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明細書 :タイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成29年4月27日(2017.4.27)
発明の名称または考案の名称 タイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物
国際特許分類 A61K  31/196       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K   8/42        (2006.01)
A61K   8/46        (2006.01)
A61Q  19/00        (2006.01)
FI A61K 31/196
A61P 43/00 111
A61K 8/42
A61K 8/46
A61Q 19/00
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 30
出願番号 特願2016-535943 (P2016-535943)
国際出願番号 PCT/JP2015/070767
国際公開番号 WO2016/013557
国際出願日 平成27年7月22日(2015.7.22)
国際公開日 平成28年1月28日(2016.1.28)
優先権出願番号 2014149613
優先日 平成26年7月23日(2014.7.23)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US
発明者または考案者 【氏名】廣明 秀一
【氏名】天野 剛志
【氏名】中倉 由香子
【氏名】野田 翔太
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査請求 未請求
テーマコード 4C083
4C206
Fターム 4C083AC641
4C083AC642
4C083AC761
4C083AC762
4C083CC02
4C083EE12
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA07
4C206GA33
4C206JA14
4C206KA01
4C206MA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206MA05
4C206NA14
要約 タイトジャンクション形成メカニズムのどの段階の制御であるのか明らかなタイトジャンクション形成制御剤を提供する。
下記式(13)、(14)、(30)、(33-3)及び(34-9)で表される化合物を少なくとも一種含むタイトジャンクション形成制御剤。
【化1】
JP2016013557A1_000016t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(13)、(14)、(30)、(33-3)及び(34-9)で表される化合物を少なくとも一種含むタイトジャンクション形成制御剤。
【化1】
JP2016013557A1_000015t.gif

【請求項2】
前記化合物が、式(13)又は(14)で表される化合物である請求項1に記載のタイトジャンクション形成制御剤。
【請求項3】
前記化合物がクローディンの細胞内への取り込みを防ぐことでタイトジャンクションの形成を制御する請求項1又は2に記載のタイトジャンクション形成制御剤。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のタイトジャンクション形成制御剤を含む医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、タイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物に関するもので、特に、クローディンとLNX1との相互作用を阻害することで、タイトジャンクションの形成を制御する制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体内の恒常性を維持するためには、水分、糖分、イオンなどを体内に封じ込めることが重要である。上皮細胞は外界と内部を隔てる役割を担っている細胞であり、細胞同士をつなぐ細胞接着装置が発達している。いくつか存在する細胞接着装置のうち最も外側に存在するのがタイトジャンクションである。タイトジャンクションは上皮細胞間で膜タンパク質クローディンが強固に相互作用することで形成されており、水やイオンの自由な透過を妨げている。このようなタイトジャンクションの機能は、皮膚の保湿や、脳内への異物混入を防いでいる血液脳関門において特に重要である。したがって、タイトジャンクション形成を制御する物質は、化粧品や医療品開発のターゲットとして注目を浴びている。
【0003】
タイトジャンクション形成の促進剤としては、下記式(1)で表わされる化合物のナトリウム塩及びカリウム塩を配合したタイトジャンクション形成促進剤が知られている(特許文献1参照)。
【0004】
【化1】
JP2016013557A1_000003t.gif

【0005】
また、下記式(2)で表わされる化合物を含む医薬組成物も知られている(特許文献2参照)。
【化2】
JP2016013557A1_000004t.gif

[式中、L、MおよびNは、水素原子、ヒドロキシ、ハロゲン原子、低級アルキル、ヒドロキシ(低級)アルキル、低級アルカノイルオキシまたはオキソであり、ここでLおよびMの少なくとも1つは水素以外の基であり、5員環は少なくとも1つの二重結合を有していてもよく;Aは、-CH、または-CHOH、-COCHOH、-COOHまたはそれらの官能性誘導体であり;Bは、単結合、-CH-CH-、-CH=CH-、-C≡C-、-CH-CH-CH-、-CH=CH-CH-、-CH-CH=CH-、-C≡C-CH-または-CH-C≡C-であり;Zは、
【化3】
JP2016013557A1_000005t.gif
または単結合であり、
ここでRおよびRは、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシまたはヒドロキシ(低級)アルキルであり、RおよびRが同時にヒドロキシおよび低級アルコキシであることはなく;
は、非置換、またはハロゲン、低級アルキル、ヒドロキシ、オキソ、アリールまたは複素環基により置換された、二価の飽和または不飽和の低または中級の脂肪族炭化水素残基であり、脂肪族炭化水素中の少なくとも1つの炭素原子は所望により酸素、窒素または硫黄により置換されており;そして
Raは、非置換、またはハロゲン、オキソ、ヒドロキシ、低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルカノイルオキシ、シクロ(低級)アルキル、シクロ(低級)アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、複素環基または複素環オキシ基により置換された、飽和または不飽和の低または中級の脂肪族炭化水素残基;低級アルコキシ;低級アルカノイルオキシ;シクロ(低級)アルキル;シクロ(低級)アルキルオキシ;アリール;アリールオキシ;複素環基;複素環オキシ基である]。
【0006】
更に、漏出性または損傷を受けたタイトジャンクションの処置および細胞外マトリクスの増強をするため、体液の移動を予防もしくは制限するか、組織もしくは細胞を安定化するか、または汚染を予防することが必要な部位に投与されたときに、それらを達成する、有効量の自己組織化ペプチドを含む処方物であって、該自己組織化ペプチドは、同じペプチド鎖内の、正に帯電した残基の配列および負に帯電した残基の配列;正に帯電した残基の一続きの1つ以上および負に帯電した残基の一続きの1つ以上;およびそれらの組み合わせからなる群から選択される処方物、も知られている(特許文献3参照)。
【0007】
ところで、クローディンは様々な種類が知られており、その発現は細胞・組織において特異性がある。その特異性は、水やイオンの透過性において差をもたらしているため、特異的なクローディンの発現、タイトジャンクションの形成は組織特異的な機能発現においてきわめて重要である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第4684906号公報
【特許文献2】国際公開第2010/137731号
【特許文献3】国際公開第2008/113030号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載されている発明は、クローディンの発現を活性化する化合物の投与によりクローディンの発現量が増加し、その結果、タイトジャンクションの形成を促しているが、組織特異的・細胞特異的なクローディンの発現を制御する技術ではない。また、上記特許文献3に記載されている発明は、損傷を受けた細胞間を強制的に結びつけるペプチドに関する技術で、負傷や外科手術等の緊急時には役立つものの、タイトジャンクション形成を制御するものではない。
【0010】
更に、細胞間の接着は、クローディンとその裏打ちタンパク質ZO-1/2が相互作用することで自動的に行われるが、上記特許文献1~3に記載されている発明は、単に現象を確認しているに過ぎず、細胞のどの位置にクローディンが形成されるのか等の具体的なメカニズムに基づいた技術ではないため、医療応用性に限界があるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされた発明であり、鋭意研究を行ったところ、(a)下記式(13)、(14)、(30)、(33-3)、(34-9)に示す化合物は、クローディンを細胞内へ取り込ませることでタイトジャンクションを消失させるタンパク質であるLNX1と相互作用すること、(b)前記相互作用の結果、LNX1とクローディンとの相互作用が阻害され、クローディンは細胞内へ取り込まれなくなりタイトジャンクションは維持され続けること、を新たに見出し、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明の目的は、タイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、以下に示す、タイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物に関する。
【0014】
(1)下記式(13)、(14)、(30)、(33-3)及び(34-9)で表される化合物を少なくとも一種含むタイトジャンクション形成制御剤。
【化1】
JP2016013557A1_000006t.gif
(2)前記化合物が、式(13)又は(14)で表される化合物である上記(1)に記載のタイトジャンクション形成制御剤。
(3)前記化合物がクローディンの細胞内への取り込みを防ぐことでタイトジャンクションの形成を制御する上記(1)又は(2)に記載のタイトジャンクション形成制御剤。
(4)上記(1)~(3)の何れか一に記載のタイトジャンクション形成制御剤を含む医薬組成物。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタイトジャンクション形成制御剤は、LNX1に特異的に反応することでLNX1とクローディンとが相互作用することを阻害し、その結果、クローディンの細胞内への取り込みが阻害されることでタイトジャンクション形成状態を制御することができる。したがって、タイトジャンクション形成メカニズムのどの段階での制御であるのか明らかであることから、医薬品、化粧品等への応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、細胞接着装置の概要を説明する図である。
【図2】図2は、本発明のタイトジャンクション形成の制御概要を説明する図である。
【図3】図3は、LNX1の構造を示している。
【図4】図4は、実施例1及び比較例1の1H-15N HSQCスペクトルの結果を示す。
【図5】図5は、実施例1及び比較例1から得られた各残基のシグナル変化の大きさを示すグラフである。
【図6】図6は、mLNX1PDZ2の構造のリボンモデルを示す。
【図7】図7は、実施例2及び比較例1の1H-15N HSQCスペクトルの結果を示す。
【図8】図8は、実施例2及び比較例1から得られた各残基のシグナル変化の大きさを示すグラフである。
【図9】図9は、mLNX1PDZ2の構造のリボンモデルを示す。
【図10】図10は、図面代用写真で、(1)は実施例3の〔Western blotting〕により得られた写真、(2)は化合物を添加しなかった〔免疫染色〕により得られた写真である。
【図11】図11は、図面代用写真で、(1)は実施例3で得られた免疫染色の写真、(2)は実施例4で得られた免疫染色の写真、(3)は実施例5で得られた免疫染色の写真、(4)は実施例6で得られた免疫染色の写真、(5)は実施例7で得られた免疫染色の写真、(6)は比較例14で得られた免疫染色の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明のタイトジャンクション形成制御剤及び該制御剤を含む医薬組成物について詳しく説明する。

【0018】
図1は、細胞接着装置の概要を説明する図である。上皮細胞は、隣り合う細胞と相互に接着したシートを形成することで、体の内部と外界の環境が分けられているが、細胞間の接着には、細胞膜に存在する細胞接着装置が重要な役割を果たしている。脊椎動物の上皮には、頂端面から基底面に向かって密着結合(tight junction;TJ)、接着結合(adherens junction; AJ)、デスモソーム、ギャップ結合と呼ばれる細胞接着装置が存在する。それぞれの細胞接着装置は機能が異なっており、タイトジャンクションは上皮層の隣接する細胞同士を密着させ、分子が細胞の間から漏れないように機能している。AJは隣接する細胞のアクチンの束同士、デスモソームは隣接する細胞の中間径フィラメント同士をつなぎ、どちらも上皮細胞同士の結合に関与している。ギャップ結合は細胞間チャネルを形成し、無機イオンや水溶性小分子を通過させる機能を担っている。

【0019】
このうち、最も頂端面に位置するタイトジャンクションは、空間の区画化や恒常性の維持に重要な役割を果たしている。タイトジャンクションは細胞間を通過する物質を大きさや電荷選択的に制御するバリア機能を担っている他、細胞膜上に存在するタンパク質や脂質の拡散を防ぎ、細胞極性を維持するフェンス機能を担っている。このため、タイトジャンクションの機能障害は炎症性腸疾患(IBD)や感染症、がん、血管性浮腫、血行性転移等の様々な疾病を引き起こすと考えられ、タイトジャンクション形成を適切に制御することで、医療に応用することができる。

【0020】
図2は、本発明のタイトジャンクション形成の制御概要を説明する図である。タイトジャンクションの主要構成因子は4回膜貫通型タンパク質クローディン(CLD)である。クローディンは膜裏打ちタンパク質であるZO-1との複合体であるが、生体中では、クローディンを消失させるタンパク質であるLigand of Numb binding protein X-1(LNX1)、及びZO-1の両方が発現している(図2(1))。そして、LNX1よりZO-1の発現が優位になると、消滅するクローディンよりZO-1と複合体を形成するクローディンの方が多くなるため、タイトジャンクションが形成される(図2(2))。逆に、ZO-1よりLNX1の発現が優位になると、ZO-1と複合体を形成するクローディンより消滅するクローディンの方が多くなるため、タイトジャンクションは消滅する(図2(3))。本発明のタイトジャンクション形成制御剤は、LNX1のクローディン認識部位に特異的に結合する低分子化合物を用いることでLNX1とクローディンの相互作用を阻害し、タイトジャンクション形成を制御するものである。

【0021】
本発明のタイトジャンクション形成制御剤に含まれる低分子化合物は、in silicoスクリーニング法を用い、LNX1に結合することでLNX1とクローディンの相互作用を阻害する化合物の候補リストを作成し、各候補化合物の有用性について確認をすることで得られる。化合物の候補リストは、(1)クローディンと相互作用するLNX1の領域を同定し、(2)上記(1)で同定した領域について、単体の立体構造をX線結晶構造解析にて決定し、(3)クローディン由来ペプチドと相互作用する領域の相互作用面を溶液NMR法にて同定し、(4)同定した相互作用面に結合しうる低分子化合物の候補(阻害物質の候補)について、DOCK、AutoDock、GOLD、FlexX等の公知のドッキングソフトウェアを用いて探索する、ことで作成することができる。また、各候補化合物の有用性は、NMR、in vitro、動物実験等、公知の有用性確認実験により確認をすればよい。

【0022】
図3は、LNX1の構造を示している。LNX1は、細胞運命決定とエンドサイトーシスに関わるタンパク質Numbと相互作用するタンパク質として知られている。LNX1は2つのスプライシング変異体p70(分子量約70kDa)とp80(分子量約80kDa)が存在し、共通の構造としてNumb結合領域NPAYモチーフと、タンパク質-タンパク質相互作用モジュールとして機能するPDZドメインを4つ有する。また、LNX1p80のみN末端側にRINGフィンガードメインを持ち、E3活性を有している。本発明においては、LNX1p80のPDZ2ドメインに結合する化合物を探索したが、LNX1p80及びLNX1p70の他のドメインもクローディンと結合することが知られていることから、他のドメインに結合する低分子化合物を探索してもよい。LNX1p80及びLNX1p70のアミノ酸配列は公知であり、UniProt(O70263)等から入手することができる。

【0023】
本発明のタイトジャンクション形成制御剤は、医薬組成物、医薬部外品、化粧品または食品のいずれにも用いることができ、その剤型としては、例えば、散剤、丸剤、錠剤、注射剤、座剤、乳剤、カプセル剤、顆粒剤、液剤(チンキ剤、流エキス剤、酒精剤、懸濁剤、リモナーデ剤等を含む)、化粧水、クリーム、乳液、ゲル剤、エアゾール剤、パック、洗浄剤、浴用剤、ファンデーション、打粉、口紅、軟膏、パップ剤、ペースト剤、プラスター剤、エッセンス、錠菓、飲料等が挙げられる。また、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常の化粧品、医薬部外品、医薬組成物等に用いられる各種成分、例えば油性成分、乳化剤、保湿剤、増粘剤、薬効成分、防腐剤、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料等を適宜配合することができる。更に、本発明のタイトジャンクション形成制御剤は、抗炎症剤、整腸剤、抗菌剤、抗生物質等の公知の医薬品と組み合わせた医薬組成物として用いることもできる。例えば、O157等の毒素を産出する大腸菌の抗菌剤にタイトジャンクション形成制御剤を添加すると、タイトジャンクションを強化することで産出した毒素の吸収を抑えながら、大腸菌を死滅させることができる。

【0024】
油性成分としては、例えば流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン、ホホバ油、ミツロウ、カルナウバロウ、ラノリン、オリーブ油、ヤシ油、高級アルコール、脂肪酸、高級アルコールと脂肪酸のエステル、シリコーン油等が挙げられる。乳化剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の非イオン界面活性剤、ステアロイル乳酸ナトリウム等のアニオン界面活性剤、大豆リン脂質等の両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム等のカチオン界面活性剤が挙げられる。保湿剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコールなどが挙げられる。増粘剤としては、例えばカルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、ベントナイト等の粘土鉱物等が挙げられる。薬効成分としては、例えば各種ビタミンおよびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、各種動植物抽出物等が挙げられる。

【0025】
本発明のタイトジャンクション形成制御剤中に配合される化合物の量は、剤型や期待する効果の程度により異なるが、通常0.001質量%以上、好ましくは0.1~50質量%程度配合するのがよい。0.001質量%未満では十分な効果が得られにくく、50%を超えて配合した場合、効果の増強は認められにくく不経済である。また、化合物は単独又は組み合わせて用いてもよい。

【0026】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0027】
[候補化合物リストの作成]
Protein Data Bank(PDB)からmLNX1p80のPDZ2ドメインのPDBファイル(PDB ID:3VQF)、化合物のデータベースZINC(http:www.zinc.docking.org)およびLigandBox(http:www.ligandbox.protein.osaka-u.ac.jp/ligandbox/)からリガンドファイル(MOL2ファイル)を入手した。タンパク質-リガンド・ドッキングソフトウェアGOLD Suiteに付属する分子ビューワーHermesを立ち上げ、GOLDのWizardを選択し、Load Proteinボタンで目的タンパク質のPDBファイルを開き、その後は、マニュアルにしたがって、操作をした。なお、mLNX1PDZ2とドッキングする化合物の検索は、入手したリガンドファイルからランダムに抽出したZINC由来の化合物約24万件、およびLigandBox由来の化合物約24万件から行った。以下に、候補化合物リストを記載する。なお、式(4)~(32)、式(33-1)~(33-11)、式(34-1)~(34-14)、式(35-1)~(35-2)、式(36-1)~(36-2)で表す化合物はナミキ商事株式会社から購入することができる。
【化4】
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【化5】
JP2016013557A1_000008t.gif
【化6】
JP2016013557A1_000009t.gif
【化7】
JP2016013557A1_000010t.gif
【化8】
JP2016013557A1_000011t.gif
【化9】
JP2016013557A1_000012t.gif

【化10】
JP2016013557A1_000013t.gif
【化11】
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【実施例】
【0028】
15N標識したマウス(m)LNX1PDZ2の培養・精製]
GE Healthcare社から購入したpGEX-6P-3プラスミドから作製したpGEX-6P3-Pプラスミド(天野剛志 他,“高効率かつ高速な融合タンパク質発現ベクターの構築法”、2006、実験医学. 24、1675-1680参照)に、mLNX1PDZ2(UniProt ID:O70263から入手したアミノ酸配列のアミノ酸番号381-467)をコードしているDNA断片(UniProtからリンクされているENA ID:AF03745.1の塩基番号1338-1598)を接続した。さらに紫外線吸収向上のため、上記mLNX1PDZ2断片の12塩基上流にチロシン残基を挿入するための3塩基(配列:TAT)を点変異により組み込んだmLNX1PDZ2のグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)融合タンパク質の発現プラスミド(pGEX-6P3-P mLNX1PDZ2+Y1)を作製し、大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、15N標識したM9培地(1L:Na2HPO4・12H2O 17.91g, KH2PO4 2.99g、 NaCl 0.5g、 thymidine 20mg、 adenosine 20mg、 guanosine 20mg、 cytidine 20mg、 thiamine 20mg、 biotin 20mg、 10mM FeCl3 330μl、 1M MgSO4 1ml、 50mM MnCl2 1ml、 50mM CaCl2 2ml、 80% glyserol 1.4ml、 50mg/ml ampicillin 1ml、 glucose 4g, 15NH4Cl 0.5g)中で、1mM IPTGによる発現誘導後、20℃で一晩培養した。培養後、Beckman Coulter(J6-M1 Centrifuge)で遠心し(4000rpm、 15min、 4℃)、集菌した。
菌体に破砕バッファー(50mM Tris-HCl、 150mM NaCl、 pH7.0、菌体1gに対し約10ml)を加え、懸濁し、Bioruptorで超音波破砕した(on time 30sec/off time 30sec、 total 10min×4回)。破砕後、Hitachi High-Speed Refrigerated Centrifuges(himac CR22G)で遠心し(18000rpm、 20min、 4℃)、上清を回収した。上清をDEAEカラム(GE Healthcare)、GST-acceptカラム(nacalai tesque)に通し、GST融合タンパク質を樹脂に吸着させた。カラム上にPreScission protease 200μlを加え、4℃で一晩インキュベートし、GSTタグを切断した。切断後、PreScission cleavageバッファー(50 mM Tris-HCl、 150mM NaCl、 pH7.0)で目的タンパク質を溶出した。得られたタンパク質溶液は、Microsep 1K Centrifugal Devices(PALL)を用いた遠心(ROTANTA 460R)により濃縮し、AKTApriime plus(GE Healthcare)を用いてゲル濾過(50mM Tris-HCl、 100mM NaCl、 pH7.0)を行った。透析を行い、凍結乾燥により濃縮した後、NMRバッファー(20mM MOPS、 150mM NaCl、 50mM MgSO4、pH6.8)に透析し、15N-mLNX1PDZ2サンプルとした。
【実施例】
【0029】
[mLNX1PDZ2の主鎖帰属]
次に、13C/15N標識したmLNX1PDZ2サンプル(約0.9mM)を用いて、1H/15N-HSQC、HNCACB、CBCA(CO)NH、HNCA、HN(CO)CA、HN(CA)CO、HNCOスペクトルを測定し、Sparky 3.114を用いて連鎖帰属法により主鎖の帰属を行った。1H-15N HSQCスペクトル上でpeak pickを行った後、対応するピークをHNCACB、CBCA(CO)NHスペクトル上で抽出し、stripを作成した。作成したstripを並べ替えることにより帰属を行った。HNCA/HN(CO)CA、HN(CA)CO/HNCOスペクトルも同様にしてstripを作成し、帰属を確定させた。また、自動帰属ソフトウェアMARS 1.2を用いて、帰属の確認を行った。NMR測定は、Bruker社AvanceIII 600 MHz デジタルNMR装置を用いた。更に、15N標識した培地でmLNX1PDZ2の発現中に14Nアミノ酸を加えると、そのアミノ酸残基のNMRシグナルが消失する現象に基づくインバースラベル法を用いて帰属の確認を行ったところ、帰属した結果はほぼ正確であると確認できた。
【実施例】
【0030】
[mLNX1PDZ2と化合物のNMR滴定実験]
<実施例1>
15N標識したmLNX1PDZ2(約0.1mM)に、式(13)の化合物(終濃度0.2mM、DMSO終濃度5%)を添加し、1H-15N HSQCスペクトルを測定した。Sparky 3.114を用いて得られたスペクトルを解析した後、シグナルの化学シフト変化から、mLNX1PDZ2と化合物の結合を確認した。なお、測定には、Bruker社AvanceIII 600 MHz デジタルNMR装置を用いた。
【実施例】
【0031】
<比較例1>
式(13)の化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様に1H-15N HSQCスペクトルを測定した。
【実施例】
【0032】
図4は、実施例1及び比較例1の1H-15N HSQCスペクトルの結果を示す。式(13)の化合物を添加しなかった比較例1のmLNX1PDZ2のシグナルと、添加した実施例1のシグナルでは、一部のシグナルがシフトしていた。シグナルのシフトは、式(13)の化合物がmLNX1PDZ2と結合することでドメインの微小な構造が変化したためで、以上の結果より、式(13)に表す化合物は、mLNX1PDZ2と結合していることが確認できた。
【実施例】
【0033】
次に、mLNX1PDZ2における式(13)に表す化合物の結合部位を次の手順により決定した。図5は、実施例1及び比較例1から得られた各残基のシグナル変化の大きさを示すグラフで、グラフからシグナルが0.015ppm以上変化した残基を同定した。次に、公知のX線結晶解析により決定したmLNX1PDZ2の結晶構造をもとに作製したリボンモデルに、シグナルが0.015ppm以上変化した残基についてシグナルの変化の大きさにしたがって色付けした。図6は、色付けしたmLNX1PDZ2のリボンモデルを示す。また、mLNX1PDZ2に対するクローディンのNMR滴定実験により予め確認したmLNX1PDZ2のリガンド認識部位と、上記のシグナルが変化した残基の位置はほぼ同じであった。以上の結果より、式(13)に表す化合物は、mLNX1PDZ2のリガンド認識部位に結合していることが確認できた。
【実施例】
【0034】
<実施例2>
式(13)の化合物に換え、式(14)の化合物(終濃度1.0mM、DMSO終濃度5%)を添加した以外は、実施例1と同様にスペクトル解析した。
【実施例】
【0035】
図7は、実施例2及び比較例1の1H-15N HSQCスペクトルの結果を示す。式(14)の化合物を添加しなかった比較例1のmLNX1PDZ2のシグナルと、添加した実施例2のシグナルでは、一部のシグナルがシフトしており、式(14)に表す化合物は、mLNX1PDZ2と結合していることが確認できた。
【実施例】
【0036】
次に、mLNX1PDZ2における式(14)に表す化合物の結合部位を、次の手順により決定した。図8は、実施例2及び比較例1から得られた各残基のシグナル変化の大きさを示すグラフで、グラフからシグナルが0.04ppm以上変化した残基を同定した。次に、実施例1と同様に、シグナルが0.04ppm以上変化した残基についてシグナルの変化の大きさにしたがってmLNX1PDZ2のリボンモデルに色付けした。図9は、色付けしたmLNX1PDZ2のリボンモデルを示す。また、mLNX1PDZ2のリガンド認識部位と、上記のシグナルが変化した残基の位置はほぼ同じであった。以上の結果より、式(14)に表す化合物は、mLNX1PDZ2のリガンド認識部位に結合していることが確認できた。
【実施例】
【0037】
<比較例2~13>
式(13)に表す化合物に換え、式(4)~(12)及び式(15)~(17)に表す化合物を用いた以外は、実施例1と同様にスペクトル解析し比較例1のスペクトルと対比した。しかしながら、何れの化合物もスペクトルのシグナル変化は見られなかった。
【実施例】
【0038】
以上の結果より、式(13)及び(14)に共通する構造であるアントラニル酸が、mLNX1PDZ2との結合に重要であることが判明した。また、本発明者らは、以前にPDZドメインと低分子化合物との相互作用をNMR滴定実験により検証しており、複数のPDZドメインに対し群特異的に結合する化合物として、DIF(diclofenac)、FLF(flufenamic acid)、FUA(fusidic acid)を同定している(Tenno,T., et.al.,“Accidental Interaction between PDZ Domains and Diclofenac Revealed by NMR-Assisted Virtual Screening”、2013、Molecules. 18、9567-9581参照)。これらの化合物には、部分構造として安息香酸またはフェニル酢酸骨格が含まれる。さらに、これまでにPDZドメインの相互作用を阻害する低分子化合物としていくつか報告されているが、それらの化合物のほとんどに安息香酸骨格が含まれている(例えば、Fujii, N., et.al.,“Rational design of a nonpeptide general chemical scaffold for reversible inhibition of PDZ domain interactions”、2013、 Bioorg. Med. Chem. Lett. 17、549-552、等参照)。以上の結果から、PDZドメインとの結合には安息香酸骨格が重要であり、さらにLNX1PDZ2との結合にはアントラニル酸骨格が重要であることが示唆された。なお、化合物は、LNX1PDZ2の立体構造からみて、分子量が1000以下であることが望ましい。また、PDZドメインとの結合を検証するため、化合物は水溶性であることが好ましく、CLogP3.5以下であることが望ましい。
【実施例】
【0039】
[化合物の細胞アッセイ]
<実施例3>
次に、NMRでmLNX1PDZ2に結合することが確認された式(13)で表される化合物について、イヌ腎臓尿細管上皮細胞を用いてタイトジャンクション形成に与える影響についてアッセイを行った。アッセイは、MDCK-II細胞(Madin-Darby Canine Kidny StrainII;本研究では神戸大学大学院医学研究科細胞生物学の古瀬幹夫教授から入手した細胞を用いたが、DSファーマバイオメディカル株式会社からも購入可能である。)を用い、下記[免疫染色]に記載されている手順で行った。また、MDCK-II細胞に関して、内在性LNX1が発現しているのか否かについても確認を行った。内在性LNX1の発現の確認は、下記[Western blotting]に記載されている手順、及び下記[免疫染色]において、化合物を添加せず、化合物添加後の48h培養をしなかった以外は[免疫染色]と同様の手順で行った。
【実施例】
【0040】
[免疫染色]
カバーガラスを入れた6 well dishに細胞を播種し、CO2インキュベータで一晩培養した。培地をアスピレーターで吸引した後、DMEM(+10%FBS、1%Pen/Str)培地1mlと調整した式(13)で表される化合物1mlを加え(終濃度100μM、DMSO終濃度0.1%)、CO2インキュベータで48h培養した。培養後、培地をアスピレーターで吸引し、無血清DMEM培地を1ml加え、アスピレーターで吸引した(×2回)。冷メタノールを1ml加え、-20℃で20分静置した。新しい6 well dishにPBSを2ml加え、その中にカバーガラスを入れて洗浄した。PBSをP-1000ピペットマンで吸い出し、新たにPBSを1ml加えて洗浄した(×2回)。PBSを吸い出した後、ブロッキング溶液(5%スキムミルク溶液)を1ml加えて、室温で1hインキュベートした。スキムミルク溶液で希釈した100μlの一次抗体溶液の上に、固定した細胞面が下になるようにカバーガラスをかぶせ、4℃で一晩インキュベートした。翌日、6 well dishにPBSを1ml加え、その中にカバーガラスを入れて洗浄した。PBSをP-1000ピペットマンで吸い出し、新たにPBSを1ml加えて洗浄した(×2回)。スキムミルク溶液で希釈した100μlの二次抗体溶液の上に、固定した細胞面が下になるようにカバーガラスをかぶせ、室温で1hインキュベートした。6 well dishにPBSを1ml加え、その中にカバーガラスを入れて洗浄した。PBSをP-1000ピペットマンで吸い出し、新たにPBSを1ml加えて洗浄した(×2回)。封入剤10μlをスライドガラスの上に滴下し、その上にカバーガラスをかぶせた。遮光し、翌日OLYMPUS社の顕微鏡IX71を用いて検鏡した。なお、露光時間は固定して撮影した(1/5sec)。
なお、一次抗体には、Rabbit anti-Claudin-2 antibody(51-6100、invitrogen)をスキムミルク溶液で250倍に希釈したもの、及びRabbit anti-LNX1 antibody (AV473367、Sigma-Aldrich)をスキムミルク溶液で100倍に希釈したものを用いた。
また、二次抗体には、Anti-Rabbit IgG(whole molecule),F(ab’)2 fragment-Cy3 antibody(C2306、Sigma-Aldrich)をスキムミルク溶液で500倍に希釈したもの、及びAnti-Rabbit IgG(whole molecule), F(ab’)2 fragment-FITC antibody (F1262、Sigma-Aldrich)をスキムミルク溶液で200倍に希釈したものを用いた。
【実施例】
【0041】
[Western blotting]
細胞を6well plateに播種し、CO2インキュベータで培養した。培地をアスピレーターで吸引し、PBS 1mlで洗浄した(×2回)。SDS-Sample bufferを適量加え、セルスクレーパーでかきとった。Bioruptorで2min超音波破砕した後、95℃で3min加熱し、サンプルとした。
サンプルはSDS-PAGEで分離し、そのゲルをB液(tris(hydroxymethyl)aminomethane 0.30g、 methanol 5ml、 MilliQ、 total 100ml)に浸した。PVDF膜(AE-6668、ATTO)は100%methanolに約20sec浸した後、B液中に30min以上浸透させた。濾紙(CB-06A、ATTO)はA液(tris(hydroxymethyl)aminomethane 1.82g、 methanol 2.5ml、 MilliQ、 total 50ml)に2枚、B液に1枚、C液(6-aminocaproic acid 0.26g、 tris(hydroxymethyl)aminomethane 0.15g、 methanol 2.5ml、 MilliQ、 total 50ml)に3枚浸した。コンパクトブロットAE-7500(ATTO)の陽極板に濾紙、PVDF膜、ゲルを重ねた後、陰極をセットし、通電することによりタンパク質をPVDF膜に移行させた。PVDF膜をblocking agent(5%スキムミルク、 0.1%Tween20 in PBS)に浸し、室温で1h振とうさせた。PVDF膜をblocking agentで希釈した一次抗体溶液に浸し、4℃で一晩インキュベートした。PDVF膜をwash buffer(1×TBS、0.1%Tween20)に浸し、5min振とうさせて(×4回)洗浄した後、blocking agentで希釈した二次抗体溶液に浸し、室温で1hインキュベートした。PDVF膜をwash bufferに浸し、5min振とうさせて(×4回)洗浄した。PDVF膜上にChemi-Lumi One Super(nacalai tesque)をかけ、インキュベートし、LAS-3000miniで検出した。
なお、一次抗体には、Rabbit anti-LNX1 antibody(AV473367、Sigma-Aldrich)を用い、blocking agentで1000倍に希釈したものを用いた。
また、二次抗体には、Anti-Rabbit IgG HRP(W401B、Promega)を用い、blocking agentで10000倍に希釈したものを用いた。
【実施例】
【0042】
[MDCK-II細胞における内在性LNX1の発現確認]
図10(1)は、上記〔Western blotting〕により得られた写真である。また、図10(2)は、上記〔免疫染色〕において、化合物を添加せず、添加後の48h培養をしなかった以外は同様の手順で免疫染色した写真である。
【実施例】
【0043】
図10(1)に示すように、Western blottingでは、75kDa付近にバンドが確認出来たので、LNX1の発現が確認できた。また、図10(2)に示すように、免疫染色では、細胞内に輝点が存在していることからLNX1の発現が確認できた。以上の結果から、MDCK-II細胞において、LNX1が内在的に発現していることを確認した。
【実施例】
【0044】
[式(13)で表される化合物のアッセイ]
図11(1)は、実施例3で得られた免疫染色の写真である。
【実施例】
【0045】
<実施例4~7>
式(13)で表される化合物に換え、実施例4として式(14)、実施例5として式(30)、実施例6として式(33-3)、実施例7として式(34-9)で表される化合物を用いた以外は実施例3と同様の手順で免疫染色を行った。図11(2)は実施例4、図11(3)は実施例5、図11(4)は実施例6、図11(5)は実施例7で得られた免疫染色の写真である。
【実施例】
【0046】
<比較例14>
式(13)で表される化合物を添加しなかった以外は実施例3と同様の手順で免疫染色を行った。図11(6)は、比較例14で得られた免疫染色の写真である。
【実施例】
【0047】
図11(6)の比較例14の写真と比べ、実施例3~7の図11(1)~(5)の写真は、細胞と細胞の間の白色部分が明らかに濃くなっており、クローディンのタイトジャンクションへの増蓄が確認された。この結果、及びNMR滴定実験の結果から、式(13)、(14)、(30)、(33-3)及び(34-9)で表される化合物がmLNX1PDZ2に結合し、mLNX1PDZ2とクローディンの結合を阻害することで、クローディンの細胞内への取り込みを阻害し、結果的にタイトジャンクションを強化したと考えられる。
【実施例】
【0048】
また、ヒト、マウス、イヌのLNX1PDZ2ドメインのクローディンが相互作用する面に位置するアミノ酸配列について調べた。調べたアミノ酸配列は、何れもUniProtから入手した次の部分である。
<ヒト> ID:Q8TBB1のアミノ酸番号377-463(87配列)
<マウス> ID:O70263のアミノ酸番号381-467(87配列)
<イヌ> ID:E2RBE8のアミノ酸番号381-467(87配列)
ヒト、マウス、イヌのLNX1PDZ2ドメインのアミノ酸配列(上記87配列)の相同性は、ヒトとマウスは95%、ヒトとイヌは94%、マウスとイヌは94%と非常に高かった。また、クローディンが相互作用する面に位置するアミノ酸の配列(上記87配列の18番目のグリシン~23番目のアルギニン、及び66番目のプロリン~74番目のグルタミン)は、ヒト、マウス、イヌで完全に一致していた。したがって、式(13)及び(14)で表される化合物は、ヒトのタイトジャンクション形成の制御にも用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の式(13)、(14)、(30)、(33-3)及び(34-9)で表される化合物は、LNX1に特異的に反応することで、LNX1とクローディンとが相互作用することを阻害し、その結果、クローディンの細胞内への取り込みが阻害されることでタイトジャンクション形成状態を制御することができる。したがって、タイトジャンクション形成メカニズムのどの段階での制御であるのか明らかであることから、医薬品、化粧品等への応用が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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