TOP > 国内特許検索 > 機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体 > 明細書

明細書 :機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明の名称または考案の名称 機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体
国際特許分類 G01N  35/08        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
B01J  19/00        (2006.01)
FI G01N 35/08 A
G01N 37/00 101
B01J 19/00 321
国際予備審査の請求
全頁数 33
出願番号 特願2016-511956 (P2016-511956)
国際出願番号 PCT/JP2015/060241
国際公開番号 WO2015/152287
国際出願日 平成27年3月31日(2015.3.31)
国際公開日 平成27年10月8日(2015.10.8)
優先権出願番号 2014071205
優先日 平成26年3月31日(2014.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】内村 浩美
出願人 【識別番号】504147254
【氏名又は名称】国立大学法人愛媛大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100134979、【弁理士】、【氏名又は名称】中井 博
【識別番号】100167427、【弁理士】、【氏名又は名称】岡本 茂樹
審査請求 未請求
テーマコード 2G058
4G075
Fターム 2G058DA07
4G075AA13
4G075AA39
4G075BA10
4G075BB04
4G075BB05
4G075BB10
4G075BD05
4G075DA02
4G075EA02
4G075EB50
4G075FA12
4G075FA14
4G075FC01
要約 【課題】少ない試料量でも試料中に存在する所定の物質等を高い精度で検出する機能を備えた機能性材料およびかかる機能性材料の製造方法を提供する。
【解決手段】液体を通す流路部10を備えており、流路部10は、不透水性材料12を含有する透水性材料11によって形成されている。透水性材料11間に不透水性材料12を配置しているので、不透水性材料12と透水性材料11の両者間に空隙10hを形成することができる。つまり、流路部10内に網目状の空隙10hを形成することができる。流路部10に液体試料を供給すれば、かかる空隙10h内に浸透させながら液体試料を移動させることができる。しかも、液体試料を移動させる間に液体試料中に存在する混合物から目的外成分を分離除去することができる。したがって、流路部10につまり、吸水機能とフィルター機能を付与することができるのである。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
基材と、該基材の表面上に設けられる液体を通す流路部と、を備えており、
前記基材は、
表面が不透水性であり、
前記流路部は、
不透水性材料を含有する透水性材料によって形成されている
ことを特徴とする機能性材料。
【請求項2】
液体を通す流路部を備えており、
該流路部は、
不透水性材料を含有する透水性材料によって形成されている
ことを特徴とする機能性材料。
【請求項3】
基材を備えており、
該基材の表面上に前記流路部が形成されている
ことを特徴とする請求項2記載の機能性材料。
【請求項4】
前記透水性材料が、繊維から形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の機能性材料。
【請求項5】
基材と、該基材の表面上に設けられる液体を通す流路部と、を備えており、
前記基材は、
表面が不透水性であり、
前記流路部は、
ナノファイバーからなるナノファイバー層と、該ナノファイバー層間に混入した不透水性材料と、からなる
ことを特徴とする機能性材料。
【請求項6】
前記不透水性材料が繊維状の材料であって、
繊維径および/または繊維長の異なる材料を含んでいる
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の機能性材料。
【請求項7】
前記流路部が表面上に形成された基材を備えており、
前記透水性材料は、
親水性の官能基を有しており、
前記基材は、
前記流路部を配設する配設面が、親水性の官能基を有する不透水性膜によって覆われている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の機能性材料。
(機能性材料の製造方法)
【請求項8】
基材の配設面上に液体を通す流路部を形成する方法であって、
該流路部を、
不透水性材料と、透水性材料と、両者を分散させる液体と、を含む混合流体を塗布して形成する
ことを特徴とする機能性材料の製造方法。
【請求項9】
基材の配設面上に液体を通す流路部を形成する方法であって、
該流路部を、
不透水性材料と、ナノファイバーと、両者を分散させる液体と、を含む混合流体を塗布して形成する
ことを特徴とする機能性材料の製造方法。
【請求項10】
前記流路部を、
スクリーン印刷技術を用いて前記基材の配設面上に前記混合流体を塗布して形成する
ことを特徴とする請求項8または9記載の機能性材料の製造方法。
【請求項11】
前記流路部を、
前記基材の配設面上に前記混合流体をスプレーで吹き付けて形成する
ことを特徴とする請求項8または9記載の機能性材料の製造方法。
【請求項12】
前記流路部を、
前記混合流体を原料として、凹印刷技術を用いて前記基材の配設面上に形成する
ことを特徴とする請求項8または9記載の機能性材料の製造方法。
【請求項13】
前記流路部を、
前記混合流体を原料として、フレキソ印刷技術を用いて前記基材の配設面上に形成する
ことを特徴とする請求項8または9記載の機能性材料の製造方法。
【請求項14】
印刷に使用される液体であって、
該液体が、
透水性材料と不透水性材料を液体中に分散したものである
ことを特徴とする機能性液体。
【請求項15】
前記透水性材料が繊維である
ことを特徴とする請求項14記載の機能性液体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体に関する。さらに詳しくは、医学や、生化学、薬学、化学、環境などの分野における分析に広く利用される機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血液や尿などの体液から多数の病気の診断が可能となってきている。しかし、診断に使用可能な体液(以下、試料という)の量には限界がある。このため、少ない試料からできるだけ多くの情報(例えば、病気の進行状況や病気の早期発見等)を得ることができる装置の開発が重要となっている。
【0003】
そこで、樹脂製の基板上に複数のマイクロチャンネル(微細流路)を形成したマイクロ流体チップを用いた装置が提案されている。この装置の基板上に設けられた各微細流路の先端部には、それぞれの病気の原因となる抗原に反応する抗体等を備えた検出部が設けられている。このため、かかる装置を用いれば、1回の分析で複数の病気の診断が可能となる。しかし、かかる装置では、流路内に試料を送液するのにポンプ等の駆動手段が必要であり、試料量もある程度必要となる上、装置も大型化するといった問題がある。
【0004】
近年、ポンプを必要としないマイクロ流体チップが提案されており、その代表例が、微細流路を紙で形成した紙製マイクロ流体チップである。かかる紙製マイクロ流体チップは、紙が有する吸水性、つまり毛細管現象を利用した技術である。具体的には、紙製マイクロ流体チップの流路基端部に液体試料を供給すれば、自動的に試料が流路基端部から流路先端部の検出部まで移動する。このため、試料を送液するためのポンプを使わずに1回の分析で複数の病気の診断が可能となる。しかも、紙製マイクロ流体チップだけで病気の診断が可能になるという利点がある。
【0005】
上記のごとき紙製の微細流路を形成する方法としては、ワックスプリンティング法を用いた方法や、フォトリソグラフィー法を用いた方法が提案されている。
【0006】
ワックスプリンティング法は、疎水性のワックスを紙面上の流路の側端に沿って含浸させる。すると、図6(A)および図6(B)に示すように、疎水性のワックスによって形成された流路の流路壁によって紙製の微細流路が形成される。
【0007】
フォトリソグラフィー法は、紙をフォトレジスト(感光性樹脂)中に浸漬した後、所望の流路パターンが形成されるようにマスクした後、UV等を用いて露光する。そして、露光されていないフォトレジストを除去する処理を行う。すると、図6(C)および図6(D)に示すように、硬化した樹脂(硬化部)によって流路壁が形成された紙製の微細流路が形成される。
【0008】
しかし、上述した方法によって形成された紙製の微細流路の場合、全ての流路を移動する試料は、多数の成分が含有したものとなる。このため、試料中の成分のうち目的成分以外の成分の影響により検出部での目的成分の測定精度が低下する可能性が生じる。
【0009】
一方、フォトリソグラフィー法を用いて3次元の流路を形成したマイクロ流体チップが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0010】
図7(A)および図7(B)に示すように、特許文献1の3次元マイクロ流体チップは、フォトリソグラフィー法を用いて処理した上層、中層、下層の各紙片を連結した多層構造を有するチップである。中層の紙片には、表裏を連通する穴が上層の所定の流路と下層の所定の流路だけを連結するように形成されている。また、特許文献1には、かかる中層に形成された穴には、フィルターが設けられている旨の記載がある。
【0011】
このため、図7(C)に示すように、特許文献1の3次元マイクロ流体チップでは、両試料を交じり合うことなく立体的に交差させながら、それぞれの流路の試料供給部から先端部へ向かって移動させることができる。したがって、特許文献1の3次元マイクロ流体チップを使用すれば、同じ大きさのチップに2次元の流路を形成した場合と比較して、より多くの試料の分析が可能となり、フィルター機能により検査精度を向上させることが可能となる。
【先行技術文献】
【0012】

【特許文献1】特開2012-230125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかるに、特許文献1の3次元マイクロ流体チップでは、図7に示すように、複数の流路を交じり合うことなく立体的に交差させるように形成する必要があり、試料供給部から検出部までの距離が、上記のごとき2次元の紙製の微細流路と比べて非常に長くなる。このため、試料量が少ない場合、一部の流路において試料の移動が途中で遮られ、十分な量の試料が検出部に到達しない可能性がある。そうすると、検出部での検査精度が低下による病気の診断ミスが生じる危険性がある。
【0014】
本発明は上記事情に鑑み、少ない試料量でも試料中に存在する所定の物質等を高い精度で検出する機能を備えた機能性材料、機能性材料の製造方法および機能性液体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1発明の機能性材料は、基材と、該基材の表面上に設けられる液体を通す流路部と、を備えており、前記基材は、表面が不透水性であり、前記流路部は、不透水性材料を含有する透水性材料によって形成されていることを特徴とする。
第2発明の機能性材料は、第1発明において、液体を通す流路部を備えており、該流路部は、不透水性材料を含有する透水性材料によって形成されていることを特徴とする。
第3発明の機能性材料は、第2発明において、基材を備えており、該基材の表面上に前記流路部が形成されていることを特徴とする。
第4発明の機能性材料は、第1乃至第3発明のいずれかにおいて、前記透水性材料が、繊維から形成されていることを特徴とする。
第5発明の機能性材料は、基材と、該基材の表面上に設けられる液体を通す流路部と、を備えており、前記基材は、表面が不透水性であり、前記流路部は、ナノファイバーからなるナノファイバー層と、該ナノファイバー層間に混入した不透水性材料と、からなることを特徴とする。
第6発明の機能性材料は、第1乃至第5発明のいずれかにおいて、前記不透水性材料が繊維状の材料であって、繊維径および/または繊維長の異なる材料を含んでいることを特徴とする。
第7発明の機能性材料は、第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記流路部が表面上に形成された基材を備えており、前記透水性材料は、親水性の官能基を有しており、前記基材は、前記流路部を配設する配設面が、親水性の官能基を有する不透水性膜によって覆われていることを特徴とする。
(機能性材料の製造方法)
第8発明の機能性材料の製造方法は、基材の配設面上に液体を通す流路部を形成する方法であって、該流路部を、不透水性材料と、透水性材料と、両者を分散させる液体と、を含む混合流体を塗布して形成することを特徴とする。
第9発明の機能性材料の製造方法は、基材の配設面上に液体を通す流路部を形成する方法であって、該流路部を、不透水性材料と、ナノファイバーと、両者を分散させる液体と、を含む混合流体を塗布して形成することを特徴とする。
第10発明の機能性材料の製造方法は、第8または第9発明において、前記流路部を、スクリーン印刷技術を用いて前記基材の配設面上に前記混合流体を塗布して形成することを特徴とする。
第11発明の機能性材料の製造方法は、第8または第9発明において、前記流路部を、前記基材の配設面上に前記混合流体をスプレーで吹き付けて形成することを特徴とする。
第12発明の機能性材料の製造方法は、第8または第9発明において、前記流路部を、前記混合流体を原料として、凹印刷技術を用いて前記基材の配設面上に形成することを特徴とする。
第13発明の機能性材料の製造方法は、第8または第9発明において、前記流路部を、前記混合流体を原料として、フレキソ印刷技術を用いて前記基材の配設面上に形成することを特徴とする。
(インキ)
第14発明の機能性液体は、印刷に使用される液体であって、該液体が、透水性材料と不透水性材料を液体中に分散したものであることを特徴とする。
第15発明の機能性液体は、第14発明において、前記透水性材料が繊維であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1発明によれば、透水性材料間に不透水性材料が配置されているので、不透水性材料と透水性材料の両者間に空隙を形成することができる。つまり、流路部内に網目状の空隙を形成することができる。このため、流路部に液体試料を供給すれば、かかる空隙内に浸透させながら液体試料を移動させることができる。しかも、液体試料を移動させる間に液体試料中に存在する混合物から目的の成分以外の成分(目的外成分)を分離除去することができる。つまり、吸水機能とフィルター機能とが付与された流路部を形成することができる。
第2発明によれば、透水性材料間に不透水性材料が配置されているので、不透水性材料と透水性材料の両者間に空隙を形成することができる。つまり、流路部内に網目状の空隙を形成することができる。流路部に液体試料を供給すれば、かかる空隙内に浸透させながら液体試料を移動させることができる。しかも、液体試料を移動させる間に液体試料中に存在する混合物から目的の成分以外の成分(目的外成分)を分離除去することができる。つまり、吸水機能とフィルター機能とが付与された流路部を形成することができる。
第3発明によれば、流路部が基材の表面上に形成されているので、取扱性を向上させることができる。しかも、基材表面上に流路部を形成するので、流路部の形状の自由度を向上させることができる。
第4発明によれば、透水性材料が繊維によって形成されているので、繊維間に浸透した液体試料を毛細管現象により移動させることができる。したがって、流路部の吸水機能を向上させることができる。また、液体試料が毛細管現象により流路部内を移動するので、流路部の配置は水平方向に限定されない。したがって、液体試料を供給した後の流路部の配置方法の自由度を高くすることができる。
第5発明によれば、流路部のナノファイバー層間に不透水性材料が混入しているので、ナノファイバー層間に微細な空隙を形成することができる。このため、流路部に液体試料を供給すれば、かかる液体試料を毛細管現象により空隙内を浸透させながら流路部内を移動させることができる。つまり、流路部に吸水機能を付与することができるのである。しかも、ナノファイバー層間に形成された空隙内を液体試料を浸透させながら流すことができるので、液体試料中に存在する混合物から目的の成分以外の成分(目的外成分)を分離除去することができる。つまり、流路部にフィルター機能を付与することができるのである。さらに、流路部の表面をナノファイバー層を有する膜で覆うことができるので、液体試料が流路部の内部から外部へ漏洩するのを防止できる。
第6発明によれば、流路部に供給した液体試料の浸透速度を調整することができるので、液体試料の性状や液体試料中に存在する目的成分等に応じた流路部を形成することができる。
第7発明によれば、流路部を基材の配設面に配設した状態において、それぞれ親水性の官能基を有する材料を接触させた状態とすることができる。両者を接触させることによって、両者を水素結合で連結させることができる。すると、流路部を基材配設面上に塗布等によって配設するだけで、流路部と基材を確実に連結させることができる。しかも、流路部を基材に対して強固に連結させることができるので、両者を連結するための接着剤等が不要となる。このため、接着剤等に起因する流路部の汚染等を防止できるので、液体試料中に存在する目的成分の分析精度を向上させることができる。
第8および第13発明によれば、所定の状態の混合流体を用いて流路部を形成することができるので、流路部を形成する際の自由度を向上させることができる。このため、所望のパターン通りの流路部を簡便かつ大量に成形することができる。
第14発明によれば、透水性材料と不透水性材料が液体中に分散されているので、この液体を印刷すれば、物体上に、透水性材料と不透水性材料からなる流路を形成することができる。しかも、印刷によって流路を形成するので、物体上に自由に流路を形成することができる。
第15発明によれば、繊維で形成された透水性材料を含んでいるので、液体試料を毛細管現象により浸透させる空隙を繊維間に形成することができる。したがって、吸水機能の高い流路部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の機能性材料1の概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)の概略側面図である。
【図2】本実施形態の機能性材料1の流路部10の概略断面図と流路部10に液体試料を供給した際の状況を示した図であり、(A)は図1(A)のIIA-IIA線概略断面図とその要部拡大断面図および透水性材料11の要部拡大図であり、(B)は透水性材料11の要部概略斜視図とその内部を浸透する液体試料中の液体Lqの状況を示した図である。
【図3】本実施形態の機能性材料1の概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)の概略側面図である。
【図4】本実施形態の機能性材料1の流路部10の概略断面図と流路部10に液体試料を供給した際の状況を示した図であり、(A)は図3(A)の要部拡大図IIB-IIB線概略断面図であり、(C)は図1(A)のIIC-IIC線概略断面図である。
【図5】他の実施形態の機能性材料1の概略説明図であり、(A)は平面図であり、(B)は(A)の概略側面図である。
【図6】従来技術の概略説明図であり、(A)はワックスプリンティング法を用いた従来技術の概略説明図であり、(B)はフォトリソグラフィー法を用いた従来技術の概略説明図である。
【図7】フォトリソグラフィー法を用いて3次元的に流路部を形成した従来技術の概略説明図である。
【図8】実験結果を示した図である。
【図9】フィルター効果の実験結果を示した写真である。
【図10】フィルター効果の実験結果を示した写真である。
【図11】フィルター効果の実験結果を示した写真である。
【図12】フィルター効果の実験結果を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の機能性材料は、医学や、生化学、薬学、化学、環境などの分野において、試料の分析に使用されるものであって、試料中に存在する目的成分を目的成分以外の成分から簡便に分離することができる構造としたことに特徴を有する。
具体的には、本発明の機能性材料を構成する流路部が、吸水機能とフィルター機能を有する構造とし、しかも、使用する試料を少なくすることができる構造としたことに特徴を有する。

【0019】
ここで、従来技術と本発明の相違点を簡単に説明する。
まず、従来の技術(例えばマイクロ流体チップ)は、シート状の紙に透水性領域と不透水性領域を設けて、液体を所望の場所(試薬を配置している位置等)まで移動させる流路を形成している。つまり、従来の技術は、紙自体に液体の通る部分と液体の通らない部分(壁)を設けて、液体が通過する(浸透する)領域(流路)を形成するという発想に基づいて構成されている。したがって、従来の技術は、基材の一部が流路となっている。
一方、本発明の機能性材料は、シートなどの基材の表面に繊維を含む液体(言い換えれば繊維含有インキ)を印刷することによって、基材の表面に流路を形成している。つまり、本発明の機能性材料は、基材を変質させるのではなく、基材の表面に繊維含有インキによってパターンを形成することによって、繊維含有インキ中の繊維からなる流路を形成する技術である。したがって、本発明の機能性材料は、流路が基材の上に盛り上がった状態となっている。
つまり、従来技術と本発明は、流路を形成する方法(技術的思想)が全く異なるものである。

【0020】
そして、本発明の機能性材料の場合には、繊維含有インキを印刷することによって流路を形成するので、以下のような点が優れている。

【0021】
まず、従来技術では、流路を形成するためにワックスプリンティング法やフォトリソグラフィー法等が使用されるが、かかる方法の場合、複雑な工程が必要となる。
一方、本発明の機能性材料では、繊維含有インキを基材に印刷するだけであるので、流路を簡単に形成することができる。

【0022】
また、従来技術では、紙に不透水性の部分を形成するものの、透水性の部分の性質は、元の紙のままである。したがって、検査器具として使用した場合、液体試料中の所望の成分以外の夾雑物成分も一緒に供給されるので検出精度が低くなる。
一方、本発明の機能性材料では、繊維含有インキに繊維以外の物質を混入させることができるので、流路に液体を浸透する以外の機能を追加することができる。具体的には、不透水性の繊維を混入させることによって、流路にフィルタ効果を付与することができる。すると、検査器具として使用した場合、液体試料中の夾雑物等を除去した状態の液体試料を流路部の先端に到達させることができるので、高い精度で液体試料中に存在する所望の成分を検出することができるという利点が得られる。
また、繊維含有インキの不透水性の繊維として、繊維径が太い繊維や細い繊維あるいは、繊維長が長い繊維や短い繊維を、所定の割合で配合することによって、流路の空隙量を制御することができる。このため、本発明の機能性材料の流路に液体を供給すれば、液体の浸透速度を制御することができる。

【0023】
以上のように、本発明の機能性材料は、従来技術とは流路を形成する方法(技術的思想)が全く異なり、この発想の相違に基づいて形成される流路の構成の相違から、従来技術よりも優れた効果を奏するのである。

【0024】
なお、本発明の機能性材料を分析に用いる際に機能性材料の流路部に供給する試料は、溶液の状態または液体に溶解させた状態の試料(以下、単に液体試料という)であれば、液体試料中に存在する成分等はとくに限定されない。例えば、血液や、河川などの環境水、工場から排出される工場排水などを挙げることができる。

【0025】
また、本発明の機能性材料は、液体を通す流路部と、この流路部を保持するための基材を備えたものに限定されず、流路部だけからなるものでもよい。例えば、後述するように本発明の機能性材料の流路部を形成したのち、かかる流路部だけをそのまま使用することもできる。
そして、本発明の機能性材料は、基本的に、分散液を塗布するだけという簡便な工程によって本発明の機能性材料を製造することができるので、生産性を向上させることができ、経済的にも優れる。しかも、製造工程が簡便であるので、品質を評価する際の利便性を向上させることができるという利点も有する。

【0026】
以下では、本発明の機能性材料として、液体を通す流路部と、この流路部を保持するための基材を備えたものを代表例として説明する。

【0027】
図1に示すように、本実施形態の機能性材料1(以下、単に機能性材料1という)は、液体を通す流路部10と、この流路部10を保持する基材2を備えたものである。

【0028】
(基材2の説明)
基材2は、その表面2s上に流路部10を配設し保持することができるように形成されたものであれば、その形状および大きさはとくに限定されない。

【0029】
例えば、図1に示すように、平面視長方形の基材2の表面2s上に基材2の長辺方向と平行となるように平面視略Y字状の流路部10を基材2の表面2s上に配設する。このとき、流路部10が基材2の端縁よりも内方に位置するように配設する。かかる状態となるように流路部10を基材2の表面2s上に配設すれば、流路部10が基材2によって保持された状態となる。このため、基材2の流路部10が配設されていない部分を把持して持ち運べば、流路部10に接触することなく所望の場所まで機能性材料1を移動させることができる。このため、機能性材料1の流路部10へのコンタミネーション等を防止することができるので、分析上の観点から好ましい。

【0030】
また、流路部10を移動させる際に流路部10を直接保持しないので、流路部10の破損や機能低下を生じさせるおそれもなくなるので、機能性材料1の取扱性を向上させることができる。しかも、基材2の表面2s上に流路部10を配設するので、後述するように流路部10を成形する際の自由度を向上させることができる。

【0031】
なお、上記例では、機能性材料1の基材2は、その大きさが流路部10よりも大きくなるように形成した場合について説明したが、かかる大きさに限定されず、流路部10と略同じ大きさとなるように形成してもよい。具体的には、基材2は、流路部10の基端部および先端部の端縁10eが、基材2の端縁と略面一(図5参照)または若干外方に位置するように形成してもよいが、詳細については後述する。

【0032】
なお、機能性材料1の基材2の材質は、上述した流路部10をその表面に配設できるものであれば、とくに限定されない。例えば、和紙、包装用紙、板紙、段ボール原紙、ラミネート紙などの紙製のものや、ポリエチレン製フィルム、金属製の板状部材などを挙げることができる。とくに、基材2が親水性材料によって形成されている場合(不透水性材料を含有する場合も含む)には、後述するように流路部10が透水性材料を有していれば、水素結合によって基材2と流路部10が連結される。つまり、基材2が親水性の官能基を有するような場合には、接着剤等を使用しなくても、基材2上に流路部10が設けられた機能性材料1を形成することができる。

【0033】
ただし、基材2の材質として、紙製のものを採用する場合、機能性材料1の流路部10に供給した液体試料が流路部10の内部から基材2との接触面を介して基材2内部に浸透する可能性がある。このため、液体が浸透するような材質のものを採用する場合には、基材2の表面2sが耐水性を有するように形成するのが好ましい。

【0034】
基材2の表面2sが耐水性を有する構造としては、例えば、耐水性を有する耐水層によって表面2sの層を形成することができる。この耐水層は、基材2内部に水などの液体が浸透しないものであれば、その材質はとくに限定されない。例えば、セルロースから形成されたナノファイバーnf(以下、単にセルロースナノファイバーnfという)が絡み合って形成された集合体(以下、セルロースナノファイバー層)や、合成樹脂製のフィルムで形成されたフィルム層などをあげることができる。とくに、基材2の表層にセルロースナノファイバー層を形成すれば、後述するように基材2の表面2sと流路部10を強固に連結させることができるので好ましい。

【0035】
なお、基材2の表面は、略平坦となるように形成すれば、後述する流路部10の厚さを均質にできるので、後述するように、流路部10に供給した液体試料を流路部10内で略均一に移動させることができる。

【0036】
また、本明細書の基材2の表面2sが、特許請求の範囲にいう基材の配設面に相当する。

【0037】
(流路部10の説明)
図2に示すように、流路部10は、透水性材料11と、不透水性材料12を備えている。

【0038】
なお、流路部10は、平面視略I字状や平面視略Y字状(図1参照)、扇状、放射状など、その形状および大きさはとくに限定されない。

【0039】
例えば、図1に示すように、流路部10を平面視略Y字状に形成した場合、流路厚が0.02~5mm程度、流路幅が0.5~50mm程度となるように形成できる。

【0040】
また、流路部10は、その基端部10aが機能性材料1の流路部10に供給された液体試料を一時的に保持することができるように形成されているのが好ましい。

【0041】
例えば、図1に示すように、流路部10の基端部10aを略円形状に形成し、その直径が流路幅よりも若干大きくなるように形成する。かかる形状の基端部10aに液体試料を供給すれば、供給された液体試料を流路部10の基端部10aで一時的に保持したのち、かかる液体試料を流路部10の先端部10b方向に向かって略均質な状態で流路部10内を移動させることができる。

【0042】
なお、図1に示すように、流路部10の先端部10bには、液体試料中の目的成分と反応する検出材料を担持させてもよい。この場合、後述するように、液体試料を機能性材料1の流路部10に供給して流路部10内を基端部10aから先端部10bまで移動させれば、液体試料中に目的成分が存在するか否かを簡便に検出することができる。この検出材料は、液体試料中の目的成分により抗原抗体反応や蛍光反応など様々な反応試薬を適宜選択することができる。

【0043】
(透水性材料11について)
透水性材料11は、水などの液体をその内部に浸透させたり、または、表面に沿って流したりできる性質を有するものであれば、とくに限定されない。
例えば、図2(A)の透水性材料11の拡大図に示すように、複数の細い繊維fが束状になった繊維集合体を挙げることができる。この繊維集合体を構成する各繊維fは、その繊維径や繊維長はとくに限定されないが、例えば、繊維径が1~50μm程度、繊維長が0.1~10mm程度のものを採用することができる。

【0044】
また、上記透水性材料11を形成する繊維fの材質は、とくに限定されず、例えば、綿、麻などの天然素材のもの(天然繊維)や、セルロースを主たる構成成分とするレーヨンや、ポリビニルアルコール(PVA)などの合成樹脂製のもの(化学繊維)などを採用することができる。もちろん、両者を適宜混合したものも使用することができる。

【0045】
(不透水性材料12について)
不透水性材料12は、その内部に水などの液体が浸透しない材質によって形成されたものである。この不透水性材料12は、上述した透水性材料11間に位置するように設けることができるものであれば、その大きさや形状はとくに限定されない。例えば、不透水性材料12としては、塊状や球状、繊維状等の種々の形状を有する材料を採用することができる。

【0046】
また、不透水性材料12の材質は、本発明の機能性材料1の流路部10に供給する液体試料中の成分と反応し難いものであれば、とくに限定されない。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などの合成樹脂製のものや、炭酸カルシウム、二酸化ケイ素などを挙げることができるが、液体試料中に存在する成分等と反応し難いものが好ましい。
例えば、液体試料として血液など動物の体液を用いる場合、これらの液体と反応性の低いPET製の不透水性材料12を使用するのが好ましい。

【0047】
不透水性材料12の原材料としてPETを使用する場合、均質な不透水性材料12を形成することができるという利点を有する。
具体的には、不透水性材料12の原材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)を採用すれば、略同じ太さおよび長さを有する均質な繊維状の不透水性材料12を機械的に形成することができる。この繊維状の不透水性材料12は、その繊維径や繊維長は、とくに限定されない。例えば、繊維状の不透水性材料12は、繊維径が10~500μm程度、繊維長が20μm~5mm程度となるように形成するのが好ましく、より好ましくは繊維径が50~100μm程度、繊維長が50μm~1mm程度となるように形成する。なお、かかる繊維径や繊維長とする理由については、後述する。

【0048】
以上のごとく、本実施形態の機能性材料1の流路部10は、複数の透水性材料11間に複数の不透水性材料12が位置するように形成されている。この流路部10を構成する透水性材料11は、上述したように所定の太さの繊維fを複数束状にして形成することができる。かかる太さの繊維fを束状にして透水性材料11を形成すれば、図2(A)の拡大図および図2(B)に示すように、透水性材料11を形成する繊維f間に微細な隙間(例えば、数μm~数十μm程度)を形成することができる。

【0049】
そして、かかる透水性材料11に水などの液体Lqが接した場合、図2(B)に示すように、液体Lqは、繊維f間に微細な隙間に浸透するように入り込む。そして、一旦繊維f間に入り込んだ液体Lqは、この隙間を形成する繊維f表面と液体Lqとの表面張力等の相互作用によって自動的に隙間を移動させることができる。

【0050】
上記かかる現象が、いわゆる毛細管現象に相当する。このため、繊維f間に浸透した液体Lqの移動距離は、繊維fの表面張力、繊維f表面の濡れ易さ、液体Lqの密度に依存し、とくに、繊維f間の隙間の隙間幅の大きさに依存する。

【0051】
また、図2に示すように、流路部10が不透水性材料12を含有した透水性材料11で形成されている。つまり、透水性材料11の間に不透水性材料12が配置された状態となっているので、透水性材料11と不透水性材料12の間には、複数の空隙10hを形成することができる。この空隙10hは、透水性材料11や不透水性材料12の大きさや形状等の影響を受けるが、その空隙幅が10μm~2mm程度と非常に狭くなるように形成することができる。
しかも、不透水性材料12として透水性材料11より長さが短いものを使用すれば、隣接する空隙10h同士が互いに連通するように複数の空隙10hを形成することができる。すると、流路部10内には、網目状の空隙10hを形成することができる。
このため、流路部10の空隙10h内に液体Lqが接触すれば、透水性材料11と同様に、接触した液体Lqを毛細管作用によって空隙10h内に侵入させることができ、しかも、液体Lqを自動的に空隙10h内に移動させることができる。

【0052】
したがって、機能性材料1の流路部10の基端部10a(図1参照)に液体試料を供給すれば、透水性材料11内(例えば、透水性材料11が複数の繊維fからなる場合、複数の繊維f間の隙間)および空隙10h内(つまり不透水性材料12によって形成された透水性材料11間の空隙10h)に液体試料を浸透させることができる。すると、液体試料は、流路部10内に浸透しながら基端部10aから離れる方向(つまり、流路部10の先端部10b方向)に向かって移動する。つまり、透水性材料11を繊維で形成しかつこの透水性材料11中に不透水性材料12が位置するようにすれば、流路部10に、吸水機能を有するものとすることができる。とくに、透水性材料11だけでは得られない強い吸水機能を付与することができるのである。

【0053】
また、流路部10内の空隙流路は、網目状となるように形成されている。しかも、不透水性材料12は、流路部10内に不均一に(ランダムに)存在しているので、液体試料が流れるための空隙流路の流路幅は、流路方向に向かって変化する(不均一に変化する)ように形成される。

【0054】
すると、流路部10内に液体試料を供給すれば、液体試料が隙間流路と網目状の空隙流路を移動する間に、フィルター効果によって液体試料中に存在する複数の成分をその大きさによって篩分けすることができる。つまり、流路部10にフィルター機能が付与されるから、液体試料中に存在する目的成分と目的成分以外の成分(目的外成分)とを分離除去することができる。

【0055】
以上のように、本実施形態の機能性材料1の流路部10は、平面的、つまり2次元的な形状としつつ、吸水機能とフィルター機能を有するように形成されている。すると、フィルター機能を付与するためにフォトリソグラフィー法の技術を用いた複雑な3次元構造の流路部を形成する必要もない。したがって、3次元構造を有する流路部の流路長に比べて、流路長を短くできるから、供給する液体試料の量を少なくすることができる。

【0056】
また、液体試料が毛細管現象により流路部10内を移動する。すると、機能性材料1を立てて配置しても、液体試料は流路部10内を移動する。例えば、図1に示すように、平面視略Y字状の流路部10において、その基端部10aが下方に位置するように機能性材料1を立てて配置する。この場合でも、液体試料を流路部10の基端部10aから先端部10b方向に向かって移動させることができる。
つまり、本実施形態の機能性材料1は、使用する際に、その配置が水平方向に限定されない。このため、液体試料を流路部10へ供給した後の機能性材料1の配置の自由度を向上させることができる。例えば、実験台において、複数の流路部10に液体試料を供給した後、流路部10内に液体試料を移動させる間、機能性材料1を立てた状態とすれば、実験台上に作業スペースを確保できる。

【0057】
上述した透水性材料11内の隙間と流路部10内の空隙10hが、それぞれ液体試料が流れるための流路(それぞれ、以下、隙間流路と空隙流路という)に相当する。

【0058】
(透水性材料11または不透水性材料12の混合割合について)
上述したように、流路部10を、透水性材料11と不透水性材料12によって形成しているので、上述した空隙流路の流路幅は、透水性材料11と不透水性材料12の混合割合や不透水性材料12の大きさ等を調整すれば、適宜調整することができる。
また、流路部10内の空隙率も同様に透水性材料11と不透水性材料12の混合割合や不透水性材料12の大きさ等を調整することによって、所望の値となるように調整することができる。しかも、この空隙率の変化に伴って吸水性も変化する。

【0059】
(他の実施形態)
上述したように、機能性材料1は、図1に示すように流路部10の基端と先端が基材2の端縁から内方に位置するように形成されたものの他、図5に示すように、流路部10の基端10eと先端10eが基材2の端縁と略面一となるように形成してもよい。

【0060】
例えば、図5に示すように、平面視長方形の基材2の表面2s上に基材2の長辺方向と平行となるように平面視略Y字状の流路部10を配設する。このとき、図5(B)に示すように、機能性材料1の側面視において、流路部10のY字状の基端部の基端縁10eと基材2の短辺が略面一となるように流路部10を基材2の表面2s上に配設する。一方、流路部10のY字状の一対の先端部の先端縁10eも基端部の基端縁10eと同様にそれぞれが基材2の長辺と略面一となるように流路部10を基材2の表面2s上に配設する。

【0061】
かかる構造とすれば、基材2の流路部10の基端10eが位置する短辺部を液体試料に接するように浸漬させるだけで、簡単に流路部10に液体試料を供給することができる。しかも、供給した液体試料を途中の分岐点で分液した状態で流路部10の一対の先端10eからそれぞれ排出することができる。
その逆に、流路部10の一対の先端10eが位置する基材2のそれぞれの長辺部を、それぞれ異なる液体試料に接するように浸漬させれば、両液体を混合した状態で流路部10の基端10eから排出することができる。

【0062】
このため、分析経路の一部に機能性材料1を配置するだけで、上述したように液体試料中に存在する目的成分を分離精製することが可能となる。しかも、流路部10の基端部に液体試料を保持させたり、先端部に検出材料を担持させたりする必要もないので、機能性材料1の構造を簡単にすることができるという利点がある。

【0063】
(ナノファイバーnfを用いた機能性材料1の説明)
上記例では、本実施形態の機能性材料1の流路部10は、透水性材料11と、この透水性材料11間に設けられる不透水性材料12からなる場合について説明したが、流路部10が液体を通すことができ、かつ上述したように液体試料中に存在する目的成分を分離精製することができるものであれば、上述した透水性材料11に限定されず、例えば、透水性材料11に替えて後述するナノファイバーからなるナノファイバー層を使用することができる。以下、具体的に説明する。

【0064】
なお、流路部10を構成する、基材2、不透水性材料12の構造は、上述したものと同様の構造を有するものであるので、以下の説明では割愛する。

【0065】
図3および図4に示すように、機能性材料1の流路部10は、ナノファイバーnfからなるナノファイバー層21と、このナノファイバー層21間に混入した不透水性材料12とから形成されている。

【0066】
図4(A)に示すように、流路部10のナノファイバー層21は、ナノファイバーnfが絡み合って集合した集合体であり、流路部10の表面および不透水性材料12を覆うように形成されている。このナノファイバー層21を形成するナノファイバーnfは、後述するように非常に細い繊維であるので、かかる繊維が絡みあうように形成された集合体は透水性が非常に低くなる。このため、液体試料を機能性材料1の流路部10に供給しその内部を移動させた場合でも、液体試料が流路部10の内部から外部へ漏洩するのを防止できる。

【0067】
また、図4に示すように、流路部10内において、複数の不透水性材料12がナノファイバー層21によって束ねられている。この束ねられた不透水性材料12間には、上述した空隙10hと同様の隙間を形成することができる。

【0068】
このため、かかる空隙10hを機能性材料1の流路部10に供給された液体試料が移動する際の流路として機能させることができる。しかも、かかる流路は、その流路が非常に狭いので、液体試料を毛細管現象によって浸透させながら流路部10内の空隙10h間を移動させることができる。そして、かかる流路は、上述した空隙流路と同様に網目状に形成されている。
すると、かかる流路を移動する液体試料は、流路部10に透水性材料11を用いた場合と同様に、フィルター効果によって液体試料中に存在する複数の成分をその大きさによって篩分けすることができる。

【0069】
したがって、機能性材料1の流路部10を構成する材料として、ナノファイバーnfからなるナノファイバー層21を用いた場合でも、透水性材料11を用いた場合と同様に流路部10に対して吸水機能およびフィルター機能を付与することができる。

【0070】
(親水性の官能基について)
なお、流路部10のナノファイバー層21としては、その表面に親水性の官能基を有するものが好ましい。
そして、かかるナノファイバー層21を使用した場合、基材2の表面2sが親水性の官能基を有する膜等が形成されているのが好ましい。

【0071】
この場合、流路部10の表面を有するナノファイバー層21と基材2の表面2sには、複数の親水性の官能基が覆うように設けられた状態となっている。そして、両官能基同士が接触すれば、互いに水素結合によって強力に結合する。
このため、流路部10を基材2の表面2s上に塗布等によって配設するだけで、流路部10と基材2を確実に連結させることができる。すると、流路部10を基材2の表面2sに連結するための有機溶剤等を使用した接着剤等が不要となる。この場合、接着剤の溶剤等が流路部10内に浸透することによって流路部10内を汚染するのを防止できるので、液体試料を分析する際の分析精度を、接着剤等を使用する場合に比べて、向上させることができる。

【0072】
なお、表面に親水性の官能基を有するナノファイバー層21は、セルロースナノファイバーnfからなるものを用いるのが好ましい。このセルロースナノファイバーnfは、パルプ等を機械を用いて処理することによって簡単に得ることができる。原料となるパルプ等の主成分はセルロースが主成分であり、セルロースには、多数の水酸基が存在する。このため、合成樹脂製のナノファイバーnfの表面に化学的に親水性の水酸基を結合させる場合に比べて、簡便に入手できるし、経済的でもある。

【0073】
しかも、セルロースナノファイバーnfは、その表面に多数の水酸基を有するので、一般的な合成樹脂製のナノファイバーnfに化学的に親水性の官能基を結合させたものに比べて親水性が高い。つまり、水に濡れやすいという性質を有する。したがって、流路部10のナノファイバー層21をセルロースナノファイバーnfを用いて形成した場合、液体試料がナノファイバー層21間に形成された空隙10h(つまり、空隙流路)を流れる際に発生する毛細管作用をより向上させることができる。

【0074】
ここで、親水性の官能基としては、一般的に用いられる、水酸基、カルボキシル基などを挙げることができる。

【0075】
なお、上述した透水性材料11の表面に上述した親水性の官能基を有するようにしもよいのは言うまでもない。例えば、透水性材料11として、その表面に親水性の官能基を有するものを使用する。そして、かかる透水性材料11を使用した場合、基材2の表面2sに親水性の官能基を有す膜を形成する。すると、上述した場合と同様の効果を奏する。

【0076】
また、上述したセルロースナノファイバーnfは、パルプ等を機械的に処理して得られるものや、化学的に処理して得られるもの、ポリエチレン等の合成樹脂製を溶解させたものを機械的に処理して得られるもののほか、生物由来のバクテリアセルロースなど、様々な方法によって得られたものを用いることができる。
例えば、パルプを機械的に処理して得られるセルロースナノファイバーnfは、平均繊維径が1~100nm程度、平均繊維長が100nm~1μm程度である。

【0077】
(機能性材料1の製造方法)
上述したように本実施形態の機能性材料1は、流路部10を基材2の表面2sに配設するようにして形成される。また、流路部10を構成する透水性材料11またはナノファイバー層21および不透水性材料12は、上述したように様々な材質、大きさのものを使用することができる。

【0078】
以下では、ナノファイバーnfからなるナノファイバー層21とこのナノファイバー層21間に混入した不透水性材料12とからなる流路部10を基材2の表面2sに配設した機能性材料1を製造する方法を代表例として説明する。
なお、本実施形態の機能性材料1を製造する方法は、以下の製造方法に限定されないのは言うまでもない。

【0079】
まず、ナノファイバー層21を形成するナノファイバーnfについて説明する。
ナノファイバー層21を形成するナノファイバーnfとしては、原料となるセルロースを主たる構成成分とする繊維を機械的処理によって微細化処理したもの(以下、セルロースナノファイバーnfという)を使用することができる。原料となる繊維を微細化処理する方法はとくに限定されないが、例えば、低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、グラインダー、カッターミル、ジェットミル、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機などを使用して、パルプ繊維をナノファイバーnfとすることができる。

【0080】
前記ナノファイバーnfの原料となる繊維は、パルプ繊維や木粉、植物残渣、製紙残渣のように、セルロースを主たる構成成分とする繊維であればよく、とくに限定されない。

【0081】
つぎに、流路部10の不透水性材料12について説明する。
不透水性材料12は、ナノファイバー層21を形成するナノファイバーnfよりも太い繊維状のPET製の繊維(以下、単にPET繊維という)を使用することができる。
このPET繊維は、上述したように繊維径が10~500μm程度、繊維長が20μm~5mm程度となるように形成するのが好ましく、より好ましくは繊維径が50~100μm程度、繊維長が50μm~1mm程度となるように形成したものを使用することができる。

【0082】
基材2としては、上述したような様々な材質のものを使用することができるが、透水性の材質を使用する場合には、その表面2sが不透水性の膜などで覆われたものを使用することができ、例えば、紙製の紙基材2を使用する場合には、上述したセルロースナノファイバーnfを塗工したものを使用することができる。セルロースナノファイバーnfを紙製の基材2の面上に塗工することによって、基材2の表面2sにセルロースナノファイバー層を形成することができる。つまり、紙製の基材2にセルロースナノファイバーを塗工するだけで、基材2に必要な耐水性を簡単に付与することができるのである。かかる塗工面に流路部10を配設した状態において、機能性材料1を使用しても流路部10に供給した液体試料が流路部10内から漏洩し紙基材2内へ侵入するのを防止できる。

【0083】
しかも、セルロースナノファイバーnfは、その表面に親水性の官能基である水酸基を多数有するので、セルロースナノファイバーnf層21を備えた流路部10を基材2の表面2sに配設すれば、両者を水素結合で強固に連結させることができる。

【0084】
つぎに、上記方法で得られたセルロースナノファイバーnfとPET繊維を水に分散させて、分散液を形成する。

【0085】
分散液中のセルロースナノファイバーnfの濃度は、機能性材料1の流路部10を成形する際の成形性に合わせて、調整すればよい。しかし、セルロースナノファイバーnfの濃度が0.1重量%よりも少なくなると、紙基材2に分散液を塗布した際の流路部10の形状を維持することが難しくなる一方、セルロースナノファイバーnfの濃度が5重量%よりも多くなると粘性が高くなり後述するスクリーン印刷機を用いて成形する際に転写部に設けられたオープニング上に絡み合って流路部10を成形できなくなったり、水分を抱き込みすぎて流路部10の乾燥が難しくなったり、乾燥後の流路部10の形状を維持するのが難しくなる。したがって、分散液のセルロースナノファイバーnfの濃度は、0.1以上、5重量%以下、好ましくは0.5~3重量%、より好ましくは1~2重量%となるように調製する。

【0086】
また、セルロースナノファイバーnfと不透水性材料12の配合割合は、流路部10の吸水性や、液体試料中の目的成分の大きさ等によって、適宜調整することができる。例えば、図4に示すように、不透水性材料12の配合割合を徐々に少なくすることによって(図4では(A)(B)(C)の順に配合割合が少なくなる)セルロースナノファイバー層21間に形成された空隙10h率を調整することができる。

【0087】
得られ分散液は、基材2を水平に配置して、その上面に分散液を供給する。分散液を供給する方法としては、スクリーン印刷技術を用いて分散液を塗布する方法、スプレーを用いて分散液を塗布する方法、凹印刷技術を用いる方法、フレキソ印刷技術を用いる方法など様々な方法を用いて基材2の表面2sに流路部10を形成することができる。
以下では、上記方法のうち最も簡便な方法であるスクリーン印刷技術を用いて分散液を塗布する方法を説明する。

【0088】
スクリーン印刷機は、一般的に用いられるものを使用することができる。具体的には、スクリーン印刷機は、転写部と、この転写部を囲むように配設された枠とをそなえている。転写部は、表裏を連通する孔(オープニング)が網目状に形成されており、かかるオープニングが感光性樹脂によって覆われている。そして、転写部は、その一部に流路部10の形状の感光性樹脂が存在しない部分を有する。つまり、感光性樹脂が存在しない部分は、転写部の表裏を連通するように複数のオープニングが配設されている。このオープニングは、一般的な大きさのもの、例えば、オープニング径が1.29mmのものを用いることができる。

【0089】
スクリーン印刷機の転写部の下方に紙基材2を配設し、スクリーン印刷機の転写部に分散液を供給する。そして、スクリーン印刷機に設けられたスキージを転写部上面を摺動するように移動させる。すると、分散液は、オープニングを通って所定の形状に基材2の表面2s上に塗布される。

【0090】
分散液が付着した基材2を乾燥すれば、機能性材料1が製造される。この機能性材料1は、基材2の背面(流路部10を配設していない面)を下方に位置するようにして水平に配置した状態の断面視において、基材2の内部層、基材2の表面2sを有する耐水層、流路部10の順となるように形成することができる。そして、この流路部10の内部断面は、例えば、図4に示すように、複数の不透水性材料12がセルロースナノファイバー層21に覆われた状態となるように形成される。そして、セルロースナノファイバー層21間、言い換えれば、セルロースナノファイバー層21に抱き込まれるように配置された不透水性材料12間に、複数の空隙10hが形成される。この空隙10hが流路部10に供給した液体試料が移動する空隙流路となる。

【0091】
なお、乾燥の際に、流路部10のセルロースナノファイバーnfから水分が抜けて収縮するとともに、基材2の表面2s上のナノファイバーnfと接触している部分では、水素結合によりセルロースナノファイバーnf同士の結合が生じる。この両者間の水素結合によって、流路部10を紙基材2に強く連結させることができる。

【0092】
乾燥方法はとくに限定されず、熱を加えながら乾燥する公知の方法等を採用することができる。例えば、熱風による乾燥(送風乾燥)、熱ロール、ホットプレスなどを使用することができる。

【0093】
また、乾燥時間もとくに限定されず、流路部10の状態や機能性材料1の要求性能などに合わせて適宜決定すればよい。例えば、吸水性およびフィルター性を発揮させるのであれば、乾燥後の紙の水分量が0~10%程度となるように乾燥を行えばよい。

【0094】
(流路部10だけからなる機能性材料1の製造方法)
上記例では、基材2の表面2sが耐水性かつ親水性のものを用いた場合について説明したが、基材2の表面2sが耐水性かつ疎水性の材質のものを使用してもよい。
この場合、上記方法によって基材2の表面2sに流路部10を配設して乾燥すれば、流路部10の表面の親水性の官能基と基材2の表面2sの疎水性の官能基は結合しない。このため、接着剤等を用いない場合、基材2の表面2sから所望の形状等に成形した流路部10を簡単に剥がせば、流路部10だけからなる機能性材料1を製造することができる。

【0095】
(機能性液体)
上記例において、セルロースナノファイバーnfとPET繊維を分散させる水が、特許請求の範囲の不透水性材料とナノファイバーとを分散させる液体に相当する。
また、上記分散液、つまり、セルロースナノファイバーnfとPET繊維を水に分散させた分散液が、特許請求の範囲の混合流体および機能性流体に相当する。

【0096】
上記例では、機能性流体は、セルロースナノファイバーnfとPET繊維を水に分散させて形成されている。しかし、機能性流体は、上述したような材料(天然繊維や化学繊維等)からなる透水性材料11と、上述したような材料(ポリエチレンテレフタレート(PET)等)からなる不透水性材料12を水等の液体に分散させて形成してもよい。このような機能性流体をインキのように使用して、スクリーン印刷等の方法よって基材2上に印刷すれば、基材2上に、透水性材料11と不透水性材料12からなる流路部10を形成することができる。しかも、印刷によって流路を形成するので、基材2上に自由に流路を形成することができる。
なお、機能性流体を印刷する対象は、上述したような基材2に限られず、種々の物体上に印刷することができる。

【0097】
とくに、繊維状の材料からなる透水性材料11と繊維状の材料からなる不透水性材料12を水等に分散させた場合には、形成した流路部10内に径が小さい空隙を形成することができる。つまり、毛細管現象により液体を浸透させることができる程度の空隙を繊維間に形成することができる。すると、吸水機能の高い流路部10を形成することができる。
【実施例】
【0098】
本発明の機能性材料の吸水機能およびフィルター機能を確認した。
【実施例】
【0099】
実験では、セルロースナノファイバーと不透水性材料(PET繊維)を分散させた溶液(セルロースナノファイバーの濃度が約1.28重量%)をスクリーン印刷技術を用いて表面が耐水性を有する基材の表面上に流路部を塗布し乾燥して機能性材料を製造した。
【実施例】
【0100】
なお、表面が耐水性を有する基材は、縦5cm、横5cmの紙製の表面を、後述する装置を用いて調整したセルロースナノファイバーを水に分散させた溶液を塗工し乾燥させたものを使用した。かかる溶液は、セルロースナノファイバーを水に分散させて濃度が約2重量%となるように調製したものを使用した。
【実施例】
【0101】
(セルロースナノファイバーの製造方法)
セルロースナノファイバーは、パルプを石臼式摩砕機(増幸産業株式会社製、商品名:スーパーマスコロイダー、型番:MKZA10-15J)を使用して摩砕処理することによって製造した。
【実施例】
【0102】
摩砕は、予備摩砕と本摩砕を行った。
まず、目の粗い砥石(型番:MKE10-46)での予備摩砕を3回実施した。予備摩砕は接触運転で実施し、処理時の電流値は約18Aであった。予備摩砕の後、目の細かい砥石(MKGC10-80)での本摩砕を14回実施した。本摩砕は接触運転で実施し、処理時の電流値は約24Aであった。
このとき製造されたセルロースナノファイバーには、繊維径約10~500nmのものが含まれており、繊維長は約500μm以下のものが含まれていた。
【実施例】
【0103】
なお、上述した基材の表面に塗工したセルロースナノファイバーは、上記装置を用いて本摩砕を30回実施した得られたものを使用した。このとき得られたセルロースナノファイバーは、繊維径が100nm以下であった。
【実施例】
【0104】
(不透水性材料)
不透水性材料は、2種類のPET繊維(帝人株式会社製)を使用した。1つ目のPET繊維(以下、PET繊維(50μm)という)は、繊維径50μm、繊維長50μmのものを使用した。2つ目のPET繊維(以下、PET繊維(100μm)という)は、繊維径50μm、繊維長100μmのものを使用した。
【実施例】
【0105】
上記2種類のPET繊維とセルロースナノファイバーをそれぞれ以下の配合割合(質量割合)となるように混合して溶媒(水)が入ったビーカに入れた。このビーカをよく撹拌してセルロースナノファイバーとPET繊維を溶媒に十分に分散させた分散液を調製した。
セルロースナノファイバー:PET繊維=5:5、4:6、3:7、2:8、1:9
【実施例】
【0106】
調製した分散液をスクリーン印刷版面(東海商事株式会社製、オープニング1293μm、線径400μm)を用いて基材の表面上に平面視I字状の流路部を形成した。そして、基材の表面上に形成した流路部は、室温で静置して乾燥させて、機能性材料を作成した。
なお、乾燥後の機能性材料の水分量は約10%程度であった。
【実施例】
【0107】
(吸水試験)
上記方法によって作成した各機能性材料の吸水機能は、染料を水に溶解させた染料水に浸漬させた際の浸透高さで評価した。
各機能性材料は、その流路部の一方の先端部が染料水に3mm程度浸漬した状態で10分間放置した。
【実施例】
【0108】
(結果)
実験結果を図8に示す。
図8(A)に示すように、PET繊維の混合割合が増加するのに伴い、吸水性が向上することが確認できた。
また、図8(B)に示すように、繊維長の違いによって、吸水性に差が生じることが確認できた。
【実施例】
【0109】
以上の結果から、機能性材料の流路部は、セルロースナノファイバーからなるセルロースナノファイバー層によってPET繊維が覆うように保持されており、セルロースナノファイバー層間、言い換えれば、セルロースナノファイバー層で覆うように保持されたPET繊維同士間に微細な空隙ネットワークが形成されると推察された。
また、かかる微細な空隙ネットワークは、セルロースナノファイバーとPET繊維の混合率を変動することによって調整できることが確認できた。このため、流路部の空隙ネットワークを調整することによって、流路部のフィルター機能も制御すること可能であることが確認した(図3および図4参照)。
【実施例】
【0110】
(フィルター機能)
上記方法によって作成した機能性材料がフィルター機能を有していることを確認した。実験では、機能性材料に固形分を含む液体を滴下して、固形分の移動状況を確認した。
【実施例】
【0111】
機能性材料は、分散液を上記方法(スクリーン印刷技術を用いて分散液を基材に塗布する方法)により作製した。なお、透水性材料と不透水性材料の割合は、80%、20%とした。
【実施例】
【0112】
機能性材料に滴下する液体は、平均粒子径4μmの顔料(黒色)を水に1%混合して調製した。
【実施例】
【0113】
(結果)
実験結果を図9~図12に示す。
図9~図12に示すように、液体を滴下した直後は浸透速度(つまり浸透距離)が速いが分離効果は低く、黒い色の領域が広がっていることが確認できる(図9、図10)。
時間の経過とともに浸透距離が長くなり、液体を滴下した位置から離れた位置まで液体が浸透していることが確認できる(図11、図12)。しかし、色がついている部分は液体が滴下された位置近傍に留まり、液体が滴下された位置から離れた位置では、液体が浸透している部分に色がついていない。つまり、液体は浸透しているものの、液体に含まれている顔料の移動を防いでいることが確認できる。この結果から、本発明の機能性材料の流路部は、液体は通すが液体に含有される固形分の移動を防ぐ機能、いわゆるフィルター機能を有していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明の機能性材料は、医学や、生化学、薬学、化学、環境などの分野において、試料の分析に使用する材料として適している。
【符号の説明】
【0115】
1 機能性材料
2 基材
2s 基材の表面
10 流路部
10h 流路部内の空隙
11 透水性材料
12 不透水性材料
21 ナノファイバー層
nf ナノファイバー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11