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明細書 :電力変換器

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月13日(2017.4.13)
発明の名称または考案の名称 電力変換器
国際特許分類 H02M   7/797       (2006.01)
H02M   7/48        (2007.01)
H02M   5/293       (2006.01)
H02M   7/49        (2007.01)
FI H02M 7/797
H02M 7/48 S
H02M 5/293 B
H02M 7/49
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 20
出願番号 特願2016-508740 (P2016-508740)
国際出願番号 PCT/JP2015/057907
国際公開番号 WO2015/141680
国際出願日 平成27年3月17日(2015.3.17)
国際公開日 平成27年9月24日(2015.9.24)
優先権出願番号 2014055793
優先日 平成26年3月19日(2014.3.19)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】赤木 泰文
【氏名】萩原 誠
出願人 【識別番号】304021417
【氏名又は名称】国立大学法人東京工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100114018、【弁理士】、【氏名又は名称】南山 知広
【識別番号】100165191、【弁理士】、【氏名又は名称】河合 章
【識別番号】100151459、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 健一
審査請求 未請求
テーマコード 5H750
5H770
Fターム 5H750AA03
5H750BA01
5H750BA06
5H750CC02
5H750CC06
5H750CC11
5H750CC14
5H750CC16
5H750DD13
5H750DD14
5H750DD17
5H750DD18
5H770DA03
5H770DA10
5H770DA11
5H770DA23
5H770DA37
5H770JA13X
5H770JA16Y
要約 単位セルがカスケード接続された3つのクラスタCLu,CLv,CLwと、3つのクラスタの各個の一端に接続された同一種類の電源とを備え、3つのクラスタの非電源接続側の端子を、他のクラスタに接続された電源の他端に接続してデルタ結線を行い、デルタ結線の3つの結線部をそれぞれ3相交流の各相U,V,Wに接続し、電源と3相交流との間で電力変換を行えるようにした電力変換器である。電源を直流電源Vdcu,Vdcv,Vdcwとすれば、直流電源と3相交流電源との電力変換が行え、電源を同相の単相交流電源とすれば、単相交流電源と3相交流電源又は3相交流電源との間の電力変換が行える。
特許請求の範囲 【請求項1】
単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、
前記3つのクラスタの各個の一端に接続された同一種類の電源とを備え、
前記3つのクラスタの非電源接続側の端子が、他のクラスタに接続された前記電源の他端に接続されることでデルタ結線が構成され、
前記デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、前記電源と前記3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器。
【請求項2】
前記電源が直流電源であり、
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチと、前記2つの半導体スイッチに並列接続された直流コンデンサと、前記半導体スイッチのスイッチング動作に応じて前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するチョッパセルであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
【請求項3】
前記電源が直流電源であり、
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチを2組並列接続した半導体スイッチの組と、前記2組の半導体スイッチの組に並列に接続された直流コンデンサと、前記2つの半導体スイッチの各組の直列接続点と、前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するブリッジセルであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
【請求項4】
前記電源が同相の交流電源であり、
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチを2組並列接続した半導体スイッチの組と、前記2組の半導体スイッチの組に並列に接続された直流コンデンサと、前記2つの半導体スイッチの各組の直列接続点と、前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するブリッジセルであることを特徴とする請求項1に記載の電力変換器。
【請求項5】
単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、
前記3つのクラスタ内の前記複数の単位セルの任意の接続点の間に挿入された直流電源とを備え、
前記直流電源を備える3つのクラスタの負極側の端子が、他の前記直流電源を備えるクラスタの正極側の端子に接続されることでデルタ結線が構成され、
前記デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、前記直流電源と前記3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器。
【請求項6】
単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、
前記3つのクラスタ内の前記複数の単位セルの任意の接続点の間に挿入された同相の交流電源とを備え、
前記交流電源を備える3つのクラスタの負極側の端子が、他の前記交流電源を備えるクラスタの正極側の端子に接続されることでデルタ結線が構成され、
前記デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、前記交流電源と前記3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器。
【請求項7】
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチと、前記2つの半導体スイッチに並列接続された直流コンデンサと、前記半導体スイッチのスイッチング動作に応じて前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するチョッパセルであることを特徴とする請求項5に記載の電力変換器。
【請求項8】
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチを2組並列接続した半導体スイッチの組と、前記2組の半導体スイッチの組に並列に接続された直流コンデンサと、前記2つの半導体スイッチの各組の直列接続点と、前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するブリッジセルであることを特徴とする請求項5に記載の電力変換器。
【請求項9】
前記単位セルが、直列接続された2つの半導体スイッチを2組並列接続した半導体スイッチの組と、前記2組の半導体スイッチの組に並列に接続された直流コンデンサと、前記2つの半導体スイッチの各組の直列接続点と、前記直流コンデンサから放電若しくは前記直流コンデンサへ充電される電流の入出力端子とを有するブリッジセルであることを特徴とする請求項6に記載の電力変換器。
【請求項10】
前記単位セルがブリッジセルである電力変換器を3台用いることにより、3相電圧を発生でき、3相電動機を駆動可能で、3相交流-3相交流の直接変換が実現できることを特徴とする請求項4又は6に記載の電力変換器。
【請求項11】
前記交流電源は、単相変圧器を用いた絶縁交流電源により形成されていることを特徴とする請求項4又は6に記載の電力変換器。
【請求項12】
各前記半導体スイッチは、
オン時に一方向に電流を通す半導体スイッチング素子と、
該半導体スイッチング素子に逆並列に接続された帰還ダイオードと、
を有する請求項1~11の何れか1項に記載の電力変換器。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換器に関し、特に、モジュラー・マルチレベル・カスケード型の電力変換器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高圧大容量用途に適した次世代トランスレス電力変換器として、モジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(MMCC:Modular Multilevel Cascade Converter)がある。MMCCは、変換器を構成する「クラスタ(Cluster)」(アーム又はレッグと呼ばれることもある)を単位セルのカスケード接続により形成する点に特徴がある。代表的な単位セルとしては、図1Aに示すチョッパセルCCと、図1Bに示すブリッジセルBCがある。
【0003】
図1Aに示すチョッパセルCCは双方向チョッパの一部と見なすことができ、直列接続された2つの半導体スイッチSWと、2つの半導体スイッチSWに並列接続された直流コンデンサCと、半導体スイッチSWのスイッチング動作に応じて直流コンデンサCから放電若しくは直流コンデンサCへ充電される電流の入出力端子T1,T2とを有する。この例の半導体スイッチSWは、IGBTから構成されている。図1Cは図1Aに示したチョッパセルCCを複数個カスケード接続したクラスタCLを示す。
【0004】
図1Bに示すブリッジセルBCは単相フルブリッジ変換器と等価であり、直列接続された2つの半導体スイッチSWを2組並列接続した半導体スイッチSWの組と、2組の半導体スイッチSWの組に並列に接続された直流コンデンサCと、2つの半導体スイッチSWの各組の直列接続点と、直流コンデンサCから放電若しくは直流コンデンサCへ充電される電流の入出力端子T1,T2とを有する。
【0005】
MMCCは、結線方法によりスター結線形MMCCとデルタ結線形MMCCに大別できる。現在までに、以下のような6種類のスター結線形MMCCとデルタ結線形MMCCが知られているが、このうちの4種類のスター結線形MMCCとデルタ結線形MMCCが非特許文献1に開示されている。
1.シングルスター結線形ブリッジセルMMCC(SSBC)
2.ダブルスター結線形ブリッジセルMMCC(DSBC)
3.ダブルスター結線形チョッパセルMMCC(DSCC)
4.トリプルスター結線形ブリッジセルMMCC(TSBC)
5.シングルデルタ結線形ブリッジセルMMCC(SDBC)
6.ダブルデルタ結線形ブリッジセルMMCC(DDBC)
【0006】
ここで、スター結線形のMMCCの用途について説明する。SSBCは、無効電力補償装置(STATCOM)や、電池電力貯蔵装置への適用が可能である。DSBCとDSCCは、スター結線の中性点間に直流電源を接続できるので、直流-3相交流電力変換が実現できる。DSBCを用いた場合は、直流電源を単相交流電源に置き換えることが可能であり、単相交流-3相交流電力変換が実現可能である。TSBCは、スター結線の中性点間に3相電源(又は3相負荷)を接続できるので、3相交流-3相交流電力変換が実現可能である。スター結線形のMMCCは本発明には関係しないので、これ以上の説明は省略する。
【0007】
次に、デルタ結線形のMMCCの用途について説明する。SDBCは、図2Aに示すように、複数のブリッジセルBCがカスケード接続された3つのクラスタCLがデルタ結線され、デルタ結線の3つの接続点が3相交流電源の各相に接続されたものである。また、図3は、図2Aに示したSDBCの各クラスタ内の回路構成を詳細に示したものである。SDBCは、デルタ結線内の循環電流を制御することにより、逆相無効電力を制御できるので、アーク炉用逆相無効電力補償装置への適用が期待されている。
【0008】
図3に示すシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCC100(以後電力変換器100と記す)において、系統側の電源電圧の各相の相電圧がvSu、vSv及びvSwであり、各相の電流(以下、「電源電流」と称する。)がiu、iv及びiwである。また、電力変換器100のデルタ結線部から各相のクラスタCLにそれぞれ流入する電流(以下、「変換器電流」と記す)が、それぞれiuv、ivw及びiwu、である。また、電力変換器100のデルタ結線部の各相のクラスタCLの出力電圧、即ち電力変換器100の出力端子間TU1-TU2,TV1-TV2及びTW1-TW2における線間電圧がそれぞれvuv、vvw及びvwu、である。また、各ブリッジセル11u-j、11v-j及び11w-j内の直流コンデンサの電圧がvCju、vCjv及びvCjw(ただし、j=1~3)である。
【0009】
一方、DDBCは、図2Bに示すように、複数のブリッジセルBCがカスケード接続された6つのクラスタCLを備えている。ダブルデルタ結線では、直列接続された2つのクラスタCLの組がデルタ結線され、デルタ結線された組の3つの接続点が3相交流電源のU相、V相及びW相にそれぞれ接続されている。そして、直列接続されたクラスタCLの中間点が、それぞれR相、S相及びT相として取り出される。従って、DDBCは、TSBCと同様に、3相交流-3相交流電力変換が実現可能である。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】赤木泰文、萩原誠著、「モジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(MMCC)の分類と名称」、電気学会全国大会、no.4-043、pp71~72、2010年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、既存のデルタ結線形MMCCは、スター結線形MMCCでは実現可能な直流-3相交流電力変換と、単相交流-3相交流電力変換が実現できないという問題点がある。この結果、既存のデルタ結線形MMCCは、既存のスター結線形MMCCと比較して、応用分野が限られるという課題があった。
【0012】
従って本発明の目的は、上記問題に鑑み、既存のデルタ結線形MMCCにおいて、直流-3相交流電力変換と単相交流-3相交流電力変換を実現することにより、応用分野を広げることができる、モジュラー・マルチレベル・カスケード型の電力変換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を実現する本発明の電力変換器の第1の形態は、単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、3つのクラスタの各個の一端に接続された同一種類の電源とを備え、3つのクラスタの非電源接続側の端子が、他のクラスタに接続された電源の他端に接続されることでデルタ結線が構成され、デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、電源と3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器である。
【0014】
電源を直流電源とした場合は、単位セルを、直列接続された2つの半導体スイッチとこれに並列接続された直流コンデンサとを備えるチョッパセル、又は直列接続された2つの半導体スイッチを2組並列接続した半導体スイッチの組とこれに並列に接続された直流コンデンサとを備えるブリッジセルとすることができる。また、電源を同相の交流電源とした場合に、単位セルをブリッジセルとすることができる。
【0015】
上記目的を実現する本発明の電力変換器の第2の形態は、単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、3つのクラスタ内の複数の単位セルの任意の接続点の間に挿入された直流電源とを備え、前記直流電源を備える3つのクラスタの負極側の端子が、他の前記直流電源を備えるクラスタの正極側の端子に接続されることでデルタ結線が構成され、デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、直流電源と3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器である。
【0016】
上記目的を実現する本発明の電力変換器の第3の形態は、単位セルがカスケード接続された3つのクラスタと、3つのクラスタ内の複数の単位セルの任意の接続点の間に挿入された同相の交流電源とを備え、前記交流電源を備える3つのクラスタの負極側の端子が、他の前記交流電源を備えるクラスタの正極側の端子に接続されることでデルタ結線が構成され、デルタ結線の3つの結線部がそれぞれ3相交流の各相に接続され、交流電源と3相交流との間で電力変換を行うようにしたことを特徴とする電力変換器である。
【0017】
複数の単位セルの任意の接続点の間に直流電源を挿入した場合は、単位セルをチョッパセル又はブリッジセルとすることができる。また、複数の単位セルの任意の接続点の間に同相の交流電源を挿入した場合は、単位セルをブリッジセルとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、既存のシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCにおいて、デルタ結線の各辺内に直流電源を組み込むことにより直流-3相交流電力変換を実現することができる。また、既存のシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCにおいて、デルタ結線された各辺内に同相の交流電源を組み込むことによりと単相交流-3相交流電力変換を実現することができる。更に、既存のシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCのブリッジセルをチョッパセルに置き換え、デルタ結線された各辺内に直流電源を組み込むことにより直流-3相交流電力変換を実現することができる。そして、これらの構成により、MMCCの応用分野を広げることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】チョッパセルの構成を示す回路図である。
【図1B】ブリッジセルの構成を示す回路図である。
【図1C】複数のチョッパセルをカスケード接続して形成されたクラスタの一例を示す回路図である。
【図2A】既存のシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCC(SDBC)の構成を示す回路図である。
【図2B】既存のダブルデルタ結線形ブリッジセルMMCC(DDBC)の構成を示す回路図である。
【図3】図2Aに示したSDBCの、各クラスタ内の回路を詳細に示す回路図である。
【図4】本発明の第1の実施例の電力変換器の回路図である。
【図5A】図4に示す回路図の各クラスタ内の単位セルとリアクトルと直流電源の位置を示すものであって、カスケード接続された複数の単位セルの両端部にリアクトルと直流電源が配置された例の回路図である。
【図5B】図4に示す回路図の各クラスタ内の単位セルとリアクトルと直流電源の位置を示すものであって、図5Aに示す回路とリアクトルと直流電源の位置が逆に配置された例の回路図である。
【図5C】図4に示す回路図の各クラスタ内の単位セルとリアクトルと直流電源の位置を示すものであって、カスケード接続された複数の単位セルの何れかの単位セルと単位セルの間にリアクトルと直流電源が配置された例の回路図である。
【図6】本発明の第1の実施例による電力変換器を用いて行った実験の実験結果の波形を示す図である。
【図7A】本発明の第2の実施例の電力変換器の回路図である。
【図7B】本発明の第3の実施例の電力変換器の回路を示す部分回路図である。
【図8】本発明の第2の実施例の電力変換器の交流電源の一例の回路図である。
【図9】本発明の第2の実施例による電力変換器を用いて行ったシミュレーション結果の波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態をいくつかの実施例に基づいて説明する。なお、図3で説明した既存のSDBCの回路における構成要素と同じ構成要素には同じ参照符号を付して説明する。

【0021】
図4は、本発明の第1の実施例の電力変換器101の構成を示す回路図である。図3に示した既存の電力変換器100では、デルタ結線された3つのクラスタCLに、単位セルとしてブリッジセルが使用されていたが、第1の実施例の電力変換器101では、デルタ結線された3つのクラスタCLに、単位セルとしてチョッパセルが使用されている。即ち、各相のクラスタCLu、CLv及びCLwにおいて、チョッパセルは複数個がカスケード接続されて設けられる。

【0022】
図4に示す第1の実施例の電力変換器101では、各相のクラスタCLu、CLv及びCLwに、単位セルとしてカスケード接続された3つのチョッパセル11u-j、11v-j及び11w-j(ただし、j=1~3)がそれぞれ設けられている。以下、本発明の実施例においては各クラスタ内の単位セルの個数を3個として説明するが、各クラスタ内の単位セルの個数は本発明を限定するものではない。なお、図4において、電力変換器101の各クラスタの結合リアクトルはLで表しており、黒丸(・)は、結合リアクトルLの極性を示している。

【0023】
各チョッパセル11u-j、11v-j及び11w-j(ただし、j=1~3)の構造は図1Aで説明した通りである。図4においては、3系統側の電源電圧の各相の系統電圧をvSuv、vSvw及びvSwu、系統電流をiSu、iSv及びiSwとする。また、電力変換器101の各相のクラスタCLu、CLv及びCLwに、それぞれ流入する変換器電流をiuv、ivw及びiwuとする。また、各ブリッジセル11u-j、11v-j及び11w-j内の直流コンデンサの電圧をvCju、vCjv及びvCjw(ただし、j=1~3)とする。

【0024】
図4における結合リアクトルLは3巻線を有し、巻線数はそれぞれ等しい。結合リアクトルLは、各クラスタCLu、CLv及びCLwを流れる変換器電流iuv、ivw及びiwuに含まれる循環電流に対してのみインピーダンスを有し、系統電流成分(50Hz)に対するインピーダンスはゼロである。循環電流iZは以下の式で定義される。
Z=(iUV+iVW+iWU)÷3

【0025】
第1の実施例の電力変換器101では、U相のクラスタCLuの結合リアクトルL側の端子Tu2と反対側の端子Tu1に直列に直流電源Vdcuの負極を接続し、直流電源Vdcuの正極は、3相交流のV相に接続するV相のクラスタCLvのデルタ結線部に接続している。また、V相のクラスタCLvの結合リアクトルL側の端子Tv2と反対側の端子Tv1に直列に直流電源Vdcvの負極を接続し、直流電源Vdcvの正極は、3相交流のW相に接続するW相のクラスタCLwのデルタ結線部に接続している。同様に、W相のクラスタCLwの結合リアクトルL側の端子Tw2と反対側の端子Tw1に直列に直流電源Vdcwの負極を接続し、直流電源Vdcwの正極は、3相交流のU相に接続するU相のクラスタCLuのデルタ結線部に接続している。

【0026】
第1の実施例の電力変換器101は、この構成により、直流電源と3相系統間で定常的な電力の授受が可能になり、直流-3相交流電力変換が実現できる。なお、この構成において、各クラスタに直流電源を接続する必要があるため、必要な直流電源数は3となる。

【0027】
なお、図4に示した第1の実施例の電力変換器101では、直流電源Vdcu、直流電源Vdcv及び直流電源Vdcwが、それぞれ各相のクラスタCLu、CLv及びCLwの端子Tu1、端子Tv1及び端子Tw1の外部に接続されている。クラスタCLuにおけるこの構成のみを図5Aに示す。図5Aに示す構成では、結合リアクトルLがクラスタCLuの端子Tu2に接続され、直流電源Vdcuが端子Tu1に接続されているが、結合リアクトルLと直流電源Vdcuの、クラスタCLuの端子Tu1、Tu2への接続は、図5Bに示すように逆でも良い。V相とW相についても同様である。

【0028】
また、結合リアクトルLと直流電源Vdcuは、図5Cに示すように、クラスタCLu内のチョッパセルとチョッパセルの間の任意の場所に挿入することができる。V相とW相についても同様である。

【0029】
結合リアクトルLは、3個の非結合リアクトルに置き換えることが可能である。非結合リアクトルも結合リアクトルLと同様、クラスタ内の任意の箇所に挿入することが可能である。非結合リアクトルを使用した場合は、連系リアクトルの役割を兼ねるため、図4に示した連系リアクトルを除去することができる。

【0030】
図4に示した第1の実施例の電力変換器101を正常動作させるためは、各チョッパセルの直流コンデンサ電圧を一定に制御する必要がある。直流電圧制御には、平均値制御、相間バランス制御、循環電流制御及び個別バランス制御の4種類を併用する。平均値制御は、全直流コンデンサの算術平均電圧を制御する。相間バランス制御は、クラスタ間で授受する電力を制御する。循環電流制御は、デルタ結線内を循環する電流を制御する。個別バランス制御は、各チョッパセルの直流コンデンサ電圧を個別にバランスさせる。各制御法の詳細に関しては、下記文献に記載されており、本願発明の電力変換器の構成には直接関係しないので、制御法についてはこれ以上の説明は省略する。

【0031】
『萩原誠、赤木泰文:「モジュラー・マルチレベル変換器(MMC)のPWM制御法と動作検証」、電学論D,128,7、pp.957-965(2008-7)』
『萩原誠、前田亮、赤木泰文:「モジュラー・マルチレベル・カスケード変換器(MMCC-SDBC)のSTATCOMへの応用—有効電力・逆相無効電力制御—」電学論D,131,12、pp.1433-1441(2011-12)』

【0032】
次に、本発明の第1の実施例による電力変換器101を用いた実験結果について説明する。表1に、実験に用いた回路定数を示す。実験には200V,6kWのモデルを使用した。但し、各相のクラスタに挿入するチョッパセルの個数を3個ではなく8個とした。このように、各相のクラスタを8個のチョッパセルで構成すると、使用セルの総和は24個である。そして、各クラスタと直列に320Vの直流電圧Vdcu,Vduv,Vdcwを挿入する。

【0033】
【表1】
JP2015141680A1_000003t.gif

【0034】
図6に第1の実施例による電力変換器101を用いた実験結果(6kW、インバータ動作、力率—1)を示す。電圧vuvは線間17レベルのマルチレベル波形となり、高調波電圧の影響は少ない。電源電圧(系統電圧)vSuvに対して電源電流iuは150°進んでおり、力率-1のインバータ動作を実現している。電流iuの電流THD値(全高調波歪率)は3.6%であり、高調波電流の影響は少ない。循環電流の実効値はIZ=6.25A(=6kW/(3×320V))となる。直流コンデンサ電圧vC1u,vC1v,vC1wに着目すると、その直流分は80Vに制御されていることが分かる。

【0035】
図7Aは、本発明の第2の実施例の電力変換器102の構成を示す回路図である。第2の実施例の電力変換器102では、デルタ結線された3つのクラスタCLに、単位セルとしてブリッジセルが使用されている。即ち、各相のクラスタCLu、CLv及びCLwにおいて、ブリッジセルは複数個がカスケード接続されて設けられる。

【0036】
図7Aに示す第2の実施例の電力変換器102では、各相のクラスタCLu、CLv及びCLwに、単位セルとしてカスケード接続された3つのブリッジセル11u-j、11v-j及び11w-j(ただし、j=1~3)がそれぞれ設けられている。各ブリッジセル11u-j、11v-j及び11w-j(ただし、j=1~3)の構造は、図1Bで説明した通りである。図7Aにおいては、系統側の電源電圧の各相の系統電圧をvSuv、vSvw及びvSwu、系統電流をiSu、iSv及びiSwとする。また、電力変換器102の各相のクラスタCLu、CLv及びCLwに、それぞれ流入する変換器電流をiuv、ivw及びiwuとする。更に、各ブリッジセル11u-j、11v-j及び11w-j内の直流コンデンサの電圧をvCju、vCjv及びvCjw(ただし、j=1~3)とする。

【0037】
結合リアクトルLは3巻線を有し、巻線数はそれぞれ等しい。結合リアクトルLは、各クラスタCLu、CLv及びCLwを流れる変換器電流iuv、ivw及びiwuに含まれる循環電流に対してのみインピーダンスを有し、系統電流成分(50Hz)に対するインピーダンスはゼロである。循環電流iZは以下の式で定義される。
Z=(iUV+iVW+iWU)÷3

【0038】
第2の実施例の電力変換器102では、U相のクラスタCLuの結合リアクトルL側の端子Tu2と反対側の端子Tu1に直列に、単相の交流電源VTuの一端を接続し、交流電源VTuの他端は、3相交流のV相に接続するV相のクラスタCLvのデルタ結線部に接続している。また、V相のクラスタCLvの結合リアクトルL側の端子Tv2と反対側の端子Tv1に直列に、単相の交流電源VTvの一端を接続し、交流電源VTvの他端は、3相交流のW相に接続するW相のクラスタCLwのデルタ結線部に接続している。同様に、W相のクラスタCLwの結合リアクトルL側の端子Tw2と反対側の端子Tw1に直列に、単相の交流電源VTwの一端を接続し、交流電源VTwの他端は、3相交流のU相に接続するU相のクラスタCLuのデルタ結線部に接続している。なお、交流電源VTu、VTv及びVTwは全て同相である。

【0039】
第2の実施例の電力変換器102は、この構成により、単相交流電源と3相系統間で定常的な電力の授受が可能になり、単相交流-3相交流電力変換が実現できる。なお、この構成において、各クラスタに単相交流電源を接続する必要があるため、必要な交流電源数は3となる。

【0040】
なお、図7Aに示した第2の実施例の電力変換器102では、交流電源VTu、VTv及びVTwが、それぞれ各相のクラスタCLu、CLv及びCLwの、端子Tu1、端子Tv1及び端子Tw1の外部に接続されている。しかし、第1の実施例の直流電源と同様に、結合リアクトルLと交流電源VTu、VTv及びVTwの、クラスタCLuの端子Tu1、Tu2への接続は逆でも良い。更に、結合リアクトルLと交流電源VTu、VTv及びVTwは、クラスタCLu、CLv及びCLw内のブリッジセルとブリッジセルの間の任意の場所にそれぞれ挿入することが可能である。

【0041】
結合リアクトルLは、3個の非結合リアクトルに置き換えることが可能である。非結合リアクトルも結合リアクトルLと同様、クラスタ内の任意の箇所に挿入することが可能である。非結合リアクトルを使用した場合は、連系リアクトルの役割を兼ねるため、図7Aに示した連系リアクトルを除去することができる。

【0042】
図8は、第2の実施例の電力変換器102の交流電源VTu、VTv及びVTwの一例の回路図であり、単相変圧器を用いた絶縁交流電源を示している。1次巻線には単相交流電源又は単相交流負荷を接続する。2次巻線は3等分し、図7Aに示した各クラスタCLu、CLv及びCLwに接続する。変圧器の2次巻線には,各クラスタCLu、CLv及びCLwの変換器電流iuv,ivw及びiwuが流入する。変換器電流iuv,ivw及びiwuに含まれる系統電流成分(50Hz)は互いに打ち消し合うため、変圧器に起磁力が生じない。その結果、変圧器の動作周波数は変圧器の1次側の電源周波数、又は負荷周波数と等しくなる。

【0043】
図7Aに示した第2の実施例の電力変換器102は、電動機負荷にも適用可能である。この場合は、電動機の固定子巻線をオープン結線とし、各相の固定子巻線を,図8と同様に3等分して各クラスタに接続することができる。図7Aに示した第2の実施例の電力変換器102を3台用いることにより、3相電圧を発生でき、3相電動機を駆動できる。その結果、トランスレスで3相交流-3相交流の直接変換が実現できる。

【0044】
図7Aに示した第2の実施例の電力変換器102を正常動作させるためは、各ブリッジセルの直流コンデンサ電圧を一定に制御する必要があるが、この制御方法は、第1の実施例の電力変換器101を正常動作させるための制御方法と同様で良いので、これ以上の説明は省略する。

【0045】
ここで、本発明の第2の実施例による電力変換器102を用いて行ったシミュレーションの結果について説明する。表2に、シミュレーションに用いた回路定数を示す。シミュレーションは、図7Aにおける各相の交流電源部に、図8に示す変圧器の2次側巻線を接続し、1次巻線には、3.3kV,200Hzの単相交流電源を直結した。なお、変圧器の巻数比はN2/N1=3とした。シミュレーションには「PSCAD/EMTDC」を使用した。

【0046】
【表2】
JP2015141680A1_000004t.gif

【0047】
図9に第2の実施例による電力変換器102のシミュレーション結果(1MW、インバータ動作、力率—1)を示す。電源電圧vSuvに対して電源電流iuは150°進んでおり、力率-1のインバータ動作を実現している。循環電流iZは変圧器の動作周波数である200Hz成分のみで構成され、系統周波数成分(50Hz)を含まない。直流コンデンサ電圧vC1u,vC1v及びvC1wに着目すると、その直流分は1.8kVに制御できていることが分かる。交流分は系統周波数である50Hz成分と、変圧器の動作周波数である200Hz成分より構成する。変圧器の1次側電圧と1次側電流は同相となり、変圧器から系統に電力が伝送されている。変圧器の1次側電流には、系統周波数(50Hz)は含まれない。

【0048】
以上、図7Aと図8を用いて、本発明の第2の実施例の電力変換器102の構成を説明した。第2の実施例の電力変換器102では、各相のクラスタの結合リアクトルL側の端子Tu2、Tv2及びTw2に対して反対側にある端子Tu1,Tv1及びTw1に直列に、単相の交流電源VTu、VTv及びVTwの一端が接続され、交流電源VTu、VTv及びVTwの他端が、3相交流の他の相に接続するクラスタの、デルタ結線部に接続されている。一方、この交流電源VTu、VTv及びVTwの代わりに、各相のクラスタの端子Tu1,Tv1及びTw1に直列に、直流電源Vdcu,Vdcv及びVdcwの負極が接続され、直流電源Vdcu,Vdcv及びVdcwの正極が、3相交流の他の相に接続するクラスタの、デルタ結線部に接続された第3の実施例の電力変換器103が可能である。

【0049】
第3の実施例の電力変換器103は、図7Aに示す破線で囲まれた部分以外の構成は、第2の実施例の電力変換器102と同じである。そこで、第3の実施例の電力変換器103の構成は、図7Aの破線で囲まれた部分に対応する部分だけを図7Bに示す。第3の実施例の電力変換器103は、この構成により、直流電源と3相系統間で定常的な電力の授受が可能になり、直流電力-3相交流電力変換が実現できる。なお、この構成において、各クラスタに直流電源Vdcu,Vdcv及びVdcwを接続する必要があるため、必要な直流電源数は3となる。

【0050】
第3の実施例の電力変換器103の制御は、第2の実施例の電力変換器の制御と同じであるので、これ以上の説明は省略する。

【0051】
以上説明したように、本発明によれば、シングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCにおいて、デルタ結線の各辺内に直流電源を組み込むことにより、直流-3相交流電力変換器を実現することができる。また、シングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCにおいて、デルタ結線の各辺内に同相の交流電源を組み込むことにより、単相交流-3相交流電力変換器を実現することができ、この単相交流-3相交流電力変換器を3台使用すれば、3相交流-3相交流電力変換器を実現することができる。更に、既存のシングルデルタ結線形ブリッジセルMMCCのブリッジセルをチョッパセルに置き換え、デルタ結線の各辺内に直流電源を組み込むことにより、直流-3相交流電力変換を実現することができる。そして、これらの構成により、MMCCの応用分野を広げることができる。
【符号の説明】
【0052】
11u-j、11v-j、11w-j 単位セル(チョッパセル、ブリッジセル)
100,101,102,103 電力変換器
BC ブリッジセル
CC チョッパセル
C 直流コンデンサ
CL、CLu、CLv、CLw クラスタ
L 結合リアクトル
MMCC モジュラー・マルチレベルカスケード変換器
SDBC シングルデルタ結線形ブリッジセルMMCC
SW 半導体スイッチ
Vdcu,Vduv,Vdcw 直流電源
Tu、VTv、Tw 交流電源
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2
【図2A】
3
【図2B】
4
【図3】
5
【図4】
6
【図5A】
7
【図5B】
8
【図5C】
9
【図7A】
10
【図7B】
11
【図8】
12
【図6】
13
【図9】
14