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明細書 :管の評価方法、測定装置および管の評価システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月27日(2017.4.27)
発明の名称または考案の名称 管の評価方法、測定装置および管の評価システム
国際特許分類 G01N   3/00        (2006.01)
G01M   5/00        (2006.01)
FI G01N 3/00 Z
G01M 5/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 29
出願番号 特願2016-535912 (P2016-535912)
国際出願番号 PCT/JP2015/070526
国際公開番号 WO2016/013508
国際出願日 平成27年7月17日(2015.7.17)
国際公開日 平成28年1月28日(2016.1.28)
優先権出願番号 2014152382
優先日 平成26年7月25日(2014.7.25)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】兵頭 正浩
【氏名】緒方 英彦
【氏名】河村 直樹
【氏名】野中 資博
【氏名】石井 将幸
出願人 【識別番号】504150461
【氏名又は名称】国立大学法人鳥取大学
【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100111383、【弁理士】、【氏名又は名称】芝野 正雅
審査請求 未請求
テーマコード 2G061
Fターム 2G061AA01
2G061AB01
2G061BA01
2G061CB04
2G061DA01
2G061EA01
2G061EA02
要約 内圧載荷システム1は、内圧載荷装置(100)と、情報処理装置(400)と、(ドライバ500)と、を備える。内圧載荷装置(100)は、管の内面に設置され、管(10)の内面に加えられた荷重を検出する荷重計(110)と、管(10)の変形量を検出する変位計(120)と、を備える。荷重計(110)が検出する荷重が大きくなるよう内圧載荷装置(100)が伸ばされると、変位計(120)が位置する管(10)の幅が小さくなる。情報処理装置(400)は、荷重計(110)により検出される荷重と、変位計(120)により検出される変位量とに基づいて、管(10)の現有耐力を適正に評価する。
特許請求の範囲 【請求項1】
管の現有耐力を評価するための評価方法であって、
第1の方向において、前記管の内面に荷重を加え、
前記第1の方向と異なる第2の方向において、前記管の変形量を検出し、
前記荷重と前記変形量の関係に基づいて、前記管の現有耐力を評価する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項2】
請求項1に記載の管の評価方法において、
前記管が土中に埋設された状態で前記管の現有耐力を評価する場合、
前記荷重と前記変形量の関係と、前記管の固有情報、性状および埋設条件に基づく現有耐力の評価指標とを比較対照することにより、前記管の現有耐力を評価する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項3】
請求項2に記載の管の評価方法において、
前記管の性状は、前記管におけるひび割れの状況を含み、
前記埋設条件は、前記管が埋設された深さおよび前記管周囲の土質に関する条件を含む、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の管の評価方法において、
前記第1の方向と前記第2の方向のなす角は90度である、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の管の評価方法において、
前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらして、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、
取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を設定する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項6】
請求項5に記載の管の評価方法において、
前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらしながら、前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらして、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を設定する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項7】
請求項1ないし6の何れか一項に記載の管の評価方法において、
実評価の前に、他の管から荷重と変形量の関係を検出し、
圧縮試験により前記他の管の現有耐力を評価し、
前記他の管における前記荷重と変形量の関係および前記他の管の現有耐力の評価結果に基づいて、管の現有耐力を評価するための指標を設定し、
設定した前記指標に基づいて、前記実評価における前記管の現有耐力を評価する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の管の評価方法において、
前記管の長手方向の測定位置において、前記管を所定量だけ変形させるための荷重を取得し、
取得した前記荷重の大きさに基づいて、前記測定位置において前記管にひび割れが生じているか否かを判定する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の管の評価方法において、
前記管の長手方向の測定位置において、前記管に付与する荷重と前記管の変位量の関係を示す直線を取得し、
取得した前記直線に基づいて、前記測定位置において前記管にひび割れが生じているか否かを判定する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項10】
請求項9に記載の管の評価方法において、
前記直線の傾きに基づいて、前記測定位置において前記管にひび割れが生じているか否かを判定する、
ことを特徴とする管の評価方法。

【請求項11】
管の内面に設置される測定装置であって、
第1の方向に前記管の内面に荷重を加える加圧部と、
前記第1の方向と異なる第2の方向において前記管の変形量を検出する検出部と、を備える、
ことを特徴とする測定装置。

【請求項12】
管の現有耐力を評価する評価システムであって、
測定装置と、
情報処理部と、を備え、
前記測定装置は、
第1の方向に前記管の内面に荷重を加える加圧部と、
前記第1の方向と異なる第2の方向において前記管の変形量を検出する検出部と、を備え、
前記情報処理部は、前記荷重と前記変形量の関係に基づいて、前記管の現有耐力を評価する、
ことを特徴とする管の評価システム。

【請求項13】
請求項12に記載の管の評価システムにおいて、
入力部と、
表示部と、を備え、
前記管が土中に埋設された状態で前記管の現有耐力を評価する場合、前記情報処理部は、前記測定装置を介して取得した前記荷重と変形量の関係と、前記入力部を介して設定された前記管の固有情報、性状および埋設条件とに基づいて、前記管の現有耐力を評価し、評価結果を前記表示部に表示する、
ことを特徴とする管の評価システム。

【請求項14】
請求項12または13に記載の管の評価システムにおいて、
前記測定装置は、前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらすための第1の変更手段をさらに備え、
前記情報処理部は、前記第1の変更手段により前記第1の方向と前記第2の方向をずらして取得されたそれぞれの前記荷重と前記変形量との関係に基づいて前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を決定する、
ことを特徴とする管の評価システム。

【請求項15】
請求項14に記載の管の評価システムにおいて、
前記測定装置は、前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらすための第2の変更手段をさらに備え、
前記情報処理部は、前記第2の変更手段により前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらしながら前記第1の変更手段により前記第1の方向と前記第2の方向をずらして取得されたそれぞれの前記荷重と変形量との関係に基づいて、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を決定する、
ことを特徴とする管の評価システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管の現有耐力を評価するための評価方法、この評価方法において用いる測定装置、および、この測定装置を用いた管の評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
農業用パイプラインや下水道パイプラインには、敷設されてから長期間が経過するものが数多く存在する。これらパイプラインは、道路や建築物の下を通ることが多いため、管を掘り起こして新設することが困難である。このため、これらのパイプラインについては、一般に、管が土中に埋設された状態で管の現有耐力が評価され、評価結果に応じた補修や補強が管に施される。特許文献1には、衝撃弾性波試験により管の現有耐力を評価する手法が記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2004-28976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、管の現有耐力は、通常、管が土中に埋設された状態で評価される。しかしながら、上記特許文献1に記載の手法では、管周辺の地盤の影響により、管が土中に埋設された状態では、管の現有耐力を正しく評価することが困難である。このため、従来は、管内の様子を目視により確認して、管の現有耐力を大まかに評価し、補修や補強の工法が決定されていた。したがって、安全性を確保するために、管の補修や補強が過剰に行われ、コストの上昇や施工期間の長期化などの問題が生じていた。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、管の現有耐力を適正に評価することが可能な管の評価方法、この評価方法において用いる測定装置、および、この測定装置を用いた管の評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、管の現有耐力を評価するための評価方法に関する。本態様に係る管の評価方法は、第1の方向において、前記管の内面に荷重を加え、前記第1の方向と異なる第2の方向において、前記管の変形量を検出し、前記荷重と前記変形量の関係に基づいて、前記管の現有耐力を評価する。
【0007】
本態様に係る管の評価方法によれば、管の内面に荷重が加えられ、管の変形量が検出される。この場合、荷重と変形量の関係は、たとえば、周辺地盤による影響等、管の敷設状況を含む状態で取得される。よって、得られた荷重と変形量の関係に基づいて、管の現有耐力を、適正に評価することができる。
【0008】
本態様に係る管の評価方法は、前記管が土中に埋設された状態で前記管の現有耐力を評価する場合、前記荷重と前記変形量の関係と、前記管の固有情報、性状および埋設条件に基づく現有耐力の評価指標とを比較対照することにより、前記管の現有耐力を評価する構成とされ得る。こうすると、評価指標に基づいて、容易且つ適切に管の現有耐力を評価することができる。
【0009】
この場合、前記管の性状は、前記管におけるひび割れの状況を含み、前記埋設条件は、前記管が埋設された深さおよび前記管周囲の土質に関する条件を含み得る。管の変形量は、ひび割れの状況によって変化し、また、管が埋設された深さ(管に係る圧力)や管周辺の土質(管周辺の柔らかさ)によっても変化する。したがって、これらの要素に基づいて評価の指標を構成することにより、管の現有耐力を精度良く評価することができる。
【0010】
本態様に係る管の評価方法において、前記第1の方向と前記第2の方向のなす角は90度であるよう構成され得る。こうすると、荷重を加えたときに、最も変形が生じる部位の変形量を検出することができる。
【0011】
本態様に係る管の評価方法は、前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらして、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を設定する構成とされ得る。こうすると、管の周方向において管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をより適正に評価することができる。
【0012】
この場合、前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらしながら、前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらして、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を設定する構成とされ得る。こうすると、管全体に対して管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をさらに適正に評価することができる。
【0013】
本態様に係る管の評価方法は、実評価の前に、他の管から荷重と変形量の関係を検出し、圧縮試験により前記他の管の現有耐力を評価し、前記他の管における前記荷重と変形量の関係および前記他の管の現有耐力の評価結果に基づいて、管の現有耐力を評価するための指標を設定し、設定した前記指標に基づいて、前記実評価における前記管の現有耐力を評価する構成とされ得る。こうすると、実測に基づいて指標が設定されるため、指標の精度が高められる。これにより、実評価における現有耐力の評価精度を高めることができる。
【0014】
本発明の第2の態様は、管の内面に設置される測定装置に関する。本態様に係る測定装置は、第1の方向に前記管の内面に荷重を加える加圧部と、前記第1の方向と異なる第2の方向において前記管の変形量を検出する検出部と、を備える。
【0015】
本態様に係る測定装置によれば、測定装置を既設管の内面に設置することで、この管の荷重と変形量の関係を容易に取得することができる。
【0016】
本発明の第3の態様は、管の現有耐力を評価する評価システムに関する。本態様に係る管の評価システムは、上記第2の態様に係る測定装置と、情報処理部と、を備える。ここで、前記情報処理部は、前記荷重と前記変形量の関係に基づいて、前記管の現有耐力を評価する。
【0017】
本態様に係る管の評価システムによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。また、現有耐力の評価が自動的に行われるため、作業者の負担が軽減される。
【0018】
本態様に係る管の評価システムは、入力部と、表示部と、を備える構成とされ得る。ここで、前記管が土中に埋設された状態で前記管の現有耐力を評価する場合、前記情報処理部は、前記測定装置を介して取得した前記荷重と変形量の関係と、前記入力部を介して設定された前記管の固有情報、性状および埋設条件とに基づいて、前記管の現有耐力を評価し、評価結果を前記表示部に表示する構成とされ得る。こうすると、表示部に評価結果が表示されるため、作業者は、容易に評価結果を知ることができる。
【0019】
本態様に係る管の評価システムにおいて、前記測定装置は、前記管の周方向に前記第1の方向と前記第2の方向をずらすための第1の変更手段をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記情報処理部は、前記第1の変更手段により前記第1の方向と前記第2の方向をずらして取得されたそれぞれの前記荷重と前記変形量との関係に基づいて前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を決定する構成とされ得る。こうすると、管の周方向において複数の評価結果を自動的に取得することができるため、作業者の負担が軽減される。また、管の周方向において管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をより適正に評価することができる。
【0020】
この場合、前記測定装置は、前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらすための第2の変更手段をさらに備える構成とされ得る。ここで、前記情報処理部は、前記第2の変更手段により前記管の長手方向に前記荷重の印加位置と前記変形量の検出位置をずらしながら前記第1の変更手段により前記第1の方向と前記第2の方向をずらして取得されたそれぞれの前記荷重と変形量との関係に基づいて、前記管の現有耐力の評価結果を複数取得し、取得した複数の前記評価結果のうち最も現有耐力の評価が低い評価結果に基づいて、前記管の現有耐力を決定する構成とされ得る。こうすると、管の周方向のみならず長手方向においても複数の評価結果を自動的に取得することができるため、作業者の負担が軽減される。また、管全体に対して管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をさらに適正に評価することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上のとおり本発明によれば、管の現有耐力を適正に評価することができる。
【0022】
本発明の特徴は、以下に示す実施の形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下の実施の形態は、あくまでも、本発明の一つの実施形態であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以下の実施の形態に記載されたものに制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態に係る既設管の現有耐力を評価するまでの流れを示す図、および、既設管から荷重と変形量の関係を取得するための構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態に係る内圧載荷装置の構成を示す図である。
【図3】実施の形態に係る現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係る実測により現有耐力の指標を作成する手順を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態に係る荷重と変形量の関係と、現有耐力のレベルとが取得されることを概念的に示す図、および、設計情報とひび割れ情報とに対応付けて、現有耐力の指標が作成されることを概念的に示す図である。
【図6】実施の形態に係る内圧載荷システムの構成を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態に係る内圧載荷システムを用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。
【図8】変更例1および2に係る内圧載荷装置の構成を示す模式図である。
【図9】変更例1に係る内圧載荷システムを用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。
【図10】変更例2に係る内圧載荷システムを用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11(a)は、変更例3に係る健全なPVC管ついて、管を径方向に1mm縮めるために必要な荷重と管の端部からの距離との関係を測定した測定結果を示すグラフである。図11(b)は、図11(a)のグラフに近似直線を付記した図である。
【図12】図12(a)は、変更例3に係る管を連結した場合の各管の最大荷重の変化を示す図である。図12(b)は、図12(a)にように管を連結した場合に1つの管にひび割れが生じた場合の各管の最大荷重の変化を示す図である。
【図13】図13(a)は、変更例4に係る内側面にひび割れが生じたコンクリート管と健全なコンクリート管について荷重と変形量の関係を測定した測定結果である。図13(b)は、変更例4に係るひび割れが生じたコンクリート管について周方向の異なる位置に荷重した場合の荷重と変形量の関係を測定した測定結果である。
【図14】図14(a)は、変更例4に係る外側面にひび割れが生じたコンクリート管と健全なコンクリート管について荷重と変形量の関係を測定した測定結果である。図14(b)は、変更例4に係るひび割れが生じたコンクリート管に載荷と除荷を行って荷重と変形量の関係を測定した測定結果である。

【0024】
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、この発明の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
1.現有耐力の評価方法
まず、土中に埋設されている管(既設管)に対する現有耐力の評価方法について説明する。

【0026】
ここで、現有耐力とは、管に残存する耐力のことであり、管がどの程度荷重に耐え得るかを表すものである。現有耐力が高いほど、管が潰れずに耐え得る限界荷重が高い。

【0027】
図1(a)は、既設管の現有耐力を評価するまでの流れを示す図であり、図1(b)は、既設管から荷重と変形量の関係を取得するための構成を示す模式図である。現有耐力の評価は、評価対象となる管が土中に埋設された状態のままで行われる。

【0028】
図1(a)を参照して、本実施の形態に係る評価方法(内圧載荷法)では、既設管の内側に一方向の荷重が付加され、このときの管の変形量に基づいて、当該既設管の現有耐力が評価される。現有耐力の評価にあたっては、予め、現有耐力を評価するための指標が準備される。この指標は、管の設計情報と管の性状を示すひび割れ情報の組合せ毎に準備される。

【0029】
ここで、設計情報は、設計図書に含まれる事項であり、管の固有情報と、地表面から管までの深さと、管が埋められている土質の情報と、からなる。管の固有情報は、管の種類(たとえば、鉄筋コンクリート管、塩化ビニル管、強化プラスチック複合管、ダクタイル鋳鉄管など)と、管の内径と、管の外径などを含む。土質の情報は、土の単位体積重量と、土の内部摩擦角と、支持角と、基礎材の反力係数などを含む。ひび割れ情報は、ひび割れ位置(上、下、左右など)と、ひびの本数などを含む。

【0030】
管の内側に荷重を付与して管を一方向に押し広げると、管は、この方向に交差する方向に縮む。このときの変形量は、管の現有耐力、すなわち、管に残存する耐力によって異なる。また、この変形量は、管自身が固有に持つ特性(固有情報)や、管の性状(ひび割れの状況)および管を取り巻く環境(管が埋設されている深さ、管周囲の土質)によっても変化する。管が埋設されている深さが深いほど管に掛かる圧力が高いため、管は変形しにくい。また、管周囲の土質が硬いほど管は変形しにくくなる。これらの事項を考慮して、管の現有耐力を評価するための指標が、管の設計情報と、管の性状を示すひび割れ情報の組合せ毎に準備される。

【0031】
各指標には、管の内側に掛けられる荷重と管の変形量を2軸とするグラフと、このグラフ上に設定された現有耐力のレベル1~4にそれぞれ対応した領域A1~A4が含まれる。ここで、レベル1~4は、この順に、現有耐力の高さを表す。レベル1は、現有耐力が最も低く、レベル4は現有耐力が最も高い。レベル1は、管が修復不能である状態を示す。レベル2は、たとえば管路更生工法の場合、自立管により補修や補強が必要となる状態を示す。レベル3は、たとえば管路更生工法の場合、二層構造管または複合管により補修や補強が必要となる状態を示す。レベル4は、管が継続して使用されても問題ない状態を示す。

【0032】
これらの指標は、設計情報とひび割れ情報をパラメータとする理論上のシミュレーション(解析ソフトウェアを用いた演算処理)によって作成される。あるいは、管を掘り起こして新たな管が敷設されるような場合に、既設の管を実測することによって指標が作成され、シミュレーションにより作成された指標と置き換えられる。実測により指標を作成する方法については、追って図4を参照して説明する。

【0033】
現有耐力の評価では、評価対象の管に対して荷重と変形量の関係が取得され、取得された荷重と変形量との関係に対応するプロットが、当該管の設計情報とひび割れ情報に対応する指標のグラフ上のどの領域(領域A1~A4)に含まれるかによって、現有耐力レベルが取得される。

【0034】
管の変形量は、図1(b)に示す構成によって取得される。図1(b)に示すように、評価対象の管10が土中に埋設された状態で、管10の内部に、荷重と変形量の関係を取得するための測定装置(以下、「内圧載荷装置」という)が設置される。図1(b)には、便宜上、互いに直交するXYZ座標軸が示されている。X軸方向は、管10の長手方向を示しており、Z軸正方向は、鉛直方向かつ上向きを示している。

【0035】
内圧載荷装置100は、荷重計110と、2つの変位計120と、回転部130を備える。荷重計110は、ケーブル110aを介して荷重計測ユニット200に接続され、変位計120は、ケーブル120aを介して変位計測ユニット300に接続される。内圧載荷装置100は、ジャッキと同様の構成を備え、回転部130は、ジャッキの動力入力部となっている。回転部130が回転すると、内圧載荷装置100が上下方向に伸縮する。

【0036】
図2は、内圧載荷装置100の構成を示す図である。図2に示すX、Y、Z軸は、それぞれ、図1(b)に示すX、Y、Z軸に対応するものである。

【0037】
内圧載荷装置100は、上述した荷重計110と、変位計120と、回転部130に加えて、フレーム部材141~144と、支持部材151~154と、接地部材161、162と、長ネジ171と、2本の棒172と、支持体180を備える。

【0038】
フレーム部材141、142と、フレーム部材142、143と、フレーム部材143、144と、フレーム部材144、141は、それぞれ、支持部材151~154により回動可能に接合されている。これにより、フレーム部材141~144からなる構成の輪郭はひし形となり、内圧載荷装置100はZ軸方向に伸縮可能となる。

【0039】
荷重計110は、支持部材154の上面に設置されており、荷重計110の上部には接地部材161が設置されている。荷重計110は、接地部材161がZ軸負方向に押し込まれることにより荷重を検知する。また、支持部材152の下面には接地部材162が設置されている。接地部材161の上面から支持部材154の上面までの距離と、接地部材162の下面から支持部材152の下面までの距離は、互いに等しい。

【0040】
長ネジ171にはネジ溝が形成されており、長ネジ171のX軸負側の端部は、支持部材151、153のY-Z平面に平行な面に形成されたネジ孔(図示せず)により支持されている。支持部材151、153に形成されたネジ孔の内面には、互いに逆方向のネジ溝が刻まれている。このとき、長ネジ171の位置は、Y軸方向に見ると、フレーム部材141~144によって形成されるひし形のX軸方向の対角線と一致する。長ネジ171のX軸負側の端部は、支持部材151のX軸負側の側面から突出しており、回転部130は、この突出部分に固定されている。回転部130がレンチ20(図1(b)参照)によりX軸を中心として回転させられると、長ネジ171がX軸を中心として回転し、支持部材151と支持部材153の距離が変化させられる。これにより、フレーム部材141~144によって形成されるひし形の構成がZ軸方向に伸縮し、内圧載荷装置100がZ軸方向に伸縮する。

【0041】
Y軸正側の棒172の端部は、支持部材151、153のY軸正側の側面に固定されており、Y軸負側の棒172の端部は、支持部材151、153のY軸負側の端部に固定されている。このとき、2つの棒172は、X軸方向に平行となっている。

【0042】
支持体180は、Y軸方向に伸びた支持部材181と、支持部材181の下面に設置された2つの摺動部182と、支持部材181の上面に設置された固定具183と、支持部材181のX軸負側の側面に設置された4つの固定具184を備える。摺動部182にはX軸方向に貫通する孔が形成されており、この孔には棒172が通される。これにより、支持体180は、2つの棒172に対してX軸方向に摺動可能となる。固定具183は、支持部材181の上面と、支持部材154のY軸負側の側面とを接続している。これにより、Z軸方向に見ると、支持部材181の支持部材154に対する位置は、常に一定となる。

【0043】
Y軸正側の変位計120は、Y軸正側の端部に変位部121を備えており、Y軸負側の変位計120は、Y軸負側の端部に変位部121を備えている。2つの変位計120は、それぞれ、2つの固定具184により支持部材181に固定されている。このとき、2つの変位部121の位置は、Y軸方向に見ると、フレーム部材141~144によって形成されるひし形の対角線の交点と一致する。また、2つの変位部121は、Z軸方向に見ると、長ネジ171に対して互いに対称な位置となる。変位計120は、変位部121が内圧載荷装置100の中心方向に押し込まれると、押し込まれた変形量を検知する。

【0044】
上記のように内圧載荷装置100が構成され、図1(b)に示すように設置されると、2つの変位部121のZ軸方向における位置は、管の中心位置と同じになる。また、2つの変位部121のX軸方向における位置は、荷重がかけられる管の内面と同じになる。よって、荷重による管の変形を精度良く計測することが可能となる。

【0045】
図3は、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。

【0046】
作業者は、設計図書を参照して、評価対象の管についての設計情報を取得し(S101)、評価対象の管を内側から目視して、管のひび割れ情報を取得する(S102)。続いて、作業者は、取得した設計情報とひび割れ情報から、現有耐力の評価に用いる現有耐力の指標を選定する(S103)。現有耐力の指標は、設計情報とひび割れ情報との組合せによって分類されている。作業者は、評価対象の管の設計情報とひび割れ情報に最も適する指標を、当該管の評価に用いる指標として選定する。

【0047】
なお、敷設の際にどの管を敷設するかは、主に流量と水圧に基づいて決められることから、設計情報には、管の固有情報に替えて「流量と水圧」が含められても良い。

【0048】
次に、作業者は、図1(b)を参照して説明したように、荷重を加える方向が鉛直方向となるよう内圧載荷装置100を設置して(S104)、評価対象の管から荷重と変形量の関係を取得する(S105)。なお、変形量は、2つの変位部121から得られる値の和としても良く、1つの変位部121から得られる値としても良い。1つの変位部121から得られる値を変形量とする場合、他方の変位部121は、たとえば、内圧載荷装置100が適正に管に設置されているかを判定する際に用いられる。

【0049】
S105では、荷重を変化させて複数の変形量が取得される。図1(b)に示すように、作業者は、レンチ20で回転部130を回転させて、内圧載荷装置100を上下方向に伸ばして、管10の内面に上下方向の荷重を付与し、管10の上下方向の幅を広げる。作業者は、荷重計測ユニット200の表示部201を参照して、内圧載荷装置100によって管10の内側から上下方向に加えられた荷重を取得し、変位計測ユニット300の表示部301を参照して、管10の水平方向の変形量を取得する。さらに、作業者は、荷重が徐々に大きくなるようにレンチ20を回転し、複数の異なる荷重において、それぞれ変形量を取得する。

【0050】
続いて、作業者は、取得した荷重と変形量の関係を、S103で取得した現有耐力の指標のグラフ上にプロットし(S106)、プロットした点に基づいて管の現有耐力のレベルを取得する(S107)。

【0051】
プロットが複数の領域に含まれる場合、プロットを最も多く含む領域のレベルが、現有耐力レベルとして取得される。プロットを最も多く含む領域が複数存在する場合、たとえば、2つの領域に同じ数のプロットが含まれる場合、これらの領域のレベルのうち最も低いレベルが現有耐力レベルとして取得される。なお、現有耐力レベルは、他の方法により取得されても良い。たとえば、プロットを線で結び、この線と所定の荷重を示す横軸に平行な直線との交点がどの領域に含まれるかによって、現有耐力レベルが取得されても良い。

【0052】
次に、作業者は、内圧載荷装置100をX軸周りに所定の角度ずつ回転させて、S104~S107の作業を繰り返し行う。作業者は、全ての角度における現有耐力のレベルを取得すると(S108:YES)、取得した複数の角度における現有耐力のレベルのうち、最も低い現有耐力のレベルを、この管の現有耐力のレベルとする(S109)。こうして、管の現有耐力の評価が終了する。

【0053】
なお、S109では、取得された現有耐力のレベルのうち、最も低いレベルが管の現有耐力のレベルとされたが、これに限らず、最も低い現有耐力のレベルが1つだけ生じたような場合には、評価対象の管の重要度(たとえば、この管が住宅地内に埋設されているか、農地に埋設されているか、等)に応じて現有耐力のレベルが決定されるようにしても良い。

【0054】
図4は、実測により現有耐力の指標を作成する手順を示すフローチャートである。この手順による指標の作成は、管を掘り起こして新たな管が敷設されるような場合に、既設の管を実測することによって行われる。

【0055】
作業者は、設計図書を参照して、対象となる既設管についての設計情報を取得し(S201)、掘り起こされる前の既設管を内側から目視して、管のひび割れ情報を取得する(S202)。続いて、作業者は、掘り起こされる前の既設管に対して、図1(b)を参照して説明したように、荷重を加える方向が鉛直方向となるよう内圧載荷装置100を設置して(S203)、この管から荷重と変形量の関係を取得する(S204)。続いて、作業者は、この管を土中から取り出して圧縮試験を行って、管が破壊される荷重を測定し、この測定値に基づいて、この管の現有耐力のレベルをレベル1~4の何れかに分類する(S205)。このように、管を土中から取り出して実際に圧縮試験を行うと、この管の現有耐力のレベルを精度良く把握することができる。

【0056】
次に、作業者は、S201~S205の手順を、設計情報とひび割れ情報とが一致する他の管についても行う。これにより、図5(a)に示すように、設計情報とひび割れ情報とが同じである複数の管について、荷重と変形量の関係と、現有耐力のレベルとが取得される。

【0057】
次に、設計情報とひび割れ情報とが一致する管について、荷重と変形量の関係と、現有耐力のレベルとが、十分に取得されると(S206:YES)、作業者は、これら複数の既設管ごとに取得した荷重と変形量の関係を、荷重と変形量を2軸とするグラフ上にプロットする(S207)。続いて、作業者は、作成したグラフにおいて、現有耐力のレベルが1~4であるプロットの分布領域を、それぞれ領域A1~A4に設定する(S208)。領域A1~A4は、たとえば、レベル1~4のプロットがそれぞれ分布する領域に境界を設定することにより得られる。こうして、図5(b)に示すように、設計情報とひび割れ情報とに対応付けて、現有耐力の指標が作成される。なお、設計情報とひび割れ情報とが異なる他の現有耐力の指標は、設計情報とひび割れ情報とが異なる他の既設管に対して、図4に示す処理が行われることにより取得できる。

【0058】
なお、図1(a)と図5(b)では、現有耐力の指標に含まれるグラフ上の境界は、直線として示されているが、設計情報とひび割れ情報によっては、必ずしも直線にならないこともある。また、グラフ上に設定される領域は4つに分かれているが、分割数は、必ずしも4つである必要はなく、補修や補強の程度に応じて適宜変更しても良い。また、補修や補強を確実に行いたい場合には、上記のようにして現有耐力の指標が作成された後、各領域の境界を高レベル側、すなわち現有耐力が高い方に所定幅だけずらしても良い。こうすると、現有耐力が低く評価されやすくなるため、補修や補強がさらに確実に行われるようになる。

【0059】
図4に示す手順で現有耐力の指標を作成するには、多数の既設管に対する実測および圧縮試験が必要となる。したがって、全ての設計情報とひび割れ情報の組合せについて、実測により現有耐力の指標を作成することは困難である。このため、現有耐力の指標は、当初は解析ソフトウェアを用いたシミュレーションにより作成して準備しておき、その後、敷設が頻出する設計情報について、随時、実測により指標を作成して、シミュレーションによる指標と置き換えるようにすると良い。

【0060】
上記現有耐力の評価方法によれば、評価対象の管が土中に埋設された状態で、内圧載荷装置100により、管の内面に荷重が加えられ、管の内面の変形量が検出される。この場合、荷重と変形量の関係は、周辺地盤による影響を含む状態で取得される。よって、得られた荷重と変形量の関係に基づいて、管が土中に埋設された状態において、管の現有耐力を適正に評価することができる。また、必要な補修や補強だけを行うことができるようになるため、補修や補強が過剰に行われることが抑制され、コストの上昇や施工期間の長期化が抑制される。

【0061】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、設計情報とひび割れ情報に基づいて現有耐力の指標が選定される。そして、選定された現有耐力の指標と、取得した荷重と変形量の関係に基づいて、既設管の現有耐力の評価が行われる。これにより、容易且つ適切に管の現有耐力を評価することができる。

【0062】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、管の性状を示すものとして、管のひび割れ情報が用いられ、埋設条件として、管が埋設された深さおよび管周囲の土質が用いられる。管の変形量は、ひび割れの情報によって変化し、また、管が埋設された深さ(管にかかる圧力)や管周辺の土質(管周辺の柔らかさ)によっても変化する。したがって、これらの要素に基づいて評価の指標を構成することにより、管の現有耐力を精度良く評価することができる。

【0063】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、管の内側に荷重を加える方向と、変位計120により管の変形を検出する方向とのなす角は、90度である。これにより、荷重を加えたときに、最も変形が生じる部位の変形量を検出することができる。

【0064】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、内圧載荷装置100を周方向に回転させて複数の角度における現有耐力のレベルを取得し、最も低い現有耐力のレベルが、この管の現有耐力のレベルとされる。これにより、管の周方向において管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をより適正に評価することができる。

【0065】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、内圧載荷装置100を既設管の内部に設置し、レンチ20を回すだけで荷重と変形量の関係を取得することができる。これにより、評価対象の管が埋設されている現場に大がかりな装置を用意する必要なく、内圧載荷装置100を用いて図1(a)に示す手順を行うといった簡素な作業で、現有耐力の評価を行うことができる。

【0066】
また、上記現有耐力の評価方法によれば、実評価の前に、土中に埋設された状態で他の管から荷重と変形量の関係を検出し、圧縮試験により他の管の現有耐力を評価し、他の管の荷重と変形量の関係および他の管の現有耐力の評価結果に基づいて、現有耐力の指標が作成される。こうすると、実測に基づいて指標が設定されるため、指標の精度が高められる。これにより、実評価における現有耐力の評価精度を高めることができる。

【0067】
2.内圧載荷システム
上述した手順により既設管の現有耐力を評価する場合、作業者は、設計情報とひび割れ情報に基づいて、評価に用いる現有耐力の指標を選定し、荷重と変形量をグラフ上にプロットして、現有耐力のレベルを判定する必要がある。このような作業は、作業者によって行われるのではなく、自動で行われることが望ましい。以下、既設管の現有耐力を自動で評価することのできる内圧載荷システムについて説明する。

【0068】
図6は、内圧載荷システム1の構成を模式的に示す図である。

【0069】
内圧載荷システム1は、内圧載荷装置100と、情報処理装置400と、ドライバ500と、を備える。図6に示す内圧載荷装置100は、図1(b)に示す内圧載荷装置100と比較して、モータ190が追加されている。モータ190は、ケーブル190aを介してドライバ500に接続されており、ドライバ500から駆動電流が供給される。荷重計110と変位計120は、それぞれ、ケーブル110a、120aを介してドライバ500に接続されており、ドライバ500により荷重と変位が検出される。

【0070】
情報処理装置400は、パーソナルコンピュータ等であり、制御部410と、表示部420と、入力部430と、記憶部440と、通信部450と、を備える。制御部410は、情報処理装置400の各部を制御し、記憶部440に記憶されたコンピュータプログラムに基づいて演算等の処理を行う。記憶部440には、設計情報とひび割れ情報により分類されて複数の現有耐力の指標が記憶されている。また、制御部410は、通信部450を介して、ドライバ500との間で信号の送受信を行う。表示部420は、ディスプレイからなり、入力部430は、キーボードやマウスからなる。なお、表示部420と入力部430は、タッチパネル式のディスプレイ等により一体的に構成されても良い。

【0071】
図7は、内圧載荷システム1を用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。

【0072】
作業者は、まず、内圧載荷装置100を、評価対象となる既設管に設置し、入力部430を介して設計情報とひび割れ情報を入力する。設計情報とひび割れ情報が入力されると(S301:YES)、制御部410は、記憶部440に予め記憶されている複数の現有耐力の指標から、入力された設計情報とひび割れ情報に対応する現有耐力の指標を選定する(S302)。

【0073】
続いて、制御部410は、モータ190を駆動し、回転部130を回転させることにより管10の内部に荷重をかける。このとき、制御部410は、設計情報に基づいて、管の内部に適切な荷重が加えられるようにモータ190を駆動する。また、制御部410は、荷重計110と変位計120からの信号を受信する。そして、制御部410は、荷重が徐々に大きくなるようにモータ190を駆動しながら、複数の異なる荷重における変形量を取得し、荷重と変形量の関係を取得する(S303)。続いて、制御部410は、S302で選定した現有耐力の指標と、S303で取得した荷重と変形量の関係から、管の現有耐力のレベルを取得する(S304)。

【0074】
次に、制御部410は、荷重計110の荷重が0となるようにモータ190を駆動し、作業者の入力を待つ。作業者は、内圧載荷装置100の設置角度を変えて、入力部430を介して再計測の指示を入力する。再計測の指示が入力されると(S305:YES)、制御部410は、S303、S304の処理を再度行う。こうして必要な全ての角度について荷重と変形量の関係が取得されると、作業者は、入力部430を介して終了指示を入力する。終了指示が入力されると(S306:YES)、制御部410は、S304で得られた複数の現有耐力のレベルのうち、最も低いレベルを、この管の現有耐力のレベルとする(S307)。そして、制御部410は、表示部420に、この管の現有耐力のレベルを表示する(S308)。こうして、評価対象となる管の現有耐力の評価が終了する。

【0075】
以上、上記内圧載荷システム1によれば、現有耐力の評価が自動的に行われるため、図3に示す手順に比べて、作業者の負担が軽減される。また、表示部420に評価結果が表示されるため、作業者は、容易に評価結果を知ることができる。

【0076】
なお、図6に示す内圧載荷システム1において、内圧載荷装置100にモータ190が設けられなくても良い。この場合、図1(b)に示すように、作業者がレンチ20を用いて内圧載荷装置100の伸縮を行う必要がある。しかしながら、設計情報とひび割れ情報に基づいて現有耐力の指標を選定する必要がなく、現有耐力の評価が自動で行われるため、図3に示す手順に比べて、作業者の負担は小さくなる。

【0077】
<変更例1>
上記内圧載荷システム1では、作業者が、内圧載荷装置100の設置角度を変更する必要があったが、以下に示すように、内圧載荷装置100が自動的に回転するようにしても良い。

【0078】
図8(a)は、本変更例の内圧載荷装置100の構成を示す模式図である。図8(a)に示す内圧載荷装置100は、図6に示す内圧載荷装置100と比較して、モータ610と、4つの伸縮部620が追加されている。図8(a)では、便宜上、2つの伸縮部620のみが示されており、荷重計110のケーブル110aと、変位計120のケーブル120aの図示が、省略されている。

【0079】
モータ610の回転軸は、支持部材153のY-Z平面に平行な側面に、固定具611を介して設置されている。このとき、モータ610の回転軸の位置は、X軸方向に見ると、長ネジ171の位置と一致する。モータ610は、ケーブル(図示せず)を介してドライバ500(図6参照)に接続されており、ドライバ500から駆動電流が供給される。伸縮部620の一端は、モータ610の側面に設置されており、4つの伸縮部620は、モータ610から管10の内面に向けて放射状に伸びている。伸縮部620は、ケーブル(図示せず)を介してドライバ500に接続されており、ドライバ500から駆動電流が供給される。伸縮部620は、伸縮することにより、伸縮部620が管10の内面に設置した状態と、管10の内面に設置していない状態とに切り替えられる。

【0080】
図9は、本変更例の内圧載荷システム1を用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。図9に示す処理は、図7と比較して、S305、S306が省略され、S302の直後にS401が追加され、S304の直後にS402、S403が追加されている。以下、変更部分についてのみ説明する。

【0081】
制御部410は、現有耐力の指標を選定すると(S302)、伸縮部620を伸ばして(S401)、図8(a)に示すように、内圧載荷装置100を管10の内面に対して固定させる。そして、制御部410は、現有耐力のレベルを取得すると(S304)、全ての角度における現有耐力のレベルを取得したかを判定する(S402)。全ての角度における現有耐力のレベルが取得されていないと(S402:NO)、制御部410は、荷重計110の荷重が0となるようにモータ190を駆動して、内圧載荷装置100が管10の内部においてX軸を中心として回転可能な状態にする。その後、制御部410は、モータ610の軸を所定量だけ回転させる。これにより、内圧載荷装置100が、管10の内部においてX軸を中心として回転する(S403)。なお、モータ610の回転量は、たとえばモータ610に印加される駆動電流の時間により制御される。

【0082】
その後、全ての角度における現有耐力のレベルが取得されると(S402:YES)、制御部410は、S304で得られた現有耐力のレベルのうち、最も低いレベルを、この管の現有耐力のレベルとする(S307)。このように、本変更例によれば、管の周方向において複数の評価結果を自動的に取得することができるため、作業者の負担が軽減される。また、管の周方向において管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をより適正に評価することができる。

【0083】
<変更例2>
上記内圧載荷システムの変更例1において、さらに、内圧載荷装置100が、管10の長手方向(X軸方向)に自動的に移動するようにしても良い。

【0084】
図8(b)は、本変更例の内圧載荷装置100の構成を示す模式図である。図8(b)に示す内圧載荷装置100は、図8(a)に示す内圧載荷装置100と比較して、台車710とモータ720が追加されている。

【0085】
台車710は、板部材711と、タイヤ713と、タイヤ713を支持する軸712と、固定具714と、を備えている。モータ720の回転軸は、ギア(図示せず)を介して軸712に設置されている。モータ720は、ケーブル(図示せず)を介してドライバ500(図6参照)に接続されており、ドライバ500から駆動電流が供給される。モータ720が駆動されると、軸712が回転し、台車710がX軸方向に移動する。また、モータ720の自己保持力により、軸712の回転が抑止され、台車710のX軸方向に移動が抑止される。固定具714は、台車710の板部材711と、モータ610のX軸正側の側面とを接続している。

【0086】
図10は、本変更例の内圧載荷システム1を用いた場合の、現有耐力の評価の手順を示すフローチャートである。図10に示す処理は、図9と比較して、S307の直前にS501~S503が追加されている。以下、変更部分についてのみ説明する。

【0087】
全ての角度における現有耐力のレベルが取得されると(S402:YES)、制御部410は、X軸方向の全ての位置で現有耐力のレベルが取得されたかを判定する(S501)。X軸方向の全ての位置で現有耐力のレベルが取得されていないと(S501:NO)、制御部410は、荷重計110にかかる荷重を0とした上で、伸縮部620を縮める(S502)。さらに、制御部410は、モータ720の軸を所定量だけ回転させる。これにより、内圧載荷装置100を含めて、図8(b)に示す全ての構成が、管10の内部をX軸方向に移動する(S503)。なお、モータ720の回転量は、たとえばモータ720に印加される駆動電流の時間により制御される。

【0088】
内圧載荷装置100のX軸方向への移動が終わると(S503)、制御部410は、伸縮部620を再び伸ばして(S401)、X軸方向に異なる位置において、再度、内圧載荷装置100の設置角度を変えて複数の現有耐力のレベルを取得する。そして、X軸方向の全ての位置で現有耐力のレベルが取得されるまで、内圧載荷装置100がX軸方向へ移動される。なお、内圧載荷装置100のX軸方向への移動は、たとえば、管のX軸負側の端位置と、管の長手方向(X軸方向)の中心位置と、管のX軸正側の端位置と、に順に位置付けられるように行われる。

【0089】
その後、X軸方向の全ての位置で現有耐力のレベルが取得されると(S501:YES)、制御部410は、S304で得られた現有耐力のレベルのうち、最も低いレベルを、この管の現有耐力のレベルとする(S307)。

【0090】
以上、本変更例によれば、管の周方向だけでなく、管の長手方向においても複数の評価結果を自動的に取得することができるため、作業者の負担が軽減される。また、管全体に対して管の現有耐力が探索されるため、管の現有耐力をさらに適正に評価することができる。

【0091】
<変更例3>
上記実施の形態では、評価対象の管を内側から目視して、管のひび割れ情報が取得された。しかしながら、目視によってひび割れを確認する作業には多大の労力を要し、また、見落しが生じることも想定され得る。さらに、管が土中に埋設されている状況では、管の外側面に生じたひび割れを確認することができない。管の外側に生じたひび割れも、管の現有耐力の評価には大きな要素となり得る。

【0092】
そこで、本変更例では、内圧載荷装置100からの出力値に基づいて、管に生じたひび割れを検出する手法がさらに用いられる。

【0093】
図11(a)は、健全な(無傷の)PVC(ポリ塩化ビニル)管ついて、管を径方向に1mm縮めるために必要な荷重(縦軸)と管の端部からの距離(横軸)との関係を内圧載荷装置100により測定した測定結果を示すグラフである。測定に用いたPVC管は、外径424mm、厚み12mm、内径400mm、長さ2000mmの直管であった。測定は、内圧載荷装置100の接地部材161、162により管の内側に荷重を付与しながら、変位計120により管の縮み量を測定し、縮み量が1mmとなったときの荷重を取得した。測定位置は、管の端部から100mm間隔で変更した。以下、便宜上、管を径方向に1mm縮めるために必要な荷重のことを「最大荷重」と称する。

【0094】
図11(a)に示すように、最大荷重は、管の端部から管の中央に向かうに従って大きくなり、管の端部から約700mmの位置を過ぎると管の中央まで略一定となった。図11(a)のグラフに近似直線を付記すると、図11(b)のようになった。この近似直線は、管の対称性から、管の中央(管の端から1000mmの位置)に対して対称となる。したがって、図12(a)の上段のように管10を複数連結した場合、最大荷重は、図12(a)の下段のように変化すると想定される。

【0095】
この場合、左端の管10が経路の入口に配置されているとすると、たとえば、図12(b)のように経路の入口から3番目の管10にひび割れ10aが生じている場合には、ひび割れ10aに対応する位置おいて、最大荷重が局所的に小さくなり得る。これは、ひび割れ10aによって強度が低下し、管10が変形し易くなるためである。したがって、管10の全長に亘って所定間隔(たとえば100mm間隔)で最大荷重を測定していくことにより、その管10に生じたひび割れを検知することが可能となる。

【0096】
たとえば、最大荷重が略一定である範囲W1に測定位置が含まれている場合、当該測定位置における最大荷重が、その前後の測定位置における最大荷重よりもステップ状に小さい場合に、当該測定位置にひび割れが存在すると判定され得る。この場合、当該測定位置における最大荷重がその前後の測定位置における最大荷重よりも小さく、且つ、当該測定位置における最大荷重と、その前後の測定位置における最大荷重との差が所定の閾値よりも大きい場合に、当該測定位置にひび割れが存在すると判定され得る。

【0097】
また、最大荷重が変化する範囲W2に測定位置が含まれている場合、たとえば、当該測定位置における最大荷重が、その前後の測定位置における最大荷重の平均値よりもステップ状に小さい場合に、当該測定位置にひび割れが存在すると判定され得る。この場合、当該測定位置における最大荷重が、その前後の測定位置における最大荷重の平均値よりも小さく、且つ、当該測定位置における最大荷重と、その前後の測定位置における最大荷重の平均値との差が所定の閾値よりも大きい場合に、当該測定位置にひび割れが存在すると判定され得る。

【0098】
以上の手法により、管10に生じたひび割れを検知することができる。たとえば、図8(b)の自走式の内圧載荷装置100を用いることにより、複数の管10が連結された場合にも、円滑に、各管10のひび割れを検知できる。こうして検知されたひび割れは、上記実施の形態の評価において、ひび割れ情報として参照される。これにより、管10の現有耐力をさらに精度良く評価することができる。

【0099】
なお、図11(a)、(b)には、PVC管に対する測定結果を示したが、鉄筋コンクリート管、強化プラスチック複合管およびダクタイル鋳鉄管などの他の種類の管においても、図11(a)、(b)と同様の特性を示すことが想定され得る。図11(a)、(b)では、管の中央付近の最大荷重が管の端部に比べて大きくなっているが、これは、管の端部は自由端であるため拘束がかかりにくいことによるものと考えられる。よって、測定に用いたPVC管と同様に端部が自由端である他の種類の管においても、図11(a)、(b)と同様の特性が示されるものと想定され得る。

【0100】
なお、上記では、近似直線に基づいてひび割れの有無を検知したが、管の端からの距離と最大荷重との関係は、必ずしも直線で近似されなくても良い。たとえば、管の種類ごとに、固有のカーブによって、管の端からの距離と最大荷重との関係を近似し、この近似カーブから最大荷重が外れる場合に、管にひび割れが生じたと判定しても良い。

【0101】
あるいは、図12(a)に示すように連結された管10のうち、ひび割れのない健全な管10について、管の端からの距離と最大荷重との関係を測定し、この測定結果に基づく特性を、他の管10に対するひび割れの検知に用いても良い。一般に、経路の入口に配された管10には大きな負荷が掛かりにくいため、この管10は、ひび割れのない健全な状態であることが多い。したがって、経路の入口に配された管10について目視でひび割れが無いことが確認された場合には、この管10について、管の端からの距離と最大荷重との関係を測定し、この測定結果に基づく特性を、他の管10に対するひび割れの検知に用いれば良い。この方法によれば、同じ敷設条件のもとで取得された管の端からの距離と最大荷重との関係を用いて各管10のひび割れが検知されるため、各管のひび割れをより精度良く検知することができる。

【0102】
<変更例4>
本変更例では、変更例3とは異なる手法により、管のひび割れが検知される。より詳細には、本変更例では、管に付与する荷重と管の変形量との関係を表す直線の傾きによって、管に生じたひび割れが検知される。

【0103】
本願発明者らは、本変更例に係るひび割れの検出手法を導き出すために、コンクリート管(ヒューム管)に対して種々の測定を行った。測定に用いたコンクリート管は、内径400mm、厚さ36mm、長さ500mmの直管であった。このコンクリート管に長さ100mm程度のひび割れ(キズ)を生じさせ、ひび割れが生じた長さ位置に内圧載荷装置100をセットした。ひび割れが生じた長さ位置は、コンクリート管の端から250mm、すなわち、コンクリート管の中央位置とした。こうしてセットした内圧載荷装置100により、荷重を変化させながら、荷重と変位量との関係を測定した。

【0104】
ひび割れの条件は、以下の表1のとおりとした。以下の条件において、「0°」は内圧載荷装置100により荷重を付与する位置とひび割れの位置とが一致していることを示し、「90°」は内圧載荷装置100により荷重を付与する位置とひび割れの位置とが管の周方向に90°ずれていることを示している。また、「内面」は、ひび割れが管の内側面に生じていることを示し、「外面」は、ひび割れが管の外側面に生じていることを示している。「深さ」は、ひび割れの深さである。条件(1)では、コンクリート管にひび割れがないこと、すなわち、健全なコンクリート管を測定に用いることが条件とされている。条件(10)では、ひび割れがコンクリート管の内部に設けられた鉄筋に到達し、ひび割れから鉄筋が露出している。

【0105】
【表1】
JP2016013508A1_000003t.gif

【0106】
図13(a)は、内側面にひび割れが生じたコンクリート管に対する測定結果である。この場合のひび割れの条件は、表1の条件(1)、(2)、(6)、(10)に対応する。ひび割れの位置は、何れも「0°」、すなわち、荷重位置とひび割れの位置が一致している。図13(a)において、「健全管」は条件(1)を示し、「鉄筋露出」は条件(10)を示している。また、「5mm」と「10mm」は、それぞれ、条件(2)、(6)を示している。

【0107】
図13(a)を参照すると、ひび割れの無い状態とひび割れがある状態の両方において、荷重と変形量の関係がリニアな特性を示すことが分かる。また、ひび割れが深くなるほど、直線の傾きが小さくなることが分かる。図13(a)には、各条件により得られた直線を表す、y(縦軸)とx(横軸)の関数が付記されている。条件(10)では、鉄筋が露出することにより、コンクリート管の変形特性が条件(2)、(6)に比べて大きく変化していることが分かる。ひび割れがコンクリート管を貫通した場合は、さらに大きく変形特性が変化し得る。

【0108】
図13(b)は、ひび割れの条件が表1の条件(2)、(3)である場合の測定結果を示す図である。条件(2)、(3)では、ひび割れの深さが何れも5mmである。また、条件(2)では、荷重位置とひび割れの位置が一致しており、条件(3)では、荷重位置とひび割れの位置が管の周方向に90°ずれている。

【0109】
図13(b)を参照すると、荷重と変形量との関係を示す直線が、条件(2)と条件(3)とで一致することが分かる。このことから、ひび割れの深さが同じであれば、周方向に測定位置が異なっても、略同じ関係直線が得られることが分かる。すなわち、荷重位置および測定位置の管の周方向のずれは、ひび割れの状況を示す関係直線に略影響を与えないことが分かる。

【0110】
図14(a)は、ひび割れの条件が表1の条件(1)、(4)、(8)である場合の測定結果を示す図である。ここでは、条件(4)、(8)を適用して、ひび割れが管の外側面にある場合を評価した。ひび割れの位置は、何れも「0°」、すなわち、荷重位置とひび割れの位置が一致している。図14(a)において、「健全管」は条件(1)を示し、「5mm」と「10mm」は、それぞれ、条件(4)、(8)を示している。

【0111】
図14(a)を参照すると、ひび割れの無い状態とひび割れがある状態の両方において、荷重と変形量の関係がリニアな特性を示すことが分かる。すなわち、ひび割れが管の外側面に存在する場合も、荷重と変形量の関係が直線で近似され得る。また、図14(a)の測定結果から、ひび割れが深くなるほど、直線の傾きが小さくなることが分かる。図14(a)には、各条件により得られた直線を表す、y(縦軸)とx(横軸)の関数が付記されている。

【0112】
以上の測定結果から、ひび割れが管の内側面に生じた場合の他、管の外側面に生じた場合も、荷重と変形量の関係を示す直線の傾きが健全管に比べて小さくなることが分かる。また、荷重の付与位置と変形量の検出位置が管の周方向に変化しても、荷重と変形量の関係を示す直線は略変わらないことが分かる。したがって、内圧載荷装置100により、管の長さ方向の所定の位置で、荷重を変えながら管の変形量を検出し、荷重と変形量の関係を示す直線の傾きを取得することにより、その位置にひび割れが生じているか否かを判定することができる。

【0113】
たとえば、管の種類および敷設条件ごとに、ひび割れが生じた場合の傾きの範囲を予め設定し、実測された荷重と変形量の関係を示す直線の傾きがこの範囲に含まれるか否かによって、ひび割れの有無を判定することができる。この場合、ひび割れの大きさ(長さ、深さ)ごとに、さらに、傾きの範囲を細分化しても良い。これにより、管にひび割れが生じたか否かだけでなく、ひび割れの大きさも判定することができる。あるいは、管の種類および敷設条件ごとに、健全管の傾きを予め設定し、実測された荷重と変形量の関係を示す直線の傾きがこの傾きよりも小さいか否かによって、ひび割れの有無を判定することができる。この場合、たとえば、健全管の傾きに対する実測された傾きの比率によって、ひび割れの大きさを判定することができる。

【0114】
本変更例の手法においても、上記変更例3の場合と同様、たとえば、図8(b)の自走式の内圧載荷装置100を用いることにより、複数の管10が連結された場合にも、円滑に、各管10のひび割れを検知できる。こうして検知されたひび割れは、上記実施の形態の評価において、ひび割れ情報として参照される。これにより、管10の現有耐力をさらに精度良く評価することができる。

【0115】
なお、図13(a)~図14(a)には、コンクリート管に対する測定結果を示したが、PVC管、強化プラスチック複合管およびダクタイル鋳鉄管などの他の種類の管においても、図13(a)および図14(a)と同様の特性を示すことが想定され得る。したがって、他の種類の管についても、内圧載荷装置100によって荷重と変位量の関係を測定することにより、ひび割れの有無を判定することができる。

【0116】
なお、本変更例では、僅か数10μm程度、管を変形させることにより、ひび割れの有無を検知することができる。このため、ひび割れ検知のための荷重の付加によって、管が破損し、あるいは、管に新たな欠損が生じることもない。

【0117】
図14(b)は、ひび割れ条件が深さ20mm、内面90°であるコンクリート管に対して8000N程度まで徐々に載荷した後、徐々に除荷したときのコンクリート管の変位量を内圧載荷装置100によって測定した測定結果である。載荷時と除荷時の変位量の残差は、4μmであった。このように、変形量を最大70μmまで高めても、残差は微小である。したがって、本変更例のように、管を70μm程度まで高めてひび割れの有無を評価したとしても、管の弾性領域に近い塑性領域(弾塑性領域)において評価ができ、管に破損や新たな欠損が生じることはない。

【0118】
なお、本変更例では、荷重と変位量との関係を示す直線の傾きが得られれば良いので、必ずしも、管を70μmまで変形させる荷重を管に付与する必要はない。たとえば、図13(a)および図14(a)に示すコンクリート管の特性では、管に付与する荷重は、変位量が40μm程度となる大きさに留めて、管の破損を極力防止することが望ましい。この点は、他の種類の管についても同様である。

【0119】
<その他の変更例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって制限されるものではなく、本発明の実施形態も、上記以外に種々の変更が可能である。

【0120】
たとえば、上記内圧載荷装置100において、接地部材161、162は、図2に示すような形状とされたが、接地部材161、162のX軸方向の長さが、図2よりも長い形状とされても良い。こうすると、内圧載荷装置100から管の内側に荷重を受ける領域が管の長手方向に延びるため、管をより効果的に押し広げることができ、これに伴い、管の変形量をより適正に検出することができる。また、内圧載荷装置100を管の内部に設置したときに、内圧載荷装置100がX軸方向に傾くことを防止することができるため、より精度良く管の内部に荷重をかけて管の内部の変形量を取得することができる。

【0121】
また、上記内圧載荷装置100に、管の内部を照らすための照明装置と管の内部を撮影するためのカメラが設置されても良い。こうすると、たとえば、管の径が小さく管の内部に入ることが困難な場合等、管の内部を肉眼で見ることが困難な場合でも、ひび割れ情報を円滑に取得することができる。特に、図8(b)の変更例2のように内圧載荷装置100が自走式である場合には、内圧載荷装置100を管の長手方向に進めながらカメラ画像により管の内部を観察することができ、管内部のひび割れ等の管の性状を適切に判別することができる。

【0122】
また、上記内圧載荷装置100に、水平計が設置されても良い。こうすると、作業者は、内圧載荷装置100を管の内部に設置する際に、接地部材161、162の並ぶ方向を、容易に鉛直方向に合わせることができ、2つの変位計120の並ぶ方向を、容易に水平方向に合わせることができる。

【0123】
また、上記実施の形態では、管の性状を示す情報として、ひび割れ情報が用いられたが、ひび割れ情報だけでなく、傷や損傷等の他の情報がさらに用いられても良い。

【0124】
また、上記実施の形態では、接地部材161、162の並び方向と、2つの変位計120の並び方向とが直交するように、内圧載荷装置100が構成されたが、これに限らず、2つの変位計120の並び方向と、接地部材161、162の並び方向のなす角は、90度からずれていても良い。この場合も、荷重が加えられることに対応して管の幅が小さくなる量を、変位計120により検出することができる。

【0125】
また、上記内圧載荷システム1では、現有耐力の指標が選定され、取得された荷重と変形量の関係および現有耐力の指標に基づいて、現有耐力のレベルが取得されたが、これに限らず、演算によって現有耐力のレベルが取得されるようにしても良い。この場合、たとえば、情報処理装置400は、入力された設計情報とひび割れ情報とをパラメータとして、現有耐力の指標を、解析ソフトウェアによるシミュレーション処理により作成する。そして、情報処理装置400は、内圧載荷装置100により得られた荷重と変形量の関係を、作成した指標に当て嵌めることによって、評価対象となる管の現有耐力のレベルを取得する。なお、現有耐力の指標の作成を省略して、入力された設計情報とひび割れ情報と、内圧載荷装置100により得られた荷重と変形量とをパラメータとして、評価対象の管の現有耐力が演算により求められても良い。

【0126】
また、上記内圧載荷システム1では、情報処理装置400は、取得した荷重と変形量に基づいて管の現有耐力のレベルを取得したが、これに限らず、荷重と変形量の取得までを情報処理装置400のみで行い、取得した荷重および変形量と、設計情報およびひび割れ情報とに基づく現有耐力レベルの取得は他の情報処理装置に負担させても良い。この場合、たとえば、作業者は、情報処理装置400によって取得された荷重と変形量を、記憶媒体またはネットワークを介して他の情報処理装置に移動させ、他の情報処理装置において、荷重と変形量に基づいて管の現有耐力のレベルが取得される。

【0127】
また、上記実施の形態では、土中に埋設された状態の管に対して現有耐力の評価が行われたが、本発明は、必ずしも土中に埋設された状態の管のみに適用されるものではない。たとえば、断熱材や塗装等によって被覆された管が高所に敷設された状況にあるような場合にも、適宜、本発明を適用可能である。

【0128】
この他、本発明の実施の形態は、請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0129】
1 … 内圧載荷システム(管の評価システム)
10 … 管
100 … 内圧載荷装置(測定装置)
120 … 変位計(検出部)
141~144 … フレーム部材(加圧部)
171 … 長ネジ(加圧部)
400 … 情報処理装置(情報処理部)
420 … 表示部
430 … 入力部
610 … モータ(第1の変更手段)
620 … 伸縮部(第1の変更手段)
710 … 台車(第2の変更手段)
720 … モータ(第2の変更手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13