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明細書 :低分子化合物による癌と線維化の抑制効果

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明の名称または考案の名称 低分子化合物による癌と線維化の抑制効果
国際特許分類 A61K  31/519       (2006.01)
A61K  31/166       (2006.01)
A61P  19/04        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61K  31/09        (2006.01)
FI A61K 31/519
A61K 31/166
A61P 19/04
A61P 35/00
A61K 31/09
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 81
出願番号 特願2016-510450 (P2016-510450)
国際出願番号 PCT/JP2015/059257
国際公開番号 WO2015/147107
国際出願日 平成27年3月25日(2015.3.25)
国際公開日 平成27年10月1日(2015.10.1)
優先権出願番号 2014070245
優先日 平成26年3月28日(2014.3.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】汐田 剛史
【氏名】板場 則子
【氏名】神吉 けい太
【氏名】瀬戸 健造
【氏名】清水 寛基
【氏名】河野 洋平
【氏名】國田 慎弥
【氏名】安積 遵哉
【氏名】坂部 友彦
【氏名】阿部 健一郎
【氏名】森本 稔
【氏名】岡 博之
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001139、【氏名又は名称】SK特許業務法人
【識別番号】100130328、【弁理士】、【氏名又は名称】奥野 彰彦
【識別番号】100130672、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 寛之
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
4C206
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086CB09
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA33
4C206HA08
4C206NA14
4C206ZB26
要約 悪性腫瘍、癌幹細胞、又は線維症に対する新規の治療薬を取得する。
式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍又は癌幹細胞の治療薬を用いる。又は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、線維症の治療薬を用いてもよい。
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍の治療薬:
【化1】
JP2015147107A1_000009t.gif

【化2】
JP2015147107A1_000010t.gif

【化5】
JP2015147107A1_000011t.gif

(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【請求項2】
前記R1、R2、R4、R5、及びR6が、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシアミノ、C1~C6アルコキシで置換されているC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシフェニルで置換されているC1~C6アルコキシ、トリアルキルシロキシC1~C6アルキル、又はアルキルジフェニルシロキシC1~C6アルキルであり、
前記R3、及びR7はHであり、
前記環Aは、ナフチル、5つのハロゲンで置換されているフェニル、又は1つのメチルで置換されているフリルであり、
前記R8、及びR9は、同一又は異なって、C1~C6アルキルである、
請求項1に記載の悪性腫瘍の治療薬。
【請求項3】
前記式(1)において、
前記R1、R2、及びR3はそれぞれH、
前記R4は、4位であり、且つH、F、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチル、及び
前記式(2)は下記式(4)であり、
前記式(5)は下記式(6)である、
請求項1又は2に記載の悪性腫瘍の治療薬:
【化4】
JP2015147107A1_000012t.gif

【化6】
JP2015147107A1_000013t.gif

【請求項4】
下記式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、癌幹細胞の治療薬:
【化1】
JP2015147107A1_000014t.gif

【化2】
JP2015147107A1_000015t.gif

【化5】
JP2015147107A1_000016t.gif
(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【請求項5】
前記R1、R2、R4、R5、及びR6が、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、又はC1~C6アルコキシアミノ、C1~C6アルコキシで置換されているC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシフェニルで置換されているC1~C6アルコキシ、トリアルキルシロキシC1~C6アルキル、又はアルキルジフェニルシロキシC1~C6アルキルであり、
前記R3、及びR7はHであり、
前記環Aは、ナフチル、5つのハロゲンで置換されているフェニル、又は1つのメチルで置換されているフリルであり、
前記R8、及びR9は、同一又は異なって、C1~C6アルキルである、
請求項4に記載の癌幹細胞の治療薬。
【請求項6】
前記式(1)において、
前記R1、R2、及びR3はそれぞれH、
前記R4は、4位であり、且つH、F、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチル、及び
前記式(2)は下記式(4)であり、
前記式(5)は下記式(6)である、
請求項4又は5に記載の癌幹細胞の治療薬:
【化4】
JP2015147107A1_000017t.gif

【化6】
JP2015147107A1_000018t.gif

【請求項7】
下記式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、線維症の治療薬:
【化1】
JP2015147107A1_000019t.gif

【化2】
JP2015147107A1_000020t.gif

【化5】
JP2015147107A1_000021t.gif

(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【請求項8】
前記R1、R2、R4、R5、及びR6が、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、又はC1~C6アルコキシアミノ、C1~C6アルコキシで置換されているC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシフェニルで置換されているC1~C6アルコキシ、トリアルキルシロキシC1~C6アルキル、又はアルキルジフェニルシロキシC1~C6アルキルであり、
前記R3、及びR7はHであり、
前記環Aは、ナフチル、5つのハロゲンで置換されているフェニル、又は1つのメチルで置換されているフリルであり、
前記R8、及びR9は、同一又は異なって、C1~C6アルキルである、
請求項7に記載の線維症の治療薬。
【請求項9】
前記式(1)において、
前記R1、R2、及びR3はそれぞれH、
前記R4は、4位であり、且つH、F、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチル、及び
前記式(2)は下記式(4)であり、
前記式(5)は下記式(6)である、
請求項7又は8に記載の線維症の治療薬:
【化4】
JP2015147107A1_000022t.gif

【化6】
JP2015147107A1_000023t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、悪性腫瘍又は線維症の治療薬に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの死亡原因として、悪性腫瘍、心疾患、脳血管疾患などの疾患が上位に挙げられる。この中でも悪性腫瘍は、発生機序が複雑であるため、特に予防及び治療の難しい疾患といえる。
【0003】
この悪性腫瘍の研究分野において、近年、癌幹細胞の存在が見いだされ、新たな治療戦略の立案のために注目されている。癌幹細胞は、分化して癌細胞になると考えられている。癌患者では、癌細胞の除去後一定期間を経た後に再発が起きることがあるが、これは極少数生き残った癌幹細胞に起因するものだとも言われている。
【0004】
この癌幹細胞の特徴的なことは、従来の多くの抗癌剤が効きにくいということである。この点に関して、九州大学の中山教授らは、モデルマウスにおいてFbxw7を欠損させると、癌幹細胞がイマチニブ(抗癌剤)で死滅するという研究結果を報告している(非特許文献1)。但し、癌幹細胞の増殖を直接抑制する化合物は得られていない。
【0005】
一方で、悪性腫瘍の原因となる症状として、組織の線維化が挙げられる。例えば、肝臓の線維化が進むと、肝硬変、肝癌になる。その他、線維化は肺、腎臓、心臓、皮膚などにも生じる。非特許文献2には、線維化治療に関するものとして、ピルフェニドンの臨床試験の結果が記載されている。
【0006】
また、本願発明者らは、低分子化合物に関して、3つの報告をしている(非特許文献3、4、特許文献1)。非特許文献3、4には、肝癌細胞増殖抑制効果及びWnt/β-カテニンシグナル抑制効果を示す低分子化合物が記載されている。また、非特許文献4の低分子化合物は、CD44発現を増加させたことが記載されている。非特許文献3、4には、どのような構造及び機能を有する化合物が肝癌細胞に対して増殖抑制効果を示すかは記載されていない。
【0007】
特許文献1には、PN-1-2、PN-3-4、PN-3-13、HC-1、及びIC-2が、間葉系幹細胞のWnt/β-カテニンシグナルを抑制し、間葉系幹細胞を肝細胞に分化誘導させたことが記載されている。この文献には、癌細胞又は癌幹細胞の増殖抑制に関する記載はない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】WO2012/141038
【0009】

【非特許文献1】Takeishi et al., Cancer Cell. 2013 Mar 18;23(3):347-61.
【非特許文献2】Noble et al., Lancet. 2011 May 21;377(9779):1760-9.
【非特許文献3】Sakabe et al., 肝臓, 53巻, Supplement 1, 2012, A226, WS-54
【非特許文献4】Seto et al., 肝臓, 54巻, Supplement 1, 2013, P-12
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記のように、悪性腫瘍の治療戦略が徐々に進展してきている。しかしながら、悪性腫瘍は、現在もヒトの死因の上位に位置しており、従来の治療戦略だけでは十分ではなかった。
【0011】
悪性腫瘍の治療分野では、個々の骨格の持つ特性によって、投与する低分子化合物の有する薬理作用が大きく変わることが知られている。また、この分野は不確実性の高い分野であり、新規の治療方法を開発する際、所望の薬理作用が得られるかどうかは予想が困難といえる。そのため、悪性腫瘍に対する治療効果をもった低分子化合物を新たに同定することは容易なことではなかった。
【0012】
さらに、悪性腫瘍細胞だけでなく、癌幹細胞の増殖も抑制する低分子化合物を新たに同定することは容易なことではない。
【0013】
また、上記のように、線維化治療に関する研究成果が徐々に報告されてきている。しかしながら、線維化の治療に有効な治療薬は少なく、また患者によっては副作用が問題となることもある。そのため、従来の抗線維化剤だけでは十分ではなかった。
【0014】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、悪性腫瘍、癌幹細胞、又は線維症に対する新規の治療薬を提供すること等を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは鋭意研究の結果、後述する実施例に記載のように、抗悪性腫瘍効果を有する低分子化合物の同定に成功した。さらにこの低分子化合物は、腫瘍細胞だけでなく、癌幹細胞の増殖も抑制する効果を有していた。癌幹細胞は悪性腫瘍の再発や転移の原因となり得ることが知られているため、癌幹細胞の増殖を抑制できる上記低分子化合物は、悪性腫瘍の治療薬の有効成分として、非常に優れた化合物といえる。加えて、線維化の抑制効果をも有していた。そして、これらの知見に基づき、本発明を完成させるに至った。
【0016】
即ち、本発明の一態様によれば、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍の治療薬が提供される:
【化1】
JP2015147107A1_000003t.gif

【化2】
JP2015147107A1_000004t.gif

【化5】
JP2015147107A1_000005t.gif

(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【0017】
また本発明の一態様によれば、上記式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、癌幹細胞の治療薬が提供される:
(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【0018】
また本発明の一態様によれば、上記式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、線維症の治療薬が提供される:
(式中、
R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリール;
R3、及びR7は、同一又は異なって、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール;
R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニル;
m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数;
nは、1~3いずれかの整数;
p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。)。
【0019】
また本発明の好ましい態様では、上記悪性腫瘍、癌幹細胞、又は線維症の治療薬における、上記R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、又はC1~C6アルコキシアミノ、C1~C6アルコキシで置換されているC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシフェニルで置換されているC1~C6アルコキシ、トリアルキルシロキシC1~C6アルキル、又はアルキルジフェニルシロキシC1~C6アルキルであり、上記R3、及びR7はHであり、上記環Aは、ナフチル、5つのハロゲンで置換されているフェニル、又は1つのメチルで置換されているフリルであり、R8、及びR9は、同一又は異なって、C1~C6アルキルである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、新規の治療薬を用いることにより、悪性腫瘍、癌幹細胞、又は線維症の治療をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、肝癌細胞をIC-2処理した後の細胞生存率(濃度依存的)を調べた結果を表した図である。
【図2】図2は、肝癌細胞をIC-2処理した後の細胞生存率(時間依存的)を調べた結果を表した図である。
【図3】図3は、肝癌細胞をPN3-13処理した後の細胞生存率(濃度依存的)を調べた結果を表した図である。
【図4】図4は、肝癌細胞をPN3-13処理した後の細胞生存率(時間依存的)を調べた結果を表した図である。
【図5】図5は、肝癌細胞をHC-1処理した後の細胞生存率(時間依存的)を調べた結果を表した図である。
【図6】図6は、癌幹細胞を低分子化合物で処理した後のCD44陽性細胞数を調べた結果を表した図である。
【図7】図7は、肝癌モデルマウスの体重変化を調べた結果を表した図である。
【図8】図8は、肝癌モデルマウスの治療結果を表した図である。
【図9】図9は、低分子化合物のスフェア形成能への影響を調べた結果を表した図である。
【図10】図10は、癌幹細胞を低分子化合物で処理した後のCD90陽性細胞数を調べた結果を表した図である。
【図11】図11は、癌幹細胞を低分子化合物で処理した後のCD133陽性細胞数を調べた結果を表した図である。
【図12】図12は、癌幹細胞を低分子化合物で処理した後のEpCAM陽性細胞数を調べた結果を表した図である。
【図13】図13は、ルシフェラーゼアッセイの結果を表した図である。
【図14】図14は、大腸癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図15】図15は、大腸癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図16】図16は、大腸癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図17】図17は、大腸癌細胞のスフェア形成能を調べた結果を表した図である。
【図18】図18は、大腸癌における癌幹細胞の抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図19】図19は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図20】図20は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図21】図21は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図22】図22は、扁平上皮癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図23】図23は、扁平上皮癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図24】図24は、扁平上皮癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図25】図25は、扁平上皮癌における抗腫瘍効果を調べた結果を表した図である。
【図26】図26は、扁平上皮癌における癌幹細胞の抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図27】図27は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図28】図28は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図29】図29は、大腸癌におけるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図30】図30は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図31】図31は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図32】図32は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図33】図33は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図34】図34は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図35】図35は、実施例8で採用したIC-2誘導体の合成スキームを表した図である。
【図36】図36は、実施例8で得られたIC-2誘導体の構造式とスペクトルデータを表した図である。
【図37】図37は、実施例8で得られたIC-2誘導体の構造式とスペクトルデータを表した図である。
【図38】図38は、IC-2誘導体によるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図39】図39は、IC-2誘導体によるWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を調べた結果を表した図である。
【図40】図40は、実施例に係るルシフェラーゼアッセイのプロトコールを表した図である。
【図41】図41は、肝星細胞をIC-2処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図42】図42は、肝星細胞をIC-2+TGFβ処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図43】図43は、肝星細胞をIC-2+Wnt3a処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図44】図44は、肝星細胞をIC-2処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図45】図45は、肝星細胞をIC-2+TGFβ処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図46】図46は、肝星細胞をIC-2+Wnt3a処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図47】図47は、肝星細胞をPN3-13+TGFβ処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図48】図48は、肝星細胞をPN3-13+TGFβ処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図49】図49は、肝星細胞をHC-1処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図50】図50は、肝星細胞をHC-1+ Wnt3a処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図51】図51は、肝星細胞をHC-1+TGFβ処理し、24時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図52】図52は、肝星細胞をHC-1処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図53】図53は、肝星細胞をHC-1+Wnt3a処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図54】図54は、肝星細胞をHC-1+TGFβ処理し、48時間後にルシフェラーゼアッセイを行った結果を表した図である。
【図55】図55は、実施例に係るリアルタイムPCRのプロトコールを表した図である。
【図56】図56は、肝星細胞をIC-2+TGFβ処理した後、TGFβの発現量を調べた結果を表した図である。
【図57】図57は、肝星細胞をIC-2+TGFβ処理した後、COL1A1の発現量を調べた結果を表した図である。
【図58】図58は、肝星細胞をIC-2+TGFβ処理した後、α-SMAの発現量を調べた結果を表した図である。
【図59】図59は、肝星細胞をPN3-13+TGFβ処理した後、TGFβの発現量を調べた結果を表した図である。
【図60】図60は、肝星細胞をPN3-13+TGFβ処理した後、COL1A1の発現量を調べた結果を表した図である。
【図61】61は、肝星細胞をPN3-13+TGFβ処理した後、α-SMAの発現量を調べた結果を表した図である。
【図62】図62は、肝星細胞をHC-1+TGFβ処理した後、TGFβの発現量を調べた結果を表した図である。
【図63】図63は、肝星細胞をHC-1+TGFβ処理した後、COL1A1の発現量を調べた結果を表した図である。
【図64】図64は、肝星細胞をHC-1+TGFβ処理した後、α-SMAの発現量を調べた結果を表した図である。
【図65】図65は、IC-2投与後の肝障害モデルマウスのヒドロキシプロリン量を調べた結果を表した図である。
【図66】図66は、IC-2投与後の肝障害モデルマウスの線維化領域の定量結果を表した図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、同様な内容については繰り返しの煩雑を避けるために、適宜説明を省略する。
【0023】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍の治療薬である。この治療薬を用いれば、悪性腫瘍を治療することができる。
【0024】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、癌幹細胞の治療薬である。この治療薬を用いれば、癌幹細胞を治療することができる。
【0025】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍細胞又は癌幹細胞の増殖抑制剤である。この治療薬を用いれば、悪性腫瘍細胞又は癌幹細胞の増殖を抑制することができる。
【0026】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍の再発抑制薬である。この抑制薬を用いれば、悪性腫瘍の再発を抑制することができる。
【0027】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、線維症の治療薬である。この治療薬を用いれば、線維症を治療することができる。
【0028】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、線維化に伴う疾患の治療薬である。この治療薬を用いれば、線維化に伴う疾患を治療することができる。
【0029】
式(1)、(2)、及び(5)において、R1、R2、R4、R5、及びR6は、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、置換されていてもよいC1~C6アルキル、置換されていてもよいC2~C6アルケニル、置換されていてもよいC1~C6アルコキシ、アリール、又はヘテロアリールである。また、R3、及びR7は、H、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニルである。また、環Aは、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリールである。また、R8、及びR9は、同一又は異なって、置換されていてもよいC1~C6アルキル、又は置換されていてもよいC2~C6アルケニルである。また、m、及びqは、同一又は異なって、1~4いずれかの整数である。また、nは、1~3いずれかの整数である。また、p及びrは、同一又は異なって、1~5いずれかの整数である。
【0030】
上記R1、R2、R4、R5、及びR6は、好ましくは、同一又は異なって、H、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシアミノ、又はC1~C6アルコキシで置換されているC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシフェニルで置換されているC1~C6アルコキシ、トリアルキルシロキシC1~C6アルキル、又はアルキルジフェニルシロキシC1~C6アルキルである。また、上記R3、及びR7は、好ましくは、Hである。また、上記環Aは、好ましくは、ナフチル、5つのハロゲンで置換されているフェニル、又は1つのメチルで置換されているフリルである。この場合の式(2)の化合物は、例えば、WO2012/141038に記載の方法で合成できる。また、上記R8、及びR9は、好ましくは、同一又は異なって、C1~C6アルキルである。
【0031】
本発明の一実施形態において「ハロゲン」とは、F、Cl、Br、又はIを意味する。
【0032】
本発明の一実施形態において「アルキル」及び「アルケニル」とは、特に断らない限り、直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を意味する。
【0033】
本発明の一実施形態において「C1~C6」は、炭素数が1、2、3、4、5、又は6の炭化水素である。即ち、「C1~C6アルキル」は、炭素数が1、2、3、4、5、又は6のアルキルである。C1~C6アルキルとしては、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル基等を含む。
【0034】
本発明の一実施形態において「アルケニル」は、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、又は5-ヘキセニル等を含む。
【0035】
本発明の一実施形態において「アルコキシ」は、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ等を含む。
【0036】
本発明の一実施形態において「置換されていてもよい」とは、無置換、又は置換可能な位置に置換基を1、2、3、4、もしくは5個有していることを意味する。なお、複数個の置換基を有する場合、それらの置換基は同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また置換位置は1、2、3、4、5、6、7、8、又は9位であってもよい。ここで、置換基としては、例えばH、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OH、C1~C6アルキル、ハロゲノC1~C6アルキル、ヒドロキシC1~C6アルキル、C1~C6アルキルアミノ、C3~C6シクロアルキル、C2~C6アルケニル、ハロゲノC2~C6アルケニル、ヒドロキシC2~C6アルケニル、C2~C6アルケニルアミノ、C3~C6シクロアルケニル、C2~C6アルキニル、ハロゲノC2~C6アルキニル、ヒドロキシC2~C6アルキニル、C2~C6アルキニルアミノ、C1~C6アルコキシ、ハロゲノC1~C6アルコキシ、ヒドロキシC1~C6アルコキシ、C1~C6アルコキシアミノ、C1~C6アルコキシフェニル、トリアルキルシロキシ、アルキルジフェニルシロキシ、アリール、又はヘテロアリール等が挙げられる。
【0037】
本発明の一実施形態において「ハロゲノC1~C6アルキル」とは、1個以上のハロゲンで置換されたC1~C6アルキルである。このハロゲンの数は、例えば1、2、3、4、5、6又は13個であってもよく、ここで例示したいずれか2つの値の範囲内であってもよい。又はロゲンが2個以上である場合の各ハロゲンの種類は、同一又は異なっていてもよい。ハロゲノC1~C6アルキルは、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、クロロエチル、ジクロロエチル、トリクロロエチル、フルオロエチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル等を含む。
【0038】
本発明の一実施形態において「ヒドロキシC1~C6アルキル」とは、1個以上のヒドロキシで置換されたC1~C6アルキルである。このヒドロキシンの数は、例えば1、2、3、4、5、6又は13個であってもよく、ここで例示したいずれか2つの値の範囲内であってもよい。ヒドロキシC1~C6アルキルは、例えば、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシ-n-プロピル、又は2,3-ジヒドロキシ-n-プロピル等を含む。
【0039】
本発明の一実施形態において「C1~C6アルキルアミノ」とは、1個以上のアミノで置換されたC1~C6アルキルである。このアミノの数は、例えば1、2、3、4、5、6又は13個であってもよく、ここで例示したいずれか2つの値の範囲内であってもよい。C1~C6アルキルアミノは、例えば、メチルアミノ、又はエチルアミノ等を含む。
【0040】
本発明の一実施形態において「ハロゲノC1~C6アルコキシ」とは、ハロゲノC1~C6アルキルのアルキルをアルコキシに置き換えたものと等価である。ハロゲノC1~C6アルコキシは、例えば、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2-クロロエトキシ、2-ブロモエトキシ、(1,1-ジフルオロ)エトキシ、(1,2-ジフルオロ)エトキシ、(2,2,2-トリフルオロ)エトキシ、(1,1,2,2-テトラフルオロ)エトキシ、(1,1,2,2,2-ペンタフルオロ)エトキシ、1-フルオロ-n-プロポキシ、1,1-ジフルオロ-n-プロポキシ、2,2-ジフルオロ-n-プロポキシ、3-フルオロ-n-プロポキシ、(3,3,3-トリフルオロ)-n-プロポキシ、(2,2,3,3,3-ペンタフルオロ)-n-プロポキシ、4-フルオロ-n-ブトキシ、(4,4,4-トリフルオロ)-n-ブトキシ、5-フルオロ-n-ペンチルオキシ、(5,5,5-トリフルオロ)-n-ペンチルオキシ、6-フルオロ-n-ヘキシルオキシ、(6,6,6-トリフルオロ)-n-ヘキシルオキシ、2-フルオロシクロプロポキシ、2-フルオロシクロブトキシ等を含む。
【0041】
本発明の一実施形態において「ヒドロキシC1~C6アルコキシ」とは、ヒドロキシC1~C6アルキルのアルキルをアルコキシに置き換えたものと等価である。ヒドロキシC1~C6アルコキシは、例えば、2-ヒドロキシエトキシ、2-ヒドロキシ-n-プロポキシ、3-ヒドロキシ-n-プロポキシ、2,3-ジヒドロキシ-n-プロポキシ、2-ヒドロキシシクロプロピル等を含む。
【0042】
本発明の一実施形態において「C1~C6アルコキシアミノ」とは、C1~C6アルキルアミノのアルキルをアルコキシに置き換えたものと等価である。C1~C6アルコキシアミノは、例えば、メトキシアミノ、エトキシアミノを含む。
【0043】
本発明の一実施形態において「アリール」とは、C6~14の単環、二環、又は三環式芳香族炭化水素環基である。アリールは、例えばフェニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、テトラヒドロナフタレニル、インデニル、又はフルオレニル等が挙げられる。特に、ナフチル又は5つのハロゲンで置換されていているフェニルが好ましい。またアリールは、例えばC5~8シクロアルケンとその二重結合部位で縮合した環基を含む。
【0044】
本発明の一実施形態において「ヘテロアリール」とは、環内に5から14個の環原子、および共有π電子系を有し、N、S、及びOよりなる群から選択されたヘテロ原子を1~4個含有する基を挙げることができる。ヘテロアリールは、例えば、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、又はイソオキサゾリル等を含む。特に、1つのメチルで置換されているフリルが好ましい。
【0045】
本発明の一実施形態において、式(1)に示す化合物の構造は、R1、R2、及びR3がそれぞれHであり、R4は、4位で、且つH、F、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチルであることが好ましい。特に、式(1)に示す化合物の構造は、悪性腫瘍又は線維症の治療効果の観点からは、式(3)に示す化合物の構造に近いほど好ましい。本発明の一実施形態において、式(2)に示す化合物の構造は、悪性腫瘍又は線維症の治療効果の観点からは、式(4)に示す化合物の構造に近いほど好ましい。本発明の一実施形態において、式(5)に示す化合物の構造は、悪性腫瘍又は線維症の治療効果の観点からは、式(6)に示す化合物の構造に近いほど好ましい。なお、式(3)、(4)、(6)で示す化合物は、それぞれIC-2、PN3-13、HC-1と呼ばれることもある。本明細書においてPN3-13とPN-3-13は同意である。
【0046】
【化3】
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【化4】
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【化6】
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【0047】
本発明の一実施形態において「塩」は、特に限定されないが、例えば任意の酸性(例えばカルボキシル)基で形成されるアニオン塩、又は任意の塩基性(例えばアミノ)基で形成されるカチオン塩を含む。塩類には無機塩および有機塩を含み、[Berge,BighleyおよびMonkhouse、 J.Pharm.Sci., 1977, 66, 1-19]に記載されている塩が含まれる。例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性又は酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。金属塩は、例えば、アルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩等)、アルミニウム塩等が挙げられる。有機塩基との塩は、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。無機酸との塩は、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。有機酸との塩は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩は、例えば、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられ、酸性アミノ酸との塩は、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
【0048】
本発明の一実施形態において「溶媒和物」は、溶質および溶媒によって形成される化合物である。溶媒和物については例えば、[J.Honig et al., The Van Nostrand Chemist's Dictionary P650 (1953)]を参照できる。溶媒が水であれば形成される溶媒和物は水和物である。この溶媒は、溶質の生物活性を妨げないものが好ましい。そのような好ましい溶媒の例として、限定するものではないが、水、エタノール、および酢酸が挙げられる。最も好ましい溶媒は、水である。本発明に係る化合物又はその塩は、大気に触れるか又は再結晶するときに水分を吸収し、場合によっては吸湿水を有するか又は水和物となりうる。本発明の一実施形態において「異性体」は、分子式は同一だが構造が異なる分子を含む。鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(シス/トランス)異性体、又は相互に鏡像ではない不斉中心を1個以上有する異性体(ジアステレオマー)を含む。本発明の一実施形態において「プロドラッグ」は、前駆体である化合物であって、その化合物を被験体へ投与した際に、代謝過程又は種々化学反応によって化学的変化を起こし、本発明に係る化合物又はその塩もしくはその溶媒和物をもたらす化合物を含む。プロドラッグについては、例えば[T. Higuchi and V. Stella, "Pro-Drugs as Novel Delivery Systems", A.C.S . Symposium Series, Volume 14]を参照できる。
【0049】
本発明の一実施形態において「悪性腫瘍」は、例えば、正常な細胞が突然変異を起こして発生する腫瘍を含む。悪性腫瘍は全身のあらゆる臓器や組織から生じ得る。この悪性腫瘍は、例えば、肺癌、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、腎臓癌、副腎癌、胆道癌、乳癌、大腸癌、小腸癌、卵巣癌、子宮癌、膀胱癌、前立腺癌、尿管癌、腎盂癌、尿管癌、陰茎癌、精巣癌、脳腫瘍、中枢神経系の癌、末梢神経系の癌、頭頸部癌、グリオーマ、多形性膠芽腫、皮膚癌、メラノーマ、甲状腺癌、唾液腺癌、悪性リンパ腫、癌腫、肉腫、及び血液悪性腫瘍からなる群から選ばれる1種以上を含む。上記肝臓癌は、例えば、上皮性腫瘍、又は非上皮性腫瘍であってもよく、肝細胞癌、胆管細胞癌であってもよい。上記皮膚癌は、例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌、又は悪性黒色腫を含む。
【0050】
本発明の一実施形態において「癌幹細胞」は、癌細胞の起源となる細胞を含む。この癌幹細胞は、癌幹細胞マーカーを発現している細胞を含む。癌幹細胞マーカーは、例えば、CD44、CD90、CD133、又はEpCAMを含む。
【0051】
線維化は、典型的には、コラーゲンなどを構成要素とする結合組織が増生し正常組織に置きかわることによって、組織が硬化し正常な機能が失われることによって生じる症状として知られている。例えば、肝臓、肺、腎臓、心臓、皮膚などの各組織に生じる。また例えば、肝組織に多量の線維化が生じた場合には、肝硬変になり、さらには肝癌になることがある。また肝組織以外にも、線維化の進行に伴い、各組織に悪性腫瘍が生じることがある。線維症は、線維化に伴う疾患を含む。線維化に伴う疾患は、例えば、線維化に伴う、上記各組織の線維症、硬変、悪性腫瘍等を含む。
【0052】
本発明の一実施形態において「治療」は、患者の疾患、もしくは疾患に伴う1つ以上の症状の、症状改善効果、抑制効果、又は予防効果を発揮しうることを含む。本発明の一実施形態において「治療薬」は、有効成分と、薬理学的に許容される1つもしくはそれ以上の担体とを含む医薬組成物であってもよい。医薬組成物は、例えば有効成分と上記担体とを混合し、製剤学の技術分野において知られる任意の方法により製造できる。また治療薬は、治療のために用いられる物であれば使用形態は限定されず、有効成分単独であってもよいし、有効成分と任意の成分との混合物であってもよい。また上記担体の形状は特に限定されず、例えば、固体又は液体(例えば、緩衝液)であってもよい。なお悪性腫瘍の治療薬は、例えば、悪性腫瘍の予防のために用いられる薬物(予防薬)、悪性腫瘍の再発抑制薬、又は悪性腫瘍細胞の増殖抑制剤を含む。癌幹細胞の治療薬は、例えば、癌幹細胞を標的とした治療薬、癌幹細胞に起因する悪性腫瘍の治療薬、又は癌幹細胞の抑制剤を含む。
【0053】
治療薬の投与経路は、治療に際して効果的なものを使用するのが好ましく、例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、又は経口投与等であってもよい。投与形態としては、例えば、注射剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤等であってもよい。注射用の水溶液は、例えば生理食塩水、糖(例えばトレハロース)、NaCl、又はNaOH等を配合してもよい。また治療薬は、例えば、緩衝剤(例えばリン酸塩緩衝液)、安定剤等を配合してもよい。
【0054】
投与量は特に限定されないが、例えば、1回あたり0.001、1、10、100、又は1000mg/kg体重であってもよく、それらいずれか2つの値の範囲内であってもよい。投与間隔は特に限定されないが、例えば、1、7、14、21、又は28日あたりに1又は2回投与してもよく、それらいずれか2つの値の範囲あたりに1又は2回投与してもよい。投与量、投与間隔、投与方法は、患者の年齢や体重、症状、対象臓器等により、適宜選択してもよい。また治療薬は、治療有効量、又は所望の作用を発揮する有効量の有効成分を含むことが好ましい。
【0055】
悪性腫瘍の治療効果は、画像検査、内視鏡検査、生研、又は悪性腫瘍マーカーの検出により評価してもよい。また、癌幹細胞の治療効果は、画像検査、内視鏡検査、生研、又は癌幹細胞マーカーの検出により評価してもよい。また、線維症の治療効果は、画像検査、内視鏡検査、生研、又は線維化マーカーの検出により評価してもよい。各治療効果は、患者又は患者由来サンプル(例えば、組織、細胞、細胞集団、又は血液)中のマーカー量が、治療薬投与後に有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。このとき、治療薬投与後のマーカー量は、投与前(又はコントロール)に比べて、0.7、0.5、0.3、又は0.1倍以下に減少していてもよい。又は、患者由来サンプル中のマーカー陽性細胞数が、治療薬投与後に有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。このとき、治療薬投与後のマーカー陽性細胞数は、投与前(又はコントロール)に比べて、0.7、0.5、0.3、又は0.1倍以下に減少していてもよい。なお、後述する実施例2では、CD44陽性HuH7細胞を皮下に移植したマウスを用いて治療効果を評価したが、本願発明者らは、上記CD44陽性HuH7細胞に代えて、通常のHuH7細胞を用いた場合にも、IC-2が悪性腫瘍の治療効果を示したことを実験で確認している。
【0056】
また悪性腫瘍の治療効果は、患者由来の被験細胞の増殖速度が、治療薬投与後に有意に減少した場合に、治療効果があったと判断してもよい。このとき、治療薬投与後の被験細胞の増殖速度は、投与前(又はコントロール)に比べて、0.7、0.5、0.3、又は0.1倍以下に減少していてもよい。なお、本発明の一実施形態において「有意に」は、例えば、統計学的有意差をスチューデントのt検定(片側又は両側)を使用して評価し、p<0.05又はp<0.01である状態であってもよい。又は、実質的に差異が生じている状態であってもよい。
【0057】
本発明の一実施形態において「患者」は、ヒト、又はヒトを除く哺乳動物(例えば、マウス、モルモット、ハムスター、ラット、ネズミ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、マーモセット、サル、又はチンパンジー等の1種以上)を含む。また患者は、悪性腫瘍又は線維症を発症していると判断又は診断された患者であってもよい。又は、患者は、悪性腫瘍又は線維症の治療を必要としている患者であってもよい。又は、患者は、健常人に比べて組織中の癌幹細胞数が有意に多いと判断又は診断された患者であってもよい。なお、判断又は診断は、画像検査、内視鏡検査、生研、又は各種マーカーを検出することにより行ってもよい。
【0058】
本発明の一実施形態において「細胞の増殖が抑制されている状態」は、被験細胞の増殖速度が、薬剤処理前に比べて有意に減少している状態を含む。増殖速度は、一定期間の細胞の増殖量を測定することで評価できる。増殖量の測定は、例えば、吸光度を指標にして測定しても良く、目視で行ってもよい。又は、増殖量の測定は、患者又は患者由来サンプル中の悪性腫瘍マーカーの量を指標にして測定してもよい。本発明の一実施形態において「癌幹細胞の抑制」は、例えば、癌幹細胞の増殖抑制、機能抑制(例えば、スフェア形成抑制、マーカー発現抑制)を含む。
【0059】
本発明の一実施形態は、式(1)、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍、癌幹細胞、又は線維化のマーカー抑制剤である。本発明の一実施形態は、式(1)及び、(2)、及び(5)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含む、悪性腫瘍又は癌幹細胞のスフェア形成阻害剤である。このスフェア形成阻害剤は、悪性腫瘍又は癌幹細胞の治療に使用できる。
【0060】
本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る治療薬に含まれる低分子化合物を患者に投与する工程を含む、治療方法である。本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る治療薬に含まれる低分子化合物の、治療薬の製造のための使用である。本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る増殖抑制剤に含まれる低分子化合物を患者に投与する工程を含む、増殖抑制方法である。本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る増殖抑制剤に含まれる低分子化合物の、増殖抑制剤の製造のための使用である。本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る再発抑制薬に含まれる低分子化合物を患者に投与する工程を含む、悪性腫瘍の再発抑制方法である。本発明の一実施形態は、上記いずれかの実施形態に係る再発抑制薬に含まれる低分子化合物の、悪性腫瘍の再発抑制薬の製造のための使用である。
【0061】
本発明の一実施形態は、式(1)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物である(ここで、式(1)のR1、R2、及びR3がそれぞれHであり、R4が、4位で、且つF、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチルである)。この化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を用いれば、悪性腫瘍、癌幹細胞、線維症を治療することができる。
【0062】
本発明の一実施形態は、式(1)に示す化合物群から選ばれる1種以上の化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を含むWnt/β-カテニンシグナル抑制剤である(ここで、式(1)のR1、R2、及びR3がそれぞれHであり、R4が、4位で、且つF、Cl、ニトロ、OH、CH2OH、メトキシ、メトキシメトキシ、又はtert-ブチルジメチルシロキシメチルである)。この化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を用いれば、Wnt/β-カテニンシグナルを抑制することができる。Wnt/β-カテニンシグナル抑制剤は、in vitro又はin vivoの各種用途に使用できる。Wnt/β-カテニンシグナル抑制剤は、例えば、Wnt/β-カテニンシグナル抑制効果によって改善される疾患の治療に使用できる。
【0063】
本明細書において引用しているあらゆる刊行物、公報類(特許、又は特許出願)は、その全体を参照により援用する。
【0064】
本明細書において「又は」は、文章中に列挙されている事項の「少なくとも1つ以上」を採用できるときに使用される。「もしくは」も同様である。本明細書において「2つの値の範囲内」と明記した場合、その範囲には2つの値自体も含む。本明細書において「A~B」は、A以上B以下を意味するものとする。
【0065】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記実施形態に記載の構成を組み合わせて採用することもできる。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
<実施例1>癌細胞及び癌幹細胞の抑制実験
1.1 使用した試薬例
・DMEM: Dulbecco's Modified Eagle's Medium 粉末 (Nissui、広島、日本)、10 mL 10% NaHCO3、5 mL 100×glucose、10 mL 50×glutamine、10% ウシ胎児血清 (FBS) (EQUITECH-BIO、Texas、USA)
・PBS (-): 137 mM NaCl、8.10mM Na2HPO4・12H2O、2.68mM KCl、1.47mM KH2PO4
・Trypsin/EDTA solution: Nacalai Tesque、0.25% Trypsin、1mM EDTA
・低分子化合物IC-2(式(3))、PN3-13(式(4))、HC-1(式(6))、ICG-001はWO2012/141038に記載の方法に従って合成した。
【0068】
1.2 細胞培養
肝癌細胞株HuH7細胞を、10 cmの細胞培養皿 (TPP Techno Plastic Products AG, Trasadingen, Switzerland) 上にて、DMEMを用いて、5 % CO2、37℃、100%湿度下において培養した。70~90 %コンフルエントになった状態でTrypsin/ EDTA Solution 200 μLを加えて細胞を剥がし、1000 rpmで5分、室温で遠心し細胞を回収、1 dish分を4 dishに分けて継代した。
【0069】
1.3 癌細胞の抑制効果(WST assay)
70~90 %コンフルエントになったHuH7細胞を回収し、96 穴プレート(FALCON)の各well に濃度依存的な抗腫瘍効果検討では1×104 個ずつ、時間依存的な抗腫瘍効果検討では5×103 個ずつ播種した。24 時間後にIC-2、PN3-13、又はHC-1で細胞を処理し、37 ℃でインキュベートした。コントロールには、DMSOを用いた。
【0070】
各低分子化合物の濃度は以下の通りである。IC-2: 0、1、5、10、25、50 μM、PN3-13: 0、1、5、10、25、50 μM、HC-1: 0、1、5、10、25、50 μM。濃度依存的な抗腫瘍効果検討では薬剤処理4日後に、時間依存的な抗腫瘍効果検討では薬剤処理0、1、2、4日後に10% TetraColor ONE (SEIKAGAKU CORPORATION、東京、日本) 100 μLを加え、37 ℃、45分インキュベートし、96穴用Micro Plate Reader(TECAN、Zurich、Switzerland)を用いて吸光度(測定波長450 nm/対照波長600 nm)を測定した。測定結果は、試薬のみの吸光度との差をとることで、細胞のみの吸光度とし、これを生細胞数とした。また、各低分子化合物のIC50は、IC50 =10{LOG(A/B)×(50-C)/(D-C)+LOG(B)} により求めた。Aは50%を挟む高い濃度、Bは50%を挟む低い濃度、CはBでの阻害率、DはAでの阻害率を表す。
【0071】
以上の結果、IC-2で処理することによって、HuH7細胞の増殖が顕著に抑制された(図1、2)。また、PN3-13で処理した場合も、HuH7細胞の増殖が顕著に抑制された(図3、4)。また、HC-1で処理した場合も、HuH7細胞の増殖が抑制された(図5)。
【0072】
1.5 癌幹細胞の抑制効果(FACS解析)
以下の手順にて、癌幹細胞マーカーであるCD44を指標として、低分子化合物による癌幹細胞の抑制効果を調べた。70~90 %コンフルエントになったHuH7細胞を回収し、10 cm dish(TPP Techno Plastic Products AG, Trasadingen, Switzerland)に1.5×106個ずつ播種した。15 時間後にHexachlorophen (15 μM)、、ICG-001 (15 μM)、PKF118-310 (5 μM)、IC-2 (50 μM)、PN3-13 (10 μM)、又は5-FU (0.5 μM)でそれぞれ処理し、37 ℃でインキュベートした。コントロールには、各低分子化合物、抗癌剤の溶媒としたDMSOを用いた。薬剤処理2日後に細胞をdishから回収し、1000 rpm、5分、4℃で遠心を行い、上清を取り除き、1mLの0.5%FBS/2 mM EDTA/PBSで2回washを行った。5%BSA/0.5%FBS/2 mM EDTA/PBS 500 μLに懸濁し、15分、4℃で1ブロッキングを行った。
【0073】
抗ヒトCD44モノクローナル抗体 (Cell Signaling Technology Inc., Danvers, MA, USA) を5μL加えた後、懸濁し、10分、4℃、暗所で1次抗体反応を行った。その後、PBS1 mLで3回washを行った。ヤギ抗マウスIgG Alexa 488標識 (Life Technologies Corp., Carlsbad, CA, USA) を1.0 μg加えた後、懸濁し、10分、4℃、暗所で2次抗体反応を行った。PBS1 mLで3回washを行った後、さらに5%FBS/2 mM EDTA/DMEMで1回washを行った。そして、5%FBS/2 mM EDTA/PBS500 μLに懸濁し、40 μmのメッシュチューブ (Becton, Dickinson and Company, Franklin, Lakes NJ, USA) に通した。Beckman Coulter-Moflo XDP(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA, USA)を用いて、解析を行った。なお、有意差はスチューデントのt検定(両側)で評価し、図中の*はp<0.05を、**はp<0.01を意味する(実施例中の全図に共通)。n=5で行った。
【0074】
以上の結果、IC-2、又はPN3-13を用いた場合に、癌幹細胞の細胞数が、コントロールに比べて有意に減少していた(図6)。代表的な抗癌剤である5-FUを用いた場合には、むしろ癌幹細胞の細胞数が増加していた。
【0075】
<実施例2>肝癌モデルマウスを用いた悪性腫瘍治療効果の評価
CD44陽性HuH7細胞を皮下に移植したマウスを3群(DMSO群: 5匹、5-FU群: 4匹、IC-2群: 4匹)に分け、30 mg/kg 5-FU、50 mg/kg IC-2、各薬剤の溶媒であるDMSOをコントロールとして、3日毎に腹腔内に投与した。各マウスの体重、腫瘍の長径、短径を3日毎に測定し、腫瘍体積は下記の計算式によって算出した。腫瘍体積 = 長径×(短径)2×0.5。腫瘍体積は、Day 0の体積で標準化してグラフを作成した。5-FUの投与量は、5-FUの効果を十分に評価するため、論文で一般的に採用されている25mg/kgの2倍量に設定した。IC-2の投与量は、in vitroでWnt/β-カテニンシグナル抑制効果を示した濃度から対応する濃度を算出し、その2倍量に設定した。
【0076】
以上の結果、IC-2及び5-FUのいずれを投与した場合も、体重の変化は見られなかった(図7)。このことは、IC-2及び5-FUがいずれも安全に投与可能であることを意味している。さらに、IC-2は5-FUよりも顕著に高い悪性腫瘍の治療効果を示した(図8)。
【0077】
<実施例3>スフェア形成能への影響
HuH7細胞を回収後、抗ヒトCD44モノクローナル抗体 (Cell Signaling Technology Inc., Danvers, MA, USA)、ヤギ抗体マウスIgG Alexa 488を用いて染色し、Beckman Coulter-Moflo XDP (Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA, USA)によってCD44陰性、CD44陽性分画に分離した。分画した細胞をそれぞれ5×104 cells/wellずつ24-well Ultra-Low attachment multiwell plate (Corning, NY, USA)に播種し、37℃、5% CO2存在下で20 ng/mL recombinant human epidermal growth factor、20 ng/mL human basic fibroblast growth factor、1×B27、L-glutamineを含むDMEM/Nutrient Mixture F-12 Ham (Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)を用いて培養した。播種24時間後に1% DSMO、50 μM IC-2、10 μM PN-3-13をそれぞれのwellに加えて培養し、薬剤処理1週間後に15視野/well内の100 μm以上のスフェア数をカウントした。
【0078】
以上の結果、IC-2及びPN-3-13は、CD44陰性及びCD44陽性のHuH7細胞のスフェア形成を抑制した(図9)。このことは、IC-2及びPN-3-13が癌細胞及び癌幹細胞の機能を抑制したことを意味している。
【0079】
<実施例4>癌幹細胞のFACS解析
4.1 CD90(癌幹細胞マーカー)
肝癌細胞株HLFを10 cm dishに1.5×106 cells/dishずつ播種し37℃、5% CO2存在下で培養し、24時間後に1% DSMO、0.5 μM 5-FU、50 μM IC-2を加えてインキュベートした。薬剤処理2日後に細胞を回収し、0.5%BSA/0.5%FBS/2 mM EDTA/PBSでブロッキング処理を行った。500 μL細胞懸濁液にAPCマウス抗ヒトCD90抗体 (BD Biosciences, San Jose, CA, USA)を5 μL加えて懸濁し、4℃、10 minインキュベートすることで1次抗体反応を行った。抗体反応後、0.5% FBS/2 mM EDTA/PBSで2回、5% FBS/2 mM EDTA/DEMEで1回washを行い、5% FBS/2 mM EDTA/PBS 500 μLで懸濁後、1 μg/mL propidium iodideを加えて、40 μmメッシュチューブに通した。CD90発現細胞は、Beckman Coulter-Moflo XDPを用いて解析を行った。5-FUの濃度は、WSTアッセイ24時間におけるIC50の濃度に基づいて設定した。IC-2の濃度は、Wnt/β-カテニンシグナル抑制効果を示した濃度に基づいて設定した。
【0080】
上記の結果、CD90発現細胞の割合はDMSOが21.8%、5-FUが24.1%、IC-2が13.5%であった(図10)。即ち、IC-2は高い肝癌幹細胞抑制効果を示した。
【0081】
4.2 CD133 (癌幹細胞マーカー)
肝癌細胞株HepG2を10 cm dishに1.5×106 cells/dishずつ播種し、37℃、5% CO2存在下で培養した。24時間後に1% DSMO、0.5 μM 5-FU、50 μM IC-2を加えてインキュベートし、薬剤処理2日後に回収した細胞は、0.5%BSA/0.5%FBS/2 mM EDTA/PBSでブロッキング処理を行った。500 μL細胞懸濁液に抗ヒトCD133モノクローナル抗体 (Miltenyi Biotec)を50 μL加えて懸濁し、4℃、10 minインキュベートすることで1次抗体反応を行った。1抗体反応後、PBS 1 mL で3回washを行い、ヤギ抗マウスIgG Alexa 488標識 (Life Technologies Corp., Carls bad, CA, USA) を1.0 μg加えた後、懸濁し、10分、4℃、暗所で2次抗体反応を行った。5% FBS/2 mM EDTA/PBSで2回、5% FBS/2 mM EDTA/DEMEで1回washを行い、5% FBS/2 mM EDTA/PBS 500 μLで懸濁後、1 μg/mL propidium iodideを加えて、40 μmメッシュチューブに通した。CD133発現細胞は、Beckman Coulter-Moflo XDPを用いて解析を行った。
【0082】
上記の結果、CD133発現細胞の割合はDMSOが57.1%、5-FUが33.3%、IC-2が1.45%であった(図11)。即ち、IC-2は高い肝癌幹細胞抑制効果を示した。
【0083】
4.3 EpCAM (癌幹細胞マーカー)
肝癌細胞株HepG2を10 cm dishに1.5×106 cells/dishずつ播種し、37℃、5% CO2存在下で培養した。24時間後に1% DSMO、0.5 μM 5-FU、50 μM IC-2を加えてインキュベートし、薬剤処理2日後に回収した細胞は、0.5%BSA/0.5%FBS/2 mM EDTA/PBSでブロッキング処理を行った。500 μL細胞懸濁液に抗ヒトEpCAMモノクローナル抗体 (Cell Signaling Technology Inc., Danvers, MA, USA)を0.3 μL加えて懸濁し、4℃、10 minインキュベートすることで1次抗体反応を行った。1次抗体反応後、PBS 1 mL で3回washを行い、ヤギ抗マウスIgG Alexa 488標識 (Life Technologies Corp., Carls bad, CA, USA) を1.0 μg加えた後、懸濁し、10分、4℃、暗所で2次抗体反応を行った。5% FBS/2 mM EDTA/PBSで2回、5% FBS/2 mM EDTA/DEMEで1回washを行い、5% FBS/2 mM EDTA/PBS 500 μLで懸濁後、1 μg/mL propidium iodideを加えて、40 μmメッシュチューブに通した。EpCAM発現細胞は、Beckman Coulter-Moflo XDPを用いて解析を行った。
【0084】
上記の結果、EpCAM発現細胞の割合はDMSOが76.2%、5-FUが81.4%、IC-2が51.1%であった(図12)。即ち、IC-2は高い肝癌幹細胞抑制効果を示した。
【0085】
<実施例5>Wnt/β-カテニンシグナル抑制効果の評価
5.1 CF4-CMVpro-Luc安定発現株の樹立
5×106個のHuH7細胞に、30μgのpTCF4-CMVpro-Lucを加えてCellject Pro (Thermo、Massachusetts、USA) によるプラスミドの導入を行った (250 V、1500 μF)。遺伝子導入24時間後に2 μg/mL puromycinを添加してセレクションを行い、培地は3~5日毎に交換した。pTCF4-CMVpro-Lucを導入したHuH7細胞は、それぞれセレクション開始 20日後にコロニー形成が確認された。形成されたコロニーは、ブルーチップの先端を切断して作製したクローニングリングの縁にワセリンを付けてコロニーを囲み、PBSで5倍希釈した0.25 % Trypsin/1 mM EDTA Solution 30 μLで細胞をはがして回収し、70 μLのDMEMを加えて96-well plateに播種した。
【0086】
次に、70~90 %コンフルエントになったHuH7細胞を回収し、24 穴プレート(FALCON)の各well に3.5×105 個ずつ播種した。24 時間後に15 mL tubeに細胞を回収し、1000 rpm、5 分、室温で遠心分離後に、1 ×PBS (-) 1 mLでwashし、再び1000 rpm、5 分、室温で遠心分離した。細胞塊をProteinase K Buffer 375 μLに再懸濁し、sodium dodecyl sulfate (SDS)を25 μL、Proteinase K (20 mg/mL)を4 μL加えて55 ℃、over nightでインキュベートすることで細胞タンパクを消化した。次にフェノール/クロロホルムを400 mL加えてボルテックスし、15000 rpm、5 分、4 ℃で遠心分離し、上清を回収して2 倍量の100 %エタノールを加え、-80 ℃、30 分インキュベートした。15000 rpm、20 分、4 ℃で遠心分離後、上清を捨て70 %エタノール500 μLを加えた。15000 rpm、10 分、4 ℃でさらに遠心分離し、最後に上清を捨てペレットを超純水20 μLで溶解し、1 μL分光光度計 (エルエムエス、東京、日本)でDNA量を測定して1 ng/μLになるように調整した。次にPolymerase Chain Reaction (PCR)を行った。インターナルコントロールとしてGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH) 領域に対するプライマーを使用した。そして、Luciferase領域に対するプライマーを使用した。
【0087】
PCR反応は、rTaq (TOYOBO、大阪、日本) を使用し、10 μLスケールで、各遺伝子の増幅は、それぞれ95 ℃ 2 分、その後95 ℃ 30 秒、60 ℃ 30 秒、72 ℃ 30 秒で25 サイクル、72 ℃ 5 分 (GAPDH)、95 ℃ 2 分、95 ℃ 30 秒、55 ℃ 30 秒、72 ℃ 30 秒で30 サイクル、72 ℃ 5 分 (luciferase遺伝子) で行った。
【0088】
次にルシフェラーゼアッセイを行った。70~90 %コンフルエントになったHuH7細胞を回収し、24 穴プレート(FALCON)の各well に5×104 個ずつ播種した。20 % Passive Lysis Buffer (PLB) (PROMEGA、Wisconsin、USA) を24 穴プレートは細胞播種から17 時間後に100 μLずつ各wellに加えて、室温で30 分震盪した。3.5 ml Rohren tube (SARSTEDT、Numbrecht、German) にLuciferase Assay Reagent (LAR) (PROMEGA)を50 μLずつ加えた。24 穴プレートでPLBにより溶解した細胞を10 μLずつ加えていき、MiniLumat LB 9506 (Berthold Technologies、Bad Wildbad、German) を用いてluciferase activityを測定した。
【0089】
5.2 ルシフェラーゼアッセイ
70~90 %コンフルエントになったpTCF4-CMVpro-Luc安定発現するHuH7細胞を回収し、96 穴プレート(FALCON)の各well に1×104 個ずつ播種した。12 時間後に図13に示す濃度のIC-2、PN-3-13、又は5-FUによって処理し、37℃でインキュベートした。コントロールには、DMSOを用いた。低分子化合物処理2日後にSteady-Glo (PROMEGA、Wisconsin、USA) を96 穴ホワイトプレート(Corning Inc., New York, USA)に100 μLずつ各wellに加えて、5分間室温でインキュベートした。その後、蛍光プレートリーダー インフィニットF500 (TECAN、Zurich、Switzerland) を用いてluciferase活性を測定した。
【0090】
以上の結果、IC-2及びPN-3-13はWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を示した(図13)。5-FUは、Wnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を示さなかった。
【0091】
<実施例6>大腸癌における抗腫瘍効果
6.1 細胞培養
大腸癌細胞(DLD-1、HCT 116、colo 205)を、10 cm 細胞培養皿(TPP Techno Plastic Products AG, Trasadingen, Switzerland)上にて、DMEMを用いて5% CO2、37℃、100%湿度下で培養した。継代は、70~90 %コンフルエント時に、PBS(-)でwash後、PBS(-) 2mLに対し、Trypsin/EDTA 300 μL添加し、37℃で5分インキュベートし細胞を剥離後、DMEM 5 mLを用いて、細胞を回収した。回収した細胞は、1000 rpmで3分遠心を行い、上清を除去し、DMEMに懸濁後、1:4で継代した。
【0092】
6.2 抗腫瘍効果
大腸癌細胞(DLD-1、HCT 116、又はcolo 205)を96-well plate(TPP)に5×105 個ずつ播種した。24時間後、IC-2、PN3-13、又はHC-1を図14~16に示す濃度で処理した。低分子化合物で処理後48時間後に、10 % TetraColor ONE(SEIKAGAKU CORPORATION、東京、日本) 100 μLを加え、37℃でインキュベートし、96well 用Micro Plate Reader(TECAN、Zurich、Switzerland)を用いて吸光度(測定波長450 nm/対照波長600 nm)を測定した。
【0093】
以上の結果、IC-2、PN3-13、及びHC-1は、大腸癌細胞の増殖抑制効果を示した(図14~16)。
【0094】
6.3 スフェア形成能の評価
DLD-1について、細胞表面マーカーCD44の発現を指標として、上位5%の集団及び下位5%の集団に分画した。1次抗体は、Anti-human CD44 antibody(Abcam Ltd., Cambridge, UK)を使用し、goat IgG Alexa 488 anti-mouse(Life Technologies Corp., Carlsbad, CA, USA)を使用しした後、MoFlo XDP(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA)によってそれぞれの集団を解析・分取した。回収された細胞は24well Ultra-Low attachment multiwell plates(Corning Inc., Corning, NY)を用い、recombinant human basic fibroblast growth factor(bFGF:コアフロント株式会社、東京、日本)20 ng/mL、及びrecombinant human epidermal growth factor(Sigma Life Science、St. Louis、United States)20 ng/mL、B-27(life technologies)、L-glutamine(invitrogen, Life Technologies Corp., Carlsbad, CA)200 mmol/L、0.6%methyl cellulose(Sigma Life Science)を添加した血清無添加DMEM/F12培地(Sigma Life Science)500 μl下にて、各wellに5,000細胞を散布し、スフェア形成能の差を検討した。3日目に上記組成の培地500mlを追加し、7日目に評価した。位相差顕微鏡にてwellごとに10視野を写真撮影し、合計スフェア数をフリーソフトImage Jにて計算、その合計数をそれぞれの群で比較した。
【0095】
DLD-1において、CD44をより強く発現する細胞集団における1wellあたりのスフェア形成数は、CD44の発現が弱い細胞集団と比較し有意差を持って高かった(図17)。このことから、CD44を強く発現する群には、スフェア形成能を示し、且つ癌幹細胞性を持つ細胞がより多く含まれることが示された。
【0096】
6.4 癌幹細胞の抑制効果
DLD-1を10 cm dishに1×106個播種した。24時間後、5-FU:0.5、5 μM、又はIC-2:50 μMで処理を行った。さらに、48時間後、細胞を回収した。1次抗体は、Anti-human CD44 antibody(Abcam Ltd., Cambridge, UK)を使用し、goat IgG Alexa 488 anti-mouse(Life Technologies Corp., Carlsbad, CA, USA)を使用した。その後、MoFlo XDP(Beckman Coulter Inc., Fullerton, CA)によって解析を行った。
【0097】
以上の結果、IC-2の処理によって、コントロールに対してCD44high 細胞(CD44を強く発現する細胞)の割合が有意に減少していた(図18)。即ち、IC-2は癌幹細胞の抑制効果を示した。なお、5-FUではむしろ増加していた。
【0098】
6.5 Wnt/β-カテニンシグナルの抑制効果
大腸癌細胞(DLD-1、HCT 116、colo 205)を24-well plateに3.34×104 個ずつ播種した。24時間後、1 μL lipofectamine 2000 (invitrogen, Life Technologies Corp., Carlsbad, CA)、50 ng pTCF4-CMVpro-FLuc、2.5 ng pCMVpro-Rlucを用いてtransfectionを行った。4時間後、IC-2、PN3-13、又はHC-1を図19~21に示す濃度で処理した。低分子化合物で処理後48時間後に、20 % Passive Lysis Buffer (PROMEGA、Wisconsin、USA)を24穴プレートに100 μLずつ添加し、常温で15分振盪した後、-30℃で一晩静置した。翌日、Dual-LuciferaseR Reporter Assay System(PROMEGA)を用いて、MiniLumat LB 9506(Berthold Technologies、Bad Wildbad、German)によって、luciferase activityを測定した。
【0099】
以上の結果、IC-2、PN3-13、及びHC-1は、大腸癌細胞のWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を示した(図19~21)。
【0100】
<実施例7>扁平上皮癌における抗腫瘍効果
7.1 細胞培養
扁平上皮癌細胞株HSC2を、10 cm 細胞培養皿(TPP Techno Plastic Products AG, Trasadingen, Switzerland)上にて、DMEMを用いて5% CO2、37℃、100%湿度下で培養した。継代は、70~90 %コンフルエント時に、PBS(-)でwash後、PBS(-) 2mLに対し、Trypsin/EDTA 300 μL添加し、37℃で5分インキュベートし細胞を剥離後、DMEM 5 mLを用いて、細胞を回収した。回収した細胞は、1000 rpmで3分遠心を行い、上清を除去し、DMEMに懸濁後、1:4で継代した。
【0101】
7.2 抗腫瘍効果
HSC2を96-well plate(TPP)に2.5×103 個ずつ播種した。24時間後、IC-2、PN3-13、又はHC-1を図22~24に示す濃度及び時間で処理した。低分子化合物で処理後48時間後に、10 % TetraColor ONE(SEIKAGAKU CORPORATION、東京、日本) 100 μLを加え、37℃でインキュベートし、96well 用Micro Plate Reader(TECAN、Zurich、Switzerland)を用いて吸光度(測定波長450 nm/対照波長600 nm)を測定した。また、扁平上皮癌細胞株HSC3についても上記と同様の方法にて、培養後、IC-2による抗腫瘍効果を調べた。
【0102】
以上の結果、IC-2、PN3-13、及びHC-1は、扁平上皮癌細胞の増殖抑制効果を示した(図22~25)。
【0103】
7.3 癌幹細胞の抑制効果
HSC2を10 cm dishに5×105個播種した。24時間後、5-FU:0.5 μM、IC-2:25 μM、PN-3-13:7.5μM、又はHC-1:50 μMで処理を行った。また、低分子化合物で処理しない細胞も調製した(0μM)。さらに、48時間後、各細胞を回収した。1次抗体としてAnti-human CD44 antibody(Abcam Ltd., Cambridge, UK)を使用し、さらにgoat IgG Alexa 488 anti-mouse(Life Technologies Corp., Carlsbad, CA, USA)を使用した。その後、BD bioscience FACS Ariaセルソーター(BD Biosciences, CA, USA)によって解析を行った。なお、各低分子化合物の濃度は、WSTアッセイ48時間におけるIC50の濃度に基づいて設定した。
【0104】
以上の結果、CD44発現細胞の割合は、低分子化合物で処理しない場合が83.9%であったのに対し、IC-2では71.4%に、PN-3-13では68.4%に、HC-1では49.8%に減少した(図26)。即ち、IC-2、PN3-13、及びHC-1は、癌幹細胞の抑制効果を示した。またこの中でも、HC-1の効果が顕著であった。なお、5-FUでは83.3%であり、変化は見られなかった。
【0105】
7.4 Wnt/β-カテニンシグナルの抑制効果
HSC2を24-well plateに5×104 個ずつ播種した。24時間後、1 μL lipofectamine 2000 (invitrogen, Life Technologies Corp., Carlsbad, CA)、50 ng pTCF4-CMVpro-FLuc、2.5 ng pCMVpro-Rlucを用いてtransfectionを行った。4時間後、IC-2、PN3-13、又はHC-1を図27~29に示す濃度で処理した。低分子化合物で処理後48時間後に、20 % Passive Lysis Buffer (PROMEGA、Wisconsin、USA)を24穴プレートに100 μLずつ添加し、常温で15分振盪した後、-30℃で一晩静置した。翌日、Dual-LuciferaseR Reporter Assay System(PROMEGA)を用いて、MiniLumat LB 9506(Berthold Technologies、Bad Wildbad、German)によって、luciferase activityを測定した。
【0106】
以上の結果、IC-2、PN3-13、及びHC-1は、扁平上皮癌細胞のWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を示した(図27~29)。
【0107】
<実施例8>IC-2誘導体の評価
8.1 合成
IC-2誘導体の合成を図30~35に示すスキームにしたがって行った。合成の詳細については以下に示す。合成したIC-2誘導体の構造式とスペクトルデータを図36及び37に示す。
【0108】
化合物1
1-naphtaldehyde(1.6 g, 10 mmol)と2,2-dietoxyethanamine(1.3 g, 10 mmol)を混合し、100 oCで30 min~1 hr撹拌した。放冷後、反応混合物にEtOH(25 mL)を加え、撹拌して均一にした後、NaBH4(0.38 g, 10 mmol)を少量ずつ加え、その後は室温で1 hr~一晩撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりEtOHを留去し、得られた残渣に水(適量)を加え、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った後、ろ過および減圧濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane = 5/1)で精製することで1(2.3 g, 8.5 mmol, 85 %)を無色透明液体で得た。
【0109】
化合物1-R
1-naphtaldehydeに変えて4-置換benzaldehyde(置換基R = OMe, Cl, 又はF)を用いて、1と同様の手順で操作を行った。
【0110】
化合物2b
Fmoc-L-Phe-OH(0.54 g, 2.0 mmol)のdry-DMF(7 mL)溶液にHATU(0.76 g, 2.0 mmol)とdiisopropylethylamine(DIEA)(0.26 g, 2.0 mmol)を加え、室温で30 min撹拌後、その反応混合物に1(0.54 g, 2.0 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、水(20 mL)を加え、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った後、ろ過および減圧濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane = 1/2)で精製することで2b(1.2 g, 1.9 mmol, 95 %)を無色固体で得た。
【0111】
化合物2b-R
1に変えて1-R(R = OMe, Cl, 又はF。以下実施例8中は同じ)を用いて、2bと同様の手順で操作を行った。
【0112】
化合物3b
2b(1.1 g, 1.7 mmol)のCH2Cl2(20 mL)溶液にdiethylamine(DEA)(10 mL)を加え、室温で3 hr撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりCH2Cl2および過剰のDEAを留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 5/1)で精製することで3b(0.55 g, 1.3 mmol, 76 %)を無色透明の粘性液体で得た。
【0113】
化合物3b-R
2bに変えて2b-Rを用いて、3bと同様の手順で操作を行った。
【0114】
化合物4b
Fmoc-β-Ala-OH(2.5 g, 8.0 mmol)のdry-DMF(15 mL)溶液にHATU(3.3 g, 8.7 mmol)とDIEA(1.1 g, 8.5 mmol)を加え、室温で30 min撹拌後、その反応混合物に3b(3.3 g, 7.8 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、水(30 mL)を加え、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で2回洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った後、ろ過および減圧濃縮を行った。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane = 3/1)で精製することで4b(5.1 g, 7.1 mmol, 91 %)を無色固体で得た。
【0115】
化合物4b-R
3bに変えて3b-Rを用いて、4bと同様の手順で操作を行った。
【0116】
化合物6b
4b(2.8 g, 3.9 mmol)のCH2Cl2(10 mL)溶液にDEA(6 mL)を加え、室温で3~4 hr撹拌した。減圧濃縮によりCH2Cl2および過剰のDEAを留去し、得られた残渣にCH2Cl2(適量)を加え、均一溶液にした後、再度、減圧濃縮を行った。この操作を2回行った後、得られた残渣にCH2Cl2(10 mL)を加え、撹拌して均一にした後、benzyl isocyanate(0.78 g, 5.9 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりCH2Cl2を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 30/1)で精製することで6b(1.5 g, 2.4 mmol, 62 %)を無色固体で得た。
【0117】
化合物6b-R
4bに変えて4b-Rを用いて、6bと同様の手順で操作を行った。
【0118】
化合物8b
4b(1.6 g, 2.3 mmol)にギ酸(10 mL)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりギ酸を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane = 4/1)で精製することで8b(1.3 g, 2.1 mmol, 91 %)を無色固体で得た。
【0119】
化合物8b-R
4bに変えて4b-Rを用いて、8bと同様の手順で操作を行った。
【0120】
化合物9b
8b(1.1 g, 1.8 mmol)のCH2Cl2(5.5 mL)溶液にdiethylamine(1.3 g, 18 mmol, 1.8 mL)を加え、室温で3 hr撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりCH2Cl2を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 7/1)で精製することで9b(0.57 g, 1.4 mmol, 78 %)を無色固体で得た。
【0121】
化合物9b-R
8bに変えて8b-Rを用いて、9bと同様の手順で操作を行った。
【0122】
IC-2 (6bからの合成)
6b(1.3 g, 2.1 mmol)にギ酸(8 mL, 0.21 mol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりギ酸を留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 30/1)で精製することでIC-2 (1.0 g, 1.9 mmol, 90 %)を無色固体で得た。
【0123】
IC-2-R
6bに変えて6b-Rを用いて、IC-2(6bからの合成)と同様の手順で操作を行った。
【0124】
IC-2 (9bからの合成)
9b(3.3 g, 8.3 mmol)のCH2Cl2(10 mL)溶液にbenzyl isocyanate(1.4 g, 11 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。反応終了後、減圧濃縮によりCH2Cl2を留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 30/1)で精製することでIC-2(3.7 g, 6.9 mmol, 83 %)を無色固体で得た。
【0125】
4-(4-Methoxybenzyloxy)phenylacetic acid
methyl 4-hydroxyphenylacetate (2.7 g, 16 mmol)のdry-DMF (20 mL)溶液にK2CO3 (4.4 g, 32 mmol)と4-methoxybenzyl chloride (1.3 g, 8 mmol)を加え、室温で24 hr撹拌した。反応混合物を氷水(30 mL)に投入し、生成物をEtOAcで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った後、ろ過および減圧濃縮を行った。得られた残渣にMeOH (24 mL)とTHF (8 mL)を加え、撹拌して均一にした後、NaOH水溶液 (0.96 g, 24 mmol, 6 mL)をゆっくり加え、室温で2 hr撹拌した。減圧濃縮により有機溶媒を留去した後、水 (50 mL)を加え、1M-硫酸で酸性にし、酢酸エチルとTHFで生成物を抽出した。有機層を飽和食塩水で2回洗浄した後、Na2SO4で乾燥を行い、ろ過および減圧濃縮を行った。得られた残渣を再結晶(EtOAc-THF)することで純粋な4-(4-Methoxybenxyloxy)phenylacetic acid (1.8 g, 6.8 mmol, 85 %)を得た。
【0126】
4-Methoxymethoxyphenylacetic acid
Methyl 4-hydroxyphenylacetate (2.5 g, 15 mmol)のCH2Cl2 (15 mL)溶液にDIEA (3.9 g, 30 mmol)を加え、氷水浴での冷却下、Chloromethyl Methyl Ether (1.8 g, 23 mmol)を加え、10 min間その温度で撹拌後、室温に戻し、さらに一晩撹拌した。減圧濃縮によりCH2Cl2および過剰のChloromethyl Methyl Etherを除去した後、MeOH (25 mL)を加え、撹拌して均一にしたところにKOH水溶液 (3.0 g, 45 mmol, 5 mL)を加え、室温で1.5 hr撹拌した。反応混合物に水 (20 mL)を加え、水層を分離後、飽和NH4Cl水溶液 (20 mL)を加え、希硫酸でpHを約4まで調整した。そこへEtOAcを加え、有機層を分離後、飽和食塩水による洗浄およびNa2SO4による乾燥を行った。ろ過、減圧濃縮および減圧乾燥により、4-methoxymethoxyphenylacetic acid (2.2 g, 11 mmol, 76 %)を得た。
【0127】
Benzyl 4-hydroxyphenylacetate
Ar下、氷水浴によって冷却された4-hydroxyphenylacetic acid (3.0 g, 20 mmol)のdry-DMF (20 mL)溶液にNaH (60 % in oil, 0.88 g, 22 mmol)を加え、その温度で30 min間撹拌後、benzyl bromide (6.8 g, 40 mmol)を何回かに分けて、30 minかけて加えた。氷水浴冷却下で3 hr撹拌後、室温で一晩撹拌した。反応混合物に水 (20 mL)とEtOAc (20 mL)を加え、よく撹拌した後、有機層を分離し、5 %-NaHCO3水溶液および飽和食塩水による洗浄、そしてNa2SO4による乾燥を行った。ろ過および減圧濃縮後、得られた固体にhexaneを加え、吸引ろ過を行い、得られた固体を減圧乾燥することでbenzyl 4-hydroxyphenylacetate (3.4 g, 14 mmol, 70 %)を得た。
【0128】
4-(tert-Butyldimethylsiloxymethyl)phenylacetic acid
Ar下、氷水浴によって冷却された4-Hydroxymethylphenylacetic acid(1.7 g, 10 mmol)のdry-DMF (10 mL)溶液にNaH(60 % in oil, 0.44 g, 11 mmol)を加え、その温度で30 min間撹拌後、benzyl bromide(3.4 g, 20 mmol)を30 minかけて何回かに分けて加えた。氷水浴冷却下で2 hr撹拌後、室温で一晩撹拌した。反応混合物に水(20 mL)とAcOEt(20 mL)を加え、よく撹拌した後、有機層を分離し、5 %-NaHCO3水溶液および飽和食塩水による洗浄とNa2SO4による乾燥を行った。ろ過後、減圧濃縮でAcOEtを留去し、さらに減圧蒸留で過剰のbenzyl bromideを留去した。得られた残渣にdry-DMF(10 mL)を加え、撹拌して均一にした後、tert-butyldimethylsilyl chloride (2.0 g, 13 mmol)とimidazole (1.4 g, 20 mmol)を加え、室温で2 hr撹拌した。反応混合物に水(20 mL)を加え、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った。ろ過および減圧濃縮を行った後、得られた残渣にEtOH (15 mL)を加え、撹拌して均一にしたところに5%-Pd/C(1.1 g)を加え、系内をH2置換した。室温で4 hr撹拌後、ろ紙を二枚重ねたろ過でPd/Cを除去し、ろ液を減圧濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/hexane = 1/2)に通すことで4-(tert- butyldimethylsiloxymethyl)phenylacetic acid(0.95 g, 3.4 mmol, 34 %)を得た。
【0129】
IC-2-OMOM
4-Methoxymethoxyphenylacetic acid (0.59 g, 3 mmol)のtoluene (10 mL)溶液にdiphenylphosphoryl azide (0.83 g, 3 mmol)とEt3N (0.36 g, 3.6 mmol)を加え、80℃で2 hr撹拌した。放冷後、hexane (15 mL)を加え、しばらく撹拌した後、上澄み液をデカンテーションで採取した。残渣に再度、hexane (7 mL)を加え、しばらく撹拌後、デカンテーションによる上澄み液の採取を行い、さらにもう一度同じ操作を行った。採取した上澄み液を減圧濃縮し、残渣にCH2Cl2 (8 mL)を加えて均一にしたところに9b (0.40 g, 1 mmol)を加えた。室温で混合物を一晩撹拌した後、減圧濃縮で有機溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt)に通すことでIC-2-OMOM (0.50 g, 0.85 mmol, 84 %)を得た。
【0130】
IC-2-NO2
IC-2-OMOMと同様の手順で、4-nitrophenylacetic acidを用いて、操作を行った。ただし、途中、hexaneを加えて上澄み液を採取する操作は省略し、放冷後、反応混合物へ直接、CH2Cl2および9bを加えて行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー:AcOEt/EtOH = 8/1。収率:24 %。
【0131】
IC-2-OPMB
IC-2-OMOMと同様の手順で、4-(4-Methoxybenzyloxy)phenylacetic acidを用いて、操作を行った。ただし、4-(4-methoxybenzyloxy)phenylacetic acidはtolueneのみでは均一溶液とならず、dry-THF (5 mL)も加えて行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー:AcOEt/EtOH = 30/1。収率:93 %。
【0132】
IC-2-MOTBS
IC-2-OMOMと同様の手順で、4-(tert-butyldimethylsiloxymethyl)phenylacetic acidを用いて、操作を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー:AcOEt。収率:66 %。
【0133】
IC-2-OH
IC-2-OMOM(0.44 g, 0.74 mmol)のCH2Cl2(3 mL)溶液にCF3CO2H(1.1 mL, 14 mmol)を加え、室温で1 hr撹拌した。反応混合物を5 %-NaHCO3水溶液(40 mL)にゆっくり投入し、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った。ろ過および減圧濃縮を行った後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 30/1)で精製することでIC-2-OH(0.16 g, 0.29 mmol, 39 %)を得た。
【0134】
IC-2-MOH
IC-2-MOTBS(0.51 g, 0.75 mmol)のdry-THF(8 mL)溶液に氷水冷却化でTBAFのTHF溶液(1 M, 1.5 mL, 1.5 mmol)を加え、その温度で10 min撹拌後、室温で1.5 hr撹拌した。反応混合物に水(20 mL)を加えた後、生成物をAcOEtで抽出した。分離した有機層は飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥を行った。ろ過および減圧濃縮を行った後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(AcOEt/EtOH = 10/1)で精製することでIC-2-MOH(0.30 g, 0.53 mmol, 71 %)を得た。
【0135】
8.2 Wnt/β-カテニンシグナルの抑制効果
70~90 %コンフルエントになったpTCF4-CMVpro-Luc安定発現するHuH7細胞を回収し、96 穴プレート(FALCON)の各well に1×104 個ずつ播種した。24時間後に図38及び39に示す濃度のIC-2誘導体(IC-2-OMe、IC-2-F、IC-2-Cl、又はIC-2-NO2)によって処理し、37℃でインキュベートした。コントロールには、DMSOを用いた。低分子化合物処理4日後にSteady-Glo (PROMEGA、Wisconsin、USA) を96 穴ホワイトプレート(Corning Inc., New York, USA)に100 μLずつ各wellに加えて、5分間室温でインキュベートした。その後、蛍光プレートリーダー インフィニットF500 (TECAN、Zurich、Switzerland) を用いてluciferase活性を測定した。
【0136】
以上の結果、IC-2誘導体はWnt/β-カテニンシグナルの抑制効果を示した(図38及び39)。
【0137】
<実施例9>線維化の抑制
9.1 細胞培養条件
ヒト肝星細胞株LX-2細胞は、10% FBS DMEMにて維持培養した。実験に使用する細胞は、1%FBS DMEMに懸濁し、播種を行った。細胞密度は、約2.0×105cell/cm2で行った。
【0138】
9.2 使用した低分子化合物の濃度
IC-2:0, 15, 20, 25μM、PN-3-13:0, 5.5, 6.0, 6.5μM、HC-1:0, 12, 16, 20μM。
【0139】
9.3 ルシフェラーゼアッセイ
ルシフェラーゼアッセイで、各低分子化合物のWnt/β-カテニンシグナル抑制効果を調べた。ルシフェラーゼアッセイは図40、及び以下9.3.1~9.3.2に示す条件で行った。図40は低分子化合物+TGFβで処理した場合のプロトコールであるが、低分子化合物単独、又は低分子化合物+Wnt3aで処理した場合でも同様の実験を行った。なお、TGFβとWnt3aは、Wnt/β-カテニンシグナルの強度を上昇させるために添加している。
【0140】
9.3.1 サンプル回収
5×Passive Lysis BufferをMQで5倍希釈する。100μl/wellで添加し、20分間振盪する。-30℃, O/Nで凍結する。
【0141】
9.3.2 測定
前日に凍結させたサンプル、LARII、Stop&Glo Buffer、Stop&Glo Substrateを約一時間室温でインキュベート(サンプル以外は遮光)する。Stop&Glo液(Stop&Glo Buffer 49μl、Stop&Glo Substrate 1μl)をサンプル数+1サンプル分用意する。3.5mlチューブに50μlのLARIIを分注し、サンプルを10μl添加し、測定器にセットする。一回目の測定が終了したら50μlのStop&Glo液を添加し、もう一度測定器にセットして測定を行う。
【0142】
9.3.3 結果
IC-2処理24時間後のルシフェラーゼアッセイの結果を図41~43に示す。IC-2単独、IC-2+TGFβ、IC-2+Wnt3aのいずれで処理した場合も、LX-2細胞のWnt/β-カテニンシグナルが抑制された。
【0143】
IC-2処理48時間後のルシフェラーゼアッセイの結果を図44~46に示す。IC-2単独、又はIC-2+TGFβ処理した場合に、LX-2細胞のWnt/β-カテニンシグナルが抑制された。
【0144】
PN3-13処理24、48時間後のルシフェラーゼアッセイの結果を図47、48に示す。PN3-13+TGFβ処理した場合に、濃度次第で、LX-2細胞のWnt/β-カテニンシグナルが抑制された。
【0145】
HC-1処理24時間後のルシフェラーゼアッセイの結果を図49~51に示す。HC-1単独、又はHC-1+TGFβ処理した場合に、LX-2細胞のWnt/β-カテニンシグナルが抑制された。
【0146】
HC-1処理48時間後のルシフェラーゼアッセイの結果を図52~54に示す。HC-1単独、HC-1+TGFβ、HC-1+Wnt3aのいずれで処理した場合も、LX-2細胞のWnt/β-カテニンシグナルが抑制された。
【0147】
9.4 リアルタイムPCR
リアルタイムPCRで各低分子化合物の線維化抑制効果を調べた。リアルタイムPCRは図55、及び以下9.4.1~9.4.2に示す条件で行った。なお、TGFβ、α-SMA、COL1A1は線維化マーカーである。
【0148】
9.4.1 サンプル調製
MQ:5.2μL/サンプル、MgCl2:0.8μl/サンプル、10μM primer F:0.5μl、10μM primer R:0.5μl、LightCycler FastStart DNA Master SYBER GreenI (1a+1b):1.0μM/サンプルをpre-Mixとして調製し、各wellに8μLずつ分注する。サンプルは2μL添加する。
【0149】
9.4.2 PCR反応温度
・GAPDH
95℃:10min→[95℃:10sec→60℃:10sec→72℃:10sec]×35cycle
・α-SMA
95℃:10min→[95℃:10sec→56℃:5sec→72℃:10sec]×40cycle
・COL1A1
95℃:10min→[95℃:10sec→58℃:5sec→72℃:10sec]×40cycle
・TGFβ
95℃:10min→[95℃:1sec→56℃:5sec→72℃:10sec]×40cycle
【0150】
9.4.3 結果
IC-2+TGFβ処理24、48時間後のリアルタイムPCRの結果を図56~58に示す。IC-2濃度の増加に伴い、線維化マーカーの発現量が減少した。特にα-SMAの発現量は顕著に減少していた。
【0151】
PN3-13+TGFβ処理24、48時間後のリアルタイムPCRの結果を図59~61に示す。24時間処理時のTGFβ以外は、PN3-13濃度の増加に伴い、線維化マーカーの発現量が減少した。特にα-SMAの発現量は顕著に減少していた。
【0152】
HC-1+TGFβ処理24、48時間後のリアルタイムPCRの結果を図62~64に示す。HC-1濃度の増加に伴い、線維化マーカーの発現量が減少した。特にα-SMAの発現量は顕著に減少していた。
【0153】
<実施例10>肝障害モデルマウスを用いた線維症治療効果の評価
10.1 実験動物及び飼育条件
7週齢のC57BL/6雄マウス(日本SLC、静岡、日本)を1週間予備飼育し健康なものを用いた。予備飼育および実験期間を通じて室温22±1℃, 湿度50±5%の動物室内で飼育し, 飼料および水は自由に摂取させた。
【0154】
10.2 肝線維化誘導方法及び薬物の投与方法
四塩化炭素(CCl4:和光純薬工業、大阪、日本)を0.2 ml/kg、週3回、4、6、および8週間、マイクロシリンジ(伊藤製作所、静岡、日本)にて腹腔内に投与した。四塩化炭素はコーンオイル(和光純薬工業)に溶解した濃度10%の溶液を使用した。この四塩化炭素溶液を4週間投与後、マウスをVehicle投与群、グリチルリチン投与群、ICG-001投与群、及びIC-2投与群に分割し、四塩化炭素と同時に下記の方法により調製した薬液を週3回、4週間、マイクロシリンジを用いて腹腔内に投与した。なお四塩化炭素と薬液は1日毎に交互に投与した。
【0155】
グリチルリチン(東京化成工業、東京、日本)を生理食塩水中に溶解し、4M NaOH液にてpH7.0に合わせて30 mg/mlの濃度に調製した。IC-2およびICG-001(AdooQ BioScience、California、USA)はそれぞれ40 mg/mlおよび10 mg/mlの濃度になるようにウェルソルブ(セレステ、東京、日本)中に溶解し, さらに60℃の湯浴にて10分間加熱し, 完全に溶解した。これらの薬剤が溶解したウェルソルブ溶液に9倍量の生理食塩水を加えた。次にグリチルリチンは150 mg/kg、IC-2は10.6、21.2 mg/kg、ICG-001は5 mg/kgとなるように薬液を必要量とり、IC-2及びICG-001はウェルソルブと生理食塩水を1:9の割合で混合した溶液、グリチルリチンは生理食塩水を加えて液量を200 μlに調製した。またウェルソルブと生理食塩水を1:9の割合で混合した溶液をVehicleとして用意した。なおIC-2の投与量は、in vitroでの有効濃度に基づき設定した。
【0156】
10.3 肝臓の摘出
四塩化炭素4週間投与後、5匹のマウスに対して、27G注射針を装着した1 mLのディスポーサブルシリンジを用いて1 gあたり1 μlの全身麻酔薬ソムノペンチル (共立製薬、東京、日本)を腹腔内に投与し、麻酔導入した。麻酔導入後、27G注射針ならびに1 mLシリンジを用いて下大静脈より全採血を実施したのち、全肝臓を摘出した。また四塩化炭素8週間投与後に各群8匹のマウスに対して上記と同じ操作を実施した。摘出した肝臓のうち、1 cm角程度の組織片を、組織学的解析用として4 % パラホルムアルデヒド (nacalai tesque、京都、日本)に浸漬した。残りの肝組織片は術用器具にて細片し、液体窒素を用いて瞬間凍結した後、実験に使用するまで-80℃の超低温槽に保存した。
【0157】
10.4 ヒドロキシプロリンの測定
上記の方法により摘出した凍結肝組織片を湿重量50 mgになるよう術用器具で切り取り、500μlの超純水を加えてポリトロンホモジナイザーにより破砕した。破砕液を液体窒素で一度凍結し、室温で融解した後、超音波細胞破砕装置BioRuptur(コスモバイオ、東京、日本)を用いて氷水中にて15秒、冷却15秒を1サイクルとして計30サイクル、15分間の超音波処理を実施した。この破砕溶液100 μlに等量の12N濃塩酸を加えて120℃に設定したブロックインキュベーター(IKA、Staufen、Germany)にて16時間の加水分解処理を行った。残った破砕液は溶液中のタンパク質量の測定に用いた。加水分解処理後、室温にて冷却した後にピペッティングにより加水分解産物を細かく砕き、室温、3000 rpmで5分間の遠心操作を行った。遠心操作後に10 μlの上清を1.5 mLチューブに入れ、冷却エバポレーター(佐久間製作所、東京、日本)にて塩酸を除去した。続いてHydroxyproline quantification kit(BioVision、California、USA)を用いてヒドロキシプロリンの測定を実施した。塩酸を除去した加水分解溶物に100 μlのクロラミンT溶液を加えてボルテックスで充分に撹拌した後、25分間静置した。その後DMAB溶液を100 μl加えて60℃の湯浴にて90分間反応させた。室温で冷却後、96穴プレートに反応溶液を移して560 nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(TECAN、Zurich、Switzerland)で測定した。検量線に従い、得られた吸光度からヒドロキシプロリン量を算出した。
【0158】
破砕溶液中のタンパク質量はプロテインアッセイ濃縮色素試薬(Bio-Rad、California、USA)を用いてBradford法により測定した。破砕溶液を15000 rpm, 4℃、10分間遠心操作を行い、得られた上精を1μl、96穴プレートに供した。そこへ超純水により5倍希釈したProtein assay Dye Reagent concentrateを200μl加えて撹拌後、15分間静置し、595 nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(TECAN)で測定した。検量線に従い、得られた吸光度から破砕溶液1 μlあたりのタンパク質量を算出し、タンパク質量あたりのヒドロキシプロリン量を求めて線維化レベルを評価した。
【0159】
10.5 シリウスレッド染色
上記の方法により摘出した肝組織片は4 % パラホルムアルデヒドにより室温にて16時間固定し、パラフィン包埋後ミクロトームにて組織切片を作製し、Picosirius Red Stain Kit(Polysciences、Pennsylvania、USA)を用いて添付の操作方法に従い、シリウスレッド染色によりコラーゲン線維を染色した。その後倒立型蛍光位相差顕微鏡BZ-9000(キーエンス、東京、日本)を用いて明視野にて100倍拡大像を各組織切片につき10枚撮影し、各撮影画像中の組織面積に対する赤く染色される線維の面積を測定して線維化陽性面積比を定量した。
【0160】
10.6 結果
ヒドロキシプロリン量の測定結果を図65に示す。Vehicle投与群と比較してグリチルリチン投与群(陽性コントロール)でヒドロキシプロリン量が低下し、IC-2投与群で大きな低下を認めた。
【0161】
シリウスレッド染色による線維化領域の定量結果を図66示す。Vehicle群と比較してIC-2投与群で線維化領域の減少を認めた。
【0162】
<考察>
上述の通り、IC-2等を用いることにより、癌細胞及び癌幹細胞の増殖が抑制されることが示された。癌幹細胞は悪性腫瘍の再発や転移の原因となり得ることが知られている。そのため、癌幹細胞の増殖を抑制できるIC-2等は、悪性腫瘍の治療薬の有効成分として、非常に優れた化合物といえる。またIC-2等は、癌の発生原因となりえる線維化の抑制効果をも有していた。
【0163】
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図面
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