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明細書 :一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-064690 (P2017-064690A)
公開日 平成29年4月6日(2017.4.6)
発明の名称または考案の名称 一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法
国際特許分類 B01J  31/38        (2006.01)
C01B  32/50        (2017.01)
B01D  53/86        (2006.01)
FI B01J 31/38 A
C01B 31/20 A
B01J 31/38 M
B01D 53/86 245
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 8
出願番号 特願2016-004132 (P2016-004132)
出願日 平成28年1月13日(2016.1.13)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り Journal of Catalysis Volume332,December2015 第116回触媒討論会予稿集
優先権出願番号 2015195503
優先日 平成27年9月30日(2015.9.30)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】泉 康雄
【氏名】吉田 祐介
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100121658、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 昌義
審査請求 未請求
テーマコード 4D048
4D148
4G146
4G169
Fターム 4D048AA13
4D048AB01
4D048BA07X
4D048BA35X
4D048BA41X
4D048BA45X
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4D148BA41X
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4G146JA02
4G146JB03
4G146JC03
4G146JC28
4G146JD01
4G169AA02
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BB05A
4G169BB05B
4G169BC31A
4G169BC31B
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BE08A
4G169BE08B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169CA07
4G169CA14
4G169CB81
4G169EC25
要約 【課題】より安価であって上記膜分離法等の他の方法と比較しても十分な性能を備える一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法を提供する。
【解決手段】本発明の一観点に係る一酸化炭素酸化用触媒は、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させたものである。また、本発明の他の一観点に係る被処理ガスから一酸化炭素を除去する方法は、一酸化炭素及び酸素を含む被処理ガスを、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させた一酸化炭素酸化用触媒に接触させるものである。
【選択図】 図6
特許請求の範囲 【請求項1】
酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させた一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項2】
有機化合物によって前記酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと前記銅とを化学的に結合させた請求項1記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項3】
前記有機化合物は、テレフタル酸である請求項2記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項4】
Ti(OH)・(bdc)・[Cu(OH)で示される請求項2記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項5】
一酸化炭素及び酸素を含む被処理ガスを、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させた一酸化炭素酸化用触媒に接触させることで、前記被処理ガスから一酸化炭素を除去する方法。
【請求項6】
前記一酸化炭素酸化用触媒は、有機化合物によって前記酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと前記銅とを化学的に結合させたものである請求項5記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項7】
前記一酸化炭素酸化用触媒の前記有機化合物は、テレフタル酸である請求項6記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項8】
前記一酸化炭素酸化用触媒は、Ti(OH)・(bdc)・[Cu(OH)で示される請求項6記載の一酸化炭素酸化用触媒。
【請求項9】
前記一酸化炭素酸化用触媒は、酸素を含む酸化性ガス下に置かれた請求項6記載の一酸化炭素酸化用触媒。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガス中の微量の一酸化炭素(CO)は、石油及び天然ガスから水素を得る場合、化学平衡論的に不可避的に含まれる。水素ガスはそのままにCOを選択酸化して二酸化炭素(CO)として除去するための触媒として、例えば下記文献1、2で開示されるように、従来は金/酸化チタン(Au/TiO)及び酸化銅酸化セリウム(CuO/CeO)という複合触媒が知られてきた。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表2007-522932号公報
【特許文献2】特表2001-522122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記複合触媒において、Auは貴金属であって高価であり、Ceはいわゆるレアアースであって、いずれも高価であるといった課題がある。
【0005】
また現状の複合触媒では、水素ガスの高純度技術として膜分離法や圧力及び温度スイング法によるガスの不純物除去法と比較しても十分な優位性を示せていないのが現状である。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、より安価であって上記膜分離法等の他の方法と比較しても十分な性能を備える一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の一観点に係る一酸化炭素酸化用触媒は、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させたものである。
【0008】
本観点において、有機化合物によって、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと銅とを化学的に結合させたものであることは好ましい。
【0009】
また本観点において、有機化合物は、テレフタル酸であることが好ましい。
【0010】
また本観点において、触媒は、酸素を含む酸化性ガス下に置かれたものであることが好ましい。またこの触媒は、Ti(OH)・(bdc)・[Cu(OH)で示されるものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の一観点に係る一酸化炭素を除去する方法は、一酸化炭素及び酸素を含む被処理ガスを、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させた一酸化炭素酸化用触媒に接触させることで、被処理ガスから一酸化炭素を除去するものである。
【0012】
また本観点において、一酸化炭素酸化用触媒は、有機化合物によって酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと前記銅とを化学的に結合させたものであることが好ましい。
【0013】
また本観点において、一酸化炭素酸化用触媒の有機化合物は、テレフタル酸(以下(bdc)とも表記する。)であることが好ましい。
【0014】
また本観点において、触媒は、Ti(OH)・(bdc)・[Cu(OH)で示されるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
以上本発明によって、より安価であって上記膜分離法等の他の方法と比較しても十分な性能を備える一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る一酸化炭素除去方法の概略を示す図である。
【図2】実施形態に係る触媒の構造を示すイメージ図である。
【図3】実施形態に係る触媒の原理のイメージを示す図である。
【図4】実施例に係るMIL125のX線回折の結果を示す図である。
【図5】実施例に係る本触媒MIL125-I-613-1/2のX線回折の結果を示す図である。
【図6】実施例に係る一酸化炭素除去の結果を示す図である。

【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本観点は複数の異なる形態による実施が可能であり、以下に示す具体的な実施形態、実施例の例示にのみ限定されるわけではない。
【0018】
図1は、本実施形態に係る一酸化炭素除去方法(以下「本方法」という。)の概略を示す図である。本方法は、一酸化炭素及び酸素を含む被処理ガスを、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれかと、銅と、を化学的に結合させた一酸化炭素酸化用触媒1に接触させることで、被処理ガスから一酸化炭素を除去する。
【0019】
より具体的に本方法では、被処理ガスを通す管内に、本実施形態にかかる一酸化炭素酸化用触媒(以下「本触媒」という。)1を配置し、この被処理ガスを本触媒1に接触させることで被処理ガス中の一酸化炭素を酸化させることができる。
【0020】
本実施形態において、被処理ガスは、除去対象となる一酸化炭素を含むガスである。被処理ガスの主成分は、限定されるわけではないが、主成分が非酸化性のガスであることが好ましく、例えば水素ガスは燃料電池の性能を向上させる効果が顕著となるため好ましい。燃料電池に用いられる水素ガス中の一酸化炭素を除去することで、燃料電池の電極の劣化を大幅に防ぐことができる。
【0021】
また本実施形態において、被処理ガスは、酸素を含むものであることが好ましい。酸素を含むことで、一酸化炭素を二酸化炭素に酸化させることができる。ただし、被処理ガスの主成分ガスが酸素と反応してしまう場合、含まれる一酸化炭素の量に応じて最低限の範囲含ませておく程度が好ましい。
【0022】
また本触媒は、上記のとおり、酸化チタン及び水酸化チタンの少なくともいずれか(以下「酸化チタン等」ともいう。)と、銅と、を化学的に結合させたものである。なお本実施形態において、酸化チタンは限定されるわけではないが具体的には二酸化チタンであることが好ましい。また銅は、単体であってもよいが、水酸化銅等の銅化合物であってもよい。
【0023】
また本触媒は、酸化チタン等と銅が化学的に結合した状態を実現することができる限りにおいて限定されるわけではないが、有機化合物によって酸化チタン等と銅とを化学的に結合させたものであることが好ましい。有機化合物を含ませることで、有機化合物中のカルボキシル基とチタン、銅とがそれぞれ結合し、有機・無機ハイブリッド構造体となり、安定的な結合及び結晶構造を達成することができる。なお、化学的に結合した状態とは、限定されるわけではないが、例えば共有結合、配位結合、イオン結合及び水素結合等を例示することができる。
【0024】
また本触媒において、上記有機化合物は、極性基を備え、この極性によって酸化チタン等と銅とを近接させることが可能となる。有機化合物としては、特に限定されるわけではないが、その単位構造中に、カルボキシ基、水酸基及びアミノ基の少なくともいずれかを2以上有するものであることが好ましい。より具体的な有機化合物の例としては例えばテレフタル酸、トリメシン酸等の有機酸、ヒドロキノン、及び、p-フェニレンジアミンを例示することができる。
【0025】
なお上記有機化合物がテレフタル酸である場合、限定されるわけではないが、Ti(OH)・(bdc)・[Cu(OH)で示されるものであることはより具体的な好ましい一例である。この触媒は、Tiという骨格とCu(OH)という骨格が接合して新たな結晶を形成しており、この接合部位が一酸化炭素選択酸化に有効である。この触媒は従来のCuO/CeOの4.3倍の活性があり、しかも一酸化炭素を99%以上の割合で選択可能であり、CuO/CeOよりも優れている。
【0026】
ここで図2に、本触媒のうち、上記好ましい一例に係る本触媒の構造のイメージを示しておく。図中(A)は、本結晶の側面のイメージ及び平面のイメージをそれぞれ示す。また図中(B)は上記図中(A)の構成単位の側面のイメージ及び正面のイメージをそれぞれ示す。
【0027】
本図で示すように、本触媒では、チタンと酸素が交互に接続されて平面状の環を形成するとともに、このチタンに有機化合物のカルボキシル基の酸素が結合することで、平面状の環が積層した層構造が形成されている。
【0028】
本触媒が一酸化炭素を効率的に除去することができる原理については、推測の域ではあるが、以下のように考えられる。
【0029】
まず、上記のとおり、酸化チタン等と銅とが化学的に結合することで、互いに隣接した状態となる。そして、酸化チタン等には酸素分子が、銅には一酸化炭素がそれぞれ結合する。この結果、酸素分子と一酸化炭素が近接することになり、これらが効率よく反応し、二酸化炭素となると考えられる。この場合のイメージを図3に示しておく。本図では、酸化チタン等に対応する[Ti(OH)12+のTiが酸素分子を、銅に対応する[Cu(OH)2-のCuが一酸化炭素をそれぞれ捕捉している例である。
【0030】
以上本実施形態によって、より安価であって上記膜分離法等の他の方法と比較しても十分な性能を備える一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法を提供することができる。より具体的には、本実施形態ではAuを用いず比較的安価な銅及び有機化合物を用いることで安価な触媒となるとともに、後述の実施例からも明らかなとおり素ガスの高純度技術として膜分離法や圧力及び温度スイング法によるガスの不純物除去法と比較しても十分な優位性を示すことができる。特に膜分離方法においてもパラジウム等の高価な金属を用いているため本触媒は有効である。
【実施例】
【0031】
ここで、上記実施形態に基づき実際に触媒を作製し、本発明の効果について確認を行った。以下具体的に説明する。
【0032】
(触媒)
まず、テトラブトキシチタン(IV)3.75mmol(>95%、和光純薬社)を45mlのN,N-ジメチルホルムアミド(DMF;99.5%、和光純薬社)、5.0mlのメタノール(99.8%、和光純薬)と混合し、その後、テレフタル酸15mmol(>95%、和光純薬社)を加え、溶解させた。なおこの溶液は300回転/分の条件で5分間室温にてマグネチックスターラーを行いて撹拌した。
【0033】
その後、この溶液をオートクレーブ(TVS-N2-100、内部体積100ml)に移し、423Kで20時間加熱した。
【0034】
そして、0.2μmの径のポリテトラフルオロエチレン膜フィルタ(Omnipore JGWP04700)によりろ過し白色の沈殿物を得て、さらに、DMF(合計60ml)及びアセトン(合計90ml、>99.5%、和光純薬社)で洗浄した。
【0035】
そして、これを353Kにて12時間空気中で、473Kにて6時間真空中で加熱乾燥させることで、白色の粉末(以下「MIL125」という。)を得た。図4に、このMIL125のX線回折のパターンを示しておく。
【0036】
次に、0.4mLの硝酸銅水溶液(0.5mmol、>99.9%、和光純薬社)に200mgの上記MIL125を加え、290Kで300回転/分を20分間マグネチックスターラーで撹拌し、353Kで水を蒸発させ、613Kで2時間焼成し、更に試料を窒素で希釈された酸素を1%含む酸化性ガス雰囲気下、323Kで1時間処理を行った。なお、この場合において、銅とチタンの原子比は1/2となるようにした。この結果、緑色の試料を得た(以下、この試料を「Cu/MIL125-I-613-1/2-O」と表記する)。この結果得られたCu/MIL125-I-613-1/2-OのX線回折パターンを図5に示しておく。なおこの化合物は、上記図2で示す構造を備えたTi(OH)]・(bdc)・[Cu(OH)であることを確認した。
【0037】
(比較触媒)
一方、比較例として、CuO/CeO触媒を共沈法により作製した。具体的には、硝酸銅水溶液(0.15M、10ml)と硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(0.75M、100ml、>95.0%、関東化学社)を混合し、これに炭酸ナトリウム水溶液(24ml、7重量%)加えて、290Kで1時間撹拌し、その後290Kのまま30分静置した。その後、沈殿物をフィルタ(JGWP04700)を用いてろ過し、イオン交換水(<0.05μScm-1、合計400ml)で数回洗浄した後、383Kで18時間乾燥させ、923Kで4時間焼成し、更に試料を上記Cu/MIL125-I-613-1/2-Oの場合と同様に、窒素で希釈された酸素を1%含む酸化性ガス雰囲気下、323Kで1時間処理を行い、緑色の粉末を得た(以下この試料を「CuO/CeO-923-O」と表記する。)。
【0038】
(一酸化炭素除去)
次に、上記触媒を用いて、実際に一酸化炭素を含む水素ガスに接触させ、その能力について確認を行った。
【0039】
本実験は、CO(0.5%)+O(0.5%)+H(49.5%)+N(49.5%)のガスを20ml/分で接触させることにより行った。なお本実験では、比較例としてCuO/CeO-923-Oを用いた。また触媒の重量はそれぞれ100mgとし、反応温度は323Kとした。この結果を図6に示しておく。なお、図中、CO転換率は、(排出COガス量/導入COガス量)×100で求め(図中四角印)、PROX選択率は(排出COガス量/(排出COガス量+排出HOガス量))×100として求めた(図中三角印)。
【0040】
この結果、本触媒は、従来のCuO/CeO-923-Oに比べて非常に高い性能を達成できていることを確認した。
【0041】
以上、本発明によって、より安価であって上記膜分離法等の他の方法と比較しても十分な性能を備える一酸化炭素酸化用触媒及びこれを用いた一酸化炭素除去方法を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、一酸化炭素酸化用触媒、及びこれを用いた一酸化炭素除去方法として産業上の利用可能性がある。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5