請求項27】
前記袋体の内部圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力調節部は、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記内部圧力が目標値となるように前記袋体内の流体の体積を調節する、請求項14から26のいずれか一項に記載の生体情報取得システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、センサが装着された生体情報取得を支援する用具に関する。また本発明は、当該用具を用いて被検者の生体情報を取得するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような生体情報の取得の例として、毛細血管再充満時間の測定が挙げられる。毛細血管再充満時間は、ショックの有無を評価するための簡便な指標とされ、輸液の要否の判断やトリアージ(多数傷病者発生時の優先度評価)など、救急医療領域において汎用されている手法である。具体的には、医療従事者が被検者の指の爪などの生体組織を圧迫し、当該圧迫を解除した後の爪や皮膚の色の変化を目視で確認する。概ね2秒以内に元の色に戻れば、正常な状態と判断される。しかしながら、手で生体組織の圧迫を行ない、目視で皮膚色の変化を確認する手法であるため定量性に欠け、測定者による誤差も生じやすい。
【0003】
そこでパルスオキシメータを毛細血管再充満時間の測定に用いることが提案されている。測定にあたっては、光センサとアクチュエータ(ソレノイドなど)を備えた支援用具が、被検者の指先に装着される(例えば、特許文献1を参照)。血液に吸収される波長の光を指先などの生体組織に入射させ、当該生体組織を透過した光の強度を光センサで測定する。アクチュエータで生体組織を圧迫すると、当該箇所の生体組織から血液が排除されるため、透過光の強度は増大する。圧迫を解除すると当該箇所の生体組織に血液が充填されるため、透過光の強度は減少する。圧迫を解除してから透過光強度が元のレベルに戻るまでの時間に基づいて、毛細血管再充満時間が特定される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】米国特許第8082017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
再現性のある定量的な測定を行なうためには、生体組織に対する圧迫状態を一定にする必要がある。しかしながら、特許文献1に記載のようにアクチュエータによって直接的かつ局所的に生体組織を圧迫する構成の場合、アクチュエータの生体組織に対する当接位置が常に同じになるように支援用具を被検者の指に装着することは難しい。当接位置が異なると圧迫状態が変化するため、測定結果の再現性が低下する。
【0006】
よって本発明は、生体組織の圧迫を伴う生体情報の取得を行なうにあたり、一定の圧迫状態を容易に再現可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第1の態様は、センサが装着された被検者の指に装着されて当該被検者の生体情報の取得を支援する用具であって、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
を備えており、
装着時において、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に前記センサが配置されるように構成されている。
【0008】
このような構成によれば、柔軟な材料で形成された袋体の膨張により被検者の指に対する圧迫が行なわれるため、均一な圧迫力を非局所的に加えることができる。したがって、装着の度に支援用具と被検者の指の相対位置が変化しても、その影響が圧迫状態に及ぶことを抑制できる。
【0009】
また、センサは袋体の外側で被検者の指に装着されているため、袋体の膨張と収縮に伴って被検者の指との相対位置が変化しない。したがって、装着の度に支援用具と被検者の指の相対位置が変化しても、その影響がセンサによる検出結果に及ぶことを抑制できる。
【0010】
また、袋体に対する空気の出し入れのみで加圧状態の設定と解除が可能であり、アクチュエータの駆動機構を支援用具に内蔵する必要がない。したがって、支援用具の小型化および軽量化が可能であり、これを装着した被検者に与える負担を抑制できる。さらにそのような支援用具を低コストで提供できる。
【0011】
ここで、前記生体情報は、毛細血管再充満時間と血液中物質濃度の少なくとも一方を含みうる。
【0012】
以上説明したように、上記の構成によれば、生体組織の圧迫を伴う生体情報の取得を行なうにあたり、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。
【0013】
前記内周面は、円弧状に延びている構成としてもよい。
【0014】
このような構成によれば、平坦な内周面に袋体が装着された構成と比較して、より少ない袋体の体積変化で加圧状態を形成できる。換言すると、より容積の小さな袋体を用いて加圧状態を形成できる。すなわち、より小型の送気機構を用いつつも、迅速な加圧状態の形成が可能となる。袋体の収縮による加圧状態の解除時においても同様の効果が得られる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能としつつ、装置の小型化やコストの抑制が可能となる。
【0015】
生体の指を模した押圧部材が前記袋体の外面に設けられている構成としてもよい。
【0016】
このような構成によれば、従来の医療従事者の手による圧迫に似た、より自然な圧迫状態を形成できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、より自然な生体情報の取得が可能である。
【0017】
前記第1支持体と前記第2支持体の少なくとも一方に、被検者の指への固定を補助する固定補助部が設けられている構成としてもよい。
【0018】
このような構成によれば、ユーザは、固定補助部をガイドにして支援用具を被検者の指に装着できる。必要に応じてテープなどで固定補助部を指に対して固定することにより、測定中における支援用具の指に対する位置ずれを防止できる。したがって、指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。
【0019】
ここで前記固定補助部は、被検者の指の一部を包囲する弾性部材を有している構成としてもよい。
【0020】
このような構成によれば、テープのような補助固定具を必要とすることなく、支援用具を被検者の指に固定できる。これにより、測定中における支援用具の指に対する位置ずれを防止でき、指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。したがって、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。
【0021】
前記通路形成部は、前記第1支持体の外周面に設けられるとともに、前記流体通路と連通するチューブとの接続部を有している構成としてもよい。
【0022】
このような構成によれば、支援用具をチューブに対して着脱可能にできる。これにより、チューブを袋体と一体に成形する必要がなくなり、支援用具の製造コストが抑制される。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、支援用具のみを使い捨てにしたいといった要請に応えることができる。
【0023】
前記通路形成部と前記接続部の少なくとも一方は、前記第1支持体に対して可動とされている構成としてもよい。
【0024】
このような構成によれば、接続部に接続されたチューブが被検者の体動によって変位しても、通路形成部がこれに追従して変位するため、体動による支援用具の位置ずれを抑制できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。
【0025】
被検者の指へのアクセスを許容する貫通穴が、前記第1支持体または前記第2支持体に形成されている構成としてもよい。
【0026】
このような構成によれば、袋体に空気を送り込む機構が何らかの理由により機能しなくなった非常時においても、ユーザの手によって被検者の指を直接的あるいは間接的に圧迫して生体情報を取得することができる。
【0027】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第2の態様は、被検者の指に装着されて当該被検者の生体情報の取得を支援する用具であって、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
装着時において、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に配置され、被検者の生体情報に対応する信号を出力するセンサと、
を備えている。
【0028】
このような構成によれば、第1の態様について説明した効果に加え、支援用具を被検者の指に装着するという操作のみで、生体情報の取得が可能になる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を簡便かつ再現性よく行なうことができる。
【0029】
ここで、前記生体情報は、毛細血管再充満時間と血液中物質濃度の少なくとも一方を含みうる。
【0030】
前記通路形成部に接続され、前記第1支持体および前記第2支持体よりも高い柔軟性を有するチューブを備えており、
前記チューブは、
前記通路形成部と連通して前記流体通路の一部を形成する通気路と、
前記センサと電気的に接続された信号線を収容する信号線収容部と、
を備えている構成としてもよい。
【0031】
あるいは、前記通路形成部に接続され、前記第1支持体および前記第2支持体よりも高い柔軟性を有するチューブを備えており、
前記チューブは、
前記通路形成部と連通して前記流体通路の一部を形成する通気路と、
前記センサと電気的に接続された信号線を着脱可能に保持する信号線保持部と、
を備えている構成としてもよい。
【0032】
これらの構成によれば、電気系のケーブルと通気系のホースを単一の線路にまとめることができる。これにより、被検者の体動などにより2本の線路が個々に変位しうる場合と比較すると、体動などによる支援用具の位置ずれを抑制できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。
【0033】
上記の目的を達成するために、本発明がとりうる第3の態様は、生体情報取得システムであって、
被検者の指に装着される支援用具と、
被検者の指に装着され、当該被検者の生体情報に応じた信号を出力するセンサと、
前記センサから出力される信号に基づいて前記生体情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部が取得した情報を出力する情報出力部と、
を備えており、
前記支援用具は、
装着時において被検者の指の第1の側に配置され、内周面を有する第1支持体と、
装着時において前記第1の側と反対側である被検者の指の第2の側に配置され、前記第1支持体との相対位置が不変である第2支持体と、
前記第1支持体および前記第2支持体よりも柔軟な材料で形成され、少なくとも一部が前記内周面に沿って配置された袋体と、
前記袋体の内部と連通する流体通路を形成する通路形成部と、
を備えており、
前記支援用具の装着時において、前記センサは、被検者の指と前記袋体の間、および被検者の指と前記第2支持体の間の少なくとも一方に配置され、
前記通路形成部を通じて前記袋体内の流体の体積を調節し、被検者の指に加わる圧力を調節する圧力調節部をさらに備えている。
【0034】
このような構成によれば、上記第1の態様と第2の態様について説明した効果を得ることができる。
【0035】
前記圧力調節部は、電動ポンプを含んでいる構成としてもよい。
【0036】
このような構成によれば、袋体の膨張による被検者の指の圧迫を自動化でき、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。
【0037】
前記支援用具は、被検者の指が装着されると作動するスイッチを備えている構成としてもよい。この場合、前記生体情報取得システムは、前記スイッチの作動に応じて、前記電動ポンプを駆動する制御部を備えている。
【0038】
このような構成によれば、支援用具が被検者の指に装着されることにより、自動的に電動ポンプによる加圧動作を開始させることができる。また支援用具が被検者の指に対して適切な位置に装着されていない場合に、電動ポンプによる加圧動作を開始させないようにできる。あるいは、測定中に支援用具が被検者の指に対する適切な位置からずれてしまった場合に、電動ポンプによる加圧動作を中止させることができる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。
【0039】
前記生体情報取得システムは、電源から前記電動ポンプへの電力供給能力を監視する電源監視部を備えている構成としてもよい。この場合、電源監視部は、前記電力供給能力が所定値を下回ると、前記圧力調節部に電動ポンプの駆動を停止させる。
【0040】
十分な電力が供給されない状況下で電動ポンプが駆動されると、被検者の指に対する所望の圧迫状態が得られない場合がある。上記の構成によれば、そのような状態で測定が行なわれ、不正確な被検者の生体情報が取得される事態を回避できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。
【0041】
前記圧力調節部は、手動で前記流体の体積を調節する機構を含んでいる構成としてもよい。
【0042】
電動ポンプの代わりに手動調節機構を備える構成の場合、圧力調節部の構成を簡略化できるとともに、装置を小型化・軽量化できる。電動ポンプに加えて手動調節機構を備える構成の場合、電源の電動ポンプへの電力供給能力が不十分となったときにも手動での生体情報取得が可能となる。あるいは、電源がバッテリである場合において、必要に応じて手動による生体情報取得を実行することにより、電力を節約できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、状況に応じた被検者の生体情報の測定が可能となる。
【0043】
前記生体情報取得システムは、
被検者の指に加わる圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力に応じた音声を出力する音声出力部と、
を備えている、構成としてもよい。
【0044】
このような構成によれば、ユーザは被検者の指が圧迫状態にあるかを容易に把握できる。特に袋体の加圧を手動で行う場合において、ユーザは、音声出力部が出力する音声を、所望の圧迫状態を形成するための目安として利用できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態をより容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、正確かつ再現性よく行なうことができる。
【0045】
前記センサは、
第1波長を有する第1の光、および第2波長を有する第2の光を出射する発光部と、
被検者の指を通過または反射した前記第1の光と前記第2の光の強度に応じて、それぞれ第1信号および第2信号を出力する受光部と、
を備えており、
前記情報取得部は、
前記第1信号に基づいて前記第1の光の減光度を取得し、前記第2信号に基づいて前記第2の光の減光度を取得する第1減光度取得部と、
前記第1の光の減光度および前記第2の光の減光度に基づいて、血液由来の減光度を取得する第2減光度取得部と、
前記袋体による被検者の指の圧迫に伴う前記血液由来の減光度の経時変化に基づいて、指の生体組織への毛細血管再充満時間を特定する毛細血管再充満時間特定部と、
を備えている構成としてもよい。
【0046】
このような構成によれば、袋体を膨張させることで被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、被検者の毛細血管再充満時間の測定を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。
【0047】
前記発光部は、第3波長を有する第3の光を出射し、
前記受光部は、被検者の指を通過または反射した前記第3の光の強度に応じて、第3信号を出力し、
前記第1波長と前記第2波長は、ヘモグロビンにより吸収される波長であり、
前記第3波長は、ヘモグロビンによる吸収よりも水による吸収が大きい波長であり、
前記情報取得部は、
前記袋体による被検者の指の圧迫に伴う少なくとも前記第3信号の経時変化に基づいて、血液以外の被検者の生体組織に係る情報を取得する構成としてもよい。
【0048】
このような構成によれば、袋体を膨張させることで被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、浮腫の診断を再現性よく行なうことができる。
【0049】
前記センサは、
互いに異なるN種(Nは3以上の整数)の波長を有する光を出射する発光部と、
被検者の指を通過または反射した前記N種の光の強度に応じて、N種の信号を出力する受光部と、
を備えており、
前記情報取得部は、
前記N種の信号に基づいて、N種の減光度を取得する第1減光度取得部と、
前記N種の減光度から選ばれた最大で(N-1)種の組合せに係る2つの減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液由来の減光度を取得する第2減光度取得部と、
前記最大で(N-1)種の血液由来の減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液中物質濃度を特定する血液中物質濃度特定部と、
を備えている構成としてもよい。
【0050】
このような構成によれば、袋体を膨張させることで被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、被検者の血液中物質濃度の測定を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。
【0051】
前記情報出力部による前記血液中物質濃度の出力は、前記袋体により被検者の指が圧迫されていない状態において行なわれる構成としてもよい。この場合、前記袋体により被検者の指が圧迫されている間、前記情報出力部は、前記血液中物質濃度の出力を中止、あるいは加圧前の出力値を維持する。
【0052】
このような構成によれば、被検者の血液中物質濃度の測定を、定量的かつ再現性よく行ないつつ、常に有効な測定値を安心感とともにユーザに提示できる。
【0053】
前記生体情報取得システムは、前記圧力調節部を所定のインターバルで動作させる制御部を備えている構成としてもよい。
【0054】
このような構成によれば、所定時間の経過ごとに袋体を自動的に膨張させ、被検者の指を圧迫できる。その際、一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、例えば手術中や集中治療室(ICU)における患者の治療効果や容体悪化の傾向を、自動的かつ正確に確認できる。
【0055】
前記生体情報取得システムは、
前記圧力調節部の動作を開始させるスイッチと、
前記袋体による被検者の指の圧迫が解除されてから所定時間が経過するまで、前記スイッチの動作を無効にする禁止制御部と、
を備えている構成としてもよい。
【0056】
袋体による被検者の指の圧迫が解除された後、血液が指の生体組織に戻り、元の状態に回復するまでにはある程度の時間を要する。回復前にスイッチが操作されてしまうと、当該操作により行なわれる圧迫を通じて得られた被検者の生体情報は正確性を欠く場合がある。上記の構成によれば、圧迫を解除された被検者の指が元の状態に回復する前に次回の測定が行なわれることを防止できる。したがって、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。
【0057】
ここで前記所定時間は、前記圧力調節部の動作状態に基づいて可変とされている構成としてもよい。
【0058】
非局所的な加圧であるとは言え、袋体による圧迫が繰返し行なわれると、被検者の指の生体組織にかかる負担が大きくなる。上記の構成によれば、被検者の指に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者に与える負担を抑制できる。
【0059】
前記生体情報取得システムは、前記袋体の内部圧力を検出する圧力センサを備えている構成としてもよい。この場合、前記圧力調節部は、前記圧力センサの検出結果に基づいて、前記内部圧力が目標値となるように前記袋体内の流体の体積を調節する。
【0060】
圧力調節部が一定の動作を行なったとしても、被検者の指の形状や、センサおよび支援用具の装着位置に応じて、被検者の指に加わる圧力が異なる場合がある。上記のような構成によれば、被検者の指に実際にどの程度の圧力が加えられているのかを把握できる。そのため、被検者の指の形状や、センサおよび支援用具の装着位置によらず、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る生体情報取得システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】上記生体情報取得システムが備える支援用具において、袋体が膨張した状態を示す断面図である。
【図3】上記支援用具の構成により得られる効果を説明するための図である。
【図4】上記生体情報取得システムにおける第2減光度取得部が行なう処理の一例を説明する図である。
【図5】上記支援用具の変形例を模式的に示す断面図である。
【図6】上記支援用具の変形例を模式的に示す断面図である。
【図7】上記支援用具に接続されるチューブの一例を模式的に示す断面図である。
【図8】上記支援用具に接続されるチューブの別例を模式的に示す断面図である。
【図9】上記支援用具の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図10】上記支援用具の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図11】上記支援用具の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図12】上記支援用具の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図13】上記支援用具の第5の実施形態を示す斜視図である。
【図14】図13の線XIV-XIVに沿う断面図である。
【図15】上記支援用具の第6の実施形態を示す斜視図である。
【図16】上記支援用具の第7の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の実施形態の例について、添付の図面を参照しつつ以下詳細に説明する。なお以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。

【0063】
図1は、本発明の一実施形態に係る生体情報取得システム1の構成を模式的に示す図である。生体情報取得システム1は、センサ2、支援用具3、および生体情報取得装置4を備えている。

【0064】
センサ2は、被検者の指5に装着され、被検者の生体情報に応じた信号を出力するように構成されている。

【0065】
支援用具3は、センサ2が装着された被検者の指5に装着され、生体情報取得を支援する用具である。

【0066】
生体情報取得装置4は、情報取得部41を備えている。情報取得部41は、センサ2から出力される信号に基づいて、被検者の生体情報を取得するように構成されている。

【0067】
生体情報取得装置4は、情報出力部42を備えている。情報出力部42は、情報取得部41が取得した情報を出力するように構成されている。

【0068】
支援用具3は、第1支持体31を備えている。第1支持体31は、支援用具3が被検者の指5に装着されたとき、指5の爪側5a(第1の側の一例)に配置される。

【0069】
支援用具3は、第2支持体32を備えている。第2支持体32は、支援用具3が被検者の指5に装着されたとき、指5の腹側5b(第2の側の一例)に配置される。すなわち、第2支持体32は、指5を挟んで第1の支持体31と反対側に配置される。

【0070】
第1支持体31と第2支持体32は、例えば、硬質の樹脂により成形されている。これにより、第1支持体31と第2支持体32は、相対位置が不変とされている。

【0071】
支援用具3は、袋体33を備えている。袋体33は、第1支持体31および第2支持体32よりも柔軟な材料で形成されている。当該材料の例としては、軟質の樹脂、ゴムなどが挙げられる。袋体33は、第1支持体31の内周面31aに沿って配置されている。

【0072】
支援用具3が被検者の指5に装着された状態において、センサ2は、被検者の指5と、第2支持体32および袋体33との間に配置される。

【0073】
支援用具3は、通気チューブ34(通路形成部の一例)を備えている。通気チューブ34は、袋体33の内部と連通する通気路(流体通路の一例)を形成している。

【0074】
生体情報取得装置4は、圧力調節部43を備えている。圧力調節部43は、通気チューブ34を通じて袋体33内の空気の体積を調節することにより、被検者の指5に加わる圧力を調節するように構成されている。

【0075】
具体的には、圧力調節部43が通気チューブ34を通じて袋体33に空気を送り込むことにより、袋体33内の空気の体積が増加する。これにより、図2に示すように、柔軟な材料で形成されている袋体33が膨張し、センサ2とともに被検者の指5が圧迫される。この圧迫によって、被検者の指5の生体組織における血液が排除される。指5に加えられる圧力は、血液を排除するために、被検者の最大動脈血圧(200mmHg程度)以上とされる。

【0076】
逆に圧力調節部43が通気チューブ34を通じて袋体33内の空気を抜くことにより、袋体33内の空気の体積が減少する。これにより、図1に示す元の状態まで袋体33が収縮し、被検者の指5に対する圧迫状態が解除される。

【0077】
圧迫状態と圧迫解除状態とでセンサ2からの出力信号が変化する。生体情報取得装置4の情報取得部41は、当該出力信号の変化に基づいて、被検者の生体情報を取得する。取得された情報は、情報出力部42を通じて医療従事者などのユーザに提供される。

【0078】
上記の構成によれば、柔軟な材料で形成された袋体33の膨張により被検者の指5に対する圧迫が行なわれるため、均一な圧迫力を非局所的に加えることができる。したがって、装着の度に支援用具3と被検者の指5の相対位置が変化しても、その影響が圧迫状態に及ぶことを抑制できる。

【0079】
また、センサ2は袋体33の外側で被検者の指5に装着されているため、袋体33の膨張と収縮に伴って被検者の指5との相対位置が変化しない。したがって、装着の度に支援用具3と被検者の指5の相対位置が変化しても、その影響がセンサ2による検出結果に及ぶことを抑制できる。

【0080】
また、袋体33に対する空気の出し入れのみで加圧状態の設定と解除が可能であり、アクチュエータの駆動機構を支援用具3に内蔵する必要がない。したがって、支援用具3の小型化および軽量化が可能であり、これを装着した被検者に与える負担を抑制できる。さらにそのような支援用具3を低コストで提供できる。

【0081】
以上説明したように、上記の構成によれば、生体組織の圧迫を伴う生体情報の取得を行なうにあたり、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。

【0082】
センサ2は、発光部21を備えている。発光部21は、被検者の指5における爪側5aに装着される。発光部21は、第1波長λ1を有する第1の光と、第2波長λ2を有する第2の光を出射するように構成されている。発光部21は、第1波長λ1の一例として660nmの赤色光を出射する発光素子と、第2波長λ2の一例として940nmの赤外光を出射する発光素子を備えている。各発光素子は、生体情報取得装置4の情報取得部41からの制御信号に応じて、所定のタイミングで発光する。発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)やレーザダイオードが挙げられる。出射された第1の光と第2の光は、それぞれ被検者の指5に入射する。

【0083】
センサ2は、受光部22を備えている。受光部22は、被検者の指5における腹側5bに装着される。受光部22は、指5を通過した第1の光と第2の光を受光可能な位置に配置される。受光部22は、受光した第1の光の強度I1に応じた第1信号S1、および受光した第2の光の強度I2に応じた第2信号S2を出力するように構成されている。受光部22として機能する素子の例としては、フォトダイオードが挙げられる。受光部22より出力された信号S1、S2は、生体情報取得装置4の情報取得部41に入力される。

【0084】
情報取得部41は、第1減光度取得部411を備えうる。第1減光度取得部411は、第1信号S1に基づいて第1の光の減光度A1を取得し、第2信号S2に基づいて第2の光の減光度A2を取得するように構成されている。減光度A1、A2は、それぞれ第1信号S1と第2信号S2の、ある時刻(例えば生体組織の圧迫前)における受光光量と別の時刻(例えば生体組織の圧迫中)における受光光量の比として計算され、次式で表わされる。

A1=log(I1/Io1) (1)
A2=log(I2/Io2) (2)

ここでIo1、Io2が基準時刻(例えば生体組織の圧迫前)における受光光量を示し、I1、I2が測定時における受光光量を示している。添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を表している。

【0085】
情報取得部41は、第2減光度取得部412を備えうる。第2減光度取得部412は、第1減光度取得部411が取得した第1の光と第2の光の減光度A1、A2に基づいて、血液由来の減光度Abを取得するように構成されている。具体的には、減光度A1と減光度A2の差分に基づいて、血液由来の減光度Abを取得するように構成されている。この処理の原理について、以下詳しく説明する。

【0086】
袋体33の膨張により被検者の指5を圧迫することにより、生体組織の厚みが変化する。その際に生じる減光度の変化Aは、血液の厚み変化と血液以外の組織の厚み変化とに起因する。この事実は次式で表わされる。

A1=Ab1+At1=E1HbDb+Z1Dt (3)
A2=Ab2+At2=E2HbDb+Z2Dt (4)

ここで、Eは吸光係数(dl g-1cm-1)、Hbは血色素濃度(g dl-1)、Zは血液以外の組織の減光率(cm-1)、Dは変化した厚み(cm)を表している。添え字bは血液を、添え字tは血液以外の組織を、添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を表している。

【0087】
血液以外の組織の波長依存性は無視できるため、Z1=Z2とできる。ここで式(4)より式(3)を減ずると、次式を得る。

A2-A1=(E2-E1)HbDb

右辺には血液の情報のみが含まれている。したがって、減光度A1と減光度A2の差分をとることにより、血液由来の減光度Abを得ることができる。

【0088】
図4は、センサ2の上から指5を圧迫した場合における、減光度A1、減光度A2、および血液由来の減光度Ab(=A2-A1)の経時変化を示すグラフである。

【0089】
圧迫を解除しても減光度A1、A2の値が圧迫開始前の水準に戻らず、血液以外の組織の変形が影響を及ぼしていることが判る。一方、減光度の差分値(A2-A1)すなわち血液由来の減光度Abは、圧迫の解除後に圧迫開始前の水準に収束していくことが判る。すなわち、異なる波長の光を組織に照射することにより得られた減光度同士の差分をとるという単純な演算操作のみで、血液以外の組織の変形の影響を除去できる。

【0090】
図1に示すように、情報取得部41は、毛細血管再充満時間特定部413を備えうる。毛細血管再充満時間特定部413は、第2減光度取得部412が取得した袋体33による被検者の指5の圧迫に伴う血液由来の減光度Ab(=A2-A1)の経時変化に基づいて、指5の生体組織への毛細血管再充満時間を特定するように構成されている。具体的には、血液由来の減光度Abが圧迫開始前の水準にある程度近づいたと判断できる適当な閾値を定める。そして圧迫を解除した時点から、血液由来の減光度Abが当該閾値に到達するまでの時間(図4におけるT)を毛細血管再充満時間として特定する。これにより、圧迫の程度の相違に起因して生ずる血液以外の組織の変形の影響を受けずに、毛細血管再充満時間を正確に特定することができる。

【0091】
情報取得部41は、毛細血管再充満時間特定部413により特定された毛細血管再充満時間Tを示す信号STを情報出力部42へ入力する。情報出力部42は、信号STに応じた適宜の態様で毛細血管再充満時間Tを出力する。出力態様の例としては、毛細血管再充満時間Tに対応する数値、色、シンボルの少なくとも1つによる表示や、毛細血管再充満時間Tに対応する音声の出力などが挙げられる。

【0092】
上記のような構成によれば、袋体33を膨張させることで被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、被検者の毛細血管再充満時間の測定を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。

【0093】
センサ2の発光部21は、上記の第1波長λ1を有する第1の光と第2波長λ2を有する第2の光に加え、第3波長λ3を有する第3の光を出射するように構成してもよい。上記の第1波長λ1と第2波長λ2がヘモグロビンにより吸収される波長であるのに対し、第3波長λ3は、ヘモグロビンによる吸収よりも水による吸収が大きい波長とされる。第3波長λ3の例としては、1300nmが挙げられる。この場合、センサ2の受光部22は、被検者の指5を通過した第3の光の強度に応じて、第3信号S3を出力するように構成される。

【0094】
本例において生体情報取得装置4の情報取得部41は、受光部22が出力する第3信号S3に基づいて、血液以外の被検者の生体組織に係る情報を取得するように構成される。具体的には、第1減光度取得部411が、第3信号S3に基づいて第3の光の減光度A3を取得する。減光度A3は、血液および血液以外の生体組織の水分による光吸収の情報を示しているため、袋体33の膨張による被検者の指5が圧迫が解除されても減光度A3の値が圧迫開始前の水準に戻らない場合、浮腫の存在が疑われる。

【0095】
上記のような構成によれば、袋体33を膨張させることで被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、浮腫の診断を再現性よく行なうことができる。

【0096】
なお情報取得部41は、第3信号S3に加え、第1信号S1および第2信号S2にも基づいて、血液以外の被検者の生体組織に係る情報を取得するように構成してもよい。具体的には、第2減光度取得部412が取得した血液由来の減光度Ab(=A2-A1)の経時変化を参照することにより、袋体33の圧迫が解除された後に血液がどの程度生体組織に戻っているかを把握できる。例えば、減光度A3に基づいて浮腫の存在が確認されたとしても、血液の戻り量が十分であれば、軽度の浮腫であると推定できる。

【0097】
上記のような構成によれば、袋体33を膨張させることで被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、浮腫の程度を定量的かつ再現性よく行なうことができる。

【0098】
センサ2の発光部21は、互いに異なるN種(Nは3以上の整数)の波長を有する光を出射するように構成してもよい。例えば、発光部21は、第1波長λ1を有する第1の光、第2波長λ2を有する第2の光、第3波長λ3を有する第3の光、および第4波長λ4を有する第4の光を出射するように構成されうる。この場合、発光部21は、第1波長λ1の一例として660nmの赤色光を出射する発光素子、第2波長λ2の一例として940nmの赤外光を出射する発光素子、第3波長λ3の一例として810nmの赤外光を出射する発光素子、および第4波長λ4の一例として620nmまたは635nmの赤色光を出射する発光素子を備える。各発光素子は、生体情報取得装置4の情報取得部41からの制御信号に応じて、所定のタイミングで発光する。発光素子の例としては、発光ダイオード(LED)やレーザダイオードが挙げられる。出射された第1の光、第2の光、第3の光、および第4の光は、それぞれ被検者の指5に入射する。

【0099】
本例において受光部22は、被検者の指5を通過したN種の光の強度に応じて、N種の信号を出力するように構成されている。具体的には、受光部22は、指5を通過した第1の光、第2の光、第3の光、および第4の光を受光可能な位置に配置される。受光部22は、受光した第1の光の強度I1に応じた第1信号S1、受光した第2の光の強度I2に応じた第2信号S2、受光した第3の光の強度I3に応じた第3信号S3、および受光した第4の光の強度I4に応じた第4信号S4を出力するように構成されている。受光部22として機能する素子の例としては、フォトダイオードが挙げられる。受光部22より出力された信号S1、S2、S3、S4は、生体情報取得装置4の情報取得部41に入力される。

【0100】
本例において第1減光度取得部411は、受光部22が出力したN種の信号に基づいて、N種の減光度を取得するように構成されている。具体的には、第1減光度取得部411は、第1信号S1に基づいて第1の光の減光度A1を取得し、第2信号S2に基づいて第2の光の減光度A2を取得し、第3信号S3に基づいて第3の光の減光度A3を取得し、第4信号S4に基づいて第4の光の減光度A4を取得するように構成されている。減光度A1、A2、A3、A4は、それぞれ第1信号S1、第2信号S2、第3信号S3、および第4信号S4の、ある時刻(例えば生体組織の圧迫前)における受光光量と別の時刻(例えば生体組織の圧迫中)における受光光量の比として計算され、次式で表わされる。

A1=log(I1/Io1) (5)
A2=log(I2/Io2) (6)
A3=log(I3/Io3) (7)
A4=log(I4/Io4) (8)

ここでIo1、Io2、Io3、Io4が基準時刻(例えば生体組織の圧迫前)における受光光量を示し、I1、I2、I3、I4が測定時における受光光量を示している。添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を、添え字3は第3の光を、添え字4は第4の光を表している。

【0101】
本例において第2減光度取得部412は、第1減光度取得部411が取得したN種の減光度から選ばれた最大で(N-1)種の組合せに係る2つの減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液由来の減光度を取得するように構成されている。具体的には、第2減光度取得部412は、第1減光度取得部411が取得した第1の光と第2の光の減光度A1、A2に基づいて、また第2の光と第3の光の減光度A2、A3に基づいて、さらに第2の光と第4の光の減光度A2、A4に基づいて、血液由来の減光度を取得するように構成されている。より具体的には、第2減光度取得部412は、減光度A2と減光度A1の差分に基づいて、血液由来の減光度Ab21を取得し、減光度A2と減光度A3の差分に基づいて血液由来の減光度Ab23を取得し、減光度A2と減光度A4の差分に基づいて血液由来の減光度Ab24を取得するように構成されている。この処理の原理について、以下詳しく説明する。

【0102】
袋体33の膨張により被検者の指5を圧迫することにより、生体組織の厚みが変化する。その際に生じる減光度の変化Aは、血液の厚み変化と血液以外の組織の厚み変化とに起因する。この事実は次式で表わされる。

A1=Ab1+At1=E1HbDb+Z1Dt (9)
A2=Ab2+At2=E2HbDb+Z2Dt (10)
A3=Ab3+At3=E3HbDb+Z3Dt (11)
A4=Ab4+At4=E4HbDb+Z4Dt (12)

ここで、Eは吸光係数(dl g-1cm-1)、Hbは血色素濃度(g dl-1)、Zは血液以外の組織の減光率(cm-1)、Dは厚み(cm)を表している。添え字bは血液を、添え字tは血液以外の組織を、添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を、添え字3は第3の光を、添え字4は第4の光を表している。

【0103】
血液以外の組織の波長依存性は無視できるため、Z1=Z2=Z3=Z4とできる。ここで式(10)より式(9)を減じ、式(10)より式(11)を減じ、式(10)より式(12)を減ずると、次式を得る。

Ab21=A2-A1=(E2-E1)HbDb (13)
Ab23=A2-A3=(E2-E3)HbDb (14)
Ab24=A2-A4=(E2-E4)HbDb (15)

右辺には血液の情報のみが含まれている。したがって、減光度A2と減光度A1の差分、減光度A2と減光度A3の差分、および減光度A2と減光度A4の差分をとることにより、血液由来の減光度Ab21、Ab23、Ab24を得ることができる。

【0104】
次に、式(13)を式(14)で除算し、式(13)を式(15)で除算すると、HbとDbの項が削除され次式を得る。

Ab21/Ab23=(A2-A1)/(A2-A3)
=(E2-E1)/(E2-E3) (16)

Ab21/Ab24=(A2-A1)/(A2-A4)
=(E2-E1)/(E2-E4) (17)

ここで式(16)と式(17)における(E2-E1)、(E2-E3)、(E2-E4)は、酸素化ヘモグロビン濃度O2Hb(%)、還元ヘモグロビン濃度RHb(%)、一酸化炭素ヘモグロビン濃度COHb(%)の関数である。各吸光係数E1、E2、E3、E4は、次式で表わされる。

E1=Eo1・O2Hb+Er1・RHb+Ec1・COHb (18)
E2=Eo2・O2Hb+Er2・RHb+Ec2・COHb (19)
E3=Eo3・O2Hb+Er3・RHb+Ec3・COHb (20)
E4=Eo4・O2Hb+Er4・RHb+Ec4・COHb (21)
O2Hb+RHb+COHb=1 (22)

ここで、Eoは酸素化ヘモグロビンの吸光係数を、Erは還元ヘモグロビンの吸光係数を、Ecは一酸化炭素ヘモグロビンの吸光係数を表している。添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を、添え字3は第3の光を、添え字4は第4の光を表している。減光度の差分をとる理由は、先に図4を参照して説明した通りである。

【0105】
以上より、少なくとも4種の波長を有する光を用いて血液由来の減光度Ab21、Ab23、Ab24を測定すれば、式(16)から式(21)を通じて血液中のO2Hb濃度、RHb濃度、COHb濃度を定量的に特定できることが判る。

【0106】
図1に示すように、生体情報取得装置4の情報取得部41は、血液中物質濃度特定部414を備えうる。血液中物質濃度特定部414は、第2減光度取得部412が取得した最大で(N-1)種の血液由来の減光度に基づいて、最大で(N-1)種の血液中物質濃度を特定するように構成されている。すなわち、血液中物質濃度特定部414は、上記の原理に基づいて、O2Hb濃度、RHb濃度、COHb濃度を特定するように構成されている。COHbに代えてMetHbとしても、同様の測定が可能である。

【0107】
情報取得部41は、血液中物質濃度特定部414により特定された血液中物質濃度(O2Hb濃度、RHb濃度、COHb濃度あるいはMetHb濃度)を示す信号SCを情報出力部42へ入力する。情報出力部42は、信号SCに応じた適宜の態様で血液中物質濃度を出力する。出力態様の例としては、血液中物質濃度に対応する数値、色、シンボルの少なくとも1つによる表示や、血液中物質濃度に対応する音声の出力などが挙げられる。

【0108】
なお用いる波長数を5つとした場合、4種のヘモグロビン濃度を得ることができる。例えば、O2Hb濃度、RHb濃度、COHb濃度、MetHb濃度を同時に得ることができる。第5波長λ5の一例としては、第4波長λ4を620nmまたは635nmの一方とした場合の他方が挙げられる。

【0109】
用いる波長数を少なくとも3つとすれば、血液中物質濃度特定部414は、血液中物質濃度の一例としての血液酸素飽和度を特定できる。その原理について具体的に説明する。

【0110】
上記の式(16)に現れる(E2-E1)および(E2-E3)は、血液酸素飽和度Sの関数である。各吸光係数E1、E2、E3は、次式で表わされる。

E1=Eo1S+Er1(1-S) (23)
E2=Eo2S+Er2(1-S) (24)
E3=Eo3S+Er3(1-S) (25)

ここで、Eoは酸素ヘモグロビンの吸光係数を、Erは還元ヘモグロビンの吸光係数を、Sは血液酸素飽和度を表している。上記と同様に、添え字1は第1の光を、添え字2は第2の光を、添え字3は第3の光を表している。したがって、(E2-E1)と(E2-E3)の比もまた血液酸素飽和度Sの関数となる。

【0111】
以上より、少なくとも3種の波長を有する光を用いて血液由来の減光度Ab21、Ab23を測定すれば、式(16)、および式(23)から式(25)を通じて血液酸素飽和度Sを定量的に特定できる。血液中物質濃度特定部414は、この原理に基づいて、血液酸素飽和度Sを特定するように構成されうる。

【0112】
上記の説明において用いた「最大で(N-1)種の」という表現は、次のような場合を含むことを意図している。例えば発光部21が互いに異なる5種の波長を有する光を出射するように構成されている場合、必ずしも4種の血液中物質濃度を求めることを要しない。そのような構成の発光部21を用い、3種以下の血液中物質濃度を求める構成としてもよい。

【0113】
上記のような構成によれば、袋体33を膨張させることで被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、被検者の血液中物質濃度の測定を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。

【0114】
ここで情報出力部42は、袋体33により被検者の指5が圧迫されていない状態において血液中物質濃度の出力が行なわれるように構成されうる。具体的には、情報取得部41は、圧力調節部43による袋体33を膨張あるいは収縮させる動作を監視することにより、被検者の指5が圧迫されている状態にあるかを把握する。圧迫状態においては脈動由来の血液中物質濃度の値を特定することはできず、当該値の特定は圧迫状態が解除された後に行なわれるため、圧迫状態における血液中物質濃度の値をリアルタイムでユーザに提示することは好ましくない。そこで情報出力部42は、情報取得部41により袋体33により被検者の指5が圧迫されていると判断されている間、血液中物質濃度の出力を中止するように構成されうる。例えば、生体情報取得装置4において血液中物質濃度の測定値表示がなされないようにする。

【0115】
このような構成によれば、被検者の血液中物質濃度の測定を、定量的かつ再現性よく行ないつつ、常に有効な測定値をユーザに提示できる。

【0116】
あるいは、情報出力部42は、情報取得部41により袋体33により被検者の指5が圧迫されていると判断されている間、圧力調節部43による袋体33の加圧動作前の出力値を維持するように構成されうる。

【0117】
このような構成によれば、測定値の出力自体は絶え間なく行なわれるため、被検者の血液中物質濃度の測定を、定量的かつ再現性よく行ないつつ、常に有効な測定値を安心感とともにユーザに提示できる。

【0118】
図1に示すように、生体情報取得装置4は、電源44を備えうる。電源44は、例えばバッテリである。電源44は、動作に電力を必要とする生体情報取得装置4の各部へ電力を供給する。これに加えてあるいは代えて、電源44は、外部の商用電源より供給される電力を生体情報取得装置4の各部へ供給できる構成とされうる。

【0119】
図1に示すように、圧力調節部43は、電動ポンプ431を備えうる。電動ポンプ431は、電源44より供給される電力により動作する。電動ポンプ431は、通気チューブ34を通じて袋体33内に空気を送り込む加圧動作と、通気チューブ34を通じて袋体33内の空気を抜く減圧動作が可能である。

【0120】
圧力調節部43は、電動ポンプ431に加圧動作を行なわせることにより、袋体33を膨張させて被検者の指5を圧迫する。例えば加圧動作を一定時間行なわせることにより、袋体33による指5の圧迫状態を形成できる。圧力調節部43は、電動ポンプ431に減圧動作を行なわせることにより、袋体33を収縮させ、圧迫状態を解除できる。

【0121】
このような構成によれば、袋体33の膨張による被検者の指5の圧迫を自動化でき、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、定量的かつ再現性よく行なうことができる。

【0122】
図1に示すように、生体情報取得装置4は、圧力センサ45を備えうる。圧力センサ45は、袋体33の内部圧力を検出するように構成されている。圧力センサ45は、袋体33の内部圧力を直接検出してもよいし、袋体33と圧力調節部43を連通する通気路内(例えば通気チューブ34の内部)の圧力を検出することによって、袋体33の内部圧力を間接的に検出してもよい。

【0123】
この場合、圧力調節部43は、圧力センサ45の検出結果に基づいて、袋体33の内部圧力が目標値となるように、袋体内の空気の体積を調節するように構成されうる。例えば、圧力調節部43は、袋体33の内部圧力が目標値に到達するまで加圧動作を継続するように電動ポンプ431を制御する。

【0124】
電動ポンプ431が一定の動作を行なったとしても、被検者の指5の形状や、センサ2および支援用具3の装着位置に応じて、被検者の指5に加わる圧力が異なる場合がある。上記のような構成によれば、被検者の指5に実際にどの程度の圧力が加えられているのかを把握できる。そのため、被検者の指5の形状や、センサ2および支援用具3の装着位置によらず、一定の圧迫状態を容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。

【0125】
図1に示すように、支援用具3は、スイッチ35を備えうる。スイッチ35は、被検者の指5が装着されると作動するように構成されている。例えば、スイッチ35は、第1支持体31と第2支持体32により区画される空間内に設けられ、被検者の指5が当該空間内の所定の位置に配置されることにより作動するように構成される。スイッチ35の例としては、機械式のスイッチ、光センサ、感温センサなどが挙げられる。

【0126】
この場合、生体情報取得装置4は、制御部46を備えうる。制御部46は、スイッチ35の作動に応じて、電動ポンプ431を駆動するように構成されている。

【0127】
このような構成によれば、支援用具3が被検者の指5に装着されることにより、自動的に電動ポンプ431による加圧動作を開始させることができる。また支援用具3が被検者の指5に対して適切な位置に装着されていない場合に、電動ポンプ431による加圧動作を開始させないようにできる。あるいは、測定中に支援用具3が被検者の指5に対する適切な位置からずれてしまった場合に、電動ポンプ431による加圧動作を中止させることができる。

【0128】
したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。

【0129】
図1に示すように、圧力調節部43は、バルブ432を備えうる。バルブ432は、電動ポンプ431と通気チューブ34の間に設けられる。バルブ432を閉じた状態で電動ポンプ431に加圧動作を行なわせることにより、バルブ432の上流側に空気が圧縮された状態を形成できる。この状態でバルブ432を開放することにより、圧縮された空気が高速で袋体33に流入し、迅速に加圧状態を形成できる。逆にバルブ432を閉じた状態で電動ポンプ431に減圧動作を行なわせることにより、バルブ432の上流側に陰圧状態を形成できる。この状態でバルブ432を開放することにより、袋体33内の空気を迅速に抜くことができる。これにより、袋体33の残留圧力により血液の再充填が遅れることを抑制できる。このような構成は、送気能力が比較的低い小型の電動ポンプ431を用いる場合において特に有用である。

【0130】
制御部46は、圧力調節部43を所定のインターバルで動作させるように構成してもよい。当該インターバルは、生体情報取得装置4の使用態様に応じて適宜に変更可能とされうる。

【0131】
このような構成によれば、所定時間の経過ごとに袋体33を自動的に膨張させ、被検者の指5を圧迫できる。その際、一定の圧迫状態を容易に再現可能であるため、例えば手術中や集中治療室(ICU)における患者の治療効果や容体悪化の傾向を、自動的かつ正確に確認できる。

【0132】
図1に示すように、生体情報取得装置4は、スイッチ47を備えうる。スイッチ47は、圧力調節部43の動作を開始させるように構成されている。スイッチ47は、例えば、生体情報取得装置4の操作パネルに設けられた測定スタートスイッチである。

【0133】
この場合、制御部46(禁止制御部の一例)は、袋体33による被検者の指5の圧迫が解除されてから所定時間が経過するまで、スイッチ47の動作を無効にするように構成されうる。当該所定時間は、例えば、袋体33の圧迫によって指5の生体組織から排除された血液が、圧迫の解除により当該生体組織に十分に戻るまでの時間とされる。

【0134】
袋体33による被検者の指5の圧迫が解除された後、血液が指5の生体組織に戻り、元の状態に回復するまでにはある程度の時間を要する。回復前にスイッチ47が操作されてしまうと、当該操作により行なわれる圧迫を通じて得られた被検者の生体情報は正確性を欠く場合がある。上記の構成によれば、圧迫を解除された被検者の指5が元の状態に回復する前に次回の測定が行なわれることを防止できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。

【0135】
制御部46は、圧力調節部43の動作状態に応じて、上記の所定時間を変更できるように構成されうる。例えば、通常は上記の所定時間が30秒に設定されていたとしても、3分以内に5回の圧迫が行なわれた場合は、以降5分間はスイッチ47の動作を無効にするといった設定が可能である。

【0136】
非局所的な加圧であるとは言え、袋体33による圧迫が繰返し行なわれると、被検者の指5の生体組織にかかる負担が大きくなる。上記の構成によれば、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者に与える負担を抑制できる。

【0137】
図1に示すように、生体情報取得装置4は、電源監視部48を備えうる。電源監視部48は、電源44から電動ポンプ431への電力供給能力を監視するように構成されている。電源監視部48は、当該電力供給能力が所定値を下回ると、圧力調節部43に電動ポンプ431の駆動を停止させるように構成されている。電力供給能力が所定値を下回る状況の例としては、バッテリ残量が所定値を下回る場合や、商用電源の使用中に停電が発生した場合などが挙げられる。

【0138】
十分な電力が供給されない状況下で電動ポンプ431が駆動されると、被検者の指5に対する所望の圧迫状態が得られない場合がある。上記の構成によれば、そのような状態で測定が行なわれ、不正確な被検者の生体情報が取得される事態を回避できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、より正確かつ再現性よく行なうことができる。

【0139】
図1に示すように、生体情報取得装置4の圧力調節部43は、上記の電動ポンプ431に加えてあるいは代えて、手動調節機構433を備えうる。手動調節機構433は、手動で袋体33内の空気の体積を調節可能に構成された機構である。手動調節機構433は、例えば、逆止弁と送気具を含む。逆止弁は、通気チューブ34の途中に設けられうる。送気具の例としては、ゴム球やシリンジなどが挙げられる。送気具を操作することにより、通気チューブ34を通じて袋体33の内部に空気が送り込まれ、袋体33が膨張するとともに、逆止弁により収縮が防止される。袋体33による圧迫状態を解除する場合は、逆止弁を開放すればよい。

【0140】
電動ポンプ431の代わりに手動調節機構433を備える構成の場合、圧力調節部43の構成を簡略化できるとともに、生体情報取得装置4を小型化・軽量化できる。電動ポンプ431に加えて手動調節機構433を備える構成の場合、電源44の電動ポンプ431への電力供給能力が不十分となったときにも手動での生体情報取得が可能となる。あるいは、電源44がバッテリである場合において、必要に応じて手動による生体情報取得を実行することにより、電力を節約できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、状況に応じた被検者の生体情報の測定が可能となる。

【0141】
図1に示すように、生体情報取得装置4は、音声出力部49を備えうる。音声出力部49は、被検者の指5に加わる圧力に応じた音声を出力するように構成されている。当該圧力は袋体33の内部圧力に対応するため、音声出力部49は、上記の圧力センサ45の検出結果を利用できる。あるいは、被検者の指5に加わる圧力をより直接的に検出できる圧力センサを支援用具3に別途設け、音声出力部49が当該圧力センサの検出結果を利用する構成としてもよい。例えば、音声出力部49は、指5に加わる圧力が所定値に達した場合に所定の音声を出力しうる。あるいは、音声出力部49は、指5に加わる圧力が高まるに連れ、音量や音程が変化するように音声を出力してもよい。

【0142】
このような構成によれば、ユーザは被検者の指5が圧迫状態にあるかを容易に把握できる。特に袋体33の加圧を手動で行う場合において、ユーザは、音声出力部49が出力する音声を、所望の圧迫状態を形成するための目安として利用できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を、正確かつ再現性よく行なうことができる。

【0143】
上記の各構成においては、センサ2の発光部21が被検者の指5の爪側5aに装着され、センサ2の受光部22が指5の腹側5bに装着されている。しかしながら、発光部21が指5の腹側5bに装着され、受光部22が指5の爪側5aに装着されてもよい。

【0144】
上記の各構成においては、発光部21より出射されて被検者の指5を通過した光が受光部22に入射している。しかしながら、図5に示すように、発光部21と受光部22の双方が被検者の指5の同じ側に装着され、発光部21より出射されて被検者の指5に反射された光が受光部22に入射する光センサ2Aを用いてもよい。図5の例では、光センサ2Aは指5の腹側5bに装着されている。しかしながら、光センサ2Aは、指5の爪側5aに装着されてもよい。

【0145】
上記の各構成においては、センサ2が装着された被検者の指5に支援用具3が装着されている。しかしながら、図6に示すように、センサ2が予め支援用具3に装着されている構成としてもよい。センサ2の発光部21と受光部22は、被検者の指5と袋体33の間、および被検者の指5と第2支持体32の間の少なくとも一方に配置される。図6の例では、発光部21が袋体33の外面に配置されており、受光部22が第2支持体32の内周面に配置されている。

【0146】
このような構成によれば、支援用具3を被検者の指5に装着するという操作のみで、生体情報の取得が可能になる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、被検者の生体情報の取得を簡便かつ再現性よく行なうことができる。

【0147】
図1に示すように、センサ2の発光部21は、信号線51を介して生体情報取得装置4の情報取得部41と接続されている。センサ2の発光部21は、信号線52を介して生体情報取得装置4の情報取得部41と接続されている。支援用具3がスイッチ35を備える場合、スイッチ35は信号線53を介して生体信号取得装置4の制御部46と接続される。支援装置3と生体情報取得装置4は、支援用具3の第1支持体31および第2支持体32よりも柔軟性の高いチューブ60によって接続されうる。図7にそのようなチューブ60の構成例を示す。

【0148】
図7は、チューブ60の延びる方向に直交する向きに切断した断面を示している。チューブ60は、通気路61と信号線収容部62を備えている。通気路61は、通気チューブ34として機能しうる部分であり、生体信号取得装置4の圧力調節部43と支援用具3の袋体33を連通する。信号線収容部62は、信号線51、52、53を収容する部分である。

【0149】
あるいは、図8に示すチューブ60Aによって支援装置3と生体情報取得装置4を接続してもよい。図8は、チューブ60Aの延びる方向に直交する向きに切断した断面を示している。チューブ60Aは、一対の通気路61および信号線保持部63を備えている。通気路61は、通気チューブ34として機能しうる部分であり、生体信号取得装置4の圧力調節部43と支援用具3の袋体33を連通する。通気路61は1つだけ設けられる構成としてもよい。信号線保持部63は、信号線51、52、53を着脱可能に保持する部分である。

【0150】
チューブ60あるいはチューブ60Aを用いることにより、電気系のケーブルと通気系のホースを単一の線路にまとめることができる。これにより、被検者の体動などにより2本の線路が個々に変位しうる場合と比較すると、体動などによる支援用具3の位置ずれを抑制できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。

【0151】
上記の構成においては、生体情報取得装置4の圧力調節部43が、通気チューブ34を介して袋体33内の空気の体積を調節している。しかしながら、袋体33を膨張・収縮させることができれば、適宜の流体を用いてもよい。この場合、通気チューブ34は、当該流体を流通させることが可能な構成をとる。

【0152】
次に、上記のように構成された生体情報取得システム1が備える支援用具3の具体的な構成について説明する。なお、以降の説明に用いる「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、および「下」という表現は、説明の便宜のために用いるものであり、実際の使用状態における姿勢や方向を限定するものではない。

【0153】
図9は、第1の実施形態に係る支援用具3を示している。支援用具3においては、第1支持体31の左端部と第2支持体32の左端部が接続壁36aによって接続され、第1支持体31の右端部と第2支持体32の右端部が接続壁36bによって接続されている。支援用具3が被検者の指5に装着されると、指5は、第1支持体31、第2支持体32、接続壁36a、36bによって包囲される。

【0154】
第1支持体31の内周面31aは、円弧状(アーチ状)に延びている。袋体33は、内周面31aに沿うように配置されている。通気チューブ34(一部のみ図示)の一端は、袋体33と一体に成形されている。生体情報取得装置4の圧力調節部43から通気チューブ34を通じて送り込まれる空気により膨張した袋体33は、被検者の指5の周方向における一部に当接し、圧迫を行なう。

【0155】
このような構成によれば、図3に示すように、平坦な内周面に袋体が装着された構成と比較して、より少ない袋体33の体積変化で加圧状態を形成できる。換言すると、より容積の小さな袋体33を用いて加圧状態を形成できる。すなわち、より小型の送気機構を用いつつも、迅速な加圧状態の形成が可能となる。袋体33の収縮による加圧状態の解除時においても同様の効果が得られる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現可能としつつ、装置の小型化やコストの抑制が可能となる。

【0156】
図9に示すように、支援用具3は、固定補助部37を備えている。固定補助部37は、第1支持体31の後端部より後方へ延びている。固定補助部37は、支援用具3の被検者の指5への固定を補助するために、指5に沿って延びるように設けられている。

【0157】
このような構成によれば、ユーザは、固定補助部37をガイドにして支援用具3を被検者の指5に装着できる。必要に応じてテープなどで固定補助部37を指5に対して固定することにより、測定中における支援用具3の指5に対する位置ずれを防止できる。したがって、指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。

【0158】
図10は、第2の実施形態に係る支援用具3Aを示している。第1の実施形態に係る支援用具3と同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。なお図10においては、袋体33と通気チューブ34の図示を省略している。

【0159】
支援用具3Aにおいては、固定補助部37の後端部に一対の弾性片37a(弾性部材の一例)が設けられている。弾性片37aは、支援用具3Aが被検者の指5に装着された際に、指5の一部を包囲するように挟持する。

【0160】
このような構成によれば、テープのような補助固定具を必要とすることなく、支援用具3Aを被検者の指5に固定できる。これにより、測定中における支援用具3の指5に対する位置ずれを防止でき、指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。したがって、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。

【0161】
図11は、第3の実施形態に係る支援用具3Bを示している。第1の実施形態に係る支援用具3と同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。

【0162】
支援用具3Bにおいては、第1支持体31の前端部と第2支持体32の前端部が、接続壁36cによって接続されている。支援用具3Bが被検者の指5に装着されると、指5は、第1支持体31、第2支持体32、接続壁36cによって区画された空間内に配置される。当該空間は、左右方向に開放されている。

【0163】
すなわち、被検者の指5は、生体情報の取得時において、全周を包囲されることを要しない。比較的剛性の高い部分を必要最小限とすることにより、支援用具3Bの重量増加を抑制できる。したがって、支援用具3Bを装着する被検者に与える負担を抑制できる。

【0164】
図12は、第4の実施形態に係る支援用具3Cを示している。第1の実施形態に係る支援用具3と同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。

【0165】
支援用具3Cは、押圧部材38を備えている。押圧部材38は、生体の指を模した部材である。具体的には、押圧部材38は、生体の指を模した柔軟性を有する材料により形成されており、医療従事者の手による圧迫が行なわれる際の指を模した形状を有している。押圧部材38は、袋体33の外面に設けられている。生体情報取得装置4の圧力調節部43から通気チューブ34を通じて送り込まれる空気により袋体33が膨張すると、押圧部材38が被検者の指5に当接する。

【0166】
このような構成によれば、従来の医療従事者の手による圧迫に似た、より自然な圧迫状態を形成できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、より自然な生体情報の取得が可能である。

【0167】
図13と図14は、第5の実施形態に係る支援用具3Dを示している。図14は、図13における線XIV-XIVに沿う縦断面図である。第1の実施形態に係る支援用具3と同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。

【0168】
図13に示すように、支援用具3Dは、固定補助部37が第2支持体32の後端部に設けられ、後方に延びている。また、支援用具3Dは、通路形成部39を備えている。通路形成部39は、第1支持体31の外周面に設けられている。通路形成部39は、接続部39aを有している。図14に示すように、通路形成部39の内部には、通気路39bが形成されている。通気路39bの一端は、接続部39aにおいて開口している。通気路39bの他端は、第1支持体31の内周面31aに装着された袋体33の内部に連通している。図示しない通気チューブ34の一端が接続部39aに接続されることにより、生体情報取得装置4の圧力調節部43から袋体33に至る通気路が形成される。

【0169】
このような構成によれば、支援用具3Dを通気チューブ34に対して着脱可能にできる。これにより、通気チューブ34を袋体33と一体に成形する必要がなくなり、支援用具3Dの製造コストが抑制される。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態を容易に再現しつつ、支援用具3Dのみを使い捨てにしたいといった要請に応えることができる。

【0170】
図15は、第6の実施形態に係る支援用具3Eを示している。第5の実施形態に係る支援用具3Dと同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。

【0171】
支援用具3Eにおいては、通路形成部39は、支援用具3Eの上下方向に延びる中心軸Xを中心に、当該中心軸Xに直交する面内で回転可能とされている。中心軸Xは、通気路39bが支援用具3Eの上下方向に延びる部分に沿って延びている(図14参照)。これにより、通路形成部39は、第1支持体31に対して可動とされている。

【0172】
支援用具3Eにおいては、接続部39aは、支援用具3Eの前後方向に延びる中心軸Yを中心に、当該中心軸Yに直交する面内で回転可能とされている。中心軸Yは、通気路39bが支援用具3Eの前後方向に延びる部分に沿って延びている(図14参照)。これにより、接続部39aは、第1支持体31に対して可動とされている。

【0173】
このような構成によれば、接続部39aに接続された通気チューブ34が被検者の体動によって変位しても、通路形成部39がこれに追従して変位するため、体動による支援用具3Eの位置ずれを抑制できる。したがって、被検者の指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。これにより、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。

【0174】
なお通路形成部39と接続部39aは、いずれか一方が第1支持体31に対して可動とされている構成としてもよい。

【0175】
図16は、第7の実施形態に係る支援用具3Fを示している。第5の実施形態に係る支援用具3Dと同一または同等の構成または機能を有する要素については同一の参照符号を付与し、繰り返しとなる説明は省略する。

【0176】
支援用具3Fは、固定補助部37の後端部に弾性部材37bを備えている。弾性部材37bには、支援用具3Fの前後方向に延びる貫通穴37cが形成されている。弾性部材37bは、弾性を有するとともに固定補助部37よりも柔軟性の高い材料により形成されている。

【0177】
支援用具3Fを被検者の指5に装着する際には、まず指5が弾性部材37bの貫通穴37cに挿入される。指5は、貫通穴37cを拡開しつつ弾性部材37bを挿通し、袋体33に対向する所定の位置に配置される。弾性部材37bは、自身の弾性により、指5の一部を包囲しつつ保持する。

【0178】
このような構成によれば、テープのような補助固定具を必要とすることなく、支援用具3Fを被検者の指5に固定できる。これにより、測定中における支援用具3の指5に対する位置ずれを防止でき、指5に対する一定の圧迫状態をより容易に再現可能である。したがって、被検者の生体情報の取得を、より再現性よく行なうことができる。

【0179】
支援用具3Fにおいては、第2支持体32に貫通穴32aが形成されている。貫通穴32aは、被検者の指5が配置される空間に連通している。貫通穴32aの位置、形状、大きさは、支援用具3Fが装着された被検者の指5へのアクセスを許容するように定められる。アクセスは、棒状の冶具あるいはユーザの指によって可能とされればよい。

【0180】
このような構成によれば、生体情報取得装置4の圧力調節部43が何らかの理由により機能しなくなった非常時においても、ユーザの手によって被検者の指5を圧迫して生体情報を取得することができる。

【0181】
貫通穴32aは、第1支持体31に形成されてもよい。この場合、棒状の冶具あるいはユーザの指によって、袋体33が被検者の指5に押し付けられる。

【0182】
上記各実施形態について示した特徴は、他の実施形態の本来的な構成や機能を損なわない限りにおいて、当該他の実施形態の構成に対して適宜に組み合わせ可能である。

【0183】
以上の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであって、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく変更・改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは明らかである。

【0184】
上記の実施形態に係る生体情報取得装置4は、生体情報として被検者の毛細血管再充満時間と血液中物質濃度を取得している。換言すると、上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)は、被検者の指5に装着されて、当該被検者の被検者の毛細血管再充満時間と血液中物質濃度の取得を支援している。しかしながら、本発明に係る支援用具3(3A~3F)は、被検者の指5に装着される方式のセンサを用いて取得されうるあらゆる生体情報の取得支援に適用可能である。そのような生体情報の例としては、心拍数や体温などが挙げられる。

【0185】
上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)においては、袋体33は、指の爪側5aに配置される第1支持体31の内周面31aに沿って配置されている。しかしながら、上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)は、第1支持体31が指5の腹側5bに配置される構成とされうる。この場合、袋体33は指5の腹側5bに配置され、第2支持体32は指5の爪側5aに配置される。また、上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)は、第1支持体31が指5の左右いずれかの側に配置される構成とされうる。この場合、袋体33は指5の当該左右いずれかの側に配置され、第2支持体32は、指5を挟んで第1支持体31と反対側に配置される。

【0186】
上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)においては、袋体33の全体が第1支持体31の内周面31aに沿って配置されている。しかしながら、上記の各実施形態に係る支援用具3(3A~3F)は、袋体33の少なくとも一部が第1支持体31の内周面31aに沿って配置されている構成とされうる。例えば、第1支持体31が被検者の指5の爪側5aに配置される場合において、袋体33の一部が指5の腹側5bまで回り込むような形状とされうる。

【0187】
これまで例示した実施形態において、情報取得部41、制御部46、電源監視部48、第1減光度取得部411、第2減光度取得部412、毛細血管再充満時間特定部413、および血中物質濃度特定部414の機能は、通信可能に接続されたプロセッサとメモリの協働により実行されるソフトウェアにより実現されている。プロセッサの例としては、CPUやMPUが挙げられる。メモリの例としては、RAMやROMが挙げられる。しかしながら、情報取得部41、制御部46、電源監視部48、第1減光度取得部411、第2減光度取得部412、毛細血管再充満時間特定部413、および血中物質濃度特定部414の少なくとも一つの機能は、回路素子などのハードウェアにより、あるいはハードウェアとソフトウェアの組合せにより実現されうる。

【0188】
本出願の記載の一部を構成するものとして、2014年3月11日に提出された日本国特許出願2014-047755の内容を援用する。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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