TOP > 国内特許検索 > 発光性・半導体性能を発現するクマリン系縮環化合物およびその製造方法 > 明細書

明細書 :発光性・半導体性能を発現するクマリン系縮環化合物およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月20日(2017.4.20)
発明の名称または考案の名称 発光性・半導体性能を発現するクマリン系縮環化合物およびその製造方法
国際特許分類 C07D 311/78        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C07D 311/78 CSP
H05B 33/14 B
国際予備審査の請求
全頁数 42
出願番号 特願2016-529634 (P2016-529634)
国際出願番号 PCT/JP2015/068233
国際公開番号 WO2015/199141
国際出願日 平成27年6月24日(2015.6.24)
国際公開日 平成27年12月30日(2015.12.30)
優先権出願番号 2014130939
優先日 平成26年6月26日(2014.6.26)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】山路 稔
出願人 【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100100549、【弁理士】、【氏名又は名称】川口 嘉之
【識別番号】100126505、【弁理士】、【氏名又は名称】佐貫 伸一
審査請求 未請求
テーマコード 3K107
4C062
Fターム 3K107AA01
3K107BB01
3K107CC04
3K107CC06
3K107CC21
3K107CC22
3K107CC23
3K107CC45
3K107DD59
3K107DD66
4C062HH66
要約 本発明は、高電圧や酸素等の外部環境に耐性があり、電子材料や青色発光素子として使用できる有機化合物およびその製造方法を提供することを課題とする。下記の一般式(1)で表されるクマリン縮環化合物により課題を解決する。
JP2015199141A1_000053t.gif
式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式(1)乃至(4)のいずれかで表されるクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物。
【化1】
JP2015199141A1_000047t.gif
式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
【化2】
JP2015199141A1_000048t.gif
式(2)中、mは1~7の整数、nは2~7の整数である。
【化3】
JP2015199141A1_000049t.gif
式(3)中、nは2~7の整数である。
【化4】
JP2015199141A1_000050t.gif
式(4)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が式(5)で表される請求項1に記載のクマリン縮環化合物。
【化5】
JP2015199141A1_000051t.gif
式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、nは2~7の整数である。
【請求項3】
前記一般式(1)または(5)において、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基である、請求項1または2記載のクマリン縮環化合物。
【請求項4】
前記一般式(2)において、nが2~5である、請求項1または3記載のクマリン縮環化合物。
【請求項5】
前記一般式(3)において、nが2~5である、請求項1または3記載のクマリン縮環化合物。
【請求項6】
前記一般式(5)において、nが2~5である、請求項2または3に記載のクマリン縮環化合物。
【請求項7】
前記一般式(4)で表される化合物が、一般式(6)で表される化合物である、請求項1記載のイソクマリン縮環化合物。
【化6】
JP2015199141A1_000052t.gif
式(4)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、nは2~7の整数である。
【請求項8】
前記一般式(4)または(6)において、R3がヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基である、請求項1または7記載のイソクマリン縮環化合物。
【請求項9】
前記一般式(6)において、nが2~5である、請求項7または8記載のイソクマリン縮環化合物。
【請求項10】
酸化剤の存在下、光反応前駆体に光を照射する光縮合工程を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
【請求項11】
前記酸化剤がO2およびI2である、請求項10記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
【請求項12】
前記光縮合工程において長波長紫外線および/または中波長紫外線を含む光を照射する、請求項10または11記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか1項に記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物を含む有機層を具備する有機ELデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な発光性有機材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光(EL)デバイスの発光層として用いられる有機化合物には、高電圧、酸素、光、水分などの外部環境に対する堅牢性と、大きな発光効率を有する事が同時に要求される。そのため、堅牢性と高発光性の両方を兼ね備えた分子の設計・開発が望まれている。
クマリンはケイ光を発しない分子であるが、置換基を導入する事により、ケイ光が観測される事が知られている。例えば、クマリン骨格の7位にジエチルアミノ基を導入した分子(クマリン466)やジェロリジン骨格を有するクマリン誘導体(クマリン102)はケイ光プローブや色素として知られている。また、赤色に高輝度で発光するクマリン系化合物や、高信頼性を有することを目的として公知の材料に化学修飾を加えた含クマリン発光性有機材料について報告がされている(特許文献1、特許文献2)。他にも、3-フェニルクマリンや3-フェニルイソクマリンなどもケイ光性発光化合物として知られており、イソクマリン系化合物のケイ光物質も報告されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2001-81347号公報
【特許文献2】特開2005-139390号公報
【特許文献3】特開2005-232104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、既存のケイ光性クマリン誘導体では、高電圧や酸素などの外部環境への耐性が低く、電子デバイスとして用いることは困難であることが多い。特に、青色の有機EL素子には、他の色よりさらに高電圧に耐えうる堅牢性が求められる。上述したように、強固な分子骨格を構築するために、公知の材料に化学修飾を加えることが提案されているが、置換基の導入によりケイ光に赤色シフトが生じ、所望の発光が得られなくなる場合がある。
従って、本発明は、高電圧や酸素等の外部環境に耐性があり、電子材料や青色発光素子として使用できる有機化合物およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ケイ光性クマリン骨格またはイソクマリン骨格のC3-C4位および/またはC7-8位にベンゼン環を光縮環し、ジグザグに配列することで、ケイ光性を有し外部環境に対する堅牢性が高いことが期待される新規なクマリン誘導体またはイソクマリン誘導体が得られることに想到し、新規なクマリン縮環化合物およびイソクマリン縮環化合物並びにその合成法の開発に成功した。
【0006】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 下記の一般式(1)乃至(4)のいずれかで表されるクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物。
【化1】
JP2015199141A1_000003t.gif
式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
【化2】
JP2015199141A1_000004t.gif
式(2)中、mは1~7の整数、nは2~7の整数である。
【化3】
JP2015199141A1_000005t.gif
式(3)中、nは2~7の整数である。
【化4】
JP2015199141A1_000006t.gif
式(4)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
[2] 前記一般式(1)で表される化合物が式(5)で表される[1]に記載のクマリン縮環化合物。
【化5】
JP2015199141A1_000007t.gif
式(5)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、nは2~7の整数である。
[3] 前記一般式(1)または(5)において、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基である、[1]または[2]記載のクマリン縮環化合物。
[4] 前記一般式(2)において、nが2~5である、[1]または[3]記載のクマリン縮環化合物。
[5] 前記一般式(3)において、nが2~5である、[1]または[3]記載のクマリン縮環化合物。
[6] 前記一般式(5)において、nが2~5である、[2]または[3]に記載のクマリン縮環化合物。
[7] 前記一般式(4)で表される化合物が、一般式(6)で表される化合物である、[1]記載のイソクマリン縮環化合物。
【化6】
JP2015199141A1_000008t.gif
式(6)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、nは2~7の整数である。
[8] 前記一般式(4)または(6)において、R3がヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基である、[1]または[7]のイソクマリン縮環化合物。
[9] 前記一般式(6)において、nが2~5である、[7]または[8]記載のイソクマリン縮環化合物。
[10] 酸化剤の存在下、光反応前駆体に光を照射する光縮合工程を有する、[1]~[9]のいずれかに記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
[11] 前記酸化剤がO2およびI2である、[10]記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
[12] 前記光縮合工程において長波長紫外線および/または中波長紫外線を含む光を照射する、[10]または[11]記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物の製造方法。
[13] [1]~[9]のいずれかに記載のクマリン縮環化合物またはイソクマリン縮環化合物を含む有機層を具備する有機ELデバイス。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、発光性・半導体性能を発現するクマリン縮環化合物、イソクマリン縮環化合物並びにその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、式(7)乃至(10)で表されるクマリン縮環化合物および7-メトキシクマリンのアセトニトリル中の吸収・ケイ光スペクトルである。
【図2】図2は、式(8)、式(11)、式(12)で表されるクマリン縮環化合物のアセトニトリル中の吸収・ケイ光スペクトルである。
【図3】図3は、式(15)、式(16)で表されるクマリン縮環化合物のアセトニトリル中の吸収・ケイ光スペクトルである。
【図4】図4は、式(7)乃至(12)、(15)乃至(16)で表されるクマリン縮環化合物、および7-メトキシクマリンのケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を示したグラフである。
【図5】図5は、式(7)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図6】図6は、式(8)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図7】図7は、式(9)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図8】図8は、式(10)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図9】図9は、式(11)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図10】図10は、式(12)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【図11】図11は、式(15)で表されるクマリン縮環化合物のCDCl3中の400MHz NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。ただし、本発明は本明細書に明示的または黙示的に記載された実施形態に限定されるものではない。
また、クマリン縮環化合物およびイソクマリン縮環化合物をクマリン系縮環化合物と表記することがある。

【0010】
<クマリン縮環化合物>
本発明に係るクマリン縮環化合物は、上記一般式(1)乃至(3)のいずれかで表される化合物であり、式(1)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。また、式(2)中、mは1~7の整数、nは2~7の整数であり、式(3)中、nは2~7の整数である。
上記一般式(1)のアルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基における、アルキル基の炭素数は好ましくは1~5であり、より好ましくは1~3であり、直鎖でも分岐鎖でも環状でもよい。
また、上記一般式(1)中のArがフェナセン構造である、上記一般式(5)で表されるクマリン系縮環化合物は堅牢性が特に高く、好ましい。式(5)中、nは2~7である。
また、発光効率の観点から、上記一般式(1)において、R1~R4の1つ以上はヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であることが好ましく、式(5)においてnは2~5であることが好ましい。中でも、R3がメトキシ基、nが2~5である7-メトキシクマリン誘導体であるクマリン縮環化合物は、高い発光効率が得られるため、特に好ましい。
さらに、式(1)中Arで表される縮環部位への、ハロゲンやニトロ基、シアノ基、トシル基、アシル基、トリフルオロメチル基などの電子吸引性の置換基の導入や、式(2)のm個延伸した縮環部位へのヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基などの電子供与基の導入は、ケイ光性が向上する可能性がある。
フェナセンのような多環縮環構造をクマリン骨格またはイソクマリン骨格に導入する上記構成とすることで、高電圧や酸素に対して大きな耐性を得ることが期待できる。また、縮環したベンゼン環の数が増加しても長波長側へのシフトが少なく、クマリンまたはイソクマリン由来の青色発光を得ることができ、青色有機EL材料に要求される380~460nmの波長領域での発光が可能となる。これは、フェナセンの特徴であるHOMO-LUMOギャップをクマリン縮環化合物でも引き継いでいるためであると推察される。さらに、縮環したベンゼン環の数を変化させ、構造を変えることにより、ケイ光の物理特性、すなわち、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を変化させることができる。ベンゼン環の増加につれて、分子内での電荷移動によるケイ光収率の増加が予想され、電子デバイス材料としたときの電子移動度の制御が期待できる。

【0011】
上記一般式(1)で表される化合物の具体例としては、下記構造式(7)~(16)で示される化合物が挙げられる。
【化7】
JP2015199141A1_000009t.gif
【化8】
JP2015199141A1_000010t.gif
【化9】
JP2015199141A1_000011t.gif
【化10】
JP2015199141A1_000012t.gif
【化11】
JP2015199141A1_000013t.gif
【化12】
JP2015199141A1_000014t.gif
【化13】
JP2015199141A1_000015t.gif
【化14】
JP2015199141A1_000016t.gif
【化15】
JP2015199141A1_000017t.gif
【化16】
JP2015199141A1_000018t.gif

【0012】
ベンゼン環がジグザグに配列したフェナセン骨格を有する芳香族化合物は、高電圧や酸素に対して耐性のある縮環化合物として知られている。一方、これまで、クマリン系化合物にフェナセン骨格のような縮環構造を導入した分子は知られていない。本発明者は、既存のケイ光性クマリン系骨格に光を用いて縮環反応させることで、上記の発光性・半導体性能を有するクマリン系縮環化合物を製造できることを見出した。
本発明の実施の態様に係るクマリン縮環化合物は、酸化剤の存在下、光を照射する光縮合プロセスを有する製造方法により容易に得られる。本発明の実施の態様に係る製造方法により、多段階となる一般的な合成方法より少ない工程数で、電子材料や青色発光素子として使用できる有機化合物の製造が可能となる。また、光縮合プロセスは短時間で反応が終了するので、これを用いることにより有機ELデバイスの製造も短時間で製造が可能となる。
本発明の実施の態様に係るクマリン縮環化合物は、具体的には、次のような反応式により製造される。

【0013】
【化17】
JP2015199141A1_000019t.gif

【0014】
クマリン骨格をもつ7-メトキシ-4-メチルクマリンを出発原料として、N-ブロモスクシンイミド(NBS)で4位のメチル基をブロモ化する。次いで、トリフェニルフォスフィン(PPh3)によりフォスフォニウム塩とし、1-ナフトアルデヒドとウィティッヒ反応させ、光反応前駆体を合成し、OとIの存在下、光反応前駆体に308nmの光を照射することで、式(8)で示されるクマリン縮環化合物が得られる。

【0015】
上記の合成例では、市販されている7-メトキシ-4-メチルクマリンを原料物質とした例で説明したが、原料物質は、市販されている7-メトキシ-4-ブロモメチルクマリンを用いることもできるし、公知の方法で調製してもよい。なお、本発明において、光反応前駆体とはクマリン骨格又はイソクマリン骨格を有し、該骨格の4位および/または8位の炭素に炭素-炭素二重結合の炭素の1つが結合しており、酸化剤の存在下、光を照射することにより、C3-C4位および/またはC7-C8位にベンゼン環を光縮環する化合物をいう。

【0016】
上記反応で使用することのできる溶媒としては、シクロヘキセンやトルエンなどの、目的とする光縮合反応に悪影響を及ぼさない溶媒を挙げることができる。

【0017】
本発明に係る製造方法において光縮合条件は、クマリン骨格を分解することなく縮合できるものであれば、特に限定されない。照射する光は、波長が220nm以上、400nm以下の光を含むものが好適である。波長が400~320nm程度の長波長紫外線および波長が320~280nm程度の中波長紫外線が効率良く基質に吸収されるため、好適である。照射する光は、単一光である必要はなく、様々な波長を含む水銀灯、ブラックライトランプ、ナトリウムランプ、白色灯などを用いることができる。照射する光は、長波長紫外線と中波長紫外線の両方が含まれるものであってもよい。照射時間は10~40時間程度である。

【0018】
上記製造方法の光縮合プロセスは、酸化剤の存在下で行うことが好ましい。酸化剤としては、O2とI2が挙げられる。酸化剤のO2は大気圧下室温で溶媒に溶解している程度の濃度(約10-3mol・dm-3)で有ればよく、I2は触媒量加えればよい。

【0019】
また、光縮合プロセスにおいては増感剤を用いることが好ましい。増感剤としては、9-フルオレノンなどを用いることができる。増感剤は、光反応前駆体に対して、等倍モル以上用いることが好ましい。上記増感剤は、長波長紫外線および/または中波長紫外線を良好に吸収するので、反応効率が向上する。増感剤を用いても、生成する化合物から容易に分離することができるので、比較的多量に用いても、クマリン縮環化合物に混入し難く、純度の高いものが得られる。

【0020】
本発明の実施の態様においては、光縮合プロセスの後、溶液を濾過により濾別された生成物を精製することが好ましい。精製方法は特に限定されず、カラムクロマトグラフィや昇華などが挙げられる。中でも、カラムクロマトグラフィで精製することが好ましい。精製により、純度は99.9%以上とすることが好ましく、99.99%以上とすることがより好ましい。純度の高いクマリン縮環化合物は、ELデバイスとしたときに発光を効率よく利用できる。純度は、ケイ光励起スペクトルと吸収スペクトルの一致により求めることができる。

【0021】
<イソクマリン縮環化合物>
本発明に係るイソクマリン縮環化合物は、上記一般式(4)で示される化合物であり、式(4)中、R1~R4はそれぞれ独立に、水素、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であり、Arは置換基を有していてもよい芳香族環または複素芳香族環を表している。但し、R1~R4が全て水素の場合、Arはベンゼン環ではない。
アルコキシ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、トリアルキルアミノ基における、アルキル基の炭素数は好ましくは1~5であり、より好ましくは1~3であり、直鎖でも分岐鎖でも環状でもよい。
また、上記一般式(4)において、R1~R4の1つ以上はヒドロキシル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはシアノ基であることが好ましく、nは2~7であることが好ましい。
また、Arがフェナセン構造である、上記一般式(6)で表されるイソクマリン縮環化合物は、強いケイ光を発するので、好ましい。式(6)中、nは2~7の整数であり、好ましくは2~5である。

【0022】
上記一般式(4)の具体例としては、下記構造式(17)~(19)で示される化合物が挙げられる。
【化18】
JP2015199141A1_000020t.gif
【化19】
JP2015199141A1_000021t.gif
【化20】
JP2015199141A1_000022t.gif
上記の発光性・半導体性能を有するイソクマリン縮環化合物は、既存のイソクマリン骨格に、光を用いて縮環反応させることで製造することができる。具体的には、次のような反応式により製造される。

【0023】
【化21】
JP2015199141A1_000023t.gif

【0024】
イソクマリン骨格をもつメチルイソクマリンを出発原料として、O2とI2の存在下、光反応前駆体に308nmの光を照射することで、式(18)で示されるイソクマリン縮環化合物が得られる。

【0025】
原料物質のメチルイソクマリンは、例えばOrg. Lett. 8(2006)5829頁-5832頁記載の下記の方法で合成することができる。
【化22】
JP2015199141A1_000024t.gif

【0026】
上記光縮環反応で使用することのできる溶媒としては、トルエンやシクロヘキサンなどの、目的とする光縮合反応に悪影響を及ぼさない溶媒を挙げることができる。光縮合条件は、イソクマリン骨格を分解することなく、縮合できるものであれば、特に限定されない。

【0027】
照射する光は、波長が280nm以上、400nm以下の光を含むものが好適である。波長が400~320nm程度の長波長紫外線および波長が320~280nm程度の中波長紫外線が効率良く基質に吸収されるため、好適である。照射する光は、単一光である必要はなく、様々な波長を含む水銀灯、ブラックライトランプ、ナトリウムランプ、白色灯などを用いることができる。照射する光は、長波長紫外線と中波長紫外線の両方が含まれるものであってもよい。照射時間は10~40時間程度である。

【0028】
上記製造方法の光縮合プロセスは、酸化剤の存在下で行うことが好ましい。酸化剤としては、O2とI2が挙げられる。酸化剤のO2は大気圧下、室温で溶媒に溶解している程度の濃度(約10-3mol・dm-3)で有ればよく、I2は触媒量加えればよい。

【0029】
また、光縮合プロセスにおいては増感剤を用いることが好ましい。増感剤としては、9-フルオレノンなどを用いることができる。増感剤は、縮環反応基質に対して、等倍モル以上用いることが好ましい。上記増感剤は、長波長紫外線および/または中波長紫外線を良好に吸収するので、反応効率が向上する。増感剤を用いても、生成する化合物から容易に分離することができるので、比較的多量に用いても、イソクマリン縮環化合物に混入し難く、純度の高いものが得られる。

【0030】
本発明の実施の態様においては、光照射の後、溶媒を減圧留去した後、生成物を精製することが好ましい。精製方法は特に限定されず、カラムクロマトグラフィや昇華法、再結晶などが挙げられる。中でも、カラムクロマトグラフィで精製することが好ましい。
カラムクロマトグラフィ展開溶媒としては、ヘキサンとクロロホルムや、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒などを好適に用いることができる。
再結晶の溶媒としては、クロロホルムやトルエンを好適に用いることができる。
純度の高いイソクマリン縮環化合物は、有機ELデバイスとしたときに発光を効率よく利用できる。イソクマリン縮環化合物は精製し、純度99.99%以上とすることが好ましい。

【0031】
<有機ELデバイス>
本発明のクマリン縮環化合物およびイソクマリン縮環化合物は、380~460nmの波長領域で発光し、堅牢性も有していると予想できることから、青色有機EL材料として好適に使用できる。また、ケイ光性のみならず、n型半導体動作を示すことが予想され、電界効果トランジスタの電子輸送層への応用が期待できる。

【0032】
本発明の有機ELデバイスの構成は特に限定されず、通常の構成をとることができる。例えば、基板、陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極を具備する。また、一つの層が2以上の機能を兼備してもよい。本発明のクマリン系縮環化合物を含む有機層は、発光層、電子輸送層、これらを兼備する層に好適に使用できる。

【0033】
本発明の有機ELデバイスの有機層の作製方法は特に限定されないが、本発明に係るクマリン系縮環化合物を、例えば溶媒に溶解させて基材上に塗布することにより作製することができる。塗布方法は、キャスト法、スピンコート法などが挙げられる。溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、デカリン、四塩化炭素、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、アニソール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソフォロン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルフォルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルフォキシド、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノールなどが挙げられる。溶媒は、塗布後、乾燥させることにより除去すればよい。

【0034】
本発明において、基板、陽極、正孔輸送層、電子輸送層、陰極などを形成するための材料としては、一般に有機ELデバイスに用いられているような材料を用いることができる。

【0035】
本発明のクマリン系縮環化合物を用いた有機ELデバイスは、長時間の点灯使用に耐えることが予想できることから、電子写真感光体、フラットパネルディスプレイなどの平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、計器等の光源、各種発光素子、各種表示装置、各種標識、各種アクセサリーなどに使用することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
以下、7-メトキシクマリンはMeOCM[0]、式(7)で表される化合物はMeOCM[2]、式(8)で表される化合物はMeOCM[3]、式(15)で表される化合物はMeOCM[4]、式(16)で表される化合物はMeOCM[5]、式(9)で表される化合物はMeOCM@Phe、式(10)で表される化合物はMeOCM@Py、式(11)で表される化合物はCM[3]、7,8-ベンゾクマリン縮環体である式(12)で表される化合物は[1]CM[3]とも表記する。ここで、PheはPhenanthryl、Pyはpyrenylをそれぞれ意味し、反応前駆体の発色団である。
【実施例】
【0037】
実施例1:式(7)で表されるクマリン縮環化合物
(1)Step1. 4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン フォスフォニウム塩(4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt)の合成
【化23】
JP2015199141A1_000025t.gif
4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン(4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin)2.0g(7.4mmol)、トリフェニルフォスフィン(triphenylphosphine)1.95g(7.4mmol)、キシレン(xylene)75mLを加え、窒素雰囲気下、140℃で一晩還流した。還流後、室温で放冷して、結晶を吸引濾過後、ベンゼン(benzene)で洗浄し、一晩室温で乾燥させ、4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン フォスフォニウム塩を得た。収量は3.43g、収率は88%であった。
(2)Step2.MeOCM縮環体の合成
1-1.Wittig反応による光反応前駆体(化合物A)の合成
【化24】
JP2015199141A1_000026t.gif
4-ブロモメチル-7-メトキシクマリン フォスフォニウム塩(4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt)1.5g(2.8mmol)、ベンズアルデヒド(benzaldehyde)0.30mL(3.0mmol)、クロロホルム(chloroform)30mLを加え、攪拌しながら50%水酸化カリウム(KOH)水溶液を15mL滴下した。窒素雰囲気下、70℃で1時間還流し、化合物Aを合成した。反応溶液を室温まで放冷後、水と飽和食塩水で洗浄した。Hexane : ethyl acetate (78:22,v/v)の混合溶媒を展開溶媒として用いてシリカカラムクロマトグラフにより目的物をEZ異性体の混合物として単離した。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (4:1,v/v)を用いたTLC(薄層クロマトグラフィー)上で、0.14のRf値を有するスポットを示した。収量は0.44g、収率は56%であった。
【実施例】
【0038】
1-2.光照射によるMeOCM[2]の合成
【化25】
JP2015199141A1_000027t.gif
化合物A 0.44g(1.5mmol)、ヨウ素100mgをbenzene500mLに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で32時間照射した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄後、シリカカラムクロマトグラフにより精製を行った。生成物は、展開溶媒としてChloroformを用いたTLC上で、0.49のRf値を有するスポットを示した。NMR測定により目的物の生成を確認した。生成物のNMRスペクトルを図5に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は0.17g、収率は38%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 9.72 (1H, d, J=8.8 Hz), 8.13 (1H, d, J=8.7 Hz), 8.02 (1H, d, J=8.9 Hz), 7.93 (1H, d, J=8.8 Hz), 7.85 (1H, d, J=8.0 Hz), 7.72 (1H, t),7.57 (1H, ddd, J=8.6, 6.9, 1.5 Hz), 7.57 (1H, ddd, J=7.9, 6.9, 1.2 Hz), 6.90 (1H, dd, J=8.9, 2.54 Hz), 6.84 (1H, d), 3.87 (3H, s).
得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4 mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図1に示す。また、図1には7-メトキシクマリンの吸収・ケイ光スペクトルも示す。吸収スペクトルの測定には、日本分光 V-550分光高度計を用いた。ケイ光スペクトルの測定には、Hitachi F-7000ケイ光分光光度計を用いた。得られたクマリン縮環化合物の励起波長は280nmを用いた。7-メトキシクマリンの励起波長は295nmを用いた。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。図4の縦軸は、上段はケイ光収率Φf、中段はケイ光寿命τf/ns、下段はケイ光速度kf/108-1を表し、横軸はベンゼン環の縮環数[n]を表す。ケイ光速度は式kf=Φfτf-1より求めた。なお、ケイ光収率Φfの測定には、絶対PL光量子収率測定装置(Hamamatsu Photonics C9920-02) を用い、各実施例において、得られた化合物の300nmより長波長にある吸光度が最大の吸収極大波長で励起を行った。ケイ光寿命τfの測定には単一光子相関測定装置(Hamamatsu Photonics Quantaurus - TAU System)を用い、各実施例において、310nm、340nmまたは365nmで、得られた化合物の最大吸光度を与える波長を選択して励起波長とした。
【実施例】
【0039】
実施例2:式(8)で表されるクマリン縮環化合物
2-1. Wittig反応による光反応前駆体(化合物B)の合成
【化26】
JP2015199141A1_000028t.gif
4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt0.95g(1.79mmol)、1-ナフトアルデヒド(1-naphthaldehyde)0.26ml(1.90mmol)をchloroform20mLに加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を10mL滴下した。窒素雰囲気下、70℃で3時間還流した。室温まで放冷後、水と飽和食塩水で反応溶液を洗浄した。シリカカラムクロマトグラフにて生成物をEZ異性体の混合物として単離した。収量は0.60g、収率は98%であった。
【実施例】
【0040】
2-2.光照射によるMeOCM[3]の合成
【化27】
JP2015199141A1_000029t.gif
化合物B 0.68g(2.07mmol)、ヨウ素100mgをbenzene500mLに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で40時間照射した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄後、シリカカラムクロマトグラフにより精製を行った。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (1:4,v/v)を用いたTLC上で、0.34のRf値を有するスポットを示した。NMR測定により目的物の生成を確認した。生成物のNMRスペクトルを図6に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は0.18g、収率は30%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 9.79 (1H, d, J=9.4 Hz), 9.13 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.72 (1H, d, J=8.2 Hz), 8.29 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.11 (1H, d, J=9.0 Hz), 8.04 (1H, d, J=9.5 Hz), 7.97 (1H, d, J=7.7 Hz), 7.65-7.74 (2H, m), 6.97 (1H, dd, J = 8.8, 2.4Hz), 6.92 (1H, d, J=2.4 Hz), 3.91 (3H, s).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を312nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図1および図2に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0041】
実施例3:式(9)で表されるクマリン縮環化合物
3-1.Wittign反応による光反応前駆体(化合物C)の合成
【化28】
JP2015199141A1_000030t.gif
4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt 1.6g(3.0mmol)、9-フェナントレンカルボアルデヒド(9-phenanthrenecarbaldehyde)0.62g(3.0mmol)、chloroform30mLを加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を10mL滴下した。窒素雰囲気下、60℃で1時間還流した。室温まで放冷後、反応溶液を水と飽和食塩水で反応溶液を洗浄した。シリカカラムクロマトグラフにてEZ異性体の混合物として単離を行った。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (4:1,v/v)を用いたTLC(薄層クロマトグラフィー)上で、0.24のRf値を有するスポットを示した。収量は0.90g、収率は80%であった。
【実施例】
【0042】
3-2. 光照射によるMeOCM@Pheの合成
【化29】
JP2015199141A1_000031t.gif
化合物C 0.90g(2.37mmol)、ヨウ素100mgをbenzene500mLに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で32時間照射した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄後、シリカカラムクロマトグラフにより単離を行い、Chloroformからの再結晶により精製した。生成物は、展開溶媒としてChloroformを用いたTLC(薄層クロマトグラフィー)上で、0.29のRf値を有するスポットを示した。NMRで目的物を確認した。生成物のNMRスペクトルを図7に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は53mg、収率は6%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 8.87 (1H, d, J=8.7 Hz), 8.56-8.66 (3H, m), 8.39 (1H, d, J=7.7 Hz), 8.19 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.08 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.66-7.72 (3H, m),7.52 (1H, m), 6.95-7.00 (2H, m), 3.93 (3H, s).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を310nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図1に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0043】
実施例4:式(10)で表されるクマリン縮環化合物
4-1.Wittig反応による光反応前駆体(化合物D)の合成
【化30】
JP2015199141A1_000032t.gif
4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt1.6g(3.0mmol)、1-ピレンカルボアルデヒド(1-pyrenecarboxaldehyde)0.76g(3.3mmol)、ジクロロメタン(dichloromethane)30mLを加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を10mL滴下した。窒素雰囲気下、45℃で1時間還流した。室温まで放冷後、反応溶液を水と飽和食塩水で洗浄した。シリカカラムクロマトグラフによりEZ異性体の混合物として単離した。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (4:1,v/v)を用いたTLC上で、0.24のRf値を有するスポットを示した。収量は0.15g、収率は12%であった。
【実施例】
【0044】
4-2.光照射によるMeOCM@Pyの合成
【化31】
JP2015199141A1_000033t.gif
化合物D 0.15g(0.37mmol)、ヨウ素100mgをbenzene500mLに加え、高圧水銀灯で60時間照射した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄した。シリカカラムクロマトグラフにより単離後、Chloroformからの再結晶により精製した。生成物は、展開溶媒としてChloroformを用いたTLC上で、0.25のRf値を有するスポットを示した。目的物の生成をNMR測定により確認した。生成物のNMRスペクトルを図8に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は18.6mg、収率は13%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 10.57 (1H, s), 9.41 (1H, d, J=9.2 Hz), 9.00 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.34 (2H, dd, J=9.2, 2.9 Hz), 8.21-8.25 (2H, two doublets overlapped),8.12-8.16 (2H, two doublets overlapped), 8.00-8.05 (2H, t and d signals overlapped), 6.94-6.99 (2H, m), 3.91 (3H, s).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を352nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図1に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0045】
実施例5:式(11)で表されるクマリン縮環化合物
(1)Step1. 4-クロロメチルクマリン(4-Chloromethylcoumarin)の合成
【化32】
JP2015199141A1_000034t.gif
4-クロロアセト酢酸エチル(Ethyl-4-chloroacetoacetate)2.4mL(17.7mmol)、フェノール(phenol)5.0g(53.1mmol)、硫酸(sulfuric acid)6滴を加え、窒素雰囲気下、120℃で3時間加熱還流した。Ethyl acetateで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、蒸留水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。Hexane :ethyl acetate(4:1, v/v)の溶媒でシリカカラムクロマトグラフを用いて単離・精製を行った。収量は330mg、収率は10%であった。
【実施例】
【0046】
(2)Step2. 4-クロロメチルクマリン フォスフォニウム塩(4-Chloromethylcoumarin phosphonium salt)の合成
【化33】
JP2015199141A1_000035t.gif
4-クロロメチルクマリン(4-Chloromethylcoumarin)330mg(1.7mmol)、triphenylphosphine500mg(1.9mmol)、xylene20mLを加え、窒素雰囲気下、140℃で一晩還流した。還流後、室温で放冷して、結晶を吸引濾過後、benzeneで洗浄し、一晩室温で乾燥させた。収量は250mg、収率は32%であった。
【実施例】
【0047】
(3)Step3. Wittig反応による光反応前駆体(化合物E)の合成
【化34】
JP2015199141A1_000036t.gif
4-Chloromethylcoumarin phosphonium salt0.25g(0.54mmol)、1-naphthaldehyde0.06mL(0.59mmol) 0.06 ml (0.59 mmol)、chloroform10mLを加え、攪拌しながら50% KOH水溶液を5mL滴下した。窒素雰囲気下、60℃で1時間還流した。室温まで放冷後、反応溶液を水と飽和食塩水で洗浄した。Hexane : ethyl acetate (4:1,v/v)を展開溶媒としてシリカカラムクロマトグラフによりEZ異性体の混合物として単離した。収量は0.15g、収率は92%であった。
【実施例】
【0048】
(4)Step4. 光照射によるCM[3]の合成
【化35】
JP2015199141A1_000037t.gif
化合物E 0.15g(0.50mmol)、ヨウ素100mgをbenzene500mLに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で10時間照射した。反応溶液をチオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。Hexane : chloroform(1:1, v/v)を展開溶媒として用いてカラムクロマトグラフにて分離・精製を行った。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (1:5,v/v)を用いたTLC上で、0.43のRf値を有するスポットを示した。NMR測定にて目的物の生成を確認した。生成物のNMRスペクトルを図9に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は0.05g、収率は34%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 9.80 (1H, d, J=8.9 Hz), 9.14 (1H, d, J=8.3 Hz), 8.71 (1H, d, J=7.3 Hz), 8.37 (1H, d, J=8.5 Hz), 8.20 (1H, d, J=7.3 Hz), 8.03 (1H, d, J=8.8 Hz), 7.96 (1H, d, J=7.2 Hz), 7.67-7.71 (2H, m), 7.52 (1H, m), 7.38-7.42 (2H, m).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を294nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図2に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0049】
実施例6:7,8-ベンゾクマリン縮環体である式(12)で表されるクマリン縮環化合物
(1)Step1. 化合物Fの合成
【化36】
JP2015199141A1_000038t.gif
Ethyl-4-chloroacetoacetate2.4mL(17.7mmol)、1-ナフトール(1-naphthol)7.6g(53.1mmol)、sulfuric acid 6滴を加え、窒素雰囲気下、120℃で3時間加熱還流した。Ethyl acetateで抽出後、炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、蒸留水で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。溶媒を留去し、沈殿を吸引濾過後、ethyl acetateで洗浄した。収量は1.62g、収率は37%であった。化合物Fは精製しないで、次の反応に用いた。
【実施例】
【0050】
(2)Step2. 化合物Fのフォスフォニウム塩(phosphonium salt)Gの合成
【化37】
JP2015199141A1_000039t.gif
化合物F 1.62g(6.6mmol)、triphenylphosphine 1.74g(6.6mmol)、xylene70mLを加え、窒素雰囲気下、140℃で一晩還流した。還流後、室温で放冷して、結晶を吸引濾過後、benzeneで洗浄し、一晩室温で乾燥させた。収量は1.76g、収率は52%であった。
【実施例】
【0051】
(3)Step3.Wittig反応による光反応前駆体(化合物H)の合成
【化38】
JP2015199141A1_000040t.gif
化合物G 0.76g(1.5mmol)、1-naphthaldehyde 0.18mL(1.3mmol)、chloroform20mLを加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を10mL滴下した。窒素雰囲気下、65℃で1時間還流した。室温まで放冷後、水と飽和食塩水で洗浄した。Hexane : ethyl acetate(5:1, v/v)の溶媒でシリカカラムクロマトグラフを用いて精製し、EZ異性体の混合物として単離した。収量は0.16g、収率は35%であった。
【実施例】
【0052】
(4)Step 4. 光照射による[1]CM[3]の合成
【化39】
JP2015199141A1_000041t.gif
化合物H 0.16g(0.46mmol)、ヨウ素100mgをベンゼン(関東化学社製、純度99%)500mLに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で11時間照射した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で2回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で1回洗浄した。Hexane : chloroform(1:4, v/v)でシリカカラムクロマトグラフにより単離・精製を行った。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (1:5,v/v)を用いたTLC上で、0.50のRf値を有するスポットを示した。NMR測定により目的物を確認した。生成物のNMRスペクトルを図10に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。収量は67mg、収率は42%であった。
1H-NMR(400MHz, CDCl3):δ 9.89 (1H, d, J=9.4 Hz), 9.22 (1H, d, J=8.9 Hz), 8.77 (1H, d, J=8.2 Hz), 8.69 (1H, d, J=7.7 Hz), 8.49 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.24 (1H, d, J=8.9 Hz), 8.09 (1H, d, J=9.2 Hz), 8.00 (1H, d, J=7.1 Hz), 7.91 (1H, d, J=9.2 Hz), 7.82 (1H, d, J=8.7 Hz), 7.63-7.74 (4H, m).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を310nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図2に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0053】
実施例7:式(15)で表されるクマリン縮環化合物
7-1. Wittig反応による光反応前駆体(化合物I)の合成
【化40】
JP2015199141A1_000042t.gif
4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt 1.6g(3.0mmol)、フェナントレン-1-カルボアルデヒド(phenanthrene-1-carbaldehyde)0.51g(2.5mmol)をchloroform 30mLに加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を10mL滴下した。続いて、窒素雰囲気下、65℃で1時間還流した。室温まで放冷後、水と飽和食塩水で洗浄した。洗浄後、Hexane : ethyl acetate (5:1,v/v)の混合溶媒を用いて、シリカカラムクロマトグラフで生成物を単離精製した。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (4:1,v/v)を用いたTLC(薄層クロマトグラフィー)上で、0.19のRf値を有するスポットを示した。収量は600mg、収率は63%であった。
7-2.光照射によるMeOCM[4]の合成
【化41】
JP2015199141A1_000043t.gif
化合物I 70mg(0.20mmol)を200mLのbenzeneに溶解させ、ヨウ素を5mg加え、光照射を行った。光照射後、チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄した。Ethyl acetateを用いた再結晶法により縮環生成物を精製した。得られた目的物は、Hexane : chloroform (1:5,v/v) を展開溶媒として用いたTLC上で、0.19のRf値を有するスポットを示した。収量は15mg、収率は21%であった。NMRで目的物の生成を確認した。生成物のNMRを図11に示す。また、NMRスペクトルのピーク情報は以下のとおりであった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δH7.41-7.51 (2H, m), 7.56-7.59 (1H, m), 7.69 (1H, t, J = 7.4 Hz), 7.77 (1H, t, J = 7.7 Hz), 8.02 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.07 (1H, d, J = 8.9 Hz), 8.28 (1H, d, J = 7.1 Hz), 8.43 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.75 (1H, d, J = 9.2 Hz), 8.86 (1H, d, J = 8.5 Hz), 9.03 (1H, d, J = 9.9 Hz), 9.29 (1H, d, J = 9.2 Hz), 10.1 (1H, d, J = 9.6 Hz).
ケイ光スペクトル測定の励起波長を320nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図3に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0054】
実施例8:式(16)で表されるクマリン縮環化合物
8-1. Wittig反応による光反応前駆体(化合物J)の合成
【化42】
JP2015199141A1_000044t.gif
4-Bromomethyl-7-methoxycoumarin phosphonium salt 0.37g(0.70mmol)、クリセン-1-カルボアルデヒド(chrysene-1-carbaldehyde)0.08g (0.30mmol)をchloroform10mLに加え、攪拌しながら50%KOH水溶液を5mL滴下した。窒素雰囲気下、65℃で1時間還流した。室温まで放冷後、水と飽和食塩水で洗浄した。洗浄後の生成物をHexane : ethyl acetate (3:1,v/v)の混合溶媒を展開溶媒として用いて、シリカカラムクロマトグラフで目的物を単離した。生成物は、展開溶媒としてHexane : ethyl acetate (3:1,v/v)を用いたTLC上で、0.28のRf値を有するスポットを示した。収量は0.050g、収率は38%であった。
【実施例】
【0055】
8-2.光照射によるMeOCM[5]の合成
【化43】
JP2015199141A1_000045t.gif
化合物J 50mg(0.12mmol)、ヨウ素 微量(約500mg)を溶媒のbenzeneに加え、撹拌しながら高圧水銀灯で8時間照射した。生成物は、Chloroformを展開溶媒として用いたTLC上で、0.40のRf値を有するスポットを示した。チオ硫酸ナトリウム水溶液で1回、炭酸水素ナトリウム水溶液で1回、飽和食塩水で2回洗浄した。その後、Ethyl acetateを用いた再結晶法により精製を行い、目的物を得た。収量は10mg、収率は20%であった。NMRで目的物の生成を確認した。
ケイ光スペクトル測定の励起波長を320nmとした以外は実施例1に記載の方法と同様にして、吸収スペクトル、ケイ光スペクトルを測定した。得られたクマリン縮環化合物のアセトニトリル中10-4mol/Lの吸収・ケイ光スペクトルを図3に示す。また、ケイ光収率(Φf)、ケイ光寿命(τf)およびケイ光速度(kf)を表1と図4に示す。
【実施例】
【0056】
【表1】
JP2015199141A1_000046t.gif
【実施例】
【0057】
表1および図4より、ベンゼン環の増加につれて、7-メトキシクマリンに比較して実施例2の式(8)で表される化合物のケイ光収率は約125倍に増加し、ケイ光速度も顕著に増加することが示されている。また、実施例1、2、7及び実施例8の結果から、ベンゼン環の数の増加により、ケイ光収率がさらに向上することが示されている。
また、クマリン骨格自体が電子受容性であることから、本発明の実施態様の化合物は、ケイ光性のみならず、n型半導体動作を示すことが予想され、電界効果トランジスタの電子輸送層への応用が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のクマリン系縮環化合物を用いた有機ELデバイスは堅牢であることが予想できることから、衣料タグなどでの利用が期待でき、シリコン半導体市場を補完できる。また、既存のクマリンから光縮環反応により生産でき、収率が高いことから、低コストで生産でき、産業上非常に有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10