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明細書 :ラジアルギャップ型超電導同期機、着磁装置、及び着磁方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明の名称または考案の名称 ラジアルギャップ型超電導同期機、着磁装置、及び着磁方法
国際特許分類 H02K  55/02        (2006.01)
H02K  15/03        (2006.01)
FI H02K 55/02
H02K 15/03 H
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 25
出願番号 特願2016-510432 (P2016-510432)
国際出願番号 PCT/JP2015/059155
国際公開番号 WO2015/147068
国際出願日 平成27年3月25日(2015.3.25)
国際公開日 平成27年10月1日(2015.10.1)
優先権出願番号 2014069925
優先日 平成26年3月28日(2014.3.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】和 泉 充
【氏名】三 木 基 寛
出願人 【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091982、【弁理士】、【氏名又は名称】永井 浩之
【識別番号】100091487、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 行孝
【識別番号】100082991、【弁理士】、【氏名又は名称】佐藤 泰和
【識別番号】100105153、【弁理士】、【氏名又は名称】朝倉 悟
【識別番号】100164688、【弁理士】、【氏名又は名称】金川 良樹
審査請求 未請求
テーマコード 5H622
5H655
Fターム 5H622CA02
5H622CA07
5H622CA13
5H622DD06
5H622PP10
5H622QB09
5H622QB10
5H655BB04
5H655BB09
5H655CC01
5H655EE28
5H655EE42
要約 回転子20が外周側に凸状の磁極21を有し、磁極21の先端部が、バルク超電導体30を有し、バルク超電導体30が、回転子20の回転軸C1方向に見て、磁極中央部側が端部側に比して固定子10に近接して配置され、バルク超電導体30の回転子20の回転軸C1側には強磁性体28が配置されている、ラジアルギャップ型超電導同期機1を、準備する。バルク超電導体30の回転子20の径方向の外側に、着磁装置100を配置する。着磁装置100からの磁束線をバルク超電導体30に向けて着磁を行う。
特許請求の範囲 【請求項1】
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機において、
前記回転子は、回転シャフトに固定された回転子本体と、当該回転子本体の外周部に設けられた凸状の磁極を有し、
前記磁極の先端部は、前記超電導体を有し、
前記超電導体は、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部側が端部側に比して前記固定子に近接して配置され、
前記超電導体の前記回転子の回転軸側には、強磁性体が配置されている
ことを特徴とするラジアルギャップ型超電導同期機。
【請求項2】
前記超電導体は、前記磁極の先端部において複数配置されており、
複数の前記超電導体は、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部に近い超電導体が他の超電導体よりも前記固定子に近接して配置されるように、ひな段状に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のラジアルギャップ型超電導同期機。
【請求項3】
前記超電導体は、前記回転子の径方向の外側から見て矩形である
ことを特徴とする請求項1に記載のラジアルギャップ型超電導同期機。
【請求項4】
前記超電導体は、前記磁極の先端部において複数配置されており、
複数の前記超電導体は、前記磁極の先端部において、前記回転子の周方向に並んで配置されると共に前記回転子の回転軸方向に並んで配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載のラジアルギャップ型超電導同期機。
【請求項5】
頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、
前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、
前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、
前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、
前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されている
ことを特徴とする着磁装置。
【請求項6】
前記周壁部は、その先端部から前記コア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、
前記底壁部は、前記コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、前記コア部と重ならない位置まで延びており、
前記配置空間は、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の着磁装置。
【請求項7】
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機の着磁方法において、
前記回転子が、回転シャフトに固定された回転子本体と、当該回転子本体の外周部に設けられた凸状の磁極を有し、前記磁極の先端部が、前記超電導体を有し、前記超電導体が、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部側が端部側に比して前記固定子に近接して配置され、前記超電導体の前記回転子の回転軸側には強磁性体が配置されている、前記ラジアルギャップ型超電導同期機を、準備する工程と、
前記超電導体の前記回転子の径方向の外側に、着磁装置を配置する工程と、
前記着磁装置からの磁束線を前記超電導体に向けて着磁を行う工程と、を有する
ことを特徴とする着磁方法。
【請求項8】
前記着磁装置は、頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されている、着磁装置であり、
前記着磁装置を配置する工程においては、
前記着磁装置の前記配置空間内に前記ラジアルギャップ型超電導同期機の前記超電導体が位置するように、前記着磁装置が配置される
ことを特徴とする請求項7に記載の着磁方法。
【請求項9】
前記着磁装置において、前記周壁部は、その先端部から前記コア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、前記底壁部は、前記コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、前記コア部と重ならない位置まで延びており、前記配置空間は、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されており、
前記着磁装置を配置する工程においては、
前記着磁装置の前記配置空間内において前記超電導体が前記底壁部よりも前記コア部側に位置するように、前記着磁装置が配置される
ことを特徴とする請求項8に記載の着磁方法。
【請求項10】
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機の着磁方法において、
頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されている、着磁装置を、準備する工程と、
前記着磁装置の前記配置空間内に前記ラジアルギャップ型超電導同期機の前記超電導体が位置し、且つ前記着磁装置の前記コア部の先端部を前記超電導体に向けた状態で、前記超電導体の前記回転子の径方向の外側に、前記着磁装置を配置する工程と、
前記着磁装置からの磁束線を前記超電導体に向けて着磁を行う工程と、を有する
ことを特徴とする着磁方法。
【請求項11】
前記着磁装置において、前記周壁部は、その先端部から前記コア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、前記底壁部は、前記コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、前記コア部と重ならない位置まで延びており、前記配置空間は、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されており、
前記着磁装置を配置する工程においては、
前記着磁装置の前記配置空間内において前記超電導体が前記底壁部よりも前記コア部側に位置するように、前記着磁装置が配置される
ことを特徴とする請求項10に記載の着磁方法。
【請求項12】
前記着磁を行う工程においては、
前記超電導体の温度が超電導転移温度よりも高い温度となる状況下で、前記超電導体に対する静磁場の印加を開始し、磁束密度が所定の目標値に到達された後、その目標値が保持されながら、前記超電導体の温度が前記超電導転移温度よりも低い所定の温度まで降下され、その後、前記着磁装置により印加された磁場が解消される
ことを特徴とする請求項7に記載の着磁方法。
【請求項13】
前記着磁を行う工程においては、
前記超電導体の温度が超電導転移温度よりも高い温度となる状況下で、前記超電導体に対する静磁場の印加を開始し、磁束密度が所定の目標値に到達された後、その目標値が保持されながら、前記超電導体の温度が前記超電導転移温度よりも低い所定の温度まで降下され、その後、前記着磁装置により印加された磁場が解消される
ことを特徴とする請求項10に記載の着磁方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアルギャップ型超電導同期機、着磁装置、及び着磁方法に関する。詳しくは、実用性を確保しつつ、被着磁物における捕捉磁束を効果的に増加させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
界磁または電機子に超電導材料が用いられる超電導同期機は、高効率に高出力が得られる等の理由から従来から注目されており、種々の研究及び提案がなされている。超電導同期機は、超電導材料が用いられていない一般的な同期機と同様に、ラジアルギャップ型とアキシャルギャップ型とに大別される。例えば特許文献1(特許第5162654号公報)には、ラジアルギャップ型の超電導同期機(以下、ラジアルギャップ型超電導同期機)が開示されており、例えば本発明者らによる特許文献2(特開2004-235625号公報)には、アキシャルギャップ型の超電導同期機(以下、アキシャルギャップ型超電導同期機)が開示されている。
【0003】
特許文献1に係るラジアルギャップ型超電導同期機は回転界磁型の同期機であって、回転子の界磁部分が永久磁石から構成され、電機子である固定子に設けられた電機子コイルが超電導材料からなる超電導コイルから構成されている。
【0004】
このラジアルギャップ型超電導同期機では、超電導コイルが一般的な同期機で用いられる銅等のコイルに比べて大きい電流を流すことができるため、超電導コイルを電磁石として機能させて大きな磁場を発生させることにより、高効率に高出力が得られる。
【0005】
一方、特許文献2に係るアキシャルギャップ型超電導同期機は、回転子と固定子とが、前記回転子の回転軸方向に交互に並んで配置された同期機(図示の例では、固定子、回転子、及び固定子が、この順で配置されている)であり、回転子の界磁部分がバルク超電導体から構成されている。
【0006】
超電導体の結晶の塊であるバルク超電導体は、その母体である超電導体が超電導転移(遷移)を示す温度、すなわち臨界温度以下で、超電導体内部に磁場(磁束)を導入することにより、バルク超電導体内のピン止め点に磁束線を捕捉して永久磁石よりも高磁束密度の磁石として機能させることができる。このため、当該同期機では、バルク超電導体に磁束線を捕捉することによって高磁束密度の界磁部分が得られ、高効率に高出力が得られる。しかも、バルク超電導体は超電導コイルと同等の大きさであれば、超電導コイルよりも強い磁場を保持し易い。このため、当該同期機は、超電導コイルを用いた同期機よりも小型化に有利であり、また、界磁部分に対する電流供給のための接続用配線が不要であるため機器構造の簡素化、熱侵入量の削減等機器システムの高効率化の点でも有利である。
【0007】
また、この特許文献2に係るアキシャルギャップ型超電導同期機の他の有利な点としては、電機子である固定子に設けられた電機子コイルがバルク超電導体に対する着磁コイル(着磁装置)としても機能するようになっている点が挙げられる。すなわち、着磁装置が同期機に一体化されていることで、バルク超電導体に対する着磁を適時行うことができるため、利便性に優れている。
【0008】
この特許文献2に係るアキシャルギャップ型超電導同期機では、着磁装置の一体化に際して着磁装置が大型となって実用性が損なわれることを抑制するために、電機子コイルによる着磁にパルス着磁が採用されている。超電導体への着磁には、パルス着磁と静磁場着磁とがある。パルス着磁は、超電導臨界温度よりも低温にバルク超電導体を保持し、瞬間的に強い磁場を印加することにより、磁束をバルク超電導体内に導入し、ピン止め効果によりバルク超電導体に磁束を捕捉させて、バルク超電導体を高磁束密度の磁石として機能させる。静磁場着磁では、超電導臨界温度よりも高い温度にバルク超電導体を保持し、定常磁場(静磁場)を印加することにより磁束をバルク超電導体内に導入した後、温度を超電導臨界温度よりも低温に降下保持させて、ピン止め効果によりバルク超電導体に磁束を捕捉させて、バルク超電導体を高磁束密度の磁石として機能させる。一般的に静磁場着磁の方がパルス着磁よりもバルク超電導体等の被着磁物に多くの磁束線を捕捉させることができる。しかしながら、静磁場着磁においては必要な定常高磁場を生成させるためには被着磁物の寸法に応じたコイルを作製して大電流を流す必要があり、また長時間印加して着磁を行うため、超電導コイルを用いた大規模な装置が必要となる。この理由から、特許文献2に係るアキシャルギャップ型超電導同期機では、電機子コイルによる着磁にパルス着磁を採用することによって、着磁コイルが小型・一体化されることで、実用性が確保されている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特許第5162654号公報
【特許文献2】特開2004-235625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、近時、船舶の推進装置や再生可能エネルギーを利用した発電機等に好適に対応し得る大出力(超高出力)の超電導同期機の実用化が望まれており、これに対応する手法の1つに界磁部分の磁束密度を向上させることが考えられる。しかしながら、特許文献2に開示されたアキシャルギャップ型超電導同期機では、高磁束密度を捕捉できるバルク超電導体が用いられているものの、パルス着磁が採用されているため、バルク超電導体に捕捉できる磁束密度に限界がある。一方で、当該同期機において静磁場着磁の採用を試みる場合には、前述のように超電導コイルを用いた大規模な着磁装置が必要となり、同期機全体が大型化するため、実用性を考慮すると必ずしも良好ではない。具体的には、通常、静磁場着磁では、被着磁物の周囲を囲うようにコイルが配置される。特許文献2の同期機において、回転子に設けられたバルク超電導体を囲うようにコイルを配置すると、回転子が過剰に大型化されたり配線が複雑化したりして、実用性が損なわれてしまう。
【0011】
本発明者は、このような観点から、静磁場着磁を採用しながらも実用性を確保しつつ、超電導同期機の界磁部分に多くの捕捉磁束を確保することについて鋭意研究を重ねた。そして、超電導同期機の界磁部分の構造ないし着磁装置の構造を工夫することによって、実用性を確保しつつ効果的に被着磁物における捕捉磁束を増加させることができることを知見して本発明に至った。
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、実用性を確保しつつ、被着磁物における捕捉磁束を効果的に増加させることができるラジアルギャップ型超電導同期機、着磁装置、及び着磁方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るラジアルギャップ型超電導同期機は、
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機において、
前記回転子は、回転シャフトに固定された回転子本体と、当該回転子本体の外周部に設けられた凸状の磁極を有し、
前記磁極の先端部は、前記超電導体を有し、
前記超電導体は、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部側が端部側に比して前記固定子に近接して配置され、
前記超電導体の前記回転子の回転軸側には、強磁性体が配置されていることを特徴とする。
【0014】
前記ラジアルギャップ型超電導同期機において、
前記超電導体は、前記磁極の先端部において複数配置されており、
複数の前記超電導体は、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部に近い超電導体が他の超電導体よりも前記固定子に近接して配置されるように、ひな段状に配置されていることが好ましい。
【0015】
また、前記ラジアルギャップ型超電導同期機において、
前記超電導体は、前記回転子の径方向の外側から見て矩形であることが好ましい。
【0016】
また、前記ラジアルギャップ型超電導同期機において、
前記超電導体は、前記磁極の先端部において複数配置されており、
複数の前記超電導体は、前記磁極の先端部において、前記回転子の周方向に並んで配置されると共に前記回転子の回転軸方向に並んで配置されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明に係る着磁装置は、
頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、
前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、
前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、
前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、
前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されていることを特徴とする。
【0018】
前記着磁装置において、
前記周壁部は、その先端部から前記コア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、
前記底壁部は、前記コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、前記コア部と重ならない位置まで延びており、
前記配置空間は、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されていることが好ましい。
【0019】
また、本発明に係る着磁方法は、
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機の着磁方法において、
前記回転子が、回転シャフトに固定された回転子本体と、当該回転子本体の外周部に設けられた凸状の磁極を有し、前記磁極の先端部が、前記超電導体を有し、前記超電導体が、前記回転子の回転軸方向に見て、前記磁極中央部側が端部側に比して前記固定子に近接して配置され、前記超電導体の前記回転子の回転軸側には強磁性体が配置されている、前記ラジアルギャップ型超電導同期機を、準備する工程と、
前記超電導体の前記回転子の径方向の外側に、着磁装置を配置する工程と、
前記着磁装置からの磁束線を前記超電導体に向けて着磁を行う工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
前記着磁装置は、頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されている、着磁装置であり、
前記着磁装置を配置する工程においては、
前記着磁装置の前記配置空間内に前記ラジアルギャップ型超電導同期機の前記超電導体が位置するように、前記着磁装置が配置されることが好ましい。
【0021】
また、本発明に係る着磁方法は、
断面円形状の固定子の内側に回転子を回転可能に支承するようにし、前記回転子の外周側に超電導体を配置したラジアルギャップ型超電導同期機の着磁方法において、
頂壁部と、前記頂壁部の外周部から垂下する周壁部と、前記周壁部の内側において前記頂壁部の内面から垂下するコア部と、を有する強磁性体からなるハウジングと、前記コア部の周囲に巻き回されると共に、前記頂壁部及び前記周壁部によって覆われる状態で、前記ハウジング内に収容されるコイルと、前記コイルに電流を供給する電流供給部と、を備え、前記周壁部は、前記頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放し、前記周壁部の前記頂壁部からの高さは、前記コア部の前記頂壁部からの高さよりも大きくなっており、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記周壁部の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間が形成されている、着磁装置を、準備する工程と、
前記着磁装置の前記配置空間内に前記ラジアルギャップ型超電導同期機の前記超電導体が位置し、且つ前記着磁装置の前記コア部の先端部を前記超電導体に向けた状態で、前記超電導体の前記回転子の径方向の外側に、前記着磁装置を配置する工程と、
前記着磁装置からの磁束線を前記超電導体に向けて着磁を行う工程と、を有する
ことを特徴とする。
【0022】
また、前記着磁装置において、前記周壁部は、その先端部から前記コア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、前記底壁部は、前記コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、前記コア部と重ならない位置まで延びており、前記配置空間は、前記コア部の先端部に対向する領域であって、前記底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されており、
前記着磁装置を配置する工程においては、
前記着磁装置の前記配置空間内において前記超電導体が前記底壁部よりも前記コア部側に位置するように、前記着磁装置が配置されることが好ましい。
【0023】
また、前記着磁を行う工程においては、
前記超電導体の温度が超電導転移温度よりも高い温度となる状況下で、前記超電導体に対する静磁場の印加を開始し、磁束密度が所定の目標値に到達された後、その目標値が保持されながら、前記超電導体の温度が前記超電導転移温度よりも低い所定の温度まで降下され、その後、前記着磁装置により印加された磁場が解消されてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るラジアルギャップ型超電導同期機よれば、回転子の外周側に配置された超電導体に、回転子の径方向の外側から着磁装置によって着磁が行われる場合に、着磁装置からの多数の磁束線が、超電導体を通過して、当該超電導体の回転子の回転軸側に配置された強磁性体に導かれる。これにより、磁束線を集約させて超電導体に通過させることができる。このため、例えば、超電導体から回転子の径方向の外側に着磁装置のコイルが離れて配置されて当該コイルが超電導体を囲うように大きく形成されなくても、超電導体に対する着磁が高効率に行われる。これにより、大型の着磁装置によって着磁が行われなくて超電導体における十分な捕捉磁束を確保できるため、結果的に、実用性を確保しつつ、超電導体における捕捉磁束を効果的に増加させることができる。その結果、同期機のトルク及び出力を向上させることが可能となる。
【0025】
また、本発明に係るラジアルギャップ型超電導同期機において超電導体は、回転子の回転軸方向に見て、磁極中央部側が端部側に比して固定子に近接して配置されることによって、超電導体が固定子の円弧状の内面に沿うように配置され、超電導体と固定子との間のギャップを抑制することができる。これにより、超電導体から固定子に向けて効率的に磁場を作用させることができる。
【0026】
また、本発明に係るラジアルギャップ型超電導同期機においては、着磁装置によって超電導体に着磁が行われた場合に、着磁後の超電導体はその磁力によって着磁装置の磁性体部分に向けて移動しようとする一方で、超電導体の回転軸側にある強磁性体に向けても移動しようとする。これにより、超電導体が着磁装置に向けて移動することが抑制されることで、超電導体を所期の設置位置に保持することができる。
【0027】
また、超電導体が、磁極の先端部において複数配置されており、複数の超電導体が、回転子の回転軸方向に見て、磁極中央部に近い超電導体が他の超電導体よりも前記固定子に近接して配置されるように、ひな段状に配置されている場合には、磁極中央部に近い超電導体を、固定子に容易に近接させることができる。
【0028】
また、超電導体が回転子の径方向の外側から見て矩形である場合には、超電導体に効率良く磁束線を捕捉させることができ、超電導体における総磁束量を増加させて同期機のトルク及び出力を向上させることができる。
【0029】
また、複数の超電導体が、磁極の先端部において、回転子の周方向に並んで配置されると共に回転子の回転軸方向に並んで配置されている場合には、磁束の捕捉領域が容易に広く確保されることによって、磁束の捕捉領域における総磁束量を増加させて同期機のトルク及び出力を向上させることができる。
【0030】
また、本発明に係る着磁装置によれば、強磁性体からなるハウジングの頂壁部及び周壁部によってコイルが覆われ、周壁部が、頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放していることで、コア部の一端部(先端部)→周壁部→頂壁部→コア部の他端部(基端部)の順で貫流する磁気回路、または、コア部の他端部(基端部)→頂壁部→周壁部→コア部の一端部(先端部)の順で貫流する磁気回路が形成される。そして、周壁部の頂壁部からの高さが、コア部の頂壁部からの高さよりも大きくなっていることで、コア部の一端部(先端部)から周壁部に至る、または、周壁部からコア部の一端部(先端部)に至る磁気回路中の磁束線が、周壁部の内側にある配置空間内において集約(集中した状態と)される。これにより、配置空間におけるコア部の一端部延長線上での磁束密度を効果的に確保することができる。
これにより、配置空間におけるコア部の一端部延長線上において高密度の磁束を被着磁物に通過させることができることで、被着磁物から着磁装置のコイルが離れて配置されて被着磁物を囲うようにコイルが大きく形成されなくても、被着磁物に対する着磁が高効率に行われる。これにより、大型にしなくても被着磁物における十分な捕捉磁束を確保できるため、結果的に、実用性を確保しつつ、被着磁物における捕捉磁束を効果的に増加させることができる。
【0031】
また、本発明に係る着磁装置によれば、コイルが被着磁物から離れていても被着磁物に十分な捕捉磁束を確保できるため、被着磁物に対して十分な捕捉磁束を確保できる配置自由度が向上し、この点からも実用性を確保することができる。例えば被着磁物が多数極の回転子の磁極である場合に、着磁装置が着磁対象の磁極に近接して配置された際であっても、着磁装置は隣の磁極に干渉すること等が抑制されるので、複数並ぶ各磁極それぞれにおいて十分な捕捉磁束を確保できる。
【0032】
また、周壁部が、その先端部からコア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、底壁部が、コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、コア部と重ならない位置まで延びており、配置空間が、コア部の先端部に対向する領域であって、底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されている場合には、磁束線が、コア部の一端部(先端部)から底壁部に、または、底壁部からコア部の一端部(先端部)に至ることによって、配置空間におけるコア部の一端部延長線上に一層集約(集中した状態と)される。これにより、配置空間におけるコア部の一端部延長線上での磁束密度を一層効果的に確保することができ、被着磁物に対する着磁の効率を一層向上させることができる。
【0033】
また、超電導体の回転子の回転軸側に強磁性体が配置されている前記ラジアルギャップ型超電導同期機を準備して着磁を行う本発明に係る着磁方法によれば、回転子の外周側に配置された超電導体に、回転子の径方向の外側から着磁装置によって着磁が行われる場合に、着磁装置からの多数の磁束線が、超電導体を通過して、当該超電導体の回転子の回転軸側に配置された強磁性体に導かれる。これにより、磁束線を集約させて超電導体に通過させることができる。このため、例えば、超電導体から回転子の径方向の外側に着磁装置のコイルが離れて配置されて当該コイルが超電導体を囲うように大きく形成されなくても、超電導体に対する着磁が高効率に行われる。これにより、大型の着磁装置によって着磁が行われなくて超電導体における十分な捕捉磁束を確保できるため、結果的に、実用性を確保しつつ、超電導体における捕捉磁束を効果的に増加させることができる。その結果、同期機のトルク及び出力を向上させることが可能となる。
【0034】
また、強磁性体からなるハウジングに収容されるコイルを備える前記着磁装置を準備して着磁を行う本発明に係る着磁方法によれば、強磁性体からなるハウジングの頂壁部及び周壁部によってコイルが覆われ、周壁部が、頂壁部側とは反対側の方向に向けて開放していることで、コア部の一端部(先端部)→周壁部→頂壁部→コア部の他端部(基端部)の順で貫流する磁気回路、または、コア部の他端部(基端部)→頂壁部→周壁部→コア部の一端部(先端部)の順で貫流する磁気回路が形成される。そして、周壁部の頂壁部からの高さが、コア部の頂壁部からの高さよりも大きくなっていることで、コア部の一端部(先端部)から周壁部に至る、または、周壁部からコア部の一端部(先端部)に至る磁気回路中の磁束線が、周壁部の内側にある配置空間内において集約(集中した状態と)される。
これにより、配置空間におけるコア部の一端部延長線上での磁束密度を効果的に確保することができる。
これにより、配置空間におけるコア部の一端部延長線上において高密度の磁束を被着磁物に通過させることができることで、被着磁物から着磁装置のコイルが離れて配置されて被着磁物を囲うようにコイルが大きく形成されなくても、被着磁物に対する着磁が高効率に行われる。これにより、大型にしなくても被着磁物における十分な捕捉磁束を確保できるため、結果的に、実用性を確保しつつ、被着磁物における捕捉磁束を効果的に増加させることができる。
【0035】
また、強磁性体からなるハウジングに収容されるコイルを備える前記着磁装置が用いられる場合、着磁装置は、コイルが被着磁物である超電導体から離れていても超電導体に十分な捕捉磁束を確保できるため、超電導体に対して十分な捕捉磁束を確保できる配置自由度が向上し、この点からも実用性を確保することができる。具体的には、被着磁物が多数極の回転子の磁極である場合に、着磁装置が着磁対象の磁極に近接して配置された際であっても、着磁装置は隣の磁極に干渉すること等が抑制されるので、複数並ぶ各磁極それぞれにおいて十分な捕捉磁束を確保できる。
【0036】
また、超電導体の回転子の回転軸側に強磁性体が配置されている前記ラジアルギャップ型超電導同期機に対して、強磁性体からなるハウジングに収容されるコイルを備える前記着磁装置により着磁を行う場合には、一層効果的に、超電導体に対する着磁が高効率に行われる。
【0037】
また、前記着磁装置において、周壁部が、その先端部からコア部側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部を有し、底壁部が、コア部が垂下する方向に沿って見た場合に、コア部と重ならない位置まで延びており、配置空間が、コア部の先端部に対向する領域であって、底壁部の内周縁の内側に位置する領域に形成されている場合、着磁装置の配置空間内において超電導体が底壁部よりもコア部側に位置するように、着磁装置が配置されることが好ましい。この場合、超電導体に対して高密度の磁束を効果的に着磁することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施の形態によるラジアルギャップ型超電導同期機の半断面側面図である。
【図2】図1に示すラジアルギャップ型超電導同期機を、回転軸方向に沿って見た図である。
【図3】図2のIII-III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】図1に示すラジアルギャップ型超電導同期機の磁極に設けられる複数のバルク超電導体の斜視図である。
【図6】図1に示すラジアルギャップ型超電導同期機に設けられる強磁性体の斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態による着磁装置の斜視図であり、当該着磁装置の一部を断面で示した図である。
【図8】図7に示す着磁装置を示す図であり、(A)は着磁装置の縦断面図であり、(B)は着磁装置によって発生された磁束線の一部を示した図である。
【図9】図7に示す着磁装置の着磁時の磁束線が効果的に集約されていることを説明するグラフを示した図である。
【図10】図1に示すラジアルギャップ型超電導同期機に対して、図7に示す着磁装置により着磁を行う様子を説明する図である。
【図11】図10に示す着磁時における、バルク超電導体に対する温度制御と磁場の印加のタイミングの一例を説明するグラフを示した図である。
【図12】図10に示す着磁時の磁束線の一部を説明する図である。
【図13】本発明の実施例によるラジアルギャップ型超電導同期機の性能と、比較例1~3による従来の同期機の各性能と、をまとめた表を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。

【0040】
(ラジアルギャップ型超電導同期機)
本発明の実施の形態によるラジアルギャップ型超電導同期機1について先ず説明する。図1は、ラジアルギャップ型超電導同期機1の半断面側面図である。

【0041】
図1に示すように、ラジアルギャップ型超電導同期機1は、図1において二点鎖線で示される断面円形状の固定子10と、固定子10の内側に回転可能に支承された回転子20と、を備えている。

【0042】
ラジアルギャップ型超電導同期機1は回転界磁型の同期機であり、固定子10には、図示省略する電機子コイルが設けられ、界磁側となる回転子20には、磁極21が設けられている。回転子20は、図中C1で示す回転軸上に延びる回転シャフト2に固定され、回転シャフト2と共に回転軸C1を軸中心として回転可能となっている。なお、以下では、回転軸C1に沿う方向を回転軸C1方向と呼び、回転軸C1に直交する方向を径方向と呼び、回転軸C1回りの方向を周方向と呼ぶものとする。

【0043】
図2は、ラジアルギャップ型超電導同期機1を回転軸C1方向に沿って見た図である。図1及び図2に示すように、回転子20は、回転シャフト2に固定されて径方向に延びる一対の円板部22A及びこれら円板部22Aの外周縁間を接続する円筒状の胴部22Bを有する回転子本体22と、回転子本体22における胴部22Bの外周部に固定された4つの凸状の磁極21と、回転子本体22及び磁極21を外側から気密に覆う両端が閉じられた略円筒状の真空カバー3と、を備えている。

【0044】
詳しくは、回転子本体22の胴部22Bの外周部には、断面が矩形枠状で径方向の外側に張り出す磁極固定部22Cが周方向に等間隔をあけて4つ形成されており、各磁極21はそれぞれ、各磁極固定部22Cの先端部に固定されている。なお、本実施の形態の回転子本体22は、非磁性のステンレス鋼から主に形成されている。

【0045】
また、回転子本体22及び真空カバー3はそれぞれ、回転シャフト2に一体に固定されており、回転子本体22及び真空カバー3は、回転シャフト2と共に回転軸C1を軸中心として回転可能となっている。

【0046】
真空カバー3は、回転子本体22及び磁極21との間に真空断熱層を形成することによって、回転子20を外部から断熱するために設けられている。本実施の形態の真空カバー3は、非磁性のステンレス鋼から主に形成されるが、アルミニウム合金等から形成されてもよい。また、真空カバー3は、各磁極21を覆うべく、その外周部に磁極21を覆う凸状の張り出し部を有している。

【0047】
図3は、図2のIII-III線に沿う断面図であり、図4は、図3のIV-IV線に沿う断面図である。図3及び図4に示すように、本実施の形態の磁極21は、回転子本体22における磁極固定部22Cに固定された矩形板状の冷却ベース部材23と、冷却ベース部材23の径方向の外側に配置され磁極21における先端部側に位置する、複数のバルク超電導体30からなるバルク集合体24と、バルク集合体24の径方向の外側に配置されて冷却ベース部材23との間にバルク集合体24を挟み込んで固定するバルク固定部材25と、を有している。

【0048】
本実施の形態の冷却ベース部材23は、OFHC(Oxygen free high conductivity copper)から形成されている。図4に示すように、冷却ベース部材23の径方向の外側の面には、バルク集合体24の各バルク電導体30が設置される設置面23Aが形成されている。設置面23Aは、回転軸C1方向に見て、中央側(磁極21の中央側)に位置する中央部23Cと、中央部23Cの両側に位置する側部23Sと、を有しており、中央部23Cは、側部23Sよりも径方向の外側(固定子10側)に張り出している。また、図3に示すように、中央部23C及び側部23Sは、回転軸C1方向に平坦に延びている。

【0049】
一方、図4に示すように、冷却ベース部材23の径方向の外側の面には、径方向の内側に突出する接続部23Bが形成されている。接続部23Bにはそれぞれ、銅材料等からなる伝熱部材4が接続されている。図1及び図2に示すように、伝熱部材4は、接続部23Bから径方向の内側に延びて、回転シャフト2における回転子20内で覆われる部位に設置された熱交換器5に接続されている。

【0050】
熱交換器5の内部には、回転シャフト2の内部を通過したネオン等の冷媒が供給されるようになっており、バルク集合体24の熱は冷却ベース部材23から伝熱部材4を介して熱交換器5に伝達されて、熱交換器5によって吸熱されるようになっている。これにより、冷却ベース部材23に設置されたバルク集合体24の各バルク電導体30を、低温(超電導転移温度以下)に維持することが可能となっている。

【0051】
図5は、バルク集合体24を構成する複数のバルク超電導体30の斜視図である。図3乃至図5に示すように、本実施の形態では、バルク集合体24の複数のバルク超電導体30はそれぞれ、径方向の外側から見て、矩形に形成されており、かつその径方向での断面も矩形に形成されている。バルク超電導体30には、所謂高温バルク超電導体であるGdBCO(GdBa2Cu3O7-z)が用いられている。

【0052】
本実施の形態においてバルク超電導体30は、冷却ベース部材23の設置面23A上に3行5列で15個配置されている。すなわち、図3乃至図5に示すように、回転軸C1方向に見た場合に、当該回転軸C1の周方向に3つ並ぶように、冷却ベース部材23の設置面23Aにおける中央部23C及び側部23Sにそれぞれ1つのバルク超電導体30が配置されている。また、側面視において、中央部23C及び2つの側部23Sそれぞれに、バルク超電導体30が回転軸C1方向に5つ並ぶように配置されている。また、隣接するバルク超電導体30は、互いに接する状態で配置されており、複数のバルク超電導体30は高密度に集約されている。

【0053】
このようにバルク超電導体30が配置されたバルク集合体24は、本実施の形態において、その輪郭が回転軸C1方向に長い長方形状となっている。

【0054】
また、図4に示すように、本実施の形態では、設置面23Aにおいて中央部23Cが側部23Sよりも径方向の外側(固定子10側)に張り出していることで、回転軸C1方向に見て、バルク電導体30がひな段状に配置されている。これにより、回転軸C1方向に見て、磁極21中央部に近いバルク超電導体30が他のバルク超電導体30よりも固定子10に近接して配置されている。

【0055】
一方、図3に示すように、バルク固定部材25は、当該磁極固定部22Cに固定されて、冷却ベース部材23との間にバルク集合体24を挟み込み、バルク集合体24の各バルク超電導体30を保持している。本実施の形態のバルク固定部材25は、非磁性体から形成されている。

【0056】
本実施の形態では、以上のように構成された磁極21(バルク集合体24)の回転軸C1側に、強磁性体28が配置されている。図3及び図4に示すように、強磁性体28は、磁極21の冷却ベース部材23に近接した状態で配置されている。

【0057】
本実施の形態の磁性体28は、鉄を主成分とする強磁性体の金属材料から形成されている。図6は、磁性体28の斜視図である。図6に示すように、強磁性体28は矩形板状に形成されており、前記の伝熱部材4を通過させるための貫通穴28Aが形成されている。

【0058】
図3及び図4に示すように、強磁性体28は、貫通穴28Aに伝熱部材4が挿入された状態で冷却ベース部材23に近接して配置され、磁極固定部22Cに固定されている。また、強磁性体28は、径方向に沿って見た場合に、バルク集合体24よりも大きい寸法を有しており、バルク集合体24の全域を内側から覆うように配置されている。

【0059】
以上に記載したラジアルギャップ型超電導同期機1は、バルク集合体24の各バルク超電導体30に後述の着磁装置100によって着磁が行われる。この際に、前記の強磁性体28は、着磁装置100からの磁束線を、バルク集合体24を通過するように導くことができ、且つ、バルク集合体24に対する着磁後にバルク集合体24を所期の設置位置に安定して維持させること等ができる。このことについての詳細は、後述するものとする。

【0060】
(着磁装置)
次に、本実施の形態による着磁装置100について説明する。当該着磁装置100は、上述したラジアルギャップ型超電導同期機1のバルク集合体24の各バルク超電導体30に対する着磁の際に用いられる。図7は、着磁装置100の斜視図であり、図8(A)は着磁装置100の縦断面図であり、図8(B)は着磁装置100によって発生された磁束線の一部を示した図である。

【0061】
図7及び図8(A)に示すように、本実施の形態の着磁装置100は、頂壁部101Tと、頂壁部101Tの外周部から垂下する周壁部101Sと、周壁部101Sの内側において頂壁部101Tの内面から垂下するコア部101Cと、を有する強磁性体からなるハウジング101を備えている。具体的に、ハウジング101は、鉄を主成分とする強磁性体の金属材料から形成されている。また、コア部101Cは、断面視で対向する周壁部101Sの間の中間の領域に位置している。また、周壁部101Sは、頂壁部101T側とは反対側の方向に向けて開放している。

【0062】
ハウジング101内には、コア部101Cの周囲に巻き回されると共に頂壁部101T及び周壁部101Sによって覆われる状態で、超電導コイル(以下、単にコイルと呼ぶ)102が収容されている。コイル102は、超電導材料(本実施の形態では、Bi2233(Bi2Sr2Ca2Cu3O10+δ))から形成されており、ハウジング101の外部に引き出された接続線103を介して電流供給部104に接続されている。電流供給部104からコイル102に電流が供給されることで、コイル102から磁場が発生するようになっている。

【0063】
ハウジング101の輪郭は略長方形状に形成されており、コア部101Cは、ハウジング101の長手方向に沿って延びる長尺の形状に形成されている。コア部101Cの長手方向の長さは、図3を参照し、前述のラジアルギャップ型超電導同期機1のバルク集合体24の回転軸C1方向における長さと同等となっている。

【0064】
また、コア部101Cの周囲に巻き回されるコイル102の輪郭も略長方形状に形成されている。コイル102は、導線が略長方形状に多層状に巻き回されることで形成されている。

【0065】
ハウジング101について詳述すると、図8(A)に示すように、周壁部101Sの頂壁部101Tからの高さは、コア部101Cの頂壁部101Tからの高さよりも大きくなっている。また、本実施の形態では、周壁部101Sが、その先端部からコア部101C側に向けて延びる底壁部101Eを一体に有している。本実施の形態では、底壁部101Eが周壁部101Sに一体に形成されているため、底壁部101Eも強磁性体である。

【0066】
本実施の形態では、底壁部101Eは、コア部101Cが垂下(突出)する方向に沿って見た場合に、コア部101Cと重ならない位置まで延びている。そして、コア部101Cの先端部に当該コア部101Cが垂下(突出)する方向で対向する領域であって、底壁部101Eの内周縁の内側に位置する領域に、被着磁物の配置空間Dが形成されている。なお、具体的に、本実施の形態では、被着磁物がラジアルギャップ超電導同期機1の磁極21のバルク集合体24であるため、底壁部101Eは、磁極21がその内周縁の内側に挿入され、バルク集合体24が配置空間D内に位置することが可能となるように開放して形成されている。

【0067】
以上に記載した着磁装置100では、強磁性体からなるハウジング101の頂壁部101T及び周壁部101Sによってコイル102が覆われ、周壁部101Sが、頂壁部101T側とは反対側の方向に向けて開放していることで、例えば、コア部101Cの一端部(先端部)→底壁部101E→周壁部101S→頂壁部101T→コア部101Cの他端部(基端部)の順で貫流する磁気回路が形成される。そして、周壁部101Sの頂壁部101Tからの高さが、コア部101Cの頂壁部101Tからの高さよりも大きくなっていることで、図示のように、コア部101Cの一端部(先端部)から周壁部101S(底壁部101E)に至る磁気回路中の磁束線Wが、周壁部101S及び底壁部101Eの内側にある配置空間D内において集約(集中した状態と)される。これにより、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上での磁束密度を効果的に確保することができる。これにより、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上において高密度の磁束を被着磁物に通過させることができることで、被着磁物に対する着磁が高効率に行われる。

【0068】
図9は、着磁装置100の着磁時の磁束線が効果的に集約されている、すなわち着磁装置100が被着磁装置に対して発生させる総磁束が効果的に確保されていることを説明するグラフを示している。当該グラフでは、着磁装置100におけるハウジング101に相当する部位が強磁性体ではないアルミニウム合金で形成された着磁装置(比較対象装置)が発生させる磁場の総磁束と、着磁装置100が発生させる磁場の総磁束とを比較した結果が示されている。なお、総磁束は、配置空間D全域での磁束の総量のことである。

【0069】
図9から明らかなように、着磁装置100により発生された磁場の総磁束は、比較対象装置により発生された磁場の総磁束を大きく上回り、具体的に、このグラフでは、比較対象装置に比べて着磁装置100の総磁束が27%程度増加されている。

【0070】
(着磁方法)
次に、前述したラジアルギャップ型超電導同期機1に対して前述した着磁装置100により着磁を行う着磁方法について説明する。図10は、着磁の様子を説明する図である。

【0071】
着磁装置100により着磁を行う際には、まず、ラジアルギャップ型超電導同期機1の回転子20が固定子10の外側に取り出される。その後、図10に示すように、着磁装置100の配置空間D内に、回転子20の磁極21が挿入され、磁極21のバルク集合体24が配置空間D内においてコア部101Cに近接して対向するように、着磁装置100が磁極21の径方向の外側に配置される。より詳しくは、本実施の形態では、バルク集合体24が、配置空間D内においてハウジング101の底壁部101Eの内面よりもコア部101C側に位置し、且つ、ラジアルギャップ型超電導同期機1の強磁性体28が、底壁部101Eの外面よりもコア部101C側に位置するように、着磁装置100が配置される。なお、図示の例では、着磁装置100が下降されることにより、配置空間D内に回転子20の磁極21が挿入されている。また、真空カバー3のうちの磁極21を覆う張り出し部も配置空間D内に配置されている。

【0072】
続いて、電流供給部104(図7参照)からコイル102に電流が供給されることで、コイル102から磁場が発生される。そして、本実施の形態では、着磁装置100の磁束線を、コア部101Cの先端部からラジアルギャップ超電導同期機1のバルク集合体24に向けることにより、着磁が行われる。本実施の形態では、コイル102に継続的に電流が供給されることにより静磁場着磁による着磁が行われる。

【0073】
図11は、本実施の形態による着磁時のバルク超電導体に対する温度制御と磁場の印加のタイミングの一例を説明するグラフを示した図である。図11のグラフでは、横軸に時間が示され、縦軸にはバルク超電導体30の温度(K)及び印加する磁場の磁束密度(T)が示されている。ラインL1は、バルク超電導体30の温度の状態を示し、ラインL2は、コイル102に電流を供給することで生じる磁場の磁束密度の状態を示している。また、Tcは、超電導転移温度を示している。

【0074】
図11に示すように、本実施の形態では、バルク超電導体30の温度が超電導転移温度Tcよりも高い温度となるように制御された状況下で、バルク超電導体30に対する静磁場(定常磁場)の印加が開始される。そして、静磁場の磁束密度が所定の目標値に到達された後、その目標値が保持されながら、バルク超電導体30の温度が降下されて、超電導転移温度Tcよりも低い所定の温度(図示の例では50K)に到達される。この際、バルク超電導体30は超電導転移温度Tcから超電導状態となり、その内部に磁束線が通過する状態となる。そして、図11のグラフでは、バルク超電導体30が超電導遷移温度Tcよりも低い所定の温度に到達されるまでの所定時間(図示の例では、60分程度)だけ磁場が印加される。このようにバルク超電導体30が十分に低温に冷却されるまでの時間、磁場が印加され続けることで、バルク超電導体30に多くの磁束線が捕捉される。

【0075】
そして、上述のように着磁装置100により磁場が発生されると、図12に示すように、コア部101Cの一端部(先端部)→底壁部101E→周壁部101S→頂壁部101T→コア部101Cの他端部(基端部)の順で貫流する磁気回路が形成される。そして、周壁部101Sの頂壁部101Tからの高さが、コア部101Cの頂壁部101Tからの高さよりも大きくなっていることで、図示のように、コア部101Cの一端部(先端部)から周壁部101S(底壁部101E)に至る磁気回路中の磁束線Wが、周壁部101S及び底壁部101Eの内側にある配置空間D内において集約される。これにより、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上での磁束密度を効果的に確保することができる。しかも、本実施の形態では、ラジアルギャップ型超電導同期機1において強磁性体28が設けられているため、図12に示すように、着磁装置100からの磁束線がバルク集合体24を通過して強磁性体28に至るように導かれる。より詳しくは、本実施の形態では、強磁性体28が底壁部101Eの外面よりもコア部101C側に位置しているため、着磁装置100のハウジングと強磁性体28とで略矩形状の磁気回路が形成され、この磁気回路における直線部分にバルク集合体24が位置するため、磁束線がバルク集合体24を効率的に通過する。これにより、効率的に着磁が行われる。

【0076】
そして、前述のように、所定時間だけ磁場が印加された後、図11に示すように、コイル102への電流の供給が停止されて、すなわち、コイル102の印加電流が0とされて、磁場が解消される。その後は、回転子20が回転されて、回転子20の次の着磁対象の磁極21が、着磁装置100の配置空間D内に配置され、着磁が行われる。

【0077】
以上に記載した本実施の形態によれば、強磁性体からなるハウジング101の頂壁部101T及び周壁部101Sによってコイル102が覆われ、周壁部101Sが、頂壁部101T側とは反対側の方向に向けて開放していることで、コア部101Cの一端部(先端部)→底壁部101E→周壁部101S→頂壁部101T→コア部101Cの他端部(基端部)の順で貫流する磁気回路が形成される。そして、周壁部101Sの頂壁部101Tからの高さが、コア部101Cの頂壁部101Tからの高さよりも大きくなっていることで、コア部101Cの一端部(先端部)から周壁部101S(底壁部101E)に至る磁気回路中の磁束線Wが、周壁部101S及び底壁部101Eの内側にある配置空間D内において集約(集中した状態と)される。これにより、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上での磁束密度を効果的に確保することができる。これにより、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上において高密度の磁束が被着磁物を通過することができる。

【0078】
しかも、本実施の形態では、周壁部101Sが、その先端部からコア部101C側に向けて延びる、強磁性体からなる底壁部101Eを有し、底壁部101Eが、コア部101Cが垂下する方向に沿って見た場合に、コア部101Cと重ならない位置まで延びており、配置空間Dが、コア部101Cの先端部に対向する領域であって、底壁部101Eの内周縁の内側に位置する領域に形成されている。これにより、磁束線Wが、コア部101Cの一端部(先端部)から底壁部101Eに至ることによって、配置空間Dにおけるコア部101Cの一端部延長線上に一層集約(集中した状態と)される。これにより、被着磁物に対する着磁の効率を一層向上させている。

【0079】
さらに、ラジアルギャップ型超電導同期機1においては、強磁性体28が設けられていることによって、着磁装置100からの多数の磁束線Wがバルク超電導体30からなるバルク集合体24を通過して強磁性体28に至るように導かれる。これにより、磁束線を集約させてバルク超電導体30からなるバルク集合体24に通過させることができる。

【0080】
以上により、バルク超電導体30からなるバルク集合体24から着磁装置100のコイル102が離れて配置されてバルク集合体24を囲うようにコイル102が大きく形成されなくても、バルク集合体24に対する着磁が高効率に行われる。このことにより、大型の着磁装置100によって着磁が行われなくてもバルク集合体24における十分な捕捉磁束を確保できるため、結果的に、本実施の形態によれば、実用性を確保しつつ、バルク超電導体30からなるバルク集合体24における捕捉磁束を効果的に増加させることができる。その結果、同期機のトルク及び出力を向上させることが可能となる。

【0081】
また、本実施の形態の着磁装置100は、コイル102がバルク集合体24から離れていてもバルク集合体24に十分な捕捉磁束を確保できるため、バルク集合体24に対して十分な捕捉磁束を確保できる配置自由度が向上し、この点からも実用性を確保することができる。具体的には、本実施の形態のように回転子20が多数極の回転子である場合に、着磁装置100が着磁対象の磁極21のバルク集合体24に近接して配置された際であっても、着磁装置100は隣の磁極に干渉すること等が抑制されるので、複数並ぶ各磁極それぞれにおいて十分な捕捉磁束を確保できる。

【0082】
また、本実施の形態のラジアルギャップ型超電導同期機1においては、バルク集合体24が、回転子20の回転軸C1方向に見て、その磁極21中央部側がその端部側に比して固定子10に近接して配置されている。このことによって、バルク集合体24が固定子10の円弧状の内面に沿うように配置され、バルク集合体24と固定子10との間のギャップを抑制することができる。これにより、バルク集合体24から固定子10に向けて効率的に磁場を作用させることもできる。

【0083】
また、本実施の形態のラジアルギャップ型超電導同期機1においては、着磁装置100によってバルク集合体24に着磁が行われた場合に、着磁後のバルク集合体24はその磁力によって着磁装置100を構成する強磁性体からなるハウジング101に向けて移動しようとする一方で、バルク集合体24の回転軸C1側にある強磁性体28に向けても移動しようとする。これにより、バルク集合体24が着磁装置100に向けて移動することが抑制されることで、バルク集合体24を所期の設置位置に保持することもできる。

【0084】
(実施例)
次に、本発明の実施例によるラジアルギャップ型超電導同期機1について説明する。図13は、本発明の実施例によるラジアルギャップ型超電導同期機1の性能と、比較例1~3による従来の超電導同期機の各性能と、をまとめた表を示す図である。

【0085】
図13においては、実施例及び比較例1~3の同期機の「型式」と、性能の一例を示す「回転数」、「トルク」及び「出力」と、界磁または電機子に用いられる「超電導材料」と、超電導材料を低温に維持するための「冷媒」または「冷却方式」と、磁極における「捕捉磁束密度」と、が示されている。

【0086】
実施例によるラジアルギャップ型超電導同期機1は、前述の実施の形態で説明したように着磁装置100によって着磁を行うことで、各磁極21のバルク集合体24に磁束線を捕捉させたものである。実施例1では、バルク超電導体30にGdBCOが用いられ、冷媒に、ネオンが用いられている。そして、実施例のラジアルギャップ型超電導同期機1においては、捕捉磁束が一例として5.0テスラ(T)という極めて高い磁束密度が得られ、回転数が190rpmの際に1508Nmという極めて高いトルクが得られることが試算されている。そして、この回転数の際の出力が30kWと試算されている。

【0087】
比較例1は、リラクタンス型超電導同期機(ラジアルギャップ型)であり、界磁極にYBCO(YBa2Cu3O7-z)高温超電導バルクが用いられ、冷媒に、液体窒素が用いられたものである。その性能の一例には、3000rpmの際に、127Nmのトルクが得られ、この際の出力が40kWであることが示されている。実施例と比較例1とを比較すると、実施例においては、低回転域で、比較例1に比較して極めて大きなトルクが得られるため、比較例1よりも、迅速に大きな出力が得られることが分かる。

【0088】
比較例2は、ラジアルギャップ型超電導同期機であり、界磁極にYBCO高温超電導バルクが用いられ、冷却に、直接伝導冷却が用いられたものである。その性能の一例には、600rpmの際に、24Nmのトルクが得られ、この際の出力が1.5kWであることが示されている。実施例と比較例2とを比較すると、実施例においては、低回転域で、比較例2に比較して極めて大きなトルクが得られるため、比較例2よりも、迅速にはるかに大きな出力が得られることが分かる。

【0089】
比較例3は、アキシャルギャップ型超電導同期機であり、界磁に超電導材料のGdBCOが用いられ、その捕捉磁束密度は、0.8~0.9Tであり、冷媒に、液体窒素が用いられたものである。その性能の一例には、720rpmの際に、212Nmのトルクが得られ、この際の出力が16kWであることが示されている。実施例と比較例3とを比較すると、比較例3においては、比較的低回転で高トルクが得られるものの、実施例には及ばない。このため、実施例では、比較例3よりも迅速にはるかに大きな出力が得られることが分かる。なお、比較例3では、バルク超電導体はパルス着磁により着磁されている。

【0090】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態において種々の変更等がなされるものも含む。
例えば、実施の形態のラジアルギャップ型超電導同期機1では、バルク集合体24が15個のバルク超電導体30から構成される例を説明したが、バルク超電導体30の数は他の態様であってもよいし、1つのバルク超電導体が磁極部21に設けられてもよい。また、バルク超電導体30の材料はGdBCOに限定されるものではない。

【0091】
また、実施の形態のラジアルギャップ型超電導同期機1では、磁極21が4つである例を説明したが、この数も他の態様であってもよい。

【0092】
また、実施の形態のラジアルギャップ型超電導同期機1では、その固定子10が、断面円形状で軸方向に比較的長尺な円筒状に形成されているが、軸方向に比較的短い円環状に形成されていてもよい。回転子20が比較的大型になる場合には、固定子10は円環状に形成されていることが好ましい。

【0093】
また、回転子20や真空カバー3を形成する材料は、実施の形態で説明したもの以外の材料でもよいことは言うまでもない。また、実施の形態のバルク超伝導体30は、回転子20の径方向の外側から見て矩形のものを説明したが、円形状のもの等であってもよい。

【0094】
また、本実施の形態では、ラジアルギャップ型超電導同期機1においてバルク超電導体30が設けられたが、超電導線材が設けられてもよい。また、着磁装置100に設けられた底壁部101Eは、ハウジング100において設けられなくても構わないが、底壁部101Eが設けられる場合には着磁の効率が向上する。
【符号の説明】
【0095】
1 ラジアルギャップ型超電導同期機
2 回転シャフト
3 真空カバー
4 伝熱部材
5 熱交換器
10 固定子
20 回転子
21 磁極
22 回転子本体
22A 円板部
22B 胴部
22C 磁極固定部
23 冷却ベース部材
23A 設置面
23B 接続部
23C 中央部
23S 側部
24 バルク集合体
25 バルク固定部材
28 強磁性体
30 バルク超電導体
100 着磁装置
101 ハウジング
101T 頂壁部
101S 周壁部
101C コア部
101E 底壁部
102 コイル
103 接続線
104 電流供給部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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